JPWO2016190052A1 - 光学素子の製造方法及び反射型空中結像素子の製造方法 - Google Patents

光学素子の製造方法及び反射型空中結像素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

製造工数を削減できるとともに歩留まりを向上できる光学素子の製造方法を提供することを目的とする。厚み方向に平行な反射面4を所定周期で配した光透過性の光学素子1の製造方法において、少なくとも一の面に反射面4を形成した透明な基材2を反射面4上に配したスペーサー15を介して積み重ねて積層体11を形成する積層工程と、積層体11の反射面4に垂直な対向する二面から成る一対のシール面11a上でスペーサー15により基材2間に形成される隙間Gをシール部材30によりシールするシール工程と、積層体11の反射面4及びシール面11aに垂直な二面の一方面を液状の接着剤3に浸漬するとともに他方面側から空気を吸引して隙間Gに接着剤3を充填し、接着剤3の硬化により複数の基材2が固着された固着ブロック12を形成する固着工程と、を備えた。

Description

本発明は、被投影物の実像を空中に結像させる反射型空中結像素子の製造方法及び反射型空中結像素子に用いられる光学素子の製造方法に関する。
従来の反射型空中結像素子は特許文献1、2に開示されている。この反射型空中結像素子は2枚の平板状の光学素子を上下に重ねて形成され、光学素子は透明な複数の基材を接着剤を介して接着して形成される。基材は接着剤との境界面上にアルミニウム等を蒸着して反射面が形成される。反射面は光学素子の厚み方向に平行に形成され、厚み方向に垂直な方向に所定周期で配されている。2枚の光学素子を反射面が互いに直交するように接着して反射型空中結像素子が形成される。
上記構成の反射型空中結像素子において、下方の光学素子よりも下方に配置された被投影物に向けて光が照射される。被投影物で反射した光の一部は下方の光学素子に下面の入射面から入射し、反射面で反射した後に上方の光学素子に入射する。上方の光学素子の反射面で反射した光は反射型空中結像素子の上面の出射面から出射し、反射型空中結像素子に対して被投影物と面対象の位置の空中で被投影物の実像が結像される。これにより、被投影物の映像が空中に浮かんだ状態で表示される。すなわち、被投影物の空中映像が表示される。
上記構成の光学素子の製造工程は、反射面形成工程、固着工程及び切断工程を備えている。反射面形成工程では、板状の透明な基材の一の面にアルミニウムの蒸着により反射面を形成する。固着工程では反射面の中央部上に接着剤を適量塗布した板状の透明な基材を反射面に垂直な方向に積み重ねて積層体を形成する。そして、接着剤が硬化することにより固着ブロックが形成される。切断工程では固着ブロックを反射面に垂直な方向に所定周期で切断する。これにより、光学素子が形成される。
特開2012−150502号公報(第4頁、第5頁、第5図) 特開2011−175297号公報(第6頁、第4図、第5図)
しかしながら、上記特許文献1、2の光学素子の製造方法によると、接着材を塗布した板状の基材を積み重ねるため、積層体の基材間に接着剤が行き渡らずボイド(空洞)が発生するおそれがある。積層体の基材間にボイドが発生すると、切断工程時にボイド部分で欠けや割れが生じる。このため、光学素子の歩留まりが低下する問題があった。また、塗布した接着剤を隣接する基材間に均一に広げる工程が必要であり、光学素子の製造工数が大きくなる問題があった。さらに、接着剤が隣接する基材間に均一に広がらない場合は、積層される基材の反射面が互いに平行にならず、空中映像の画質が低下する問題もあった。
本発明は、製造工数を削減できるとともに歩留まりを向上でき、空中映像の画質の低下を抑制できる光学素子の製造方法及び反射型空中結像素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、厚み方向に平行な反射面を所定周期で平行に配した光透過性の光学素子の製造方法において、
少なくとも一の面に前記反射面を形成した透明な基材を前記反射面上に配したスペーサーを介して積み重ねて積層体を形成する積層工程と、
前記積層体の前記反射面に垂直な対向する二面から成る一対のシール面上で前記スペーサーにより前記基材間に形成される隙間をシール部材によりシールするシール工程と、
前記積層体の前記反射面及び前記シール面に垂直な二面の一方面を液状の接着剤に浸漬するとともに他方面側から空気を吸引して前記隙間に前記接着剤を充填し、前記接着剤の硬化により複数の前記基材が固着された固着ブロックを形成する固着工程と、
