JPWO2016208729A1 - ナルフラフィン含有経皮吸収貼付剤 - Google Patents

ナルフラフィン含有経皮吸収貼付剤 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016208729A1
JPWO2016208729A1 JP2017525450A JP2017525450A JPWO2016208729A1 JP WO2016208729 A1 JPWO2016208729 A1 JP WO2016208729A1 JP 2017525450 A JP2017525450 A JP 2017525450A JP 2017525450 A JP2017525450 A JP 2017525450A JP WO2016208729 A1 JPWO2016208729 A1 JP WO2016208729A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drug
acid
skin permeation
skin
transdermal absorption
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017525450A
Other languages
English (en)
Inventor
博 長瀬
長瀬  博
麻希子 多田
麻希子 多田
恵 八島
恵 八島
健 佐伯
健 佐伯
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mikasa Seiyaku Co Ltd
University of Tsukuba NUC
Original Assignee
Mikasa Seiyaku Co Ltd
University of Tsukuba NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mikasa Seiyaku Co Ltd, University of Tsukuba NUC filed Critical Mikasa Seiyaku Co Ltd
Publication of JPWO2016208729A1 publication Critical patent/JPWO2016208729A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/70Web, sheet or filament bases ; Films; Fibres of the matrix type containing drug
    • A61K9/7023Transdermal patches and similar drug-containing composite devices, e.g. cataplasms
    • A61K9/703Transdermal patches and similar drug-containing composite devices, e.g. cataplasms characterised by shape or structure; Details concerning release liner or backing; Refillable patches; User-activated patches
    • A61K9/7084Transdermal patches having a drug layer or reservoir, and one or more separate drug-free skin-adhesive layers, e.g. between drug reservoir and skin, or surrounding the drug reservoir; Liquid-filled reservoir patches
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/435Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom
    • A61K31/47Quinolines; Isoquinolines
    • A61K31/485Morphinan derivatives, e.g. morphine, codeine
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/06Organic compounds, e.g. natural or synthetic hydrocarbons, polyolefins, mineral oil, petrolatum or ozokerite
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K47/00Medicinal preparations characterised by the non-active ingredients used, e.g. carriers or inert additives; Targeting or modifying agents chemically bound to the active ingredient
    • A61K47/30Macromolecular organic or inorganic compounds, e.g. inorganic polyphosphates
    • A61K47/32Macromolecular compounds obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds, e.g. carbomers, poly(meth)acrylates, or polyvinyl pyrrolidone
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/0012Galenical forms characterised by the site of application
    • A61K9/0014Skin, i.e. galenical aspects of topical compositions
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/70Web, sheet or filament bases ; Films; Fibres of the matrix type containing drug
    • A61K9/7023Transdermal patches and similar drug-containing composite devices, e.g. cataplasms
    • A61K9/703Transdermal patches and similar drug-containing composite devices, e.g. cataplasms characterised by shape or structure; Details concerning release liner or backing; Refillable patches; User-activated patches
    • A61K9/7038Transdermal patches of the drug-in-adhesive type, i.e. comprising drug in the skin-adhesive layer
    • A61K9/7046Transdermal patches of the drug-in-adhesive type, i.e. comprising drug in the skin-adhesive layer the adhesive comprising macromolecular compounds
    • A61K9/7053Transdermal patches of the drug-in-adhesive type, i.e. comprising drug in the skin-adhesive layer the adhesive comprising macromolecular compounds obtained by reactions only involving carbon to carbon unsaturated bonds, e.g. polyvinyl, polyisobutylene, polystyrene
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P17/00Drugs for dermatological disorders
    • A61P17/04Antipruritics

Abstract

本発明は、支持体、薬物層、および制御層が順次積層されてなり、薬物層がナルフラフィンおよびその塩からなる群より選択される少なくとも1種の薬物を含有することを特徴とし、角層などが損傷し皮膚バリアが不十分な皮膚に適用しても、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することがなく、かつ一定の薬物皮膚透過量を維持できる、ナルフラフィン含有経皮吸収貼付剤に関する。

