JPWO2016175137A1 - レーザ発振器 - Google Patents

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Abstract

補正部(98)は、制御回路(14)から制御信号を受けて、制御信号の立ち上りのタイミングと立ち下りのタイミングを補正して、ゲート駆動部(97)へ出力する。ゲート駆動部(97)が、補正部(98)から制御信号を受けて、制御信号の立ち上りのタイミングおよび立ち下りのタイミングに基づいて、スイッチング素子のオン/オフを切り替えるためのゲート駆動信号を生成する。補正部(98)は、可変の遅延量を有する1段以上の遅延回路を含み、レーザ発振器に接続されるレーザ加工機の加工特性に影響が及ばない範囲に複数のスイッチング素子のオン/オフのタイミングが近づけるように遅延量が調整可能である。

Description

本発明は、レーザ発振器に関する。
レーザ発振器電源の負荷である放電管を所望の電流で駆動する方法として、レーザ発振器を構成するインバータの出力電流とその後段のトランスによる放電電流を検出し、検出結果をフィードバックしてインバータ駆動信号のパルス幅を制御する方法が用いられている(例えば、特許文献1)。また、高エネルギー化の手段として、インバータを、トランスを介して並列化し放電負荷への出力電流を大電流化する方法が用いられる。
インバータのスイッチングを制御する回路内では、様々な信号のタイミング調整が行われている。例えば、特許文献2では、2個のインバータ間に積分回路を接続した1段の位相遅れ回路を、位相遅れ回路の出力側インバータと次段の位相遅れ回路の入力側インバータとを兼用するようにして偶数段縦続接続してなる位相遅延縦続回路を少なくとも1つ含むパルス遅延回路が開示されている。
特開2009−194954号公報 特開平5−243926号公報
複数の並列接続されたインバータによって構成されるレーザ発振器において、複数のインバータ間で出力電圧または出力電流の立ち上り開始時もしくは立ち下り開始時のタイミングにずれが生じると、放電管への出力電流波形に歪みが発生する。その結果、放電管におけるレーザの出力特性が変化し、レーザ発振器をレーザ加工機に接続したときに、レーザ加工機の加工特性に影響を及ぼす恐れがある。
レーザ発振器を構成する各インバータの出力電圧または出力電流において、立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングを揃えるために、特許文献1に示す回路構成のように、各インバータの出力電圧または出力電流を検出し、検出された各出力電圧または各出力電流が等しくなるよう、インバータの駆動タイミングを決めている制御信号を生成する制御回路へとフィードバックして、インバータごとに制御信号の立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングを調整することができる。しかしながら、この場合、インバータごとの検出および制御が必要となり、複雑になる。その結果、制御回路の大型化、配線の増加、および高コスト化といった問題が生じる。
それゆえに、本発明の目的は、簡易な構成で、複数のインバータ間で出力電圧または出力電流の立ち上り開始時もしくは立ち下り開始時のタイミングを揃えることができるレーザ発振器を提供することである。
本発明のレーザ発振器は、交流電源から入力された交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路と、交互にオン/オフされる複数のスイッチング素子を含み、整流回路が出力する直流電圧を交流電圧に変換するインバータ部と、インバータ部が出力する交流電圧を昇圧するトランス部と、各々が、複数のスイッチング素子のうちの1つと1対1で接続される複数のゲート駆動回路と、複数のゲート駆動回路を制御する制御信号を出力する制御回路と、各々が、複数のゲート駆動回路のうちの1つと1対1で接続される複数の補正回路とを備える。補正回路は、制御回路から制御信号を受けて、制御信号の立ち上りのタイミングと立ち下りのタイミングを補正して、ゲート駆動回路へ出力する。ゲート駆動回路が、補正回路から制御信号を受けて、制御信号の立ち上りのタイミングおよび立ち下りのタイミングに基づいて、スイッチング素子のオン/オフを切り替えるためのゲート駆動信号を生成する。補正回路は、可変の遅延量を有する1段以上の遅延回路を含み、レーザ発振器に接続されるレーザ加工機の加工特性に影響が及ばない範囲に複数のスイッチング素子のオン/オフのタイミングが近づけるように遅延量が調整可能である。
本発明によれば、補正回路が、可変の遅延量を有する1段以上の遅延回路を含み、レーザ発振器に接続されるレーザ加工機の加工特性に影響が及ばない範囲に複数のスイッチング素子のオン/オフのタイミングが近づけるように遅延量の調整が可能である。これによって、簡易な構成で、複数のインバータ間で出力電圧または出力電流の立ち上り開始時もしくは立ち下り開始時のタイミングの差をレーザ加工機の加工特性に影響が及ばない範囲にすることができる。
実施の形態1における、レーザ発振器と、レーザ発振器の負荷としてレーザを出力する放電管を表わす回路構成図である。 半導体スイッチの構成の一例を示す図である。 半導体スイッチの構成の別の例を示す図である。 フルブリッジ・インバータの駆動信号と出力信号の関係を示す図である。 (a)は、インバータ9Aとインバータ9Bにおける出力電流の立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングにずれが生じない場合の波形の一例を示す図である。(b)は、インバータ9Aとインバータ9Bの間で、出力電圧または出力電流の立ち上りもしくは立ち下りのタイミングにずれが生じた場合の波形の一例を示す図である。 実施の形態1の補正回路の例を示す図である。 実施の形態1の補正回路に入力される電圧、補正回路の内部で生成される電圧、補正回路から出力される電圧の例を表わす図である。 変形例のトランス部の構成を表わす図である。 実施の形態1の補正回路に入力される周期に対してパルス幅の細い電圧、補正回路の内部で生成される電圧、補正回路から出力される電圧の例を表わす図である。 実施の形態1の補正回路に入力される周期に対してパルス幅の細い電圧、補正回路の内部で生成される電圧、補正回路から出力される電圧の別の例を表わす図である。 実施の形態2の補正回路の構成を表わす図である。 実施の形態2の補正回路に入力される電圧、補正回路の内部で生成される電圧、補正回路から出力される電圧の例を表わす図である。 実施の形態1の補正回路に入力される周期に対してパルス幅の太い電圧、補正回路の内部で生成される電圧、補正回路から出力される電圧の例を表わす図である。 実施の形態1の補正回路に入力される周期に対してパルス幅の太い電圧、補正回路の内部で生成される電圧、補正回路から出力される電圧の別の例を表わす図である。 実施の形態3の補正回路の構成を表わす図である。 実施の形態3の補正回路に入力される電圧、補正回路の内部で生成される電圧、補正回路から出力される電圧の例を表わす図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1における、レーザ発振器1と、レーザ発振器1の負荷としてレーザを出力する放電管2を表わす回路構成図である。
図1を参照して、負荷の放電管2は、誘電体コンデンサ3と、放電抵抗4によって構成される。
レーザ発振器1は、交流電源5と、整流回路6と、平滑コンデンサ7と、インバータ部8と、トランス部10と、出力電流検出装置12と、出力電流監視部13と、制御回路14と、補正部98A1〜98A4,98B1〜98B4と、ゲート駆動部97A1〜97A4,97B1〜97B4とを備える。
交流電源5から入力された交流電圧は、整流回路6によって整流されて直流電圧へと変換され、平滑コンデンサ7で平滑化されたのち、インバータ部8へ送られる。
インバータ部8は、送られた直流電圧を交流電圧に変換する。インバータ部8は、交互にオン/オフする複数のスイッチング素子(半導体素子)を備える。
インバータ部8は、少なくとも2つ以上のインバータを含む。図1では、インバータ部が、インバータ9Aとインバータ9Bとを備える。インバータ9Aとインバータ9Bは、共通の入力ノードN1P,N1Nに接続される。
インバータ9Aの出力ノードN2P,N2Nおよびインバータ9Bの出力ノードN3P,N3Nがトランス部10と接続されている。
トランス部10は、インバータ部8が出力する交流電圧を昇圧する。トランス部10は、一次巻線と二次巻線を各一つずつ有するトランスを複数個含む。図1では、トランス部10は、トランス50Aとトランス50Bとを含む。トランス50Aの一次側が、インバータ9Aの出力ノードN2P,N2Nと接続される。トランス50Bの一次側が、インバータ9Bの出力ノードN3P,N3Nと接続される。トランス50Aの2次側およびトランス50Bの二次側が共通の出力ノードN4P,N4Nに接続される。
トランス50Aとトランス50Bの二次側電流を合成して生成された出力電流は、出力リアクトル11を介して、放電管2へ流れる。
出力電流検出装置12は、出力電流のピーク値を検出する。
出力電流監視部13は、出力電流検出装置12が検出した出力電流のピーク値と、外部から入力された電流指令値との差分を算出し、制御回路14へフィードバックする。
制御回路14は、インバータ9Aおよびインバータ9Bのスイッチングのタイミングを決める制御信号を生成する。制御回路14は、出力電流監視部13において算出された、出力電流検出装置12が検出した放電管2への出力電流のピーク値と外部から入力された電流指令値との差分のフィードバックを受け、出力電流のピーク値と外部から入力された電流指令値との差分をなくすように、制御信号のパルス幅を調整する。
インバータ9Aは、アームA1〜A4によって構成されるフルブリッジ・インバータである。インバータ9Bは、アームB1〜B4によって構成されるフルブリッジ・インバータである。