を備えることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の光学素子の製造方法において、前記固着工程において、前記積層体の前記他方面に被嵌される吸込ノズルを有し、前記積層体の外周面と前記吸込ノズルとの間を密封すると好ましい。
また本発明は、上記構成の光学素子の製造方法において、前記基板が板状に形成され、前記固着ブロックを前記反射面に垂直な方向に所定周期で切断する切断工程を備えると好ましい。
また本発明は、上記構成の光学素子の製造方法において、前記基板が断面矩形の角材状に形成されると好ましい。
また本発明は、上記構成の光学素子の製造方法において、前記スペーサーをワイヤー状部材により形成し、前記シール工程において、前記積層体の前記ワイヤー状部材が延びる方向に平行な二面に前記シール部材を設けると好ましい。
また本発明は、上記構成の光学素子の製造方法において、前記スペーサーを粒状に形成すると好ましい。
また本発明は、上記構成の光学素子の製造方法において、前記固着工程において、前記積層体の前記接着剤の充填方向の両端部の周面上に粘着剤を介して密着するとともに前記両端部からそれぞれ互いに離れる方向に延びて配される環状の延設部材を設けると好ましい。
また本発明は、厚み方向に平行な反射面を所定周期で平行に配した光透過性の光学素子を厚み方向に複数並設し、隣接する一対の前記光学素子の前記反射面が直交する反射型空中結像素子の製造方法において、
少なくとも一の面に前記反射面を形成した透明な基材を前記反射面上に配したスペーサーを介して積み重ねて積層体を形成する積層工程と、
前記積層体の前記反射面に垂直な対向する二面から成る一対のシール面上で前記スペーサーにより前記基材間に形成される隙間をシール部材によりシールするシール工程と、
前記積層体の前記反射面及び前記シール面に垂直な二面の一方面を液状の接着剤に浸漬するとともに他方面側から空気を吸引して前記隙間に前記接着剤を充填し、前記接着剤の硬化により複数の前記基材が固着された固着ブロックを形成する固着工程と、
を備えることを特徴としている。
本発明によると、基材の反射面上に配したスぺーサーを介して基材を積み重ねて形成された積層体の反射面及びシール面に垂直な二面の一方面を液状の接着剤に浸漬するとともに他方面側から空気を吸引して基材間の隙間に接着剤を充填する。そして、接着剤の硬化により複数の基材が固着された固着ブロックを形成する。これにより、ボイド(空洞)を生じさせることなく基材間の隙間に接着剤を充填することができる。また、各基材に接着剤を逐一塗布する工程及び基材間に接着剤を広げる工程を省くことができる。したがって、光学素子及び反射型空中結像素子の製造工数を削減できるとともに光学素子及び反射型空中結像素子の歩留まりを向上させることができる。さらに、隣接する基材間の接着剤の膜厚を均一にすることができるため、反射面同士を容易に平行にすることができ、空中映像の画質低下を抑制することができる。
本発明の第1実施形態の反射型空中結像素子を備えた空中映像表示装置を示す斜視図 図1の要部を拡大した斜視図 本発明の第1実施形態の反射型空中結像素子を示す平面図 本発明の第1実施形態の反射型空中結像素子に用いる光学素子を示す斜視図 本発明の第1実施形態の反射型空中結像素子の光学素子の基材の接着剤との境界部分を拡大した側面図 本発明の第1実施形態の反射型空中結像素子の製造工程を示す図 本発明の第1実施形態の反射型空中結像素子の製造工程の反射面形成工程における板状の基材を示す斜視図 本発明の第1実施形態の反射型空中結像素子の製造工程の積層工程における板状の基材を示す斜視図 本発明の第1実施形態の反射型空中結像素子の製造工程の積層工程における積層体を示す上面図 本発明の第1実施形態の反射型空中結像素子の製造工程のシール工程における積層体を示す上面図 本発明の第1実施形態の反射型空中結像素子の製造工程のシール工程における積層体を示す側面図 本発明の第1実施形態の反射型空中結像素子の製造工程における固着工程を説明するための積層体の側面断面図 本発明の第1実施形態の反射型空中結像素子の製造工程における固着工程で形成される固着ブロックを示す斜視図 本発明の第2実施形態の反射型空中結像素子の製造工程における固着工程を説明するための積層体の側面断面図 本発明の第3実施形態の反射型空中結像素子の製造工程で使用される角材状の基材を示す斜視図
<第1実施形態>
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の反射型空中結像素子を備えた空中映像表示装置の斜視図を示している。図2は図1の要部を拡大した斜視図を示している。図3は反射型空中結像素子の平面図を示している。X方向、Y方向及びZ方向はそれぞれ反射型空中結像素子10の幅方向、厚み方向及び奥行方向を示している。また、図2において矢印Pは光路を示している。
