JPWO2017073165A1 - 発泡成形品の製造方法 - Google Patents

発泡成形品の製造方法

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Abstract

本発明は、超臨界状態の流体を含む溶融樹脂を射出成形するときに、成形品の肉厚を薄くしても表面の膨れや発泡不良の発生を抑制することができ、断熱性に優れた発泡成形品を製造できる発泡成形品の製造方法を提供する。本発明の発泡成形品の製造方法は、超臨界状態の流体を含む溶融樹脂を射出成形して発泡成形品を製造する方法であって、上記溶融樹脂を金型内のキャビティに充填し、上記キャビティに充填された上記溶融樹脂が固化し終わる前に、上記金型の一部を移動させて上記キャビティの容積を拡大させる工程を有し、上記キャビティに通じる樹脂注入口の数は、上記キャビティ1つ当たり1つであり、上記金型は、上記樹脂注入口に対向する位置に、略半球形に窪んだ樹脂溜まりを有し、上記溶融樹脂を充填するときの上記キャビティ内の金型の隙間距離の最小値は、0.2mm以上である。

Description

本発明は、発泡成形品の製造方法に関する。
発泡成形品は、軽量である、材料の使用量を減らすことができる、断熱性に優れている等の特長を有することから、食品用容器、日用品、家庭用電化製品等の様々な用途に用いられている。
発泡成形品は、一般的に金型に充填した樹脂組成物を発泡させつつ成形することにより製造できる。発泡の方法としては、例えば、樹脂組成物中で発泡剤を分解させる方法や、樹脂組成物にガスを注入する方法が知られており、近年では、樹脂組成物に超臨界状態の流体を注入する方法も検討されている。また、樹脂組成物の成形には、例えば、射出成形を用いることが知られている。このような発泡成形品の製造方法については、例えば、特許文献1〜4に開示されている。
特開2002−067111号公報 特開2003−231148号公報 特許第5283710号公報 特開2010−173238号公報
発泡成形品の製造では、発泡の制御が重要であり、例えば、樹脂組成物中に微細な気泡を均一に生成させることが求められる。この点で、樹脂組成物に超臨界状態の流体を注入する方法は効果的である。しかしながら、この方法において、軽量性や材料の使用量削減等のために、成形品の肉厚を薄くしようとすると、発泡の制御が非常に困難であり、発泡によって成形品表面の平滑性が損なわれたり、気泡が含まれない部分(無発泡部分)が形成されたりする不具合が生じていた。
なお、特許文献4では、特に複雑形状や大型の射出発泡成形体において、高発泡倍率を有し、かつ表面平滑性に優れ、均一微細な発泡層を持つ射出発泡成形体を製造するために、射出発泡成形用金型に設置されるゲート直下の領域に厚肉形成部を設けることが提案されている。しかしながら、肉厚の薄い成形品において、充分な断熱性が得られるように大量の微細な気泡を含ませることや、そのような場合における発泡の制御について、更に検討の余地があった。例えば、特許文献4では、ゲートの数を2以上とすることや、厚肉形成部の形状を帯状とすることが好ましいと記載されているが、本発明者らの検討によれば、それらの構成は、肉厚の薄い成形品の製造に適したものではなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、超臨界状態の流体を含む溶融樹脂を射出成形するときに、成形品の肉厚を薄くしても表面の膨れや発泡不良の発生を抑制することができ、断熱性に優れた発泡成形品を製造できる発泡成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、まず、超臨界状態の流体を含む溶融樹脂を射出成形する方法において、金型内のキャビティに充填した溶融樹脂が固化し終わる前に、金型の一部を移動させてキャビティの容積を拡大させる工程を実施することによって、断熱性に優れた発泡成形品を製造できることに着目した。そして、更に検討を重ねたところ、複数の注入口から金型内のキャビティへ溶融樹脂を注入した場合には、各注入口から注入された溶融樹脂同士が、キャビティ内で衝突することによって、広範囲で成形品表面の膨れや無発泡部分が発生し、特に肉厚の薄い成形品で顕著に発生することを見出した。そこで、注入口の数をキャビティ1つ当たり1つにすることにしたものの、この場合においても、キャビティ内の充填圧力が高くなったり、キャビティ内で溶融樹脂の小規模の衝突が発生したりするため、成形品表面の膨れや無発泡部分を充分に抑制することができないことが分かった。これに対して、本発明者らは、金型内の注入口に対向する位置に、略半球形に窪んだ樹脂溜まりを設けることによって、溶融樹脂を充填するときのキャビティ内の金型の隙間距離の最小値を0.2mm以上とすれば、表面の膨れや発泡不良の発生を抑制しつつ、断熱性に優れた発泡成形品を製造できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の発泡成形品の製造方法は、超臨界状態の流体を含む溶融樹脂を射出成形して発泡成形品を製造する方法であって、上記溶融樹脂を金型内のキャビティに充填し、上記キャビティに充填された上記溶融樹脂が固化し終わる前に、上記金型の一部を移動させて上記キャビティの容積を拡大させる工程を有し、上記キャビティに通じる樹脂注入口の数は、上記キャビティ1つ当たり1つであり、上記金型は、上記樹脂注入口に対向する位置に、略半球形に窪んだ樹脂溜まりを有し、上記溶融樹脂を充填するときの上記キャビティ内の金型の隙間距離の最小値は、0.2mm以上であることを特徴とする。
