JP3747392B2 - スピーカシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高音質スピーカシステムのキャビネット構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コーン形スピーカの振動板が振動して音を放射するとき、振動板の前面と背面で位相が逆の音が放射される。スピーカユニットをキャビネットのない裸の状態で鳴らした場合、両者は振動板の周辺で打ち消しあって音響出力が弱められる。このような打ち消しあいの度合いは周波数によって異なり、低周波数において著しいため、低音がほとんどでないことが知られている。そこで、上述の打ち消しあいを防ぎ、バランスのとれた豊かな低音を得るために種々の形態のキャビネットにスピーカユニットを取り付けたスピーカシステムが開発され、高音質スピーカシステムとして市販されている。
【0003】
キャビネットとしては例えばバスレフ型、バックローデッド・ホーン型など各種提案されている。
【0004】
上記各種キャビネットのうちで、広く使用されているバスレフ型は、構造は単純であるが、ポートにおけるヘルムホルツの共鳴を利用して特定の周波数のみを増強する方法であり、共鳴周波数以下の低音は著しく減衰するなど音質的にはかなり不十分な面がある。そのためバスレフ型においては複数個のスピーカユニットを用いたマルチウエイシステムが採用されることが多い。その場合、それぞれのスピーカユニットに特定の周波数帯域を受け持たせるためのネットワークが必要になる。音声信号はネットワーク中のコンデンサーやコイルを経てスピーカユニットに伝達されるが、そのことによって音の濁りなどの音質劣化を生じる。
【0005】
一方、バックローデッド・ホーン型(以下BHと呼ぶ)はエクスポネンシャルホーンなどを用いてユニットの背面から放射された音に含まれる低音成分を音道断面積の拡大により増強すると共に、音道の長さに応じた位相のずれを生じさせることにより前面から放射された音との打ち消し合いを防止するシステムである。通常、システムをコンパクトにまとめるために直道を組み合わせた折り曲げホーンが採用され、かつ、ホーンの断面積は出口に向けて段階的かつ不連続に拡大される。良く設計されたBHであれば十分な低音が得られるため、スピーカユニットはフルレンジユニット1個で良く、従ってネットワークは不要であり、ネットワークに起因する音質劣化は生じない。フルレンジユニットとしては、強力な磁気回路と軽量コーンを有するユニットが使用されるため、応答性が良好であり低音の分解能が向上する。
【0006】
BHの欠点としては、十分な低音をだすには長い音道を必要とし、必然的にシステムが巨大化する。ホーンは直道をつなぎ合わせた音道であるため、直道部での共振が避けられず、共振による音質劣化が生じる。また、折り曲げ角度が大きいことによる気流の乱れと、その結果としての音質劣化がある。さらに、折り曲げホーンの構造が複雑であるため工業的な量産に不向きである。などが挙げられる。上記BHの欠点を補うためにスパイラルホーンが提案されているが(例えば、米国特許第3923124号、特開昭47−4731号、同50−72621号公報など)、これらはいずれも直道をつなぎ合わせて、同一平面上に渦巻き状の音道を形成したものである。折り曲げ角度が小さいことによる音質向上があるものの、上記BHの欠点の多くは解決できない。
【0007】
本発明者はBHの上記問題点を解決するため、断面積が一定で、長さが1.5m以上4m以下の螺旋音道を有するスピーカシステムを提案したが(特願平8−293111号)、低音域の量感は必ずしも十分ではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述のような問題を解決し、低音域における十分な音響出力が得られ、かつ音質劣化の少ない小型スピーカシステムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のスピーカシステムは、下記の各項により構成される。
【0010】
(1)キャビネットの外面に外部に向けてスピーカーユニットが取り付けられてなるスピーカーシステムにおいて、該スピーカーユニットの背面から放射された音が、該キャビネットの内部に設けられた螺旋音道を通って該螺旋音道の末端である出口開口部から外部に放出され、該螺旋音道が同軸二重管とその間隙に設けられた螺旋状仕切板により形成され、かつ該螺旋音道の入り口から出口開口部に向かって断面積が連続的に大きくなるように構成されていることを特徴とするスピーカーシステム。
