JPWO2015111606A1 - ウイルス液の製造方法及びウイルス検出方法 - Google Patents

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Abstract

夾雑物であるフミン酸を濃縮することなく、ウイルスのみを特異的に回収し精製することができる精製ウイルス液の製造方法を提供すること、及び、該ウイルスの精製方法によって得られるウイルス液を用いたウイルス検出方法を提供することを課題とする。ウイルスを含有するサンプル液を、無機塩濃度が0.5〜200mM及びpH4.0〜9.0の試験液に調整する工程1と、疎水性ビーズであって、ビーズ表面の臨界表面張力が30〜45mNである疎水性ビーズに、上記試験液を接触させる工程2と、上記疎水性ビーズと試験液とを分離して精製ウイルス液を得る工程3とを有することを特徴とする、精製ウイルス液の製造方法を提供することで、上記課題を解決する。

Description

本発明は、ウイルス液の製造方法、及びウイルス検出方法に関する。
安全志向が高まる近年、河川水や海水といった環境水、水道水や井戸水等の生活用水、土壌や食品等、我々を取り巻く環境に対する安全性の担保が非常に重要視されている。特に環境水や生活水が各種ウイルスによって汚染されると、近隣住民へと爆発的に感染し、甚大な健康被害を生じる恐れがあり、とくに開発途上地域における生活用水のウイルス汚染は大きな問題となっている。
これらを鑑み、環境中のウイルス汚染を恒常的に監視することは、人々の安全安心を維持していく上で非常に重要であり、そのためには簡便で正確にウイルス量を評価する方法を確立することが急務である。
しかし、様々な環境、特に環境水中のウイルス量はごく少量であるため、検出することが非常に難しいということが課題となっている。そこで、ウイルスを濃縮回収したうえで、ウイルスを検出する方法が試みられてきた。
例えば、ウイルス検出に用いる試料を、超遠心やポリエチレングリコール法などによって濃縮する方法などが知られている。
また、特許文献1においては、表面処理された中空糸にウイルスを含む液を通じてウイルスを捕捉し、ウイルスの濃度を評価する方法が報告されており、その際には、必要に応じて限外ろ過膜で2次濃縮を行う場合もある。
上記のような方法でウイルスを濃縮回収し、得られたウイルス液を、各種方法で検出、同定を行う。一般的によく行われるのが、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)等に代表される核酸増幅検査(NAT)法である。NAT法は、ウイルスに含まれる核酸を人工的に増幅して高感度に検出する方法であり、ウイルスに特異なプライマーによって検出を行う場合や、遺伝子を増幅させた後にハイブリダイゼーション等で同定を行う。
しかし、上記のようなウイルス濃縮方法では、環境中に存在するNAT法を阻害する物質であるフミン酸も同時に回収してしまうという問題があった。
フミン酸とは、環境中に存在する腐植物質の一種であり、植物残渣や微生物、プランクトンの遺骸が微生物による分解を受け、その分解生成物から化学的、生物的に合成された高分子有機酸の混合物である。腐植物質はフミン質とも呼ばれ、アルカリ溶液に可溶だが、酸性溶液では沈殿を形成するフミン酸、どのpHでも可溶なフルボ酸、及びアルカリに不溶なヒューミン(またはフムス質)とが存在する。フミン質は、動植物由来物質であることから、土壌・海水・河川湖沼水や排水・廃棄物等、環境中のあらゆる場所に存在する。フミン質は、動植物由来であることから不定形の高分子物質であるが、芳香環族を多数有する三次元網目状構造をもつものが多い。その中でもフミン酸は、水酸基やカルボキシル基と言った酸性基を一つ以上有するポリフェノール型カルボン酸であることが多く、その構造から金属類のキレート性を有し、工業的にはキレート剤として用いられる。
上記問題を解決する為に、特許文献2においては、特定の細孔を持つシリカゲルにフミン酸等の夾雑物を吸着させることによる、ウイルス検出率の向上方法が報告されている。しかし、細孔の大きさに依存した非特異的な吸着であるため、定量的測定には不十分であるといった問題があった。
国際公開第2012/144554号 特開2011−155919号公報
本発明の課題は、夾雑物であるフミン酸を濃縮することなく、ウイルスのみを特異的に回収し精製することができるウイルス液の製造方法を提供することを課題とする。また、該ウイルスの精製方法によって得られるウイルス液を用いたウイルス検出方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、ウイルスを含有するサンプル液を、無機塩濃度が0.5〜200mM及びpH4.0〜9.0の試験液に調整する工程1と、疎水性ビーズであって、ビーズ表面の臨界表面張力が30〜45mNである疎水性ビーズに、上記試験液を接触させる工程2と、上記疎水性ビーズと試験液とを分離して精製ウイルス液を得る工程3とを有することを特徴とする、精製ウイルス液の製造方法を提供することで、上記課題を解決できることを見出した。
