JPWO2017119198A1 - 半月板変性治療用組成物 - Google Patents

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Abstract

半月板変性を治療する、すなわち、半月板変性に伴う疼痛を抑制し、その効果が長期間持続する、また半月板自体を修復する効果が高い、治療薬の開発が強く望まれている。本発明は、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩を1.5w/v%以上の濃度で含有し、25℃、剪断速度0.1s−1における粘度が500Pa・s以上であることを特徴とする、半月板変性治療用組成物に関する。

Description

本発明は、高い薬効を長期間持続可能な半月板変性治療用組成物に関する。
半月板変性は、膝関節にある内側半月板及び/又は外側半月板が変性、損傷、及び/又は断裂した状態の一般的な総称である。従来より、スポーツ等で半月板に急激に強い外力が加わった場合に発症することが知られてきたが、近年、MRI撮像技術の進歩に伴い、強い外力が加わらなくても、加齢等により半月板が徐々に変性し、これが原因で変形性膝関節症を発症する場合があることが明らかとなった。さらに、成人の多くに軽度な半月板変性が認められ、疼痛が生じたり、変形性膝関節症の予備軍となりうることがわかってきた。
このことから、半月板変性を治療する、すなわち、半月板変性に伴う疼痛を抑制し、その効果が長期間持続する、また半月板自体を修復する効果が高い、治療薬の開発が強く望まれている。
本発明の目的は、安全性の高いヒアルロン酸及び/又はその塩を用いながらも、半月板変性に対して先行技術より飛躍的に高い薬効が得られ、かつ薬効が長期間持続し、半月板自体を修復する効果が高い、半月板変性治療用組成物を提供することにある。
本発明者らは、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩を用いて、最近判明した、軽度の症例を含めた半月板変性に対して高い薬効が得られ、かつ薬効を長期間持続させるための研究を行った。各種組成物で薬効を評価したところ、驚くべきことに、従来の関節注入剤より、低剪断速度における粘度が高い、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩を含有する組成物では、半月板変性に対して高い薬効が得られ、かつ長期間持続することを初めて見出した。さらに、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の粘度平均分子量が高い方が、低濃度でも高い薬効が得られることが明らかとなった。さらに、変性した半月板の外縁部はもちろん、血管が通っておらず、修復されにくいことが知られている内縁部も修復効果が認められた。また、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩は、ヒト体内に存在する物質であるため、架橋型又は修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩よりヒトに対する副作用が生じにくい。さらに、架橋物質や修飾物質に対するアレルギーを有する患者であっても使用することができる。
ここで、当業者の技術常識では、注射剤において、投与する有効成分の含量が同じである場合、溶媒量を変更しても、薬効は変化しないことが知られている。しかし今回、有効成分である非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の含量を一定とし、本組成物と、溶媒量を増加して低粘度とした組成物とを投与して比較した場合、驚くべきことに、溶媒量を増加して低粘度とした組成物では、本組成物より薬効が低くなることが明らかとなった。
また、前述の通り、低剪断速度における粘度が、薬効と高い相関を示すことがわかったが、高剪断速度における粘度については、薬効との相関は高くないことがわかった。これは、歩行時の膝関節液にかかる剪断速度は非常に高いという当業者の技術常識からは、全く推測し得なかったことである。
さらに、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸ナトリウムを有効成分とした変形性関節症治療薬は、粘弾性の高さが薬理作用の一つとされているが、組成物の粘弾性と、半月板変性に対する薬効との相関は高くないことがわかった。
これらの知見を基に、半月板変性に対する治療効果を飛躍的に向上させた組成物として、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩を1.5w/v%以上の濃度で含有し、25℃、剪断速度0.1s−1における粘度が500Pa・s以上であることを特徴とする、半月板変性治療用組成物を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩を1.5w/v%以上の濃度で含有し、25℃、剪断速度0.1s−1における粘度が500Pa・s以上であることを特徴とする、半月板変性治療用組成物が提供される。先行技術より低剪断速度において高粘度であるため、高い薬効が得られ、かつ薬効が長期間持続する。また、変性部分が横断裂で、半月板の内縁部に至るような、修復されにくいことが知られている症例についても半月板の修復効果がある。
