JPWO2016199385A1 - 金属材料凝集促進層、及びそれを用いた水処理装置 - Google Patents

金属材料凝集促進層、及びそれを用いた水処理装置 Download PDF

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Abstract

金属材料凝集促進層(202)は、基材(201)と、基材に設けられた多孔質担体層(202)と、多孔質担体層に担持され、Fe2O3、Fe3O4、Fe(OH)3及びFeOOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価の鉄イオン化合物を含む吸着粒子とを有する。水処理装置(100)は、金属イオン、金属粒子、金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子からなる群より選ばれた少なくとも一つの金属関連物質を含む被処理水(W)が流れる被処理水流路(11,12,13)と、被処理水に酸化剤Oを供給する酸化剤供給部(4)と、金属材料凝集促進層を有し、酸化剤の作用によって被処理水に含まれる金属関連物質を吸着粒子に吸着させることにより、金属関連物質の凝集を促進させる凝集促進部(2)とを有する。

Description

本発明は、被処理水を浄化するための金属材料凝集促進層、及びそれを用いた水処理装置に関する。
従来から、被処理水を浄化するための水処理装置の開発が進められている。水処理装置に関しては、例えば、次の特許文献1に開示されているものが挙げられる。
特開2007−99612号公報
特許文献1に開示されているような従来の水処理装置は、一般に、公共の水処理施設で水の浄化を行うことが前提とされている地域で使用することが想定されている。
一方、社会基盤の整備が進んでいない新興国等においては、公共の水処理施設を有していない地域も多く存在する。このような地域においては、各家庭に水処理装置を設置することにより、水を浄化したいというニーズがある。特に、被処理水中に含まれている金属イオンなどの金属関連物質を、家庭に設置された水処理装置によって除去したいというニーズがある。ただ、家庭の水需要に見合った処理時間で金属関連物質を被処理水から除去するためには、従来の水処理装置の原理によれば、大型の貯留槽を設ける必要性が生じてしまう。
しかしながら、一般家庭においては、大型の水処理装置を設置するために適した大きさのスペースを有していない場合が多い。そのため、前述のニーズに応えるためには、大型の貯留槽を設けることなく、被処理水中に含まれる金属関連物質を必要とされる程度まで十分に除去することが可能な水処理装置が必要になる。したがって、小さなスペースで被処理水中に含まれる金属関連物質を効率的に除去することができる水処理装置が求められている。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、金属イオン、金属粒子、金属酸化物粒子、及び金属水酸化物粒子などの金属関連物質の除去を効率的に行うことが可能な金属材料凝集促進層、及びそれを用いた水処理装置を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様に係る金属材料凝集促進層は、基材と、基材の表面に設けられた多孔質担体層とを有する。さらに金属材料凝集促進層は、多孔質担体層に担持され、Fe、Fe、Fe(OH)及びFeOOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価の鉄イオン化合物を含む吸着粒子を有する。
本発明の第二の態様に係る水処理装置は、金属イオン、金属粒子、金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子からなる群より選ばれた少なくとも一つの金属関連物質を含む被処理水が流れる被処理水流路と、被処理水に酸化剤を供給する酸化剤供給部とを有する。さらに水処理装置は、第一の態様に係る金属材料凝集促進層を有し、酸化剤の作用によって被処理水に含まれる金属関連物質を吸着粒子に吸着させることにより、金属関連物質の凝集を促進させる凝集促進部を有する。
図1は、本発明の実施形態に係る水処理装置の全体構成を説明するための模式図である。 図2は、本発明の実施形態に係る水処理装置における水処理の原理を説明するための概念図である。 図3は、本発明の実施形態に係る金属材料凝集促進層の構造を説明するための断面図である。 図4は、本発明の実施形態に係る水処理装置の凝集促進部において、酸化剤の酸化作用によって、三価の鉄イオンが、多孔質担体に担持された鉄酸化物又は鉄水酸化物に吸着されることを説明するための模式図である。 図5は、本発明の実施形態に係る他の例の水処理装置の全体構成を説明するための模式図である。 図6は、本発明の実施形態1に係る水処理装置の全体構造を説明するための模式図である。 図7は、本発明の実施形態1に係る水処理装置の酸化剤供給部及び混合部の構造を説明するための断面図である。 図8は、本発明の実施形態2に係る水処理装置の全体構造を説明するための模式図であって、被処理水が順方向に流れることを示す図である。 図9は、本発明の実施形態2に係る水処理装置の全体構造を説明するための模式図であって、被処理水が逆方向に流れることを示す図である。 