JPWO2016143808A1 - スフェロイドの作製方法及び該方法に用いる培地 - Google Patents

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Abstract

本発明は、簡易な方法で、良質なスフェロイドを大量に作製できる方法を提供することを目的とする。本発明はまた、成長因子や接着因子、または細胞間マトリックス、あるいは特殊な培養システムを用いることなく、容易にスフェロイドを作製できる方法を提供することを目的とする。本発明により、グルコース含有培地であってグルコースが実質的にL−グルコースから構成される培地を用いて細胞を培養することを特徴とするスフェロイドの作製方法が提供された。また、成長因子、接着因子、および細胞間マトリックスを添加しない培地にて、立体的な支持体を用いない培養系でスフェロイドを作製する方法が提供された。

Description

本発明は、スフェロイド(機能細胞集合体)を作製するのに適した培養方法に関する。本発明はまた、該培養方法に適した培地に関する。
市販の培養ディッシュやマルチウェルプレート等の一般的培養容器を使用して、細胞を二次元的に単層で培養すると、細胞の生体内での機能のいくつかは十分発現しない場合がある。これに対して、細胞を3次元的に増殖させ、球形や卵形等の立体的形態をとらせるスフェロイド培養法は、栄養素や酸素、あるいは二酸化炭素等の代謝産物や老廃物の生理学的勾配がスフェロイド内に生じていると考えられ、より生体内環境に存在する細胞に近い細胞状態を出現させることができ、薬効評価等の創薬スクリーニングや腫瘍評価、細胞産生物の生産等の機能発現に有効な方法として急速に使用が広がっている。
スフェロイドを形成させる方法として、これまでハンギングドロップ培養法(非特許文献1)やゲル中での培養(非特許文献2)、低接着性容器を用いた培養(非特許文献3)、ナノインプリンティング精密加工技術により足場(scaffold)を作製した特殊ディッシュを利用する培養(非特許文献4)、成長因子やマトリゲルの添加(非特許文献5)等、様々な方法が提案されてきた。
しかしこれらの方法は、再現性が低かったり、特殊な装置や高価な容器を必要とする、あるいは、容器の形状によりそのままでは細胞観察に支障をきたす場合や、成長因子や接着因子、成分が明らかにされていない培地等の添加が必要であるなどの問題がある。
具体的な培養法として以下のようなものが提案されている。
ハンギングドロップ培養法は、表面張力を利用した培養液の液滴の中に細胞懸濁液をスポットして培養する方法である(非特許文献1)。この方法により、大きさが均一なスフェロイドが形成されるが、培地交換ができないため、長期培養が困難となる問題があり、また大量のスフェロイド生成に向かない、という問題がある。
低接着性ディッシュを用いたスフェロイド培養は、細胞がディッシュ表面に接着することを防ぐことによりスフェロイドを形成させる培養方法であるが、いったん形成されたスフェロイド同士が次第に融合しやすく、安定性に問題がある(非特許文献6)。
U−Shapeディッシュ等の使用による培養法は、スフェロイド同士の融合を回避し、シングルスフェロイドの形成を可能にすることができる。そして、U底やV底の特殊容器を用いる方法が考案され、市販されている。この方法は、サイズの均一なスフェロイドが形成されるが、細胞間が疎になりがちで、形も球形または楕円形にならずお椀型になりやすい欠点がある。緻密なスフェロイドとするためには、培地に成長因子等の添加を行うが、なおスフェロイドとしての性質は不十分となりがちである。
回転培養によるスフェロイド培養法では、回転培養に特殊な装置を必要とする上、スフェロイドのサイズや形状が不均一で、スフェロイド実験の再現性に影響を及ぼす(非特許文献1)。
微細な特殊加工を施した特殊容器によるスフェロイド培養法として、ディッシュ底面に、狭い面積の細胞接着表面と広い面積の細胞非接着表面とを並べることで、細胞のディッシュ底面への接着を不安定にすることによりスフェロイド形成を起こす方法や、ディッシュ底面にナノサイズの格子状構造を微細加工して細胞接着を抑制することによりスフェロイドを形成させる方法等が提案され、市販されている。これらの方法を用いれば、均一な形状を有するスフェロイドが形成される。しかし、特殊加工を施したディッシュが極めて高価である上、マトリゲルや推奨されている成分未公開の特殊添加物等を加えても、なお生体内での状態を模した緻密なスフェロイドの形成は不十分となりがちである。更にまた顕微鏡観察においては、これらの特殊ディッシュ底面の加工が邪魔になる場合があるなどの短所がある(非特許文献4)。
生体内で異常細胞が増殖して、がん細胞に至る過程や、未分化の細胞が分化していく過程などでは、互いに近接した細胞であっても形態や機能が一様でない状態が知られている。従来のスフェロイドの作製方法を用いても、直径およそ100μm以上のスフェロイドでは、周辺部に増殖する細胞、中心部に壊死細胞を呈する典型的なスフェロイド様細胞集塊は形成される。しかしながら、上記したような生体内での状態を模した細胞間が緻密なスフェロイドを、多量に、再現性よく、安定にin vitroで形成させることは困難であった。
従来のスフェロイド培養法では、培養日数の経過と共にスフェロイドが急速に崩れるため、良質なスフェロイドを使用できるタイミングが非常に短かく、使いにくいという欠点があった。また、スフェロイドが崩れない培養方法の場合には、細胞間が疎となっており、良質なスフェロイドが形成されにくかった。
スフェロイドの作製・培養法においては、細胞集塊が3次元構造を形成することにより、より生体内に近い状態を出現させ、細胞の特異的な機能を発揮できると考えられている。また、薬効評価等の創薬スクリーニングや腫瘍評価、細胞産生物の生産等の機能発現の評価等においては、生体内での細胞と類似の特異的機能を発揮する細胞からなる細胞集塊が安定に作製されることが望ましい。その際、できるだけ簡易な方法で、良質なスフェロイドを大量に作製することが望まれている。
これまでに発明者らは、自然界にないL−グルコースを蛍光で標識した誘導体2−NBDLG(2−[N−(7−nitrobenz−2−oxa−1,3−diazol−4−yl)amino]−2−deoxy−L−glucose;特許文献1)を、ヒトから摘出した生きたがん組織やがん細胞に適用すると、がん細胞が選択的に2−NBDLGを取り込んで蛍光を発し、非がん細胞と識別可能であることを見出した(特願2014−015735、および特願2014−193424)。
また発明者らは、培養がん細胞を用いた場合は、大小不同の異常核様態を呈する細胞群を含むスフェロイド中に2−NBDLGを取り込む細胞を認めることを報告している(特許文献2)。すなわち、生体由来の細胞と同様に、培養がん細胞においてもスフェロイドを形成させた場合は2−NBDLGを取り込むことを報告している。しかし、このようなスフェロイドを再現性よく多量に形成させることは従来法ではマトリゲル等の添加によってもなお困難であった。
WO2010/016587号公報 WO2012/133688号公報