評価例1における、疼痛の経時的変化のグラフを示す。 評価例1における、疼痛インデックスのグラフを示す。 評価例2における、疼痛の経時的変化のグラフを示す。 評価例2における、疼痛インデックスのグラフを示す。 評価例3における、疼痛の経時的変化のグラフを示す。 評価例3における、疼痛インデックスのグラフを示す。 評価例4における、疼痛の経時的変化のグラフを示す。 評価例4における、疼痛インデックスのグラフを示す。 評価例5における、疼痛の経時的変化のグラフを示す。 評価例5における、疼痛インデックスのグラフを示す。 評価例6における、術後30日の半月板の代表写真を示す。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
本発明の一実施形態は、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩を1.5w/v%以上の濃度で含有し、25℃、剪断速度0.1s−1における粘度が500Pa・s以上であることを特徴とする、半月板変性治療用組成物である。このような半月板変性治療用組成物は、関節腔内に注入することで、後述する実施例で実証されているように高い薬効が得られ、かつ薬効を長期間持続することができる。また、変性部分が横断裂で、半月板の内縁部に至るような、修復されにくいことが知られている症例についても半月板の修復効果がある。別の実施形態としては、上記組成物を含む半月板内縁部変性治療用組成物である。従来、ヒアルロン酸による治療効果がないとされていた半月板内縁部の変性についても治療効果がある。別の実施形態としては、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の粘度平均分子量が150万以上であり、このヒアルロン酸及び/又はその塩を1.5w/v%以上の濃度で含有し、25℃、剪断速度0.1s−1における粘度が500Pa・s以上であることを特徴とする、半月板変性治療用組成物である。このような半月板変性治療用組成物は、比較的低濃度で、高い薬効が得られ、かつ薬効を長期間持続することができる。
ここで高い薬効、とは、先行技術で用いられているヒアルロン酸ナトリウム関節注入剤、例えばアルツと比較して、薬効が高いことをいう。また薬効を長期間持続する、とは、先行技術で用いられているヒアルロン酸ナトリウム関節注入剤と比較し、投与後に薬効を示す期間が長いことをいう。
半月板の内縁部とは、半月板の内側で、約2/3の面積を占める、血管が通っていない部分を指す。半月板の外縁部とは、半月板の外側で、約1/3の面積を占める、血管が通っている部分を指す。
半月板の横断裂とは、半月板が、内縁部から、外縁部に向かって、略直線状に切れている態様である。
半月板修復とは、半月板の断裂した部位が、再生した組織により、一部又は全体が埋められた状態を指す。半月板の修復状態は、内視鏡検査等で目視観察しても良く、MRI撮像等の画像診断法を用いて、半月板の形態及び/又は質的評価結果より判別しても良い。目視観察や形態評価の場合、半月板の断裂部分が小さくなっているほど、修復効果が高いと判断する。半月板の内縁部付近の断裂まで修復されている場合は、特に修復効果が高いと判断する。質的評価の場合、再生した組織中のコラーゲン含量、水分含量、プロテオグリカン含量等が、正常な半月板に近いほど、修復効果が高いと判断する。
本明細書において、低剪断速度とは、剪断速度0.1s−1とし、高剪断速度とは、剪断速度1000s−1とする。
本明細書において半月板変性とは、社会保険診療報酬支払基金の傷病名マスターに記載の、遺残半月、円板状外側半月板、円板状内側半月板、円板状半月板、外側半月のう腫、外側半月板嵌頓、外側半月板障害、外側半月板損傷、外側半月板断裂、外側半月板変性、膝外側半月板石灰化症、膝内側半月板石灰化症、陳旧性外側半月板損傷、陳旧性内側半月板損傷、内側半月のう腫、内側半月板嵌頓、内側半月板障害、内側半月板損傷、内側半月板断裂、内側半月板変性、剥離外側半月、剥離内側半月、剥離半月、半月のう腫、半月板障害、半月板損傷、半月板断裂、半月板バケツ柄状断裂、半月板変性、半月板ロッキング、膝半月板ガングリオン、膝半月板石灰化症を含むことができる。この中でも、本半月板変性治療用組成物の投与により手術の必要がなくなる可能性が高い、外側半月板障害、外側半月板損傷、外側半月板断裂、外側半月板変性、陳旧性外側半月板損傷、陳旧性内側半月板損傷、内側半月板障害、内側半月板損傷、内側半月板断裂、内側半月板変性、半月板障害、半月板損傷、半月板断裂、半月板バケツ柄状断裂、半月板変性、半月板ロッキングに好ましく用いることができる。
半月板変性は、膝関節内の半月板の性状が健常人と異なるもので、半月板が断裂したり、変形したりする疾患である。以前より、スポーツ外傷などで半月板が物理的に損傷する例は知られていたが、最近のMRIの診断技術向上により、特に強い外力を受けなくても、老化や繰り返しのストレスなどにより、半月板の一部が断裂したり、変形したりする例が多数あることがわかってきた。
一方、変形性膝関節症は膝関節軟骨の弾力性が低下し、すり減ることにより、関節が変形する疾患である。
従って、半月板変性は、半月板の疾患であり、変形性膝関節症は、膝関節軟骨の疾患であることから、両者は、疾患の原因となる組織が明確に異なる。
半月板変性と変形性膝関節症は、MRIを用いれば容易に診断できる。半月板変性は、MRI撮影で半月板に亀裂や断裂、半月板内部の変性が認められることで診断でき、変性の度合によりgrade1〜3に分類できる。さらに、T2マッピングを用いれば、より高い感度で検出することができる。
