JPWO2016051444A1 - 抗菌性樹脂フィルム及び抗菌性物品 - Google Patents

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Abstract

本発明は、抗菌性に優れ、且つ抗菌性能の長期持続性に優れた抗菌性樹脂フィルム及び抗菌性物品を提供する。本発明は、単層又は複数層からなる抗菌性樹脂フィルムであって、少なくとも一層に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する、ことを特徴とする抗菌性樹脂フィルムである。

Description

本発明は、抗菌性樹脂フィルム及び抗菌性物品に関する。
従来、樹脂製品に抗菌性を付与するため、樹脂に抗菌剤を添加することが検討されており、特に、医療分野においてこのような検討が必要とされている。
医療分野では、高い抗菌性を示す抗菌性物品が要求されている。例えば、医療分野においては、血液、体液、排泄物等によって汚染された医療器具類やリネン類が、洗浄、殺菌されて再使用される。これらの医療器具類やリネン類を回収、運搬、洗浄、殺菌等する工程において、それに携わる従事者が、汚染された医療器具やリネン類に付着した汚染物質に直接的または間接的に接触することによる二次感染が問題となっている。このため、汚染された医療器具やリネン類を回収等する際に、従事者が汚染物質に接触しないように、抗菌剤を含有する樹脂製品によりランドリーバッグ等の抗菌性物品を形成し、汚染物質を封入する必要がある。
このような、抗菌性物品に用いることができる、抗菌剤を含有する樹脂製品として、例えば、ポリビニルアルコール(以下、PVAとも示す)系合成繊維中に、高分子ポリアミンもしくは高分子ポリカルボン酸、及び抗菌性物質を含有する抗菌繊維や(特許文献1参照)、抗菌性等を有する化合物がシクロデキストリンの分子構造の内部に包接されたシクロデキストリン包接化合物等からなるPVAフィルム(特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、上述の樹脂製品は、ポリマー系の抗菌性物質等を用いているので、当該抗菌性物質等が均一に分散し難く、抗菌性を発揮できない部分が生じるため抗菌性に劣るという問題がある。
また、抗菌剤を含有する樹脂製品として、例えば、抗菌剤としてイミダゾール系やピレスロイド系の薬剤等を用いたクリーニング用袋(特許文献3参照)、抗菌性ゼオライト粒子および30℃の水に浸漬時の重量膨潤度が2.0以下であるビニルアルコール系重合体からなる抗菌性フィルム(特許文献4参照)が提案されている。
しかしながら、上述の樹脂製品は、抗菌剤として有機化合物や無機化合物を用いているので経時的に抗菌剤のブリードアウトを生じ、抗菌性能の長期持続性に劣るという問題がある。
よって、抗菌性に優れ、且つ抗菌性能の長期持続性に優れた樹脂製品の開発が望まれている。
特開平11−124723号公報 特開平11−116756号公報 特開平5−170267号公報 特開平4−7335号公報
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、抗菌性に優れ、且つ抗菌性能の長期持続性に優れた抗菌性樹脂フィルム及び抗菌性物品を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、単層又は複数層からなり、少なくとも一層に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する抗菌性樹脂フィルム、及び当該抗菌性樹脂フィルムを用いてなる抗菌性物品によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の抗菌性樹脂フィルム及び抗菌性物品に関する。
1.単層又は複数層からなる抗菌性樹脂フィルムであって、
少なくとも一層に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する、
ことを特徴とする抗菌性樹脂フィルム。
2.前記抗菌性樹脂フィルムは複数層からなり、前記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層と、側鎖にアミノ基を有しないポリビニルアルコール系重合体を含有する層とを含む、項1に記載の抗菌性樹脂フィルム。
3.前記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層は、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する樹脂組成物を塗布して形成されている、項1又は2に記載の抗菌性樹脂フィルム。
4.抗菌性樹脂フィルムを用いてなる抗菌性物品であって、
前記抗菌性樹脂フィルムは、少なくとも一層に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する、
ことを特徴とする抗菌性物品。
以下、本発明の抗菌性樹脂フィルム及び抗菌性物品について詳細に説明する。
本発明の抗菌性樹脂フィルムは、単層又は複数層からなり、少なくとも一層に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する。上記抗菌性樹脂フィルムは、これを構成する層のうち少なくとも一層が、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有することにより抗菌性を示すので、樹脂に抗菌剤を添加して抗菌性を付与する場合に生じる、樹脂フィルム中での抗菌剤の偏在が抑制されており、樹脂フィルム全域にわたって抗菌性を示すことができるので、優れた抗菌性を示す。
