JPWO2015053008A1 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検知部に到達する超音波の強度を安定化する。【解決手段】被検知部に向かって照射される超音波信号のエコー信号に基づいて、被検知部の状態を診断する超音波診断装置(1)を対象とし、超音波透過性を有し内部に液体が収容された容器本体(3)に形成された開口部(3a)を覆うとともに被検体(100)と密着可能な超音波透過部(7)と、超音波信号を照射する超音波照射部(8a)を有し超音波照射部(8a)が超音波透過部(7)と離間した状態で容器本体(3)の液体内に浸漬され超音波照射部(8a)が液体w及び超音波透過部(7)を介して被検体(100)に向かって超音波信号を照射するプローブ(8)と、容器本体(3)の液体(w)内に浸漬されたプローブ(8)を移動させて、超音波照射部(8a)を被検知部の表面形状に沿う方向に変位させる駆動機構(10)と、を備えた超音波診断装置(1)を構成する。

Description

本発明は、プローブから照射される超音波のエコー信号に基づき、被検知部の状態を診断する超音波診断装置に関する。
従来より、被検体における検査対象となる被検知部の状態を解析するために、経皮的に被検知部に照射された超音波の反射エコーに基づいて被検知部の状態を診断する超音波診断装置が知られている。このような超音波診断装置として、例えば特許文献1には、膝頭(被検体)に沿った湾曲した形状を有する音響整合部材(超音波透過部)を介して超音波を照射する超音波プローブを、被検体に沿って移動可能に支持する超音波プローブ支持機構が開示されている。この超音波プローブ支持機構では、膝関節の軟骨(被検知部)の形状を計測するために適切に超音波プローブを位置決めし、且つ超音波プローブを被検体に沿って適切に動かすことができる。
特開2010−22647号公報
ところで、上記特許文献1に示す装置では、超音波プローブが超音波透過部の表面を擦りながら走査している。そのため、プローブと超音波透過部の表面との間に気泡が混入してしまう可能性がある。そうなると、プローブと超音波透過部との間の状態が大幅に変動してしまうため、プローブから被検知部に照射される超音波の強度がばらつくおそれが生じる。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、被検知部に到達する超音波の強度を安定化することである。
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る超音波診断装置は、被検体の検査対象となる被検知部に向かって照射される超音波信号のエコー信号に基づいて、前記被検知部の状態を診断する超音波診断装置であって、内部に液体が収容される容器本体と、超音波透過性を有し、前記容器本体に形成された開口部を覆うとともに前記被検体と密着可能な超音波透過部と、超音波信号を照射する超音波照射部を有し、該超音波照射部が前記超音波透過部と離間した状態で前記容器本体の液体内に浸漬され、前記超音波照射部が前記液体及び前記超音波透過部を介して前記被検体に向かって超音波信号を照射するプローブと、前記容器本体の液体内に浸漬された前記プローブを移動させて、前記超音波照射部を前記被検知部の表面形状に沿う方向に変位させる駆動機構と、を備えていることを特徴とする。
(2)好ましくは、前記容器本体は、前記被検体が収容された状態で該被検体が前記超音波透過部に密着可能な凹状に形成された被検体収容部を有している。
(3)更に好ましくは、前記駆動機構は、回転自在な出力軸を有し、該出力軸が、前記被検体収容部に収容された前記被検体としての膝の左右方向に沿って延びる電動モータと、前記出力軸が延びる方向に沿って延びて前記プローブが固定される揺動軸部、及び該揺動軸部を前記出力軸に連結する連結部、を有し、前記容器本体に設けられ、前記揺動軸部に固定された前記プローブが前記被検体収容部に収容された前記被検知部としての膝軟骨の表面形状に沿う方向に揺動する回転シャフトと、を有している。
(4)更に好ましくは、前記回転シャフトには、前記プローブに接続されるケーブルを前記容器本体の外側へ案内するための連通孔が形成されている。
(5)好ましくは、前記駆動機構は、前記電動モータを、前記被検体収容部に収容された膝の左右方向に沿って移動させるスライド機構、を更に備えている。
