JPWO2015097971A1 - 発光装置 - Google Patents

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Abstract

発光装置は、発光素子と、前記発光素子から生じた光を透過させる光取り出し層とを備える。前記発光素子は、前記光取り出し層の側に位置し、光透過性を有する第1の電極層と、前記光取り出し層の側の反対側に位置する第2の電極層と、前記第1および第2の電極層の間に位置する発光層と、前記第1の電極層、前記第2の電極層、および前記発光層に近接して配置され、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に電圧を印加する給電部とを有する。前記光取り出し層は、相対的に屈折率の低い低屈折率層と、前記低屈折率層よりも屈折率の高い高屈折率層とが積層された構造を有し、前記低屈折率層と前記高屈折率層との界面の形状は凹凸形状であり、前記光取り出し層は、第1の領域と、前記第1の領域よりも前記給電部から遠い第2の領域とを含み、前記凹凸形状は、前記第1の領域よりも前記第2の領域の方が光取り出し効率が高くなるように構成されている。

Description

本願は、発光装置に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と称する。)などの発光素子を用いた発光装置が開発されている。有機EL素子は、自発光型の素子であること、比較的高い効率の発光特性を有すること、各種の色調で発光可能であることといった特徴を有する。このため、表示装置(例えばフラットパネルディスプレイ)における発光体や、光源(例えば液晶表示装置用のバックライトや照明)への活用が期待されている。
有機EL素子の例として、透明基板の表面に形成された透明電極(陽極)の上に、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、金属電極(陰極)が順に積層されたものが知られている。陽極と陰極との間に電圧を印加することにより、発光層から光を発生させることができる。発生した光は、透明電極および透明基板を透過して外部に取り出される。
このような有機EL素子を用いた有機ELパネルでは、電極間に電圧を印加する給電部からの距離が有機ELパネルの面内の位置によって異なる。このため、陽極あるいは陰極の内部抵抗によって生じる電圧降下量が異なる。その結果、発光素子に加えられる電圧および流れる電流の大きさに分布が生じ、発光ムラが生じるという問題がある。
この問題を解決する技術として、例えば、特許文献1に開示された技術がある。特許文献1では、有機ELパネルの透明電極に補助電極を格子状に配置することにより、有機ELパネルの電圧降下を抑制し、パネル面内での発光ムラを抑制している。
特開2012−69450号公報
しかしながら、上記従来の技術では、補助電極が別途必要であり、構成が複雑になるという課題がある。
本願の実施形態は、補助電極を用いることなく発光ムラを抑制可能な発光装置を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る発光装置は、発光素子と、前記発光素子から生じた光を透過させる光取り出し層と、を備える発光装置であって、前記発光素子は、前記光取り出し層の側に位置し、光透過性を有する第1の電極層と、前記光取り出し層の側の反対側に位置する第2の電極層と、前記第1および第2の電極層の間に位置する発光層と、前記第1の電極層、前記第2の電極層、および前記発光層に近接して配置され、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に電圧を印加する給電部と、を有し、前記光取り出し層は、相対的に屈折率の低い低屈折率層と、前記低屈折率層よりも屈折率の高い高屈折率層とが積層された構造を有し、前記低屈折率層と前記高屈折率層との界面の形状は凹凸形状であり、前記光取り出し層は、第1の領域と、前記第1の領域よりも前記給電部から遠い第2の領域とを含み、前記凹凸形状は、前記第1の領域よりも前記第2の領域の方が光取り出し効率が高くなるように構成されている。
本発明の一態様に係る発光装置によれば、補助電極を用いることなく、発光ムラを抑制することができる。
従来の有機ELパネルの一例を示す図である。 発光ムラに関するシミュレーションの結果の一例を示す図である。 発光面の輝度分布の一例を示す図である。 図2Bに示す輝度分布に対応する光取り出し層2007の光取り出し効率の分布の一例を示す図である。 光取り出し効率の分布を説明するための図である。 凹凸構造の一例を示す平面図である。 凹凸構造の一例を示す断面図である。 (a)は回折格子の例を示す図であり(b)はランダム性が抑制された凹凸構造の一例を示す図であり、(c)はランダム性が抑制された凹凸構造の他の例を示す図である。 凹凸パターンをフーリエ変換して空間周波数成分の振幅を示した図である。 凹凸構造の周期を説明するための図である。 凹凸構造の周期を説明するための他の図である。 例示的な実施の形態1における有機ELパネルの構成を示す図である。 光取り出し効率と構造高さの関係を説明するための図である。(a)は図4(a)に示す構造についての結果を、(b)は図4(b)に示す構造についての結果を、(c)は図4(c)に示す構造についての結果を示している。 実施の形態1における発光面上の輝度分布の一例を示す図である。 実施の形態1における光取り出し効率差ΔEの分布の一例を示す図である。 実施の形態1における凹凸の高さの分布の一例を示す図である。 実施の形態1における光取り出し層を設けた場合の輝度分布の一例を示す図である。 図10Bに示す分布を算出するまでの途中経過を示す第1の図である。 図10Bに示す分布を算出するまでの途中経過を示す第2の図である。 図10Bに示す分布の算出が完了した状態を示す図である。 (a)〜(f)は有機ELパネルの製造方法の一例を示す図である。 幅tに対する光取り出し効率の依存性を示す図である。 実施の形態2における有機ELパネルの構造図である。 光取り出し効率とピッチとの関係を説明するための図である。(a)は図4(a)に示す構造についての結果を、(b)は図4(b)に示す構造についての結果を、(c)は図4(c)に示す構造についての結果を示している。 実施の形態2における発光面上の輝度分布の一例を示す図である。 実施の形態2における光取り出し効率差ΔEの分布の一例を示す図である。 実施の形態2における凹凸のピッチの分布の一例を示す図である。 実施の形態2における光取り出し層を設けた場合の輝度分布の一例を示す図である。 他の実施の形態における有機ELパネルの構造を示す断面図である。
本開示は、以下の項目に記載の発光装置を含む。
[項目1]
発光素子と、
前記発光素子から生じた光を透過させる光取り出し層と、
を備える発光装置であって、
前記発光素子は、
前記光取り出し層の側に位置し、光透過性を有する第1の電極層と、
前記光取り出し層の側の反対側に位置する第2の電極層と、
前記第1および第2の電極層の間に位置する発光層と、
前記第1の電極層および前記第2の電極層の少なくとも一方に接続され、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に電圧を印加する給電部と、
を有し、
前記光取り出し層は、相対的に屈折率の低い低屈折率層と、前記低屈折率層よりも屈折率の高い高屈折率層とが積層された構造を有し、前記低屈折率層と前記高屈折率層との界面の形状は凹凸形状であり、
前記光取り出し層は、第1の領域と、前記第1の領域よりも前記給電部から遠い第2の領域とを含み、
前記凹凸形状は、前記第1の領域よりも前記第2の領域の方が光取り出し効率が高くなるように構成されている、
発光装置。
[項目2]
