JPWO2016043123A1 - 有機発光素子とその陽極材料 - Google Patents

有機発光素子とその陽極材料 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016043123A1
JPWO2016043123A1 JP2016548861A JP2016548861A JPWO2016043123A1 JP WO2016043123 A1 JPWO2016043123 A1 JP WO2016043123A1 JP 2016548861 A JP2016548861 A JP 2016548861A JP 2016548861 A JP2016548861 A JP 2016548861A JP WO2016043123 A1 JPWO2016043123 A1 JP WO2016043123A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
graphene film
organic light
light emitting
anode
emitting device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016548861A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6388953B2 (ja
Inventor
侑揮 沖川
侑揮 沖川
水谷 亘
亘 水谷
正統 石原
正統 石原
雅考 長谷川
雅考 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Publication of JPWO2016043123A1 publication Critical patent/JPWO2016043123A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6388953B2 publication Critical patent/JP6388953B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • H10K50/81Anodes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/05Preparation or purification of carbon not covered by groups C01B32/15, C01B32/20, C01B32/25, C01B32/30
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B33/00Electroluminescent light sources
    • H05B33/12Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces
    • H05B33/26Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces characterised by the composition or arrangement of the conductive material used as an electrode
    • H05B33/28Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces characterised by the composition or arrangement of the conductive material used as an electrode of translucent electrodes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

輝度が高い有機発光素子を提供する。有機発光素子は、透明基材と、陽極と、ホール注入層と、有機発光層と、陰極とを有する。陽極と、ホール注入層と、有機発光層と、陰極とは、透明基材上にこの順で積層されている。陽極はグラフェン膜からなる。グラフェン膜は、第1のグラフェン膜と、第1のグラフェン膜の上に形成された第2のグラフェン膜とを備えている。第2のグラフェン膜のシートキャリア密度は、第1のグラフェン膜のシートキャリア密度より大きい。これに代えて、またはこれと併せて、第2のグラフェン膜の仕事関数が、第1のグラフェン膜の仕事関数より大きくてもよい。

