JPWO2016170723A1 - 振動可視化素子、振動計測システム、及び振動計測方法 - Google Patents

振動可視化素子、振動計測システム、及び振動計測方法 Download PDF

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Abstract

振動可視化素子は、計測対象物に取り付けられ、当該計測対象物に加わった振動を可視化する。前記振動可視化素子は、光又は電磁波に対して再帰性反射性を有する一つ又は複数の光学部材を備える。前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれにおいて、当該光学部材の一部が当該光学部材の他の部分に対して前記振動に応じて相対的に動くことにより、前記一つ又は複数の光学部材が再帰性反射方向に出射する反射光の輝度又は反射電磁波の量が変化する。

Description

本開示は、計測対象物に取り付けられる振動可視化素子、当該振動可視化素子を用いた振動計測システム及び振動計測方法に関する。
日本では、橋梁やトンネルなどの公共の構造物の多くが1970年代の高度成長期に建設されている。これらの構造物の寿命は、一般に建設後50年と言われている。このため、今後、寿命を超える構造物が急速に増えることが予想される。それに伴い、これらの構造物の点検・補強の需要が急激に増加している。
一般に、構造物の剛性と固有振動数とは相関関係があることが知られている。この関係を利用し、構造物の固有振動数の変化を計測することにより、構造物の劣化を検査することが従来行われている。
例えば、非特許文献1には、レーザドップラ速度計を用いて橋梁の振動計測を行い、橋梁を補強する前後で固有振動数が変化する度合を調べることで、構造物の劣化を検査する方法が記載されている。
また、米国のイリノイ大学では、加速度センサ、CPU、及び無線ユニットを備える無線センサノードを計測対象物に多数取り付け、当該無線センサノードから送られてきたデータに基づいて振動等を分析するシステムが研究開発されている(Illinois Structural Health Monitoring Project)。
実験力学 Vol.11、No.3、201頁〜208頁(2011年9月)、「レーザドップラ速度計を用いた実橋梁の構造同定」、牧野高平、松田浩、森田千尋、一宮一夫
本開示の一態様は、計測対象物に加わった振動を可視化することができる振動可視化素子を提供する。
本開示の一態様に係る振動可視化素子は、計測対象物に取り付けられ、当該計測対象物に加わった振動を可視化する。前記振動可視化素子は、光又は電磁波に対して再帰性反射性を有する一つ又は複数の光学部材を備える。前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれにおいて、当該光学部材の一部が当該光学部材の他の部分に対して前記振動に応じて相対的に動くことにより、前記一つ又は複数の光学部材が再帰性反射方向に出射する反射光の輝度又は反射電磁波の量が変化する。
本開示の包括的または具体的な態様は、素子、装置、システム、方法又はこれらの任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示の一態様に係る振動可視化素子は、計測対象物に加わった振動を可視化することができる。
本開示の第1実施形態に係る振動計測システムの概略構成図である。 図1の振動計測システムが備える光学部材の斜視図である。 図2の光学部材が光又は電磁波を反射する原理を示す斜視図である。 図2の光学部材が光又は電磁波を反射する原理を示す側面図である。 図2の光学部材を複数敷き詰めるように備える振動可視化素子の一例を示す図である。 図2の光学部材を複数敷き詰めるように備える振動可視化素子の他の例を示す図である。 図1の振動計測システムを用いた振動計測方法のフローチャートである。 図1の振動計測システムを用いて橋梁の振動を測定する様子を示す斜視図である。 図1の振動計測システムを用いて橋梁を夜間に撮影したときの映像を示す図である。 3枚の鏡による再帰性反射の実際の特性を示す図である。 可動鏡の固有振動数が異なる3つの光学部材の周波数依存性を示す特性図である。 本開示の第2実施形態に係る振動計測システムの概略構成図である。 本開示の第3実施形態に係る振動計測システムが備える振動可視化素子の概略構成図である。 本開示の第3実施形態に係る振動計測システムが備える振動可視化素子の概略構成図である。 本開示の第4実施形態に係る振動計測システムが備える振動可視化素子の概略構成図である。 本開示の第4実施形態に係る振動計測システムが備える振動可視化素子の概略構成図である。 変形例に係る振動可視化素子の概略構成図である。 変形例に係る振動可視化素子の概略構成図である。 実施例に係る橋梁の振動加速度を示すグラフである。 実施例に係る橋梁の振動加速度の周波数分析結果を示すグラフである。
(本開示の基礎となった知見)
本開示は、橋梁やトンネルなどの計測対象物の微小な振動を可視化することができる振動可視化素子、当該振動可視化素子を用いた振動計測システム及び振動計測方法に関する。
レーザドップラ速度計は、ドップラ効果を利用するものであり、計測器から計測対象物に向けてレーザを照射し、当該レーザが、計測器から離れていく速度、及び計測対象物に反射されて計測器に近づいてくる速度を計測する装置である。このため、レーザドップラ速度計を用いた振動計測方法では、1箇所ずつしか振動計測することができず、計測対象物の全体を振動計測するには相当な時間がかかる。
これに対して、無線センサノードを用いた振動計測方法では、複数の無線センサノードを計測対象物の全体に分散して貼り付けることで、計測対象物の全体を同時に振動計測することが可能になる。しかしながら、この振動計測方法では、CPU等の消費電力が大きいため、電池を頻繁に交換する必要がある。特に計測対象物が橋梁などの大型構造物である場合には、当該大型構造物に取り付けた複数の無線センサノードの電池を頻繁に交換することは、非常に困難である。このため、メンテナンス回数をできる限り少なくすることが求められている。
そこで、本発明者は、計測対象物の全体の振動計測をより短時間で行うことを可能にするとともに、メンテナンス回数をより少なくすることができる振動可視化素子、当該振動可視化素子を用いた振動計測システム及び振動計測方法を提供すべく、鋭意研究した。その結果、計測対象物の全体の振動計測をより短時間で行うことを可能にするとともに、メンテナンス回数をより少なくすることができる振動可視化素子、当該振動可視化素子を用いた振動計測システム及び振動計測方法に想到した。
本開示の第1態様によれば、計測対象物に取り付けられ、当該計測対象物に加わった振動を可視化する振動可視化素子であって、
光又は電磁波に対して再帰性反射性を有する一つ又は複数の光学部材を備え、
前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれにおいて、当該光学部材の一部が当該光学部材の他の部分に対して前記振動に応じて相対的に動くことにより、前記一つ又は複数の光学部材が再帰性反射方向に出射する反射光の輝度又は反射電磁波の量が変化する、振動可視化素子を提供する。
この構成によれば、振動可視化素子は無電源での動作が可能である。
本開示の第2態様によれば、前記振動可視化素子は、更に、筐体を備え、
前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれは、互いに直交するように配置された3枚の鏡を備え、
前記3枚の鏡は、前記筐体に固定された少なくとも1枚の固定鏡と、前記少なくとも1枚の固定鏡に対して前記振動に応じて相対的に動く少なくとも1枚の可動鏡とを含み、