また、本発明の抗菌性樹脂フィルムは、少なくとも一層に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有することにより抗菌性を示すので、樹脂に抗菌剤を添加して抗菌性を付与する場合に生じるような、抗菌剤のブリードアウトが生じないので、抗菌性能の長期持続性に優れている。
すなわち、本発明によれば、抗菌性及び抗菌性能の長期持続性に優れた抗菌性樹脂フィルムとすることができ、当該抗菌性樹脂フィルムを用いてなる抗菌性物品とすることにより、抗菌性に優れ、且つ抗菌性能の長期持続性に優れた抗菌性物品を提供することが可能となる。
また、例えば、医療分野においては、二次感染を防ぐために、ランドリーバッグに封入された医療器具やリネン等を取り出さずに洗浄できなければならない。このため、抗菌性物品としてのランドリーバッグを製造するために用いられる抗菌性樹脂フィルムには、医療器具等を封入した状態で薬液に浸漬することにより溶解することが必要であり、水溶性が要求される。なお、抗菌性物品が医療用途のランドリーバッグである場合、ランドリーバッグに封入された医療器具やリネン等は、殺菌を目的として80℃以上の温水で洗浄されることがあり、このような用途に用いる場合、抗菌性樹脂フィルムは必ずしも冷水に可溶であることは必要ではなく、温水に対し可溶であればよい。
本発明の抗菌性樹脂フィルムは、少なくとも一層に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層を含有しているので当該層が水溶性を示し、後述する他の層も水溶性樹脂を用いて形成することにより、抗菌性樹脂フィルムが水溶性を示す。これにより、例えば、本発明の抗菌性樹脂フィルムを用いてランドリーバッグを製造した場合、ランドリーバッグに医療器具やリネン等を封入した状態で薬液に浸漬することによりランドリーバッグが溶解して消失するので、従事者が汚染された医療器具等を取り出す作業が不要となり、二次感染を抑制することができる。
以下、本発明の抗菌性樹脂フィルム及び抗菌性物品について詳細に説明する。
1.抗菌性樹脂フィルム
本発明の抗菌性樹脂フィルムは、単層又は複数層からなり、少なくとも一層に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する。
上記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体としては、側鎖にアミノ基を有しており、ビニルアルコール構造単位を有していれば特に限定されないが、ポリビニルアルコール系重合体内に下記一般式(1)で示される、アミノ基を有する構造単位を含むものが挙げられる。
Figure 2016051444
式中、R、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はホルミル基を表す。
上記式(1)において、Rは水素原子が好ましい。また、Rは水素原子、又はホルミル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記ポリビニルアルコール系重合体は、上記式(1)で示されるアミノ基を有する構造単位を、ポリビニルアルコール系重合体の全構造単位100モル%に対して0.1〜30モル%含むことが好ましい。上記アミノ基を有する構造単位が少な過ぎると、樹脂フィルムが抗菌性を十分に発揮できないおそれがある。多過ぎると、側鎖に水酸基を有する構造単位が相対的に少なくなり、抗菌性樹脂フィルムが水溶性に劣るおそれがあり、このため、当該抗菌性樹脂フィルムを用いてランドリーバッグ等を形成し、使用後に水に溶解させて処理する際に、処理性に劣るおそれがある。
上記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体としては、上記一般式(1)で示されるような、ポリビニルアルコール系重合体の主鎖を構成する炭素原子と、アミノ基を構成する窒素原子とが直接結合した構造単位を含むものに限られない。例えば、ポリビニルアルコール系重合体の主鎖を構成する炭素原子と、アミノ基を構成する窒素原子との間に、炭化水素基等を有する構造単位を含むものを用いることができる。
上記ポリビニルアルコール系重合体は、更に、下記一般式(2)で示される、ビニルアルコール構造単位を含む。
Figure 2016051444
このようなビニルアルコール構造単位を含むことで、抗菌性樹脂フィルムに水溶性を付与することができ、当該抗菌性樹脂フィルムを用いて形成されたランドリーバッグ等を、使用後に内容物とともに水に浸漬することで、ランドリーバッグ等を溶解させて処理することが可能となる。
上記ポリビニルアルコール系重合体は、上記式(2)で示されるビニルアルコール構造単位を、ポリビニルアルコール系重合体の全構造単位100モル%に対して49〜99.4モル%含むことが好ましく、60〜99モル%含むことがより好ましい。ビニルアルコール構造単位が少な過ぎると、樹脂フィルムの水溶性が劣るおそれがあり、多過ぎると、水酸基間の水素結合が強くなり、水溶性が低下するおそれがある。
上記ポリビニルアルコール系重合体は、更に、下記一般式(3)で示される、ビニルアルキルエステル構造単位を含んでいてもよい。
