本開示は、スピーカ装置に関する。
特許文献1は、バスレフ型のスピーカ装置を開示する。特許文献1に開示されるスピーカ装置は、エンクロージャーと、スピーカユニットと、ダクトとを、備えている。スピーカユニットは、エンクロージャー内部に配置されてエンクロージャーに取り付けられる。ダクトは、エンクロージャー内部に配置されてエンクロージャー内部とエンクロージャー外部とを通気する。このスピーカ装置では、スピーカユニットが所定の低域周波数で振動した場合にダクト内の空気が共振する。これにより、このスピーカ装置では、低域の音声出力が増強される。
本開示は、音質を向上できるスピーカ装置を提供する。
本開示におけるスピーカ装置は、スピーカ筐体と、スピーカ筐体の第一壁部に設けられた第一スピーカユニットと、スピーカ筐体の内部と外部とを連通する音響管と、を備える。音響管は、所定の長さを有し、スピーカ筐体内にらせん状に曲げられて収められている。
本開示におけるスピーカ装置は、音質を向上できる。
図1は、実施の形態1におけるスピーカ装置を備えた音響システムの一構成例を模式的に示す図である。
図2は、実施の形態1におけるスピーカ装置の一構成例を模式的に示す斜視図である。
図3は、実施の形態1におけるスピーカ装置の一構成例を模式的に示す斜視図である。
図4は、実施の形態1におけるスピーカ装置の一構成例を模式的に示す斜視図である。
図5は、実施の形態1におけるスピーカ装置の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。
図6は、実施の形態1におけるスピーカ装置の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。
図7は、実施の形態1におけるスピーカ装置の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。
図8は、実施の形態1におけるスピーカ装置の内部構造の一例を模式的に示す側面図である。
図9は、実施の形態1におけるスピーカ装置の音響管の一構成例を模式的に示す斜視図である。
図10は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備える台座部およびその周辺の一構成例を模式的に示す側面図である。
図11は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備えるツイータ部の一構成例を模式的に示す斜視図である。
図12は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備えるツイータ部の一構成例を模式的に示す上面図である。
図13は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備えるウーハ部の音圧と周波数との関係の一例を模式的に示す図である。
図14は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備えるウーハスピーカユニットの振動板の振幅と周波数との関係の一例を模式的に示す図である。
図15は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備えるウーハスピーカユニットのインピーダンスと周波数との関係の一例を模式的に示す図である。
図16は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備えるウーハスピーカユニットのブースト制御に係る構成要素の一構成例を示すブロック図である。
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明、および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同じ構成要素については同じ符号を付し、説明を省略または簡略化する場合がある。
(実施の形態1)
以下、図1〜図15を参照しつつ、実施の形態1におけるスピーカ装置と、そのスピーカ装置を備える音響システムと、について説明する。
[1−1.音響システムの全体構成]
図1は、実施の形態1におけるスピーカ装置1を備えた音響システム100の一構成例を模式的に示す図である。図1には、音響システム100を正面側から見た斜視図を示す。なお、本実施の形態では、音楽プレーヤ101の操作部110が設けられた側を正面とする。
音響システム100は、1つの音楽プレーヤ101と、2つのスピーカ装置1と、を備える。なお、音楽プレーヤ101およびスピーカ装置1の数量は、上記数値に限定されない。音響システム100が備える音楽プレーヤ101は2以上でもよい。また、音響システム100が備えるスピーカ装置1は、1つでもよく、3以上でもよい。
スピーカ装置1は、音楽プレーヤ101に接続されており、音楽プレーヤ101から出力される音声信号(audio signal)を音声(sound)に変換して出力(以下、単に「再生」ともいう)することができる。
音楽プレーヤ101は、様々な外部機器や音楽ソースから出力される信号を、スピーカ装置1が再生可能な音声信号に変換して出力することができるように構成されている。例えば、音楽プレーヤ101は、USB(UNIVERSAL Serial Bus)の接続端子を介して有線接続された外部機器、またはWi−Fi(登録商標)やBluetооth(登録商標)等で無線接続された外部機器、等から音声に関する信号を受け取って音声信号を出力するように構成されてもよく、あるいは、音楽プレーヤ101が備えるCD(Compact Disc)プレーヤまたはラジオ等の音楽ソースから音声に関する信号を受け取って音声信号を出力するように構成されてもよい。
[1−2.スピーカ装置の構成]
次に、図2〜図12を参照して、実施の形態1におけるスピーカ装置1の構成を説明する。
図2は、実施の形態1におけるスピーカ装置1の一構成例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示したスピーカ装置1を正面斜め方向から見た斜視図である。
図2に示すように、スピーカ装置1は、上下方向(Z軸方向)に縦長の直方体形状を有している。スピーカ装置1は、底面1fに設けられた複数の脚部1gによって、載置面(図示せず)上に支持されるように構成されている。なお、本実施の形態では、スピーカ装置1が4つの脚部1gを備える構成例を示すが、スピーカ装置1が備える脚部1gの数は4つに限定されない。
スピーカ装置1における底面1fに対向する頂面1eは、天板3によって構成されている。天板3は、スピーカ装置1の意匠も構成している。
スピーカ装置1は、頂面1eおよび底面1fと、頂面1eおよび底面1fに隣り合う側面1a、側面1b、側面1cおよび側面1dと、を備える。スピーカ装置1において、3つの側面1a、側面1bおよび側面1cは、外装ネット2によって構成されている。外装ネット2は、スピーカ装置1の意匠も構成している。直方体の4つの側面を形成する側面1a、側面1b、側面1cおよび側面1dは、直角四角筒を形成している。
なお、本実施の形態では、便宜的に、X軸、Y軸、Z軸の3軸を用いて説明を行う。以下、底面1fから頂面1eに向かう方向をZ軸正方向とする。また、前面である側面1a(以下、「前面1a」とも呼ぶ)から背面である側面1d(以下、「背面1d」とも呼ぶ)に向かう方向をY軸正方向とする。また、側面1bから側面1cに向かう方向をX軸正方向とする。
図3、図4は、実施の形態1におけるスピーカ装置1の一構成例を模式的に示す斜視図である。図3は、図2のスピーカ装置1から外装ネット2が除かれた態様を示す斜視図であり、図4は、図3のスピーカ装置1を背面斜め方向から見た斜視図である。
図5、図6、図7は、実施の形態1におけるスピーカ装置1の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。図5は、図3に示したスピーカ装置1の一部を切断して内部構造を示した部分断面図である。図6は、図3に示したスピーカ装置1から天板3とスピーカ筐体31の側壁31aおよび側壁31cとを除いた態様を示す斜視図である。図7は、図4に示したスピーカ装置1から天板3とスピーカ筐体31の側壁31cおよび側壁31dとを除いた態様を示す斜視図である。
図3〜図7を参照しながら以下を説明する。スピーカ装置1は、ツイータ部10、上側ディフューザ部20、ウーハスピーカ部30、下側ディフューザ部40、および台座部50、を備えている。ツイータ部10は、頂面1eと上側ディフューザ部20との間に配置され、複数のツイータユニット12を備える。上側ディフューザ部20、ウーハスピーカ部30および下側ディフューザ部40は、スピーカ装置1において、ウーハ部60を構成する。ウーハ部60は、スピーカ装置1において、中低音の再生を担当するように構成されている。ツイータ部10は、スピーカ装置1において、中高音の再生を担当するように構成されている。
ツイータ部10には、略直方体状の輪郭を有するツイータフレーム11が設けられている。ツイータフレーム11は、略正方形の枠状の上縁部11aと、4つの互いに離れた支柱部11bと、矩形板状の背面壁部11cと、を一体成形によって含む。4つの支柱部11bは、上縁部11aの4つの角部のそれぞれから、上側ディフューザ部20に向かってZ軸方向に沿って延伸して設けられている。背面壁部11cは、背面1d側において互いに隣り合う2つの支柱部11bの間に延伸して設けられている。背面壁部11cは、背面1d側の2つの支柱部11bの間を閉鎖する。上縁部11aは、天板3が上縁部11aの内周側に整合して嵌るような形状を有している。
ツイータ部10において、ツイータフレーム11の内側には、高音を再生可能なスピーカである3つのツイータユニット12が設けられている。3つのツイータユニット12は、それぞれが、スピーカ装置1の前面1a、側面1bおよび側面1cに向けて音を放射状に放出するように、配置されている。すなわち、3つのツイータユニット12は、それぞれの向きが、XY平面に実質的に平行な面上(スピーカ装置1が水平面に平行な載置面に載置されている場合は、水平方向)において互いに実質的に直交するように、配置されている。
ツイータユニット12は、所定の高音域の周波数帯域の音を好適に再生可能な周波数特性を有するように、構成されている。所定の高音域の周波数帯域は、例えば、1kHzから100kHz近傍までの範囲、または、2kHzから100kHzを超える周波数までの範囲、等である。
さらに、ツイータ部10において、各ツイータユニット12には、指向性制御ホーン13が取り付けられている。指向性制御ホーン13は、ラッパ状の形状を有し、ツイータユニット12による再生音を指向するように構成されている。複数の指向性制御ホーン13は、それぞれが1つのツイータユニット12から延び、ツイータユニット12による再生音の放出方向である前面1a、または側面1b、または側面1cに向かう方向にそれぞれの向きが設定されている。そして、指向性制御ホーン13は、ツイータフレーム11の支柱部11b間で開口している。指向性制御ホーン13は、ツイータフレーム11の内側に配置され、ツイータフレーム11に固定されている。言い換えると、3つの指向性制御ホーン13のそれぞれは、1つは前面1aに向かって放射状に音を放出するように配置され、他の一つは側面1bに向かって放射状に音を放出するように配置され、残りの一つは側面1cに向かって放射状に音を放出するように配置されている。
ウーハスピーカ部30には、Z軸方向を長手方向とした直方体状のスピーカ筐体31が設けられている。スピーカ筐体31は、中空構造であり、内部に内部空間34を有している。ウーハスピーカ部30は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33を有する。また、スピーカ筐体31には、上壁31eおよび下壁31fが互いに平行に配置されている。上壁31eは上側ディフューザ部20へ向いた壁部であり、下壁31fは下側ディフューザ部40へ向いた壁部である。そして、上側ウーハスピーカユニット32は、上壁31eに形成された開口に、出音方向が上側ディフューザ部20へ向くように埋め込まれている。下側ウーハスピーカユニット33は、下壁31fに形成された開口に、出音方向が下側ディフューザ部40へ向くように埋め込まれている。
上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33は、所定の中低音域の周波数帯域の音を好適に再生可能である周波数特性を有するように、構成されている。この所定の中低音域の周波数帯域は、例えば、35Hzから5000Hzまでの範囲である。なお、上壁31eおよび下壁31fの一方は、スピーカ筐体の第一壁部の一例であり、上壁31eおよび下壁31fの他方は、スピーカ筐体の第二壁部の一例である。
上述したように、上側ウーハスピーカユニット32は上側ディフューザ部20に向かって音を放出するように設置方向が設定されており、下側ウーハスピーカユニット33は下側ディフューザ部40に向かって音を放出するように設置方向が設定されている。ウーハスピーカ部30に、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33を設けることによって、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33のそれぞれが、例えば直径8cm程度の比較的小口径の振動板32aまたは振動板33a(図5を参照)を有するものであっても、ウーハスピーカ部30では、相対的に大きな音圧を得ることができる。
さらに、上側ウーハスピーカユニット32をスピーカ筐体31の上壁31eに設け、下側ウーハスピーカユニット33をスピーカ筐体31の下壁31fに設けることによって、XY平面におけるスピーカ筐体31の小型化が可能になり、スピーカ装置1の設置面積の低減が可能になる。なお、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の一方は、第一スピーカユニットの一例であり、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の他方は、第二スピーカユニットの一例である。
上側ディフューザ部20には、略直方体状の輪郭を有する上側フレーム21が設けられている。上側フレーム21は、4つの支柱部21aと、略正方形の板状の支持プレート部21bと、を含む。4つの支柱部21aのそれぞれは、互いに離れて配置され、Z軸方向に沿って延伸するように形成されている。支持プレート部21bは、4つの支柱部21aと一体に成形されている。4つの支柱部21aは、スピーカ筐体31の正方形状の上壁31eの4つの角部の位置、およびツイータフレーム11の4つの支柱部11bの位置に、それぞれ配置されている。支持プレート部21bは、上壁31e上に沿って延伸して形成されている。上側ウーハスピーカユニット32は、支持プレート部21bに形成された開口を通って配置され、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aを上側フレーム21内に露出する。支持プレート部21bがスピーカ筐体31の上壁31eに固定され、支柱部21aがツイータフレーム11に固定されることによって、上側フレーム21は、ツイータ部10とウーハスピーカ部30とを連結する。
さらに、上側ディフューザ部20には、ディフューザ体22が、上側フレーム21内に設けられている。ディフューザ体22は、円錐状に突出する拡散部22aを含んでいる。ディフューザ体22は、ツイータフレーム11に隣接して配置され、上側フレーム21の支柱部21aに固定されている。拡散部22aは、円錐の先端が丸められた外形を有し、かつ、先端の反対側が開放した中空構造を有している。拡散部22aは、拡散部22aの先端が、上側ウーハスピーカユニット32に向かって突出しかつ上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aの中心と向き合う位置に配置されるように、配置されている。したがって、拡散部22aは、上側ウーハスピーカユニット32が再生する音を、スピーカ装置1の周囲に、XY平面に沿う方向に略均等に拡散する。例えばスピーカ装置1が水平面に平行な載置面に載置されているとき、拡散部22aは、上側ウーハスピーカユニット32が再生する音を、水平方向に、360度にわたって実質的に無指向に拡散する。
図10は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備える台座部50およびその周辺の一構成例を模式的に示す側面図である。なお、図5に示すように台座部50にはディフューザ体42が取り付けられているが、図10には、ディフューザ体42を取り外した台座部50を示す。
台座部50には、正方形状の平面形状を有しかつZ軸方向に扁平になった箱状の台座筐体51が設けられている。台座筐体51の底部には、複数の脚部1gと、接続プラグ(図示せず)と、が設けられている。接続プラグは、図1に示す音楽プレーヤ101とスピーカ装置1とを電気的に接続するための接続部である。さらに、図10に示すように、台座筐体51の内側には、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の動作を制御する回路が搭載された回路基板52が設けられている。回路基板52は、下側ディフューザ部40内に突出するように配置され、接続プラグに電気的に接続されている。台座筐体51の内部には、床等の載置面に載置されたスピーカ装置1の安定性を向上させるためのウェイト(図示せず)が設けられていてもよい。
再び、図3〜図7を参照しながら説明を行う。
下側ディフューザ部40には、略直方体状の輪郭を有する下側フレーム41が設けられている。下側フレーム41は、4つの支柱部41aと、4つの梁部41bと、を含む。4つの支柱部41aのそれぞれは、互いに離れて配置され、Z軸方向に沿って延伸するように形成されている。4つの梁部41bのそれぞれは、隣り合う支柱部41a同士を連結する。4つの支柱部41aは、スピーカ筐体31の正方形状の下壁31fの4つの角部の位置、および台座筐体51の側方の4つの角部の位置に、それぞれ配置されている。4つの梁部41bは、台座筐体51側の支柱部41aの端部にそれぞれ配置され、台座筐体51の外縁に沿って延伸する。支柱部41aがスピーカ筐体31の下壁31fおよび台座筐体51に固定されることによって、下側フレーム41は、ウーハスピーカ部30と台座部50とを連結する。