変形性膝関節症は、MRI撮影で軟骨の摩耗や欠損が認められたり、T2マッピング法を用いて、軟骨のコラーゲン減少が認められたりすることで診断できる。なお変形性膝関節症の場合、MRIより単純X線による Kellgren-Lawrence分類による診断が広く用いられており、grade0〜4のうちgrade2以上が変形性膝関節症と診断される。半月板変性については、単純X線で診断することは困難である。
本明細書において非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩とは、架橋物質を用いた架橋や修飾物質を用いた修飾を受けていない、ヒアルロン酸であってもよく、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸亜鉛、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸アンモニウム等のヒアルロン酸塩であってもよい。この中でも、所望の粘度が得られ、充分な治療効果が期待できるという観点からは、ヒアルロン酸ナトリウムが好ましい。ヒアルロン酸ナトリウムの化学名は、例えば[→3)-2-acetamido-2-deoxy-β-D-glucopyranosyl-(1→4)-β-D-sodium glucopyranosyluronate-(1→]n(IUPAC)で表すことができる。非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の起源は、動物組織から抽出したものでも、発酵法で製造したものでもその起源を問うことなく使用できるが、不純物による副作用の懸念が小さいという点で、発酵法で製造したものが好ましい。発酵法で製造する場合、使用する菌株は自然界から分離されるストレプトコッカス属等の非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の生産能を有する微生物、又は特開昭63−123392号公報に記載したストレプトコッカス・エクイFM−100(微工研菌寄第9027号)、特開平2−234689号公報に記載したストレプトコッカス・エクイFM−300(微工研菌寄第2319号)のような高収率で安定に非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩を生産する変異株が望ましい。上記の変異株を用いて培養、精製されたものが用いられる。
本明細書で用いる半月板変性治療用組成物、半月板内縁部変性治療用組成物、半月板変性に伴う疼痛抑制用組成物、半月板内縁部変性に伴う疼痛抑制用組成物、半月板変性における半月板修復用組成物、半月板内縁部変性における半月板内縁部修復用組成物は、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩と、水以外に、医薬品として製品化する上で必要とされる種々の有効成分、添加物を含むことができる。例えば有効成分としては、局所麻酔剤(リドカイン、キシロカイン等)、非ステロイド系抗炎症薬(インドメタシン、ジクロフェナク等)、ステロイド系抗炎症薬(プレドニゾロン、デキサメタゾン等)、抗生物質(セフメタゾール、エリスロマイシン等)、筋弛緩剤、造影剤、抗体医薬、核酸医薬等を含むことができる。添加物としては、等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、pH調整剤(リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム等)、安定化剤(L-メチオニン、クエン酸ナトリウム、キシリトール、塩化亜鉛、エタノール、グリセリン等)等を含むことができるが、毒性や安定性の観点より、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸及びホウ酸塩成分は含まず、塩化ナトリウム、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム、L-メチオニンを含むのが好ましい。本組成物は溶液状態でも懸濁状態でも良いが、検査が容易という点で、溶液状態が好ましい。本組成物の調製には、一般に知られている各種の方法を用いることができる。例えば、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩以外の成分(水、有効成分、添加物)を混合、溶解した後、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩を加えて混合溶解後、バイアルやシリンジ等の容器に充填することができる。無菌の組成物とするには、全操作を無菌的に行う方法や、ろ過滅菌する方法、混合溶解後又は充填後に加熱滅菌する方法等を用いることができる。
実施形態の一つに記載の非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩は、1.5w/v%以上の濃度であり、且つ、作業性を失わない濃度であればどのような値でもよいが、生産コスト低減、及び作業性の観点からは、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の濃度は3.0w/v%以下である。上記濃度の範囲には、その上限値又は下限値とその間に含まれる数値との間の範囲も含まれる。例えば、上記濃度の範囲は、1.5w/v%、1.6w/v%、1.7w/v%、1.8w/v%、1.9w/v%、2.0w/v%、2.1w/v%、2.2w/v%、2.3w/v%、2.4w/v%、2.5w/v%、2.6w/v%、2.7w/v%、2.8w/v%、2.9w/v%、3.0w/v%からなる群より選択される2つの間の範囲であってもよい。