図10は、本発明の実施形態3に係る水処理装置の全体構造を説明するための模式図である。 図11は、実施例における水処理装置の全体構成を説明するための模式図である。 図12は、実施例2における、処理水に残存する鉄の濃度と被処理水に投入した塩素濃度との関係を示すグラフである。 図13は、実施例2における、処理水に残存する遊離塩素の濃度と被処理水に投入した塩素濃度との関係を示すグラフである。 図14は、実施例3に関し、被処理水の流量が0.2L/min、0.5L/min、0.75L/min、1L/min、1.5L/min、2mL/minの場合における、処理水に残存する鉄の濃度と鉄化合物を担持した活性炭量との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本実施形態の水処理装置100を説明する。以下の説明においては、同一の機能を有する部位には同一の参照番号が付されており、その同一の機能の説明は、特に必要がなければ繰り返さない。
以下の実施形態の説明においては、金属関連物質という用語が用いられる。金属関連物質は、金属イオンM、金属粒子M、金属酸化物粒子MO、及び金属水酸化物粒子MOHからなる群より選ばれた1又は2以上の物質を意味する。また、被処理水Wは、金属関連物質である金属イオンM、金属粒子M、金属酸化物粒子MO、及び金属水酸化物粒子MOHのうちの少なくともいずれか1つを含むものとする。
また、金属関連物質である金属イオンM、金属粒子M、金属酸化物粒子MO、及び金属水酸化物粒子MOHのいずれもが、多孔質担体に担持されている金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子の少なくともいずれか1つに吸着される。そのため、本明細書においては、金属関連物質を吸着する機能を有する金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子を吸着粒子と呼ぶ。
図1に示すように、本実施形態の水処理装置100は、被処理水Wが流れる被処理水流路11,12,13を備えている。被処理水流路11と被処理水流路12との間には、混合部1が接続されている。被処理水流路12と被処理水流路13との間には、凝集促進部2が接続されている。混合部1には、酸化剤供給部4から酸化剤Oが供給される。凝集促進部2から被処理水流路13へ流れ出た被処理水Wは、フィルタ部3によってろ過され、供給流路14を経由して、処理済みの水として水栓等に至る。
図2に示すように、水処理装置100においては、金属関連物質を含む被処理水Wが、被処理水流路11から混合部1へ流れ込む。つまり、金属イオンM、金属粒子M、金属酸化物粒子MO、及び金属水酸化物粒子MOHを含む被処理水Wが、被処理水流路11から混合部1へ流れ込む。なお、被処理水Wに含まれる金属関連物質において、金属イオンMは、例えば、二価の鉄イオン(Fe2+)及び三価の鉄イオン(Fe3+)である。金属粒子Mは、例えば、鉄(Fe)の粒子である。金属酸化物粒子MOは、例えば、鉄酸化物(FeO,Fe,Fe)の粒子である。金属水酸化物粒子MOHは、鉄水酸化物(Fe(OH),Fe(OH),FeO(OH))の粒子である。
酸化剤供給部4は、酸化剤Oを混合部1へ供給する。混合部1は、被処理水流路11を流れる被処理水Wと酸化剤供給部4から供給された酸化剤Oとを混合するように構成されている。混合部1から流れ出た被処理水Wは、被処理水流路12を経由して凝集促進部2へ流れ込む。
酸化剤Oは、被処理水W中において、金属関連物質に対し酸化作用を生じさせる。具体的には、金属関連物質が二価の鉄イオンの場合には、三価の鉄イオンに酸化させる作用を有する。このような酸化剤Oは、オゾン又は塩素を含むことが好ましい。オゾン及び塩素は被処理水Wに容易に添加でき、金属関連物質を効率的に酸化させるため、好ましく用いることができる。
酸化剤Oとしては塩素系薬剤が好ましく、特に被処理水Wの内部で次亜塩素酸が生成するものが好ましい。酸化剤Oとしては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム及び塩素化イソシアヌル酸からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。次亜塩素酸カルシウムとしては、さらし粉(有効塩素30%)及び高度さらし粉(有効塩素70%))の少なくとも一つを用いることができる。塩素化イソシアヌル酸としては、トリクロロイソシアヌル酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸カリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、及びジクロロイソシアヌル酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。この中でも、次亜塩素酸ナトリウムは液体であり、定量ポンプによる注入方式を用いて被処理水Wに定量的に添加できるため、特に好ましく用いることができる。また、無機系の高度さらし粉は被処理水Wに対する溶解度が非常に高いため、高い酸化作用を発揮することができる。