上記発泡成形品は、側面と底面で構成されるカップ形状を有し、上記樹脂注入口は、上記底面と接する位置に設けられていることが好ましい。
上記樹脂溜まりの最大深さが、上記樹脂溜まりの周囲の上記金型の隙間距離の1/2以下であることが好ましい。
上記樹脂溜まりの開口面積が、上記樹脂注入口の開口面積と等しい又はより大きいことが好ましい。
本発明の発泡成形品の製造方法によれば、超臨界状態の流体を含む溶融樹脂を射出成形するときに、成形品の肉厚を薄くしても表面の膨れや発泡不良の発生を抑制することができ、断熱性に優れた発泡成形品を製造できる。
超臨界射出成形装置を用いて発泡成形品を製造する方法の一例を説明する模式図である。 コアバックを説明するために図1の金型のキャビティ周辺を拡大して示した断面模式図であり、(a)は、コアバック前の初期状態を示し、(b)は、コアバック後の拡張状態を示している。 金型の各部分の寸法を説明するために図1の金型のキャビティ周辺を拡大して示した断面模式図である。 本発明により製造されるカップ形状の発泡成形品の一例である。 本発明により製造される発泡成形品の一部分を拡大して示した断面模式図である。 実施例1〜11及び比較例1及び3で作製した発泡成形品の形状及び寸法を示した断面模式図である。 比較例2及び4で作製した発泡成形品の形状及び寸法を示した断面模式図である。
本発明の発泡成形品の製造方法は、超臨界状態の流体を含む溶融樹脂を射出成形して発泡成形品を製造する方法であって、上記溶融樹脂を金型内のキャビティに充填し、上記キャビティに充填された上記溶融樹脂が固化し終わる前に、上記金型の一部を移動させて上記キャビティの容積を拡大させる工程を有し、上記キャビティに通じる樹脂注入口の数は、上記キャビティ1つ当たり1つであり、上記金型は、上記樹脂注入口に対向する位置に、略半球形に窪んだ樹脂溜まりを有し、上記溶融樹脂を充填するときの上記キャビティ内の金型の隙間距離の最小値は、0.2mm以上であることを特徴とする。
本発明では、超臨界状態の流体(以下、「超臨界流体」ともいう)を含む溶融樹脂を射出成形して発泡成形品を製造する。超臨界流体を含む溶融樹脂としては、例えば、溶融した樹脂組成物に超臨界流体を含浸させたものが挙げられ、樹脂組成物と超臨界流体との単一相溶解物であることが好ましい。このような溶融樹脂は、従来公知の超臨界流体発生機により生成した超臨界流体を、溶融した樹脂組成物に高圧力下で注入し、更に攪拌することで作製できる。超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの超臨界流体が用いられる。なかでも、二酸化炭素又は窒素の超臨界流体が好ましく、窒素の超臨界流体がより好ましい。超臨界流体を含浸させるための樹脂組成物については、後で詳しく述べる。
上記射出成形では、超臨界流体を含む溶融樹脂を金型のキャビティ内に充填した後、冷却固化させることにより、金型内のキャビティの形状に応じた、精密な形状、及び、多彩な形状の成形品を製造することができる。また、射出成形の際に、超臨界流体を含む溶融樹脂が減圧されると、超臨界流体が気体へ相転移するため、溶融樹脂が発泡し、微細な気泡を含有する発泡成形品が得られる。溶融樹脂中に発泡起点(発泡核)を均一に多数存在させておくことで、気泡の量を増加させることができる。
本発明では、キャビティに充填された溶融樹脂が固化し終わる前に、金型の一部を移動させてキャビティの容積を拡大させる工程(以下、「コアバック」ともいう)が実施される。溶融樹脂の一部又は全部が溶融している状態でキャビティを強制的に広げることにより、急激な圧力減少が引き起こされ、発泡量を大幅に増大させることができる。これにより、キャビティに充填された溶融樹脂の内部全体にわたって気泡を形成することができる。金型は、通常、凸形状を有する雄型と凹形状を有する雌型を有し、雄型と雌型を嵌合させた状態で形成される空隙が、溶融樹脂が充填されるキャビティとなる。キャビティの容積を拡大する際には、雄型及び/又は雌型の少なくとも一部分を移動させるが、雄型が可動側であり、かつ雌型が固定側である場合等には、雄型全体を移動させてキャビティの容積を拡大することが好ましい。
上記コアバックは、キャビティへの溶融樹脂の充填が完了した直後(充填完了後0秒)〜充填完了後5秒以内に開始されることが好ましい。金型の移動速度(コアバック速度)は、0.1mm/秒以上であることが好ましい。コアバックによる金型の隙間距離の拡大量(コアバック量)は、0.5mm〜10mmであることが好ましい。