Description

本発明は、グラフェン膜からなる陽極を有する有機発光素子とその陽極材料に関する。
有機発光素子は、有機材料に電流を注入して発光させる現象(有機エレクトロルミネセンス)を利用する。有機発光素子は、陽極と、有機層と、陰極とが積層された基本構造を有している。陽極は透明な基板上に設けられた透明な導電性膜から構成される。有機層は有機発光材料からなる発光層を含む。陰極は金属膜から構成される。有機発光素子に使用される透明電極(陽極)には、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)がこれまで使用されていた。フレキシブル性の観点から、ITOに代わる新しい電極材料が求められている。
炭素のみで構成され、ハニカム構造を有するグラフェンは、高移動度、高いフレキシブル性、および高熱導電性を有する材料であるため、上記課題を解決する電極材料として期待されている。また、有機発光素子の陽極には低抵抗かつ高い透過率が求められる。これらの要求に応じて、グラフェン膜の高品質化を目的とする研究が盛んに進められてきた(特許文献1、特許文献2、および非特許文献1)。
一方、グラフェンを用いた有機発光素子の高輝度化と低電圧駆動化のため、主に化学ドーピング材料を用いて、グラフェンの仕事関数の増大化と低抵抗化を図ってきた。しかしながら、化学ドーピング材料は大気中であまり安定しない上、ドーピング材料が凝集して粒子となる場合があり、凝集した粒子がリーク電流の原因になる可能性がある。このため、化学ドーピング材料を使わないで、有機発光素子の高輝度化や低電圧駆動化が求められている。
また、一般的な有機発光素子は、陽極と有機発光材料の間に、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスルフォン酸の混合物(PEDOT:PSS)などの導電性ポリマーをホール注入層として挿入し、ホール注入効率を向上させている。このホール注入層の挿入は、グラフェン膜を陽極に用いる場合にも適用できると考えられる。グラフェン膜上にホール注入層を設ける場合は、グラフェン膜にホール注入層を均一に被覆する必要がある。
なお、特許文献3では、 陽極(透明電極)と、有機膜(ホール輸送層+有機発光層)と、陰極とから構成される有機発光素子において、陽極と有機膜の間に炭素膜を設けることにより、陽極と有機膜の界面で起きるダークスポットを抑制して、発光特性を向上させることを提案している。そして、ラマン分光測定で1550cm-1付近と1350cm-1付近にピークを持つラマンスペクトルを示し、高波数側の面積強度に対する低波数側の面積強度の相対強度の比が1.0以上3.0以下のアモルファスカーボンが、この炭素膜として用いられている。
特開2012−162442号公報 特願2014−117973号 特開2001−167890号公報
2014年第61回応用物理学会春季学術講演会20a-2E-12
これまで、ITO透明電極に代わる材料として、低抵抗かつ高い透過率を有するグラフェン膜に関する研究が進められていた。ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より小さいグラフェン膜は、この要求を満たす結晶性の良い高品質なグラフェン膜であることが判明している(非特許文献1参照)。しかしながら、グラフェン膜を高品質にすればするほど仕事関数が減少する等、グラフェンの表面状態が変わり、有機発光素子のホール注入の効率が悪くなるおそれがあることが判明した。
本発明はこうした現状に鑑みてなされたものであり、透明導電膜としてグラフェン膜を用いた有機発光素子において、化学ドーピング材料なしで低抵抗かつ高仕事関数を有するグラフェン膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、これまでの高品質グラフェン上に、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より大きい第2のグラフェン膜を重ねることで、グラフェン膜自体の低抵抗を維持しつつ、グラフェンの仕事関数を増大させることができるという知見を得た。
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、以下の発明が提供される。
[1]透明基材と、陽極と、ホール注入層と、有機発光層と、陰極とを有する有機発光素子であって、陽極と、ホール注入層と、有機発光層と、陰極とが、透明基材上にこの順で積層されており、陽極がグラフェン膜からなり、グラフェン膜が、第1のグラフェン膜と、第1のグラフェン膜の上に形成された第2のグラフェン膜とを備え、第2のグラフェン膜のシートキャリア密度が、第1のグラフェン膜のシートキャリア密度より大きい有機発光素子。
[2]透明基材と、陽極と、ホール注入層と、有機発光層と、陰極とを有する有機発光素子であって、陽極と、ホール注入層と、有機発光層と、陰極とが、透明基材上にこの順で積層されており、陽極がグラフェン膜からなり、グラフェン膜が、第1のグラフェン膜と、第1のグラフェン膜の上に形成された第2のグラフェン膜とを備え、第2のグラフェン膜の仕事関数が、第1のグラフェン膜の仕事関数より大きい有機発光素子。