図3に示すように、凝集促進部2は金属材料凝集促進層200を備え、金属材料凝集促進層200には、被処理水流路12を経由して酸化剤Oが添加された被処理水Wが流れ込む。そして、金属材料凝集促進層200は、基材201と、基材201の内部に設けられた多孔質担体層202とを備える。
基材201は、被処理水流路12から流れ込んだ被処理水Wが多孔質担体層202を透過し、被処理水流路13から流れ出るように、多孔質担体層202を保持する。基材201としては、例えば、内部に多孔質担体層202を保持できる空間を有する筒体や箱体を用いることができる。また、基材201としては、表面に多孔質担体層202を保持できる枠体を用いることができる。なお、図3に示す凝集促進部2は、金属材料凝集促進層200における基材201の上面に被処理水流路12が接続され、基材201の下面に被処理水流路13が接続されている。そして、基材201の内部に保持され、多孔質担体層202を構成する多孔質担体Cが被処理水流路13に流れ出ないように、網203を設けている。
多孔質担体層202は、表面に吸着粒子Aを担持する多孔質担体Cを含んでいる。多孔質担体Cは、活性炭、シリカ、セラミックス及びゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。多孔質担体Cは、酸化剤Oを含む被処理水Wの流速を一定以上に維持する開口率を有している。また、多孔質担体Cは、金属関連物質M,M,MO,MOHの除去に必要な吸着粒子Aを担持するために十分な表面積及び吸着性を有している。
吸着粒子Aは、金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子の少なくともいずれか一方を含む。具体的には、吸着粒子Aは、Fe、Fe、Fe(OH)及びFeOOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価の鉄イオン化合物を含む。
凝集促進部2は、被処理水流路12から酸化剤Oを含む被処理水Wを受け入れる。凝集促進部2は、酸化剤Oの作用によって被処理水Wに含まれる金属関連物質を吸着粒子Aへ吸着させる。それにより、凝集促進部2は、多孔質担体Cの表面で、金属関連物質に由来する金属酸化物粒子MO及び金属水酸化物粒子MOHからなる混合粒子の凝集を促進させる。
具体的には、図2に示すように、被処理水Wに含まれる金属関連物質が鉄イオン、鉄粒子、鉄酸化物、及び鉄水酸化物である場合、酸化剤Oの酸化作用によって鉄イオンは三価の鉄イオン(Fe3+)に酸化される。そして、三価の鉄イオン、鉄粒子、鉄酸化物、及び鉄水酸化物は、吸着粒子Aに含まれる三価の鉄イオン化合物が核となり、吸着粒子Aの表面に吸着する。その結果、吸着粒子Aの表面で、金属関連物質は、直径φが1μm以上の鉄酸化物の粒子及び鉄水酸化物等からなる凝集物MDAへ成長する。なお、三価の鉄イオンは、吸着粒子Aに吸着されるが、被処理水Wに含まれる二価の鉄イオン(Fe2+)は、多孔質担体Cを構成する活性炭の表面に吸着され、凝集物MDAへ成長する。
ここで、吸着粒子Aを構成する金属と、被処理水Wに含まれる金属関連物質を構成する金属とが同一元素であることが好ましい。この場合、吸着粒子Aは、高い金属関連物質の吸着効果を有していると考えられる。ただし、吸着粒子Aは、被処理水Wにおける金属関連物質を吸着することができればよい。したがって、吸着粒子Aを構成する金属と金属関連物質を構成する金属とが同一元素でなくてもよい。
多孔質担体Cの表面で凝集した凝集物MDAは、ある程度の大きさ以上になると、図2に示すように、被処理水Wの水流によって多孔質担体Cの表面から脱離し、被処理水Wと共に下流へ流れる。つまり、凝集物MDAを含む被処理水Wは、凝集促進部2から被処理水流路13を経由してフィルタ部3へ流れ込む。
フィルタ部3は、凝集促進部2の下流に設けられ、凝集促進部2から被処理水Wと共に流れてきた凝集物MDAを捕捉する。本実施形態においては、フィルタ部3は、砂ろ過部である。このフィルタ部3によれば、被処理水Wから凝集物MDAを除去することができる。その結果、フィルタ部3の下流においては、金属イオンM、金属粒子M、金属酸化物粒子MO、及び金属水酸化物粒子MOHの凝集物MDAが除去された処理済の水が生成される。この処理済の水は、供給流路14を経由して水栓まで供給される。
次に、図4を用いて、被処理水W中の鉄イオンの除去に着目して、本実施形態の水処理装置100と比較例の水処理装置との相違を説明する。
図4の(a)に示すように、比較例の水処理装置において、被処理水Wは酸素(O)を含むが、酸化剤Oを含まない。多孔質担体Cとして活性炭を用いた場合、活性炭は二価の鉄イオン(Fe2+)を吸着しやすい性質を有する。ここで、二価の鉄イオンが水中で酸化されて三価の鉄イオン(Fe3+)になった場合、三価の鉄イオンは瞬時に酸素と結合し、微粒子状の酸化鉄に変化する。しかし、活性炭は鉄イオンよりも酸化鉄微粒子を吸着し難いため、結果的に三価の鉄イオンは吸着されずに活性炭を通過してしまう場合が多い。
このように、二価の鉄イオンは多孔質担体Cに吸着されるが、三価の鉄イオンは酸素と結合して数nmレベルの酸化鉄粒子となることから、多孔質担体Cを通過してしまう。このような数nmレベルの酸化鉄粒子を除去するには逆浸透膜(RO膜)などを用いなければならず、コストが大きく増大してしまう。また、数nmレベルの酸化鉄粒子は凝集剤を用いて粗大化させることは可能であるが、粗大化のために長時間放置する必要があることから、除去効率が大きく低下してしまう。
