JP5541409B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する太陽電池の製造方法に関する。
近年、地球規模での資源節約や環境悪化の防止にかかる問題を解決していくために、化石燃料の代替エネルギーとして、原子力以外に、風力、波力、太陽光等に潜在するエネルギーを有効利用する技術の開発が行われ実用化されてきている。
その中で、クリーンな太陽光エネルギーの活用については太陽電池が主要な技術として注目され、安価で、簡便に、小規模からの発電が可能であるため、太陽光発電は個人の住宅やビル全体で消費するエネルギーの一部を代替する技術として実用化されてきている。
現在、主流となっている一般住宅向けの太陽電池システム等では、パネル状の太陽電池モジュールを複数個直列又は並列に接続し、建物の屋根に並べて敷設することによって所望の出力が得られるよう構成されている。パネル状の太陽電池モジュールに使用される太陽電池セルの形状は、太陽電池パネルの形状にあわせるために、正方形又は角部が欠損している擬似正方形が用いられる。
太陽電池セルは、光エネルギーを電力に変換する半導体素子であり、p−n接合型、pin型、ショットキー型等があり、特にp−n接合型が広く用いられている。また、太陽電池をその基板材料をもとに分類すると、シリコン結晶系太陽電池、アモルファス(非晶質)シリコン系太陽電池、化合物半導体系太陽電池の3種類に大きく分けられる。シリコン結晶系太陽電池は、更に、単結晶系太陽電池と多結晶系太陽電池に分類される。太陽電池用結晶基板は比較的容易に製造できることから、シリコン結晶系太陽電池が最も普及している。
一般的な結晶シリコン太陽電池は、太陽光線の照射により生成したキャリアを分離するために、p−n接合の形成が必要である。例えば、基板にp型シリコンを用いる場合は、受光面側にリン等のV族元素を拡散させることでn型シリコン層を、又は基板にn型シリコンを用いる場合は、受光面側に硼素等のIII族元素を拡散させることでp型シリコン層を形成する。
シリコン太陽電池は、p型シリコン基板の場合、リン系のドーパントを800〜950℃程度の温度で熱拡散することで基板両面の全面に拡散層を形成する。これを、必要に応じて不要な部分の拡散層を除去して、太陽電池用の拡散層とする。
そして、この拡散層上に反射防止膜として例えばシリコン窒化膜を形成し、受光面側にグリッド状の銀ペースト、及び裏面のほぼ全面にアルミニウムペースト電極を印刷、焼成することで、シリコン結晶系太陽電池とすることができる。
ここで、太陽電池の光電変換効率を上げるためには、拡散層の厚さは薄いほうがよいが、薄すぎると突き抜けといわれる電極によるn層部分の破壊が起こりやすくなる上に、高抵抗化により電極部分での集電がうまくできなくなる。そのため、受光面部分は拡散層を薄くした高抵抗層(低濃度拡散)とし、電極部分は拡散層を厚くした低抵抗層(高濃度拡散)とする選択エミッタとよばれる構造が用いられる。
選択エミッタは、基板の表面をSiO2等の拡散阻止皮膜で覆い、該拡散阻止皮膜を線状に除去して拡散ウィンドウを作製し、その領域内にドーパントを選択的に拡散させることにより高濃度拡散層を形成し、作製することができる。
高濃度拡散層を形成後、拡散阻止皮膜を除去して高濃度拡散層を含む表面の全面にドーパントを拡散させて、高濃度拡散層の周囲領域を、該高濃度拡散層よりもドーパント濃度の低い低濃度拡散層とする。
次に表面に反射防止膜を形成する。反射防止膜としては、窒化シリコン膜、酸化チタン膜又は酸化アルミニウム膜が可能である。これらの膜は、例えば、CVD法により、形成することができる。
反射防止膜として用いる酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化チタン膜及び酸化アルミニウム膜は、いずれもシリコンウェハ表面の欠陥を終端し、太陽電池セルの特性を向上(特に短絡電流を向上)させる働きがある。
次に、反射防止膜を作製後、印刷で、電極のフィンガーを形成する。電極のフィンガーの位置は、基板の2辺を基準にして基板の位置合わせを行い、高濃度拡散層上に重ねて、作製する。
拡散処理後は、低濃度拡散層と高濃度拡散層の区別が、目視では確認できなってしまう。この区別は、電気的な評価(例えば広がり抵抗測定)で確認可能であるが破壊検査となり、検査に時間がかかってしまう。