前記少なくとも1枚の固定鏡と前記少なくとも1枚の可動鏡とが成す角度が前記振動に応じて変化することにより、前記一つ又は複数の光学部材が前記再帰性反射方向に出射する前記反射光の輝度又は前記反射電磁波の量が変化する、
第1態様に記載の振動可視化素子を提供する。
本開示の第3態様によれば、前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれは、さらに、前記一つ又は複数の光学部材が前記再帰性反射方向に出射する前記反射光の輝度又は前記反射電磁波の量が前記振動と同期して振動するように前記少なくとも1枚の可動鏡を前記少なくとも1枚の固定鏡の少なくとも1枚に接続する弾性部材を備える、第2態様に記載の振動可視化素子を提供する。
本開示の第4態様によれば、前記一つ又は複数の光学部材は、複数の光学部材であり、前記複数の光学部材を敷き詰めるように備える、第2又は3態様に記載の振動可視化素子を提供する。
本開示の第5態様によれば、前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれは、球状レンズと、前記球状レンズの後方に配置され、前記球状レンズとは独立して移動可能な凹面反射材と、を備え、
前記球状レンズと前記凹面反射材との相対位置が前記振動に応じて動くことにより、前記一つ又は複数の光学部材が前記再帰性反射方向に出射する前記反射光の輝度又は前記反射電磁波の量が変化する、
第1態様に記載の振動可視化素子を提供する。
本開示の第6態様によれば、前記振動可視化素子は、更に、筐体と支持部材と弾性部材とを備え、
前記一つ又は複数の光学部材は、複数の光学部材であり、
前記複数の光学部材のそれぞれの前記球状レンズは、前記支持部材により支持され、
前記支持部材は、前記弾性部材を介して前記筐体に取り付けられる、
第5態様に記載の振動可視化素子を提供する。
本開示の第7態様によれば、前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれは、コーナーキューブと、前記コーナーキューブの一部と接触可能な変形部材とを備え、
前記振動に応じて前記変形部材が前記コーナーキューブの一部と接触して当該コーナーキューブを変形させることにより、前記一つ又は複数の光学部材が前記再帰性反射方向に出射する前記反射光の輝度又は前記反射電磁波の量が変化する、第1態様に記載の振動可視化素子を提供する。
本開示の第8態様によれば、前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれにおいて、前記光学部材の前記一部と前記光学部材の前記他の部分とが成す角度が前記振動に応じて変化することにより、前記一つ又は複数の光学部材が前記再帰性反射方向に出射する前記反射光の輝度又は前記反射電磁波の量が変化する、第1態様に記載の振動可視化素子を提供する。
第1〜8態様のいずれか1つに記載された一つ又は複数の振動可視化素子と、
前記一つ又は複数の振動可視化素子に向けて前記光又は前記電磁波を照射する照明装置と、
前記一つ又は複数の振動可視化素子それぞれの前記一つ又は複数の光学部材によって再帰性反射方向に出射された前記反射光又は前記反射電磁波を含む映像を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置が撮影した映像に基づいて前記計測対象物に加わった前記振動を計測する振動計測装置と、
を備える、振動計測システムを提供する。
本開示の第10態様によれば、更に、透過波長帯が互いに異なる第1及び第2のカラーフィルタを備え、
前記一つ又は複数の振動可視化素子は、第1および第2振動可視化素子を含み、
前記第1振動可視化素子の前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれの前記一部が前記振動に応じて動く方向は、前記第2振動可視化素子の前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれの前記一部が前記振動に応じて動く方向と異なり、
前記第1のカラーフィルタは、少なくとも前記第1振動可視化素子に入射する前記光又は前記電磁波の光路上又は前記第1振動可視化素子から出射される前記反射光又は前記反射電磁波の光路上に配置されており、
前記第2のカラーフィルタは、少なくとも前記第2振動可視化素子に入射する前記光又は前記電磁波の光路上又は前記第1振動可視化素子から出射される前記反射光又は前記反射電磁波の光路上に配置されている、第9態様に記載の振動計測システムを提供する。
本開示の第11態様によれば、前記一つ又は複数の振動可視化素子は、第1および第2振動可視化素子を含み、
前記第1振動可視化素子の前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれの前記一部が前記振動に応じて動く方向は、前記第2振動可視化素子の前記一つ又は複数の光学部材の前記一部が前記振動に応じて動く方向と異なり、
前記第1振動可視化素子の形状は、前記第2振動可視化素子の形状と異なる、第9態様に記載の振動計測システムを提供する。
本開示の第12態様によれば、更に、透過波長帯が互いに異なる第1及び第2のカラーフィルタを備え、
前記一つ又は複数の振動可視化素子は、第1および第2振動可視化素子を含み、
前記第1振動可視化素子の前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれの前記一部が有する固有振動数が、前記第2振動可視化素子の前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれの前記一部が有する固有振動数と異なり、
前記第1のカラーフィルタは、少なくとも前記第1振動可視化素子に入射する前記光又は前記電磁波の光路上又は前記第1振動可視化素子から出射される前記反射光又は前記反射電磁波の光路上に配置されており、
前記第2のカラーフィルタは、少なくとも前記第2振動可視化素子に入射する前記光又は前記電磁波の光路上又は前記第1振動可視化素子から出射される前記反射光又は前記反射電磁波の光路上に配置されている、第9態様に記載の振動計測システムを提供する。
本開示の第13態様によれば、第1〜12態様のいずれか1つに記載された振動可視化素子を用いて計測対象物の振動を計測する方法であって、
前記一つ又は複数の振動可視化素子を前記計測対象物に取り付け、
前記一つ又は複数の振動可視化素子に前記光又は前記電磁波を照射しながら、当該一つ又は複数の振動可視化素子それぞれの前記一つ又は複数の光学部材によって前記再帰性反射方向に出射された前記反射光又は前記反射電磁波を含む映像を撮影し、
前記撮影した映像に基づいて前記計測対象物の振動を計測する、
振動計測方法を提供する。
本開示の第14態様によれば、前記一つ又は複数の振動可視化素子は、複数の振動可視化素子であり、
前記複数の振動可視化素子は、互いに異なる方向の振動に対して感度を有するように前記計測対象物に取り付けられる、第13態様に記載の振動計測方法を提供する。
本開示の第15態様によれば、前記計測対象物の振動計測の開始時又は振動計測中において、
前記一つ又は複数の振動可視化素子に前記光又は前記電磁波を点滅させて照射し、
前記撮影した映像において、前記光又は前記電磁波の点滅と同期して点滅する部分を特定することにより、前記振動可視化素子の位置を同定する、第13又は14態様に記載の振動計測方法を提供する。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって、本開示が限定されるものではない。同一又は類似の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係る振動計測システムの概略構成図である。本第1実施形態に係る振動計測システムは、振動可視化素子1と、照明装置2と、撮影装置3と、振動計測装置4と、を備えている。
