JPWO2016148153A1 - 吸水性樹脂および吸水剤 - Google Patents

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Abstract

良好な吸水特性を有する吸水性樹脂そして吸水剤の生産において、生産性を向上させるための新たな手法を見いだすことを課題とする。本発明は水溶性エチレン性不飽和モノマーを水溶性重合開始剤の存在下で重合させて得られる吸水性樹脂であって、下記(A)〜(C)全てを満たす、吸水性樹脂に関する。(A)純水吸水能が500g/g以上(B)純水膨潤ゲル流動性が25g/5分以上(C)廃水中の溶解ポリマー量が400ppm未満

Description

本発明は、吸水性樹脂および吸水剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、良好な吸水特性を有し、かつ生産性に優れた吸水性樹脂および吸水剤に関する。
吸水性樹脂および吸水剤は、近年、紙おむつまたは生理用品などの衛生用品、保水剤または土壌改良剤などの農園芸材料、止水剤または結露防止剤などの工業資材など、様々な分野において広く使用されており、また使用用途も拡大しつつある。さらに、例えば衛生用品の分野においては、吸水剤を含む吸収性物品の薄型化などの要請に伴い、パルプ材の含有量が減少し、一方で吸水特性に優れる吸水剤の含有量が増加する傾向がある。そのため、吸水特性の向上のみならず、吸水性樹脂および吸水剤の量的な需要も増大しており、その生産性の向上も求められている。
特開2010−53296号公報(特許文献1)には、単量体水溶液を重合する工程(1)、前記工程(1)により得られた含水ゲル重合体を乾燥する工程(2)、前記工程(2)により得られた乾燥物を粉砕して、または、粉砕および分級して粒度を制御する工程(3)、および、前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末に表面架橋を行う工程(5)を順次含む吸水性樹脂の製造方法であって、前記表面架橋を行う工程(5)の前に、前記工程(3)により粒度制御された吸水性樹脂粉末に第2の加熱乾燥を行う工程(4)を含むことを特徴とする吸水性樹脂の製造方法、が記載されている。この方法によって、物性に優れた粒子状吸水性樹脂を、低コストで高い生産性を確保しながら効率的に得ることができると記載されている。
また、特開2015−14002号公報(特許文献2)には、粒子状吸水性樹脂に、表面架橋剤および水を混合機中で添加する工程において、予め粒子状吸水性樹脂の温度を30〜150℃とし、撹拌羽根の回転数、撹拌羽根の回転軸の方向、および、混合槽について特定された連続混合装置を使用する、吸水性樹脂の製造方法について記載されている。この方法によって、表面架橋された吸水性樹脂を、低コストで高い生産性を確保しながら効率的に得ることができると記載されている。
特開2010−53296号公報 特開2015−14002号公報
上記特許文献に記載されるように、吸水性樹脂および吸水剤の生産性を向上させるための様々な試みがなされているが、未だに改良の余地がある。本発明の課題は、良好な吸水特性を有し、かつ多角的な観点から生産性も向上した吸水性樹脂そして吸水剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、後架橋して吸水剤とする前の工程の生成物である、吸水性樹脂の特定の物性値が、吸水性樹脂そして吸水剤の生産性に大きく関与することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記態様を提供する。
[1]
水溶性エチレン性不飽和モノマーを水溶性重合開始剤の存在下で重合させて得られる吸水性樹脂であって、下記(A)〜(C)全てを満たす、吸水性樹脂。
(A)純水吸水能が500g/g以上
(B)純水膨潤ゲル流動性が25g/5分以上
(C)廃水中の溶解ポリマー量が400ppm未満
[2]
上記水溶性重合開始剤が、アゾ系化合物および過酸化物を含む、吸水性樹脂。
[3]
上記水溶性エチレン性不飽和モノマーの重合が、逆相懸濁重合である、吸水性樹脂。
[4]
上記アゾ系化合物が、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、および2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、吸水性樹脂。
[5]
上記過酸化物が、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、および過酸化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種である、吸水性樹脂。
[6]
上記吸水性樹脂を、後架橋剤を用いて後架橋することによって得られる、吸水剤。
[7]
水溶性重合開始剤が、アゾ系化合物および過酸化物を含み、各重合工程におけるアゾ系化合物および過酸化物の合計量が水溶性エチレン性不飽和モノマー100モルに対して0.015〜0.075モルである、水溶性エチレン性不飽和モノマーを水溶性重合開始剤の存在下で重合させて得られる吸水性樹脂の製造方法。
[8]
上記水溶性エチレン性不飽和モノマーの重合が、逆相懸濁重合である、吸水性樹脂の製造方法。
[9]
上記アゾ系化合物が、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、および2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、吸水性樹脂の製造方法。
[10]
上記過酸化物が、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、および過酸化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種である、吸水性樹脂の製造方法。
[11]
上記の製法で得られる吸水性樹脂を、後架橋剤を用いて後架橋することによって得られる吸水剤の製造方法。
なお、本明細書において、「吸水性樹脂」とは、水溶性エチレン性不飽和モノマーを重合して得られた樹脂であって、いわゆる後架橋前の段階のものを意味する。また「吸水剤」とは、上記吸水性樹脂を、後架橋剤を用いて後架橋して得られる、後架橋反応物である、製品を意味する。
本発明の吸水性樹脂は、純水吸水能、純水膨潤ゲル流動性および廃水中の溶解ポリマーの量が特定範囲であることを特徴とする。本発明の吸水性樹脂は、このような特定の物性値を満たすことによって、高い生産性が確保されうるものである。本発明の吸水性樹脂を用いることによって、良好な吸水特性を有する吸水剤を、高い生産性にて製造することができる。