(6)好ましくは、前記被検体収容部には、右膝が前記被検体収容部に収容された状態で該右膝の膝蓋骨が収容される右膝蓋骨収容部、及び、左膝が前記被検体収容部に収容された状態で該左膝の膝蓋骨が収容される左膝蓋骨収容部、が形成されている。
(7)好ましくは、前記駆動機構は、前記被検体収容部に収容された前記被検知部としての膝軟骨の表面形状に沿う方向に延びるレール状又は溝状に形成された案内部と、前記案内部に係合するとともに該案内部に沿って変位可能な被案内部を有し、前記プローブを保持するプローブ保持部と、前記プローブ保持部を前記案内部に沿って変位させるための駆動部と、を有している。
(8)更に好ましくは、前記駆動機構は、一端側に前記プローブ保持部が回転自在に保持される一方他端側が前記駆動部に連結されることにより、前記プローブ保持部と前記駆動部とを連結する連結部を更に有している。
本発明によれば、被検知部に到達する超音波の強度を安定化できる。
本発明の実施形態に係る超音波診断装置を上側から視た模式図であって、膝関節が超音波診断装置に対してセットされた状態を示す図である。 図1に示す超音波診断装置を側面から視た模式図である。 変形例に係る超音波診断装置を上側から視た模式図であって、図1に対応させて示す図である。 変形例に係る超音波診断装置の駆動機構の模式図である。 変形例に係る超音波診断装置の駆動機構の模式図である。 図5に示す駆動機構の一部を拡大して示す斜視図である。 変形例に係る超音波診断装置の駆動機構の模式図であって、図5に対応させて示す図である。 変形例に係る超音波診断装置を上側から視た模式図であって、図1に対応させて示す図である。
本発明の実施形態に係る超音波診断装置1について、図を参照して説明する。図1は、超音波診断装置1を上側から視た模式図であって、被検体としての膝関節が超音波診断装置1に対してセットされた状態を示す図である。また、図2は、超音波診断装置1を側面から視た模式図である。
本実施形態に係る超音波診断装置1では、大腿骨内側顆膝関節軟骨(被検知部、以下、単に膝軟骨と称する場合もある)が診断対象となる。膝軟骨は、一般的に、側方から視た断面の曲率半径が、30mm〜40mm程度である。本実施形態に係る超音波診断装置1は、詳しくは後述するが、超音波信号を送受信するプローブが、膝軟骨から離れた箇所において、該膝軟骨の曲率中心を回転中心としたアーク走査を行うように構成されている。これにより、プローブは、膝軟骨の表面形状に沿う方向に沿って変位する。
なお、アーク走査とは、プローブが円弧上を変位しながら当該円弧の内側に向けて超音波信号を照射する走査のことである。また、以下では、説明の便宜上、各図において、前と記載された矢印が指示する方向を前側又は前方、後と記載された矢印が指示する方向を後側又は後方、上と記載された矢印が指示する方向を上側又は上方、下と記載された矢印が指示する方向を下側又は下方、右と記載された矢印が指示する方向を右側又は右方、左と記載された矢印が指示する方向を左側又は左方、と称する。
超音波診断装置1は、被検体としての膝100(右膝又は左膝)が屈曲された状態で、該膝の前側から膝軟骨(被検知部)に向かって超音波信号を照射し、そのエコー信号に基づいて膝軟骨の状態を診断可能なように構成されている。なお、図1では、超音波診断装置1に対して右膝100がセットされている状態を示している。超音波診断装置1では、超音波信号を照射するプローブ8が、膝軟骨の表面形状に沿う方向に機械的に自動で走査されることにより、所望の範囲における膝軟骨のエコー信号を受信することができる。超音波診断装置1は、図1に示すように、容器2と、プローブ8と、駆動機構10と、操作部25と、制御部26と、信号処理部27と、表示部28と、を備えている。
容器2は、内部に、超音波透過性を有する液体としての水wを収容するためのものである。容器2は、容器本体3と、容器本体3に形成された開口部3aを覆うシリコンシート7と、を有している。
容器本体3は、図1及び図2に示すように、内部に液体を収容可能な構造体として設けられている。容器本体3における後方側の部分には、前側に向かって凹み且つ上下方向に延びる凹状の部分が形成されている。この凹状の部分は、診断対象となる患者の膝100が収容される膝収容部4(被検体収容部)として設けられている。