さらに、下側ディフューザ部40には、ディフューザ体42が、下側フレーム41内に設けられている。ディフューザ体42は、円錐状に突出する拡散部42aを含んでいる。拡散部42aは、円錐の先端が丸められた外形を有し、かつ、先端の反対側が開放した中空構造を有している。ディフューザ体42は、ディフューザ体22と同様の形状を有している。ディフューザ体42は、台座筐体51に隣接して配置され、下側フレーム41の梁部41bに固定されている。拡散部42aは、拡散部42aの先端が、下側ウーハスピーカユニット33に向かって突出しかつ下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aの中心と向き合う位置に配置されるように、配置されている。したがって、拡散部42aは、下側ウーハスピーカユニット33が再生する音を、スピーカ装置1の周囲に、XY平面に沿う方向に略均等に拡散する。例えばスピーカ装置1が水平面に平行な載置面に載置されているとき、拡散部42aは、下側ウーハスピーカユニット33が再生する音を、水平方向に、360度にわたって実質的に無指向に拡散する。
さらに、ウーハスピーカ部30の詳細な構成を、図3〜図5を参照しながら、説明する。
ウーハスピーカ部30のスピーカ筐体31は、上壁31eおよび下壁31fに加えて、これらの壁に隣り合う側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dを有している。側壁31aはスピーカ装置1の前面1aに位置し、側壁31bは側面1bに位置し、側壁31cは側面1cに位置し、側壁31dは背面1dに位置するように、それぞれが配置されている。
スピーカ筐体31の内側には、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33と、側壁31a〜側壁31dおよび上壁31e、下壁31fとで囲まれた、閉じた内部空間34が形成されている。上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33は、例えば図5に示されるように、それぞれの振動板32aおよび振動板33aが、内部空間34とスピーカ筐体31の外部とのそれぞれに面するように配置されている。さらに、上側ウーハスピーカユニット32と下側ウーハスピーカユニット33とは、内部空間34内でZ軸方向に互いに離間した位置に配置されている。なお、内部空間34の容積は、例えば800立方cm程度の、スピーカ筐体の容積としては比較的小さいものであってもよい。なお、側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dは、それぞれがスピーカ筐体の側壁部の一例である。
背面1dに位置する側壁31d(以下、「背面側の側壁31d」とも呼ぶ)には、図4に一例を示すように、音響ポート35が形成されている。音響ポート35は、円状に開口したバスレフポートである。音響ポート35は、背面側の側壁31dに嵌め込まれたポート板35aが円形に貫通されて形成されている。
以下、図5〜図9を参照しながら説明を行う。
図8は、実施の形態1におけるスピーカ装置1の内部構造の一例を模式的に示す側面図である。図8には、図7に示したスピーカ装置1を、スピーカ筐体31の側壁31aを取り除き、側壁31c側から見た側面図を示す。
図9は、実施の形態1におけるスピーカ装置1の音響管36の一構成例を模式的に示す斜視図である。図9には、図7に示したスピーカ装置1の音響管36を単体で示す。
スピーカ筐体31の内部空間34内において、上側ウーハスピーカユニット32と下側ウーハスピーカユニット33との間には、円状の管内断面を有する音響管36が設けられている。音響管36は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の周りを周回するようにらせん状に延伸して形成されている。具体的には、音響管36は、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aを駆動する筒状の振動発生部(磁気回路部とも呼ぶ)32bと、下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aを駆動する筒状の振動発生部(磁気回路部)33bとの周りを、周回する形状を有する。なお、振動発生部(磁気回路部)32bおよび振動発生部(磁気回路部)33bのそれぞれの内部には、音声信号に従って振動板32aまたは振動板33aを振動させるための構造が配置されている。
音響管36は、例えば、曲がりが滑らかで曲がりの角度が緩くなるようならせん形状で形成されてもよい。さらに、音響管36は、一様に曲げられて形成されてもよい。さらにまた、音響管36は、スピーカ筐体31の側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dに接触する程度の、できるだけ大きい外径を有するように形成されてもよい。実施の形態1では、音響管36は、側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dに近接するような大きい外径を有する形状で形成されている。
音響管36の一方の端部にあるフランジ36aは、ポート板35aに連結されている(図4、図9参照)。音響管36は、音響ポート35と実質的に同じ内径を有し、音響ポート35に連通する。音響管36の他方の端部36bは、スピーカ筐体31の内部空間34内に開口している。音響管36および音響ポート35は、スピーカ筐体31の外部と内部空間34とを互いに連通する。さらに、音響管36の端部36bの開口は、吸音材37(アコースティックアブソーバ)によって覆われている(図6参照)。吸音材37は、音を制動・吸収する機能を有するように構成されている。吸音材37は、例えばポリエステル等の材料から形成することができる。吸音材37は、音響管36の長さ(すなわち、ポート長)に起因して発生する共振を制動するように機能する。つまり、吸音材37は、ポート長に起因する共振を制動する効果を有する。音響管36は、ポート板35aおよび吸音材37の枠部材を介して、スピーカ筐体31の背面側の側壁31dに固定される。なお、吸音材37は必須なものではなく、設けられなくてもよい。
上述のような上側ウーハスピーカユニット32、下側ウーハスピーカユニット33、音響ポート35、音響管36およびスピーカ筐体31によって、バスレフ型スピーカが構成される。バスレフ型スピーカであるスピーカ装置1では、内部空間34が有する空気のバネ性と、音響管36および音響ポート35が有する音響質量とが、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aおよび下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aの振動を受けて共振することができる。すなわち、スピーカ装置1はバスレフ共振することができる。
共振がない場合、振動板32aおよび振動板33aの前面へ放射される音と振動板32aおよび振動板33aの背面へ放射される音とは、本来は逆相である。しかし、スピーカ装置1では、バスレフ共振によって、振動板32aおよび振動板33aの背面へ放射された音の位相回りが発生する。そのため、バスレフ共振周波数付近において共振する内部空間34内の空気は、振動板32aおよび振動板33aからディフューザ体22およびディフューザ体42の方向へ放出される空気と合成される。これにより、スピーカ装置1では、音圧を高めることができる。さらに、共振する空気は、振動板32aおよび振動板33aの振幅を減少させることができる場合もある。なお、バスレフ共振周波数は、バスレフ共振の際の共振周波数である。
バスレフ共振周波数Fbは、以下の式で示される。
Fb=((1/M・C)^(1/2))/2π
(記号^はべき乗を表す)
なお、Mは、音響管36の音響質量に関連する要素であり、Cは、内部空間34の容積に関連する要素である。バスレフ共振により、振動板32aおよび振動板33aによる音圧の増加、および、振動板32aおよび振動板33aの振幅の減少が、効果的に起こり得る。
本実施の形態では、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の重低音域の音圧を増加するために、バスレフ共振周波数は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33が好適に音声を再生可能である周波数帯域以下である重低音域の所定の周波数に設定される。この場合、低いバスレフ共振周波数に対応するように、要素Mおよび要素Cを大きくする必要がある。なお、上記重低音域の所定の周波数は、例えば、30Hzから50Hzまでの範囲、およびその近傍の音の周波数帯域とすることができるが、本開示はこれらの数値に限定されない。
また、本実施の形態では、上述のようなバスレフ共振周波数に対応する要素Mおよび要素Cの決定を、要素Cを相対的に小さくして行っている。具体的には、要素Cに関連する内部空間34の容積を、例えば800立方cm程度の比較的小さい容積に予め設定し、要素Mを相対的に大きくしている。つまり、本実施の形態では、音響質量が相対的に大きくなるように音響管36が構成される。そして、音響質量を大きくするために、音響管36は、内径が相対的に小さく、管長が相対的に長尺であるように構成される。
また、音響管36内の空気速度である管内速度が上昇することで、ノイズが発生しやすくなる。このため、バスレフ共振により管内速度が最大となるときの周波数が、所定の周波数(例えば、音声および音楽の信号にほとんど含まれない超低音域の周波数)となるように、音響管36は構成されてもよい。このとき、音響管36は、管長が相対的に長尺であるように構成される。なお、超低音域とは、例えば、10Hzから30Hzまでの範囲およびその近傍の音の周波数帯域とすることができる。
また、上述の説明では、音響管36の内径は、音響質量を大きくするために、相対的に小さく設定されるとしたが、音響管36の内径は、長尺な音響管36の内部を通る空気に与える抵抗を抑えるようにも考慮されて設定される。
上述のような条件に基づき、音響管36の内径および管長が決定される。例えば、本実施の形態では、内部空間34の容積を800立方cm、バスレフ共振周波数を40Hzとした場合に、音響管36を、内径を16mm、管長を450mmに設定して構成することができる。そして、このような相対的に長尺の音響管36を、比較的小さい内部空間34内に収めるために、音響管36は、曲げられている。
また、上述のような音響管36および内部空間34の構成により、バスレフ共振周波数およびその近傍の周波数帯域において、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aおよび下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aの振幅は小さく抑えられる。バスレフ共振周波数およびその近傍の周波数帯域において振動板32aおよび振動板33aの振幅が相対的に小さくなる場合に、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33に対して、上記周波数帯域の音圧を電気的に増加させるようなブースト制御を行うことで、再生される音声における歪みを抑えることができる。一方、バスレフ共振周波数およびその近傍の周波数帯域において振動板32aおよび振動板33aの振幅が相対的に大きい状態で、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33に対して上記のブースト制御が行われると、音声が歪みを含むようになる。
さらに、音響管36および音響ポート35の形状は、内面の粘性抵抗を低減するように、円形等の滑らかな形状に設定されてもよい。
また、音響管36の曲がりが相対的に急な場合、内部を流れる空気による摩擦ノイズ(すなわち、風切り音)が、相対的に増大する。このノイズを抑制するために、音響管36の曲がりは、相対的に滑らかにされてもよく、音響管36の曲がり角度および曲がり半径は、相対的に大きく設定されてもよい。さらにまた、音響管36の曲がりは、一様にされてもよい。例えば、本実施の形態に示すように、音響管36を、スピーカ筐体31の側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dに内接する程度の、できるだけ大きい外径を有し、らせん状に延伸する形状とすることによって、スピーカ装置1は上述した条件を満たすことができる。さらに、音響管36をらせん状にすることで、音響管36が内部空間34内で占める領域を小さくすることもできる。
また、音響管36は、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aと下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aとの間に介在して配置されるため、振動板32aの振動波と振動板33aの振動波とを拡散させることができ、振動波同士が干渉するのを抑制することができる。これにより、振動板32aの振動波と振動板33aの振動波とが干渉して定在波が生じるのを低減することができる。なお、定在波は、内部空間34の空気の共振に影響を及ぼすので抑制されることが望ましい。
図10に示す回路基板52に搭載された回路は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の動作を制御するものであるが、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33のそれぞれの動作に電気的にブーストをかける制御を行うこともできる。具体的には、バスレフ共振によって上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aおよび下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aにおける振幅が低くなる周波数帯域において、回路基板52に搭載された回路は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33へ供給する信号の電圧を大きくすることによって、振動板32aおよび振動板33aの音圧を増大させるためのブースト制御を行う。回路基板52(または、回路基板52に搭載された回路)は、ブースト制御部の一例である。
上述のような構成を有する上側ディフューザ部20、ウーハスピーカ部30および下側ディフューザ部40を備えたウーハ部60は、上側ウーハスピーカユニット32が比較的小口径の振動板32aを有し、下側ウーハスピーカユニット33が比較的小口径の振動板33aを有するものであっても、大口径の振動板を有するスピーカと同様に、低音を低歪で再生することができる。
次に、図11および図12を参照しながら、ツイータ部10の詳細な構成を説明する。
図11は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備えるツイータ部10の一構成例を模式的に示す斜視図である。なお、図11は、図6に示したスピーカ装置1のツイータ部10を、図6とは別の方向から見た斜視図である。
図12は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備えるツイータ部10の一構成例を模式的に示す上面図である。なお、図12は、図11に示すツイータ部10を上方から見た上面図であり、指向性制御ホーン13の上壁13cを除去して示す図である。
ツイータフレーム11内には、3つのツイータユニット12と3つの指向性制御ホーン13とに加えて、ツイータユニット12を制御するための回路が搭載されたツイータ回路基板14が設けられている。ツイータ回路基板14は、図6に示した上側ディフューザ部20の上側フレーム21に取り付けられている。ツイータ回路基板14に搭載された回路は、3つのツイータユニット12に電気的に接続され、ツイータユニット12の動作を制御するように構成されている。以下、便宜的に、3つのツイータユニット12のそれぞれを、第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122および第三ツイータユニット123とも呼ぶ。さらに、第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122および第三ツイータユニット123のそれぞれに取り付けられる3つの指向性制御ホーン13のそれぞれを、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133とも呼ぶ。
第一ツイータユニット121および第一指向性制御ホーン131はスピーカ装置1の前面1aに向かう方向に向きが設定され、第二ツイータユニット122および第二指向性制御ホーン132はスピーカ装置1の側面1bに向かう方向に向きが設定され、第三ツイータユニット123および第三指向性制御ホーン133はスピーカ装置1の側面1cに向かう方向に向きが設定されている。したがって、第一ツイータユニット121および第一指向性制御ホーン131と、第二ツイータユニット122および第二指向性制御ホーン132と、第三ツイータユニット123および第三指向性制御ホーン133とは、それぞれの向きが、XY平面に実質的に平行な面上(スピーカ装置1が水平面に平行な載置面に載置されている場合は、水平方向)において互いに実質的に直交するように、配置されている。さらに、第二ツイータユニット122および第二指向性制御ホーン132と、第三ツイータユニット123および第三指向性制御ホーン133とは、それぞれの向きが互いに実質的に反対方向となるように、配置されている。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれは、上側ディフューザ部20(図6参照)側に配置された扇形状の底壁13dと、底壁13dに対向する位置に配置された扇形状の上壁13cと、上壁13cと底壁13dとの間に配置された側壁13aおよび側壁13bと、を含む。上壁13cと底壁13dとは、鏡像のような、実質的に対称な形状となっている。側壁13aと側壁13bとは、鏡像のような、実質的に対称な形状となっている。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133は、それぞれの側壁13a、側壁13b、上壁13cおよび底壁13dにより、矩形断面を有するラッパ状の形状に形成されている。
さらに、第一指向性制御ホーン131の側壁13a、側壁13b、上壁13cおよび底壁13dは、第一ツイータユニット121が取り付けられる開口部13eと、第一ツイータユニット121による再生音の放出方向である前面1a側の開口部13fと、を形成している。
また、第二指向性制御ホーン132の側壁13a、側壁13b、上壁13cおよび底壁13dは、第二ツイータユニット122が取り付けられる開口部13eと、第二ツイータユニット122による再生音の放出方向である側面1b側の開口部13fと、を形成している。