Figure 2016051444
式中、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。
上記式(3)において、Rとしては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
上記ポリビニルアルコール系重合体は、上記式(2)で示されるビニルアルコール構造単位と、上記式(3)で示されるビニルアルキルエステル構造単位とを、これらの合計で、ポリビニルアルコール系重合体の全構造単位100モル%に対して70〜99.9モル%含むことが好ましく、70〜99.5モル%含むことがより好ましい。
上記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体としては、また、下記一般式(4)で示されるポリビニルアルコール系重合体を好適に用いることができる。
Figure 2016051444
式中、m及びnは、m+nが70〜99.9となる数であり、x及びyは、x+yが0.1〜30となる数である。
側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体として、上記一般式(4)で示されるポリビニルアルコール系重合体を用いることにより、樹脂フィルムが特に優れた抗菌性を示し、且つ適度な水溶性を示すことができる。
上記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体は、本発明の目的を阻害しない範囲において、更に他のモノマーが共重合したものであってもよい。かかる他のモノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等を挙げることができる。
上記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体は、ケン化度が70〜99.5モル%であることが好ましい。ケン化度が低過ぎると、抗菌性樹脂フィルムが水溶性に劣るおそれがあり、当該抗菌性樹脂フィルムを用いてランドリーバッグ等を形成し、使用後に水に溶解させて処理する際に、処理性に劣るおそれがある。高過ぎると、水酸基間の水素結合が強くなり、水溶性が低下するおそれがある。
なお、上記ケン化度とは、アミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体において、上記一般式(2)で示されるビニルアルコール構造単位と、上記一般式(3)で示されるビニルアルキルエステル構造単位との合計に対する、上記一般式(2)で示されるビニルアルコール構造単位の割合をモル%で示した値であり、例えば、上記一般式(4)で示されるポリビニルアルコール系重合体において、{n÷(n+m)}×100で示される値である。
上記アミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体の重量平均分子量は5,000〜2,000,000g/molであることが好ましい。より好ましくは10,000〜1,500,000g/molであり、更に好ましくは15,000〜1,000,000g/molであり、特に好ましくは20,000〜500,000g/molである。
上記アミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を製造する方法としては特に限定されず、従来公知の方法により製造することができる。このような製造方法としては、ビニルホルムアミド及びビニルアルキルエステル類を共重合させて、得られた共重合体のホルミル基を加水分解してアミノ基を形成し、アルキルエステル基を加水分解してヒドロキシル基を形成する製造方法が挙げられる。
上記アミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を製造する方法としては、例えば、(a)99から1mol%までのN−ビニルホルムアミド及び(b)1から99mol%までの1種類以上のビニルC1−C10アルキルエステル類を共重合させ、次いで共重合した単位(a)からのホルミル基の30から100mol%までを加水分解してアミノ基を形成し、共重合した単位(b)からのC1−C10アルキルエステル基の30から100mol%までを加水分解してヒドロキシル基を形成する製造方法が挙げられる。
上記製造方法は、具体的には、次の工程を含む製造方法である。
a)N−ビニルホルムアミドの総量の第1部分を反応器の中に装填する;
b)少なくとも1種類のビニルC1−C10アルキルエステルの総量の第1部分を反応器の中に装填する;
c)フリーラジカル重合触媒の総量の第1部分を第1触媒流速で反応器の中に連続的に供給する;
d)N−ビニルホルムアミドの第1部分、少なくとも1種類のビニルC1−C10アルキルエステルの第1部分を、フリーラジカル重合触媒の存在下で、重合条件下で、第1期間の間接触させる;
e)第1期間の後、N−ビニルホルムアミドの総量、ビニルC1−C10アルキルエステルの総量、およびフリーラジカル重合触媒の総量が反応器の中に供給されるまで、重合条件下で、第2期間の間N−ビニルホルムアミドの第2部分を少なくとも4時間で反応器の中に連続的に供給し、一方で同時に少なくとも1種類のビニルC1−C10アルキルエステルの第2部分を反応器の中にN−ビニルホルムアミドと同時に供給し、さらに同時にフリーラジカル重合触媒の第2部分を反応器の中に供給することで、ポリビニルホルムアミドおよび1種類以上のポリビニルC1−C10アルキルエステル類を含む中間体コポリマーを生成し、ここで、第3期間は反応器中の中間体コポリマーの固体含有量が約20重量%以上約70重量%以下である時に終了する;続いて、未反応の重合性単量体を除去する工程を経て、中間体コポリマーを得る。
