JPWO2015122506A1 - コイル装置及び経頭蓋磁気刺激システム - Google Patents

コイル装置及び経頭蓋磁気刺激システム

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Abstract

患者の頭部内に広範囲にわたって均等に渦電流が発生する経頭蓋磁気刺激治療用コイル装置を提供する。コイル装置は巻枠とコイルを備えている。巻枠の筒状面は,使用時に頭表面の近くに配置される内面部分と,中立軸と平行な第1の方向とこれに直交する第2の方向に関して筒状面の外側に向かって突出した凸状の曲面を描く外面部分を有し,中立軸が凸状の曲線を描く。

Description

本発明は,磁界を生成するコイル装置,及びこのコイル装置を用いた経頭蓋磁気刺激システムに関する。
経頭蓋磁気刺激は,電磁誘導によって脳内に電流を生じさせ,ニューロンを刺激する手法である。この手法によれば,図1,2に示すように,頭部の皮膚上に置いた刺激コイルに交流または所定の電流波形を印加することで変動磁場を形成するとともにその変動磁場の影響を受けて脳内にコイル電流とは逆向きの渦電流を誘導し,その渦電流でニューロンを刺激することによって活動電位を発生させる。
経頭蓋磁気刺激は神経伝導速度の計測を始めとした臨床検査や脳機能研究に用いられている。
近年においては,神経障害性疼痛やパーキンソン病,うつ病などの治療的応用として磁気刺激が注目されている。このような病気においては薬剤による治療では効果が見られないケースがあり,そのような場合電極を脳に埋め込むことで脳に電気刺激を与えるという治療法がある。しかし,この治療法は,開頭手術を必要とすることから,希望しない患者が多い。
そこで,手術を要さない非侵襲的な磁気刺激を反復して行う反復経頭蓋磁気刺激が治療法として研究されている。例えば難治性神経障害性疼痛において,大脳の一次運動野に磁気刺激を行った後1日間ほど除痛効果をえられたことが報告されている。
しかし,従来の磁気刺激装置は約70Kgの重量があり,また設置のために電気工事が必要となるため,設備の整った医療機関でのみ利用可能となっている。また,実際の治療時には患者のMRIデータを参照しながら刺激位置を決定するため,熟練した医療従事者による治療が必要である。難治性神経障害性疼痛の治療では,標的となる一次運動野の上に,1mmの単位でコイルの位置決めを行う必要がある。
特開2012-125546号公報 国際公開第2010/147064号公報
本発明者らは,図3に示す磁気刺激装置を開発し,8字型を改良した磁場発生コイルや位置決めに関しては既に特許出願を行っている(WO2010/147064,特許公開公報2012-125546)。
経頭蓋磁気刺激療法では,現在,磁気刺激法の刺激コイルとして,図4に示す円形コイル,8字コイルをはじめ,4葉コイル,Hesedコイル,小さな円形コイルを頭部表面に多数配置したコイルなど様々な形状が提案されており,現在は円形コイルと8字コイルが主に利用されている。
8字コイルは,2つの円形コイルを部分的に重ねて配置したもので,それらの円形コイルに逆向きに電流を流すことで,コイル交差部直下に渦電流を集中させて局所への刺激が可能である。
一方,治療の対象や,患者個人の症状によっては,局所的な刺激とは逆に,より広い範囲で刺激することが有効な場合がある。
また,局所に刺激が集中するコイルでは,対象の部位へ正確に位置を決めることが求められ,この場合,ナビゲーションシステム等による正確な位置決めを実施する必要があった。
在宅治療に用いる磁気刺激の開発を行ううえで,非医療従事者の手により刺激位置を決定するためのナビゲーションシステムの開発も進められている。このシステムによれば,患者はまず病院において磁気センサの付いたメガネを装着し,メガネを毎回同じ位置に装着するために永久磁石を用いてキャリブレーションを行う。次に,MR画像と光学式トラッキング座標系を合成する手法により医師が最適刺激位置を特定し,最適刺激位置およびその周囲5cmの範囲内のランダムな位置のデータを記録する。周囲の位置データを記録することにより,患者がコイル位置を決定する際にコイルが現在どこにあるのかを視覚的に知ることが可能となる。在宅治療時はまずメガネのキャリブレーションを行う。その後,刺激コイルに装着された永久磁石の位置をデータと比較することで3次元位置を測定する。コイルの現在位置および最適刺激位置を視覚的に確認することにより,直観的にコイルの位置決めを行うことができる。実験によれば,このナビゲーションシステムにおける誘導誤差は,最適刺激位置から最大で5mmであり,一方,先に説明した8の字コイルは,5mm以内に照射部位(最適刺激位置)がある場合に治療上有効に目的の部位を刺激することが可能である。このため,ナビゲーションシステムを用いて誘導された刺激位置において8の字コイルで磁気刺激を行う治療装置を用いると,照射すべき部位(最適刺激位置)が治療コイルの刺激有効範囲に入らない可能性があるので,正確に治療部分に刺激を行うことが難しい。そこで例えば10mm以内に照射すべき部位がある場合に治療上有効に目的の部位を刺激することができるような,より広い範囲に均等に渦電流を発生することが可能なコイルの開発が必要とされている。
そこで,本発明者らは,ロバスト性が高い(すなわち,より広い範囲に均等に渦電流を発生することができる)刺激コイルを実現するため,新規なドーム型のコイル装置を提案する。
本発明のコイル装置を開発する過程で,簡易モデルと従来のコイル装置について,渦電密度と刺激範囲を検討した。また,この検討結果をもとに,本発明のドーム型コイル装置について渦電密度と刺激範囲を検討した。
渦電流密度の解析は,有限要素法に基づき,jω法で行った。脳内を流れる渦電流からは磁場Beが発生し,その磁場のベクトルポテンシャルAeを,次の数式1によって定義する。
アンペールの法則によって,渦電流jeと磁場との間には,数式2が成り立つ。
ここでμ0は真空の透磁率である。また,渦電流と電場Eとの間には,次のオームの法則(数式3)が成り立つ。
ここでσは脳の導電率である。数式1,3を数式2に代入すると,数式4が得られる。
渦電流が発生する磁場のベクトルポテンシャルAeと,コイルが発生する磁場のベクトルポテンシャルAcは,ファラデーの法則によって,数式5のように電場と関係づけられる。
コイル電流をI,コイルの巻き線の位置ベクトルをr',場を計算する位置ベクトルをrとすると,ビオ・サバールの法則によって,コイルが発生する磁場のベクトルポテンシャルは,数式6のように計算される。
数式5,数式6を数式4に代入すると,次の式が得られる.