一方、本実施形態の水処理装置100では、図4の(b)に示すように、酸化剤Oが被処理水W中に供給された場合、二価の鉄イオンは三価の鉄イオンに酸化される。そして、三価の鉄イオンは、凝集促進部2に存在する吸着粒子Aに吸着される。つまり、吸着粒子Aは、Fe、Fe、Fe(OH)及びFeOOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価の鉄イオン化合物を含んでいる。被処理水W中の三価の鉄イオンは、吸着粒子Aにおける三価の鉄イオン化合物との親和性が高いことから、三価の鉄イオン化合物が核となり、吸着粒子Aの表面に吸着する。その結果、吸着粒子Aの表面で、被処理水W中の鉄イオンが凝集し、鉄酸化物や鉄水酸化物の凝集物MDAが生成する。また、酸化剤Oによって酸化されなかった二価の鉄イオンは多孔質担体Cに吸着され、多孔質担体Cの表面に存在する吸着粒子Aと凝集物MDAを生成する。
ここで、凝集物MDAの粒子径が数μmレベルとなった後に、凝集物MDAは吸着粒子Aの表面から脱離する。つまり、被処理水W中の鉄イオンは鉄酸化物や鉄水酸化物の凝集物MDAとして、吸着粒子Aの表面に凝集する。そして、凝集物MDAが数μm以上となった場合には、被処理水Wの水流により吸着粒子Aの表面から脱離し、フィルタ部3に到達する。ただ、凝集物MDAは数μm以上となっているため、逆浸透膜を用いなくても、例えば砂ろ過等で容易に除去することが可能となる。
上述のように、吸着粒子Aは、Fe、Fe、Fe(OH)及びFeOOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価の鉄イオン化合物を含むことが好ましい。ただ、吸着粒子Aは、Fe(OH)及びFeOOHの少なくともいずれか一方を含むことがより好ましい。Fe(OH)及びFeOOHは、三価の鉄イオンとの親和性が特に高いことから、凝集物MDAを生成しやすくなり、被処理水Wから金属関連物質を効率的に除去することが可能となる。
なお、被処理水W中に鉄水酸化物(Fe(OH))、鉄酸化物(Fe)、及び鉄(Fe)の粒子が含まれている場合には、鉄水酸化物、鉄酸化物及び鉄の粒子は多孔質担体Cを通過してしまう。しかしながら、吸着粒子Aは、鉄水酸化物、鉄酸化物及び鉄の粒子も吸着することができるため、凝集物MDAとして除去することが可能となる。
被処理水Wは、金属関連物質として、鉄の他にヒ素やマンガン、シリカ、アルミナなどを含む場合がある。シリカ及びアルミナは、懸濁成分として水質を悪化させる。ただ、これらの金属関連物質は、鉄イオンにより巻き込まれる形で吸着粒子Aの表面に凝集することができるため、鉄と共に凝集物MDAを形成して除去することが可能となる。
本実施形態の水処理装置100によれば、三価の鉄イオン化合物を含む吸着粒子が高密度に存在する多孔質担体層202に、酸化剤と共に鉄イオンを含む被処理水Wを通過させる。それにより、二価の鉄イオンは、多孔質担体Cの表面に吸着される。また、三価の鉄イオンは、多孔質担体Cの表面に付着した吸着粒子Aとしての鉄酸化物の粒子又は鉄水酸化物の粒子等に吸着される。その結果、多孔質担体Cの表面で、金属関連物質の凝集が促進される。これによれば、被処理水Wに含まれる鉄イオンの価数によらず、必要とされる程度まで鉄イオンを除去することができる。
図5を用いて、本実施形態の他の例における水処理装置100の全体構成を説明する。図5に示すように、他の例の水処理装置100においては、酸化剤Oは塩素を含んでいる。塩素を含む酸化剤Oは、上述のように金属関連物質の凝集の促進を行うと共に、被処理水Wの殺菌を行うことができる。また、他の例の水処理装置100においては、鉄の繊維材料が混合部1に設置されている。それにより、混合部1において、鉄イオン及び鉄の粒子が被処理水Wに供給される。なお、鉄の粒子は、被処理水W中において、鉄イオン、鉄酸化物の粒子、及び鉄水酸化物の粒子に変化するものもある。
一般に、水処理装置100が使用される環境においては、被処理水Wとなる原水は、金属関連物質として、金属イオンM、金属粒子M、金属酸化物粒子MO、及び金属水酸化物粒子MOHのうちの少なくとも一つを含んでいる。例えば、当該原水は、鉄イオン、鉄の粒子、鉄酸化物の粒子及び鉄水酸化物の粒子のうちの少なくとも一つを含んでいる。この場合、水処理装置100では、上述のように塩素の酸化作用及び金属材料凝集促進層200によって、原水から三価の鉄イオン、鉄の粒子、鉄酸化物の粒子、及び鉄水酸化物の粒子を除去することができる。なお、二価の鉄イオンは、多孔質担体Cの吸着作用により、原水から除去される。
一方、被処理水Wとなる原水が鉄イオン、鉄の粒子、鉄酸化物の粒子、及び鉄水酸化物の粒子のいずれも殆ど含んでいない場合がある。上述のように、ヒ素やマンガン、シリカ、アルミナなど鉄以外の金属関連物質は、鉄イオンに巻き込まれる形で吸着粒子Aの表面に凝集して除去されるため、原水が鉄を含まない場合には、これらの金属関連物質が除去され難くなる可能性がある。そのため、被処理水Wに意図的に鉄を添加し、これらの金属関連物質を除去しやすくすることが好ましい。図5に示す水処理装置100では、被処理水Wに鉄を供給するための繊維材料を混合部1に設けている。