吸水性樹脂の純水膨潤ゲル流動性を測定するための装置の概略構成を示す模式図である。
まず、本発明に至った経緯を説明する。本発明者らは、吸水剤の生産性を向上させるための検討を行う際に、後架橋前の吸水性樹脂を得るための各工程における、反応器および乾燥機等の製造装置の内壁への付着に着目した。吸水性樹脂が製造装置の内壁に付着しそして蓄積することによって、各工程における撹拌効率および/または熱伝達効率等が低下し、エネルギーロスの観点から、生産性が劣ることとなる。さらに、製造装置の内壁への吸水性樹脂の付着により、得られる吸水性樹脂および吸水剤の吸水特性のばらつきを生じるおそれもある。
加えて、繰り返しの製造によって蓄積した、製造装置の内壁に付着した吸水性樹脂を取り除くためには、定期的に水等の液状物を用いて洗浄し、除去する必要がある。ここで、内壁に付着した吸水性樹脂の除去が困難であると、洗浄に用いられる液状物(洗浄液)の必要量および洗浄時間が増加することとなり、装置稼働時間の減少の観点から、生産性に悪影響が生じる。従って、内壁に付着した吸水性樹脂が内壁から取れ易く、洗浄が容易であれば、用いられる洗浄液の量が低減されるとともに、洗浄時間も短縮され、結果として生産性が向上する。さらに、洗浄によって生じる廃水も少なくなり、環境負荷も低減されるという効果も有する。
一方、内壁に付着した吸水性樹脂を洗浄した後に生じる廃水は、通常、配管を通じて廃水の処理槽に移送される。ここで吸水性樹脂は、その吸水性によって、膨潤してゲル状となる。この膨潤したゲル状の吸水性樹脂を含む廃水は、流動性が低い場合がある。ゲルを含む廃水の流動性が低い場合、たとえ少量の洗浄液で内壁への付着が取れたとしても、移送のための流動性を確保するために、廃水を希釈する必要が生じる。廃水の希釈は、結果的に、廃水の量を増加させてしまい、処理コストおよび環境負荷を増大させる。そのため、吸水性樹脂を含む廃水の流動性の高さも、処理コスト等の観点から、生産性に影響を及ぼす。
また、吸水性樹脂の付着の洗浄に用いられた廃水は、通常、膨潤ゲル等の固形物を凝集させるなどして、固形物と液状物とに分別して処理される。ここで、分離された液状物が、吸水性樹脂の原料または副生成物等に由来する溶解ポリマーを多く含む場合は、廃水処理として、これらの溶解ポリマーに対して、生物学処理または化学処理を行う必要がある。そして廃水に溶解ポリマーが多く含まれる場合は、廃水処理における負荷が増大するので、その処理コストおよび処理時間の観点から、結果的に吸水性樹脂の生産性に悪影響を及ぼす。そのため、吸水性樹脂の廃水中の溶解ポリマーを少なくすることも、処理コスト等の観点から、生産性に影響を及ぼす。
本発明者らは、良好な吸水特性を有する吸水性樹脂の生産性を向上させることを目的として、上記知見に基づき検討を行った。ここで、特定の物性値を満たす吸水性樹脂が、前記課題の解決手段をすべて兼ね備えるものであることを見出し、本願発明を完成するに至った。以下、本発明の吸水性樹脂、および吸水剤について説明する。
吸水性樹脂
本発明の吸水性樹脂は、水溶性エチレン性不飽和モノマーを水溶性重合開始剤の存在下で重合させて得られる吸水性樹脂である。そしてこの吸水性樹脂は、下記(A)〜(C)全てを満たすことを特徴とする。
(A)純水吸水能が500g/g以上
(B)純水膨潤ゲル流動性が25g/5分以上
(C)廃水中の溶解ポリマー量が400ppm未満
なお、吸水性樹脂の、純水吸水能、純水膨潤ゲル流動性、廃水中の溶解ポリマー量は、後述の測定方法により測定した値である。
本発明の吸水性樹脂において、純水吸水能は、500g/g以上である。この純水吸水能は、吸水性樹脂の生産性の向上の観点から、500〜1200g/gであるのが好ましく、550〜1100g/gであるのがより好ましく、600〜1100g/gであるのがさらに好ましい。純水吸水能が500g/g未満である場合は、得られる吸水性樹脂および吸水剤の吸水特性が十分満足されないおそれがある。
本発明の吸水性樹脂において、純水膨潤ゲル流動性は、25g/5分以上である。この純水膨潤ゲル流動性は、28g/5分以上であるのが好ましく、30〜50g/5分であるのがより好ましい。純水膨潤ゲル流動性が25g/5分以上であることによって、膨潤したゲル状の吸水性樹脂を含む廃水の流動性が高くなり、吸水性樹脂の高い生産性が確保される。
本発明の吸水性樹脂において、廃水中の溶解ポリマー量は、400ppm未満である。この溶解ポリマー量は、380ppm未満であるのが好ましく、360ppm未満であるのがより好ましく、1〜340ppmであるのがさらに好ましい。廃水中の溶解ポリマー量が400ppm未満であることによって、吸水性樹脂の製造において生じる廃水処理が容易となり、結果的に生産性が向上する利点がある。
また、本発明の吸水性樹脂においては、純水吸水能が500g/g以上であり、かつ、純水膨潤ゲル流動性が25g/5分以上であることによって、製造装置の内壁に吸水性樹脂が付着しても、洗浄液を用いた洗浄によって容易に取り除くことができることとなる。
本発明の吸水性樹脂は、水溶性エチレン性不飽和モノマーの重合反応を行って調製する際において、製造装置の内壁に吸水性樹脂が付着しても、洗浄液を用いた洗浄によって容易に取り除くことができるという特長を有する。これにより、洗浄に用いられる洗浄液、洗浄に要する洗浄時間および洗浄によって生じる廃水の量が低減され、その結果、吸水性樹脂の生産性の向上に貢献するという利点を有する。
製造装置の内壁の洗浄に用いる洗浄液として、廃液処理の容易性の観点から、水を用いるのが好ましく、例えば、工業用水、水道水、浄水等を用いることができる。ここで、製造装置の洗浄は、前記吸水性樹脂の製造量1〜1000tごとに実施するのが好ましい。このような範囲で洗浄を実施することによって、吸水性樹脂そして吸水剤の吸水特性のばらつきを防ぐことができるという利点がある。
上記吸水性樹脂は、例えば、水溶性エチレン性不飽和モノマーを、水溶性重合開始剤の存在下で重合させることによって製造することができる。ここで、上記水溶性重合開始剤は、アゾ系化合物および過酸化物を含むのが好ましい。
各重合反応において、水溶性重合開始剤の使用量としては、水溶性エチレン性不飽和モノマー100モルに対して0.015モル以上であることが好ましい。また、水溶性エチレン性不飽和モノマー100モルに対して0.075モル以下であることが好ましく、0.05モル以下であることがより好ましい。