[3]上記[1]または[2]において、第1のグラフェン膜が、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より小さく、第2のグラフェン膜が、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より大きい有機発光素子。
[4]透明基材と、陽極と、ホール注入層と、有機発光層と、陰極とを有する有機発光素子の陽極材料であって、グラフェン膜からなり、グラフェン膜が、第1のグラフェン膜と第2のグラフェン膜が積層されており、第2のグラフェン膜のシートキャリア密度が、第1のグラフェン膜のシートキャリア密度より大きい有機発光素子の陽極材料。
[5]透明基材と、陽極と、ホール注入層と、有機発光層と、陰極とを有する有機発光素子の陽極材料であって、グラフェン膜からなり、グラフェン膜が、第1のグラフェン膜と第2のグラフェン膜が積層されており、第2のグラフェン膜の仕事関数が、第1のグラフェン膜の仕事関数より大きい有機発光素子の陽極材料。
[6]上記[4]または[5]において、第1のグラフェン膜が、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より小さく、第2のグラフェン膜が、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より大きい有機発光素子の陽極材料。
本発明によれば、有機発光素子の輝度が高くなる。炭素原子が多数抜けている(格子欠陥)グラフェン膜、またはグラフェンのドメインサイズが小さい膜を、グラファイト膜上に機能性グラファイト膜として形成したので、有機発光素子の透明電極の仕事関数が増大し、ホール注入層が均一に塗布できたと考えられる。
本発明の有機発光素子の構造を模式的に示す断面図。 実施例で得られた高品質グラフェン膜のラマンスペクトルを示す図。 実施例で得られた機能性グラフェン膜のラマンスペクトルを示す図。 グラフェン膜の透明基板への転写方法を示す図。 実施例で得られた有機発光素子の輝度−電圧測定結果を示す図。 比較例で得られた有機発光素子の輝度−電圧測定結果を示す図。 グラフェン膜のGバンド強度に対するDバンド強度の比と、シートキャリア密度の関係を示す図。
以下、本発明の有機発光素子と陽極材料について、実施形態と実施例に基づいて説明する。なお、重複説明は適宜省略する。また、2つの数値の間に「〜」を記載して数値範囲を表す場合には、この2つの数値も数値範囲に含まれる。
図1に、本発明の実施形態に係る有機発光素子の断面を示す。図1に示すように、本実施形態の有機発光素子は、下から順番に透明基材101、陽極、ホール注入層104、有機発光層105、および陰極106で構成されている。陽極と陰極106の間に電圧を印加することで、陽極102からはホールを、陰極106からは電子を有機発光層105に注入して発光させる。陽極はグラフェン膜からなり、第1のグラフェン膜(以下、「高品質グラフェン膜」ということがある)102と、第1のグラフェン膜102の上に形成された第2のグラフェン膜(以下、「機能性グラフェン膜」ということがある)103が積層されている。
第2のグラフェン膜103のシートキャリア密度は、第1のグラフェン膜102のシートキャリア密度より大きい。これに代えて、またはこれと併せて、第2のグラフェン膜103の仕事関数が、第1のグラフェン膜102の仕事関数より大きくてもよい。さらに、本実施形態では、第1のグラフェン膜102は、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より小さく、第2のグラフェン膜103は、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より大きい。
高品質グラフェン膜102は、プラズマ処理を用いた以下の方法によって作製される (特許文献2参照)。すなわち、基板を加熱しながら、プラズマにより生成された荷電粒子や電子のエネルギーで基板中の炭素成分を活性化するとともに、基板や周囲に存在する炭素源を用いてグラフェンを生成する。炭素源としては、炭素が溶けにくい金属である銅、イリジウム、白金、またはこれらの金属との炭素アロイからなる基板に含まれている炭素成分、反応容器内に付着した微量の炭素成分、またはプラズマ処理に用いるガス中に含まれる微量の炭素成分などが挙げられる。
この方法によれば、従来の熱CVD法や樹脂炭化法と比較して、より短時間でグラフェン形成が可能である。金属製基板の炭素含有量は4ppm〜10000ppmであることが望ましい、また、基板の表面粗さRaは200nm〜0.095nmであることが望ましい。さらに、900℃以下で基板を加熱することが望ましい。