また、第三指向性制御ホーン133の側壁13a、側壁13b、上壁13cおよび底壁13dは、第三ツイータユニット123が取り付けられる開口部13eと、第三ツイータユニット123よる再生音の放出方向である側面1c側の開口部13fと、を形成している。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133の内側には、それぞれの側壁13a、側壁13b、上壁13cおよび底壁13dにより、開口部13eから開口部13fに向かってラッパ状に拡がる拡散経路13gが形成されている。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133は、それぞれの拡散経路13gの中心軸13gcがXY平面に沿うように、それぞれの向きが設定されている。なお、図11では、第一指向性制御ホーン131の拡散経路13gにおける中心軸13gcのみを一点鎖線で示し、他の中心軸13gcは図示を省略している。なお、中心軸13gcは、側壁13aおよび側壁13bのそれぞれから等距離にあり、上壁13cおよび底壁13dのそれぞれからも等距離にある軸である。これにより、スピーカ装置1が水平面に平行な載置面上に載置されたとき、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133の各中心軸13gcは、水平面に実質的に平行になる。すなわち、スピーカ装置1が通常の使用状態で使用されているとき、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133の各中心軸13gcは、水平方向に実質的に平行になる。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれの上壁13cは、拡散経路13gが開口部13eから開口部13fに向かってZ軸方向に拡大するように、上側ディフューザ部20の反対側(天板3側)へ傾斜している。さらに、各上壁13cは、拡散経路13gが開口部13eから開口部13fに向かってXY平面に沿う方向に拡大するように、幅が増加している。開口部13fにおいて、各上壁13cは、隣り合う2つの支柱部11bにまで幅が拡がっている。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれの底壁13dは、拡散経路13gが開口部13eから開口部13fに向かってZ軸方向に拡大するように、上側ディフューザ部20側へ傾斜している。さらに、各底壁13dは、拡散経路13gが開口部13eから開口部13fに向かってXY平面に沿う方向に拡大するように、幅が増加している。開口部13fにおいて、各底壁13dは、隣り合う2つの支柱部11bにまで幅が拡がっている。
なお、底壁13dは、開口部13eから開口部13fに向かって、上側ディフューザ部20側へ傾斜せずに、XY平面に実質的に平行になるように形成されてもよく、あるいは、上側ディフューザ部20の反対側へ傾斜するように形成されてもよい。実施の形態1では、上壁13cは、開口部13eから開口部13fに向かって、上側ディフューザ部20の反対側へ傾斜している。そのため、スピーカ装置1が水平面に実質的に平行な載置面上に載置されたとき、すなわちスピーカ装置1が通常の使用状態にあるとき、指向性制御ホーン13は、ツイータユニット12が再生する音を、底壁13dから上壁13cに向かうZ軸上方向へ拡散するように指向する。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれの側壁13aおよび側壁13bは、拡散経路13gを、開口部13eから開口部13fに向かってXY平面に沿う方向に拡大するように、上壁13cおよび底壁13dの縁に沿って形成されている。側壁13aは、開口部13eから開口部13fに向かう途中に曲がり部13aaを含み、側壁13bは、開口部13eから開口部13fに向かう途中に曲がり部13baを含んでいる。側壁13aおよび側壁13bのそれぞれは、開口部13eから開口部13fに向かって互いの離間距離が増大するように、曲がり部13aaおよび曲がり部13baにおいて屈曲している。したがって、開口部13eから開口部13fに向かう拡散経路13gの幅の増加率は、開口部13eから曲がり部13aaおよび曲がり部13baまでよりも、曲がり部13aaおよび曲がり部13baから開口部13fまでの方が大きい。
上述のような構成を有する第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれは、第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122および第三ツイータユニット123が再生する音を、側壁13aおよび側壁13bに沿う方向(XY平面に沿う方向)と、上壁13cおよび底壁13dに沿う方向(Z軸方向)と、に拡散することができる。さらに、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれが、上述したような屈曲した側壁13aおよび側壁13bを有することによって、XY平面に沿う方向(例えば、水平方向)での音の指向範囲の制御が可能となる。すなわち、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれは、第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122および第三ツイータユニット123のそれぞれが再生する音の大部分を、所定の指向角(例えば水平方向に90度、等)の指向範囲内に制限しつつ、拡散するように、音の指向を制御することができる。
この動作を、図12を用いて具体的に説明する。図12に示すように、第一指向性制御ホーン131は、第一ツイータユニット121が再生する音の大部分を、第二指向性制御ホーン132は、第二ツイータユニット122が再生する音の大部分を、第三指向性制御ホーン133は、第三ツイータユニット123が再生する音の大部分を、XY平面に沿う方向において、指向角αの指向範囲A内に制限しつつ、拡散するように、それぞれ構成されている。本実施の形態では、指向範囲Aを、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれに対して、線分L1と線分L2との間の領域としてもよい。なお、線分L1および線分L2は、拡散基準点Cから、開口部13fの両端、具体的には支柱部11bの中央、を通る線分である。また、拡散基準点Cは、第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122および第三ツイータユニット123の背部に設定される仮想点である。図12では、線分L1および線分L2を一点鎖線で示す。そして、線分L1と線分L2とがなす角度が、指向角αである。
なお、本実施の形態では、指向角αを90度としている。指向角αの指向性制御ホーン13(第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133)を設計するときに、全ての周波数の音を指向角αの指向範囲A内に指向するように設計することは、必ずしも要求されない。第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれは、ツイータユニット12(第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122、または第三ツイータユニット123)が再生可能な周波数の音、またはツイータユニット12が好適に再生可能な周波数の音、またはツイータユニット12が通常再生する周波数の音、を指向範囲A内に指向するように設計されてもよい。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133は、XY平面に沿う方向において、それぞれの指向範囲Aが、互いに隣接するが実質的にラップしないように、配置されている。これにより、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれを介して放出される第一ツイータユニット121の再生音、第二ツイータユニット122の再生音および第三ツイータユニット123の再生音は、互いの干渉が抑えられる。その結果、スピーカ装置1は、第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122および第三ツイータユニット123の各再生音を、スピーカ装置1の背面1dを除く前面1a、側面1bおよび側面1cの各方向、すなわちXY平面において270度にわたる広い指向範囲に、途切れのない略均等な音圧で放出することができる。すなわち、通常の使用状況下にあるスピーカ装置1は、水平方向の270度にわたって実質的に無指向な音の再生が可能である。
なお、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれの指向範囲Aが、互いに隣接するが実質的にラップしない、とは、以下に挙げる3つのケースを含む。
第1のケースは、隣り合う指向範囲Aの間にわずかに隙間があるケースである。しかし、この隙間は、指向範囲Aとその隙間の領域との間における音圧、音質等の変化が、計測結果に実質的に変化として表れない程度のものである。
第2のケースは、隣り合う指向範囲Aが、隙間なくかつ重なりもなく、直接的に隣接するケースである。
第3のケースは、隣り合う指向範囲Aが互いにわずかに重なるケースである。しかし、この重なりは、指向範囲Aと比較した場合の、重なりの領域における干渉による音圧、音質等の変化が、計測結果に実質的に変化として表れない程度のものである。
[1−3.スピーカ装置の実施例]
ウーハ部の特性を、本実施の形態におけるスピーカ装置1の1つの実施例1と、バスレフ型でなく密閉型のスピーカ装置の比較例1と、で比較検討した。
実施例1では、ウーハ部60は、スピーカ筐体31の内部容積を800立方cm、音響ポート35および音響管36の直径を16mm、音響管36の長さを450mmとした。さらに、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33は、口径を8cm、周波数帯域を100Hz〜5000Hzとした。そして、バスレフ共振周波数は、40Hzとした。スピーカ筐体31の内部寸法は、X軸方向の幅を約9cm、Y軸方向の奥行きを約9cm、Z軸方向の高さを約10cmとした。
比較例1では、実施例1に対して、音響ポート35および音響管36を備えずに、スピーカ筐体を密閉された構造とした。さらに、スピーカ筐体の内部容積は800立方cmとした。比較例1におけるその他の構成は、実施例1と同様である。
図13は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備えるウーハ部60の音圧と周波数との関係の一例を模式的に示す図である。図13には、実施例1と比較例1とについて、2つのウーハスピーカユニットを備えるウーハ部の音圧と周波数との関係を、実施例1は実線のグラフで、比較例1は破線のグラフで、示している。なお、図13において、縦軸は音圧(単位:dB)を表し、横軸は周波数(単位:Hz)を表す。
図14は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備えるウーハスピーカユニットの振動板の振幅と周波数との関係の一例を模式的に示す図である。図14には、実施例1と比較例1とについて、ウーハ部のウーハスピーカユニットの振動板の振幅と周波数との関係を、実施例1は実線のグラフで、比較例1は破線のグラフで示している。なお、図14では、縦軸は振幅(単位:mm)を表し、横軸は周波数(単位:Hz)を表す。
図15は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備えるウーハスピーカユニットのインピーダンスと周波数との関係の一例を模式的に示す図である。図15には、実施例1と比較例1とについて、ウーハ部のウーハスピーカユニットのインピーダンスと周波数との関係を、実施例1は実線のグラフで、比較例1は破線のグラフで示している。なお、図15では、縦軸はインピーダンス(単位:Ω)を表し、横軸は周波数(単位:Hz)を表す。
図13に示すように、実施例1では、バスレフ共振周波数である40Hz付近の周波数帯域において、バスレフ共振による影響によって、ウーハ部60(低音域)の音圧が、比較例1よりも増大している。
一方、図14に示すように、バスレフ共振周波数である40Hz付近の周波数帯域において、実施例1でのウーハスピーカユニットの振動板の振幅は、比較例1よりも大幅に小さく抑えられている。このように、実施例1では、40Hz付近の重低音領域で、振動板の振幅が抑えられることにより、音質および音の信頼性の確保が可能になる。
また、図15に示すように、実施例1でのウーハスピーカユニットのインピーダンスは、バスレフ共振による振動板速度の影響を受け、低域に2つのピークが発生する。比較例1のインピーダンスは、スピーカ筐体が密閉構造であり共振系が1つのため、ピークは1つのみである。実施例1においては、2つのピーク間にバスレフ共振周波数がある。そして、その周波数付近のインピーダンスがより低いほど、効率よく振動板の振幅を小さく抑えることができる。
[1−3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、スピーカ装置は、スピーカ筐体と、スピーカ筐体の第一壁部に設けられた第一スピーカユニットと、スピーカ筐体の内部と外部とを連通する音響管と、を備える。音響管は、所定の長さを有し、スピーカ筐体内にらせん状に曲げられて収められる。
なお、スピーカ装置1はスピーカ装置の一例である。スピーカ筐体31はスピーカ筐体の一例である。上壁31eおよび下壁31fの一方は、第一壁部の一例である。上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の一方は、第一スピーカユニットの一例である。音響管36は音響管の一例である。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1は、スピーカ筐体31と、スピーカ筐体31の上壁31e(または、下壁31f)に設けられた上側ウーハスピーカユニット32(または、下側ウーハスピーカユニット33)と、スピーカ筐体31の内部と外部とを連通する音響管36と、を備える。音響管36は、所定の長さを有し、スピーカ筐体31内にらせん状に曲げられて収められている。上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33は、スピーカ筐体31の内部および外部に臨むようにスピーカ筐体31に取り付けられてもよい。
このように構成されたスピーカ装置1において、スピーカ筐体31内の気体(すなわち、内部空間34内の気体)は、上側ウーハスピーカユニット32(または、下側ウーハスピーカユニット33)が振動することによって、特定の周波数で共振する。スピーカ装置1は、スピーカ筐体31内の気体の共振により、共振周波数付近で音圧を上昇させることができる。スピーカ筐体31内の気体の共振周波数は、音響管36の長さに応じて変化する。そして、スピーカ装置1は、スピーカ筐体31内に、音響管36をらせん状に曲げて収めているので、音響管をらせん状に曲げない場合と比較して、音響管36の長さを長くすることができる。したがって、共振周波数を目標の周波数に設定するために音響管36を比較的長く形成する必要がある場合でも、スピーカ装置1は、相対的に長さが長い音響管36をスピーカ筐体31内に収めることができる。これにより、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aの振幅(または、下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aの振幅)を重低音域で低下させることができる。さらに、音響管36をらせん状にすることによって、音響管36の曲がりを大きくしかつ曲がりを一様にすることができる。これにより、音響管36の曲がり部分で発生するノイズを抑えることができる。
スピーカ装置において、音響管の所定の長さは、スピーカ筐体内の気体の共振により音響管内の気体の速度が最大になるときのスピーカユニットの周波数が、所定の周波数よりも低くなるように、設定されてもよい。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1において、音響管36の所定の長さは、スピーカ筐体31内の気体の共振により音響管36内の気体の速度(管内速度)が最大になるときの上側ウーハスピーカユニット32(または、下側ウーハスピーカユニット33)の周波数が、所定の周波数よりも低くなるように、設定される。
スピーカ装置1では、音響管36内の気体の速度(管内速度)が上昇すると、ノイズが発生しやすくなる。ノイズが最大となる(すなわち、音響管36内の気体の速度(管内速度)が最大となる)ときの上側ウーハスピーカユニット32(または、下側ウーハスピーカユニット33)の周波数を、所定の周波数よりも低くする(例えば、上側ウーハスピーカユニット32または下側ウーハスピーカユニット33が再生可能な音をほとんど含まない低音の周波数帯域にまで低くする)ことによって、ユーザに可聴されるノイズを大幅に低減することができる。このときの所定の周波数は、例えば、上側ウーハスピーカユニット32または下側ウーハスピーカユニット33が再生可能な最も低い音以下の低音の周波数であってもよい。
スピーカ装置は、第一壁部に対向するスピーカ筐体の第二壁部に設けられた第二スピーカユニットをさらに備えてもよい。
なお、上壁31eおよび下壁31fの他方は、第二壁部の一例である。上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の他方は、第二スピーカユニットの一例である。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1は、スピーカ筐体31の上壁31eに設けられた上側ウーハスピーカユニット32と、上壁31eに対向するスピーカ筐体31の下壁31fに設けられた下側ウーハスピーカユニット33と、を備える。
このように構成されたスピーカ装置1では、複数のウーハスピーカユニット(上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33)が設けられることによって、それらのウーハスピーカユニットが小型であっても、高い音圧での音の再生が可能になる。
スピーカ装置において、音響管は、互いに反対向きに配置された第一スピーカユニットと第二スピーカユニットとの間に配置されてもよい。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1において、音響管36は、対向して配置される(すなわち、互いに反対向きに配置される)上側ウーハスピーカユニット32と下側ウーハスピーカユニット33との間に配置される。