振動可視化素子1は、橋梁やトンネルなどの計測対象物100に取り付けられ、当該計測対象物100に加わった振動(例えば機械的振動)を可視化するものである。振動可視化素子1は、図1に示すように、筐体11と、光又は電磁波に対して再帰性反射性を有する光学部材12とを備えている。
光学部材12は、図2に示すように、互いに直交するように配置された3枚の鏡を備えている。本第1実施形態において、3枚の鏡のうちの1枚は、計測対象物100に加えられた振動に応じて動く可動鏡13である。3枚の鏡のうちの2枚は、固定鏡14である。2枚の固定鏡14の少なくとも1枚は、筐体11に固定される。可動鏡13は光学部材12の一部の一例である。固定鏡14は光学部材12の他の部分の一例である。可動鏡13は固定鏡14に対して振動に応じて相対的に動く。筐体11は、例えば、樹脂、金属またはこれらの組合せで構成される。
可動鏡13は、弾性部材の一例であるばね15を介して2枚の固定鏡14の少なくとも一つに接続されている。可動鏡13は、図1に示すように、ばね15の弾性力により、点線で示す位置13aと一点鎖線で示す位置13bとの間で振動するように構成されている。
照明装置2は、振動可視化素子1に向けて光又は電磁波を照射する装置である。照明装置2としては、フリッカーが生じにくい光源、例えば、DC(直流)駆動のLEDなどの装置を用いることが望ましい。なお、照明装置2は、計測対象物100を照らす適度な照射角、及び撮影距離や環境に応じた明るさを有するものであれば、特別な照明装置でなくてもよい。照明装置2の例としては、例えば、LED照明、HID照明、ハロゲン照明、水銀灯が含まれる。照明装置2は、例えば、白色LEDなどの光源と出射光学系とを備え、出射光学系の出射口から光が出射される。
撮影装置3は、図1に示すように、光学部材12によって再帰性反射方向に反射された光又は電磁波を含む映像を撮影する装置である。本第1実施形態において、撮影装置3は、照明装置2の近傍に配置されている。撮影装置3としては、例えば、カメラやレーダーを用いることができる。撮影装置3は、例えば、CMOS又はCCDと入射レンズとを備えたデジタルビデオカメラである。例えば、撮影装置3の入射レンズの中心と照明装置2の光の出射口の中心との間の距離は、1m以内であることが望ましく、50cm以内であることがより望ましい。但し、撮影装置と照明装置は、撮影中に互いの位置関係が変わらないように、結合して固定されていることが望ましい。そうすることにより、撮影装置側が、移動体から撮影するときや、風などの外乱で揺れても、振動可視化素子の再帰性により、安定した撮影、計測が可能となる。
なお、撮影装置3は、反射光の輝度又は電磁波の量の変化を撮影するのに十分なスピードの動画撮影を行えるものであることが望ましい。なお、計測対象物100が橋梁のような大型の構造物である場合、当該構造物の固有振動数は数十Hz以下と遅い。このため、撮影装置3として一般的に普及しているデジタルカメラを用いても、十分なスピードの動画撮影を行うことができる。
振動計測装置4は、撮影装置3が撮影した映像に基づいて計測対象物100の振動を計測する装置である。振動計測装置4は、例えば、パーソナルコンピュータにインストールされたソフトウェアによって実現可能である。振動計測装置4は、例えば、ソフトウェアおよび映像データを記憶するメモリとプロセッサとディスプレイとを備える。
可動鏡13が2枚の固定鏡14に対して直交する位置に位置するとき、可動鏡13又は固定鏡14に入射した光又は電磁波は、図3の実線矢印又は一線鎖線矢印に示すように2回又は3回反射され、入射方向に戻る。すなわち、可動鏡13又は固定鏡14に反射された光又は電磁波は、入射方向と逆方向に進行する。以下、この入射方向と逆方向に進行する光又は電磁波の進行方向を「再帰性反射方向」という。この構成によれば、照明装置2から照射された光又は電磁波は、図4に示すように、3枚の鏡の内面に入射する限り、照明装置2に向けて戻るように反射される。
可動鏡13が2枚の固定鏡14のいずれかに対して直交する位置からずれたとき、例えば、図1に示すように、点線で示す位置13b又は一点鎖線で示す位置13aに位置するとき、反射光又は電磁波の進行方向B1,B2は、再帰性反射方向A1からずれる。このとき、撮影装置3は、再帰性反射方向における反射光又は電磁波を受けることはできない。
計測対象物100が振動し、それに応じて可動鏡13が図1に示す位置13aと位置13bとの間で振動すると、撮影装置3が受ける再帰性反射方向における反射光の輝度又は電磁波の量が変化する。すなわち、計測対象物100の振動と再帰性反射方向における反射光の輝度又は電磁波の量の変化とは相関関係がある。従って、この反射光の輝度又は電磁波の量の変化に基づいて、計測対象物100の振動計測を行うことが可能になる。
本第1実施形態によれば、光学部材12が再帰性反射性を有しているので、1つの照明装置2で複数の光学部材12に光又は電磁波を照射することで、当該複数の光学部材12の反射光又は電磁波を1つの撮影装置3で受けることができる。すなわち、計測対象物100に複数の振動可視化素子1を貼り付け、それらの振動可視化素子1に照明装置2から光又は電磁波を照射することで、それら複数の振動可視化素子1により反射された反射光の輝度又は電磁波の量の変化を撮影装置3で同時に計測することができる。これにより、計測対象物100の全体の振動計測をより短時間で行うことが可能になる。なお、計測対象物100の振動に同期して可動鏡13が振動するようにすれば、計測対象物100の振動計測をより正確に行うことが可能になる。
また、本第1実施形態によれば、振動可視化素子1がCPU等の消費電力が大きい部品を含まないので、電池を交換する必要性を無くして、メンテナンス回数をより少なくすることができる。また、振動可視化素子1の製造コストを安くすることができ、腐食などの劣化を抑えることができる。
なお、本第1実施形態では、振動可視化素子1が、3枚の鏡を備える光学部材12を1つ備えるものとしたが、本開示はこれに限定されない。振動可視化素子1は、例えば、図5A及び図5Bに示すように、光学部材12を複数敷き詰めるように備えてもよい。この構成によれば、光又は電磁波の反射面積を増加させて、計測対象物100の振動計測をより正確に行うことができる。
なお、図5Aは、複数の光学部材12のそれぞれの可動鏡13をZ方向に振動するように配置した図である。図5Aに示す振動可視化素子1Aによれば、Z方向の振動に対して感度を有することができる。また、図5Bは、複数の光学部材12のそれぞれの可動鏡13をY方向に振動するように配置した図である。図5Bに示す振動可視化素子1Bによれば、Y方向の振動に対して感度を有することができる。
図5Aの例では、2枚の固定鏡14の接続辺のZ方向の端部と可動鏡13の一つの角部とが、ばね15(例えばアーム角度が90度のトーションばね)によって接続されている。また、図5Bの例では、2枚の固定鏡14の接続辺のY方向の端部と可動鏡13の一つの角部とが、ばね15(例えばアーム角度が90度のトーションばね)によって接続されている。すなわち、可動鏡13は、2枚の固定鏡14に弾性部材を介して接続されている。可動鏡13が2枚の固定鏡14と衝突しないように、可動鏡13と2枚の固定鏡14との間に隙間が設けられている。可動鏡13が2枚の固定鏡14と直接衝突しないように、可動鏡13に緩衝材を設けてもよい。これに代えて、2枚の固定鏡14の何れか一つの一辺と可動鏡13の一辺とが弾性部材(例えばヒンジ及びアーム角度が90度のトーションばね)で接続されていてもよい。
また、図5Aに示す振動可視化素子(第1振動可視化素子の一例)1Aと、図5Bに示す振動可視化素子(第2振動可視化素子の一例)1Bの前方(照明装置2側)にそれぞれに異なる色のカラーフィルタを配置してもよい。互いに異なる色のカラーフィルタは、透過波長帯が異なる第1及び第2のカラーフィルタの例である。第1のカラーフィルタは、少なくとも振動可視化素子1Aに入射する光又は電磁波の光路上又は振動可視化素子1Aから出射される反射光又は反射電磁波の光路上に配置されてもよい。第2のカラーフィルタは、少なくとも振動可視化素子1Aに入射する光又は電磁波の光路上又は振動可視化素子1Aから出射される反射光又は反射電磁波の光路上に配置されてもよい。例えば、振動可視化素子1Aの前方に赤色のカラーフィルタを配置する一方で、振動可視化素子1Bの前方に青色のカラーフィルタを配置してもよい。
