JPWO2016152965A1 - 低アルブミン血症の改善剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、安全性が高く経口投与が可能な低アルブミン血症の改善剤を提供することを目的としている。本発明は、下記化合物に代表されるモルヒナン骨格を有する化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有する、低アルブミン血症の改善剤を提供する。

Description

本発明は、低アルブミン血症の改善剤に関する。
血清アルブミンは肝臓で合成されるタンパク質であり、血中のタンパク質の約50〜65%を占める。血中の血清アルブミン濃度の基準値(正常値)は、その測定法の違いにより幅はあるものの約3.5〜5.3g/dLであり、血清アルブミン濃度が基準値より低い場合に低アルブミン血症とされ、臨床的には3.0g/dLという値が重要視されている(非特許文献1)。
低アルブミン血症の原因としては、栄養障害によるアミノ酸供給不足や肝障害によるアルブミン合成の低下、ネフローゼ症候群等の腎不全や火傷等の外傷による血中からのアルブミンの喪失、心不全等による血漿の希釈、甲状腺機能亢進によるアルブミンなどのタンパク質の異化作用の亢進等によって引き起こされる。血中のアルブミンが低下することにより、血液の浸透圧が下がり、浮腫や腹水などを発症する。
低アルブミン血症の治療方法としては、高蛋白食による食事療法や、アミノ酸製剤又は血清アルブミンそのものを含む血液製剤による薬物療法などが行われている。
一方、本発明の有効成分である、モルヒナン骨格を有する化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩については、オピオイドκ受容体作動性を有すること並びに鎮痛薬及び利尿薬としての用途が報告されている(特許文献1)。
また、その他の用途としては、鎮咳薬(特許文献2)、脳細胞保護薬(特許文献3)、止痒薬(特許文献4)、低ナトリウム血症治療薬(特許文献5)、ORL−1受容体拮抗薬(特許文献6)、神経因性疼痛治療薬(特許文献7)、角膜又は結膜用止痒薬(特許文献8)、精神神経疾患治療薬(特許文献9)、薬物依存治療薬(特許文献10)、敗血症治療薬(特許文献11)、多発性硬化症に伴う痒みの治療薬(特許文献12)、統合失調症治療薬(特許文献13)、皮膚性状改善治療薬(特許文献14)、ジスキネジア治療薬(特許文献15)、線維筋痛症治療薬(特許文献16)、胆道疾患治療薬(特許文献17)及び悪液質治療薬(特許文献18)としての用途が報告されている。
国際公開第93/015081号 国際公開第95/001178号 国際公開第95/003307号 国際公開第98/023290号 国際公開第99/005146号 特開2000−53572号公報 国際公開第01/014383号 特開2001−163784号公報 国際公開第02/078744号 国際公開第99/011289号 国際公開第02/089845号 国際公開第06/095836号 国際公開第09/001764号 国際公開第09/044883号 国際公開第08/133297号 特開2011−074018号公報 国際公開第11/093441号 国際公開第12/105475号
佐藤ら、厚生連医誌、2009年、第18巻、p.26−28
しかしながら、現在、低アルブミン血症の改善に主に用いられているのは、静注用のアミノ酸製剤や血液製剤であるが、アミノ酸製剤の静脈内投与の場合は、酸塩基平衡失調、高アンモニア血症、アミノ酸不均衡、高窒素血漿等の副作用の発現に注意を払う必要があり、血液製剤もウイルス混入等の血液製剤特有のリスクがある。また、アルブミンそのものを含む製剤は胃でアルブミンが分解されるため、経口投与できないという問題がある。したがって、安全性が高く経口投与が可能な薬剤が望まれている。
そこで本発明は、安全性が高く経口投与が可能な低アルブミン血症の改善剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、モルヒナン骨格を有する特定の化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩が、低アルブミン血症に対する優れた改善効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有する、低アルブミン血症の改善剤を提供する。
[式中、点線と実線の二重線は、二重結合又は単結合を表し、Rは、炭素数4〜7のシクロアルキルアルキルを表し、Rは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキルを表し、Bは、−CH=CH−を表す。]
