JPWO2017111111A1 - 反射型透明スクリーン - Google Patents

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Abstract

投影機から投射された映像光を投影機と同じ側にいる観察者に映像として表示することが可能な反射型透明スクリーンであって、2枚の透明基材と、その間に挟まれた金属薄膜(23)とが備えられ、金属薄膜(23)の金属組成を工夫することによって、金属薄膜(23)から反射される映像光の色味または映像視認性が改善された反射型透明スクリーン(1)。

Description

本発明は、投影機から投射された映像光を投影機と同じ側にいる観察者に映像として視認可能に表示する反射型透明スクリーンに関する。
商品等のショーケース;美術品等の展示ケース;建物、ショールーム、車両等の窓;ガラス扉;室内の透明パーティション等に用いられる透明部材として、下記のものが提案されている。
観察者側から見て透明部材の向こう側に見える光景を透視でき、かつ観察者に対して商品等の説明、各種機器の状態、行き先案内、伝達事項等の情報を伝達する際、観察者に対して各種機器の操作画面等を表示する際、またはプライバシー保護、セキュリティ等のために観察者に対して透明部材の向こう側の光景を透視できなくする際には、投影機から投射された映像光を観察者に映像として視認可能に表示する映像表示透明部材(いわゆる透明スクリーン)。
透明スクリーンには、投影機から投射された映像光を投影機と同じ側にいる観察者に映像として視認可能に表示する反射型透明スクリーンと;投影機から投射された映像光を投影機と反対側にいる観察者に映像として視認可能に表示する透過型透明スクリーンとがある。
投影機から投射された映像光を表示するスクリーンとしては、たとえば、2枚の透明基材の間に銀からなる金属層が備えられた透明部材が提案されている(特許文献1参照)。中心の金属層を挟む各透明基材の表面には凹凸が形成され、互いに対向する凹凸面が平行であることにより、凹凸面における反射の増大が可能になる、としている。
しかしながら、反射型透明スクリーンの金属層(反射層)から反射される映像光の色味の改善または映像視認性の改善が求められている。
一例として、例えば、透明スクリーンの金属層を構成する銀は劣化し易く、製造時の加熱処理や長期間の使用によって変色し、透明スクリーンの映像視認性や光透過性を低下させ、外観を損なう、という問題がある。一般に透明樹脂はガラスに比べて水分を含みやすいため、上記問題は中心層を挟む透明基材が透明樹脂である場合には特に顕著となる。
別の一例として、例えば、銀からなる金属層を備えた反射型透明スクリーンに映像光を投射した場合、金属層から反射される映像光(反射光)の色が黄色味を帯びてしまう、という問題がある。
さらに別の一例として、例えば、銀からなる金属層を備えた反射型透明スクリーンに映像光を投射した場合、金属層から反射される映像光(反射光)の色が黄色味を帯びてしまう、という問題がある。また、反射型透明スクリーンの金属層(反射層)を構成する銀は劣化し易く、製造時の加熱処理や長期間の使用によって酸化して黒色化し、スクリーンの映像視認性や光透過性を低下させ、外観を損なう、という問題がある。
特表2014−509963号公報
本発明の第一態様は、観察者から見て透明スクリーンの向こう側の光景を透視でき、観察者から見て透明スクリーンから反射される映像を視認でき、金属薄膜の劣化による映像視認性、光透過性、外観の劣化が抑えられた反射型透明スクリーンを提供する。
本発明の第二態様は、観察者から見て透明スクリーンの向こう側の光景を透視でき、観察者から見て透明スクリーンから反射される映像を視認でき、銀をベースとする金属薄膜の反射光の色味が改善された反射型透明スクリーンを提供する。
本発明の第三態様は、観察者から見て透明スクリーンの向こう側の光景を透視でき、観察者から見て透明スクリーンから反射される映像を視認でき、銀をベースとする反射層の反射光の色味が改善されるとともに、反射層の劣化による映像視認性、光透過性、外観の劣化が抑えられた反射型透明スクリーンを提供する。
本発明の第一態様は、以下の構成を有する。
[1]金属薄膜を有し、前記金属薄膜は、Pd、Au、Pt、Cu、Ru、Ir、Rh、Os、Bi、NdおよびGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属MとAgとを含み、全金属原子数に対するAgの含有率が65原子%以上である、合金によって構成されている、反射型透明スクリーン。
[2]前記合金におけるAgの原子数に対する前記金属Mの原子数の含有割合(M/Ag)が、0.001〜0.35である、[1]に記載の反射型透明スクリーン。
[3]前記合金は、前記群のうちNdおよびGeの少なくとも一方を含む2種以上の金属Mを含む[1]または[2]に記載の反射型透明スクリーン。
[4]前記金属薄膜に接する透明樹脂層を有する、[1]〜[3]のいずれか一に記載の反射型透明スクリーン。
[5]前記透明樹脂層の前記金属薄膜に接する表面の少なくとも一部に、凹凸構造が設けられている、[4]に記載の反射型透明スクリーン。
[6]前記金属薄膜の厚さが1nm〜100nmである、[1]〜[5]のいずれか一に記載の反射型透明スクリーン。
本発明の第二態様は、以下の構成を有する。
[7]金属薄膜を有し、前記金属薄膜は、Agと、少なくとも1種のAg以外の金属とを含み、総質量に対するAgの含有率が70〜95質量%である、合金によって構成され、前記Ag以外の金属は、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が(60±1.5)%となる膜厚で成膜された、前記Ag以外の金属の単体の薄膜の反射光の色がXYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)で、x<0.35、且つ、y<0.35となるものである、反射型透明スクリーン。
[8]前記合金は、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が60%以上となる膜厚で成膜された、前記合金の薄膜の可視光反射率が15%以上となるものである、[7]に記載の反射型透明スクリーン。
[9]前記Ag以外の金属が、周期表の第3族元素〜第16族元素の金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である、[7]または[8]に記載の反射型透明スクリーン。
[10]前記合金の総質量に対する前記Ag以外の金属の合計の含有量が、5〜30質量%である、[7]〜[9]のいずれか一項に記載の反射型透明スクリーン。
本発明の第三態様は、以下の構成を有する。
[11]反射層と、前記反射層の第1の面に接する第1のバリア層と、前記反射層の第2の面に接する第2のバリア層と、を有し、前記第1のバリア層は、少なくとも1種のAg以外の第1の金属若しくはこれらの合金を含む金属薄膜、または前記第1の金属の酸化物を含む酸化物膜からなり、前記第2のバリア層は、少なくとも1種のAg以外の第2の金属若しくはこれらの合金を含む金属薄膜、または前記第2の金属の酸化物を含む酸化物膜からなり、前記金属薄膜を構成する前記第1の金属および前記第2の金属は、ガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に(5±3)nmの膜厚で成膜された、前記第1の金属単体の薄膜および前記第2の金属単体の薄膜における、前記薄膜の反射光の色が、それぞれ独立に、XYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)で、x<0.35、且つ、y<0.35となるものであり、前記酸化物膜を構成する前記第1の金属の酸化物および前記第2の金属の酸化物は、ガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に(5±3)nmの膜厚で成膜された、前記第1の金属の酸化物単独の薄膜および前記第2の金属の酸化物単独の薄膜における、前記薄膜の反射光の色が、それぞれ独立に、XYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)で、x<0.35、且つ、y<0.35となるものであり、前記反射層は、Agのみ、またはAgと少なくとも1種のAg以外の第3の金属との合金からなり、総質量に対するAgの含有率が70〜100質量%である金属の薄膜によって構成されている、反射型透明スクリーン。
[12]前記第1の金属および前記第2の金属が、それぞれ独立に、周期表の第3族元素〜第16族元素の金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である、[11]に記載の反射型透明スクリーン。
[13]前記第1の金属および前記第2の金属が、それぞれ独立に、Zr、Ni、Cr、Ti、Zn、Nb、Zn、Pd、In、WおよびMoからなる群から選ばれる1種である、[12]に記載の反射型透明スクリーン。
[14]前記第3の金属は、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が(60±1.5)%となる膜厚で成膜された、前記第3の金属単体の薄膜における、前記薄膜の反射光の色が、XYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)で、x<0.37、且つ、y<0.37となるものである、[11]〜[13]のいずれか一項に記載の反射型透明スクリーン。
[15]前記第3の金属が、周期表の第3族元素〜第16族元素の金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である、[14]に記載の反射型透明スクリーン。
本発明の第一態様の反射型透明スクリーンは、観察者から見て透明スクリーンの向こう側の光景を透視でき、観察者から見て透明スクリーンから反射される映像を視認でき、金属薄膜の劣化による映像視認性、光透過性、外観の劣化が抑えられたものである。
本発明の第二態様の反射型透明スクリーンは、観察者から見て透明スクリーンの向こう側の光景を透視でき、観察者から見て透明スクリーンから反射される映像を視認でき、銀をベースとする金属薄膜の反射光の色味が改善されたものである。
本発明の第三態様の反射型透明スクリーンは、観察者から見て透明スクリーンの向こう側の光景を透視でき、観察者から見て透明スクリーンから反射される映像を視認でき、銀をベースとする反射層の反射光の色味が改善されるとともに、反射層の劣化による映像視認性、光透過性、外観の劣化が抑えられたものである。
本発明の第一態様の反射型透明スクリーンを備えた映像表示システムの概略の一例および本発明の第一態様の反射型透明スクリーンの層構成の一例を示す概略図である。 本発明の第二態様の反射型透明スクリーンを備えた映像表示システムの概略の一例および本発明の第二態様の反射型透明スクリーンの層構成の一例を示す概略図である。 本発明の第三態様の反射型透明スクリーンを備えた映像表示システムの概略一例および本発明の第三態様の反射型透明スクリーンの層構成の一例を示す概略図である。
以下の用語の定義は、下記の通りである。
「反射型透明スクリーンの第1の面」とは、反射型透明スクリーンの最表面であって、投影機から映像光が投射される側の表面を意味する。
「反射型透明スクリーンの第2の面」とは、反射型透明スクリーンの最表面であって、第1の面とは反対側の表面を意味する。
「第1の面側(第2の面側)の光景」とは、反射型透明スクリーンの第2の面側(第1の面側)にいる観察者から見て、反射型透明スクリーンの向こう側に見える像(主要対象物(商品、美術品、人物等)およびその背景、ならびに風景等)を意味する。光景には、投影機から投射された映像光が反射型透明スクリーンにおいて結像して表示される映像は含まれない。
「シート」は、枚葉のものであってもよく、連続した帯状のものであってもよい。
「算術平均粗さ(Ra)」は、JIS B 0601:2013(ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に基づき測定される算術平均粗さである。粗さ曲線用の基準長さlr(カットオフ値λc)は0.8mmとした。
「入射角」は、光の入射方向と透明スクリーンの表面の法線とがなす角度である。
「ヘーズ」とは、反射型透明スクリーンの第1の面側(または第2の面側)から入射し、第2の面側(または第1の面側)に透過した透過光のうち、前方散乱によって、入射光から0.044rad(2.5°)以上それた透過光の百分率を意味する。すなわち、JIS K 7136:2000(ISO 14782:1999)に記載された方法によって測定される、通常のヘーズである。
「全光線透過率」は、反射型透明スクリーンの第1の面側(または第2の面側)から入射角0゜で入射した入射光に対する、第2の面側(または第1の面側)に透過した全透過光の割合(百分率)を意味する。すなわち、JIS K 7361:1997(ISO 13468−1:1996)に記載された方法によって測定される、通常の全光線透過率である。
「全光線反射率」は、反射型透明スクリーンの第1の面側(または第2の面側)から入射角0゜で入射した入射光に対する、第1の面側(または第2の面側)に反射した全反射光の割合(百分率)を意味する。すなわち、JIS K 7375:2008に記載された方法によって測定される、通常の全光線反射率である。全光線反射率を測定する際には、測定対象の第1の面側(または第2の面側)とは反対側の第2の面側(または第1の面側)から反射型透明スクリーンに光が入射しないように反対側の面を暗幕等で覆う。
「拡散反射率」は、反射型透明スクリーンの第1の面側(または第2の面側)から入射角0゜で入射した入射光に対する、第1の面側(または第2の面側)に反射した正反射光から0.044rad(2.5°)以上それた反射光の割合(百分率)を意味する。拡散反射率を測定する際には、測定対象の第1の面側(または第2の面側)とは反対側の第2の面側(または第1の面側)から透明スクリーンに光が入射しないように反対側の面に暗幕を被せる。また、入射光の径と同程度のアパーチャーを測定対象に密着させてセットする。
ヘーズ、全光線透過率および全光線反射率は、前記のJIS規格に準拠したヘーズメーターを用いて測定したときの値であり、拡散反射率は、日本工業規格(JIS Z8720:2012)に記載のD65光源を用いて室温で測定したときの値であり、屈折率は、ナトリウムランプのd線(波長589nm)を用いて室温で測定したときの値である。
「低反射層」とは、光の反射を低減させるための立体形状または層構成を意味する。
「凹凸構造」とは、複数の凸部、複数の凹部、または複数の凸部および凹部からなる凹凸形状を意味する。
「不規則な凹凸構造」とは、凸部または凹部が周期的に出現せず、かつ凸部または凹部の大きさが不揃いである凹凸構造を意味する。
「微細凹凸構造」とは、凸部または凹部の平均間隔が可視光の波長以下である凹凸構造を意味する。
「可視光透過率」は、次の方法によって求められる。まず、分光光度計を使用して、反射型透明スクリーン(測定対象)の第1の面側(または第2の面側)から入射角0゜で入射した入射光に対する、第2の面側(または第1の面側)に透過した全透過光のうち、波長380nm〜780nmにおける分光透過率を測定する。この測定値に、CIE昼光D65のスペクトルと視感度の波長分布から得られる重化係数を乗じて、平均することにより、可視光透過率が求められる。