Description

本発明は、ナルフラフィンを含有する経皮吸収貼付剤に関する。
そう痒(痒み)は、皮膚、粘膜および角膜に特有の感覚で、我々が日常でも感じる症状であり、炎症を伴う皮膚疾患においては最も高頻度に苦痛として感じられる症状である。痒みを伴う疾患には、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎など皮膚疾患によるものに加え、腎疾患(慢性腎不全)、肝疾患、糖尿病、悪性腫瘍などの内臓疾患がある。内臓疾患による痒みは、皮膚疾患に伴う末梢性の痒みとは異なり、オピオイドシステム(内因性オピオイドおよびオピオイド受容体)が関与する中枢性の痒みであって、臨床的に難治性とされる。この中枢性の痒みが重度になると、引っ掻き行動やイライラ感が増大してじっとして居られなくなり、ひいては日常生活に支障が出たり、睡眠障害を引き起こしたりするなど、患者のQOL(Quality of Life)は著しく低下する。このような中枢性の痒みに対する治療薬として、近年ナルフラフィンが注目されている。
ナルフラフィンは、オピオイドκ(カッパー)受容体作動薬として、オピオイドシステムが関与する中枢性の痒みに対して本質的に止痒効果を示す薬物である。現在、ナルフラフィンを含有する医薬品としては、経口剤であるレミッチカプセル2.5μg(鳥居薬品株式会社)が上市されている。
経口投与は、最も一般的な薬剤の投与方法で、患者のQOLの面で優れているため、第一選択とされるのが通常であるが、一過的に血中薬物濃度が上昇し、強い副作用を発現する可能性がある。また、薬物の供給が持続的でないため長時間有効血中濃度を維持できず、効果の持続性に欠ける場合がある。
実際に、ナルフラフィンの経口剤では、不眠、便秘および眠気などの副作用の発現率が用量依存的に増加していることから、一過性の血中ナルフラフィン濃度の上昇が副作用発現の原因である可能性が考えられている。また、単回投与後24時間以内に、血中ナルフラフィン濃度の低下と止痒効果の減弱が認められている。
このため、副作用の原因となる一過性の血中薬物濃度の上昇を抑制し、血中薬物濃度を長時間一定に維持し得るナルフラフィン含有製剤の開発が望まれている。
一過性の血中薬物濃度の上昇を抑制し、血中薬物濃度を長時間一定に維持し得る製剤としては、経皮吸収貼付剤がある。経皮吸収貼付剤は、一般的に、外傷や皮膚炎などがない正常な皮膚に適用することを前提として開発されている。これには、角層などが有する皮膚バリア機能により、薬物の皮膚透過を抑え、一過性の血中薬物濃度の上昇を起こりにくくする狙いがある(特許文献1)。
しかしながら、ナルフラフィンが適用される重度のそう痒患者では、全身を掻きむしってしまうことが少なくなく、角層などが損傷し、皮膚バリア機能が十分でない部位が広範囲に認められる場合がある。このような患者に対して、ナルフラフィンを含有する経皮吸収貼付剤を適用すると、皮膚バリア機能が十分に発揮されず、短時間のうちに過剰量のナルフラフィンが皮膚を透過する。その結果、一過性の血中ナルフラフィン濃度の上昇を引き起こす危険性がある。一般的に、経皮吸収貼付剤中の薬物濃度を低くすることで、一過性の血中薬物濃度の上昇を引き起こす危険性を回避することはできるが、この場合、貼付剤中の薬物濃度の低下により、一定の薬物皮膚透過量を維持できず、長時間に渡って血中に薬物を供給することが困難となる可能性がある。現段階において、これら二つの課題を同時に解決した技術は開発されていない。
そこで、角層などが損傷し皮膚バリア機能が不十分な皮膚に適用しても、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することがなく、かつ一定の薬物皮膚透過量を維持できる、ナルフラフィン含有経皮吸収貼付剤の開発が求められていた。
特開2013−147459号公報
本発明の目的は、上述の状況を鑑みてなされたもので、角層などが損傷し、皮膚バリア機能が不十分な皮膚に適用した場合にも、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することがなく、かつ一定の薬物皮膚透過量を維持することができる、ナルフラフィン含有経皮吸収貼付剤を提供することである。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、支持体、薬物層、および制御層が順次積層されてなる経皮吸収貼付剤において、薬物層に、ナルフラフィンおよびその塩からなる群より選択される少なくとも1種の薬物を含有させることで、角層などが損傷し皮膚バリアが不十分な皮膚に適用しても、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することがなく、かつ一定の薬物皮膚透過量を維持することができることを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(10)に関する。
(1)支持体、薬物層、および制御層が順次積層されてなり、前記薬物層が、ナルフラフィンおよびその塩からなる群より選択される少なくとも1種の薬物を0.0001〜10質量%含有することを特徴とする、経皮吸収貼付剤。
(2)支持体、薬物層、および制御層が順次積層されてなり、前記薬物層が、ナルフラフィンおよびその塩からなる群より選択される少なくとも1種の薬物を0.0001〜10質量%と、基剤としてスチレン系ブロック共重合体を含有することを特徴とする、経皮吸収貼付剤。
(3)支持体、薬物層、および制御層が順次積層されてなり、前記薬物層が、ナルフラフィンおよびその塩からなる群より選択される少なくとも1種の薬物を0.0001〜10質量%と、基剤としてスチレン系ブロック共重合体を含有し、前記制御層が、鎖状炭化水素系重合体を含有することを特徴とする、経皮吸収貼付剤。
(4)スチレン系ブロック共重合体が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体であることを特徴とする、(3)に記載の経皮吸収貼付剤。
(5)前記制御層が、さらに、可塑剤および粘着付与剤からなる群より選択される少なくとも1種を10〜90質量%含有することを特徴とする、(3)に記載の経皮吸収貼付剤。
(6)前記制御層が、鎖状炭化水素系重合体としてポリイソブチレンを含有し、さらに、可塑剤および粘着付与剤からなる群より選択される少なくとも1種を10〜90質量%含有することを特徴とする、(3)に記載の経皮吸収貼付剤。
(7)前記可塑剤が、流動パラフィンであることを特徴とする、(5)または(6)に記載の経皮吸収貼付剤。
(8)前記粘着付与剤が、ロジンエステル、テルペン系樹脂および脂環族系炭化水素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、(5)または(6)に記載の経皮吸収貼付剤。
(9)ラット皮膚透過試験において、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値が1000ng/cm/hr以下であることを特徴とする、(4)〜(6)のいずれかに記載の経皮吸収貼付剤。
(10)ラット皮膚透過試験において、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量の、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値に対する比(10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量/単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値)が、0.5以上であることを特徴とする、(4)〜(6)のいずれかに記載の経皮吸収貼付剤。
本発明は、角層などが損傷し、皮膚バリア機能が不十分な皮膚に適用した場合にも、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することがなく、かつ一定の薬物皮膚透過量を維持することができる、ナルフラフィン含有経皮吸収貼付剤を提供することができる。
以下、本発明のナルフラフィン含有経皮吸収貼付剤(以下、本明細書において、「本発明の経皮吸収貼付剤」ともいう)について、詳細に説明する。なお、本明細書に記載の例示は、本発明を特に限定するものではない。
本明細書において、「短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過しない」とは、ラット皮膚透過試験において、過剰量の薬物が皮膚を透過しないことを意味する。すなわち、単位時間あたりの薬物皮膚透過量が1000ng/cm/hr以下であった場合に、「短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過しなかった」とし、1000ng/cm/hrを超えた場合に、「短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過した」とした。
本明細書において、「一定の薬物皮膚透過量を維持することができる」とは、ラット皮膚透過試験において、貼付剤を皮膚に適用後8時間以上経過しても、単位時間当たりの薬物皮膚透過量と、それまでの単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値との差が小さいことを意味する。本発明の経皮吸収貼付剤については、貼付剤を皮膚に適用後10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量の、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値に対する比(貼付剤を皮膚に適用後10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量/単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値)が、0.5以上であった場合に、「一定の薬物皮膚透過量を維持することができた」とし、0.5未満であった場合に、「一定の薬物皮膚透過量を維持できなかった」とした。
本明細書において、「単位時間当たりの薬物皮膚透過量」とは、ラット皮膚透過試験において、各サンプリング時間における単位面積当たりの累積薬物皮膚透過量と、その1つ前のサンプリング時間における単位面積当たりの累積薬物皮膚透過量との差を、サンプリング間隔(時間)で除した値をいう。
本発明の経皮吸収貼付剤は、支持体、薬物層および制御層が順次積層された経皮吸収貼付剤である。さらに、本発明の経皮吸収貼付剤において、皮膚への粘着部を使用時まで保護するために、皮膚への粘着部を被覆し、使用時に剥がされる剥離材を備えることができる。
また本発明の経皮吸収貼付剤においては、本発明の目的を達成することができる限り、制御層のさらに皮膚側に、皮膚への良好な粘着性や剥離性を得るための皮膚粘着層を積層してもよい。
本発明の経皮吸収貼付剤に使用される支持体としては、薬物の放出および安定性に影響しないものが望ましく、貼着または投錨が可能な限り特に限定されないが、皮膚面に経皮吸収貼付剤を貼付した際に、著しい違和感を生じない程度に柔軟性を有するものが好ましく、伸縮性および非伸縮性のいずれのものも用いることができる。
例えば、合成樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリウレタンなどを主体とする)、紙および金属などの素材を、シート、多孔質体、発泡体、布、不織布などに成形したものからなる群より選択される1種、または前記の群より選択される2種以上を積層することによって得られる積層体を使用することができる。
本発明の経皮吸収貼付剤に含有される薬物は、ナルフラフィンおよびその塩からなる群より選択されるものであり、フリー体および塩のいずれも使用することができるが、特にフリー体のナルフラフィンが好ましい。
ナルフラフィンの塩を用いる場合は、一般にナルフラフィンと塩を形成可能な酸の塩であり、医学的あるいは薬学的に許容される塩であれば、特に限定されないが、例えば、ナルフラフィン塩酸塩、ナルフラフィン硫酸塩、ナルフラフィンリン酸塩、ナルフラフィン硝酸塩、ナルフラフィンホウ酸塩、ナルフラフィンスルホン酸塩およびナルフラフィン炭酸塩などの無機酸塩、ならびにナルフラフィン乳酸塩、ナルフラフィンギ酸塩、ナルフラフィン酢酸塩、ナルフラフィン酒石酸塩、ナルフラフィンリンゴ酸塩およびナルフラフィンクエン酸塩などの有機酸塩などが挙げられ、ナルフラフィン塩酸塩が好ましい。