また、上記サンプル液が、さらにフミン酸を含有するものである、精製ウイルス液の製造方法を見出した。
また、上記疎水性ビーズが、表面が高密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレートを含有するものである、上記精製ウイルス液の製造方法を見出した。
また、上記疎水性ビーズが、BET比表面積が100〜1200m/g以上である、精製ウイルス液の製造方法を見出した。
また、記疎水性ビーズが、体積分布の累積10%径が1μm以上かつ、累積90%粒度分布が1000μm以下である、精製ウイルス液の製造方法を見出した。
また、上記何れかに記載のウイルス液の製造方法で得られた精製ウイルス液を、ウイルス検出工程にかけることを特徴とするウイルス検出方法を見出した。
本発明のウイルス液の製造方法は、夾雑物であるフミン酸を濃縮することなく、ウイルスのみを特異的に回収し濃縮することができることから、ウイルス検出方法に対し感度よく定量的な精製ウイルス液を提供することが可能である。
本発明は、ウイルスを含有するサンプル液を、無機塩濃度が0.5〜200mM及びpH4.0〜9.0の試験液に調整する工程1と、疎水性ビーズであって、ビーズ表面の臨界表面張力が30〜45mNである疎水性ビーズに、上記試験液を接触させる工程2と、上記疎水性ビーズと試験液とを分離して精製ウイルス液を得る工程3とを有することを特徴とする、精製ウイルス液の製造方法、及び上記精製ウイルス液をウイルス検出工程に供することを特徴とするウイルス検出方法を提供するものである。
本発明の疎水性ビーズは、疎水性の比較的強いフミン酸をウイルスよりも選択的に吸着する性質を有する。試験液のpHを弱酸性から中性領域に設定することで、ウイルス粒子及び核酸の破壊を防ぎつつ、無機塩濃度を調整することでフミン酸の電離を解消し、ビーズに吸着しやすくしたものである。そのため、得られた精製ウイルス液は、フミン酸が選択的に除去されているため、その後のウイルス検出工程を精度よく定量的に実施することができる。
〔工程1〕
本発明におけるウイルスを含有するサンプル液とは、ウイルスが含まれる水媒体の液体である。ウイルスを含有するサンプル液は、ウイルスを含有すると思われるサンプルを水に混濁すればよく、ウイルスを含有するサンプルとは、河川水・湖沼水・海水・雨水といった環境水、井戸水・水道水・ボトルドウォーターといった飲料水や下水・排水・プール水・農業用水・工業用水・冷媒水といった産業用水のような生活用水;食品、土壌、動植物、血液等の体液など、様々なものをサンプルとして用いることができる。
ウイルスを含有するサンプル液は、ウイルスを含有するサンプルを水に混濁することによって得られ、例えば環境水や生活用水のような液体サンプルであれば滅菌水で希釈すればよく、固形サンプルであれば滅菌水で混濁した上清や、固形サンプル表面を滅菌水で洗浄した洗浄液等もサンプル液として用いることができる。
ウイルスを含有するサンプル液はサンプル量やウイルス量によって適時希釈濃度を変更すればよいが、工程2に供する際には、無機塩濃度を0.5〜200mMに、pHを4.0〜9.0に調整し、試験液とする必要がある。
無機塩としては、リン酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、蟻酸塩、が挙げられ、塩としてはカリウム、ナトリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
pHは公知慣用の方法で調整すればよく、各種酸塩基で調整してもよいし、上記無機塩のバッファーで調整するのが好ましい。
ウイルスを含有するサンプル液が、すでに無機塩濃度0.5〜200mMかつpHを4.0〜9.0である場合は、無調整でそのまま試験液とすることができる。
〔工程2〕
上記工程1で得られた試験液を、ビーズ表面の臨界表面張力が30〜45mNである疎水性ビーズと接触させるのが工程2である。
ウイルスを含有する試験液がフミン酸を含有する場合、そのままウイルス検出工程に供しても、フミン酸により核酸増幅検査法が阻害されてしまう為、ウイルス検出を精度よく実施することができない。本発明の疎水性ビーズは、疎水性の比較的強いフミン酸をウイルスよりも選択的に吸着する性質を有する。試験液のpHを弱酸性から中性領域に設定することで、ウイルス粒子及び核酸の破壊を防ぎつつ、無機塩濃度を調整することでフミン酸の電離を解消し、ビーズに吸着しやすくしたものである。そのため、得られた精製ウイルス液は、フミン酸が選択的に除去されているため、その後のウイルス検出工程を精度よく定量的に実施することができる。