電磁場が,角周波数ωをもって正弦波状に時間変化する場合,複素場A*(x, y, z)を数式8で定義できる。
数式8を数式7に代入して複素化すると,この複素場が満たすべき方程式は数式9で表される。
解析では,この複素場を結果として得た。
本発明者らが開発した駆動回路を元に,コンデンサの容量を180 μFとし,パルス幅を基準パラメータ決定時に用いた8字コイルを接続した際の298 μsに設定した。電圧値の設定は6人の被験者(表1参照)に対して行った一次運動野の刺激閾値に達する電流スルーレート(磁場を発生するためにコイルに正弦波の一周期分の電流を与えるとき,この電流が立ち上がる傾斜(又は時間当たりの電流の増加)をいう。)のデータをもとに決定した。
表1より電流スルーレートが110.5A/μs(数式10参照)であれば,97.7 %の人が刺激閾値に達することが分かる。
よって,パルス幅が298 μsであることから,A = 5.28 kAの振幅(数式11参照)を与えて解析を行った。
脳モデルとして,直径200 mmの半球型の導体をコイル中心から1 cm離れた位置に置いた。導電率は3.36 kHzにおける灰白質のそれに等しい0.1065 S/mと設定した。脳内の渦電流に関する解析をするうえで頭蓋等のその他の生体組織や空気層をまとめて,直径400 mmの絶縁層としてその周囲にモデリングした。この空気層は磁場が十分に減衰する大きさであるため,コイル近傍において磁場の歪みは生じないものと考えられる。モデル全体としては接点数が約20000,要素数が約100000となった。
今回の解析においては,渦電流密度,コイル導線に平行方向および垂直方向の電流密度の広がり,コイルのインダクタンスを評価対象とした。渦電流密度は最大値と考えられるコイル中心の真下の値を用いた。電流密度の広がりは,図5に示すように脳モデル表面に対して電流密度最大値の半分になる幅を用いた。コイルのインダクタンスは,空気領域のみで解析を行い,空気領域中の磁場エネルギーの総和を用いて数式12より求めた。
治療効果を得るのに有効とされているパルス幅Tは200 〜300 μs前後であるため,数式13にC = 180 μFを代入することで,磁気刺激の観点から望ましいインダクタンスは5.63 μH〜12.6 μHであると考えられる。
本研究では,位置決め誤差に対するロバスト性が高いコイル,及びより広い範囲に対す
る磁気刺激が可能なコイルとして,図6に示すドーム型コイルを提案する。このドーム型
コイルでは,断面積に変化を持たせることによってインダクタンスを小さくしながら,渦
電流密度の大きさを保ち,渦電流密度が大きく流れる範囲を広くすることができると考え
られる。このドーム型コイルの評価をするために,図7に示す簡易モデルを用いた。
この簡易モデルでは,本発明者らが試作した図8に示す8字コイルの設計パラメータを基にしており,幅6 mm,高さ2 mmの導体を使用し,導体間隔を8字コイルに等しい5 mmとすることでコイルの幅を97 mmとし,水平方向の長さを8字コイルの直径に等しい112 mm,簡易モデルの四角形の断面積が8字コイルの外径の半分の直径をもつ円の断面積と等しくなるように垂直方向の長さを27 mm,巻数を8字コイルに等しい20回として基準パラメータを決定した。この基準パラメータからコイル幅は49.55 mm〜154 mm,水平方向の長さは52 mmから175 mm,垂直方向の長さは15 mmから39 mm,巻数は10回〜30回でそれぞれ独立に変化させた。また,巻数を変化させる際は,コイル幅は一定とし,導体間隔を巻数に応じて変化させた。
各パラメータを変化させたときの結果を図9〜図12に示す。図中の網掛けの枠は望ましいとされるインダクタンスの範囲である,5.63 μH〜12.6 μHを表す。コイル幅が大きくなるにしたがって渦電流の広がりは大きくなり,インダクタンスは小さくなる。しかし一方で電流密度は急激に小さくなる。水平方向の大きさの変化はインダクタンスの大きな変化に対して渦電流の広がりにあまり変化は見られず,渦電流密度は水平方向に大きくなるにつれて大きくなる。垂直方向の大きさの変化は渦電流の広がりに対してはほとんど影響を与えず,電流密度のみが影響をうけ,垂直方向に大きいほど電流密度は大きくなる。
巻数は渦電流の広がりに対しては影響をほとんど与えないが,巻数が多くなるにしたがって渦電流密度が大きくなることが分かった。また,同条件で従来の8字コイルに関して解析した結果は,渦電流密度は24.32 A/m2,渦電流の広がりは4.29 cm×7.55 cm,インダクタンスは9.71 μHであった。
簡易コイルによる渦電流密度解析の結果において,垂直方向の導線の長さを最大の39 mmとしたコイルの設計が,渦電流密度は8.02 A/m2,渦電流の広がりは6.61 cm×12.1 cm,インダクタンスは12.67 μHと最も有効であった。図13〜図15に8字コイル,基準パラメータを設定したコイル,最も有効であったコイルの渦電流分布を示す。8字コイルと比べて,最大渦電流密度は劣るものの,本研究における目的である,広い範囲に渦電流を発生させることができた。
渦電流の広がりに大きく影響を与えるのはコイル幅であり,コイル幅に応じて渦電流の広がりは大きくなるが,一方で渦電流密度は急激に小さくなる。これは,導体間隔が大きくなることにより,各導線の間から磁束が漏れてしまい,生体を通過する磁束の変化が小さくなるからだと考えられる。一方で,導線の水平方向の長さ,垂直方向の長さ,巻数の3つのパラメータにおいては渦電流の広がりはほぼ変化しないが,インダクタンスが大きくなるにつれて渦電流密度は大きくなる。ここでインダクタンス当りの最大電流密度の変化を比べる。水平方向の長さの変化に対しては1 μH : 0.46 A/m2であり,垂直方向の長さに対しては1 μH : 0.80 A/m2,巻数の変化に対しては 1 μH : 0.68 A/m2となる。これらのことから,垂直方向の長さは最大電流密度に対してより大きな影響を与えることが分かる。これは,垂直方向の長さが大きくなることで誘導電流を発生させる導線と逆向きに電流が流れる導線と脳との距離が大きくなり,その影響が小さくなるためであると考えられる。