「可視光反射率」は、次の方法によって求められる。まず、分光光度計を使用して、反射型透明スクリーン(測定対象)の第1の面側(または第2の面側)から入射角5゜で入射した入射光に対する、第1の面側(または第2の面側)に反射した全反射光のうち、波長380nm〜780nmにおける分光反射率を測定する。この測定値に、CIE昼光D65のスペクトルと視感度の波長分布から得られる重化係数を乗じて、平均することにより、可視光反射率が求められる。
屈折率は、ヘリウムランプのd線(587.56nm)を用いて室温で測定したときの値である。
「色度座標(x,y)」とは、JIS Z8701:1999のXYZ表色系における色度座標(x,y)である。なお、上記の日本工業規格は、国際照明委員会(CIE)が1986年に推奨したPublication CIE No.15.2(1986), Colorimetry, Second editionの色の表示方法に関する部分の技術的内容を変更することなく作成されたものであるが、CIE No.15.2には規定されていない規定項目が追加されたものである。
「厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板上に、そのガラス基板を含む可視光透過率がX%となる膜厚で成膜された、金属単体の薄膜の反射光の色」とは、波長380nm〜780nmの可視光領域において、当該ガラス基板の影響を含む可視光透過率がX%(Xは0〜100の任意の数)となる厚さの当該金属単体からなる薄膜の反射光の色である。反射光の色はJIS Z8701:1999で指定された物体色の測定方法(JIS Z8722:2009)に従って測定される。この測定で使用する前記薄膜を成膜する「ガラス基板」は、平滑な表面を有する厚さ(1.1±0.3)mm、(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33を示すガラス基板である。なお、JIS Z8722:2009は、CIEが2004年に推奨したPublication CIE No.15:2004, COLORIMETRY, THIRD EDITIONに定める物体色の測定方法に合致する。また、反射光の測定は、薄膜が成膜されていない側のガラス基板の表面を黒色に塗りつぶし、ガラス基板の反射光の色が検出されないようにして行った。
「ガラス基板の屈折率およびアッベ数」は、JIS B7090:1999(ISO7944:1998)の測定方法に準じて、最小偏角法で(ヘリウムランプのd線(587.56nm)を使用して室温(20〜25℃)で測定したときの値である。
「ガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に(5±3)nmの膜厚で成膜された、金属単体(または金属酸化物単独)の薄膜における、前記薄膜の反射光の色」とは、波長380nm〜780nmの可視光領域において、JIS Z8701:1999で指定された物体色の測定方法(JIS Z8722:2009)に従って測定される反射光の色である。この測定で使用する前記薄膜を成膜する「ガラス基板」は、平滑な表面を有する厚さ(1.1±0.3)mm、d線(589nm)の屈折率が1.589、アッべ数33を示すガラス基板である。また、反射光の測定は、反射層が成膜されていない側のガラス基板の表面を黒色に塗りつぶし、ガラス基板の反射光の色が検出されないようにして行った。
「厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率X%となる膜厚で成膜された、金属単体(または金属酸化物単独)の薄膜における、前記薄膜の反射光の色」とは、波長380nm〜780nmの可視光領域において、当該ガラス基板の影響を含む可視光透過率がX%(Xは0〜100の任意の数)となる厚さの当該金属単体(または金属酸化物)からなる薄膜の反射光の色である。反射光の色はJIS Z8701:1999で指定された物体色の測定方法(JIS Z8722:2009)に従って測定される。この測定で使用する前記薄膜を成膜する「ガラス基板」は、平滑な表面を有する厚さ(1.1±0.3)mm、(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33を示すガラス基板である。また、反射光の測定は、薄膜が成膜されていない側のガラス基板の表面を黒色に塗りつぶし、ガラス基板の反射光の色が検出されないようにして行った。
《第一態様》
<反射型透明スクリーン>
本発明の第一態様の反射型透明スクリーンは、第1の面およびこれとは反対側の第2の面を有し、第1の面側の光景および第2の面側の光景のいずれか一方または両方をその面とは反対の面側の観察者に透視可能に透過し、かつ第1の面側から投射された映像光を第1の面側の観察者に映像として視認可能に表示する反射型透明スクリーンであって、金属薄膜を有する。
図1は、本発明の第一態様の反射型透明スクリーンの一例を示す概略図である。
反射型透明スクリーン1は、第1の透明基材12と第2の透明基材14との間に、光散乱シート20が配置されたものである。
第1の透明基材12と光散乱シート20とは、第1の接着層16によって接着され、第2の透明基材14と光散乱シート20とは、第2の接着層18によって接着されている。
(透明基材)
第1の透明基材12および第2の透明基材14(以下、まとめて透明基材とも記す。)の材料としては、ガラス、透明樹脂等が挙げられる。各透明基材の材料は、同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
透明基材を構成するガラスとしては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス等が挙げられる。ガラスからなる透明基材には、耐久性を向上させるために、化学強化、物理強化、ハードコーティング等を施してもよい。
透明基材を構成する透明樹脂としては、ポリカーボネート、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタクリレート、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の含フッ素樹脂等が挙げられ、耐候性および透明性の観点から、ポリカーボネート、ポリエステル、シクロオレフィンポリマーが好ましい。
透明基材としては、反射型透明スクリーン1に要求される軽量化と強度との両立の点から、化学強化ガラスが好ましい。
透明基材としては、透明スクリーンに表示された映像の視認性および透明スクリーンの向こう側の光景の視認性の点から、複屈折がないものが好ましい。
透明基材の厚さは、基材としての耐久性が保たれる厚さであればよい。透明基材の厚さは、たとえば、0.5mm以上であってよく、1mm以上であってよく、2mm以上であってよい。また、透明基材の厚さは、たとえば、10mm以下であってよく、5mm以下であってよい。前記厚さの範囲として、例えば、0.5〜10mm、1〜10mm、2〜10mm、1〜5mm、2〜5mm等が挙げられる。
第1の透明基材12の表面(第1の面A)および第2の透明基材14の表面(第2の面B)の算術平均粗さRaは、0.3μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましい。算術平均粗さRaが0.3μm以下であれば、第1の面Aおよび第2の面Bにおいて、投影機80から投射された映像光Lが散乱しにくい。その結果、金属薄膜23に結像している映像光Lが、金属薄膜23とは別の位置で散乱されることによる二重像の形成を抑えることができる。第1の透明基材12の表面(第1の面A)および第2の透明基材14の表面(第2の面B)の算術平均粗さRaは、透明基材の製造のしやすさ、コストの点から、0.001μm以上が好ましい。前記Raの範囲として、例えば、0.001〜0.3μm、0.001〜0.05μm等が挙げられる。
なお、反射型透明スクリーンの最外層が透明基材ではない場合(たとえば、透明フィルム、光散乱層等である場合)であっても、反射型透明スクリーンの第1の面および第2の面における算術平均粗さRaの好ましい範囲は、最外層が透明基材である場合と同様である。
(接着層)
第1の接着層16および第2の接着層18(以下、まとめて接着層とも記す。)は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化性樹脂などで形成される。
熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の場合、熱処理によって接着が行われる。一方、紫外線硬化性樹脂の場合、紫外線照射によって接着が行われる。
熱可塑性樹脂としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、可塑化ポリビニルアセタール、可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化飽和熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、エチレン−エチルアクリレートコポリマー等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、アクリル系熱硬化性樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ポリウレタン系硬化性樹脂等が挙げられる。
紫外線硬化性樹脂としては、アクリル系光硬化性樹脂、光硬化性エポキシ樹脂、ウレタンアクリレート系光硬化性樹脂等が挙げられる。
各接着層の厚さは、接着層としての機能が保たれる厚さであればよく、たとえば、0.1〜1.5mmが好ましく、0.3〜1mmがより好ましい。
(光散乱シート)
光散乱シート20は、第1の透明フィルム21と;第1の透明フィルム21の表面に設けられた、表面に凹凸構造を有する第1の透明層22と;第1の透明層22の凹凸構造側の面に沿うように形成された、入射した光の一部を透過する金属薄膜23と;金属薄膜23の表面を覆うように設けられた第2の透明層24と;第2の透明層24の表面に設けられた第2の透明フィルム25とを有する。
なお、第2の透明フィルム25はなくてもよい。
図1において、光散乱シート20は第1の面A側から順に第1の透明フィルム21、第1の透明層22、金属薄膜23、第2の透明層24、第2の透明フィルム25をこの順に有するが、第1の透明フィルム21と第2の透明フィルム25の配置は逆でも良い。
(透明フィルム)
第1の透明フィルム21および第2の透明フィルム25(以下、まとめて透明フィルムとも記す。)は、透明樹脂フィルムであってもよく、薄いガラスフィルムであってもよい。
透明樹脂フィルムを構成する透明樹脂としては、ポリカーボネート、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
透明フィルムの厚さは、ロールツーロールプロセスを適用できる厚さが好ましく、たとえば、0.01〜0.5mmが好ましく、0.05〜0.3mmがより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。
(透明層)
第1の透明層22および第2の透明層24(以下、まとめて透明層とも記す。)は、透明樹脂層であることが好ましい。各透明層の材料は、同じものであってもよく、異なるものであってもよく、同じものが好ましい。
透明樹脂層を構成する透明樹脂としては、光硬化性樹脂(アクリル樹脂、エポキシ樹脂等)の硬化物、熱硬化性樹脂(アクリル樹脂、エポキシ樹脂等)の硬化物、熱可塑性樹脂(ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ETFEやPTFE等の含フッ素樹脂、シリコーン樹脂等)が好ましい。透明樹脂のイエローインデックスは、反射型透明スクリーン1における窓としての機能が損なわれないように透明感を維持する点から、10以下が好ましく、5以下がより好ましい。前記イエローインデックスは0でもよい。
透明層の厚さ(凹凸構造が形成された部分を除く)は、ロールツーロールプロセスにて形成しやすい厚さであればよく、たとえば、0.5〜50μmが好ましい。
透明層の透過率は、50〜100%が好ましく、75〜100%がより好ましく、90〜100%がさらに好ましい。
第1の透明層22の表面に形成された凹凸構造の算術平均粗さRaは、0.01〜20μmが好ましく、0.01〜10μmがより好ましく、0.01〜1μmがさらに好ましい。算術平均粗さRaが上記範囲内であれば、投射された映像の視野角が広く、正反射光を直接見ずに視認でき、凹凸構造による粒状感が抑えられる。算術平均粗さRaが前記10μm以下であれば、反射型透明スクリーン1の向こう側の光景を見るときに凹凸構造が邪魔にならずより好ましい。算術平均粗さRaが前記1μm以下であれば、反射型透明スクリーン1の向こう側の光景の視認性がより高まるので好ましい。前記凹凸構造の算術平均粗さRaは任意の縦50mm、横50mmの正方形の範囲で測定される。
凹凸構造は不規則な凹凸構造、マイクロレンズアレイ、ホログラム等の構造のいずれであってもよい。視野角と反射光強度が良好な点で不規則な凹凸構造が好ましい。
(金属薄膜)
金属薄膜23は、金属薄膜23に入射した光の一部を透過し、他の一部を反射するものであり、Pd、Au、Pt、Cu、Ru、Ir、Rh、Os、Bi、NdおよびGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属MとAgとを含む合金によって構成されている。金属薄膜23における合金の全金属原子数に対するAgの含有率は、65原子%以上である。
図1の金属薄膜23は、透明層の不規則な凹凸構造を反映した、不規則な凹凸構造を有する。
金属薄膜23における合金は、前記群のうちNdおよびGeの少なくとも一方を含む2種以上の金属Mを含むと、劣化の防止効果をより高くできるため好ましい。
金属薄膜23における合金の全金属原子数のうちAgが占める割合は、投射された映像光の視認性を向上させる観点から、65原子%以上であり、85原子%以上がより好ましく、95原子%以上がさらに好ましい。残部は金属Mの少なくとも1種が占めることが好ましい。前記割合の上限値は100原子%未満であり、99.9原子%以下が好ましい。前記割合の範囲として、例えば、前記割合の範囲を65〜99.9原子%、85〜99.9原子%等が挙げられる。
金属薄膜23における合金のAgの原子数に対する金属Mの原子数の含有割合(M/Ag)は、0.001〜0.35であることが好ましく、0.01〜0.15であることがより好ましい。前記0.001以上であると、金属Mの含有によるAgの酸化やマイグレーションを防止する効果が一層高まる。前記0.35以下であると、Agによる優れた映像視認性が一層高まる。
金属薄膜23における合金に含まれる原子の種類および含有率は、X線光電子分光装置を用いて測定される。
金属薄膜23における合金に含まれる金属Mとしては、耐熱性を向上させる観点から、Au、Pd、Bi、Nd、Ge、Pt、RuおよびIrからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、湿熱性を向上させる観点から、Au、Pd、Nd、Ge、PtおよびIrからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。さらには、前記のように、NdおよびGeの少なくとも一方を含む2種以上の金属Mを含む合金が好ましい。