アームA1〜A4、B1〜B4のそれぞれは、半導体スイッチ15A1〜15A4、15B1〜15B4によって構成される。半導体スイッチ15A1〜15A4,15B1〜15B4は、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体素子を少なくとも一つ以上含む。
半導体スイッチ15A1〜15A4,15B1〜15B4の定格電流または定格電圧に応じて、半導体スイッチ15A1〜15A4,15B1〜15B4は、単体または、直列若しくは並列に接続された複数の半導体素子を含む。
図2は、半導体スイッチ15Xの構成の一例を示す図である。ただし、X=A1〜A4、B1〜B4である。以下の説明でも同様である。
図2に示すように、この半導体スイッチ15Xは、直列接続された複数の半導体素子16Xa〜16Xdを備える。
図3は、半導体スイッチ15Xの構成の別の例を示す図である。
図3に示すように、この半導体スイッチ15Xは、並列接続された複数の半導体素子16Xa〜16Xdを備える。
図2または図3に示すように、複数の半導体素子16Xa〜16Xdによって、半導体スイッチ15Xが構成される場合、半導体素子16Xa〜16Xdに対して一対一の割合でゲート駆動回路17Xa〜17Xdが接続される。ゲート駆動回路17Xa〜17Xdによって、図1のゲート駆動部97Xが構成される。ゲート駆動回路17Xa〜17Xdに対して一対一の割合で補正回路18Xa〜18Xdが接続される。補正回路18Xa〜18Xdによって、図1の補正部98Xが構成される。
ゲート駆動回路17Yは、補正回路18Yから出力された信号を半導体素子16Yのオン/オフを切換えるのに十分な電圧または電流を持ったゲート信号へと変換する。ゲート駆動回路17Yは、補正回路18Yから出力される信号が立ち上がるタイミングで、ゲート信号を立ち上げて、半導体素子16Yをオンにする。ゲート駆動回路17Yは、補正回路18Yから出力される信号が立ち下がるタイミングで、ゲート信号を立ち下げて、半導体素子16Yをオフにする。ただし、Yは、A1a〜A1d、A2a〜A2d、A3a〜A3d、A4a〜A4d、B1a〜B1d、B2a〜B2d、B3a〜B3d、B4a〜B4dである。以下の説明でも同様である。
半導体素子16Yが一瞬でオン/オフが切替る理想スイッチであると仮定する。インバータ部8を構成するアームA1〜A4、B1〜B4において、あるアームXのオン/オフが切替るとき、アームXを構成するすべての半導体素子16Xa〜16Xdが同時にオン/オフを切替える。
例えば、アームA1がオンとなるとき、アームA1を構成するすべての半導体素子16A1a〜16A1dは同時にオンに切替り、アームA1がオフとなるときは、アームA1を構成するすべての半導体素子16A1a〜16A1dが同時にオフに切替る。
図4は、フルブリッジ・インバータの駆動信号と出力信号の関係を示す図である。
アームA1〜A4のオン/オフが交互に切り換わることで、整流回路6からインバータ9Aに入力される直流電圧が交流電圧へと変換され、変換された交流電圧はトランス50Aの一次側へと入力される。同様に、アームB1〜B4のオン/オフが交互に切り換わることで、整流回路6からインバータ9Bに入力される直流電圧が交流電圧へと変換され、変換された交流電圧はトランス50Bの一次側へと入力される。
たとえば、図4に示すように、アームA1,A3,B1,B3が同時にオン/オフし、アームA1,A3,B1,B3と位相が180度ずれたタイミングで、アームA2,A4,B2,B4が同時にオン/オフすることによって、整流回路6からインバータ9A,9Bに入力された直流電圧を交流電圧へと変換できる。
制御回路14の出力部には、補正回路18Yの入力部が接続されている。補正回路18Yは、制御回路14から入力される制御信号の立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングを遅らせ、立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングを補正した制御信号をゲート駆動回路17Yへと出力する。
インバータ9A,9Bにおいて、出力電圧または出力電流の立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングは、インバータ9A,9Bを構成する半導体スイッチ15Xに使用される半導体素子16Yのスイッチング特性、または半導体素子16Yを駆動するゲート駆動回路17Yの入出力特性、または半導体素子16Yまたはゲート駆動回路17Yにおける製造上のばらつきによって生じるスイッチング特性差または入出力特性差に応じて変化する。
図5(a)は、インバータ9Aとインバータ9Bにおける出力電流の立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングにずれが生じない場合の波形の一例を示す図である。
図5(b)は、インバータ9Aとインバータ9Bの間で、出力電圧または出力電流の立ち上りもしくは立ち下りのタイミングにずれが生じた場合の波形の一例を示す図である。
図5(b)では、インバータ9Aの出力電流に対して、インバータ9Bの出力電流の立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングに遅れが生じている。
インバータ9Aとインバータ9Bとの間で、出力電圧または出力電流の立ち上り開始時もしくは立ち下り開始時のタイミングにずれが生じると、インバータ9Aに接続されたトランス50Aと、インバータ9Bに接続されるトランス50Bの二次側電流のタイミングがずれる。タイミングがずれた2つの2次側電流が合成されて、放電管2へ流れるので、放電管2への出力電流の波形に歪みが生じ、出力電流のピーク値が増加または減少する。
放電管2へ流れ込む出力電流波形に歪みが生じると、放電管2におけるレーザの出力特性が変化する。放電管2におけるレーザの出力特性が変化すると、レーザ発振器1をレーザ加工機に接続して使用する際、レーザ加工機の加工特性に悪影響を及ぼす恐れがある。
レーザ発振器1の負荷である、放電管2を構成する誘電体コンデンサ3と放電抵抗4の値が一定で、なおかつ、インバータ9A,9Bを構成する半導体スイッチ15Xに流れ込む電流を一定と仮定すると、レーザ発振器1を構成するインバータ9Aとインバータ9Bの間で、出力電圧または出力電流の立ち上り開始時もしくは立ち下り開始時にタイミングのずれが生じる場合、タイミングのずれが生じない場合と比べて、放電管2へ流れ込む出力電流のピーク値が低下する。
タイミングのずれによって生じる、放電管2へ流れ込む出力電流のピーク値の低下は、出力電流検出装置12で検出され、検出された結果が出力電流監視部13を介して、制御回路14へフィードバックされる。制御回路14は、放電管2により大きな出力電流が流れるよう、制御信号のパルス幅を調整する。このとき、インバータ9A,9Bを構成する半導体スイッチ15Xに含まれる半導体素子16Yに、想定よりも大きい電流が流れ、半導体スイッチ15Xが急激に発熱し、最悪の場合、破損する恐れがある。このような事態を防ぐため、インバータ9A,9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時もしくは立ち下り開始時のタイミングの差を小さくすることが必要であり、たとえばタイミングを揃えるものとしてもよい。
インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流において、立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングを揃えるには、例えば、特許文献1に示す回路構成では、以下の方法を用いる。インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流を検出装置で検出し、インバータ9Aとインバータ9Bの駆動タイミングを決めている制御信号を生成する制御回路14へとフィードバックする。制御回路14は、制御信号の立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングを調整する。しかしながら、この方法では、インバータ9A用の検出装置とインバータ9B用の検出装置が必要となる。また、制御系が複雑になるため、制御回路14が大型化、配線が増加、高コスト化といった問題が生じる。
そこで、本実施の形態では、インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングのずれを予め測定しておき、インバータ9Aとインバータ9Bの駆動タイミングを決める制御信号の立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングを測定したタイミングのずれに応じて、補正回路18Yで補正する。これによって、レーザ発振器1に含まれるインバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングを揃える。
本実施の形態では、補正回路18Yが、それぞれゲート駆動回路17Yの駆動タイミングを個別に補正する。
以下の説明では、補正回路18Yを代表して補正回路18と記す。
補正回路18は、2個のロジックインバータの間に抵抗とコンデンサで構成される積分回路を接続した一段の遅延回路が偶数段直列に接続した遅延回路を少なくとも一つ含む。
図6は、実施の形態1の補正回路18の例を示す図である。
図6に示すように、補正回路18は、ロジックインバータ19,20,23,26と、積分回路101,102とを備える。積分回路101は、抵抗21とコンデンサ22によって構成される。積分回路102は、抵抗24とコンデンサ25によって構成される。
ロジックインバータ20とロジックインバータ23の間に積分回路101が配置される。ロジックインバータ23とロジックインバータ26の間に積分回路102が配置される。ロジックインバータ19は、入出力の論理を合わせるためのものである。
本実施の形態では、ロジックインバータ19,20,23,26は、理想素子として扱い、これらの素子による信号の遅延は考慮しない。他の実施形態でも同様である。