太陽電池製造工程は、上記のように多数の工程を経るため、ある工程で、基板が回転してしまった場合に基板の向きが判別できない問題が発生する。これを回避するために、例えば、基板にレーザーマークで印をつけても、反射防止膜を作製することにより、確認が難しく、更に、レーザーマークにより、太陽電池基板に歪みが入り、その部分の特性が低下する問題がある。
なお、本発明に関連する従来技術として、下記文献が挙げられる。
特開2004−064028号公報 特開2005−123447号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、基板の向きを容易に判別でき、太陽電池の製造工程において、基板の向きを統一させることが容易で安定した特性を確保して太陽電池を製造することを可能にする太陽電池の製造方法を提供する。
従って、本発明は下記の太陽電池の製造方法を提供する。
請求項1:
平面視正方形状のシリコン基板の角部の一つに平面取り部を形成すると共に、上記角部と対向していない他の角部の一つの角部近傍にノッチ部を形成し、残りの角部を加工を施さないままにしてなる太陽電池用基板を用いて、上記太陽電池用基板の受光面となる面に所定領域でドーパントを選択的に拡散した高濃度拡散層と該高濃度拡散層の周囲領域で高濃度拡散層よりもドーパント濃度の低い低濃度拡散層とを形成し、更に高濃度拡散層上に受光面電極を重ねて形成する太陽電池の製造方法であって、上記太陽電池用基板における平面取り部及びノッチ部により該太陽電池用基板の表裏及び回転方向の向きを判別し、太陽電池用基板の表裏及び回転方向の向きをそろえて上記高濃度拡散層の形成と受光面電極の形成とを行うことを特徴とする太陽電池の製造方法。
請求項2:
各角部が丸味を帯びた平面視正方形状のシリコン単結晶基板の角部の一つにオリエンテーションフラットを形成すると共に、上記角部と対向していない他の角部の一つの角部近傍にノッチ部を形成し、残りの角部を加工を施さないままにしてなる太陽電池用基板を用いて、上記太陽電池用基板の受光面となる面に所定領域でドーパントを選択的に拡散した高濃度拡散層と該高濃度拡散層の周囲領域で高濃度拡散層よりもドーパント濃度の低い低濃度拡散層とを形成し、更に高濃度拡散層上に受光面電極を重ねて形成する太陽電池の製造方法であって、上記太陽電池用基板におけるオリエンテーションフラット及びノッチ部により該太陽電池用基板の表裏及び回転方向の向きを判別し、太陽電池用基板の表裏及び回転方向の向きをそろえて上記高濃度拡散層の形成と受光面電極の形成とを行うことを特徴とする太陽電池の製造方法。
請求項3:
上記太陽電池用基板が円筒状の単結晶インゴットから切り出されてなり、上記角部が該単結晶インゴットの外周部分である請求項2記載の太陽電池の製造方法。
請求項4:
上記太陽電池用基板において、表面が{100}面であるシリコン単結晶基板のほぼ中心を通る<110>の結晶方位にオリエンテーションフラット及びノッチ部を形成した請求項2又は3記載の太陽電池の製造方法。
請求項5:
上記高濃度拡散層及び低濃度拡散層の形成は、太陽電池用基板の表面を拡散阻止被膜で覆い、該拡散阻止被膜を形成予定の受光面電極パターンに除去して拡散ウィンドウを作製し、該拡散ウィンドウの領域内にドーパントを選択的に拡散させた後、上記拡散阻止被膜を除去して太陽電池用基板表面の全面にドーパントを拡散させて形成するものである請求項1〜4のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
請求項6:
上記受光面電極の形成は、電極ペーストを印刷により配置し、焼成して形成するものである請求項1〜5のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
請求項7:
上記受光面電極の形成は、上記高濃度拡散及び低濃度拡散層層上に反射防止膜を形成した後に該反射防止膜上で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
請求項8:
上記受光面電極の形成は、太陽電池用基板の2辺を基準にして基板の位置合わせを行い、高濃度拡散層上に重ねるように受光面電極を形成するものである請求項1〜7のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