この構成によれば、振動可視化素子1Aの可動鏡13がZ方向に振動したとき、振動可視化素子1Aが赤色に点滅して見える。この振動可視化素子1Aを計測対象物100に取り付けることにより、計測対象物100のZ方向の振動を計測することが可能になる。また、前記構成によれば、振動可視化素子1Bの可動鏡13がY方向に振動したとき、振動可視化素子1Bが青色に点滅して見える。この振動可視化素子1Bを計測対象物100に取り付けることにより、計測対象物100のZ方向の振動を計測することが可能になる。また、それらの振動可視化素子1A,1Bを計測対象物100の全体に分散して配置すれば、計測対象物100の2軸方向(Y,Z方向)の振動を独立して計測することが可能になる。
また、X方向の振動に対して感度を有する振動可視化素子を作成し、当該振動可視化素子の前方に赤色及び青色とは異なる色(例えば、緑色)のカラーフィルタを配置してもよい。この振動可視化素子と振動可視化素子1A,1Bを、計測対象物100の全体に分散して配置すれば、計測対象物100の3軸方向(X,Y,Z方向)の振動を独立して計測することが可能になる。
なお、光学部材12が風や腐食などの計測対象物100の振動以外の要因の影響を受けた場合には、計測対象物100の振動を正確に計測することができない。このため、光学部材12を覆うようにカバーを設けるなどして、光学部材12を封止することが望ましい。また、光学部材12又はカバーの表面は、防汚表面処理などが施されることが望ましい。
なお、振動可視化素子1A,1Bの形状は、図5A及び図5Bに示す形状に限定されるものではなく、種々の形状とすることができる。例えば、振動可視化素子1A,1Bの形状を三角形や四角形などの図形や、文字にしてもよい。この場合、振動可視化素子1Aと振動可視化素子1Bとで形状を異ならせ、計測対象物100の全体に分散して配置すれば、計測対象物100の2軸方向の振動を独立して計測することが可能になる。また、X方向の振動に対して感度を有する振動可視化素子を、振動可視化素子1A,1Bの形状と異なる形状に形成してもよい。この振動可視化素子と振動可視化素子1A,1Bを、計測対象物100の全体に分散して配置すれば、計測対象物100の3軸方向(X,Y,Z方向)の振動を独立して計測することが可能になる。
また、本第1実施形態では、光学部材12が備える3枚の鏡のうちの1枚を可動鏡13とし、2枚を固定鏡14としたが、本開示はこれに限定されない。例えば、光学部材12が備える3枚の鏡のうちの2枚を可動鏡13とし、1枚を固定鏡14としてもよい。この場合、2枚の可動鏡13は、固定鏡14の2辺に弾性部材(例えばヒンジ及びアーム角度が90度のトーションばね)で接続されていてもよい。なお、2枚の可動鏡13が互いに直接衝突しないように、2枚の可動鏡13と固定鏡14との間に隙間が設けられている。2枚の可動鏡13が互いに直接衝突しないように、2枚の可動鏡13に緩衝材を設けてもよい。この構成によれば、2軸方向の振動に対して感度を有することができる。但し、この構成では、1台の撮影装置3では、振動方向を検出することが困難である。この場合、2台以上の撮影装置3を設置することができる。例えば、再帰性反射方向に対してZ方向にずれて進行方向B1に進む光又は電磁波を検出するために、図1に示す撮影装置3の上方にもう1台の撮影装置3を設置してもよい。この構成によれば、Z方向の振動成分を同定でき、撮影装置3の検出信号からZ成分を除くことで、Y方向の成分を抽出することができる。
また、本第1実施形態では、光学部材12が備える3枚の鏡を備えるものとしたが、本開示はこれに限定されない。例えば、光学部材12は、1枚の可動鏡13と1枚の固定鏡14の2枚の鏡を備えるものであってもよい。この場合、光学部材12に対して斜めから入射した光又は電磁波に対して再帰性反射することはできないが、光学部材12に対して垂直に入射した光又は電磁波に対しては再帰性反射することができる。
また、図1〜図5Bでは、可動鏡13及び固定鏡14の形状を矩形として示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、可動鏡13及び固定鏡14の形状は三角形であってもよい。
なお、可動鏡13、固定鏡14、及びばね15は、例えば、ステンレスなどの金属箔(数μmから100μm程度の厚さ)をレーザなどで切断、折り曲げ、接着、溶接などで加工することにより作成することができる。また、可動鏡13及び固定鏡14は、例えば、プラスチックの金型成形で本体を形成し、当該本体の表面にアルミニウムなどを蒸着することにより鏡面を形成してもよい。また、ばね15の一端部および固定鏡14を支持する振動可視化素子1の筐体11は、プラスチックの金型成形などにより正確に角度、形状を作成することが望ましい。
なお、照明装置2が電磁波を照射するものである場合、当該電磁波は光よりも波長の長い電磁波であることが望ましい。また、この場合、可動鏡13及び固定鏡14のフラットな状態の鏡面のサイズは、電磁波の波長より大きいことが望ましい。これにより、照明装置2が光を照射する場合と同様に取り扱うことができる。なお、波長の長い電磁波を用いた場合、より離れた場所、例えば衛星からでも振動計測が可能となる。
次に、本第1実施形態に係る振動計測システムを用いた振動計測方法について説明する。図6は、当該振動計測方法のフローチャートである。ここでは、図7に示すように、計測対象物100が橋梁であるとする。また、以下では説明を簡単にするため、照明装置2は光のみを照射するものとし、電磁波についての説明は省略する。
まず、ステップS1では、計測対象物100に複数の振動可視化素子1を取り付ける。
なお、振動可視化素子1は、計測対象物100の種類や構造に依存するが、計測対象物100の劣化し易い部分を中心として、計測対象物100の全体の振動モードが推定できるように分散させて設置することが望ましい。本第1実施形態に係る振動可視化素子1は、CPU等の消費電力が大きい部品を含まないので、計測対象物100に一旦取り付ければ長期間使用することができる。このため、振動可視化素子1が計測対象物100から外れないように、しっかり固定することが望ましい。
次に、ステップS2では、図7に示すように、計測対象物100に向けて照明装置2から光を照射し、振動可視化素子1の光学部材12によって再帰性反射方向に反射された光を含む映像を撮影装置3により撮影する。
なお、ステップS2において、撮影装置3により撮影する映像は、複数の振動可視化素子が計測対象物100の振動に応じて明滅する映像となる。計測対象物100が橋梁である場合、橋梁の振動は、主に、Z方向(即ち、鉛直方向)とY方向(即ち、橋の長軸方向)の2軸方向の成分からなることが知られている。このため、図5Aに示す振動可視化素子1Aと図5Bに示す振動可視化素子1Bとを、橋梁の全体に分散して配置することで、Z方向とY方向の2軸方向の振動計測を行うことができる。
次に、ステップS3では、振動計測装置4が、撮影装置3が撮影した映像に基づいて計測対象物100の振動を計測する。例えば、振動計測装置4は、撮影装置3により撮影した映像の各フレームの画像から特定位置の画素の輝度変化をサンプリングするなどの画像処理を行う。これにより、映像に映っている複数の振動可視化素子1の振動波形を抽出することができ、計測対象物100の複数箇所の振動の周波数、位相、及び振幅を計測することができる。