超臨界流体を含む溶融樹脂を作製すること、及び、溶融樹脂を発泡させつつ成形することは、例えば、射出成形機と超臨界流体発生機とが連結された超臨界射出成形装置を用いて行うことができる。超臨界射出成形装置としては、例えば、MuCell射出成形機(「MuCell」はTrexel.co.Ltdの登録商標)等が挙げられる。
図1は、超臨界射出成形装置を用いて発泡成形品を製造する方法の一例を説明する模式図である。図1に示した超臨界射出成形装置20では、ホッパ21、加熱シリンダ22、スクリュ23及びノズル24を備える射出成形機に、ボンベ25、超臨界流体発生部26及び注入制御部27を備える超臨界流体発生機が連結されている。
ホッパ21は、投入された樹脂材料を貯蔵する容器を備えており、容器底部の開閉式の開口部から適量の樹脂材料を加熱シリンダ22内に落下させる。ホッパ21に投入される樹脂材料としては、例えば、押出機を用いて、複数種の原料の混合物を溶融混練して作製した樹脂組成物のペレットが挙げられる。押出機としては特に限定されず、単軸又は多軸の各種押出機を用いることができるが、例えば、200℃以上の設定温度とした二軸押出機が好ましい。混練方法としては、すべての原料を一括して混練してもよく、任意の原料を混練した後、残りの原料を添加して混練してもよい。加熱シリンダ22は、円筒状の空間内部を加熱できるものであり、樹脂材料を溶融させることができる。
ボンベ25には、超臨界流体の原料となる不活性ガスが封入されている。不活性ガスは、ボンベ25から超臨界流体発生部26に送られ、超臨界流体となる。超臨界流体は、超臨界流体発生部26から注入制御部27を介して加熱シリンダ22内に投入される。注入制御部27において、加熱シリンダ22内で溶融した樹脂材料に対する超臨界流体の充填量を制御する。
スクリュ23は、加熱シリンダ22内を回転しながら移動可能に構成されており、溶融した樹脂材料及び超臨界流体を混合しながら加熱シリンダ22の先端に向けて押し出す。この混合により、溶融した樹脂材料と超臨界流体との単一相溶解物(超臨界流体を含む溶融樹脂)が形成される。超臨界流体を含む溶融樹脂は、スクリュ23によって押し出されてノズル24側に搬送され、ノズル24から適量ずつ、金型30に射出される。
金型30は、凸形状を有する雄型31と凹形状を有する雌型32を有し、雄型31と雌型32の間にキャビティ33が形成される。ノズル24から注入された溶融樹脂は、ランナ34を通ってキャビティ33に充填される。金型30内での圧力損失により、超臨界流体は臨界圧力に達した時点で気体へ相転移し、溶融樹脂内で気泡が発生することになる。更に、図2に示したように、溶融樹脂の冷却固化が進行する前に雄型31を後退させ、キャビティ33を拡張するコアバックを行うことで圧力低下を加速させ、キャビティ33内での溶融樹脂の発泡を促進する。図2は、コアバックを説明するために図1の金型のキャビティ周辺を拡大して示した断面模式図であり、(a)は、コアバック前の初期状態を示し、(b)は、コアバック後の拡張状態を示している。
本発明では、1つのキャビティ33に通じる樹脂注入口(以下、「ゲート」ともいう)の数は、1つとされる。これによって、別々の注入口から注入された溶融樹脂同士が、キャビティ33内で衝突することがなくなるので、成形品表面の膨れや発泡不良が広範囲で発生することを防止できる。
図3は、金型の各部分の寸法を説明するために図1の金型のキャビティ周辺を拡大して示した断面模式図である。図3に示したように、本発明では、樹脂注入口に対向する位置(キャビティ33を介して樹脂注入口と向かい合う位置)に、略半球形に窪んだ樹脂溜まり35が設けられる。これによって、樹脂注入口を1つにしても、キャビティ33内の充填圧力が高くなり過ぎることや、キャビティ33内で溶融樹脂の小規模の衝突が発生することを抑制でき、表面の膨れや発泡不良をより充分に防止することができる。なお、樹脂溜まり35は、少なくとも一部の開口領域が樹脂注入口と対向していればよいが、樹脂溜まり35の開口領域の中心点が樹脂注入口に対向していることが好ましく、樹脂溜まり35の開口領域の中心点と樹脂注入口の中心点が対向していることがより好ましい。また、「略半球形に窪んだ樹脂溜まり」とは、樹脂注入口側から見たときに、略円形の開口を有し、深さ方向に向かって面積が小さくなる傾向を有する窪みであれば特に限定されない。ここで、「略円形」とは、円形であることが最も好ましいが、実質的に円形と同視できる効果が得られるものであればよく、鋭角を含まない形状であることが好ましく、例えば、長径に対する短径の比率が1/2よりも大きい楕円形であってもよい。
