JPWO2016152714A1 - 静電容量型脈波計測装置 - Google Patents
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Abstract
脈波に伴って静電容量が変化することを利用し、且つ、従来とは異なる方法を適用して、高精度に且つ容易に脈波を計測できる静電容量型脈波計測装置を提供する。脈波計測装置(100)は、表層側電極(11)、深層側電極(12)、誘電層(13)及びグランド電極(14)を備える。人体(1)の動脈が表層側電極(11)とグランド電極(14)との配置方向に向かって流通する状態において、電源(21)により入力電圧(Vin)を深層側電極(12)に印加する場合に、計測器(32)が、表層側電極(11)とグランド電極(14)との間の静電容量(Cy)を含む計測対象静電容量に応じた表層側電極(11)の電位(Vo)を計測する。計測器(32)による計測信号に基づいて、演算装置(33)が、人体(1)の脈波を算出する。
Description
本発明は、静電容量型脈波計測装置に関するものである。
特開2005−168608号公報には、シートクッションの臀部下に付設される生体信号測定器が記載されている。生体信号測定器は、人がシートクッション上に位置するときに、脈波等によってシートクッションに伝達される振動を検出する。
また、特許第4149829号公報には、一対の定電流電極と一対の電圧電極とを用いて、定電流電極に定電流を供給して、電圧電極にて生体インピーダンスの変化を表す電圧波形を脈波として取得することが記載されている。
本発明は、脈波に伴って静電容量が変化することを利用し、且つ、従来とは異なる方法を適用して、高精度に且つ容易に脈波を計測できる静電容量型脈波計測装置を提供することを目的とする。
本発明の第一の静電容量型脈波計測装置は、人体の表面との間に絶縁性の被接触部材を挟んで前記人体に電気的に接続する表層側電極と、前記表層側電極から前記被接触部材とは反対側に離れて配置される深層側電極と、前記表層側電極と前記深層側電極との間に介在する誘電層と、前記表層側電極から前記被接触部材の面方向に離れて配置され、前記人体の表面との間に前記被接触部材を挟んで前記人体に電気的に接続し、且つ、グランド電位に接続されるグランド電極と、前記表層側電極とグランド電位との間に接続されるブリッジ用キャパシタと、前記深層側電極に入力電圧を印加可能な電源と、前記人体の動脈が前記表層側電極と前記グランド電極との配置方向に向かって流通する状態において、前記電源により前記入力電圧を前記深層側電極に印加する場合に、前記表層側電極と前記グランド電極との間の静電容量を含む計測対象静電容量に応じた前記表層側電極の電位を計測する計測器と、前記計測器による計測信号に基づいて前記人体の脈波を算出する演算装置とを備える。
上記の静電容量型脈波計測装置によれば、計測器は、人体の静電容量と、表層側電極と深層側電極との静電容量(以下、「電極間静電容量」と称する)と、人体と表層側電極との間の結合容量と、人体とグランド電極との間の結合容量とが直列接続された状態において、人体の静電容量と電極間静電容量との中間電位を測定する。ただし、表層側電極とグランド電位との間には、ブリッジ用キャパシタが接続される。つまり、ブリッジ用キャパシタは、人体の静電容量に並列接続されることになる。
そして、当該中間電位は、人体の静電容量、電極間静電容量、各結合容量、及び、ブリッジ用キャパシタの静電容量の影響を受ける電位となる。また、人体の静電容量、又は、各結合容量が、脈波に伴う変化分を含むと考えられる。例えば、人体の静電容量は、人体の基本静電容量に加えて、脈波に伴う変化分を含むと考えられる。もしくは、脈波に伴って人体の表面と表層側電極との距離が変動することにより、各結合容量が、脈波に伴う変化分を含むとも考えられる。
特に、人体の動脈の流通方向が、表層側電極とグランド電極の配置方向となることで、表層側電極とグランド電極との間の静電容量は、脈波の影響を確実に受ける。従って、演算装置が、当該中間電位から人体の動脈の静電容量の影響分を抽出することで、人体の脈波を確実に取得できる。
また、ブリッジ用キャパシタが人体の静電容量に並列接続されるため、人体が表層側電極に電気的に接続していない場合において、電源とグランド電位との間には、深層側電極、表層側電極及びブリッジ用キャパシタを介する回路が形成される。つまり、人体が表層側電極に電気的に接続しているか接続していないかに関わらず、安定した回路が形成される。従って、計測器が、確実に当該中間電位を計測できる。
さらに、表層側電極及びグランド電極は、絶縁性の被接触部材を挟んで人体の表面に電気的に接続する。仮に、表層側電極又はグランド電極が、人体の表面(例えば人体の皮膚)に直接接触すると、計測器は、種々の電気的ノイズの影響を受ける。そこで、被接触部材が挟まれることで、計測器が計測する電位は、電気的ノイズの影響が小さくなる。
本発明の第二の静電容量型脈波計測装置は、人体の表面との間に絶縁性の被接触部材を挟んで前記人体に電気的に接続する表層側電極と、前記表層側電極から前記被接触部材の面方向に離れて配置され、前記人体の表面との間に前記被接触部材を挟んで前記人体に電気的に接続する第二表層側電極と、前記表層側電極とグランド電位との間に接続されるブリッジ用キャパシタと、前記第二表層側電極に入力電圧を印加可能な電源と、前記人体の動脈が前記表層側電極と前記第二表層側電極との配置方向に向かって流通する状態において、前記電源により前記入力電圧を前記第二表層側電極に印加する場合に、前記表層側電極と前記第二表層側電極との間の静電容量を含む計測対象静電容量に応じた前記表層側電極の電位を計測する計測器と、前記計測器による計測信号に基づいて前記人体の脈波を算出する演算装置とを備える。
この場合、人体が表層側電極及び第二表層側電極に対して電気的に接続している状態において、計測器が計測する電位は、人体の静電容量などを含む計測対象静電容量に応じた電位となる。そこで、演算装置は、人体が電気的に接続している状態において、計測器が計測する電位に基づいて、確実に人体の脈波を算出することができる。
<第一実施形態>