本第1実施形態に係る振動計測方法によれば、計測対象物100の振動に応じて複数の振動可視化素子1が明滅するので、計測対象物100の当該振動を目視により観測することもできる。また、振動可視化素子1に再帰性反射される光は、高い指向性を有しているので、例えば、計測対象物100から数百m離れた位置からでも観測することが可能である。また、撮影装置3自体が微振動するなどして多少の焦点のボケやブレが生じた場合であっても、反射光の輝度の変化を検知することができれば、計測対象物100の振動を計測することができる。したがって、本第1実施形態に係る振動計測方法は、従来の方法に比べてノイズや環境の変化に対して強い計測方法であると言える。
なお、振動計測装置4は、計測した計測対象物100の振動データを蓄積して記憶する記憶部と、文字や音等により異常を報知する報知部を備えることが望ましい。記憶部は、例えば、半導体メモリである。報知部は、例えば、モニタ及び/又はスピーカである。この構成によれば、記憶部に蓄積された過去の振動データと今回計測した振動データとを比較することで、計測対象物100の異常箇所及び程度を検出することが可能になる。また、当該検出結果に基づいて報知部が管理者に異常を報知することで、計測対象物100に対する早期のメンテナンスを可能にすることができる。
なお、ステップS2において、照明装置2から照射する光は、計測対象物100の振動周波数付近で周期的に点滅させてもよい。この場合、ストロボ撮影により、計測対象物100の振動周波数とストロボの周波数との差分周波数がうねるように振動するので、当該うねりから振動数の詳細な周波数の同定を行うことが可能になる。
なお、照明装置2及び撮影装置3は、計測対象物100から離れた位置で固定されてもよいし、車やヘリコプターなどの移動体に設置されてもよい。照明装置2及び撮影装置3を計測対象物100から離れた位置に固定する場合は、例えば、安全や演出のために橋梁を照らしている照明装置の横に設置してもよい。これにより、定点観測が行える。
また、照明装置2及び撮影装置3を車に設置する場合は、車の重量や速度を一定にしておくことで、車の重量が刺激となり、計測対象物100の振動を安定して計測することができる。なお、車などの移動体に搭載された撮影装置3で撮影した場合には、撮影した映像の中で振動可視化素子1の位置は移動するが、一旦位置を同定すれば、画像処理で特徴を抽出して追跡することは容易である。
なお、一般的に普及しているデジタルカメラで可視光による撮影を行う場合は、太陽光による影響が少ない状況、例えば、夜間に撮影を行う方がよい。この場合、撮影装置3が撮影した映像には、例えば、図8に示すように、照明装置2により薄暗く照らされた計測対象物100と、再帰性反射により明るく光る振動可視化素子1と、街灯やビルの明かりなどの背景が含まれる。この映像から複数の振動可視化素子1の位置を抽出する必要がある。この場合、例えば、振動計測の開始時又は振動計測中において、照明装置2の光を点滅させ、振動可視化素子1に反射された光と照明装置2の光とが同期して点滅する部分を特定することにより、振動可視化素子1の位置を同定することが可能である。すなわち、照明装置2から複数の振動可視化素子1に光を点滅させて照射し、撮影装置によって反射光を含む映像を撮影する。撮影した映像において、照明装置2からの光の点滅と同期して点滅する周囲よりも明るい部分を特定することにより、複数の振動可視化素子の位置を同定することができる。
なお、照明装置2として、水分子の吸収により、地上での太陽光のスペクトルが弱い波長域、例えば1.35μm付近や1.15μm付近の光を発光するLEDを使用してもよい。この場合、太陽光による影響を少なくすることができ、昼間でもSN比の高い振動計測が可能になる。
次に、振動可視化素子1の可動鏡13の望ましい設計パラメータについて説明する。
3枚の鏡による再帰性反射は、各鏡面が互いに直交している場合、理論的には分散角が無限小の指向性となる。しかしながら、実際には、鏡面には反りや凹凸があるのが通常である。また、複数の3枚の鏡の集合体である場合、角度のばらつきも生じる。このため、再帰性反射光に広がりが生じる。
図9は、3枚の鏡による再帰性反射の実際の特性を示す図であり、照明の入射方向(=再帰性反射方向)を0度とし、観測角を変化させながら、反射光の輝度を測定した結果を示す図である。図6において、横軸は観測角を示し、縦軸は輝度を示している。
図9に示すように、反射光の輝度は観測角が小さいほど明るくなる。観測角が約2°以上の場合、輝度はほぼ0(cd/lx・m)になる。一方、図1において、固定鏡14に対する可動鏡13の角度が90°からθ°ずれたとき、反射方向は2θ°ずれる。すなわち、図9の再帰性反射の特性を有する光学部材12の可動鏡13は、固定鏡14に対する角度が90°から1°ずれれば、反射光の輝度は0になる。このため、計測対象物100にて想定される振動の最大加速度を振動可視化素子1に加えたときに、可動鏡13の角度が1°以下の範囲で変化するように設計することが望ましい。これにより、振動可視化素子1の振動の振幅に対して正の相関がある反射光の輝度を得ることができる。
なお、可動鏡13の運動方程式は、基本的にはばね15の振動に基づいて計算することができる。すなわち、質量m、加速度α、ばね定数k、ばねの変位x(またはθ)とした場合、mα=−kxとなる。このため、計測対象物100の加速度αに応じて、ばね15のばね定数及び質量を設定することができる。
また、前記運動方程式での固有振動数(Hz)は、λ=(1/2π)(k/m)1/2となる。振動可視化素子1が受ける振動の周波数が可動鏡13の固有振動数に近い場合、共振が生じるおそれがある。このため、可動鏡13の固有振動数は、例えば、計測対象物100の最大周波数の3倍程度の大きさにすることが望ましい。計測対象物100が橋梁の場合は、10〜50Hz程度が最大となるので、30〜150Hz程度に設定すると、周波数依存が小さくなる。
また、可動鏡13の固有振動数は、以下のように設定してもよい。図10は、可動鏡13の固有振動数が異なる3つの振動可視化素子1の周波数依存性を示す特性図である。図10の特性は、加振器上に振動可視化素子1を設置し、印加する振動の周波数と強度を変えて、照明装置の近傍に配置した輝度計により、再帰性反射方向の反射光の輝度の振幅を測定し、振動の振幅と輝度の振幅との比率から相対感度を算出したものである。
一点鎖線60、実線61、点線62は、それぞれ可動鏡13の固有振動数が5.0Hz、6.0Hz、7.0Hzであるときの相対感度を示している。例えば、可動鏡13の固有振動数が6.0Hzである場合、実線61に示すように、2Hz以下では相対感度が“10”程度であるのに対して、6.0Hzでは共振して相対感度が“200”以上になる。すなわち、周波数が6Hzであるときの相対感度は、周波数が2Hz以下であるときの相対感度の20倍以上である。この通常時と共振時との相対感度の違いを利用すれば、振動可視化素子1の感度を高めることが可能になる。
例えば、可動鏡13の固有振動数が異なる3つの振動可視化素子1の各々の前方に、異なる色のカラーフィルタを配置してもよい。ここでは、可動鏡13の固有振動数が5.0Hz、6.0Hz、7.0Hzである3つの振動可視化素子1の各々の前方に、青色、緑色、赤色のカラーフィルタを配置するものとする。これら3つの振動可視化素子1の可動鏡13は、振動可視化素子1に印加された振動に応じて振動する。このとき、それぞれの振動可視化素子1により反射される再帰性反射方向の反射光の輝度が異なるので、撮影装置3が撮影する反射光の色が異なって見える。
例えば、各振動可視化素子1に6.0Hzの振動を印加したとき、反射光はほぼ緑色のみが点滅するため、補色のマゼンタの点滅が見える。一方、各振動可視化素子1に5.5Hzの振動を印加したとき、反射光は、緑色と青色の点滅とが混合され、補色の赤の点滅に見える。すなわち、反射光の色(波長分散)の違いにより、振動可視化素子1に印加された振動の周波数を知ることができる。この関係を利用することで、動画に限らず静止画像でも、計測対象物100の振動を分析することが可能となる。