ロジックインバータ20と、積分回路101と、ロジックインバータ23が、1段目の遅延回路DL1を構成する。ロジックインバータ23と、積分回路102と、ロジックインバータ26が、2段目の遅延回路DL2を構成する。
抵抗21、24は、可変抵抗であり、抵抗値RaおよびRbは可変である。コンデンサ22、25は、可変コンデンサであり、容量値CaおよびCbは可変である。
図7は、実施の形態1の補正回路18に入力される電圧、補正回路18の内部で生成される電圧、補正回路18から出力される電圧の例を表わす図である。
図7において、電圧V1は、ロジックインバータ19への入力電圧を表わす。電圧V2は、遅延回路DL1および遅延回路DL2に含まれるロジックインバータ23に入力される電圧を表わす。電圧V3は、ロジックインバータ23から出力され、積分回路102へ入力される電圧を表わす。電圧V4は、遅延回路DL2に含まれるロジックインバータ26への入力電圧を表わす。電圧V5は、ロジックインバータ26から出力される電圧を表わす。Vccはロジックインバータ19、20、23及び26の電源電圧を表わす。Vthはロジックインバータ19、20、23及び26の閾値電圧を表わす。ロジックインバータ19、20、23及び26は同じ特性の素子を使用するものと仮定する。
時間t1は、電圧V1の立ち上りのタイミングに対する電圧V2の立ち上りのタイミングの遅延時間を表わす。時間t2は、電圧V1の立ち下りのタイミングに対する電圧V2の立ち下りのタイミングの遅延時間を表わす。時間t3は、電圧V3の立ち上りのタイミングに対する電圧V4の立ち上りのタイミングの遅延時間を表わす。時間t4は、電圧V3の立ち下りのタイミングに対する電圧V4の立ち下りのタイミングの遅延時間を表わす。
ロジックインバータ19に電圧V1が入力されると、電圧V1の立ち上り時は、抵抗21を通じてコンデンサ22が充電されるので、電圧V2の立ち上りは、電圧V1の立ち上りよりも遅延時間t1だけ遅れる。電圧V1の立ち下り時は、抵抗21を介してコンデンサ22に蓄えられた電荷が放電されるので、電圧V2の立ち下りは、電圧V1の立ち下りよりも遅延時間t2だけ遅れる。
電圧V1を、0Vとロジックインバータ19、20、23及び26の電源電圧Vccの間で変動するパルス信号としたとき、時刻tに対する電圧V2の立ち上り時の変化V2_Uは、以下の式で表される。
V2_U=Vcc{1−EXP(−t/(Ra×Ca))}…(1)
ただし、t=0は、電圧V1の立ち上りの時刻および電圧V2の立ち上り開始時刻を表わす。
時刻tに対する電圧V2の立ち下り時の変化V2_Dは、以下の式で表される。
V2_D=Vcc{EXP(−t/(Ra×Ca))}…(2)
ただし、t=0は、電圧V1の立ち下りの時刻および電圧V2の立ち下り開始時刻を表す。
遅延時間t1は、式(1)から以下のように表される。
t1=−Ra×Ca×ln(1−Vth/Vcc)…(3)
遅延時間t2は、式(2)から以下のように表される。
t2=−Ra×Ca×ln(Vth/Vcc)…(4)
ロジックインバータとしてCMOSロジックインバータを使用する場合、ロジックインバータの閾値電圧Vth=Vcc/2と仮定すると、遅延時間t1と遅延時間t2は、式(3)、(4)から、以下のように表される。
t1=t2≒0.693×Ra×Ca…(5)
電圧V2がロジックインバータ23に入力されると、閾値電圧Vthを境界として、ロジックインバータ23から電圧V2を論理反転した電圧V3が出力される。
積分回路102に電圧V3が入力されると、電圧V3の立ち上り時は、抵抗24を通じてコンデンサ25が充電されるので、電圧V4の立ち上りは、電圧V3の立ち上りよりも遅延時間t3だけ遅れる。電圧V3の立ち下り時は、抵抗24を介してコンデンサ25に蓄えられた電荷が放電されるので、電圧V4の立ち下りは、電圧V3の立ち下りよりも遅延時間t4だけ遅れる。
電圧V3を、0Vとロジックインバータ19、20、23及び26の電源電圧Vccの間で変動するパルス信号としたとき、時刻tに対する電圧V4の立ち上り時の変化V4_Uは、以下の式で表される。
V4_U=Vcc{1−EXP(−t/(Rb×Cb))}…(6)
ただし、t=0は、電圧V3の立ち上りの時刻および電圧V4の立ち上り開始時刻を表わす。
時刻tに対する電圧V4の立ち下り時の変化V4_Dは、以下の式で表される。
V4_D=Vcc{EXP(−t/(Rb×Cb))}…(7)
ただし、t=0は、電圧V3の立ち下りの時刻および電圧V4の立ち下り開始時刻を表わす。
遅延時間t3は、式(6)から以下のように表される。
t3=−Rb×Cb×ln(1−Vth/Vcc)…(8)
遅延時間t4は、式(7)から以下のように表される。
t4=−Rb×Cb×ln(Vth/Vcc)…(9)
ロジックインバータとして、CMOSロジックインバータを使用する場合、ロジックインバータの閾値電圧Vth=Vcc/2と仮定すると、遅延時間t3と遅延時間t4は、式(8)、(9)から、以下のように表される。
t3=t4≒0.693×Rb×Cb…(10)
電圧V4をロジックインバータ26に入力すると、閾値電圧Vthを境界として入力電圧V4を論理反転した電圧V5が出力される。
図7の波形図に示すように、補正回路18に入力される信号の立ち上りのタイミングに対して補正回路18から出力される信号の立ち上りのタイミングの遅延時間はt1+t4となる。補正回路18に入力される信号の立ち下りのタイミングに対して補正回路18から出力される信号の立ち下りのタイミングの遅延時間はt2+t3となる。
ロジックインバータにCMOSロジックインバータを用いる場合、ロジックインバータの閾値電圧Vth=Vcc/2を仮定すると、t1=t2、t3=t4となるので、遅延時間t1+t4と、遅延時間t2+t3が等しくなる。
インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングのずれΔtがゼロとなるように、いずれか1つまたは複数の補正回路18Yに含まれる抵抗21、24の抵抗値RaおよびRb、コンデンサ22、25の容量値CaおよびCbを調整する。これによって、レーザ発振器1に含まれるインバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングを揃える。
あるいは、アームXがオン/オフを切り替えるタイミングを測定する。測定したタイミングの中で最も遅いタイミングを基準タイミングとして特定し、アームXのオン/オフの切替えタイミングと基準タイミングとの差ΔtXを算出する。補正回路18Xa〜18Xdが、半導体素子16Xa〜16Xdに対応するゲート駆動回路17Xa〜17Xdへの制御信号の立ち上りをΔtXだけ遅らせる。ΔtXの遅延は、補正回路18Xa〜18Xdに含まれる抵抗21、24の抵抗値RaおよびRb、コンデンサ22、25の容量値CaおよびCbを調整することによって得られる。
あるいは、半導体素子16Yがオン/オフを切り替えるタイミングを測定する。測定したタイミングの中で最も遅いタイミングを基準タイミングとして特定し、半導体スイッチ16Yのオン/オフの切替えタイミングと基準タイミングとの差ΔtYを算出する。補正回路18Yが、半導体素子16Yに対応するゲート駆動回路17Yへの制御信号の立ち上りをΔtYだけ遅らせる。ΔtYの遅延は、補正回路18Yに含まれる抵抗21、24の抵抗値RaおよびRb、コンデンサ22、25の容量値CaおよびCbを調整することによって得られる。
上記補正によって、インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時もしくは立ち下り開始時のタイミングを揃えることができる。
また、本実施の形態の補正回路18は、抵抗やコンデンサ、及びロジックインバータICなどの、小形で安価な汎用部品で構成されるため、低コスト化も実現できる。
[実施の形態1の変形例]
実施の形態1では、トランス部10として、一次巻線と二次巻線を各一つずつ有するトランスを複数個使用し、各トランスの一次側がインバータ9A,9Bの各出力部と一対一で接続され、トランス二次側が並列接続される場合について説明した。
図8は、変形例のトランス部501の構成を表わす図である。
本変形例では、トランス部501において、複数の一次巻線31,32と一つの二次巻線33を有するトランスを一つ使用し、トランス一次側の各接続端がインバータ9A,9Bの各出力部と一対一で接続され、トランス二次側が共通の巻線となっている場合でも、実施の形態1と同様の効果が得られることは、言うまでもない。
[実施の形態2]
実施の形態2の補正回路28が実施の形態1の補正回路18と相違する。実施の形態2の他の構成要素は、実施の形態1のものと同じである。
実施の形態1の補正回路18では、補正回路18に入力される制御信号の立ち上りのタイミングに対して補正回路18から出力される制御信号の立ち上りのタイミングの遅延時間(t1+t4)と、補正回路18に入力される制御信号の立ち下りのタイミングに対して補正回路18から出力される制御信号の立ち下りのタイミングの遅延時間(t2+t3)とが等しくなった。そのため、インバータ9Aの出力電圧または出力電流の立ち上りとインバータ9Bの出力電圧または出力電流の立ち上りのタイミングの差と、インバータ9Aの出力電圧または出力電流の立ち下りとインバータ9Bの出力電圧または出力電流の立ち下りのタイミングの差が相違する場合に、両方を同時に補正することができない(問題点1)。
次に、問題点2について説明する。
図9は、実施の形態1の補正回路18に入力される周期に対してパルス幅の細い電圧、補正回路18の内部で生成される電圧、補正回路18から出力される電圧の例を表わす図である。
図9に示す波形図の例のように、補正回路18へ入力される制御信号の周期Tsに対して、制御信号のパルス幅Tiが0<Ti<<Ts/2と細いとき、遅延回路DL1におけるコンデンサ22の端子間電圧がロジックインバータ20、23の電源電圧Vccまで上昇しきる前に放電を始めた場合、電圧V1の立ち下り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間t2が、設定した遅延時間に比べて短くなるという問題がある。