f)コポリマーを、酸性または塩基性条件のどちらかの下で鹸化して中間体ポリビニルアミド−ポリビニルアルコールコポリマーを生成する;続いて、
g)その中間体ポリビニルアミド−ポリビニルアルコールコポリマーを、酸性または塩基性条件のどちらかの下で加水分解して水溶性コポリマーを生成する。
h)これをメタノール存在下にて洗浄し、脱水乾燥工程を経て、水溶性コポリマーを得る。
本発明の抗菌性樹脂フィルムは、少なくとも一層に上記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層が含まれていればよい。
上記少なくとも一層に上記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層には、本発明の抗菌性樹脂フィルムの抗菌性及び抗菌性能の長期持続性を妨げなければ、抗菌剤を含有していてもよい。抗菌剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。上記抗菌剤としては、例えば、市販の有機、無機抗菌剤が挙げられ、具体的には、マグネシウムまたはカルシウムと銅または亜鉛の複合金属水酸化物、または酸化物、銀、銅、亜鉛、チタン等の酸化物、銀、銅、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等抗菌性金属の単独もしくは混合状態のイオン性物質、銀、銅、亜鉛をシリカガラス、ゼオライト、リン酸ジルコニウム等に担持された水不溶性複合体、有機抗菌剤単独もしくは有機抗菌剤と無機担体混合物または複合物、もしくは有機抗菌剤と無機抗菌剤混合物または複合物等が挙げられる。
上記抗菌剤を用いると、ブリードアウトを生じ、抗菌性樹脂フィルムの抗菌性能が経時的に変化するので、本発明の抗菌性樹脂フィルムは、抗菌剤を含有しないことが好ましい。
本発明の抗菌性樹脂フィルムは、上記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層単層で形成されていてもよいし、少なくとも一層に、上記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層を備えていれば、複数層で形成されていてもよい。
上記抗菌性樹脂フィルムを複数層で形成する場合、少なくとも一層に、上記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層を備えていれば、層構成は特に限定されない。すなわち、上記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層以外の他の層を備えていてもよい。
上記他の層を形成する樹脂としては、抗菌性樹脂フィルムの抗菌性及び抗菌性能の長期持続性を妨げなければ特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂(PP)、ポリエチレン系樹脂(PE)、セロファン、トリアセチルセルロース系樹脂(TAC)、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
上記他の層としては、また、側鎖にアミノ基を有しないポリビニルアルコール系重合体を含有する層が挙げられる。上記他の層としてこのような層を採用することで、当該他の層が、上記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層の構造単位の構成と類似の構成を有するので、層間密着性に優れた抗菌性樹脂フィルムとすることができる。また、上記他の層としてこのような層を採用した抗菌性樹脂フィルムを用いて後述する抗菌性物品を形成すると、抗菌性物品を構成する全ての層がポリビニルアルコール系重合体を含有するので、抗菌性物品が水溶性を示す。これにより、例えば、抗菌性物品としてランドリーバッグを製造した場合、ランドリーバッグ内に汚染物を入れたまま薬液等に浸漬すれば、ランドリーバッグが溶解して消失するので、汚染物に接触せずに容易に汚染物を洗浄することができる。
図1に、上記抗菌性樹脂フィルムを複数層で形成する場合の層構成の一例を示す。図1において、本発明の抗菌性樹脂フィルム1は、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層2と、高分子量の側鎖にアミノ基を有しないポリビニルアルコール系重合体などの引き裂き強度の高い水溶性重合体を含有する層3とを積層することにより形成されている。このような層構成とすることにより、例えば、抗菌性樹脂フィルムを用いて抗菌性物品であるランドリーバッグを製造する際に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層2を内側とし、高分子量の側鎖にアミノ基を有しないポリビニルアルコール系重合体などの引き裂き強度の高い水溶性重合体を含有する層3を外側とすれば、内側の層2によりランドリーバッグ内での菌の増殖を抑制することができ、且つ外側の層3により内側の層2を保護することができる。