なお、この場合、振動可視化素子1を計測対象物100に設置する前に、あらかじめ計測対象物100の固有振動数を調べ、当該計測対象物100の固有振動数の近くになるように、複数の振動可視化素子1の各可動鏡13の固有振動数を設定することが望ましい。可動鏡13の固有振動数の調整は、例えば、ばね15の加工寸法を調整したり、ばね15に錘を付けたりすることにより可能である。
(第2実施形態)
図11は、本開示の第2実施形態に係る振動計測システムの概略構成図である。
本第2実施形態に係る振動計測システムが前記第1実施形態に係る振動計測システムと異なる点は、可動鏡13及びばね15に代えて、複数の可動鏡21、連結部材22、錘23、及び弾性部材の一例である複数のばね24を備えている点である。他の部分は第1実施形態と同様である。
複数の可動鏡21は、細長く形成され、それぞれ平行に配置されている。複数の可動鏡21の合計面積は、実施形態1の1枚の可動鏡13の面積とほぼ同じである。複数の可動鏡21の各一端部は、連結部材22を介して錘23に連結されている。可動鏡21は、光学部材の一部の一例である。錘23は、複数のばね24を介して筐体11に取り付けられている。複数の可動鏡21の各他端部は、回転軸25に連結されている。各回転軸25は、例えば、筐体11に固定されている。計測対象物100が振動したとき、各ばね24が振動し、それに伴い、図11において点線及び実線に示すように、各可動鏡21が回転軸25を中心に回動する。これにより、各可動鏡21の固定鏡14に対する角度が可変する。
本第2実施形態によれば、計測対象物100の振動が微小であっても、各可動鏡21の固定鏡14に対する角度を大きく変化させることができる。これにより、計測対象物100が固有振動数の低い大型構造物であっても、その振動をより感度良く計測することができる。
(第3実施形態)
図12A及び図12Bは、本開示の第3実施形態に係る振動計測システムが備える振動可視化素子の概略構成図である。
本第3実施形態に係る振動計測システムが前記第1実施形態に係る振動計測システムと異なる点は、光学部材12に代えて、ビーズ型構造を有する光学部材31を備えている点である。他の部分は第1実施形態と同様である。
光学部材31は、球状レンズ32と、球状レンズ32の後方(照明装置2より離れる側)に配置され、球状レンズ32とは独立して移動可能な凹面反射材33とを備えている。凹面反射材33は、球状レンズ32と同心円の凹面を有している。すなわち、凹面反射材33は、部分球状の形状を有する。球状レンズ32は光学部材31の一部の一例であり、凹面反射材33は光学部材31の他の部分の一例である。
本実施形態の振動可視化素子1の筐体11が静止しているとき、照明装置2から照射された光又は電磁波は、図12Aに示すように、球状レンズ32を通過して凹面反射材33上で集光される。その後、当該光又は電磁波は、凹面反射材33に反射されて再び球状レンズ32に入射し、球状レンズ32の球中心に対して対称な経路を通って、再帰性反射方向に進行する。このとき、再帰性反射方向における反射光の輝度又は電磁波の量は最大となる。
これに対して、振動可視化素子1の筐体11が動き、図12Bに示すように、光学部材31の球状レンズ32と凹面反射材33との相対位置がずれたとき、反射光又は電磁波の進行方向B3は、再帰性反射方向A1からずれる。このとき、撮影装置3は、再帰性反射方向における反射光又は電磁波を受けることはできない。
従って、振動可視化素子1の筐体11が振動し、それに応じて光学部材31の球状レンズ32が振動すると、撮影装置3が受ける再帰性反射方向における反射光の輝度又は電磁波の量が変化する。この反射光の輝度又は電磁波の量の変化に基づいて、計測対象物100の振動計測を行うことが可能になる。
また、本第3実施形態において、光学部材31は、複数敷き詰めるように配置されている。各光学部材31の球状レンズ32は、図12A及び図12Bに示すように、支持部材34によりそれぞれ支持されている。支持部材34は、例えば、球状レンズ32を受け容れる複数の穴を有する板状の部材であり、弾性部材の一例であるばね35を介して振動可視化素子1の筐体11に取り付けられている。支持部材34は、例えば、樹脂、金属またはこれらの組合せで構成される。
本第3実施形態によれば、光学部材31が再帰性反射性を有しているので、1つの照明装置2で複数の光学部材31に光又は電磁波を照射することで、当該複数の光学部材31の反射光又は電磁波を1つの撮影装置3で受けることができる。すなわち、計測対象物100に複数の振動可視化素子1を貼り付け、それらの振動可視化素子1に照明装置2から光又は電磁波を照射することで、それら複数の振動可視化素子1により反射された反射光の輝度又は電磁波の量の変化を撮影装置3で同時に計測することができる。これにより、計測対象物100の全体の振動計測をより短時間で行うことが可能になる。なお、計測対象物100の振動に同期して球状レンズ32が振動するようにすれば、計測対象物100の振動計測をより正確に行うことが可能になる。
また、本第3実施形態によれば、振動可視化素子1がCPU等の消費電力が大きい部品を含まないので、電池を交換する必要性を無くして、メンテナンス回数をより少なくすることができる。また、振動可視化素子1の製造コストを安くすることができ、腐食などの劣化を抑えることができる。
(第4実施形態)
図13A及び図13Bは、本開示の第4実施形態に係る振動計測システムが備える振動可視化素子の概略構成図である。
本第4実施形態に係る振動計測システムが前記第1実施形態に係る振動計測システムと異なる点は、光学部材12に代えて、コーナーキューブ型構造を有する光学部材41を備えている点である。他の部分は第1実施形態と同様である。
光学部材41は、コーナーキューブ42と、当該コーナーキューブ42の頂部に接触してコーナーキューブ42を変形させることが可能な変形部材43とを備えている。
コーナーキューブ42は、シリコーンゴムやゲルなどの透明で柔軟な樹脂で形成され、立方体の角部を形成する3つの面を有している。コーナーキューブ42は、当該3つの面で再帰性反射を行うことが可能である。また、コーナーキューブ42は、振動可視化素子1の筐体11の内面に取り付けられている。
変形部材43は、錘44に取り付けられている。変形部材43は、例えば、ゴム、樹脂または金属などの平板であって、コーナーキューブ42の頂部を受け入れる凹部を有する。コーナーキューブ42の頂部は、接着剤などで変形部材43に固定されていてもよい。錘44は、例えば、平板状に形成されている。錘44の両端部は、弾性部材の一例であるばね45を介して振動可視化素子1の筐体11に取り付けられている。本第4実施形態において、筐体11は、光又は電磁波を透過する部材で構成されている。
振動可視化素子1の筐体11が静止しているとき、照明装置2から照射された光又は電磁波は、図13Aに示すように、筐体11を通過してコーナーキューブ42に入射し、コーナーキューブ42の面と空気との界面で全反射される。その後、当該光又は電磁波は、コーナーキューブ42の内部及び筐体11を通って、再帰性反射方向に進行する。このとき、再帰性反射方向における反射光の輝度又は電磁波の量は最大となる。
これに対して、振動可視化素子1の筐体11が動き、図13Bに示すように、コーナーキューブ42と変形部材43との相対位置がずれたとき、変形部材43がコーナーキューブ42の頂部を変形させる。これにより、コーナーキューブ42の面がやや湾曲するとともに、面間の角度が直角ではなくなる。その結果、コーナーキューブ42の面と空気との界面で反射される光又は電磁波の進行方向B4が再帰性反射方向A1からずれる。このとき、撮影装置3は、再帰性反射方向における反射光又は電磁波を受けることはできない。コーナーキューブ42の頂部は、光学部材41の一部の一例である。コーナーキューブ42の頂部以外の部分は、光学部材41の他の部分の一例である。
