JPWO2017056323A1 - 水中酸素溶解装置およびこれを用いた水中酸素溶解方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、上記のような技術では、例えば、気体圧縮用の大型コンプレッサー等を必要とするため、装置が大掛かりになる。その結果、消費電力量やメンテナンスの手間が膨大なものになるという課題があった。
また、特に多孔質の散気管を利用する場合では、その細孔が水中の微粒子や不純物によって閉塞され気泡の発生効率が低下するという課題もあった。
さらに、回転羽根を利用する場合では、回転羽根を高速回転させるための消費電力の増大や、このときに起こるキャビテーションにより回転羽根の損傷と腐食が発生するという課題もあった。
そこで、このような課題を解決する目的で、近年、簡易な構成でありながら消費電力量等を抑制でき、気泡を効率良く発生させることが可能な気泡発生装置に関する技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された排水処理装置に関する発明は、多孔質の流動排水移送管を大気内に露出して設けてなる吸込式エアレータを備えたことを特徴とする。
このような特徴を有する排水処理装置によれば、発生する気泡の平均径を数100μmないし数10μmに微細化することができる。よって、排水と酸化ガス気泡との接触面積を従来方式の10〜100倍程度に高めることができ、さらに気泡の滞留時間を10〜100倍に増長することができる。したがって、溶解酸素量を飛躍的に増量することができる。
特許文献3に開示された発明は、活性汚泥を用いた廃水処理装置において、散気装置を備えた反応タンク内に超音波発生手段を設置し、この超音波発生手段が、超音波振動体と超音波振動子ユニットを有し、かつ超音波振動体が気泡存在部に設置されていることを特徴とする。
このような特徴を有する廃水処理装置によれば、発生汚泥量の低減効果と、酸素溶解効率の向上を、反応タンク外部に大きな設備設置スペースを設けることなく同時に達成できる。
このような構成の発明においては、反射体は、平面を有する構造である。超音波発振器の長軸が水平方向に沿って配置されるため、反射体の平面は水平方向に直交する鉛直方向に沿って設置される。
また、第1の定在波に形成される「節」と「腹」は、それぞれ超音波の音圧が最大と最小となることから、この「節」と流体が落下する位置が一致するように、下降管と反射体と超音波発振器を水平方向において配置することで、最も効率的に気泡が圧壊される。
このような構成の発明においては、反射面とは、例えば貯留槽に貯留された流体の水面が考えられる。水面では、第2の入射波が反射して第2の定在波が形成されるからである。なお、反射面の貯留槽の底部からの高さ位置は、超音波の波長と、貯留槽に貯留される流体の水位と、を調整することで決定される。
上記構成の発明においては、第2の定在波においても、「節」と「腹」形成されるため、気泡が含まれる流体が「節」に到達するとき、最も効率的に気泡が圧壊される。
このような構成の発明においては、第1乃至第3のいずれかの発明の作用に加えて、超音波発振器の前方に集中して伝播する以外の超音波が、収容体によって球面波として流体中に伝播することが抑制される。すなわち、伝播を抑制された超音波は、収容体や水面によって反射し、収容体内で水流を発生させる。この水流は開口部を介して貯留槽内に緩やかに拡散する。
このような構成の発明においては、超音波発振器の発射面から発射された超音波の周波数に振動体が共振する場合に、超音波の振幅が増大してその圧力が増大する。したがって、少ない投入エネルギーで、より多くの気泡を確実に圧壊する。
このような構成の発明においては、第1の発明と同様の作用を有する。
また、多孔質管が不要であることは、細孔の目詰まりによって気泡の発生効率が低下することを防止可能である。したがって、気泡を効率良く発生させることが可能となる。
さらに、貯留槽に貯留された流体中の気泡を、超音波発振器によって圧壊することにより、この気泡に含まれる酸素の流体中への移動を促進させることが可能となる。なお、貯留槽に貯留された流体中の気泡には、キャビテーションによって発生した気泡と、内管を通過した流体中に形成された気泡と、が含まれることから、超音波発振器と、円筒タンクと、下降管と、が備えられることにより、酸素の溶解効率を増大させることができる。