ナルフラフィンの塩を、貼付剤中に塩基性を有する添加剤とともに配合し、該塩をフリー体に変換させることも可能である。このような塩基性を有する添加剤としては、例えば、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の経皮吸収貼付剤に含有される薬物の量は、経皮吸収貼付剤としての製剤化が可能な限り、特に限定されないが、薬物層の全量に対して、0.0001質量%未満であると充分な薬効が得られず、また、10質量%を超えると副作用を発現するリスクが高くなるため、0.0001〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.001〜5質量%であり、さらに好ましくは、0.01〜1質量%である。
本発明の経皮吸収貼付剤において、薬物は、溶解状態、過飽和結晶状態または分散状態にて含有させることができる。
また、本発明の経皮吸収貼付剤における薬物層には、ナルフラフィンの安定性や薬効に影響を及ぼす等により本発明の効果を損なわない限り、他の中枢性止痒薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬等を併用することができる。
他の中枢性止痒薬としては、ペンタゾシン等のナルフラフィン以外のオピオイドκ受容体作動薬、ナロキソン、ナルメフェン、ナルトレキソン等のオピオイドμ受容体拮抗薬、オンダンセロトロン等のセロトニン5−HT受容体拮抗薬等が挙げられる。
抗ヒスタミン薬としては、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等が挙げられる。
抗炎症薬としては、プロピオン酸デキサメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、フルオシノロンアセトニド等の副腎皮質ステロイド;イブプロフェンピコノール、スプロフェン、ブフェキサマク等の非ステロイド性抗炎症薬等が挙げられる。
これら他の薬物は、1種または2種以上を選択して、ナルフラフィンとともに用いることができ、経皮吸収貼付剤において通常用いられる量を含有させることができる。
本発明の経皮吸収貼付剤における薬物層は、基剤としてスチレン系ブロック共重合体を含有する。スチレン系ブロック共重合体としては、薬物を保持できるものであれば、特に限定されないが、例えば、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体およびスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体が好ましく用いられる。
本発明の経皮吸収貼付剤において、薬物層に含有されるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体としては、例えば、JSRSIS5002、JSRSIS5229、JSRSIS5250P、JSRSIS5403およびJSRSIS5505P(以上、JSR株式会社製)、クレイトンD−KX401CS、クレイトンD−1107CU、クレイトンD−1161JPおよびクレイトンD−KX406CP(以上、クレイトンポリマージャパン株式会社製)、ならびにクインタック3421、クインタック3620およびクインタック3520(以上、日本ゼオン株式会社製)などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の経皮吸収貼付剤において、薬物層には、上記の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、医薬品を製造するにあたって許容される各種成分、すなわち可塑剤、粘着付与剤、薬物溶解剤、吸収促進剤、pH調整剤、抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤および紫外線吸収剤などを適宜配合することができる。それらの種類および配合量は、経皮吸収貼付剤としての製剤化が可能な限り、特に限定されない。
可塑剤としては、例えば、石油系オイル(流動パラフィン、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなど)、スクワラン、スクワレン、植物油(オリブ油、ツバキ油、ヒマシ油、トール油、ラッカセイ油など)、シリコーンオイル、液状ゴム(液状ポリブテン、液状イソプレンゴムなど)、液状脂肪酸エステル類(ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルなど)、多価アルコール(ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなど)、トリアセチン、クエン酸トリエチル、サリチル酸グリコールおよびクロタミトンなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
粘着付与剤としては、例えば、石油系樹脂(脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂など)、ロジン系樹脂(ロジン、ロジンエステルなど)、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂およびクマロンインデン樹脂など、医学的または薬学的に許容される粘着付与樹脂が挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
薬物溶解剤としては、薬物に対して溶解作用を有し、当該薬物の安定性に対し著しい影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、モノオレイン酸ソルビタン、カプリル酸プロピレングリコール、炭酸プロピレン、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ベンジルアルコール、トリアセチン、クロタミトンおよびl−メントールなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
吸収促進剤としては、従来皮膚での経皮吸収促進作用が認められている化合物のいずれであってもよく、例えば、有機酸(乳酸、プロピオン酸、ケイ皮酸、ニコチン酸、フタル酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸など)、有機酸エステル(乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸ラウリル、ケイ皮酸メチル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ベンジルなど)、炭素数6〜32の脂肪酸(カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、アラキドン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、エライジン酸、ブラシジン酸など)、脂肪酸エステルおよび多塩基酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチルなど)、グリセリン脂肪酸エステル類(ミリスチン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなど)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(ジカプリン酸プロピレングリコール、カプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、自己乳化型ステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコールなど)、ソルビタン脂肪酸エステル類(モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタンなど)、ショ糖脂肪酸エステル類、脂肪族アルコール(ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、セトステアリルアルコールなど)、芳香族アルコール(ベンジルアルコールなど)、多価アルコール(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキサントリオール、ブチレングリコールなど)、動植物油(ハッカ油、テレビン油、ユーカリ油、オレンジ油、アーモンド油、オリブ油、ツバキ油、パーシック油、ダイズ油、ゴマ油、トウモロコシ油、ヤシ油、ヒマシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆レシチンなど)、テルペン系化合物(テルピネオール、シネオール、メントール、イソメントール、メントン、ピペリトン、プレゴン、イオノン、カルボン、リモネン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、チモール、ネロ―ルなど)、フェニルプロパノイド化合物(オイゲノールなど)、ピロリドン類(2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン、1,5−ジメチルピロリドン、1−エチルピロリドン、ピロチオデカンなど)、尿素類(尿素、チオ尿素など)、炭化水素類(スクワラン、スクワレンなど)、アザシクロアルカン類(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(エイゾン(Azone))およびその誘導体など)、ポリソルベート類(ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80など)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100など)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなど)、トリアセチン、クロタミトン、ならびに炭酸プロピレンなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
pH調整剤としては、例えば、酢酸、ギ酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸およびこれらの塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アルギニン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アンモニア水、炭酸グアニジン、炭酸水素ナトリウムならびに炭酸アンモニウムなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
抗酸化剤としては、例えば、トコフェロールおよびこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒドログアイアレチン酸、エデト酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエンならびにブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸、ケイ酸塩(ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなど)、ベントナイト、カオリン、タルク、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛および酸化チタンなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋剤としては、例えば、熱硬化性樹脂(アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステルなど)、有機系架橋剤(有機過酸化物など)、無機系架橋剤(金属、金属化合物など)、イソシアネート化合物およびブロックイソシアネート化合物などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
防腐剤としては、例えば、チモール、イソプロピルメチルフェノール、安息香酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウムならびに塩化ベンゼトニウムなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸誘導体、イミダゾリン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ケイ皮酸誘導体、ピリミジン誘導体およびジオキサン誘導体などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の経皮吸収貼付剤において、制御層は、基剤として鎖状炭化水素系重合体を含有する。鎖状炭化水素系重合体は、制御層の全量に対して10〜90質量%含有させることが好ましく、20〜80質量%含有させることがより好ましい。