従って、振動可視化素子1の筐体11が振動し、それに応じて光学部材41のコーナーキューブ42が振動すると、撮影装置3が受ける再帰性反射方向における反射光の輝度又は電磁波の量が変化する。この反射光の輝度又は電磁波の量の変化に基づいて、計測対象物100の振動計測を行うことが可能になる。
また、本第4実施形態において、光学部材41は、複数敷き詰めるように配置されている。各光学部材41のコーナーキューブ42は、図13A及び図13Bに示すように、互いに一部を共有するように連結されている。すなわち、複数の光学部材41は、プリズム状のシートで構成されている。各光学部材41の変形部材43は、一枚の平板状に一体化されている。
本第4実施形態によれば、光学部材41が再帰性反射性を有しているので、1つの照明装置2で複数の光学部材41に光又は電磁波を照射することで、当該複数の光学部材41の反射光又は電磁波を1つの撮影装置3で受けることができる。すなわち、計測対象物100に複数の振動可視化素子1を貼り付け、それらの振動可視化素子1に照明装置2から光又は電磁波を照射することで、それら複数の振動可視化素子1により反射された反射光の輝度又は電磁波の量の変化を撮影装置3で同時に計測することができる。これにより、計測対象物100の全体の振動計測をより短時間で行うことが可能になる。なお、計測対象物100の振動に同期して変形部材43が振動するようにすれば、計測対象物100の振動計測をより正確に行うことが可能になる。
また、本第4実施形態によれば、振動可視化素子1がCPU等の消費電力が大きい部品を含まないので、電池を交換する必要性を無くして、メンテナンス回数をより少なくすることができる。また、振動可視化素子1の製造コストを安くすることができ、腐食などの劣化を抑えることができる。
なお、本第4実施形態では、各光学部材の変形部材43は、一枚の平板状に一体化されているものとしたが、本開示はこれに限定されない。変形部材は、振動可視化素子1の振動に応じてコーナーキューブ42の一部を変形させ、反射光又は電磁波の反射方向を再帰性反射方向からずらすことが可能なものであればよい。例えば、変形部材は、図14A及び図14Bに示すように、錘42の表面からコーナーキューブ42側へ突出する突起部51であってもよい。振動可視化素子1の振動に応じて突起部51がコーナーキューブ42の一部に接触して変形させることで、本第4実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、変形部材が図14A及び図14Bに示すような突起部51である場合、コーナーキューブ42の面に凹凸を生じさせ、反射光を拡散させることができる。なお、突起部51は、振動可視化素子1が振動しない静止状態において、コーナーキューブ42に接触していてもよいし、非接触であってもよい。
(実施例)
図15は、全長560mの道路橋の橋桁上で加速度センサにより計測したZ方向の加速度を示すグラフである。図16は、当該振動加速度の周波数を示すグラフである。図15に示すように、加速度は±0.5m/s以下の範囲にあった。また、図16に示すように、周波数は3.9Hzに主なピークがあった。これらのデータに基づき、加速度が0.5m/sのときに、固定鏡に対する可動鏡の角度が直角から1°ずれるように振動可視化素子を作成した。より具体的には、振動可視化素子を以下のようにして作成した。
振動可視化素子が備える光学部材は、厚さ15ミクロンのステンレス箔をレーザ加工で切断することにより固定鏡、可動鏡、及びばねを切り出し、金型を用いて2枚の固定鏡と可動鏡とが互いに直交するように折り曲げることにより作成した。
固定鏡の一辺は900μmとし、可動鏡の一辺は800μmとした。ばねは、可動鏡の固有振動数が約30Hzであり、4Hzで0.5m/sの加速度を与えたときに約1°可動鏡が動くように、強度を調整した。ばねの強度の調整は、ばねの長さ及び幅をレーザでトリミングしながら、加振器による可動鏡の振動特性を調べることにより行った。
このようにして作成した光学部材を複数敷き詰め、各光学部材の固定鏡の裏面を切削により作成したアクリル樹脂の筐体を接着することにより、約10cm角の振動可視化素子を作成した。この振動可視化素子を複数作成し、それらを前述の道路橋の橋桁の側面に取り付けた。
その後、夜間に、橋桁から約50m離れた河原から、照明装置から光を照射しながら撮影装置により動画撮影を行った。撮影装置としては、120Hzのハイビジョン動画撮影ができる機種のデジタルカメラを使用した。照明装置としては、当該デジタルカメラに取り付けたLEDビデオライトを使用した。
その後、デジタルカメラで撮影した映像に基づいて振動計測装置により橋桁の振動を計測した。振動計測装置は、パーソナルコンピュータにインストールしたソフトウェアにより実現した。
また、デジタルカメラによる撮影開始時において、LEDビデオライトを点滅させたところ、振動可視化素子が同時に点滅するのを確認した。これにより、振動可視化素子の位置を同定した。
その後、LEDビデオライトを常時点灯させてデジタルカメラで撮影した。撮影した映像により、車が橋梁を通過するときに、振動可視化素子が点滅するのをはっきりと確認した。また、別途作成した画像解析ソフトウェアにより、位置を同定した振動可視化素子に対応する画素領域の輝度をフレーム毎にカウントし、各振動可視化素子の輝度信号を抽出したところ、図15の加速度の絶対値と同様の変化を輝度信号が示した。周波数の主なピークは7.8Hzであった。輝度信号は加速度の絶対値に比例する為、周波数は2倍になる。従って、橋梁の固有振動の3.9Hzと対応することが確認され、構造物の固有振動数を検出できることが確認できた。なお、撮影の角度や距離を変えても、同様の振動計測が可能であった。
以上のようにして、本開示に係る振動可視化素子を計測対象物に貼り付けることで、遠方から振動計測を行えることを確認した。
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本開示は、添付図面を参照しながら幾つかの実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。上述した実施形態および変形例では、弾性部材の例として、一つ又は複数のばね15、24、35および45を挙げたが、弾性部材はばねに限定されず、ばねでなくてもよい。弾性部材は、例えば、ゴムであってもよい。
本開示は、計測対象物全体の振動計測をより短時間で行うことを可能にするとともに、メンテナンスの回数をより少なくすることができるので、橋梁やトンネルなどの公共の構造物のみならず、機械、ビルなどの健全度の評価、監視に有用である。また、振動可視化素子のサイズを大きくすれば、航空機や衛星から計測対象物全体の振動計測を行うこともでき、地震の計測、監視にも応用可能である。
1 振動可視化素子
2 照明装置
3 撮影装置
4 振動計測装置
11 筐体
12 光学部材
13 可動鏡
14 固定鏡
15 ばね(弾性部材)
21 可動鏡
22 連結部材
23 錘
24 ばね(弾性部材)
25 回転軸
31 光学部材
32 球状レンズ
33 凹面反射材
34 支持部材
35 ばね(弾性部材)
41 光学部材
42 コーナーキューブ
43 変形部材
44 錘
45 ばね(弾性部材)
100 計測対象物

Claims (15)

  1. 計測対象物に取り付けられ、当該計測対象物に加わった振動を可視化する振動可視化素子であって、
    光又は電磁波に対して再帰性反射性を有する一つ又は複数の光学部材を備え、
    前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれにおいて、当該光学部材の一部が当該光学部材の他の部分に対して前記振動に応じて相対的に動くことにより、前記一つ又は複数の光学部材が再帰性反射方向に出射する反射光の輝度又は反射電磁波の量が変化する、振動可視化素子。