以上のことから,ドーム型コイルを設計するにあたって,コイル幅を変化させることによって渦電流の広がりを大きくしながら,そのことによる渦電流密度の低下を垂直方向の導線の長さを主として変化させることによって補うことが有効であると考えられる。また,導体内部の渦電流密度分布を断面図として8字コイルと図16の最も有効なコイルの解析結果を図17に示す。この結果から,ドーム型コイルは,8字コイルと比較して,より広い範囲に深く渦電流を発生させることができるということが分かる。
簡易モデルによる解析結果をもとに,ドーム型コイルをモデルした。図6に示したドーム型コイルのモデリングを行ううえで,図19のように上下の円弧を接続しないモデルを用いることでモデリングにかかる時間を大幅に短くすることが可能となる。そこで,図18のように上下の円弧を接続したモデルと図19にように上下の円弧を接続していないモデルにおいて,同じ解析条件で解析した結果を比較する。コイルは水平方向の長さが117mm,上下の導線の幅を34 mmとし,導線間隔が3 mmの4回巻のモデルを用いた。
解析結果を表2に示す。この結果から,両者に大きな差異がないことが分かった。以上からドーム型コイルのモデリングにおいては上下の円弧を接続しないコイルモデルを用いた。
簡易モデルによる解析で最も有効なコイルとした図16のモデルをもとに図20のような水平方向の長さを112 mm,垂直方向の長さを39 mm,コイル幅を97 mm,20回巻のドーム型コイルをモデリングし,同じ解析条件で解析を行った。
簡易モデルで最も有効とされた図16のコイルの解析結果と図20のドーム型コイルの解析結果を比較したものを表3に示す。この結果から,ドーム型にすることにより,最大渦電流密度は小さくなるものの,インダクタンスが相当小さくなるため,ドーム型コイル作製時のパラメータをより変化させることにより,インダクタンスを大きくすることで最大渦電流密度は簡易コイルと同様の値をえられると予想される。また,図21に示すコイル側から見た渦電流の分布から,簡易コイルと比較して渦電流分布の広がりにおいて異方性が小さくなり,より均等に広い範囲に渦電流を発生させることができることが分かる。
ドーム型コイルモデルによる解析結果により,上部の円弧の半径に変化を持たせることにより,インダクタンスが大きく抑えられることが分かった。これは,当初の「インダクタンスをおさえながらより広い範囲に渦電流を均一に発生させる」というドーム型コイルの提案における想定に合致する。このドーム型コイルを作製するにあたり,上下の導線共に水平な2方向における曲率を各々同じとする。これを前提とするとパラメータは「巻数・垂直方向の長さ・上の導線の曲率」の3つにしぼられることが分かる。
本発明は,位置決め誤差に対するロバスト性の高い新たな刺激コイルとしてドーム型コイルを提案するもので,その簡易モデルにより各パラメータの変化における渦電流密度,渦電流の広がり,およびインダクタンスを解析した。そして簡易モデルの結果をもとにドーム型コイルモデルを作製し,解析結果の比較を行った。その結果,今回設計したコイルが8字コイルと比較してより広い範囲に渦電流を発生させることができ,ドーム型にすることにより,広い範囲への渦電流の誘起を維持しながらインダクタンスを抑えることができることが分かった。
本発明は,以上の知見に基づいてなされたもので,頭表面上に置かれ,電磁誘導によって脳内に電流を発生させてニューロンを刺激する,経頭蓋磁気刺激治療に使用するコイル装置及びこのコイル装置を有する経頭蓋磁気刺激システムであって,
横断面中の重心を連結した中立軸と前記中立軸を囲む筒状面とを有する巻枠と,
前記中立軸の周りで前記筒状面に巻かれた導線からなるコイルを備えており,
前記筒状面は,使用時に前記頭表面の近くに配置される内面部分と,前記中立軸と平行な第1の方向と前記第1の方向と直交する第2の方向に関して前記筒状面の外側に向かって突出した凸状の曲面を描く外面部分を有し,
前記中立軸が前記内面部分から前記外面部分に向かって突出した凸状の曲線を描くことを特徴とするものである。
このように構成された本発明のコイル装置は,使用時,コイル装置の内面部分患者頭部表面に対向して配置される。この状態で,コイルに交流または他の所定電流波形が印加されると,コイルの内側に磁界が形成される。この磁界は,巻枠の中立軸に沿って伸び,巻枠の形状に対応して巻枠の中央から巻枠の端部に向けて患者頭部に次第に接近するように偏向し,コイルの端部から放出される。放出された磁界は患者頭部に向かって進行し,患者の頭部内に広範囲にわたって均等に渦電流を発生する。したがって,コイル装置の位置が目標位置から多少ずれても,標的部位に確実に渦電流を発生させることができる。
それとともに,治療の対象や,患者個人の症状によっては,局所的な刺激とは逆に,より広い範囲で刺激することが有効な場合があるので,そのような治療に適合する治療コイルを実現できる。
本発明の他の形態では,前記内面部分が前記筒状面の内側に向かって凹状に窪んだ曲面である。このコイル装置によれば,コイル装置を患者頭部表面にほぼぴったりと沿わせることができるので,コイル装置の位置決め精度が更に向上するとともに,コイルから放出される磁界を患者の頭部に効率良く集めることができる。
本発明の他の形態では,前記内面部分が平坦な面である。この場合,前記内面部分の上に位置するコイル部分を覆う内側ハウジング部分を設け,前記内側ハウジング部分の外面を前記筒状面の内側に向かって凹状に窪んだ曲面とすることが好ましい。