J. Friedrich, et. al., Int. J. Radiat. Biol. 83: 849-871, 2007 Martin C., et al., Br. J. Cancer 89: 1581-1589, 2003 Kamoshima Y. et al., J. Med. Sci. 83: 23-27. 2008 Yoshii Y. Biomaterials 32: 6052-6058, 2011 Addla SK., et al., Am. J. Physiol. Ren. Physiol. 295: F680-687, 2008 R.Z. Lin, et. al., Biotechnol. J. 3: 1172-1184, 2008
本発明は、簡易な方法で、良質なスフェロイドを大量に作製できる方法を提供することを目的とする。
本発明は加えて、インビトロにおいてスフェロイドを評価等の目的に用いる場合は、良質なスフェロイドを大量に作製できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、グルコースとして、D−グルコースではなくL−グルコースを添加した培地(以下、L−グルコース培地と言う場合がある)で培養した場合に、L−グルコース培地に置き換わってから一定日数(例えば、細胞により3日から10日)経過するとスフェロイドが出来はじめ、その後は細胞間が緻密なスフェロイドが再現性よく次々と形成されることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下を含むものである。
(1)グルコース含有培地であってグルコースが実質的にL−グルコースから構成される培地を用いて細胞を培養することを特徴とするスフェロイドの作製方法。
(2)L−グルコースの割合が、D−グルコースおよびL−グルコースからなる全グルコースの90%以上である上記(1)に記載の方法。
(3)前記細胞が、がん細胞由来の細胞である上記(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記培地での培養が3日以上である上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載に記載の方法。
(5)前記培地が、成長因子および/または接着因子を添加しない培地である、上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の方法。
(6)前記培地が、細胞間マトリックスを添加しない培地である、上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の方法。
(7)前記培養が立体的な構造を有する細胞支持体を用いない培養である上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の方法。
(8)以下の工程:
(a)D−グルコースを含有する培地にて細胞を培養する工程、
(b)培地中のD−グルコースをL−グルコースに置き換える工程、
(c)グルコース含有培地であってグルコースが実質的にL−グルコースから構成される培地を用いて細胞を培養する工程、
を含む、スフェロイドの作製方法。
(9)前記工程(b)が、培地中のD−グルコース濃度を段階的に下げるとともに、L−グルコース濃度を段階的に上げて細胞を培養する工程である、上記(8)に記載の方法。
(10)工程(c)におけるグルコース含有培地中のL−グルコースの割合が、D−グルコースおよびL−グルコースからなる全グルコースの90%以上である上記(8)または(9)に記載の方法。
(11)前記工程(c)における培養が3日以上である、上記(8)〜(10)のいずれか一つに記載の方法。
(12)前記細胞が、がん細胞由来の細胞である上記(8)〜(11)のいずれか一つに記載の方法。
(13)前記工程(c)の培地が、成長因子および/または接着因子を添加しない培地である、上記(8)〜(12)のいずれか一つに記載の方法。
(14)前記工程(c)の培地が、細胞間マトリックスを添加しない培地である、上記(8)〜(13)のいずれか一つに記載の方法。
(15)前記工程(a)〜(c)の培地が、成長因子、接着因子、細胞間マトリックスのいずれも添加しない培地である、上記(8)〜(14)のいずれか一つに記載の方法。
(16)前記培養が立体的な構造を有する細胞支持体を用いない培養である上記(8)〜(15)のいずれか一つに記載の方法。
(17)上記(1)〜(16)のいずれか一つに記載の方法により作製されたスフェロイド。
(18)前記スフェロイドが細胞間が緻密な状態なスフェロイドである上記(17)に記載のスフェロイド。
(19)グルコース含有培地であってグルコースが実質的にL−グルコースから構成されるスフェロイド培養培地。
(20)L−グルコースの割合が、D−グルコースおよびL−グルコースからなる全グルコースの90%以上である上記(19)に記載の培地。
(21)前記培地が成長因子および/または接着因子を添加していない培地である、上記(19)または(20)に記載の培地。
(22)前記培地が細胞間マトリックスを添加していない培地である、上記(19)〜(21)のいずれか一つに記載の培地。
本発明により、細胞間が緻密なスフェロイドが再現性良く作製できる方法が提供される。また、本発明により、そのようなスフェロイドを作製するための培地が提供される。
実施例1で観察されたMIN6細胞スフェロイドの形成過程を示す図である。L−グルコース培養開始後13日目の写真(x4の対物レンズで撮影した位相差像)である。図は、同一プラスチックディッシュ上で培養した代表的な10か所の視野を示しおり、スフェロイドが多数形成されている様子が観察された。スケールバーは、200μmである。 実施例2においておこなった、ガラスボトムディッシュ上に形成させたMIN6細胞スフェロイドを示す写真である。L−グルコース培養開始後11日目の写真(x4の対物レンズで撮影した位相差像)である。同一ディッシュ上の二つの視野を示したものである。中心部に壊死領域をもつスフェロイドが形成され始めている様子がわかる。スケールバーは、200μmである。 実施例2においておこなった、L−グルコース培養開始後14日目の写真で、スフェロイドが安定に形成されている様子が観察される。スケールバーは、200μmである。 実施例2においておこなった、L−グルコース培養開始後21日目の写真である。同一ディッシュ上の二つの視野を示したものである。中心部に壊死領域をもつ良質のスフェロイドが引き続き形成され続けている様子がわかる。スケールバーは、200μmである。 実施例2における、ガラスボトムディッシュにてL−グルコース培地で14日間培養したMIN6スフェロイドに2−NBDLG/2−TRLG混合液を適用した結果である。写真は、同一ディッシュ上の代表的な8か所の視野を示しおり、2−NBDLGの蛍光波長である緑チャンネルでの検出結果を上段に、2−TRLGの蛍光波長である赤チャンネルでの検出結果を下段に示す。スフェロイドの中心部は壊死を起こし、細胞膜不透過性の2−TRLGを取り込んでおり、その周囲に2−NBDLGを取り込む細胞の存在が認められる。スケールバーは、100μmである。 実施例3においておこなった、MIN6細胞スフェロイドのカバースリップ上における形成を示す写真である。