JPWO2017086430A1 - Nashの治療又は予防のための医薬組成物 - Google Patents

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    • C07D333/30Hetero atoms other than halogen
    • C07D333/36Nitrogen atoms

Abstract

NASHの治療、及び/又は、予防薬としての、LPA1拮抗物質、例えば、特定の構造を有するα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩の医薬用途の提供。
LPA1拮抗物質、例えば、一般式(I):
Figure 2017086430

[式中、Rは、水素原子、又は、メトキシ基を示し;Rは、水素原子、又は、C−Cアルキル基を示し;Xは、ハロゲン原子を示し;Aは、以下の基:
Figure 2017086430

からなる群より選択される基を示す。]で表される化合物、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。

Description

本発明は、リゾフォスファチジン酸受容体(LPA1)拮抗物質、例えば、特定の構造を有するα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とする医薬組成物に関する。本発明のLPA1拮抗物質、例えば、特定の構造を有するα位ハロゲン置換チオフェン化合物は、LPA1拮抗作用を有することから、LPAにより引き起こされる非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療、及び/又は、予防に有用である。
中性脂肪が肝臓に蓄積する疾患を脂肪肝といい、アルコールの過剰摂取以外の原因で生じる脂肪肝を非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)という。更にNAFLDは、病理学的に肝細胞障害が見られない単純性脂肪肝(NAFL)と肝細胞障害を伴う炎症像を示す非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に分類される。NASHの病態はアルコール性肝障害に類似し、進行すると肝硬変を経て肝細胞癌に移行する(非特許文献1)。
NASHの治療薬は抗酸化剤、インスリン抵抗性改善薬などが使用されているが、十分な治療効果を示す薬物は未だ見出されていない(非特許文献2)。
リゾフォスファチジン酸(LPA)は種々の生理作用を示す脂質メディエーターである。LPAはG蛋白共役受容体(LPA1,LPA2,LPA3,LPA4,LPA5,LPA6)に結合して細胞内にシグナルを伝達し、細胞の増殖、分化、生存、遊走、接着、浸潤、形態形成を調節している。また、LPAは、各種の疾患に関与することが知られている(非特許文献3)。
LPAは肝臓に発症する種々の疾患にも関与している。肝線維化の過程で重要な役割を示す星細胞の増殖、あるいは筋線維芽細胞の遊走をLPAが促進することが報告されている(非特許文献4,5を参照)。またC型慢性肝炎患者では血漿中のLPA濃度が増加しており、LPA濃度と肝臓の線維化の程度に相関関係があることが報告されている(非特許文献6)。更に、LPA合成酵素であるオートタキシン(ATX)がNAFLD患者の血清中で増加しており、ATXが肝臓の脂肪変性に関連があることが報告され、ATXによるLPAの産生が脂肪変性に寄与することが示唆されている(非特許文献7)。
これまでに、LPA1拮抗作用を有する化合物としては、特許文献1乃至29、非特許文献8乃至11に([1,1’−ビフェニル]−4−イル)酢酸誘導体が開示されている。また、特許文献1乃至3、10乃至13、15、及び、19、非特許文献8乃至10には薬理試験として網膜症、肺線維症、強皮症、骨髄損傷等の病態モデル動物における薬効データが記載されている。しかしながら、病態モデル動物を用いた薬効データから、LPA1拮抗作用を有する化合物について、NASHの治療、又は、予防に関する効果の記載は一切無く、示唆も無い。
WO2010/077882号公報 WO2010/077883号公報 WO2010/141761号公報 WO2010/141768号公報 WO2011/017350号公報 WO2011/041461号公報 WO2011/041462号公報 WO2011/041694号公報 WO2011/041729号公報 WO2011/091167号公報 WO2011/159632号公報 WO2011/159633号公報 WO2011/159635号公報 WO2012/078593号公報 WO2012/078805号公報 WO2012/138648号公報 WO2012/138797号公報 WO2013/025733号公報 WO2013/070879号公報 WO2013/085824号公報 WO2013/189862号公報 WO2013/189864号公報 WO2013/189865号公報 WO2014/104372号公報 WO2014/113485号公報 WO2014/145873号公報 US20140200215号公報 WO2015/066456号公報 CN104418820号公報
Hepatology,44(2006)865−873 Journal of Hepatology,62(2015)S65−S75 Experimental Cell Research 333,(2015)171−177 Biochemical and Biophysical Research Communications,248(1998)436−440 Journal of Biomedical Science,10(2003)352−358 Journal of Clinical Gastroenterology,41(2007)616−623 Obesity,23(2015)965−972 The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,336(2011)693−700 British Journal of Pharmacology,160(2010)1699−1713 Arthritis & Rheumatism,63(2011)1405−1415 Journal of Medicinal Chemistry,55(2012)7920−7939
本発明者等は、NASHの優れた治療薬もしくは予防薬の開発を目指して研究を行った。その結果、優れたLPA1拮抗作用を持つ、特定の構造を有するα位ハロゲン置換チオフェン化合物が、NASHの治療、及び/又は、予防薬として有用であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、NASHの治療、及び/又は、予防薬(好ましくは治療薬)としての、LPA1拮抗物質、例えば、特定の構造を有するα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩の医薬用途を提供するものである。
本発明は、以下を提供する。
(1)LPA1拮抗物質を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
(2)LPA1拮抗物質が、一般式(I):
Figure 2017086430