空中映像表示装置100は光源20及び反射型空中結像素子10を有する。反射型空中結像素子10は2枚の平板状の光学素子1を厚み方向(Y方向)に並設して形成される。光学素子1の平面形状は一辺の長さが約350mmの略正方形に形成される。光学素子1は光透過性材料により形成され、厚み方向(Y方向)に平行な反射面4が所定周期T(例えば、0.5mm)で平行に配される。
光源20は下方の光学素子1側(図1において、補強板5よりも下方)に配される。光源20は例えばLEDから成り、白色の照明光Lを出射する。光源20は被投影物OBの反射光が約45°の入射角で入射面18に入射するように被投影物OBに対して照明光Lを出射する。なお、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)により光源20を形成してもよい。
図4は光学素子1の斜視図を示している。光学素子1は両面に反射面4を形成した透明な複数の基材2を反射面4上に配した接着剤3(図5参照)により接着して形成される。基材2はガラスやアクリル樹脂等の透明な樹脂により形成される。接着剤3は例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂等から成る主剤と例えばポリアミド樹脂等から成る硬化剤とを混合した二液混合型の接着剤から成る。
反射面4は基材2上に例えばアルミニウムや銀等のスパッタや蒸着を行って形成される。
図5は隣接する基材2の接着部分の拡大図を示している。隣接する基材2間には線径が40μmのステンレスのワイヤー状部材から成るスペーサー15が配されている。これにより、複数の反射面4を互いに平行に維持して各接着剤3の膜厚を揃えることができる。その結果、各反射面4の平行度を良好に確保することができる。
反射型空中結像素子10は下方の光学素子1の反射面4が延びる方向と上方の光学素子1の反射面4が延びる方向とが互いに直交するように2枚の光学素子1を厚み方向(Y方向)に重ねて形成される。下方の光学素子1の下面は光が入射する入射面18(図1、図2参照)から成るとともに、上方の光学素子1の上面は光が出射する出射面19(図1、図2参照)から成る。
光学素子1の並設方向(Y方向)の一端面(図1において下端面)には光学素子1を覆う透明な補強板5(図1参照)が設けられる。補強板5は基材2と同じ材質のガラス等により形成される。補強板5により反射型空中結像素子10の強度を向上させることができる。なお、補強板5を光学素子1の並設方向の両端面(図1において上端面及び下端面)に設けてもよい。また、反射型空中結像素子10から補強板5を省いてもよい。
上記構成の空中映像表示装置100において、下方の光学素子1側(図1において、補強板5よりも下方)に2次元画像の被投影物OB(図1、図2参照)を配置し、光源20を点灯する。光源20から出射された照明光Lは被投影物OBで反射し、矢印P(図2参照)で示すように、反射した光の一部は下方の光学素子1に下面の入射面18から入射し、下方の光学素子1の反射面4で反射した後に上方の光学素子1に入射する。
上方の光学素子1の反射面4で反射した光は反射型空中結像素子10の上面の出射面19から上方へ出射され、反射型空中結像素子10に対して被投影物OBと面対象の位置の空中で被投影物OBの実像(空中映像FI)が結像される。これにより、被投影物OBの空中映像FIが空中に浮かんだ状態で表示される。
この時、図3に示すように、入射面18に平行な面に投影して使用者の視線方向ELに対して光学素子1の反射面4が45゜傾斜すると、空中映像FIの視認性を最良にできる。
また、被投影物OBが例えば商品等に関する情報であれば、空中映像FIにより商品等の広告宣伝を行うことができる。また、医療現場や工事現場等で使用される機器のタッチパネル等を空中映像FIとして表示してもよい。これにより、機器の汚染等を防止することができる。また、反射型空中結像素子10をゲーム機等に搭載してもよい。
なお、被投影物OBは2次元画像に限定されず、立体物でもよい。また、被投影物OBは液晶パネル等の表示装置に表示された画像でもよい。この時、光源20を省いて表示装置に内蔵された光源を用いることができる。
図6は反射型空中結像素子10の製造工程を示す図である。反射型空中結像素子10の製造工程は反射面形成工程、積層工程、シール工程、固着工程、切断工程、研磨工程、組立工程及び補強板取付工程を備えている。
