JPWO2016111132A1 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

第1導電型の半導体基板の第1面に、膜厚が50nmより大、且つ200nm以下の第1酸化膜を形成する第1工程と、第1ドーパントを含んだ第1拡散源を前記第1酸化膜上に選択的に形成する第2工程と、前記第1拡散源が形成された前記半導体基板を熱処理して、前記第1面の表層における前記第1拡散源の直下領域に前記第1ドーパントが拡散した第1のドーパント拡散層を形成する第3工程と、前記第1のドーパント拡散層上に電極を形成する第4工程と、を含む。

Description

本発明は、半導体基板を用いた太陽電池の製造方法に関するものである。
太陽電池では、高効率化のため、受光面側において、電極下部に高濃度のドーピング層を形成し、高濃度のドーピング層以外の領域に低濃度のドーピング層を形成した選択エミッタ構造が用いられている。低濃度のドーピング層は、入射された光の吸収を抑制し良好な短絡電流を得ることができ、さらに光生成キャリアの再結合損失を抑制することができるため、太陽電池において良好な開放電圧の実現に寄与する。一方、高濃度のドーピング層は、電極と半導体基板との接触抵抗を低減することができるため、太陽電池において良好な曲線因子の実現に寄与する。
選択エミッタ構造の形成方法として、特許文献1には、半導体基板の受光面側に櫛形形状にドーパントペーストを印刷形成した後に半導体基板の熱処理を行うことが示されている。熱処理を行うことにより、ドーパントペースト内のドーパントが半導体基板内に熱拡散し、ドーパント濃度の高い高濃度ドーパント拡散層である第1の拡散領域を形成する。同時に、ドーパントペーストから気相中に揮発したドーパント成分が半導体基板表面に付着した後、半導体基板内へ熱拡散され、第1の拡散領域よりもドーパント濃度の低い低濃度ドーパント拡散層である第2の拡散領域を形成する。これにより、一度の熱処理でドーパント濃度の高い第1の拡散領域と第1の拡散領域よりもドーパント濃度の低い第2の拡散領域とが形成される。
特開2007−235174号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、ドーパントペーストからの揮発成分が半導体基板に拡散して低濃度ドーパント拡散層が形成されるため、ドーパント濃度が均一な低濃度ドーパント拡散層を形成することができない、という問題がある。この場合には、低濃度ドーパント拡散層におけるドーパント濃度の不均一に起因して、太陽電池の面内において発電特性のばらつきが生じる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ドーパントペーストからの揮散成分の基板への拡散を防止してドーパント拡散層を形成できる太陽電池の製造方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1導電型の半導体基板の第1面に、膜厚が50nmより大、且つ200nm以下の第1酸化膜を形成する第1工程と、第1ドーパントを含んだ第1拡散源を前記第1酸化膜上に選択的に形成する第2工程と、前記第1拡散源が形成された前記半導体基板を熱処理して、前記第1面の表層における前記第1拡散源の直下領域に前記第1ドーパントが拡散した第1のドーパント拡散層を形成する第3工程と、前記第1のドーパント拡散層上に電極を形成する第4工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、ドーパントペーストからの揮散成分の基板への拡散を防止してドーパント拡散層を形成できる、という効果を奏する。
実施の形態1にかかる太陽電池セルを示す上面模式図 実施の形態1にかかる太陽電池セルを示す要部断面模式図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1における保護用酸化膜の膜厚とパッド部およびブランク部のシート抵抗との関係を示す特性図 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池を示す上面模式図 実施の形態5にかかる太陽電池を示す下面模式図 実施の形態5にかかる太陽電池を示す要部断面模式図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルを示す要部断面模式図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図
以下に、本発明の実施の形態にかかる太陽電池の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セル1を示す上面模式図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セル1を示す要部断面模式図であり、図1の線分A−Aにおける要部断面図である。
本実施の形態1にかかる太陽電池セル1においては、第1ドーパントとしてp型のドーパントであるリンが拡散されたn型の受光面側ドーパント拡散層3がp型の半導体基板2の受光面側の全体に形成されて、pn接合を有する半導体基板11が形成されている。また、受光面側ドーパント拡散層3上には、絶縁膜からなる反射防止膜4が形成されている。
半導体基板2としては、p型の単結晶シリコン基板を用いている。以下では、p型の単結晶シリコン基板からなる半導体基板2をp型シリコン基板2と呼ぶ場合がある。なお、半導体基板2はp型の単結晶シリコン基板に限定されるものではなく、p型の多結晶シリコン基板を用いてもよい。
半導体基板11における受光面側、すなわちn型の受光面側ドーパント拡散層3における受光面側には、光を閉じ込めるためのテクスチャ構造が形成されている。テクスチャ構造は、テクスチャと呼ばれる微小凹凸により形成されている。微小凹凸は、受光面において外部からの光を吸収する面積を増加し、受光面における反射率を抑え、効率良く光を太陽電池セル1に閉じ込める構造となっており、たとえばピラミッド形状の突起が形成される。微小凹凸の寸法は、一つの突起の一辺が0.1μm〜10μm程度であり、非常に微細であるため、図2および以下の図面では凹凸形状として図示していない。
反射防止膜4は、絶縁膜である窒化シリコン膜(SiN)で構成される。なお、反射防止膜4は、窒化シリコン膜に限定されず、シリコン酸化膜(SiO)または酸化チタン膜(TiO)などの絶縁膜により形成されてもよい。
また、半導体基板11における受光面側には、長尺細長の受光面側グリッド電極5aが複数並べて設けられ、この受光面側グリッド電極5aと導通する受光面側バス電極5bが受光面側グリッド電極5aと直交するように設けられており、それぞれ底面部においてn型の受光面側ドーパント拡散層3の受光面側高濃度ドーパント拡散層3aに電気的に接続している。受光面側グリッド電極5aおよび受光面側バス電極5bは銀材料により構成されている。
受光面側グリッド電極5aは、線幅50μm程度の線状パターンが2mm程度の間隔で平行配列され、半導体基板11の内部で発電した電気を集電する。また、受光面側バス電極5bは、1mm〜3mm程度の幅を有するとともに太陽電池セル1枚当たりに2本〜4本が平行配列され、受光面側グリッド電極5aで集電した電気を外部に取り出す。そして、受光面側グリッド電極5aと受光面側バス電極5bとにより、櫛形状を呈する第1電極である受光面側電極5が構成される。
シリコン太陽電池の受光面側電極の電極材料には、通常、銀ペーストが用いられ、フリット状の鉛ボロンガラスが添加されている。鉛ボロンガラスは、たとえば750℃〜850℃程度の加熱で溶解し、窒化シリコンを侵食する性質を有している。また一般に、結晶系シリコン太陽電池の製造方法においては、ガラスフリットの特性を利用してシリコン基板と銀ペーストとの電気的接触を得る方法が用いられている。
一方、半導体基板11において受光面と対向する面である裏面には、全体にわたってアルミニウム材料を含有する裏面側電極6が設けられている。また、半導体基板11における裏面の表層部には、p型のドーパントをp型シリコン基板2よりも高濃度に含んだp+層である裏面側BSF(Back Surface Field)層7が形成されている。裏面側BSF層7は、BSF効果を得るために設けられ、半導体基板2中の電子が消滅しないようにバンド構造の電界で半導体基板2の電子濃度を高めるようにする。
そして、太陽電池セル1においては、n型の受光面側ドーパント拡散層3として2種類の層が形成されて選択エミッタ構造が形成されている。p型シリコン基板2における受光面側の表層部において、受光面側電極5の下部領域およびその周辺領域には、n型のドーパントが相対的に高濃度に拡散された受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成されている。また、p型シリコン基板2における受光面側の表層部において、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成されていない領域には、n型のドーパントが相対的に低濃度に拡散された受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが形成されている。すなわち、太陽電池セル1は、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aと受光面側低濃度ドーパント拡散層3bとを備える選択エミッタ構造を有する。受光面側高濃度ドーパント拡散層3aは、受光面側低濃度ドーパント拡散層3bに比べて低い電気抵抗を有する低抵抗拡散層である。受光面側低濃度ドーパント拡散層3bは、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aに比べて高い電気抵抗を有する高抵抗拡散層である。
したがって、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aのドーパント拡散濃度を第1拡散濃度とし、受光面側低濃度ドーパント拡散層3bのドーパント拡散濃度を第2拡散濃度とすると、第2拡散濃度は、第1拡散濃度よりも低くなる。また、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの電気抵抗値を第1電気抵抗値とし、受光面側低濃度ドーパント拡散層3bの電気抵抗値を第2電気抵抗値とすると、第2電気抵抗値は、第1電気抵抗値よりも大きくなる。
上述した受光面側電極5は、受光面側高濃度ドーパント拡散層3a上に形成されている。また、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aにおいて受光面側電極5が形成されていない領域および受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが形成されている領域が、太陽電池セル1に光が入射する受光面となる。そして、太陽電池セル1では、受光面側電極5の下部には電気抵抗の低い受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成されて、半導体基板11と受光面側電極5との間の接触抵抗を小さくしている。また、半導体基板11の受光面側における受光面側高濃度ドーパント拡散層3a以外の領域にはドーパント濃度の低い受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが形成されて、キャリアの再結合速度を小さくする。
つぎに、本実施の形態1にかかる太陽電池セル1の製造方法について図3〜図14を参照しながら説明する。図3は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セル1の製造方法のプロセスフローを示したフローチャートである。図4〜図13は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池セル1の製造工程を説明する要部断面図である。
図4は、図3のステップS101およびステップS102の説明図である。ステップS101では、半導体基板2としてp型シリコン基板2を用意する。p型シリコン基板2は、単結晶引き上げで得られた単結晶シリコンインゴットをバンドソーまたはマルチワイヤーソー等の切断装置を用いて所望のサイズおよび厚さにカットおよびスライスして製造するため、表面にスライス時のダメージ層が残っている。そこで、ダメージ層の除去も兼ねて、p型シリコン基板2の表面をエッチングすることにより、シリコン基板の切り出し時に発生してp型シリコン基板2の表面近くに存在するダメージ層を取り除く。
ステップS102は、p型シリコン基板2の表面に微小凹凸を形成してテクスチャ構造を形成する。微小凹凸は非常に微細であるため、図4〜図13では凹凸形状として表現していない。テクスチャ構造の形成には、6%の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液にイソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)を10%混合した薬液を用いる。板状にスライスされたp型シリコン基板2を、80℃に設定された薬液中に10分浸漬することで、p型シリコン基板2の表面がエッチングされてp型シリコン基板2の表面全面にテクスチャ構造が得られる。
上記のエッチング条件ではp型シリコン基板2の表面が10μm程度の深さでエッチングされるので、スライス時にp型シリコン基板2の表面に形成されたダメージ層も同時に除去できる。したがって、ステップS101におけるダメージ層の除去をステップS102で兼ねてもよい。ここではNaOH水溶液にイソプロピルアルコールを混入した薬液を用いる場合について示したが、NaOH水溶液または水酸化カリウム(KOH)水溶液等のアルカリ性水溶液に、市販のテクスチャエッチング用添加剤を加えた薬液を用いてもかまわない。また、p型シリコン基板2が多結晶シリコン基板である場合は、フッ酸と硝酸との混合液を用いることもできる。
図5は、図3のステップS105の説明図である。ステップS105は、p型シリコン基板2における、太陽電池セル1の受光面となる第1面と、太陽電池セル1の裏面となる第2面との両面に第1酸化膜として保護用酸化膜13を形成する工程である。保護用酸化膜13の形成は、ドライ酸化またはウエット酸化を実施することで実現される。具体的には、たとえば300枚のp型シリコン基板2が3.5mm間隔で載置された石英ガラス製のボートが、700℃〜800℃程度に加熱された横型炉の石英チューブ内へ装入される。10SLMの窒素を導入しながら石英チューブ内を1100℃℃まで昇温し、石英チューブ内の温度が1100℃に到達すると石英チューブ内へ酸素を30分間流す。30分後に酸素の導入を停止し、石英チューブ内に導入するガスを窒素に切り替える。そして、石英チューブ内を再び700℃〜800℃程度まで降温した後、ボートを石英チューブから取り出す。このとき、p型シリコン基板2の表裏面には、酸化膜が60nm程度の膜厚で形成される。ここでは、保護用酸化膜13の形成に、高温下の石英チューブ内に酸素を導入するドライ酸化を用いたが、石英チューブ内に水蒸気を導入するウエット酸化を用いてもよい。ウエット酸化とは、純水を酸素でバブリングし、水蒸気を含んだ酸素を炉内へ導入する方法である。ウエット酸化を用いる場合は、たとえば石英チューブ内の温度が930℃の状態で、水蒸気を含んだ酸素を15分間、石英チューブ内に導入することで、60nm程度の酸化膜を得ることが可能である。