は、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル又はシクロヘキシルメチルであり、Rは、メチル、エチル又はプロピルであることが好ましい。
は、シクロプロピルメチルであり、Rは、メチルであり、Bは、トランス型の−CH=CH−であることがより好ましい。
また、上記の低アルブミン血症の改善剤は、(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン又はその薬理学的に許容される酸付加塩が有効成分であることが最も好ましい。
また、上記の低アルブミン血症の改善剤は、肝疾患に伴う低アルブミン血症の改善剤であることが好ましく、慢性肝疾患に伴う低アルブミン血症の改善剤であることがより好ましい。
また本発明は、低アルブミン血症の改善に使用するための、上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を提供する。低アルブミン血症は、肝疾患に伴う低アルブミン血症であることが好ましく、慢性肝疾患に伴う低アルブミン血症であることがより好ましい。
また本発明は、低アルブミン血症を改善するための、上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩の使用を提供する。低アルブミン血症は、肝疾患に伴う低アルブミン血症であることが好ましく、慢性肝疾患に伴う低アルブミン血症であることがより好ましい。
また本発明は、低アルブミン血症の改善用医薬の製造における、上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩の使用を提供する。低アルブミン血症は、肝疾患に伴う低アルブミン血症であることが好ましく、慢性肝疾患に伴う低アルブミン血症であることがより好ましい。
また本発明は、低アルブミン血症を改善する方法であって、改善の必要のある患者に有効量の上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を投与することを含む方法を提供する。低アルブミン血症は、肝疾患に伴う低アルブミン血症であることが好ましく、慢性肝疾患に伴う低アルブミン血症であることがより好ましい。
本発明の低アルブミン血症の改善剤は、安全性が高く経口投与が可能な薬剤として、低アルブミン血症の治療に利用でき、特に肝疾患に伴う低アルブミン血症を改善できる。
低アルブミン値を示す慢性肝疾患によるそう痒症患者の血清アルブミン値に対する化合物1の作用を示す図(投与開始後15日目:投与前値からの変化)である。 低アルブミン値を示す慢性肝疾患によるそう痒症患者の血清アルブミン値に対する化合物1の作用を示す図(投与開始後15日目:投与前及び後の血清アルブミン値)である。 低アルブミン値を示す慢性肝疾患によるそう痒症患者の血清アルブミン値に対する化合物1の作用を示す図(投与開始後29日目:投与前値からの変化)である。 低アルブミン値を示す慢性肝疾患によるそう痒症患者の血清アルブミン値に対する化合物1の作用を示す図(投与開始後29日目:投与前及び後の血清アルブミン値)である。 低アルブミン血症モデルマウスにおける血漿中アルブミン値に対する化合物1の作用を示す図である。
本発明の低アルブミン血症の改善剤は、下記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有することを特徴とする。
[式中、点線と実線の二重線は、二重結合又は単結合を表し、Rは、炭素数4〜7のシクロアルキルアルキルを表し、Rは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキルを表し、Bは、−CH=CH−を表す。]
は、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル又はシクロヘキシルメチルであり、Rは、メチル、エチル又はプロピルであることが好ましい。
は、シクロプロピルメチルであり、Rは、メチルであり、Bは、トランス型の−CH=CH−であることがより好ましい。
上記の低アルブミン血症の改善剤は、下記の式(II)で示される化合物である、(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン又はその薬理学的に許容される酸付加塩が有効成分であることが最も好ましい。
(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナンの一般名は、ナルフラフィンである。その塩酸塩であるナルフラフィン塩酸塩((−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン塩酸塩)は、止痒薬(効能・効果:血液透析患者又は慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善)として経口投与用の薬剤として既に用いられていることから、安全性が高く経口投与が可能な低アルブミン血症の改善剤として最も好ましい。