(式中、
は、水素原子、又は、メトキシ基を示し、
は、水素原子、又は、C−Cアルキル基を示し、
Xは、ハロゲン原子を示し、
Aは、以下の基:
Figure 2017086430

からなる群より選択される。)
で示されるα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩である、(1)記載のNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
(3)一般式(I)において、Xがフッ素原子、又は、塩素原子である(2)記載のα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
(4)一般式(I)において、Rが水素原子である(3)記載のα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
(5)一般式(I)において、Rがメトシキ基である(3)記載のα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
(6)(R)−1−[4’−(5−クロロ−3−{[(1−フェニルエトキシ)カルボニル]アミノ}チオフェン−2−イル)−2’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル]シクロプロパンカルボン酸、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
(7)(R)−1−{4’−[5−クロロ−3−({[1−(2,5−ジフルオロフェニル)エトキシ]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−イル]−2’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
(8)(R)−1−{4’−[3−({[1−(2−クロロフェニル)エトキシ]カルボニル}アミノ)−5−フルオロチオフェン−2−イル]−2’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
(9)(R)−1−{4’−[5−クロロ−3−({[1−(チオフェン−3−イル)エトキシ]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−イル]−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
(10)(R)−1−{4’−[5−フルオロ−3−({[1−(4−メチルチオフェン−3−イル)エトキシ]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−イル]−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
(11)NASHの治療、及び/又は、予防のための方法であって、それを必要とする対象に、LPA1拮抗物質、例えば、(2)〜(10)のいずれか記載の一般式(I)で示されるα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩の有効量を投与することを含む方法。
(12)NASHの治療、及び/又は、予防に使用するための、LPA1拮抗物質、例えば、(2)〜(10)のいずれか記載の一般式(I)で示されるα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩。
(13)NASHの治療、及び/又は、予防のための、LPA1拮抗物質、例えば、(2)〜(10)のいずれか記載の一般式(I)で示されるα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩の使用。
(14)NASHの治療、及び/又は、予防用の医薬を製造するための、LPA1拮抗物質、例えば、(2)〜(10)のいずれか記載の一般式(I)で示されるα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩の使用。
本発明のLPA1拮抗物質は、LPA1に対して拮抗作用を有するものであれば、特に制限されず、例えば、本発明の一般式(I)で表される化合物が挙げられる。LPA1拮抗物質は、強力なLPA1拮抗作用を有し、良好なNASHの治療及び/又は予防効果を奏する点で、そのLPA1拮抗作用に対するIC50値は好ましくは0.001nM〜500nMであり、より好ましくは0.001nM〜100nMである。
また、本発明は、NASHの治療及び/又は予防用の化合物をスクリーニングするための方法であって、候補化合物のLPA1に対する拮抗作用を評価することを含む方法にも関する。例えば、候補化合物のLPA1拮抗作用に対するIC50値を測定し、その値が0.001nM〜1000nM、好ましくは0.001nM〜500nM、より好ましくは0.001nM〜100nMである化合物を、NASHの治療及び/又は予防用の化合物としてスクリーニングしてもよい。
なお、上記のLPA1拮抗作用に対するIC50値は、本願の試験例1に記載される方法で測定される。
本発明の一般式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記表1に示すような化合物を挙げることができる。なお、下記表1中、A基は下記式A1〜A5で示される基を示し、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、n−Prはn−プロピル基を示し、iso−Prはイソプロピル基を示し、Fはフッ素原子を示し、Clはクロロ原子を示し、Brはブロモ原子を示し、OMeはメトキシ基を示し、「ラセミ」、及び、「(R)−」は、下記の一般式(I)中の「*」を付した炭素原子の立体配置を示す:
Figure 2017086430
Figure 2017086430
Figure 2017086430