図6は、図3のステップS106の説明図である。ステップS106は、保護用酸化膜13上に第1拡散源としてドーパントペーストを印刷する工程である。ここでは、ドーパントペーストとして、リン酸化物を含んだ樹脂ペーストであるリン含有ドーパントペースト14をスクリーン印刷法を用いて保護用酸化膜13上に選択的に印刷する。リン含有ドーパントペースト14の印刷パターンは、線幅150μm幅の線状パターンを2mm間隔で平行配列したパターンと、線幅1.2mmの4本の線状パターンを平行配列したパターンとからなる櫛形状のパターンとする。印刷後、リン含有ドーパントペースト14を250℃で5分間乾燥させる。なお、リン含有ドーパントペースト14の印刷方法はスクリーン印刷法に限らず、インクジェット法またはノズルから直接吐出する方法を用いることができる。
図7は、図3のステップS107の説明図である。ステップS107は、リン含有ドーパントペースト14が印刷されたp型シリコン基板2を熱処理する工程である。横型炉にp型シリコン基板2を載置したボートを装入し、960℃程度で10分間、p型シリコン基板2を熱処理する。この熱処理により、リン含有ドーパントペースト14内のドーパント成分であるリンが、保護用酸化膜13を貫通してリン含有ドーパントペースト14の直下のp型シリコン基板2内に熱拡散し、第1のドーパント拡散層でありシート抵抗が25Ω/□程度の受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成される。すなわち、リン含有ドーパントペースト14内のリンが保護用酸化膜13を貫通してリン含有ドーパントペースト14の直下領域におけるp型シリコン基板2に拡散して受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成される。リン含有ドーパントペースト14内のリンが該リン含有ドーパントペースト14の直下のp型シリコン基板2内に熱拡散するため、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aはリン含有ドーパントペースト14の印刷パターンと同じ櫛形状のパターンで形成される。なお、リン含有ドーパントペースト14内のドーパント成分であるリンは、保護用酸化膜13を貫通してリン含有ドーパントペースト14の直下領域、およびp型シリコン基板2の面方向においてこの直下領域に隣接する領域にも僅かに広がって拡散する。本明細書では、この隣接する領域も含めて、直下領域と呼ぶ。
一方、保護用酸化膜13は、熱処理時におけるリン含有ドーパントペースト14から揮散したドーパント成分が、直下領域以外のp型シリコン基板2へ拡散することを防止する。以下に、ステップS105で形成した保護用酸化膜13の作用効果について説明する。ステップS107の熱処理の過程でリン含有ドーパントペースト14の表面から雰囲気中にドーパント成分が揮散する。ここで、ステップS107の熱処理の過程で揮散したドーパント成分は保護用酸化膜13に阻害されて、保護用酸化膜13の下のp型シリコン基板2中へは拡散しないことが本発明者の実験により明らかとなった。
揮散したドーパント成分を保護用酸化膜13が阻害する阻害度合いは、保護用酸化膜13の膜厚による。そこで、以下では保護用酸化膜13の膜厚と阻害度合いとの関係を、基礎実験の結果を示しながら説明する。発明者らは基礎実験のために、テクスチャ構造を形成した、156mm角のp型シリコン基板を複数枚、準備した。その後、図3のステップS105に類似の方法で、様々な膜厚の保護用酸化膜をp型シリコン基板の表面に形成した。保護用酸化膜の膜厚の範囲は、酸化膜無しに対応する0nmから、230nmまでとした。その後、図3のステップS106に類似の方法で、リン含有ドーパントペーストをp型シリコン基板の一面側の表面に印刷形成した。その後、図3のステップS107に類似の方法でp型シリコン基板に熱処理を実施した。
ここで、リン含有ドーパントペーストの印刷パターンは、特殊なテストパターンを用いた。テストパターンは、156mm角のp型シリコン基板における両面のほぼ全面に、図3のステップS106で説明した櫛形パターンを形成し、部分的に10mm角にドーパントペーストで塗りつぶした部分を併設し、かつ、部分的に10mm角にドーパントペーストを全く形成しない空白部分を設けたパターンである。以下、部分的に10mm角にドーパントペーストで塗りつぶした部分を、パッド部と呼ぶ。また、部分的に10mm角にドーパントペーストを全く形成しない空白部分を、ブランク部と呼ぶ。パッド部は、後工程で、p型シリコン基板においてドーパントペーストが形成された領域のシート抵抗の変化を確認するために設けている。また、ブランク部は、p型シリコン基板におけるドーパントペーストの形成されていない領域においてドーパントペーストからの揮発成分によるシート抵抗の変化を確認するために設けている。シート抵抗の評価は1mm間隔でプローブを1列に4本接触させて4端子測定するために、10mm角程度の評価領域が必要である。
熱処理後、図3のステップS108に類似の方法で保護用酸化膜およびリン含有ドーパントペーストの除去を実施した。保護用酸化膜およびリン含有ドーパントペーストの除去後のパッド部およびブランク部のシート抵抗を測定した結果を図14に示す。図14は、実施の形態1における保護用酸化膜の膜厚とパッド部およびブランク部のシート抵抗との関係を示す特性図である。p型シリコン基板の表面に保護用酸化膜がない場合、すなわち保護用酸化膜の膜厚が0nmの場合は、ドーパントペーストを形成していないブランク部でも100Ω/□程度のシート抵抗を示し、すなわち隣接ドーパントペーストからの揮発成分によりリンの拡散が成されていることが分かった。
一方、p型シリコン基板の表面に保護用酸化膜を形成し、保護用酸化膜の膜厚を厚くしていくと、ブランク部のシート抵抗は急激に増加した。そして、保護用酸化膜の膜厚が50nmより大の場合は、ブランク部のシート抵抗は300Ω/□程度以上となり、拡散層としてはほとんど機能しない値となることが分かった。このことは、リンはシリコン中の拡散速度よりも酸化膜中の拡散速度の方が遅く、酸化膜が拡散保護膜として機能することを示している。
一方、パッド部では保護用酸化膜を形成しても、保護用酸化膜の膜厚増加に対するシート抵抗の増加がゆるやかであった。ただし、保護用酸化膜の膜厚が200nmを超える場合には、パッド部のシート抵抗は300Ω/□を超え、拡散層として機能しなくなることが分かった。
以上のことから、保護用酸化膜を50nmから200nmの間の膜厚で形成することにより、保護用酸化膜が、p型シリコン基板の表面に対するドーパントペーストからの揮発成分の拡散を防止する保護膜として機能し、ドーパントペースト直下には該ドーパントペーストからリンの拡散が成されることがわかった。ここで、保護用酸化膜の膜厚を200nm以下に設定してもドーパントペースト直下のp型シリコン基板のシート抵抗は膜厚に応じて徐々に増加する傾向がある。この場合は、所望のシート抵抗のp型シリコン基板を得るためには、保護用酸化膜の膜厚に応じて熱処理条件を変更すればよい。
図8は、図3のステップS108の説明図である。ステップS108は、保護用酸化膜13およびリン含有ドーパントペースト14を除去する工程である。保護用酸化膜13およびリン含有ドーパントペースト14の除去は、p型シリコン基板2を10%フッ酸水溶液に240秒程度浸漬することにより行うことができる。
図9は、図3のステップS103の説明図である。ステップS103は、p型シリコン基板2における、太陽電池セル1の受光面となる第1面と、太陽電池セル1の裏面となる第2面とのそれぞれに、受光面側低濃度ドーパント拡散層3bまたは低濃度ドーパント拡散層3cを形成する熱拡散を行う工程である。受光面側低濃度ドーパント拡散層3bと低濃度ドーパント拡散層3cとの形成は、テクスチャ構造が形成されたp型シリコン基板2を熱拡散炉に装入し、オキシ塩化リン(POCl)蒸気存在下で熱処理することで実現される。具体的には、たとえば300枚のp型シリコン基板2が3.5mm間隔で載置された石英ガラス製のボートが、750℃程度に加熱された横型炉の石英チューブ内へ装入される。10SLMの窒素を導入しながら石英チューブ内を820℃まで昇温し、石英チューブ内へ材料ガスを10分間流す。材料ガスは、ガラス容器に封入されたPOClに窒素ガスをバブリングさせて、POCl蒸気としたものである。10分後に材料ガスの導入を停止し、さらに10分間、石英チューブ内を820℃に維持した後、再び750℃まで降温し、ボートを石英チューブから取り出す。
このとき、p型シリコン基板2の表面の表層、すなわちp型シリコン基板2の受光面側の表層には、第2のドーパント拡散層でありリンが第1のドーパント拡散層よりも低い均一な濃度で拡散した受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの形成されていない領域に形成されている。さらに、酸化膜でありリンを含有した不純物含有ガラス層であるリン含有ガラス層12が受光面側高濃度ドーパント拡散層3aと受光面側低濃度ドーパント拡散層3bとの上に形成されている。また、p型シリコン基板2の裏面の表層には、リンが均一な濃度で拡散した低濃度ドーパント拡散層3cが形成されている。さらに、酸化膜でありリンを含有した不純物含有ガラス層であるリン含有ガラス層12が、低濃度ドーパント拡散層3cの上に形成されている。
p型シリコン基板2の受光面側にはステップS103の熱拡散を実施する前に既に受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成された領域が存在するが、ステップS103で形成される受光面側低濃度ドーパント拡散層3bのドーパント濃度は、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aのドーパント濃度よりも相対的に低濃度である。このため、ステップS103の工程を経た後も、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aは高濃度のまま、p型シリコン基板2の受光面側に残存する。したがって、ステップS103を経た後のp型シリコン基板2の受光面側は、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが部分的に存在し、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの間を埋めるように受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが存在する。
また、上記のようにして得られる低濃度ドーパント拡散層3cは、4端子法で測定するシート抵抗が100Ω/□程度となる。シート抵抗の測定は、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの影響を受けるため、受光面側では正確に行えない。そこで発明者は、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの無い、p型シリコン基板2の裏面の低濃度ドーパント拡散層3cを評価している。
横型炉の代わりに縦型炉を使用してもよい。なお、材料ガスには、POCl以外の材料を使用することも可能である。また、ステップS103においてn型の受光面側低濃度ドーパント拡散層3bおよびn型の低濃度ドーパント拡散層3cを形成するためのドーパントは、太陽電池セルの形成に使用可能なn型ドーパントであればよい。
図10は、図3のステップS104の説明図である。ステップS104は、リン含有ガラス層12を除去する工程である。リン含有ガラス層12は、10%フッ酸水溶液にp型シリコン基板2を60秒程度浸漬することで除去可能である。
図11は、図3のステップS109の説明図である。ステップS109は、反射防止膜4を形成する工程である。反射防止膜4の形成は、屈折率2.1、膜厚80nmの窒化シリコン膜をプラズマCVD方式により受光面側ドーパント拡散層3上、すなわち受光面側高濃度ドーパント拡散層3a上および受光面側低濃度ドーパント拡散層3b上に成膜する。窒化シリコン膜は反射防止膜4としてだけでなく、p型シリコン基板2の受光面側の表面再結合を抑制するためのパッシベーション膜としても機能する。
図12は、図3のステップS110の説明図である。ステップS110は、電極を印刷する工程である。p型シリコン基板2の裏面では、低濃度ドーパント拡散層3c上の全面に、アルミニウム(Al)を含有する裏面側電極形成用のアルミニウム(Al)含有ペースト15をスクリーン印刷して焼成前の裏面側電極を形成する。Al含有ペースト15を250℃で5分乾燥させた後、p型シリコン基板2の受光面側において、銀(Ag)を含有する受光面側電極形成用の銀(Ag)含有ペースト16を反射防止膜4上にスクリーン印刷し、焼成前の受光面側電極5を形成する。
Ag含有ペースト16の印刷パターンは、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aと同じ櫛形状であり、線幅50μmの線状パターンを2mm間隔で平行配列したパターンと、線幅1mmの4本の線状パターンを平行配列したパターンとからなる櫛形状のパターンである。また、Ag含有ペースト16は、ステップS106で形成したリン含有ドーパントペースト14のパターンの幅150μmの領域内および幅1.2mmの領域内に内包される位置に印刷される。すなわち、Ag含有ペースト16は、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aのパターンの幅150μmの領域内および幅1.2mmの領域内に内包される位置に印刷される。
Ag含有ペースト16の印刷位置は、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aのパターンに位置合わせする必要がある。赤外カメラを用いて受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの領域を画像認識して、Ag含有ペースト16の印刷位置を決定する。赤外カメラを用いた画像認識以外にも、ステップS101の時点でp型シリコン基板2の外周縁部に位置合わせ用の十字マークをレーザ加工機で印字し、ステップS106のリン含有ドーパントペースト印刷工程と、ステップS110におけるAg含有ペースト16の印刷工程とにおいて、それぞれ十字マークを基準に位置合わせしてもよい。また、ステップS106とステップS110とでp型シリコン基板2の外形の3点を認識することでAg含有ペースト16の印刷位置を決定してもよい。仮にAg含有ペースト16の印刷位置にずれが生じた場合には、受光面側電極5が受光面側低濃度ドーパント拡散層3b上に形成され、受光面側ドーパント拡散層3と受光面側電極5との接触抵抗の増大による曲線因子の悪化、表面再結合増大による開放電圧の悪化が生じる。このため、Ag含有ペースト16の印刷位置の受光面側高濃度ドーパント拡散層3aのパターンへの位置合わせは重要である。