このように構成されたスピーカ装置1では、音響管36は、対向して配置される上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aおよび下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aのそれぞれが発生する振動波同士の干渉を抑え、振動波同士の干渉により生じる定在波の発生を抑えることができる。したがって、スピーカ装置1では、定在波によるスピーカ筐体31内の気体の共振への影響を、抑えることができる。
スピーカ装置において、第一スピーカユニットおよび第二スピーカユニットの少なくとも一方の少なくとも一部は、音響管のらせんの内側に配置されてもよい。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1において、上側ウーハスピーカユニット32の一部および下側ウーハスピーカユニット33の一部が、音響管36のらせんの内側に配置されている。
このように構成されたスピーカ装置1では、上側ウーハスピーカユニット32と下側ウーハスピーカユニット33との間の距離を低減することが可能となる。そのため、上壁31eから下壁31fに向かう方向(Z軸方向)でのスピーカ筐体31の小型化が可能になる。なお、スピーカ装置1においては、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の全てが、音響管36のらせんの内側に配置されてもよい。
スピーカ装置において、音響管は、第一壁部に対向するスピーカ筐体の第二壁部と第一壁部との間に形成されたスピーカ筐体の側壁部に近接するように、らせん状に延伸してもよい。
なお、側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dは、それぞれが側壁部の一例である。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1において、音響管36は、上壁31eと下壁31fとの間に形成されたスピーカ筐体の側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dのそれぞれに近接するように、らせん状に延伸する。
このように構成されたスピーカ装置1では、音響管36のらせんの径を相対的に大きくすることができる。これにより、スピーカ装置1では、音響管36の曲がりの径が相対的に大きくなり曲がりが相対的に緩くなるため、音響管36の曲がり部分で発生するノイズを抑えることができる。
スピーカ装置は、スピーカ筐体内の気体の共振周波数および共振周波数近傍の周波数帯域にスピーカユニットの周波数があるときのスピーカユニットの音圧を高めるように、スピーカユニットを制御するブースト制御部、をさらに備えてもよい。
なお、回路基板52(または、回路基板52に搭載された回路)は、ブースト制御部の一例である。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1は、スピーカ筐体31内の気体の共振周波数および共振周波数近傍の周波数帯域に上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の周波数があるときの上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の音圧を高めるように、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33をブースト制御する回路を搭載した回路基板52を備える。
スピーカ装置1では、共振周波数および共振周波数近傍の周波数帯域に上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の周波数があるときに、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aおよび下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aの振幅が小さくなる。しかし、スピーカ装置1では、ブースト制御により、振動板32aおよび振動板33aの振幅が小さくなる周波数帯域の音圧が高められるので、ブーストによる音圧上昇後の音質の確保が可能である。
スピーカ装置は、スピーカ筐体の外部の、第一スピーカユニットに対向する位置に設けられ、第一スピーカユニットから出力される音を所定の方向に拡散するディフューザ体、をさらに備えてもよい。
なお、ディフューザ体22、ディフューザ体42は、それぞれがディフューザ体の一例である。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1は、スピーカ筐体31の外部の、上側ウーハスピーカユニット32に対向する位置に設けられ、上側ウーハスピーカユニット32から出力される音を所定の方向に拡散するディフューザ体22を備える。また、スピーカ装置1は、スピーカ筐体31の外部の、下側ウーハスピーカユニット33に対向する位置に設けられ、下側ウーハスピーカユニット33から出力される音を所定の方向に拡散するディフューザ体42を備える。
このように構成されたスピーカ装置1では、上側ウーハスピーカユニット32による再生音を所定の方向に広域に拡散することができ、下側ウーハスピーカユニット33による再生音を所定の方向に広域に拡散することができる。したがって、スピーカ装置1は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33による再生音の指向範囲を拡げることができる。さらに、ディフューザ体22またはディフューザ体42は、上側ウーハスピーカユニット32または下側ウーハスピーカユニット33から放出される音を、自身に衝突させることによって方向を変えて拡散してもよい。
スピーカ装置において、所定の方向は、第一壁部がスピーカ筐体の上部または下部に位置するようにスピーカ装置が設置されたとき、スピーカ装置を中心とした水平方向に360度にわたる方向であってもよい。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1において、ディフューザ体22およびディフューザ体42が音を拡散する方向(所定の方向)は、上壁31e(または、下壁31f)がスピーカ筐体31の上部(または、下部)に位置するようにスピーカ装置1が設置されたとき(すなわち、水平面に平行な載置面にスピーカ装置1が載置されたとき)、スピーカ装置1を中心とした水平方向に360度にわたる方向である。
このように構成されたスピーカ装置1では、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33からの再生音は、スピーカ装置1の周囲全体にわたる広域な範囲に拡散される。
本実施の形態におけるスピーカ装置1は、複数のツイータユニット12と、複数のツイータユニット12のそれぞれに取り付けられツイータユニット12が放出する音の拡がりを所定の指向範囲内に制限する複数の指向性制御ホーン13と、を備える。さらに、隣り合う指向性制御ホーン13は、互いの指向範囲が実質的に重ならないように隣接して、配置される。このように構成されたスピーカ装置1では、複数のツイータユニット12による再生音は、複数の指向性制御ホーン13によって、複数の指向範囲にわたって拡散される。さらに、スピーカ装置1では、複数の互いに異なる向きの指向性制御ホーン13のそれぞれから放出される音が互いに干渉することが抑えられる。また、各ツイータユニット12による再生音は、指向性制御ホーン13によって指向範囲がそれぞれ制限されるため、広い範囲にわたり、一定の音圧を維持した状態で放出される。したがって、複数の指向性制御ホーン13から放出される音は、乱れが抑えられて広範囲に拡散される。これにより、ユーザは、ツイータユニット12による再生音を、相対的に広い範囲の受聴位置で、変化の少ない音質で聴くことが可能になる。
本実施の形態におけるスピーカ装置1では、各指向性制御ホーン13は、略水平方向に、それぞれの指向範囲が互いに隣接するように配置される。このように構成されたスピーカ装置1は、複数の指向性制御ホーン13によって、水平方向に広く音を拡散することができる。したがって、スピーカ装置1では、ツイータユニット12による再生音の、水平方向での指向性の低減が可能になる。
本実施の形態におけるスピーカ装置1は、ツイータ部10と、ウーハ部60と、を一体化して含む。そして、スピーカ装置1では、スピーカ筐体31の上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33のそれぞれを、重低音領域の音質を向上するように構成し、指向性制御ホーン13を有するツイータユニット12を、高音領域の音質を向上するように構成することによって、重低音領域から高音領域にわたって、再生音の音質の向上が可能になる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および下記の他の実施の形態で説明する各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ウーハスピーカ部30が、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の2つのウーハスピーカユニットを備える構成例を示した。しかし、本開示はこの構成例に限定されない。ウーハスピーカ部30が備えるウーハスピーカユニットは、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ウーハスピーカ部30が備える音響管36を、円形断面を有しかつ滑らに湾曲して形成されたらせん状の管とする構成例を示した。しかし、本開示はこの構成例に限定されない。音響管36は、所定の管の長さおよび所定の管の内部断面積を有するものであってよい。音響管36の内部断面形状は、円形に限定されず、矩形等の多角形、または楕円、または長円形、等あってもよい。また、音響管36の形状は、らせん状に限定されず、内部空間34内に収めることができれば、いかなる形状であってもよい。音響管36は、曲がりを伴う形状の場合、例えば、渦巻き形状であってもよく、内部空間34内をZ軸方向に往復する形状、X軸若しくはY軸方向に往復する形状、または、これらを組み合わせた形状であってもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ウーハスピーカ部30が備える音響管36の全てが、スピーカ筐体31の内部空間34内に含まれている構成例を説明した。しかし、本開示はこの構成例に限定されない。音響管36は、その一部がスピーカ筐体31の外部に延びていてもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ツイータ部10が、ツイータユニット12および指向性制御ホーン13の組を3組備えた構成例を説明した。しかし、本開示はこの構成例に限定されない。ツイータ部10が備えるツイータユニット12および指向性制御ホーン13の組は、2組であってもよく、4組であってもよい。例えば、ツイータ部10が、ツイータユニット12および指向性制御ホーン13の組を4組備える構成例では、ツイータ部10は、スピーカ装置1の周りに、水平方向の360度にわたって実質的に無指向な音の再生が可能になる。ツイータ部10が、ツイータユニット12および指向性制御ホーン13の組を2組備える構成例では、指向性制御ホーン13の指向角を変更することによって、広域にわたって無指向な音の再生が可能である。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ツイータ部10が、90度の指向角を有する3つ指向性制御ホーン13を備えた構成例を説明した。しかし、本開示はこの構成例に限定されない。指向性制御ホーン13の指向角は、90度以外であってもよい。実施の形態1ではツイータユニット12の向きを互いに直角にして配置する構成例を示したが、そうでない場合には、指向性制御ホーン13の指向角は90度以外の角度であってもよい。また、複数の指向性制御ホーン13の指向角が互いに異なっていてもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1のツイータ部10において、3つの指向性制御ホーン13は、それぞれの中心軸13gcがXY平面に沿うように配置される構成例を示した。しかし、本開示はこの構成例に限定されない。ツイータ部10において、指向性制御ホーン13の中心軸13gcはどのような平面に沿っていてもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ウーハ部60の上にツイータ部10が配置された構成例を示した。しかし、本開示は、この構成例に限定されない。ウーハ部60とツイータ部10との配置形態および配置順序は、いかなるものであってもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1のウーハ部60において、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33が上下に配置された構成例を示した。しかし、本開示は、この構成例に限定されない。ウーハ部60は、いかなる向きで配置されてもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1が、ツイータ部10とウーハ部60とを一体化して含む構成例を示した。しかし、本開示は、この構成例に限定されない。スピーカ装置1は、ツイータ部10およびウーハ部60のうちの一方のみを含む構成であってもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、回路基板52(図10参照)に搭載された回路が、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33にブーストをかけて音圧を上昇させる制御(ブースト制御)を行う構成例を示した。しかし、本開示は、この構成例に限定されない。上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33のブースト制御は、スピーカ装置1の外部の機器によって行われてもよい。例えば、音楽プレーヤ101が、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33をブースト制御してもよい。その場合の構成例を図16に示す。
図16は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備えるウーハスピーカユニットのブースト制御に係る構成要素の一構成例を示すブロック図である。上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33のブースト制御が、音楽プレーヤ101によって行われる場合、図16のブロック図に示されるように、音楽プレーヤ101は、ブースト制御を行うブースト回路101aと、アンプ101bと、を備える。ブースト回路101aは、音楽プレーヤ101が備えるCDプレーヤまたはラジオ等の音楽ソース101c、または音楽プレーヤ101が通信する外部機器等の外部音楽ソース201、から受け取る信号にブーストをかける。アンプ101bは、ブーストがかけられた信号を増幅してスピーカ装置1の上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33に送信する。スピーカ装置1を備えた音響システム100は、このように構成されてもよい。このとき、回路基板52に搭載された回路は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の制御機能を有していなくてもよい。回路基板52は、音楽プレーヤ101からスピーカ装置1に接続された信号線(リード)と上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33との電気的な接続を中継する中継基板としての機能だけを有するように構成されてもよい。さらに、回路基板52は、音楽プレーヤ101からスピーカ装置1に接続されたリードとツイータユニット12との電気的な接続を中継してもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ツイータ部10のツイータ回路基板14(図12参照)に搭載された回路が、ツイータユニット12を制御する構成例を示した。しかし、本開示は、この構成例に限定されない。ツイータユニット12の制御は、スピーカ装置1の外部の機器によって行われてもよい。例えば、音楽プレーヤ101が、ツイータユニット12を制御してもよい。このとき、ツイータ回路基板14は、音楽プレーヤ101からスピーカ装置1に接続されたリード、または、音楽プレーヤ101から台座筐体51の回路基板52を経由して延伸するリードと、ツイータユニット12と、の電気的な接続を中継する中継基板としての機能だけを有するように構成されてもよい。
なお、本実施の形態では、「スピーカユニットの周波数」といった表現を用いたが、これは、「スピーカユニットで再生中の音の周波数」または「スピーカユニットで再生される音の周波数」の意味である。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本開示は、スピーカ装置、およびスピーカ装置を備える機器に適用可能である。具体的には、本開示は、音楽プレーヤを備える音響システム、テレビ等のモニタを備える音響映像システム、パーソナルコンピュータ等の様々なスピーカ装置を備える機器に適用可能である。
1 スピーカ装置
1a 側面(前面)
1b,1c 側面
1d 側面(背面)
1e 頂面
1f 底面
2 外装ネット
3 天板
10 ツイータ部
11 ツイータフレーム
11a 上縁部
11b 支柱部
11c 背面壁部
12 ツイータユニット
13 指向性制御ホーン
13a,13b 側壁
13aa,13ba 曲がり部
13c 上壁
13d 底壁
13e,13f 開口部
14 ツイータ回路基板
20 上側ディフューザ部
21 上側フレーム
21a 支柱部
21b 支持プレート部
22,42 ディフューザ体
22a,42a 拡散部
30 ウーハスピーカ部
31 スピーカ筐体
31a,31b,31c,31d 側壁
31e 上壁
31f 下壁
32 上側ウーハスピーカユニット
32a,33a 振動板
33 下側ウーハスピーカユニット
34 内部空間
35 音響ポート
35a ポート板
36 音響管
36a フランジ
36b 端部
37 吸音材
40 下側ディフューザ部
41 下側フレーム
41a 支柱部
41b 梁部
50 台座部
51 台座筐体
52 回路基板
60 ウーハ部
100 音響システム
101 音楽プレーヤ