膝収容部4における右側の部分には、当該膝収容部4の底部から更に前側に向かって凹み且つ上下方向に延びる凹状の部分が形成されている。この凹状の部分は、患者の右膝の膝蓋骨が収容される右膝蓋骨収容部5として設けられている。また、膝収容部4における左側の部分には、当該膝収容部4の底部から更に前側に向かって凹み且つ上下方向に延びる凹状の部分が形成されている。この凹状の部分は、患者の左膝の膝蓋骨が収容される左膝蓋骨収容部6として設けられている。
シリコンシート7は、シリコンで構成されたシート状の部材である。シリコンシート7は、膝収容部4の底部における左右方向の中央部分、すなわち、膝収容部4における右膝蓋骨収容部5と左膝蓋骨収容部6との間の部分、に形成された開口部3aを覆うように貼り付けられている。シリコンシート7は、プローブ8から照射される超音波を透過可能な超音波透過部として設けられている。上記開口部3aは、側方から視て、膝関節に沿うような緩やかな曲率(例えば一例として、60mm程度)を有している。
なお、本実施形態では、超音波透過部としてシリコンシートを用いているが、これに限らず、超音波を透過可能な部材であれば、どのような材料であってもよい。但し、患者の膝100に密着する可撓性を有する部材である方が好ましい。また、本実施形態では、シリコンシート7を直接、開口部3aに貼り付けているが、これに限らず、クッション性及び防水性を有する部材(例えば一例として、独立発泡ゴム)を介して貼り付けてもよい。これにより、患者の膝形状の個体差に起因する、患者の膝100とシリコンシート7との密着度合いのバラつきを小さくすることができる。
プローブ8は、容器2内に満たされた水wに浸漬された状態で、回転シャフト20に固定されている。より具体的には、プローブ8は、超音波信号を送受信する部分である超音波送受信部8a(超音波照射部)が、水wを介してシリコンシート7に対向するように、回転シャフト20に固定されている。プローブ8は、膝収容部4に収容された患者の膝100に対して超音波信号を照射するとともに、照射された超音波信号のエコー信号を受信するように構成されている。
プローブ8は、ケーブル9を介して、制御部26及び信号処理部27に接続されている。ケーブル9は、図2に示すように、容器本体3の上壁に形成されたケーブル孔に嵌め込まれた環状のシール部材19を通じて、容器2の外側へ案内されている。プローブ8の超音波送受信部8aは、制御部26からの指令に基づいて超音波信号を送信するとともに、当該超音波信号のエコー信号を受信するように構成されている。超音波送受信部8aで受信されたエコー信号は、信号処理部27によって適宜、解析され、患者の膝100の膝軟骨の状態が診断される。
駆動機構10は、容器2に満たされた水wに浸漬された状態のプローブ8を、患者の膝に沿って機械的に走査させるためのものである。駆動機構10は、本体部11と、回転シャフト20と、を備えている。
本体部11は、容器2の外側に配置されている。本体部11は、基台12と、スライド部13と、スライド機構14と、電動モータ15と、を有している。
基台12は、該基台12の下面を設置台などに載置することにより、本体部11を設置台上にセットするためのものである。基台12は、上面及び下面が平坦面で構成され且つ上下方向に所定の厚みを有する略板状に形成されている。基台12の上側には、スライド機構14を介してスライド部13が配置されている。
スライド部13は、基台12とは別の部材として設けられ、基台12の上側に配置されている。本実施形態では、スライド部13は、例えば一例として、平面視において基台12よりも狭く、且つ上下方向の厚みが基台12よりも薄くなるように構成されている。
スライド機構14は、基台12とスライド部13との間に設けられた機構であって、スライド部13を基台12に対して左右方向にスライドさせるためのものである。スライド機構14は、例えば一例として、左右方向に延びる複数のスライドレール14aを有している。スライド部13は、このスライドレール14aに沿って、基台12に対して左右方向にスライド可能な状態となっている。