前記光取り出し層は、前記第1および第2の領域を含む複数の領域に分割されており、各領域における前記光取り出し効率が、前記領域に対向する前記第1の電極層の部分からの透過光量が少ないほど高くなるように前記凹凸形状が構成されている、項目1に記載の発光装置。
[項目3]
前記第2の領域における前記凹凸形状の高さの平均値は、前記第1の領域における前記凹凸形状の高さの平均値よりも大きい、項目1または2に記載の発光装置。
[項目4]
前記光取り出し層は、前記第1および第2の領域を含む複数の領域に分割されており、各領域内の前記凹凸形状の高さは一定であり、各領域における前記凹凸形状の高さは、前記領域に対向する前記第1の電極層の部分からの透過光量に基づいて決定されている、項目3に記載の発光装置。
[項目5]
前記複数の領域のうち、前記凹凸形状の高さの異なる2つの領域における前記高さの差分は、100nm以上である、項目4に記載の発光装置。
[項目6]
前記第2の領域における前記凹凸形状の周期の平均値は、前記第1の領域における前記凹凸形状の周期の平均値よりも長い、項目1から5のいずれかに記載の発光装置。
[項目7]
前記光取り出し層は、前記第1および第2の領域を含む複数の領域に分割されており、各領域における前記凹凸形状の周期の平均値は、前記領域に対向する前記第1の電極層の部分からの透過光量に基づいて決定されている、項目6に記載の発光装置。
[項目8]
前記複数の領域のうち、前記凹凸形状の周期の平均値が異なる2つの領域における前記周期の平均値の差分は、100nm以上である、項目6または7に記載の発光装置。
[項目9]
前記複数の領域の各々は、同一の面積を有し、前記光取り出し層に平行な方向に10μm以上の幅を有している、項目4または7に記載の発光装置。
[項目10]
前記凹凸形状は、複数の凹部と複数の凸部とが2次元的にランダム性を有するパターンで配列された形状である、項目1から9のいずれかに記載の発光装置。
[項目11]
前記複数の凹部および前記複数の凸部の各々に内接する楕円の短辺の長さの最小値をwとするとき、前記凹凸形状の前記パターンの空間周波数成分のうち、1/(2w)よりも小さい成分が、前記複数の凹部および前記複数の凸部をランダムに並べた場合と比較して抑制されている、項目10に記載の発光装置。
[項目12]
前記凹凸形状は、予め定められた個数以上の凹部または凸部が1つの方向に連続しないように構成されている、項目11に記載の発光装置。
[項目13]
前記光取り出し層に平行な平面で前記複数の凹部および前記複数の凸部の各々を切断した時の断面形状は四角形であり、3つ以上の凹部または凸部が配列方向に連続しないように前記凹凸形状が構成されている、項目12に記載の発光装置。
[項目14]
前記光取り出し層に平行な平面で前記複数の凹部および前記複数の凸部の各々を切断した時の断面形状は六角形状であり、4つ以上の凹部または凸部が配列方向に連続しないように前記凹凸形状が構成されている、項目12に記載の発光装置。
[項目15]
前記発光層から生じる光の平均波長をλとするとき、前記複数の凹部および前記複数の凸部の各々に内接する楕円の短辺の長さの最小値は、0.73λ以上である、
項目11から14のいずれかに記載の発光装置。
[項目16]
前記凹凸形状は、複数の凹部と複数の凸部とが2次元的に周期的に配列された構造である、項目1から9のいずれかに記載の発光装置。
[項目17]
前記発光層から生じる光の平均波長をλとするとき、前記低屈折率層の厚さは(1/2)λ以上である、項目1から16のいずれかに記載の発光装置。
[項目18]
光取り出し層は、透光性基板をさらに有し、
前記低屈折率層は、前記透光性基板の前記発光素子側の面に形成され、
前記高屈折率層は、前記低屈折率層と前記第1の電極層との間に形成されている、
項目1から17のいずれかに記載の発光装置。
[項目19]
前記発光素子は、有機EL素子である、項目1から18のいずれかに記載の発光装置。
本開示の実施形態を説明する前に、まず、本開示の基礎となった知見を説明する。以下の説明において、発光面全体から光を出射する発光装置を「面発光装置」と称することがある。面発光装置には、個々の発光パネル(例えば有機ELパネル)だけでなく、複数のパネルを連結した大型の発光面を有する装置も含まれる。
前述のように、従来の面発光装置では、発光ムラの問題が生じ得る。ここで、「発光ムラ」とは、発光面上で輝度が最大になる位置と輝度が最小になる位置との間で、輝度の比が一定以上である状態をいう。
図1は、有機EL素子を用いた面発光装置(有機ELパネル)の一例を示す図である。図1(a)はこの有機ELパネルの構造を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)におけるA−A’線断面図である。図1(b)に示すように、この有機ELパネルは、ガラスなどの透明材料からなる透明基板2000と、光取り出し層2007と、透明電極2001と、有機層2002と、金属電極2003とがこの順に積層された構造を有している。有機層2002は、不図示の電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層及びホール注入層がこの順に積層された構造を有している。有機層2002で発光を生じさせるために、透明電極2001と金属電極2003との間に電圧が印加される。
有機ELに使用される有機材料は、酸素や水分の環境下では劣化するため、図1に示す構成では、別のガラス基板2004を封止材2005で固定し、有機EL素子を保護している。透明電極2001と金属電極2003との間に電圧を印加するために、封止材2005の下側を通して金属電極2003に接続された給電部2006が基板周辺に設けられている。金属電極2003と給電部2006とは、接続部300によって接続されている。なお、この例とは逆に、給電部2006が透明電極2001に接続される場合もある。また、給電部2006が図示される位置以外の位置に配置される場合もある。いずれの場合も、給電部2006は、透明電極2001および金属電極2003の少なくとも一方に接続され、両者の間に電圧を印加する電圧入力端として機能する。
この発光装置は、透明基板2000と透明電極2001との屈折率差によって生じる光の全反射を抑制するために、透明基板2000と透明電極2001との間に光取り出し層2007を備えている。図1(c)に示すように、光取り出し層2007は、樹脂2008と、樹脂2008を埋め込む樹脂2009とを有している。樹脂2008と樹脂2009との界面の形状は凹凸形状であり、これにより、臨界角を超える入射角で入射した光の一部を外部に効果的に取り出すことができる。樹脂2008の屈折率は樹脂2009の屈折率よりも小さい。このため、以下の説明では、樹脂2008によって形成される層を「低屈折率層2008」、樹脂2009によって形成される層を「高屈折率層2009」と称することがある。
このような有機EL素子を用いた有機ELパネルでは、有機ELパネルの面内の位置によって給電部2006(金属電極2003または透明電極2001における電圧入力端)からの距離が異なる。このため、陽極あるいは陰極の抵抗成分によって生じる電圧降下量も有機ELパネルの面内の位置によって異なる。その結果、発光層に加えられる電圧および流れる電流の大きさに分布が生じ、発光ムラが生じるという問題がある。
図2Aは、本発明者らが実施した発光ムラに関するシミュレーションの結果の一例を示す図である。透明電極2001と給電部2006を図2Aに示すように配置した場合、給電部2006からの距離に応じて発光ムラが生じる。より詳細には、図2Bに例示するように、有機層(発光層)2002における発光面をある一定の幅tの複数の正方形の領域に仮想的に分割したとき、領域によって輝度が異なる。図2Bに示す例では、最高輝度をL1、最低輝度をLn(nは2以上の自然数)とし、L1、L2、・・・、Ln−1、Lnのn段階の輝度分布が生じている。