一方、機能性グラフェン膜103は、プラズマCVD合成装置を用いた以下の方法によって作製される(特許文献1参照)。すなわち、炭素含有ガス、または炭素含有ガスと不活性ガスの混合ガスを原料ガスとして用いて、基板の温度を低温にした状態でプラズマ処理する。炭素含有ガスとしては、メタン、エチレン、アセチレン、エタノール、アセトン、またはメタノールなどが挙げられる。不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどが挙げられる。CVD処理時の基板温度は、例えば500℃以下であり、好ましくは200℃〜450℃である。
なお、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より小さいグラフェン膜が得られれば、高品質グラフェン膜102の作製方法は特に制限がない。また、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より大きいグラフェン膜が得られれば、機能性グラフェン膜103の作製方法は特に制限がない。高品質グラフェンの他の作製方法としては、例えば熱CVD法が挙げられる。また、機能性グラフェンの他の作製方法としては、例えば低温での熱CVD法が挙げられる。
図2Aは、後述する実施例において得られた高品質グラフェン膜もラマンスペクトルを示している。図2Bは、後述する実施例において得られた機能性グラフェン膜のラマンスペクトルを示している。なお、ラマン分光測定では、波長638nmのレーザー光を使用した。図2Aでは、Dバンド(〜1350cm-1)の強度(ID)がGバンド(〜1585cm-1)の強度(IG)より小さく(ID<IG)、強い2Dピークが出ているのが特徴である。一方、図2Bでは、Dバンドの強度がGバンドの強度より大きい(ID>IG)。2Dバンドが小さいことも特徴であるが、本発明では2Dバンドの強度を問わない。
Dバンドは、格子欠陥の数、ドメインサイズ、またはグラフェンのエッジ構造を反映していると考えられている。特にID/IGはグラフェンのドメインサイズを見積もるときに使われている。ドメインサイズを見積もる計算式は、La(nm)=(2.4×10-104(ID/IG)-1で与えられており、λはラマン分光測定に用いるレーザー光の波長である(APL 88,163106(2006))。ID/IG=1の場合、ドメインサイズは約40nmとなる。これらの見積もりから、高品質グラフェン膜は、平均ドメインサイズ40nm以上のフレークが集まった膜であると換言できる。また、機能性グラフェン膜は、平均ドメインサイズ40nm以下のフレークが集まった膜であると換言できる。
本発明では、機能性グラフェン膜の仕事関数の増大は、シートキャリア密度の増大によると考えられる。グラフェン膜に多数の欠陥が存在すれば、結合していないボンド(ダングリングボンド)が多数存在しており、それに起因するキャリアが多く生成されている。多数のキャリアが存在することで、理想的なグラフェンのフェルミレベルが変化する。なお、本実施形態の有機発光素子は、機能性グラフェン膜の仕事関数の増大以外にも、次の要因で有機発光特性が向上した可能性がある。まず、ドメインサイズが数十nm以下の機能性グラフェン膜による表面プラズモン効果や、この構造に起因した光乱反射効果が考えられる。また、機能性グラフェン膜を用いることで、陽極表面の濡れ性が向上し、ホール注入層の膜厚均一性が向上したことも考えられる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
(高品質グラフェン膜の製造)
まず、厚さ10μm程度の銅箔を触媒金属として準備し、表面波プラズマCVDチャンバー中にセットした。つぎに、通電加熱で銅箔の温度を約900℃に維持しながら、水素(200sccm) 雰囲気でプラズマを45秒間銅箔に照射して高品質グラフェン膜を得た。図2Aに、得られた高品質グラフェン膜のラマンスペクトルを示す。
(機能性グラフェン膜の製造)
機能性グラフェン膜の製造方法は、以下の通りである。
まず、銅箔を触媒金属として準備し、表面波プラズマCVDチャンバー中にセットした。つぎに、水素ヘリウム(H2/He=50sccm/10sccm)雰囲気でプラズマを20分間銅箔に照射し、銅箔の表面をクリーニングした。そして、メタン水素ヘリウム(CH4/H2/He=50sccm/10sccm/20sccm)を導入し、プラズマを2分間銅箔に照射して機能性グラフェン膜を得た。なお、意図的な加熱は行っていない。図2Bに、得られた機能性グラフェン膜のラマンスペクトルを示す。
(有機発光素子の製造)
透明な基板として40mm×40mmのPET基板を用意し、以下のようにして、高品質グラフェン膜と機能性グラフェン膜をPET基板上に剥離・転写した。図3は、グラフェン膜を銅箔から剥離させ、透明基板に転写する手順を示している。まず、図3(a)に示すように、銅箔107上に形成した高品質グラフェン膜102を、熱剥離シート108(日東電工社製、リバアルファー)に貼り合わせた。つぎに、0.5mol/Lの過硫酸アンモニウムを用いて銅箔107をエッチングした後、流水で洗浄して高品質グラフェン膜付き熱剥離シートを得た。同様にして、図3(b)に示すように、機能性グラフェン膜付き熱剥離シートを得た。そして、高品質グラフェン膜付き熱剥離シートの高品質グラフェン膜の面を透明基板101に貼り付けた後、加熱により熱剥離シートを剥離して、図3(c) に示すように、透明基板101上に高品質グラフェン膜102を形成した。