図5に示される例では、鉄の繊維材料と塩素とが反応することによって、二価の鉄イオン及び三価の鉄イオンが被処理水Wに溶け出す。また、被処理水W中において、三価の鉄イオン、鉄の粒子、鉄酸化物の粒子、及び鉄水酸化物の粒子は、金属材料凝集促進層200中の吸着粒子Aに吸着される。この場合においても、吸着粒子Aは、Fe、Fe、Fe(OH)及びFeOOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価の鉄イオン化合物を含む。
本実施形態の他の例の水処理装置100は、被処理水Wに対し、鉄の繊維材料から鉄イオン、鉄の粒子、鉄酸化物の粒子、及び鉄水酸化物の粒子を積極的に添加している。それにより、吸着粒子Aの表面で、鉄酸化物の粒子及び鉄水酸化物の粒子の凝集を意図的に促進し、ヒ素やマンガン、シリカ、アルミナなど鉄以外の金属関連物質を除去することが可能となる。
上記した本実施形態の他の例の水処理装置100によれば、塩素の酸化作用により、大型の貯留槽を設けることなく、必要とされる程度まで、被処理水Wから金属関連物質を除去することができる。そのため、水処理装置100によれば、金属関連物質の除去のスペース効率を向上させることができる。また、鉄の繊維材料が鉄イオンとして被処理水Wに溶け出すことを利用して、被処理水Wから微細粒子を除去することができる。
以下、本実施形態の水処理装置100の具体的構成を説明する。
(実施形態1)
図6及び図7を用いて、実施形態1の水処理装置100を説明する。図6に示すように、実施形態1の水処理装置100においては、凝集促進部2とフィルタ部3とが1つの貯留槽10内に設けられている。そして、被処理水流路13は、貯留槽10内に設けられており、貯留槽10内の凝集促進部2とフィルタ部3との境界部である。
被処理水流路11には、ポンプP1が設けられている。ポンプP1は、井戸等から被処理水Wを混合部1へ送る。貯留槽10内においては、混合部1から流れ出た被処理水Wは、被処理水流路12を経由して、貯留槽10の上部から貯留槽10内へ流れ込む。貯留槽10内では、上方から下方へ向かって被処理水Wが流れ落ちる。このとき、流れ落ちる被処理水Wは、凝集促進部2とフィルタ部3とを通過する。その後、処理済の水は、貯留槽10の下部から外部へ流れ出て、供給流路14を経由して、水栓へ供給される。
実施形態1においては、混合部1及び酸化剤供給部4が一体化されている。混合部1は、蓋部22を有する混合酸化タンク23を備えている。酸化剤供給部4は、混合部1内に設置された酸化剤Oとしてのタブレット状の塩素系薬剤24そのものである。混合部1内には、タブレット状の塩素系薬剤24と共に、被処理水Wへ鉄イオン及び鉄粒子を供給する繊維状の鉄25が設置されている。
図7に示すように、混合部1内においては、被処理水Wが被処理水流路11から混合酸化タンク23内の空間21へ吹き出される。その後、被処理水Wは、混合酸化タンク23の下部に設置されているタブレット状の塩素系薬剤24と繊維状の鉄25とに接触する。それにより、タブレット状の塩素系薬剤24と繊維状の鉄25とは、被処理水Wへ、酸化剤O、並びに鉄イオン及び鉄粒子を供給する。
なお、タブレット状の塩素系薬剤24と繊維状の鉄25とは、混合酸化タンク23から被処理水流路12へ至る経路に設けられた網26によって捕捉されるため、下流の被処理水流路12へ流されてしまうことはない。塩素系薬剤24としては、塩素化イソシアヌル酸を用いることが好ましく、例えばジクロロイソシアヌル酸ナトリウムやトリクロロイソシアヌル酸ナトリウムを用いることがより好ましく、トリクロロイソシアヌル酸ナトリウムを用いることが特に好ましい。トリクロロイソシアヌル酸ナトリウムは水に対する溶解度が低いため、タブレット状の塩素系薬剤24として用いた場合、少量の薬剤を長期に亘り継続して添加することが可能となる。
このように、実施形態1では、混合酸化タンク23に塩素系薬剤24と繊維状の鉄25を近接して配置している。そのため、塩素系薬剤24の効果により鉄25から、鉄イオン、鉄、鉄酸化物及び鉄水酸化物が溶出しやすくなり、被処理水Wに対する酸化剤O、並びに鉄イオン、鉄、鉄酸化物及び鉄水酸化物の添加を効率的に行うことが可能となる。また、上述のように、被処理水Wとなる原水が鉄イオン、鉄、鉄酸化物、及び鉄水酸化物を殆ど含んでいない場合であっても、実施形態1の水処理装置100を用いることで、被処理水Wに意図的に鉄を添加できる。その結果、ヒ素やマンガン、シリカ、アルミナなど鉄以外の金属関連物質を除去することが可能となる。
(実施形態2)
図8及び図9を用いて、実施形態2の水処理装置100を説明する。水処理装置100は、流路切替弁50と排水口17とをさらに備えている。流路切替弁50は、被処理水流路12と供給流路14とに接続されている。混合部1と流路切替弁50とは、被処理水流路12aによって接続されている。流路切替弁50と貯留槽10とは、被処理水流路12bによって接続されている。また、貯留槽10と流路切替弁50とは、供給流路14aによって接続されている。流路切替弁50と蛇口16とは、供給流路14bによって接続されている。流路切替弁50は、排水口17にも接続されている。流路切替弁50は、いわゆる五方弁である。