本発明の疎水性ビーズとは、ビーズ表面の臨界表面張力が30〜45mNである疎水性ビーズであって、材質は特に限定は無いが、好ましくは表面が高密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレートを含有するものであることが好ましい。疎水性ビーズは、単一の素材からなるものでもよいし、複数の素材を複合して得られるビーズであってもよく、ビーズ表面が臨界表面張力が30〜45mNであるように表面修飾を行ったものでもよい。
本発明の疎水性のビーズは、強度を高めるために数%の架橋剤を用いてもよく、そういった架橋剤としては、ジビニルベンゼンや、ジビニルベンゼン・エチルビニルベンゼン混合物、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のラジカル重合性の多官能モノマーを用いることができる。
これら架橋剤によってポリメチルメタクリレート、ポリ(2−フェノキシエチルアクリレート)を架橋することができ、得られる架橋ポリメチルメタクリレート、架橋ポリ(2−フェノキシエチルアクリレート)は、強度に優れるため好ましい。
臨界表面張力の値は、例えば、和光純薬工業株式会社製ぬれ指数標準液を用い、JIS K 6768:1999に準じて測定できる。具体的には、段階的に表面張力が異なる複数の標準液を準備し、その中の一つの標準液を用いて対象となる素材の平滑なシート表面上に滴下し、液滴を膜面に広げ、滴下した標準液の液膜が破れを生じることなく、2秒以上濡らすことのできる上限の標準液の表面張力値を臨界表面張力とすることで決定できる。
本発明の疎水性ビーズの大きさは、体積分布の累積10%径が1μm以上かつ、大きさが累積90%粒度分布が1000μm以下であるものが好ましい。ビーズの体積分布の累積10%径が1μm以上かつ、大きさが累積90%粒度分布が1000μm以下であると、効率的に試験液と接触できる為である。より好ましくは、体積分布の累積10%径が30μm以上かつ、累積90%粒度分布が500μm以下であるものである。
体積分布及び粒径の測定方法は、顕微鏡法によって測定することができる。
上記疎水性ビーズは、BET表面積が100〜1200m/gであることが好ましい。これは、100m/g以上であると試験液とビーズとの接触効率が向上するため好ましく、1200m/g以下であれば孔径が比較的大きいため、フミン酸をビーズ表面の孔内で捕捉しやすいため好ましいからである。
本発明におけるBET比表面積とは、BET式比表面積測定器(ユアサアイオニクス株式会社製:オートソーブ1−C)を用い窒素置換法にて測定した値である。
本発明の疎水性ビーズと試験液を接触させる場合、様々な方法を用いることができる。
バッチ式の場合、疎水性ビーズと試験液をビーカーや試験管、マイクロチューブやチップ等に入れ、撹拌することで接触させることができる。撹拌する場合、撹拌翼や撹拌子を使用してもよいし、振動式ミキサー等で撹拌してもよい。
フロー式の場合、疎水性ビーズをカラムやチューブに詰めた上、試験液を通液してもよいし、担体に疎水性ビーズを固定したうえで通液してもよい。
〔工程3〕
本発明の工程3では、工程2において接触させた疎水性ビーズと試験液とを分離することで、フミン酸を除去した精製ウイルス液を得ることができる。分離の方法は公知慣用の方法を用いればよく、濾過、デカンテーション、遠心分離等の方法を用いることができるし、注射器等を用いて液のみを採取してもよい。
〔工程4〕
工程3で得られた精製ウイルス液は、工程4にてウイルス検出工程に供することが好ましい。
ウイルス検出工程とは、ウイルスを検出、及び同定する工程である。ウイルス検出方法としては、古くは単離培養からの形態的同定法が用いられていたが、現在はポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)等に代表される核酸増幅検査(NAT)法が用いられる。NAT法は、培養方法が確立していないウイルスを検出できるうえ、培養日数が不要なため短期間での検出が可能と言う利点がある。
工程3で得られる精製ウイルス液中で、ウイルス濃度が低い場合、公知慣用の方法でウイルスを濃縮してもよく、具体的には陽電荷膜法や陰電荷膜法、ポリエチレングリコール沈殿法、限外ろ過法などがある。本発明で得られる精製ウイルス液は、NAT法を阻害するフミン酸が除去されているため、感度よく検出することが可能である。
精製ウイルス液をNAT法に供する場合、ウイルスから核酸を抽出する前処理を行うことが好ましい。ウイルス核酸(DNA,RNA)の抽出は、特に限定されるものではなく、フェノール・クロロホルム抽出法、界面活性剤やプロテアーゼを併用した抽出法等が用いられる。また、ウイルス核酸精製に関しても、液相抽出法、エタノール沈殿法やスピンカラム法等により行うことができる。
抽出された核酸は、NAT法により検査を行うが、NAT法はウイルス等の微量の遺伝子を人工的に増幅して高感度に検出する方法の総称であり、PCR法の他、転写媒介増幅(TMA)法、鎖置換反応(LAMP)法、等温遺伝子増幅(ICAN)法、核酸配列増幅(NASBA)法、リガーゼ連鎖反応(LCR)法等が挙げられる。