【0012】
(2)螺旋音道の長さが0.2m以上4m以下である(1)に記載のスピーカーシステム。
【0014】
(3)出口開口部の断面積がスピーカーユニットの実効振動面積よりも大きい(1)に記載のスピーカーシステム。
【0015】
(4)キャビネットの外面に外部に向けてスピーカーユニットが取り付けられてなるスピーカーシステムにおいて、該スピーカーユニットの背面から放射された音が、該キャビネットの内部に設けられた螺旋音道を通って該螺旋音道の末端である出口開口部から外部に放出され、該螺旋音道が同軸二重管とその間隙に設けられた螺旋状仕切板により形成され、かつ該螺旋音道の長さが0.2m以上1.5m未満で断面積が実質的に一定であるように構成されていることを特徴とするスピーカーシステム。
【0018】
(5)出口開口部の断面積がスピーカーユニットの実効振動面積よりも大きい(4)に記載のスピーカーシステム。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のスピーカシステムの一例を図1に示す。スピーカユニット1、空気室7、螺旋音道5、つなぎ部分11および音道の出口開口部10などにより構成されている。スピーカユニット1の背面から出た音は空気室7、螺旋音道5およびつなぎ部分11を順次経由して音道の出口開口部10から外部に放出される。
【0020】
本発明のスピーカシステムに用いられる螺旋音道5は、内管2および外管4からなる同軸二重管の間隙に螺旋状仕切板3を設けることにより形成される。すなわち、本発明において螺旋とは、一つの軸のまわりの回転と、その軸に沿っての並進を連続して同時に行う軌跡であると定義する。
【0021】
本発明の螺旋音道は、前述のスパイラルホーンのように直道をつなぎ合わせて同一平面上に渦巻き状の音道を形成した折り曲げホーンとは異なり、滑らかな曲面に囲まれているため共振が生じにくく、したがって、余分の音が生じにくいという特徴がある。さらに、螺旋音道の内周に沿った最短距離と、外周に沿った最長距離の差が大きく、そのことにより位相のずれ方に幅広い分布が生じるものと推定され、したがって前面から放射された音との合流の際、特定の周波数領域のみが増強されたり減殺されたりすることにより周波数特性にピークやデイップが生じフラットにならないという従来技術に見られた問題を防止できる可能性がある。
【0022】
本発明によれば音道の主要部が三次元的螺旋状をなしているため、小さな空間内に必要な音道の長さを確保することができ、小型化が可能になる。図2に示すように、内管2および螺旋状仕切板3により谷5が形成された部分を螺旋体と呼ぶことにする。図1に示すスピーカシステムにおいて、外管4内に上記螺旋体が挿入されて谷5が螺旋音道5となる。なお、螺旋体の下端部がT字型継ぎ手13内にまで挿入される場合があり、図1はそのような場合を現している。
【0023】
螺旋音道の長さは、螺旋音道5の中心、すなわち内径および外径の算術平均径で音道垂直方向の中点、に沿って測った長さであると定義する。スピーカユニットの背面から放射された音が上記空気室7や螺旋音道5を通る間に中高音成分は減衰し、低音成分は音道の出口開口部10から外部に放出される。音の伝播方向は図1に矢印で示す。
【0024】
螺旋音道の長さは0.2m以上、4m以下が好ましい。長さが0.2m未満である場合には、上記中高音成分の減衰および低音成分の位相のずれが不十分であり、打ち消し合いによる低音域の量感不足が生じるため高音質が得られない。長さが4mを越える場合には、音道の出口開口部10を経て外部に放出された音が聴取位置に届くまでの時間遅れが無視できなくなることによる音質劣化があり、さらに音道内での気流抵抗が増大するために音響出力が低下するなどの問題が生じる。螺旋の回転数については特に制限はないが、中高音成分を十分に減衰させるには1回以上が望ましい。
【0025】
螺旋音道の断面積は、同軸二重管の中心軸を通る平面により切り取られた音道の断面積であると定義する。螺旋音道の入り口の断面積は、スピーカユニットの実効振動面積を1として、0.1から1.5の範囲が望ましい。螺旋音道の断面積は音の進行方向に連続的に大きくなる。音道断面積が連続的に大きくなると、前述の折り曲げホーン型BHと同様に低音成分が増強されることが期待できる。
【0026】