本発明の他の形態では,前記筒状面は,前記中立軸の一端側と他端側の端部横断面が,前記一端側と他端側の中央に位置する中央部横断面よりも小さい。この形態では,前記筒状面の横断面は,前記中央部横断面から前記端部横断面に向かって漸次小さくなるように構成されていることが好ましい。
以上の形態において,前記中立軸は,前記筒状面の横断面の図心又は重心を通る軸であることが好ましい。これにより,コイルの磁界が,巻枠の中央から巻枠の端部に向けて患者頭部に次第に接近するように偏向してコイルの端部から放出され,患者の頭部内に広範囲にわたって均等に渦電流を発生する。
前記巻枠は,前記中立軸に沿って伸びる中空の部材又は中実の部材のいずれであってもよい。
患者に磁気刺激治療を施している状態を示す図である。 8字コイルによって誘導される渦電流を示す図である。 在宅治療用磁気刺激装置の使用状態を示す図である。 円形コイル(左)と8字コイル(右)を示す図である。 電流密度の広がりを評価する方向を示す図である。 本発明に係るコイル装置に用いるコイルモデルを示す図である。 解析に利用した簡易モデルを示す図である。 8字コイルを模式的に示す図である。 コイル幅と最大電流密度・インダクタンス・磁界の平行方向の広がり・垂直方向の磁界の広がりとの関係を示すグラフである。 水平方向の長さと最大電流密度・インダクタンス・磁界の平行方向の広がり・垂直方向の磁界の広がりとの関係を示すグラフである。 垂直方向の長さと最大電流密度・インダクタンス・磁界の平行方向の広がり・垂直方向の磁界の広がりとの関係を示すグラフである。 巻数と最大電流密度・インダクタンス・磁界の平行方向の広がり・垂直方向の磁界の広がりとの関係を示すグラフである。 8字コイルの渦電流分布を示す図である。 基準パラメータコイルの渦電流分布を示す図である。 最も有効なコイルの渦電流分布を示す図である。 最も有効なコイルモデルを示す図である。 8字コイルと図16のコイルを用いたときの渦電流密度の分布を示す図である。 上下の円弧を接続したコイルモデルを示す図である。 上下の円弧を接続しないコイルモデルを示す図である。 簡易モデルをもとに作製したドーム型コイルモデルを示す図である。 簡易モデルのコイルとドーム型コイルについて,コイル側から見た渦電流の分布を示す図である。 本発明に係る経頭蓋磁気刺激システムを示す図である。 図22に示すシステムの磁気刺激装置を示す図である。 図22に示すシステムの駆動回路を示す図である。 図22に示すコイルユニットの縦断面図〔図25(a)〕,横断面図〔図25(b)〕,及び一部を切除した平面図〔図25(c)〕である。 実施形態2のコイルユニットの縦断面図〔図26(a)〕及び横断面図〔図26(b)〕である。 実施形態3のコイルユニットの縦断面図〔図27(a)〕及び横断面図〔図27(b)〕である。 本発明の他の形態のコイル装置の斜視図〔図28(a)〕,横断面図〔図28(b)〕,及び縦断面図〔図28(c)〕である。 本発明のドーム型コイルの最適化設計を行う対象となる設計パラメータを説明する図〔図29(a)〕、本発明のドーム型コイルの諸特性を評価するための、球状の導電体とした脳モデルを説明する図〔図29(b)〕である。 本発明のドーム型コイルにおいて、各設計パラメータを変化させたときのコイルの諸特性値、及び誘導電界強度分布を示す図である。 本発明のドーム型コイルの誘導電界分布を、数値脳モデルを用いて示した図である。
添付図面を参照して,本発明に係る経頭蓋磁気刺激システム及びそれに用いるコイル装置の実施形態を以下に説明する。
以下の説明では,特定の方向を意味する用語(例えば,「上」,「下」,「左」,「右」,及びそれらを含む他の用語を使用するが,その使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためにであって,それらの用語の意味によって本発明が限定的に解釈されるべきでない。また,以下に説明する複数の実施例では,同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いる。
実施形態1
図22を参照すると,経頭蓋磁気刺激システム(以下,単に「システム」という。)1は,図示しない支持機構(例えば,椅子,ベッド)に支持された患者2の脳に磁気刺激を与える磁気刺激装置3を有する。
磁気刺激装置3は,患者2の脳の特定部位に磁気刺激を加えるための動磁場を形成するコイルユニット(コイル装置)4を有する。図示するように,コイルユニット4は,患者2の頭部表面に沿って移動できるとともに任意の位置に位置決めできるように,適当な支持ユニット(図示せず)で支持することが好ましい。
コイルユニット4はコイル5(図25参照)を備えている。コイル5はケーブル6を介して駆動ユニット7に接続されている。駆動ユニット7は以下に説明する駆動回路8(図24参照)を備えており,この駆動回路8にコイル5が接続されている。
駆動回路8は,図24に示すように,電源11の出力電圧を所望電圧に変換する電源回路12,電源回路12の出力を昇圧する昇圧回路13,昇圧回路13から出力を利用して電荷を蓄積するコンデンサ14,コンデンサ14に流れる電流を調整する抵抗15,コンデンサ14からの出力を所定のタイミングで動作して所定の電流を形成する半導体スイッチ16を有し,半導体スイッチ16で調整された電流がコイル5に印加されるようになっている。なお,本件発明において,コイルに印加する電流は,時間とともに周期的に流れの方向が変化する電流(交流)だけでなく,流れる方向が一定で,大きさが周期的に変動する電流(いわゆる「脈流」)も含むものと理解すべきである。