第一実施形態の静電容量型脈波計測装置100について図1〜図6を参照して説明する。脈波計測装置100は、人体1の脈波を計測する。ここで、人体1における異なる2か所の表面2,3間は、基本静電容量Chと動脈に伴う静電容量ΔChとを並列接続された回路と表されるものとする。血液は、他の生体組織に比べて導電率が極めて高いため、他の臓器が無い部分では、血液の流量に応じて静電容量が変化する。つまり、動脈の脈波に応じて、静電容量が変化する。そこで、脈波計測装置100は、動脈の脈波に応じて変化する静電容量を検出することで、人体1の脈波を計測する。
第一実施形態の静電容量型脈波計測装置100について図1〜図6を参照して説明する。脈波計測装置100は、人体1の脈波を計測する。ここで、人体1における異なる2か所の表面2,3間は、基本静電容量Chと動脈に伴う静電容量ΔChとを並列接続された回路と表されるものとする。血液は、他の生体組織に比べて導電率が極めて高いため、他の臓器が無い部分では、血液の流量に応じて静電容量が変化する。つまり、動脈の脈波に応じて、静電容量が変化する。そこで、脈波計測装置100は、動脈の脈波に応じて変化する静電容量を検出することで、人体1の脈波を計測する。
脈波計測装置100は、例えば、車両用などのシートの座面、シートの肘掛けコンソール、人体1の手首バンド、便座などに適用される。脈波計測装置100が座面及び便座に適用される場合には、人体1の大腿動脈の脈波が計測される。脈波計測装置100が肘掛けコンソール又は手首バンドに適用される場合には、人体1の橈骨動脈又は尺骨動脈の脈波が計測される。上記の他、脈波計測装置100は、人体1の各種動脈付近に配置される。
脈波計測装置100は、図1に示すように、計測ユニット10と、電源21と、第一入力用スイッチング素子SW11と、ブリッジ用キャパシタ22と、充放電用スイッチング素子SW10と、コントローラ31と、計測器32と、演算装置33を備える。ここで、人体1が電気的に接続している状態の脈波計測装置100は、図2に示す等価回路となる。一方、人体1が電気的に接続していない状態の脈波計測装置100は、図3に示す等価回路となる。
計測ユニット10は、計測対象である人体の動脈付近に配置される。例えば、脈波計測装置100が車両シートの座面に適用される場合には、計測ユニット10は座面の表面側に埋設される。計測ユニット10は、表層側電極11と、深層側電極12と、誘電層13と、グランド電極14とを備える。
表層側電極11は、人体1の表面2との間に絶縁性の被接触部材4を挟んで人体に電気的に接続する。計測ユニット10が車両シートの座面に埋設される場合、被接触部材4は、シートの表皮及び人体1が装着する衣類などである。被接触部材4は、シートの表皮のみでもよく、人体1が装着する衣類のみでもよい。つまり、表層側電極11と人体1の表面2(皮膚)が直接接触することがないように、種々の被接触部材4が介在すればよい。表層側電極11は、例えば、シートの座面の表面側に配置される。表層側電極11は、例えば、帯状に形成され、シートの座面の左右方向に延びるように配置される。
深層側電極12は、表層側電極11から被接触部材4とは反対側に離れて配置される。つまり、深層側電極12は、表層側電極11に対して距離を隔てて対向する。誘電層13は、表層側電極11と深層側電極12との間に介在する。本実施形態においては、誘電層13の厚みは固定される。従って、表層側電極11と深層側電極12との静電容量Cn(以下、「電極間静電容量Cn」と称する。)は、固定値に設定される。
グランド電極14は、表層側電極11から被接触部材4の面方向に離れて配置される。グランド電極14は、人体1の表面3との間に被接触部材4を挟んで人体1に電気的に接続し、且つ、グランド電位に接続される。グランド電極14は、例えば、表層側電極11と同様の帯状に形成され、シートの座面の左右方向に延びるように配置され、表層側電極11に対して座面の前後方向に離れて配置される。つまり、シートの座面に人体1が着座した状態において、人体1の大腿動脈は、表層側電極11とグランド電極14との配置方向に向かって流通する。
電源21は、定電圧である入力電圧Vinを印加する電源である。電源21は、深層側電極12に入力電圧Vinを印加可能である。第一入力用スイッチング素子SW11は、深層側電極12を電源21に接続する状態と、深層側電極12をグランド電位に接続する状態とを切り替える。
ブリッジ用キャパシタ22は、表層側電極11とグランド電位との間に接続される。ブリッジ用キャパシタ22の静電容量は、Cbである。深層側電極12が電源21に接続される場合には、ブリッジ用キャパシタ22は、電極間静電容量Cnに直列接続される。つまり、ブリッジ用キャパシタ22は、電極間静電容量Cnに対してブリッジ回路を構成する。充放電用スイッチング素子SW10は、表層側電極11とグランド電位との間に配置され、表層側電極11をグランド電位に接続する状態と、表層側電極11をグランド電位から遮断する状態とを切り替える。
コントローラ31は、図4に示すように、第一入力用スイッチング素子SW11及び充放電用スイッチング素子SW10を制御する。コントローラ31は、以下に示す放電工程と充電工程とを交互に実行する。すなわち、コントローラ31は、第一入力用スイッチング素子SW11をグランド電位側に接続した状態にし、且つ、充放電用スイッチング素子SW10を閉状態にすることで、表層側電極11の電荷をグランド電位に放電する(放電工程)。ここで、第一入力用スイッチング素子SW11をグランド電位側に接続した状態とは、深層側電極12に対して入力電圧Vinを印加していない状態に相当する。上記放電工程により、電極間静電容量Cnの電荷を基準状態としてのグランド電位に設定することで、キャリブレーションを行うことができる。
また、コントローラ31は、上記放電工程の後に、第一入力用スイッチング素子SW11を電源21側に接続した状態にし、且つ、充放電用スイッチング素子SW10を開状態にすることで、電極間静電容量Cnに充電する(充電工程)。ここで、第一入力用スイッチング素子SW11を電源21側に接続した状態とは、電極間静電容量Cnに対して入力電圧Vinを印加する状態に相当する。
計測器32は、コントローラ31が充電工程を実行する場合(図4のt3〜t4)において、電極間静電容量Cnとブリッジ用キャパシタ22の静電容量Cbとの中間電位Voを計測する。つまり、計測器32は、電源21により入力電圧Vinを深層側電極に印加する場合に、表層側電極11の電位である出力電圧Voを計測する。