Figure 2017086430

Figure 2017086430

Figure 2017086430

Figure 2017086430

Figure 2017086430

Figure 2017086430
本発明のLPA1拮抗物質、例えば、一般式(I)で表されるα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩は、強力なLPA1拮抗作用を有すことより、NASHの治療薬、及び/又は、予防薬として有用である。
前記一般式(I)で示される化合物において、各置換基の好ましい形態を以下に示す。
Xの示す「ハロゲン原子」は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子である。
Xの示す「ハロゲン原子」として好ましくは、フッ素原子、塩素原子、又は、臭素原子であり、より好ましくはフッ素原子、又は、塩素原子である。
の示す「C−Cアルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、又は、1,2,2−トリメチルプロピル基等の直鎖若しくは分岐状のC−Cアルキル基が挙げられる。
の示す「C−Cアルキル基」として、好ましくはC−Cアルキル基、より好ましくはエチル基である。
は好ましくは水素原子、又は、エチル基であり、より好ましくは水素原子である。
本発明の一般式(I)で表わされる化合物に光学異性体、幾何異性体、又は、回転異性体が存在する場合、それらの異性体も本発明の範囲に含まれ、また、プロトン互変異性が存在する場合には、それらの互変異性体も本発明の範囲に含まれる。
一般式(I)中、基:
Figure 2017086430