遅延時間t2の短縮を防ぐには、コンデンサ22の端子間電圧がロジックインバータ20、23の電源電圧Vccになるまで十分に充電された状態から放電を始めるように遅延時間txを設定する必要がある。
たとえば、コンデンサ22の端子間電圧がロジックインバータ20、23の電源電圧Vccの99%になるまで充電された状態を、コンデンサ22の端子間電圧がロジックインバータの電源電圧Vccになるまで十分に充電された状態と同等であると仮定すると、コンデンサ22の端子間電圧が、十分に放電されてほぼゼロの状態から、ロジックインバータ20、23の電源電圧Vccの99%になるまで充電するのに要する時間tx(99%)は、以下の式で表される。
tx(99%)=−Ra×Ca×ln(1−0.99×Vcc/Vcc)…(11)
図9に示すような、遅延時間t2の短縮を防ぐには、以下の条件を満たす必要がある。
tx(99%)<Ti…(12)
式(3)から、遅延時間t1は、以下の式で表される。
t1=−Ra×Ca×ln(1−Vth/Vcc)…(13)
式(11)、(12)、(13)から、実施の形態1の補正回路18において、設けられる遅延時間t2が、設定した遅延時間に比べて短くならないようにするには、遅延回路DL1へ入力される電圧V1の立ち上り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間t1が、以下の条件を満たす必要がある。
t1<ln(1−Vth/Vcc)/ln(1−0.99×Vcc/Vcc)×Ti…(14)
また、図9に示す波形図の例のように、遅延回路DL1におけるコンデンサ25の端子間電圧がほぼゼロになるまで放電しきる前に充電を開始する場合、電圧V3の立ち上り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間t3が、設定した遅延時間に比べて短くなるという問題がある。
遅延時間t3の短縮を防ぐには、コンデンサ25の端子間電圧がほぼゼロになるまで放電しきった状態から充電を始める必要がある。
たとえば、コンデンサ25の端子間電圧がロジックインバータ23、26の電源電圧Vccの1%になった状態を、コンデンサ25の端子間電圧がほぼゼロになるまで十分に放電した状態と同等であると仮定すると、コンデンサ25の端子間電圧が、ロジックインバータ23、26の電源電圧Vccになるまで十分に充電された状態からほぼゼロになるまで放電しきるのに要する時間ty(1%)は、以下の式で表される。
ty(1%)=−Rb×Cb×ln(0.01×Vcc/Vcc)…(15)
図9に示すような、遅延時間t3の短縮を防ぐには、以下の条件を満たす必要がある。
ty(1%)<Ti−t1+t2…(16)
式(9)から、遅延時間t4は、以下の式で表される。
t4=−Rb×Cb×ln(Vth/Vcc)…(17)
式(15)、(16)、(17)から、実施の形態1の補正回路18において、設けられる遅延時間t3が、設定した遅延時間に比べて短くならないようにするには、遅延回路DL2へ入力される電圧V3の立ち下り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間t4が、以下の条件を満たす必要がある。
t4<ln(Vth/Vcc)/ln(0.01×Vcc/Vcc)×(Ti−t1+t2)…(18)
以上のように、実施の形態1では、補正回路18に周期に対してパルス幅の細い電圧が入力された場合に、式(14)と式(18)を満たすように設計されないと、実際に設けられる遅延量が設定した遅延量よりも短くなり、インバータ9A,9Bのタイミングのずれを正確に補正することができなくなる。理論的には、式(14)と式(18)を満たす遅延量が生じるように、遅延回路を複数段縦列接続すればよいが、素子数が増加するなどの問題が生じる(問題点2)。
次に、問題点3について説明する。
実施の形態1において、補正回路18へ入力される制御信号のパルス幅が細いとき、例えば、遅延回路への入力信号の周期Tsに対して、入力信号のパルス幅Tiが0<Ti<<Ts/2となるとき、補正回路18へ入力される電圧V1の立ち上り開始時のタイミングに対して設定する遅延時間t1が、補正回路18へ入力される制御信号におけるパルス幅Tiよりも長い場合、すなわち、t1>Tiとなる場合に、以下のような問題が生じる。
図10は、実施の形態1の補正回路18に入力される周期に対してパルス幅の細い電圧、補正回路18の内部で生成される電圧、補正回路18から出力される電圧の別の例を表わす図である。
補正回路18へ入力される電圧V1の立ち上り時、遅延回路DL1におけるコンデンサ22の端子間電圧が、ロジックインバータの閾値電圧Vthまで上昇しきる前に、コンデンサ22が放電を始めることによって、図10に示すように、遅延回路DL1の出力電圧V3でパルスが消失し、常に一定電圧となり、インバータ9A,9Bを駆動できなくなる(問題点3)。
実施の形態2では、実施の形態1における遅延回路における上記の問題点1〜3を解決するため、実施の形態1の補正回路と同じ段数の遅延回路を用いた補正回路28を用いる。
図11は、実施の形態2の補正回路28の構成を表わす図である。
補正回路28は、直列に接続された1段目の遅延回路DL1と、2段目の遅延回路DL2とから構成される。
遅延回路DL1は、抵抗37とコンデンサ29とで構成される積分回路201と、ダイオード27と、ロジックインバータ30とを備える。ダイオード27は、抵抗37と並列に接続される。ロジックインバータ30は、積分回路201の出力を受ける。ダイオード27は、積分回路201の入力部から積分回路201のコンデンサ29へと充電電流が流れる向きに接続される。
遅延回路DL2は、抵抗32とコンデンサ33とで構成される積分回路202と、ダイオード31と、ロジックインバータ34とを備える。ダイオード31は、抵抗32と並列に接続される。ロジックインバータ34は、積分回路202の出力を受ける。ダイオード31は、積分回路202の入力部から積分回路202のコンデンサ33へと充電電流が流れる向きに接続される。
抵抗37、32は、可変抵抗であり、抵抗値RaおよびRbは可変である。コンデンサ29、33は、可変コンデンサであり、容量値CaおよびCbは可変である。
補正回路28において、コンデンサ29及び33では高速な充放電が求められるので、フィルムコンデンサまたはセラミックコンデンサの使用が望ましい。また、コンデンサ29及び33において高速な充放電を実現するため、ダイオード27及び31には、高速スイッチングが可能なファスト・リカバリ・ダイオード(FRD)、またはショットキー・バリア・ダイオード(SBD)の使用が望ましい。
図12は、実施の形態2の補正回路28に入力される電圧、補正回路28の内部で生成される電圧、補正回路28から出力される電圧の例を表わす図である。
図12において、電圧e1は遅延回路DL1への入力電圧、電圧e2はロジックインバータ30に入力される電圧、電圧e3はロジックインバータ30から出力され、遅延回路DL2へと入力される電圧、電圧e4はロジックインバータ34に入力される電圧、電圧e5はロジックインバータ34から出力される電圧、Vccはロジックインバータの電源電圧、Vthはロジックインバータの閾値電圧を表す。ロジックインバータ30及び34は同じ特性の素子を使用し、なおかつ、ダイオード27及び31は理想スイッチとして動作し、一瞬でスイッチングするものと仮定する。
時間td1は、遅延回路DL1で生じる電圧の立ち下りの遅延時間、時間td2は、遅延回路DL2で生じる電圧の立ち下りの遅延時間、Tsは、補正回路28に入力される信号の周期、Tiは、補正回路28に入力される信号のパルス幅、Toは、補正回路28から出力される信号のパルス幅を表わす。
遅延回路DL1に電圧e1が入力されると、電圧e1の立ち上り時は、ダイオード27を通じてコンデンサ29に電荷を急速に充電する。よって、電圧e2の立ち上りは、電圧e1の立ち上りに対して遅延時間は生じない。電圧e1の立ち下り時は、抵抗37を介してコンデンサ29に蓄えられた電荷を放電する。よって、電圧e2の立ち下りは電圧e1の立ち下りに対して遅延時間td1だけ遅れる。
電圧e1を0Vからロジックインバータ30,34の電源電圧Vccの間で変動するパルス信号とする。
時刻tに対する電圧e2の立ち下り時の変化e2_Dは、以下の式で表される。
e2_D=Vcc{EXP(−t/(Ra×Ca))}…(19)
ただし、t=0は、電圧e1の立ち下りの時刻および電圧e2の立ち下りの開始時刻を表わす。
式(19)から、遅延時間td1は、以下の式で表される。
td1=−Ra×Ca×ln(Vth/Vcc)…(20)
ロジックインバータ30,34としてCMOSロジックインバータを使用する場合、ロジックインバータ30,34の閾値電圧Vth=Vcc/2と仮定すると、遅延時間td1は、式(20)から、以下のように表される。
td1≒0.693×Ra×Ca…(21)
電圧e2をロジックインバータ30に入力すると、閾値電圧Vthを境界として入力電圧e2を論理反転した電圧e3が出力される。
遅延回路DL2に電圧e3が入力されると、電圧e3の立ち上り時は、ダイオード31を通じてコンデンサ33に電荷を急速に充電する。よって、電圧e4の立ち上りは、電圧e3の立ち上りに対して遅延時間は生じない。電圧e4の立ち下り時は、抵抗32を介してコンデンサ33に蓄えられた電荷を放電する。よって、電圧e4の立ち下りは電圧e3の立ち下りに対して遅延時間td2だけ遅れる。
電圧e3を、0Vからロジックインバータ30,34の電源電圧Vccの間で変動するパルス信号としたとき、時刻tに対する電圧e4の立ち下り時の変化e4_Dは、以下の式で表される。
e4_D=Vcc{EXP(−t/(Rb×Cb))}…(22)
ただし、t=0は、電圧e3の立ち下りの時刻および電圧e4の立ち下りの開始時刻を表わす。
式(22)から、遅延時間td2は、以下の式で表される。
td2=−Rb×Cb×ln(Vth/Vcc)…(23)