電動モータ15は、回転シャフト20に固定されたプローブ8を所定の角度範囲θ(図2参照)において往復運動させるための駆動源として設けられている。電動モータ15は、例えば一例として、角度制御可能なサーボモータで構成することができる。電動モータ15は、制御部26からの指令に基づいて回転シャフト20を回転変位させる。
電動モータ15は、正方向及び逆方向の双方に回転可能な出力軸15aを有している。出力軸15aは、膝収容部4に収容された膝100の左右方向に沿って延びるように設けられている。この出力軸15aの先端側の部分は、容器本体3の側壁に形成された貫通孔に挿通固定された環状のシール部材16を介して、容器本体3内に配置されている。シール部材16は、容器2に対して出力軸15aを回転自在に保持するとともに、容器2内の水wが容器2外に漏れるのを防止するための防水摺動部として設けられている。出力軸15aの先端部(容器本体3内に配置されている部分)には、回転シャフト20の一端側が固定されている。
また、本体部11は、スライド部13を基台12に対してスライド移動するための駆動源であるスライド用アクチュエータ(図示省略)を有している。スライド用アクチュエータは、制御部26からの指令に基づいて、スライド部13を左右方向に変位させる。
回転シャフト20は、揺動軸部21と一対のクランク部22,23とを有し、これらが一体に形成されている。
揺動軸部21は、容器2内において、出力軸15aが延びる方向(図1の左右方向)に沿って延びるように設けられた棒状の部分である。揺動軸部21は、図1及び図2に示すように、容器2における膝収容部4よりも前側の空間に配置されている。すなわち、揺動軸部21は、膝収容部4に収容された膝100の前側に、該膝100と離間して配置されている。揺動軸部21における左右方向の中央部分には、超音波送受信部8aが水w及びシリコンシート7を介して膝100に対向するように、プローブ8が固定されている。
一対のクランク部22,23は、それぞれ、一端部が、揺動軸部21の両端部のそれぞれに接続され、揺動軸部21に対して垂直となり且つ互いに対して平行となるように設けられている。一方のクランク部22(図1における左側のクランク部)は、他端部が出力軸15aの先端部に固定されている。すなわち、該一方のクランク部22は、揺動軸部21と出力軸15aとを連結する連結部として設けられている。他方のクランク部23(図1における右側のクランク部)は、他端部が支持軸17に固定されている。支持軸17は、容器本体3の側壁に形成された貫通孔に挿通固定された環状のシール部材18を貫通するように設けられている。このシール部材18は、シール部材16と同様、容器2内の水wが容器2外に漏れるのを防止するための防水摺動部として設けられている。
回転シャフト20は、上述のような構成により、出力軸15a及び支持軸17を介して容器2に対して回転自在に支持されている。また、回転シャフト20が電動モータ15によって所定の角度範囲θに亘って揺動することにより、プローブ8の超音波送受信部8aが、膝軟骨の表面の上下方向に沿う方向に所定の角度範囲θに亘って揺動する。
また、超音波診断装置1では、超音波送受信部8aの送波面から出力軸15aの中心軸までの距離L1、及び、前記送波面からシリコンシート7までの距離L2が、一般的な患者の軟部組織の厚み、及びプローブ8の焦点位置に基づいて決定される。
操作部25は、例えば、キーボード又はタッチパネル等で構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。操作部25は、ユーザの操作入力に応じて、プローブ8による超音波信号の送受信、及び、プローブ8を走査するための駆動機構10の駆動、の実行開始を制御部26へ指示する。また、操作部25は、ユーザの操作入力に応じて、表示態様を設定もしくは切り替える指示を、表示部28に出力する。なお、この操作部25は、表示部28に組み込まれたものであってもよい。
制御部26は、超音波信号を生成し、当該超音波信号をプローブ8へ出力する。また、制御部26は、プローブ8が膝100に対する所望の範囲を走査するように、電動モータ15及びスライド用アクチュエータを制御する。
信号処理部27は、エコー信号に基づいて膝軟骨の状態を解析し、その解析結果を表示部28へ出力する。表示部28は、信号処理部27で解析された膝軟骨の解析結果を表示する。ユーザ(例えば医師)は、表示部28に表示される当該解析結果を見ることにより、患者の膝関節の状態を診断することができる。