例えばPCR法の場合、ウイルスに特異的なプライマーを用いて核酸増幅を行い、増幅が認められればウイルスが存在することが判明する。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は実施例の記載に制限されるものではない。また、実施例において特段の記載がない場合、部及び%は質量基準である。
〈調製例1〉 ファージ・フミン酸溶液1の調製
精製水にフミン酸(ナカライテスク株式会社)を1000ppmとなるように溶解し、水酸化ナトリウム溶液を用いてpH7.3に調整した。さらに、精製水にQβファージ(NBRC20012)及び上記調整したフミン酸水溶液をそれぞれ終濃度5×1010PFU/mL、500ppmとなるように添加し、ファージ・フミン酸溶液1を調製した。
〈実施例1〉
ポリプロピレンマイクロチューブに、疎水性ビーズとして洗浄処理を行ったSupelite DAX−8(Supelco社製)をスピンダウン後の容積として100μl取り、調製例1のファージ・フミン酸溶液1を0.2mL、pH7.0のリン酸ナトリウムバッファ(バッファ濃度100mM)を0.8ml加えた後、10分間転倒混和した。ビーズをスピンダウンして上澄みを回収し、精製ウイルス液を得た。
・フミン酸量の測定
得られた精製ウイルス液の260nm吸光度を測定することで、フミン酸量を測定した。
測定したフミン酸量から、フミン酸回収率を下記式により算出した。
Figure 2015111606
フミン酸回収率の値が小さいほど、ファージ・フミン酸溶液1からフミン酸を好適に除去することができたといえる。
・RNA量の測定
得られた精製ウイルス液を、QIAamp Viral RNA Mini プロトコール(株式会社キアゲン)に従ってファージRNAを抽出し、100倍に希釈した後、リアルタイムRT−PCR法にてRNA量を定量した。測定に用いたプライマー及びプローブの配列は文献(Journal of Virological Methods 149(2008),p123−128)に従って作製し、測定はStepOnePlusリアルタイムPCRシステム(ライフテクノロジースジャパン株式会社)を使用した。
測定したRNA量から、Qβ回収率(ファージ回収率)を下記式により算出した。
Figure 2015111606
Qβ回収率の値が大きいほど、精製工程においてウイルスは除去されておらず、不純物が選択的に除去されたといえる。
〈実施例2〉
使用バッファをpH5.0のクエン酸ナトリウムバッファ(バッファ濃度100mM)にした以外は実施例1と同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈実施例3〉
使用ビーズをSupelite DAX−8からセパビーズSP2MGS(三菱化学株式会社製)に変更した以外は実施例2と同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈実施例4〉
ビーズの添加量を100μlから30μlに変更した以外は実施例3と同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈実施例5〉
転倒混和時間を10分から60分に変えた以外は実施例1と同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈実施例6〉
使用バッファをpH5.0のクエン酸ナトリウムバッファ(バッファ濃度50mM)にした以外は実施例3と同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈実施例7〉
使用ビーズをSupelite DAX−8からダイアイオンHP2MG(三菱化学株式会社製)に変更し、添加量を300μlにした以外は実施例6と同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈実施例8〉
使用ビーズをSupelite DAX−8からダイアイオンHP20(三菱化学株式会社製)に変更し、添加量を900μlにした以外は実施例6同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈実施例9〉
ポリプロピレンマイクロチューブに調製例1のファージ・フミン酸溶液1を0.2mL、pH7.0のリン酸ナトリウムバッファ(バッファ濃度100mM)を0.8ml加えてファージ・フミン酸液を調製した。300μlのSupelite DAX−8をφ2×4のシリコンチューブに詰めて作製したカラムに、上記ファージ・フミン酸液を通じ、更に4mlのpH7.0のリン酸ナトリウムバッファ(バッファ濃度0.1M)を通液した。回収した液を実施例1と同様にしてファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈実施例10〉