上記製造方法において好ましい態様である、水溶性重合開始剤としてアゾ系化合物および過酸化物を用いる態様に関して、重合反応開始時点において、アゾ系化合物と過酸化物とが必ずしも共存している必要はない。例えば、一方の化合物のラジカル開裂によるモノマー転化率が10%未満であるうちに、もう一方の化合物を存在させる状態であってもよい。水溶性重合開始剤として、重合反応の開始前に、アゾ系化合物および過酸化物の両方が、単量体を含む水溶液中に共存していることがより好ましい。これらのアゾ系化合物および過酸化物は、それぞれ別々の流路で重合反応系に添加されてもよいし、同流路で順次重合反応系に添加されてもよい。なお、用いられるアゾ系化合物および過酸化物の形態は、粉体であってもよいし、水溶液であってもよい。
上記アゾ系化合物としては、例えば、1−{(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ}ホルムアミド、2,2’−アゾビス[2−(N−フェニルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)二塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノバレイン酸、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]などの化合物が挙げられる。
アゾ系化合物として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物がより好ましく用いられる。これらのアゾ系化合物を用いることによって、重合温度などの重合反応を良好に調整することができ、これにより、得られる吸水性樹脂の純水吸水能を高い範囲に設計することができる利点がある。なお、上記アゾ系化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、および過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩類;過酸化水素、などが挙げられる。これらの中では、入手が容易で取り扱いやすいという観点から、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムが好ましい。
重合に用いられる上記アゾ系化合物および過酸化物のモル比として、アゾ系化合物:過酸化物=0.95:0.05〜0.55:0.45であるのが好ましく、0.93:0.07〜0.6:0.4であるのがより好ましく、0.9:0.1〜0.6:0.4であるのがさらに好ましい。アゾ系化合物および過酸化物のモル比が上記範囲内であることによって、廃水中の溶解ポリマー量を低減することができ、さらに、高い純水吸水能を実現することができる。
重合の反応温度は、重合を迅速に進行させ、重合時間を短くすることにより生産性を高めるとともに、重合熱をより容易に除去して円滑に反応を行う観点から、20〜120℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。また、反応時間は、0.1時間〜4時間が好ましい。
水溶性エチレン性不飽和モノマーの上記重合は、内部架橋剤の存在下で行うのが好ましい。重合方法としては、エチレン性不飽和単量体の水溶液を重合させて、含水ゲル状物を得たのち、粉砕、乾燥する水溶液重合;エチレン性不飽和単量体の水溶液を、分散媒中に分散して懸濁重合させて、含水ゲル状物を得たのち、乾燥する逆相懸濁重合等があり、逆相懸濁重合であるのがより好ましい。また逆相懸濁重合時には、分散安定剤を用いるのが好ましい。
本発明において好ましく用いられる逆相懸濁重合は、1段で行ってもよく、または、2段以上の多段で行ってもよい。なお、上記第1段目の重合とは、単段重合の工程および2段以上の多段重合における1段目重合の工程を意味する。2段以上の多段重合では、1段目の逆相懸濁重合で得られた吸水性樹脂を凝集させることで、吸水性樹脂の粒子径を大きくすることができるため、例えば、紙おむつなどの吸収性物品に好適とされる適度な粒子径を得ることが、より容易となる。
2段以上の逆相懸濁重合を行う場合には、1段目の逆相懸濁重合を行った後、1段目の重合反応で得られた反応混合物に水溶性エチレン性不飽和モノマーを添加し混合して、1段目と同様の方法で2段目以降の逆相懸濁重合を行えばよい。2段目以降の各段における逆相懸濁重合では、水溶性エチレン性不飽和モノマーの他に、アゾ系化合物、過酸化物および内部架橋剤を、2段目以降の各段における逆相懸濁重合の際に添加する水溶性エチレン性不飽和モノマーの量を基準として、前述した水溶性エチレン性不飽和モノマーに対する各成分の質量比の範囲内で添加して、同様の条件で逆相懸濁重合を行うことが好ましい。
本発明で用いる水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸およびその塩;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の非イオン性モノマー;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和モノマーおよびその4級化物等が挙げられる。これらの水溶性エチレン性不飽和モノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、工業的に入手が容易である点から、(メタ)アクリル酸およびその塩、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドが好ましく、(メタ)アクリル酸およびその塩がより好ましい。
これらの中でも、アクリル酸及びその塩が吸水性樹脂の原材料として広く用いられており、これらアクリル酸及びその塩に、前述の他の水溶性エチレン性不飽和モノマーを共重合させて用いる場合もある。この場合、アクリル酸及びその塩が、主となる水溶性エチレン性不飽和モノマーとして、総水溶性エチレン性不飽和モノマーに対して70〜100モル%用いられることが好ましい。
また、2段以上の多段で重合を行う際、2段目以降に用いる水溶性エチレン性不飽和モノマーは、1段目に用いる水溶性エチレン性不飽和モノマーと同種であっても、異種であってもよい。
なお、上述の水溶性エチレン性不飽和モノマーは、逆相懸濁重合を行う際に、分散媒中での分散効率を上昇させるために水溶液にして用いてもよい。水溶液とすることにより、分散媒中での分散効率を上昇させることができる。この水溶液における水溶性エチレン性不飽和モノマーの濃度としては、20質量%〜飽和濃度以下の範囲であることが好ましい。また、アゾ系化合物の存在下における重合は、重合速度が速まる傾向にあるため、過度な蓄熱を回避しつつ、本発明に係る吸水性樹脂の性能が得やすくなるという観点から、モノマーの濃度としては、55質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましく、45質量%以下であることがよりさらに好ましい。一方、生産性を良好なレベルに保つべく、モノマーの濃度としては25質量%以上であることがより好ましく、28質量%以上であることがさらに好ましく、30質量%以上であることがよりさらに好ましい。