ここで、出力電圧Voは、式(1)により表される。ただし、人体1が表層側電極11及びグランド電極14に対して電気的に接続していない状態と接続している状態とに応じて、出力電圧Voは異なる。式(1)において、表層側電極11とグランド電極14との間の静電容量Cyは、式(2)により表される。人体1の表面2と表層側電極11との間の結合容量はC1であり、人体1の表面3とグランド電極14との間の結合容量はC2である。
式(1)(2)より、出力電圧Voは、表層側電極11とグランド電極14との間の静電容量Cy、表層側電極11と深層側電極12との間の静電容量Cn、及び、ブリッジ用キャパシタ22の静電容量Cbを含む計測対象静電容量に応じた電位となる。ここで、表層側電極11とグランド電極14との間の静電容量Cyは、人体1の基本静電容量Chと動脈に伴う静電容量ΔChとを並列接続した容量と、人体1と表層側電極11との間の結合容量C1と、人体1とグランド電極14との間の結合容量C2とを直列接続した容量である。また、式(1)より明らかなように、人体1が表層側電極11及びグランド電極14に電気的に接続していない状態においては、出力電圧Vo1は、表層側電極11とグランド電極14との間の静電容量Cyを含まない計測対象静電容量に応じた電位となる。
図5に示すように、人体1が表層側電極11及びグランド電極14に対して電気的に接続していない状態から、電気的に接続している状態へ変化した場合において、出力電圧Voは変化する。図5において、時刻T1において、人体1が表層側電極11及びグランド電極14に電気的に接続する。図5及び式(1)(2)より明らかなように、人体1が電気的に接続している状態の出力電圧Vo2は、電気的に接続していない状態の出力電圧Vo1より小さい。さらに、人体1が表層側電極11及びグランド電極14に電気的に接続している状態において、出力電圧Vo2は、人体1の動脈の影響を受けて、微小な振動波形となる。
ブリッジ用キャパシタ22の静電容量Cb及び人体1等の静電容量Cyが電極間静電容量Cnに対して直列接続されており、計測器32が、深層側電極12の電位、すなわち電極間静電容量Cnと静電容量Cb,Cyとの間の電位(中間電位)を取得している。ここで、一般に、直列接続された2つのキャパシタの中間電位は不定である。
しかし、充放電用スイッチング素子SW10を閉状態にすることで、表層側電極11の電荷が一旦放電される。すなわち、上記中間電位がグランド電位になる。この状態が基準状態とされる。つまり、基準状態における中間電位は、グランド電位に等しい。換言すると、充放電用スイッチング素子SW10を閉状態にすることによって、中間電位のキャリブレーションを行うことができる。
そして、計測器32は、放電された後に、充放電用スイッチング素子SW10を開状態にし且つ入力電圧Vinを印加した状態にされた時に、表層側電極11の電位を計測する。つまり、計測器32が計測する電位は、人体1の静電容量Cyなどを含む計測対象静電容量に応じた電位となる。
さらに、計測器32は直列接続された静電容量の中間電位を用いるため、例えば電流計測の場合に比べて、電気的ノイズの影響を受けにくくなり、高精度な静電容量の計測が可能となる。さらに、計測器32は、中間電位を用いた計測であるため、高速な計測を可能とする。また、充放電用スイッチング素子SW10を閉状態にするキャリブレーションは、短時間で行うことができる。このことからも、高速な静電容量の計測が可能となる。
演算装置33は、計測器32により増幅された計測信号を、例えばバンドパスフィルタなどによって、計測信号から所定の周波数帯域(例えば、1Hz〜3Hz)の信号を抽出して、脈波を算出する。
ここで、演算装置33が増幅された計測信号を処理する理由は、脈波の影響による信号の振幅は非常に小さいため、所定の周波数帯域の信号を抽出する際に、適切に所望の信号を抽出できないことがあるためである。また、演算装置33が所定の周波数帯域の信号を抽出することで、人体1の基本静電容量Chの成分、人体1の表面2と表層側電極11との間の結合容量C1及び人体1の表面3とグランド電極14との間の結合容量C2は、大部分が除去され、脈波の影響分のみが抽出される。
演算装置33が増幅された計測信号から所定の周波数帯域の信号を抽出した信号波形は、図6に示すような脈波となる。そして、演算装置33が当該脈波のピーク数をカウントすることで、脈拍数を得ることができる。
<第二実施形態>
第二実施形態の脈波計測装置200について、図7〜図17を参照して説明する。図7に示すように、脈波計測装置200は、上記実施形態の脈波計測装置100に対して、並列キャパシタ23及び第二入力用スイッチング素子SW12をさらに備える。
第二実施形態の脈波計測装置200について、図7〜図17を参照して説明する。図7に示すように、脈波計測装置200は、上記実施形態の脈波計測装置100に対して、並列キャパシタ23及び第二入力用スイッチング素子SW12をさらに備える。
並列キャパシタ23は、一端側が電源21に接続可能であり、他端側を表層側電極11に接続される。つまり、並列キャパシタ23の一端側及び深層側電極12が電源21に接続されている状態において、並列キャパシタ23は、表層側電極11と深層側電極12との静電容量Cnに対して並列接続される関係となる。並列キャパシタ23の静電容量は、Caである。第二入力用スイッチング素子SW12は、並列キャパシタ23の一端側を電源21に接続する状態とグランド電位に接続する状態とを切り替える。
コントローラ31は、図8に示すように、第一入力用スイッチング素子SW11、第二入力用スイッチング素子SW12及び充放電用スイッチング素子SW10を制御する。各状態において、人体1が電気的に接続していない状態と接続している状態とについての等価回路は、図9〜図16に示すとおりである。
図8のt1〜t2の第一状態において、人体1が電気的に接続していない場合には、図9に示す等価回路となる。図8のt1〜t2の第一状態において、人体1が電気的に接続している場合には、図13に示す等価回路となる。このとき、出力電圧Vo11(Vo111,Vo112)は、式(3)に示すとおりである。
図8のt2〜t3の第二状態において、人体1が電気的に接続していない場合には、図10に示す等価回路となる。図8のt2〜t3の第二状態において、人体1が電気的に接続している場合には、図14に示す等価回路となる。このとき、出力電圧Vo12(Vo121,Vo122)は、式(4)に示すとおりである。
図8のt3〜t4の第三状態において、人体1が電気的に接続していない場合には、図11に示す等価回路となる。図8のt3〜t4の第三状態において、人体1が電気的に接続している場合には、図15に示す等価回路となる。このとき、出力電圧Vo13(Vo131,Vo132)は、式(5)に示すとおりである。