拡大は連続的かつ滑らかであれば良く、必ずしもエクスポネンシャルである必要はない。断面積を拡大させる方法としては、音道の高さを拡大する方法と、幅を拡大する方法および両者を同時に拡大する方法がある。図1および図2は高さのみ拡大し、幅を一定とした場合を示している。図1および図2とは別に、外管の直径を下部ほど大きくするか、内管の直径を下部ほど小さ〈するなどの方法により音道の幅を拡大することもできる。
【0027】
一方、スピーカシステムの小型化が特に求められる場合、螺旋音道の長さが比較的短く、断面積が実質的に一定である構成が可能である。すなわち、螺旋音道の長さが0.2m以上1.5m未満である場合には、気流抵抗が比較的小さいため断面積を実質的に一定としても、スピーカユニットのコーンにかかる背圧の著しい上昇と、その結果として歪みの増大や最低共振周波数の上昇などの弊害をもたらす恐れは少ない。
【0028】
図1のキャビネット構造において、螺旋音道5を通過した音はつなぎ部分11を経て音道の出口開口部10から外部に放出される。音道の出口開口部10の断面積はスピーカユニット1の実効振動面積または螺旋音道5の出口断面積よりも大きいことが望ましい。それにより、気流抵抗が減少すると共にホーンとしての作用により低音域の増強効果が向上する。
【0029】
上記つなぎ部分11は側面が内管2とT字型継ぎ手13により、上面が螺旋状仕切板3により、下面が底板9によりそれぞれ区切られた空間であり、螺旋音道の出口と音道の出口開口部10をつなぐ音道となている。
【0030】
本発明で用いる内管2および外管4の横断面形状は円形が望ましいが、長円または楕円などの角のない異形断面であっても良い。両者は同軸上に配置されて同軸二重管となる。円形の方が製造は容易であり、かつ音の進行方向に直道部が実質的に存在しない音道を形成できるため共振が生じにくく、気流の乱れが少ない。内管2は管であることは必ずしも必要ではなく、内部空間のない棒状体であってもよい。内管2が管である場合には、管内に砂などの充填材を入れて内管の振動による音質への悪影響を低減することができる。なお、外管、内管共に直径が一定である必要はなく、前述のように、音道断面積の拡大などを目的として変化させてもよい。
【0031】
上記螺旋音道5は種々の材料を用いて形成することができる。例えば試作段階などにおいては、内管2の周囲に帯状のゴム板、キャブタイヤケーブルなどを何重にも巻き付け、接着剤で固定するなどの方法により図2の螺旋状仕切板3を形成することができる。得られた螺旋体を外管4およびT字型継ぎ手13内に挿入し、螺旋状仕切板3の外周と外管4およびT字型継ぎ手13の内面を接着剤により接合することにより螺旋音道5が形成される。
【0032】
上記螺旋音道を工業的に量産するには種々の方法が採用できるが、プラスチックの射出成形法が特に好ましい。すなわち、外管4と螺旋体を一体化した部分または螺旋体のみを螺旋状仕切板1回転ごと、または必要に応じて1未満の回転ごとのブロックに分割し、各ブロックをそれぞれ射出成形法により成形し、得られた複数のブロックを接合して螺旋音道または螺旋体を形成する方法である。
【0033】
外管4、内管2および螺旋状仕切板などの材質は特に限定されず、通常使用される木材だけでなく、各種プラスチック、金属繊維・ガラス繊維・炭素繊維・アラミド繊維などと各種樹脂を組み合わせた複合材料、木材チップと樹脂との複合材料、プラスチックと各種無機粉体・金属粉体や木粉等の有機粉体との複合材料およびプラスチックとゴムまたは異種プラスチックからなるポリマーアロイなどから選ばれた材料1種単独、または2種以上を組み合わせて使用できる。上記各種材料の内で、射出成形が可能なプラスチックを主成分とする材料が、螺旋音道の成形における成形材料などとして特に好ましい。
【0034】
本発明において用いられるスピーカユニット1は全帯域用(フルレンジ)スピーカユニット1個が望ましいが、必要に応じて複数個のスピーカユニットを用いたマルチウエイシステムとすることもできる。
【0035】
スピーカユニットを上記同軸二重管に取り付けるためにT字型またはL字型継ぎ手に類する形状の管体などが使用できる。該管体はプラスチックの射出成形法などにより製造することができる。管体の水平部分、または螺旋音道の軸と60〜120゜の角度をなす部分(これらを水平管と呼ぶ)、の先端にスピーカユニットを取り付けることにより、スピーカユニットの背面から放射された音を螺旋音道に導くための音道または空気室7を形成することができる。空気室7の容積は通常のBHの設計法を参考にして決定すればよい。また、水平管の先端にユニットを取り付けた場合、実質的にバッフルが存在しないとみなすことができ、点音源に近い優れた立体感が得られる。