上記樹脂溜まり35の最大深さCは、コアバック前の樹脂溜まり35の周囲の金型の隙間距離(雄型−雌型間距離)Dの1/2以下であることが好ましい。これにより、発泡成形品に形成される樹脂溜まり35の痕跡(肉厚部分)を必要最小限の大きさに留めつつ、表面の膨れや発泡不良をより効果的に防止できるので、優れた外観を有する発泡成形品を製造することができる。樹脂溜まり35には、キャビティ33内に注入された溶融樹脂の流れを最初に受け止め、溶融樹脂の流れをキャビティ33内全体へ行き渡らせるのに適したものに調整する機能があると考えられる。そのため、樹脂溜まり35の周囲の金型の隙間距離Dが大きいときには、樹脂溜まり35内で流れが調整されない溶融樹脂が生じないように、樹脂溜まり35の最大深さCを大きくし、樹脂溜まり35に収容する溶融樹脂の量を多くすることが望ましい。一方で、樹脂溜まり35の最大深さCを金型の隙間距離Dの1/2よりも大きくすると、溶融樹脂の流れを適切に調整する機能が低下することがある。
上記樹脂溜まり35の開口面積は、樹脂注入口の開口面積と等しい又はより大きいことが好ましい。これにより、樹脂注入口から注入された溶融樹脂を、樹脂溜まり35でより確実に受け止めることができ、表面の膨れや発泡不良をより効果的に防止できる。
本発明では、溶融樹脂を充填するとき(コアバック前)のキャビティ33内の金型30の隙間距離の最小値は、0.2mm以上とされる。発泡成形品10の形状を規定するキャビティ33において、金型30の隙間距離は、発泡成形品の肉厚を規定することになる。上記金型の隙間距離が0.2mm未満の部分では、溶融樹脂を充分に発泡させることができず、気泡が存在しない無発泡部分が形成されることがある。無発泡部分では、気泡による断熱効果がないので、充分な断熱性が得られない。また、着色がされていない発泡成形品10の外観は、通常、気泡による光の散乱のため白色に見えるが、無発泡部分は透明に見えるため、無発泡部分が形成されると発泡成形品10の外観が不均一なものになってしまう。上記金型の隙間距離は、3mm以下であることが好ましい。上記金型の隙間距離が3mmを超える部分では、冷却固化時間が長くなるため、金型30からの成形品の取り出し動作や、発泡残渣(発泡力が残っており、かつ樹脂の固化が不充分な状態の部分)により発泡成形品10が変形してしまうことがあり、また、溶融樹脂の発泡を比較的生じさせやすいことから、本発明の金型構成を採用する利点が少なくなる。上記金型の隙間距離は、0.2〜3.0mmの範囲内であることが好ましい。本発明によれば、肉厚を薄くしても表面の膨れや発泡不良の発生を抑制することができるので、従来よりも軽量で断熱性に優れた発泡成形品10を製造できる。
上記発泡成形品の形状は特に限定されないが、側面と底面で構成されるカップ形状が好適である。発泡成形品は、気泡による断熱効果を発揮できることから、耐熱容器として好適に用いることができるためである。図4は、本発明により製造されるカップ形状の発泡成形品の一例である。カップ形状の発泡成形品10を製造する場合、樹脂注入口は、側面と接する位置に設けてもよいし、底面と接する位置に設けてもよいが、底面と接する位置に設けることが好ましい。これにより、樹脂注入口から放射状に均一な速度で、キャビティ33内の全体に溶融樹脂を拡散させることができるので、表面の膨れや発泡不良をより効果的に防止することができる。
カップ形状の発泡成形品10において、側面と底面のなす角は5°以上であることが好ましく、90°未満であることが好ましい。側面と底面のなす角のより好ましい下限は、45°である。また、底面からの高さは5mm以上であることが好ましく、60mm以下であることが好ましい。底面からの高さのより好ましい下限は、10mmである。更に、側面及び底面のそれぞれに直線部分があることが好ましく、直線部分の長さは、5mm以上であることが好ましく、30mm以下であることが好ましい。直線部分の長さのより好ましい下限は、10mmである。カップ形状の発泡成形品10の形状が上記した好ましい範囲内であれば、成形不良や発泡不良を抑制する本発明の作用効果が充分に奏されることとなる。
図5は、本発明により製造される発泡成形品の一部分を拡大して示した断面模式図である。図5に示した発泡成形品10は、発泡成形品10の表面に位置するスキン層(外皮層)11によって発泡層12が挟み込まれた構造を有する。発泡層12は、樹脂中に多数の気泡(発泡粒子)を包含する領域を指し、スキン層11は、気泡を包含しない領域を指す。発泡成形品10は、表面にスキン層11が存在することで、高い強度を有し、また、その表面が平滑である。発泡成形品10は、中心部分に発泡層12が存在することで、軽量化できるだけではなく、熱が伝わり難くなるため、耐熱性に優れている。なお、図5に示した発泡成形品10は、本発明により製造される発泡成形品の一例である。本発明により製造される発泡成形品の構造は、スキン層11/発泡層12/スキン層11の3層構造に限定されない。
上記発泡層12は、発泡成形品10の断面を観察した場合に、発泡層12の1mm×1mmの範囲に発泡粒子を100個以上有することが好ましく、任意に選択した100個の発泡粒子の平均粒子径が100μm以下であることが好ましい。発泡粒子の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)で行うことができ、例えば、日立ハイテクノジーズ社製の「S−4800」等を用いることができる。