図8のt4〜t5の第四状態において、人体1が電気的に接続していない場合には、図12に示す等価回路となる。図8のt4〜t5の第四状態において、人体1が電気的に接続している場合には、図16に示す等価回路となる。このとき、出力電圧Vo14(Vo141,Vo142)は、式(6)に示すとおりである。
図17に示すように、人体1が表層側電極11及びグランド電極14に対して電気的に接続していない状態から、電気的に接続している状態へ変化した場合において、出力電圧Voは変化する。図17において、時刻T1において、人体1が表層側電極11及びグランド電極14に電気的に接続する。
演算装置33は、人体1が電気的に接続している状態において、第四状態の出力電圧Vo142に基づいて、脈波を算出する。詳細には、演算装置33は、増幅された出力信号Vo142から所定の周波数帯域の信号を抽出して、脈波を算出する。ここで、演算装置33は、第四状態の出力電圧Vo142を処理しているため、分解能が大きくなり、脈波の算出が確実となる。
<第三実施形態>
第三実施形態の脈波計測装置300は、第二実施形態の脈波計測装置200に対して、計測器32のキャリブレーションのタイミングが異なる。上記の脈波計測装置200においては、計測器32は、第一状態(図8のt1〜t2)においてキャリブレーションを行った。すなわち、計測器32が取得する出力電圧Voは、第一状態における出力電圧Vo11(Vo111,Vo112)をゼロ(基準)とする値であった。
第三実施形態の脈波計測装置300は、第二実施形態の脈波計測装置200に対して、計測器32のキャリブレーションのタイミングが異なる。上記の脈波計測装置200においては、計測器32は、第一状態(図8のt1〜t2)においてキャリブレーションを行った。すなわち、計測器32が取得する出力電圧Voは、第一状態における出力電圧Vo11(Vo111,Vo112)をゼロ(基準)とする値であった。
本実施形態の脈波計測装置300においては、図18に示すように、計測器32は、第二状態(図18のt2〜t3)においてキャリブレーションを行う。すなわち、計測器32が取得する出力電圧Voは、第二状態における出力電圧Vo22(Vo221,Vo222)をゼロ(基準)とする値とする。
図18のt1〜t2の第一状態における出力電圧Vo21(Vo211,Vo212)は、式(7)に示すとおりである。図18のt2〜t3の第二状態における出力電圧Vo22(Vo221,Vo222)は、式(8)に示すとおりである。図18のt3〜t4の第三状態における出力電圧Vo23(Vo231,Vo232)は、式(9)に示すとおりである。図18のt4〜t5の第四状態における出力電圧Vo24(Vo241,Vo242)は、式(10)に示すとおりである。
計測器32は、第四状態の出力電圧Vo24を取得する。そして、演算装置33は、人体1が電気的に接続している状態において計測器32が取得した第四状態の出力電圧Vo242に基づいて、所定の周波数帯域の信号を抽出することで、脈波を算出する。
<第四実施形態>
第四実施形態の脈波計測装置400において、図19に示すように、計測ユニット10を構成する誘電層13が圧縮変形可能な材料により形成される。つまり、表層側電極11と深層側電極12との間の電極間静電容量Cnは可変となる。例えば、計測ユニット10の柔軟性を確保するために、誘電層13が圧縮変形可能とすることがある。計測ユニット10がシートの座面に配置される場合において、人体1の体重によって誘電層13が圧縮変形することがある。この場合、電極間静電容量Cnは、大きくなる。
第四実施形態の脈波計測装置400において、図19に示すように、計測ユニット10を構成する誘電層13が圧縮変形可能な材料により形成される。つまり、表層側電極11と深層側電極12との間の電極間静電容量Cnは可変となる。例えば、計測ユニット10の柔軟性を確保するために、誘電層13が圧縮変形可能とすることがある。計測ユニット10がシートの座面に配置される場合において、人体1の体重によって誘電層13が圧縮変形することがある。この場合、電極間静電容量Cnは、大きくなる。
図20に示すように、人体1が表層側電極11及びグランド電極14に対して電気的に接続していない状態から、電気的に接続している状態へ変化した場合において、出力電圧Voは変化する。図20において、時刻T1は、人体1が表層側電極11及びグランド電極14に電気的に接続する時点であり、T2は、誘電層13が圧縮変形開始する時点であり、T3は、誘電層13の圧縮変形が安定した状態となった時点である。
つまり、人体1が表層側電極11及びグランド電極14に電気的に接続することによって、第四状態の出力電圧Vo14は一旦低下し、誘電層13の圧縮に伴って、第四状態の出力電圧Vo14は上昇し始める。この場合、誘電層13の圧縮変形が安定した後において、計測器32は、動脈の脈波に応じて変化する深層側電極12の電位を取得する。そして、演算装置33が、計測信号に基づいて脈波を算出する。
<第五実施形態>
第五実施形態の脈波計測装置500は、第四実施形態の脈波計測装置400のように、誘電層13が圧縮変形する構成が適用される。さらに、脈波計測装置500は、図21に示すように、それぞれ並列に接続可能に設けられ、静電容量の異なる複数の並列キャパシタ23a,23bを備える。第一の並列キャパシタ23aの静電容量は、Ca1であり、第二の並列キャパシタ23bの静電容量は、Ca2とする。説明上、例えば、静電容量Ca1が、静電容量Ca2より小さいとする。
第五実施形態の脈波計測装置500は、第四実施形態の脈波計測装置400のように、誘電層13が圧縮変形する構成が適用される。さらに、脈波計測装置500は、図21に示すように、それぞれ並列に接続可能に設けられ、静電容量の異なる複数の並列キャパシタ23a,23bを備える。第一の並列キャパシタ23aの静電容量は、Ca1であり、第二の並列キャパシタ23bの静電容量は、Ca2とする。説明上、例えば、静電容量Ca1が、静電容量Ca2より小さいとする。
さらに、脈波計測装置500は、選択スイッチSW51,SW52を備える。一方の選択スイッチSW51は、複数の並列キャパシタ23a,23bの中から選択された一つと第二入力用スイッチング素子SW12とを接続する。他方の選択スイッチSW52は、複数の並列キャパシタ23a,23bの中から選択された一つと表層側電極11とを接続する。