金属薄膜23の厚さは、第1の透明層22の表面に形成された凹凸構造の算術平均粗さRaによる機能を妨げずに活かすことができる点から、1〜100nmが好ましく、4〜25nmがより好ましい。
金属薄膜23の反射率は、充分なスクリーンのゲインが得られる範囲としては、5%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、25%以上がさらに好ましい。前記反射率の上限値は例えば100%とすることができる。前記反射率の範囲として、例えば、5〜100%、15〜100%、25〜100%等が挙げられる。
(低反射層)
反射型透明スクリーン1は、第1の透明基材12の表面(第1の面A)に低反射層を有していてもよい。低反射層を有することによって、入射角が大きい映像光Lであっても、反射型透明スクリーン1の表面での反射が抑えられる。その結果、透過率の低下が抑えられ、スクリーンゲインをさらに確保できる。また、反射型透明スクリーン1の場所(入射角の違い)による透過率のバラツキが抑えられ、適切な光量で、かつムラなく映像光Lを反射型透明スクリーン1に導入できる。
低反射層は、低反射層を表面に有する反射防止フィルムを第1の透明基材12の表面(第1の面A)に貼着したものであってもよく、第1の透明基材12の表面(第1の面A)に直接形成されたものであってもよい。また、第1の透明基材12を省略する場合は、第1の透明フィルム21の表面に直接形成されたものであってもよい。
低反射層としては、低屈折率の単層膜、複数の誘電体膜を積層した多層膜、微細凹凸構造等が挙げられる。
低反射層としては、反射防止効果および耐摩耗性に優れる点から、複数の誘電体膜を積層した多層膜が好ましく、最表面が無機フッ化物以外の多層膜がより好ましい。
低反射層としては、最表面が酸化ケイ素や酸化アルミニウムで構成されているものが好ましく、その表面にシラン化合物等の親水または撥水コーティングが設けられたものがより好ましく、前記シラン化合物がフッ素を含有したシラン化合物であるものがさらに好ましい。
図1に示した本発明の反射型透明スクリーン1において、第1の透明層22は透明基材12、14のいずれか一方の表面に形成されていてもよい。また第2の透明層24はその表面が透明基材12、14のいずれか他方と接していてもよい。透明層22および透明層24の配置が前記の場合、接着層16、18および透明フィルム21、25が不要である。
(光散乱シートの製造方法)
光散乱シート20は、たとえば、凹凸構造が表面に形成されたモールドを用いたインプリント法によって第1の透明フィルム21上に第1の透明層22を形成し、物理蒸着法によって第1の透明層22の表面に金属を蒸着させて金属薄膜23を形成し、常法によって、第2の透明層24、第2の透明フィルム25を形成することによって製造できる。金属薄膜23の形成方法としては化学気相製膜(CVD)法、および物理気相製膜(PVD)法に含まれるスパッタリング法も用いられる。
(反射型透明スクリーンの光学特性)
反射型透明スクリーン1のヘーズと拡散反射率との和は、10〜90%であり、20〜70%が好ましく、30〜50%がより好ましい。ヘーズと拡散反射率との和が前記10%以上であれば、スクリーンゲインおよび視野角を確保できる。ヘーズと拡散反射率との和が前記90%以下であれば、反射型透明スクリーン1全体が白濁して見える現象が抑えられる。その結果、観察者X側から見て反射型透明スクリーン1の向こう側に見える光景のコントラストが向上し、光景の視認性が向上する。また、反射型透明スクリーン1に表示される映像のコントラストが向上し、映像の視認性が向上する。
反射型透明スクリーン1のヘーズは、0〜50%が好ましく、0〜15%がより好ましく、0〜10%がさらに好ましい。ヘーズが前記50%以下であれば、観察者X側から見て反射型透明スクリーン1の向こう側に見える光景の視認性がさらに向上する。反射型透明スクリーン1のヘーズは、第2の面B側から入射し、第1の面A側に透過した光について測定する。
反射型透明スクリーン1の拡散反射率は、5%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましく、50%以上がさらに好ましい。拡散反射率が前記5%以上であれば、スクリーンゲインをさらに確保できる。反射型透明スクリーン1の拡散反射率は、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。拡散反射率が前記90%以下であれば、観察者X側から見て反射型透明スクリーン1の向こう側に見える光景の視認性がさらに向上する。前記拡散反射率の範囲として、例えば、5〜90%、5〜80%、15〜90%、15〜80%、30〜90%、30〜80%、50〜90%、50〜80%等が挙げられる。反射型透明スクリーン1の拡散反射率は、第1の面A側から入射し、第1の面A側に反射した光について測定する。
反射型透明スクリーン1の全光線透過率は、10〜90%であることが好ましく、15〜80%がより好ましく、25〜75%がさらに好ましい。全光線透過率が前記10%以上であれば、観察者X側から見て反射型透明スクリーン1の向こう側に見える光景の視認性に優れる。全光線透過率が前記90%以下であれば、スクリーンゲインを確保できる。反射型透明スクリーン1の全光線透過率は、第2の面B側から入射し、第1の面A側に透過した光について測定する。
反射型透明スクリーン1の全光線反射率は、5〜90%であることが好ましく、10〜80%がより好ましく、20〜70%がさらに好ましい。全光線反射率が前記5%以上であれば、スクリーンゲインをさらに確保できる。全光線反射率が前記70%以下であれば、観察者X側から見て反射型透明スクリーン1の向こう側に見える光景の視認性がさらに向上する。反射型透明スクリーン1の全光線反射率は、第1の面A側から入射し、第1の面A側に反射した光について測定する。
反射型透明スクリーン1の第1の面Aにおける表面の反射率は、二重像の形成を充分に抑える点から、2%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。前記反射率は0%であってもよい。
反射型透明スクリーン1における隣り合う各層間の屈折率差は、各層界面における反射率が0.5%以内に抑えられる点から、0.2以内が好ましく、各層界面での反射率が0.1%程度となる点から、0.1以内がより好ましい。前記屈折率差は0であってもよい。
<映像表示システム>
図1は、本発明の第一態様の反射型透明スクリーンを備えた映像表示システムの一例を示す概略図である。
映像表示システムは、反射型透明スクリーン1と、反射型透明スクリーン1の第1の面A側の空間に設置された投影機80とを備える。
(投影機)
投影機80は、反射型透明スクリーン1に映像光Lを投射できるものであればよい。
投影機80としては、公知のプロジェクタ等が挙げられる。プロジェクタとしては、10〜90cmの至近距離からの映像光Lの投射が可能であり、映像表示システムの省スペース化が図れる点、および入射角が大きい映像光Lの投射が可能であり、投影機80と反射型透明スクリーン1との間を人が横切りにくい点から、短焦点プロジェクタが好ましい。
<映像表示方法>
反射型透明スクリーン1においては、図1に示すように、投影機80から投射され、反射型透明スクリーン1の第1の面Aから入射した映像光Lが、金属薄膜23の不規則な凹凸構造において反射および拡散することによって結像し、投影機80とは同じ側にいる観察者Xに映像として視認可能に表示される。
第2の面B側の光景の光は、第2の面Bから反射型透明スクリーン1に入射した後、金属薄膜23において一部が反射し、残りは透過する。これにより、投影機80から映像光Lを反射型透明スクリーン1に投射しない場合、第1の面A側の観察者Xが第2の面B側の光景を透視できる。同じく、第1の面A側の光景の光は、第1の面Aから反射型透明スクリーン1に入射した後、金属薄膜23において一部が反射し、残りは透過する。これにより、投影機80から映像光Lを反射型透明スクリーン1に投射しない場合、第2の面B側の観察者(不図示)が第1の面A側の光景を透視できる。
なお、反射型透明スクリーン1の金属薄膜23は、可視光よりも長い波長域の電磁波の少なくとも一部を遮蔽する性質を有する。この性質を利用して、反射型透明スクリーンを電磁波遮蔽体として利用することも可能である。
<作用機序>
以上説明した本発明の第一態様の反射型透明スクリーン1にあっては、光を透過できるため、観察者から見て反射型透明スクリーン1の向こう側の光景を透視できる。また、反射型透明スクリーン1は金属薄膜23を有するため、投影機80から映像光Lを投射している状態では、観察者から見て反射型透明スクリーン1に表示される映像を視認できる。
反射型透明スクリーン1の金属薄膜23にあっては、特定の金属Mをドープすることにより、金属薄膜23の主材料である銀の酸化やマイグレーションによる劣化が抑制されている。Pd、Au、Pt、Cu、Ru、Ir、Rh、Osなどの貴金属は、貴金属が水や酸素と結合しにくいことから、金属MによるAg膜中への水や酸素の持ち込み(導入)が少ないため、Agの酸化やマイグレーションによる劣化抑制効果が高くなると考えられる。またBiを添加すると、最表面に極薄いBiリッチ層が形成され、これが酸化されることで、Ag膜内部への酸素拡散が少なくなると考えられる。
このように上記の金属MをドープすることでAgの劣化が抑制され、反射型透明スクリーン1の映像視認性、光透過性、外観の劣化を抑えることができる。また一般的に透明層22、24として透明樹脂を用いると、透明樹脂に含まれる水分がAg層へ拡散し、これによりAgの酸化やマイグレーションによる劣化が生じやすかったが、反射型透明スクリーン1の金属薄膜23にあっては、金属薄膜23に接する透明層22、24として、一般に水分を含み易い透明樹脂を使用することができる。透明樹脂からなる透明層22、24を備えることにより、光線の透過率、反射率等の光学特性に優れ、軽量化および薄型化された反射型透明スクリーン1が得られる。
従来は、透明スクリーンの金属層を構成する銀の酸化劣化を抑制するために、金属層を透明樹脂で挟む構成は採用し難かった。しかし、本発明によれば、銀に上記の金属Mをドープすることにより金属薄膜23の酸化劣化及びマイグレーションを抑制できるので、金属薄膜23を透明樹脂からなる透明層22、24で挟む構成が採用可能である。
さらに、金属薄膜が凹凸構造を有する透明層22の表面に形成される場合、透明層22は凹凸により表面積が大きくなるため、透明層22表面の吸着水が多くなり、その上にAgを成膜する際、その膜成長過程においてAgが酸化されやすくなると考えられる。上記金属Mをドープすることで、Ag膜成長過程における酸化劣化も抑制することができる。
さらに反射型透明スクリーン1の製造時において、ガラスからなる第1の透明基材12及び第2の透明基材14の間に、光散乱シート20を挟み、これらを接合して合わせガラスを作製するための加熱処理を施した場合にも、金属薄膜23の主材料である銀の酸化やマイグレーションによる劣化を抑制することができる。この効果は第1の透明基材12および第2の透明基材14の間に、接着層16および接着層18をそれぞれ介して光散乱シート20を挟む場合に特に顕著になる。上記の特定の金属Mをドープすることで、加熱処理によって、透明樹脂や接着層から放出された水分による金属薄膜23の劣化が抑制される。
<その他の実施形態>
以上で説明した反射型透明スクリーン1に備えられた第1の透明基材12、第2の透明基材14、第1の接着層16、及び第2の接着層18は、本発明の反射型透明スクリーンの必須の部材ではない。例えば、これらの部材を除いた光散乱シート20を本発明の反射型透明スクリーンとすることができる。
《第二態様》
<反射型透明スクリーン>
本発明の第二態様の反射型透明スクリーンは、第1の面およびこれとは反対側の第2の面を有し、第1の面側の光景および第2の面側の光景のいずれか一方または両方をその面とは反対の面側の観察者に透視可能に透過し、かつ第1の面側から投射された映像光を第1の面側の観察者に映像として視認可能に表示する反射型透明スクリーンであって、金属薄膜を有する。
図2は、本発明の第二態様の反射型透明スクリーンの一例を示す概略図である。
第二態様の反射型透明スクリーンの構成は、第一態様の反射型透明スクリーンの構成と類似している。以下では、第二態様の構成が第一態様の構成と異なる点について説明し、同じ構成については同じ符号を付けて、その説明を省略する。
(金属薄膜)
第二態様の反射型透明スクリーン1において、金属薄膜23aは、金属薄膜23aに入射した光の一部を透過し、他の一部を反射するものであり、Agと、少なくとも1種のAg以外の金属(以下、金属M’と記す。)との合金によって構成されており、該合金においてその総質量に対するAgの含有率は70〜95質量%である。
合金の総質量に対する金属M’の含有量は、5〜30質量%であることが好ましい。すなわち、合金のAg以外の残部を金属M’が構成していることが好ましい。
本発明の効果を損なわない限り、金属M’以外の少量の元素が合金に含有されていても構わない。
合金に含まれる原子の種類および含有率は、X線光電子分光装置を用いて測定される。
金属M’は、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が(60±1.5)%となる膜厚で成膜された、前記金属M’単体の薄膜の反射光の色がXYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)で、x<0.35、且つ、y<0.35なるものであることが好ましい。前記ガラス基板はソーダライムガラス基板であることが好ましい。
ここでガラス基板の厚さの範囲を示した理由は、厳密に1.1mmのガラス基板を準備することが難しい場合があるからである。上記範囲内で厚さが異なるガラス基板上に成膜された上記薄膜の反射光の色度座標は、ほとんど同じである。
同様に、上記可視光透過率の範囲を示した理由は、厳密に可視光透過率60%となる膜厚で成膜することが難しい場合があるからである。上記範囲内で膜厚が異なる上記薄膜の反射光の色度座標は、ほとんど同じである。
金属M’の反射光の色の色度座標のうち、xは、0.25以上0.33以下が好ましく、0.28以上0.32以下がより好ましい。
金属M’の反射光の色の色度座標のうち、yは、0.25以上0.34未満が好ましく、0.29以上0.33以下がより好ましい。
上記の好適なxとyは任意の組み合わせが可能である。前記組み合わせとしては、例えば、xが0.25以上0.33以下且つyが0.25以上0.34未満、xが0.25以上0.33以下且つyが0.29以上0.33以下、xが0.28以上0.32以下且つyが0.25以上0.34未満、xが0.28以上0.32以下且つyが0.29以上0.33以下、等が挙げられる。
上記の好適なx,yの色度座標であると、Ag薄膜の反射光の色味が改善された金属薄膜23aを容易に得ることができる。