超臨界流体を含浸させるための樹脂組成物について、以下に詳述する。
上記樹脂組成物としては、例えば、主成分として熱可塑性樹脂を含むものが用いられ、なかでも、ポリオレフィン、ポリ乳酸及び分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンの混合物が好適に用いられる。ポリオレフィンとポリ乳酸とは互いに溶解しない非相溶系のポリマー同士であるため、混合しても互いに溶解せず、界面が形成される。したがって、超臨界流体を用いた発泡において、その界面を発泡起点(発泡核)として用いることができる。一方で、均一に発泡した発泡成形品を製造するためには、発泡させる前の樹脂組成物を均一に分散することが求められる。このため、カルボニル基を含む変性ポリオレフィンを添加することで、ポリオレフィンとポリ乳酸を相溶化し、分散性を向上させる。これにより、発泡成形品の内部に、多数の微細な気泡(粒子径の小さい発泡粒子)を均一に存在させることができ、耐熱性、強度及び軽量性等の特性に優れた発泡成形品を製造できる。
上記ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン及びポリエチレンのいずれか一方又は両方を用いることが好ましい。ポリプロピレンのメルトマスフローレート(MFR)は、好ましくは5〜100g/10分、より好ましくは10〜50g/10分である。ポリプロピレンのMFRは、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.2Nで測定した数値である。ポリエチレンのMFRは、好ましくは5〜100g/10分、より好ましくは10〜50g/10分である。ポリエチレンのMFRは、JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重21.2Nで測定した数値である。
上記ポリオレフィンは、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンのみを含むものであってもよいが、ポリプロピレン及びポリエチレン以外の他のポリオレフィンを含んでもよい。
上記他のポリオレフィンとしては、例えば、α−オレフィンの単重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、及び、プロピレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。上記α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、及び、1−ウンデセン等の炭素数4〜12のα−オレフィンが挙げられる。
上記ポリオレフィンの溶融粘度(220℃)は、150Pa・S以上、400Pa・S以下であることが好ましい。上記ポリオレフィンの溶融粘度のより好ましい下限は200Pa・Sであり、より好ましい上限は300Pa・Sである。上記溶融粘度は、例えば、株式会社島津製作所製の「フローテスター CFT−500D」を用いて測定することができる。具体的には、測定対象となる樹脂を所定温度に加熱し流動化させ、キャピラリーダイ(内径φ1mm、長さ10mm)を通して、所定面圧を1MPaとしたピストンによってシリンダから押し出し、ピストンの移動量と、かかった時間により粘度特性を評価することができる。
上記ポリオレフィンの樹脂組成物全体に対する含有量は、30重量%以上、80重量%以下であることが好ましい。上記含有量が、30重量%未満であると、樹脂組成物の流動性、固化速度が低下し、成形性が悪くなることがある。上記含有量が80重量%を超えると、発泡性が悪くなり、得られる発泡成形品の表面に凹凸が生じ、外観を損なうことや、樹脂組成物と超臨界流体とを混合した際に樹脂組成物に超臨界流体が含浸しにくくなることがある。ポリオレフィンの樹脂組成物全体に対する含有量の好ましい下限は35重量%、好ましい上限は70重量%である。
上記ポリ乳酸は、L−乳酸の単重合体、D−乳酸の単重合体、L−乳酸及びD−乳酸の共重合体、又は、それらの混合物である。乳酸の鏡像異性体比率、鏡像異性体を共重合する方法(ランダム、ブロック、グラフトなど)、結晶核剤を添加する方法等によって、得られるポリ乳酸の結晶性を調整できる。
上記ポリ乳酸の溶融粘度(220℃)は、150Pa・S以上、400Pa・S以下であることが好ましい。上記ポリ乳酸の溶融粘度のより好ましい下限は200Pa・Sであり、より好ましい上限は300Pa・Sである。上記ポリ乳酸の溶融粘度は、上記ポリオレフィンの溶融粘度と同様に測定することができる。
上記ポリ乳酸の樹脂組成物全体に対する含有量は、3重量%以上、40重量%以下であることが好ましい。上記含有量が3重量%未満であると、樹脂組成物を発泡させて成形した発泡成形品の発泡性が不充分となることがある。上記含有量が40重量%を超えると、樹脂組成物の流動性、固化速度が低下し、成形性が悪くなることがある。上記ポリ乳酸の樹脂組成物全体に対する含有量のより好ましい下限は8重量%、より好ましい上限は30重量%である。