「薬理学的に許容される酸付加塩」としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩若しくはリン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩若しくはフタル酸塩等の有機カルボン酸塩、又は、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩若しくはカンファースルホン酸塩等の有機スルホン酸塩等が挙げられる。その中でも、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酒石酸塩又はメタンスルホン酸塩等が好ましく用いられる。
上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩は、国際公開第93/015081号に記載の方法に従って製造することができる。
上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩は、低アルブミン血症の改善作用を有する。上記の低アルブミン血症の改善剤は、肝疾患に伴う低アルブミン血症の改善剤として好ましく用いられる。
「低アルブミン血症の改善剤」とは、低アルブミン血症の治療剤ともいい、低アルブミン血症の改善剤は低アルブミン血症の治療剤として用いることもできる。
「低アルブミン血症」とは、血清アルブミン値が基準値より低い場合を意味する。臨床的には、血清アルブミン値が3.0g/dLという値が重要視されており、3.0g/dL未満の低アルブミン血症では、死亡率が顕著に増加する(佐藤ら、厚生連医誌、2009年、第18巻、p.26−28)。
肝疾患としては、例えば、劇症肝炎、慢性若しくは急性肝炎、ウイルス性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝がん、アルコール性肝疾患、閉塞性黄疸、胆汁うっ滞又は原発性胆汁性肝硬変などが挙げられる。肝疾患としては、慢性肝疾患が好ましい。
上記の低アルブミン血症の改善剤は、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ又はサル等)に対して低アルブミン血症の改善剤として用いることができ、特にヒトに対して投与する場合に好ましく用いられる。
上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩は、医薬品用途にまで純化され、必要な安全性試験に合格した後、そのまま、又は公知の薬理学的に許容される酸、担体及び/又は賦形剤等と混合した医薬組成物として、経口的又は非経口的に投与することができる。経口投与における剤型は、錠剤、カプセル剤、口腔内崩壊剤、散剤又は顆粒剤等、非経口的な投与としては静脈内急速注入、静脈内持続注入、筋肉内注射、皮下注射、皮内注射、テープ剤又はパッチ剤等を選択できる。
医薬組成物中の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩の含量は、特に限定されず、一服用あたり通常0.1μg〜100mgとなるように調製され得る。また、投与量は、患者の症状、年齢、性別及び体重並びに投与方法等に応じて適宜選択することができる。通常、成人一日当り、上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩の量として、0.1μg〜20mg、好ましくは1μg〜1mg、より好ましくは1μg〜40μg程度を投与することができ、それぞれ一回又は数回に分けて投与することができる。
上記の低アルブミン血症の改善剤は、上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を単独で、又は疾患の治療若しくは予防、症状の減少若しくは抑制に対して用いられる一種類又はそれ以上の薬剤と組み合わせて投与することができる。組み合わせる薬剤は、低分子化合物、高分子のタンパク質、ポリペプチド若しくは抗体又はワクチン等であってもよい。この際、組み合わせる薬剤と同時又は時間差をおいて投与することもできる。なお、組み合わせる方法はそれぞれの薬剤を併用しても良いし、合剤とすることも可能である。組み合わせる薬剤の投与量は、それぞれ臨床上用いられる用量を基準として適宜選択することができる。また、上記の低アルブミン血症の改善剤と、組み合わせる薬剤との配合比は、投与対象、投与対象の年齢、体重及び症状、投与時間、剤形、投与方法並びに薬剤の組み合わせ等により、適宜選択することができる。