従って、複数の並列キャパシタ23a,23bの中から選択された一つのみが、一端側を電源21又はグランド電位に接続され、他端側を表層側電極11に接続される。複数の並列キャパシタ23a,23bの残りは、電源21、グランド電位、表層側電極11の何れにも接続されていない。ただし、図示しないが、複数の並列キャパシタ23a,23bの残りは、両端共に、グランド電位に接続するようにしてもよい。
選択スイッチSW51,SW52が第一の並列キャパシタ23aを選択している場合に、人体1が表層側電極11及びグランド電極14に対して電気的に接続していない状態から、電気的に接続している状態へ変化すると、第四状態の出力電圧Vo34は図22に示すように変化する。ただし、図22は、第二状態の出力電圧Vo32がゼロ(基準)となるものとして表示する。
一方、選択スイッチSW51,SW52が第二の並列キャパシタ23bを選択している場合に、人体1が表層側電極11及びグランド電極14に対して電気的に接続していない状態から、電気的に接続している状態へ変化すると、第四状態の出力電圧Vo44は図23に示すように変化する。ただし、図23は、第二状態の出力電圧Vo42がゼロ(基準)となるものとして表示する。
ここで、選択スイッチSW51,SW52が第一の並列キャパシタ23aを選択している場合に、第四状態の出力電圧Vo34(Vo341,Vo342)は、式(11)に示すとおりである。
選択スイッチSW51,SW52が第二の並列キャパシタ23bを選択している場合に、第四状態の出力電圧Vo44(Vo441,Vo442)は、式(12)に示すとおりである。
第二の並列キャパシタ23bが選択される場合における第四状態の出力電圧Vo442は、第一の並列キャパシタ23aが選択される場合における第四状態の出力電圧Vo342より小さくなる。例えば、演算装置33は、第二の並列キャパシタ23bが選択される場合の計測器32により増幅された計測信号から所定の周波数帯域の信号を抽出することで、より確実に脈波を算出できる。このように、演算装置33は、適宜、脈波を算出するのに適した並列キャパシタ23a,23bの何れか一つを選択する。
なお、第五実施形態では、選択スイッチSW51,SW52により、第一の並列キャパシタ23a、第二の並列キャパシタ23bの何れか一つのみを選択する構成としたが、第一の並列キャパシタ23a、第二の並列キャパシタ23bのそれぞれを個別に選択できる選択スイッチを設け、第一の並列キャパシタ23a、第二の並列キャパシタ23bの両方を選択する構成としても良い。
<第六実施形態>
第六実施形態の脈波計測装置600は、図24に示すように、第一実施形態の脈波計測装置から深層側電極12をなくす一方、グランド電極14に代わりに第二表層側電極15を配置する。また、第一入力用スイッチング素子SW11は、第二表層側電極15を電源21に接続する状態と、第二表層側電極15をグランド電位に接続する状態とを切り替える構成とする。
第六実施形態の脈波計測装置600は、図24に示すように、第一実施形態の脈波計測装置から深層側電極12をなくす一方、グランド電極14に代わりに第二表層側電極15を配置する。また、第一入力用スイッチング素子SW11は、第二表層側電極15を電源21に接続する状態と、第二表層側電極15をグランド電位に接続する状態とを切り替える構成とする。
コントローラ31は、第一入力用スイッチング素子SW11及び充放電用スイッチング素子SW10を制御する。コントローラ31は、以下に示す放電工程と充電工程とを交互に実行する。すなわち、コントローラ31は、第一入力用スイッチング素子SW11をグランド電位側に接続した状態にし、且つ、充放電用スイッチング素子SW10を閉状態にすることで、表層側電極11の電荷をグランド電位に放電する(放電工程)。ここで、第一入力用スイッチング素子SW11をグランド電位側に接続した状態とは、第二表層側電極15に対して入力電圧Vinを印加していない状態に相当する。上記放電工程により、表層側電極11と第二表層側電極15の間の静電容量Cz(Cz1又はCz2)の電荷を基準状態としてのグランド電位に設定することで、キャリブレーションを行うことができる。
また、コントローラ31は、上記放電工程の後に、第一入力用スイッチング素子SW11を電源21側に接続した状態にし、且つ、充放電用スイッチング素子SW10を開状態にすることで、電極間静電容量Czに充電する(充電工程)。ここで、第一入力用スイッチング素子SW11を電源21側に接続した状態とは、電極間静電容量Czに対して入力電圧Vinを印加する状態に相当する。
計測器32は、コントローラ31が充電工程を実行する場合において、電極間静電容量Czとブリッジ用キャパシタ22の静電容量Cbとの中間電位Vo6を計測する。つまり、計測器32は、電源21により入力電圧Vinを第二表層側電極15に印加する場合に、表層側電極11の電位である出力電圧Vo6を計測する。
ここで、人体1が電気的に接続している状態の脈波計測装置600は、図25に示す等価回路となる。一方、人体1が電気的に接続していない状態の脈波計測装置600は、図26に示す等価回路となる。人体1が表層側電極11及び第二表層側電極15に対して電気的に接続している状態においては、図25に示すように、電極間静電容量Czは、人体1の静電容量Ch,ΔChを含む静電容量Cz1となる。一方、人体1が表層側電極11及び第二表層側電極15に対して電気的に接続していない状態においては、図26に示すように、電極間静電容量Czは、人体1の静電容量Ch,ΔChとは無関係の静電容量Cz2となる。
そして、出力電圧Vo6は、式(13)により表される。ただし、人体1が表層側電極11及び第二表層側電極15に対して電気的に接続していない状態と接続している状態とに応じて、出力電圧Vo6は異なる。計測器32は、放電された後に、充放電用スイッチング素子SW10を開状態にし且つ入力電圧Vinを印加した状態にされた時に、表層側電極11の電位を計測する。つまり、人体1が表層側電極11及び第二表層側電極15に対して電気的に接続している状態において、計測器32が計測する電位は、人体1の静電容量Ch,ΔChなどを含む計測対象静電容量に応じた電位となる。そこで、演算装置33は、人体1が電気的に接続している状態において、出力電圧Vo61に基づいて、脈波を算出する。
<第七実施形態>