上記ポリオレフィンの含有量を30重量%〜80重量%の範囲内とし、上記ポリ乳酸の含有量を3重量%〜40重量%の範囲内とすることで樹脂組成物の流動性を調整し、成形性を良好にすることができる。
また、上記ポリオレフィンとポリ乳酸との溶融粘度差は、200Pa・S以下であることが好ましい。上記溶融粘度差が200Pa・S以下であると、両成分が混合しやすい。上記溶融粘度差のより好ましい上限は150Pa・Sである。
非相溶系のポリマー同士を混合する方法としては、両成分間に化学結合を形成させる方法、又は、同一ポリマー間で架橋構造を形成させる方法等を用いることがあり、ポリ乳酸を用いて発泡成形品を得る場合には、例えば、金属錯体等の合成触媒、ラジカル発生剤等を用いて、ポリ乳酸を合成しながら混練を行う反応押出(リアクティブプロセッシング)が用いられることがある。ポリオレフィンとポリ乳酸との界面を発泡核として作用させる場合には、ポリ乳酸を合成しながら混練を行う反応押出とは異なり、樹脂組成物中に合成触媒、ラジカル発生剤等を添加する必要はない。なお、ポリ乳酸の反応押出としては、例えば、合成触媒として2−エチルへキサン酸スズを用い、酸化防止剤(例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製の「イルガノックス1010」)を添加してL−ラクチドとε−カプロラクトンを反応させる方法;ジクミルパーオキサイド等のラジカル発生剤を用いて、ポリ乳酸とポリエチレングリコールを反応させる方法;ラジカル発生剤を用いて、ポリ乳酸にポリカーボネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)等をグラフト重合させる方法等が挙げられる。
上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンとしては、例えば、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル、又は、不飽和カルボン酸の無水物を付加反応することによって得られるものが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、及び、イタコン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸のエステルとしては、例えば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、及び、フマル酸モノメチルエステル等が挙げられる。不飽和カルボン酸の無水物としては、例えば、無水イタコン酸、及び、無水マレイン酸等が挙げられる。上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、グリシジルメタクリレート変性ポリオレフィン等が好適に用いられる。上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンは、オレフィンとビニルモノマーとの共重合体であってもよい。オレフィンとビニルモノマーとの共重合体としては、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、及び、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸のいずれであってもよい。
上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンのMFRは、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは0.3〜50g/10分である。MFRは、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.2Nで測定した数値である。
上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンの樹脂組成物全体に対する含有量は、1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。この範囲内であれば、非相溶系であるポリオレフィンとポリ乳酸との間に界面を形成し、両成分の分散性を効果的に向上させることができる。上記含有量が1重量%未満であると、得られる発泡成形品の発泡性が低下することがある。上記含有量が20重量%を超えると、臭気の発生、着色、成形性の悪化、吸水率の増大等が引き起こされることがある。上記分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィンの樹脂組成物全体に対する含有量のより好ましい下限は3重量%、より好ましい上限は12重量%である。
上記樹脂組成物は、層状ケイ酸塩を含有してもよい。ポリオレフィンとポリ乳酸とカルボニル基を含む変性ポリオレフィンとを混合しただけでは、混合時のせん断力が不足する場合に、層状ケイ酸塩を添加することで、ポリオレフィンとポリ乳酸との分散性を向上し、樹脂組成物中に発泡核を高分散させることができる。