水溶性エチレン性不飽和モノマーが(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のように酸基を有する場合、必要に応じてその酸基が予めアルカリ性中和剤により中和されたものを用いてもよい。このようなアルカリ性中和剤としては、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニア等が挙げられる。特にこれらのアルカリ性中和剤は、中和操作を簡便にするために水溶液の状態にして用いてもよい。上述のアルカリ性中和剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ性中和剤による水溶性エチレン性不飽和モノマーの中和度については、得られる吸水性樹脂の浸透圧を高めることで吸水性能を高め、かつ余剰のアルカリ性中和剤の存在に起因する安全性等に問題が生じないようにする観点から、水溶性エチレン性不飽和モノマーが有する全ての酸基に対する中和度とし、通常、10〜100モル%であることが好ましく、30〜90モル%であることがより好ましく、40〜85モル%であることがさらに好ましく、50〜80モル%であることがよりさらに好ましい。
また、吸水性樹脂の吸水特性を制御するために、連鎖移動剤を添加してもよい。このような連鎖移動剤としては、次亜リン酸塩類、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、アミン類などを例示することができる。
水溶性エチレン性不飽和モノマーの逆相懸濁重合において好ましく用いられる分散媒として、例えば、炭化水素分散媒が挙げられる。炭化水素分散媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、n−オクタン等の炭素数6〜8の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans−1,2−ジメチルシクロペンタン、cis−1,3−ジメチルシクロペンタン、trans−1,3−ジメチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの炭化水素分散媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの炭化水素分散媒のなかでも、工業的に入手が容易であり、品質が安定しており、かつ安価である点で、n−ヘキサン、n−ヘプタンおよびシクロヘキサンが好ましい。さらに、上記炭化水素分散媒の混合物の例としては、市販されているエクソールヘプタン(エクソンモービル社製:ヘプタンおよびその異性体の炭化水素75〜85質量%含有)等を用いても好適な結果が得られる。
分散媒の使用量は、重合熱を除去し、重合温度を制御しやすい観点から、第1段目の重合に用いられる水溶性エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、好ましくは100〜1500質量部であり、より好ましくは200〜1400質量部である。
水溶性エチレン性不飽和モノマーの逆相懸濁重合において好ましく用いられる分散安定剤として、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤として、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、N−アルキルグルコンアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等を用いることができる。なかでも、水溶性エチレン性不飽和モノマーの分散安定性の面から、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。これらの界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の使用量は、分散媒中における、水溶性エチレン性不飽和モノマーの分散状態を良好に保ち、かつ使用量に見合う分散効果を得る観点から、第1段目の水溶性エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.3〜20質量部とされる。
また分散安定剤として、界面活性剤とともに高分子系分散剤を併用してもよい。使用できる高分子系分散剤としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。なかでも、モノマーの分散安定性の面から、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体が好ましい。これらの高分子系分散剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
高分子系分散剤の使用量は、分散媒中における、水溶性エチレン性不飽和モノマーの分散状態を良好に保ち、かつ使用量に見合う分散効果を得る観点から、第1段目の水溶性エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.3〜20質量部とされる。
内部架橋剤としては、例えば、(ポリ)エチレングリコール〔「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合を意味する。以下同じ〕、(ポリ)プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、(ポリ)グリセリン等のジオール、トリオール等のポリオール類と(メタ)アクリル酸(本明細書においては「アクリ」および「メタクリ」を合わせて「(メタ)アクリ」と表記する。以下同様)、マレイン酸、フマル酸等の不飽和酸とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N’,N’’−トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を2個以上有する化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等のジグリシジル化合物、トリグリシジル化合物等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリン化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物等の反応性官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。これらの中では、低温での反応性に優れている観点から、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミドが好ましい。これらの内部架橋剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合に用いられる水溶性エチレン性不飽和モノマー100モルに対する、内部架橋剤の使用量は、0.00001〜1モルとすることが好ましく、0.0001〜0.5モルとすることがより好ましく、0.001〜0.013モルがさらに好ましい。