さらに、同様にして、高品質グラフェン膜102上に、機能性グラフェン膜付き熱剥離シートを重ねた。そして、図3(d)に示すように、熱剥離シートを除去することで、透明基板101上に2種類のグラフェン膜102,103が積層した透明導電膜を作製した。4端子測定によって、得られた透明導電膜のシート抵抗を測定した。4か所測定したときのシート抵抗の平均値は約1000Ωであった。なお、あらかじめ高品質グラフェン膜102と機能性グラフェン膜103を貼り合わせてもよい。高品質グラフェン膜102と機能性グラフェン膜103を貼り合わせた積層体は、有機発光素子の陽極材料として流通できる。
そして、ホール注入層に対する濡れ性を向上させるために、UVオゾン処理装置(Filgen社製)を用いて、UVオゾンを透明導電膜に20分間照射した。なお、別実験で、透明導電膜のシート抵抗と、UVオゾンをこの透明導電膜に20分間照射した後のシート抵抗を測定したが、シート抵抗はほとんど変化がなかった。透明導電膜にUVオゾン処理を行った後、有機発光素子に関する材料を積層していった。まず、スピンコートによりホール注入層の材料であるPEDOT:PSSを塗布した後、プリベークによってホール注入層104を形成した。
つぎに、有機発光材料(MERCK社製、SUPER YELLOW) のトルエン溶液をスピンコートした後、プリベークによって有機発光層105を形成した。そして、真空蒸着装置を用いて、有機発光層105にLiF/Alを蒸着して陰極106を形成した。つぎに、可能な限り有機発光材料が劣化しないように有機発光素子を封止した。すなわち、乾燥剤(SAES Getters社製、DryPaste)を陰極106上に載せた後、周囲から有機発光素子に湿気が入らないように、有機発光素子をフッ素樹脂テープ(日東電工株式会社製、テフロンテープ)で覆った。
(電流−電圧測定および輝度測定)
ソースメータ(ケースレー社製、2400)を用いて、5つの有機発光素子の電流−電圧測定を行った。また、輝度計(TOPCON社製、BM9) を用いて、これら5つの有機発光素子の輝度測定を行った。これらの測定に基づいた輝度−電圧測定結果を図4Aに示す。図4Aに示すように、15Vの電圧を印加したとき、250cd/m2〜550cd/m2の輝度を示した。
(比較例)
機能性グラフェン膜の有用性を確かめるため、陽極が高品質グラフェン膜のみからなる、すなわち陽極に機能性グラフェン膜がない有機発光素子を比較例として作製した。比較例の有機発光素子の作製手順と評価項目は、実施例の有機発光素子とほぼ同じである。比較例の透明導電膜のシート抵抗は約1000Ωであり、実施例の透明導電膜のシート抵抗と同程度の値を示した。比較例の5つの有機発光素子の輝度−電圧測定結果を図4Bに示す。15Vの電圧を印加したとき、75cd/m2〜150cd/m2の輝度を示した。実施例と比較例の評価結果から、陽極に機能性グラフェン膜を使用することで、有機発光素子の輝度を数倍に増大できる可能性を示した。
(シートキャリア密度の測定)
グラフェンのシートキャリア密度は仕事関数(フェルミレベル)を反映した値となっている。そこで、高品質グラフェン膜と機能性グラフェン膜のシートキャリア密度をホール効果測定により見積もった。測定には、フォトリソグラフィを用いて作製したグラフェンデバイス(van der Pauw素子)を用いた。また、同一デバイスのラマン分光測定を行い、DバンドとGバンドの強度比を求め、グラフェンの品質を評価した。測定に用いた高品質グラフェン膜と機能性グラフェン膜は、上記の「高品質グラフェン膜の製造」と「機能性グラフェン膜の製造」と同様の方法で、基板加熱温度、ガス流量、合成時間を変えて作製した。
図5は、Gバンドの強度に対するDバンドの強度の比と、シートキャリア密度の関係を示す。高品質グラフェン膜では、Gバンドの強度に対するDバンドの強度の比が0.6以下で、シートキャリア密度が0.5×1012 1/cm〜1.5×1013 1/cmであった。一方、機能性グラフェン膜では、Gバンドの強度に対するDバンドの強度の比が1.0以上で、シートキャリア密度が2.5×1013 1/cm〜4.4×1013 1/cmであった。高品質グラフェンは、Gバンドの強度に対するDバンドの強度の比が低く、キャリア密度が低い傾向にある。一方、機能性グラフェン膜は、Gバンドの強度に対するDバンドの強度の比が高く、シートキャリア密度が高い。この結果によれば、機能性グラフェン膜の仕事関数は、高品質グラフェン膜の仕事関数より増大していると推測される。
本発明によれば、高品質グラフェン膜と機能性グラフェン膜をそれぞれ選択することにより、シートキャリア密度や仕事関数が自由に変えられる陽極を有機発光素子に形成できる。このため、本発明は有機発光素子の製造に有用である。