金属M’としては、周期表の第1族元素〜第16族元素にある金属のうち、その金属単体の薄膜(その膜厚は前記ガラス基板を含めた可視光透過率が(60±1.5)%となる膜厚)の反射光の色の色度座標が、上記範囲を満たすものが挙げられる。具体的には、例えば、K、Rb等のアルカリ金属;Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Ir、Ni、Pd、Cu、Zn、Cd、Nd、Bi、Ge等の遷移金属;Al、In等が挙げられる。
上記金属M’のうち、アルカリ金属およびアルカリ土類金属よりも水分と反応しにくく、より高い耐久性が得られることから、周期表の第3族元素〜第16族元素の金属が好ましい。また、上記金属M’のうち、Agと合金を形成することが容易である点から、Zn、Pd、In、W、およびMoから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。上記の好適な金属M’であると、Ag薄膜の反射光の色味が改善され、高い可視光反射率を有する金属薄膜23aが容易に得られる。
さらに、金属M’がNd、BiおよびGeから選ばれる少なくとも1種であると、高い可視光透過率に加え、耐熱性高い反射層23aが容易に得られることより、特に好ましい。
金属M’がZn、Pd、In、W、およびMoから選ばれる少なくとも1種である場合、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板上に、例えば1〜100nmの膜厚で当該金属単体の薄膜を成膜すると、そのガラス基板を含む当該薄膜の可視光透過率が(60±1.5)%となり得る。前記ガラス基板はソーダライムガラス基板であることが好ましい。
金属M’としては、Pd、Znが特に好ましい。金属薄膜23aがこれらの金属M’とAgを合わせた合金からなることにより、金属薄膜23aの耐熱性を向上させることができる。
通常、反射型透明スクリーン1を合わせガラスの形態にする製造工程において、120〜140℃で1〜2時間の加熱処理が行われる。金属M’を有しないAg膜は加熱処理によって劣化(マイグレーションが発生し透過率が変化する)や変色が起こり易いが、金属薄膜23aはAgと金属M’の合金であるため、耐熱性が向上している。このため、Agが有する高反射率という特性を活かした優れた光学特性を有する合わせガラスの反射型透明スクリーン1が得られる。
金属薄膜23aを構成する合金の組成として、質量基準で、例えば、Ag/Zn=95/5〜75/25、Ag/Pd=95/5〜90/10、Ag/In=95/5〜80/20、Ag/W=95/5〜70/30、Ag/Mo=95/5〜70/30、Ag/Al=95/5〜90/10、Ag/Ti=95/5〜70/30、Ag/Cu=95/5〜90/10等が挙げられる。
前記合金が上記の組成であると、Ag薄膜の反射光の色味が改善され、高い可視光反射率を有する金属薄膜23aが容易に得られる。
前記合金は、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が(60±1.5)%以上となる膜厚(例えば、1〜100nm)で成膜された、前記合金の薄膜の可視光反射率が15%以上となるものが好ましく、18%以上となるものがより好ましい。前記可視光反射率の上限値としては、例えば38%が挙げられる。
上記可視光反射率が前記15%以上となる合金を用いると、反射型透明スクリーン1が高いスクリーンゲインを示し、金属薄膜23aに投射された映像視認性が向上する。
金属薄膜23aは、可視光透過率60%以上、且つ、可視光反射率15%以上であることが好ましい。金属薄膜23aの可視光透過率は、金属薄膜23aの厚さによって調整することができる。スクリーンゲインを高める観点から、金属薄膜23aの可視光透過率は85%以下であることが好ましい。
また、反射型透明スクリーン1に投射され、金属薄膜23aに結像した映像の視認性を向上させる(スクリーンゲインを高める)観点から、前記可視光反射率は15%以上であることが好ましく、18%以上であることがより好ましい。
第二態様の反射型透明スクリーン1において、金属薄膜23aの厚さは、5〜50nmが好ましく、10〜35nmがより好ましく、10〜20nmがさらに好ましい。前記5nm以上であると、前記可視光反射率を容易に15%以上にすることができる。前記50nm以下であると、前記可視光透過率を容易に85%以下にすることができる。
図2の金属薄膜23aは、透明層の不規則な凹凸構造を反映した、不規則な凹凸構造を有する。金属薄膜23aの厚さは、第1の透明層22の表面に形成された不規則な凹凸構造の算術平均粗さRaによる機能を妨げずに活かすことができる点から、1〜100nmが好ましく、4〜25nmがより好ましい。
(透明層)
第二態様の反射型透明スクリーン1において、材料、イエローインデックス、厚さ、透過率および凹凸構造は、好ましい態様も含め第一態様の反射型透明スクリーン1の透明層と同様である。第二態様の反射型透明スクリーン1において、第1の透明層22aの表面に形成された凹凸構造の算術平均粗さRaは、0.01〜20μmが好ましく、0.05〜10μmがより好ましく、0.1〜1μmが更に好ましい。前記凹凸構造の算術平均粗さRaは任意の縦50mm、横50mmの正方形の範囲で測定される。
(光散乱シートの製造方法)
第二態様の反射型透明スクリーン1の光散乱シート20は、第一態様の反射型透明スクリーン1の光散乱シート20と同様の方法で製造することができる。
(反射型透明スクリーンの光学特性)
第二態様の反射型透明スクリーン1のヘーズと拡散反射率等の好適な光学特性は、第一態様の反射型透明スクリーン1の好適な光学特性と同様である。
ヘーズに対する拡散反射率の比率(拡散反射率/ヘーズ)は、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましい。拡散反射率/ヘーズが1以上であれば、観察者X側から見て反射型透明スクリーン1の向こう側に見える光景の視認性がよく、投射された映像と反射型透明スクリーン1の向こう側の光景とを見ることができる。このような反射型透明スクリーン1は、周囲に外光が存在する環境下で利用されることに適している。
第二態様の反射型透明スクリーン1の可視光透過率は、1〜90%であることが好ましく、10〜90%も好ましく、15〜80%がより好ましく、25〜75%がさらに好ましい。可視光透過率が前記10%以上であれば、観察者X側から見て反射型透明スクリーン1の向こう側に見える光景の視認性に優れる。可視光透過率が前記90%以下であれば、スクリーンゲインを確保できる。反射型透明スクリーン1の可視光透過率は、第2の面B側から入射し、第1の面A側に透過した光について測定する。
第二態様の反射型透明スクリーン1の可視光反射率は、1〜90%であることが好ましく、5〜70%がより好ましく、5〜60%がさらに好ましく、20〜90%も好ましく、20〜50%も好ましい。可視光反射率が前記20%以上であれば、スクリーンゲインをさらに確保できる。可視光反射率が前記50%以下であれば、観察者X側から見て反射型透明スクリーン1の向こう側に見える光景の視認性がさらに向上する。反射型透明スクリーン1の可視光反射率は、第1の面A側から入射し、第1の面A側に反射した光について測定する。
<映像表示システム>
図2は、本発明の第二態様の反射型透明スクリーンを備えた映像表示システムの一例を示す概略図である。この概略図とその映像表示方法は、本発明の第一態様の反射型透明スクリーンの概略図とその映像表示方法と同じであるため、ここではそれらの説明を省略する。
<作用機序>
以上説明した本発明の第二態様の反射型透明スクリーン1にあっては、光を透過できるため、観察者から見て反射型透明スクリーン1の向こう側の光景を透視できる。また、反射型透明スクリーン1は金属薄膜23aを有するため、投影機80から映像光Lを投射している状態では、観察者から見て反射型透明スクリーン1に表示される映像を視認できる。
金属M’を有しないAg薄膜の反射光の色度座標は、その膜厚が例えば可視光透過率が60%程度となる膜厚である場合、(色度座標x,y=0.356,0.364)である。一方、金属M’からなる薄膜の反射光の色度座標は、可視光透過率が60%となる膜厚において、Ag薄膜の反射光の色よりも青色(色度座標x,y=0.15,0.05)に近い色度座標を有する。このため、Agと金属M’の合金により構成された金属薄膜23aの反射光の色は、Ag薄膜の反射光の色よりも青色に近づく。すなわち、Ag薄膜が有する黄色へ寄った色味が青色側へシフトする。この結果、金属薄膜23aにおいては、Ag薄膜の色味が改善されて、優れた映像再現性(例えば、投射された映像光の白色を白色の反射光として反射する)が得られる。
<その他の実施形態>
以上で説明した反射型透明スクリーン1に備えられた第1の透明基材12、第2の透明基材14、第1の接着層16、及び第2の接着層18は、本発明の反射型透明スクリーンの必須の部材ではない。例えば、これらの部材を除いた光散乱シート20を本発明の反射型透明スクリーンとすることができる。
《第三態様》
<反射型透明スクリーン>
本発明の第三態様の反射型透明スクリーンは、第1の面およびこれとは反対側の第2の面を有し、第1の面側の光景および第2の面側の光景のいずれか一方または両方をその面とは反対の面側の観察者に透視可能に透過し、かつ第1の面側から投射された映像光を第1の面側の観察者に映像として視認可能に表示するものである。また、本発明の反射型透明スクリーンは、反射層と、前記反射層の第1の面に接する第1のバリア層と、前記反射層の第2の面に接する第2のバリア層と、を有する。
図3は、本発明の反射型透明スクリーンの一例を示す概略図である。
反射型透明スクリーン1は、第1の透明基材12と第2の透明基材14との間に、光散乱シート20が配置されたものである。
第1の透明基材12と光散乱シート20とは、第1の接着層16によって接着され、第2の透明基材14と光散乱シート20とは、第2の接着層18によって接着されている。
第三態様の反射型透明スクリーンの構成は、第一態様の反射型透明スクリーンの構成と類似している。以下では、第三態様の構成が第一態様の構成と異なる点について説明し、同じ構成については同じ符号を付けて、その説明を省略する。
(光散乱シート)
光散乱シート20は、第1の透明フィルム21と;第1の透明フィルム21の表面に設けられた、表面に不規則な凹凸構造を有する第1の透明層22と;第1の透明層22の凹凸構造側の面に沿うように形成された、入射した光の一部を透過する第1のバリア層26と;第1のバリア層の表面に形成された、入射した光の一部を透過する反射層23bと;反射層23bの表面に形成された第2のバリア層27と;第2のバリア層27の表面を覆うように設けられた第2の透明層24と;第2の透明層24の表面に設けられた第2の透明フィルム25とを有する。
なお、第2の透明フィルム25はなくてもよい。
図3において、光散乱シート20は、第1の面A側から順に、第1の透明フィルム21、第1の透明層22、第1のバリア層26、反射層23b、第2のバリア層27、第2の透明層24、第2の透明フィルム25を有する。第1の透明フィルム21と第2の透明フィルム25の配置は逆でも良い。
(バリア層)
反射層23bの第1の面に接する第1のバリア層26、および反射層23bの第2の面に接する第2のバリア層27は、反射層23bの色味を改善し、その劣化を抑制する(耐劣化性を向上させる)ものである。各バリア層は、反射層23bに向けて投射された光の一部を透過し、他の一部を反射する。
第1のバリア層26は、少なくとも1種のAg以外の第1の金属若しくはこれらの合金を含む金属薄膜、または第1の金属の酸化物を含む酸化物膜からなる。
第2のバリア層27は、少なくとも1種のAg以外の第2の金属若しくはこれらの合金を含む金属薄膜、または第2の金属の酸化物を含む酸化物膜からなる。
本発明の効果を損なわない限り、第1の金属および第2の金属以外の少量の元素が第1のバリア層26および第2のバリア層27に含有されていても構わない。
バリア層材料に含まれる原子の種類および含有率は、X線光電子分光装置を用いて測定される。
以下では、特に明記しない限り、第1の金属が2種以上の金属からなる合金である場合も、まとめて第1の金属と記す。同様に、第2の金属が2種以上の金属からなる合金である場合も、まとめて第2の金属と記す。さらに、第1の金属および第2の金属をまとめてバリア金属と記す。また、以下では、第1のバリア層26および第2のバリア層27をまとめてバリア層と記す。
第1のバリア層26の材料の総質量に対する第1の金属またはその酸化物の含有率は、それぞれ独立に、70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましい。
第2のバリア層27の材料の総質量に対する第2の金属またはその酸化物の含有率は、それぞれ独立に、70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましい。
上記範囲の含有率であると、バリア層を設けたことによる反射層23bの色味の改善および耐劣化性の向上の効果がより容易に得られる。
バリア層をなす金属薄膜を構成する第1の金属および第2の金属(バリア金属)は、ガラス基板上に(5±3)nm、即ち2〜8nm、の膜厚で成膜された薄膜における、前記第1の金属単体の薄膜および前記第2の金属単体の薄膜の反射光の色が、それぞれ独立に、XYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)で、x<0.35、且つ、y<0.35となるものである。前記ガラス基板はソーダライムガラス基板であることが好ましい。
ここで上記薄膜の膜厚の範囲を示した理由は、厳密に膜厚5nmで成膜することが難しい場合があるからである。上記範囲内で膜厚が異なる上記薄膜の反射光の色度座標は、ほとんど同じである。
バリア金属の反射光の色の色度座標のうち、xは、0.25以上0.34以下が好ましく、0.27以上0.33以下がより好ましく、0.28以上0.32以下がさらに好ましい。
バリア金属の反射光の色の色度座標のうち、yは、0.25以上0.35未満が好ましく、0.27以上0.35未満がより好ましく、0.28以上0.34以下がさらに好ましい。
上記の好適なxとyは任意の組み合わせが可能である。前記組み合わせとしては、例えば、xが0.25以上0.34以下且つyが0.25以上0.35未満、xが0.25以上0.34以下且つyが0.27以上0.35未満、xが0.25以上0.34以下且つyが0.28以上0.34以下、xが0.27以上0.33以下且つyが0.25以上0.35未満、xが0.27以上0.33以下且つyが0.27以上0.35未満、xが0.27以上0.33以下且つyが0.28以上0.34以下、xが0.28以上0.32以下且つyが0.25以上0.35未満、xが0.28以上0.32以下且つyが0.27以上0.35未満、xが0.28以上0.32以下且つyが0.28以上0.34以下、等が挙げられる。
上記の好適なx,yの色度座標であると、バリア層は青色に寄った色味を呈する。このようなバリア層が反射層23bの両側に備えられていると、反射層23bの黄色に寄った色味を容易に改善することができる。
バリア層をなす酸化物膜を構成する第1の金属の酸化物および第2の金属の酸化物(バリア金属の酸化物)は、ガラス基板上に(5±3)nm、即ち2〜8nm、の膜厚で成膜された薄膜における、前記薄膜の反射光の色が、それぞれ独立に、XYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)で、x<0.35、且つ、y<0.35となるものである。前記ガラス基板はソーダライムガラス基板であることが好ましい。