は、好ましくは以下の基である:
Figure 2017086430
本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、Rが水素原子である場合、塩基で処理し、薬理上許容される塩基性塩にしてもよい。そのような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩若しくはマグネシウム塩等の金属塩;アンモニウム塩等の無機塩;又は、トリエチルアミン塩若しくはグアニジン塩等の有機アミン塩等が挙げられる。
本発明の一般式(I)で表される化合物、又は、その薬理上許容される塩は、水和物、又は、溶媒和物を形成することができ、その各々、又は、それらの混合物は、本発明に含まれる。
本発明の式(I)で表される塩は、構成する原子の一つ、又は、複数で非天然の比率の原子同位体を含むこともある。原子同位体としては、例えば、重水素(H)、トリチウム(H)、炭素−14(14C)、フッ素−18(18F)、硫黄−35(35S)、又は、ヨウ素−125(125I)などが挙げられる。これらの化合物は、治療又は予防剤、研究試薬、例えば、アッセイ試薬、及び診断剤、例えば、インビボ画像診断剤として有用である。本発明の式(I)で表される塩のすべての同位体変種は、放射性であるかどうかにかかわらず、本発明に包含される。
本発明の一般式(I)で表される化合物、又は、その薬理上許容される塩として、強力なLPA1拮抗作用を有し、良好なNASHの治療及び/又は予防効果を奏する点で、化合物番号I−56、I−60、I−116、I−120、I−146、I−150、I−170、I−206、及びI−210の化合物、又は、その薬理上許容される塩が好ましく、特に、化合物番号I−60、I−120、I−150、I−170、及びI−210の化合物、又は、その薬理上許容される塩が好ましく、とりわけ、化合物番号I−150及びI−170の化合物、又は、その薬理上許容される塩が好ましい。
本発明の一般式(I)で表される化合物、又は、その薬理上許容される塩は、公知の製造方法、例えば、特許文献24(WO2014/104372号公報)に記載の方法又はそれに準ずる方法で製造することができる。
本発明の医薬組成物は、本発明のLPA1拮抗物質、例えば、一般式(I)で表される化合物、及び、その薬理上許容される塩以外に、他の医薬活性成分、例えば、NASHの治療及び/又は予防に使用される物質などを含んでいてもよい。
また、本発明の医薬組成物は、本発明の効果を損なわない限り、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、矯味矯臭剤、又は、希釈剤等の薬理上許容される添加剤を含んでいてもよく、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、縣濁剤、乳剤、経皮吸収剤、座剤、軟膏剤、ローション、吸入剤、又は、注射剤等の形態で、経口、又は、非経口(静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、経皮投与、経気道投与、皮内投与、又は、皮下投与等)で投与することができる。
本発明のLPA1拮抗物質、例えば、一般式(I)で表される化合物、又は、その薬理上許容される塩を、NASHの治療、及び/又は、予防用の医薬として使用する場合には、それ自体(原末のままで)投与することができ、或いは、本発明の効果を損なわない限り、適宜、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、矯味矯臭剤、又は、希釈剤等の薬理上許容される添加剤と混合して製造される、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、縣濁剤、乳剤、経皮吸収剤、座剤、軟膏剤、ローション、吸入剤、又は、注射剤等の形態で、経口、又は、非経口(静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、経皮投与、経気道投与、皮内投与、又は、皮下投与等)で投与することができる。
これ等の製剤は、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、矯味矯臭剤、又は、希釈剤等の薬理上許容される添加剤を使用して、周知の方法で製造される。
賦形剤は、例えば、有機系賦形剤、又は、無機系賦形剤が挙げられる。有機系賦形剤は、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール若しくはソルビトール等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン若しくはデキストリン等のデンプン誘導体;結晶セルロース等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;又は、プルラン等が挙げられる。無機系賦形剤は、例えば、軽質無水珪酸;又は、硫酸カルシウム等の硫酸塩等が挙げられる。
滑沢剤は、例えば、ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーズワックス若しくはゲイロウ等のワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウム等の硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;D,L−ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム;無水珪酸若しくは珪酸水和物等の珪酸類;又は、上記の賦形剤におけるデンプン誘導体等が挙げられる。
結合剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、又は、上記の賦形剤で示された化合物等が挙げられる。
崩壊剤は、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム若しくは内部架橋カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;架橋ポリビニルピロリドン;又は、カルボキシメチルスターチ若しくはカルボキシメチルスターチナトリウム等の化学修飾されたデンプン若しくはセルロース誘導体が挙げられる。
乳化剤は、例えば、ベントナイト若しくはビーガム等のコロイド性粘土;ラウリル硫酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウム等の陽イオン界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル若しくはショ糖脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤等が挙げられる。
安定剤は、例えば、メチルパラベン若しくはプロピルパラベン等のパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール若しくはフェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール若しくはクレゾール等のフェノール類;チメロサール;無水酢酸;又は、ソルビン酸が挙げられる。
矯味矯臭剤は、例えば、サッカリンナトリウム若しくはアスパラテーム等の甘味料;クエン酸、リンゴ酸若しくは酒石酸等の酸味料;又は、メントール、レモンエキス若しくはオレンジエキス等の香料等が挙げられる。