本発明の経皮吸収貼付剤において、制御層に含有される鎖状炭化水素系重合体としては、炭化水素をモノマーとした重合体であり、前記炭化水素が鎖状構造であるものであれば、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和のものであっても不飽和のものであってもよい。例えば、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、水添ポリイソプレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリブテン、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができるが、好ましくはポリイソブチレンが用いられる。
本発明の経皮吸収貼付剤において、制御層に含有されるポリイソブチレンとしては、例えば、オパノールB−10SFN、オパノールB−11SFN、オパノールB−12SFN、オパノールB−13SFN、オパノールB−15SFN、オパノールB−30SF、オパノールB−50SF、オパノールB−80、オパノールB−100、オパノールB−150およびオパノールB−200(以上、BASFジャパン株式会社製)、ならびにテトラックス3T、テトラックス4T、テトラックス5T、テトラックス6T、ハイモール4H、ハイモール5H、ハイモール5.5Hおよびハイモール6H(以上、JXエネルギー株式会社製)などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の経皮吸収貼付剤における制御層には、可塑剤および/または粘着付与剤を含有させることで粘着性を付与させることが望ましい。可塑剤および/または粘着付与剤の含有量により、皮膚への粘着性を自由に変えることができる。長時間にわたり皮膚に貼付できる粘着力を維持し、かつ剥離時に皮膚への粘着剤残りが生じないようにするために、可塑剤および粘着付与剤からなる群より選択される少なくとも一種を、制御層の全質量に対して10〜90質量%含有させることが好ましい。前記含有量は、より好ましくは20〜80質量%であり、さらに好ましくは30〜70質量%である。
本発明の経皮吸収貼付剤の制御層において使用される可塑剤としては、経皮吸収貼付剤としての製剤化が可能な限り、種類および含有量は、特に限定されないが、例えば、石油系オイル(流動パラフィン、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなど)、スクワラン、スクワレン、植物油(オリブ油、ツバキ油、ヒマシ油、トール油、ラッカセイ油など)、シリコーンオイル、液状ゴム(液状ポリブテン、液状イソプレンゴムなど)、液状脂肪酸エステル類(ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルなど)、多価アルコール(ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなど)、トリアセチン、クエン酸トリエチル、サリチル酸グリコールおよびクロタミトンなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができるが、好ましくは、多価アルコール、流動パラフィン、液状ポリブテン、セバシン酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピルが用いられ、より好ましくは、流動パラフィン、液状ポリブテンが用いられる。
流動パラフィンとしては、例えば、モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−55、モレスコホワイトP−60、モレスコホワイトP−70、モレスコホワイトP−80、モレスコホワイトP−100、モレスコホワイトP−120、モレスコホワイトP−150、モレスコホワイトP−200、モレスコホワイトP−260、モレスコホワイトP−350P、モレスコバイオレスU−6、モレスコバイオレスU−7およびモレスコバイオレスU−8(以上、株式会社モレスコ(MORESCO)製)、ハイコールK−140N、ハイコールK−160、ハイコールK−230、ハイコールK−290、ハイコールK−350、ハイコールM−52、ハイコールM−72、ハイコールM−172およびハイコールM−352(以上、カネダ株式会社製)、コスモホワイトP60、コスモホワイトP70、コスモホワイトP120、コスモホワイトP200、コスモホワイトP260およびコスモホワイトP350P(以上、コスモ石油株式会社製)、JXハイホワイト350(JXエネルギー株式会社製)ならびにKAYDOL(ソネボーン(SONNEBORN)社製)などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
液状ポリブテンとしては、例えば、LV−7、LV−50、LV−100、HV−15、HV−35、HV−50、HV−100、HV−300、HV−1900およびSV−7000(以上、JXエネルギー株式会社製)、ニッサンポリブテン(日油株式会社製)ならびにPB680、PB950、PB1300、PB1400、PB2000およびPB2400(以上、デーリム(Daelim)社製)などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の経皮吸収貼付剤における制御層に使用される粘着付与剤としては、経皮吸収貼付剤としての製剤化が可能な限り、種類および含有量は、特に限定されないが、例えば、石油系樹脂(脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂など)、ロジン系樹脂(ロジン、ロジンエステルなど)、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂およびクマロンインデン樹脂など、医学的または薬学的に許容される粘着付与樹脂が挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができるが、好ましくは、脂環族系炭化水素樹脂、ロジンエステル、テルペン系樹脂が用いられる。
脂環族系炭化水素樹脂としては、例えば、クイントン1325、クイントン1340、クイントン1500、クイントン1525Lおよびクイントン1920(以上、日本ゼオン株式会社製)、アルコンP−90、アルコンP−100、アルコンP−115、アルコンP−125、アルコンP−140、アルコンM−90、アルコンM−100、アルコンM−115およびアルコンM135(以上、荒川化学工業株式会社製)ならびにエスコレッツ5300、エスコレッツ5320、エスコレッツ5380およびエスコレッツ5400(以上、エクソンモービル(Exxon Mobil)社製)などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ロジンエステルとしては、例えば、ロジンのグリセリンエステル、水添ロジンのグリセリンエステルおよびロジンのペンタエリストールエステルなどが挙げられる。さらに具体的には、ペンセルA、ペンセルAZ、ペンセルC、ペンセルD−125、ペンセルD−135、ペンセルD−160、ペンセルKK、エステルガムAA−G、エステルガムAA−L、エステルガムA、エステルガムAAV、エステルガム105、エステルガムAT、エステルガムH、エステルガムHP、スーパーエステルL、スーパーエステルA−18、スーパーエステルA−75、スーパーエステルA−100、スーパーエステルA−115、スーパーエステルA−125、パインクリスタルKE−100、パインクリスタルKE−311およびパインクリスタルKE−359(以上、荒川化学工業株式会社製)ならびにハリエスターTF、ハリタックER95、ハリタックF85およびハリタックPCJ(以上、ハリマ化成株式会社製)などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
テルペン系樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、芳香族変性水添テルペン樹脂および水添テルペンフェノール樹脂などが挙げられる。さらに具体的には、YSレジンPX、YSレジンPXN、ダイマロン、YSポリスターU、YSポリスターT、YSポリスターS、YSポリスターG、YSポリスターN、YSポリスターK、YSポリスターTH、YSレジンTO、YSレジンTR、クリアロンP、クリアロンM、クリアロンKおよびYSポリスターUH(以上、ヤスハラケミカル株式会社製)ならびにタマノル803Lおよびタマノル901(以上、荒川化学工業株式会社製)などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の経皮吸収貼付剤において、制御層には、上記の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、医薬品を製造するにあたって許容される各種成分、すなわち薬物溶解剤、吸収促進剤、pH調整剤、抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤および紫外線吸収剤などを適宜配合することができる。それらの種類および配合量は、経皮吸収貼付剤としての製剤化が可能な限り、特に限定されない。
薬物溶解剤としては、薬物に対して溶解作用を有し、当該薬物の安定性に対し著しい影響を及ぼさないものであれば、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、モノオレイン酸ソルビタン、カプリル酸プロピレングリコール、炭酸プロピレン、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ベンジルアルコール、トリアセチン、クロタミトンおよびl−メントールなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
吸収促進剤としては、従来皮膚での経皮吸収促進作用が認められている化合物のいずれであってもよく、例えば、有機酸(乳酸、プロピオン酸、ケイ皮酸、ニコチン酸、フタル酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸など)、有機酸エステル(乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸ラウリル、ケイ皮酸メチル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ベンジルなど)、炭素数6〜32の脂肪酸(カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、アラキドン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、エライジン酸、ブラシジン酸など)、脂肪酸エステルおよび多塩基酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチルなど)、グリセリン脂肪酸エステル類(ミリスチン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなど)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(ジカプリン酸プロピレングリコール、カプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、自己乳化型ステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコールなど)、ソルビタン脂肪酸エステル類(モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタンなど)、ショ糖脂肪酸エステル類、脂肪族アルコール(ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、セトステアリルアルコールなど)、芳香族アルコール(ベンジルアルコールなど)、多価アルコール(