図6Aならびに6BはL−グルコース培養開始後11日目のそれぞれx4倍ならびにx20倍の位相差顕微鏡写真で、スフェロイドがカバースリップ上にも形成される様子が観察される。スケールバーは、200μmである。 実施例3でカバースリップ上に形成させたMIN6細胞スフェロイドにおける2−NBDLGならびに2−TRLGの取り込みの様子を示した写真である。(A),(C)が2−NBDLG及び2−TRLGの投与前、(B),(D)は、投与を終了後に洗い流しを開始してから16分後のイメージを示している。上段は、2−NBDLGの蛍光波長である緑チャンネルでの検出結果を、下段は、2−TRLGの蛍光波長である赤チャンネルでの検出結果を示している。スケールバーは、100μmである。 実施例3で、カバースリップ上に形成させたMIN6細胞スフェロイドにおける2−NBDLG(AとB)ならびに2−TRLG(CとD)の取込みの結果(蛍光グルコースの洗い流し開始より16分後)の共焦点顕微鏡像である。A,Cはカバーガラスに接している面において撮影した、それぞれ、2−NBDLGの取り込みを検出する緑チャネル、および2−TRLGの取り込みを検出する赤チャネルの蛍光イメージを示す。スフェロイド中心部は、細胞膜不透過性の2−TRLGが取り込まれており、壊死(Necrosis)を起こして細胞膜透過性が高まっている様子がわかる。B,Dはカバーガラスと接している面から上方に15ミクロン離れた断面における断層写真である。従来のD−グルコース含有培地を用いて形成されたスフェロイドでは2−NBDLGを取り込む細胞はスフェロイドの一部に認められるだけであるが、本発明のL−グルコース培地を用いた培養方法によれば、AとBのいずれの焦点面においても、セントラルコアの周辺領域の多数の細胞において2−NBDLGの取り込みが認められる。スケールバーは、100μmである。 本発明の実施例3と同様にして、カバースリップ上に形成したMIN6スフェロイドの推移を観察した結果である。L−グルコース培地を用いた培養開始後、(A)が11日目、(B)が15日目、(C)が17日目に観察した結果を示している。培養13日目以降も良質なスフェロイドが形成されていることが判る。スケールバーは、100μmである。 従来の方法であるナノインプリンティングディッシュ上に通常培養法にて形成されたスフェロイドの推移を観察した結果である。Aは、培養11日目の様子を示したもので、左側のスフェロイドは二つが融合しており、右側の細胞塊はスフェロイド中心部が決壊して外部に向かって開口している。Bは培養15日目に至り、スフェロイドが崩壊している様子を示している。Cは、通常のD−グルコース含有培地を用いてカバーガラス上に形成させたMIN6細胞スフェロイドが、培養14日目に完全に崩壊している様子を示している。 実施例5で例示したHT−29ヒト結腸腺がん細胞がスフェロイドを形成する様子を観察した結果である。Aは、L−グルコース培養開始後3日目の顕微鏡写真(位相差像、x4の対物レンズ使用)である(培養開始後通算6日目)。中心部に顕著な壊死領域を示すスフェロイド形成を認めた。Bは、L−グルコース培地を用いず、D−グルコース培地のみを用いて培養を開始後6日目の写真である。L−グルコース培地による培養(A)と比較すると成長が速いが、中心部の壊死部分は認められず、疎に細胞が集合した3次元細胞集塊(Sparsely-packed three dimensional cell cluster)を形成している。Cは、L−グルコース培養開始後5日目の顕微鏡写真(培養開始後通算8日目)。大きさが200μmを超え、密に細胞が集合した3次元細胞集塊(Tightly-packed three dimensional cell cluster)を形成している。スケールバーは、100μmである。 実施例5で示した培養方法によりスフェロイドを形成したHT29細胞をL−グルコース培養開始後10日目(培養開始後通算13日目)において、カバースリップ上に移して1日かけて定着させたもの、つまりL−グルコース培養開始後11日目(培養開始後通算14日目)における2−NBDLGならびに2−TRLGの取込みの様子を示した写真である。(A),(C)が2−NBDLG及び2−TRLGの投与前、(B),(D)は投与終了後6分後のイメージを示している。上段は2−NBDLGの蛍光波長である緑チャンネルでの検出結果を、下段は2−TRLGの蛍光波長である赤チャンネルでの検出結果を示している。スケールバーは100μmである。
以下、本発明を、例示的な実施態様を例として、本発明の実施において使用することができる好ましい方法および材料とともに説明するが、本発明は以下に記載に実施態様に限定されるものではない。
なお、文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。また、本明細書に記載されたものと同等または同様の任意の材料および方法は、本発明の実施において同様に使用することができる。
また、本明細書に記載された発明に関連して本明細書中で引用されるすべての刊行物および特許は、例えば、本発明で使用できる方法や材料その他を示すものとして、本明細書の一部を構成するものである。
本発明においては、グルコースとしてD−グルコースではなくL−グルコースを添加した培地を用いて細胞を培養してスフェロイドを形成させることを特徴とする。ここで、L−グルコース培地とは、グルコースとしてL−グルコースを添加し一方D−グルコースを積極的に添加しない培地、すなわち、グルコース含有培地であってグルコースが実質的にL−グルコースから構成される培地をいう。例えば、血清含有培地を用いる場合には、血清中に少量のD−グルコースが含まれる(典型的なHyclone社のDefined Fetal Bovine Serumを培地に10%加えると、D−グルコース濃度が約100mg/L以下となる)ため、培地中に血清由来の少量のD−グルコースが含まれる場合があるが、これらの培地においても、培地中のグルコースが実質的にL−グルコースから構成される限り、本発明のL−グルコース培地に含まれる。本発明のL−グルコース培地とは、グルコース含有培地であってグルコースが実質的にL−グルコースから構成される、好ましくは、グルコースの90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上がL−グルコースである培地を言う。
本発明で用いるL−グルコース培地中のグルコース濃度は、特に制限がないが、例えば、通常の培養においてグルコースとしてD−グルコースを用いた場合のグルコース濃度を用いることができる。これに限定されないが、例えば、0.5mM〜50mM、好ましくは1.0mM〜25mM、より好ましくは5mM〜25mMである。
L−グルコース培地は、グルコースが実質的にL−グルコースから構成される培地であれば、通常の細胞の培養に用いられる培地を用いることができる。例えば、BME培地、BGjB培地、CMRL1066培地、GlasgowMEM培地、ImprovedMEM培地、IMDM培地、Medium 199培地、Eagles MEM培地、αMEM培地、DMEM培地、ハム培地、RPMI 1640培地、Fischer’s培地、およびこれらの混合培地等をあげることができるが、動物細胞の培養に用いることのできる培地であれば特に限定されない。好ましくは、DMEM培地である。これらの培地は市販されており入手可能である。