希釈剤は、通常希釈剤として使用される化合物であり、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ショ糖、硫酸カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶性セルロース、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、デンプン、ポリビニルピロリドン、又は、これらの混合物等が挙げられる。
本発明では、NASHの治療、及び/又は、予防のために、それを必要とする対象に本発明の医薬組成物、又はLPA1拮抗物質、例えば、一般式(I)で表される化合物、又は、その薬理上許容される塩の有効量が投与される。上記対象として、例えば、動物、例えば、ヒトなどの哺乳類が挙げられ、典型的には、NASHの患者が挙げられる。
また、本発明のLPA1拮抗物質、例えば、一般式(I)で表される化合物、又は、その薬理上許容される塩の有効量は、前記対象の症状、年齢、体重等の条件により変化し得るが、経口投与の場合には、各々、1回当たり下限0.001mg/Kg(好ましくは0.01mg/Kg)、上限20mg/Kg(好ましくは10mg/Kg)を、非経口投与の場合には、各々、1回当たり下限0.0001mg/Kg(好ましくは0.0005mg/Kg)、上限10mg/Kg(好ましくは5mg/Kg)を、成人に対して1日当たり1乃至6回、症状に応じて投与することができる。
以下に製造例(製造例1〜9)、試験例(試験例1〜5)、及び、製剤例(製剤例1〜3)を示して本発明を更に詳細に説明するが、これらの例示は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
また、特記なき限り化学構造式中のMeはメチル基を、Etはエチル基を表す。
[製造例]
(製造例1)
(R)−1−{4’−[5−クロロ−3−({[1−(チオフェン−3−イル)エトキシ]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−イル]−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸 エチルエステル(化合物番号I−56)
Figure 2017086430
特許文献24(WO2014/104372号公報)の実施例111に記載の方法に従い製造した。
マススペクトル(DUIS,m/z):550[M−1]
H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl)δ:7.69-7.63 (2H, m), 7.63-7.51 (3H, m), 7.48-7.40 (4H, m), 7.31 (1H, dd, J = 5.0, 2.9 Hz), 7.28-7.26 (1H, m), 7.11 (1H, dd, J = 5.0, 1.3 Hz), 6.72 (1H, s), 5.99 (1H, q, J = 6.6 Hz), 4.13 (2H, q, J = 7.1 Hz), 1.64 (2H, dd, J = 7.0, 4.0 Hz), 1.62 (3H, d, J = 6.5 Hz), 1.23 (2H, dd, J = 7.0, 4.0 Hz), 1.19 (3H, t, J = 7.1 Hz)。
(製造例2)
(R)−1−[4’−(5−クロロ−3−{[(1−フェニルエトキシ)カルボニル]アミノ}チオフェン−2−イル)−2’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル]シクロプロパンカルボン酸 エチルエステル(化合物番号I−146)
Figure 2017086430
特許文献24(WO2014/104372号公報)の実施例51に記載の方法に従い製造した。
マススペクトル(CI,m/z):575[M]
H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d)δ:9.39 (1H, brs), 7.40-7.26 (10H, m), 7.23-7.16 (2H, m), 7.10 (1H, dd, J = 7.8, 1.6 Hz), 5.75 (1H, q, J = 6.4 Hz), 4.06 (2H, q, J= 7.1 Hz), 3.73 (3H, s), 1.56-1.41 (5H, m), 1.23 (2H, dd, J = 7.0, 4.0 Hz), 1.13 (3H, t, J = 7.0 Hz)。
(製造例3)
(R)−1−{4’−[5−フルオロ−3−({[1−(4−メチルチオフェン−3−イル)エトキシ]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−イル]−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸 エチルエステル(化合物番号I−116)
Figure 2017086430
特許文献24(WO2014/104372号公報)の実施例137に記載の方法に従い製造した。
マススペクトル(DUIS,m/z):548[M−1]
H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d)δ:9.31 (1H, brs), 7.74-7.68 (2H, m), 7.66-7.61 (2H, m), 7.57-7.40 (5H, m), 7.17-7.13 (1H, m), 6.83 (1H, brs), 5.74 (1H, q, J = 6.5 Hz), 4.05 (2H, q, J = 7.2 Hz), 2.17 (3H, brs), 1.60-1.43 (3H, m), 1.51 (2H, dd, J = 6.8, 4.0 Hz), 1.23 (2H, dd, J = 7.1, 4.1 Hz), 1.11 (3H, t, J = 7.1 Hz)。
(製造例4)
(R)−1−{4’−[3−({[1−(2−クロロフェニル)エトキシ]カルボニル}アミノ)−5−フルオロチオフェン−2−イル]−2’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸 エチルエステル(化合物番号I−206)
Figure 2017086430
特許文献24(WO2014/104372号公報)の実施例92に記載の方法に従い製造した。
マススペクトル(EI,m/z):593[M]
H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl)δ:7.52-7.48 (2H, m), 7.43-7.17 (9H, m), 7.06 (1H, dd, J = 7.8, 1.6 Hz), 6.97 (1H, d, J = 1.6 Hz), 6.23 (1H, q, J = 6.7 Hz), 4.13 (2H, q, J = 7.1 Hz), 3.82 (3H, s), 1.63 (2H, dd, J = 6.9, 3.9 Hz), 1.57 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.24 (2H, dd, J = 7.0, 4.0 Hz), 1.20 (3H, t, J = 7.2 Hz)。
(製造例5)
(R)−1−{4’−[5−クロロ−3−({[1−(チオフェン−3−イル)エトキシ]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−イル]−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸(化合物番号I−60)
