JPWO2016093213A1 - 励磁コイル及びコイルユニット - Google Patents
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Abstract
本発明は、磁気刺激療法に用いる励磁コイルにおいて、安全性が向上し、小型化した励磁コイルを提供することを目的とする。本発明は、磁界を生成する渦巻導線部を有する励磁コイルであって、当該渦巻導線部の導線端面が励磁コイルの中心軸に対して平行であることを特徴とする、励磁コイルを提供する。
Description
本発明は、励磁コイル及びコイルユニットに関し、具体的には経頭蓋磁気刺激システムに使用するための励磁コイル及びコイルユニットに関する。
反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS;Repetitive transcranial magnetic stimulation)は、脳内神経等の脳の特定部位に非侵襲的に磁気刺激を加えることにより、脳卒中後の疼痛等の神経疾患やうつ病、アルツハイマー等に対する治療、症状の緩和や改善を図ることができる治療法である。
経頭蓋磁気刺激療法は、患者の頭皮表面の特定位置に励磁コイル等の磁気発生手段を配置し、磁気発生手段から患者の脳の特定部位に対して磁気刺激を行う。具体的な手法として、特許文献1には、患者の頭皮表面に設置したコイルユニットに電流を流し、局所的に微小なパルス磁場を生じさせ、電磁誘導の原理を利用して頭蓋内に渦電流を起こすことにより、コイルユニット直下の脳内神経に刺激を与えることが開示されている。
経頭蓋磁気刺激治療に用いる際の励磁コイルには、種々のものが利用されている。特許文献1や特許文献2にも示されているような8の字型の励磁コイルが一般的であるが、山型や円型のものも存在する。しかしながら、通常の励磁コイルは大きいため、励磁コイルの操作がしづらく、処方時や治療時において操作性が悪い場合がある。
また湾曲型のコイル成型の方法として、特許文献3や特許文献4が挙げられる。これらのコイルは平面シートにコイルを貼り付けてシートごと湾曲させたり、前工程で平面状に構成した渦巻コイルを曲面形状のプレス加工機でプレスしたりすることによってコイルを湾曲させて曲面形状の渦巻きコイルを実現している。
本発明は、磁気刺激療法に用いる励磁コイルにおいて、小型化した励磁コイルを提供することを目的とする。
本発明は、磁界を生成する渦巻導線部を有する励磁コイルであって、当該渦巻導線部の導線端面の導線を長さ方向に対して垂直に切断したときの断面である、導線端面の四角形の辺又は楕円の軸が、励磁コイルの渦巻導線部の渦巻きの中心である中心軸に対して平行であることを特徴とする、励磁コイルである。
また本発明は、前記励磁コイルは、コイル上ケースとコイル下ケースからなるコイルケース内に設けられ、当該コイル下ケースは溝部を有し、当該溝部に当該励磁コイルの渦巻導線部が嵌め込まれていることを特徴とする、励磁コイルが好ましい。
さらに本発明は、前記溝部は、励磁コイルの中心軸に対して平行に構成されていることが好ましい。
さらに本発明は、前記励磁コイルは、コイル底面が曲面状に形成されていることが好ましい。
本発明における励磁コイルは、導線端面を励磁コイルの中心軸に平行になるよう構成しているので、励磁コイルの小型化に貢献することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る経頭蓋磁気刺激システムについて、添付図面に従って説明する。以下の実施の形態では、脳卒中後の疼痛等の医療分野で用いるのに好適な経頭蓋磁気刺激システムを説明するが、本発明はその他の疼痛、うつ病、アルツハイマー等の脳神経外科、精神科等の医療分野においても同様に適用できる。
なお、以下の説明では、方向や位置を表す用語(例えば、「上面」や「下面」等)を便宜上用いるが、これらは発明の理解を容易にするためであり、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本発明の一形態の例示に過ぎず、本発明、その適用される物、又はその用途を制限することを意図するものではない。