Claims (6)

  1. 透明基材と、陽極と、ホール注入層と、有機発光層と、陰極とを有する有機発光素子であって、
    前記陽極と、前記ホール注入層と、前記有機発光層と、前記陰極とが、透明基材上にこの順で積層されており、
    前記陽極がグラフェン膜からなり、
    前記グラフェン膜が、第1のグラフェン膜と、前記第1のグラフェン膜の上に形成された第2のグラフェン膜とを備え、
    前記第2のグラフェン膜のシートキャリア密度が、前記第1のグラフェン膜のシートキャリア密度より大きい有機発光素子。
  2. 透明基材と、陽極と、ホール注入層と、有機発光層と、陰極とを有する有機発光素子であって、
    前記陽極と、前記ホール注入層と、前記有機発光層と、前記陰極とが、透明基材上にこの順で積層されており、
    前記陽極がグラフェン膜からなり、
    前記グラフェン膜が、第1のグラフェン膜と、前記第1のグラフェン膜の上に形成された第2のグラフェン膜とを備え、
    前記第2のグラフェン膜の仕事関数が、前記第1のグラフェン膜の仕事関数より大きい有機発光素子。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1のグラフェン膜が、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より小さく、
    前記第2のグラフェン膜が、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より大きい有機発光素子。
  4. 透明基材と、陽極と、ホール注入層と、有機発光層と、陰極とを有する有機発光素子の陽極材料であって、
    グラフェン膜からなり、
    前記グラフェン膜が、第1のグラフェン膜と第2のグラフェン膜が積層されており、
    前記第2のグラフェン膜のシートキャリア密度が、前記第1のグラフェン膜のシートキャリア密度より大きい有機発光素子の陽極材料。
  5. 透明基材と、陽極と、ホール注入層と、有機発光層と、陰極とを有する有機発光素子の陽極材料であって、
    グラフェン膜からなり、
    前記グラフェン膜が、第1のグラフェン膜と第2のグラフェン膜が積層されており、
    前記第2のグラフェン膜の仕事関数が、前記第1のグラフェン膜の仕事関数より大きい有機発光素子の陽極材料。
  6. 請求項4または5において、
    前記第1のグラフェン膜が、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より小さく、
    前記第2のグラフェン膜が、ラマンスペクトルにおいてDバンドの強度がGバンドの強度より大きい有機発光素子の陽極材料。
JP2016548861A 2014-09-16 2015-09-10 有機発光素子とその陽極材料 Active JP6388953B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014188104 2014-09-16
JP2014188104 2014-09-16
PCT/JP2015/075753 WO2016043123A1 (ja) 2014-09-16 2015-09-10 有機発光素子とその陽極材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016043123A1 true JPWO2016043123A1 (ja) 2017-07-13
JP6388953B2 JP6388953B2 (ja) 2018-09-12