ここで上記薄膜の膜厚の範囲を示した理由は、厳密に膜厚5nmで成膜することが難しい場合があるからである。上記範囲内で膜厚が異なる上記薄膜の反射光の色度座標は、ほとんど同じである。
バリア金属の酸化物の反射光の色の色度座標のうち、xは、0.25以上0.34以下が好ましく、0.27以上0.33以下がより好ましく、0.28以上0.32以下がさらに好ましい。
バリア金属の酸化物の反射光の色の色度座標のうち、yは、0.25以上0.34以下が好ましく、0.27以上0.34以下がより好ましく、0.28以上0.34以下がさらに好ましい。
上記の好適なxとyは任意の組み合わせが可能である。前記組み合わせとしては、例えば、xが0.25以上0.34以下且つyが0.25以上0.34以下、xが0.25以上0.34以下且つyが0.27以上0.34以下、xが0.25以上0.34以下且つyが0.28以上0.34以下、xが0.27以上0.33以下且つyが0.25以上0.34以下、xが0.27以上0.33以下且つyが0.27以上0.34以下、xが0.27以上0.33以下且つyが0.28以上0.34以下、xが0.28以上0.32以下且つyが0.25以上0.34以下、xが0.28以上0.32以下且つyが0.27以上0.34以下、xが0.28以上0.32以下且つyが0.28以上0.34以下、等が挙げられる。
上記の好適なx,yの色度座標であると、バリア層は青色に寄った色味を呈する。このようなバリア層が反射層23bの両側に備えられていると、反射層23bの黄色に寄った色味を容易に改善することができる。
バリア金属としては、周期表の第1族元素〜第16族元素にある金属のうち、その金属単体からなる薄膜(膜厚(5±3)nm)の反射光の色の色度座標が、上記範囲を満たすものが挙げられる。具体的には、例えば、K、Rb等のアルカリ金属;Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Ir、Ni、Pd、Cu、Zn、Cd等の遷移金属;Al、In等が挙げられる。
バリア金属のうち、アルカリ金属およびアルカリ土類金属よりも水分と反応しにくく、より高い耐久性が得られることから、周期表の第3族元素〜第16族元素の金属が好ましい。また、上記バリア金属のうち、Zr、Ni、Cr、Ti、Zn、Nb、Zn、Pd、In、WおよびMoから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
上記の好適なバリア金属またはその酸化物であると、バリア層が適当な青色味を呈するので、色味が改善され、高い可視光反射率を有する反射型透明スクリーン1が容易に得られる。
バリア金属またはその酸化物としては、Zr、NiCr、TiO+ZnO、Nb、が特に好ましい。バリア層がこれらのバリア金属からなることにより、バリア層および反射層23bの色味改善および耐劣化性向上の効果がより一層優れる。
通常、反射型透明スクリーン1を合わせガラスの形態にする製造工程において、120〜140℃で1〜2時間の加熱処理が行われる。バリア層を有しないAg薄膜は加熱処理によって劣化(マイグレーションが発生して透過率が変化する)や変色が起こり易い。バリア層は反射層23bと水分や酸素との接触を抑制するため、反射層23bの耐劣化性が向上する。これにより、反射層23bの主材料のAgが有する高反射率という特性を活かした、優れた光学特性を有する合わせガラスの反射型透明スクリーン1が得られる。
バリア層におけるバリア金属の組成比として、質量基準で、例えば、Zr=100、Ni/Cr=75/25〜25/75、Ti/Zn=5/95〜20/80等が挙げられる。
上記の組成比であると、色味が改善され、高い可視光反射率を有する反射型透明スクリーン1が容易に得られる。
第1のバリア層の組成と、第2のバリア層の組成は同じであってもよく、異なっていてもよい。
バリア層の厚さは、可視光透過率および可視光反射率のバランスをとる観点から、例えば1〜70nmの範囲で調整することが好ましい。
バリア層がバリア金属によって構成される場合は、バリア層の厚さは、例えば、1〜60nmが好ましく、1〜10nmがより好ましく、1〜5nmがさらに好ましい。バリア層がバリア金属の酸化物によって構成される場合は、1〜60nmが好ましく、5〜60nmがより好ましく、10〜60nmがさらに好ましい。
第1のバリア層26の厚さと第2のバリア層27の厚さは、同じであってもよく、異なってもよい。例えば、厚さが異なる場合において、色度座標のうちx,yが、それぞれx<0.35、y<0.35を満たせば、一方のバリア層の厚さが5〜20nmで、もう一方のバリア層の厚さが50〜70nmであってよい。このようにすると色味の改善および調節が容易である。
バリア層の厚さが前記1nm以上であると、反射型透明スクリーン1の色味を容易に改善し、さらに反射層23bの酸化等による劣化を抑制することができる。
バリア層の厚さが前記60nm以下であると、バリア層の可視光透過率をより高めることができる。
第1のバリア層の厚さと第2のバリア層の厚さは同じであってもよく、異なっていてもよい。バリア層がバリア金属の酸化物によって構成された酸化物膜である場合、映像光が入射する側のバリア層とは反対側のバリア層の方が厚いと、反射層23bの色味がより良く改善されるので好ましい。
(反射層)
反射層23bは、反射層23bに入射した光の一部を透過し、他の一部を反射するものであり、Agのみ、またはAgと少なくとも1種のAg以外の第3の金属との合金によって構成されている。反射層23bを構成する金属の総質量に対するAgの含有率は、70〜100質量%である。反射層23bを構成する金属が合金である場合の上記Agの含有率は70〜99.9質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。この高いAg含有率により、高反射率の優れた光学特性を有する反射型透明スクリーン1が得られる。
反射層23bを構成する金属の総質量に対する第3の金属の含有量は、0〜30質量%であることが好ましい。反射層23bを構成する金属が合金である場合、反射層23bを構成する金属の総質量に対する、第3の金属の含有率としては、例えば5〜30質量%が挙げられる。反射層23bを構成する金属のAg以外の残部を第3の金属が構成していることが好ましい。なお、本発明の効果を損なわない限り、第3の金属以外の少量の元素が反射層23bを構成する金属に含有されていても構わない。
反射層23bの材料に含まれる原子の種類および含有率は、X線光電子分光装置を用いて測定される。
反射型透明スクリーン1において、反射層23bはバリア層によって被覆され、反射層23bと水分や酸素との接触が抑制されているので、反射層23bは劣化し難い状態にある。さらに反射層23bを構成するAgのマイグレーションも抑制されている。したがって、バリア層に保護された反射層23bを構成する金属の耐劣化性は高くてもよいし、低くてもよい。これにより、耐劣化性が低いAgを反射層23bの主材料として使用し、Agが有する高反射率という特性を活かした、優れた光学特性を有する合わせガラスの反射型透明スクリーン1が得られる。
反射層23b自体の耐劣化性を向上させる観点から、第3の金属は、Pd、Au、Pt、Cu、Ru、Ir、Rh、OsおよびBiからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、反射層23bの可視光反射率を高める観点から、第3の金属はAuであることがより好ましい。
反射型透明スクリーン1において、反射層23bはバリア層によって被覆されている。前述したようにバリア層は青色味を呈しているため、反射層23bの黄色味がバリア層によってキャンセルされ、全体として色味が改善されている。このことから、反射層23b単独の反射光の色度座標は、Ag薄膜の反射光の色度座標よりも黄色(色度座標x,y=0.45,0.55)側にシフトしていても構わない。
反射層23bの反射光の色味をバリア層によって改善することが容易である観点から、第3の金属は、厚さ1.1±0.3mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が(60±1.5)%となる膜厚で成膜された、前記第3の金属単体の薄膜の反射光の色が、XYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)で、x<0.37、且つ、y<0.37となるものであることが好ましい。
ここでガラス基板の厚さの範囲を示した理由は、厳密に1.1mmのガラス基板を準備することが難しい場合があるからである。上記範囲内で厚さが異なるガラス基板上に成膜された上記薄膜の反射光の色度座標は、ほとんど同じである。なお、反射光の色の測定は、ガラス基板の反射光の影響を防止するため、反射層23bが成膜されていない側のガラス基板の表面を黒色に塗りつぶして行う。
同様に、上記可視光透過率の範囲を示した理由は、厳密に可視光透過率60%となる膜厚で成膜することが難しい場合があるからである。上記範囲内で膜厚が異なる上記薄膜の反射光の色度座標は、ほとんど同じである。
第3の金属の反射光の色の色度座標のうち、xは、0.25以上0.34以下が好ましく、0.30以上0.33以下がより好ましく、0.29以上0.32以下がさらに好ましい。
第3の金属の反射光の色の色度座標のうち、yは、0.25以上0.36以下が好ましく、0.30以上0.35以下がより好ましく、0.31以上0.34以下がさらに好ましい。
上記の好適なxとyは任意の組み合わせが可能である。前記組み合わせとしては、例えば、xが0.25以上0.34以下且つyが0.25以上0.36以下、xが0.25以上0.34以下且つyが0.30以上0.35以下、xが0.25以上0.34以下且つyが0.31以上0.34以下、xが0.30以上0.33以下且つyが0.25以上0.36以下、xが0.30以上0.33以下且つyが0.30以上0.35以下、xが0.30以上0.33以下且つyが0.31以上0.34以下、xが0.29以上0.32以下且つyが0.25以上0.36以下、xが0.29以上0.32以下且つyが0.30以上0.35以下、xが0.29以上0.32以下且つyが0.31以上0.34以下、等が挙げられる。
上記の好適なx,yの色度座標であると、Ag薄膜の反射光の色味が改善された反射層23bを容易に得ることができる。
具体的な第3の金属としては、例えば、周期表の第1族元素〜第16族元素にある金属のうち、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が(60±1.5)%となる膜厚で成膜された、当該金属単体の薄膜の反射光の色の色度座標が、上記範囲を満たすものが挙げられる。より具体的には、例えば、K、Rb等のアルカリ金属;Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Ir、Ni、Pd、Au、Cu、Zn、Cd、Nd、Bi、Ge等の遷移金属;Al、In等が挙げられる。
上記のうち、より高い耐久性が得られることから、第3の金属は周期表の第3族元素〜第16族元素の金属であることが好ましい。また、上記のうち、Agと合金を形成することが容易である点から、第3の金属はAu、Zn、Pd、In、WおよびMoから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。第3の金属が上記であると、高い可視光反射率を有する反射層23bが容易に得られ、反射層23bの反射光の色味をバリア層によって容易に改善することができる。
さらに、第3の金属がNd、BiおよびGeから選ばれる少なくとも1種であると、高い可視光透過率に加え、耐熱性高い反射層23bが容易に得られることより、特に好ましい。
第3の金属がAu、Zn、Pd、In、W、Mo、Nd、BiおよびGeから選ばれる少なくとも1種である場合、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板上に、例えば1〜100nmの膜厚で当該金属単体の薄膜を成膜すると、そのガラス基板を含む当該薄膜の可視光透過率が(60±1.5)%となり得る。前記ガラス基板はソーダライムガラス基板であることが好ましい。
反射層23bを構成する合金の組成として、質量基準で、例えば、Ag/Zn=95/5〜75/25、Ag/Pd=95/5〜90/10、Ag/In=95/5〜80/20、Ag/W=95/5〜70/30、Ag/Mo=95/5〜70/30、Ag/Al=95/5〜90/10、Ag/Ti=95/5〜70/30、Ag/Cu=95/5〜90/10等が挙げられる。
前記合金が上記の組成であると、Ag薄膜の反射光の色味が改善され、高い可視光反射率を有する反射層23bが容易に得られる。
反射層23bを構成する合金の組成として、質量基準で、例えば、Ag/Au=95/5〜90/10が挙げられる。
前記合金が上記の組成であると、非常に高い可視光反射率を有する反射層23bが容易に得られる。
反射層23bを構成する前記合金は、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が(60±1.5)%となる膜厚(例えば、1〜100nm)で成膜された場合、その可視光反射率が高くなるものほど好ましい。前記可視光反射率は、例えば15%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。前記可視光反射率の上限値としては、例えば38%が挙げられる。
上記可視光反射率が15%以上となる合金を用いると、反射型透明スクリーン1が高いスクリーンゲインを示し、反射層23bに投射された映像光の映像視認性が向上する。
図3の反射層23bと、その両面に備えられた第1のバリア層26および第2のバリア層27とは、透明層の不規則な凹凸構造を反映した、不規則な凹凸構造を有する。
反射層23bの厚さは、第1の透明層22の表面に形成された不規則な凹凸構造の算術平均粗さRaによる機能を妨げずに活かすことができる点から、1〜100nmが好ましく5〜50nmがより好ましく、10〜35nmがさらに好ましく、10〜20nmが特に好ましい。
反射層23bの厚さが前記1nm以上であると、可視光反射率を高めて、反射型透明スクリーン1に投射された映像の視認性を向上させる(スクリーンゲインを高める)ことができる。反射層23bの厚さが前記100nm以下であると、可視光透過率が過度に低くなることを防止し、観察者から見て反射型透明スクリーン1の向こう側にある光景を容易に視認することができる。
厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、第1のバリア層26、反射層23bおよび第2のバリア層27がこの順に積層された多層構造は、可視光透過率(60±1.5)%、且つ、可視光反射率15%以上を示すことが好ましい。この可視光反射率は、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。前記可視光反射率の上限値としては、例えば38%が挙げられる。ここで、可視光透過率にはガラス基板の影響を含む。
上記可視光反射率が高い多層構造に用いられた第1のバリア層26、反射層23bおよび第2のバリア層27が反射型透明スクリーン1に用いられると、反射型透明スクリーン1に投射された映像の視認性が向上する(スクリーンゲインが高まる)ので好ましい。