Figure 2017086430
特許文献24(WO2014/104372号公報)の実施例112に記載の方法に従い製造した。
マススペクトル(DUIS,m/z):522[M−1]
H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d)δ:12.37 (1H, brs), 9.33 (1H, brs), 7.74-7.68 (2H, m), 7.65-7.60 (2H, m), 7.58-7.50 (3H, m), 7.48-7.37 (3H, m), 7.25-7.07 (2H, m), 5.82 (1H, q, J = 6.4 Hz), 1.56-1.44 (3H, m), 1.48 (2H, dd, J = 6.7, 3.8 Hz), 1.19-1.16 (2H, m)。
(製造例6)
(R)−1−[4’−(5−クロロ−3−{[(1−フェニルエトキシ)カルボニル]アミノ}チオフェン−2−イル)−2’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル]シクロプロパンカルボン酸(化合物番号I−150)
Figure 2017086430
特許文献24(WO2014/104372号公報)の実施例52に記載の方法に従い製造した。
マススペクトル(DUIS,m/z):546[M−1]
H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d)δ:12.34 (1H, brs), 9.40 (1H, brs), 7.45-7.25 (10H, m), 7.21-7.16 (2H, m), 7.09 (1H, dd, J = 7.9, 1.6 Hz), 5.75 (1H, q, J = 6.4 Hz), 3.73 (3H, s), 1.54-1.41 (5H, m), 1.18-1.12 (2H, m)。
(製造例7)
(R)−1−{4’−[5−フルオロ−3−({[1−(4−メチルチオフェン−3−イル)エトキシ]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−イル]−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸(化合物番号I−120)
Figure 2017086430
特許文献24(WO2014/104372号公報)の実施例138に記載の方法に従い製造した。
マススペクトル(DUIS,m/z):520[M−1]
H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d)δ:12.38 (1H, brs), 9.33 (1H, brs), 7.73-7.67 (2H, m), 7.65-7.59 (2H, m), 7.57-7.50 (2H, m), 7.49-7.38 (3H, m), 7.19-7.12 (1H, m), 6.83 (1H, brs), 5.74 (1H, q, J = 6.4 Hz), 2.17 (3H, brs), 1.59-1.44 (3H, m), 1.48 (2H, dd, J = 6.7, 3.8 Hz), 1.18 (2H, dd, J = 6.9, 3.9 Hz)。
(製造例8)
(R)−1−{4’−[3−({[1−(2−クロロフェニル)エトキシ]カルボニル}アミノ)−5−フルオロチオフェン−2−イル]−2’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸(化合物番号I−210)
Figure 2017086430
特許文献24(WO2014/104372号公報)の実施例93に記載の方法に従い製造した。
マススペクトル(DUIS,m/z):564[M−1]
H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d)δ:12.35 (1H, brs), 9.55 (1H, brs), 7.60-7.28 (9H, m), 7.18 (1H, d, J = 1.5 Hz), 7.09 (1H, dd, J = 7.8, 1.4 Hz), 6.84 (1H, d, J = 2.5 Hz), 6.00 (1H, q, J = 6.1 Hz), 3.77 (3H, s), 1.55-1.39 (5H, m), 1.21-1.10 (2H, m)。
(製造例9)
(R)−1−{4’−[5−クロロ−3−({[1−(2,5−ジフルオロフェニル)エトキシ]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−イル]−2’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸(化合物番号I−170)
Figure 2017086430
特許文献24(WO2014/104372号公報)の実施例68に記載の方法に準じて製造した。
マススペクトル(DUIS,m/z):582[M−1]
H−NMRスペクトル(400MHz,DMSO−d)δ:12.35 (1H, brs), 9.54 (1H, brs), 7.44-7.39 (2H, m), 7.39-7.19 (7H, m), 7.18 (1H, d, J = 1.6 Hz), 7.10 (1H, dd, J = 7.9, 1.6 Hz), 5.91 (1H, q, J = 6.5 Hz), 3.76 (3H, s), 1.56-1.43 (3H, m), 1.47 (2H, dd, J = 6.7, 3.7 Hz), 1.18 (2H, dd, J = 6.8, 4.0 Hz)。
[試験例1]
LPA1拮抗作用試験
ヒトLPA1を発現させたRH7777細胞の膜画分(A324、ChanTest製)5μgを反応緩衝液(20mM HEPES、100mM NaCl、10mM MgCl、10μM GDP、5μgサポニン、0.2%BSA、0.1nM[35S]GTPγS(NEG030X、Perkin Elmer製)、pH7.4)に懸濁した後、濃度を変えてDMSOに溶解した試験化合物をそれぞれ加えた。30℃で15分間プレインキュベートした後、LPA(L7260、Sigma製、終濃度100nM)を加えて30℃で30分間インキュベートした。セルハーベスター(M30、Brandel製)を使用して膜画分をガラス繊維ろ紙(GF/B、Whatman製)に回収し、10mMリン酸緩衝液(pH7.4)で洗浄した。液体シンチレーションアナライザー(2900TR、Packard製)を使用して膜画分の放射活性を測定し、LPA1と[35S]GTPγSの結合を50%阻害する試験化合物濃度(IC50)を、EXSAS(アームシステックス製)を使用した非線形回帰分析にて求めた。
本試験において本発明の化合物は優れた活性を示し、製造例6、7、および、8の化合物のIC50値は100nM以下であった。
[試験例2]
細胞遊走試験