流路切替弁50は、図8に示される被処理水Wが凝集促進部2からフィルタ部3へ向かう順方向Xに流れる状態と、図9に示される被処理水Wがフィルタ部3から凝集促進部2へ向かう逆方向Yに流れる状態とを切り替える。順方向Xの流れの場合においては、図8に示すように、被処理水Wは、混合部1、流路切替弁50、凝集促進部2、フィルタ部3、流路切替弁50、及び蛇口16をこの順番で流れる。逆方向Yの流れの場合においては、図9に示すように、被処理水Wは、混合部1、流路切替弁50、フィルタ部3、凝集促進部2、流路切替弁50、及び排水口17をこの順番で流れる。
排水口17は、被処理水Wが逆方向Yに流れる状態において凝集促進部2の下流に位置付けられ、被処理水Wを外部へ排出する。そのため、水処理装置100によれば、フィルタ部3を逆流洗浄することが可能になる。また、フィルタ部3の逆流洗浄のときに、フィルタ部3に付着している吸着粒子Aが凝集促進部2に吸着されている吸着粒子Aに吸着される。その結果、凝集促進部2の吸着粒子Aの能力を回復させることができる。
ここで、凝集促進部2は、例えば一群の粒状体を含む多孔質担体Cを有し、フィルタ部3は、例えば一群の砂粒を含む砂ろ過部を有している。凝集促進部2の一群の粒状体の密度は、フィルタ部3の一群の砂粒の密度よりも小さい。したがって、貯留槽10内の水の中で、凝集促進部2の一群の粒状体は、フィルタ部3の一群の砂粒よりも上側に位置付けられる。また、凝集促進部2を構成する一群の粒状体とフィルタ部3を構成する一群の砂粒とは、互いに上下方向において並ぶように堆積されている。そのため、水処理装置100を小型化することが可能になっている。また、フィルタ部3を逆流洗浄しても、凝集促進部2を構成する一群の粒状体とフィルタ部3を構成する一群の砂粒とは、重力により自然に互いの配置を維持する。
フィルタ部3を構成する一群の砂粒は、例えばマンガン砂である。そして、マンガン砂の密度は、2.57〜2.67g/cmである。マンガン砂のマンガン付着量は、0.3mg/g以上である。ただし、フィルタ部3は、一般のろ過砂(2.5g/cm)で形成されていてもよい。また、凝集促進部2を構成する一群の粒状体を含む多孔質担体Cの密度は、例えば、活性炭の場合0.5g/cmであり、ゼオライトの場合0.9〜1.1/cmであり、シリカの場合2.2g/cmであり、セラミックスの場合0.7g/cmである。
(実施形態3)
図10を用いて、実施形態3の水処理装置100を説明する。水処理装置100は、混合部1の上流の被処理水流路11に設けられ、被処理水Wに含まれる還元剤としてのアンモニアを吸着する還元剤吸着部18をさらに備えている。そのため、混合部1における酸化剤Oが被処理水W中のアンモニアの酸化のために消費されてしまうことを抑制することができる。還元剤吸着部18は、ナトリウムイオンを含み、そのナトリウムイオンと被処理水W中のアンモニウムイオンとを置換することにより、被処理水W中のアンモニアを吸着するゼオライトである。
水処理装置100は、ゼオライトのアンモニア吸着効果を再生する再生液供給部19を備えている。再生液供給部19は、ゼオライトに塩化ナトリウムを含む再生液を供給することにより、還元剤吸着部18に新たなナトリウムイオンを吸着させる。それにより、還元剤吸着部18によるアンモニアの吸着効果を維持することができる。
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
まず、次のように、多孔質担体としての活性炭へ、吸着粒子としての鉄化合物を担持した。はじめに、内径がΦ50mm、容量1Lの円筒型処理槽に、活性炭を300mL入れた。なお、活性炭は、粒子径Φが0.5mm〜2.3mmのものを用いた。次に、円筒型処理槽の内部の活性炭に、二価の鉄イオンを0.7ppm含む水と次亜塩素酸ナトリウム溶液とを連続通水し、処理槽内で活性炭、水及び次亜塩素酸ナトリウム溶液が十分接触するようにした。水の通水流量は6L/minとし、次亜塩素酸ナトリウム溶液の注入量は処理槽内の遊離塩素濃度が5ppmで維持されるように定量制御を行った。この水及び次亜塩素酸ナトリウム溶液の注入処理を10時間行い、活性炭へ鉄化合物を担持した。
次に、上述のようにして得られた、鉄化合物を担持した活性炭を用い、図11に示す水処理装置を作製した。そして、金属材料凝集促進層の除鉄性能を確認するため、従来技術との比較を行った。従来技術として、酸化剤で鉄の凝集を促して粒成長させた後に、ろ過砂でろ過する高速ろ過と比較した。
比較実験は、図11で示される水処理装置を用いて行った。凝集促進部及び砂ろ過槽には、内径Φが50mmで容量が1Lの円筒型の容器を用いた。そして、当該容器の内部に、ろ過砂利(Φ2〜4mm)を100mLと、鉄化合物を担持した活性炭を300mL入れ、金属材料凝集促進層を備える凝集促進部を作製した。なお、ろ過砂利は、粒子径Φが2mm〜4mmのものを使用した。さらに、当該容器の内部に、ろ過砂利を100mLと、マンガン砂(Φ0.35mm)を300mL入れ、砂ろ過槽を作製した。なお、ろ過砂利は、粒子径Φが2mm〜4mmのものを使用し、マンガン砂は、粒子径Φが0.35mmのものを使用した。