反射型透明スクリーン1のスクリーンゲインを高める観点から、反射型透明スクリーン1を構成する第1のバリア層26、反射層23bおよび第2のバリア層27が上記ガラス基板上に積層されてなる上記多層構造の可視光透過率は85%以下であることが好ましい。ここで、可視光透過率にはガラス基板の影響を含む。
上記多層構造および反射型透明スクリーン1の可視光透過率は、反射層23bおよび各バリア層の厚さによって調整することができる。
(透明層)
第三態様の反射型透明スクリーン1において、材料、イエローインデックス、厚さ、透過率および凹凸構造は、好ましい態様も含め第一態様の反射型透明スクリーン1の透明層と同様である。第三態様の反射型透明スクリーン1において、第1の透明層22aの表面に形成された凹凸構造の算術平均粗さRaは、0.01〜20μmが好ましく、0.05〜10μmがより好ましく、0.1〜1μmが更に好ましい。前記凹凸構造の算術平均粗さRaは任意の縦50mm、横50mmの正方形の範囲で測定される。
(低反射層)
第三態様の反射型透明スクリーン1は、第1の透明基材12の表面(第1の面A)に低反射層を有していてもよい。この低反射層は、第一態様の反射型透明スクリーン1の低反射層と同様であるため、ここではその説明を省略する。
(光散乱シートの製造方法)
光散乱シート20は、たとえば、不規則な凹凸構造が表面に形成されたモールドを用いたインプリント法によって第1の透明層22を形成し、物理蒸着法によって第1の透明層22の表面に金属を蒸着させて、第1のバリア層26、反射層23b、第2のバリア層27を形成し、常法によって、第2の透明層24、第1の透明フィルム21、第2の透明フィルム25を形成することによって製造できる。物理蒸着法の代わりに化学気相製膜(CVD)法、および物理気相製膜(PVD)法に含まれるスパッタリング法も用いられる。
なお、反射型透明スクリーン1において、第1の透明層22は透明基材12、14のいずれか一方の表面に形成されていてもよい。また第2の透明層24はその表面が透明基材12、14のいずれか他方と接していてもよい。この場合、接着層16、18および透明フィルム21、25が不要である。
(反射型透明スクリーンの光学特性)
第三態様の反射型透明スクリーン1のヘーズと拡散反射率等の好適な光学特性は、第一態様の反射型透明スクリーン1の好適な光学特性と同様であるため、ここではその説明を省略する。
ヘーズに対する拡散反射率の比率(拡散反射率/ヘーズ)は、第二態様の(拡散反射率/ヘーズ)と同様であるため、ここではその説明を省略する。
第三態様の反射型透明スクリーン1の可視光透過率及び可視光反射率は、第二態様の反射型透明スクリーン1の可視光透過率及び可視光反射率と同様であるため、ここではそれらの説明を省略する。
反射型透明スクリーン1の第1の面Aにおける表面の反射率は、二重像の形成を充分に抑える点から、2%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。前記反射率は0%であってもよい。
反射型透明スクリーン1における隣り合う各層間の屈折率差は、各層界面における反射率が0.5%以内に抑えられる点から、0.2以内が好ましく、各層界面での反射率が0.1%程度となる点から、0.1以内がより好ましい。前記屈折率差は0であってもよい。
<映像表示システム>
図3は、本発明の第三態様の反射型透明スクリーンを備えた映像表示システムの一例を示す概略図である。この概略図とその映像表示方法は、本発明の第一態様の反射型透明スクリーンの概略図とその映像表示方法と同じであるため、ここではそれらの説明を省略する。
<作用機序1;映像の視認>
以上で説明した本発明の第三態様の反射型透明スクリーン1にあっては、光を透過できるため、観察者から見て反射型透明スクリーン1の向こう側の光景を透視できる。また、反射型透明スクリーン1は反射層23bを有するため、投影機80から映像光Lを投射している状態では、観察者から見て反射型透明スクリーン1に表示される映像を視認できる。
<作用機序2;色味の改善>
以上で説明した本発明の第三態様の反射型透明スクリーン1にあっては、下記の作用機序に基づき、反射層23bの反射光の色味が、バリア層26、27の色味によって相殺されるため、優れた映像再現性が得られる。
バリア層を有しないAg薄膜の反射光の色度座標は、例えば、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が(60±1.5)%となる膜厚で成膜された場合、(x,y=0.356,0.364)である。一方、バリア層の反射光の色度座標は、例えば、ソーダライムガラス基板上に(5±3)nmの膜厚で成膜された場合、Ag薄膜の反射光の色よりも青色(x,y=0.15,0.05)に近い色度座標を有する。このため、両面にバリア層が備えられたAg薄膜の反射光の色は、Ag薄膜の反射光の色よりも青色に近づく。すなわち、Ag薄膜が有する黄色へ寄った色味が青色側へシフトする。この結果、両面にバリア層が備えられたAg薄膜においては、Ag薄膜の色味が改善されて、優れた映像再現性(例えば、投射された映像光の白色を白色の反射光として反射する)が得られる。
上記の効果は、反射層23bがAg薄膜の場合に限定されず、反射層23bがAgと第3の金属との合金からなる場合にも同様に奏される。すなわち、Agをベースとする反射層23bの黄色へ寄った色味がバリア層によって青色側へシフトするため、反射層23bの色味が改善されて、優れた映像再現性が得られる。色味を調整しやすいため、反射層23bはAgと第3の金属の合金からなる金属薄膜が好ましい。
<作用機序3;耐劣化性の向上>
以上で説明した本発明の第三態様の反射型透明スクリーン1にあっては、反射層23bの両面をバリア層が覆っているため、反射層23bに酸素や水分が接触し難く、反射層23bを構成するAgの酸化やマイグレーションが抑制されている。この結果、反射型透明スクリーン1の製造時の加熱や長期間の使用における反射層23bの劣化が抑制され(耐熱性が向上し)、反射型透明スクリーン1の映像視認性、光透過性、外観の劣化を抑えることができる。
このように反射層23bはバリア層によって保護されているため、反射層23b自体が耐熱性の高い材料で構成されていなくてもよい。よって、反射層23bはAgのみからなるAg薄膜であってもよいし、Agと第3の金属の合金からなる金属薄膜であってもよい。反射層23bがAgを主材料とすることにより、高反射率で優れた光学特性を有する反射型透明スクリーン1となる。
また、反射層23bはバリア層によって保護されているため、水分を含み易い透明樹脂からなる透明層22、24を、バリア層に接して設けることができる。透明樹脂からなる透明層22、24を備えることにより、光線の透過率、反射率等の光学特性に優れ、軽量化および薄型化された反射型透明スクリーン1が得られる。
従来は、透明スクリーンの金属層を構成する銀の酸化劣化を抑制しなければならず、金属層を透明樹脂で挟む構成は採用し難かった。しかし、本発明における反射層23bはその両面にバリア層を備えていることにより、反射層23bの酸化劣化が抑制されているので、反射層23bを、バリア層を介して、透明樹脂からなる透明層22、24で挟む構成が採用可能である。
<その他の実施形態>
以上で説明した反射型透明スクリーン1に備えられた第1の透明基材12、第2の透明基材14、第1の接着層16、及び第2の接着層18は、本発明の反射型透明スクリーンの必須の部材ではない。例えば、これらの部材を除いた光散乱シート20を本発明の反射型透明スクリーンとすることができる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1A]
透明なポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す。)フィルムの上(厚さ:75μm)に、UV硬化樹脂をダイコートにより塗布し、この上に不規則な凹凸構造(算術平均粗さRa=0.03μm)を表面に有する成形型を載置した。不規則な凹凸構造の面がUV硬化樹脂の塗膜に接する状態で、成形型の側から1000mJのUV光を照射してUV硬化樹脂を硬化した。成形型を剥がし、表面に不規則な凹凸構造を有する第1の透明層(厚さ:7μm)を備えたPETフィルム(第1の透明フィルム)を得た。
上記第1の透明層を備えたPETフィルムを、マグネトロンスパッタリング装置の真空槽内に設置し、真空槽内の真空度を1.0×10−4Pa以下にした後、高純度Arガス(純度99.99体積%)を導入して1×10−1Paとした。5原子%のAuを含むAgターゲットを用い、Arガスをスパッタガスとし、スパッタターゲットに電力を投入し、上記第1の透明層の不規則な凹凸構造の表面に、金属薄膜としてAuを含むAg膜(厚さ:12nm)を形成した。金属薄膜の組成を下記に示したようにX線光電子分光装置により分析したところ、Auの割合は4原子%であった。
上記金属薄膜上に、UV硬化樹脂をダイコートにより塗布し、この上に別のPETフィルム(厚さ:75μm)(第2の透明フィルム)を重ねた。別のPETフィルムの側から1000mJのUV光を照射し、硬化したUV硬化樹脂からなる第2の透明層(厚さ:7μm)を形成した。
上記方法により、(PETフィルム/不規則凹凸面をなす第1の透明層/4原子%のAuを含むAg膜(金属薄膜)/第2の透明層/PETフィルム)という積層構造を有する光散乱シート(反射型透明スクリーン)を得た。
[実施例2A、3A]3原子%又は1原子%のAu含有量が異なるターゲットを使用してスパッタし、Auを2原子%または1原子%含むAg膜を形成した以外は、実施例1Aと同様にして光散乱シートを得た。
[実施例4A]
5原子%のBiを含むAgターゲットを使用してスパッタし、4原子%のBiを含むAg膜を形成した以外は、実施例1Aと同様にして光散乱シートを得た。
[実施例5A]
1原子%のBiと0.2原子%のNdと1原子%のGeとを含むAgターゲットを使用してスパッタし、1原子%のBiと0.2原子%のNdと1原子%のGeを含むAg膜(厚さ:10nm)を形成した以外は、実施例1Aと同様にして光散乱シートを得た。
[実施例6A〜9A]
10原子%〜1原子%のPdを含むAgターゲットを使用してスパッタし、10原子%〜1原子%のPd含有量が異なるAg膜を形成した以外は、実施例1Aと同様にして光散乱シートを得た。
[比較例1A]
他の金属が添加されていない純Agターゲットを使用してスパッタし、純Ag膜を形成した以外は、実施例1Aと同様にして光散乱シートを得た。
[比較例2A]
1原子%のSiを含むAgターゲットを使用してスパッタし、2原子%のSiを含むAg膜を形成した以外は、実施例1Aと同様にして光散乱シートを得た。
[比較例3A]
1原子%のTiを含むAgターゲットを使用してスパッタし、2原子%のTiを含むAg膜を形成した以外は、実施例1Aと同様にして光散乱シートを得た。
<元素分析>
X線光電子分光装置(ULVAC−PHI社製、Quantera SXM)を用いて、各例のAg膜の表面の金属組成を測定し、各Ag膜の主成分元素であるAgの原子数に対する添加元素の原子数の合計の割合(M/Ag)を算出した。この結果を表1〜5に示す。
<加熱試験>
(試験1)各例の光散乱シートを130℃で30分加熱する試験を行った。
(試験2)各例の光散乱シートを130℃で30分加熱した後、さらに140℃で30分加熱する試験を行った。
(Ag膜の表面抵抗)
加熱試験1、2の前後における各例の光散乱シート中のAg膜(金属薄膜)の表面抵抗を測定し、Ag膜の劣化を評価した。Ag膜の表面抵抗値の増加は、Ag膜の酸化や原子のマイグレーションによる表面状態の劣化を示す。試験前後における測定値の変化が小さいほど、劣化が少ないことを意味する。通常、Ag膜の酸化劣化に伴い、Ag膜の色調変化やヘーズ値の上昇により、光景透視性および映像視認性が低下する。
各例のAg膜の表面抵抗値は、非接触式の渦電流法による抵抗測定器(Delcom Instruments Inc.製、商品名:Conductive Monitor
MODEL717)を用いて測定した。上記の抵抗測定器は、光散乱シート中に埋め込まれ、露出していないAg膜の表面抵抗を非接触式で測定することができる。
この加熱試験結果は、各例の光散乱シートを合わせガラスに挟み込む加熱工程に対する耐性を反映している。各測定結果を表1〜3に示す。
作製した光散乱シートの全光線透過率、全光線反射率、透過色調YI値を、日本工業規格(JISZ8720:2012)に記載のD65光源を用いて分光光度計で測定した。ヘーズ値は、日本工業規格(JIS K7136)に準拠したヘーズメーターを用いて、日本工業規格(JIS Z8720:2012)に記載のD65光源を用いて測定した。
また、上記実施例および比較例の光散乱シートの製造に使用したPETフィルム(PET基材)を参考例として、全光線透過率およびヘーズ率を同様に測定した。
Figure 2017111111
Figure 2017111111
Figure 2017111111
比較例1A〜3Aでは、加熱試験によりAg膜が劣化し、表面抵抗値が大きく上昇し、全光線透過率が9%以上も低下し、ヘーズ率の値がヘーズ値が20%以上も上昇し、透過色調も大きく変化した。これに対し、実施例1A〜9Aでは、加熱試験の前後で各特性の変化が、比較例と比べて小さかった。特に、Auを4原子%以上またはPdを5原子%以上添加した場合、およびBiを添加した場合においては、温度を上げて追加の加熱を行った加熱試験2の後においても、各特性の変化が小さく、良好な結果が得られた。なお、加熱によるヘーズ値の上昇は、PET基材単体での加熱においても確認された。これはPET基材中の添加成分のブリードアウトによるものである。各実施例におけるヘーズ値の上昇は、PET基材由来の上昇を含む。
<積層サンプルの作成>
[実施例2A−2]、[実施例8A−2]、[実施例3A−2]
PET基材の劣化の影響を排除するため、PET基材をガラス基板に変え、同様の積層構造を有する積層サンプル(反射型透明スクリーン)を作製し、金属薄膜の評価をした。即ち、ガラス基板にUV硬化樹脂を塗布し、実施例1Aと同様にして、不規則な凹凸面をなす透明樹脂膜(第1の透明層)を得て、前記凹凸面にAuまたはPdを添加したAg膜(厚さ:12nm)を形成した。さらにこの上にUV硬化樹脂を塗布してUV硬化し、硬化したUV樹脂からなる透明樹脂層(第2の透明層)の上にガラス基板を重ねた。これにより、ガラス基板/不規則な凹凸面をなす第1の透明層/AuまたはPdを含むAg膜(金属薄膜)/第2の透明層/ガラス基板という積層構造を有する積層サンプルを得た。
<高温高湿試験>
積層サンプルを80℃95%RHの高温高湿環境下に置いて、所定時間経過後に、Ag膜の表面抵抗、全光線透過率、全光線反射率、透過色調YI値、ヘーズを前述した方法で測定した。その結果を表4に示す。
Figure 2017111111
表4の高温高湿試験の結果においても、加熱試験の結果と同様に、Au添加量の多い(実施例2A−2)の金属薄膜は、(実施例3A−2)の金属薄膜よりも、多くの特性について小さい変化幅を示した。
<反射型透明スクリーン1の作製>
実施例1A、4A、7Aで作製した光散乱シートを2枚のガラスに挟んでなる反射型透明スクリーン1(図1参照)を作製した。