ロジックインバータ30,34としてCMOSロジックインバータを使用する場合、ロジックインバータ30,34の閾値電圧Vth=Vcc/2と仮定すると、遅延時間td2は、式(23)から、以下のように表される。
td2≒0.693×Rb×Cb…(24)
電圧e4をロジックインバータ34に入力すると、閾値電圧Vthを境界として入力電圧e4を論理反転した電圧e5が出力される。
図12の波形図に示すように、補正回路28に入力される信号の立ち上りのタイミングに対して補正回路28から出力される信号の立ち上りのタイミングの遅延時間はtd2となる。補正回路28に入力される信号の立ち下りのタイミングに対して補正回路28から出力される信号の立ち下りのタイミングの遅延時間はtd1となる。
ロジックインバータに閾値電圧Vth=Vcc/2のCMOSロジックインバータを用いる場合、式(21)および式(24)に示すように、遅延時間td1と遅延時間td2とは異なる値に設定することができる。よって、本実施の形態の補正回路28は、問題点1を解決することができる。
また、本実施の形態の補正回路28では、図12に示す波形図の例のように、コンデンサ29及び33はダイオード27及び31を介して急速に充電され、コンデンサ29及び33の端子間電圧が一瞬のうちにロジックインバータの電源電圧Vccまで上昇する。これによって、実施の形態1と異なり、補正回路28への入力信号のパルス幅Tiが、入力信号の周期Tsに対して、0<Ti<<Ts/2と細いときでも、補正回路28へ入力される電圧e1の立ち下り開始時のタイミングに対して生じる遅延時間td1が、設定した遅延時間に比べて短くならない。したがって、本実施の形態の補正回路28は、問題点2を解決することができる。
また、本実施の形態の補正回路28へ入力される信号のパルス幅が細いとき、例えば、入力信号のパルス幅Tiが、信号周期Tsに対して0<Ti<<Ts/2となるとき、補正回路28を使用すると、遅延回路DL1において、電圧e1の立ち上り時、コンデンサ29の端子間電圧は一瞬のうちにロジックインバータの電源電圧Vccまで上昇するため、遅延回路DL1の出力電圧e3でパルスが消失しない。しかしながら、遅延回路DL2において、コンデンサ33の端子間電圧が、ロジックインバータの閾値電圧Vthまで低下する前に充電を始めた場合、補正回路28の遅延回路DL2における出力電圧e5でパルスが消失し、常に一定電圧となり、インバータ9A,9Bを駆動できなくなる。
この問題を回避するために、図12の波形図を参照すると、補正回路28の遅延回路DL2において、遅延時間td2を以下の範囲で設定する。
td2<Ti+td1…(25)
これによって、補正回路28における遅延回路DL2の出力電圧e5でパルスが消失することなく、電圧e3の立ち下り開始時のタイミングを遅延できる。よって、本実施の形態の補正回路28は、問題点3を解決することができる。
したがって、図1の回路構成で、レーザ発振器1を構成するインバータ9A,9Bの出力電圧波形または出力電流波形が細いパルスの場合においても、式(25)に示す範囲で補正回路28の遅延時間を設定して使用することで、インバータ9A,9Bの出力電圧または出力電流の立ち上り開始時もしくは立ち下り開始時のタイミングを揃えることができる。
インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時のタイミングのずれΔt1がゼロとなるように、いずれか1つまたは複数の補正回路28Yに含まれる抵抗32の抵抗値Rb、コンデンサ33の容量値Cbを調整する。また、インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち下り開始時のタイミングのずれΔt2がゼロとなるように、いずれか1つまたは複数の補正回路28Yに含まれる抵抗37の抵抗値Ra、コンデンサ29の容量値Caを調整する。これによって、レーザ発振器1に含まれるインバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングを揃える。ただし、式(25)の条件を満たすものとする。
あるいは、アームXがオンに切り替えるタイミングを測定する。測定したタイミングの中で最も遅いタイミングを基準タイミングとして特定し、アームXのオンの切替えタイミングと基準タイミングとの差Δt1Xを算出する。補正回路28Xa〜28Xdが、半導体素子16Xa〜16Xdに対応するゲート駆動回路17Xa〜17Xdへの制御信号の立ち上りをΔt1Xだけ遅らせる。Δt1Xの遅延は、補正回路28Xa〜28Xdに含まれる抵抗32の抵抗値Rb、コンデンサ33の容量値Cbを調整することによって得られる。また、アームXがオフに切り替えるタイミングを測定する。測定したタイミングの中で最も遅いタイミングを基準タイミングとして特定し、アームXのオフの切替えタイミングと基準タイミングとの差Δt2Xを算出する。補正回路28Xa〜28Xdが、半導体素子16Xa〜16Xdに対応するゲート駆動回路17Xa〜17Xdへの制御信号の立ち下りをΔt2Xだけ遅らせる。Δt2Xの遅延は、補正回路28Xa〜28Xdに含まれる抵抗37の抵抗値Ra、コンデンサ29の容量値Caを調整することによって得られる。ただし、td2=Δt1X、td1=Δt2Xとし、式(25)の条件を満たすものとする。
あるいは、半導体素子16Yがオンに切り替えるタイミングを測定する。測定したタイミングの中で最も遅いタイミングを基準タイミングとして特定し、半導体スイッチ16Yのオンの切替えタイミングと基準タイミングとの差Δt1Yを算出する。補正回路28Yが、半導体素子16Yに対応するゲート駆動回路17Yへの制御信号の立ち上りをΔt1Yだけ遅らせる。Δt1Yの遅延は、補正回路28Yに含まれる抵抗32の抵抗値Rb、コンデンサ33の容量値Cbを調整することによって得られる。また、半導体素子16Yがオフに切り替えるタイミングを測定する。測定したタイミングの中で最も遅いタイミングを基準タイミングとして特定し、半導体スイッチ16Yのオフの切替えタイミングと基準タイミングとの差Δt2Yを算出する。補正回路28Yが、半導体素子16Yに対応するゲート駆動回路17Yへの制御信号の立ち下りをΔt2Yだけ遅らせる。Δt2Yの遅延は、補正回路28Yに含まれる抵抗37の抵抗値Ra、コンデンサ29の容量値Caを調整することによって得られる。ただし、td2=Δt1Y、td1=Δt2Yとし、式(25)の条件を満たすものとする。
上記補正によって、インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時もしくは立ち下り開始時のタイミングを揃えることができる。
(実施の形態1の遅延量の幅との比較)
式(14)、(18)から、実施の形態1の補正回路18において、遅延時間を設ける過程で遅延時間が短縮せず、なおかつ、遅延回路の出力信号でパルスが消失しないよう動作させるには、遅延回路DL1へ入力される電圧V1の立ち上り開始時のタイミングに対して設定する遅延時間t1と、遅延回路DL2へ入力される電圧V3の立ち下り開始時のタイミングに対して設定する遅延時間t4を、以下の範囲で設定する必要がある。
t1<ln(1−Vth/Vcc)/ln(1−0.99×Vcc/Vcc)×Ti…(26)
t4<ln(Vth/Vcc)/ln(0.01×Vcc/Vcc)×(Ti−t1+t2)…(27)
例えば、実施の形態1の補正回路18において、ロジックインバータとして、CMOSロジックインバータを使用する場合、Vth=Vcc/2と仮定すると、式(3)、(4)から、遅延回路DL1へ入力される電圧V1の立ち上り開始時のタイミングに対して設定する遅延時間t1と、遅延回路DL1へ入力される電圧V1の立ち下り開始時のタイミングに対して設定する遅延時間t2はt1=t2と表されるので、式(26)、(27)から、条件式は以下のように表せる。
t1=t4<0.15×Ti…(28)
なお、上式において、ln(0.5)/ln(0.01)=0.15を用いて計算した。
式(28)から、実施の形態1の補正回路18において、遅延時間を設ける過程で遅延時間が短縮せず、なおかつ、遅延回路の出力信号でパルスが消失しないように動作させるには、実施の形態1の補正回路18に入力される信号の立ち上り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間t1+t4を以下の範囲で設定すればよい。
t1+t4<0.3×Ti…(29)
ただし、式(28)も同時に満たす必要がある。
一方、本実施の形態の補正回路28において、補正回路28の出力信号でパルスが消失しないよう動作させるには、図12に示す波形図と式(25)から各遅延時間を以下の通りに設定する必要がある。
td1<Ts−Ti…(30)
td2<Ti+td1…(31)
補正回路28の遅延時間の設定範囲と、補正回路18の遅延時間の設定範囲を比較するため、式(31)の右辺を式(29)の右辺で割ると、以下の式が成り立つ。
(Ti+td1)/(0.3)×Ti=3.3×(1+td1/Ti)…(32)
式(32)より、遅延時間td1>0とすると、本実施の形態の補正回路28における遅延時間td2の設定範囲は、実施の形態1の遅延時間t1+t4の設定範囲に比べて3倍以上広い。
以上から、図1に示す回路構成で、補正回路にパルス幅の細い信号が入力されるとき、補正回路において遅延時間を設ける過程で遅延時間が短縮せず、なおかつ、遅延回路の出力でパルスが消失しないよう動作させる場合、実施の形態2の補正回路28は、実施の形態1の補正回路18に比べて、3倍以上大きな遅延時間を設けることができる。
なお、図1に示す回路構成において、実施の形態2の補正回路28を使用した場合も、実施の形態1と同様の効果が得られることは、言うまでもない。
[実施の形態3]
実施の形態3の補正回路38が実施の形態1の補正回路18と相違する。実施の形態3の他の構成要素は、実施の形態1のものと同じである。
まず、実施の形態1の補正回路18の問題について詳細を説明する。
図13は、実施の形態1の補正回路18に入力される周期に対してパルス幅の太い電圧、補正回路18の内部で生成される電圧、補正回路18から出力される電圧の例を表わす図である。