反射面形成工程では図7に示すように、平面形状が矩形のガラスから成る板状の基材2の両面にアルミニウムや銀等のスパッタや蒸着等によって反射面4を形成する。本実施形態では反射面4は厚みが100nmのアルミニウムにより形成される。なお、板状の基材2の片面にのみ反射面4を形成してもよい。
板状の基材2の製造方法に特に限定はないが、例えばフュージョン法を用いることができる。フュージョン法は、上面を開口して断面形状が下端を絞るハート形状の樋に溶けたガラスを入れ、樋の上面から溢れ出たガラスが下方へ流れ出て樋の下方で一体になる方法である。これにより、ガラス面は空気以外には非接触で表面張力のみによって形成されるため、平滑な面を得ることができる。
本実施形態では板状の基材2の短手方向の長さ、長手方向の長さ及び厚みはそれぞれ200mm、350mm及び0.5mmになっている。板状の基材2の厚みは0.5mm以下であると好ましい。これにより、良好な空中映像FIを得ることができる。なお、ガラスに替えて、例えばアクリル樹脂等の透明な樹脂により板状の基材2を形成してもよい。
積層工程では、図8に示すように、板状の基材2の反射面4上に線径が40μmのステンレスのワイヤー状部材から成るスペーサー15を互いに略平行になるように複数配置する。本実施形態ではスペーサー15を20mm間隔で互いに略平行になるように配置している。そして、図9に示すように、複数(本実施形態では700枚)の板状の基材2をスペーサー15を介して反射面4に垂直な方向に積み重ねて挟持部材(不図示)により挟持する。これにより、スペーサー15によって隣接する板状の基材2間に約40μmの隙間Gが形成された積層体11が形成される。
シール工程では、図10の上面図及び図11の側面図に示すように、積層体11の反射面4に垂直な四面のうちスペーサー15が延びる方向に平行な対向する二面から成る一対のシール面11a上に粘着剤を有したシール部材30を貼着する。これにより、シール面11a上で隙間Gがシール部材30により封止される。
図12は固着工程を説明するための積層体11の側面断面図を示している。図12において白抜き矢印は吸引する空気の流れを示している。固着工程では、積層体11の反射面4及びシール面11a(図10、図11参照)に垂直な二面を上下に配置して下端面11cを貯留槽40内の液状の接着剤3に浸漬する。本実施形態では、硬化時間が約1時間で粘度が200mPa・sのエポキシ系の接着剤3を用いている。この時、スペーサー15は上下方向に延びるように配置される。
そして、積層体11の上端面11dに吸込ノズル50を被嵌し、積層体11の外周面と吸込ノズル50との間をパッキン50aにより密封する。その後に、真空ポンプ(不図示)により積層体11の上端面11d側から空気を吸引する。これにより、約30分間で接着剤3が上端面11dに到達する。そして、接着剤3が硬化するまで真空ポンプによる空気の吸引を継続する。この時、上端面11dは接着剤3で覆われた状態になる。これにより、隙間Gに接着剤3を確実に充填することができる。接着剤3が硬化すると、下端面11c、上端面11d及び上下の端部の周面に付着した接着剤3が取り除かれる。これにより、図13に示すように複数の基材2が固着された固着ブロック12が形成される。
固着ブロック12の反射面4に垂直な方向の長さ(積層方向LMの長さ)は約378mmに形成される。また、光学素子1の入射面18及び光学素子1の出射面19は反射面4に交差する面に形成される。
この時、隣接する基材2間に隙間Gを確保するスペーサー15が配されるため、各反射面4の平行を維持しながら基材2間の接着剤3の膜厚を揃えることができる。
吸引により接着剤3を充填する固着工程により、ボイドを発生させることなく基材2間の隙間Gに接着剤3を充填することができる。また、各基材2に接着剤3を逐一塗布する工程及び塗布した接着剤3を広げるための積層体11を加圧する工程を省くことができる。したがって、光学素子1及び反射型空中結像素子10の製造工数を削減できるとともに光学素子1及び反射型空中結像素子10の歩留まりを向上させることができる。
また、シール面11a上の隙間Gをシール部材30でシールするため、隙間Gからシール面11a上への接着剤3の漏出を防止できる。したがって、接着剤3によるシール面11aの汚染を防止し、光学素子1及び反射型空中結像素子10の製造工数の増大を防ぎ歩留りを向上させることができる。また、固着工程において、シール面11a上の隙間Gからの空気の流入を防止できるため、接着剤3を隙間Gに確実に充填することができる。
なお、液状の接着剤3の粘度は1000mPa・s以下であると好ましく、200mPa・s以下であるとより好ましい。これにより、隙間Gに円滑に接着剤3を充填することができる。