カラムに使用したビーズ量を1200μlにし、使用バッファをpH7.0のリン酸ナトリウムバッファ(バッファ濃度10mM)に変更した以外は実施例9と同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈実施例11〉
カラムに使用したビーズ量を1800μlにし、使用バッファをpH7.0のリン酸ナトリウムバッファ(バッファ濃度1.0mM)に変更した以外は実施例9と同様にしてファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈実施例12〉
使用バッファをpH4.0のクエン酸ナトリウムバッファ(バッファ濃度50mM)に変え、転倒混和時間を10分から60分に変えた以外は実施例7と同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈比較例1〉
使用ビーズをシリカゲルビーズ(シリカゲル60N(63−210um)関東化学株式会社製)に変え、ビーズ量を1000μlにし、使用バッファをpH7.0のリン酸ナトリウムバッファ(バッファ濃度10mM)に変更した以外は実施例1と同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈比較例2〉
使用ビーズをSupelite DAX−8からダイアイオンSA−10A(三菱化学株式会社製)に変更した以外は実施例7と同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈比較例3〉
使用バッファをpH7.0のリン酸ナトリウムバッファ(バッファ濃度300mM)に変更した以外は実施例1と同様にしてファージ、フミン酸の回収率を評価した。
〈比較例4〉
使用バッファをpH2.0の塩酸−塩化カリウムバッファ(バッファ濃度200mM)に変え、ビーズを使用しない以外は実施例1と同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
〈比較例5〉
使用バッファをpH12.0の水酸化ナトリウム水溶液に変え、ビーズを使用しない以外は実施例1と同様にして、ファージ,フミン酸の回収率を評価した。
上記実施例及び比較例の結果を、表1〜3に示した。
Figure 2015111606
Figure 2015111606
Figure 2015111606
表の内容の説明
PMMA:架橋ポリメチルメタクリレート(架橋剤:エチレングリコールジメタクリレート)
PS:架橋ポリスチレン(架橋剤:ジビニルベンゼン)
陰イオン交換樹脂:架橋ポリスチレンにトリメチルアンモニウム基を導入した化合物
表中におけるビーズの粒径は以下の通りである。
Figure 2015111606
本発明のウイルス精製方法及びウイルス検出方法は、ウイルス検査方法に対し好適に使用可能である。

Claims (7)

  1. ウイルスを含有するサンプル液を、無機塩濃度が0.5〜200mM及びpH4.0〜9.0の試験液に調整する工程1と、
    疎水性ビーズであって、ビーズ表面の臨界表面張力が30〜45mNである疎水性ビーズに、上記試験液を接触させる工程2と、
    上記疎水性ビーズと試験液とを分離して精製ウイルス液を得る工程3とを有することを特徴とする、精製ウイルス液の製造方法。
  2. 上記サンプル液が、さらにフミン酸を含有するものである、請求項1に記載の精製ウイルス液の製造方法。
  3. 上記疎水性ビーズが、表面が高密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ(2−フェノキシエチルアクリレート)を含有するものである、請求項1または2に記載の精製ウイルス液の製造方法。
  4. 上記疎水性ビーズが、BET表面積が100〜1200m/gである、請求項1〜3の何れかに記載の精製ウイルス液の製造方法。
  5. 上記疎水性ビーズが、体積分布の累積10%径が1μm以上かつ、累積90%粒度分布が1000μm以下である、請求項1〜4の何れかに記載の精製ウイルス液の製造方法。
  6. ウイルスを含有するサンプル液を、無機塩濃度が0.5〜200mM及びpH4.0〜9.0の試験液に調整する工程1と、
    疎水性ビーズであって、ビーズ表面の臨界表面張力が30〜45mNである疎水性ビーズに、上記試験液を接触させる工程2と、
    上記疎水性ビーズと試験液とを分離して精製ウイルス液を得る工程3と、
    上記精製ウイルス液をウイルス検出工程に供する工程4とを有することを特徴とする、ウイルス検出方法。
  7. 上記ウイルス検出工程が、核酸増幅検査法である、請求項6に記載のウイルス検出方法。
JP2015559086A 2014-01-23 2015-01-21 ウイルス液の製造方法及びウイルス検出方法 Pending JPWO2015111606A1 (ja)

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