上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩が、低アルブミン血症の改善に有効であることは、例えば、低アルブミン値を示す患者に上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を投与して、投与前後の血清アルブミン値を比較することで評価できる。又は、低アルブミン血症状態にあるモデル動物を用いて評価することもできる。
以下の実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。
(実施例1)低アルブミン値を示す慢性肝疾患によるそう痒症患者の血清アルブミン値に対する作用:
低アルブミン値を示す慢性肝疾患によるそう痒症患者の血清アルブミン値に対する、上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩の作用を評価した。
上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩として、(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン塩酸塩(以下の化合物1)を用いた。
慢性肝疾患によるそう痒症患者(以下、被験者)に、化合物1を2.5μg/日又は0μg/日(0μg/日は、化合物1を含まない偽薬;以下、偽薬)をそれぞれの被験者に経口投与し、対照実験を行った。投与開始前の血清アルブミン値が3.0g/dL以下を示す被験者について、投与開始前と投与開始後15日目及び29日目の血清アルブミン値を比較した。血清アルブミン値はBCG法にて測定した。統計解析は、対応のないt検定(unpaired t検定)を用いた。統計解析の結果、P値が0.05未満の場合に統計学的に有意であると判断した。
投与開始後15日目の結果を図1及び図2に示す。図1の縦軸は、被験者に化合物1(2.5μg/日)又は偽薬を投与する前の血清アルブミン値(g/dL)を基準値として、化合物1(2.5μg/日)又は偽薬を投与開始後15日目の血清アルブミン値(g/dL)が投与前の基準値からどの程度変化したかの変化値を示し、横軸の「偽薬」は偽薬投与群、「化合物1」は化合物1投与群を示す。また、図中の記号*(アスタリスク)は、偽薬投与群と比較して統計学的に有意(対応のないt検定;P<0.05)であることを示す。
また、図2の縦軸は、化合物1(2.5μg/日)又は偽薬を、それぞれの被験者に投与する前の血清アルブミン値(g/dL)及び投与開始後15日目の血清アルブミン値(g/dL)を示し、左図の「偽薬」は偽薬投与群、右図の「化合物1」は化合物1投与群を示す。図2は、「偽薬」又は「化合物1」を投与する前及び投与開始後15日目の各被験者の血清アルブミン値の点を一本の直線で繋いだ図であり、各被験者の投与前後の血清アルブミン値の変動の様子を示す。
投与開始後29日目の結果を図3及び図4に示す。図3の縦軸は、被験者に化合物1(2.5μg/日)又は偽薬を投与する前の血清アルブミン値(g/dL)を基準値として、化合物1(2.5μg/日)又は偽薬を投与開始後29日目の血清アルブミン値(g/dL)が投与前の基準値からどの程度変化したかの変化値を示し、横軸の「偽薬」は偽薬投与群、「化合物1」は化合物1投与群を示す。また、図中の記号*(アスタリスク)は、偽薬投与群と比較して統計学的に有意(対応のないt検定;P<0.05)であることを示す。
また、図4の縦軸は、化合物1(2.5μg/日)又は偽薬を、それぞれの被験者に投与する前の血清アルブミン値(g/dL)及び投与開始後29日目の血清アルブミン値(g/dL)を示し、左図の「偽薬」は偽薬投与群、右図の「化合物1」は化合物1投与群を示す。図4は、「偽薬」又は「化合物1」を投与する前及び投与開始後29日目の各被験者の血清アルブミン値の点を一本の直線で繋いだ図であり、各被験者の投与前後の血清アルブミン値の変動の様子を示す。
図1〜4に示した結果から、投与開始後15日目及び29日目のいずれにおいても、化合物1投与群の血清アルブミン値は増加し、偽薬投与群の血清アルブミン変化値と比較して化合物1投与群の血清アルブミン変化値は統計学的に有意に増大した。したがって、化合物1の投与により低アルブミン血症の改善作用が示された。なお、正常血清アルブミン値を示す被験者の場合には、化合物1を投与しても血清アルブミン値の変動は認められなかった。
したがって、上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩は、低アルブミン血症を改善する作用を有することが示された。
(実施例2)低アルブミン血症モデルマウスに対する作用:
Huynhらの方法(Molecular cancer therapeutics、2007年、第6巻、P.2959−2966)に従って、卵巣癌細胞の腹膜播種による低アルブミン血症モデルマウスを作製し、低アルブミン血症に対する、上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩の作用を評価した。