[超音波診断装置の使用方法]
次に、本実施形態に係る超音波診断装置1の使用方法について説明する。
まず、患者の膝関節を超音波診断装置1に対してセットする。具体的には、例えば、患者の右膝100の膝関節を診断する場合、右膝100の内側(内顆側)の部分がシリコンシート7に密着するように、右膝を膝収容部4に収容する。このとき、右膝100の膝蓋骨101が右膝蓋骨収容部5に収容されるため、膝蓋骨が容器2に当たることなく、右膝100を超音波診断装置1に対してセットすることができる。同様に、患者の左膝の膝関節を診断する場合、左膝の膝蓋骨が左膝蓋骨収容部6に収容され且つ左膝の内側の部分がシリコンシート7に密着するように、左膝を膝収容部4に収容する。
上述のように患者の膝を装置1に対してセットした後、術者は、操作部25を適宜、操作する。これにより、制御部26が作動して、プローブ8による超音波信号の送受信が開始されるとともに、プローブ8が患者の膝100に対する所定範囲を走査するように、電動モータ15及びスライド用アクチュエータが作動する。具体的には、例えば一例として、スライド部13が左右方向における所定位置に位置した状態で、制御部26が所定の角度範囲θに亘って回転シャフト20を揺動させる。これにより、膝軟骨の左右方向の一箇所においてプローブ8がアーク走査を行うことができる。当該アーク走査を、膝軟骨の左右方向における各位置において行うことにより、軟骨表面に沿った3次元エコーデータを取得することができる。3次元エコーデータとしては、例えば一例として、X軸を膝の左右方向、Y軸を膝の上下方向(アーク走査における円弧方向)、Z軸をエコー信号の強度、としたエコーデータを取得することができる。
上述のようにプローブ8の走査(左右方向における走査、及びアーク走査)が行われる際、プローブ8は、容器2内の水wに浸漬された状態で変位する。すなわち、超音波送受信部8aは、シリコンシート7に対して擦りながら移動しない。従来は、例えば上述した特許文献1に示すように、プローブが音響整合部材(本実施形態のシリコンシート7に対応)の表面を擦りながら走査するため、エコー画像を取得するまで比較的時間がかかっていた。これに対して、超音波診断装置1では、超音波送受信部8aがシリコンシート7に対して擦ることなく、且つ超音波送受信部8aとシリコンシート7との間に超音波透過性が比較的高い水wが介在した状態で、超音波信号が送受信される。
そして、信号処理部27は、上述のようにして取得された3次元エコーデータに基づいて膝軟骨の状態を解析し、当該解析結果を表示部28に出力する。ユーザは、当該表示部28に表示された解析結果を見ることで、膝軟骨の状態を診断することができる。なお、信号処理部27は、上記3次元エコーデータに基づいてエコー画像を生成し、該エコー画像を表示部28に表示させるように構成されていてもよい。この場合、ユーザは、表示部28に表示された当該エコー画像を見て、患者の膝軟骨の状態を診断することができる。
[効果]
以上のように、本実施形態に係る超音波診断装置1では、超音波送受信部8aが、膝100に密着している超音波透過部(シリコンシート7)に対して、水wを介して超音波を送受信しながら走査される。すなわち、超音波診断装置1では、超音波送受信部8aとシリコンシート7との間に気泡が混入するおそれがなく、両者の間の状態が大幅に変動することがない。よって、膝軟骨表面に到達する超音波の強度のばらつきが小さくなる。
従って、超音波診断装置1では、被検知部としての膝軟骨に到達する超音波の強度を安定化でき、装置の信頼性を向上できる。
また、超音波診断装置1では、駆動機構10が、超音波送受信部8aが膝軟骨の表面形状に沿う方向に変位するようにプローブ8を移動する。これにより、超音波送受信部8aと膝軟骨の表面との距離を概ね一定に保ちながらプローブ8を走査できるため、正確な膝軟骨のエコー画像を得ることができる。
また、超音波診断装置1では、容器2に、被検体としての膝100が収容される膝収容部4が形成されているため、当該装置1に対して膝100を適切にセットした状態で膝100の診断を行うことができる。
また、超音波診断装置1では、プローブ8が固定された回転シャフト20を電動モータ15によって揺動させることで、プローブ8を膝軟骨の表面形状に沿う方向に移動することができる。