上記製造方法においては、重合終了後に、熱等のエネルギーを外部から加えることにより、水、分散媒(炭化水素分散媒)等を蒸留により除去する乾燥処理を含んでいてもよい。乾燥処理は、常圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよく、乾燥効率を高めるために窒素等の気流下で行ってもよく、これらの方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥処理が常圧の場合の乾燥温度は、好ましくは70〜250℃であり、より好ましくは80〜180℃であり、さらに好ましくは80〜140℃である。また、乾燥処理が減圧下の場合の乾燥温度は、好ましくは40〜160℃であり、より好ましくは50〜120℃である。
また、上記乾燥工程の間もしくは工程後に、必要に応じて適切な粒子の大きさの吸水性樹脂が得られるように粉砕工程を設けても良い。
上記のように吸水性樹脂を製造することによって、適度に細粒化された含水ゲルが得られ、ひいては吸収性物品の調製に好適な、細粒状の吸水性樹脂を容易に得ることができる。
重合で得られた吸水性樹脂に対して、後架橋剤を加えて反応させることによって、後架橋させることができ、これにより吸水剤を得ることができる。吸水剤は後架橋反応物である。吸水性樹脂に後架橋剤を加えて後架橋反応させることにより、荷重下での吸水能等の優れた吸水特性を有する。この後架橋反応は、上記逆相懸濁重合によって得られた吸水性樹脂を、含水ゲル状物の状態で、後架橋剤を用いて後架橋するのが好ましい。乾燥処理によって含水ゲル状物を適度に乾燥したのち、後架橋剤を用いて後架橋してもよい。
後架橋とは、吸水性樹脂の表面近傍部分を架橋し、内部に比べて表面近傍部分の架橋密度を高めることである。後架橋を施した樹脂粒子は、後架橋を施さないものに比べて、吸水時のゲルが硬くなり、ゲルブロッキング(吸水後に、吸水性樹脂粒子間が閉塞する現象)を起こしにくいため、液体の拡散性を良好に維持することができる。よって、後架橋を施した場合、吸水初期の段階における、液体の拡散を制御することができるとともに、吸水開始から一定時間後においては、そのゲルの硬さによって、高い吸水量を確保することができるため、逆戻り量を低減することができる。
後架橋反応に用いられる後架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物等が挙げられる。これらの後架橋剤のなかでも、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物が好適に用いられる。これらの後架橋剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
後架橋剤の使用量は、重合に使用した水溶性エチレン性不飽和モノマー100モルに対して、0.001〜1モルが好ましく、0.005〜0.5モルがより好ましい。
後架橋剤の添加時期は、水溶性エチレン性不飽和モノマーの重合反応がほぼすべて終了した後であればよく、吸水性樹脂を得るために使用した水溶性エチレン性不飽和モノマー100質量部に対し、1〜400質量部の範囲の水分存在下に添加することが好ましく、5〜200質量部の範囲の水分存在下に添加することがより好ましく、10〜100質量部の範囲の水分存在下に添加することがさらに好ましく、20〜60質量部の範囲の水分存在下に添加することがよりさらに好ましい。
後架橋剤の添加方法としては、後架橋剤をそのまま添加する方法、水溶液として添加する方法、溶媒として親水性有機溶媒を用いた溶液として添加する方法などが挙げられる。親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。これらの親水性有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、水との混合溶媒として用いてもよい。
後架橋反応における反応温度は、50〜250℃が好ましく、60〜180℃がより好ましく、70〜150℃がさらに好ましい。また、後架橋反応の反応時間は、1〜300分間が好ましく、5〜200分間がより好ましい。
こうして製造された吸水性樹脂または吸水剤は、諸性能を付与するために、さまざまな目的に応じた添加剤を配合して、吸水性樹脂組成物または吸水剤組成物とすることができる。このような添加剤としては、無機粉末、界面活性剤、酸化剤、還元剤、金属キレート剤、ラジカル連鎖禁止剤、酸化防止剤、抗菌剤、消臭剤等が挙げられる。例えば、吸水剤100質量部に対し、無機粉末として0.05〜5質量部の非晶質シリカを添加することで、流動性を向上させることができる。
上記吸水性樹脂または吸水剤は、吸収性物品に使用される。吸収性物品の代表例としては、紙オムツ、生理用ナプキン、パンティーライナー、失禁パッド、母乳パッド等の衛生材料、ペット用の尿吸収材料等をはじめ、パッキング材等の土木建築用資材、ドリップ吸収剤、保冷剤等の食品鮮度保持用材料、土壌用保水材等の農園芸用物品等が挙げられる。
例えば、衛生材料に用いられる吸収性物品は、水性液体を吸収・保持する吸収体を、水性液体が通過することのできる液体透過性シート(トップシート)と、水性液体が通過することのない液体不透過性シート(バックシート)との間に保持した構造を有している。液体透過性シートは、身体と接触する側に配されており、液体不透過性シートは、身体と接触することのない側に配されている。
液体透過性シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の繊維からなる、エアスルー型、スパンボンド型、ケミカルボンド型、ニードルパンチ型等の不織布および多孔質の合成樹脂シート等が挙げられる。
液体不透過性シートとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂からなる合成樹脂フィルム等が挙げられる。
吸収性物品に使用される吸収体は、本発明で得られた吸水性樹脂と親水性繊維とから構成されている。吸収体の構成としては、例えば、吸水性樹脂と親水性繊維とを均一な組成となるように混合することによって得られた混合分散体、層状の親水性繊維の間に吸水性樹脂が挟まれたサンドイッチ構造体、吸水性樹脂と親水性繊維とをティッシュまたは透水性の不織布等で包んだ構造体等が挙げられる。