上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩として、(−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン塩酸塩(以下の化合物1)を用いた。
ヒト卵巣癌細胞株OV−90(CRL−11732;American type culture collection)を、15%ウシ胎仔血清を含むMEM培地を用いて、37℃、5%COインキュベータで培養し維持した。OV−90細胞をトリプシン/EDTAにて剥離し回収した後、PBS(−)で洗浄した。OV−90細胞をPBS(−)に懸濁して、OV−90細胞懸濁液を調製した。雌性SCIDマウス(C.B.−17/lcr−scid/scid−jcl、7〜8週齢;日本クレア株式会社)の腹腔内に、OV−90細胞懸濁液(5×10細胞/匹)を移植した。なお、ヒト卵巣癌細胞を移植しなかった同一週齢の雌性SCIDマウスを、対照群とした(n=3)。
細胞懸濁液移植の37日後から化合物1の投与を開始した(この日を投与開始日とする)。化合物1の投与液は、生理食塩水に溶解して調製し、30μg/kgの用量で、皮下隔日投与した(n=6;化合物1投与群)。溶媒投与群として、化合物1の代わりに、同容量の溶媒を同様に投与した(n=7)。
4回目の投与が終了した1日後(投与開始日から44日後)に、対照群、溶媒投与群及び化合物1投与群の各個体の腋下静脈からイソフルラン吸入麻酔下にて採血した。採取した血液に抗凝固剤としてEDTAを添加した後、血漿を得た。
血漿中のアルブミン濃度測定は、生化学分析装置(DRY−CHEM 4000S、富士フィルム)により測定した。血漿は一旦凍結保存したものを測定当日に融解し、原液10μLを富士ドライケムスライド(ALB−PS、富士フィルム株式会社)に滴下し、マニュアルに従いアルブミン濃度を測定した。
統計解析は、溶媒投与群と化合物1投与群との間の2群間で行い、等分散性の検定(F検定)によりStudentのt検定を行った。統計解析の結果、P値が0.05未満の場合に統計学的に有意であると判断した。
その結果を図5に示す。図5の縦軸は、血漿中アルブミン濃度(g/dL)(平均値±標準誤差;n=3〜7)を示し、横軸の「対照」は対照群、「溶媒」は溶媒投与群、「化合物1」は化合物1投与群を示す。また、図中の記号*(アスタリスク)は、溶媒投与群と比較して統計学的に有意(Studentのt検定;P<0.05)であることを示す。
溶媒投与群は、対照群と比較して血漿中アルブミン濃度の低下が認められ、低アルブミン血症であることが示された。化合物1の投与により、この血漿中アルブミン濃度の低下は抑制された(溶媒投与群の血漿中アルブミン濃度と比較して化合物1投与群の血漿中アルブミン濃度は、統計学的に有意に増大した(P<0.05))。したがって、化合物1は、低アルブミン血症を改善することが示された。
したがって、上記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩は、慢性肝疾患とは異なる疾患である卵巣癌細胞の腹膜播種による低アルブミン血症においても、低アルブミン血症を改善する作用を有することが示された。
本発明は、医薬の分野において、低アルブミン血症の改善剤として利用できる。

Claims (5)

  1. 下記の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分として含有する、低アルブミン血症の改善剤。
    [式中、点線と実線の二重線は、二重結合又は単結合を表し、Rは、炭素数4〜7のシクロアルキルアルキルを表し、Rは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキルを表し、Bは、−CH=CH−を表す。]
  2. は、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル又はシクロヘキシルメチルであり、Rは、メチル、エチル又はプロピルである、請求項1記載の低アルブミン血症の改善剤。
  3. は、シクロプロピルメチルであり、Rは、メチルであり、Bは、トランス型の−CH=CH−である、請求項1記載の低アルブミン血症の改善剤。
  4. (−)−17−(シクロプロピルメチル)−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン又はその薬理学的に許容される酸付加塩が有効成分である、請求項1記載の低アルブミン血症の改善剤。
  5. 肝疾患に伴う低アルブミン血症の改善剤である、請求項1〜4のいずれか一項記載の低アルブミン血症の改善剤。
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