発光ムラの要因として、一定の面積を有する面発光装置においては、給電部2006からの距離が、面発光装置の発光面内の位置によって異なるため、それにより、陽極あるいは陰極の抵抗成分によって降下する電圧値も位置によって異なることが考えられる。
このような問題に対して、特許文献1では、補助電極を用いて面発光装置の中央部に補正電圧を印加することによって電圧降下を抑制し、面発光装置の発光ムラを抑制するアプローチを採用している。しかしながら、このアプローチでは、補助電源が別途必要であり、構成が複雑化する。また、補助電極の太さによっては目視で見えてしまうため、ディスプレイや照明用途としては外観を損ねるという課題がある。
本発明者らは、従来の技術における上記の課題を見出し、補助電極のような構成要素を追加することなく、簡素な構成で、上記の課題を解決するための構成を鋭意検討した。その結果、光取り出し層2007における凹凸構造を工夫することにより、発光ムラを抑制することができるという結論に至った。
具体的には、発光装置における発光ムラを抑制するためには、発光面における輝度の低い領域での光取り出し効率を向上させるように凹凸形状が構成されていればよい。例えば、少なくとも最低輝度の領域における光取り出し効率を相対的に高くし、少なくとも最高輝度の領域における光取り出し効率を相対的に低くすれば、発光ムラを改善することができる。ここで「光取り出し効率」とは、入射光強度に対する透過光強度の割合を意味する。
図2Cは、図2Bに示す輝度分布が得られたときの光取り出し層2007の光取り出し効率の分布の一例を示す図である。図2Cに示す例では、最低輝度Lnの領域における光取出し効率が最大値Enとなり、最高輝度L1の領域に対向する光取り出し層2007内の領域における光取り出し効率が最小値E1となるように、各領域の光取り出し効率が発光量に応じて調整されている。より厳密には、光取り出し層2007は、各領域における光取り出し効率が、その領域に対向する透明電極層2001の部分からの透過光量が多いほど低くなるように、凹凸形状が構成されている。
このような調整は、必ずしも全ての領域について行う必要はなく、特に輝度の低い領域と特に輝度の高い領域との間に光取り出し効率に差異が生じるようにすれば、輝度ムラを改善することができる。例えば、図2Dに示すように、給電部2006に相対的に近い第1の領域R1の光取り出し効率E1よりも、給電部2006に相対的に遠い領域R2の光取り出し効率E2の方が大きくなるように光取り出し層2007における凹凸形状が構成されていればよい。このような構成により、透明電極2001または金属電極2003の電気抵抗によって生じる電圧降下による発光量の減少分を補償することができる。
本発明者らは、光取り出し効率の調整を実現する具体的手段として、光取り出し層2007における凹凸構造の形状パラメータを調整することによって光取り出し効率を変化させることができることを見出した。具体的な形状パラメータとして、光取り出し層2007における凹凸構造のパターン、凹凸の高さおよびピッチ(周期)を検討した。これらの検討結果について、以下、説明する。
まず、図3Aおよび図3Bを参照しながら、光取り出し層2007における凹凸構造の基本的な考え方を説明する。
図3Aは、光取り出し層2007における凹凸構造の一例を模式的に示す平面図である。図3Aにおける黒および白の領域は、それぞれ、高屈折率層2009が相対的に厚く形成された部分(凸部)および高屈折率層2009が相対的に薄く形成された部分(凹部)を表している。この凹凸構造は、それぞれが一辺の長さ(幅)wの正方形状の2種類の単位構造(高低差h)を2次元的にランダムに並べたものに相当する。以下の説明では、高低差hを凹凸構造の「高さ」と呼び、各単位構造を「ブロック」と呼ぶことがある。このような凹凸構造を設けることにより、発光層2002から生じた光を回折によって効果的に取り出すことができる。
図3Bは、凹凸構造の一部を模式的に示す断面図である。図3Bにおける横方向は、図3Aにおける横方向と一致している。図3Bの横方向についての凸部600および凹部500の最小の長さを幅w、隣接する2つの凸部(または凹部)の間の長さをピッチpと定義する。
図3Aおよび図3Bに示す構造は一例であり、凹凸構造のパターンはこれに限定されない。例えば、図4(a)に示すような周期的な凹凸パターンを有する回折格子を用いてもよい。また、図4(b)、(c)に示す構造のように、凹部および凸部を完全にランダムに配列するのではなく、配列方向について同じ種類の単位構造が連続して所定回数以上出現しないように、ランダム性を抑制した構造を採用してもよい。図4(b)は、光取り出し層2007に平行な平面で複数の凹部および複数の凸部の各々を切断した時の断面形状が四角形であり、3つ以上の凹部または凸部が配列方向に連続しないように調整されたランダムパターンを示している。図4(c)は、光取り出し層2007に平行な平面で複数の凹部および複数の凸部の各々を切断した時の断面形状が六角形であり、4つ以上の凹部または凸部が配列方向に連続しないように調整されたランダムパターンを示している。ここで「配列方向」とは、図4(b)に示す例では横方向および縦方向を指し、図4(c)に示す例では六角形の辺に垂直な3方向を指す。
図4(b)、(c)のようなランダム性を抑制した構造では、図3Aのように完全にランダムな構造と比較して、光の取り出し効率を高くすることができる。ここで、「ランダム性を抑制した構造」とは、完全にランダムな構造ではなく、1つの方向について同じ種類のブロックが連続して所定回数以上出現しないように調整された構造を意味する。例えば、図4(b)のランダムA、図4(c)のランダムBのような構造がこれに該当する。
このような大きなブロックの抑制については、パターンをフーリエ変換することでも確認することができる。ここで、「パターンをフーリエ変換する」とは、基準面に対する凹部および凸部の平坦部の高さを光取り出し層2007の面内の座標x、yについての二次元関数として表したときのフーリエ変換を意味する。図5は、パターンをフーリエ変換し、空間周波数成分の振幅を示した図である。図5(a)は配列方向に3個以上同種のブロックが連続しないようにランダム性が抑制されたパターンにおける結果を示し、図5(b)は完全にランダムなパターン(凹部と凸部の出願確率が1/2ずつ)における結果を示している。図5の右側の分布図の中心は、空間周波数が0の成分(直流成分)を表している。この図では、中心から外側に向かうに従い、空間周波数が高くなるように表示されている。この図から理解されるように、図5(a)に示す制限されたランダムパターンの空間周波数では、図5(b)に示すランダムパターンと比較して低周波成分が抑制されていることが確認できる。特に、空間周波数成分のうち1/(2w)よりも小さい成分が抑制されていることがわかる。
本明細書において、凹部および凸部をランダムに同数ずつ配列した完全にランダムなパターンと、同種の構造(凹部または凸部)が配列方向に所定回数以上連続しないように調整されたパターンとを総称して「ランダム性を有するパターン」または「ランダムパターン」と称することがある。複数の凹部と複数の凸部とは、必ずしも同数である必要はなく、両者の数が異なっていてもよい。
図6は、幅wの2種類の単位構造(ブロック)をランダムに並べたパターン(a)と、周期的に並べたパターン(b)のそれぞれにおける平均周期を説明するための図である。図6(a)に示すランダム構造では、その配列方向の平均周期は4wとなる。一方、図6(b)に示す周期構造では、その配列方向の平均周期は2wとなる。なお、ブロックをランダムに並べた場合の平均周期wexpは、図6の吹き出しに示す計算によって求められる。すなわち、図6(a)に示すランダム構造では、幅wの凹部または凸部が存在する確率は1/2であり、幅2wの連続した凹部または凸部が存在する確率は(1/2)2である。一般化すれば、x方向およびy方向の各々について、幅nw(nは任意の自然数)の連続した凹部または凸部が存在する確率は(1/2)nである。したがって、ランダムな凹凸構造における同種の構造(凹部または凸部)のx方向およびy方向の平均の長さwexpは、以下の計算によって2wと求められる。