具体的には、ソーダライムガラス(厚さ:2mm)、ポリビニルブチラール樹脂(以下、PVBと記す。)シート(厚さ:375μm)あるいはエチレンビニルアセテート樹脂 (以下、EVAと記す。)シート、各例の光散乱シート、PVBシートあるいはEVAシート、ソーダライムガラス(厚さ:2mm)の順に積層した。積層物を真空槽に投入し、90〜130℃の一定温度で1時間加熱することにより、反射型透明スクリーン1を得た。
反射型透明スクリーン1を通して向こう側をみると、遠くの光景まで視認できた。また、プロジェクタから映像光を反射型透明スクリーン1に投射したところ、反射型透明スクリーン1に表示された映像を充分に視認できた。
<高温高湿試験>
各例の反射型透明スクリーン1を80℃95%RHの高温高湿環境下に置き、453〜755時間後に、Ag膜(金属薄膜)の表面抵抗、全光線透過率、全光線反射率、透過色調YI値、ヘーズを測定した。各測定は、加熱試験の場合と同様に行った。
この高温高湿試験結果は、各例の反射型透明スクリーン1を通常の使用環境で長期間使用した場合の耐久性を反映している。各測定結果を表5に示す。
Figure 2017111111
Auを4原子%またはPdを5原子%添加したAg膜を用いた場合、長時間の高温高湿試験においても高い全光線透過率と反射率が得られ、耐久性の高い反射型透明スクリーンが得られた。Biを添加したAg膜を用いた場合、合わせガラスを作製する温度を90℃にすることで、高い全光線透過率・反射率、低いヘーズ率をもつ良好な反射型透明スクリーンが得られた。
(光景透視性)
観察者から見て反射型透明スクリーンの向こう側に見える光景の透視性を、下記の基準にて評価した。この評価結果を表6に示す。
0:良好である。
1:手前が暗い場合、または外光が小さい場合は良好である。
2:大まかな認識が可能なレベルである。
3:光景を透視できない。
(映像視認性)
観察者から見て反射型透明スクリーンに表示される映像の視認性を、下記の基準にて評価した。この評価結果を表6に示す。
0:良好である。
1:周囲が暗い場合は良好である。
2:大まかな認識が可能なレベルである。
3:映像を視認できない。
Figure 2017111111
[実施例1B]
透明なポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す。)フィルムの上(厚さ:0.75mm)に、UV硬化樹脂をダイコートにより塗布し、この上に不規則な凹凸構造(算術平均粗さ(Ra)約1.2μm)を有する成形型を載置した。不規則な凹凸構造を有する面がUV硬化樹脂の塗膜に接する状態で、成形型の側から1000mJのUV光を照射してUV硬化樹脂を硬化した。成形型を剥がし、表面に不規則な凹凸構造を有する第1の透明層(厚さ:5μm)を備えたPETフィルムを得た。
AgZn(Ag=75質量%、Zn=25質量%)ターゲットを用い、DCスパッタリング法により、上記透明層を備えたPETフィルムを搬送しながら成膜する搬送成膜法を行った。Arガス(流量30sccm)をスパッタガスとして0.7kw/cmの電力を投入し、上記透明層の不規則な凹凸構造を有する表面に、上記ターゲットと同じ組成のAgZn合金からなる金属薄膜(厚さ:10〜15nm)を形成した。
上記金属薄膜上に、上記と同じUV硬化樹脂をダイコートにより塗布し、この上に上記と同様のPETフィルム(厚さ:0.75mm)を重ねた。このPETフィルムの側から1000mJのUV光を照射し、硬化したUV硬化樹脂からなる第2の透明層(厚さ:5μm)を形成した。
上記方法により、(PETフィルム/不規則な凹凸構造を有する第1の透明層/金属薄膜/第2の透明層/PETフィルム)という積層構造を有する光散乱シート(反射型透明スクリーン)を得た。
[実施例2B]
AgPd(Ag=90質量%、Pd=10質量%)ターゲットを用い、このターゲットと同じ組成を有する金属薄膜を形成した以外は、実施例1Bと同様にして光散乱シートを得た。
[実施例3B]
AgCu(Ag=90質量%、Cu=10質量%)ターゲットを用い、このターゲットと同じ組成を有する金属薄膜を形成した以外は、実施例1Bと同様にして光散乱シートを得た。
[比較例1B]
他の金属を含まない純Ag(4N)ターゲットを使用してスパッタし、純Agからなる金属薄膜を形成した以外は、実施例1Bと同様にして光散乱シートを得た。
[比較例2B]
AgAu(Ag=95質量%、Au=5質量%)ターゲットを用い、このターゲットと同じ組成を有する金属薄膜を形成した以外は、実施例1Bと同様にして光散乱シートを得た。
[比較例3B]
AgTi(Ag=2原子%、Ti=98原子%)ターゲットを用い、このターゲットと同じ組成を有する金属薄膜を形成した以外は、実施例1Bと同様にして光散乱シートを得た。
<金属薄膜の評価>
スパッタリング(搬送成膜法)により、各例のターゲットと同じ組成を有する金属薄膜を、厚さ1.1mmのソーダライムガラス基板(旭硝子株式会社製、商品名:JIS R3202 フロート板ガラス、(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に成膜してなる積層基板を作製した。この際、搬送スピードを調整することにより、ガラス基板を含む各金属薄膜の可視光透過率が60%となる厚さで成膜した。
各例と同じ組成を有する金属薄膜を備えた各積層基板について、その可視光透過率、可視光反射率、反射光の色を測定した。測定結果を表7に示す。
測定装置として分光光度計(HITACHI社製U4100)を用いた。
可視光透過率は、波長380nm〜780nmにおける分光透過率の値に、CIE昼光D65のスペクトルと視感度の波長分布から得られる重化係数を乗じて、平均することにより求めた。
可視光反射率は、入射角5°の条件で測定し、可視光透過率と同様に重化係数を乗じて、平均することにより求めた。
反射光の色は、分光光度計から得られた可視光反射率の測定値を、XYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)に変換して表した。なお、反射光の色の測定は、金属薄膜が成膜されていない側のガラス基板の表面を黒色に塗りつぶし、ガラス基板の反射光の色が検出されないようにして行った。
表7中、「Ag以外の金属単体の反射光の色」は、次のように測定した色度座標である。
各金属薄膜を構成するAg以外の金属単体からなる薄膜を、厚さ1.1mmのソーダライムガラス基板(旭硝子株式会社製、商品名:JIS R3202 フロート板ガラス、(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に成膜してなる積層基板を上記と同様のスパッタリングで別途作製した。この際、搬送スピードを調整することにより、各薄膜の厚さを、ガラス板を含む透過率が60%となる厚さとした。つまり、Zn薄膜、Pd薄膜、Au薄膜、Ti薄膜、Cu薄膜をガラス基板上に、ガラスを含む可視光透過率60%となる厚さで、それぞれ成膜した。この積層基板上の各薄膜の反射光の色を上記と同様に測定した。
Figure 2017111111
表7によると、実施例1Bおよび実施例2Bは比較例1B(Agのみの金属薄膜)よりも反射光の色度座標が青色方向に改善され、また可視光反射率が良好である。
<反射型透明スクリーン1の作製>
実施例1B〜2B、比較例1B〜3Bで作製した光散乱シートを2枚のガラスに挟んでなる反射型透明スクリーン1(図2参照)を作製した。
具体的には、ソーダライムガラス(厚さ:2mm)、ポリビニルブチラール樹脂(以下、PVBと記す。)シート(厚さ:0.1mm)、各例の光散乱シート、PVBシート、ソーダライムガラス(厚さ:2mm)の順に積層した。積層物を真空槽に投入し、120℃で1時間加熱した後、さらに、1MPa、130℃で90分間加熱することにより、反射型透明スクリーン1を得た。
実施例の反射型透明スクリーン1を通して向こう側をみると、遠くの光景まで視認できた。また、プロジェクタから映像光を反射型透明スクリーン1に投射したところ、反射型透明スクリーン1に表示された映像を充分に視認できた。
(可視光透過率)
前述した積層基板の場合と同様に、分光光度計(HITACHI社製U4100)を用いて、各例の反射型透明スクリーン1について、可視光透過率を測定した。
(可視光反射率)
前述した積層基板の場合と同様に、分光光度計(HITACHI社製U4100)を用いて、各例の反射型透明スクリーン1について、可視光反射率を測定した。
(ヘーズ)
ヘーズ測定器(Suga Test Instrument Co.Ltd社製、商品名:ヘーズコンピューター HZ−2)を用いて、各例の反射型透明スクリーン1について、ヘーズを測定した。
以上の、可視光透過率、可視光反射率およびヘーズの測定結果を表8に示す。
(耐熱性)
加熱前の前記積層物のヘーズを上記と同様に測定し、2回の加熱工程を経て製造された反射型透明スクリーン1のヘーズと比較することにより、各例の金属薄膜の耐熱性を、下記の評価基準にて評価した。この結果を表8に示す。
○:加熱前のヘーズに対する加熱後のヘーズの値の変化が2%以内であり、加熱前の可視光透過率に対する加熱後の可視光透過率の値の変化が3%以内である。
△:加熱前のヘーズに対する加熱後のヘーズの値の変化が2%以内であり、加熱前の可視光透過率に対する加熱後の可視光透過率の値の変化が3%を超える。
×:加熱前のヘーズに対する加熱後のヘーズの値の変化が2%を超え、加熱前の可視光透過率に対する加熱後の可視光透過率の値の変化が3%を超える。
Figure 2017111111
表8中、比較例1Bの可視光透過率、可視光反射率、ヘーズの測定数値は示さないが、加熱によって金属薄膜が変色したことが目視により明らかであった。また、加熱によるヘーズの変化は2%超であり、透過率の変化は3%超であることを確認できたので、耐熱性の評価は「×」である。
表8中、比較例3Bの可視光透過率、可視光反射率、ヘーズの測定数値は示さないが、加熱前において反射率が低いことが目視により明らかであった。また、加熱によるヘーズの変化が2%以内、透過率の変化が3%以内であることを確認できたので、耐熱性の評価は「○」である。
(光景透視性)
観察者から見て反射型透明スクリーンの向こう側に見える光景の透視性を、下記の基準にて評価した。この評価結果を表9に示す。
0:良好である。
1:手前が暗い場合、または外光が小さい場合は良好である。
2:大まかな認識が可能なレベルである。
3:光景を透視できない。
(映像視認性)
観察者から見て反射型透明スクリーンに表示される映像の視認性を、下記の基準にて評価した。この評価結果を表9に示す。
0:良好である。
1:周囲が暗い場合は良好である。
2:大まかな認識が可能なレベルである。
3:映像を視認できない。
(色味の改善)
観察者から見て反射型透明スクリーンに表示される映像の色味の改善を、下記の基準にて評価した。この評価結果を表9に示す。
0:色味が改善している。
1:色味の改善が見られない。
Figure 2017111111
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
下記の実施例、比較例において特に断りのない場合、ソーダライムガラス基板は、厚さ(1.1±0.3)mmのソーダライムガラス(旭硝子社製、JIS R3202 フロート板ガラス、ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率1.589、アッべ数33であるもの)のガラス基板を用いた。
[実施例1C]
透明なポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す。)フィルムの上(厚さ:0.75mm)に、UV硬化樹脂をダイコートにより塗布し、この上に不規則な凹凸構造(算術平均粗さ(Ra)約1.2μm)を有する成形型を載置した。不規則な凹凸構造を有する面がUV硬化樹脂の塗膜に接する状態で、成形型の側から1000mJのUV光を照射してUV硬化樹脂を硬化した。成形型を剥がし、表面に不規則な凹凸構造を有する第1の透明層(厚さ:5μm)を備えたPETフィルムを得た。
Zrターゲットを用い、DCスパッタリング法により、上記透明層を備えたPETフィルムを搬送しながら成膜する搬送成膜法を行った。Arガス(流量30sccm)をスパッタガスとして0.7kw/cmの電力を投入し、上記透明層の不規則な凹凸構造を有する表面に、上記ターゲットと同じ組成のZrからなる第1のバリア層(厚さ:1〜60nm)を形成した。
次いで、AgAu(Ag=95質量%、Au=5質量%)ターゲットを用い、同様のDCスパッタリング法にて、第1のバリア層の表面に、上記ターゲットと同じ組成のAgAu合金からなる反射層(厚さ:10〜15nm)を形成した。
続いて、再びZrターゲットを用いた同様のDCスパッタリング法にて、反射層の表面に、上記ターゲットと同じ組成のZrからなる第2のバリア層(厚さ:1〜60nm)を形成した。
第1のバリア層、反射層、第2のバリア層の順で積層された第2のバリア層の表面には上記の透明層の不規則な凹凸構造が反映された不規則な凹凸構造が形成された。
反射層の厚さは、反射層が単独で厚さ(1.1±0.3)mmのソーダライムガラス基板上に成膜された場合の当該ガラス基板を含む可視光透過率が約60%となるように、上記範囲で調整した。
上記第2のバリア層の表面に、上記と同じUV硬化樹脂をダイコートにより塗布し、この上に上記と同様のPETフィルム(厚さ:0.75mm)を重ねた。このPETフィルムの側から1000mJのUV光を照射し、硬化したUV硬化樹脂からなる第2の透明層(厚さ:5μm)を形成した。
上記方法により、(PETフィルム/第1の透明層/第1のバリア層/反射層/第2のバリア層/第2の透明層/PETフィルム)という積層構造を有する光散乱シート(反射型透明スクリーン)を得た。
[実施例2C]
NiCr(Ni=50質量%、Cr=50質量%)ターゲットを用い、同様のDCスパッタリング法にて、第1のバリア層および第2のバリア層を成膜した以外は、実施例1Cと同様にして光散乱シートを得た。
[実施例3C]
酸化チタン含有酸化亜鉛(TiO=10質量%、ZnO=90質量%)ターゲットを用い、同様のDCスパッタリング法にて、第1のバリア層および第2のバリア層を成膜した以外は、実施例1Cと同様にして光散乱シートを得た。
[実施例4C]
Nbターゲットを用い、還元雰囲気下でのDCスパッタリング法にて、第1のバリア層および第2のバリア層を成膜した以外は、実施例1Cと同様にして光散乱シートを得た。
[実施例5C]
反射層形成用ターゲットとしてAgBiNd(Ag=98.0質量%、Bi=1.73質量%、Nd=0.27質量%)ターゲットを用い、実施例3Cと同様のDCスパッタリング法にて、反射層を成膜した以外は、実施例3Cと同様にして光散乱シートを得た。反射層の厚さは9.6nm、第1のバリア層および第2のバリア層の厚さは1〜60nmであった。
[実施例6C]
反射層形成用ターゲットとしてAgBiNdGe(Ag=97.3質量%、Bi=1.73質量%、Nd=0.27質量%、Ge=0.7質量%)ターゲットを用い、実施例3Cと同様のDCスパッタリング法にて、反射層を成膜した以外は、実施例3Cと同様にして光散乱シートを得た。反射層の厚さは9.6nm、第1のバリア層および第2のバリア層の厚さは1〜60nmであった。
[実施例7C]
ZnOターゲットを用い、同様のDCスパッタリング法にて、第1のバリア層および第のバリア層を成膜した以外は、実施例1Cと同様にして光散乱シートを得た。
[実施例8C]
酸化アルミニウム含有酸化亜鉛(Al3質量%、ZnO97質量%)ターゲットを用い、同様のDCスパッタリング法にて、第1のバリア層および第のバリア層を成膜した以外は、実施例1Cと同様にして光散乱シートを得た。