また、固着工程において、真空ポンプによる隙間G内の真空度が0.05MPa以下であると好ましく、0.01MPa以下であるとより好ましい。これにより、隙間Gに接着剤3を一層円滑に充填することができる。
隙間Gが大きくなると、光学素子1の接着剤3の膜厚が大きくなるため、空中映像FIの像が粗くなる。このため、隙間Gを50μm以下にすると望ましい。一方、隙間Gを小さくすると、空中映像FIを良好に結像させることができるが、液状の接着剤3の充填が困難になる。このため、隙間Gを10μm以上にすると望ましい。
なお、固着工程において、貯留槽40内の液状の接着剤3を冷却して接着剤3の硬化を遅延させてもよい。これにより、接着剤3の隙間Gへの充填途中での硬化を確実に防止できる。
切断工程では、固着ブロック12を複数の切断線C1(図13参照)に沿って例えばワイヤーソー(不図示)を用いて切断する。切断線C1は反射面4に対して垂直な方向に形成される。これにより、固着ブロック12は反射面4に垂直な方向に沿って所定周期(例えば1.8mm)で切断され、光学素子1(図4参照)の素材1’が複数形成される。なお、ワイヤーソーに替えて、スライサー等を用いて固着ブロック12を切断してもよい。
研磨工程では光学素子1の素材1’の両面をラッピング装置により所定の厚さ(例えば、1.2mm)まで研磨する。その後、ポリッシング装置により光学素子1の素材1’の両面を鏡面仕上げする。これにより、図4に示す光学素子1が得られる。
固着ブロック12において隙間Gに充填された接着剤3にはボイドが生じないため、切断工程後の光学素子1にはボイド部分に起因する欠けや割れが生じない。また、研磨工程で使用される研磨液等のボイド部分への浸透による反射面4の腐食や基材2からの剥離を防止することができる。
組立工程では、隣接する2枚の光学素子1の反射面4が延びる方向が互いに直交するように2枚の光学素子1を重ねて組み立てる。この時、接着剤3を用いて2枚の光学素子1を接着する。これにより、2枚の光学素子1は厚み方向(Y方向)に並設される。なお、接着剤3とは異なる材質の接着剤を用いて2枚の光学素子1を接着してもよい。
補強板取付工程では、光学素子1の並設方向の一端面に補強板5を接着剤で接着する。この時、接着剤3と同じ材質の接着剤を用いる。なお、接着剤3とは異なる材質の接着剤を用いてもよい。以上により、図1に示す反射型空中結像素子10が製造される。
なお、補強板取付工程において、2枚の光学素子1の並設方向の両端面に補強板5を接合してもよい。これにより、反射型空中結像素子10の強度を一層向上させることができる。また、補強板取付工程を省いてもよい。
なお、光学素子1の基材2間の接着剤3に例えば45°の入射角で入射した光源20の照明光Lは反射面4で数十回反射した後に接着剤3から出射される。これにより、接着剤3に入射した光は大きく減衰して出射されるため、空中映像FIの結像には殆ど寄与しない。したがって、光学素子1の基材2間の接着剤3にスペーサー15を配置しても大きな支障はない。
本実施形態によると、積層体11の反射面4及びシール面11aに垂直な二面を上下に配置して下端面11cを液状の接着剤3に浸漬するとともに上端面11d側から空気を吸引して基材2間の隙間Gに接着剤3を充填する。そして、接着剤3の硬化により複数の基材2が固着された固着ブロック12を形成する。これにより、ボイドを発生させることなく隣接する基材2間の隙間Gに接着剤3を充填することができる。また、各基材2に接着剤3を逐一塗布する工程及び隣接する基材2間に接着剤3を広げる工程を省くことができる。したがって、光学素子1及び反射型空中結像素子10の製造工数を削減できるとともに光学素子1及び反射型空中結像素子10の歩留まりを向上させることができる。さらに、隣接する基材2間の接着剤3の膜厚を均一にすることができるため、反射面4同士を容易に平行にすることができ、空中映像FIの画質低下を抑制することができる。
また、固着工程において、積層体11の外周面と吸込ノズル50との間を密封する。これにより、隙間G内に円滑に接着剤3を充填することができる。
また、基板2が板状に形成され、固着ブロック12を反射面4に垂直な方向に所定周期で切断する切断工程を備える。これにより、光学素子1を容易に大量生産することができる。
また、シール工程において、積層体11のスペーサー15が延びる方向に平行な二面にシール部材30を設けている。これにより、固着工程において、接着剤3を隙間Gに円滑かつ確実に充填することができる。
また、ワイヤー状部材から成るスペーサー15が固着工程で上下方向に延びるように配置される。これにより、積層ブロック11の下端面11cから上端面11dに向けて吸引される接着剤3がスペーサー15により遮られず、隙間Gに接着剤3を確実に充填することができる。