Figure 2015097971
平均周期は、凹部の平均の長さと凸部の平均の長さとの和であるから、4wとなる。
図4(b)、(c)に示すようなランダム性を抑制した構造においても上記と同様の考え方で平均周期を求めることができる。構造のパターンから平均周期を求める方法を図7に示す。ここで、図7に示す横方向および縦方向のそれぞれについて、連続する同種の単位構造の群からなる領域に内接する楕円(真円を含む)を考える。図7の下の図における白い部分の大きさの平均値は、白い部分に内接する楕円の軸の長さの平均値を計算することによって求めることができる。黒い部分についても同様である。これらの平均値を足し合わせた値を平均周期とする。ここで、「軸の長さ」とは、図7の上の図に示す短軸の長さaまたは長軸の長さbのいずれかを指す。
光は波長よりも十分小さい構造によっては回折されない。このため、ランダム構造でも周期構造でも400nm以下の単位構造を並べたときには効果が得られにくい。即ち、発光層2002から生じる光の平均波長をλとするとき、wは例えば0.73λ(=λ×400/550)以上に設定され得る。ここで平均波長とは、発光スペクトルにおいて、平均波長よりも大きな波長の光の強度和と、平均波長よりも小さな波長の光の強度和が等しくなるように定義されたものである。一方、単位構造が波長よりも十分大きい場合については、本発明者らの計算によれば、ランダム構造ではwを2μm以下に、周期構造ではwを4μm以下にすれば、光取り出し効率を69%以上にすることができるという結果が得られている。ランダム構造の平均周期は4wであり、周期構造の平均周期は2wであることから、光取り出し効率は、構造のパターンによらず、平均ピッチ(周期)で決まっていることが分かる。平均周期をpとすると、pは例えば8μm以下に設定され得る。また、光の回折原理から、光の回折パターンは構造サイズ(周期)と光の波長との比(即ちp/λ)で決まることから、平均周期pは、例えば14.5(=8/0.55)λ以下に設定され得る。
ランダム構造でも周期的構造でも、光取り出し効率にそれほど大きな差異はないが、周期構造では、回折格子の性質により、波長依存性が大きくなるため、視野角に対する色むらが大きくなると考えられる。よって、視野角に対する色むらを低減させるためには、凹凸形状として、ランダムに構造を並べた形状を採用すればよい。
本開示の実施形態では、上記のようにして決められた凹凸構造の形状パラメータ(凹凸形状の高さおよび周期の少なくとも一方)を調整したものを、例えば図2Cに示すように、発光ムラに従って並べていく。これにより、発光面上の各区画から出射する光の輝度は、発光素子から出射する光の輝度と光取り出し効率との乗算によって決まるため、結果的に発光ムラを抑制することができる。
上記検討のもと本願発明者らが考案した実施の形態について、以下に説明する。
(実施の形態1)
まず、第1の実施の形態に係る発光装置(有機ELパネル)を説明する。本実施の形態では、光取り出し層2007における凹凸構造の高さに分布を設けた構成を採用する。凹凸構造の高さを変えることにより、光取り出し効率を変えることができるため、発光ムラを抑制することができる。
<有機ELパネルの構造>
図8は、本実施の形態における有機ELパネルの構造を示す図である。図8(a)は、発光面に垂直な方向から有機ELパネルを見たときの平面図であり、図8(b)は、図8(a)のA−A’線断面図であり、図8(c)は、光取り出し層2007の模式断面図である。図8において、図1と同一または類似する構成要素については同じ参照符号を用いている。以下、図1と重複する事項については説明を省略する。
図8(c)に示すように、本実施形態における光取り出し層2007では、面内の位置によって凹凸形状の高さが異なっている。光取り出し層2007の面内は、幅tの複数の矩形領域に分割されており、領域ごとに所望の光取り出し効率になるように凹凸の高さが設定されている。1つの領域内には、複数の凹部および複数の凸部が含まれており、それらの高さは全て同一である。有機ELパネルの発光面の1辺の長さは、例えば数十mm〜数百mmであり、幅tは、例えば数μm〜数十μmに設定され得る。各領域内には、1つの方向に例えば10周期以上の凹凸構造が含まれ得る。ただしこのような条件に限定されない。
<光取り出し効率の高さ依存性>
まず、凹凸の高さに対する光取り出し効率の依存性を説明する。
図9(a)〜(c)は、それぞれ、光取り出し層2007における凹凸構造が、図4(a)に示す回折格子、図4(b)に示すランダムA、図4(c)に示すランダムBのパターンで構成されている場合における凹凸形状の高さhに対する光取り出し効率の依存性を示すグラフである。各グラフにおいて、横軸は凹凸構造の高さh(μm)を、縦軸は光取り出し効率差ΔE(任意単位)を表している。ここで、光取り出し効率差ΔEとは、計算範囲内における最大の光取り出し効率を1、最小の光取り出し効率を0に換算した場合の光取り出し効率を意味する。光取り出し効率差ΔEは、以下の式(2)によって表される。
Figure 2015097971

ここで、E1は範囲内で最大の取り出し効率を、Enは範囲内で最小の取り出し効率を、Eiは任意の取り出し効率を表している。
高さの変化に対する光取り出し効率差の変化が緩やかであるほど、高さの調整による発光ムラの抑制が容易になる。図9の結果によれば、(c)ランダムB、(b)ランダムA、(a)回折格子の順で高さに対する光取り出し効率差の変化が緩やかであるため、この順で発光ムラ抑制に効果的である。
本計算では、凹凸構造のピッチ(平均周期)pを、ランダムAでは0.6μm、回折格子およびランダムBでは1.8μmとした。透明基板2000の屈折率は1.5、低屈折率層2008の屈折率は1.45、高屈折率層2009の屈折率は1.76とした。
図9(a)に示すように、回折格子を採用した場合、構造高さhが0.4〜2μmの範囲内では、光取り出し効率差ΔEを0から1まで変化させることができる。図9(b)に示すように、四角形の基本形状を有するランダムな構造(ランダムA)を採用した場合、hが0.4〜1.2μmの範囲内に設定すればよい。六角形の基本形状を有するランダムな構造(ランダムB)を採用した場合は、hを0.4〜1.2μmの範囲内に設定すればよい。
<発光ムラの抑制方法>
次に、図10A〜10Dを参照しながら、本実施形態における発光ムラの抑制方法を説明する。図10Aは、光源(発光層2002)からの光による、発光ムラを有する発光面上の輝度分布、図10Bは、本実施形態における光取り出し層2007の光取り出し効率の分布、図10Cは、上記の光取り出し効率の分布を実現するための凹凸構造の高さの分布、図10Dは、図10Aの輝度分布に、図10Bの光取り出し効率分布、および図10Cの高さ分布を有する光取り出し層2007を適用した場合に、最終的に発光装置から得られる発光面上の輝度分布の一例を示した図である。図示されるように、本実施形態では、発光面を配列方向に幅tの複数の矩形領域に分割し、各領域の輝度に基づいて、各領域の光取り出し効率差および凹凸の高さを決定する。ここでは、図4(c)、図9(c)に示したピッチ1.8μmのランダムBのパターンで、凹凸の高さを調整することによって発光ムラを抑制する場合を想定する。
図10Aは、発光面上の輝度分布の一例を示している。各領域内の数値は、最高輝度を1、最低輝度を0に換算した場合の輝度を表している。また、パネルの明暗を表現するために、輝度に応じて色を塗り分けている。図10Aに示すような輝度分布では、発光ムラが顕著に生じていることがわかる。