【0036】
スピーカユニット1の背面から放射される位相が逆の音は螺旋音道5を経由して外部に放出されるが、音道の長さが十分長いため前面の音との打ち消し合いが少なく、螺旋音道の断面積が拡大することによる効果と相まって低音域での音響出力が増強される。このことにより、フルレンジスピーカユニット1個を用いただけでも十分に豊かな低音が得られ、したがって、複数個のスピーカーユニットを用いた場合に使用されるネットワークが不要になる。そのため、ネットワーク使用に伴う音質劣化が回避される。さらに、フルレンジスピーカユニットはウーハーと異なり、コーンの重量が小さく、従って信号追従性が良好であるため、低音域の分解能が極めて優れたスピーカーシステムを構成することができる。
【0037】
【実施例】
次に、図面によって本発明のスピーカシステムについて具体的に説明する。
【0038】
(実施例1)図1に螺旋音道の断面積が次第に拡大するスピーカシステムの一例を示す。すなわち、外管4は硬質ポリ塩化ビニル製の内径125mmJIS規格パイプ(VP125)を600mmの長さに切断したものである。内管2は内径30mmの硬質ポリ塩化ビニル製JIS規格パイプ(VP30)である。螺旋状仕切板3は直径10mmのキャブタイヤケーブルを内管2の外周に4重に巻き付け、さらにビニルテープなどを巻き付けて微調整し、外径が125mmとなるように接着剤で固定することにより形成されている。このようにして作製した図2に示す螺旋体の外周部にエポキシ系弾性接着剤を塗布し、外管4内に挿入し、接着固定する。
【0039】
図2における螺旋体の長さは750mmであり、内管2の長さに等しい。螺旋音道の回転数は3.5回であり、断面積は入り口が38cm2、1回転目の終わりが52cm2、2回転目の終わりが65cm2、3回転目の終わりが84cm2、3.5回転目の終わり(螺旋音道の出口)が103cm2になるように滑らかにに拡大する。断面積の拡大は螺旋音道の幅が一定で、高さを連続的に拡大することにより行った。このように形成された螺旋音道5の長さは1.6mである。
【0040】
L字型継ぎ手6およびT字型継ぎ手13は共に上記VP125と適合する硬質ポリ塩化ビニル製のJIS規格品である。音道の出口開口部10の内径は135mm、断面積143cm2である。上記構成において、螺旋状仕切板3の回転数は4.5回であり、4回転目の終端から4.5回転目の終端に至る間はT字型継ぎ手13の内部に挿入され内壁に接着されている。螺旋状仕切板の最終端は内管4の下端と共に底板9に接着固定されている。内管2の内部等にはキャビネットの不要な振動を低減するために砂が充填されている。
【0041】
スピーカユニット1として、10cmフルレンジスピーカユニット(松下電気産業社製、Technics EAS−10F20)を用い、L字型継ぎ手6の水平管部先端に取り付けた。上記スピーカユニット1には大型フエライトマグネットによる強力な磁気回路と、等価質量が3.8gの軽量コーンが採用されている。実効振動面積は64cm2である。L字型継ぎ手6の内部はスピーカユニット1の背後の空気室7となっており、その実効容積はおよそ2リットルである。空気室7の内壁には吸音材が張り付けられている(不図示)。このようにして作製した上記システムの全高は930mmである。
【0042】
上記本発明のスピーカシステムは、低音域の分解能が良好で量感の豊かさは十分であり、従来のBHなどにおいて通常体験する余韻や反響音などの余分な音は感じられないなど、その音質は極めて優れたものである。さらに、上記本発明のスピーカシステムにより形成される音場の立体感は特に優れたものである。
【0043】
(実施例2)断面積が実質的に一定の螺旋音道を有する小型システムを作製した。システムの基本形状は若干の相違点を除いて図1と類似しているので図面は省略する。キャビネットは外管4、L字型継ぎ手6およびT字型継ぎ手13などにより形成されている。外管4は硬質ポリ塩化ビニル製の内径100mmJIS規格パイプ(VP100)を250mmの長さに切断したものである。L字型継ぎ手6およびT字型継ぎ手13は共に上記VP100と適合する硬質ポリ塩化ビニル製のJIS規格品である。