図13に示す波形図の例のように、補正回路18への入力信号の周期Tsに対して、入力信号のパルス幅TiがTs/2<<Ti<Tsと太いとき、遅延回路DL1におけるコンデンサ22の端子間電圧がほぼゼロになるまで放電しきる前に充電を開始する場合に、電圧V1の立ち上り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間t1が、設定した遅延時間に比べて短くなるという問題がある。
補正回路18において、遅延時間t1の短縮を防ぐには、コンデンサ22の端子間電圧がほぼゼロになるまで十分に放電された状態から充電を始めるように遅延時間t2を設定する必要がある。
例えば、コンデンサ22の端子間電圧がロジックインバータの電源電圧Vccの1%になった状態を、コンデンサ22の端子間電圧がほぼゼロになるまで十分に放電した状態と同等であると仮定すると、コンデンサ22の端子間電圧が、ロジックインバータの電源電圧Vccになるまで十分に充電された状態から、ほぼゼロになるまで放電しきるのに要する時間ty(1%)は、以下の式で表される。
ty(1%)=−Ra×Ca×ln(0.01×Vcc/Vcc)…(33)
補正回路18において、図13に示すような、遅延時間t1の短縮を防ぐには、以下の式を満たす必要がある。
ty(1%)<Ts−Ti…(34)
式(4)から、電圧V1の立ち下り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間t2は、以下の式で表される。
t2=−Ra×Ca×ln(Vth/Vcc)…(35)
式(33)、(34)、(35)から、実施の形態1の補正回路18において、設けられる遅延時間t1が、設定した遅延時間に比べて短くならないようにするには、遅延回路DL1へ入力される電圧V1の立ち下り時のタイミングに対して設けられる遅延時間t2が、以下の式を満たす必要がある。
t2<ln(Vth/Vcc)/ln(0.01×Vcc/Vcc)×(Ts−Ti)…(36)
補正回路18において、図13に示す波形図の例のように、遅延回路DL2におけるコンデンサ25の端子間電圧がロジックインバータの電源電圧Vccにまで上昇しきる前に放電を始めた場合に、電圧V3の立ち下り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間t4が、設定した遅延時間に比べて短くなるという問題がある。
補正回路18において、遅延時間t4の短縮を防ぐには、コンデンサ25の端子間電圧がロジックインバータの電源電圧Vccになるまで十分に充電された状態から放電を始めるように遅延時間t3を設定する必要がある。
例えば、補正回路18において、コンデンサ25の端子間電圧がロジックインバータの電源電圧Vccの99%になるまで充電された状態をコンデンサ25の端子間電圧がロジックインバータの電源電圧Vccになるまで十分に充電された状態と同等であると仮定すると、コンデンサ25の端子間電圧が、十分に放電されてほぼゼロの状態から、ロジックインバータの電源電圧Vccの99%になるまで充電するのに要する時間tx(99%)は、以下の式で表される。
tx(99%)=−Rb×Cb×ln(1−0.99×Vcc/Vcc)…(37)
補正回路18において、図13に示すような、遅延時間t4の短縮を防ぐには、以下の式を満たす必要がある。
tx(99%)<Ts−Ti+t1−t2…(38)
補正回路18において、設けられる遅延時間t4が、設定した遅延時間に比べて短くならないようにするには、遅延回路DL2へ入力される電圧V3の立ち上り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間t3が、以下の式を満たす必要がある。
t3<ln(1−Vth/Vcc)/ln(1−0.99×Vcc/Vcc)×(Ts−Ti+t1−t2)…(39)
以上のように、実施の形態1では、補正回路18に周期に対してパルス幅の太い電圧が入力された場合に、式(36)と式(39)を満たすように設計されないと、実際に設けられる遅延量が設定した遅延量よりも短くなり、インバータ9A,9Bのタイミングのずれを正確に補正することができなくなる。理論的には、式(36)と式(39)を満たす遅延量が生じるように、遅延回路を複数段縦列接続すればよいが、素子数が増加するなどの問題が生じる(問題点4)。
次に、問題点5について説明する。
図14は、実施の形態1の補正回路18に入力される周期に対してパルス幅の太い電圧、補正回路18の内部で生成される電圧、補正回路18から出力される電圧の別の例を表わす図である。
実施の形態1の補正回路18への入力信号のパルス幅が太いとき、例えば、補正回路18へ入力される制御信号の周期Tsに対して制御信号のパルス幅TiがTs/2<<Ti<Tsとなるとき、補正回路18へ入力される制御信号の立ち下り開始時のタイミングに対して設定する遅延時間t2が、補正回路18への制御信号における信号周期Tsとパルス幅Tiの差分Ts−Tiよりも長い場合、すなわち、t2>Ts−Tiとなる場合に、以下の問題がある。
補正回路18に入力される信号の立ち下り時、遅延回路DL1におけるコンデンサ22の端子間電圧が、ロジックインバータの閾値電圧Vthまで低下しきる前に充電を始める。これによって、図14に示すように、遅延回路DL1の出力電圧V3でパルスが消失し、常に一定電圧となり、インバータ9A,9Bを駆動できなくなるという問題がある(問題点5)。
図15は、実施の形態3の補正回路38の構成を表わす図である。
補正回路38は、直列に接続された1段目の遅延回路DL1と、2段目の遅延回路DL2とから構成される。
遅延回路DL1は、抵抗37とコンデンサ29とで構成される積分回路201と、ダイオード27と、ロジックインバータ30とを備える。ダイオード27は、抵抗37と並列に接続される。ロジックインバータ30は、積分回路201の出力を受ける。ダイオード27は、積分回路201のコンデンサ29から積分回路201の入力部へと放電電流が流れる向きに接続される。
遅延回路DL2は、抵抗32とコンデンサ33とで構成される積分回路202と、ダイオード31と、ロジックインバータ34とを備える。ダイオード31は、抵抗32と並列に接続される。ロジックインバータ34は、積分回路202の出力を受ける。ダイオード31は、積分回路202のコンデンサ33から積分回路202の入力部へと放電電流が流れる向きに接続される。
抵抗37、32は、可変抵抗であり、抵抗値RaおよびRbは可変である。コンデンサ29、33は、可変コンデンサであり、容量値CaおよびCbは可変である。
補正回路38において、コンデンサ29及び33では高速な充放電が求められるので、フィルムコンデンサまたはセラミックコンデンサの使用が望ましい。また、コンデンサ29及び33において高速な充放電を実現するため、ダイオード27及び31には、高速スイッチングが可能なファスト・リカバリ・ダイオード(FRD)またはショットキー・バリア・ダイオード(SBD)の使用が望ましい。
図16は、実施の形態3の補正回路38に入力される電圧、補正回路38の内部で生成される電圧、補正回路38から出力される電圧の例を表わす図である。
図16において、電圧e6は、遅延回路DL1への入力電圧を表わす。電圧e7は、ロジックインバータ30に入力される電圧を表わす。電圧e8はロジックインバータ30から出力され、遅延回路DL2へと入力される電圧を表わす。電圧e9はロジックインバータ34に入力される電圧を表わす。電圧e10はロジックインバータ34から出力される電圧を表わす。Vccはロジックインバータの電源電圧を表わす。Vthはロジックインバータ30,34の閾値電圧を表わす。ロジックインバータ30及び34は同じ特性の素子を使用し、なおかつ、ダイオード27及び31は理想スイッチとして動作し、一瞬でスイッチングするものと仮定する。
時間td3は、遅延回路DL1で生じる電圧の立ち上りの遅延時間を表わす。時間td4は、遅延回路DL2で生じる電圧の立ち上りの遅延時間を表わす。Tsは補正回路38に入力される信号の周期、Tiは補正回路38に入力される信号のパルス幅、Toは補正回路38から出力される信号のパルス幅である。
遅延回路DL1に電圧e6が入力されると、電圧e6の立ち下り時は、ダイオード27を通じてコンデンサ29に蓄えられた電荷を急速に放電するため遅延時間は生じない。よって、電圧e7の立ち下りは、電圧e6の立ち下りに対して遅延時間は生じない。電圧e6の立ち上り時は、抵抗37を介してコンデンサ29に電荷を充電する。よって、電圧e7の立ち上りは、電圧e6の立ち上りに対して遅延時間td3だけ遅れる。
電圧e6を、0Vからロジックインバータの電源電圧Vccの間で変動するパルス信号としたとき、時刻tに対する電圧e7の立ち上り時の変化e7_Uは、以下の式で表される。
e7_U=Vcc{1−EXP(−t/(Ra×Ca))}…(40)
ただし、t=0は、電圧e6の立ち上りの時刻および電圧e7の立ち下りの開始時刻を表わす。
式(40)から遅延時間td3は、以下の式で表される。
td3=−Ra×Ca×ln(1−Vth/Vcc)…(41)
補正回路38において、ロジックインバータとしてCMOSロジックインバータを使用する場合、ロジックインバータの閾値電圧Vth=Vcc/2と仮定すると、遅延時間td3は、式(41)から、以下のように表される。
td3≒0.693×Ra×Ca…(42)
電圧e7をロジックインバータ30に入力すると、閾値電圧Vthを境界として入力電圧e7を論理反転した電圧e8が出力される。
遅延回路DL2に電圧e8が入力されると、電圧e8の立ち下り時は、ダイオード31を通じてコンデンサ33に蓄えた電荷を急速に放電するため遅延時間は生じない。よって、電圧e9の立ち下りは、電圧e8の立ち下りに対して遅延時間は生じない。電圧e8の立ち上り時は、抵抗32を介してコンデンサ33に電荷を充電する。よって、電圧e9の立ち上りは、電圧e8の立ち上りに対して遅延時間td4だけ遅れる。
電圧e8を、0Vからロジックインバータの電源電圧Vccの間で変動するパルス信号としたとき、時刻tに対する電圧e9の立ち上り時の変化e9_Uは、以下の式で表される。