本発明で用いられる培地は、血清含有培地であっても無血清培地であってもよい。無血清培地とは、無調整または未精製の血清を含まない培地を意味し、精製された血液由来成分や動物組織由来成分(例えば、増殖因子)が混入している培地は無血清培地に該当するものとする。本発明で用いられる培地が血清含有培地である場合はウシ胎児血清などの哺乳動物の血清が使用できる。培地は、好ましくは無血清培地、さらに好ましくは化学的に定義されていない成分を含まない無血清培地である。
本発明で用いられる培地はまた、血清代替物を含んでいてもよい。血清代替物としては、例えば、アルブミン、トランスフェリン、脂肪酸、コラーゲン前駆体、微量元素(例えば亜鉛、セレン)、B−27サプリメント、N2サプリメント、ノックアウトシーラムリプレースメント(KSR)、2−メルカプトエタノール、モノチオグリセロール、またはこれらの均等物が挙げられる。これらの血清代替物は、市販されている。
本発明で用いられる培地はまた、他の添加物、例えば、脂質、アミノ酸(例えば、非必須アミノ酸)、ビタミン、増殖因子、サイトカイン、抗酸化剤、2−メルカプトエタノール、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類、抗生物質(例えばペニシリンやストレプトマイシン)または抗菌剤(例えばアンホテリシンB)等を含有してもよい。
本発明で用いられる培地はまた、スフェロイドの形成に寄与する他の添加物、例えば、成長因子や接着因子を含んでもよく、また、細胞間マトリックスを含んでもよい。成長因子としては、例えば、NGF、FGF、EGF、TGF、BDNF、VEGF、G−CSF、PDGF、EPO等をあげることができる。接着因子としては、例えば、インテグリン、カドヘリン、ラミニン、免疫グロブリンスーパーファミリー等をあげることができる。細胞間マトリックスとしては、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、ネトリン、プロテオグリカン類等をあげることができる。また、成長因子や細胞間マトリックス等を複合的に含むCorning社のMatrigel(登録商標)や、Scivax社のNanoCulture Medium Supplement等をあげることができる。しかし、本発明においては、培地中にこれらのスフェロイド形成寄与物質を添加しなくても、良質なスフェロイドが形成できる。
本発明で用いられる培地は、特に好ましくは、無血清培地であり、かつ、化学的に定義された原材料のみを含む培地であり、成長因子や接着因子、あるいは細胞間マトリックスを添加しない培地である。これに限定されないが、例えば、添加されたグルコースが実質的にL−グルコースから構成されるDMEM培地をあげることができる。
本発明の一つの態様において、培地からD−グルコースを除き、代わりに培養細胞をL−グルコース培地で培養することにより、スフェロイドを形成させることを特徴とする。D−グルコース培地からL−グルコース培地に変更するにあたり、細胞に応じて適切な培養日数からL−グルコース培地への置換を開始することが重要となる。L−グルコース培地への置換の方法は細胞に応じて適宜変更することが可能であり、例えば、D−グルコース培地をL−グルコース培地に置き換える方法、全グルコース中のL−グルコースの割合を段階的に上げていく方法などをあげることができる。具体的には、これに限定されないが、例えば、グルコースとしてL−グルコースを添加した培地で半量交換を適切な回数実施することで、D−グルコースの濃度を段階的に減らし、かつL−グルコースの濃度を容易に増やすことができる。半量交換は、これに限定されないが、例えば、D−グルコース培養開始後6日目、8日目に行うことができる。さらに10日目には培養培地を全量捨てて、L−グルコース培地を用いてWASHすることで可能な限りD−グルコースを取り除き最終的に100%L−グルコース培地にする。100%L−グルコース培地になった後、これに限定されないが、例えば、1日ないし2日にわたり6時間おきに半量交換を行う。以降の培地交換は、細胞数は少ない場合は数日ごとに、細胞数が多い場合は毎日行う。
本発明の一つの態様において、細胞を、グルコースとして100%のL−グルコース添加(0%のD−グルコース添加)培地に置き換わってから一定日数以上培養することを特徴とする。「一定日数以上の培養」は、用いる細胞に応じて適宜選択されるが、例えば、3−10の日数を上げることができ、一般には、例えば、3日以上、好ましくは10日以上、より好ましくは11日以上、さらに好ましくは13日以上培養する。それにより、その後は、細胞間が緻密なスフェロイドが再現性よく次々と形成され続ける。そして、少なくとも数日以上、好ましくは少なくとも1週間以上、より好ましくは少なくとも2週間以上に渡り、多量にスフェロイドを供給でき、例えば、3週間目においてもスフェロイドを供給できる。
本発明の方法を適用できる細胞は、特に制限されず、スフェロイドを形成する能力を有する細胞であればいずれの細胞にも用いることができる。例えば、本発明の実施例で用いているようながん由来の細胞、生体から採取した細胞、例えばこれに限定されないが、肝細胞、腎細胞、または膵臓細胞、種々の腺組織の細胞、その他スフェロイドを形成できる細胞、例えばこれに限定されないが、ES細胞やiPS細胞を含む種々の幹細胞、をあげることができる。
本発明を用いてスフェロイドを作製すると、細胞間が緻密なスフェロイドが形成できる。加えて、通常の培養方法を用いた場合にしばしば認められる、隣り合うスフェロイドが水平方向に次々とつながり大きな山脈状の構造を形成する現象が起きにくい。本発明の方法によれば、それぞれのスフェロイドは互いに一定の距離を保ちながら、それぞれが立体的に増殖する傾向があるため、スフェロイド同志の間隔が広く保たれた、良質なスフェロイドが形成される。本発明を用いて作製されたスフェロイドは、細胞間が緻密な、直径が100μm以上、好ましくは150μm以上、さらに好ましくは200μm以上のスフェロイドである
また、本発明を用いて作成されたスフェロイドは、従来の方法で作成したスフェロイドに比べ、立体構造がより安定に維持され、長期間にわたり随時良質なスフェロイドを得ることができる。
本発明の方法を用いたスフェロイドの培養は、立体的または3次元的な支持体、例えば、U−ShapeやV−Shapeの底を有する培養容器、格子状構造等の立体的な加工が底面に施された培養容器などを用いなくても良質のスフェロイドを形成させることができる。ただし、そのような支持体を含む培養容器を使用して本発明の方法を用いてスフェロイドを作製することもでき、それも本発明に含まれる。
このように、本発明の方法は、特殊な装置や容器、成長因子や接着因子、細胞間マトリックス等の添加を必要とせずにスフェロイドを作製できるという特徴を有する。さらには、本発明の方法によると、通常の培養容器を用いてスフェロイドの形成や培養が可能であり、その状態で顕微鏡観察も容易であるという特徴を有する。
さらに、本発明によると、形成されるスフェロイドの培養には特別な装置、特殊容器や高価な添加物を用いることが必要でなく一般的な容器例えばプラスチックディッシュやカバースリップ等を用いることができ、また使用する培地は一般的なDMEM培地を基本として実施できるうえ、培養操作においても特別な手技や熟練の技巧を必要としないため、誰もが簡便にスフェロイドを作成できる優位性を持っている。