図25(a)〜図25(c)に詳細に示すように,コイルユニット4は,非磁性の電気絶縁材料からなる巻枠21を有する。図示するように,巻枠21は,図22に示す使用状態で患者頭部10の近くに配置される底壁22と使用状態で患者頭部10から離れて配置される天井壁23で構成された筒状部材で,図25(a)の左右方向に伸びる中立軸24を備えている。実施例では,底壁22は平板状をしている。天井壁23は図25(a),(b)の下から上に向かう方向(頭部から離れる方向)に向けて凸状のドーム型をしている。具体的に説明すると,図25(a)に示すように中立軸24を含む垂直面に沿った天井壁23の断面は上方に向けて凸状の曲面を描き,図25(b)に示すように中立軸24に直交する垂直面に沿った天井壁23の断面も同様に上方に向けて凸状の曲面を描いている。そして,底壁22の外面部分22aと天井壁23の外面部分23aをつないだ筒状面25が後述する導線巻回面を形成している。また,中立軸24は,筒状面25の横断面上に定義される図心(重心)を連結した線である。
好ましくは,巻枠21の両端(図25(a)の左右端部)において,底壁22と天井壁23は中立軸24から離れる方向(外側)に伸びる鍔(フランジ)26を備えている。鍔26は,中立軸24の周りに連続していてもよいし,連続していなくてもよい(すなわち,間欠的であってもよい。)。
このような構成を有する巻枠21は,例えば,図25(a),図25(b)に示す仮想線27,28に沿って分割された2つの分割片,又は底壁22と天井壁23との連結部に沿って分割された2つの分割片,若しくは,適当な断面で分割された3つ以上の分割片を組み合わせて形成することが好ましい。
コイル5は,中立軸24の周りで巻枠21の導線巻回面(底壁22と天井壁23の外周面)に導線31を巻いて構成されている。図示するように,コイル5の横断面(中立軸に直交する横断面)は,巻枠21の両端側で小さく,中央部で最大の大きさを有する。したがって,コイル5で電流が印加されときにコイル5の内側に形成される磁界は,中央部から端部に向かって収束するとともに,収束した磁界が中立軸24の延長線上に向かって,すなわち,使用状態で患者の頭部に向かって放出される。
コイル5の周囲は,非磁性の電気絶縁材料で覆われている。具体的に,図25(a),(b)に示すように,底壁22の上に配置された底部コイル部分41は底部ハウジング部分42で覆われ,天井壁23の上に配置された天井部コイル部分43は天井部ハウジング部分44で覆われている。底部ハウジング部分42と天井部ハウジング部分44は,同一材料で形成する必要はなく,異なる材料で形成してもよい。この場合,例えば,底部ハウジング部分42は薄くて柔軟な絶縁シートで形成することができる。天井部ハウジング部分44は剛性のある材料で形成することが好ましい。また,底部ハウジング部分42と天井部ハウジング部分44は例えばコイル5の周りに樹脂を一体的に成形して形成してもよいし,別々に形成された底部ハウジング部分42と天井部ハウジング部分44をコイル5の周りに組み付けてもよい。
図23に示すように,天井部ハウジング部分44は,オペレータ(図示せず)がコイルユニット4を手に持って動かすための取手51を設けることが好ましい。この場合,取手51を中空部材で形成し,その内部にケーブル6を配置することができる。
このように構成された経頭蓋磁気刺激システム1によれば,使用時,コイルユニット4の底面(底部ハウジング部分42)が患者頭部表面の適当な場所に配置される。この状態で,駆動ユニット7の駆動回路8からコイル5に所定の交流又は脈流が印加される。その結果,コイル5の内側に周期的に変化する磁界が形成される。この磁界は,巻枠21の中立軸24に沿って形成され,巻枠21の形状に対応して,巻枠21の中央から巻枠21の端部に向けて患者頭部に次第に接近するように偏向し,コイル5の端部から放出された磁界は患者頭部に向かって進行する。これにより,患者の頭部内には広範囲にわたって均等に渦電流が発生する。したがって,コイル装置の位置が目標位置から多少ずれても,標的部位に確実に渦電流を発生させることができる。
実施形態2
図26(a)〜図26(c)は,実施例形態2のコイルユニット104を示す。このコイルユニット104では,巻枠21の底壁22,特にコイル5に接する底壁22の外面部分22(巻枠外面)が,巻枠21の天井壁23と同様に,図の下から上に向かう方向(頭部から離れる方向)に向けて凹状に窪んでいる。具体的に,中立軸24を含む垂直面及びこれに直交する垂直面に沿った底壁の断面は上方に向けて凹状に窪んだ曲面を描いている。なお,外面部分22の曲率は,当然,天井壁23の外面部分23a(巻枠外面)の曲率よりも小さい。そして,曲面底壁22にならって,コイル5が曲面状に配置され,さらに,その外側を曲面状の底部ハウジング部分42が覆っている。曲面の曲率,特に最外層の底部ハウジング部分42の曲率は,コイルユニット104があてがわれる頭部形状にほぼ一致していることが好ましい。その他の構成は上述の実施形態1と同じである。
このように構成された実施形態2のコイルユニット104によれば,コイルユニット104を患者頭部表面にほぼぴったりと沿わせることができるので,コイルユニット104の位置決め精度が更に向上する。また,実施形態1に比べて中立軸の曲率が更に大きくなるので,より多くの磁界を患者頭部内に集めることができ,より効率的に治療が行える。
実施形態3
図27(a),(b)は,実施例形態3のコイルユニット204を示す。このコイルユニット204では,底部ハウジング部分42の外面(患者頭部に対向する面)が図の下から上に向かう方向(頭部から離れる方向)に向けて凹状に窪んでいる。具体的に,中立軸24を含む垂直面及びこれに直交する垂直面に沿った底部ハウジング部分42の底面は上方に向けて凹状に窪んだ曲面を描いている。曲面の曲率,特に最外層の底部ハウジング部分42の曲率は,コイルユニット204があてがわれる頭部形状にほぼ一致していること
が好ましい。その他の構成は上述の実施形態1と同じである。
このように構成された実施形態2のコイルユニット204によれば,コイルユニット204を患者頭部表面にほぼぴったりと沿わせることができるので,コイルユニット204の位置決め精度が更に向上する。