101a ブースト回路
110 操作部
101b アンプ
101c 音楽ソース
121 第一ツイータユニット
122 第二ツイータユニット
123 第三ツイータユニット
131 第一指向性制御ホーン
132 第二指向性制御ホーン
133 第三指向性制御ホーン
201 外部音楽ソース
A 指向範囲
C 拡散基準点
L1,L2 線分
本開示は、スピーカ装置に関する。
特許文献1は、バスレフ型のスピーカ装置を開示する。特許文献1に開示されるスピーカ装置は、エンクロージャーと、スピーカユニットと、ダクトとを、備えている。スピーカユニットは、エンクロージャー内部に配置されてエンクロージャーに取り付けられる。ダクトは、エンクロージャー内部に配置されてエンクロージャー内部とエンクロージャー外部とを通気する。このスピーカ装置では、スピーカユニットが所定の低域周波数で振動した場合にダクト内の空気が共振する。これにより、このスピーカ装置では、低域の音声出力が増強される。
本開示は、音質を向上できるスピーカ装置を提供する。
本開示におけるスピーカ装置は、スピーカ筐体と、スピーカ筐体の第一壁部に設けられた第一スピーカユニットと、スピーカ筐体の内部と外部とを連通する音響管と、を備える。音響管は、所定の長さを有し、スピーカ筐体内にらせん状に曲げられて収められている。
本開示におけるスピーカ装置は、音質を向上できる。
図1は、実施の形態1におけるスピーカ装置を備えた音響システムの一構成例を模式的に示す図である。
図2は、実施の形態1におけるスピーカ装置の一構成例を模式的に示す斜視図である。
図3は、実施の形態1におけるスピーカ装置の一構成例を模式的に示す斜視図である。
図4は、実施の形態1におけるスピーカ装置の一構成例を模式的に示す斜視図である。
図5は、実施の形態1におけるスピーカ装置の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。
図6は、実施の形態1におけるスピーカ装置の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。
図7は、実施の形態1におけるスピーカ装置の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。
図8は、実施の形態1におけるスピーカ装置の内部構造の一例を模式的に示す側面図である。
図9は、実施の形態1におけるスピーカ装置の音響管の一構成例を模式的に示す斜視図である。
図10は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備える台座部およびその周辺の一構成例を模式的に示す側面図である。
図11は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備えるツイータ部の一構成例を模式的に示す斜視図である。
図12は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備えるツイータ部の一構成例を模式的に示す上面図である。
図13は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備えるウーハ部の音圧と周波数との関係の一例を模式的に示す図である。
図14は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備えるウーハスピーカユニットの振動板の振幅と周波数との関係の一例を模式的に示す図である。
図15は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備えるウーハスピーカユニットのインピーダンスと周波数との関係の一例を模式的に示す図である。
図16は、実施の形態1におけるスピーカ装置が備えるウーハスピーカユニットのブースト制御に係る構成要素の一構成例を示すブロック図である。
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明、および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同じ構成要素については同じ符号を付し、説明を省略または簡略化する場合がある。
(実施の形態1)
以下、図1〜図15を参照しつつ、実施の形態1におけるスピーカ装置と、そのスピーカ装置を備える音響システムと、について説明する。
[1−1.音響システムの全体構成]
図1は、実施の形態1におけるスピーカ装置1を備えた音響システム100の一構成例を模式的に示す図である。図1には、音響システム100を正面側から見た斜視図を示す。なお、本実施の形態では、音楽プレーヤ101の操作部110が設けられた側を正面とする。
音響システム100は、1つの音楽プレーヤ101と、2つのスピーカ装置1と、を備える。なお、音楽プレーヤ101およびスピーカ装置1の数量は、上記数値に限定されない。音響システム100が備える音楽プレーヤ101は2以上でもよい。また、音響システム100が備えるスピーカ装置1は、1つでもよく、3以上でもよい。
スピーカ装置1は、音楽プレーヤ101に接続されており、音楽プレーヤ101から出力される音声信号(audio signal)を音声(sound)に変換して出力(以下、単に「再生」ともいう)することができる。
音楽プレーヤ101は、様々な外部機器や音楽ソースから出力される信号を、スピーカ装置1が再生可能な音声信号に変換して出力することができるように構成されている。例えば、音楽プレーヤ101は、USB(UNIVERSAL Serial Bus)の接続端子を介して有線接続された外部機器、またはWi−Fi(登録商標)やBluetооth(登録商標)等で無線接続された外部機器、等から音声に関する信号を受け取って音声信号を出力するように構成されてもよく、あるいは、音楽プレーヤ101が備えるCD(Compact Disc)プレーヤまたはラジオ等の音楽ソースから音声に関する信号を受け取って音声信号を出力するように構成されてもよい。
[1−2.スピーカ装置の構成]
次に、図2〜図12を参照して、実施の形態1におけるスピーカ装置1の構成を説明する。
図2は、実施の形態1におけるスピーカ装置1の一構成例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示したスピーカ装置1を正面斜め方向から見た斜視図である。
図2に示すように、スピーカ装置1は、上下方向(Z軸方向)に縦長の直方体形状を有している。スピーカ装置1は、底面1fに設けられた複数の脚部1gによって、載置面(図示せず)上に支持されるように構成されている。なお、本実施の形態では、スピーカ装置1が4つの脚部1gを備える構成例を示すが、スピーカ装置1が備える脚部1gの数は4つに限定されない。
スピーカ装置1における底面1fに対向する頂面1eは、天板3によって構成されている。天板3は、スピーカ装置1の意匠も構成している。
スピーカ装置1は、頂面1eおよび底面1fと、頂面1eおよび底面1fに隣り合う側面1a、側面1b、側面1cおよび側面1dと、を備える。スピーカ装置1において、3つの側面1a、側面1bおよび側面1cは、外装ネット2によって構成されている。外装ネット2は、スピーカ装置1の意匠も構成している。直方体の4つの側面を形成する側面1a、側面1b、側面1cおよび側面1dは、直角四角筒を形成している。
なお、本実施の形態では、便宜的に、X軸、Y軸、Z軸の3軸を用いて説明を行う。以下、底面1fから頂面1eに向かう方向をZ軸正方向とする。また、前面である側面1a(以下、「前面1a」とも呼ぶ)から背面である側面1d(以下、「背面1d」とも呼ぶ)に向かう方向をY軸正方向とする。また、側面1bから側面1cに向かう方向をX軸正方向とする。
図3、図4は、実施の形態1におけるスピーカ装置1の一構成例を模式的に示す斜視図である。図3は、図2のスピーカ装置1から外装ネット2が除かれた態様を示す斜視図であり、図4は、図3のスピーカ装置1を背面斜め方向から見た斜視図である。
図5、図6、図7は、実施の形態1におけるスピーカ装置1の内部構造の一例を模式的に示す斜視図である。図5は、図3に示したスピーカ装置1の一部を切断して内部構造を示した部分断面図である。図6は、図3に示したスピーカ装置1から天板3とスピーカ筐体31の側壁31aおよび側壁31cとを除いた態様を示す斜視図である。図7は、図4に示したスピーカ装置1から天板3とスピーカ筐体31の側壁31cおよび側壁31dとを除いた態様を示す斜視図である。
図3〜図7を参照しながら以下を説明する。スピーカ装置1は、ツイータ部10、上側ディフューザ部20、ウーハスピーカ部30、下側ディフューザ部40、および台座部50、を備えている。ツイータ部10は、頂面1eと上側ディフューザ部20との間に配置され、複数のツイータユニット12を備える。上側ディフューザ部20、ウーハスピーカ部30および下側ディフューザ部40は、スピーカ装置1において、ウーハ部60を構成する。ウーハ部60は、スピーカ装置1において、中低音の再生を担当するように構成されている。ツイータ部10は、スピーカ装置1において、中高音の再生を担当するように構成されている。
ツイータ部10には、略直方体状の輪郭を有するツイータフレーム11が設けられている。ツイータフレーム11は、略正方形の枠状の上縁部11aと、4つの互いに離れた支柱部11bと、矩形板状の背面壁部11cと、を一体成形によって含む。4つの支柱部11bは、上縁部11aの4つの角部のそれぞれから、上側ディフューザ部20に向かってZ軸方向に沿って延伸して設けられている。背面壁部11cは、背面1d側において互いに隣り合う2つの支柱部11bの間に延伸して設けられている。背面壁部11cは、背面1d側の2つの支柱部11bの間を閉鎖する。上縁部11aは、天板3が上縁部11aの内周側に整合して嵌るような形状を有している。
ツイータ部10において、ツイータフレーム11の内側には、高音を再生可能なスピーカである3つのツイータユニット12が設けられている。3つのツイータユニット12は、それぞれが、スピーカ装置1の前面1a、側面1bおよび側面1cに向けて音を放射状に放出するように、配置されている。すなわち、3つのツイータユニット12は、それぞれの向きが、XY平面に実質的に平行な面上(スピーカ装置1が水平面に平行な載置面に載置されている場合は、水平方向)において互いに実質的に直交するように、配置されている。
ツイータユニット12は、所定の高音域の周波数帯域の音を好適に再生可能な周波数特性を有するように、構成されている。所定の高音域の周波数帯域は、例えば、1kHzから100kHz近傍までの範囲、または、2kHzから100kHzを超える周波数までの範囲、等である。
さらに、ツイータ部10において、各ツイータユニット12には、指向性制御ホーン13が取り付けられている。指向性制御ホーン13は、ラッパ状の形状を有し、ツイータユニット12による再生音を指向するように構成されている。複数の指向性制御ホーン13は、それぞれが1つのツイータユニット12から延び、ツイータユニット12による再生音の放出方向である前面1a、または側面1b、または側面1cに向かう方向にそれぞれの向きが設定されている。そして、指向性制御ホーン13は、ツイータフレーム11の支柱部11b間で開口している。指向性制御ホーン13は、ツイータフレーム11の内側に配置され、ツイータフレーム11に固定されている。言い換えると、3つの指向性制御ホーン13のそれぞれは、1つは前面1aに向かって放射状に音を放出するように配置され、他の一つは側面1bに向かって放射状に音を放出するように配置され、残りの一つは側面1cに向かって放射状に音を放出するように配置されている。
ウーハスピーカ部30には、Z軸方向を長手方向とした直方体状のスピーカ筐体31が設けられている。スピーカ筐体31は、中空構造であり、内部に内部空間34を有している。ウーハスピーカ部30は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33を有する。また、スピーカ筐体31には、上壁31eおよび下壁31fが互いに平行に配置されている。上壁31eは上側ディフューザ部20へ向いた壁部であり、下壁31fは下側ディフューザ部40へ向いた壁部である。そして、上側ウーハスピーカユニット32は、上壁31eに形成された開口に、出音方向が上側ディフューザ部20へ向くように埋め込まれている。下側ウーハスピーカユニット33は、下壁31fに形成された開口に、出音方向が下側ディフューザ部40へ向くように埋め込まれている。
上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33は、所定の中低音域の周波数帯域の音を好適に再生可能である周波数特性を有するように、構成されている。この所定の中低音域の周波数帯域は、例えば、35Hzから5000Hzまでの範囲である。なお、上壁31eおよび下壁31fの一方は、スピーカ筐体の第一壁部の一例であり、上壁31eおよび下壁31fの他方は、スピーカ筐体の第二壁部の一例である。
上述したように、上側ウーハスピーカユニット32は上側ディフューザ部20に向かって音を放出するように設置方向が設定されており、下側ウーハスピーカユニット33は下側ディフューザ部40に向かって音を放出するように設置方向が設定されている。ウーハスピーカ部30に、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33を設けることによって、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33のそれぞれが、例えば直径8cm程度の比較的小口径の振動板32aまたは振動板33a(図5を参照)を有するものであっても、ウーハスピーカ部30では、相対的に大きな音圧を得ることができる。
さらに、上側ウーハスピーカユニット32をスピーカ筐体31の上壁31eに設け、下側ウーハスピーカユニット33をスピーカ筐体31の下壁31fに設けることによって、XY平面におけるスピーカ筐体31の小型化が可能になり、スピーカ装置1の設置面積の低減が可能になる。なお、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の一方は、第一スピーカユニットの一例であり、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の他方は、第二スピーカユニットの一例である。
上側ディフューザ部20には、略直方体状の輪郭を有する上側フレーム21が設けられている。上側フレーム21は、4つの支柱部21aと、略正方形の板状の支持プレート部21bと、を含む。4つの支柱部21aのそれぞれは、互いに離れて配置され、Z軸方向に沿って延伸するように形成されている。支持プレート部21bは、4つの支柱部21aと一体に成形されている。4つの支柱部21aは、スピーカ筐体31の正方形状の上壁31eの4つの角部の位置、およびツイータフレーム11の4つの支柱部11bの位置に、それぞれ配置されている。支持プレート部21bは、上壁31e上に沿って延伸して形成されている。上側ウーハスピーカユニット32は、支持プレート部21bに形成された開口を通って配置され、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aを上側フレーム21内に露出する。支持プレート部21bがスピーカ筐体31の上壁31eに固定され、支柱部21aがツイータフレーム11に固定されることによって、上側フレーム21は、ツイータ部10とウーハスピーカ部30とを連結する。
さらに、上側ディフューザ部20には、ディフューザ体22が、上側フレーム21内に設けられている。ディフューザ体22は、円錐状に突出する拡散部22aを含んでいる。ディフューザ体22は、ツイータフレーム11に隣接して配置され、上側フレーム21の支柱部21aに固定されている。拡散部22aは、円錐の先端が丸められた外形を有し、かつ、先端の反対側が開放した中空構造を有している。拡散部22aは、拡散部22aの先端が、上側ウーハスピーカユニット32に向かって突出しかつ上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aの中心と向き合う位置に配置されるように、配置されている。したがって、拡散部22aは、上側ウーハスピーカユニット32が再生する音を、スピーカ装置1の周囲に、XY平面に沿う方向に略均等に拡散する。例えばスピーカ装置1が水平面に平行な載置面に載置されているとき、拡散部22aは、上側ウーハスピーカユニット32が再生する音を、水平方向に、360度にわたって実質的に無指向に拡散する。
図10は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備える台座部50およびその周辺の一構成例を模式的に示す側面図である。なお、図5に示すように台座部50にはディフューザ体42が取り付けられているが、図10には、ディフューザ体42を取り外した台座部50を示す。
台座部50には、正方形状の平面形状を有しかつZ軸方向に扁平になった箱状の台座筐体51が設けられている。台座筐体51の底部には、複数の脚部1gと、接続プラグ(図示せず)と、が設けられている。接続プラグは、図1に示す音楽プレーヤ101とスピーカ装置1とを電気的に接続するための接続部である。さらに、図10に示すように、台座筐体51の内側には、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の動作を制御する回路が搭載された回路基板52が設けられている。回路基板52は、下側ディフューザ部40内に突出するように配置され、接続プラグに電気的に接続されている。台座筐体51の内部には、床等の載置面に載置されたスピーカ装置1の安定性を向上させるためのウェイト(図示せず)が設けられていてもよい。
再び、図3〜図7を参照しながら説明を行う。
下側ディフューザ部40には、略直方体状の輪郭を有する下側フレーム41が設けられている。下側フレーム41は、4つの支柱部41aと、4つの梁部41bと、を含む。4つの支柱部41aのそれぞれは、互いに離れて配置され、Z軸方向に沿って延伸するように形成されている。4つの梁部41bのそれぞれは、隣り合う支柱部41a同士を連結する。4つの支柱部41aは、スピーカ筐体31の正方形状の下壁31fの4つの角部の位置、および台座筐体51の側方の4つの角部の位置に、それぞれ配置されている。4つの梁部41bは、台座筐体51側の支柱部41aの端部にそれぞれ配置され、台座筐体51の外縁に沿って延伸する。支柱部41aがスピーカ筐体31の下壁31fおよび台座筐体51に固定されることによって、下側フレーム41は、ウーハスピーカ部30と台座部50とを連結する。