Family

ID=55533161

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016548861A Active JP6388953B2 (ja) 2014-09-16 2015-09-10 有機発光素子とその陽極材料

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6388953B2 (ja)
WO (1) WO2016043123A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018225736A1 (ja) * 2017-06-07 2018-12-13 国立研究開発法人産業技術総合研究所 グラフェンシートの導電性改善方法及び導電性が改善されたグラフェンシートを用いた電極構造
JP7558569B2 (ja) 2021-04-15 2024-10-01 国立研究開発法人産業技術総合研究所 グラフェン積層体とその作製方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012248842A (ja) * 2011-05-27 2012-12-13 Pohang Univ Of Science & Technology Academy-Industry Cooperation 電極およびそれを含む電子素子
JP2013537700A (ja) * 2010-05-05 2013-10-03 ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール グラフェンの正孔ドーピング
JP2013211212A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Toshiba Corp 積層電極とその製造方法およびそれ用いた光電変換素子
JP2013249530A (ja) * 2012-06-04 2013-12-12 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology グラフェンの製造方法及びグラフェン

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013537700A (ja) * 2010-05-05 2013-10-03 ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール グラフェンの正孔ドーピング
JP2012248842A (ja) * 2011-05-27 2012-12-13 Pohang Univ Of Science & Technology Academy-Industry Cooperation 電極およびそれを含む電子素子
JP2013211212A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Toshiba Corp 積層電極とその製造方法およびそれ用いた光電変換素子
JP2013249530A (ja) * 2012-06-04 2013-12-12 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology グラフェンの製造方法及びグラフェン

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JONG-HUN KIM ET AL.: "Work function engineering of single layer graphene by irradiation-induced defects", APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 103,171604, JPN7015003459, 24 October 2013 (2013-10-24), US, ISSN: 0003720244 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2016043123A1 (ja) 2016-03-24
JP6388953B2 (ja) 2018-09-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kim et al. High performance flexible transparent electrode via one‐step multifunctional treatment for Ag nanonetwork composites semi‐embedded in low‐temperature‐processed substrate for highly performed organic photovoltaics
Zhang et al. Rosin-enabled ultraclean and damage-free transfer of graphene for large-area flexible organic light-emitting diodes
Singh et al. Molecular n-doping of chemical vapor deposition grown graphene
Frey et al. Solution-processed anodes from layer-structure materials for high-efficiency polymer light-emitting diodes
Lee et al. Alternating‐current MXene polymer light‐emitting diodes
Sanders et al. Engineering high charge transfer n-doping of graphene electrodes and its application to organic electronics
US8969115B2 (en) Transparent conductive electrode stack containing carbon-containing material
Zhu et al. The application of single-layer graphene modified with solution-processed TiOx and PEDOT: PSS as a transparent conductive anode in organic light-emitting diodes
Yang et al. Hybrid intermediate connector for tandem OLEDs with the combination of MoO3-based interlayer and p-type doping
TW201622196A (zh) 太陽電池
Ji et al. Layer‐number‐dependent electronic and optoelectronic properties of 2D WSe2‐organic hybrid heterojunction
Xu et al. Multilayer graphene with chemical modification as transparent conducting electrodes in organic light-emitting diode
JP6388953B2 (ja) 有機発光素子とその陽極材料
Kwon et al. Synthesis of atomically thin alloyed molybdenum-tungsten disulfides thin films as hole transport layers in organic light-emitting diodes
Kwon et al. Eco-friendly graphene synthesis on Cu foil electroplated by reusing Cu etchants
Rafique et al. Moderately reduced graphene oxide via UV-ozone treatment as hole transport layer for high efficiency organic solar cells
Wu et al. Modification of CuPc/graphene interfacial electronic structure with F16CuPc
KR101798720B1 (ko) 프리-도핑을 이용한 그래핀의 제조 방법 및 이로부터 제조된 다층 그래핀
JP6725122B2 (ja) グラフェンシートの導電性改善方法及び導電性が改善されたグラフェンシートを用いた電極構造
Lock et al. Dry graphene transfer print to polystyrene and ultra-high molecular weight polyethylene− Detailed chemical, structural, morphological and electrical characterization
KR101781837B1 (ko) 그래핀 산화물 박막의 제조 방법 및 환원 방법, 그 방법들에 따라 생성된 그래핀 산화물 박막을 정공 주입층으로 이용하는 유기전계 발광소자
JP6663142B2 (ja) 有機エレクトロルミネセンス素子
Moon et al. Large area organic light emitting diodes with multilayered graphene anodes
KR101613558B1 (ko) 그래핀의 도핑 방법
KR101461977B1 (ko) 그래핀의 도핑 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180123

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180319

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180814

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180815

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6388953

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250