そして図11に示すように、被処理水流路を用いて、凝集促進部を砂ろ過槽の上流側に配置し、凝集促進部の上流側に、被処理水としての原水の供給ポンプと、酸化剤の定量注入機構を設けた。酸化剤は、塩素濃度が10、000ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いた。なお、次亜塩素酸の注入機構と凝集促進部の間と、凝集促進部と砂ろ過槽の間にバイパスライン(BL)を設けた。BLの容量は1Lとなっており、BLと凝集促進部のどちらの流路を通っても、合計容量は同じになるようにしてある。
実験項目としては、凝集促進部の有無と塩素供給の有無の組み合わせからなる計4通りを行った。従来技術である高速ろ過は、凝集促進部が無く、かつ、酸化剤としての塩素が有りの場合に相当する。また、本実施形態に係る凝集促進部を用いたろ過は、凝集促進部が有り、かつ、塩素が有りの場合に相当する。なお、原水としては、鉄濃度が0.72ppmの水を用い、原水流量は1L/minとした。塩素供給を行う場合は、投入量が30ppmになるよう制御した。
表1では、各々の処理水に含まれる鉄濃度を示す。従来技術である高速ろ過(凝集促進部無、塩素有)では、鉄濃度が0.47ppmとなった。これは、一部の鉄は塩素の効果で粒成長して砂ろ過部によりろ過されるが、十分な除鉄を行うには粒成長の時間、つまり砂ろ過槽の前段の容量が不足した結果と考えられる。
これに対して、砂ろ過槽の前に凝集促進部を用いた場合(凝集促進部有、塩素有)では、鉄濃度が0.16ppmとなっており、除鉄性能の向上が確認された。これは、凝集促進部が鉄の凝集を加速し、ろ過される鉄の量が増加した結果と考えられ、凝集促進部の除鉄処理に対する効果が確認された。また、凝集促進部のみを用いた場合(凝集促進部有、塩素無)でも鉄濃度の低下はわずかながら起こっており、凝集促進部単体での粒成長加速効果も確認された。
Figure 2016199385
以上のように、本実施形態の凝集促進部を砂ろ過槽の上流に備えることで、酸化剤のみを用いた場合よりも鉄の粒成長が加速され、ろ過による除鉄性能が大幅に向上することが確認された。
[実施例2]
実施例1で説明した通り、凝集促進部を用いた除鉄処理では、酸化剤(塩素)を用いることで鉄の粒成長がさらに加速されることが確認されている。次に、塩素の必要量を調べるため、実施例1の水処理装置を用いて投入塩素濃度を10ppm、20ppm、30ppm、40ppmと変化させ、得られる処理水中の鉄濃度及び遊離塩素濃度の評価を行った。なお、実施例1と同じように、鉄化合物を担持した活性炭の量は300mLとし、被処理水の流量は1L/minとした。
図12に示すように、投入塩素量が30ppm以上の場合には、処理水中の鉄濃度が0.2ppm程度まで低下した。日本における鉄の水質基準が0.3ppm以下であることから、これを満たす水質まで除鉄処理できたことになる。また、図13に示すように、処理水中の遊離塩素濃度は、投入塩素量が30ppm以上で急増することが確認された。これらの結果から、本実施例では、遊離塩素が一定濃度(2〜5ppm)以上であることにより、凝集促進部での粒成長効果がより発揮できることが分かった。
ここで、鉄の酸化以外で塩素が消費される要因としては、被処理水中に含まれるアンモニアや有機物などの分解が考えられる。今回の実施例で用いた原水にはアンモニア成分が含まれていることが分かっており、投入塩素の多くはアンモニア成分の酸化に消費されたと考えられる。本実施形態の水処理装置が処理する原水の水質は、設置される場所などケースごとに異なることが想定され、有機物などの含有量も一定ではない。そのため、投入塩素量は、処理する原水の水質に合わせて、その都度調整する必要がある。
[実施例3]
実施例3では、凝集促進部の性能に対する、被処理水の流量、及び鉄化合物を担持した活性炭の量の影響を調べた。まず、鉄化合物を担持した活性炭量がそれぞれ50mL、100mL、200mL、300mLである凝集促進部を作製し、各凝集促進部を用いて実施例1の水処理装置を得た。そして、当該水処理装置に、鉄濃度が0.72ppmの原水を0.2L/min、0.5L/min、0.75L/min、1L/min、1.5L/min、2mL/minの流量で通水し、除鉄性能を調べた。図14では、各流量における、処理水に残存する鉄の濃度と鉄化合物を担持した活性炭量との関係を示している。なお、被処理水への投入塩素濃度は40ppmとした。
図14に示すように、活性炭量が50mL、100mL、200mL、300mLの全てにおいて、被処理水の流量を変化させても、処理水中の鉄濃度を低減できることが分かる。特に、活性炭量が50mL及び100mLの場合には、各流量においてそれぞれ良好な除鉄結果が得られた。また、流速に関しては、活性炭量が100mLにおいて、0.75L/minの場合に最もよい除鉄性能を示した。なお、図14に示す除鉄性能の違いは、投入した塩素が活性炭に消費されることに起因した結果と考えられ、被処理水の流量や活性炭量は、先述の遊離塩素濃度を保てる範囲に調整することが好ましいと考えられる。
以上のように、除鉄性能に対して、活性炭量及び被処理水の流量は一定の関係があるものの、凝集促進部を使用することで効果的に除鉄できることが分かる。また、今回の実験は、鉄濃度が0.72ppm程度の原水を用いているが、原水中の鉄濃度が異なれば図14の結果も変わってくることが十分想定されることから、最終的な水処理装置の設計は実際の原水の仕様にあわせて行う必要がある。