なお、スペーサー15を粒状に形成してもよい。また、スペーサー15を樹脂から成るフィルム状部材やテープ状部材により形成してもよい。すなわち、固着工程において、隣接する基材2間に接着剤3を充填できる隙間Gをスペーサー15により形成できればよい。
なお、本実施形態では積層工程においてワイヤー状部材から成るスペーサー15を板状の基材2の短手方向に略平行になるように配置しているが、長手方向に略平行になるように配置してもよい。この場合において、固着工程において積層体11の上下方向は板状の基材2の長手方向と平行になる。
<第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態について説明する。図14は第2実施形態の固着工程を説明するための積層体の側面断面図を示している。説明の便宜上、図1〜図13に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態では固着工程において積層体11に延設部材60を設けた点で第1実施形態とは異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
固着工程において、積層体11の上下の端部の周面上には環状の延設部材60が設けられている。本実施形態では厚みが5mmのアクリル樹脂により延設部材60が形成されている。延設部材60は積層体11の上下面からそれぞれ上方または下方に延びて配され、粘着剤70を介して積層体11に密着している。そして、積層体11に延設部材60を介して吸込ノズル50を被嵌し、延設部材60の外周面と吸込ノズル50との間にパッキン50aが配される。これにより、積層体11の外周面と吸込ノズル50との間が延設部材60及び粘着剤70を介して密封される。
その後に、接着剤3が硬化するまで真空ポンプによる空気の吸引を継続する。この時、上方の延設部材60により積層体11の上端面11d上には接着剤3が溜まる。接着剤3が硬化した後に、延設部材60を取り外すとともに上端面11d及び下端面11cに付着した接着剤3を除去する。これにより、積層体11の上端面11d及び下端面11c以外の面の接着剤3による汚染を防止することができる。
本実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、積層体11の上下の端部の周面上に粘着剤70を介して密着するとともに積層体11の上下面からそれぞれ上方または下方に延びて配される環状の延設部材60を設けている。これにより、積層体11の上端面11d及び下端面11c以外の面の接着剤3による汚染を防止することができる。したがって、光学素子1及び反射型空中結像素子10の製造工数をより削減できるとともに歩留まりを一層向上させることができる。
<第3実施形態>
次に本発明の第3実施形態について説明する。図15は第3実施形態の反射型空中結像素子10の製造工程で使用される角材状の基材2の斜視図を示している。説明の便宜上、図1〜図13に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態では積層工程に使用される基材2の構成が第1実施形態とは異なるとともに、第1実施形態に対して切断工程を省いている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
本実施形態の反射面形成工程では、断面矩形の角材状の透明な基材2の対向する一対の面に反射面4を形成する。なお、基材2の一の面にのみ反射面4を形成してもよい。積層工程では、角材状の基材2の反射面4上に配したワイヤー状部材から成るスペーサー15を介して基材2を一方向に並設する。その後、シール工程を経て固着工程により固着ブロック12から成る光学素子1の素材1’が形成される。固着工程の後に研磨工程に移行する。なお、研磨工程以降は第1実施形態と同様である。
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、対向する一対の面に反射面4を形成した断面矩形の角材状の透明な複数の基材2を用いるため、第1実施形態の切断工程を省くことができる。
以上説明した第1〜第3実施形態では、積層体11のシールされていない下端面11cを貯留槽40内の液状の接着剤3に浸漬し、積層体11のシールされていない上端面11d側から真空ポンプにより隙間G内の空気を吸引しているが、接着剤3の充填方向は下から上への方向に限られない。