吸収体には、他の成分、例えば、吸収体の形態保持性を高めるための熱融着性合成繊維、ホットメルト接着剤、接着性エマルジョン等の接着性バインダーが添加されていてもよい。
親水性繊維としては、例えば、木材から得られる綿状パルプ、メカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維、親水化処理されたポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の合成樹脂からなる繊維等が挙げられる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、各実施例および比較例で得られた吸水性樹脂および吸水剤について、純水吸水能、純水膨潤ゲル流動性および、廃水中の溶解ポリマー量を、以下に示す方法により測定した。
評価に用いる吸水性樹脂および吸水剤は、含水率10%以下とする。含水率が10%を超える場合は、既知の乾燥方法等を用いて、含水率を10%以下に調整したのちに、評価を行った。含水率は、以下に示す方法により測定される。
含水率
吸水性樹脂約2gを、あらかじめ秤量したアルミホイールケース(8号)に精秤した(Wa(g))。上述サンプルを、内温を105℃に設定した熱風乾燥機(ADVANTEC社製)で2時間乾燥させた後、デシケーター中で放冷して、乾燥後の吸水性樹脂の質量Wb(g)を測定した。以下の式から、吸水性樹脂の含水率を算出した。
含水率(%)=[Wa―Wb]/Wa×100
純水吸水能
3L容のビーカーに、イオン交換水1500gを量り取り、マグネチックスターラー(攪拌子:10mmφ×40mmのリング無し)により、600r/minで撹拌させながら、吸水性樹脂0.5gを、ママコが発生しないように分散させた。撹拌させた状態で60分間放置し、吸水性樹脂を十分に膨潤させた。その後、あらかじめ目開き75μm標準篩の質量Wc(g)を測定しておき、これを用いて、前記ビーカーの内容物をろ過し、篩いを水平に対して約30度の傾斜角となるように傾けた状態で、30分間放置することにより余剰の水分をろ別した。吸水ゲルの入った篩いの質量Wd(g)を測定し、以下の式により、純水吸水能を求めた。
純水吸水能(g/g)=[Wd−Wc](g)/吸水性樹脂の質量(g)
廃水中の溶解ポリマー量
3L容のビーカーに、イオン交換水2000gを量り取り、攪拌機に取り付けた2段パドル翼により1000r/minで撹拌させながら、吸水性樹脂2.0gを、ママコが発生しないように分散させ、3時間撹拌した。前記ビーカーの内容物を、目開き75μm標準篩でろ過し、得られたろ液を、あらかじめ恒量化した100mL容のビーカーに50gを量りとり、140℃の熱風乾燥機(ADVANTEC社製、型番:FV−320)で恒量になるまで乾燥させ、ろ液中の固形分の質量We(g)を測定した。
一方、吸水性樹脂を用いずに前記操作と同様に行ない、ろ液中の固形分の質量Wf(g)を測定して、次式より廃水中の溶解ポリマー量を求めた。

廃水中の溶解ポリマー量(ppm)=(We−Wf)/50×1000000
純水膨潤ゲル流動性
純水膨潤ゲル流動性の評価は、図1に示す装置Xを用いて行った。装置Xは、先端が鉛直下向きになるように設置された、ろうと1(材質:SUS304、投入部:直径90mm、高さ70mm、足部:内径8mm、長さ100mm)、ろうと1を固定するためのリング2とクランプ3、ろうと1を通過した膨潤ゲル6を受けるトレイ4、通過した膨潤ゲルの質量を計測するための天秤5から構成されている。なお、ろうと1の投入口先端は、トレイ4の底面から上方150mm±5mmの高さになるように固定されている。
まず、吸水性樹脂を、目開き400μmの篩を通過し、かつ目開き300μmの篩上に保持されるような粒子径のフラクションとして採取した。次いで、3L容のポリ手付きビーカーに、イオン交換水1500gを量り取り、マグネチックスターラー(攪拌子:10mmφ×40mmのリング無し)により、600r/minで撹拌させながら、前記の分級後のサンプル0.5gを、ママコが発生しないように分散させた。撹拌させた状態で60分間放置し、吸水性樹脂を十分に膨潤させた。その後、目開き75μm標準篩を用いて、前記ビーカーの内容物をろ過し、篩いを水平に対して約30度の傾斜角となるように傾けた状態で、30分間放置することにより余剰の水分をろ別した膨潤ゲルを作製した。
ろ別した後の膨潤ゲル6を50g量り取り、ろうと1に投入した。ろうと1の先端(図1のa点)に流動してきた膨潤ゲル6が到達した時点を計測開始として、計測開始から5分後にトレイ4上にある膨潤ゲル6の質量を量り、純水膨潤ゲル流動性(g/5分)とした。
吸水剤の純水吸水能、純水膨潤ゲル流動性、および廃水中の溶解ポリマー量も、吸水性樹脂と同様に、上述の通り測定した。
[実施例1]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、攪拌機として、翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径110mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn−ヘプタン300gをとり、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.74gを添加し、攪拌しつつ加温溶解した後、50℃まで冷却した。
一方、500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液92g(1.02モル)をとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.2gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HEC AW−15F)、アゾ系化合物として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.055g(0.204ミリモル)、過酸化物として過硫酸カリウム0.009g(0.034ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.006g(0.037ミリモル)とイオン交換水48.0gを加えて溶解し、モノマー水溶液を調製した。
そして、前記のように調製したモノマー水溶液をセパラブルフラスコに添加して、10分間攪拌した後、n−ヘプタン6.66gに界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS−370)0.74gを加熱溶解した界面活性剤溶液7.4gをさらに添加して、攪拌しながら系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことで第1段目の反応混合物を得た。