図13は、図3のステップS111の説明図である。ステップS111は、電極形成用のペーストを焼成して電極を形成する熱処理を行う工程である。電極形成用のペーストが形成されたp型シリコン基板2をトンネル炉へ装入し、ピーク温度800℃、3秒で短時間熱処理する。これにより、ペースト中の樹脂成分が消失し、Ag含有ペースト16では、含有されるガラス粒子が反射防止膜4の窒化シリコン膜を貫通し、Ag粒子が受光面側高濃度ドーパント拡散層3aに接触し、電気的導通を得る。これにより、受光面側電極5が得られる。
また、Al含有ペースト15に含有されるAlはp型シリコン基板2の裏面のシリコンと反応してアルミニウム−シリコン(Al−Si)合金を形成し、p型シリコン基板2の裏面の低濃度ドーパント拡散層3cをAl−Si合金が貫通し、さらにp型シリコン基板2の裏面のシリコン内へAlが拡散して裏面側BSF層7を形成する。これにより、裏面側電極6が得られる。
以上の工程を実施することにより、図1および図2に示す、p型シリコン基板2の面方向において受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが均一なドーパント濃度を有する太陽電池セル1を得ることができる。
なお、半導体基板2としてn型の単結晶のシリコン基板またはn型の多結晶シリコン基板を用いてもよい。この場合は、本実施の形態1における各部材の導電型を逆にすればよい。この場合も上述した工程を実施することにより、図1および図2に示す構成を有し、n型シリコン基板の面方向において均一なドーパント濃度を有するp型の受光面側低濃度ドーパント拡散層を備える太陽電池セルを得ることができる。
上述したように、本実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法においては、p型シリコン基板2に、50nmより大、200nm以下の膜厚の保護用酸化膜13を形成する。そして、保護用酸化膜13上にリン含有ドーパントペースト14を既定のパターンで印刷して熱処理を行う。このため、保護用酸化膜13に覆われたp型シリコン基板2にはリン含有ドーパントペースト14から揮発したドーパント成分による拡散がなされず、後の工程で形成される低濃度ドーパント拡散層3cにおけるドーパント成分の拡散濃度の不均一性を排除することができる。
これにより、実施の形態1によれば、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aと、受光面側低濃度ドーパント拡散層3bとを備える選択エミッタ構造を有する太陽電池セル1を、リン含有ドーパントペースト14からの揮散成分のp型シリコン基板2への拡散を防止して容易に得ることができる。すなわち、p型シリコン基板2の面方向における受光面側低濃度ドーパント拡散層3bのドーパント濃度の不均一に起因した発電特性のばらつきが防止された、面方向において均一な発電特性を有する太陽電池セル1を容易に得ることができる。
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法の変形例について図15〜図21を参照しながら説明する。図15は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造方法のプロセスフローを示したフローチャートである。図16〜図21は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図である。
本実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造方法では、実施の形態1における図3のフローチャートのうちステップS105の保護用酸化膜形成より前に、ステップS103の熱拡散およびステップS104のリン含有ガラス層除去を実施する。これにより、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの形成後に800℃を超える熱処理を行うことがない。このため、800℃を超える熱処理により受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの表面のドーパントが受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの内部に拡散してしまうことが無い。したがって、800℃を超える熱処理に起因して受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの表面ドーパント濃度を低下させることが無く、良好な電極コンタクトを維持することができる。
本発明の実施の形態2では、まず、実施の形態1の場合と同様にステップS101およびステップS102を行う。
図16は、図15のステップS103の説明図である。ステップS103は、p型シリコン基板2における、太陽電池セル1の受光面となる第1面と、太陽電池セル1の裏面となる第2面との両面に低濃度ドーパント拡散層3cを形成する熱拡散を行う工程である。低濃度ドーパント拡散層3cの形成は、テクスチャ構造が形成されたp型シリコン基板2を熱拡散炉に装入し、オキシ塩化リン(POCl)蒸気存在下で熱処理することで実現される。具体的には、たとえば300枚のp型シリコン基板2が3.5mm間隔で載置された石英ガラス製のボートが、750℃に加熱された横型炉の石英チューブ内へ装入される。10SLMの窒素を導入しながら石英チューブ内を820℃まで昇温し、石英チューブ内へ材料ガスを10分間流す。材料ガスは、ガラス容器に封入されたPOClに窒素ガスをバブリングさせて、POCl蒸気としたものである。10分後に材料ガスの導入を停止し、さらに10分間、石英チューブ内を820℃で維持し、再び750℃まで降温し、ボートを石英チューブから取り出す。このときp型シリコン基板2の表裏面には、p型シリコン基板2の面方向においてリンが第1のドーパント拡散層よりも低い均一な濃度で拡散した第2のドーパント拡散層である低濃度ドーパント拡散層3cと、酸化膜でありリンを含有した不純物含有ガラス層であるリン含有ガラス層12とがこの順で形成されている。また、このようにして得られる低濃度ドーパント拡散層3cは、4端子法で測定するシート抵抗が100Ω/□程度となる。横型炉の代わりに縦型炉を使用してもよい。なお、材料ガスには、POCl以外の材料を使用することも可能である。また、n型の低濃度ドーパント拡散層3cの形成を形成するためのドーパントは、太陽電池セルの形成に使用可能なn型ドーパントであればよい。
図17は、図15のステップS104の説明図である。ステップS104は、リン含有ガラス層12を除去する工程である。リン含有ガラス層12は、10%フッ酸水溶液にp型シリコン基板2を60秒程度浸漬することで除去可能である。
図18は、図15のステップS105の説明図である。ステップS105は、p型シリコン基板2において受光面となる第1面側の低濃度ドーパント拡散層3c上に第1酸化膜として保護用酸化膜13を形成する工程である。保護用酸化膜13として、シラン(SiH)を材料ガスとした常圧化学蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)法によりシリコン酸化膜を形成する。具体的には、500℃に加熱したp型シリコン基板2を大気圧のシランと酸素(O)との混合雰囲気中に曝露することで120nmの膜厚のシリコン酸化膜を形成する。常圧CVD法は低温で成膜レートの早い成膜が可能なため採用したが、ウエット酸化あるいはドライ酸化により形成した熱酸化膜も、保護用酸化膜13として使用可能である。ただし、ウエット酸化およびドライ酸化は、プロセス温度が900℃〜1000℃程度と高いため、先に形成された低濃度ドーパント拡散層3c中のドーパントの濃度プロファイルが変化することに留意する必要がある。なお、ウエット酸化およびドライ酸化においては、先に形成された低濃度ドーパント拡散層3c中のドーパントの濃度プロファイルを、プロセス温度に起因した変化を考慮しておくことが好ましい。
図19は、図15のステップS106の説明図である。ステップS106は、保護用酸化膜13上に第1拡散源としてドーパントペーストを印刷する工程である。ここでは、ドーパントペーストとして、リン酸化物を含んだ樹脂ペーストであるリン含有ドーパントペースト14をスクリーン印刷法を用いて保護用酸化膜13上に選択的に印刷する。リン含有ドーパントペースト14の印刷パターンは、線幅150μm幅の線状パターンを2mm間隔で平行配列したパターンと、線幅1.2mmの4本の線状パターンを平行配列したパターンとからなる櫛形状のパターンとする。印刷後、リン含有ドーパントペースト14を250℃で5分間乾燥させる。なお、リン含有ドーパントペースト14の印刷方法はスクリーン印刷法に限らず、インクジェット法またはノズルから直接吐出する方法を用いることができる。
図20は、図15のステップS107の説明図である。ステップS107は、リン含有ドーパントペースト14が印刷されたp型シリコン基板2を熱処理する工程である。ステップS103と同様の横型炉にp型シリコン基板2を載置したボートを装入し、960℃で10分間、p型シリコン基板2を熱処理する。この熱処理により、リン含有ドーパントペースト14内のドーパント成分であるリンが、保護用酸化膜13を貫通してリン含有ドーパントペースト14の直下のp型シリコン基板2内に熱拡散し、第1のドーパント拡散層でありシート抵抗が25Ω/□程度の受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成される。すなわち、リン含有ドーパントペースト14内のリンが保護用酸化膜13を貫通してリン含有ドーパントペースト14の直下領域における低濃度ドーパント拡散層3cとp型シリコン基板2とに拡散して受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成される。リン含有ドーパントペースト14内のリンが該リン含有ドーパントペースト14の直下のp型シリコン基板2内に熱拡散するため、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aはリン含有ドーパントペースト14の印刷パターンと同じ櫛形状のパターンで形成される。なお、リン含有ドーパントペースト14内のドーパント成分であるリンは、保護用酸化膜13を貫通してリン含有ドーパントペースト14の直下領域、およびp型シリコン基板2の面方向においてこの直下領域に隣接する領域にも僅かに広がって拡散する。
一方、保護用酸化膜13は、実施の形態1で説明した通り、熱処理時におけるリン含有ドーパントペースト14から揮散したドーパント成分の低濃度ドーパント拡散層3cへの拡散を防止する。すなわち、受光面側の低濃度ドーパント拡散層3cにおいてリン含有ドーパントペースト14の直下の領域以外の領域は、リン含有ドーパントペースト14からドーパント成分であるリンが拡散することがなく、シート抵抗は100Ω/□程度のままである。したがって、p型シリコン基板2の受光面側の低濃度ドーパント拡散層3cのうち、リン含有ドーパントペースト14の直下領域に受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成され、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成されない領域が受光面側低濃度ドーパント拡散層3bとなる。これにより、受光面側ドーパント拡散層3が形成され、半導体基板11が得られる。
したがって、実施の形態1で説明した通り、保護用酸化膜13の膜厚を50nmより大、200nm以下とすることにより、ステップS107の熱処理の過程で揮散したドーパント成分は保護用酸化膜13に阻害されてp型シリコン基板2へは拡散せず、且つリン含有ドーパントペースト14の直下の領域のp型シリコン基板2へはリン含有ドーパントペースト14からドーパント成分を拡散させて受光面側高濃度ドーパント拡散層3aを形成できる。すなわち、本実施の形態2では、ステップS107の熱処理の過程で揮散したドーパント成分の拡散と、リン含有ドーパントペースト14からの直接の拡散とでは、保護用酸化膜13を貫通できる膜厚が異なることを利用して、揮散したドーパント成分の拡散に起因したドーパント濃度の不均一性を排除している。これにより、リン含有ドーパントペースト14を用いた熱拡散により受光面側高濃度ドーパント拡散層3aを形成する際に、先に形成されている低濃度ドーパント拡散層3cの濃度がp型シリコン基板2の面内において不均一になることを防止できる。
図21は、図15のステップS108の説明図である。ステップS108は、保護用酸化膜13およびリン含有ドーパントペースト14を除去する工程である。保護用酸化膜13およびリン含有ドーパントペースト14の除去は、p型シリコン基板2を10%フッ酸水溶液に240秒程度浸漬することにより行うことができる。
これ以降は、実施の形態1の場合と同様に、ステップS109〜ステップS111を行うことにより、図1および図2に示す、p型シリコン基板2の面方向において受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが均一なドーパント濃度を有する太陽電池セル1を得ることができる。
これにより、実施の形態2によれば、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aと、受光面側低濃度ドーパント拡散層3bとを備える選択エミッタ構造を有する太陽電池セル1を、リン含有ドーパントペースト14からの揮散成分のp型シリコン基板2への拡散を防止して容易に得ることができる。すなわち、p型シリコン基板2の面方向における受光面側低濃度ドーパント拡散層3bのドーパント濃度の不均一に起因した発電特性のばらつきが防止された、面方向において均一な発電特性を有する太陽電池セル1を容易に得ることができる。また、実施の形態2によれば、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの形成後に800℃を超える温度で熱処理を実施することがないため、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの表面ドーパント濃度を低下させることがなく、良好な電極コンタクトを維持することができる。
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態2にかかる太陽電池の製造方法の変形例について図22〜図26を参照しながら説明する。図22は、本発明の実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造方法のプロセスフローを示したフローチャートである。図23〜図26は、本発明の実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図である。なお、図22において、図3、図15と同じ工程については同じ番号を付している。また、図23〜図26においては、上述した実施の形態と同じ部材については同じ番号を付している。