しかしながら、本発明の方法を、特殊な装置や容器、成長因子や接着因子、細胞間マトリックス等の添加というスフェロイド作製のための技術のいずれかまたは複数と、あるいはそれらの全てと組み合わせて用いることもでき、そのような組合せにより、より効率良く、良質なスフェロイドを大量に作製することも期待できる。このような組合せは、本発明の教示に基づいて、当業者が適宜、選択できるものであり、それらも本発明の一部である。
本発明の方法を用いて、例えば、直径4cmのガラス底ディッシュで培養すると、数十個以上、好ましくは、おおよそ90個以上のスフェロイドが形成される。このことにより、微量な解析の際に必要となる大量のスフェロイドが、一つのディッシュで安定的かつ継続的に作製できる。これは、三次元培養プラットフォーム等のマルチプレートを使用したスフェロイド形成と比べて操作性やその後の細胞の回収の点で大きなメリットとなる。本発明によると、このように大量のスフェロイドを、安定的に継続して形成させることが可能である。
また、スフェロイド形成に成長因子などの添加物を用いる場合、その後の顕微鏡による観察や光学的な解析において添加物が妨げになることがある。さらに細胞そのものにも生化学的および生理学的に添加物に固有の影響を及ぼすことも懸念される。しかしながら、本発明によると、スフェロイドの形成には上記したような添加物を必要としないためそのような弊害がなく、実験に好適なスフェロイドが提供できる。
また、本発明の方法により、マウスインスリノーマであるMIN6細胞を用いて作製されたスフェロイドは、がん細胞内に選択的に取り込まれる2−NBDLGを良好に取り込む性質をもつという特徴がある。例えば、本発明を用いて作製されたスフェロイドのおよそ70%が、2−NBDLGを細胞内に取り込む良質なスフェロイドである。こうしたスフェロイドは、培地が100%L−グルコース培地となってから数えて11日目から少なくとも3週間目まで、多量に供給できる。
グルコースには、互いに鏡像関係にある二つの異性体、すなわちD−グルコースとL−グルコースが考え得るが、自然界には専らD−グルコースのみが存在する。生物は、このD−グルコースを細胞内に選択的に取り込み、基本的なエネルギー源として細胞内で代謝する。一方、自然界にないL−グルコースは、正常細胞が利用できない。
発明者は、D−グルコースの第二位に蛍光基NBDを導入した分子2−[N−(7−nitrobenz−2−oxa−1,3−diazol−4−yl)amino]−2−deoxy−D−glucose(2−NBDG)が、グルコーストランスポーターを介して哺乳動物細胞内に濃度、時間、温度依存的に、放射性標識グルコース誘導体に類似したキネティクスで取り込まれること、および、その対照分子であるL−グルコースの第二位に蛍光基NBDを導入した分子2−[N−(7−nitrobenz−2−oxa−1,3−diazol−4−yl)amino]−2−deoxy−L−glucose(2−NBDLG)が、グルコーストランスポーターを介して選択的に取り込まれないこと、を示した。
本発明者はまた、スフェロイド形成したがん細胞(マウスインスリノーマMIN6)に2−NBDLGを適用したところ、がん細胞が2−NBDLGを選択的に細胞内に取り込むことを示した(特許文献2)。本発明者は同時に、2−NBDLGに加えて、L−グルコースの第二位に蛍光基Texas Redを導入した2−TRLGが壊死した細胞の検出に使えることを報告している(特許文献2)。さらに、本発明者は、2−NBDLGを、ヒトから摘出した生きたがん組織やがん細胞に適用すると、がん細胞が選択的に2−NBDLGを取り込んで蛍光を発し、非がん細胞と識別可能であることを見出した(特願2014−015735、および特願2014−193424)。
そして興味深いことに、2−NBDLGは、細胞が大小不同の核様態を示し、細胞間が十分に緻密なスフェロイドに取り込まれるという特徴を有していた。このようなスフェロイドは、スフェロイド作製用の特殊培養容器やマトリゲルや特殊培地等を添加しても、再現性よく多量に作製することは困難で、種々の工夫によっても一つの培養dishに2−NBDLGを顕著に取り込むスフェロイドが2−3個あればよいという結果であった。
一方、本発明の方法を用いると、細胞間の結合がタイト(つまり、細胞間が緻密な状態)で、スフェロイド中心部の細胞が多核や異常な核様態を示すヘテロな状態のスフェロイドを再現性よく多量に得ることができる。すなわち、本発明によれば、簡易な方法で、良質なスフェロイドを再現性良く多量に作製することが可能である。
以下、マウスインスリノーマ細胞であるMIN6を例として、本発明により良質なスフェロイドを形成する方法を説明するが、本発明の方法は、他の細胞にも適用できることは当業者に明らかである。かかる場合は、それぞれの細胞に関する公知の情報に従い、用いる材料、試薬、条件を適宜選択し、使用することができる。
マウスインスリノーマ細胞MIN6をD−グルコース含有培地を用いて10×104個/mlになるように細胞懸濁液を調整し、その後の観察及び解析に合わせてディッシュまたはカバースリップ等に播種することができる。播種する細胞数は、例えば市販の直径90mmディッシュ(Greiner TCシャーレ664160)の場合は30−60×104個/dish、またWillCo−Glass bottom Dish(WillCo Wells 170micron直径40mm)の場合は10×104個/dishが適当である。或いは、6mm×2mm大のガラススリップの場合600〜1000個の細胞を播種するのが適当である。
次いで培養開始後一定時期にD−グルコース培地をL−グルコース培地に置換する。かかる培地の置換は、当業者に公知の方法で行うことができる。例えば、細胞の培養に用いているD−グルコース培地を除去してあるいは培地中から細胞を回収して、L−グルコース培地を加えることにより行うことができる。
培地の置換はまた、以下のようにして行うこともできる。まず最初に、培地のD−グルコース濃度が当初濃度の25%(6.25mM)になるように培地交換を行う。そのために培地の半量交換を2回続けて行うことでD−グルコース25%濃度にすることができる。培地交換に用いる培地はL−グルコース含有培地(D−グルコース不含培地)を用いることができる。D−グルコース濃度を当初濃度の25%にするのは培養開始後2日目から10日目が適している。その後、D−グルコース濃度25%で2日間培養した後、さらに濃度を段階的に減少させていくために、培地の半量交換を行いD−グルコース濃度を12.5%(3.125mM)にして2日間培養した後、培地を全量捨ててL−グルコース含有培地で2回Washした後L−グルコース培地を加えることで、培地に加えているD−グルコース濃度を0%にできる。
細胞によって状態は異なるが、L−グルコース培地にすることにより、例えば以下のようなことが起こる。
培養中に、増殖を続けてきた細胞の中で、D−グルコース濃度12.5%(3.125mM)以降は浮遊する死細胞が目立つようになり、D−グルコース濃度が0%になってからは細胞の浮遊は顕著に見られ、そしてそれまで増え続けてきた細胞数は一旦減少する。