図1に示すように、本実施例に係る水中酸素溶解装置1は、底部2bに落下孔2aが設けられることで、その内部に注入される流体10が渦11(図3を参照)となって形成される円筒タンク2と、その上端3aが落下孔2aに連通するとともにその側壁3bに複数の吸気孔6(図3を参照)が穿設される内管3と、この内管3の周囲に設けられ内管3との間で閉鎖空間13を形成するとともにこの閉鎖空間13へ空気を流入する空気流入手段7が設けられる外管4と、からなり、内管3を通過する際に空気流入手段7及び複数の吸気孔6を介し、空気が渦11の周囲から流体10へ吸引され、この流体10に気泡12が形成される円筒型の下降管5と、この下降管5の鉛直下方に配置され、気泡12が形成された流体10が落下し貯留される箱型の貯留槽8と、貯留槽8の内部に浸漬され、貯留槽8に貯留された流体10へ向かって超音波を発射することで気泡12が圧壊される(図中星印、以下本願において同じ)超音波発振器9と、を備える。
このうち、底部2bの反対側(図1における上方)の端面は、上方開口部2dを形成する。また、貯留槽8は、その面が鉛直方向Vに沿って配置される側壁8a,8bを備える。そして、超音波発振器9は、超音波振動子9aと、ホーン9bと、からなり、フランジ14aを備える格納容器14に格納された状態で、その長軸Xが水平方向Hに沿って、側壁8bと間隔Lを空けて配置される。より詳細には、ホーン9bとフランジ14aは互いに固定されているため、超音波発振器9は、フランジ14aを介して貯留槽8の側壁8aによって支持される構造となっている。
また、空気流入手段7としては、例えば、空気流入量調整バルブが用いられ、閉鎖空間13への空気の流入量を自在に調節可能である。
図2(a)に示すように、本実施例に係る水中酸素溶解装置1を構成する円筒タンク2は、底部2bと、その周縁に設けられる側壁2cと、底部2bの略中央に開口する落下孔2aと、からなる。なお、落下孔2aは、底部2bの略中央以外にも、底部2bのいずれの位置に設けられても良い。
また、図2(b)に示すように、本実施例に係る水中酸素溶解装置1を構成する下降管5は、内管3と外管4の間に閉鎖空間13が形成される。そして、内管3には、円筒タンク2(図2(a)を参照)と下降管5の中心Cを中心として90度の間隔を空けて複数の吸気孔6が穿設される。なお、複数の吸気孔6は、マイクロバブルやナノバブルを発生させるような微細孔ではなく、例えば、直径1mm程度の気泡を発生可能なサイズを有していれば良い。また、複数の吸気孔6は、内管3の長手方向に沿って、一定間隔を空けながら複数段設けられる。ただし、この段数については、特に具体的な制限はない。
図3に示すように、円筒タンク2の上方開口部2dから流体10が自然落下によって注入されると、底部2bに落下孔2aが設けられることから、注入された流体10は、落下孔2aの上方で周回しつつ落下孔2aに流入し始め、この落下孔2a付近で下降流11aが発生する。さらに、流体10の落下孔2aへの流入が進むと周回する流体10の中心にくぼみ10aができて回転流11bが形成され、この下降流11aと回転流11bの相互作用による渦11が形成される。このように、流体10が円筒タンク2に注水されることによって形成される渦11は、流体10が高所から低所へ自然流下することで形成されるいわゆるバスタブ渦である。なお、くぼみ10aからは流体10中へ空気が取り込まれる。
また、下降管5は、空気流入手段7及び複数の吸気孔6を介し、空気を外管4から内管3内へ導入可能に構成されている。一方、渦11はその半径方向に沿って中心部に近づくほど負圧が増大する。そのため、流体10が内管3を下方へ向かって通過する際に、渦11の回転流11bと前述した負圧によって、渦11の内部へ空気が吸引され気泡12bが形成される。より詳細には、渦11の底部において直径が1(mm)程度の気泡12bが形成される。なお、気泡12bの直径は、空気流入手段7の空気流入量や複数の吸気孔6のサイズ等に依存するものである。また、渦11の内表面が回転することと、この内表面の気層と液層の境界において乱れが生じることにより、この液層において気層の酸素が渦11に溶解される。
さらに、気泡12a,12bが形成された流体10は、内管3を通過した後、貯留槽8(図1参照)に落下し貯留される。なお、図1における気泡12は、図2における気泡12aと、気泡12bと、からなるものである。流体10が落下すると、気泡12a,12bは、貯留槽8の内部へ拡散するように移動する。さらに、貯留された流体10の水面10bに流体10の落下によって乱れが発生することで、流体10中に周囲の空気から酸素が溶解される。
なお、貯留槽8の側壁8b(図1参照)は、超音波発振器9から発射された第1の入射波と側壁8bによって反射される第1の反射波が合成されて第1の定在波が形成されるように、超音波発振器9との間隔L(図1参照)を空けて配置される。そのため、この定在波の「節」に下降管5の中心Cを一致させることで気泡12a,12b等の圧壊の効率を最大とすることができる。ただし、第1の定在波が形成されなければ、気泡12a,12b等を圧壊できないということではなく、第1の定在波の形成によって圧壊の効率を向上させることが可能となるということである。そのため、間隔Lによっては、第1の定在波が形成されなくても、気泡12a,12b等が十分に圧壊される。このような圧壊の効率を最大とする効果については、後述する。