以上の実施形態では,巻枠は中空の筒状部材としたが,底壁と天井壁の間に空間の無い中実の筒状部材であってもよい。
実施形態4
図28(a)〜図28(c)は,実施形態4に係る三日月型断面のコイルユニット304を示す。図示するように,コイルユニット304は,非磁性の電気絶縁材料からなる,横断面が略三日月状の巻枠321を有する。図示するように,巻枠321は,使用状態で患者頭部10の近くに配置される底壁322と使用状態で患者頭部10から離れて配置される天井壁323で構成された筒状部材で,図28(b)の左右方向に伸びる中立軸324を備えている。実施例では,底壁322は図の下から上に向かう方向(頭部から離れる方向)に向けて凹状に窪んだ曲面をしている。天井壁23は図28(b)の下から上に向かう方向(頭部から離れる方向)に向けて凸状の曲面をしている。具体的に説明すると,図28(a),(b)に示すように中立軸324に直交する垂直面上で底壁322と天井壁323の断面は共に上方に向けて凸状の曲面を描いている。また,底壁322と天井壁323の左右連結部は滑らかな曲面を描いている。そして,底壁322の外面部分322aと天井壁323の外面部分323aをつないだ横断面が略三日月状の筒状面325が後述する導線巻回面を形成している。また,中立軸324は,筒状面325の横断面上に定義される図心(重心)を連結した線である。
好ましくは,巻枠321の両端(図28(c)の左右端部)において,底壁322と天井壁323は中立軸324から離れる方向(外側)に伸びる鍔(フランジ)326を備えている。鍔326は,中立軸324の周りに連続していてもよいし,連続していなくてもよい(すなわち,間欠的であってもよい。)。
このような構成を有する巻枠321は,例えば,中立軸324を含む横断面に沿って分割された複数の分割片,又は中立軸324に直交する横断面に沿って分割された複数の分割片を組み合わせて形成することが好ましい。
コイル305は,中立軸324の周りで巻枠321の導線巻回面325(底壁322の外面部分322aと天井壁323の外面部分323a)に導線331を巻いて構成されている。コイル305の周囲は,非磁性の電気絶縁材料で覆われている。具体的に,図25(b),(c)に示すように,底壁322の上に配置された底部コイル部分341は底部ハウジング部分342で覆われ,天井壁323の上に配置された天井部コイル部分343は天井部ハウジング部分344で覆われている。底部ハウジング部分342と天井部ハウジング部分344は,同一材料で形成する必要はなく,異なる材料で形成してもよい。例えば,底部ハウジング部分342は薄くて柔軟な絶縁シートで形成することができる。天井部ハウジング部分344は剛性のある材料で形成することが好ましい。また,底部ハウジング部分342と天井部ハウジング部分344は例えばコイル305の周りに樹脂を一体的に成形して形成してもよいし,別々に形成された底部ハウジング部分342と天井部ハウジング部分344をコイル305の周りに組み付けてもよい。図示しないが,天井部ハウジング部分344は,オペレータ(図示せず)がコイルユニット304を手に持って動かすための取手を設けることが好ましい。
本実施形態4に係るコイルユニット304及びこのコイルユニット304を備えた経頭蓋磁気刺激システムによれば,使用時,コイルユニット304の底面(底部ハウジング部分342)が患者頭部表面の適当な場所に配置される。この状態で,駆動ユニット7の駆動回路8からコイル305に所定の交流又は脈流が印加される。これにより,コイル305の内側に周期的に変化する磁界が形成される。この磁界は,巻枠321の中立軸324に沿って形成される。そして,コイル305から放出された磁界は患者頭部に向かって進行し,患者の頭部内に広範囲にわたって均等に渦電流を発生する。したがって,コイル装置の位置が目標位置から多少ずれても,標的部位に確実に渦電流を発生させることができる。また,コイルユニット304を患者頭部表面にほぼぴったりと沿わせることができるので,コイルユニット104の位置決め精度が更に向上する。
なお,実施形態4のコイル装置では,巻枠321はその中立軸324が直線を描くように表されているが,巻枠321はその中立軸が上方に向けて凸状の曲線を描くように構成してもよい。この場合,底部ハウジング部分の外形もその長軸方向中央部が上方に向けて凸状の曲面を描くように構成することができるので,底部ハウジングの底面を患者頭部表面にほぼぴったりと沿わせることができる。
また,実施形態4のコイル装置では,巻枠321の底壁322はその幅方向中央部が上方に向けて凸状の曲線を描くように構成されているが,実施形態3と同様に,底壁322の横断面を直線状に形成することにより該底部322に沿ってコイルを直線状に配置する一方,底部ハウジングの底面をその幅方向中央部を上方に向けて凸状に形成する(すなわち,幅方向の中央部を薄く,両側を厚く形成する)ことで,底部ハウジングの底面を患者頭部表面にほぼぴったりと沿わせるようにしてもよい。この実施例にあっても,底部ハウジング部分の外形もその長軸方向中央部が上方に向けて凸状の曲面を描くように構成してもよい。
なお,上述の実施形態1〜4におけるコイル装置の各部の寸法は,コイル装置に要求される仕様に応じて決定される。例えば,図9〜図12を参照して説明したように,(a)コイルの中立軸方向の長さは渦電流の広がりに影響し,(b)コイルの高さは渦電流の密度に影響し,(c)天井部コイル部分の曲率(径)がインダクタンスに影響し,(d)中立軸と直交する幅方向のコイルの長さが渦電流密度に影響し,(e)コイルの巻数が渦電流密度に影響する。したがって,実際にコイル装置を設計するにあたって,これらの要素(a)〜(e)を考慮することが好ましい。
実施形態5
次に、本発明のドーム型コイルにおいて、コイルの特性が必要な諸条件を満足するよう、コイルの形状に関する各設計パラメータを最適化するために本発明者が行った検討とその結果について説明する。