細胞遊走試験はChemo−Tx(登録商標)(116−8、Neuroprobe製)を使用した。A2058ヒトメラノーマ細胞(European Collection of Cell Cultureから入手)を無血清EMEM培地で約24時間培養した後、0.1%BSAを含むDMEM培地に再懸濁し、細胞懸濁液とした。濃度を変えてDMSOに溶解した試験化合物を、それぞれ細胞懸濁液に加えて37℃で15分間培養した(最終DMSO濃度0.5%)。0.1%BSA及び0.5%DMSOを含むDMEM培地に溶解したLPA(終濃度100nM)をChemo−Tx96穴プレートに加え、0.001%Fibronectinにて両面をコートしたChemo−Txフィルターをプレートに乗せた。培養した細胞懸濁液(細胞数50000個)をフィルター上面に加えて、更に37℃で3時間培養した後、フィルター上面の細胞を除去した。フィルターを取り出して乾燥させた後、DiffQuik染色液(16920、Sysmex製)を使用して、フィルターの下面に遊走した細胞を染色した。フィルターの吸光度(570nm)を測定し、LPAの細胞遊走活性を50%阻害する試験化合物濃度(IC50)を、EXSAS(アームシステックス製)を使用した非線形回帰分析にて求めた。
本試験において本発明の化合物は優れた活性を示し、製造例5〜9の化合物のIC50値は200nM以下であった。
[試験例3]
ヒト肝臓星細胞α−SMA mRNA発現試験
ヒト初代肝臓星細胞(ScienCell Research Laboratoriesから入手)を、2%FBSおよび1%星細胞増殖サプリメントを含む星細胞培地(ScienCell Research Laboratories製)に懸濁し24穴プレート に播種した。14時間培養した後、培地を除去して星細胞培地を加え更に3時間培養した。培地を除去し0.1%BSAを含む星細胞培地を加え、濃度を変えて0.1%BSAを含む星細胞培地に溶解した試験化合物および0.1%BSAを含むPBSに溶解したLPA(終濃度10μM)を添加した。24時間培養した後、培地を除去し、1Mジチオスレイトールを含む溶解バッファー(マッハライ・ナーゲル製)を添加して星細胞を溶解した。
星細胞溶解液からNucleoSpin(登録商標)RNA(マッハライ・ナーゲル製)を使用してRNAの抽出および精製を行った後、PrimeScript(登録商標) RT reagent Kit with gDNA Eraser(タカラバイオ製)およびTaKaRa PCR Thermal Cycler Dice(登録商標)Gradient(タカラバイオ製)を使用してcDNAを合成し、SYBR(登録商標)Premix Ex Taq II(タカラバイオ製)およびThermal Cycler Dice(登録商標)Real Time System II(タカラバイオ製)を使用して定量PCRを行い、星細胞中のα−SMA mRNAおよびRibosomal protein,large,P0 mRNAの発現量を測定した。
Ribosomal protein,large,P0の発現量でα−SMAの発現量を補正し、LPAの誘発によるα−SMA mRNA発現亢進作用に対する試験化合物の抑制率(%)を求めた。
本試験において本発明の化合物は優れた活性を示し、100nMの濃度で、製造例5〜9の化合物の抑制率は50%以上であった。
[試験例4]
マウスLPA誘発ヒスタミン遊離試験
マウスLPA誘発ヒスタミン遊離試験はSwaneyらの方法(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,336(2011)693−700頁)に準じて行った。試験化合物は0.5%メチルセルロース溶液(133−14255、和光純薬工業製)に懸濁し、雄性CD1マウス(体重30〜40g、日本チャールス・リバー社供給)に10mL/kgの用量で経口投与した。投与4時間後に0.1%BSAを含むPBSに溶解したLPA(857130P、Avanti製)を尾静脈から投与(マウス当り300μg)した。ただちにマウスをイソフルランを用いて麻酔し、LPA投与から2分後に静脈から血液を採取した。血液はEDTAを含む試験管に移し、4℃で2,000×g、10分間遠心分離して血漿を得た。
血漿中のヒスタミン濃度はEIAキット(62HTMPEB、Cisbio Bioassays製)で測定した。
試験化合物を投与したマウスの血漿中ヒスタミン濃度から、0.5%メチルセルロース溶液投与群に対する抑制率(%)を個体ごとに算出し、抑制率80%以上を示す個体の割合を有効率(%)として表した。
本試験において本発明の化合物は優れた活性を示し、10mg/kgの投与で、製造例5〜9の化合物の有効率は50%以上であった。
[試験例5]
マウス非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデル
NASHモデルとしてSTAM(登録商標)マウス(株式会社ステリック再生医科学研究所製)を使用した。STAM(登録商標)マウスは、2日齢の雄マウスにストレプトゾトシン(シグマアルドリッチ製)200μgを背部皮下に1回投与し、生後4週齢から高脂肪食(High Fat Diet 32、日本クレア製)で飼育することによって作製(Medical Molecular Morphology, 46(2013)141−152頁)した。
試験化合物は5あるいは6週齢から毎日経口投与した。9あるいは10週齢時に麻酔下に血液および肝臓を採取し、血液は生化学検査を実施した。肝臓は湿重量を測定した後、一部からRNAを抽出し、炎症及び線維化のマーカー遺伝子の発現を定量PCR法にて測定した。更に肝組織中のヒドロキシプロリン量またはコラーゲン量を測定した。肝臓の一部からパラフィン切片あるいは凍結切片を作成して病理組織学的検査を実施し、NAFLD Activity score、Fibrosis areaあるいはInflammation areaを測定した。結果は、EXSUS(CACエクシケア製)あるいはPrism 4(GraphPad Software製)を使用して統計学的解析を行った。
上記試験において、試験化合物を30mg/kg、1日2回、6から9週齢までの3週間投与した際の結果を表2に示した。
Figure 2017086430
本試験において、例えば本発明の製造例6、及び、製造例9の化合物は優れた活性を示し、NAFLD Activity scoreを有意(p<0.05)に減少させた。
前記試験例1〜5の結果より、本発明のα位ハロゲン置換チオフェン化合物は、LPA1拮抗作用を有し、NASHの治療、及び/又は、予防薬(好ましくは治療薬)として有用である。
今回、LPA1拮抗作用を有する化合物が、NASHの治療、及び/又は、予防に有用であることが実験的に確認されたので、同様にLPA1拮抗物質がNASHの治療、及び/又は、予防に有用であることが推認される。
[製剤例1]ハ−ドカプセル剤
標準二分式ハ−ドゼラチンカプセルに、粉末状の製造例の化合物の塩(100mg)、ラクト−ス(150mg)、セルロ−ス(50mg)、及び、ステアリン酸マグネシウム(6mg)を充填して、ハ−ドカプセルを製造し、洗浄した後、乾燥する。
[製剤例2]ソフトカプセル剤
大豆油、オリ−ブ油のような消化性油状物、及び、製造例の化合物の塩の混合物を、100mgの活性成分を含有するようにゼラチン中に注入してソフトカプセルを製造し、洗浄した後、乾燥する。
[製剤例3]錠剤
製造例の化合物の塩(100mg)、コロイド性二酸化ケイ素(0.2mg)、ステアリン酸マグネシウム(0.2mg)、微結晶性セルロ−ス(0.2mg)、デンプン(0.2mg)、及び、ラクト−ス(98.8mg)を用いて、製剤学の分野で周知の方法に従って錠剤を製造する。得られた錠剤には、必要に応じてコーティングを施すことができる。
本発明のLPA1拮抗物質、例えば、一般式(I)で表されるα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩は、強力なLPA1拮抗作用、薬効の持続性等の点で優れた性質を有し、NASHの治療薬、及び/又は、予防薬として有用である。