浮遊してくる死細胞からの代謝産物を取り除くために、培地添加のD−グルコース濃度が0%になった時点から6時間毎にL−グルコース含有培地で培地の半量交換を行う。これにより、代謝産物の影響を極力受けないようにすることができる。6時間毎の培地交換は少なくとも4回以上、浮遊する細胞が目立たなくなるまで行うことが好ましい。以降の培地交換については、Dish全体の細胞が少ない期間は1日おきに、十分に細胞が増え始める19日目以降は毎日、培地の半量交換を行うことが好ましい。
上記のように培養していく中で直径およそ100ミクロン以上、周辺部には増殖する細胞、中心部に壊死細胞が生じる典型的なHeterogeneous(不均一)な大量のスフェロイドがL−グルコース培地での培養開始後のある日数後、例えば3〜10日目以降に形成され、それ以降もスフェロイドがDish中に継続的に見られる。
これらのスフェロイドに蛍光L−グルコース誘導体2−NBDLGおよび2−TRLGを投与すると、2−NBDLGの強い取込みが見られる。この取込みはガラス底のWillCo−Glass bottom Dishまたはガバースリップを使うことで、共焦点レーザー顕微鏡での観察が可能となるが、スフェロイド周辺部には2−NBDLGの緑色の強い蛍光が見られ、中心部には2−NBDLGと同時に投与した2−TRLGの赤色の取込みすなわち壊死した細胞が見られるHeterogenousなスフェロイドが形成される。
なお、以下に記載する実施例2では2−NBDLGの取込みを示すスフェロイドが70%を超え、一方実施例3では半数を超えるスフェロイドが取込みを示している。
本発明によれば、ヒトがん細胞における蛍光L−グルコース誘導体の取り込みを、in vitroで再現する良質ながん細胞スフェロイドを多量に安定に形成させることが可能である。また、がん細胞を用いて、本発明で作成したスフェロイドと既存の3次元プラットフォームにより作成したスフェロイドとでは蛍光L−グルコース誘導体2−NBDLGの取り込みに大きな違いがみられることが確認できている。蛍光L−グルコース誘導体2−NBDLGは組織中の癌病変部から生体外(ex vivo)に取り出した組織に強く取込まれることから、本発明によるスフェロイドは、従来法で作成したスフェロイドに比べ、よりin vivoと近い特徴を有していると考えられる。
以下、実施例をもとに本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない、
1.使用細胞
凍結保存していたMIN6細胞(大阪大学の宮崎純一教授より供与を受けて5−8回継代した細胞)を常法に従って培養に移し、トータルで6−9回継代したものを実験に供した。
HT−29ヒト結腸腺がん細胞は、ATCC(American Type Culture Collection)から入手した(細胞番号:HTB−38)。
2.使用培地
D−グルコース入り培地
DMEM−ハイグルコース培地(SIGMA:D5648、D−グルコース濃度25mM)13.4gを蒸溜水に溶かし、NaHCO3を3.7g、2−メルカプトエタノール5μlを加えた。pHを7.3に調製し全量を1000mlとした後、ろ過滅菌を行い、FBS(HyClone:SH30070)を10%になるように加え、ペニシリン・ストレプトマイシンを加えてD−グルコース入り培地(以下、「D−グルコース培地」という)とした。
L−グルコース入り培地(D−グルコース不含)
グルコース不含DMEM培地(phenol red不含SIGMA:D5030)8.3gを蒸溜水に溶かし、NaHCO3を3.7g、2−メルカプトエタノール5μl、L−グルコース(東京化成)4.5g、およびPhenol redを加えた。pHを7.3に調製し全量を1000mlとした後、ろ過滅菌を行い、次いでL−グルタミン(SIGMA:G7513)20ml、さらにFBS(HyClone:SH30070)を10%になるように加え、ペニシリン・ストレプトマイシンを加えてL−グルコース入り培地(以下、「L−グルコース培地」という)とした。
3.2−NBDLGおよび2−TRLGの適用
2−NBDLGおよび2−TRLGは、ペプチド研究所(大阪)に依頼して合成した。
2−NBDLGおよび2−TRLGのMIN6スフェロイドへの適用および蛍光の検出は、WO2010/016587号公報およびWO2012/133688号公報に記載の方法に従って行った。
(実施例1)プラスチックディッシュ上でのスフェロイドの形成
一般的な細胞培養で用いられる培地であるD−グルコース培地にMIN6細胞(マウスインスリノーマ由来細胞)を30×104個/mlで懸濁し、この細胞懸濁液1mlをプラスチックディッシュ(Greiner、セルカルチャー用TCシャーレ100×20mm)に加え、さらに培地を添加して、合計の培地量を10mlとした。5%CO2インキュベーターで、37℃にて培養を開始し(培養開始後0日とする:100%D−グルコース)、培養開始後3日目までそのまま静置した。
次いで、培養開始後3日目にD−グルコース培地を用いて培地を半量(5ml)交換した(培養3日目:100%D−グルコース)。
引き続き培養を続け、培養6日目にL−グルコース培地を用いて、培地半量交換を2回続けて行うことにより、培地中のグルコースを、L−グルコース75%(18.8mM)に対してD−グルコースの割合を25%(6.3mM)とした(培養6日目:25%D−グルコース、75%L−グルコース)。
さらに培養を続け、培養8日目にL−グルコース培地を用いて培地の半量交換を行い、L−グルコース87.5%(21.9mM)に対してD−グルコースの割合を12.5%(3.1mM)とした(培養8日目:12.5%D−グルコース、87.5%L−グルコース)。この段階から、それまで増殖していた細胞塊のうち、縮小するものが多く観察されるようになった。
培養10日目に培地を全量捨てて、L−グルコース培地5mlで培養皿を2回洗った後、L−グルコース培地を10ml加えL−グルコース培地100%(25mM)で培養した(培養10日目:100%L−グルコース)。この時点をL−グルコース培養0日とした。この後、死細胞が浮遊し、それが増加した。
培養11〜12日目に、6時間おきにL−グルコース培地を用いて、培地半量交換を行い、浮かんでいる細胞を取り除くようにした(100%L−グルコース)。その後は毎日、培地の半量交換を行った。L−グルコース培養開始後、11日過ぎには中心部に壊死細胞を擁するスフェロイドが多数認められ、L−グルコース培養21日目においても同様のスフェロイドが多数形成され続けた。L−グルコース培養開始後13日目に細胞を観察した結果を図1に示す。
(実施例2)ガラス底ディッシュで接着性スフェロイドを形成させた後のL−グルコース誘導体2−NBDLGの取りこみ観察
MIN6細胞(マウスインスリノーマ由来細胞)をD−グルコース培地に10×104個/mlで懸濁し、培養皿WillCo−Glass bottom Dish(WillCo Wells:170micron直径40mm)に細胞懸濁液1mlを加え、D−グルコース培地を加えて合計の培地量を3mlとして5%CO2、37℃にて培養を開始し(培養開始後0日とする:100%D−グルコース)、培養開始後3日目までそのまま静置した。