請求項9:
上記受光面電極はフィンガー電極である請求項1〜8のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
本発明によれば、基板の位置を容易に確認でき、太陽電池製造工程において基板の向きの判別が可能となり、基板の向きが原因で発生する不良が抑制される。
本発明に係る太陽電池用基板の一例を説明するもので、(a)は円筒状単結晶インゴットにオリエンテーションフラットを形成した状態の平面図、(b)は周辺部を切断して平面視擬似正方形とした状態の平面図である。 本発明に係る太陽電池用基板の他の例を説明するもので、(a)はキャスト法により作製した多結晶シリコンの平面図、(b)は角部に平面取り部及びノッチ部を形成した状態の平面図である。 太陽電池の製造方法を順次説明する説明図である。
太陽電池セルの形状は、太陽電池パネルの形状にあわせる必要があることから、その基板は、平面視正方形又は擬似正方形(角部が丸味を帯びた正方形(以下同様))に加工される[図1(b)]。擬似正方形に加工するのは、単結晶基板が、円筒の単結晶から作製されるため、切断による単結晶のロスを減少させるためである。多結晶基板の場合は、形状は、鋳型によって変更できるので正方形基板の基板が用いられる[図2(a)]。
本発明においては、この基板の第一角部に平面取り部又は第一角部乃至その近傍にノッチ部を形成するなど、他の角部と異なった形状にすることで、基板の向きを判別することが可能になる。
正方形基板の場合、この平面取り部又はノッチ部を形成するためのロスを少なくするために切断部分の外形寸法が5mm以下であることが望ましい。
擬似正方形基板の場合、例えば、直径200mmの円筒状単結晶インゴットから156×156mmの擬似正方形基板を得ることができ、角部は、半径100mmの円弧となる。この円弧の部分に劈開方向を示すオリエンテーションフラット(結晶方向を示す平面取り部、以後OFともいう)又はノッチ部を形成する。
OF、ノッチ部の加工数は、1個あれば、基板の方向が明確になる。それぞれを組み合わせて基板の対角線に対して線対称にならないよう配置すれば、表裏の判別が可能になる。
[発明の実施の形態1]
以下にCZ法によるシリコン単結晶太陽電池基板を使用した太陽電池の製造方法を図1及び図3を参照して説明する。
単結晶系太陽電池に使用されるシリコン結晶基板の製造方法としては、FZ(Floating Zone)法及びCZ(Czochralski)法があるが、CZ法が主に用いられている。
まず、石英ルツボに高純度のシリコン多結晶を投入する。次に、目的の導電型、抵抗の単結晶を得るため、p型であれば、ホウ素、ガリウム等のIII族元素、n型であればリン、ヒ素などのV族元素をドープする。抵抗は0.1Ω・cm以上10Ω・cm以下、望ましくは0.5Ω・cm以上2Ω・cm以下とすることが、高性能の太陽電池を実現する上で適している。
溶融したメルトに、面方位が<100>方向である種結晶を浸し、回転させながら引き上げることにより、面方位が<100>である円筒の単結晶インゴットを得る。その単結晶インゴットの両端部を切断し、外周を研削して円柱状のブロックをつくる。
面方位<100>の単結晶インゴットを、X線方位測定によって結晶方位を測定し単結晶の中心を通り、劈開方向である<110>方向にOF又はノッチ部を研削する[図1(a)参照]。
次に、円筒を正方形に近づけるために、周辺部を切断し、正方形又は擬似正方形にする[図1(b)参照]。切断は、OF又はノッチ部を残すように劈開方向である<110>方向に対して、45度回転させて切断する。正方形基板の場合、OF又はノッチ部を形成するためのロスを少なくするために切断部分の外形寸法が5mm以下であることが望ましい。外形寸法とは、OFであれば平面取りを行った弦の長さ、ノッチ部であれば切欠いた長辺の長さを指す。
OF、ノッチ部の加工数は、1個あれば、基板の方向が明確になる。それぞれを組み合わせて2個以上を擬似正方形の対角線に対して線対称にならないよう配置すれば、表裏の判別が可能になる利点がある。