図2に、本発明の抗菌性樹脂フィルムを複数層で形成する場合の層構成の他の一例を示す。本発明の抗菌性樹脂フィルム1は、図2のように、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層2を、高分子量の側鎖にアミノ基を有しないポリビニルアルコール系重合体などの引き裂き強度の高い水溶性重合体を含有する層3で両側から挟持する構成としてもよい。
本発明の抗菌性樹脂フィルムは、用いられる用途によっては、不溶化処理が施されていてもよい。例えば、後述するように、本発明の抗菌性樹脂フィルムを用いて壁装剤、床材等のコーティング材料である抗菌性物品を製造する場合、不溶化処理が施されていると、抗菌性物品の耐久性を向上させることができる。上記不溶化処理は、本発明の抗菌性樹脂フィルムに電子線を照射することにより行うことができる。
上記電子線照射の方法としては特に限定されず、例えば、ダイナミトロン型電子加速器等の電子線照射装置を用いて照射することができる。電子線の線量は、40〜80KGyが好ましい。
上記抗菌性樹脂フィルムの厚みは特に限定されず、所望の製品に適した厚みとすればよい。
本発明の抗菌性樹脂フィルムを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、上記他の層として用いるフィルムの片面、又は両面に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を水溶させ、消泡剤・スリップ剤等を添加して塗布方式毎に最適粘度に調整した樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、加熱、乾燥する方法が挙げられる。塗液の塗布方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、グラビヤ塗布、マイクログラビヤ塗布、バーコーター塗布等のウェットプロセスによる塗布方式が挙げられる。上記本発明の抗菌性樹脂フィルムにおいて、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層は、上記樹脂組成物を塗布して形成されている層であることが好ましい。側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層を、上記樹脂組成物を塗布することにより形成することで、本発明の抗菌性樹脂フィルムを容易に製造することができる。
上記塗膜の厚みは0.1〜5.0μmが好ましく、0.5〜2.0μmがより好ましい。
本発明の抗菌性樹脂フィルムを製造する方法としては、また、インフレーション製膜方式、Tダイ法製膜方式等のフィルム製膜方式が挙げられる。
2.抗菌性物品
本発明は、上記抗菌性樹脂フィルムを用いてなる抗菌性物品でもある。上記抗菌性物品としては特に限定されないが、例えば、包装材料、コーティング材料等が挙げられる。
包装材料としては、ランドリーバッグ等の医療品を包装する包装材料が挙げられる。ランドリーバッグは、上記抗菌性樹脂フィルムを用いて製造されていればよく、その大きさ、形状は、回収、運搬等を行う医療器具やリネン類等に合わせて適宜設定すればよい。
上記抗菌性樹脂フィルムを用いてランドリーバッグを製造する際の成形方法及び接合方法としては特に限定されず、ヒートシールによる接合等、従来公知の方法が挙げられる。
コーティング材としては、食品・化粧品等の菌の混入の抑制が要求される分野における工場等の建物や、医療分野における手術室等の、壁面、床面、天井をコーティングするのに用いられる壁装材、床材等の内装材が挙げられる。また、バイオクリーン環境に調整された工場への入室時に用いられる足拭きマットの表面に用いられるシートも挙げられる。また、農業用分野において、防曇性及び抗菌性が要求されるビニールハウスに用いられる農業ハウス用展張フィルムの内面に積層される防曇層等も挙げられる。
本発明の抗菌性物品は、上記抗菌性樹脂フィルムを用いてなるので、抗菌性及び抗菌性能の長期持続性に優れている。
本発明の抗菌性樹脂フィルムは、少なくとも一層に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有することにより抗菌性を示すので、樹脂に抗菌剤を添加して抗菌性を付与する場合に生じる、樹脂フィルム中での抗菌剤の偏在が抑制されており、樹脂フィルム全域にわたって抗菌性を示すことができるので、優れた抗菌性を示す。
また、本発明の抗菌性樹脂フィルムは、少なくとも一層に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有することにより抗菌性を示すので、樹脂に抗菌剤を添加して抗菌性を付与する場合に生じるような、抗菌剤のブリードアウトの発生が抑制されているので、抗菌性能の長期持続性に優れている。
このため、本発明の抗菌性樹脂フィルムは、抗菌性に優れ、且つ抗菌性能の長期持続性に優れており、当該抗菌性樹脂フィルムを用いてなる抗菌性物品とすることにより、抗菌性に優れ、且つ抗菌性能の長期持続性に優れた抗菌性物品を提供することができる。
本発明の抗菌性樹脂フィルムを複数層で形成する場合の層構成の一例を示す断面図である。 本発明の抗菌性樹脂フィルムを複数層で形成する場合の層構成の一例を示す断面図である。
(実施例)
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
実施例1