さらに、下側ディフューザ部40には、ディフューザ体42が、下側フレーム41内に設けられている。ディフューザ体42は、円錐状に突出する拡散部42aを含んでいる。拡散部42aは、円錐の先端が丸められた外形を有し、かつ、先端の反対側が開放した中空構造を有している。ディフューザ体42は、ディフューザ体22と同様の形状を有している。ディフューザ体42は、台座筐体51に隣接して配置され、下側フレーム41の梁部41bに固定されている。拡散部42aは、拡散部42aの先端が、下側ウーハスピーカユニット33に向かって突出しかつ下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aの中心と向き合う位置に配置されるように、配置されている。したがって、拡散部42aは、下側ウーハスピーカユニット33が再生する音を、スピーカ装置1の周囲に、XY平面に沿う方向に略均等に拡散する。例えばスピーカ装置1が水平面に平行な載置面に載置されているとき、拡散部42aは、下側ウーハスピーカユニット33が再生する音を、水平方向に、360度にわたって実質的に無指向に拡散する。
さらに、ウーハスピーカ部30の詳細な構成を、図3〜図5を参照しながら、説明する。
ウーハスピーカ部30のスピーカ筐体31は、上壁31eおよび下壁31fに加えて、これらの壁に隣り合う側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dを有している。側壁31aはスピーカ装置1の前面1aに位置し、側壁31bは側面1bに位置し、側壁31cは側面1cに位置し、側壁31dは背面1dに位置するように、それぞれが配置されている。
スピーカ筐体31の内側には、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33と、側壁31a〜側壁31dおよび上壁31e、下壁31fとで囲まれた、閉じた内部空間34が形成されている。上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33は、例えば図5に示されるように、それぞれの振動板32aおよび振動板33aが、内部空間34とスピーカ筐体31の外部とのそれぞれに面するように配置されている。さらに、上側ウーハスピーカユニット32と下側ウーハスピーカユニット33とは、内部空間34内でZ軸方向に互いに離間した位置に配置されている。なお、内部空間34の容積は、例えば800立方cm程度の、スピーカ筐体の容積としては比較的小さいものであってもよい。なお、側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dは、それぞれがスピーカ筐体の側壁部の一例である。
背面1dに位置する側壁31d(以下、「背面側の側壁31d」とも呼ぶ)には、図4に一例を示すように、音響ポート35が形成されている。音響ポート35は、円状に開口したバスレフポートである。音響ポート35は、背面側の側壁31dに嵌め込まれたポート板35aが円形に貫通されて形成されている。
以下、図5〜図9を参照しながら説明を行う。
図8は、実施の形態1におけるスピーカ装置1の内部構造の一例を模式的に示す側面図である。図8には、図7に示したスピーカ装置1を、スピーカ筐体31の側壁31aを取り除き、側壁31c側から見た側面図を示す。
図9は、実施の形態1におけるスピーカ装置1の音響管36の一構成例を模式的に示す斜視図である。図9には、図7に示したスピーカ装置1の音響管36を単体で示す。
スピーカ筐体31の内部空間34内において、上側ウーハスピーカユニット32と下側ウーハスピーカユニット33との間には、円状の管内断面を有する音響管36が設けられている。音響管36は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の周りを周回するようにらせん状に延伸して形成されている。具体的には、音響管36は、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aを駆動する筒状の振動発生部(磁気回路部とも呼ぶ)32bと、下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aを駆動する筒状の振動発生部(磁気回路部)33bとの周りを、周回する形状を有する。なお、振動発生部(磁気回路部)32bおよび振動発生部(磁気回路部)33bのそれぞれの内部には、音声信号に従って振動板32aまたは振動板33aを振動させるための構造が配置されている。
音響管36は、例えば、曲がりが滑らかで曲がりの角度が緩くなるようならせん形状で形成されてもよい。さらに、音響管36は、一様に曲げられて形成されてもよい。さらにまた、音響管36は、スピーカ筐体31の側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dに接触する程度の、できるだけ大きい外径を有するように形成されてもよい。実施の形態1では、音響管36は、側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dに近接するような大きい外径を有する形状で形成されている。
音響管36の一方の端部にあるフランジ36aは、ポート板35aに連結されている(図4、図9参照)。音響管36は、音響ポート35と実質的に同じ内径を有し、音響ポート35に連通する。音響管36の他方の端部36bは、スピーカ筐体31の内部空間34内に開口している。音響管36および音響ポート35は、スピーカ筐体31の外部と内部空間34とを互いに連通する。さらに、音響管36の端部36bの開口は、吸音材37(アコースティックアブソーバ)によって覆われている(図6参照)。吸音材37は、音を制動・吸収する機能を有するように構成されている。吸音材37は、例えばポリエステル等の材料から形成することができる。吸音材37は、音響管36の長さ(すなわち、ポート長)に起因して発生する共振を制動するように機能する。つまり、吸音材37は、ポート長に起因する共振を制動する効果を有する。音響管36は、ポート板35aおよび吸音材37の枠部材を介して、スピーカ筐体31の背面側の側壁31dに固定される。なお、吸音材37は必須なものではなく、設けられなくてもよい。
上述のような上側ウーハスピーカユニット32、下側ウーハスピーカユニット33、音響ポート35、音響管36およびスピーカ筐体31によって、バスレフ型スピーカが構成される。バスレフ型スピーカであるスピーカ装置1では、内部空間34が有する空気のバネ性と、音響管36および音響ポート35が有する音響質量とが、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aおよび下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aの振動を受けて共振することができる。すなわち、スピーカ装置1はバスレフ共振することができる。
共振がない場合、振動板32aおよび振動板33aの前面へ放射される音と振動板32aおよび振動板33aの背面へ放射される音とは、本来は逆相である。しかし、スピーカ装置1では、バスレフ共振によって、振動板32aおよび振動板33aの背面へ放射された音の位相回りが発生する。そのため、バスレフ共振周波数付近において共振する内部空間34内の空気は、振動板32aおよび振動板33aからディフューザ体22およびディフューザ体42の方向へ放出される空気と合成される。これにより、スピーカ装置1では、音圧を高めることができる。さらに、共振する空気は、振動板32aおよび振動板33aの振幅を減少させることができる場合もある。なお、バスレフ共振周波数は、バスレフ共振の際の共振周波数である。
バスレフ共振周波数Fbは、以下の式で示される。
Fb=((1/M・C)^(1/2))/2π
(記号^はべき乗を表す)
なお、Mは、音響管36の音響質量に関連する要素であり、Cは、内部空間34の容積に関連する要素である。バスレフ共振により、振動板32aおよび振動板33aによる音圧の増加、および、振動板32aおよび振動板33aの振幅の減少が、効果的に起こり得る。
本実施の形態では、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の重低音域の音圧を増加するために、バスレフ共振周波数は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33が好適に音声を再生可能である周波数帯域以下である重低音域の所定の周波数に設定される。この場合、低いバスレフ共振周波数に対応するように、要素Mおよび要素Cを大きくする必要がある。なお、上記重低音域の所定の周波数は、例えば、30Hzから50Hzまでの範囲、およびその近傍の音の周波数帯域とすることができるが、本開示はこれらの数値に限定されない。
また、本実施の形態では、上述のようなバスレフ共振周波数に対応する要素Mおよび要素Cの決定を、要素Cを相対的に小さくして行っている。具体的には、要素Cに関連する内部空間34の容積を、例えば800立方cm程度の比較的小さい容積に予め設定し、要素Mを相対的に大きくしている。つまり、本実施の形態では、音響質量が相対的に大きくなるように音響管36が構成される。そして、音響質量を大きくするために、音響管36は、内径が相対的に小さく、管長が相対的に長尺であるように構成される。
また、音響管36内の空気速度である管内速度が上昇することで、ノイズが発生しやすくなる。このため、バスレフ共振により管内速度が最大となるときの周波数が、所定の周波数(例えば、音声および音楽の信号にほとんど含まれない超低音域の周波数)となるように、音響管36は構成されてもよい。このとき、音響管36は、管長が相対的に長尺であるように構成される。なお、超低音域とは、例えば、10Hzから30Hzまでの範囲およびその近傍の音の周波数帯域とすることができる。
また、上述の説明では、音響管36の内径は、音響質量を大きくするために、相対的に小さく設定されるとしたが、音響管36の内径は、長尺な音響管36の内部を通る空気に与える抵抗を抑えるようにも考慮されて設定される。
上述のような条件に基づき、音響管36の内径および管長が決定される。例えば、本実施の形態では、内部空間34の容積を800立方cm、バスレフ共振周波数を40Hzとした場合に、音響管36を、内径を16mm、管長を450mmに設定して構成することができる。そして、このような相対的に長尺の音響管36を、比較的小さい内部空間34内に収めるために、音響管36は、曲げられている。
また、上述のような音響管36および内部空間34の構成により、バスレフ共振周波数およびその近傍の周波数帯域において、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aおよび下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aの振幅は小さく抑えられる。バスレフ共振周波数およびその近傍の周波数帯域において振動板32aおよび振動板33aの振幅が相対的に小さくなる場合に、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33に対して、上記周波数帯域の音圧を電気的に増加させるようなブースト制御を行うことで、再生される音声における歪みを抑えることができる。一方、バスレフ共振周波数およびその近傍の周波数帯域において振動板32aおよび振動板33aの振幅が相対的に大きい状態で、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33に対して上記のブースト制御が行われると、音声が歪みを含むようになる。
さらに、音響管36および音響ポート35の形状は、内面の粘性抵抗を低減するように、円形等の滑らかな形状に設定されてもよい。
また、音響管36の曲がりが相対的に急な場合、内部を流れる空気による摩擦ノイズ(すなわち、風切り音)が、相対的に増大する。このノイズを抑制するために、音響管36の曲がりは、相対的に滑らかにされてもよく、音響管36の曲がり角度および曲がり半径は、相対的に大きく設定されてもよい。さらにまた、音響管36の曲がりは、一様にされてもよい。例えば、本実施の形態に示すように、音響管36を、スピーカ筐体31の側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dに内接する程度の、できるだけ大きい外径を有し、らせん状に延伸する形状とすることによって、スピーカ装置1は上述した条件を満たすことができる。さらに、音響管36をらせん状にすることで、音響管36が内部空間34内で占める領域を小さくすることもできる。
また、音響管36は、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aと下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aとの間に介在して配置されるため、振動板32aの振動波と振動板33aの振動波とを拡散させることができ、振動波同士が干渉するのを抑制することができる。これにより、振動板32aの振動波と振動板33aの振動波とが干渉して定在波が生じるのを低減することができる。なお、定在波は、内部空間34の空気の共振に影響を及ぼすので抑制されることが望ましい。
図10に示す回路基板52に搭載された回路は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の動作を制御するものであるが、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33のそれぞれの動作に電気的にブーストをかける制御を行うこともできる。具体的には、バスレフ共振によって上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aおよび下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aにおける振幅が低くなる周波数帯域において、回路基板52に搭載された回路は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33へ供給する信号の電圧を大きくすることによって、振動板32aおよび振動板33aの音圧を増大させるためのブースト制御を行う。回路基板52(または、回路基板52に搭載された回路)は、ブースト制御部の一例である。
上述のような構成を有する上側ディフューザ部20、ウーハスピーカ部30および下側ディフューザ部40を備えたウーハ部60は、上側ウーハスピーカユニット32が比較的小口径の振動板32aを有し、下側ウーハスピーカユニット33が比較的小口径の振動板33aを有するものであっても、大口径の振動板を有するスピーカと同様に、低音を低歪で再生することができる。
次に、図11および図12を参照しながら、ツイータ部10の詳細な構成を説明する。
図11は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備えるツイータ部10の一構成例を模式的に示す斜視図である。なお、図11は、図6に示したスピーカ装置1のツイータ部10を、図6とは別の方向から見た斜視図である。
図12は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備えるツイータ部10の一構成例を模式的に示す上面図である。なお、図12は、図11に示すツイータ部10を上方から見た上面図であり、指向性制御ホーン13の上壁13cを除去して示す図である。
ツイータフレーム11内には、3つのツイータユニット12と3つの指向性制御ホーン13とに加えて、ツイータユニット12を制御するための回路が搭載されたツイータ回路基板14が設けられている。ツイータ回路基板14は、図6に示した上側ディフューザ部20の上側フレーム21に取り付けられている。ツイータ回路基板14に搭載された回路は、3つのツイータユニット12に電気的に接続され、ツイータユニット12の動作を制御するように構成されている。以下、便宜的に、3つのツイータユニット12のそれぞれを、第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122および第三ツイータユニット123とも呼ぶ。さらに、第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122および第三ツイータユニット123のそれぞれに取り付けられる3つの指向性制御ホーン13のそれぞれを、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133とも呼ぶ。
第一ツイータユニット121および第一指向性制御ホーン131はスピーカ装置1の前面1aに向かう方向に向きが設定され、第二ツイータユニット122および第二指向性制御ホーン132はスピーカ装置1の側面1bに向かう方向に向きが設定され、第三ツイータユニット123および第三指向性制御ホーン133はスピーカ装置1の側面1cに向かう方向に向きが設定されている。したがって、第一ツイータユニット121および第一指向性制御ホーン131と、第二ツイータユニット122および第二指向性制御ホーン132と、第三ツイータユニット123および第三指向性制御ホーン133とは、それぞれの向きが、XY平面に実質的に平行な面上(スピーカ装置1が水平面に平行な載置面に載置されている場合は、水平方向)において互いに実質的に直交するように、配置されている。さらに、第二ツイータユニット122および第二指向性制御ホーン132と、第三ツイータユニット123および第三指向性制御ホーン133とは、それぞれの向きが互いに実質的に反対方向となるように、配置されている。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれは、上側ディフューザ部20(図6参照)側に配置された扇形状の底壁13dと、底壁13dに対向する位置に配置された扇形状の上壁13cと、上壁13cと底壁13dとの間に配置された側壁13aおよび側壁13bと、を含む。上壁13cと底壁13dとは、鏡像のような、実質的に対称な形状となっている。側壁13aと側壁13bとは、鏡像のような、実質的に対称な形状となっている。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133は、それぞれの側壁13a、側壁13b、上壁13cおよび底壁13dにより、矩形断面を有するラッパ状の形状に形成されている。
さらに、第一指向性制御ホーン131の側壁13a、側壁13b、上壁13cおよび底壁13dは、第一ツイータユニット121が取り付けられる開口部13eと、第一ツイータユニット121による再生音の放出方向である前面1a側の開口部13fと、を形成している。
また、第二指向性制御ホーン132の側壁13a、側壁13b、上壁13cおよび底壁13dは、第二ツイータユニット122が取り付けられる開口部13eと、第二ツイータユニット122による再生音の放出方向である側面1b側の開口部13fと、を形成している。