上記層状ケイ酸塩としては、例えば、パイロフィライト、タルク、カオリン(カオリナイト)、モンモリロナイト、魚眼石、マーガライト、プレナイト、マイカ(雲母)等が挙げられ、特に、タルク、カオリン、モンモリロナイト、マイカ(雲母)が好適に用いられる。上記層状ケイ酸塩は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記層状ケイ酸塩の樹脂組成物全体に対する含有量は、10重量%以上、40重量%以下であることが好ましい。上記含有量が10重量%未満であると、混合時のせん断力を向上させる効果が充分に得られないことがある。上記含有量が40重量%を超えると、樹脂組成物の成形性が低下することがある。上記層状ケイ酸塩の樹脂組成物全体に対する含有量のより好ましい下限は15重量%、より好ましい上限は35重量%である。
上記樹脂組成物は、層状ケイ酸塩以外のフィラーを含有してもよい。無機材料から構成されるフィラーとしては、例えば、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化カルシウム等)、グラファイト、カーボンブラック、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、炭酸カルシウム、シリカ、シリカゲル、ゼオライト、窒化ホウ素、アルミナ等を用いることができる。有機材料から構成されるフィラーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、超高分子量ポリエチレン、電子線架橋型ポリエチレン、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、炭化ケイ素、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等を用いることができる。層状ケイ酸塩以外のフィラーの配合量は特に限定されないが、例えば、樹脂組成物全体に対して1重量%を超えない範囲とされる。
上記発泡成形品は、その表面等に、模様、色彩又は文字等の装飾を施してもよい。このような装飾を施す場合、上記樹脂組成物に顔料フィラー、カラーマスターバッチ等を添加してもよい。
本発明により製造される発泡成形品の用途は特に限定されないが、耐熱性及び断熱性に優れ、軽量であることから、例えば、食品用容器、日用品、家庭用電化製品等に好適に用いることができる。上記発泡成形品の耐熱性は、JIS S2029の7.4耐熱性試験(表示耐熱温度120℃)、7.10電子レンジ高周波適正性試験、及び、7.11電子レンジ耐久性試験に適合する。そのため、上記発泡成形品からなる食品用容器は、電子レンジによる加熱又は調理に用いることができる。
以下、本発明について実施例を掲げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレン50重量%、ポリ乳酸20重量%、分子内にカルボニル基を含む変性ポリオレフィン10重量%及びタルク20重量%をドライブレンドし、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX30」)を使って温度設定220℃で混練し、ペレット状の発泡用樹脂組成物を得た。得られた発泡用樹脂組成物は、ポリ乳酸の粒子がポリプロピレン中に分散した樹脂組成物であった。下記表1に、各材料の入手先及び物性を示した。
Figure 2017073165
次に、得られたペレット状の発泡用樹脂組成物を、超臨界発生装置を搭載した射出成形機(東芝機械株式会社製)に投入した。発泡用樹脂組成物は、温度200℃に設定したシリンダ内で溶融させつつ、窒素(N)の超臨界流体を、充填量0.2重量%、充填圧力16MPaの条件で混入させた。なお、超臨界流体の充填量(単位:重量%)は、下記式(1)で計算することができる。
超臨界流体の充填量(単位:重量%)=[(超臨界流体の流量×超臨界流体の流入時間×換算係数27.8)÷発泡用樹脂組成物の重量]×100 (1)
超臨界流体を混入して得られた溶融樹脂は、射出速度80mm/秒、スクリュ背圧15MPaの条件で、1箇所のゲート(樹脂注入口)から、図3に示した形状を有する金型内のキャビティ33に注入した。ゲートの開口形状は円形であり、その直径Aはφ3mm(開口面積:7.1mm)であった。金型温度は60℃とした。また、金型は、ゲートに対向する位置に、略半球形に窪んだ樹脂溜まり35を有するものであった。樹脂溜まり35の最大深さCは、0.4mmであった。コアバック前のキャビティ33における金型の隙間距離の最小値は、0.2mmであり、樹脂溜まり35の周囲の金型の隙間距離(雄型−雌型間距離)Dは、0.8mmであった。また、樹脂溜まり35の開口形状は円形であり、その直径Bはφ1.75mm(開口面積:9.6mm)であった。