本実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造方法では、実施の形態2における図15のフローチャートのうちステップS104のリン含有ガラス層除去の工程と、ステップS105の保護用酸化膜形成の工程とが省略されるとともに、ステップS103の熱拡散の工程中に保護用酸化膜形成を実施する。実施の形態2におけるステップS103では、酸化膜であるリン含有ガラス層12が20nm程度形成されるが、この膜厚ではステップS107のドーパントペーストの熱処理工程で、ドーパントペーストの揮散成分からの拡散を阻害するには不十分である。そこで、本実施の形態3では、実施の形態2のステップS103の熱拡散工程の後半に1100℃、30分のドライ酸化工程、または930℃、15分のウエット酸化工程を装入する。
本発明の実施の形態3では、まず、実施の形態1の場合と同様にステップS101およびステップS102を行う。
図23は、図22のステップS201の説明図である。ステップS201は、p型シリコン基板2の表面に低濃度ドーパント拡散層3cを形成する熱拡散を行い、さらに熱拡散で形成されるリン含有ガラス層12がp型シリコン基板2上に残存した状態で保護用酸化膜13を形成する工程である。低濃度ドーパント拡散層3cを形成する熱拡散は、実施の形態2の場合と同様に行う。このときp型シリコン基板2の表裏面には、p型シリコン基板2の面方向においてリンが均一な濃度で拡散した低濃度ドーパント拡散層3cと、酸化膜でありリンを含有した不純物含有ガラス層であるリン含有ガラス層12とがこの順で形成される。
そして、熱拡散の後、1100℃、30分のドライ酸化工程、または930℃、15分のウエット酸化工程を実施する。ドライ酸化工程では、熱拡散を行った後にボートを取り出さずに10SLMの窒素を導入しながら石英チューブ内を1000℃〜1100℃程度まで昇温し、石英チューブ内へ材料ガスを10分間流す。材料ガスは、水蒸気を含まない酸素ガスである。また、ウエット酸化工程では、熱拡散を行った後にボートを取り出さずに10SLMの窒素を導入しながら石英チューブ内を930℃〜1030℃程度まで昇温し、石英チューブ内へ材料ガスを15分間流す。材料ガスは、水蒸気を含む酸素ガスである。これにより、p型シリコン基板2の表裏面におけるリン含有ガラス層12上に保護用酸化膜13が形成される。
図24は、図22のステップS202の説明図である。ステップS202は、受光面側の保護用酸化膜13上にリン含有ドーパントペースト14を選択的に印刷する工程である。リン含有ドーパントペースト14の印刷は、実施の形態2の場合と同様に行う。
図25は、図22のステップS203の説明図である。ステップS203は、リン含有ドーパントペースト14を印刷したp型シリコン基板2を熱処理する工程である。p型シリコン基板2の熱処理は、実施の形態1のステップS107と同様にして、960℃で10分間、p型シリコン基板2を熱処理する。この熱処理により、ステップS107と同様に、リン含有ドーパントペースト14内のリンが、保護用酸化膜13を貫通してリン含有ドーパントペースト14の直下のp型シリコン基板2内に熱拡散し、ステップS107と同様に、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成される。すなわち、リン含有ドーパントペースト14内のリンが保護用酸化膜13とリン含有ガラス層12とを貫通してリン含有ドーパントペースト14の直下の領域における低濃度ドーパント拡散層3cとp型シリコン基板2とに拡散して受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成される。
図26は、図22のステップS204の説明図である。ステップS204は、保護用酸化膜13、リン含有ガラス層12およびリン含有ドーパントペースト14を除去する工程である。保護用酸化膜13、リン含有ガラス層12およびリン含有ドーパントペースト14の除去は、実施の形態2の場合と同様にp型シリコン基板2を10%フッ酸水溶液に浸漬することにより行うことができる。ステップS204の実施後のp型シリコン基板2の状態は、実施の形態1のステップS108の実施後と同じ状態になる。
これ以降は、実施の形態2の場合と同様に、ステップS109〜ステップS111を行うことにより、図1および図2に示す、p型シリコン基板2の面方向において受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが均一なドーパント濃度を有する太陽電池セル1を得ることができる。
なお、半導体基板2としてn型の単結晶のシリコン基板またはn型の多結晶シリコン基板を用いてもよい。この場合は、本実施の形態3における各部材の導電型を逆にすればよい。この場合も上述した工程を実施することにより、図1および図2に示す構成を有し、n型シリコン基板の面方向において均一なドーパント濃度を有するp型の受光面側低濃度ドーパント拡散層を備える太陽電池セル1をリン含有ドーパントペースト14からの揮散成分のp型シリコン基板2への拡散を防止して容易に得ることができる。
本実施の形態3で注意すべきことは、ステップS201の熱拡散工程で形成されるリン含有ガラス層12が低濃度ドーパント拡散層3c上に残存した状態で、保護用酸化膜13の形成工程として1100℃程度または930℃程度で加熱すること、またステップS203で熱処理として960℃程度で加熱することである。これらの熱印加によりリン含有ガラス層12からp型シリコン基板2内へさらにリンが拡散される。このため、リン含有ガラス層12中のリン含有量を調節する必要がある。
上述した実施の形態3によれば、p型シリコン基板2の面方向において受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが均一なドーパント濃度を有する太陽電池セル1を、実施の形態1の場合よりも少ない工程数で得ることができる。したがって、低濃度拡散領域におけるドーパント濃度が半導体基板の面内において均一な太陽電池をより簡便な方法で製造できる。
実施の形態4.
本実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造方法について図27〜図35を参照しながら説明する。図27は、本発明の実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造方法のプロセスフローを示したフローチャートである。図28〜図35は、本発明の実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図である。なお、図28〜図35においては、上述した実施の形態と同じ部材については同じ番号を付している。
図28は、図27のステップS301およびステップS302の説明図である。ステップS301およびステップS302では、実施の形態1のステップS101およびステップS102と同じ処理を実施する。
図29は、図27のステップS303の説明図である。ステップS303では、p型シリコン基板2の受光面側に酸化膜としてリン含有酸化膜31および保護用酸化膜32を形成する工程である。ここではシラン(SiH)と酸素(O)とホスフィン(PH)とを材料ガスとした常圧CVD法によりシリコン酸化膜を形成する。具体的には、500℃に加熱したp型シリコン基板2を大気圧のシランと酸素とホスフィンとの混合雰囲気中に曝露することで、まずp型シリコン基板2の受光面側に、リンを含有する30nmの膜厚の第1下層酸化膜であるリン含有酸化膜31を形成する。この後、ホスフィンの混合を停止し、シランと酸素との混合雰囲気中にp型シリコン基板2を曝露することで、リンを含有しない120nmの膜厚の第1上層酸化膜である保護用酸化膜32をリン含有酸化膜31上に形成する。リン含有酸化膜31におけるリンの含有濃度は、リン含有ドーパントペースト14よりも低い。
図30は、図27のステップS304の説明図である。ステップS304は、保護用酸化膜32上にリン含有ドーパントペースト14を選択的に印刷する工程である。リン含有ドーパントペースト14の印刷は、実施の形態1のステップS106と同様に行う。リン含有ドーパントペースト14の印刷パターンは、線幅150μm幅の線状パターンを2mm間隔で平行配列したパターンと、線幅1.2mmの4本の線状パターンを平行配列したパターンとからなる櫛形状のパターンである。印刷後、リン含有ドーパントペースト14を250℃で5分間乾燥させる。
図31は、図27のステップS305の説明図である。ステップS305は、リン含有ドーパントペースト14を印刷したp型シリコン基板2を熱処理する工程である。具体的には、横型炉にp型シリコン基板2を載置したボートを装入し、960℃で15分間、p型シリコン基板2を熱処理する。この熱処理により、リン含有ドーパントペースト14内のドーパント成分であるリンが、保護用酸化膜32およびリン含有酸化膜31を貫通してリン含有ドーパントペースト14の直下のp型シリコン基板2内に熱拡散し、またリン含有酸化膜31内のリンが、リン含有ドーパントペースト14の直下のp型シリコン基板2内に熱拡散し、シート抵抗が20Ω/□程度の受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成される。受光面側高濃度ドーパント拡散層3aは、リン含有ドーパントペースト14の印刷パターンと同じ櫛形状のパターンで形成される。
一方、p型シリコン基板2の受光面側の表層において、リン含有ドーパントペースト14の直下領域以外の領域は、リン含有ドーパントペースト14のドーパント成分が拡散することがない。しかし、リン含有酸化膜31内のリンが、リン含有ドーパントペースト14の直下領域以外の領域のp型シリコン基板2の受光面側の表層に熱拡散する。そして、p型シリコン基板2の面方向においてリンが均一な濃度で拡散した第3のドーパント拡散層であり、シート抵抗が100Ω/□程度の受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが形成される。これにより、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aと受光面側低濃度ドーパント拡散層3bとを有する受光面側ドーパント拡散層3が形成される。
上記の工程を実施することにより、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aと、p型シリコン基板2の面方向において受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが均一なドーパント濃度を有する受光面側ドーパント拡散層3を、実施の形態1の場合よりも少ない工程数で形成することが可能である。
ここで、本実施の形態4では、酸化膜であるリン含有酸化膜31と保護用酸化膜32との積層膜は、リン含有酸化膜31がリンを含有するためp型シリコン基板2へのリンの拡散源となる第2拡散源である。また、この積層膜は、リン含有ドーパントペースト14から揮散したドーパント成分が受光面側低濃度ドーパント拡散層3bへ拡散することを阻止する役割を果たしている。この場合も、酸化膜である積層膜の膜厚が200nmまでであれば、積層膜を貫通してリン含有ドーパントペースト14からp型シリコン基板2へのドーパントの拡散が可能である。そして、リン含有酸化膜31は保護用酸化膜32で保護されるため、熱処理中にリン含有酸化膜31内のリンが大気中に揮発することを防止でき、リン含有酸化膜31からp型シリコン基板2へのリンの拡散が効率良く行える。
一方、リン含有ドーパントペースト14から揮散したドーパント成分は、膜厚が50nmより大の酸化膜を貫通できないため、保護用酸化膜32が保護膜としての機能を果たす。したがって、リン含有ドーパントペースト14からの揮散成分の影響を受けない、リンが均一な濃度で拡散した受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが得られる。
なお、ここでは後の熱処理工程でリン含有酸化膜31からリンが雰囲気中に揮散しないようにキャッピング膜として120nmの保護用酸化膜32をリン含有酸化膜31に重ねて成膜したが、リン含有酸化膜31を150nmとして保護用酸化膜32を形成しない形態としてもよい。保護用酸化膜32を形成せずにリン含有酸化膜31のみを50nmより大、200nm以下の膜厚で設けた場合も、リン含有酸化膜31はリン含有ドーパントペースト14から揮散したドーパント成分が受光面側低濃度ドーパント拡散層3bへ拡散することを阻止する役割を果たす。
図32は、図27のステップS306の説明図である。ステップS306は、酸化膜である保護用酸化膜32およびリン含有酸化膜31と、リン含有ドーパントペースト14とを除去する工程である。酸化膜およびリン含有ドーパントペースト14の除去は、p型シリコン基板2を10%フッ酸水溶液に360秒程度浸漬することにより行うことができる。
図33は、図27のステップS307の説明図である。ステップS307は、反射防止膜4を形成する工程である。反射防止膜4の形成は、実施の形態1のステップS109と同様に行う。
図34は、図27のステップS308の説明図である。ステップS308は、電極を印刷する工程である。電極の印刷は、実施の形態1のステップS110と同様にして、Al含有ペースト15およびAg含有ペースト16の印刷を行う。この場合、Al含有ペースト15は、p型シリコン基板2の裏面のシリコン表面に印刷される。
図35は、図27のステップS309の説明図である。ステップS309は、電極形成用のペーストを焼成して電極を形成する熱処理を行う工程である。電極の熱処理は、実施の形態1のステップS111と同様に行う。
以上の工程を実施することにより、図1および図2に示す、p型シリコン基板2の面方向において受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが均一なドーパント濃度を有する太陽電池セル1を得ることができる。
なお、半導体基板2としてn型の単結晶のシリコン基板またはn型の多結晶シリコン基板を用いてもよい。この場合は、本実施の形態4における各部材の導電型を逆にすればよい。この場合も上述した工程を実施することにより、図1および図2に示す構成を有し、n型シリコン基板の面方向において均一なドーパント濃度を有するp型の受光面側低濃度ドーパント拡散層を備える太陽電池セルを得ることができる。
上述した実施の形態4によれば、酸化膜であるリン含有酸化膜31と保護用酸化膜32との積層膜により熱処理時におけるドーパントペーストの揮散成分の低濃度ドーパント拡散層への拡散を防止するとともに、この積層膜をドーパントの拡散源として用いる。これにより、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aと、p型シリコン基板2の面方向においてドーパント濃度が均一な受光面側低濃度ドーパント拡散層3bとを備える選択エミッタ構造を有する太陽電池セル1を、実施の形態1の場合よりも少ない工程数で効率的に得ることができる。
実施の形態5.