上記実施形態においては、図1及び図2に示すように、人体1における異なる2か所の表面2,3間は、基本静電容量Chと動脈に伴う静電容量ΔChとを並列接続された回路として表されるものとした。
上記実施形態においては、図1及び図2に示すように、人体1における異なる2か所の表面2,3間は、基本静電容量Chと動脈に伴う静電容量ΔChとを並列接続された回路として表されるものとした。
この他に、人体1における異なる2か所の表面2,3間は、図27及び図28に示すように、基本静電容量Ch、動脈に伴う静電容量ΔCh、及び、抵抗Rを並列接続された回路として表されるとも考えられる。この場合、表面2,3間の電圧変化は、抵抗Rの存在により、動脈に伴う静電容量ΔChの影響をほとんど受けないことになる。
ただし、動脈の振動に伴って、人体1の表面2と表層側電極11との間に存在する被接触部材4が僅かに圧縮変形する。そのため、人体1の表面2と表層側電極11との間の結合容量C1が変化する。同様に、動脈の振動に伴って、人体1の表面3とグランド電極14との間に存在する被接触部材4が僅かに圧縮変形する。そのため、人体1の表面3とグランド電極14との間の結合容量C2が変化する。
そうすると、上記実施形態において、表層側電極11とグランド電極14との間の静電容量Cyは、式(2)で表したが、本実施形態においては、式(14)により表される。式(14)において、結合容量C1,C2が、脈波に伴って変化する値となる。また、表層側電極11とグランド電極14との配置方向は、人体1の大腿動脈の流通方向にほぼ一致させている。そのため、結合容量C1,C2は、ほぼ同様に変化するものと考えられる。
従って、図5に示す出力電圧Vo2は、結合容量C1,C2、すなわち人体1の動脈の影響を受けて、微小な振動波形となる。そのため、上記実施形態と同様に、演算装置33は、人体1の脈波を得ることができる。
なお、第七実施形態においては、人体1における異なる2か所の表面2,3間に、抵抗Rを含む回路とし、且つ、動脈の振動に伴って被接触部材4が僅かに圧縮変形するものとした。このことを、第六実施形態の脈波計測装置600の構成に同様に適用することもできる。つまり、図24において、人体1における異なる2か所の表面2,3間が、基本静電容量Ch、動脈に伴う静電容量ΔCh、及び、抵抗Rを並列接続された回路として表される。さらに、人体1の表面2と表層側電極11との間の結合容量C1が変化し、且つ、人体1の表面3と第二表層側電極15との間の結合容量C2が変化する。この場合も、同様に、演算装置33は、人体1の脈波を得ることができる。
<実施形態の効果>
第一実施形態〜第五実施形態、及び第七実施形態の脈波計測装置100,200,300,400,500は、人体1の表面との間に絶縁性の被接触部材4を挟んで人体1に電気的に接続する表層側電極11と、表層側電極11から被接触部材4とは反対側に離れて配置される深層側電極12と、表層側電極11と深層側電極12との間に介在する誘電層13と、表層側電極11から被接触部材4の面方向に離れて配置され、人体1の表面との間に被接触部材4を挟んで人体1に電気的に接続し、且つ、グランド電位に接続されるグランド電極14とを備える。
第一実施形態〜第五実施形態、及び第七実施形態の脈波計測装置100,200,300,400,500は、人体1の表面との間に絶縁性の被接触部材4を挟んで人体1に電気的に接続する表層側電極11と、表層側電極11から被接触部材4とは反対側に離れて配置される深層側電極12と、表層側電極11と深層側電極12との間に介在する誘電層13と、表層側電極11から被接触部材4の面方向に離れて配置され、人体1の表面との間に被接触部材4を挟んで人体1に電気的に接続し、且つ、グランド電位に接続されるグランド電極14とを備える。
さらに、脈波計測装置100,200,300,400,500は、表層側電極11とグランド電位との間に接続されるブリッジ用キャパシタ22と、深層側電極12に入力電圧を印加可能な電源21と、人体1の動脈が表層側電極11とグランド電極14との配置方向に向かって流通する状態において、電源21により入力電圧Vinを深層側電極12に印加する場合に、表層側電極11とグランド電極14との間の静電容量Cyを含む計測対象静電容量に応じた表層側電極11の電位Voを計測する計測器32と、計測器32による計測信号に基づいて人体1の脈波を算出する演算装置33とを備える。
計測器32は、人体1の静電容量Ch,ΔChと、表層側電極11と深層側電極12との電極間静電容量Cnと、人体1と表層側電極11との間の結合容量C1と、人体1とグランド電極14との間の結合容量C2とが直列接続された状態において、人体1の静電容量Ch,ΔChと電極間静電容量Cnとの中間電位を測定する。ただし、表層側電極11とグランド電位との間には、ブリッジ用キャパシタ22が接続される。つまり、ブリッジ用キャパシタ22は、人体1の静電容量Ch,ΔChに並列接続されることになる。
そして、当該中間電位は、人体1の静電容量Ch,ΔCh、電極間静電容量Cn、各結合容量C1,C2、及び、ブリッジ用キャパシタ22の静電容量Cbの影響を受ける電位となる。また、人体の静電容量、又は、各結合容量が、脈波に伴う変化分を含むと考えられる。例えば、人体1の静電容量Ch,ΔChは、人体1の基本静電容量Chに加えて、脈波に伴う変化分ΔChを含むと考えられる。もしくは、脈波に伴って人体の表面と表層側電極との距離が変動することにより、各結合容量が、脈波に伴う変化分を含むとも考えられる。
特に、人体1の動脈の流通方向が、表層側電極11とグランド電極14の配置方向となることで、表層側電極11とグランド電極14との間の静電容量Cyは、脈波の影響を確実に受ける。従って、演算装置33が、当該中間電位から人体1の動脈の静電容量ΔChの影響分を抽出することで、人体1の脈波を確実に取得できる。
また、ブリッジ用キャパシタ22が人体1の静電容量Ch,ΔChに並列接続されるため、人体1が表層側電極11に電気的に接続していない場合において、電源21とグランド電位との間には、深層側電極12、表層側電極11及びブリッジ用キャパシタ22を介する回路が形成される。つまり、人体1が表層側電極11に電気的に接続しているか接続していないかに関わらず、安定した回路が形成される。従って、計測器32が、確実に当該中間電位を計測できる。