以下、本実施形態に係る金属材料凝集促進層及び水処理装置の特徴的構成及びそれにより得られる効果を記載する。
(1)金属材料凝集促進層200は、基材201と、基材201に設けられた多孔質担体層202とを有する。さらに金属材料凝集促進層200は、多孔質担体層202に担持され、Fe、Fe、Fe(OH)及びFeOOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価の鉄イオン化合物を含む吸着粒子を有する。このような構成によれば、被処理水Wに含まれる金属関連物質M,M,MO,MOHを吸着粒子の表面で吸着し凝集させることができる。その結果、金属関連物質の凝集物MDAの粒子径が数μmレベルとなるため、被処理水Wから容易に分離し、被処理水Wに含まれる金属関連物質の濃度を低減することが可能となる。
(2)吸着粒子は、Fe(OH)及びFeOOHの少なくともいずれか一方を含む。Fe(OH)及びFeOOHは、金属関連物質との親和性が高く、容易に吸着することができるため、金属関連物質の凝集物MDAを効率的に生成することが可能となる。
(3)多孔質担体層202は活性炭を含む。活性炭は比表面積が高いため、吸着粒子を高濃度で担持することができる。また、活性炭は二価の鉄イオンを吸着するため、被処理水中の二価の鉄イオンを容易に除去することができる。
(4)水処理装置100は、被処理水流路11,12,13、酸化剤供給部4、及び凝集促進部2を備えている。被処理水流路11,12,13は、金属イオンM、金属粒子M、金属酸化物粒子MO、及び金属水酸化物粒子MOHからなる群より選ばれた少なくとも一つの金属関連物質を含む被処理水Wが流れる。酸化剤供給部4は、被処理水Wに酸化剤Oを供給する。凝集促進部2は、金属材料凝集促進層200を有し、酸化剤Oの作用によって被処理水Wに含まれる金属関連物質を吸着粒子Aに吸着させることにより、金属関連物質の凝集を促進させる。
上記の構成によれば、金属関連物質を吸着した金属酸化物粒子の凝集物MDAを含む被処理水Wが凝集促進部2から流出する。したがって、凝集促進部2の下流に設けられたフィルタ部3によって凝集物MDAを捕捉すれば、被処理水Wから金属関連物質をより多く除去することができる。したがって、被処理水Wからの金属関連物質の除去のスペース効率を向上させることができる。
(5)酸化剤Oは、オゾン又は塩素を含んでいてもよい。これによれば、被処理水Wの殺菌と金属関連物質の凝集の促進との双方を行うことができる。
(6)水処理装置100は、凝集促進部2の下流に設けられ、被処理水Wと共に凝集促進部2から流れてきた金属関連物質の凝集物MDAをろ過するフィルタ部3をさらに備えていることが好ましい。これによれば、フィルタ部3によって、被処理水Wから金属関連物質の凝集物MDAを除去することができる。その結果、金属関連物質の凝集物MDAが除去された水を生成することができる。
特願2015−116729号(出願日:2015年6月9日)及び特願2015−176427号(出願日:2015年9月8日)の全内容は、ここに援用される。
以上、実施例に沿って本実施形態の内容を説明したが、本実施形態はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
本発明によれば、金属イオン、金属粒子、金属酸化物粒子、及び金属水酸化物粒子からなる群より選ばれた1又は2以上の金属関連物質の除去のスペース効率を向上させることができる。
2 凝集促進部
3 フィルタ部
4 酸化剤供給部
11,12,13 被処理水流路
100 水処理装置
200 金属材料凝集促進層
201 基材
202 多孔質担体層
A 吸着粒子
MDA 凝集物
O 酸化剤
W 被処理水

Claims (6)

  1. 基材と、
    前記基材に設けられた多孔質担体層と、
    前記多孔質担体層に担持され、Fe、Fe、Fe(OH)及びFeOOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価の鉄イオン化合物を含む吸着粒子と、
    を有する、金属材料凝集促進層。
  2. 前記吸着粒子は、Fe(OH)及びFeOOHの少なくともいずれか一方を含む、請求項1に記載の金属材料凝集促進層。
  3. 前記多孔質担体層は活性炭を含む、請求項1又は2に記載の金属材料凝集促進層。
  4. 金属イオン、金属粒子、金属酸化物粒子及び金属水酸化物粒子からなる群より選ばれた少なくとも一つの金属関連物質を含む被処理水が流れる被処理水流路と、
    前記被処理水に酸化剤を供給する酸化剤供給部と、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属材料凝集促進層を有し、前記酸化剤の作用によって前記被処理水に含まれる前記金属関連物質を前記吸着粒子に吸着させることにより、前記金属関連物質の凝集を促進させる凝集促進部と、
    を有する、水処理装置。
  5. 前記酸化剤はオゾン又は塩素を含む、請求項4に記載の水処理装置。
  6. 前記凝集促進部の下流に設けられ、前記被処理水と共に前記凝集促進部から流れてきた前記金属関連物質の凝集物をろ過するフィルタ部をさらに備える、請求項4又は5に記載の水処理装置。
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