擬似正方形の四角柱形ブロックにカーボン、ガラス等を接着し、所定の基板厚さに切断する。基板厚さについては、50μm程度あれば、入射した光を太陽電池内にとらえることが可能であり、コスト面でも有利であるが、機械的強度を持つためには、150〜300μmであることが望ましい。
切断したブロックをスライスして太陽電池用基板を得る際に劈開方向に沿った切断方法では、割れ、カケが生じる問題がある。そこで、劈開方向に対して45度回転させ、擬似正方形の角部や角部近傍に、OFやノッチ部がくるように切断することによって切断の際の割れ、カケを防止できる。
切断した基板1[図3(a)]は、洗浄用キャリアに移載して、洗浄を実施する。直径200mmの単結晶から、156mm角の基板を作製した場合、OFが有る場合とない場合で、直径の偏差が0.5〜0.7mm程度の差があり、目視により、基板方向を揃えることが可能である。また、CCDカメラで、基板の形状を判別し、方向を変えてキャリアに充填することにより、OF及びノッチ部の方向を統一してもよい。これにより、工程中の基板方向違いによる不良をなくすことが可能となる。
洗浄された基板を、酸素雰囲気中、800〜1,000℃の高温炉で熱酸化をし、基板の受光面側に3〜30nm程度の薄い酸化シリコン膜2を形成する[図3(b)]。
次に、基板受光面にフォトレジスト材料をスピン塗布し、70〜100℃で20〜80分間程度ベーキングを行う。受光面電極パターンと同形状のガラスマスクを用いて露光し、現像する。ここで、用いるフォトレジスト材料は、ポジ型、ネガ型のいずれをも用いることができる。パターニングされた基板は、1〜50質量%程度のフッ酸水溶液、又は、フッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液により、ポジ型フォトレジスト材料の場合、フォトレジスト膜が除去された部分のみ酸化シリコン膜2が除去され、受光面電極と同パターンの酸化シリコン膜欠落部分が形成され、拡散溝3が形成される。その後、アセトンディップ、硫酸ボイル等によってレジスト膜が完全に除去される[図3(c)]。
この基板の受光面に第一拡散処理として、POCl3を含んだN2ガスを900〜950℃の高温炉に導入することで、V族元素のリンをドーパントとして拡散処理4する[図3(d)]。このとき、表面上に残っている酸化膜がリン拡散に対するマスクとして働き、リンを選択的に拡散できる。基板取扱いの際、基板のOFとノッチ部により、基板の向き及び表面と裏面の区別が可能になる。
なお、該工程は、塗布拡散法やイオン注入法により行うことも可能である。
第一拡散処理が終了後、1〜50質量%程度のフッ酸水溶液でエッチングすることで、表面の酸化膜を除去する[図3(e)]。なお、熱処理用の石英治具から、洗浄用キャリアに移載する際、本発明の基板のOFとノッチ部により、基板の向き及び表面と裏面の区別が可能になる。
酸化膜を除去後、第二拡散熱処理としてPOCl3を含んだN2ガスを800〜850℃の高温炉に導入することで、V族元素のリンをドーパントとして全面に低濃度の拡散熱処理5を実施する[図3(f)]。低濃度の拡散層5は、シート抵抗が50Ω/□以上、300Ω/□以下(例えば100Ω/□)となるように形成する。この第二拡散熱処理により、第一拡散熱処理で形成されている高濃度拡散層4には、ドーパントが追加拡散され、シート抵抗が1Ω/□以上50Ω/□以下(例えば10Ω/□)の高濃度拡散層4となる。この工程も第一拡散処理と同様、塗布拡散法やイオン注入法により行うことが可能である。なお、洗浄用キャリアから、熱処理用の石英治具に移載する際、本発明のOFとノッチ部により、基板の向き及び表面と裏面の区別が可能になる。
第二拡散処理終了後、太陽光反射防止と表面保護を兼ねて、プラズマCVD法により基板表面に窒化シリコン膜による反射防止膜6を作製する[図3(g)]。
窒化シリコン膜を作製した基板の裏面に、アルミニウム等の真空蒸着乃至スパッタリング等により裏面電極7を形成する。この裏面電極7は、厚さが例えば1μm以上10μm以下(例えば5μm)に形成される[図3(h)]。
最後に、表面に電極ペーストを印刷により配置し、500〜800℃で焼成することで、電極8を形成することができる[図3(i)]。この場合、フィンガー電極は高濃度拡散層上に重ねて形成する。多数の移載工程を経るため、高濃度拡散層4と低濃度拡散層5の識別が目視ではできなくなってしまい、基板の方向が判らなくなる問題があったが、本発明のOFとノッチ部により、基板の向きをそろえることが可能になり、歩留まりよく太陽電池を作製することが可能となる。