実施形態の一つに記載の非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の剪断速度0.1s−1における粘度は、500Pa・s以上であればどのような値でもよいが、薬効をより長期間持続させるため、好ましくは550Pa・s以上、さらに好ましくは600Pa・s以上、さらに好ましくは700Pa・s以上である。また生産コスト低減、及びヒアルロン酸及び/又はその塩の溶解度の上限という観点からは、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の剪断速度0.1s−1における粘度は4000Pa・s以下であり、好ましくは3000Pa・s以下、より好ましくは2000Pa・s以下、さらに好ましくは1000Pa・s以下である。上記粘度の範囲には、その上限値又は下限値とその間に含まれる数値との間の範囲も含まれる。例えば、上記粘度の範囲は、500Pa・s、550Pa・s、600Pa・s、650Pa・s、700Pa・s、800Pa・s、900Pa・s、1000Pa・s、1100Pa・s、1200Pa・s、1300Pa・s、1400Pa・s、1500Pa・s、2000Pa・s、2300Pa・s、2500Pa・s、3000Pa・s、3500Pa・s、4000Pa・sからなる群より選択される2つの間の範囲であってもよい。
粘度は、市販のレオメーターを用いて以下に示す条件で測定できる。
・レオメーター:回転式(例えばアントン・パール社製MCR300)
・測定治具:コーンプレート型治具(例えばアントン・パール社製CP50−1)
・測定温度:25℃
・剪断速度:0.1(1/s)
実施形態の一つに記載の非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の粘度平均分子量は150万以上であればどのような値でもよいが、比較的低濃度でも高い薬効を得るため、好ましくは160万以上、さらに好ましくは170万以上、さらに好ましくは190万以上である。また生産コスト低減、及び非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の溶解度の上限という観点からは、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の粘度平均分子量は350万以下であることが好ましく、250万以下であることがより好ましく、220万以下であることがさらに好ましい。上記粘度平均分子量の範囲には、その上限値又は下限値とその間に含まれる数値との間の範囲も含まれる。例えば、上記粘度平均分子量の範囲は、150万、160万、170万、180万、190万、200万、210万、220万、230万、240万、250万、270万、300万、340万、350万からなる群より選択される2つの間の範囲であってもよい。
粘度平均分子量は、第16改正日本薬局方 一般試験法 粘度測定法 第一法に基づき、ウベローデ型粘度計で測定温度30℃にて測定して得られた極限粘度の値を用いて、下記のLaurentの式により求めることができる。
粘度平均分子量 = ((極限粘度(dL/g))×10/36)1/0.78
半月板変性は、半月板のどの部位に生じた場合でも、本組成物を適用できる。具体的には、内側半月板及び/又は外側半月板において、半月板内部の変性、内縁部のみの変性及び/又は断裂、外縁部のみの変性及び/又は断裂、内縁部と外縁部の両方を含む変性及び/又は断裂などが挙げられる。この中でも特に好ましいのは、既存の製剤では修復が困難な、内縁部のみの変性及び/又は断裂、内縁部と外縁部の両方を含む変性及び/又は断裂への適用である。
また、半月板変性の態様がどのような場合でも、本組成物を適用できる。具体的には、内側半月板及び/又は外側半月板において、断裂をきたさない変性、変性断裂、横断裂、縦断裂、くちばし状断裂、水平断裂、バケツ柄状断裂などが挙げられる。この中でも特に好ましいのは、既存の製剤では修復が困難な、横断裂への適用である。
半月板変性は、医師による問診、理学的検査の他、MRI撮像、内視鏡検査等で診断できる。MRI撮像では、T2強調画像、T1強調画像、T2マッピング、T1ρマッピング等が用いられ、半月板の変性や断裂の有無、断裂状態、コラーゲン配列、水分含有量、プロテオグリカン含有量等を調べることで、半月板の形態及び質的評価が可能である。
本組成物は安全性が高いため、半月板変性とは別の疾患が併発している場合にも適用できる。ただし、変形性膝関節症を併発している場合、半月板変性の治療効果が判別しにくい場合があるため、変形性膝関節症の診断に用いられる単純X線のKellgren-Lawrence分類にて、グレード0又はグレード1の場合に適用するのが好ましい。さらに、グレード0、すなわち変形性膝関節症を併発していない場合に適用するのが、より好ましい。
本組成物は、スポーツ外傷などの明確な原因がある、二次性半月板変性にも、明確な原因がなく加齢等に伴い生じる、一次性半月板変性のいずれにも適用できるが、特に、一次性半月板変性に好ましく適用できる。
半月板治療用組成物を関節に注入する際の処方及び投与のための技術は、一般的な関節注入剤と同じであり、例えば、日本薬局方の最新版及び最新追補、「REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES」(Maack Publishing Co.、Easton、PA)の最終版に記載されている。