図10Aに示されるような発光ムラを抑制する場合、まず、各領域における発光量に基づいて光取り出し効率差ΔEを設定する。このとき、図10Bに示すように、図10Aで最大輝度を示した場所でΔE=0、最低輝度を示した場所でΔE=1となるように設定する。図10Bにおける各領域の数値は、前述した光取り出し効率差ΔEを表している。光取り出し効率差ΔEの値が大きい場所ほど、光取り出し層2007を設けた場合のその場所での輝度が向上する。
次に、図9(c)および図10Bをもとにして、凹凸構造の高さを設定する。図10Cは、このようにして設定した凹凸構造の高さの分布を示している。図10Cの各領域の数値は、その場所における凹凸構造の高さ(単位はμm)を表している。本実施形態では、隣り合う2つの領域の間で構造高さを変える場合、加工精度を考慮して両者の高さに100nm以上の差を設けるようにしているが、このような制限を設けなくてもよい。
図10Dは、図10Aに示す輝度ムラに対し、図10Cに示す高さの分布を有する凹凸構造を設けた場合の輝度分布を示している。図10Aにおける各領域の輝度をLi、図10Dにおける各領域の輝度をLi’とすると、Li’は、Li’=(ΔE+1)Liによって表される。図10Aに示す輝度分布と比較して、図10Dに示す輝度分布では発光ムラが抑制されていることがわかる。
次に、図10Aおよび図11A〜図11Cを参照しながら、各領域の輝度および発光効率の導出方法について一例を述べる。図11A〜図11Cは、図10Bに示す光取り出し効率の分布を得るまでの計算過程を示している。これらの図における発光面の周囲の数値は、後述する光取り出し効率を求める計算の過程で用いられるものであり、陽極における数値を0、陰極における数値を1としている。図11Aおよび図11Bは計算の途中の状態を表し、図11Cは、計算が完了し、図10Bに示す取り出し効率の分布が得られた状態を示している。ここでは、説明の便宜上、図10A、10Bでの各領域の輝度または光取り出し効率を示す数値の特定を、各図の左上端の点を原点として、右方向、下方向への座標で表現する。具体的には、座標(X,Y)で特定される領域における輝度をL(X,Y)、取り出し効率をb(X,Y)で表す。例えば、図10Aにおける原点から右へ3つ、下へ4つの点における輝度値は0.66であるため、L(3,4)=0.66と表す。以下、この表現に基づき、図10Bにおける各領域の光取り出し効率の導出方法を説明する。
(1)まず、光取り出し層2007を配置しない構成における発光面上の各領域の輝度を測定し、得られた輝度分布から最大輝度および最小輝度を求める。各領域の輝度は任意の測定器によって測定してよい。
(2)次に、得られた最大輝度から、各領域での最大輝度に対する比(各領域での輝度/最大輝度)を求める。これにより、図10Aに示す輝度分布が得られる。
(3)続いて、各領域における光取り出し効率を計算するために、まず、最低輝度の領域の取り出し効率(図9における光取り出し効率差に相当)を1に設定し、最高輝度の領域の取り出し効率を0に設定する。その結果、図11Aに示す分布が得られる。
(4)次に、各領域の取り出し効率を、隣り合う上下左右4つの領域の取り出し効率の平均値から計算する。具体的には、座標(X,Y)で特定される領域における取り出し効率b(X,Y)を、b(X−1,Y)、b(X+1,Y)、b(X,Y−1)、およびb(X,Y+1)の平均値を計算することによって求める。ここで、上下左右に3つ以下の隣接領域しか存在しない発光面の縁における取り出し効率は、陽極を0、陰極を1と仮定して計算する。図11Bは、この計算の途中のある状態を表している。この状態では、まだ各領域の数値が確定しておらず、ある領域の数値が変われば、それに隣接する領域の数値も変わり得る。
(5)上記(4)の方法に従って各領域を計算し、最終的にすべての領域の取り出し効率が計算できれば、計算完了とする。これにより、図11Cに示す取り出し効率の分布が得られる。
取り出し効率の分布を決定すれば、光取り出し層の凹凸構造パターンを任意に決めて、そのパターンにおける各領域の凹凸の高さを図9に示す対応関係から算出することにより、図10Cに示すような高さの分布を得ることができる。なお、光取り出し効率および凹凸の高さの分布の算出は、上記の方法に限定されず、どのような方法を用いてもよい。 本実施の形態によれば、補助電極を設ける必要がないので、パネル全体の厚さを抑えることができる。凹凸構造の高さを発光量に応じて変えることにより、補助電極を用いることなく発光装置の発光ムラを抑制することができる。
<各構成要素の詳細>
次に、各構成要素の詳細を説明する。
金属電極2003は、発光層2002に電子を注入するための電極(陰極)である。金属電極2003と透明電極2001との間に給電部2006によって所定の電圧が印加されると、金属電極2003から発光層2002へ電子が注入される。金属電極2003の材料としては、例えば銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)や、これらを主成分とした合金などを用いることができる。また、これらの金属を組み合わせて積層することによって金属電極2003を構成してもよいし、これらの金属に接するように酸化インジウム錫(ITO)やPEDOT:PSS(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの透明導電性材料を積層させることによって金属電極2003を構成してもよい。
透明電極2001は、発光層2002にホールを注入するための電極(陽極)である。透明電極2001は、仕事関数の比較的大きい金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物などの材料から構成され得る。透明電極2001の材料としては、例えばITO、酸化錫、酸化亜鉛、IZO(登録商標)、ヨウ化銅などの無機化合物、PEDOT、ポリアニリンなどの導電性高分子、任意のアクセプタなどでドープした導電性高分子、カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料を挙げることができる。
透明電極2001は、透明基板2000上に光取り出し層2007を形成した後、スパッタ法、真空蒸着法、塗布法などによって薄膜として形成することができる。なお、透明電極2001のシート抵抗は、例えば数百Ω/□以下に設定され、ある例では100Ω/□以下に設定され得る。透明電極2001の膜厚は、例えば500nm以下であり、ある例では10−200nmの範囲で設定され得る。透明電極2001を薄くするほど光の透過率が向上するが、シート抵抗が膜厚に反比例して増加するため、シート抵抗が増加する。その結果、有機ELの大面積化の際に、高電圧化の問題や、電圧降下による電流密度の不均一化に伴う輝度の不均一化の問題が発生し得る。このトレードオフを回避するため、メタルなどの補助配線(グリッド)を透明電極2001上に形成してもよい。補助配線の材料としては導電性に優れたものが使用され得る。例えば、Ag,Cu,Au,Al,Rh,Ru,Ni,Mo,Cr,Pdやこれらの合金(MoAlMo、AlMo、AgPdCuなど)を用いることができる。この際、メタルグリッドが遮光材料として働かないように、グリッド部に電流が流れるのを防ぐ絶縁処理を施してもよい。また、拡散した光がグリッドに吸収されることを防ぐため、反射率の高い金属をグリッドに用いてもよい。
なお、本実施形態では、透明電極2001を陽極、金属電極2003を陰極としているが、これらの電極の極性は逆であってもよい。透明電極2001を陰極、金属電極2003を陽極とする場合であっても、透明電極2001および金属電極2003には、上記と同様の材料を用いることができる。