図1に経頭蓋磁気刺激システムの概略を示す。経頭蓋磁気刺激システム25(以下、単に「磁気刺激システム1」と称する。)は、励磁コイル1(磁場発生手段)を有し、ケーブル23を介して電気的にコイル駆動電源24と接続されている。コイル駆動電源24は外部電源等と接続し、励磁コイル1に電力を流す機能を有する。患者は治療用の椅子26に着座する等して頭部を固定し、治療に有用な頭皮表面の特定位置に励磁コイル1を配置する。この特定位置に配置された励磁コイル1から、患者の脳内神経に所定強度の磁気刺激を加えることにより、治療等を行う。コイル駆動電源24は、励磁コイル1への電流パルスの供給を制御するもので、従来公知の種々のタイプのものを用いることができる。コイル駆動電源24のオン/オフ(ON/OFF)操作や、磁気刺激の強度やサイクルを決定付ける電流パルスの強度やパルス波形の設定等は、操作者によって行うことができる。
励磁コイル1は、コイルケース2,4に組み込まれ、さらにコイルユニット28に組み込まれている。図2ではコイルケースはコイル上下ケースに分かれている。コイルケースは、励磁コイル1をその内部に収納するものである。コイルユニット28は、そのコイルケース2を内部に設け、励磁コイル1からコイル駆動電源24へと繋がる導線をガイドする機構、コイルを冷却するための機構、励磁コイルの温度センサー、又はそのコイル冷却機構を備えるための構造等、コイル周辺機構を含んだユニットである。コイルユニットの下面(つまり患者の頭皮表面と対向する面)は、患者の頭部形状に応じた凹状曲面に形成されている。これにより、コイルユニットを患者の頭部表面に沿ってスムーズに移動させることができる。なお、コイルユニットの平面形状(コイルユニット全体を下面からみたコイルユニットの形状)は長円型や小判型を含む楕円状、又は卵型であってもよい。
医療機関では、患者の初期診療時に専用の位置決め装置を用いて、患者の神経障害性疼痛が最も軽減できる励磁コイル1の最適コイル位置及び姿勢を決定している。励磁コイル1の最適位置及び姿勢は、患者の頭部表面上又は表面内に位置決め用のマーキングが形成される等の方法で、次回の治療から最適コイル位置及び姿勢が容易に再現できるようになる。
図2に励磁コイル1及びコイルケース2,4の分解図、図3に励磁コイル1およびコイルケース2,4の断面図を示す。治療コイルは頭部形状に合わせて励磁コイル1が球面8の字状に巻回されている。励磁コイル1は、渦巻導線部で構成され、図では2つの渦巻導線部で構成されている。なお、図では球面8の字状のコイルを示しているが、同様に曲面8の字状であってもよい。球面状コイルとは、コイルを平面に置いたときに、コイル底面が球面の一部のように湾曲している状態のコイルを言い、図に示すように巻回する導線の高さが巻くごとに徐々に変化することによって、底面が球面状となるものが挙げられる。曲面状コイルは、同様にコイルを平面に置いたときに、コイル底面が曲面になっているコイルをいい、球面状コイルは曲面状コイルの一種である。
励磁コイル1を収納するコイルケース2,4は、巻回した導線(渦巻導線部)を所定設計値通りの形状にて固定するため、予めコイル中心軸29を中心として、コイル中心軸29に対して平行に設けられた溝部13を具備するコイル下ケース2と、冷却用のファンの設置部分を具備したコイル上ケース4を有することが好ましい。コイル中心軸29は、コイルの渦巻導線部の渦巻きの中心となる軸の部分であって、コイルを平面に置いたときの鉛直方向となる。8の字状の各円状のコイルの重なり合う部分には、スペーサ3が設けられている。
図2に示す励磁コイル1は導線9を球面8の字状に巻回した2つのループ10、11(渦巻導線部)からなる。8の字型渦巻きコイルは、ループの交点に相当する点直下にて誘導電流密度が最大となり、限局した刺激を与えることが可能である。ループ10、11は互いに導線9の間隔が狭くなるように密に巻回された部分を重ね合わせるように保持されている。2つのループ10、11の重ね合わせ部分はスペーサ3により分離されており、絶縁を確保している。
図4に、巻回された励磁コイル1の断面構造を示す。これらは、従来技術における励磁コイルの上面図(a−1)、側面図(b−1)、及び断面図(c−1)と、これらに対比させた本発明における励磁コイルの上面図(a−2)、側面図(b−2)、及び断面図(c−2)を示している。