半月板治療用組成物を関節に注入する際の、有効成分である非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の含量は、非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩が意図する目的を達成するのに有効な量で含有される薬剤とすることができる。「治療的有効量」又は「薬理学的有効量」は当業者に十分に認識され、薬理学的結果を生じるために有効な薬剤の量をいう。治療的有効量の決定は十分に当業者に知られている。
治療的有効量とは、投与により疾患の状態を軽減する薬剤の量をいう。治療効果及び毒性は、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。用量は、好ましくは、毒性をほとんど又は全くともなわないLD50を含む循環濃度の範囲内にある。この用量は、使用される投与形態、患者の感受性、及び投与経路に依存してこの範囲内で変化する。一例として、複合体の投与量は、年齢その他の患者の条件、疾患の種類、使用する複合体の種類等により適宜選択される。
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例で使用するヒアルロン酸及び/又はその塩は、特に明記しない限り、非架橋型且つ非修飾型である。
(試料調製例1)
粘度平均分子量190万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として20.0g採取し、滅菌済の2Lの円筒形プラスチックボトル(コーニング社製)に無菌的に入れた。ここに、無菌的に調製した1Lのリン酸緩衝生理食塩液(pH7.2)を加えて振り混ぜた。これを室温で1日間、攪拌溶解し、「2.0w/v%−Mη190万試料」とした。なおヒアルロン酸ナトリウムの乾燥重量は、湿重量と、第十六改正日本薬局方 医薬品各条 精製ヒアルロン酸ナトリウム の乾燥減量の項で求めた乾燥減量値から求めた。
(試料調製例2)
粘度平均分子量190万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として25.0g採取した以外は、試料調製例1と同様に行い、「2.5w/v%−Mη190万試料」とした。
(試料調製例3)
粘度平均分子量190万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として30.0g採取した以外は、試料調製例1と同様に行い、「3.0w/v%−Mη190万試料」とした。
(試料調製例4)
粘度平均分子量80万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として10.0g採取した以外は、試料調製例1と同様に行い、「1.0w/v%−Mη80万試料」とした。
(試料調製例5)
粘度平均分子量80万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として20.0g採取した以外は、試料調製例1と同様に行い、「2.0w/v%−Mη80万試料」とした。
(試料調製例6)
粘度平均分子量80万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として30.0g採取した以外は、試料調製例1と同様に行い、「3.0w/v%−Mη80万試料」とした。
(試料調製例7)
粘度平均分子量340万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として10.0g採取した以外は、試料調製例1と同様に行い、「1.0w/v%−Mη340万試料」とした。
下記については、市販製品を試料として用いた。
ヒアルロン酸ナトリウム関節注入剤「スベニール」(商品名、中外製薬株式会社製)
(試料調製例8)
粘度平均分子量150万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として2.2g採取し、滅菌済の200mLのプラスチックボトル(コーニング社製)に無菌的に入れた。ここに、無菌的に調製した100mLのリン酸緩衝生理食塩液(pH7.2)を加えた以外は、試料調製例1と同様に行い、「2.2w/v%−Mη150万試料」とした。
(試料調製例9)
粘度平均分子量170万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として2.2g採取した以外は、試料調製例8と同様に行い、「2.2w/v%−Mη170万試料」とした。
(試料調製例10)
2.0w/v%−Mη190万試料をリン酸緩衝生理食塩液(pH7.2)で1.053倍希釈し、「1.9w/v%−Mη190万試料」とした。
(試料調製例11)
粘度平均分子量220万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として1.8g採取した以外は、試料調製例8と同様に行い、「1.8w/v%−Mη220万試料」とした。
(試料調製例12)
粘度平均分子量250万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として1.6g採取した以外は、試料調製例8と同様に行い、「1.6w/v%−Mη250万試料」とした。
(試料調製例13)
粘度平均分子量340万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として2.0g採取した以外は、試料調製例8と同様に行い、「2.0w/v%−Mη340万試料」とした。
(試料調製例14)
2.0w/v%−Mη340万試料をリン酸緩衝生理食塩液(pH7.2)で1.333倍希釈し、「1.5w/v%−Mη340万試料」とした。