図36は、本発明の実施の形態5にかかる太陽電池セル41を示す上面模式図である。図37は、本発明の実施の形態5にかかる太陽電池セル41を示す下面模式図である。図38は、本発明の実施の形態5にかかる太陽電池セル41を示す要部断面模式図であり、図36および図37の線分B−Bにおける要部断面図である。
本実施の形態5にかかる太陽電池セル41においては、ボロン(B)が拡散されたp型の受光面側ドーパント拡散層43がn型の半導体基板42の受光面全体に形成されて、pn接合を有する半導体基板51が形成されている。また、受光面側ドーパント拡散層43上には、絶縁膜からなる反射防止膜4が形成されている。
半導体基板42としては、n型の単結晶シリコン基板を用いている。以下では、n型の単結晶シリコン基板からなる半導体基板42をn型シリコン基板42と呼ぶ場合がある。なお、半導体基板42はn型の単結晶シリコン基板に限定されるものではなく、n型の多結晶シリコン基板を用いてもよい。
n型シリコン基板42における受光面側、すなわちp型の受光面側ドーパント拡散層43における受光面側には、テクスチャ構造が形成されている。テクスチャ構造の微小凹凸は、非常に微細であるため、図38および以下の図面では凹凸形状として図示していない。
半導体基板42における受光面側には、長尺細長の受光面側グリッド電極45aが複数並べて設けられ、この受光面側グリッド電極45aと導通する受光面側バス電極45bが受光面側グリッド電極45aと直交するように設けられており、それぞれ底面部においてp型の受光面側ドーパント拡散層43に電気的に接続している。受光面側グリッド電極45aおよび受光面側バス電極45bは銀材料により構成されている。受光面側グリッド電極45aおよび受光面側バス電極45bは、p型の受光面側ドーパント拡散層43に電気的に接続すること以外は、上述した受光面側グリッド電極5aおよび受光面側バス電極5bと同じ構成で形成されている。そして、受光面側グリッド電極45aと受光面側バス電極45bとにより、櫛形状を呈する第1電極である受光面側電極45が構成される。
一方、半導体基板42において受光面と対向する面である裏面側には、長尺細長の裏面側グリッド電極46aが複数並べて設けられ、この裏面側グリッド電極46aと導通する裏面側バス電極46bが裏面側グリッド電極46aと直交するように設けられており、それぞれ底面部においてn型の裏面側ドーパント拡散層47の裏面側高濃度ドーパント拡散層47aに電気的に接続している。裏面側グリッド電極46aおよび裏面側バス電極46bは銀材料により構成されている。そして、裏面側グリッド電極46aと裏面側バス電極46bとにより、櫛形状を呈する第2電極である裏面側電極46が構成される。また、裏面側ドーパント拡散層47上には、絶縁膜からなる裏面側パッシベーション膜48が形成されている。
n型の裏面側ドーパント拡散層47は、半導体基板42における裏面の表層にn型のドーパントとしてリンが拡散されたn型のドーパント拡散層である。太陽電池セル41においては、n型の裏面側ドーパント拡散層47として2種類の層が形成されて選択拡散構造が形成されている。すなわち、n型シリコン基板42の裏面側の表層部において、裏面側電極46の下部領域およびその周辺領域には、n型のドーパントが相対的に高濃度に拡散された裏面側高濃度ドーパント拡散層47aが形成されている。また、n型シリコン基板42の裏面側の表層部において、裏面側高濃度ドーパント拡散層47aが形成されていない領域には、n型のドーパントが相対的に低濃度に均一に拡散された裏面側低濃度ドーパント拡散層47bが形成されている。裏面側高濃度ドーパント拡散層47aは、裏面側低濃度ドーパント拡散層47bに比べて低い電気抵抗を有する低抵抗拡散層である。裏面側低濃度ドーパント拡散層47bは、裏面側高濃度ドーパント拡散層47aに比べて高い電気抵抗を有する高抵抗拡散層である。そして、裏面側高濃度ドーパント拡散層47aと裏面側低濃度ドーパント拡散層47bとにより裏面側ドーパント拡散層47が構成される。
したがって、裏面側高濃度ドーパント拡散層47aのドーパント拡散濃度を第3拡散濃度とし、裏面側低濃度ドーパント拡散層47bのドーパント拡散濃度を第4拡散濃度とすると、第4拡散濃度は、第3拡散濃度よりも低くなる。また、裏面側高濃度ドーパント拡散層47aの電気抵抗値を第3電気抵抗値とし、裏面側低濃度ドーパント拡散層47bの電気抵抗値を第4電気抵抗値とすると、第4電気抵抗値は、第3電気抵抗値よりも大きくなる。
以上のように構成された本実施の形態5にかかる太陽電池セル41においては、裏面側低濃度ドーパント拡散層47bが、BSF層としてn型シリコン基板42の裏面におけるキャリアの再結合を抑制することができるため、良好な開放電圧を得ることができる。また、裏面側高濃度ドーパント拡散層47aが、裏面側ドーパント拡散層47と裏面側電極46との接触抵抗を低減するため、良好な曲線因子を得ることができる。
つぎに、本実施の形態5にかかる太陽電池セル41の製造方法について図39〜図49を参照しながら説明する。図39は、本発明の実施の形態5にかかる太陽電池セル41の製造方法のプロセスフローを示したフローチャートである。図40〜図49は、本発明の実施の形態5にかかる太陽電池セル41の製造工程を説明する要部断面図である。
図40は、図39のステップS401およびステップS402の説明図である。ステップS401およびステップS402では、半導体基板42としてn型シリコン基板2を用いること以外は、実施の形態1のステップS101およびステップS102と同じ処理を実施する。
図41は、図39のステップS403の説明図である。ステップS403は、n型シリコン基板42の表面にp型のドーパント拡散層43aを形成する熱拡散を行う工程である。ドーパント拡散層43aの形成は、テクスチャ構造が形成されたn型シリコン基板42を熱拡散炉に装入し、三臭化ホウ素(BBr)蒸気存在下で熱処理することで実現される。具体的には、たとえば300枚のn型シリコン基板42が3.5mm間隔で載置された石英ガラス製のボートが、750℃に加熱された横型炉の石英チューブ内へ装入される。10SLMの窒素を導入しながら石英チューブ内を940℃まで昇温し、石英チューブ内へ材料ガスを10分間流す。材料ガスは、ガラス容器に封入されたBBrに窒素ガスをバブリングさせ、BBr蒸気としたものである。
10分後に材料ガスの導入を停止し、さらに10分間、石英チューブ内を940℃で維持し、石英チューブ内を再び750℃まで降温し、ボートを石英チューブから取り出す。このときn型シリコン基板42の表裏面には、n型シリコン基板42の面方向においてボロンが均一な濃度で拡散したp型のドーパント拡散層43aと、酸化膜でありボロンを含有した不純物含有ガラス層であるボロン含有ガラス層52とがこの順で形成されている。また、このようにして得られるp型のドーパント拡散層43aは、4端子法で測定するシート抵抗が90Ω/□程度となる。横型炉の代わりに縦型炉を使用してもよい。また、p型ドーパントであればBBr以外の材料を使用することも可能である。なお、材料ガスには、BBr以外の材料を使用することも可能である。また、p型のドーパント拡散層43aを形成するためのドーパントは、太陽電池セルの形成に使用可能なp型ドーパントであればよい。
図42は、図39のステップS404の説明図である。ステップS404は、n型シリコン基板42において受光面と反対の裏面となる面に形成されたドーパント含有層であるp型のドーパント拡散層43aとボロン含有ガラス層52とを除去する工程である。市販のエッジアイソレーション装置を使用し、薬液槽に貯留されてフッ酸:硝酸:純水=1:7:3の体積比率で混合された薬液の液面をn型シリコン基板42の裏面のみに接液させてローラー搬送する。これにより、n型シリコン基板42の裏面のシリコンのみを2μmの深さで削ることが可能である。
薬液の液温を15℃に保ち、n型シリコン基板42の上方に排気口を設けて、発生するガスを排気することで、n型シリコン基板42の表面に薬液が回り込むことなく、裏面のドーパント含有層のみを除去することが可能である。薬液槽を通過したn型シリコン基板42は、シャワーリンスで洗浄され、室温の10%KOH水溶液で表面変質層を除去され、さらにシャワーリンスで洗浄され、エアナイフで乾燥される。これにより、n型シリコン基板42の裏面におけるドーパント拡散層であるp型のドーパント拡散層43aが除去され、n型シリコン基板42の表面に残存したp型のドーパント拡散層43aがp型の受光面側ドーパント拡散層43となる。
図43は、図39のステップS405の説明図である。ステップS405は、n型シリコン基板42の裏面側に第2酸化膜として裏面酸化膜であるリン含有酸化膜53と保護用酸化膜54とを形成する工程である。ここでは、実施の形態4におけるステップS303と同様の方法で、30nmの膜厚の第2下層酸化膜であるリン含有酸化膜53と120nmの膜厚の第2上層酸化膜である保護用酸化膜54とをこの順でn型シリコン基板42の裏面側に形成する。リン含有酸化膜53におけるリンの含有濃度は、リン含有ドーパントペースト14よりも低い。
図44は、図39のステップS406の説明図である。ステップS406は、n型シリコン基板42の裏面の保護用酸化膜54上に第3拡散源である裏面側ドーパントペーストとしてリン含有ドーパントペースト14を選択的に印刷する工程である。リン含有ドーパントペースト14の印刷は、実施の形態1のステップS106と同様に行う。リン含有ドーパントペースト14の印刷パターンは、線幅150μm幅の線状パターンを2mm間隔で平行配列したパターンと、線幅1.2mmの4本の線状パターンを平行配列したパターンとからなる櫛形状のパターンである。印刷後、リン含有ドーパントペースト14を250℃で5分間乾燥させる。
図45は、図39のステップS407の説明図である。ステップS407は、リン含有ドーパントペースト14を印刷したn型シリコン基板42を熱処理する工程である。具体的には、横型炉にn型シリコン基板42を載置したボートを装入し、960℃で15分間、n型シリコン基板42を熱処理する。この熱処理により、リン含有ドーパントペースト14内のドーパント成分であるリンが保護用酸化膜54およびリン含有酸化膜53を貫通してリン含有ドーパントペースト14の直下のn型シリコン基板42内に熱拡散する。また、リン含有ドーパントペースト14の直下のリン含有酸化膜53内のリンがリン含有ドーパントペースト14の直下のn型シリコン基板42内に熱拡散する。これにより、リン含有ドーパントペースト14の直下のn型シリコン基板42の表層に、第4のドーパント拡散層でありシート抵抗が20Ω/□程度の裏面側高濃度ドーパント拡散層47aが形成される。裏面側高濃度ドーパント拡散層47aは、リン含有ドーパントペースト14の印刷パターンと同じ櫛形状のパターンで形成される。
一方、n型シリコン基板42の裏面側の表層において、リン含有ドーパントペースト14の直下領域以外の領域は、リン含有ドーパントペースト14のドーパント成分が拡散することがない。しかし、リン含有酸化膜53内のリンが、リン含有ドーパントペースト14の直下領域以外の領域のn型シリコン基板42の裏面側の表層に熱拡散する。そして、n型シリコン基板42の面方向においてリンが均一な濃度で拡散した第5のドーパント拡散層であり、シート抵抗が100Ω/□程度の裏面側低濃度ドーパント拡散層47bが形成される。これにより、裏面側高濃度ドーパント拡散層47aと裏面側低濃度ドーパント拡散層47bとを有する裏面側ドーパント拡散層47が形成される。