[発明の実施の形態2]
以下にCAST法によるシリコン多結晶太陽電池基板を使用した太陽電池の製造方法を同様に図2及び図3を参照して説明する。
多結晶系太陽電池に使用されるシリコン結晶基板の製造方法としては、CAST法が主に用いられる。最初に、金属級シリコン細粒を、離型剤を介して鋳造炉内の高純度石英製のルツボ内に、ドーパントと共に投入する。ドーパントは目的の導電型、抵抗の多結晶を得るため、p型であれば、ホウ素、ガリウムなどのIII族元素、n型であればリン、ヒ素などのV族元素をドープする。抵抗は0.1Ω・cm以上10Ω・cm以下、望ましくは0.5Ω・cm以上2Ω・cm以下とすることが、高性能の太陽電池を実現する上で適している。そして、ヒータでルツボを1,500℃程度の温度にし、金属級シリコンを溶融させる。
次に、ヒータを下部から温度を低くするよう制御し、溶融させた金属級シリコンを下部から固めていくことにより、多結晶シリコンの鋳塊にする。そして、ルツボを鋳造炉から取り出し、固まった多結晶シリコン鋳塊をルツボから取り出す。この多結晶シリコン鋳塊の側面、底面、上面の表面側は、不純物が多いため、切り落とす。例えば、200mmの立方体の多結晶シリコンの鋳塊の場合、側面は25mm、底面は20mm、上面は30mmを切り落とす。上面を多めに切り落とすのは、鋳塊を下から固めているため、上面に偏析により不純物が集まるからである。
次に、側面、底面、上面の表面側を切り落とした多結晶シリコン鋳塊[図2(a)参照]の角部に平面取り部又は角部乃至その近傍にノッチ部を研削加工により形成する[図2(b)参照]。この時、平面取り部又はノッチ部を形成するためのロスを少なくするために切断部分の外形寸法が5mm以下であることが望ましい。
平面取り部、ノッチ部の加工数は、1個あれば、基板の方向が明確になる。それぞれを組み合わせて2個以上を擬似正方形の対角線に対して非対称になるよう配置すれば、表裏の判別が可能になる利点がある。
正方形の四角柱形ブロックにカーボン、ガラス等を接着し、所定の基板厚さに切断する。基板厚さについては、50μm程度あれば、入射した光を太陽電池内にとらえることが可能であり、コスト面でも有利であるが、機械的強度を持つためには、150〜300μmであることが望ましい。
切断した基板1[図3(a)]は、洗浄用キャリアに移載して、洗浄を実施する。このとき、本発明により、形成した平面取り部又はノッチ部を目視により確認することで、基板方向を揃えることが可能である。また、CCDカメラで、基板の形状を判別し、方向を変えてキャリアに充填することにより、平面取り部及びノッチ部の方向を統一してもよい。これにより、工程中の基板方向違いによる不良をなくすことが可能となる。
洗浄された基板を、酸素雰囲気中、800〜1,000℃の高温炉で熱酸化をし、基板の受光面側に3〜30nm程度の薄い酸化シリコン膜2を形成する[図3(b)]。
次に、基板受光面にフォトレジスト材料をスピン塗布し、70〜100℃で20〜80分間程度ベーキングを行う。受光面電極パターンと同形状のガラスマスクを用いて露光し、現像する。ここで、用いるフォトレジスト材料は、ポジ型、ネガ型のいずれをも用いることができる。パターニングされた基板は、1〜50質量%程度のフッ酸水溶液、又は、フッ酸とフッ化アンモニウムの混合水溶液により、ポジ型フォトレジスト材料の場合、フォトレジスト膜が除去された部分のみ酸化シリコン膜2が除去され、受光面電極と同パターンの酸化シリコン膜欠落部分3が形成される。その後、アセトンディップ、硫酸ボイル等によってレジスト膜が完全に除去される[図3(c)]。
この基板の受光面に第一拡散処理として、POCl3を含んだN2ガスを900〜950℃の高温炉に導入することで、V族元素のリンをドーパントとして拡散処理4する[図3(d)]。このとき、表面上に残っている酸化膜がリン拡散に対するマスクとして働き、リンを選択的に拡散できる。基板取扱いの際、基板の平面取り部とノッチ部により、基板の向き及び表面と裏面の区別が可能になる。
なお、該工程は、塗布拡散法やイオン注入法により行うことも可能である。