(試料調製例15)
粘度平均分子量190万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として4.0g採取した以外は、試料調製例8と同様に行い、4.0w/v%−Mη190万試料を調製しようとしたが、溶解度を超えていたため、溶解できなかった。
(試料調製例16)
粘度平均分子量340万のヒアルロン酸ナトリウム(デンカ株式会社製)を乾燥重量として3.0g採取した以外は、試料調製例8と同様に行い、3.0w/v%−Mη340万試料を調製しようとしたが、溶解度を超えていたため、溶解できなかった。
<ヒアルロン酸ナトリウム溶液の粘度測定>
試料調製例1〜16及び市販製品の各試料につき、粘度・粘弾性測定装置であるレオメーターとして、MCR300(商品名、アントン・パール製)を使用した。コーンプレートはCP50−1(コーン角1.009°,D=49.938mm)を用い、測定温度25℃、剪断速度:0.01〜1000(1/s)(剪断速度の対数が一定間隔となるよう増加)、測定点数:51点、試料量:0.6mL、測定時間:10秒/点にて測定した。得られたデータのうち、剪断速度0.1(1/s)については、0.1(1/s)に最も近く、0.1(1/s)を挟む2点のデータを基に、補間法により剪断速度0.1(1/s)における粘度の値を算出した。剪断速度1000(1/s)については、剪断速度999.9又は1000(1/s)時の粘度値をそのまま用いた。表1に粘度の測定結果を示す。
低剪断速度における粘度が500Pa・sを上回るヒアルロン酸ナトリウム濃度は、粘度平均分子量が340万、250万、220万、190万、150万の場合、それぞれ1.5w/v%、1.6w/v%、1.8w/v%、1.9w/v%、2.2w/v%であった。このように、高分子量のヒアルロン酸ナトリウムを用いた方が、より低濃度で高粘度の組成物を得られることがわかる。
<ヒアルロン酸ナトリウム溶液の粘弾性測定>
試料調製例1〜7及び市販製品の各試料につき、粘度測定と同じレオメーター、コーンプレートを用い、測定温度:37℃、ひずみ:5%(一定)、周波数:10〜0.01(Hz)(周波数の対数が一定間隔となるよう減少)、測定点数:31点、試料量:0.6mL、測定時間:自動(値が安定したら出力)にて測定した。データは、周波数を横軸、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”を縦軸としたグラフにそれぞれプロットし、G’をプロットした曲線と、G”をプロットした曲線が交わるクロスポイントを求めた。このクロスポイントにおける周波数と、G’値(=G”値)につき、補間法で求めた結果を、表2に示す。
<ヒアルロン酸ナトリウムの粘度平均分子量測定>
試料調製例1〜16及び市販製品の各試料につき、第十六改正日本薬局方 医薬品各条 精製ヒアルロン酸ナトリウム の項に準じて、ウベローデ型粘度計で測定した時の流下時間が0.2mol/L塩化ナトリウム試液の2.0〜2.4倍となるよう、0.2mol/L塩化ナトリウム試液にて希釈し、この液をさらに4段階に希釈し、第十六改正日本薬局方 一般試験法 粘度測定法 第1法に従いウベローデ型粘度計にて各試料の流下時間を測定、極限粘度を算出した。極限粘度の値からは、下記の式にて粘度平均分子量を算出した。表3に粘度平均分子量の測定結果を示す。
粘度平均分子量 = ((極限粘度(dL/g))×10/36)1/0.78
(評価例1)
<スベニール、2.0w/v%−Mη190万試料、2.0w/v%−Mη80万試料の比較>
ヒアルロン酸ナトリウムの関節腔内注射による半月板変性における疼痛に及ぼす作用を、ウサギの膝関節半月板部分断裂による実験的半月板変性モデルを用いて検討した。
動物としては、10〜11週齢のKbl:JW(SPF)系ウサギ、雄を1群あたり5羽用いた。動物を入荷後1〜8日の毎日、評価装置に対する訓化として、動物を小動物用鎮痛評価装置Incapacitance Tester(Linton Instrument製)の本体容器(ホルダー)に入れ5秒間静止させる操作を行った。
動物は、可動式ラックに装着したブラケット式金属製金網床ケージ(350W×500D×350H mm)に個別に収容し、温度23±3℃、湿度55±20%、換気回数12〜18回/時間、照明時間7:00〜19:00(明12時間、暗12時間)の環境下で飼育した。飼料はステンレス製給餌器により実験動物用固型飼料RC4(オリエンタル酵母工業社製)を100 g/dayの制限給餌として与え、飲料水はポリプロピレン製給水瓶(先管ステンレス製)により自由に与えた。動物の個体識別は耳介にマジックインキで個体識別番号を記入して識別し、ケージには個体識別番号を記入したカードを付けた。
<実験的半月板変性モデルの作製(半月板部分断裂)>
半月板部分断裂手術日を術後0日と定義した。11〜12週齢の動物を用い、実験的半月板変性モデルを作製した。
塩酸ケタミン(ケタラール筋注用500mg、三共エール薬品社製)及びセラクタール(キシラジン2%注射液、バイエル社製)の併用麻酔下(耳介静脈注)でウサギの左膝関節部を除毛し、北島式固定器(夏目製作所社製)に背位固定した。無菌的に膝蓋の外側直下皮膚に約2cmの切開を加え、外側側副靭帯を露呈させた後、この靭帯を切除した。さらに、膝窩筋起始部の腱を切除することにより外側半月板を露呈させた。半月板の内縁部のほぼ中央を断裂させる形で切り込みを入れ、外縁部まで、略直線上に切り込みを延ばす形で、半月板を断裂させた。その後、皮下筋層と皮膚をそれぞれ結節縫合した。