例えば、固着工程において、積層体11の上端面11dの上方に貯留槽40を配置し、上端面11dを液状の接着剤3に浸漬し、下端面11c側から隙間G内の空気を吸引してもよい。すなわち、接着剤3の充填方向を上から下への方向にしてもよい。この場合、貯留槽40の底部に開口部を設け、積層体11の上端部を該開口部に挿入することにより積層体11の外周面と該開口部の周縁とを密封して該開口部の周縁からの接着剤3の漏出を防止することができる。また、積層体11のシールされていない2つの端面を横方向に配置し(水平方向に並ぶように配置し)、横方向(水平方向)に接着剤3を充填してもよい。この場合、延設部材60は積層体11の接着剤3の充填方向の両端部の周面上に粘着剤70を介して密着するとともに該両端部からそれぞれ互いに離れる方向に延びて配されるとよい。
本発明は、空中に被投影物の実像を結像させる反射型空中結像素子及び反射型空中結像素子に用いられる光学素子に利用することができる。
1 光学素子
2 基材
3 接着剤
4 反射面
5 補強板
10 反射型空中結像素子
11 積層体
11a シール面
12 固着ブロック
15 スペーサー
18 入射面
19 出射面
20 光源
30 シール部材
40 貯留槽
50 吸込ノズル
60 延設部材
70 粘着剤
100 空中映像表示装置
G 隙間
OB 被投影物
FI 空中映像
C1 切断線
L 照明光
LM 積層方向

Claims (8)

  1. 厚み方向に平行な反射面を所定周期で平行に配した光透過性の光学素子の製造方法において、
    少なくとも一の面に前記反射面を形成した透明な基材を前記反射面上に配したスペーサーを介して積み重ねて積層体を形成する積層工程と、
    前記積層体の前記反射面に垂直な対向する二面から成る一対のシール面上で前記スペーサーにより前記基材間に形成される隙間をシール部材によりシールするシール工程と、
    前記積層体の前記反射面及び前記シール面に垂直な二面の一方面を液状の接着剤に浸漬するとともに他方面側から空気を吸引して前記隙間に前記接着剤を充填し、前記接着剤の硬化により複数の前記基材が固着された固着ブロックを形成する固着工程と、
    を備えたことを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 前記固着工程において、前記積層体の前記他方面に被嵌される吸込ノズルを有し、前記積層体の外周面と前記吸込ノズルとの間を密封することを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. 前記基板が板状に形成され、前記固着ブロックを前記反射面に垂直な方向に所定周期で切断する切断工程を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学素子の製造方法。
  4. 前記基板が断面矩形の角材状に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学素子の製造方法。
  5. 前記スペーサーをワイヤー状部材により形成し、前記シール工程において、前記積層体の前記ワイヤー状部材が延びる方向に平行な二面に前記シール部材を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  6. 前記スペーサーを粒状に形成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  7. 前記固着工程において、前記積層体の前記接着剤の充填方向の両端部の周面上に粘着剤を介して密着するとともに前記両端部からそれぞれ互いに離れる方向に延びて配される環状の延設部材を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  8. 厚み方向に平行な反射面を所定周期で平行に配した光透過性の光学素子を厚み方向に複数並設し、隣接する一対の前記光学素子の前記反射面が直交する反射型空中結像素子の製造方法において、
    少なくとも一の面に前記反射面を形成した透明な基材を前記反射面上に配したスペーサーを介して積み重ねて積層体を形成する積層工程と、
    前記積層体の前記反射面に垂直な対向する二面から成る一対のシール面上で前記スペーサーにより前記基材間に形成される隙間をシール部材によりシールするシール工程と、
    前記積層体の前記反射面及び前記シール面に垂直な二面の一方面を液状の接着剤に浸漬するとともに他方面側から空気を吸引して前記隙間に前記接着剤を充填し、前記接着剤の硬化により複数の前記基材が固着された固着ブロックを形成する固着工程と、
    を備えることを特徴とする反射型空中結像素子の製造方法。
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