e9_U=Vcc{1−EXP(−t/(Rb×Cb))}…(43)
ただし、t=0は、電圧e8の立ち上りの時刻および電圧e9の立ち上りの開始時刻を表わす。
式(43)から遅延時間td4は、以下の式で表される。
td4=−Rb×Cb×ln(1−Vth/Vcc)…(44)
補正回路38において、ロジックインバータとしてCMOSロジックインバータを使用する場合、ロジックインバータの閾値電圧Vth=Vcc/2と仮定すると、遅延時間td4は、式(44)から、以下の式で表される。
td4≒0.693×Rb×Cb…(45)
電圧e9をロジックインバータ34に入力すると、閾値電圧Vthを境界として入力電圧e9を論理反転した電圧e10が出力される。
図16の波形図に示すように、補正回路38に入力される信号の立ち上りのタイミングに対して補正回路38から出力される信号の立ち上りのタイミングの遅延時間はtd3となる。補正回路38に入力される信号の立ち下りのタイミングに対して補正回路38から出力される信号の立ち下りのタイミングの遅延時間はtd4となる。
ロジックインバータに閾値電圧Vth=Vcc/2のCMOSロジックインバータを用いる場合、式(42)および式(45)に示すように、遅延時間td3と遅延時間td4とは異なる値に設定することができる。よって、本実施の形態の補正回路38は、問題点1を解決することができる。
補正回路38では、図16に示す波形図の例のように、コンデンサ29及び33はダイオード27及び31を介して急速に放電し、コンデンサ29及び33の端子間電圧が一瞬のうちにほぼゼロまで低下する。それゆえ、実施の形態1の補正回路18を使用する場合と異なり、補正回路38への入力信号のパルス幅Tiが、入力信号の周期Tsに対してTs/2<<Ti<Tsと太いときでも、補正回路38へ入力される電圧e6の立ち下り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間td4が設定した遅延時間に比べて短くならない。よって、実施の形態3の補正回路38は、問題点4を解決することができる。
また、本実施の形態の補正回路38へ入力される信号のパルス幅が太いとき、例えば、入力信号のパルス幅Tiが、信号周期Tsに対してTs/2<<Ti<Tsとなるときに、本実施の形態の補正回路38を使用すると、遅延回路DL1において、電圧e6の立ち下り時、コンデンサ29の端子間電圧は一瞬のうちにほぼゼロまで低下するため、遅延回路DL1の出力電圧e8において、パルスが消失しない。しかしながら、補正回路38の遅延回路DL2において、コンデンサ33の端子間電圧が、ロジックインバータの閾値電圧Vthまで上昇する前に放電を始めると、補正回路38の遅延回路DL2における出力電圧e10においてパルスが消失し、常に一定電圧となり、インバータ9A,9Bを駆動できなくなる。
この問題を回避するために、図16の波形図を参照すると、補正回路38の遅延回路DL2において、遅延時間td4を以下の範囲に設定する。
td4<Ts−Ti+td3…(46)
したがって、図1の回路構成で、レーザ発振器1を構成するインバータ9A,9Bの出力電圧波形または出力電流波形が太いパルスの場合においても、式(46)に示す範囲で補正回路38の遅延時間を設定して使用することで、インバータ9A,9Bの出力電圧または出力電流の立ち上り開始時もしくは立ち下り開始時のタイミングを揃えることができる。
インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時のタイミングのずれΔt1がゼロとなるように、いずれか1つまたは複数の補正回路38Yに含まれる抵抗37の抵抗値Ra、コンデンサ29の容量値Caを調整する。また、インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち下り開始時のタイミングのずれΔt2がゼロとなるように、いずれか1つまたは複数の補正回路38Yに含まれる抵抗32の抵抗値Rb、コンデンサ33の容量値Cbを調整する。これによって、レーザ発振器1に含まれるインバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングを揃える。ただし、式(46)の条件を満たすものとする。
あるいは、アームXがオンに切り替えるタイミングを測定する。測定したタイミングの中で最も遅いタイミングを基準タイミングとして特定し、アームXのオンの切替えタイミングと基準タイミングとの差Δt1Xを算出する。補正回路38Xa〜38Xdが、半導体素子16Xa〜16Xdに対応するゲート駆動回路17Xa〜17Xdへの制御信号の立ち上りをΔt1Xだけ遅らせる。Δt1Xの遅延は、補正回路38Xa〜38Xdに含まれる抵抗37の抵抗値Ra、コンデンサ29の容量値Caを調整することによって得られる。また、アームXがオフに切り替えるタイミングを測定する。測定したタイミングの中で最も遅いタイミングを基準タイミングとして特定し、アームXのオフの切替えタイミングと基準タイミングとの差Δt2Xを算出する。補正回路38Xa〜38Xdが、半導体素子16Xa〜16Xdに対応するゲート駆動回路17Xa〜17Xdへの制御信号の立ち下りをΔt2Xだけ遅らせる。Δt2Xの遅延は、補正回路38Xa〜38Xdに含まれる抵抗32の抵抗値Rb、コンデンサ33の容量値Cbを調整することによって得られる。ただし、td3=Δt1X、td4=Δt2Xとし、式(46)の条件を満たすものとする。
あるいは、半導体素子16Yがオンに切り替えるタイミングを測定する。測定したタイミングの中で最も遅いタイミングを基準タイミングとして特定し、半導体スイッチ16Yのオンの切替えタイミングと基準タイミングとの差Δt1Yを算出する。補正回路38Yが、半導体素子16Yに対応するゲート駆動回路17Yへの制御信号の立ち上りをΔt1Yだけ遅らせる。Δt1Yの遅延は、補正回路38Yに含まれる抵抗37の抵抗値Ra、コンデンサ29の容量値Caを調整することによって得られる。また、半導体素子16Yがオフに切り替えるタイミングを測定する。測定したタイミングの中で最も遅いタイミングを基準タイミングとして特定し、半導体スイッチ16Yのオフの切替えタイミングと基準タイミングとの差Δt2Yを算出する。補正回路38Yが、半導体素子16Yに対応するゲート駆動回路17Yへの制御信号の立ち下りをΔt2Yだけ遅らせる。Δt2Yの遅延は、補正回路38Yに含まれる抵抗32の抵抗値Rb、コンデンサ33の容量値Cbを調整することによって得られる。ただし、td3=Δt1Y、td4=Δt2Yとし、式(46)の条件を満たすものとする。
(実施の形態1の遅延量の幅との比較)
式(36)、(39)から、実施の形態1の補正回路18において、遅延時間を設ける過程で遅延時間が短縮せず、なおかつ、遅延回路の出力信号でパルスが消失しないよう動作させるには、遅延回路DL1へ入力される電圧V1の立ち下り開始時のタイミングに対して設定する遅延時間t2と、遅延回路DL2へ入力される電圧V3の立ち上り開始時のタイミングに対して設定する遅延時間t3を、以下の範囲で設定する必要がある。
t2<ln(Vth/Vcc)/ln(0.01×Vcc/Vcc)×(Ts−Ti)…(47)
t3<ln(1−Vth/Vcc)/ln(1−0.99×Vcc/Vcc)×(Ts−Ti+t1−t2)…(48)
例えば、実施の形態1の補正回路18において、ロジックインバータとして、CMOSロジックインバータを使用する場合、Vth=Vcc/2と仮定すると、式(3)、(4)から、遅延回路DL1へ入力される電圧V1の立ち上り開始時のタイミングに対して設定する遅延時間t1と、遅延回路DL1へ入力される電圧V1の立ち下り開始時のタイミングに対して設定する遅延時間t2は、t1=t2で表されるので、式(47)、(48)から、条件式は以下のように表せる。
t2=t3<0.15×(Ts−Ti)…(49)
式(49)から、実施の形態1の補正回路18において、遅延時間を設ける過程で遅延時間が短縮せず、なおかつ、遅延回路の出力信号でパルスが消失しないよう動作させるには、実施の形態1の補正回路18に入力される信号の立ち下り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間t2+t3を以下の範囲で設定すればよい。
t2+t3<0.3×(Ts−Ti)…(50)
ただし、式(49)も満たす必要がある。
一方、本実施の形態の補正回路38において、補正回路38の出力信号のパルスが消失しないよう動作させるには、図16に示す波形図と式(46)から、各遅延時間を以下のように設定する必要がある。
td3<Ti…(51)
td4<Ts−Ti+td3…(52)
補正回路18の遅延時間の設定範囲と、補正回路38の遅延時間の設定範囲を比較するため、式(52)の右辺を式(50)の右辺で割ると以下の式が成り立つ。
(Ts−Ti+td3)/(0.3×(Ts−Ti))=3.3×(1+td3/(Ts−Ti))…(53)
式(53)より、遅延時間td3>0とすると、本実施の形態の補正回路38における遅延時間td4の設定範囲は、実施の形態1の補正回路18における遅延時間t2+t3の設定範囲に比べて3倍以上広い。
以上から、図1に示す回路構成で、補正回路にパルス幅の太い信号が入力されるとき、補正回路において遅延時間を設ける過程で遅延時間が短縮せず、なおかつ、遅延回路の出力でパルスが消失しないよう動作させる場合、実施の形態3の補正回路38は、実施の形態1の補正回路18に比べて、3倍以上大きな遅延時間を設けることができる。
(実施の形態2の遅延量の幅との比較)
実施の形態2の補正回路28において、補正回路28の出力信号でパルスが消失しないよう動作させるには、図12に示す波形図の例のように、補正回路28へ入力される信号の立ち下り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間td1と、補正回路28へ入力される信号の立ち上り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間td2を、以下の通りに設定する必要がある。