発光層2002は、透明電極2001および金属電極2003から注入される電子およびホールの再結合によって光を発生する材料から形成される。発光層2002は、例えば、低分子または高分子の発光材料や、金属錯体などの一般に知られる任意の発光材料によって形成され得る。図8には示されていないが、発光層2002の両側には、電子輸送層及びホール輸送層が設けられていてもよい。電子輸送層は金属電極2003(陰極)側に配置され、ホール輸送層は透明電極2001(陽極)側に配置される。なお、金属電極2003を陽極とする場合には、電子輸送層は透明電極2001側に配置され、ホール輸送層は金属電極2003側に配置される。
電子輸送層は、電子輸送性を有する化合物の群から適宜選定することができる。この種の化合物としては、例えば、電子輸送性材料として知られるAlq3のような金属錯体や、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、テトラジン誘導体、又は、オキサジアゾール誘導体等のヘテロ環を有する化合物などが挙げられる。但し、これらの材料に限定されるものではなく、一般に知られる任意の電子輸送性材料を用いることが可能である。ホール輸送層は、正孔輸送性を有する化合物の群から適宜選定することができる。この種の化合物としては、例えば、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、2−TNATA、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、スピロ−NPD、スピロ−TPD、スピロ−TAD、又は、TNBなどを代表例とするトリアリールアミン系化合物、カルバゾール基を含むアミン化合物、フルオレン誘導体を含むアミン化合物などを挙げることができる。但し、これらの材料に限定されるものではなく、一般に知られる任意の正孔輸送性材料を用いることが可能である。このように、金属電極2003と透明電極2001との間には、発光層2002以外にも、電子輸送層やホール輸送層等の他の層が設けられ得る。本明細書では、金属電極2003と透明電極2001との間の層全体をまとめて「有機EL層」と呼ぶことがある。
有機EL層の構造は、上述の例に限らず、種々の構造を採用することができる。例えば、ホール輸送層と発光層2002との積層構造や、発光層2002と電子輸送層との積層構造を採用してもよい。また、陽極とホール輸送層との間にホール注入層を介在させてもよいし、陰極と電子輸送層との間に電子注入層を介在させてもよい。また、発光層2002は、単層構造に限らず、多層構造を有していてもよい。例えば、所望の発光色が白色である場合には、発光層2002中に赤色、緑色、青色の3種類のドーパント色素をドーピングするようにしてもよい。また、青色正孔輸送性発光層と緑色電子輸送性発光層と赤色電子輸送性発光層との積層構造を採用してもよいし、青色電子輸送性発光層と緑色電子輸送性発光層と赤色電子輸送性発光層との積層構造を採用してもよい。さらに、陽極と陰極とで挟んで電圧を印加すれば発光する素子からなる層を1つの発光ユニットとして、複数の発光ユニットを光透過性および導電性を有する中間層を介して積層した構造(電気的に直列接続されたマルチユニット構造)を採用してもよい。
透明基板2000は、光取り出し層2007、透明電極2001、発光層2002、金属電極2003を支持するための部材である。透明基板2000の材料としては、例えばガラスや樹脂等の透明材料を用いることができる。透明基板2000の屈折率は、例えば1.45〜1.65程度であるが、屈折率が1.65以上の高屈折率基板を用いてもよいし、屈折率が1.45よりも小さい低屈折率基板を用いてもよい。
光取り出し層2007は、透明基板2000と透明電極2001との間に設けられる透光性の層である。光取り出し層2007は、透明基板2000側に形成された低屈折率層2008と、透明電極2001側に形成された高屈折率層2009とを有する。これらの界面は前述のように凹凸形状を有している。
発光層2002で発生した光の一部は、透明電極2001を経て光取り出し層2007に入射する。このとき、臨界角を超える入射角で入射する光は、本来全反射するが、光取り出し層2007の回折作用により、その一部は透明基板2000の側に取り出される。光取り出し層2007によって取り出されなかった光は、反射により、角度を変えて発光層2002の方に向かうが、その後金属電極2003で反射するため、再度光取り出し層2007に入射する。一方、発光層2002で発生した光の一部は、電極11で反射した後、透明電極2001を透過して光取り出し層2007に入射する。このように、光取り出し層2007を設けることにより、多重反射を繰り返しながら光を外部に取り出すことが可能である。
低屈折率層2008と高屈折率層2009との境界における凹凸構造は、例えば低屈折率層2008上に凹凸形状を形成した後、高屈折率の材料で凹凸を埋め込むことによって形成することができる。その後、透明電極2001、発光層2002、金属電極2003を形成するが、もし高屈折率層2009の表面の平坦性が悪いと、透明電極2001と金属電極2003との間でショートが起きやすくなる。その場合、素子が光らなくなる可能性があり、製造時の歩留まりが悪くなるおそれがある。よって、本実施形態では、凹凸形状の高さをできるだけ低くし、高屈折率層2009の埋め込み後の平坦性を確保できる構成を採用する。また、このように凹凸構造の高さを低くすることにより、低屈折率層2008や高屈折率層2009の材料の使用量も抑えることができるため、低コスト化にもつながる。
一方、光取り出し効率の改善の観点からは、凹凸構造の高さ(大きさ)のオーダーとしては少なくとも光の波長の1/4程度は必要である。これにより、光の位相差を十分に確保することができ、光を回折させることができるため、光取り出し効率を改善することができる。以上の観点から、本実施の形態では、凹凸構造として、高さ(大きさ)が1μm前後のランダム構造や周期構造などの回折素子を例として採用する。
凹凸構造通過後の光は、低屈折率層2008に入射する。もし、低屈折率層2008の厚さが光の波長の1/2以下の場合、光は低屈折率層2008の中を伝播せず、エバネッセント場を介して透明基板2000側に光が透過してしまうので、低屈折率層2008によって光を低角度方向に曲げる効果は期待できない。よって、本実施形態における低屈折率層2008の厚さは、平均波長の1/2以上に設定され得る。
高屈折率層2009の屈折率は、例えば1.73以上に設定され得る。高屈折率層2009に用いる材料として、例えばITO(酸化インジウム錫)、TiO2(酸化チタン)、SiN(窒化シリコン)、Ta25(五酸化タンタル)、ZrO2(ジルコニア)などの比較的高い屈折率の無機材料または高屈折率樹脂などを使用することができる。
透明基板2000としては、ガラスや樹脂を用いるのが一般的であり、それらの屈折率は1.5〜1.65程度である。よって、低屈折率層2008に用いる材料として、例えばガラス、SiO2(石英)などの無機材料や、樹脂を用いることができる。
<有機ELパネルの作製方法>
次に、本実施形態における有機ELパネルの作成方法の例を説明する。
図12は、有機ELパネルの作製方法の一例を示している。前述のように、光取り出し層2007は、光取り出し構造を形成する低屈折率層(樹脂)2008と、低屈折率層2008を埋め込む高屈折率層(樹脂)2009とによって構成されている。低屈折率層2008の凹凸構造の高さは、幅tの同一領域内では一定であり、隣り合う2つの領域間で高さが異なる場合には、それらの高さの差は100nm以上に設定され得る。このような凹凸構造は、例えば、幅tの複数の正方形領域の各々に高さの揃った複数の凹凸形状が形成された金型を用いたナノインプリント法によって作製され得る。