培養開始後3日目に、D−グルコース培地で半量1.5mlを交換した(培養3日目:100%D−グルコース)。
培養6日目に、L−グルコース培地を用いて、培地の半量交換を2回行いL−グルコース75%(18.75mM)に対してD−グルコースの割合を25%(6.25mM)にした(培養6日目:25%D−グルコース、75%L−グルコース)。
培養8日目に、L−グルコース培地を用いて培地の半量交換を行い、L−グルコース87.5%(21.875mM)に対してD−グルコースの割合を12.5%(3.125mM)とした(培養8日目:12.5%D−グルコース、87.5%L−グルコース)。この後、増殖をしていた細胞塊は縮小するものが多く観察された。
培養10日目に、培地を全量捨てて、L−グルコース培地2mlで培養皿を2回洗った後、L−グルコース培地を3ml加えL−グルコース培地100%(25mM)で培養を開始した(培養10日目:100%L−グルコース)。この時点をL−グルコース培養0日とした。この後、死細胞が浮遊し、増えるのが観察された。
培養11〜12日目に、6時間おきに培地の半量交換を行い、浮かんだ細胞を取り除いた後、さらにその後、L−グルコース培地を用いて、毎日、培地の半量交換を行い、培養を続けた。L−グルコース培養開始後11日目には再現性良く多数のスフェロイドが形成されてきた。14日目には、一枚のディッシュ上に、中心部に壊死領域を有するスフェロイドが、合計62個観察された。11日目、14日目、および21日目に細胞を観察した結果を、それぞれ図2、3および4に示す。
このように形成したL−グルコース培養開始後14日目のスフェロイドを用いて、L−グルコース誘導体2−NBDLGおよび2−TRLGの取込みを共焦点レーザー顕微鏡により、励起波長488nm、蛍光波長は緑チャネル500−580nm、赤チャネル580−740nmで観察した。観察したスフェロイド24個のうち19個が2−NBDLGをよく取込んでいることが確認できた。観察結果を図5に示す。
(実施例3)カバースリップ上に形成させたスフェロイドに対するL−グルコース誘導体2−NBDLG/2−TRLG混合液の取りこみ観察
6.5mm×2mm大にカットしたカバースリップ(MATSUNAMI MICROCOVER GLASS No.0 13x22mm)を35mmディッシュ(IWAKI Non−treated Dish 1000−035)に置き、D−グルコース培地で10×104個/mlに懸濁したMIN6細胞10μlをカバースリップ上に播種した。D−グルコース培地3mlをディッシュに加え、5%CO2、37℃にて培養を開始し(培養開始後0日:100%D−グルコース)、培養開始後3日目までそのまま静置した。
培養3日目に、D−グルコース培地を用いて培地半量1.5mlを交換した(培養3日目:100%D−グルコース)。
培養6日目に、L−グルコース培地を用いて、培地半量交換を2回行いL−グルコース75%(18.75mM)に対してD−グルコースの割合を25%(6.25mM)とした(培養6日目:25%D−グルコース、75%L−グルコース)。
培養8日目に、L−グルコース培地を用いて培地の半量交換を行い、L−グルコース87.5%(21.875mM)に対してD−グルコースの割合を12.5%(3.125mM)とした(培養8日目:12.5%D−グルコース、87.5%L−グルコース)。この後、増殖をしていた細胞塊は縮小するものが多くなった。
培養10日目に、培地を全量捨てて、L−グルコース培地2mlで培養皿を2回洗った後、L−グルコース培地を3ml加えL−グルコース入り培地100%(25mM)で培養した(培養10日目:100%L−グルコース)。この時点をL−グルコース培養0日とした。この後死細胞が浮遊し増えてきた。
培養11〜12日目に、6時間おきに培地の半量交換を行い、浮かんでいる細胞を取り除き、その後は、毎日、培地の半量交換を行った(100%L−グルコース)。L−グルコース培養開始後10日過ぎから多数のスフェロイドが形成された。11日目の観察結果を図6に示す。形成したスフェロイドを用いて、L−グルコース誘導体2−NBDLGおよび2−TRLGの取込みを共焦点レーザー顕微鏡により観察した。結果を図7および図8に示す。
上記の実施例2および実施例3における2−NBDLGの取込みを示すスフェロイドの割合を表1に示す。実施例2では70%を超え、一方実施例3では半数を超えるスフェロイドが2−NBDLGの取込みを示している。
Figure 2016143808
(実施例4)カバースリップ上に形成させたスフェロイドの安定性
実施例3と同様にして、L−グルコース培地でMIN6細胞を培養してMIN6細胞スフェロイドを形成させ、その推移を観察した。結果を図9に示す。本発明の方法により作製したスフェロイドは、周辺部には増殖する細胞、中心部には壊死細胞が生じる典型的なHeterogeneous(不均一)な細胞集塊を形成していることが判る。また、本発明の方法により作製したスフェロイドは、長期間にわたり安定したスフェロイドが維持されているのが判る。
(比較例1)ナノインプリンティングディッシュで形成されたスフェロイドの安定性
並行してナノインプリンティングディッシュ(Scivax社NanoCulturtePlate MSパターン、低接着、96ウェル)で以下のようにして培養し、スフェロイドを形成した。
D−グルコース培地で10×104個/mlに懸濁したMIN6細胞を、ナノインプリンティングディッシュのウェルに100μlずつ播種した。D−グルコース培地100μlをディッシュに加え、5%CO2、37℃インキュベーター条件下で培養を開始した。 十分な大きさのスフェロイドが形成される培養開始後11日目に、マイクロピペットを用いてスフェロイドをガラス底ディッシュに移し観察に供した。その結果を図10Aに示す。また培養14日目に、マイクロピペットを用いてカバースリップ上に播種し1日かけて定着をさせた後、培養15日目に観察に供した。結果を図10Bに示す。
(比較例2)D−グルコース培養で形成されたスフェロイドの安定性
D−グルコース培地で10×104個/mlに懸濁したMIN6細胞を、35mmディッシュに置いた6.5mm×2mm大のカバースリップに10μlずつ播種した。D−グルコース培地3mlをディッシュに加え、5%CO2、37℃にて培養を開始した。
十分な大きさのスフェロイドが形成される14日目に観察に供した。結果を図10Cに示す。
以上の結果より、本発明によるL−グルコース培養で形成されたスフェロイドは中心部(central core)の目玉様の領域に壊死細胞が出現し、スフェロイド全体の直径は200μm以上の大きさを維持しておりなおかつL−グルコース培養開始後11−21日目にかけて形が崩れていない。しかし、ナノインプリンティングディッシュによるスフェロイドは、大きさは本発明のスフェロイドより小さく、培養11日目では早くも形が崩れ始めるスフェロイドが出現し、15日目ではその形態を維持できていない。
またカバースリップ上においてD−グルコース培地で形成したスフェロイドは14日目ではその形態が全く維持されていない。D−グルコース培地で形成したスフェロイドの形態が崩れる時期は個々のスフェロイドで異なるが、理想的なスフェロイドが形成されるとそれから数時間から1日のうちに形が崩れることも稀ではない。