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキサントリオール、ブチレングリコールなど)、動植物油(ハッカ油、テレビン油、ユーカリ油、オレンジ油、アーモンド油、オリブ油、ツバキ油、パーシック油、ダイズ油、ゴマ油、トウモロコシ油、ヤシ油、ヒマシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆レシチンなど)、テルペン系化合物(テルピネオール、シネオール、メントール、イソメントール、メントン、ピペリトン、プレゴン、イオノン、カルボン、リモネン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、チモール、ネロ―ルなど)、フェニルプロパノイド化合物(オイゲノールなど)、ピロリドン類(2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン、1,5−ジメチルピロリドン、1−エチルピロリドン、ピロチオデカンなど)、尿素類(尿素、チオ尿素など)、炭化水素類(スクワラン、スクワレンなど)、アザシクロアルカン類(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(エイゾン(Azone))およびその誘導体など)、ポリソルベート類(ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80など)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100など)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなど)、トリアセチン、クロタミトン、ならびに炭酸プロピレンなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
pH調整剤としては、例えば、酢酸、ギ酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸およびこれらの塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アルギニン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アンモニア水、炭酸グアニジン、炭酸水素ナトリウムならびに炭酸アンモニウムなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
抗酸化剤としては、例えば、トコフェロールおよびこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒドログアイアレチン酸、エデト酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエンならびにブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸、ケイ酸塩(ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなど)、ベントナイト、カオリン、タルク、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛および酸化チタンなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋剤としては、例えば、熱硬化性樹脂(アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステルなど)、有機系架橋剤(有機過酸化物など)、無機系架橋剤(金属、金属化合物など)、イソシアネート化合物およびブロックイソシアネート化合物などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
防腐剤としては、例えば、チモール、イソプロピルメチルフェノール、安息香酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウムならびに塩化ベンゼトニウムなどが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸誘導体、イミダゾリン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ケイ皮酸誘導体、ピリミジン誘導体およびジオキサン誘導体などが挙げられ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の経皮吸収貼付剤は、支持体とは反対側の、皮膚に接する面上に、剥離材を備えることができる。剥離材としては、樹脂フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどからなる)、紙、金属フィルムおよび布などからなる群より選ばれる単層のフィルム、または前記の群より選ばれる2種以上を積層したしたものなどが使用できる。これらの剥離材は、経皮吸収貼付剤に接触する側の面に剥離処理(シリコーン、フッ素樹脂などを塗布)を施したものが好ましい。
上記構成成分により構成される本発明の経皮吸収貼付剤の製造方法は特に限定されないが、溶剤法、ホットメルト法などの従来法、および今後新しく提供される方法を使用して、薬物層および制御層を形成し、製造することができる。
例えば、溶剤法により製造する場合は、まず、薬物、基剤成分などの薬物層の構成成分を、有機溶媒に溶解させて均一な溶解物を得、前記溶解物を剥離材表面に塗工し、乾燥させて、薬物層を形成する。次に、前記薬物層に支持体を貼り合わせる。また、基剤成分、可塑剤および/または粘着付与剤などの制御層の構成成分を有機溶媒に溶解させて均一な溶解物を得、前記溶解物を剥離材表面に塗工し、乾燥させて、制御層を形成する。先に形成した薬物層から剥離材を剥離し、薬物層と制御層とを貼り合わせることにより、本発明の経皮吸収貼付剤を得ることができる。
また、ホットメルト法により製造する場合は、まず、薬物、基剤成分などの薬物層の構成成分を加熱混合して均一な溶融物とし、前記溶融物を剥離材表面に塗工して薬物層を形成し、次いで支持体を貼り合わせる。また、基剤成分、可塑剤および/または粘着付与剤などの制御層の構成成分を加熱混合して均一な溶融物とし、前記溶融物を剥離材表面に塗工して、制御層を形成する。先に形成した薬物層から剥離材を剥離し、薬物層と制御層とを貼り合わせることにより、本発明の経皮吸収貼付剤を得ることができる。
なお、本発明の経皮吸収貼付剤の薬物層および制御層は、それぞれ別の製造方法を選択して製造することもでき、さらに、薬物層は、剥離材の代わりに、支持体表面に溶解物または溶融物を塗工して形成することもできる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、溶解物または溶融物の塗工方法も特に限定されず、上記記載の薬物層および制御層をそれぞれ塗工する方法以外に、薬物層(もしくは制御層)を形成させた上に、制御層(もしくは薬物層)を塗工する方法、同時多層コーティング法およびパターン塗工法などを採用することができる。
溶剤法により製造する場合に用いられる有機溶媒としては、塗工工程後に加熱乾燥する工程において揮散するものであれば、特に制限されることなく使用することができる。例えば、低級アルコール、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどが挙げられる。
本発明の経皮吸収貼付剤の形状は、経皮吸収貼付剤本体の貼付操作、貼付時の皮膚への粘着性などに支障をきたさない範囲であれば、特に限定されない。経皮吸収貼付剤本体の平面形状としては、例えば、三角形、四角形、多角形(五角形など)等、略直線により輪郭づけられる形状、楕円、円形などの曲線により輪郭づけられる形状、および略直線と曲線の両方にて輪郭づけられる形状などが挙げられる。
本発明の経皮吸収貼付剤をヒトに適用する場合の皮膚貼付面積は、目的の薬効を発現し、ヒトの皮膚に貼付可能な範囲であれば、特に限定されない。しかし、皮膚貼付面積が小さすぎると、目的の薬効を得られないか、または単位面積当たりの薬物吸収量を著しく高く設定する必要があり、皮膚に過度の負担となってしまうため、好ましくない。また、皮膚貼付面積が大きすぎると、皮膚に対する追従性の低下や不快感が生じるなど、貼付剤適用時の患者のQOLを損ねるため、好ましくない。従って、本発明の経皮吸収貼付剤の皮膚貼付面積は、1〜100cmの範囲であることが好ましく、2〜80cmであることがより好ましく、さらに4〜50cmであることが最も好ましい。
本発明の経皮吸収貼付剤において、薬物層の厚さは、10〜400μmであることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましい。薬物層の厚さが10μmよりも薄いと、均一に塗工することが困難になることがあり、400μmよりも厚いと、保存時や貼付時に薬物層のはみ出しや、皮膚に対する追従性の低下が発生することがある。
本発明の経皮吸収貼付剤において、制御層の厚さは、10〜200μmであることが好ましく、15〜100μmであることがより好ましい。制御層の厚さが10μmよりも薄いと、均一に塗工することが困難になることがあり、200μmよりも厚いと、薬物の皮膚透過量の低下が起こる可能性がある。
以下に、実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
下記表1中に示される薬物層および制御層中の含有成分としては、以下に示す各原料を用いた。
(1)ナルフラフィン:公知の製造方法(たとえば、特許第2525552号等に記載された製造方法)に従って製造して用いた。
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体:「JSRSIS5505P 」(JSR株式会社製)
(3)ポリイソブチレン:「オパノールB−200 」(BASFジャパン株式会社製)
(4)ロジンエステル:「パインクリスタルKE−311」(荒川化学工業株式会社製)
(5)テルペン系樹脂:「YSレジンPX1150N」(ヤスハラケミカル株式会社製)
(6)脂環族系炭化水素樹脂:「アルコンP−125」(荒川化学工業株式会社製)
(7)流動パラフィン:「KAYDOL」(ソネボーン(SONNEBORN)社製)
(実施例1)経皮吸収貼付剤1
表1に示す処方に基づき、後述する調製法1により調製し、本発明の経皮吸収貼付剤1を得た。得られた経皮吸収貼付剤1を使用して、試験例1に従ってラット皮膚透過試験を実施した結果、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値が290.2ng/cm/hrであり、角層を剥離した皮膚に適用した場合であっても、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することがなかった。また、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量が264.6ng/cm/hrで、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量の、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値に対する比(10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量/単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値)が0.91であり、一定の薬物皮膚透過量を維持できることが示された。結果を表2に示す。
(調製法1)
ナルフラフィンにトルエンを加えて溶解し、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を加えて溶解した。さらに流動パラフィンを加えて混合し、薬物含有塗工液を得た。得られた薬物含有塗工液を剥離材の上に塗布展延し、トルエンを乾燥除去することで、所定の膏体厚み(100μm)を有する薬物層を得、支持体と貼り合わせた。
別途、ヘキサンに溶解させたポリイソブチレンと、トルエンに溶解させたロジンエステルとを混合した塗工液を、剥離材の上に塗布展延し、ヘキサンおよびトルエンを乾燥除去することで、所定の膏体厚み(20μm)を有する制御層を得た。前記薬物層の剥離材を剥がして前記制御層と貼り合わせ、経皮吸収貼付剤1を得た。
(試験例1)ラット皮膚透過試験