図12(a)に示すように、まず、透明基板2000を用意する。この透明基板2000の上に、図12(b)に示すように、上記のような金型を用いたナノインプリント法によって低屈折率層2008と高屈折率層2009との界面に凹凸形状を有する光取り出し層2007を形成する。続いて、図12(c)に示すように、ITOなどの材料からなる透明電極2000を形成する。透明電極2000の一部400を除去することによって給電部2006を形成する。このようにパターニングされた透明電極2001の上に、図12(d)に示すように発光層2002を含む有機EL層を形成する。有機EL層は、一部が透明電極2001の除去部400に重なるように形成する。これにより、その上に形成される金属電極2003と透明電極2001との短絡を防止することができる。図12(e)に示すように、金属電極2003を形成し、UV硬化性の封止材2005を有機EL層の周囲を囲むように塗布する。そして、図12(f)に示すように、金属電極2003と給電部2006とを接続した後、封止ガラスを張り合わせて固定する。このような方法により、有機ELパネルを作製することができる。
上記のナノインプリント法で用いられるインプリント金型は、同じ高さの複数の凹凸を有する幅tの領域ごとに凹凸の高さを変えたものを大面積にわたって繰り返し形成できるように、例えばステップアンドリピート法によって作製され得る。ここで、同じ構造高さをもつ領域の幅tは、例えば図13に示すような幅tに対する光取り出し効率の依存性を計算した結果に基づいて設定され得る。図13に示す例では、例えば、幅tに対する光取り出し効率の変化率が1%以内に収まるように、10μm以上に設定され得る。
また、半導体プロセスや切削を用いることにより、材料を直接加工して凹凸形状を形成することもできる。その場合、光拡散層2007は、基板2000上に加工された凹凸形状で構成される。この場合、基板2000及び低屈折率層2008は、同じ材料で構成され得る。ミクロンオーダーでパターンが制御された微細な加工をする場合には、半導体プロセスが有効である。半導体プロセスを用いる場合、平坦な面を有する(高さのレベルが離散的である)段差構造が加工しやすい。例えば、高さのレベルが2段の構造の場合、一度のエッチングで加工が可能である。また、二度のエッチングプロセスを行うことにより、高さのレベルが3段や4段の構造を加工することが可能である。
なお、高さの分布を決定する方法は、上記の方法に限られない。光取り出し構造の凹凸の高さを変えることができれば、その方法はどのようなものでもよい。また、図10Cのように複数の区画に区切って高さの分布を設ける必要はなく、発光ムラを少しでも打ち消すように高さの分布が設けられていれば良い。
有機ELパネルでは、透明基板2000の表面と空気との間の屈折率差によっても全反射が生じることが知られている。このため、透明基板2000の表面に回折格子やナノ構造などの光取出し構造を有する回折シートを設けてもよい。そのような回折シートを設けた場合、光取り出し効率をさらに向上させることができる。
(実施の形態2)
続いて、第2の実施の形態に係る発光装置(有機ELパネル)を説明する。本実施の形態では、凹凸の高さを変えるのではなく、凹凸の周期(ピッチ)を変えている点で実施の形態1と異なる。凹凸のピッチを変えた場合においても、光取り出し効率を変えることができるため、発光ムラ抑制に有効である。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明し、重複する事項についての説明は省略する。
<有機ELパネルの構造>
図14は、本実施の形態における有機ELパネルの構造を示す図である。図14(a)は、発光面に垂直な方向から有機ELパネルを見たときの平面図であり、図14(b)は、図14(a)のA−A’線断面図であり、図14(c)は、光取り出し層2007の模式断面図である。図14において、図8と同一または類似する構成要素については同じ参照符号を用いている。
図14(c)に示すように、本実施形態における光取り出し層2007では、面内の位置によって凹凸形状のピッチが異なっている。光取り出し層2007の面内は、幅tの複数の矩形領域に分割されており、領域ごとに所望の光取り出し効率になるように凹凸構造のピッチが設定されている。1つの領域内には、複数の凹部および複数の凸部が含まれており、それらのピッチは全て同一である。
<光取り出し効率の周期(ピッチ)依存性>
まず、凹凸のピッチに対する光取り出し効率の依存性を説明する。
図15(a)〜(c)は、それぞれ、光取り出し層2007における凹凸構造が、図4(a)に示す回折格子、図4(b)に示すランダムA、図4(c)に示すランダムBのパターンで構成されている場合における凹凸形状のピッチpに対する光取り出し効率の依存性を示すグラフである。ここでは、構造の高さを0.6μmとしている。図9の計算条件と同様、透明基板2000の屈折率は1.5、低屈折率層2008の屈折率は1.45、高屈折率層2009の屈折率は1.76とした。各グラフにおいて、横軸は凹凸構造のピッチp(μm)を、縦軸は光取り出し効率差ΔE(任意単位)を表している。光取り出し効率差ΔEは、実施の形態1で説明したように、計算範囲内における最大の光取り出し効率を1、最小の光取り出し効率を0に換算した場合の光取り出し効率である。光取り出し効率差ΔEは、上記の式(2)によって表される。
ピッチの変化に対する光取り出し効率差の変化が緩やかであるほど、高さの調整による発光ムラの抑制が容易になる。図15の結果によれば、(c)ランダムB、(a)回折格子、(b)ランダムAの順で高さに対する光取り出し効率差の変化が緩やかであるため、この順で発光ムラ抑制に効果的であるといえる。
図15(a)に示すように、回折格子を採用した場合、ピッチpが0.6〜3μmの範囲内では、光取り出し効率差ΔEを0から1まで変化させることができる。図15(b)に示すように、正方形の基本形状を有するランダムな構造(ランダムA)を採用した場合、pが0.4〜1.8μmの範囲内に設定すればよい。正六角形の基本形状を有するランダムな構造(ランダムB)を採用した場合は、pを0.4〜2.4μmの範囲内に設定すればよい。
<発光ムラの抑制方法>
次に、図16A〜16Dを参照しながら、本実施形態における発光ムラの抑制方法を説明する。図示されるように、本実施形態では、発光面を配列方向に幅tの複数の矩形領域に分割し、各領域の輝度に基づいて、各領域の光取り出し効率差および凹凸のピッチを決定する。ここで「ピッチ」とは、前述した「平均周期」を意味し、凹凸構造のパターンによって算出方法が異なっている。ここでは、図4(c)、図14(c)に示した高さ0.6μmのランダムBのパターンで、凹凸のピッチを調整することによって発光ムラを抑制する場合を想定する。
図16Aは、発光面上の輝度分布の一例を示している。各領域内の数値は、最高輝度を1、最低輝度を0に換算した場合の輝度を表している。また、パネルの明暗を表現するために、輝度に応じて色を塗り分けている。図16Aに示すような輝度分布では、発光ムラが顕著に生じていることがわかる。
図16Aに示されるような発光ムラを抑制する場合、まず、各領域における発光量に基づいて光取り出し効率差ΔEを設定する。このとき、図16Bに示すように、図16Aで最大輝度を示した場所でΔE=0、最低輝度を示した場所でΔE=1となるように設定する。図16Bにおける各領域の数値は光取り出し効率差ΔEを表している。光取り出し効率差ΔEの値が大きい場所ほど、光取り出し層2007を設けた場合のその場所での輝度が向上する。
次に、図15(c)および図16Bをもとにして、凹凸構造のピッチを設定する。図16Cは、このようにして設定した凹凸構造のピッチの分布を示している。図16Cの各領域の数値は、その場所における凹凸構造のピッチを表している。本実施形態では、隣り合う2つの領域の間でピッチを変える場合、加工精度を考慮して両者のピッチに100nm以上の差を設けるようにしているが、このような制限を設けなくてもよい。