さらに、表層側電極11及びグランド電極14は、絶縁性の被接触部材4を挟んで人体1の表面に電気的に接続する。仮に、表層側電極11又はグランド電極14が、人体1の表面(例えば人体の皮膚)に直接接触すると、計測器32は、種々の電気的ノイズの影響を受ける。そこで、被接触部材4が挟まれることで、計測器32が計測する電位は、電気的ノイズの影響が小さくなる。
また、脈波計測装置100,200,300,400,500において、演算装置33は、計測器32により増幅された計測信号から所定の周波数帯域の信号を抽出して、脈波を算出する。脈波の影響による振動の振幅は非常に小さいため、所定の周波数帯域の信号を抽出する際に、適切に所望の信号を抽出できないことがある。そこで、計測器32が増幅した計測信号を用いることで、確実に脈波を得ることができる。また、演算装置33が所定の周波数帯域の信号を抽出することで、人体1の基本静電容量Chの成分、人体1の表面と表層側電極11との間の結合容量C1及び人体1の表面とグランド電極14との間の結合容量C2は、大部分が除去され、脈波の影響分のみが抽出される。
また、第一実施形態及び第七実施形態の静電容量型脈波計測装置100は、深層側電極12を電源21に接続する状態とグランド電位に接続する状態とを切り替える第一入力用スイッチング素子SW11と、表層側電極11とグランド電位との間に配置され、表層側電極11をグランド電位に接続する状態と遮断する状態とを切り替える充放電用スイッチング素子SW10と、第一入力用スイッチング素子SW11及び充放電用スイッチング素子SW10を制御するコントローラ31とを備える。
コントローラ31は、表層側電極11及び深層側電極12がグランド電位に接続されることで表層側電極11の電荷を放電し、放電の後に、充放電用スイッチング素子SW10を開状態にし且つ深層側電極12に入力電圧Vinが印加される状態にすることで、表層側電極11と深層側電極12との間に充電する。そして、計測器32は、充電された状態で、計測対象静電容量に応じた表層側電極11の電位を計測する。充放電用スイッチング素子SW10を閉状態にすることによって、表層側電極11の電位のキャリブレーションを行うことができる。従って、充電後に計測器32が計測する電位は、人体1の静電容量Cyなどを含む計測対象静電容量に応じた電位となる。
また、第一実施形態及び第七実施形態の脈波計測装置100において、表層側電極11と深層側電極12との間の電極間静電容量Cnは、固定値に設定される。つまり、人体1が計測ユニット10に荷重を付加したとしても、電極間静電容量Cnが変化しないため、基準を安定して得ることができる。なお、基準とは、例えば、図5のt1〜t2のグランド電位とすることができる。
また、第二実施形態〜第五実施形態の脈波計測装置200,300,400,500は、一端側を電源21に接続可能であり、他端側を表層側電極11に接続される並列キャパシタ23,23a,23bと、深層側電極12を電源21に接続する状態とグランド電位に接続する状態とを切り替える第一入力用スイッチング素子SW11と、並列キャパシタ23,23a,23bの一端側を電源21に接続する状態とグランド電位に接続する状態とを切り替える第二入力用スイッチング素子SW12と、表層側電極11とグランド電位との間に配置され、表層側電極11をグランド電位に接続する状態と遮断する状態とを切り替える充放電用スイッチング素子SW10と、第一入力用スイッチング素子SW11、第二入力用スイッチング素子SW12及び充放電用スイッチング素子SW10を制御するコントローラ31とを備える。
コントローラ31は、表層側電極11及び深層側電極12がグランド電位に接続されることで表層側電極11の電荷を放電する第一状態とする。コントローラ31は、第一状態の後に、充放電用スイッチング素子SW10を開状態にし且つ並列キャパシタ23,23a,23bの一端側のみに入力電圧Vinが印加される状態にして、並列キャパシタ23,23a,23bの他端側の電位を計測する第二状態とする。コントローラ31は、第二状態の後に、深層側電極12及び並列キャパシタ23,23a,23bの一端側に入力電圧Vinが印加される状態にすることで、表層側電極11の電位を計測する第三状態とする。コントローラ31は、第三状態の後に、深層側電極12の一端側のみに入力電圧Vinが印加される状態にすることで、表層側電極11の電位を計測する第四状態とする。そして、演算装置33は、第四状態における計測器32による計測信号に基づいて、脈波を算出する。
コントローラ31が上記動作を行うことにより、計測器32は、第四状態の出力電圧Vo14,Vo24を、確実に取得できる。従って、演算装置33は、高精度に脈波を算出できる。
また、第五実施形態の脈波計測装置500において、表層側電極11と深層側電極12との間の電極間静電容量Cnは、可変する。また、脈波計測装置500における並列キャパシタは、静電容量の異なる複数の並列キャパシタ23a,23bである。複数の並列キャパシタ23a,23bの少なくとも一つが、一端側を電源21に接続され、他端側を表層側電極11に接続される。
演算装置33は、電源21を複数の並列キャパシタ23a,23bの中から少なくとも一つを選択した場合に、第四状態における計測器32による計測信号に基づいて、脈波を算出する。
演算装置33は、適宜、脈波を算出するのに適した並列キャパシタ23a,23bの少なくとも一つを選択する。例えば、複数の並列キャパシタ23a,23bの中から、第三状態の出力電圧Vo332,432が小さくなるよう方を選択する。そうすることで、分解能が大きくなり、脈波の算出が確実となる。
また、第六実施形態の脈波計測装置600は、人体1の表面との間に絶縁性の被接触部材4を挟んで人体1に電気的に接続する表層側電極11と、表層側電極11から被接触部材4の面方向に離れて配置され、人体1の表面との間に被接触部材4を挟んで人体1に電気的に接続する第二表層側電極15と、表層側電極11とグランド電位との間に接続されるブリッジ用キャパシタ22とを備える。
さらに、脈波計測装置600は、第二表層側電極15に入力電圧Vinを印加可能な電源21と、人体1の動脈が表層側電極11と第二表層側電極15との配置方向に向かって流通する状態において、電源21により入力電圧Vinを第二表層側電極15に印加する場合に、表層側電極11と第二表層側電極15との間の静電容量Czを含む計測対象静電容量に応じた表層側電極11の電位Vo6を計測する計測器32と、計測器32による計測信号に基づいて人体1の脈波を算出する演算装置33とを備える。