【0044】
内管2は内径30mm、長さ370mmの硬質ポリ塩化ビニル製JIS規格パイプ(VP30)であり、下端は底板9(15mm厚木製合板)に接着固定され、内部には砂が充填されている。下端部120mm(T字型継ぎ手13内に挿入される部分)には螺旋状仕切板は取り付けられていない
【0045】
外管4および内管2からなる同軸二重管の間隙のうち、上部100mmは空気室7の一部となっており、下部150mmに断面積が実質的に一定の螺旋音道が螺旋状仕切板3により形成されている。該螺旋状仕切板3は、幅10mm、厚さ5mmの細長いゴム板を6重に巻き付け、接着固定することにより形成されたものである。螺旋音道の回転数は2回、断面積は12cm2、長さは0.6mである。
【0046】
実施例1と同じ10cmフルレンジスピーカユニット1をL字型継ぎ手6の先端水平管部に取り付け、上記螺旋音道の上部に配置した。T字型継ぎ手13を利用した音道の出口開口部10を螺旋音道の下部に配置して本発明のスピーカシステムを完成させた。音道の出口開口部10の断面積は95cm2であり、上記システムの全高は540mmである。
【0047】
上記本発明のスピーカシステムは、比較的小音量において低音域の分解能が良好で量感の豊かさは十分であり、従来のBHなどにおいて通常体験する余韻や反響音などの余分な音は感じられないなど、その音質は極めて優れたものである。さらに、上記本発明のスピーカシステムにより形成される音場の立体感は特に優れたものである。
【0048】
【発明の効果】
本発明のスピーカシステムは次のような長所を有している。
【0049】
(1)螺旋音道の採用により、小さな空間内に必要な長さの音道を確保することが容易になり、小型システムであっても量感豊かな低音が得られる。
【0050】
(2)直道が実質的に存在しないため有害な共振が少なく、音質が優れている。
【0051】
(3)従来のBHに比べて量産に適した構造であり、製造コストの引き下げが可能である。
【0052】
(4)螺旋音道により低音が増強されるためフルレンジユニット1個でも十分な低音が得られ、マルチウエイ化とそれに伴うネットワークが不要になる。
【0053】
(5)フルレンジユニットの使用により、低音の分解能が向上する。
【0054】
(6)バスレフ型と異なり有害な共鳴音が直接放出されない。
【0055】
(7)バッフルが実質的に存在しないため点音源に近い動作となり、優れた立体感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスピーカシステムの一例を示した縦断面図である。
【図2】螺旋体の一例を示した外観図である。
【符号の説明】
1 スピーカユニット
2 内管
3 螺旋状仕切板
4 外管
5 螺旋音道または谷
6 L字型継ぎ手
7 空気室
8 台板
9 底板
10 音道の出口開口部
11 つなぎ部分
13 T字型継ぎ手
15 砂
20 木製合板
Claims (5)
- キャビネットの外面に外部に向けてスピーカーユニットが取り付けられてなるスピーカーシステムにおいて、該スピーカーユニットの背面から放射された音が、該キャビネットの内部に設けられた螺旋音道を通って該螺旋音道の末端である出口開口部から外部に放出され、該螺旋音道が同軸二重管とその間隙に設けられた螺旋状仕切板により形成され、かつ該螺旋音道の入り口から出口開口部に向かって断面積が連続的に大きくなるように構成されていることを特徴とするスピーカーシステム。
- 螺旋音道の長さが0.2m以上4m以下である請求項1に記載のスピーカーシステム。
- 出口開口部の断面積がスピーカーユニットの実効振動面積よりも大きい請求項1に記載のスピーカーシステム。
- キャビネットの外面に外部に向けてスピーカーユニットが取り付けられてなるスピーカーシステムにおいて、該スピーカーユニットの背面から放射された音が、該キャビネットの内部に設けられた螺旋音道を通って該螺旋音道の末端である出口開口部から外部に放出され、該螺旋音道が同軸二重管とその間隙に設けられた螺旋状仕切板により形成され、かつ該螺旋音道の長さが0.2m以上1.5m未満で断面積が実質的に一定であるように構成されていることを特徴とするスピーカーシステム。
- 出口開口部の断面積がスピーカーユニットの実効振動面積よりも大きい請求項4に記載のスピーカーシステム。
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