図16Dは、図16Aに示す輝度ムラに対し、図16Cに示すピッチの分布を有する凹凸構造を設けた場合の輝度分布を示している。図16Aにおける各領域の輝度をLi、図16Dにおける各領域の輝度をLi’とすると、Li’は、Li’=(ΔE+1)Liによって表される。図16Aに示す輝度分布と比較して、図16Dに示す輝度分布では発光ムラが抑制されていることがわかる。なお、各領域の輝度および発光効率の導出方法は、実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
以上の方法によれば、補助電極を設ける必要がないので、パネル全体の厚さを抑えることができる。本実施の形態によれば、凹凸構造の高さを発光量に応じて変えることにより、補助電極を用いることなく発光装置の発光ムラを抑制することができる。
なお、本実施形態における有機ELパネルの製造方法は実施の形態1で説明した方法と同様であるため、説明を省略する。本実施形態においても、各領域の幅tは、図13を参照して説明したように、例えば幅tに対する光取り出し効率の変化率が1%以内に収まるように、10μm以上に設定され得る。また、本実施形態においても、透明基板2000の表面に回折格子やナノ構造などの光取出し構造を有する回折シートを設けてもよい。
(他の実施の形態)
以上、実施の形態1、2を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。当業者が思いつく各種変形を各実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。以下、他の実施の形態を例示する。
<膜封止>
上記の実施形態では、透明な材質の封止材2005と封止用の基板2004とにより、有機EL層が水分や酸素から保護する構造を用いて説明を行ったが、封止方法は、このような構造に限定されない。同様に光を透過する構造であれば、上記と同様の効果を得ることができる。例えば、図17に示すように、透明な樹脂1101により、有機EL素子を封止する構成を採用してもよい。このような構成を採用することにより、封止用の基板2004を省略することができ、製造工程も簡略化することができる。
<UV硬化樹脂、熱硬化樹脂>
また、上記の実施形態では、光取出し層2007の凹凸構造の高さやピッチの分布をインプリント金型を用いて作製する形態を示したが、このような形態に限定されるものではない。例えば、UV硬化性の樹脂を用いてもよい。その場合、UV露光量を調整することによって凹凸構造の高低差を設けることができる。また、熱硬化性の樹脂を用いてもよく、その場合は加熱温度を調整することによって高低差を設けることができる。さらに、光取出し層2007の位置は、基板内部に限定されない。一般に、ガラスなどから構成される透明基板2000と空気との界面で全反射が生じる。この全反射を抑制するために、UV硬化樹脂や熱硬化樹脂で凹凸形状を有する光取り出し構造を形成した光取出しシートを設けた有機ELパネルであってもよい。
<狭額縁>
上記の実施形態では、凹凸構造の高さやピッチの分布をパネルの電圧降下分布(または発光強度分布)にしたがって決定する形態を示したが、そのような形態に限定されない。例えば、発光面から基板内を伝播する光による発光ムラを考慮して、基板の縁に光取り出し層2007と同様の光取り出し構造を設けることによって発光ムラを抑制してもよい。
また、一般に電圧降下はパネルの中央部分に特に顕著に現れるため、中央部分の輝度が低下しやすい。そのため、パネル周辺の光取り出し効率を下げて、本来取り出されるべき光をパネル中央部分へ伝播させるような構成を採用してもよい。そのような構成により、有機ELパネルから出射する光を効率よく利用することができる。
上記の説明では、主に有機EL素子を用いた面発光装置を想定したが、発光素子は有機EL素子に限定されない。例えば、無機発光素子を用いた発光装置であっても、上記の実施形態における光取り出し構造を適用することができる。
本開示の実施形態に係る発光装置は、発光ムラの抑制された面照明として利用できる。例えば、フラットパネルディスプレイ、液晶表示装置用バックライト及び照明用光源等に適用することができる。発光装置は、単色の光源に限らず、白色の発光装置にも適用することができる。
300 接続部
500 凹部
600 凸部
2000 透明基板
2001 透明電極
2002 有機層
2003 金属電極
2004 ガラス基板
2005 封止材
2006 給電部
2007 光取り出し層
2008 樹脂(低屈折率層)
2009 樹脂(高屈折率層)

Claims (10)

  1. 発光素子と、
    前記発光素子から生じた光を透過させる光取り出し層と、
    を備える発光装置であって、
    前記発光素子は、
    前記光取り出し層の側に位置し、光透過性を有する第1の電極層と、
    前記光取り出し層の側の反対側に位置する第2の電極層と、
    前記第1および第2の電極層の間に位置する発光層と、
    前記第1の電極層および前記第2の電極層の少なくとも一方に接続され、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に電圧を印加する給電部と、
    を有し、
    前記光取り出し層は、相対的に屈折率の低い低屈折率層と、前記低屈折率層よりも屈折率の高い高屈折率層とが積層された構造を有し、前記低屈折率層と前記高屈折率層との界面の形状は凹凸形状であり、
    前記光取り出し層は、第1の領域と、前記第1の領域よりも前記給電部から遠い第2の領域とを含み、
    前記凹凸形状は、前記第1の領域よりも前記第2の領域の方が光取り出し効率が高くなるように構成されている、
    発光装置。
  2. 前記光取り出し層は、前記第1および第2の領域を含む複数の領域に分割されており、各領域における前記光取り出し効率が、前記領域に対向する前記第1の電極層の部分からの透過光量が少ないほど高くなるように前記凹凸形状が構成されている、請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記第2の領域における前記凹凸形状の高さの平均値は、前記第1の領域における前記凹凸形状の高さの平均値よりも大きい、請求項1または2に記載の発光装置。
  4. 前記光取り出し層は、前記第1および第2の領域を含む複数の領域に分割されており、各領域内の前記凹凸形状の高さは一定であり、各領域における前記凹凸形状の高さは、前記領域に対向する前記第1の電極層の部分からの透過光量に基づいて決定されている、請求項3に記載の発光装置。
  5. 前記複数の領域のうち、前記凹凸形状の高さの異なる2つの領域における前記高さの差分は、100nm以上である、請求項4に記載の発光装置。
  6. 前記第2の領域における前記凹凸形状の周期の平均値は、前記第1の領域における前記凹凸形状の周期の平均値よりも長い、請求項1、2、4および5のいずれかに記載の発光装置。
  7. 前記光取り出し層は、前記第1および第2の領域を含む複数の領域に分割されており、各領域における前記凹凸形状の周期の平均値は、前記領域に対向する前記第1の電極層の部分からの透過光量に基づいて決定されている、請求項6に記載の発光装置。
  8. 前記凹凸形状は、複数の凹部と複数の凸部とが2次元的にランダム性を有するパターンで配列された形状である、請求項1、2、4、5および7のいずれかに記載の発光装置。
  9. 前記凹凸形状は、複数の凹部と複数の凸部とが2次元的に周期的に配列された構造である、請求項1、2、4、5および7のいずれかに記載の発光装置。
  10. 光取り出し層は、透光性基板をさらに有し、
    前記低屈折率層は、前記透光性基板の前記発光素子側の面に形成され、
    前記高屈折率層は、前記低屈折率層と前記第1の電極層との間に形成されている、
    請求項1、2、4、5および7のいずれかに記載の発光装置。
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