td1<Ts−Ti…(54)
td2<Ti+td1…(55)
実施の形態3の補正回路38において、補正回路28の出力信号でパルスが消失しないよう動作させるには、図16に示す波形図の例のように、補正回路38へ入力される信号の立ち下り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間td4と、補正回路38へ入力される信号の立ち上り開始時のタイミングに対して設けられる遅延時間td3を、以下の通りに設定する必要がある。
td4<Ts−Ti+td3…(56)
td3<Ti…(57)
実施の形態2の補正回路28へ入力される信号のパルス幅が太いとき、例えば、Ts/2<<Ti<Tsのとき、式(54)から、以下の式が成り立つ。
td1<<Ts/2…(58)
式(55)、(58)から、以下の式が成り立つ。
td2<Ti+td1≒Ts…(59)
一方、実施の形態3の補正回路38へ入力される信号のパルス幅が太いとき、例えば、Ts/2<<Ti<Tsのとき、式(57)から、以下の式が成り立つ。
td3<Ti≒Ts…(60)
式(56)、(60)から、以下の式が成り立つ。
td4<Ts−Ti+td3≒Ts…(61)
式(58)、(60)を比較すると、図1に示す回路構成で、補正回路へ入力される信号のパルス幅Tiが太い場合、例えば、Ts/2<<Ti<Tsの場合、実施の形態3の補正回路38は、実施の形態2の補正回路28に比べて、広い範囲で遅延時間を設定できる。
実施の形態2の補正回路28へ入力される信号のパルス幅が細いとき、例えば、0<Ti<<Ts/2のとき、式(54)から、以下の式が成り立つ。
td1<Ts−Ti≒Ts…(62)
式(55)、(62)から、以下の式が成り立つ。
td2<Ti+td1≒Ts…(63)
一方、実施の形態3の補正回路38へ入力される信号のパルス幅が細いとき、例えば、0<Ti<<Ts/2のとき、式(57)から、以下の式が成り立つ。
td3<<Ts/2…(64)
式(56)、(64)から、以下の式が成り立つ。
td4<Ts−Ti+td3≒Ts…(65)
式(62)、(64)を比較すると、図1に示す回路構成で、補正回路へ入力される信号のパルス幅Tiが細い場合、例えば、0<Ti<<Ts/2の場合、実施の形態2の補正回路28は、実施の形態3の補正回路38に比べて、広い範囲で遅延時間を設定できる。
なお、図1に示す回路構成において、実施の形態3の補正回路38を使用した場合も、実施の形態1と同様の効果が得られることは、言うまでもない。
なお、複数のスイッチング素子のオン/オフのタイミングが一致するように補正回路の遅延量を調整しなくてもよく、レーザ発振器に接続されるレーザ加工機の加工特性に影響が及ばない範囲で、複数のスイッチング素子のオン/オフのタイミングが近づけるように、補正回路の遅延量を調整するものとしてもよい。
たとえば、インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時と立ち下り開始時のタイミングのずれΔtが、レーザ発振器に接続されるレーザ加工機の加工特性に影響が及ばない範囲となるように、いずれか1つまたは複数の補正回路18Yに含まれる抵抗21、24の抵抗値RaおよびRb、コンデンサ22、25の容量値CaおよびCbを調整するものとしてもよい。
また、図11の回路では、インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時のタイミングのずれΔt1が、レーザ発振器に接続されるレーザ加工機の加工特性に影響が及ばない範囲となるように、いずれか1つまたは複数の補正回路28Yに含まれる抵抗32の抵抗値Rb、コンデンサ33の容量値Cbを調整するものとしてもよい。同様に、インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち下り開始時のタイミングのずれΔt2が、レーザ発振器に接続されるレーザ加工機の加工特性に影響が及ばない範囲となるように、いずれか1つまたは複数の補正回路28Yに含まれる抵抗37の抵抗値Ra、コンデンサ29の容量値Caを調整するものとしてもよい。
また、図15の回路では、インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち上り開始時のタイミングのずれΔt1が、レーザ発振器に接続されるレーザ加工機の加工特性に影響が及ばない範囲となるように、いずれか1つまたは複数の補正回路38Yに含まれる抵抗37の抵抗値Ra、コンデンサ29の容量値Caを調整するものとしてもよい。同様に、インバータ9Aとインバータ9Bの出力電圧または出力電流における立ち下り開始時のタイミングのずれΔt2が、レーザ発振器に接続されるレーザ加工機の加工特性に影響が及ばない範囲となるように、いずれか1つまたは複数の補正回路38Yに含まれる抵抗32の抵抗値Rb、コンデンサ33の容量値Cbを調整するものとしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 レーザ発振器、2 放電管、3 誘電体コンデンサ、4 放電抵抗、5 交流電源、6 整流回路、7 平滑コンデンサ、8 インバータ部、9A,9B インバータ、10,501 トランス部、11 出力リアクトル、12 出力電流検出装置、13 出力電流監視部、14 制御回路、15 半導体スイッチ、16 半導体素子、17 ゲート駆動回路、18,28,38 補正回路、19,20,23,26,30,34 ロジックインバータ、21,24,32,37 抵抗、22,25,29,33 コンデンサ、27,31 ダイオード、97 ゲート駆動部、98 補正部、101,102,201,202 積分回路、50A,50B トランス。

Claims (9)

  1. レーザ発振器であって、
    交流電源から入力された交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路と、
    交互にオン/オフされる複数のスイッチング素子を含み、前記整流回路が出力する直流電圧を交流電圧に変換するインバータ部と、
    前記インバータ部が出力する交流電圧を昇圧するトランス部と、
    各々が、前記複数のスイッチング素子のうちの1つと1対1で接続される複数のゲート駆動回路と、
    前記複数のゲート駆動回路を制御する制御信号を出力する制御回路と、
    各々が、前記複数のゲート駆動回路のうちの1つと1対1で接続される複数の補正回路とを備え、
    前記補正回路は、前記制御回路から前記制御信号を受けて、前記制御信号の立ち上りのタイミングと立ち下りのタイミングを補正して、前記ゲート駆動回路へ出力し、
    前記ゲート駆動回路が、前記補正回路から前記制御信号を受けて、前記制御信号の立ち上りのタイミングおよび立ち下りのタイミングに基づいて、前記スイッチング素子のオン/オフを切り替えるためのゲート駆動信号を生成し、
    前記補正回路は、可変の遅延量を有する1段以上の遅延回路を含み、前記レーザ発振器に接続されるレーザ加工機の加工特性に影響が及ばない範囲に前記複数のスイッチング素子のオン/オフのタイミングが近づけるように前記遅延量が調整可能である、レーザ発振器。
  2. 前記トランス部からの出力電流を検出する出力電流検出装置と、
    前記出力電流検出装置が検出した出力電流と外部から入力される電流指令値との差分を算出してフィードバック結果として出力する出力電流監視部とをさらに備え、
    前記制御回路は、前記フィードバック結果に基づいて、前記複数のゲート駆動回路を制御する制御信号を出力する、請求項1に記載のレーザ発振器。
  3. 前記遅延回路は、
    抵抗とコンデンサで構成される積分回路と、
    前記抵抗と並列接続されるダイオードと、
    前記積分回路に接続されるロジックインバータとを含み、
    前記ダイオードが、前記積分回路の入力部から前記積分回路に含まれるコンデンサへと充電電流が流れる向きに接続される、請求項1に記載のレーザ発振器。
  4. 前記補正回路は、1段目の第1の遅延回路と、2段目の第2の遅延回路とを含み、
    td1を前記第1の遅延回路で生じる電圧の立ち下りの遅延時間、td2を前記第2の遅延回路で生じる電圧の立ち下りの遅延時間、Tiを前記補正回路に入力される前記制御信号のパルス幅としたときに、以下の条件が満たされる、
    td2<Ti+td1…(A1)
    請求項3に記載のレーザ発振器。
  5. 前記遅延回路は、
    抵抗とコンデンサで構成される積分回路と、
    前記抵抗と並列接続されるダイオードと、
    前記積分回路に接続されるロジックインバータとを含み、
    前記ダイオードが、前記積分回路に含まれるコンデンサから前記積分回路の入力部へと放電電流が流れる向きに接続される、請求項1に記載のレーザ発振器。
  6. 前記補正回路は、1段目の第1の遅延回路と、2段目の第2の遅延回路とを含み、
    td3を前記第2の遅延回路で生じる電圧の立ち上りの遅延時間、td4を前記第2の遅延回路で生じる電圧の立ち上りの遅延時間、Tsを前記補正回路に入力される前記制御信号の周期、Tiを前記補正回路に入力される前記制御信号のパルス幅としたときに、以下の条件が満たされる、
    td4<Ts−Ti+td3…(A2)
    請求項5に記載のレーザ発振器。
  7. 前記積分回路に含まれる前記抵抗が可変抵抗であり、前記コンデンサが可変コンデンサである、請求項3〜6のいずれか1項に記載のレーザ発振器。
  8. 前記積分回路に含まれる前記コンデンサは、フィルムコンデンサまたはセラミックコンデンサである、請求項3〜6のいずれか1項に記載のレーザ発振器。
  9. 前記ダイオードは、ファスト・リカバリ・ダイオードまたはショットキー・バリア・ダイオードである、請求項3〜6のいずれか1項に記載のレーザ発振器。
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