また、溶融樹脂のキャビティ33への充填が完了した直後のタイミングで、コアバックを実施した。具体的には、金型の雄型31を3mm後退させ、キャビティ33の容積を拡大させることにより、溶融樹脂の発泡を促進した。溶融樹脂の固化が完了した後、発泡成形品を取り出した。
なお、本実施例で作製した発泡成形品は、図4に示した側面と底面で構成されるカップ形状を有するものであり、その最小肉厚は0.2mmに調整した。図6は、実施例1で作製した発泡成形品の形状及び寸法を示した断面模式図であり、図4の矢印方向から見たときの断面を示している。得られた発泡成形品は、図6に示したように、高さが60mm、側面の直線部分の長さが63.85mm、側面と底面のなす角が70°のカップ形状であった。図6中の矢印で示したように、ゲートは、発泡成形品10の底面の中心と接する位置に配置された。また、図5に示したように、発泡成形品10は、発泡層12の両面にスキン層11を有していた。
(実施例2〜11及び比較例1〜4)
下記表2に示したように、ゲートの設置数や開口面積、コアバック前のキャビティ内の金型の隙間距離、及び、樹脂溜まりの有無やサイズを変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡成形品を作製した。なお、比較例2及び4では、2箇所のゲートから、溶融樹脂を金型内のキャビティに注入した。図7は、比較例2及び4で作製した発泡成形品の形状及び寸法を示した断面模式図である。比較例2及び4で使用した2箇所のゲートの配置は、図7中の矢印で示したとおりである。2箇所のゲートの形状及び寸法は、それぞれ実施例1のゲートと同じにした。
(発泡成形品の評価)
実施例及び比較例で作製した発泡成形品について、以下の方法により断熱性及び外観を評価した。その結果を下記表2に示した。
(1)断熱性評価
発泡成形品に、黒体スプレー(タスコジャパン株式会社製、「THI−1B」)を吹き付けた後、黒体スプレーに含まれる溶剤を室内で12時間以上24時間以下の条件で乾燥し、黒く着色されたカップ形状の測定用試料を作製した。そして、測定用試料中に100mlの沸騰した熱水を入れ、3分後に測定用試料の外表面の温度を、放射率0.94に調整した赤外放射温度計(日本アビオニクス株式会社製の「TVS−200」)を用いて測定した。
測定された表面温度が60℃以下であった場合を◎とし、60℃より高く65℃以下であった場合を○とし、65℃より高かった場合を×とした。
(2)外観評価
実施例及び比較例の各々について、発泡成形品を100個ずつ準備し、それらの外観を目視で確認した。
(2−1)表面の膨れの有無
すべての発泡成形品において表面の膨れが確認されなかった場合を〇(合格)とし、いずれか1個以上の発泡成形品で表面の膨れが確認された場合を×(不合格)とした。
(2−2)無発泡部分の有無
すべての発泡成形品において無発泡部分が確認されなかった場合を〇(合格)とし、いずれか1個以上の発泡成形品で無発泡部分が確認された場合を×(不合格)とした。なお、発泡成形品の発泡部分は白く見えるのに対し、無発泡部分は透明又は半透明に見えることによって識別できる。
Figure 2017073165
10 発泡成形品
11 スキン層(外皮層)
12 発泡層
20 超臨界射出成形装置
21 ホッパ
22 加熱シリンダ
23 スクリュ
24 ノズル
25 ボンベ
26 超臨界流体発生部
27 注入制御部
30 金型
31 雄型
32 雌型
33 キャビティ
34 ランナ
35 樹脂溜まり

Claims (4)

  1. 超臨界状態の流体を含む溶融樹脂を射出成形して発泡成形品を製造する方法であって、
    前記溶融樹脂を金型内のキャビティに充填し、前記キャビティに充填された前記溶融樹脂が固化し終わる前に、前記金型の一部を移動させて前記キャビティの容積を拡大させる工程を有し、
    前記キャビティに通じる樹脂注入口の数は、前記キャビティ1つ当たり1つであり、
    前記金型は、前記樹脂注入口に対向する位置に、略半球形に窪んだ樹脂溜まりを有し、
    前記溶融樹脂を充填するときの前記キャビティ内の金型の隙間距離の最小値は、0.2mm以上である
    ことを特徴とする発泡成形品の製造方法。
  2. 前記発泡成形品は、側面と底面で構成されるカップ形状を有し、
    前記樹脂注入口は、前記底面と接する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発泡成形品の製造方法。
  3. 前記樹脂溜まりの最大深さが、前記樹脂溜まりの周囲の前記金型の隙間距離の1/2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡成形品の製造方法。
  4. 前記樹脂溜まりの開口面積が、前記樹脂注入口の開口面積と等しい又はより大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡成形品の製造方法。
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