一方、別の500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液143.1gを滴下して75モル%の中和を行った後、アゾ系化合物として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.077g(0.285ミリモル)、過酸化物として過硫酸カリウム0.013g(0.048ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.009g(0.052ミリモル)とイオン交換水12.5gを加えて溶解し、第2段目のモノマー水溶液を調製した。
前記の第1段目の反応混合物を25℃に冷却した後、第2段目のモノマー水溶液の全量を、第1段目の反応混合物に添加して、系内を窒素で十分に置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第2段目の重合を30分間行った。
第2段目の重合後、125℃の油浴で第2段目の反応混合物を昇温し、n−ヘプタンと水との共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら245gの水を系外へ抜き出した後、n−ヘプタンを蒸発させて乾燥した。得られた重合物を目開き1000μmの篩を通過させ、球状粒子が凝集した形態の吸水性樹脂236.8gを得た。この吸水性樹脂を、前述の各種試験方法に従って評価した。
[実施例2]
実施例2では、1段目の重合時に使用する過硫酸カリウムを0.037g(0.136ミリモル)とした。また、2段目の重合時に使用する過硫酸カリウムを0.052g(0.191ミリモル)としたこと以外は、実施例1と同様に行い、吸水性樹脂234.1gを得た。この吸水性樹脂を、前記の各種試験方法に従って評価した。
[実施例3]
実施例3では、1段目の重合時に使用する2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を0.092g(0.339ミリモル)とし、過硫酸カリウムを0.037g(0.136ミリモル)とした。また、2段目の重合時に使用する2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を0.129g(0.475ミリモル)とし、過硫酸カリウムを0.052g(0.191ミリモル)としたこと以外は、実施例1と同様に行い、吸水性樹脂235.2gを得た。この吸水性樹脂を、前記の各種試験方法に従って評価した。
[実施例4]
実施例4では、1段目の重合時に使用する2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を0.110g(0.407ミリモル)、2段目の重合時に使用する2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を0.155g(0.570ミリモル)としたこと以外は、実施例1と同様に行い、吸水性樹脂233.2gを得た。この吸水性樹脂を、前記の各種試験方法に従って評価した。
[実施例5]
実施例5では、実施例3の方法で2段目の重合反応を行った後、120℃の油浴を用いて加熱し、共沸蒸留により、n−ヘプタンをフラスコに還流しながら水260gを系外に除去することによりヘプタンに分散された脱水重合体を得た。得られたヘプタン分散脱水重合体に、後架橋剤として2%エチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液8.2gを添加し、83℃で2時間、後架橋反応を行なった。
その後、120℃の油浴を用いて加熱し、n−ヘプタンと水を蒸留により系外へ除去後、窒素気流下で乾燥し、球状粒子が凝集した形状の、吸水性樹脂を後架橋して得られた吸水剤234gを得た。この吸水剤を、前記の各種試験方法に従って評価した。
[比較例1]
比較例1では、1段目の重合時および2段目の重合時いずれにおいても、過硫酸カリウムを用いなかったこと以外は、実施例4と同様に行い、吸水性樹脂234.6gを得た。この吸水性樹脂を、前記の各種試験方法に従って評価した。
[比較例2]
比較例2では、1段目の重合時および2段目の重合時いずれにおいても、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を用いず、1段目の重合時に使用する過硫酸カリウムを0.110g(0.408ミリモル)、2段目の重合時に使用する過硫酸カリウムを0.155g(0.572ミリモル)としたこと以外は、実施例1と同様に行い、吸水性樹脂234.5gを得た。この吸水性樹脂を、前記の各種試験方法に従って評価した。
[比較例3]
比較例3では、実施例1に対し、重合時に使用する2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の量を減じた吸水性樹脂の作製を行った。具体的には、1段目の重合時に使用する2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を0.028g(0.102ミリモル)、過硫酸カリウムを0.009g(0.034ミリモル)とし、また、2段目の重合時に使用する2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を0.039g(0.143ミリモル)、過硫酸カリウムを0.013g(0.048ミリモル)としたこと以外は、実施例1と同様に行い、吸水性樹脂234.1gを得た。この吸水性樹脂を、前記の各種試験方法に従って評価した。
[比較例4]
比較例4では、重合時に使用するアゾ系化合物と過酸化物を同モル量とした吸水性樹脂の作製を行った。具体的には、1段目の重合時に使用する2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を0.110g(0.407ミリモル)、過硫酸カリウムを0.110g(0.407ミリモル)とした。また、2段目の重合時に使用する2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を0.155g(0.570ミリモル)、過硫酸カリウムを0.154g(0.570ミリモル)としたこと以外は、実施例1と同様に行い、吸水性樹脂234.8gを得た。この吸水性樹脂を、前記の各種試験方法に従って評価した。
[比較例5]