前述した実施例1の経皮吸収貼付剤1および後述する実施例2〜7の経皮吸収貼付剤2〜7、ならびに比較例1の比較貼付剤1を使用し、次に示す方法でラット皮膚透過試験を行った。
HWYヘアレスラット(雄性、8週齢、体重約250g、日本エスエルシー株式会社より購入)の腹部皮膚を、サージカルテープで角層を剥離した後に摘出し、試験用皮膚とした。2−チャンバー拡散セルに先の試験用皮膚を真皮側がレシーバー側となるように装着し、角層を剥離した側に、直径1cmの円状に打ち抜いた実施例および比較例の各貼付剤を適用した。2−チャンバー拡散セルのレシーバー側は、リン酸緩衝生理食塩水(pH=7.4)(以下「レシーバー溶液」という)で満たし、試験終了まで撹拌し続けた。2−チャンバー拡散セルのジャケット温度を約38℃に保ち、各貼付剤適用後0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、6、8および10時間後に、レシーバー溶液をサンプリングし、新たに同量のレシーバー溶液を補充した。サンプリングしたレシーバー溶液中の薬物量を高速液体クロマトグラフ法により測定することで、皮膚を透過したナルフラフィンの累積薬物皮膚透過量を求め、ナルフラフィンの単位時間当たりの薬物皮膚透過量(ng/cm/hr)を算出した。単位時間当たりの薬物皮膚透過量は、各サンプリング時間における単位面積当たりの累積透過量と、その1つ前のサンプリング時間における単位面積当たりの累積透過量との差を、サンプリング間隔(時間)で除すことで算出した。算出した単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量および、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量の、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値に対する比(10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量/単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値)を表2に示す。
(実施例2)経皮吸収貼付剤2
実施例1において、ロジンエステルをテルペン系樹脂とした以外は、実施例1と同様に調製法1により、経皮吸収貼付剤2を得た。得られた経皮吸収貼付剤2を使用して、試験例1に従ってラット皮膚透過試験を実施した結果を表2に示した。
表2に示されるように、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値が210.6ng/cm/hrであり、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することはなかった。また、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量が169.4ng/cm/hrで、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量の、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値に対する比(10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量/単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値)が0.80であり、一定の薬物皮膚透過量を維持できることが示された。
(実施例3)経皮吸収貼付剤3
実施例1において、ロジンエステルを脂環族系炭化水素樹脂とした以外は、実施例1と同様に調製法1により、経皮吸収貼付剤3を得た。得られた経皮吸収貼付剤3を使用して、試験例1に従ってラット皮膚透過試験を実施した結果を表2に示した。
表2に示されるように、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値が250.7ng/cm/hrであり、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することはなかった。また、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量が201.8ng/cm/hrで、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量の、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値に対する比(10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量/単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値)が0.80であり、一定の薬物皮膚透過量を維持できることが示された。
(実施例4)経皮吸収貼付剤4
実施例1において、ロジンエステルを流動パラフィンとした以外は、実施例1と同様に調製法1により、経皮吸収貼付剤4を得た。得られた経皮吸収貼付剤4を使用して、試験例1に従ってラット皮膚透過試験を実施した結果を表2に示した。
表2に示されるように、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値が389.0ng/cm/hrであり、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することはなかった。また、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量が246.0ng/cm/hrで、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量の、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値に対する比(10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量/単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値)が0.63であり、一定の薬物皮膚透過量を維持できることが示された。
(実施例5)経皮吸収貼付剤5
実施例1において、ロジンエステルの配合量を40質量%から20質量%にし、流動パラフィンを20質量%配合した以外は、実施例1と同様に調製法1により、経皮吸収貼付剤5を得た。得られた経皮吸収貼付剤5を使用して、試験例1に従ってラット皮膚透過試験を実施した結果を表2に示した。
表2に示されるように、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値が334.4ng/cm/hrであり、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することはなかった。また、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量が295.7ng/cm/hrで、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量の、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値に対する比(10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量/単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値)が0.88であり、一定の薬物皮膚透過量を維持できることが示された。
(実施例6)経皮吸収貼付剤6
実施例5において、ポリイソブチレンの配合量を60質量%から40質量%にし、流動パラフィンの配合量を20質量%から40質量%に変更した以外は、実施例5と同様に調製法1により、経皮吸収貼付剤6を得た。得られた経皮吸収貼付剤6を使用して、試験例1に従ってラット皮膚透過試験を実施した結果を表2に示した。
表2に示されるように、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値が453.6ng/cm/hrであり、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することはなかった。また、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量が357.0ng/cm/hrで、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量の、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値に対する比(10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量/単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値)が0.79であり、一定の薬物皮膚透過量を維持できることが示された。
(実施例7)経皮吸収貼付剤7
実施例5において、ポリイソブチレンの配合量を60質量%から40質量%にし、ロジンエステルの配合量を20質量%から40質量%に変更した以外は、実施例5と同様に調製法1により、経皮吸収貼付剤7を得た。得られた経皮吸収貼付剤7を使用して、試験例1に従ってラット皮膚透過試験を実施した結果を表2に示した。
表2に示されるように、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値が372.7ng/cm/hrであり、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することはなかった。また、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量が307.3ng/cm/hrで、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量の、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値に対する比(10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量/単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値)が0.82であり、一定の薬物皮膚透過量を維持できることが示された。
(比較例1)比較貼付剤1
実施例1において、薬物層に制御層を貼り合わせなかった以外は、実施例1と同様に調製法1により、比較貼付剤1を得た。得られた比較貼付剤1を使用して、試験例1に従ってラット皮膚透過試験を実施した結果を表2に示した。
表2に示されるように、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値が1624.0ng/cm/hrであり、角層を剥離した皮膚に適用した場合には、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過したことが示された。また、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量が159.7ng/cm/hrで、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量の、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値に対する比(10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量/単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値)が0.10であり、10時間経過後には、一定の薬物皮膚透過量を維持できなかった。
本発明は、ナルフラフィンを含有する薬物層に、制御層を積層することにより、角層などが損傷し皮膚バリア機能が不十分な皮膚に適用しても、短時間のうちに過剰量の薬物が皮膚を透過することがなく、かつ一定の薬物皮膚透過量を維持できるナルフラフィン含有経皮吸収貼付剤に関するものであって、産業上十分に利用できる。
本出願は、日本国で出願された特願2015−126282を基礎としており、その内容は、本明細書にすべて包含されるものである。