Claims (10)

  1. LPA1拮抗物質を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
  2. LPA1拮抗物質が、一般式(I):
    Figure 2017086430

    (式中、
    は、水素原子、又は、メトキシ基を示し、
    は、水素原子、又は、C−Cアルキル基を示し、
    Xは、ハロゲン原子を示し、
    Aは、以下の基:
    Figure 2017086430

    からなる群より選択される。)
    で示されるα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩である、請求項1記載のNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
  3. 一般式(I)において、Xがフッ素原子、又は、塩素原子である請求項2記載のα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
  4. 一般式(I)において、Rが水素原子である請求項3記載のα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
  5. 一般式(I)において、Rがメトキシ基である請求項3記載のα位ハロゲン置換チオフェン化合物、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
  6. (R)−1−[4’−(5−クロロ−3−{[(1−フェニルエトキシ)カルボニル]アミノ}チオフェン−2−イル)−2’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル]シクロプロパンカルボン酸、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
  7. (R)−1−{4’−[5−クロロ−3−({[1−(2,5−ジフルオロフェニル)エトキシ]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−イル]−2’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
  8. (R)−1−{4’−[3−({[1−(2−クロロフェニル)エトキシ]カルボニル}アミノ)−5−フルオロチオフェン−2−イル]−2’−メトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
  9. (R)−1−{4’−[5−クロロ−3−({[1−(チオフェン−3−イル)エトキシ]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−イル]−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
  10. (R)−1−{4’−[5−フルオロ−3−({[1−(4−メチルチオフェン−3−イル)エトキシ]カルボニル}アミノ)チオフェン−2−イル]−[1,1’−ビフェニル]−4−イル}シクロプロパンカルボン酸、又は、その薬理上許容される塩を有効成分とするNASHの治療、及び/又は、予防のための医薬組成物。
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