<動物の選択及び群分け>
全群全例について、術後4日(疼痛発症日)に群分けを行った。群分け日に、全例の体重と両後足重量配分を測定した。測定した両後足重量配分より左後足重量配分比((左荷重/両側合計荷重)×100(%))を算出した。左後足重量配分比を基準とし、個体値が平均値に近い順に選択した。選択した動物は、左後足重量配分比による層別連続無作為化法を用いて各群に割り付けた。左後足重量配分比の平均値が各群で同様の値を示し、群間に差がないことを確認後、体重についても平均値が各群で同様の値を示し、群間に差がないことを確認した。
<サンプルの投与>
群分け後に1回、サンプルとして、スベニール、2.0w/v%−Mη190万試料、2.0w/v%−Mη80万試料それぞれにつき、0.1ml/kgを、手術側(左側)膝関節腔内に1ml注射筒(テルモシリンジ1mlツベルクリン用、テルモ株式会社)及び23G注射針(テルモ注射針23G、テルモ株式会社)を用いて投与した。投与液量は投与日に測定した体重に基づく液量換算により個別に算出した。
<疼痛抑制効果の測定方法>
両後足重量配分の測定には小動物用鎮痛評価装置Incapacitance Tester(英国Linton Instrument社製)を用いた。本装置は、本体容器に入れた動物の左右の脚への重量配分を、容器底面に設置したデュアルチャンネルのセンサーパッドにより、左右それぞれの重量をグラム単位で正確に検出し、その値を試験者が設定した時間にて平均化した。本体容器はウサギ用のものを使用した。測定設定時間は動物の静止状態で5秒とした。
動物をウサギ用本体容器(ホルダー)内に移動し、動物の静止状態で測定し(1回目)、次に動物をホルダーから出し、再度入れて静止状態で測定した(2回目)。測定回数が10回まで繰り返した。10回測定した両後足重量配分のそれぞれについて、左右重量(荷重)から左後足重量配分比(%)を次式により算出した。
左後足重量配分比(%)={左荷重(g)/(右荷重(g)+左荷重(g))×100}
10回算出した左後足重量配分比(%)の平均値を、測定1回当たりの左後足重量配分比(%)と定義した。左後足重量配分比50%以下では、左後足重量配分比の値が高いほど疼痛が小さい、すなわち薬効が高いことを表し、術後日数14日以上の長期に渡り、左後足重量配分比が高値を維持する場合は、薬効が長期間持続するといえる。また、以下の計算式により算出される面積[左後足重量配分比の低下幅(痛み)の時間曲線下面積]を疼痛インデックス(IP:Index of Pain)と定義する。 全投与期間(術後1〜X日)における疼痛インデックス(IP1−Xd)を、台形法により算出した。疼痛インデックスの数値が小さいほど、薬効が高いことを表す。
IP1-Xd= Σ(n=1-(X−1))[{(50* -n日後の配分比)+(50* - (n+x)日後の配分比)}×x /2]
*:疼痛のない個体の左後足重量配分比(正常値)を50 (%)とする。
n:術後日数、x:n日後と次回測定日の間の日数
その結果、図1、図2に示すように、2.0w/v%−Mη190万試料は、スベニールや2.0w/v%−Mη80万試料より明らかに薬効が高く、また長期間持続することがわかった。
(評価例2)
<スベニール、2.0w/v%−Mη190万試料、2.5w/v%−Mη190万試料、3.0w/v%−Mη190万試料の比較>
サンプルとして、スベニール、2.0w/v%−Mη190万試料、2.5w/v%−Mη190万試料、3.0w/v%−Mη190万試料を用いた以外は評価例1と同様に評価した。その結果、図3、4に示すように、2.0w/v%−Mη190万試料、2.5w/v%−Mη190万試料、3.0w/v%−Mη190万試料は、いずれもスベニールより明らかに薬効が高く、また長期間持続することがわかった。
(評価例3)
<スベニール、1.0w/v%−Mη80万試料、2.0w/v%−Mη80万試料、3.0w/v%−Mη80万試料の比較>
サンプルとして、スベニール、1.0w/v%−Mη80万試料、2.0w/v%−Mη80万試料、3.0w/v%−Mη80万試料を用いた以外は評価例1と同様に評価した。その結果、図5、6に示すように、1.0w/v%−Mη80万試料、2.0w/v%−Mη80万試料、3.0w/v%−Mη80万試料の薬効はいずれもスベニールと同等で、また薬効の持続期間も同等であることが明らかとなった。1.0w/v%−Mη80万試料はヒアルロン酸ナトリウム濃度、粘度平均分子量がアルツと同等であるので、先行技術で用いられているアルツと、高分子量ヒアルロン酸ナトリウム関節注入剤であるスベニールにおいて、半月板変性に伴う疼痛抑制効果については、薬効及び薬効の持続期間は同等であるといえる。
(評価例4)
<スベニール、2.0w/v%−Mη80万試料、2.0w/v%−Mη190万試料、1.0w/v%−Mη340万試料の比較>
サンプルとして、スベニール、2.0w/v%−Mη80万試料、2.0w/v%−Mη190万試料、1.0w/v%−Mη340万試料を用いた以外は評価例1と同様に評価した。その結果、図7、8に示すように、2.0w/v%−Mη190万試料は、薬効及び薬効の持続期間が、明らかに他の試料より高いことがわかった。なおスベニール、2.0w/v%−Mη80万試料、1.0w/v%−Mη340万試料の間では、薬効及び薬効の持続期間は同等であった。
(評価例5)
<スベニール投与液量による比較>