また、第三指向性制御ホーン133の側壁13a、側壁13b、上壁13cおよび底壁13dは、第三ツイータユニット123が取り付けられる開口部13eと、第三ツイータユニット123よる再生音の放出方向である側面1c側の開口部13fと、を形成している。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133の内側には、それぞれの側壁13a、側壁13b、上壁13cおよび底壁13dにより、開口部13eから開口部13fに向かってラッパ状に拡がる拡散経路13gが形成されている。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133は、それぞれの拡散経路13gの中心軸13gcがXY平面に沿うように、それぞれの向きが設定されている。なお、図11では、第一指向性制御ホーン131の拡散経路13gにおける中心軸13gcのみを一点鎖線で示し、他の中心軸13gcは図示を省略している。なお、中心軸13gcは、側壁13aおよび側壁13bのそれぞれから等距離にあり、上壁13cおよび底壁13dのそれぞれからも等距離にある軸である。これにより、スピーカ装置1が水平面に平行な載置面上に載置されたとき、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133の各中心軸13gcは、水平面に実質的に平行になる。すなわち、スピーカ装置1が通常の使用状態で使用されているとき、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133の各中心軸13gcは、水平方向に実質的に平行になる。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれの上壁13cは、拡散経路13gが開口部13eから開口部13fに向かってZ軸方向に拡大するように、上側ディフューザ部20の反対側(天板3側)へ傾斜している。さらに、各上壁13cは、拡散経路13gが開口部13eから開口部13fに向かってXY平面に沿う方向に拡大するように、幅が増加している。開口部13fにおいて、各上壁13cは、隣り合う2つの支柱部11bにまで幅が拡がっている。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれの底壁13dは、拡散経路13gが開口部13eから開口部13fに向かってZ軸方向に拡大するように、上側ディフューザ部20側へ傾斜している。さらに、各底壁13dは、拡散経路13gが開口部13eから開口部13fに向かってXY平面に沿う方向に拡大するように、幅が増加している。開口部13fにおいて、各底壁13dは、隣り合う2つの支柱部11bにまで幅が拡がっている。
なお、底壁13dは、開口部13eから開口部13fに向かって、上側ディフューザ部20側へ傾斜せずに、XY平面に実質的に平行になるように形成されてもよく、あるいは、上側ディフューザ部20の反対側へ傾斜するように形成されてもよい。実施の形態1では、上壁13cは、開口部13eから開口部13fに向かって、上側ディフューザ部20の反対側へ傾斜している。そのため、スピーカ装置1が水平面に実質的に平行な載置面上に載置されたとき、すなわちスピーカ装置1が通常の使用状態にあるとき、指向性制御ホーン13は、ツイータユニット12が再生する音を、底壁13dから上壁13cに向かうZ軸上方向へ拡散するように指向する。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれの側壁13aおよび側壁13bは、拡散経路13gを、開口部13eから開口部13fに向かってXY平面に沿う方向に拡大するように、上壁13cおよび底壁13dの縁に沿って形成されている。側壁13aは、開口部13eから開口部13fに向かう途中に曲がり部13aaを含み、側壁13bは、開口部13eから開口部13fに向かう途中に曲がり部13baを含んでいる。側壁13aおよび側壁13bのそれぞれは、開口部13eから開口部13fに向かって互いの離間距離が増大するように、曲がり部13aaおよび曲がり部13baにおいて屈曲している。したがって、開口部13eから開口部13fに向かう拡散経路13gの幅の増加率は、開口部13eから曲がり部13aaおよび曲がり部13baまでよりも、曲がり部13aaおよび曲がり部13baから開口部13fまでの方が大きい。
上述のような構成を有する第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれは、第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122および第三ツイータユニット123が再生する音を、側壁13aおよび側壁13bに沿う方向(XY平面に沿う方向)と、上壁13cおよび底壁13dに沿う方向(Z軸方向)と、に拡散することができる。さらに、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれが、上述したような屈曲した側壁13aおよび側壁13bを有することによって、XY平面に沿う方向(例えば、水平方向)での音の指向範囲の制御が可能となる。すなわち、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれは、第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122および第三ツイータユニット123のそれぞれが再生する音の大部分を、所定の指向角(例えば水平方向に90度、等)の指向範囲内に制限しつつ、拡散するように、音の指向を制御することができる。
この動作を、図12を用いて具体的に説明する。図12に示すように、第一指向性制御ホーン131は、第一ツイータユニット121が再生する音の大部分を、第二指向性制御ホーン132は、第二ツイータユニット122が再生する音の大部分を、第三指向性制御ホーン133は、第三ツイータユニット123が再生する音の大部分を、XY平面に沿う方向において、指向角αの指向範囲A内に制限しつつ、拡散するように、それぞれ構成されている。本実施の形態では、指向範囲Aを、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれに対して、線分L1と線分L2との間の領域としてもよい。なお、線分L1および線分L2は、拡散基準点Cから、開口部13fの両端、具体的には支柱部11bの中央、を通る線分である。また、拡散基準点Cは、第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122および第三ツイータユニット123の背部に設定される仮想点である。図12では、線分L1および線分L2を一点鎖線で示す。そして、線分L1と線分L2とがなす角度が、指向角αである。
なお、本実施の形態では、指向角αを90度としている。指向角αの指向性制御ホーン13(第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133)を設計するときに、全ての周波数の音を指向角αの指向範囲A内に指向するように設計することは、必ずしも要求されない。第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれは、ツイータユニット12(第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122、または第三ツイータユニット123)が再生可能な周波数の音、またはツイータユニット12が好適に再生可能な周波数の音、またはツイータユニット12が通常再生する周波数の音、を指向範囲A内に指向するように設計されてもよい。
第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133は、XY平面に沿う方向において、それぞれの指向範囲Aが、互いに隣接するが実質的にラップしないように、配置されている。これにより、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれを介して放出される第一ツイータユニット121の再生音、第二ツイータユニット122の再生音および第三ツイータユニット123の再生音は、互いの干渉が抑えられる。その結果、スピーカ装置1は、第一ツイータユニット121、第二ツイータユニット122および第三ツイータユニット123の各再生音を、スピーカ装置1の背面1dを除く前面1a、側面1bおよび側面1cの各方向、すなわちXY平面において270度にわたる広い指向範囲に、途切れのない略均等な音圧で放出することができる。すなわち、通常の使用状況下にあるスピーカ装置1は、水平方向の270度にわたって実質的に無指向な音の再生が可能である。
なお、第一指向性制御ホーン131、第二指向性制御ホーン132および第三指向性制御ホーン133のそれぞれの指向範囲Aが、互いに隣接するが実質的にラップしない、とは、以下に挙げる3つのケースを含む。
第1のケースは、隣り合う指向範囲Aの間にわずかに隙間があるケースである。しかし、この隙間は、指向範囲Aとその隙間の領域との間における音圧、音質等の変化が、計測結果に実質的に変化として表れない程度のものである。
第2のケースは、隣り合う指向範囲Aが、隙間なくかつ重なりもなく、直接的に隣接するケースである。
第3のケースは、隣り合う指向範囲Aが互いにわずかに重なるケースである。しかし、この重なりは、指向範囲Aと比較した場合の、重なりの領域における干渉による音圧、音質等の変化が、計測結果に実質的に変化として表れない程度のものである。
[1−3.スピーカ装置の実施例]
ウーハ部の特性を、本実施の形態におけるスピーカ装置1の1つの実施例1と、バスレフ型でなく密閉型のスピーカ装置の比較例1と、で比較検討した。
実施例1では、ウーハ部60は、スピーカ筐体31の内部容積を800立方cm、音響ポート35および音響管36の直径を16mm、音響管36の長さを450mmとした。さらに、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33は、口径を8cm、周波数帯域を100Hz〜5000Hzとした。そして、バスレフ共振周波数は、40Hzとした。スピーカ筐体31の内部寸法は、X軸方向の幅を約9cm、Y軸方向の奥行きを約9cm、Z軸方向の高さを約10cmとした。
比較例1では、実施例1に対して、音響ポート35および音響管36を備えずに、スピーカ筐体を密閉された構造とした。さらに、スピーカ筐体の内部容積は800立方cmとした。比較例1におけるその他の構成は、実施例1と同様である。
図13は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備えるウーハ部60の音圧と周波数との関係の一例を模式的に示す図である。図13には、実施例1と比較例1とについて、2つのウーハスピーカユニットを備えるウーハ部の音圧と周波数との関係を、実施例1は実線のグラフで、比較例1は破線のグラフで、示している。なお、図13において、縦軸は音圧(単位:dB)を表し、横軸は周波数(単位:Hz)を表す。
図14は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備えるウーハスピーカユニットの振動板の振幅と周波数との関係の一例を模式的に示す図である。図14には、実施例1と比較例1とについて、ウーハ部のウーハスピーカユニットの振動板の振幅と周波数との関係を、実施例1は実線のグラフで、比較例1は破線のグラフで示している。なお、図14では、縦軸は振幅(単位:mm)を表し、横軸は周波数(単位:Hz)を表す。
図15は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備えるウーハスピーカユニットのインピーダンスと周波数との関係の一例を模式的に示す図である。図15には、実施例1と比較例1とについて、ウーハ部のウーハスピーカユニットのインピーダンスと周波数との関係を、実施例1は実線のグラフで、比較例1は破線のグラフで示している。なお、図15では、縦軸はインピーダンス(単位:Ω)を表し、横軸は周波数(単位:Hz)を表す。
図13に示すように、実施例1では、バスレフ共振周波数である40Hz付近の周波数帯域において、バスレフ共振による影響によって、ウーハ部60(低音域)の音圧が、比較例1よりも増大している。
一方、図14に示すように、バスレフ共振周波数である40Hz付近の周波数帯域において、実施例1でのウーハスピーカユニットの振動板の振幅は、比較例1よりも大幅に小さく抑えられている。このように、実施例1では、40Hz付近の重低音領域で、振動板の振幅が抑えられることにより、音質および音の信頼性の確保が可能になる。
また、図15に示すように、実施例1でのウーハスピーカユニットのインピーダンスは、バスレフ共振による振動板速度の影響を受け、低域に2つのピークが発生する。比較例1のインピーダンスは、スピーカ筐体が密閉構造であり共振系が1つのため、ピークは1つのみである。実施例1においては、2つのピーク間にバスレフ共振周波数がある。そして、その周波数付近のインピーダンスがより低いほど、効率よく振動板の振幅を小さく抑えることができる。
[1−4.効果等]
以上のように、本実施の形態において、スピーカ装置は、スピーカ筐体と、スピーカ筐体の第一壁部に設けられた第一スピーカユニットと、スピーカ筐体の内部と外部とを連通する音響管と、を備える。音響管は、所定の長さを有し、スピーカ筐体内にらせん状に曲げられて収められる。
なお、スピーカ装置1はスピーカ装置の一例である。スピーカ筐体31はスピーカ筐体の一例である。上壁31eおよび下壁31fの一方は、第一壁部の一例である。上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の一方は、第一スピーカユニットの一例である。音響管36は音響管の一例である。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1は、スピーカ筐体31と、スピーカ筐体31の上壁31e(または、下壁31f)に設けられた上側ウーハスピーカユニット32(または、下側ウーハスピーカユニット33)と、スピーカ筐体31の内部と外部とを連通する音響管36と、を備える。音響管36は、所定の長さを有し、スピーカ筐体31内にらせん状に曲げられて収められている。上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33は、スピーカ筐体31の内部および外部に臨むようにスピーカ筐体31に取り付けられてもよい。
このように構成されたスピーカ装置1において、スピーカ筐体31内の気体(すなわち、内部空間34内の気体)は、上側ウーハスピーカユニット32(または、下側ウーハスピーカユニット33)が振動することによって、特定の周波数で共振する。スピーカ装置1は、スピーカ筐体31内の気体の共振により、共振周波数付近で音圧を上昇させることができる。スピーカ筐体31内の気体の共振周波数は、音響管36の長さに応じて変化する。そして、スピーカ装置1は、スピーカ筐体31内に、音響管36をらせん状に曲げて収めているので、音響管をらせん状に曲げない場合と比較して、音響管36の長さを長くすることができる。したがって、共振周波数を目標の周波数に設定するために音響管36を比較的長く形成する必要がある場合でも、スピーカ装置1は、相対的に長さが長い音響管36をスピーカ筐体31内に収めることができる。これにより、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aの振幅(または、下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aの振幅)を重低音域で低下させることができる。さらに、音響管36をらせん状にすることによって、音響管36の曲がりを大きくしかつ曲がりを一様にすることができる。これにより、音響管36の曲がり部分で発生するノイズを抑えることができる。
スピーカ装置において、音響管の所定の長さは、スピーカ筐体内の気体の共振により音響管内の気体の速度が最大になるときのスピーカユニットの周波数が、所定の周波数よりも低くなるように、設定されてもよい。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1において、音響管36の所定の長さは、スピーカ筐体31内の気体の共振により音響管36内の気体の速度(管内速度)が最大になるときの上側ウーハスピーカユニット32(または、下側ウーハスピーカユニット33)の周波数が、所定の周波数よりも低くなるように、設定される。
スピーカ装置1では、音響管36内の気体の速度(管内速度)が上昇すると、ノイズが発生しやすくなる。ノイズが最大となる(すなわち、音響管36内の気体の速度(管内速度)が最大となる)ときの上側ウーハスピーカユニット32(または、下側ウーハスピーカユニット33)の周波数を、所定の周波数よりも低くする(例えば、上側ウーハスピーカユニット32または下側ウーハスピーカユニット33が再生可能な音をほとんど含まない低音の周波数帯域にまで低くする)ことによって、ユーザに可聴されるノイズを大幅に低減することができる。このときの所定の周波数は、例えば、上側ウーハスピーカユニット32または下側ウーハスピーカユニット33が再生可能な最も低い音以下の低音の周波数であってもよい。
スピーカ装置は、第一壁部に対向するスピーカ筐体の第二壁部に設けられた第二スピーカユニットをさらに備えてもよい。
なお、上壁31eおよび下壁31fの他方は、第二壁部の一例である。上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の他方は、第二スピーカユニットの一例である。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1は、スピーカ筐体31の上壁31eに設けられた上側ウーハスピーカユニット32と、上壁31eに対向するスピーカ筐体31の下壁31fに設けられた下側ウーハスピーカユニット33と、を備える。
このように構成されたスピーカ装置1では、複数のウーハスピーカユニット(上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33)が設けられることによって、それらのウーハスピーカユニットが小型であっても、高い音圧での音の再生が可能になる。
スピーカ装置において、音響管は、互いに反対向きに配置された第一スピーカユニットと第二スピーカユニットとの間に配置されてもよい。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1において、音響管36は、対向して配置される(すなわち、互いに反対向きに配置される)上側ウーハスピーカユニット32と下側ウーハスピーカユニット33との間に配置される。