  2. 前記振動可視化素子は、更に、筐体を備え、
    前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれは、互いに直交するように配置された3枚の鏡を備え、
    前記3枚の鏡は、前記筐体に固定された少なくとも1枚の固定鏡と、前記少なくとも1枚の固定鏡に対して前記振動に応じて相対的に動く少なくとも1枚の可動鏡とを含み、
    前記少なくとも1枚の固定鏡と前記少なくとも1枚の可動鏡とが成す角度が前記振動に応じて変化することにより、前記一つ又は複数の光学部材が前記再帰性反射方向に出射する前記反射光の輝度又は前記反射電磁波の量が変化する、
    請求項1に記載の振動可視化素子。
  3. 前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれは、さらに、前記一つ又は複数の光学部材が前記再帰性反射方向に出射する前記反射光の輝度又は前記反射電磁波の量が前記振動と同期して振動するように前記少なくとも1枚の可動鏡を前記少なくとも1枚の固定鏡の少なくとも1枚に接続する弾性部材を備える、請求項2に記載の振動可視化素子。
  4. 前記一つ又は複数の光学部材は、複数の光学部材であり、
    前記複数の光学部材は、敷き詰めるように配置される、請求項2又は3に記載の振動可視化素子。
  5. 前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれは、球状レンズと、前記球状レンズの後方に配置され、前記球状レンズとは独立して移動可能な凹面反射材と、を備え、
    前記球状レンズと前記凹面反射材との相対位置が前記振動に応じて動くことにより、前記一つ又は複数の光学部材が前記再帰性反射方向に出射する前記反射光の輝度又は前記反射電磁波の量が変化する、
    請求項1に記載の振動可視化素子。
  6. 前記振動可視化素子は、更に、筐体と支持部材と弾性部材とを備え、
    前記一つ又は複数の光学部材は、複数の光学部材であり、
    前記複数の光学部材のそれぞれの前記球状レンズは、前記支持部材により支持され、
    前記支持部材は、前記弾性部材を介して前記筐体に取り付けられる、
    請求項5に記載の振動可視化素子。
  7. 前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれは、コーナーキューブと、前記コーナーキューブの一部と接触可能な変形部材とを備え、
    前記振動に応じて前記変形部材が前記コーナーキューブの一部と接触して当該コーナーキューブを変形させることにより、前記一つ又は複数の光学部材が前記再帰性反射方向に出射する前記反射光の輝度又は前記反射電磁波の量が変化する、請求項1に記載の振動可視化素子。
  8. 前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれにおいて、前記光学部材の前記一部と前記光学部材の前記他の部分とが成す角度が前記振動に応じて変化することにより、前記一つ又は複数の光学部材が前記再帰性反射方向に出射する前記反射光の輝度又は前記反射電磁波の量が変化する請求項1に記載の振動可視化素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載された一つ又は複数の振動可視化素子と、
    前記一つ又は複数の振動可視化素子に向けて前記光又は前記電磁波を照射する照明装置と、
    前記一つ又は複数の振動可視化素子それぞれの前記一つ又は複数の光学部材によって再帰性反射方向に出射された前記反射光又は前記反射電磁波を含む映像を撮影する撮影装置と、
    前記撮影装置が撮影した映像に基づいて前記計測対象物に加わった前記振動を計測する振動計測装置と、
    を備える、振動計測システム。
  10. 更に、透過波長帯が互いに異なる第1及び第2のカラーフィルタを備え、
    前記一つ又は複数の振動可視化素子は、第1および第2振動可視化素子を含み、
    前記第1振動可視化素子の前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれの前記一部が前記振動に応じて動く方向は、前記第2振動可視化素子の前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれの前記一部が前記振動に応じて動く方向と異なり、
    前記第1のカラーフィルタは、少なくとも前記第1振動可視化素子に入射する前記光又は前記電磁波の光路上又は前記第1振動可視化素子から出射される前記反射光又は前記反射電磁波の光路上に配置されており、
    前記第2のカラーフィルタは、少なくとも前記第2振動可視化素子に入射する前記光又は前記電磁波の光路上又は前記第1振動可視化素子から出射される前記反射光又は前記反射電磁波の光路上に配置されている、請求項9に記載の振動計測システム。
  11. 前記一つ又は複数の振動可視化素子は、第1および第2振動可視化素子を含み、
    前記第1振動可視化素子の前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれの前記一部が前記振動に応じて動く方向は、前記第2振動可視化素子の前記一つ又は複数の光学部材の前記一部が前記振動に応じて動く方向と異なり、
    前記第1振動可視化素子の形状は、前記第2振動可視化素子の形状と異なる、請求項9に記載の振動計測システム。
  12. 更に、透過波長帯が互いに異なる第1及び第2のカラーフィルタを備え、
    前記一つ又は複数の振動可視化素子は、第1および第2振動可視化素子を含み、
    前記第1振動可視化素子の前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれの前記一部が有する固有振動数が、前記第2振動可視化素子の前記一つ又は複数の光学部材のそれぞれの前記一部が有する固有振動数と異なり、
    前記第1のカラーフィルタは、少なくとも前記第1振動可視化素子に入射する前記光又は前記電磁波の光路上又は前記第1振動可視化素子から出射される前記反射光又は前記反射電磁波の光路上に配置されており、
    前記第2のカラーフィルタは、少なくとも前記第2振動可視化素子に入射する前記光又は前記電磁波の光路上又は前記第1振動可視化素子から出射される前記反射光又は前記反射電磁波の光路上に配置されている、請求項9に記載の振動計測システム。
  13. 請求項1〜12のいずれか1つに記載された一つ又は複数の振動可視化素子を用いて前記計測対象物の振動を計測する方法であって、
    前記一つ又は複数の振動可視化素子を前記計測対象物に取り付け、
    前記一つ又は複数の振動可視化素子に前記光又は前記電磁波を照射しながら、当該一つ又は複数の振動可視化素子それぞれの前記一つ又は複数の光学部材によって前記再帰性反射方向に出射された前記反射光又は前記反射電磁波を含む映像を撮影し、
    前記撮影した映像に基づいて前記計測対象物の振動を計測する、
    振動計測方法。
  14. 前記一つ又は複数の振動可視化素子は、複数の振動可視化素子であり、
    前記複数の振動可視化素子は、互いに異なる方向の振動に対して感度を有するように前記計測対象物に取り付けられる、請求項13に記載の振動計測方法。
  15. 前記計測対象物の振動計測の開始時又は振動計測中において、
    前記一つ又は複数の振動可視化素子に前記光又は前記電磁波を点滅させて照射し、
    前記撮影した映像において、前記光又は前記電磁波の点滅と同期して点滅する部分を特定することにより、前記振動可視化素子の位置を同定する、請求項13又は14に記載の振動計測方法。
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