以下の検討では、次の設計パラメータ等は固定して検討をおこなっている。
すなわち、コイルは6×2mmの長方形断面を有する導線を巻回して形成されており、コイルの巻数は20ターンである。また、導線は半径100mmの頭皮に接する形状となるよう巻かれている。
上記の各実施形態に示した通り、ドーム型コイルの最適設計値を得るために検討を行う対象の設計パラメータは、A:コイル幅、B:コイル高さ、C:コイルの上側導線半径(外側曲率)の3つ(図29(a))とすることが適切であり、これら3つのパラメータは互いに独立である。また、決められたコイルの幅Aから、頭皮に接する側の各導線間の間隔が決まることになる。
本実施形態では、先に示した簡易型ドーム型コイルである直方体モデルを用いた検討で得られたひとつの最適解である、A:コイル幅=97mm,B:コイル高さ=39mm、C:上側導線半径=56mm(図16に示した直方体モデルでは、水平方向:112mmに相当)をスタートデータとし、各パラメータ値を個々に変化させた際の諸特性が変化する傾向、変化する数値範囲を調べることで、設計最適化の方向を見出し、最後にドーム型コイルとしての最適化設計値のひとつを得ることを目標とした。
ドーム型コイルの特性や誘導電界の分布を評価するために、本発明者は独自にコイルと脳の数値モデルを開発した。すなわち図29(b)に示すように、脳は直径200mmの球状(球形)の導電体としてモデル化されている。この脳モデルの導電率は、3.4 kHz における灰白質の導電率から0.11 S/mとした(S. Gabriel, R. W. Lau, and C. Gabriel, Phys. Med. Biol. 41, 2231 (1996))。コイルのモデルは脳のモデルの10mm上方に配置され、この間隔は頭皮と頭骨の厚みに従ったものである。今回の分析は、有限要素法に基づいた市販のコンピュータプログラムである、「PHOTON 社製PHOTO-Series for Windows(登録商標)」を用いて行われた(M. Sekino and S. Ueno, IEEE Trans. Magn. 40, 2167 (2004))。コイルに印加される交流電流は周波数3.4 kHz、電流値5.3 kAとし、これは200 乃至 300μs波長域を用いるTMS装置の典型的な交番パルス幅である。
先に各実施形態にて説明をした数値シミュレーションによれば、ドーム型コイルにおいていかなる設計パラメータを選択するかが、コイルの特性や電界の分布に影響を及ぼしている。図30(a−1)に示す通り、コイル幅Aを増加させると誘導電界の最大強度やコイルのインダクタンスが減少する一方で、誘導電界が分布する範囲が拡大する。このことから、電界強度を増大させるにはコイル幅Aを小さくすればよいことがわかる。しかしながら、コイルのインダクタンスを12.6 μHより小さくしなければ励磁パルスの幅が増大してしまうことから、電界強度は121 V/mより小さくする必要がある。その条件において、誘導電界が分布する範囲は86 ×50 mmまで狭まっている。
また図30(b−1)に示すように、コイル高さBを増大させるとコイルのインダクタンスが増大する。誘導電界の分布範囲はわずかに広がり、誘導電界の強度もまたわずかに増大する。この方法により誘導電界強度を増大させようとすると、電界強度は70 V/mに、電界分布範囲は105 × 76 mmにてそれぞれ限界を見ることとなる。ここでの限界はコイルのインダクタンス条件によってきまるのではなく、上側導線半径(外部曲率)Cによって決まるものである。すなわち上側導線半径Cは56mmとしており、幾何学的にコイル高さBは56mmよりも小さい値である必要があるからである。
更に、図30(c−1)に示すように、上側導線半径Cが増大すると、コイルのインダクタンスは増大し、誘導電界分布範囲もまた広がる。この方法により誘導電界を増大させると、誘導電界の強度は79 V/mで、誘導電界分布範囲は133 × 86 mmで、それぞれ限界を見る。この限界は、コイルのインダクタンスの値は必要な範囲内である必要がある、という条件に由来するものである。
以上説明をした、3つの設計パラメータをそれぞれ変化させる方法によって、ドーム型コイルの有効性を改善することが出来る。図30と表4に、それぞれの設計パラメータを変化させた時にコイルの特性が改善される様子をまとめて示している。誘導電界強度と誘導電界範囲を増大させるために最も良い方法は、上側導線半径Cを増大させることである。しかしながら上側導線半径Cを増大させると、コイル自体の大きさが増大してしまう。コイルの電気抵抗を考慮すれば、コイルのサイズを増大させるとコイル全体の抵抗値もまた増大するのでコイルの発熱も増大する。そのためrTMS(repetitive TMS:繰り返し磁気刺激)において励磁パルス数が多くなると発熱が限界を超えてしまうことから、励磁パルス数を一定限度以下に制限する必要が出て来るので、コイルのサイズを増大させる方法は望ましい方法とは言えない(T. Weyh, K. Wendicke, C. Mentschel, H. Zantow, and H. R. Siebner, Clin. Neurophysiol. 116, 1477 (2005))。等式P = I2Rに由来する発熱は、コイルの抵抗値に比例して発生する。従ってコイルの幅Aを狭くすることは誘導電界の範囲は狭くするものの、発熱を増大させることはないため、誘導電界強度を増大させる方法として、各設計パラメータを変化させる3つの方法の中で最も効果的である。