このように構成されたスピーカ装置1では、音響管36は、対向して配置される上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aおよび下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aのそれぞれが発生する振動波同士の干渉を抑え、振動波同士の干渉により生じる定在波の発生を抑えることができる。したがって、スピーカ装置1では、定在波によるスピーカ筐体31内の気体の共振への影響を、抑えることができる。
スピーカ装置において、第一スピーカユニットおよび第二スピーカユニットの少なくとも一方の少なくとも一部は、音響管のらせんの内側に配置されてもよい。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1において、上側ウーハスピーカユニット32の一部および下側ウーハスピーカユニット33の一部が、音響管36のらせんの内側に配置されている。
このように構成されたスピーカ装置1では、上側ウーハスピーカユニット32と下側ウーハスピーカユニット33との間の距離を低減することが可能となる。そのため、上壁31eから下壁31fに向かう方向(Z軸方向)でのスピーカ筐体31の小型化が可能になる。なお、スピーカ装置1においては、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の全てが、音響管36のらせんの内側に配置されてもよい。
スピーカ装置において、音響管は、第一壁部に対向するスピーカ筐体の第二壁部と第一壁部との間に形成されたスピーカ筐体の側壁部に近接するように、らせん状に延伸してもよい。
なお、側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dは、それぞれが側壁部の一例である。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1において、音響管36は、上壁31eと下壁31fとの間に形成されたスピーカ筐体の側壁31a、側壁31b、側壁31cおよび側壁31dのそれぞれに近接するように、らせん状に延伸する。
このように構成されたスピーカ装置1では、音響管36のらせんの径を相対的に大きくすることができる。これにより、スピーカ装置1では、音響管36の曲がりの径が相対的に大きくなり曲がりが相対的に緩くなるため、音響管36の曲がり部分で発生するノイズを抑えることができる。
スピーカ装置は、スピーカ筐体内の気体の共振周波数および共振周波数近傍の周波数帯域にスピーカユニットの周波数があるときのスピーカユニットの音圧を高めるように、スピーカユニットを制御するブースト制御部、をさらに備えてもよい。
なお、回路基板52(または、回路基板52に搭載された回路)は、ブースト制御部の一例である。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1は、スピーカ筐体31内の気体の共振周波数および共振周波数近傍の周波数帯域に上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の周波数があるときの上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の音圧を高めるように、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33をブースト制御する回路を搭載した回路基板52を備える。
スピーカ装置1では、共振周波数および共振周波数近傍の周波数帯域に上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の周波数があるときに、上側ウーハスピーカユニット32の振動板32aおよび下側ウーハスピーカユニット33の振動板33aの振幅が小さくなる。しかし、スピーカ装置1では、ブースト制御により、振動板32aおよび振動板33aの振幅が小さくなる周波数帯域の音圧が高められるので、ブーストによる音圧上昇後の音質の確保が可能である。
スピーカ装置は、スピーカ筐体の外部の、第一スピーカユニットに対向する位置に設けられ、第一スピーカユニットから出力される音を所定の方向に拡散するディフューザ体、をさらに備えてもよい。
なお、ディフューザ体22、ディフューザ体42は、それぞれがディフューザ体の一例である。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1は、スピーカ筐体31の外部の、上側ウーハスピーカユニット32に対向する位置に設けられ、上側ウーハスピーカユニット32から出力される音を所定の方向に拡散するディフューザ体22を備える。また、スピーカ装置1は、スピーカ筐体31の外部の、下側ウーハスピーカユニット33に対向する位置に設けられ、下側ウーハスピーカユニット33から出力される音を所定の方向に拡散するディフューザ体42を備える。
このように構成されたスピーカ装置1では、上側ウーハスピーカユニット32による再生音を所定の方向に広域に拡散することができ、下側ウーハスピーカユニット33による再生音を所定の方向に広域に拡散することができる。したがって、スピーカ装置1は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33による再生音の指向範囲を拡げることができる。さらに、ディフューザ体22またはディフューザ体42は、上側ウーハスピーカユニット32または下側ウーハスピーカユニット33から放出される音を、自身に衝突させることによって方向を変えて拡散してもよい。
スピーカ装置において、所定の方向は、第一壁部がスピーカ筐体の上部または下部に位置するようにスピーカ装置が設置されたとき、スピーカ装置を中心とした水平方向に360度にわたる方向であってもよい。
例えば、実施の形態1に示した例では、スピーカ装置1において、ディフューザ体22およびディフューザ体42が音を拡散する方向(所定の方向)は、上壁31e(または、下壁31f)がスピーカ筐体31の上部(または、下部)に位置するようにスピーカ装置1が設置されたとき(すなわち、水平面に平行な載置面にスピーカ装置1が載置されたとき)、スピーカ装置1を中心とした水平方向に360度にわたる方向である。
このように構成されたスピーカ装置1では、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33からの再生音は、スピーカ装置1の周囲全体にわたる広域な範囲に拡散される。
本実施の形態におけるスピーカ装置1は、複数のツイータユニット12と、複数のツイータユニット12のそれぞれに取り付けられツイータユニット12が放出する音の拡がりを所定の指向範囲内に制限する複数の指向性制御ホーン13と、を備える。さらに、隣り合う指向性制御ホーン13は、互いの指向範囲が実質的に重ならないように隣接して、配置される。このように構成されたスピーカ装置1では、複数のツイータユニット12による再生音は、複数の指向性制御ホーン13によって、複数の指向範囲にわたって拡散される。さらに、スピーカ装置1では、複数の互いに異なる向きの指向性制御ホーン13のそれぞれから放出される音が互いに干渉することが抑えられる。また、各ツイータユニット12による再生音は、指向性制御ホーン13によって指向範囲がそれぞれ制限されるため、広い範囲にわたり、一定の音圧を維持した状態で放出される。したがって、複数の指向性制御ホーン13から放出される音は、乱れが抑えられて広範囲に拡散される。これにより、ユーザは、ツイータユニット12による再生音を、相対的に広い範囲の受聴位置で、変化の少ない音質で聴くことが可能になる。
本実施の形態におけるスピーカ装置1では、各指向性制御ホーン13は、略水平方向に、それぞれの指向範囲が互いに隣接するように配置される。このように構成されたスピーカ装置1は、複数の指向性制御ホーン13によって、水平方向に広く音を拡散することができる。したがって、スピーカ装置1では、ツイータユニット12による再生音の、水平方向での指向性の低減が可能になる。
本実施の形態におけるスピーカ装置1は、ツイータ部10と、ウーハ部60と、を一体化して含む。そして、スピーカ装置1では、スピーカ筐体31の上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33のそれぞれを、重低音領域の音質を向上するように構成し、指向性制御ホーン13を有するツイータユニット12を、高音領域の音質を向上するように構成することによって、重低音領域から高音領域にわたって、再生音の音質の向上が可能になる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および下記の他の実施の形態で説明する各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ウーハスピーカ部30が、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の2つのウーハスピーカユニットを備える構成例を示した。しかし、本開示はこの構成例に限定されない。ウーハスピーカ部30が備えるウーハスピーカユニットは、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ウーハスピーカ部30が備える音響管36を、円形断面を有しかつ滑らに湾曲して形成されたらせん状の管とする構成例を示した。しかし、本開示はこの構成例に限定されない。音響管36は、所定の管の長さおよび所定の管の内部断面積を有するものであってよい。音響管36の内部断面形状は、円形に限定されず、矩形等の多角形、または楕円、または長円形、等あってもよい。また、音響管36の形状は、らせん状に限定されず、内部空間34内に収めることができれば、いかなる形状であってもよい。音響管36は、曲がりを伴う形状の場合、例えば、渦巻き形状であってもよく、内部空間34内をZ軸方向に往復する形状、X軸若しくはY軸方向に往復する形状、または、これらを組み合わせた形状であってもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ウーハスピーカ部30が備える音響管36の全てが、スピーカ筐体31の内部空間34内に含まれている構成例を説明した。しかし、本開示はこの構成例に限定されない。音響管36は、その一部がスピーカ筐体31の外部に延びていてもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ツイータ部10が、ツイータユニット12および指向性制御ホーン13の組を3組備えた構成例を説明した。しかし、本開示はこの構成例に限定されない。ツイータ部10が備えるツイータユニット12および指向性制御ホーン13の組は、2組であってもよく、4組であってもよい。例えば、ツイータ部10が、ツイータユニット12および指向性制御ホーン13の組を4組備える構成例では、ツイータ部10は、スピーカ装置1の周りに、水平方向の360度にわたって実質的に無指向な音の再生が可能になる。ツイータ部10が、ツイータユニット12および指向性制御ホーン13の組を2組備える構成例では、指向性制御ホーン13の指向角を変更することによって、広域にわたって無指向な音の再生が可能である。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ツイータ部10が、90度の指向角を有する3つ指向性制御ホーン13を備えた構成例を説明した。しかし、本開示はこの構成例に限定されない。指向性制御ホーン13の指向角は、90度以外であってもよい。実施の形態1ではツイータユニット12の向きを互いに直角にして配置する構成例を示したが、そうでない場合には、指向性制御ホーン13の指向角は90度以外の角度であってもよい。また、複数の指向性制御ホーン13の指向角が互いに異なっていてもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1のツイータ部10において、3つの指向性制御ホーン13は、それぞれの中心軸13gcがXY平面に沿うように配置される構成例を示した。しかし、本開示はこの構成例に限定されない。ツイータ部10において、指向性制御ホーン13の中心軸13gcはどのような平面に沿っていてもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ウーハ部60の上にツイータ部10が配置された構成例を示した。しかし、本開示は、この構成例に限定されない。ウーハ部60とツイータ部10との配置形態および配置順序は、いかなるものであってもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1のウーハ部60において、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33が上下に配置された構成例を示した。しかし、本開示は、この構成例に限定されない。ウーハ部60は、いかなる向きで配置されてもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1が、ツイータ部10とウーハ部60とを一体化して含む構成例を示した。しかし、本開示は、この構成例に限定されない。スピーカ装置1は、ツイータ部10およびウーハ部60のうちの一方のみを含む構成であってもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、回路基板52(図10参照)に搭載された回路が、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33にブーストをかけて音圧を上昇させる制御(ブースト制御)を行う構成例を示した。しかし、本開示は、この構成例に限定されない。上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33のブースト制御は、スピーカ装置1の外部の機器によって行われてもよい。例えば、音楽プレーヤ101が、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33をブースト制御してもよい。その場合の構成例を図16に示す。
図16は、実施の形態1におけるスピーカ装置1が備えるウーハスピーカユニットのブースト制御に係る構成要素の一構成例を示すブロック図である。上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33のブースト制御が、音楽プレーヤ101によって行われる場合、図16のブロック図に示されるように、音楽プレーヤ101は、ブースト制御を行うブースト回路101aと、アンプ101bと、を備える。ブースト回路101aは、音楽プレーヤ101が備えるCDプレーヤまたはラジオ等の音楽ソース101c、または音楽プレーヤ101が通信する外部機器等の外部音楽ソース201、から受け取る信号にブーストをかける。アンプ101bは、ブーストがかけられた信号を増幅してスピーカ装置1の上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33に送信する。スピーカ装置1を備えた音響システム100は、このように構成されてもよい。このとき、回路基板52に搭載された回路は、上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33の制御機能を有していなくてもよい。回路基板52は、音楽プレーヤ101からスピーカ装置1に接続された信号線(リード)と上側ウーハスピーカユニット32および下側ウーハスピーカユニット33との電気的な接続を中継する中継基板としての機能だけを有するように構成されてもよい。さらに、回路基板52は、音楽プレーヤ101からスピーカ装置1に接続されたリードとツイータユニット12との電気的な接続を中継してもよい。
実施の形態1では、スピーカ装置1において、ツイータ部10のツイータ回路基板14(図12参照)に搭載された回路が、ツイータユニット12を制御する構成例を示した。しかし、本開示は、この構成例に限定されない。ツイータユニット12の制御は、スピーカ装置1の外部の機器によって行われてもよい。例えば、音楽プレーヤ101が、ツイータユニット12を制御してもよい。このとき、ツイータ回路基板14は、音楽プレーヤ101からスピーカ装置1に接続されたリード、または、音楽プレーヤ101から台座筐体51の回路基板52を経由して延伸するリードと、ツイータユニット12と、の電気的な接続を中継する中継基板としての機能だけを有するように構成されてもよい。
なお、本実施の形態では、「スピーカユニットの周波数」といった表現を用いたが、これは、「スピーカユニットで再生中の音の周波数」または「スピーカユニットで再生される音の周波数」の意味である。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本開示は、スピーカ装置、およびスピーカ装置を備える機器に適用可能である。具体的には、本開示は、音楽プレーヤを備える音響システム、テレビ等のモニタを備える音響映像システム、パーソナルコンピュータ等の様々なスピーカ装置を備える機器に適用可能である。
1 スピーカ装置
1a 側面(前面)
1b,1c 側面
1d 側面(背面)
1e 頂面
1f 底面
2 外装ネット
3 天板
10 ツイータ部
11 ツイータフレーム
11a 上縁部
11b 支柱部
11c 背面壁部
12 ツイータユニット
13 指向性制御ホーン
13a,13b 側壁
13aa,13ba 曲がり部
13c 上壁
13d 底壁
13e,13f 開口部
14 ツイータ回路基板
20 上側ディフューザ部
21 上側フレーム
21a 支柱部
21b 支持プレート部
22,42 ディフューザ体
22a,42a 拡散部
30 ウーハスピーカ部
31 スピーカ筐体
31a,31b,31c,31d 側壁
31e 上壁
31f 下壁
32 上側ウーハスピーカユニット
32a,33a 振動板
33 下側ウーハスピーカユニット
34 内部空間
35 音響ポート
35a ポート板
36 音響管
36a フランジ
36b 端部
37 吸音材
40 下側ディフューザ部
41 下側フレーム
41a 支柱部
41b 梁部
50 台座部
51 台座筐体
52 回路基板
60 ウーハ部
100 音響システム
101 音楽プレーヤ
101a ブースト回路
110 操作部
101b アンプ
101c 音楽ソース
121 第一ツイータユニット
122 第二ツイータユニット
123 第三ツイータユニット
131 第一指向性制御ホーン
132 第二指向性制御ホーン
133 第三指向性制御ホーン
201 外部音楽ソース
A 指向範囲
C 拡散基準点
L1,L2 線分