特許文献3や4では、シート部材にコイル導線を貼り付けたのちに曲面状(球面状を含む)に渦巻きコイルを構成する。その方法としては、まず、曲面状に形成する前の、前工程において、励磁コイルを例えば8の字状、且つ平面状に形成する。次に、形成された平面状の励磁コイルを、例えばシート(図示せず)に貼り付け、励磁コイルが貼り付けられたシートを、曲面形状にコイルを成型するために曲面状を有する射出成型金型(図示せず)に挿入して樹脂を射出したり、あるいは同じく励磁コイル1が貼り付けられた曲面形状のシート(図示せず)を曲面形状の金型(図示せず)に配置してプレスを実施することによって、曲面状のコイルを作製する。この場合、励磁コイル1の導線端面15が各金型の曲面にならい、端面が斜めに配置される。なお、端面とは、励磁コイル1の導線を長さ方向に対して垂直に切断したときの断面をいう。また、励磁コイルを例えば8の字状、且つ平面状に形成し、次に、曲面形状の製造治具にこの8の字状励磁コイルを押し付けて導線を沿わせ、曲面形状の励磁コイルを得ることができる。以上のように、従来技術に基づく曲面形状の渦巻きコイルでは、励磁コイルの導線端面15が曲面にならうので、端面が斜めに配置され、端面の下部が内側に入り込むように斜めになってしまう((a−1)(b−1)(c−1))。導線9をはめ込むコイル下ケース2の溝部13は、コイル中心軸29に対して平行なので、このような球面型偏心状に巻回された導線9をコイル下ケース2に嵌め込むためには、従来技術の渦巻きコイルでは、コイル下ケース2の溝幅が必然的に広くなる。この構造が結果的にコイルユニットの大型化を招く。
そこで、本発明においては、導線端面16の辺又は軸を中心軸に平行に配置させたままコイル全体を曲面状(球面状を含む)に変形させた((a―2)(b−2)(c−2))。これにより、図3に示すコイル下ケース2に具備されている溝部13に、コイル中心軸29に対して導線端面16を平行に嵌め込むことができる。また、本発明における導線端面には円状のものは入らず、四角形又は楕円状のものが該当する。本発明における四角形又は楕円状は、略四角形又は略楕円状であればよい。
これにより、コイル下ケース2の底面を必要以上に広げることなく、コイルユニットを小型化できる。なお、本発明における平行とはコイル中心軸29に対して略平行であればよい。また、略平行でなくとも、コイルの端面を少しでも立てること、つまりコイルの端面の四角形の辺又は楕円の軸をコイルの中心軸に対して平行に近づくように傾けることによっても、底面面積が減少するため、コイルユニットを小型化できる。略平行又は平行に近づける端面は、四角形であれば長辺、楕円形であれば長軸であることが好ましい。
以上の態様では、コイル下ケース2に溝部13を有する態様を示したが、溝部13を有さないコイルケースであっても、導線端面をコイル中心軸29に対して平行に立てることによって、コイル底面の面積が減少し、コイルの小型化が可能である。
また、上記は8の字形状の曲面状(球面状を含む)偏心コイルの形態を示したが、本発明におけるコイルの形状は、単一又は複数の同心又は偏心円状、あるいは角状等であっても、また曲面状(球面状を含む)、平面状であってもよい。平面状コイルはコイルを平面に置いたときに、コイル底面が平面となっているものをいう。それらのコイルにおいても、導線端面を立てることによって、底面面積が減少するため、同様にコイルの小型化が可能である。
1 励磁コイル
2 コイル下ケース
3 スペーサ
4 コイル上ケース
23 ケーブル
9 導線
10,11 ループ
13 溝部
15,16 励磁コイルの端面
24 コイル駆動電源
25 経頭蓋磁気刺激システム
26 椅子
28 コイルユニット
29 コイル中心軸
2 コイル下ケース
3 スペーサ
4 コイル上ケース
23 ケーブル
9 導線
10,11 ループ
13 溝部
15,16 励磁コイルの端面
24 コイル駆動電源
25 経頭蓋磁気刺激システム
26 椅子
28 コイルユニット
29 コイル中心軸
Claims (4)
- 磁界を生成する渦巻導線部を有する励磁コイルであって、当該渦巻導線部の導線を長さ方向に対して垂直に切断したときの断面である、導線端面の四角形の辺又は楕円の軸が、励磁コイルの渦巻導線部の渦巻きの中心である中心軸に対して平行であることを特徴とする、励磁コイル。
- 前記励磁コイルは、コイル上ケースとコイル下ケースからなるコイルケース内に設けられ、当該コイル下ケースは溝部を有し、当該溝部に当該励磁コイルの渦巻導線部が嵌め込まれていることを特徴とする、請求項1に記載の励磁コイル。
- 前記溝部は、励磁コイルの中心軸に対して平行に構成されている、請求項1又は2に記載の励磁コイル。
- 前記励磁コイルは、コイル底面が曲面状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の励磁コイル。
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