図4(a)は、水中に溶解する酸素の増加量(溶存酸素増加量Δ)をプロットしたグラフであって、横軸が経過時間(分)、縦軸が溶存酸素増加量(mg/L)である。グラフ中の白黒丸印が実施例1に係る水中酸素溶解装置1、四角印が従来技術に係るばっき装置(以下、装置αという。)、白丸印が従来技術に係るばっきと超音波照射を組み合わせた装置(以下、装置βという。)、の結果をそれぞれ示している。なお、このとき使用された水の量は、いずれも4(L)である。
図4(a)において、経過時間30(分)における溶存酸素増加量Δ(mg/L)に注目すると、実施例1に係る水中酸素溶解装置1は、装置α,βと比較して、それぞれ2.4倍(≒5.3/2.2)、1.8倍(≒5.3/3.0)となった。
さらに、経過時間30(分)における装置αの溶存酸素増加量Δである2.2(mg/L)と等しい溶存酸素増加量Δとなるために必要な経過時間(分)は、装置βではおよそ16.4(分)、実施例1に係る水中酸素溶解装置1ではおよそ3.1(分)であった。すなわち、実施例1に係る水中酸素溶解装置1では、装置α,βと比較して、それぞれ1/10(≒3.1/30)、1/5倍(≒3.1/16.4)に経過時間が短縮された。
図4(b)の消費電力量比に示すように、実施例1に係る水中酸素溶解装置1では、装置αと比較して、約0.26倍に消費電力量が軽減された。
このように、実施例1に係る水中酸素溶解装置1によれば、従来技術と比較して溶存酸素増加量Δの増加と消費電力量の軽減という点において、顕著な優位性を発揮する結果となった。
また、水中酸素溶解装置1によれば、キャビテーションによって発生した気泡と、気泡12a,12bを、超音波発振器9によって圧壊することにより、多くの酸素を流体10中へ溶解させることが可能となる。そして、流体10へ移動した酸素は、流体10中に含まれる有害物質や細菌を分解し、水質浄化が可能となる。
このように、水中酸素溶解装置1によれば、簡易な構成でありながら、図4に示したように、従来技術と比較して、酸素の溶解効率を顕著に向上させると同時に消費電力量を著しく軽減することが可能である。そのため、容易な導入が可能であり、水中における酸素の溶解量が増大することで、好気性微生物による汚染物質の生分解作用が促進される等して、水環境の水質改善に大きく寄与し得るものである。
図5(a)に示すように、実施例1の第1の変形例に係る水中酸素溶解装置1aにおいては、超音波発振器9は、その長軸Xが水平方向Hに沿って配置され、貯留槽8(図1を参照)は、その内部に、超音波発振器9の第1の発射面15から発射される第1の入射波を反射して第1の反射波を形成する反射体16を備えている。なお、第1の発射面15とは、ホーン9bの先端面である。
図5(b)に示すように、反射体16は、第1の入射波と第1の反射波が合成されて第1の定在波17が形成されるように、第1の発射面15との間隔L1を空けて配置される。なお、反射体16は、平面を有する剛壁であって、図示しない支持部材によって貯留槽8(図1を参照)に固定される。また、超音波発振器9の長軸Xが水平方向Hに沿って配置されるため、反射体16の平面は鉛直方向Vに沿って設置される。
水中酸素溶解装置1aにおけるこの他の構成は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
水中酸素溶解装置1aにおけるこの他の作用及び効果は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
図6に示すように、実施例1の第2の変形例に係る水中酸素溶解装置1bでは、水中酸素溶解装置1において、円筒タンク2の落下孔2aに沿って環状の突起18が周設される。突起18は、縦断面が略三角形状をなし、中心Cへ向かって突出して設けられる。
水中酸素溶解装置1bにおけるこの他の作用及び効果は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
水中酸素溶解装置1bにおけるこの他の作用及び効果は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
図7(a)に示すように、実施例1の第3の変形例に係る水中酸素溶解装置1cは、実施例1に係る水中酸素溶解装置1に対して円筒タンク2と下降管5等を増設するとともに、超音波発振器9の代わりに超音波発振器19を備える。超音波発振器19は、超音波発振器9のホーン9bよりも長いホーン19aを備えるが、これ以外は超音波発振器9と同様の構造である。