(実施例5)HT−29ヒト結腸腺がん細胞をL−グルコース培地により培養し、スフェロイドを形成させた例
一般的な細胞培養で用いられる培地であるD−グルコース培地にヒト結腸腺がん細胞HT−29を10×104個/mlの割合で懸濁し、この細胞懸濁液3mlを浮遊細胞用フィルタキャップフラスコ(住友ベークライトMS−2325R、250ml)に加え、さらに培地を添加して、合計の培地量を20mlとした。5%CO2インキュベーターで、37℃にて培養を開始し(培養開始後0日とする:100%D−グルコース)、培養開始後3日目までそのまま静置した。
培養開始後3日目に、遠心操作(50G、1分)を行い、培地をLーグルコース培地(2ーメルカプトエタノールを含まず)と全量交換した(培養3日目:100% Lーグルコース培地)。この時点をLーグルコース培養開始後0日とした。
L−グルコース培養開始後2日目(培養開始後通算5日目)から、1日おきに遠心操作(50G、1分)を行い、培地の半量(10ml)を新鮮なLーグルコース培地と交換した。
Lーグルコース培養開始後3日目(培養開始後通算6日目)には、中心部に壊死領域を示すスフェロイド形成を認めた(図11A)。
同様の方法で、ただしLーグルコース培地を用いず、D−グルコース含有培地のみを用いてHT−29ヒト結腸腺がん細胞を培養すると、疎に細胞が集合した3次元細胞集塊(Sparsely-packed three dimensional cell cluster)となり、良質ながん細胞スフェロイドが形成されなかった(図11B、培養開始後通算6日目の例)。
Lーグルコース培地で培養を開始してから5日目(培養開始後通算8日目)には、直径が200μmを超えるスフェロイド形成も認められた(図11C)。
(実施例6)L−グルコース培地により培養したHT−29ヒト結腸腺がん細胞のL−グルコース誘導体2−NBDLG/2−TRLG混合液の取りこみ観察
実施例5の培養法により形成したHT−29細胞のスフェロイドを共焦点顕微鏡で観察するために、Lーグルコース培養開始後10日目(培養開始後通算13日目)にカバースリップに移して、定着をさせた。その翌日、つまりLーグルコース培養開始後11日目(培養開始後通算14日目)に形成したスフェロイドを用いて、実施例3と同様にして、L−グルコース誘導体2−NBDLGおよび2−TRLGの取込みを共焦点レーザー顕微鏡により観察した。結果を図12に示す。
中心部の細胞には壊死を起し、2−TRLGを取り込んでいるがその周辺には2−NBDLGの強い取込みを示す細胞が認められる。
上記で示したように、本発明によれば、培養液からD−グルコースを除き、代わりにL−グルコースで置換するシンプルな方法により、通常の培養容器やカバースリップを用いながら、良質なスフェロイドを再現性良く、かつ多量に形成させることができる。
上記の記載は、本発明の目的および対象を単に説明するものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。添付の特許請求の範囲から離れることなしに、記載された実施態様に対しての、種々の変更および置換は、本明細書に記載された教示より当業者にとって明らかである。
本発明により作製されたスフェロイドは、がん研究や薬剤スクリーニング等の医療分野、胚様態の形成等の幹細胞生物学分野、ニューロスフェア形成等の神経生物学分野、その他様々な細胞の研究分野などにおいて利用できる。

Claims (22)

  1. グルコース含有培地であってグルコースが実質的にL−グルコースから構成される培地を用いて細胞を培養することを特徴とするスフェロイドの作製方法。
  2. L−グルコースの割合が、D−グルコースおよびL−グルコースからなる全グルコースの90%以上である請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞が、がん細胞由来の細胞である請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記培地での培養が3日以上である請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
  5. 前記培地が、成長因子および/または接着因子を添加しない培地である、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
  6. 前記培地が、細胞間マトリックスを添加しない培地である、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
  7. 前記培養が立体的な支持体を用いない培養である請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
  8. 以下の工程:
    (a)D−グルコースを含有する培地にて細胞を培養する工程、
    (b)培地中のD−グルコースをL−グルコースに置き換える工程、
    (c)グルコース含有培地であってグルコースが実質的にL−グルコースから構成される培地を用いて細胞を培養する工程、
    を含む、スフェロイドの作製方法。
  9. 前記工程(b)が、培地中のD−グルコース濃度を段階的に下げるとともに、L−グルコース濃度を段階的に上げて細胞を培養する工程である、請求項8に記載の方法。
  10. 工程(c)におけるグルコース含有培地中のL−グルコースの割合が、D−グルコースおよびL−グルコースからなる全グルコースの90%以上である請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記工程(c)における培養が3日以上である、請求項8〜10のいずれか一つに記載の方法。
  12. 前記細胞が、がん細胞由来の細胞である請求項8〜11のいずれか一つに記載の方法。
  13. 前記工程(c)の培地が、成長因子および/または接着因子を添加しない培地である、請求項8〜12のいずれか一つに記載の方法。
  14. 前記工程(c)の培地が、細胞間マトリックスを添加しない培地である、請求項8〜13のいずれか一つに記載の方法。
  15. 前記工程(a)〜(c)の培地が、成長因子、接着因子、細胞間マトリックスのいずれも添加しない培地である、請求項8〜14のいずれか一つに記載の方法。
  16. 前記培養が立体的な支持体を用いない培養である請求項8〜15のいずれか一つに記載の方法。
  17. 請求項1〜16のいずれか一つに記載の方法により作製されたスフェロイド。
  18. 前記スフェロイドが細胞間が緻密な状態なスフェロイドである請求項17に記載のスフェロイド。
  19. グルコース含有培地であってグルコースが実質的にL−グルコースから構成されるスフェロイド培養培地。
  20. L−グルコースの割合が、D−グルコースおよびL−グルコースからなる全グルコースの90%以上である請求項19に記載の培地。
  21. 前記培地が成長因子および/または接着因子を添加しない培地である、請求項19または20に記載の培地。
  22. 前記培地が細胞間マトリックスを添加しない培地である、請求項19〜21のいずれか一つに記載の培地。
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