ビニルアセテートモノマー及びN−ビニルホルムアミドモノマーを共重合させて、これらのモノマーの共重合体を得た。この共重合体のホルミル基を加水分解して、アミノ基を形成し、アルキルエステルを加水分解してヒドロキシル基を形成することによって、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有するフィルムを調製した。
得られたフィルムにおいて、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体は、ポリビニルアルコール系重合体の全構造単位100モル%に対して、アミノ基を有する構造単位を8モル%、ビニルアルコール構造単位を90モル%、及び、酢酸ビニル構造単位を2モル%含んでいた。
得られたフィルムを用いて、50℃の温度下で1時間保管した後、0℃の温度下で1時間保管するサイクルを1サイクルとする促進試験を20サイクル行い、促進試験後のフィルムの表面をリネンで拭き取った。
比較例1
側鎖にアミノ基を有しないポリビニルアルコール系重合体(アミン変性していないポリビニルアルコール樹脂)、として、Selvol(登録商標)205(セキスイスペシャリティケミカル社製)を用意した。当該ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対し、可塑剤としてジグリセリンを5質量部添加し、更に、酸化防止剤として、リン系酸防剤(BASF社製 イルガフォス168)及びヒンダードフェノール酸防剤(BASF社製 イルガノックス3114)の混合物を0.5質量部添加して混練し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物をペレット化した後、Tダイ法にて押出成型を行い、50μmのフィルムを調製した。得られたフィルムを用いて、実施例1で行った促進試験と同様の促進試験を行った。
比較例2
側鎖にアミノ基を有しないポリビニルアルコール系重合体(アミン変性していないポリビニルアルコール樹脂)として、Selvol(登録商標)205(セキスイ・スペシャルティ・ケミカルズ・アメリカ社製)を用意した。この樹脂に、抗菌剤として2−(4−チアゾリル)−ベンゾイミダゾールを1.5wt%の含有量となるように添加して混合して樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物をペレット化した後、Tダイ法にて押出成型を行い、50μmのフィルムを調製した。得られたフィルムを用いて、実施例1で行った促進試験と同様の促進試験を行った。
実施例1、比較例1及び2で得られた促進試験後のフィルムを、それぞれ精製水又は生理食塩水100重量%に対して5重量%となるように採取して、精製水又は生理食塩水に溶解させて溶解液を調製した。調製した溶解液を、以下の条件で大腸菌の抗菌試験、及び黄色ブドウ球菌の抗菌試験に用いた。また、以下の抗菌試験において、比較のために、フィルムを溶解させていない精製水、及びフィルムを溶解させていない生理食塩水を用意し、それぞれの抗菌試験において比較例3とした。
(大腸菌の抗菌試験)
大腸菌(グラム陰性菌)を寒天培地で、35℃の条件下で18〜24時間培養した後、精製水に浮遊させて、菌数が10〜10/mlとなるようにして、試験菌液を調製した。精製水を用いて調製した、実施例1、比較例1及び2で得られた溶解液、及び比較例3としての精製水を10mlずつ採取し、それぞれに0.1mlの試験菌液を接種して試験液を調製した。試験菌液接種直後の試験液の生菌数は9.0×10/mlであった。
得られた試験液を室温で静置し、15分、1時間、24時間後に、それぞれSCDLP培地で1000倍に希釈し、試験中の生菌数を測定した。測定は、SCDLP培地を用い、混釈平板培養法で、35℃で2日間培養して行った。
抗菌性を、測定された生菌数に基づいて、下記の基準に従って評価した。
◎:生菌数10未満
○:生菌数10以上10未満
△:生菌数10以上10未満
×:生菌数10以上
結果を表1に示す。
Figure 2016051444
(黄色ブドウ球菌の抗菌試験)
黄色ブドウ球菌(グラム陽性菌)を寒天培地で、35℃の条件下で18〜24時間培養した後、生理食塩水に浮遊させて、菌数が10〜10/mlとなるようにして、試験菌液を調製した。生理食塩水を用いて調製した、実施例1、比較例1及び2で得られた溶解液、及び比較例3としての生理食塩水を10mlずつ採取し、それぞれに0.1mlの試験菌液を接種して試験液を調製した。試験菌液接種直後の試験液の生菌数は7.3×10/mlであった。
得られた試験液を室温で静置し、15分、1時間、24時間後に、それぞれSCDLP培地で1000倍に希釈し、試験中の生菌数を測定した。測定は、SCDLP培地を用い、混釈平板培養法で、35℃で2日間培養して行った。
抗菌性を、測定された生菌数に基づいて、下記の基準に従って評価した。
◎:生菌数10未満
○:生菌数10以上10未満
△:生菌数10以上10未満
×:生菌数10以上
結果を表2に示す。
Figure 2016051444
実施例2