本実施の形態5では、酸化膜であるリン含有酸化膜53と保護用酸化膜54との積層膜は、リン含有酸化膜53がリンを含有するためn型シリコン基板42へのリンの拡散源となる第4拡散源である。また、この積層膜は、リン含有ドーパントペースト14から揮散したドーパント成分が裏面側低濃度ドーパント拡散層47bへ拡散することを阻止する役割を果たしている。この場合も、積層膜の膜厚が200nmまでであれば、積層膜を貫通してリン含有ドーパントペースト14からn型シリコン基板42へのドーパントの拡散が可能である。そして、リン含有酸化膜53は保護用酸化膜54で保護されるため、熱処理中にリン含有酸化膜53内のリンが大気中に揮発することを防止でき、リン含有酸化膜53からn型シリコン基板42へのリンの拡散が効率良く行える。
一方、リン含有ドーパントペースト14から揮散したドーパント成分は、膜厚が50nmより大の酸化膜を貫通できないため、保護用酸化膜54が保護膜としての機能を果たす。したがって、リン含有ドーパントペースト14からの揮散成分の影響を受けない、リンが均一な濃度で拡散した裏面側低濃度ドーパント拡散層47bが得られる。
ここでは熱処理工程でリン含有酸化膜53からリンが雰囲気中に揮散しないようにキャッピング膜として120nmの保護用酸化膜54をリン含有酸化膜53に重ねて成膜したが、リン含有酸化膜53を150nmとして保護用酸化膜54を形成しない形態としてもよい。保護用酸化膜54を形成せずにリン含有酸化膜53のみを50nmより大、200nm以下の膜厚で設けた場合も、リン含有酸化膜53はリン含有ドーパントペースト14から揮散したドーパント成分が裏面側低濃度ドーパント拡散層47bへ拡散することを阻止する役割を果たす。
図46は、図39のステップS408の説明図である。ステップS408は、酸化膜であるボロン含有ガラス層52と保護用酸化膜54とリン含有酸化膜53と、リン含有ドーパントペースト14とを除去する工程である。酸化膜およびリン含有ドーパントペースト14の除去は、n型シリコン基板42を10%フッ酸水溶液に360秒程度浸漬することにより行うことができる。
図47は、図39のステップS409およびステップS410の説明図である。ステップS409は、反射防止膜4を形成する工程である。反射防止膜4の形成は、実施の形態1のステップS109と同様の方法で、屈折率2.1、膜厚80nmの窒化シリコン膜を受光面側ドーパント拡散層43上に成膜する。なお、本実施の形態5ではp型の受光面側ドーパント拡散層43はボロンが拡散されたp型層であるため、良好なパッシベーション性能を得るために負の固定電荷をもつアルミナ膜を使用することもできる。また、n型シリコン基板42側にアルミナ膜、上層に窒化シリコン膜を積層させた2層膜で反射防止膜4を構成することで、電界効果と水素終端効果との両方の効果を得ることもできる。ステップS410は、裏面側パッシベーション膜48を形成する工程である。裏面側パッシベーション膜48は、反射防止膜4と同様にして窒化シリコン膜を裏面側ドーパント拡散層47上に形成する。
図48は、図39のステップS411の説明図である。ステップS411は、電極を印刷する工程である。電極の印刷は、実施の形態1のステップS110と同様の方法で、銀含有ペースト55およびAgとAlとを含有する銀アルミニウム含有ペースト56の印刷を行う。本実施の形態5では、n型シリコン基板42の受光面側はボロンが拡散されたp型の受光面側ドーパント拡散層43となっているため、受光面側電極45と受光面側ドーパント拡散層43との十分な電気的導通を保つため、3重量%程度のAlが含有されたAgペーストを使用する。銀含有ペースト55は、n型シリコン基板42の裏面の裏面側パッシベーション膜48上に印刷される。銀アルミニウム含有ペースト56は、実施の形態1の場合と同様の櫛形状のパターンで反射防止膜4上に印刷される。
銀含有ペースト55の印刷パターンは、裏面側高濃度ドーパント拡散層47aと同じ櫛形状であり、線幅50μmの線状パターンを2mm間隔で平行配列したパターンと、線幅1mmの4本の線状パターンを平行配列したパターンとからなる櫛形状のパターンである。また、銀含有ペースト55は、ステップS406で形成したリン含有ドーパントペースト14のパターンの幅150μmの領域内および幅1.2mmの領域内に内包される位置に印刷される。すなわち、銀含有ペースト55は、裏面側高濃度ドーパント拡散層47aのパターンの幅150μmの領域内および幅1.2mmの領域内に内包される位置に印刷される。
銀含有ペースト55の印刷位置は、裏面側高濃度ドーパント拡散層47aのパターンに位置合わせする必要がある。銀含有ペースト55の印刷位置の位置合わせは、実施の形態1においてステップS110で述べた方法で行うことができる。仮に銀含有ペースト55の印刷位置にずれが生じた場合には、裏面側電極46が裏面側低濃度ドーパント拡散層47b上に形成され、裏面側ドーパント拡散層47と裏面側電極46との接触抵抗の増大による曲線因子の悪化、キャリアの表面再結合増大による開放電圧の悪化が生じる。このため、銀含有ペースト55の印刷位置の裏面側高濃度ドーパント拡散層47aのパターンへの位置合わせは重要である。
図49は、図39のステップS412の説明図である。ステップS412は、電極形成用のペーストを焼成して電極を形成する熱処理を行う工程である。電極の熱処理は、実施の形態1のステップS111と同様に行う。これにより、ペースト中の樹脂成分が消失する。そして、受光面側では銀アルミニウム含有ペースト56に含有されるガラス粒子が窒化シリコン膜を貫通し、Ag粒子が受光面側ドーパント拡散層43に接触し、電気的導通を得る。これにより、受光面側電極45が得られる。また、裏面側では、銀含有ペースト55に含まれるAg粒子が裏面側高濃度ドーパント拡散層47aに接触し、電気的導通を得る。これにより、裏面側電極46が得られる。
以上の工程を実施することにより、図36〜図38に示す、n型シリコン基板42の面方向において裏面側低濃度ドーパント拡散層47bが均一なドーパント濃度を有する太陽電池セル41を得ることができる。
なお、半導体基板42としてp型の単結晶のシリコン基板またはp型の多結晶シリコン基板を用いてもよい。この場合は、本実施の形態5における各部材の導電型を逆にすればよい。この場合も上述した工程を実施することにより、図36〜図38に示す構成を有し、p型シリコン基板の面方向において均一なドーパント濃度を有するp型の裏面側低濃度ドーパント拡散層を備える太陽電池セルを得ることができる。
上述したように、本実施の形態5にかかる太陽電池の製造方法においては、n型シリコン基板42の裏面上に、酸化膜としてリン含有酸化膜53と保護用酸化膜54との積層膜を50nmより大、200nm以下の膜厚で形成する。そして、保護用酸化膜54上にリン含有ドーパントペースト14を既定のパターンで印刷して熱処理を行う。このため、保護用酸化膜54に覆われたn型シリコン基板42の裏面にはリン含有ドーパントペースト14から揮発したドーパント成分による拡散がなされず、裏面側低濃度ドーパント拡散層47bにおけるドーパント成分の拡散濃度の不均一性を排除することができる。
これにより、本実施の形態5によれば、リン含有ドーパントペースト14からの揮散成分のn型シリコン基板42への拡散を防止して、裏面側高濃度ドーパント拡散層47aと、n型シリコン基板42の面方向においてドーパント濃度が均一な裏面側低濃度ドーパント拡散層47bとを備える選択拡散構造を有する太陽電池セル41を、少ない工程数で効率的に得ることができる。すなわち、n型シリコン基板42の面方向における裏面側低濃度ドーパント拡散層47bのドーパント濃度の不均一に起因した、BSF層としてのn型シリコン基板42の裏面におけるキャリアの再結合抑制のばらつきが防止された、面方向において均一な発電特性を有する太陽電池セル41を容易に得ることができる。
実施の形態6.
図50は、本発明の実施の形態6にかかる太陽電池セル61を示す要部断面模式図であり、図38に対応する要部断面図である。なお、実施の形態に5にかかる太陽電池セル41と同じ部材については、同じ符号を付している。また、太陽電池セル61の上面および下面から見た構成は、実施の形態5にかかる太陽電池セル41と同じであるので、図36および図37を参照することで説明を省略する。太陽電池セル61が実施の形態5にかかる太陽電池セル41と異なる点は、受光面側ドーパント拡散層の構成である。したがって、以下では太陽電池セル41と異なる受光面側ドーパント拡散層について説明する。
本実施の形態6にかかる太陽電池セル61においては、n型の半導体基板42の受光面全体にボロン(B)が拡散されたp型の受光面側ドーパント拡散層63が形成されて、pn接合を有する半導体基板71が形成されている。また、受光面側ドーパント拡散層63上には、絶縁膜からなる反射防止膜4が形成されている。
そして、太陽電池セル61においては、p型の受光面側ドーパント拡散層63として2種類の層が形成されて選択エミッタ構造が形成されている。すなわち、n型シリコン基板42における受光面側の表層部において、受光面側電極45の下部領域およびその周辺領域には、p型のドーパントが相対的に高濃度に拡散された受光面側高濃度ドーパント拡散層63aが形成されている。また、n型シリコン基板42における受光面側の表層部において、受光面側高濃度ドーパント拡散層63aが形成されていない領域には、p型のドーパントが相対的に低濃度に拡散された受光面側低濃度ドーパント拡散層63bが形成されている。受光面側高濃度ドーパント拡散層63aは、受光面側低濃度ドーパント拡散層63bに比べて低い電気抵抗を有する低抵抗拡散層である。受光面側低濃度ドーパント拡散層63bは、受光面側高濃度ドーパント拡散層63aに比べて高い電気抵抗を有する高抵抗拡散層である。
したがって、受光面側高濃度ドーパント拡散層63aのドーパント拡散濃度を第5拡散濃度とし、受光面側低濃度ドーパント拡散層63bのドーパント拡散濃度を第6拡散濃度とすると、第6拡散濃度は、第5拡散濃度よりも低くなる。また、受光面側高濃度ドーパント拡散層63aの電気抵抗値を第5電気抵抗値とし、受光面側低濃度ドーパント拡散層63bの電気抵抗値を第6電気抵抗値とすると、第6電気抵抗値は、第5電気抵抗値よりも大きくなる。
以上のように構成された本実施の形態6にかかる太陽電池セル61においては、受光面側高濃度ドーパント拡散層63aが、受光面側ドーパント拡散層63と受光面側電極45との接触抵抗を低減するため、良好な曲線因子を得ることができる。また、受光面側低濃度ドーパント拡散層63bは、n型シリコン基板42の受光面側のキャリアの再結合速度を小さくする。
つぎに、本実施の形態6にかかる太陽電池セル61の製造方法について図51〜図61を参照しながら説明する。図51は、本発明の実施の形態6にかかる太陽電池セル61の製造方法のプロセスフローを示したフローチャートである。図52〜図61は、本発明の実施の形態6にかかる太陽電池セル61の製造工程を説明する要部断面図である。
図52は、図51のステップS501およびステップS502の説明図である。ステップS501およびステップS502では、半導体基板としてn型シリコン基板42を用意すること以外は、実施の形態1のステップS101およびステップS102と同じ処理を実施する。