図7(b)に示すように、節17aを少なくとも2個備える第1の定在波17が形成されるように、第1の発射面15(ホーン19aの先端面)との間隔L2を空けて配置される。そして、2個の節17aの直上には、それぞれ円筒タンク2と下降管5等が配置される。なお、λ1は超音波発振器9から発射される超音波が貯留槽8内部に貯留された流体10中を伝播する場合の波長であり、λ2は上記超音波がホーン19aを伝播する場合の波長である。
水中酸素溶解装置1cにおけるこの他の構成は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
水中酸素溶解装置1bにおけるこの他の作用及び効果は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
図8に示すように、実施例1の第4の変形例に係る水中酸素溶解装置1dにおいては、その長軸Xが水平方向Hに沿って配置される超音波発振器9は、一端面に開口部20aを備える収容体20に収容される。この収容体20は、開口部20a以外は、閉鎖面からなる箱状体であって、図示しない支持部材によって貯留槽8(図1参照)に固定される。
水中酸素溶解装置1dにおけるこの他の構成は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
一方、伝播を抑制された超音波は、球面波として伝播した後収容体20や水面10b(図中手前側に存在する)によって反射し、収容体20内で水流21bを発生させる。次に、水流21bと、水流21aが収容体20等によって反射した水流(図示せず)が合流した水流21cが、開口部20aを介して貯留槽8内に緩やかに拡散する。そのため、専ら前方に伝播する超音波に起因して形成された溶解酸素を含む流体10が超音波発振器9の周辺に留まることが防止される。
したがって、水中酸素溶解装置1dによれば、収容体20内で発生した水流21cが開口部20aを介して貯留槽8内に拡散するため、貯留槽8に貯留された流体10が撹拌されて、貯留槽8の内部における酸素の溶解濃度を均一にすることが可能である。
水中酸素溶解装置1dにおけるこの他の作用及び効果は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
図9(a)に示すように、実施例2に係る水中酸素溶解装置22は、実施例1に係る水中酸素溶解装置1において、超音波発振器9の代わりに超音波発振器23を備える。超音波発振器23は、超音波振動子23aと、ホーン23bと、からなり、その第2の発射面24(ホーン23aの先端面)が鉛直上方に向かって配置される。また、貯留槽8は、第2の発射面24から発射される第2の入射波を反射して第2の反射波を形成する反射面が形成される。なお、この反射面とは、水面10bである。
また、図9(b)に示すとおり、第2の発射面24は、第2の入射波と第2の反射波が合成されて第2の定在波25が形成されるように、水面10bとの間隔L3を空けて配置される。この第2の定在波25も、第1の定在波17と同様に、λ1/4(λ1は超音波発振器23から発射される超音波が貯留槽8内部に貯留された流体中を伝播する場合の波長である。)ごとに、節25aと腹25bが繰り返して形成される。ただし、水中酸素溶解装置1と同様に、間隔L3によっては、第2の定在波が形成されなくても、気泡12a,12b等が十分に圧壊される。
さらに、超音波発振器23は、格納容器14bに収容され、その第2の発射面24に板状の振動体26が覆設される。振動体26は、格納容器14bの上面を形成するものであって、第2の発射面24に対して平行に設置される。
振動体26を効率良く共振させるために、第2の発射面24と板状の振動体26とは面接触していることが望ましい。
水中酸素溶解装置22におけるこの他の構成は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
したがって、水中酸素溶解装置22によれば、少ない投入エネルギーで、より多くの気泡12a,12b等を確実に圧壊することが可能となる。すなわち、超音波発振器23の消費電力量を軽減できるとともに、流体10中への酸素の溶解濃度をより向上させることができる。
水中酸素溶解装置22におけるこの他の作用及び効果は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
図10に示すように、実施例2の変形例に係る水中酸素溶解装置22aは、実施例2の水中酸素溶解装置22において、振動体26が省略されるとともに、超音波発振器23は、両端面にそれぞれ開口部27a,27bを備える筒状の収容体27に収容される。この収容体27は、図示しない支持部材によって貯留槽8(図1参照)に固定される。