また、超音波診断装置1では、電動モータ15の出力軸15aが、膝収容部4に収容された膝100の左右方向に沿って延びるように設けられている。そして、超音波診断装置1は、膝収容部4に収容された膝100の前側において出力軸15aが延びる方向に沿って延びるように設けられた揺動軸部21と、該揺動軸部21と出力軸15aとを連結するクランク部22と、が一体に形成された回転シャフト20を有している。この構成において、出力軸15aが回転すると、揺動軸部21は、膝100の前側において、膝軟骨の表面形状に沿うように、曲率半径が比較的大きな円弧に沿って揺動する。従って、超音波診断装置1によれば、プローブ8を膝軟骨の表面形状に沿う方向に移動させるための構成を、電動モータ15及び回転シャフト20等を備えた、比較的簡素な構成で、適切に実現することができる。
また、超音波診断装置1では、スライド機構14によって、電動モータ15を左右方向に沿って移動できるため、膝軟骨の左右方向に沿ってプローブ8を走査することができる。更に、超音波診断装置1では、制御部26によって、プローブ8をアーク走査させるための電動モータ15、及びプローブ8を膝100の左右方向に沿って走査させるためのスライド用アクチュエータを作動することができる。これにより、例えば一例として、X軸を膝の左右方向、Y軸を膝の上下方向(アーク走査における円弧方向)、Z軸をエコー信号の強度、とした3次元のエコーデータを、自動で取得することができる。
また、超音波診断装置1では、右膝蓋骨収容部5及び左膝蓋骨収容部6を設けているため、右膝の膝軟骨及び左膝の膝軟骨の双方を当該装置1に対して適切にセットすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
[変形例]
(1)図3は、変形例に係る超音波診断装置1aを上側から視た模式図であって、図1に対応させて示す図である。本変形例に係る超音波診断装置1aは、上記実施形態と比べて、駆動機構10aの構成、特に、回転シャフト20a及び支持軸17aの構成が主に異なっている。
本変形例の回転シャフト20aは、図3に示すように、プローブ8が固定されている部分から支持軸17a側の部分に亘って、貫通孔が形成されている。この貫通孔は、プローブ8に接続されるケーブル9を容器2の外側へ案内するための連通孔24として設けられている。この連通孔24は、支持軸17aに形成された貫通孔17bを介して容器2の外部と連通している。
そして、本変形例では、プローブ8に接続されるケーブル9が、上述した連通孔24及び貫通孔17bを介して、容器2の外側に案内されている。これにより、本変形例に係る超音波診断装置1aでは、上記実施形態の場合と異なり、ケーブル9を容器2に貫通させるためのケーブル孔、及びケーブル9とケーブル孔との間からの漏水を防止するためのシール部材19を省略することができる。
(2)図4は、変形例に係る超音波診断装置の駆動機構10bの模式図である。本変形例に係る超音波診断装置は、上記実施形態と比べて、駆動機構10bの構成が大きく異なっている。
図4に示すように、本変形例の駆動機構10aは、リンク機構30を有している。リンク機構30は、それぞれが直線状に形成された第1リンク部材31及び第2リンク部材32を有している。
第1リンク部材31は、比較的短いロッド状に形成されている。第1リンク部材31の一端側は、該第1リンク部材31の軸方向が出力軸15aの軸方向と直交するように、電動モータ15の出力軸15aに固定されている。一方、第1リンク部材31の他端側は、連結ピン33によって第2リンク部材32の一端側に揺動自在に連結されている。
第2リンク部材32は、第1リンク部材31よりも長いロッド状に形成されている。第2リンク部材32の一端側は、上述のように、連結ピン33によって第1リンク部材31の他端側に揺動自在に連結されている。一方、第2リンク部材32の他端側は、連結ピン34によって回転シャフト20bに揺動自在に連結されている。
回転シャフト20bは、上記実施形態の場合と同様、揺動軸部21及び一対のクランク部22,23を有し、これらが一体に形成されている。一対のクランク部22,23は、それぞれ、各クランク部22,23が延びる方向における中途部分に屈曲部を有している。