還流冷却器、滴下ロート、窒素ガス導入管、攪拌機として、翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段で有する攪拌翼を備えた内径110mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散媒としてn−ヘプタン300gをとり、高分子系分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.74gを添加し、攪拌しつつ加温溶解した後、50℃まで冷却した。
一方、500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液92g(1.02モル)をとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液102.2gを滴下して75モル%の中和を行った後、増粘剤としてヒドロキシルエチルセルロース0.092g(住友精化株式会社、HEC AW−15F)、過酸化物として過硫酸カリウム0.110g(0.408ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.006g(0.037ミリモル)とイオン交換水48.0gを加えて溶解し、モノマー水溶液を調製した。
そして、前記のように調製したモノマー水溶液をセパラブルフラスコに添加して、10分間攪拌した後、n−ヘプタン6.66gに界面活性剤としてHLB3のショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社、リョートーシュガーエステルS−370)0.74gを加熱溶解した界面活性剤溶液7.4gをさらに添加して、攪拌しながら系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、重合を60分間行うことで第1段目の反応混合物を得た。
一方、別の500mL容の三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液128.8g(1.43モル)をとり、外部より冷却しつつ、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液143.1gを滴下して75モル%の中和を行った後、アゾ系化合物として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.155g(0.570ミリモル)、内部架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル0.009g(0.052ミリモル)とイオン交換水12.5gを加えて溶解し、第2段目のモノマー水溶液を調製した。
前記の第1段目の反応混合物を25℃に冷却した後、第2段目のモノマー水溶液の全量を、第1段目の反応混合物に添加して、系内を窒素で十分に置換した後、再度、フラスコを70℃の水浴に浸漬して昇温し、第2段目の重合を30分間行った。
第2段目の重合後、125℃の油浴で第2段目の反応混合物を昇温し、n−ヘプタンと水との共沸蒸留により、n−ヘプタンを還流しながら245gの水を系外へ抜き出した後、n−ヘプタンを蒸発させて乾燥した。得られた重合物を目開き1000μmの篩を通過させ、球状粒子が凝集した形態の吸水性樹脂233.5gを得た。この吸水性樹脂を、前述の各種試験方法に従って評価した。
[比較例6]
比較例6では、1段目の重合時および2段目の重合時いずれにおいても、過硫酸カリウム及びエチレングリコールジグリシジルエーテルを用いなかったこと以外は、実施例4と同様に行い、吸水性樹脂233.8gを得た。この吸水性樹脂を、前記の各種試験方法に従って評価した。
上記実施例および比較例で得られた吸水性樹脂の試験結果を、下記表1に示す。
Figure 2016148153
実施例1〜4によって得られた吸水性樹脂は、いずれも吸水特性が良好であり、そして、純水吸水能および純水膨潤ゲル流動性が本発明の範囲内であった。そのため、吸水性樹脂の装置の洗浄も容易にできた。また、廃水中の溶解ポリマー量も少なく、洗浄に用いた廃水の処理を容易に行うことができた。
実施例5は、実施例3と同様にして調製した吸水性樹脂を後架橋して得られた吸水剤である。この吸水剤においても、吸水特性が高く、そして廃水中の溶解ポリマー量が少ないことが確認された。
本発明の吸水性樹脂そして吸水剤は、良好な吸水特性を有する上に、生産性に優れるという特長を有する。本発明によって、紙おむつまたは生理用品などの吸収性物品の生産性を向上させることができる。
X 測定装置
1 ろうと
2 カットリング
3 クランプ
4 トレイ
5 天秤
6 膨潤ゲル

Claims (7)

  1. 水溶性エチレン性不飽和モノマーを水溶性重合開始剤の存在下で重合させて得られる吸水性樹脂であって、下記(A)〜(C)全てを満たす、吸水性樹脂。
    (A)純水吸水能が500g/g以上
    (B)純水膨潤ゲル流動性が25g/5分以上
    (C)廃水中の溶解ポリマー量が400ppm未満
  2. 請求項1に記載の吸水性樹脂を、後架橋剤を用いて後架橋することによって得られる、吸水剤。
  3. 水溶性エチレン性不飽和モノマーを水溶性重合開始剤の存在下で重合させることを含み、水溶性重合開始剤がアゾ系化合物および過酸化物を含み、各重合工程におけるアゾ系化合物および過酸化物の合計量が水溶性エチレン性不飽和モノマー100モルに対して0.015〜0.075モルである、吸水性樹脂の製造方法。
  4. 前記水溶性エチレン性不飽和モノマーの重合が、逆相懸濁重合である、請求項3に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  5. 前記アゾ系化合物が、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、および2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3または4に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  6. 前記過酸化物が、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、および過酸化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3〜5いずれかに記載の吸水性樹脂の製造方法。
  7. 請求項3〜6いずれかの製法で得られる吸水性樹脂に対して、後架橋剤を加えて反応させることによって後架橋して、後架橋反応物を得ることを含む、吸水剤の製造方法。
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