水中酸素溶解装置22aにおけるこの他の構成は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
したがって、水中酸素溶解装置22aによれば、貯留槽8に貯留された流体10が撹拌されて、貯留槽8の内部における酸素の溶解濃度を均一にすることが可能である。
水中酸素溶解装置22aにおけるこの他の作用及び効果は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
図11に示すように、実施例3に係る水中酸素溶解方法28は、ステップS1の渦形成工程、ステップS2の気泡形成工程、ステップS3の貯留工程、ステップS4の気泡圧壊工程、から構成される。なお、本実施例中で示される符号は、それぞれ図1乃至図10で示した符号を意味するものである。
ステップS1の渦形成工程は、円筒タンク2の底部2bに落下孔2aが設けられることで、その内部に注入される流体10が渦11となって形成される工程である。
本工程では、円筒タンク2の内部において渦11が形成されることにより、気泡12aが形成される。さらに、本工程は、ステップS2の気泡形成工程において流体10に空気を吸引するための準備工程として作用する。
したがって、本工程によれば、回転羽根等の動力機器を用いることなく、気泡12aを形成できるため、省力化が可能である。
本工程では、流体10が内管3を下方へ向かって通過する際に、渦11の内部へ空気が吸引され気泡12bが形成されるとともに、酸素が渦11の内表面に溶解される。
したがって、本工程によれば、流体10中に効率良く気泡12bを形成することができる。
本工程では、気泡12a,12bは、貯留槽8の内部へ移動するとともに、貯留された流体10の水面10bが乱れることで、流体10に酸素が溶解される。
したがって、本工程によれば、流体10中でキャビテーションによって形成された気泡や気泡12a,12bに超音波発振器9からの超音波を照射可能となるとともに、超音波発振器9を照射する前においても酸素の溶解濃度を増加させることができる。
本工程では、超音波によるキャビテーションによって、気泡12a,12b等が効率的に圧壊されるため、貯留槽8に貯留された流体10に酸素が溶解する。
したがって、本工程によれば、酸素の溶解濃度を飛躍的に増加させることができることから、流体10中の有害物質等を確実に分解できる。
また、水中酸素溶解装置22において、超音波発振器23が増設され、また振動体26が省略されても良い。さらに、第2の定在波25が発生しないように、超音波発振器23と水面10bとの間隔L3が調整されても良い。そして、水中酸素溶解方法28のステップS4の気泡圧壊工程において、超音波発振器9から発射される超音波は、連続的に発射又は所望のタイミングでパルス状に発射されても良い。
2…円筒タンク
2a…落下孔
2b…底部
2c…側壁
2d…上方開口部
3…内管
3a…上端
3b…側壁
4…外管
5…下降管
6…吸気孔
7…空気流入手段
8…貯留槽
8a,8b…側壁
9…超音波発振器
9a…超音波振動子
9b…ホーン
10…流体
10a…くぼみ
10b…水面
11…渦
11a…下降流
11b…回転流
11c…小渦
12〜12c…気泡
13…閉鎖空間
14,14b…格納容器
14a…フランジ
15…第1の発射面
16…反射体
17…第1の定在波
17a…節
17b…腹
18…突起
19…超音波発振器
19a…ホーン
20…収容体
20a…開口部
21a〜21c…水流
22,22a…水中酸素溶解装置
23…超音波発振器
23a…超音波振動子
23b…ホーン
24…第2の発射面
25…第2の定在波
25a…節
25b…腹
26…振動体
27…収容体
27a,27b…開口部
28…水中酸素溶解方法
このような構成の発明においては、第1の発明と同様の作用を有する。
図7(a)に示すように、実施例1の第3の変形例に係る水中酸素溶解装置1cは、実施例1に係る水中酸素溶解装置1に対して円筒タンク2と下降管5等を増設するとともに、超音波発振器9の代わりに超音波発振器19を備える。超音波発振器19は、超音波発振器9のホーン9bよりも長いホーン19aを備えるが、これ以外は超音波発振器9と同様の構造である。
図7(b)に示すように、節17aを少なくとも2個備える第1の定在波17が形成されるように、反射体16は第1の発射面15(ホーン19aの先端面)との間隔L2を空けて配置される。そして、2個の節17aの直上には、それぞれ円筒タンク2と下降管5等が配置される。なお、λ1は超音波発振器9から発射される超音波が貯留槽8内部に貯留された流体10中を伝播する場合の波長であり、λ2は上記超音波がホーン19aを伝播する場合の波長である。