本変形例の電動モータ15は、一方向のみに回転可能な出力軸15aを有するモータで構成することができる。すなわち、上述のようなリンク機構30を設けることによって、正方向及び逆方向の双方に回転可能なモータを用いずとも、出力軸15aと一方向(図4における矢印A1)のみに回転させることによって、プローブ8を、図4における矢印A2に沿って揺動させることができる。なお、本変形例に係る超音波診断装置において、プローブ8の角度位置を検出するためには、回転シャフト20bの回転位置を検出するためのロータリエンコーダ(図示省略)を用いればよい。
そして、本変形例に係る超音波診断装置でも、上記実施形態の場合と同様、プローブ8によるアーク走査を、超音波透過部としてのシリコンシート7に対して擦ることなく行うことができる。よって、超音波送受信部8aとシリコンシート7との間に気泡が混入するのを防止できるため、上記実施形態の場合と同様、被検知部としての膝軟骨に到達する超音波の強度を安定化でき、装置の信頼性を向上できる。
(3)図5は、変形例に係る超音波診断装置の駆動機構40の模式図である。また、図6は、駆動機構40の一部を拡大して示す斜視図である。本変形例に係る超音波診断装置は、上記実施形態と比べて、駆動機構40の構成が大きく異なっている。やや詳しくは、本変形例の駆動機構40は、プローブ8がレール部41に沿って移動することにより、所望の軌跡に沿って変位するように構成されている。駆動機構40は、図5及び図6に示すように、一対のレール部41と、プローブ保持部42と、各レール部41に対応して設けられる一対のガイドローラ43と、リニアアクチュエータ44(駆動部)と、連結部45と、を備えている。
一対のレール部41は、膝軟骨の表面形状に沿う方向に延びるレール状に形成された案内部として設けられている。一対のレール部41は、それぞれ、円弧状に延びる棒状の部材によって構成されている。具体的には、レール部41は、例えば一例として、膝収容部4に収容された膝100の膝軟骨の曲率中心を中心とし、膝100の前側に離れた状態で配置される円弧状に形成されている。一対のレール部41は、互いに対して離間し且つ平面視で重なるように、図示は省略するが、容器本体3に対して固定されている。
プローブ保持部42は、ブロック状に形成された部材によって構成されている。プローブ保持部42には、プローブ8が挿通して固定されるプローブ挿通孔42aが形成されている。プローブ保持部42は、一対のレール部41の間に挟まれて配置されている。
プローブ保持部42には、一対のガイドローラ43が2つ、該プローブ保持部42に対して回転自在となるように取り付けられている。一対のガイドローラ43は、上記レール部41に係合するとともに該レール部41に沿って変位可能な被案内部として設けられている。一対のガイドローラ43は、レール部41を挟んで保持している。これにより、プローブ保持部42は、ガイドローラ43を介して一対のレール部41に沿って変位自在な状態となっている。
リニアアクチュエータ44は、本体部44aに対してロッド部44bが進退するように構成されている。リニアアクチュエータ44は、ロッド部44bが水平方向に延びるように配置された状態で、容器2内の水wよりも上方に配置されている。ロッド部44bは、水平方向に沿って伸縮する。ロッド部44bの先端部には、連結部45の一端側が連結されている。
連結部45は、ロッド部44bの先端部とプローブ保持部42の後端部(プローブ保持部42に保持されるプローブ8の超音波送受信部8aと反対側の部分)とを連結する直線状の棒状の部材によって構成されている。連結部45は、一端側(ロッド部44b側)の部分において、ロッド部44bの先端部が該連結部45の延出方向に沿ってスライド自在に連結されている。一方、連結部45の他端側(プローブ保持部42側)は、該プローブ保持部42に対して回転自在となるように連結されている。
連結部45における、ロッド部44bが連結されている部分とプローブ保持部42が連結されている部分との間の部分には、孔部45aが形成されている。この孔部45aは、連結部45が延びる方向と直交する方向において該連結部45を貫通し、且つ連結部45が延びる方向に沿って細長い長穴状に形成されている。そして、この孔部45aには、容器2に対して固定される支点軸46が挿通している。これにより、連結部45は、支点軸46によって揺動自在に支持される。