サンプルとして、スベニールを用い、投与液量を0.1、0.2、0.3ml/kgで振った以外は評価例1と同様に評価した。これらの試料は、ヒアルロン酸ナトリウム含量としては、それぞれスベニール、2.0w/v%−Mη190万試料、3.0w/v%−Mη190万試料を0.1ml/kgで投与した場合と同じである。その結果、図9、10に示すように、いずれの薬効も、スベニールの0.1ml/kg投与と同等であった。すなわち、2.0w/v%−Mη190万試料や3.0w/v%−Mη190万試料とヒアルロン酸ナトリウム含量が同じであっても、溶媒量が多く低剪断速度における粘度が低い組成物の場合、スベニールより高い薬効は得られないことがわかった。
評価例1〜4の結果を表4にまとめた。疼痛インデックスがアルツ相当の1.0w/v%−Mη80万試料又はスベニールと同等の場合は×、これらより明らかに高い場合は○、データがないものを−とすると、濃度が高いだけでも、粘度平均分子量が高いだけでも、高薬効を得るのに不十分であることがわかる。
表3を、低剪断速度及び高剪断速度における粘度を指標に、表5及び表6にまとめ直した。その結果、剪断速度0.1s−1と低剪断速度の条件では、粘度が500Pa・s以上の場合に、疼痛インデックスがアルツ相当の1.0w/v%−Mη80万試料又はスベニールより明らかに低くなり、粘度が500Pa・s未満の場合に、疼痛インデックスがアルツ相当の1.0w/v%−Mη80万試料又はスベニールと同等になることがわかった。なお、剪断速度1000s−1と高剪断速度の条件では、3.0w/v%−Mη80万試料が、2.5w/v%−Mη190万試料より高粘度にも関わらず薬効は高くならなかった。これより、高剪断速度条件の粘度と、薬効との相関は高くないことが明らかとなった。
表3を、粘弾性のうち、クロスポイントの周波数と、G’(=G”)値を指標に、表7及び表8にまとめ直した。その結果、周波数、G’値とも、薬効との相関は高くないことがわかった。
(評価例6)
<半月板修復効果の確認>
サンプルとして、スベニール、2.0w/v%−Mη190万試料を用い、1群あたり3羽のウサギにつき、評価例1と同様に半月板部分断裂手術を行い、サンプル0.1ml/kgを、評価例1と同様の手技で、5日に1回、5回投与した。術後30日に、左脚の大腿骨と半月板の間を切り離し、外側半月板の修復状態を目視観察した。その結果、表9及び図11の通り、2.0w/v%−Mη190万試料では3例とも半月板の外縁部から内縁部に至る修復が目視確認できたが、スベニールでは、半月板の外縁部が一部修復されるか、修復が認められない結果であった。

Claims (18)

  1. 非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩を1.5w/v%以上の濃度で含有し、25℃、剪断速度0.1s−1における粘度が500Pa・s以上であることを特徴とする、半月板変性治療用組成物。
  2. 非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の粘度平均分子量が150万以上である、請求項1に記載の、半月板変性治療用組成物。
  3. 半月板変性が、変形性膝関節症を伴わない、請求項1又は2に記載の、半月板変性治療用組成物。
  4. 半月板変性が、半月板の内縁部に断裂がある、請求項1乃至3に記載の、半月板変性治療用組成物。
  5. 半月板変性が、半月板の横断裂である、請求項1乃至4に記載の、半月板変性治療用組成物。
  6. 請求項1乃至5に記載の組成物を含む、半月板内縁部変性治療用組成物。
  7. 非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩を1.5w/v%以上の濃度で含有し、25℃、剪断速度0.1s−1における粘度が500Pa・s以上であることを特徴とする、半月板変性に伴う疼痛抑制用組成物。
  8. 非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の粘度平均分子量が150万以上である、請求項7に記載の、半月板変性に伴う疼痛抑制用組成物。
  9. 半月板変性が、変形性膝関節症を伴わない、請求項7又は8に記載の、半月板変性に伴う疼痛抑制用組成物。
  10. 半月板変性が、半月板の内縁部に断裂がある、請求項7乃至9に記載の、半月板変性に伴う疼痛抑制用組成物。
  11. 半月板変性が、半月板の横断裂である、請求項7乃至10に記載の、半月板変性に伴う疼痛抑制用組成物。
  12. 請求項7乃至11に記載の組成物を含む、半月板内縁部変性に伴う疼痛抑制用組成物。
  13. 非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩を1.5w/v%以上の濃度で含有し、25℃、剪断速度0.1s−1における粘度が500Pa・s以上であることを特徴とする、半月板変性における半月板修復用組成物。
  14. 非架橋型且つ非修飾型ヒアルロン酸及び/又はその塩の粘度平均分子量が150万以上である、請求項13に記載の、半月板変性における半月板修復用組成物。
  15. 半月板変性が、変形性膝関節症を伴わない、請求項13又は14に記載の、半月板変性における半月板修復用組成物。
  16. 半月板変性が、半月板の内縁部に断裂がある、請求項13乃至15に記載の、半月板変性における半月板修復用組成物。
  17. 半月板変性が、半月板の横断裂である、請求項13乃至16に記載の、半月板変性における半月板修復用組成物。
  18. 請求項13乃至17に記載の組成物を含む、半月板内縁部変性における半月板内縁部修復用組成物。
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