側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体として、アミン変性PVA(セキスイスペシャリティケミカル社製 12モル%変性品)を用意した。この側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を40℃の水で溶解し、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体の5質量%の水溶液を調製した。水溶液の粘度は、30〜120cpsであった。この水溶液に、エチルアルコール及びイソプロピルアルコールを添加して、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体の溶液を調製した。溶液を100質量%として、エチルアルコールの含有量は10質量%であり、イソプロピルアルコールの含有量は5質量%であった。この溶液に、当該溶液を100質量部として、シリコーン系消泡剤0.2質量部、及びワックス2質量部を添加し、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物は、適度な粘度と乾燥速度とを示し、水溶性グラビヤ塗料適性が付与されていた。
得られた樹脂組成物を、175線のグラビヤシリンダーを用いてセロファン紙PT#300(レンゴー(株)製)の片面にウェットの状態で6g/mの塗布量で塗布し、乾燥温度80℃、加工速度50m/分で塗工して、固形分0.3g/mの側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層を形成した。これにより、セロファン紙上に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層を備えた抗菌性樹脂フィルムを調製した。
実施例3〜8
セロファン紙に代えて、下記フィルムを用いた以外は実施例2と同様にして、抗菌性樹脂フィルムを調製した。
実施例3:PETフィルム(東洋紡(株)製 E5102 厚み12μm コロナ処理面塗布)
実施例4:ポリアミドフィルム(東洋紡(株)製 N1102 厚み15μm コロナ処理面塗布)
実施例5:OPPフィルム(東洋紡(株)製 P2161 厚み20μm コロナ処理面塗布)
実施例6:L-LDPEフィルム(積水フィルム(株)製 ラミロンMF 厚み50μm コロナ処理面塗布)
実施例7:TACフィルム(コニカミノルタ(株)製 TAC 厚み50μm)
実施例8:硬質塩化ビニル樹脂フィルム(積水成型工業(株)製 F100 厚み100μm)
比較例4〜10
実施例2〜8において、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する樹脂組成物を塗布せず、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層を形成しなかった。すなわち、セロファン紙、PETフィルム、ポリアミドフィルム、OPPフィルム、L-LDPEフィルム、TACフィルム、硬質塩化ビニル樹脂フィルムを、それぞれ比較例4〜10のフィルムとした。
実施例2〜8及び比較例4〜10について、上記大腸菌の抗菌試験、及び黄色ブドウ球菌の抗菌試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 2016051444
実施例9
Selvol(登録商標)205(セキスイ・スペシャルティ・ケミカルズ・アメリカ社製)100質量部に対し、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体(セキスイスペシャリティケミカル社製 12モル%変性品)を5質量部添加した。可塑剤としてジグリセリンを5質量部添加し、更に、酸化防止剤として、リン系酸化防止剤(BASF社製 イルガフォス168)及びヒンダードフェノール酸化防止剤(BASF社製 イルガノックス3114)の混合物を0.5質量部添加して混練し、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する樹脂組成物を調製した。混練は、顔料ペレットの製造に用いられる一般的な溶融押出用の二軸押出機を使用した。
実施例9では、樹脂組成物が、Selvol(登録商標)205(セキスイスペシャリティケミカル社製)100質量部に対し、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体(セキスイスペシャリティケミカル社製 12モル%変性品)を5質量部添加して調製されているので、溶融押出し適性を有していた。
得られた樹脂組成物をペレット化した後、Tダイ法にて押出成型を行い、50μmの抗菌性樹脂フィルムを調製した。Tダイ法による押出成型は、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体の分解開始温度(180℃)以上に上げない温度条件により行い、ダイス口径50mm、L/D:30、圧縮比:2.8の条件により、フルフライトスクリューの押出機を用いて行った。
実施例10
3層のTダイ法により共押出成型を行い、表面層/中間層/裏面層の3層構成の抗菌性樹脂フィルムを調製した。表面層の形成に用いる組成物としては、実施例8で調製した側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する樹脂組成物を用いた。また、中間層及び裏面層の形成に用いる組成物としては、比較例1で調製した、側鎖にアミノ基を有しないポリビニルアルコール系重合体を含有する樹脂組成物を用いた。
上記樹脂組成物をペレット化した後、Tダイ法にて共押出成型を行い、表面層/中間層/裏面層の厚み比が1/2/1であり、総厚みが50μmの抗菌性樹脂フィルムを調製した。Tダイ法による共押出成型は、実施例8で使用したのと同一の押出機を中央に配置し、その他の押出機としては、ダイス口径40mm、L/D:30、圧縮比:2.8であり、フルフライトスクリューの押出機を二台用いた。