コイルの有効性と、位置ずれに対するロバスト性とを向上させるために最適な方法は、2つの方法すなわち、コイル幅Aを狭める事と、上側導線半径Cを増大させることを同時に行うことと考えられる。上記の結果に基づき、最適化された設計のドーム型コイルとして、コイル幅78mm、コイル高さ39mm、上側導線半径66mmというモデルに到達することが出来た。図30(d)はこの結果得られたモデルの誘導電界強度分布を示している。誘導電界強度の最高値は93 V/m、誘導電界の分布は106 × 68 mm、コイルのインダクタンスは11 μHである。先に示したスタートモデルと比較すると、上に説明した最適化モデルは、誘導電界の分布が広がることなしに誘導電界強度を向上させていることがわかる。
尚、今回得られた最適化設計モデルであるコイル幅78mm、コイル高さ39mm、コイルの上側導線半径66mmというモデルは、設計値の選択により上記に示した各効果が実質的に同様に奏される範囲内で適宜、異なる値から設計値を選択することができる。具体的には、コイル幅78mm、コイル高さ39mm、上側導線半径66mmの少なくともいずれか又は全てを10%の範囲内で増大させた、または減少させたモデルである。
本発明者はさらに、先に示したスタートデータモデル、及び最適化モデルそれぞれのドーム型コイルについて、SPFD法(the scalar-potential finite-difference method:スカラーポテンシャル有限要素法)に基づいた自作のコンピュータプログラムを用いて、数値脳モデル(リアリスティック脳モデル)(T. Nagaoka, S. Watanabe, K. Sakurai, E. Kunieda, S. Watanabe, M. Taki, and Y. Yamanaka, Phys. Med. Biol. 49, 1 (2004))で解析を行った。その結果を図31に示す。全ボクセルの99.9パーセンタイル値が、スタートデータモデルのコイルでは55 V/m(図31(a))、最適化モデルのコイルでは83 V/mとなり(図31(b))、本モデルの有効性は、シンプルな球形モデルばかりでなく、実際の脳により近い条件での解析においても確認することができた。
1:経頭蓋磁気刺激システム
2:患者
3:磁気刺激装置
4:コイルユニット(コイル装置)
5:コイル
6:ケーブル
7:駆動ユニット
8:駆動回路
10:患者頭部
11:電源
12:電源回路
13:昇圧回路
14:コンデンサ
15:抵抗
16:半導体スイッチ
21:巻枠
22:底壁
22a:底壁の外面部分
23:天井壁
23a:天井壁の外面部分
24:中立軸
25:筒状面
26:鍔
27,28:仮想線
31:導線
32:
41:底部コイル部分
42:底部ハウジング部分
43:天井部コイル部分
44:天井部ハウジング部分
A:コイル幅
B:コイル高さ
C:コイルの上側導線半径

Claims (13)

  1. 頭表面上あるいはその近傍に置かれ,電磁誘導によって脳内に電流を発生させてニューロンを刺激する,経頭蓋磁気刺激治療に使用するコイル装置(4)であって,
    横断面中の重心を連結した中立軸(24)と前記中立軸を囲む筒状面(25)とを有する巻枠(21)と,
    前記中立軸の周りで前記筒状面に巻かれた導線(31)からなるコイル(5)を備えており,
    前記筒状面(25)は,使用時に前記頭表面の近くに配置される内面部分(22a)と
    前記中立軸と平行な第1の方向と前記第1の方向と直交する第2の方向に関して前記筒状面の外側に向かって突出した凸状の曲面を描く外面部分(23a)を有し,
    前記中立軸が前記内面部分から前記外面部分に向かって突出した凸状の曲線を描くことを特徴とする,コイル装置。
  2. 前記内面部分が前記筒状面の内側に向かって凹状に窪んだ曲面であることを特徴とする,請求項1のコイル装置。
  3. 前記内面部分が平坦な面であることを特徴とする,請求項1のコイル装置。
  4. 前記外面部分の上に位置するコイル部分を覆う外側ハウジング部分を有する請求項1〜3のいずれかのコイル装置。
  5. 前記内面部分の上に位置するコイル部分を覆う内側ハウジング部分を有する請求項1〜4のいずれかのコイル装置。
  6. 前記内側ハウジング部分の外面が前記筒状面の内側に向かって凹状に窪んだ曲面であることを特徴とする請求項5のコイル装置。
  7. 前記筒状面は,前記中立軸の一端側と他端側の端部横断面が,前記一端側と他端側の中央に位置する中央部横断面よりも小さいことを特徴とする請求項1〜6のいずれかのコイル装置。
  8. 前記筒状面の横断面は,前記中央部横断面から前記端部横断面に向かって漸次小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項7のコイル装置。
  9. 前記中立軸は,前記筒状面の横断面の図心又は重心を通る軸であること特徴とする請求項1〜8のいずれかのコイル装置。
  10. 前記巻枠は,前記中立軸に沿って伸びる中空の部材によって構成されている請求項1〜9のいずれかのコイル装置。
  11. 前記巻枠は中実の部材によって構成されている請求項1〜9のいずれかのコイル装置。
  12. 頭表面上あるいはその近傍に置かれ,電磁誘導によって脳内に電流を発生させてニューロンを刺激する,経頭蓋磁気刺激治療に使用するコイル装置(304)であって,
    横断面中の重心を連結した中立軸(324)と前記中立軸を囲む筒状面(325)とを有する巻枠(321)と,
    前記中立軸の周りで前記筒状面に巻かれた導線(331)からなるコイル(305)を備えており,
    前記筒状面(325)は,使用時に前記頭表面の近くに配置される内面部分(322a)と使用時に前記頭表面から遠くに配置される外面部分(323a)を有し,前記内面部分と前記外面部分が共に外側に向かって突出した凸状の曲面を描いていることを特徴とする,コイル装置。
  13. 請求項1〜12のいずれかのコイル装置を備えた経頭蓋磁気刺激システム。
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