[実施例9C]
酸化スズ含有酸化インジウム(SnO10質量%、In90質量%)ターゲットを用い、同様のDCスパッタリング法にて、第1のバリア層および第のバリア層を成膜した以外は、実施例1Cと同様にして光散乱シートを得た。
[比較例1C]
他の金属を含まない純Ag(4N)ターゲットを使用してスパッタし、純Agからなる反射層を形成し、第1のバリア層および第2のバリア層を形成しなかった以外は、実施例1Cと同様にして光散乱シートを得た。
[比較例2C]
AgAu(Ag=95質量%、Au=5質量%)ターゲットを用い、このターゲットと同じ組成を有する反射層を形成し、第1のバリア層および第2のバリア層を形成しなかった以外は、実施例1Cと同様にして光散乱シートを得た。
<積層基板上の多層構造の評価>
スパッタリング(搬送成膜法)により、各例と同じ組成を有する、第1のバリア層/反射層/第2のバリア層からなる多層構造を、厚さ(1.1±0.3)mmのソーダライムガラス基板上に成膜してなる積層基板を作製した。この際、搬送スピードを調整することにより、ガラス基板を含む各多層構造の可視光透過率が約60%となる厚さで反射層を成膜した。
各例と同じ組成を有する多層構造を備えた各積層基板について、その可視光透過率、可視光反射率、反射光の色を測定した。測定結果を表10に示す。
測定装置として分光光度計(HITACHI社製U4100)を用いた。
可視光透過率は、波長380nm〜780nmにおける分光透過率の値に、CIE昼光D65のスペクトルと視感度の波長分布から得られる重化係数を乗じて、平均することにより求めた。
可視光反射率は、入射角5°の条件で測定し、可視光透過率と同様に重化係数を乗じて、平均することにより求めた。
反射光の色は、分光光度計から得られた可視光反射率の測定値を、XYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)に変換して表した。なお、反射光の色の測定は反射層が成膜されていない側のガラス基板の表面を黒色に塗りつぶし、ガラス基板の反射光の色が検出されないようにして行った。
<積層基板のバリア層の評価>
スパッタリング(搬送成膜法)により、各例の第1のバリア層と同じ組成を有する薄膜を、厚さ1.1mmのソーダライムガラス基板(旭硝子株式会社製、商品名:JIS R3202 フロート板ガラス、ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に成膜してなる積層基板を作製した。この際、搬送スピードを調整することにより、各薄膜の厚さを(5±3)nmとした。
成膜した各薄膜の反射光の色を上記多層構造の場合と同様に測定した。その測定結果を表10に併記する。
<積層基板の第3の金属の薄膜の評価>
スパッタリング(搬送成膜法)により、各例で使用した第3の金属からなる薄膜を、厚さ1.1mmのソーダライムガラス基板(旭硝子株式会社製、商品名:JIS R3202 フロート板ガラス、ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が(60±1.5)%となる膜厚で成膜してなる積層基板を作製した。この際、搬送スピードを調整することにより、各薄膜の厚さを調整した。
成膜した各薄膜の反射光の色を上記多層構造の場合と同様に測定した。その測定結果を表10に併記する。
Figure 2017111111
<反射型透明スクリーン1の作製>
実施例1C〜4C、比較例1C〜2Cで作製した光散乱シートを2枚のガラスに挟んでなる反射型透明スクリーン1(図3参照)を作製した。
具体的には、ソーダライムガラス(厚さ:2mm)、ポリビニルブチラール樹脂(以下、PVBと記す。)シート(厚さ:0.38mm)、各例の光散乱シート、PVBシート、ソーダライムガラス(厚さ:2mm)の順に積層した。積層物を真空槽に投入し、120℃で1時間加熱した後、さらに、1MPa、130℃で90分間加熱することにより、反射型透明スクリーン1を得た。
実施例の反射型透明スクリーン1を通して向こう側をみると、遠くの光景まで視認できた。また、プロジェクタから映像光を反射型透明スクリーン1に投射したところ、反射型透明スクリーン1に表示された映像を充分に視認できた。
(可視光透過率)
前述した積層基板の場合と同様に、分光光度計(HITACHI社製U4100)を用いて、各例の反射型透明スクリーン1について、可視光透過率を測定した。(可視光反射率)
前述した積層基板の場合と同様に、分光光度計(HITACHI社製U4100)を用いて、各例の反射型透明スクリーン1について、可視光反射率を測定した。(ヘーズ)
ヘーズ測定器(Suga Test Instrument Co.Ltd社製、商品名:ヘーズコンピューター HZ−2)を用いて、各例の反射型透明スクリーン1について、ヘーズを測定した。
以上の、可視光透過率、可視光反射率およびヘーズの測定結果を表11に示す。
(耐熱性)
加熱前の前記積層物のヘーズを上記と同様に測定し、2回の加熱工程を経て製造された反射型透明スクリーン1のヘーズと比較することにより、各例の反射層の耐熱性を、下記の評価基準にて評価した。この結果を表11に示す。
◎:加熱前のヘーズに対する加熱後のヘーズの変化の値が1%以内であり、加熱前の可視光透過率に対する加熱後の可視光透過率の変化の値が2%以内である。
○:加熱前のヘーズに対する加熱後のヘーズの変化の値が2%以内であり、加熱前の可視光透過率に対する加熱後の可視光透過率の変化の値が3%以内である。
△:加熱前のヘーズに対する加熱後のヘーズの変化の値が2%以内であり、加熱前の可視光透過率に対する加熱後の可視光透過率の変化の値が3%を超える。
×:加熱前のヘーズに対する加熱後のヘーズの変化の値が2%を超え、加熱前の可視光透過率に対する加熱後の可視光透過率の変化の値が3%を超える。
Figure 2017111111
表11中、比較例1Cの可視光透過率、可視光反射率、ヘーズの測定数値は示さないが、加熱によって金属薄膜が変色したことが目視により明らかであった。また、加熱によるヘーズの変化は2%超であることを確認できたので、耐熱性の評価は「×」である。
実施例5Cおよび実施例6Cは、可視光透過率と可視光反射率の和が80%以上となり、可視光吸収の少ない反射型透明スクリーンが得られた。
実施例5Cにおいて、BiはAg合金表面に薄いBi酸化膜を形成することによって、また、NdはAgの結晶配向を改善することによって、可視光透過率及び耐熱性の向上に寄与していると考えられる。
実施例6Cにおいて、Bi及びNdの寄与は実施例5Cと同様であり、さらに、GeはAg合金表面に薄いGe酸化膜を形成することによって、可視光透過率及び耐熱性の向上に寄与していると考えられる。
(光景透視性)
観察者から見て反射型透明スクリーンの向こう側に見える光景の透視性を、下記の基準にて評価した。この評価結果を表12に示す。
0:良好である。
1:手前が暗い場合、または外光が小さい場合は良好である。
2:大まかな認識が可能なレベルである。
3:光景を透視できない。
(映像視認性)
観察者から見て反射型透明スクリーンに表示される映像の視認性を、下記の基準にて評価した。この評価結果を表12に示す。
0:良好である。
1:周囲が暗い場合は良好である。
2:大まかな認識が可能なレベルである。
3:映像を視認できない。
(色味の改善)
観察者から見て反射型透明スクリーンに表示される映像の色味の改善を、下記の基準にて評価した。この評価結果を表12に示す。
0:色味が改善している。
1:色味の改善が見られない。
Figure 2017111111
本発明の第一態様、第二態様及び第三態様の反射型透明スクリーンは、商品等のショーケース;美術品等の展示ケース;建物、ショールーム、車両等の窓;ガラス扉;室内の透明パーティション等に用いられる透明部材として有用である。具体的には、観察者側から見て透明部材の向こう側に見える光景を透視でき、かつ観察者に対して商品等の説明、各種機器の状態、行き先案内、伝達事項等の情報を伝達する際、観察者に対して各種機器の操作画面等を表示する際、またはプライバシー保護、セキュリティ等のために観察者に対して透明部材の向こう側の光景を透視できなくする際には、投影機から投射された映像光を観察者に映像として視認可能に表示する透明スクリーンとして有用である。
なお、2015年12月25日に出願された日本特許出願2015−254803号、2015年12月25日に出願された日本特許出願2015−254808号、2015年12月25日に出願された日本特許出願2015−255068号、の明細書、特許請求の範囲、要約書および図面の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
1 反射型透明スクリーン、12 第1の透明基材、14 第2の透明基材、16 第1の接着層、18 第2の接着層、20 光散乱シート、21 第1の透明フィルム、22 第1の透明層、23 金属薄膜、23a 金属薄膜、23b 反射層、24 第2の透明層、25 第2の透明フィルム、80 投影機、A 第1の面、B 第2の面、L 映像光、X 観察者、26 第1のバリア層、27 第2のバリア層。

Claims (15)

  1. 金属薄膜を有し、
    前記金属薄膜は、Pd、Au、Pt、Cu、Ru、Ir、Rh、Os、Bi、NdおよびGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属MとAgとを含み、全金属原子数に対するAgの含有率が65原子%以上である、合金によって構成されている、反射型透明スクリーン。
  2. 前記合金におけるAgの原子数に対する前記金属Mの原子数の含有割合(M/Ag)が、0.001〜0.35である、請求項1に記載の反射型透明スクリーン。
  3. 前記合金は、前記群のうちNdおよびGeの少なくとも一方を含む2種以上の金属Mを含む、請求項1または2に記載の反射型透明スクリーン。
  4. 前記金属薄膜に接する透明樹脂層を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の反射型透明スクリーン。
  5. 前記透明樹脂層の前記金属薄膜に接する表面の少なくとも一部に、凹凸構造が設けられている、請求項4に記載の反射型透明スクリーン。
  6. 前記金属薄膜の厚さが1nm〜100nmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の反射型透明スクリーン。
  7. 金属薄膜を有し、
    前記金属薄膜は、Agと、少なくとも1種のAg以外の金属とを含み、総質量に対するAgの含有率が70〜95質量%である、合金によって構成され、
    前記Ag以外の金属は、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が(60±1.5)%となる膜厚で成膜された、前記Ag以外の金属の単体の薄膜の反射光の色がXYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)で、x<0.35、且つ、y<0.35となるものである、反射型透明スクリーン。
  8. 前記合金は、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が60%以上となる膜厚で成膜された、前記合金の薄膜の可視光反射率が15%以上となるものである、請求項7に記載の反射型透明スクリーン。
  9. 前記Ag以外金属が、周期表の第3族元素〜第16族元素の金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である、請求項7または8に記載の反射型透明スクリーン。
  10. 前記合金の総質量に対する前記Ag以外の金属の合計の含有量が、5〜30質量%である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の反射型透明スクリーン。
  11. 反射層と、
    前記反射層の第1の面に接する第1のバリア層と、
    前記反射層の第2の面に接する第2のバリア層と、を有し、
    前記第1のバリア層は、少なくとも1種のAg以外の第1の金属若しくはこれらの合金を含む金属薄膜、または前記第1の金属の酸化物を含む酸化物膜からなり、
    前記第2のバリア層は、少なくとも1種のAg以外の第2の金属若しくはこれらの合金を含む金属薄膜、または前記第2の金属の酸化物を含む酸化物膜からなり、
    前記金属薄膜を構成する前記第1の金属および前記第2の金属は、ガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に(5±3)nmの膜厚で成膜された、前記第1の金属単体の薄膜および前記第2の金属単体の薄膜における、前記薄膜の反射光の色が、それぞれ独立に、XYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)で、x<0.35、且つ、y<0.35となるものであり、
    前記酸化物膜を構成する前記第1の金属の酸化物および前記第2の金属の酸化物は、ガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に(5±3)nmの膜厚で成膜された、前記第1の金属の酸化物単独の薄膜および前記第2の金属の酸化物単独の薄膜における、前記薄膜の反射光の色が、それぞれ独立に、XYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)で、x<0.35、且つ、y<0.35となるものであり、
    前記反射層は、Agのみ、またはAgと少なくとも1種のAg以外の第3の金属との合金からなり、総質量に対するAgの含有率が70〜100質量%である金属の薄膜によって構成されている、反射型透明スクリーン。
  12. 前記第1の金属および前記第2の金属が、それぞれ独立に、周期表の第3族元素〜第16族元素の金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である、請求項11に記載の反射型透明スクリーン。
  13. 前記第1の金属および前記第2の金属が、それぞれ独立に、Zr、Ni、Cr、Ti、Zn、Nb、Zn、Pd、In、WおよびMoからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項12に記載の反射型透明スクリーン。
  14. 前記第3の金属は、厚さ(1.1±0.3)mmのガラス基板(ヘリウムランプのd線(587.56nm)の屈折率が1.589、アッべ数33であるもの)上に、そのガラス基板を含む可視光透過率が(60±1.5)%となる膜厚で成膜された、前記第3の金属単体の薄膜における、前記薄膜の反射光の色が、XYZ表色系(JIS Z8701:1999)の色度座標(x,y)で、x<0.37、且つ、y<0.37となるものである、請求項11〜13のいずれか一項に記載の反射型透明スクリーン。
  15. 前記第3の金属が、周期表の第3族元素〜第16族元素の金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である、請求項14に記載の反射型透明スクリーン。
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