水中酸素溶解装置1cにおけるこの他の構成は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
水中酸素溶解装置1cにおけるこの他の作用及び効果は、実施例1の水中酸素溶解装置1と同様である。
本工程では、気泡12a,12bは、貯留槽8の内部へ移動するとともに、貯留された流体10の水面10bが乱れることで、流体10に酸素が溶解される。
したがって、本工程によれば、流体10中でキャビテーションによって形成された気泡や気泡12a,12bに超音波発振器9からの超音波を照射可能となるとともに、超音波発振器9から超音波を照射する前においても酸素の溶解濃度を増加させることができる。
Claims (6)
- 底部(2b)に落下孔(2a)が設けられることで、その内部に注入される流体(10)が渦(11)となって形成される円筒タンク(2)と、
その上端(3a)が前記落下孔(2a)に連通するとともにその側壁(3b)に複数の吸気孔(6)が穿設される内管(3)と、この内管(3)の周囲に設けられ前記内管(3)との間で閉鎖空間(13)を形成するとともにこの閉鎖空間(13)へ空気を流入する空気流入手段(7)が設けられる外管(4)と、からなり、前記内管(3)を通過する際に前記空気流入手段(7)及び前記複数の吸気孔(6)を介し、空気が前記渦(11)の周囲から前記流体(10)へ吸引され、この流体(10)に気泡(12)が形成される円筒型の下降管(5)と、
この下降管(5)の鉛直下方に配置され、前記気泡(12)が形成された前記流体(10)が落下し貯留される箱型の貯留槽(8)と、
前記貯留槽(8)の内部に浸漬され、前記貯留槽(8)に貯留された前記流体(10)へ向かって前記超音波を発射することで前記気泡(12)が圧壊される超音波発振器(9)と、を備えることを特徴とする水中酸素溶解装置(1)。 - 前記超音波発振器(9)は、その長軸が水平方向に沿って配置され、
前記貯留槽(8)は、その壁面(8b)又はその内部に、前記超音波発振器(9)の第1の発射面(15)から発射される第1の超音波(以下、第1の入射波という。)を反射して第1の反射波を形成する反射体(16)が備えられ、
この反射体(16)は、前記第1の入射波と前記第1の反射波が合成されて第1の定在波(17)が形成されるように、前記第1の発射面(15)との間隔を空けて配置されることを特徴とする請求項1記載の水中酸素溶解装置(1a)。 - 前記超音波発振器(19)は、その第2の発射面(24)が鉛直上方に向かって配置され、
前記貯留槽(8)は、前記第2の発射面(24)から発射される第2の超音波(以下、第2の入射波という。)を反射して第2の反射波を形成する反射面が形成され、
前記第2の発射面(24)は、前記第2の入射波と前記第2の反射波が合成されて第2の定在波(25)が形成されるように、前記反射面との間隔を空けて配置されることを特徴とする請求項1記載の水中酸素溶解装置(22)。 - 前記超音波発振器(9,23)は、少なくとも一端面に開口部を備える収容体(20,27)に収容されることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれか1項に記載の水中酸素溶解装置(1d,22a)。
- 前記超音波発振器(9,23)は、その発射面に振動体(26)が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項4記載のいずれか1項に記載の水中酸素溶解装置(1,22)。
- 円筒タンクの底部に落下孔が設けられることで、その内部に注入される流体が渦となって形成される渦形成工程(S1)と、
その上端が前記落下孔に連通するとともにその側壁に複数の吸気孔が穿設される内管と、この内管の周囲に設けられ前記内管との間で閉鎖空間を形成するとともにこの閉鎖空間へ空気を流入する空気流入手段が設けられる外管と、からなる円筒型の下降管において、前記内管を通過する際に前記空気流入手段及び前記複数の吸気孔を介し、空気が前記渦の周囲から前記流体へ吸引され、この流体に気泡が形成される気泡形成工程(S2)と、
前記気泡が形成された前記流体が落下し貯留槽に貯留される貯留工程(S3)と、
前記貯留槽の内部に浸漬される超音波発振器から、前記貯留槽に貯留された前記気泡が形成された前記流体へ向かって前記超音波が発射されることで、前記気泡が圧壊される気泡圧壊工程(S4)と、を備えることを特徴とする水中酸素溶解方法。
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