Claims (10)

  1. 支持体、薬物層、および制御層が順次積層されてなり、前記薬物層が、ナルフラフィンおよびその塩からなる群より選択される少なくとも1種の薬物を0.0001〜10質量%含有することを特徴とする、経皮吸収貼付剤。
  2. 支持体、薬物層、および制御層が順次積層されてなり、前記薬物層が、ナルフラフィンおよびその塩からなる群より選択される少なくとも1種の薬物を0.0001〜10質量%と、基剤としてスチレン系ブロック共重合体を含有することを特徴とする、経皮吸収貼付剤。
  3. 支持体、薬物層、および制御層が順次積層されてなり、前記薬物層が、ナルフラフィンおよびその塩からなる群より選択される少なくとも1種の薬物を0.0001〜10質量%と、基剤としてスチレン系ブロック共重合体を含有し、前記制御層が、鎖状炭化水素系重合体を含有することを特徴とする、経皮吸収貼付剤。
  4. スチレン系ブロック共重合体が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体であることを特徴とする、請求項3に記載の経皮吸収貼付剤。
  5. 前記制御層が、さらに、可塑剤および粘着付与剤からなる群より選択される少なくとも1種を10〜90質量%含有することを特徴とする、請求項3に記載の経皮吸収貼付剤。
  6. 前記制御層が、鎖状炭化水素系重合体としてポリイソブチレンを含有し、さらに、可塑剤および粘着付与剤からなる群より選択される少なくとも1種を10〜90質量%含有することを特徴とする、請求項3に記載の経皮吸収貼付剤。
  7. 前記可塑剤が、流動パラフィンであることを特徴とする、請求項5または6に記載の経皮吸収貼付剤。
  8. 前記粘着付与剤が、ロジンエステル、テルペン系樹脂及び脂環族系炭化水素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項5または6に記載の経皮吸収貼付剤。
  9. ラット皮膚透過試験において、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値が1000ng/cm/hr以下であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の経皮吸収貼付剤。
  10. ラット皮膚透過試験において、10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量の、単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値に対する比(10時間後の単位時間当たりの薬物皮膚透過量/単位時間当たりの薬物皮膚透過量の最大値)が、0.5以上であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の経皮吸収貼付剤。
JP2017525450A 2015-06-24 2016-06-24 ナルフラフィン含有経皮吸収貼付剤 Pending JPWO2016208729A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015126282 2015-06-24
JP2015126282 2015-06-24
PCT/JP2016/068860 WO2016208729A1 (ja) 2015-06-24 2016-06-24 ナルフラフィン含有経皮吸収貼付剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2016208729A1 true JPWO2016208729A1 (ja) 2018-04-12