図53は、図51のステップS503の説明図である。ステップS503では、n型シリコン基板42の受光面側に受光面側酸化膜としてボロン含有酸化膜64および保護用酸化膜65を形成する工程である。ここではシランと酸素とジボラン(B)とを材料ガスとした常圧CVD法によりシリコン酸化膜を形成する。具体的には、450℃〜550℃程度に加熱したn型シリコン基板42を大気圧のシランと酸素とジボランとの混合雰囲気中に曝露することで、まずn型シリコン基板42の受光面側に、ボロンを含有する30nmの膜厚のボロン含有酸化膜64を形成する。この後、ジボランの混合を停止し、シランと酸素との混合雰囲気中にn型シリコン基板42を曝露することで、ボロンを含有しない120nmの膜厚の保護用酸化膜65をボロン含有酸化膜64上に形成する。ボロン含有酸化膜64におけるボロンの含有濃度は、ボロン含有ドーパントペースト66よりも低い。
ここでは熱処理工程でボロン含有酸化膜64からボロンが雰囲気中に揮散しないようにキャッピング膜として120nmの保護用酸化膜65をボロン含有酸化膜64に重ねて成膜したが、ボロン含有酸化膜64を150nmとして保護用酸化膜65を形成しない形態としてもよい。保護用酸化膜65を形成せずにボロン含有酸化膜64のみを50nmより大、200nm以下の膜厚で設けた場合も、ボロン含有酸化膜64は後述するボロン含有ドーパントペースト66から揮散したドーパント成分が受光面側低濃度ドーパント拡散層63bへ拡散することを阻止する役割を果たす。
図54は、図51のステップS504の説明図である。ステップS504は、n型シリコン基板42の裏面側に裏面酸化膜であるリン含有酸化膜53と保護用酸化膜54とを形成する工程である。ここでは、実施の形態4における図27のステップS303と同様の方法で、30nmの膜厚のリン含有酸化膜53と120nmの膜厚の保護用酸化膜54とをこの順でn型シリコン基板42の裏面側に形成する。ここでは後の熱処理工程でリン含有酸化膜53からボロンが雰囲気中に揮散しないようにキャッピング膜として120nmの保護用酸化膜54をリン含有酸化膜53に重ねて成膜したが、リン含有酸化膜53を150nmとして保護用酸化膜54を形成しない形態としてもよい。
図55は、図51のステップS505の説明図である。ステップS505は、n型シリコン基板42の受光面側の保護用酸化膜65上に受光面側ドーパントペーストとしてボロン含有ドーパントペースト66を選択的に印刷する工程である。ここでは、ボロン含有ドーパントペースト66として、ボロン酸化物を含んだ樹脂ペーストを、スクリーン印刷法を用いて保護用酸化膜65上に印刷する。ボロン含有ドーパントペースト66の印刷パターンは、線幅150μm幅の線状パターンを2mm間隔で平行配列したパターンと、線幅1.2mmの4本の線状パターンを平行配列したパターンとからなる櫛形状のパターンである。印刷後、ボロン含有ドーパントペースト66を250℃で5分間乾燥させる。ボロン含有ドーパントペースト66の印刷方法はスクリーン印刷法に限らず、インクジェット法またはノズルから直接吐出する方法を用いることができる。
図56は、図51のステップS506の説明図である。ステップS506は、n型シリコン基板42の裏面の保護用酸化膜54上に裏面側ドーパントペーストとしてリン含有ドーパントペースト14を選択的に印刷する工程である。リン含有ドーパントペースト14の印刷は、実施の形態1の場合と同様の方法で行う。リン含有ドーパントペースト14の印刷パターンは、線幅150μm幅の線状パターンを2mm間隔で平行配列したパターンと、線幅1.2mmの4本の線状パターンを平行配列したパターンとからなる櫛形状のパターンである。印刷後、リン含有ドーパントペースト14を250℃で5分間乾燥させる。
図57は図51のステップS507の説明図である。ステップS507は、ボロン含有ドーパントペースト66およびリン含有ドーパントペースト14が印刷されたn型シリコン基板42を熱処理する工程である。具体的には、横型炉にn型シリコン基板42を載置したボートを装入し、960℃で15分間、n型シリコン基板42を熱処理する。
この熱処理により、n型シリコン基板42の受光面側では、ボロン含有ドーパントペースト66内のドーパント成分であるボロンが保護用酸化膜65およびボロン含有酸化膜64を貫通してボロン含有ドーパントペースト66の直下のn型シリコン基板42内に熱拡散する。また、ボロン含有ドーパントペースト66の直下のボロン含有酸化膜64内のボロンがボロン含有ドーパントペースト66の直下のn型シリコン基板42内に熱拡散する。これにより、ボロン含有ドーパントペースト66の直下のn型シリコン基板42の表層に、シート抵抗が30Ω/□程度の受光面側高濃度ドーパント拡散層63aが形成される。受光面側高濃度ドーパント拡散層63aは、ボロン含有ドーパントペースト66の印刷パターンと同じ櫛形状のパターンで形成される。
一方、n型シリコン基板42の受光面側の表層において、ボロン含有ドーパントペースト66の直下領域以外の領域は、ボロン含有ドーパントペースト66のドーパント成分が拡散することがない。しかし、ボロン含有酸化膜64内のボロンが、ボロン含有ドーパントペースト66の直下領域以外の領域のn型シリコン基板42の裏面側の表層に熱拡散する。そして、n型シリコン基板42の面方向においてボロンが均一な濃度で拡散した、シート抵抗が90Ω/□程度の受光面側低濃度ドーパント拡散層63bが形成される。これにより、受光面側高濃度ドーパント拡散層63aと受光面側低濃度ドーパント拡散層63bとを有する選択エミッタ構造の受光面側ドーパント拡散層63が形成される。
本実施の形態6では、酸化膜であるボロン含有酸化膜64と保護用酸化膜65との積層膜は、ボロン含有酸化膜64がボロンを含有するためn型シリコン基板42へのボロンの拡散源となる。また、この積層膜は、ボロン含有ドーパントペースト66から揮散したドーパント成分が受光面側低濃度ドーパント拡散層63bへ拡散することを阻止する役割を果たしている。この場合も、積層膜の膜厚が200nmまでであれば、積層膜を貫通してボロン含有ドーパントペースト66からn型シリコン基板42へのドーパントの拡散が可能である。そして、ボロン含有酸化膜64は保護用酸化膜65で保護されるため、熱処理中にボロン含有酸化膜64内のボロンが大気中に揮発することを防止でき、ボロン含有酸化膜64からn型シリコン基板42へのボロンの拡散が効率良く行える。
また、n型シリコン基板42の裏面側では、実施の形態5のステップS407と同様に、シート抵抗が20Ω/□程度の裏面側高濃度ドーパント拡散層47aと、n型シリコン基板42の面方向においてリンが均一な濃度で拡散したシート抵抗が100Ω/□程度の、裏面側低濃度ドーパント拡散層47bとが形成される。これにより、裏面側高濃度ドーパント拡散層47aと裏面側低濃度ドーパント拡散層47bとを有する裏面側ドーパント拡散層47からなる裏面選択拡散BSF層が形成される。したがって、受光面側の選択エミッタ構造と裏面選択拡散BSF層とを1回の熱処理により同時に形成することができる。
図58は、図51のステップS508の説明図である。ステップS508は、ドーパントペーストおよび酸化膜を除去する工程である。この工程で、リン含有ドーパントペースト14とボロン含有ドーパントペースト66とが除去される。また、酸化膜である、保護用酸化膜65とボロン含有酸化膜64と保護用酸化膜54とリン含有酸化膜53とが除去される。酸化膜およびリン含有ドーパントペースト14の除去は、n型シリコン基板42を10%フッ酸水溶液に360秒程度浸漬することにより行うことができる。
図59は、図51のステップS509およびステップS510の説明図である。ステップS509は、受光面側ドーパント拡散層63上に反射防止膜4を形成する工程である。反射防止膜4の形成は、実施の形態5のステップS409と同様に行う。ステップS510は、裏面側パッシベーション膜48を形成する工程である。裏面側パッシベーション膜48は、反射防止膜4と同様にして窒化シリコン膜を裏面側ドーパント拡散層47上に形成する。
図60は、図51のステップS511の説明図である。ステップS511は、電極を印刷する工程である。電極の印刷は、実施の形態5のステップS411と同様に行う。なお、銀アルミニウム含有ペースト56の印刷パターンは、受光面側高濃度ドーパント拡散層63aと同じ櫛形状であり、線幅50μmの線状パターンを2mm間隔で平行配列したパターンと、線幅1mmの4本の線状パターンを平行配列したパターンとからなる櫛形状のパターンである。また、銀アルミニウム含有ペースト56は、ステップS505で形成したボロン含有ドーパントペースト66のパターンの幅150μmの領域内および幅1.2mmの領域内に内包される位置に印刷される。すなわち、銀アルミニウム含有ペースト56は、受光面側高濃度ドーパント拡散層63aのパターンの幅150μmの領域内および幅1.2mmの領域内に内包される位置に印刷される。
銀アルミニウム含有ペースト56の印刷位置は、受光面側高濃度ドーパント拡散層63aのパターンに位置合わせする必要がある。銀アルミニウム含有ペースト56の印刷位置の位置合わせは、実施の形態1においてステップS110の説明で述べた方法で行うことができる。
図61は、図51のステップS512の説明図である。ステップS512は、電極形成用のペーストを焼成して電極を形成する熱処理を行う工程である。電極の熱処理は、実施の形態1のステップS111と同様に行う。これにより、ペースト中の樹脂成分が消失する。そして、受光面側では銀アルミニウム含有ペースト56に含有されるガラス粒子が窒化シリコン膜を貫通し、Ag粒子が受光面側高濃度ドーパント拡散層63aに接触し、電気的導通を得る。これにより、受光面側電極45が得られる。また、裏面側では、銀含有ペースト55に含まれるAg粒子が裏面側高濃度ドーパント拡散層47aに接触し、電気的導通を得る。これにより、裏面側電極46が得られる。
以上の工程を実施することにより、図50に示す、n型シリコン基板42の面方向において均一なドーパント濃度を有するp型の受光面側低濃度ドーパント拡散層63bと、n型シリコン基板42の面方向において均一なドーパント濃度を有するp型の裏面側低濃度ドーパント拡散層47bと、を有する太陽電池セル61を得ることができる。
なお、半導体基板42としてp型の単結晶のシリコン基板またはp型の多結晶シリコン基板を用いてもよい。この場合は、本実施の形態6における各部材の導電型を逆にすればよい。この場合も上述した工程を実施することにより、図50に示す構成を有し、p型シリコン基板の面方向において均一なドーパント濃度を有するn型の受光面側低濃度ドーパント拡散層と、p型シリコン基板の面方向において均一なドーパント濃度を有するp型の裏面側低濃度ドーパント拡散層とを得ることができる。すなわち、p型シリコン基板の面方向においてドーパント濃度が均一な低濃度ドーパント拡散層を備える受光面側の選択エミッタ層と、p型シリコン基板の面方向においてドーパント濃度が均一な低濃度ドーパント拡散層を備える裏面側の選択拡散BSF構造とを1回の熱処理により同時に形成することができる。
上述した本実施の形態6においては、熱処理時におけるドーパントペーストの揮散成分の低濃度ドーパント拡散層への拡散を防止して、n型シリコン基板42の面方向においてドーパント濃度が均一な低濃度ドーパント拡散層を備える選択エミッタ構造と、n型シリコン基板42の面方向においてドーパント濃度が均一な低濃度ドーパント拡散層を備える選択拡散BSF層とを1回の熱処理により同時に形成することができる。したがって、本実施の形態6によれば、少ない工程数で受光面側の選択エミッタ構造と裏面側選択拡散BSF層とを有する太陽電池セル61を効率的に形成できる。
実施の形態7.