第一拡散処理が終了後、1〜50質量%程度のフッ酸水溶液でエッチングすることで、表面の酸化膜を除去する[図3(e)]。なお、熱処理用の石英治具から、洗浄用キャリアに移載する際、本発明の基板の平面取り部とノッチ部により、基板の向き及び表面と裏面の区別が可能になる。
酸化膜を除去後、第二拡散熱処理としてPOCl3を含んだN2ガスを800〜850℃の高温炉に導入することでV族元素のリンをドーパントとして全面に低濃度の拡散熱処理5を実施する[図3(f)]。低濃度の拡散層5は、シート抵抗が50Ω/□以上、300Ω/□以下(例えば100Ω/□)となるように形成する。この第二拡散熱処理により、第一拡散熱処理で形成されている高濃度拡散層4には、ドーパントが追加拡散され、シート抵抗が1Ω/□以上50Ω/□以下(例えば10Ω/□)の高濃度拡散層4となる。この工程も第一拡散処理と同様、塗布拡散法やイオン注入法により行うことが可能である。なお、洗浄用キャリアから、熱処理用の石英治具に移載する際、本発明の平面取り部とノッチ部により、基板の向き及び表面と裏面の区別が可能になる。
第二拡散処理終了後、太陽光反射防止と表面保護を兼ねて、プラズマCVD法により基板表面に窒化シリコン膜による反射防止膜6を作製する[図3(g)]。
窒化シリコン膜を作製した基板の裏面に、アルミニウム等の真空蒸着乃至スパッタリング等により裏面電極7を形成する。この裏面電極7は、厚さが例えば1μm以上10μm以下(例えば5μm)に形成される[図3(h)]。
最後に、表面に電極ペーストを印刷により配置し、500〜800℃で焼成することで、電極8を形成することができる[図3(i)]。多数の移載工程を経るため、高濃度拡散層4と低濃度拡散層5の識別が目視ではできなくなってしまい、基板の方向が判らなくなる問題があったが、本発明の平面取り部とノッチ部により、基板の向きをそろえることが可能になり、歩留まりよく太陽電池を作製することが可能となる。
以下、本発明の実施例を説明する。
まず、ボロンをドーパント元素とするp型単結晶 結晶方位<100> 直径200mmのシリコン単結晶をCZ法により作製した。単結晶を円筒研磨後、X線方位測定によって結晶方位を測定し、<110>の結晶方位にOFを研削し、基板の中心を通り、OFの位置に対して、90度回転させた位置にノッチ部を研削した[図1]。
円筒のインゴットの周辺部を切断し、擬似正方形のブロックにした。切断は、劈開方向である<110>方向に加工したOFが角部に配置されるよう45度に傾け、4辺を外周刃切断機で切断した。
擬似正方形の四角柱形ブロックにカーボンを接着し、ワイヤーソーで基板厚300μmに切断した。切断された単結晶基板は、基板にOF、ノッチ部が形成された図1(b)の形状となった。1本の単結晶にOFとノッチ部を作製することで、基板取扱いの際、表面と裏面の区別が可能になった。
基板の表面に拡散阻止層をなす酸化シリコン膜を基板を酸素雰囲気で1,000℃の高温炉で熱酸化をして形成した。膜厚は30nmであった[図3(b)]。そして、表面にポジ型フォトレジスト材料をスピン塗布し70℃で20分焼成を行い、受光面電極パターンと同形状のガラスマスクを用いて露光し、現像した。パターニングされたウェハは、5質量%のフッ酸水溶液により、フォトレジスト膜が除去された部分のみ酸化シリコン膜が除去され、受光面電極と同パターンの酸化膜欠落部分が形成された。その後、アセトンディップを行い、レジストを除去した[図3(c)]。
次に第一拡散処理として、POCl3を含んだN2ガスを950℃の高温炉に導入することで、V族元素のリンをドーパントとして拡散処理した[図3(d)]。このとき、表面上に残っている酸化膜がリン拡散に対するマスクとして働き、リンを選択的に拡散させた。
第一拡散処理が終了後、フッ酸水溶液でエッチングすることで、表面の酸化膜を除去した[図3(e)]。
酸化膜を除去後、POCl3を含んだN2ガスを800℃の高温炉に導入し、n型の低濃度拡散層を形成した[図3(f)]。これにより、リンを選択的に拡散させた部分は、高濃度拡散層となった。
太陽光反射防止と表面保護を兼ねて、窒化珪素の反射防止膜をプラズマCVD法により表面に形成した[図3(g)]。
裏面にアルミニウムの真空蒸着を行い、厚さが5μmの裏面電極を形成した[図3(h)]。