実施例11
実施例9で調製した側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する樹脂組成物を用い、インフレーション法により押出成型を行い、厚み50μmの抗菌性樹脂フィルムを調製した。インフレーション法による押出成型は、口径300mmのインフレーション金型を用い、ブロー比1.0の条件で行った。
実施例9〜11及び比較例1について、上記大腸菌の抗菌試験、及び黄色ブドウ球菌の抗菌試験を行った。結果を表4に示す。
Figure 2016051444
実施例12
実施例3で調製した抗菌性樹脂フィルムに対し、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層側から電子線を照射して、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を不溶化して、実施例12の抗菌性樹脂フィルムを調製した。電子線照射条件は、ダイナミトロン型電子加速器を用い、40KGyの線量を照射することにより行った。
実施例13
実施例10で調製した抗菌性樹脂フィルムを用いた以外は実施例12と同様にして、実施例13の抗菌性樹脂フィルムを調製した。
比較例11
LLDPE樹脂(ダウ・ケミカル社製 2045G)に、無機系抗菌剤(シナネン社製 銀/ゼオライト系抗菌剤)を添加して樹脂組成物を調製し、インフレーション法により押出成型を行った。無機系抗菌剤の含有量は、樹脂組成物100質量%に対して0.5%であった。それ以外は実施例12と同様にしてフィルムを調製した。
実施例12、13及び比較例11について、上記大腸菌の抗菌試験、及び黄色ブドウ球菌の抗菌試験を行った。なお、実施例12及び13については、不溶化を行った層側を用いて当該試験を行った。結果を表5に示す。
Figure 2016051444
表5の結果から、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体の不溶化を行った場合でも、抗菌性樹脂フィルムが抗菌性を十分に発揮することができることが分かった。
(嫌気性菌の最小発育阻止濃度の測定試験)
実施例9及び比較例1で調製した樹脂組成物を水中に添加して、60℃で撹拌しながら徐々に溶解させて濃度を調整し、試験液を調製した。当該試験液を用いて、嫌気性菌(Clostridium difficile)の最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。測定は、寒天平板希釈法により、接種菌量を10exp5cfu/Spotとし、被験菌株を接種した被験培地を嫌気チャンバー(窒素82% 炭酸ガス10% 水素ガス8%)内で、35℃の環境下で48時間静置して培養後に分布菌株数を測定し、下記の基準に従って評価することにより行った。
○:分布菌株数15個未満
×:分布菌株数15個以上
結果を表6に示す。
Figure 2016051444
表6の結果から、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する樹脂組成物を用いた実施例9では、濃度が6.4Mg/ml以下でも嫌気性菌の発育が抑制されており、嫌気性菌への抗菌性を示すことが分かった。これに対し、側鎖にアミノ基を有しないポリビニルアルコール系重合体を含有する樹脂組成物を用いた比較例1では、6.4Mg/ml以下の濃度では分布菌株数が多く、×判定であった。また、比較例1では、6.4Mg/mlを超える濃度でも×判定となっており、嫌気性菌への抗菌性が劣ることが分かった。
1…抗菌性樹脂フィルム、2…側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層、3…側鎖にアミノ基を有しないポリビニルアルコール系重合体を含有する層

Claims (4)

  1. 単層又は複数層からなる抗菌性樹脂フィルムであって、
    少なくとも一層に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する、
    ことを特徴とする抗菌性樹脂フィルム。
  2. 前記抗菌性樹脂フィルムは複数層からなり、前記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層と、側鎖にアミノ基を有しないポリビニルアルコール系重合体を含有する層とを含む、請求項1に記載の抗菌性樹脂フィルム。
  3. 前記側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する層は、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する樹脂組成物を塗布して形成されている、請求項1又は2に記載の抗菌性樹脂フィルム。
  4. 抗菌性樹脂フィルムを用いてなる抗菌性物品であって、
    前記抗菌性樹脂フィルムは、少なくとも一層に、側鎖にアミノ基を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する、
    ことを特徴とする抗菌性物品。
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