実施の形態7では、実施の形態3にかかる太陽電池の製造方法の変形例について図62〜図67を参照しながら説明する。図62は、本発明の実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造方法のプロセスフローを示したフローチャートである。図63〜図67は、本発明の実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図である。なお、図62において、図3および図22と同じ工程については同じ番号を付している。また、図63〜図67においては、上述した実施の形態と同じ部材については同じ番号を付している。
本実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造方法では、実施の形態3における図22のフローチャートのうち、ステップS201の熱拡散および保護用酸化膜形成を実施する代わりに、ステップS701におけるイオン打ち込みと、ステップS702における熱拡散および保護用酸化膜形成を実施する。
本発明の実施の形態7では、まず、実施の形態1の場合と同様にステップS101およびステップS102を行う。
図63は、図62のステップS701の説明図である。ステップS701は、p型シリコン基板2における受光面側となる一面に対して、イオン打ち込み法により第1のドーパントであるリンのイオンを打ち込んで、イオン打ち込み層81を形成する工程である。イオン打ち込み法によるリンの打ち込みにおいて、材料ガスはPHガスであり、打ち込みエネルギーは6.5keV、イオンドーズ量は5×1015(atoms/cm)である。
図64は、図62のステップS702の説明図である。ステップS702は、イオン打ち込み法により一面にリンが打ち込まれたp型シリコン基板2を熱処理することで、受光面側低濃度ドーパント拡散層3bよりも高濃度にイオン打ち込み層81に注入されたリンを、p型シリコン基板2の表層からp型シリコン基板2の深さ方向に、すなわちp型シリコン基板2の内部方向に拡散させる工程である。具体的には、たとえば300枚のp型シリコン基板2が3.5mm間隔で載置された石英ガラス製のボートが、750℃に加熱された横型炉の石英チューブ内へ装入される。窒素を導入しながら石英チューブ内を900℃まで昇温し、石英チューブ内の温度が900℃に到達した時点で石英チューブ内へ酸素を30分間流し30分保持する。その後、酸素を導入したまま石英チューブ内を1050℃に昇温し、さらに70分保持する。その後、酸素の導入を停止し、石英チューブ内に導入するガスを窒素に切り替える。そして、石英チューブ内を750℃に降温した後、ボートを石英チューブから取り出す。
このとき、p型シリコン基板2の表面の表層、すなわちp型シリコン基板2の受光面側の表層には、リンが均一な濃度で拡散されて、たとえばシート抵抗が90Ω/□の低濃度ドーパント拡散層82が形成されている。さらに、保護用酸化膜83が低濃度ドーパント拡散層82の上に形成されている。また、p型シリコン基板2の裏面には、保護用酸化膜83が形成されている。これにより、たとえば膜厚が65nmの保護用酸化膜83を得ることが可能である。
図65は、図62のステップS202の説明図である。ステップS202は、受光面側の保護用酸化膜83上にリン含有ドーパントペースト14を選択的に印刷する工程である。リン含有ドーパントペースト14の印刷は、実施の形態3の場合と同様に行う。
図66は、図62のステップS203の説明図である。ステップS203は、リン含有ドーパントペースト14を印刷したp型シリコン基板2を熱処理する工程である。p型シリコン基板2の熱処理は、実施の形態3のステップS203と同様にして、960℃程度で10分間、p型シリコン基板2を熱処理する。この熱処理により、リン含有ドーパントペースト14内のリンが、保護用酸化膜83を貫通してリン含有ドーパントペースト14の直下のp型シリコン基板2内に熱拡散し、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成される。すなわち、リン含有ドーパントペースト14内のリンが保護用酸化膜83を貫通してリン含有ドーパントペースト14の直下の領域における低濃度ドーパント拡散層82とp型シリコン基板2とに拡散して受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成される。
一方、保護用酸化膜83は、熱処理時におけるリン含有ドーパントペースト14から揮散したドーパント成分の低濃度ドーパント拡散層82への拡散を防止する。すなわち、受光面側の低濃度ドーパント拡散層82においてリン含有ドーパントペースト14の直下の領域以外の領域は、リン含有ドーパントペースト14からドーパント成分であるリンが拡散することがなく、シート抵抗は90Ω/□程度のままである。したがって、p型シリコン基板2の受光面側の低濃度ドーパント拡散層82のうち、リン含有ドーパントペースト14の直下領域に受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成され、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aが形成されない領域が受光面側低濃度ドーパント拡散層3bとなる。
図67は、図62のステップS703の説明図である。ステップS204は、保護用酸化膜83およびリン含有ドーパントペースト14を除去する工程である。保護用酸化膜83およびリン含有ドーパントペースト14の除去は、実施の形態3の場合と同様にp型シリコン基板2を10%フッ酸水溶液に浸漬することにより行うことができる。ステップS204の実施後のp型シリコン基板2の状態は、実施の形態3のステップS204の実施後において、p型シリコン基板2の裏面側の低濃度ドーパント拡散層3cが無い状態となる。すなわち、p型シリコン基板2の表面の表層、すなわちp型シリコン基板2の受光面側の表層には、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aと、受光面側高濃度ドーパント拡散層3aの形成されていない領域に形成された第2のドーパント拡散層でありリンが第1のドーパント拡散層よりも低い均一な濃度で拡散した受光面側低濃度ドーパント拡散層3bとが、形成されている。
これ以降は、実施の形態3の場合と同様に、ステップS109〜ステップS111を行うことにより、図1および図2に示す、p型シリコン基板2の面方向において受光面側低濃度ドーパント拡散層3bが均一なドーパント濃度を有する太陽電池セル1を得ることができる。
上述した実施の形態7によれば、低濃度ドーパント拡散層82の形成にイオン打ち込みと熱処理とを組み合わせることで、p型シリコン基板2の面方向におけるドーパント濃度の面内均一性がより高い受光面側低濃度ドーパント拡散層3bを得ることができる。したがって、低濃度拡散領域におけるドーパント濃度の面内均一性が半導体基板の面内においてより均一な太陽電池を製造できる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、以上の実施の形態の技術を組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 太陽電池セル、2 半導体基板、3 受光面側ドーパント拡散層、3a 受光面側高濃度ドーパント拡散層、3b 受光面側低濃度ドーパント拡散層、3c,82 低濃度ドーパント拡散層、4 反射防止膜、5 受光面側電極、5a 受光面側グリッド電極、5b 受光面側バス電極、6 裏面側電極、7 裏面側BSF層、11 半導体基板、12 リン含有ガラス層、13,83 保護用酸化膜、14 リン含有ドーパントペースト、15 アルミニウム含有ペースト、16 銀含有ペースト、31 リン含有酸化膜、32 保護用酸化膜、41 太陽電池セル、42 半導体基板、43 受光面側ドーパント拡散層、43a ドーパント拡散層、45 受光面側電極、45a 受光面側グリッド電極、45b 受光面側バス電極、46 裏面側電極、46a 裏面側グリッド電極、46b 裏面側バス電極、47 裏面側ドーパント拡散層、47a 裏面側高濃度ドーパント拡散層、47b 裏面側低濃度ドーパント拡散層、48 裏面側パッシベーション膜、51 半導体基板、52 ボロン含有ガラス層、53 リン含有酸化膜、54 保護用酸化膜、55 Ag含有ペースト、56 銀アルミニウム含有ペースト、61 太陽電池セル、63 受光面側ドーパント拡散層、63a 受光面側高濃度ドーパント拡散層、63b 受光面側低濃度ドーパント拡散層、64 ボロン含有酸化膜、65 保護用酸化膜、66 ボロン含有ドーパントペースト、71 半導体基板、81 イオン打ち込み層。
実施の形態1にかかる太陽電池セルを示す上面模式図 実施の形態1にかかる太陽電池セルを示す要部断面模式図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態1における保護用酸化膜の膜厚とパッド部およびブランク部のシート抵抗との関係を示す特性図 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態2にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態3にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態4にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルを示す上面模式図 実施の形態5にかかる太陽電池セルを示す下面模式図 実施の形態5にかかる太陽電池セルを示す要部断面模式図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態5にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルを示す要部断面模式図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態6にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造方法を示すフローチャート 実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図 実施の形態7にかかる太陽電池セルの製造工程を説明する要部断面図
熱処理後、図3のステップS108に類似の方法で保護用酸化膜およびリン含有ドーパントペーストの除去を実施した。保護用酸化膜およびリン含有ドーパントペーストの除去後のパッド部およびブランク部のシート抵抗を測定した結果を図14に示す。図14は、実施の形態1における保護用酸化膜の膜厚とパッド部およびブランク部のシート抵抗との関係を示す特性図である。p型シリコン基板の表面に保護用酸化膜がない場合、すなわち保護用酸化膜の膜厚が0nmの場合は、ドーパントペーストを形成していないブランク部でも100Ω/□程度のシート抵抗を示し、すなわち隣接するドーパントペーストからの揮発成分によりリンの拡散が成されていることが分かった。
図40は、図39のステップS401およびステップS402の説明図である。ステップS401およびステップS402では、半導体基板42としてn型シリコン基板42を用いること以外は、実施の形態1のステップS101およびステップS102と同じ処理を実施する。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1導電型の半導体基板の第1面に、膜厚が50nmより大、且つ200nm以下の第1酸化膜を化学蒸着法によって形成する第1工程と、第1ドーパントを含んだ第1拡散源を前記第1酸化膜上に選択的に形成する第2工程と、前記第1拡散源が形成された前記半導体基板を熱処理して、前記第1面の表層における前記第1拡散源の直下領域に前記第1ドーパントが拡散した第1のドーパント拡散層を形成する第3工程と、前記第1酸化膜と前記第1拡散源とを同時に除去する第4工程と、前記第1酸化膜と前記第1拡散源とが除去された前記第1面上にパッシベーション膜を形成する第5工程と、前記第1のドーパント拡散層上に電極を形成する第工程と、を含み、前記第1工程は、前記第1拡散源よりも低い濃度で前記第1ドーパントを含む第2拡散源である第1下層酸化膜を前記第1面上に形成する工程と、前記第1酸化膜の表層となりドーパントを含まない第1上層酸化膜を前記第1下層酸化膜の上層に形成する工程と、を含み、さらに前記第3工程では、前記第1面の表層における前記第2拡散源の直下領域であって前記第1のドーパント拡散層以外の領域に前記第1のドーパント拡散層よりも低い濃度で前記第1ドーパントが拡散した第3のドーパント拡散層を形成すること、を特徴とする。

Claims (15)

  1. 第1導電型の半導体基板の第1面に、膜厚が50nmより大、且つ200nm以下の第1酸化膜を形成する第1工程と、
    第1ドーパントを含んだ第1拡散源を前記第1酸化膜上に選択的に形成する第2工程と、
    前記第1拡散源が形成された前記半導体基板を熱処理して、前記第1面の表層における前記第1拡散源の直下領域に前記第1ドーパントが拡散した第1のドーパント拡散層を形成する第3工程と、
    前記第1のドーパント拡散層上に電極を形成する第4工程と、
    を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 前記第3工程の後に、前記第1面の表層における前記第1のドーパント拡散層以外の領域に前記第1のドーパント拡散層よりも低い濃度で前記第1ドーパントが拡散した第2のドーパント拡散層を形成する第5工程を含むこと、
    を特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記第1工程の前に、前記第1のドーパント拡散層よりも低い濃度で前記第1ドーパントが拡散した第2のドーパント拡散層を前記第1面の表層に形成する第6工程を含み、
    前記第1工程では、前記第2のドーパント拡散層上に前記第1酸化膜を形成し、
    前記第3工程では、前記第2のドーパント拡散層における前記第1拡散源の直下領域に前記第1のドーパント拡散層を形成すること、
    を特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記第1工程が、1回の熱処理工程において熱処理条件を変更して前記第6工程の後に連続して行われること、
    を特徴とする請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記第6工程では、前記第1面の表層に前記第1ドーパントのイオンを打ち込んだ後に前記半導体基板を熱処理することにより、前記第2のドーパント拡散層を形成すること、
    を特徴とする請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記第1酸化膜は、前記第1ドーパントを前記第1拡散源よりも低い濃度で含む第2拡散源であり、
    前記第3工程では、前記第1面の表層における前記第2拡散源の直下領域であって前記第1のドーパント拡散層以外の領域に前記第1のドーパント拡散層よりも低い濃度で前記第1ドーパントが拡散した第3のドーパント拡散層を形成すること、
    を特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  7. 前記第1工程では、前記第1拡散源よりも低い濃度で前記第1ドーパントを含む第1下層酸化膜を前記第1面上に形成する工程と、前記第1酸化膜の表層となりドーパントを含まない第1上層酸化膜を前記第1下層酸化膜の上層に形成する工程と、を含むこと、
    を特徴とする請求項6に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記第1ドーパントは、第2導電型のドーパントであること、
    を特徴とする請求項6または7に記載の太陽電池の製造方法。
  9. 前記第1ドーパントは、第1導電型のドーパントであること、
    を特徴とする請求項6または7に記載の太陽電池の製造方法。
  10. 前記第3工程の前に、前記半導体基板において前記第1面と対向する第2面に膜厚が50nmより大、且つ200nm以下の第2酸化膜を形成する第7工程を有すること、
    を特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の太陽電池の製造方法。
  11. 前記第7工程と前記第3工程との間に、第2ドーパントを含んだ第3拡散源を前記第2酸化膜上に選択的に形成する第8工程を有し、
    前記第3工程では、前記第2面の表層における前記第3拡散源の直下領域に前記第2ドーパントが拡散した第4のドーパント拡散層を形成すること、
    を特徴とする請求項10に記載の太陽電池の製造方法。
  12. 前記第2酸化膜は、前記第2ドーパントを前記第3拡散源よりも低い濃度で含む第4拡散源であり、
    前記第3工程では、前記第2面の表層における前記第4拡散源の直下領域であって前記第4のドーパント拡散層以外の領域に前記第2ドーパントが前記第4のドーパント拡散層よりも低い濃度で拡散した第5のドーパント拡散層を形成すること、
    を特徴とする請求項11に記載の太陽電池の製造方法。
  13. 前記第7工程では、前記第3拡散源よりも低い濃度で前記第2ドーパントを含む第2下層酸化膜を前記第2面上に形成する工程と、前記第2酸化膜の表層となりドーパントを含まない第2上層酸化膜を前記第2下層酸化膜の上層に形成する工程と、を含むこと、
    を特徴とする請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
  14. 前記第1ドーパントは第2導電型のドーパントであり、前記第2ドーパントは第1導電型のドーパントであること、
    を特徴とする請求項12または13に記載の太陽電池の製造方法。
  15. 前記第1ドーパントは第1導電型のドーパントであり、前記第2ドーパントは第2導電型のドーパントであること、
    を特徴とする請求項12または13に記載の太陽電池の製造方法。
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