この場合、人体1が表層側電極11及び第二表層側電極15に対して電気的に接続している状態において、計測器32が計測する電位は、人体1の静電容量Ch,ΔChなどを含む計測対象静電容量に応じた電位となる。そこで、演算装置33は、人体1が電気的に接続している状態において、計測器32が計測する電位に基づいて、確実に人体1の脈波を算出することができる。
1:人体、 2,3:人体の表面、 4:被接触部材、 10:計測ユニット、 11:表層側電極、 12:深層側電極、 13:誘電層、 14:グランド電極、 21:電源、 22:ブリッジ用キャパシタ、 23,23a,23b:並列キャパシタ、 31:コントローラ、 32:計測器、 33:演算装置、 100,200,300,400,500:静電容量型脈波計測装置、 SW10:充放電用スイッチング素子、 SW11:第一入力用スイッチング素子、 SW12:第二入力用スイッチング素子、 Vin:入力電圧、 Vo:出力電圧、 ΔCh:動脈に伴う静電容量
Claims (7)
- 人体の表面との間に絶縁性の被接触部材を挟んで前記人体に電気的に接続する表層側電極と、
前記表層側電極から前記被接触部材とは反対側に離れて配置される深層側電極と、
前記表層側電極と前記深層側電極との間に介在する誘電層と、
前記表層側電極から前記被接触部材の面方向に離れて配置され、前記人体の表面との間に前記被接触部材を挟んで前記人体に電気的に接続し、且つ、グランド電位に接続されるグランド電極と、
前記表層側電極とグランド電位との間に接続されるブリッジ用キャパシタと、
前記深層側電極に入力電圧を印加可能な電源と、
前記人体の動脈が前記表層側電極と前記グランド電極との配置方向に向かって流通する状態において、前記電源により前記入力電圧を前記深層側電極に印加する場合に、前記表層側電極と前記グランド電極との間の静電容量を含む計測対象静電容量に応じた前記表層側電極の電位を計測する計測器と、
前記計測器による計測信号に基づいて前記人体の脈波を算出する演算装置と、
を備える、静電容量型脈波計測装置。 - 前記演算装置は、前記計測器により増幅された計測信号から所定の周波数帯域の信号を抽出して、前記脈波を算出する、請求項1に記載の静電容量型脈波計測装置。
- 前記静電容量型脈波計測装置は、
前記深層側電極を前記電源に接続する状態とグランド電位に接続する状態とを切り替える第一入力用スイッチング素子と、
前記表層側電極とグランド電位との間に配置され、前記表層側電極をグランド電位に接続する状態と遮断する状態とを切り替える充放電用スイッチング素子と、
前記第一入力用スイッチング素子及び前記充放電用スイッチング素子を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記表層側電極及び深層側電極がグランド電位に接続されることで前記表層側電極の電荷を放電し、
放電の後に、前記充放電用スイッチング素子を開状態にし且つ前記深層側電極に前記入力電圧が印加される状態にすることで、前記表層側電極と前記深層側電極との間に充電し、
前記計測器は、充電された状態で、前記計測対象静電容量に応じた前記表層側電極の電位を計測する、請求項1又は2に記載の静電容量型脈波計測装置。 - 前記表層側電極と前記深層側電極との間の静電容量は、固定値に設定される、請求項3に記載の静電容量型脈波計測装置。
- 前記静電容量型脈波計測装置は、
一端側を前記電源に接続可能であり、他端側を前記表層側電極に接続される並列キャパシタと、
前記深層側電極を前記電源に接続する状態とグランド電位に接続する状態とを切り替える第一入力用スイッチング素子と、
前記並列キャパシタの一端側を前記電源に接続する状態とグランド電位に接続する状態とを切り替える第二入力用スイッチング素子と、
前記表層側電極とグランド電位との間に配置され、前記表層側電極をグランド電位に接続する状態と遮断する状態とを切り替える充放電用スイッチング素子と、
前記第一入力用スイッチング素子、前記第二入力用スイッチング素子及び前記充放電用スイッチング素子を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記表層側電極及び前記深層側電極がグランド電位に接続されることで前記表層側電極の電荷を放電する第一状態とし、
前記第一状態の後に、前記充放電用スイッチング素子を開状態にし且つ前記並列キャパシタの一端側のみに前記入力電圧が印加される状態にして、前記並列キャパシタの他端側の電位を計測する第二状態とし、
前記第二状態の後に、前記深層側電極及び前記並列キャパシタの一端側に前記入力電圧が印加される状態にすることで、前記表層側電極の電位を計測する第三状態とし、
前記第三状態の後に、前記深層側電極の一端側のみに前記入力電圧が印加される状態にすることで、前記表層側電極の電位を計測する第四状態とし、
前記演算装置は、前記第四状態における前記計測器による計測信号に基づいて、前記脈波を算出する、請求項1又は2に記載の静電容量型脈波計測装置。 - 前記表層側電極と前記深層側電極との間の静電容量は、可変し、
前記並列キャパシタは、静電容量の異なる複数の並列キャパシタであり、
前記複数の並列キャパシタの少なくとも一つが、一端側を前記電源に接続され、他端側を前記表層側電極に接続され、
前記演算装置は、前記電源を前記複数の並列キャパシタの中から少なくとも一つを選択した場合に、前記第四状態における前記計測器による計測信号に基づいて、前記脈波を算出する、請求項5に記載の静電容量型脈波計測装置。 - 人体の表面との間に絶縁性の被接触部材を挟んで前記人体に電気的に接続する表層側電極と、
前記表層側電極から前記被接触部材の面方向に離れて配置され、前記人体の表面との間に前記被接触部材を挟んで前記人体に電気的に接続する第二表層側電極と、
前記表層側電極とグランド電位との間に接続されるブリッジ用キャパシタと、
前記第二表層側電極に入力電圧を印加可能な電源と、
前記人体の動脈が前記表層側電極と前記第二表層側電極との配置方向に向かって流通する状態において、前記電源により前記入力電圧を前記第二表層側電極に印加する場合に、前記表層側電極と前記第二表層側電極との間の静電容量を含む計測対象静電容量に応じた前記表層側電極の電位を計測する計測器と、
前記計測器による計測信号に基づいて前記人体の脈波を算出する演算装置と、
を備える、静電容量型脈波計測装置。
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