Family

ID=57585887

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017525450A Pending JPWO2016208729A1 (ja) 2015-06-24 2016-06-24 ナルフラフィン含有経皮吸収貼付剤

Country Status (4)

Country Link
US (1) US10525015B2 (ja)
EP (1) EP3315132A4 (ja)
JP (1) JPWO2016208729A1 (ja)
WO (1) WO2016208729A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019171333A1 (en) 2018-03-08 2019-09-12 Victoria Link Ltd Treatment of demyelinating diseases
CN114845706A (zh) 2019-12-27 2022-08-02 日绊株式会社 胶带剂

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0751499B2 (ja) * 1986-06-17 1995-06-05 日東電工株式会社 貼付型医薬製剤
WO2009026135A2 (en) * 2007-08-17 2009-02-26 Alza Corporation Controlled transdermal bisoprolol delivery system
JP6064252B2 (ja) * 2012-01-19 2017-01-25 三笠製薬株式会社 そう痒症改善経皮吸収貼付剤

Also Published As

Publication number Publication date
EP3315132A4 (en) 2019-03-13
EP3315132A1 (en) 2018-05-02
US10525015B2 (en) 2020-01-07
WO2016208729A1 (ja) 2016-12-29
US20180369161A1 (en) 2018-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2010309030B2 (en) Transdermally absorbable donepezil-containing preparation
EP2425827B1 (en) Transdermal preparation
EP1992363B1 (en) Transdermal absorption preparation
JP6064252B2 (ja) そう痒症改善経皮吸収貼付剤
JP2011020997A (ja) 外用貼付剤
TW201717921A (zh) 貼附劑
JP2014177428A (ja) ロジン系樹脂を含有するロチゴチン経皮吸収型貼付製剤
JP4764337B2 (ja) 消炎鎮痛貼付剤
JPWO2013081014A1 (ja) 貼付剤
JP7049258B2 (ja) 水性貼付剤
JPWO2016208729A1 (ja) ナルフラフィン含有経皮吸収貼付剤
JP2021508713A (ja) ドネペジルを含有する認知症治療用経皮吸収製剤
JP6729584B2 (ja) 経皮吸収型貼付剤
JP5091472B2 (ja) 粘着剤及び貼付剤
TWI491690B (zh) 含有聯苯乙酸之經皮吸收製劑
JP6695571B2 (ja) 経皮吸収型製剤
JP6675589B2 (ja) 経皮吸収型製剤
JP6459148B2 (ja) 経皮吸収型製剤
JP6512905B2 (ja) フェンタニル含有貼付剤
JP7352283B2 (ja) クエン酸フェンタニル含有経皮吸収製剤
WO2017057541A1 (ja) 経皮吸収型製剤
TWI569815B (zh) Percutaneous absorption type preparation
JP2011068610A (ja) 外用貼付剤

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20171012

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20171012

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20171120

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20171120

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190617

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20190617

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190617

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200428

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20201020