最後に、表面に電極ペーストを、印刷により配置し、焼成することで、電極を作製した[図3(i)]。本発明の太陽電池基板の形状により、移載や位置決めの際、外観で向きを判断できるようになったため、基板の向きをそろえることが可能になり、歩留まりよく太陽電池を作製することができた。
1 基板
2 酸化シリコン膜
3 拡散溝
4 高濃度拡散層
5 低濃度拡散層
6 反射防止膜
7 裏面電極
8 表面電極

Claims (9)

  1. 平面視正方形状のシリコン基板の角部の一つに平面取り部を形成すると共に、上記角部と対向していない他の角部の一つの角部近傍にノッチ部を形成し、残りの角部を加工を施さないままにしてなる太陽電池用基板を用いて、上記太陽電池用基板の受光面となる面に所定領域でドーパントを選択的に拡散した高濃度拡散層と該高濃度拡散層の周囲領域で高濃度拡散層よりもドーパント濃度の低い低濃度拡散層とを形成し、更に高濃度拡散層上に受光面電極を重ねて形成する太陽電池の製造方法であって、上記太陽電池用基板における平面取り部及びノッチ部により該太陽電池用基板の表裏及び回転方向の向きを判別し、太陽電池用基板の表裏及び回転方向の向きをそろえて上記高濃度拡散層の形成と受光面電極の形成とを行うことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 各角部が丸味を帯びた平面視正方形状のシリコン単結晶基板の角部の一つにオリエンテーションフラットを形成すると共に、上記角部と対向していない他の角部の一つの角部近傍にノッチ部を形成し、残りの角部を加工を施さないままにしてなる太陽電池用基板を用いて、上記太陽電池用基板の受光面となる面に所定領域でドーパントを選択的に拡散した高濃度拡散層と該高濃度拡散層の周囲領域で高濃度拡散層よりもドーパント濃度の低い低濃度拡散層とを形成し、更に高濃度拡散層上に受光面電極を重ねて形成する太陽電池の製造方法であって、上記太陽電池用基板におけるオリエンテーションフラット及びノッチ部により該太陽電池用基板の表裏及び回転方向の向きを判別し、太陽電池用基板の表裏及び回転方向の向きをそろえて上記高濃度拡散層の形成と受光面電極の形成とを行うことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  3. 上記太陽電池用基板が円筒状の単結晶インゴットから切り出されてなり、上記角部が該単結晶インゴットの外周部分である請求項2記載の太陽電池の製造方法。
  4. 上記太陽電池用基板において、表面が{100}面であるシリコン単結晶基板のほぼ中心を通る<110>の結晶方位にオリエンテーションフラット及びノッチ部を形成した請求項2又は3記載の太陽電池の製造方法。
  5. 上記高濃度拡散層及び低濃度拡散層の形成は、太陽電池用基板の表面を拡散阻止被膜で覆い、該拡散阻止被膜を形成予定の受光面電極パターンに除去して拡散ウィンドウを作製し、該拡散ウィンドウの領域内にドーパントを選択的に拡散させた後、上記拡散阻止被膜を除去して太陽電池用基板表面の全面にドーパントを拡散させて形成するものである請求項1〜4のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
  6. 上記受光面電極の形成は、電極ペーストを印刷により配置し、焼成して形成するものである請求項1〜5のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
  7. 上記受光面電極の形成は、上記高濃度拡散層及び低濃度拡散層上に反射防止膜を形成した後に該反射防止膜上で行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
  8. 上記受光面電極の形成は、太陽電池用基板の2辺を基準にして基板の位置合わせを行い、高濃度拡散層上に重ねるように受光面電極を形成するものである請求項1〜7のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
  9. 上記受光面電極はフィンガー電極である請求項1〜8のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
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