本変形例に係る超音波診断装置において、プローブ8をアーク走査させる場合、リニアアクチュエータ44のロッド部44bを本体部44aに対して進退させればよい。
ロッド部44bを本体部44aに対して進出させると(図5の矢印B1方向)、ロッド部44bが、連結部45における支点軸46よりも上側の部分を押圧する。このとき、連結部45における支点軸46よりも下側の部分には、支点軸46を支点とした矢印C1方向への力が作用する。そうすると、一対のガイドローラ43,43がレール部41を挟んだ状態で矢印C1側へ移動する。その結果、該一対のガイドローラ43,43が取り付けられたプローブ保持部42もC1側へ移動するため、プローブ保持部42、すなわちプローブ8を、レール部41に沿って位置D1へ変位させることができる。
一方、ロッド部44bを本体部44aに対して退避させると(図5の矢印B2方向)、ロッド部44bが、連結部45における支点軸46よりも上側の部分を引っ張る。このとき、連結部45における支点軸46よりも下側の部分には、支点軸46を支点とした矢印C2方向への力が作用する。そうすると、一対のガイドローラ43,43がレール部41を挟んだ状態で矢印C2側へ移動する。その結果、該一対のガイドローラ43,43が取り付けられたプローブ保持部42もC2側へ移動するため、プローブ保持部42、すなわちプローブ8を、レール部41に沿って位置D2へ変位させることができる。
本変形例に係る超音波診断装置でも、上記実施形態の場合と同様、プローブ8によるアーク走査を、超音波透過部としてのシリコンシート7に対して擦ることなく行うことができるため、超音波送受信部8aとシリコンシート7との間に気泡が混入するのを防止でき、膝軟骨に到達する超音波の強度を安定化できる。
なお、本変形例では、案内部をレール部41で構成し、被案内部をガイドローラ43で構成しているが、この限りでない。具体的には、例えば一例として、案内部を、レール部に沿って形成された溝部で構成し、被案内部を、プローブ保持部から突出する部分によって構成され、上記溝部に係合し且つ該溝部に沿ってスライド可能な突出部で構成してもよい。
(4)図7は、変形例に係る超音波診断装置の駆動機構40aの模式図である。本変形例に係る超音波診断装置の駆動機構40aは、図5に示す駆動機構40と構造が類似している。具体的には、本変形例に係る駆動機構40aは、図5に示す駆動機構40と同様、一対のレール部41と、プローブ保持部42と、各レール部41に対応して設けられる一対のガイドローラ43と、リニアアクチュエータ44(駆動部)と、連結部45と、を備えている。一方、駆動機構40aは、図5に示す駆動機構40と異なり、連結部45に孔部45aが形成されておらず、連結部45がロッド部44bの伸縮方向に沿ってスライドするように構成されている。このような構成であっても、プローブ8をアーク走査させることができる。
(5)図8は、変形例に係る超音波診断装置1bの模式図であって、図1に対応させて示す図である。上記実施形態では、回転シャフト20を、出力軸15a及び支持軸17を介して、容器2に対して支持しているが、これに限らない。具体的には、図8に示すように、回転シャフト20cを、出力軸15aのみを介して容器2に対して支持してもよい。これにより、上記実施形態と比べて、回転シャフトの一部、支持軸17、シール部材18等を省略できるため、装置の構造を簡素化できる。
(6)上記実施形態では、制御部26で、電動モータ15及びスライド用アクチュエータを制御することにより、軟骨表面に沿った3次元エコーデータを取得したが、これに限らない。例えば、制御部26によって電動モータ15のみを制御可能な構成としてもよい。この場合、手動でスライド部13をスライドさせ、電動モータ15を左右方向における所定位置に固定した状態で電動モータ15を作動させることにより、アーク走査を行うことができる。これにより、膝収容部4に収容された膝100を左右方向に動かすことなく、膝100の左右方向における所望の位置をアーク走査することができる。しかも、この構成では、スライド用アクチュエータを省略できるため、装置の構成を簡素化できる。
1,1a,1b 超音波診断装置
3 容器本体
3a 開口部
7 シリコンシート(超音波透過部)
8 プローブ
8a 超音波送受信部(超音波照射部)
10,10a,10b,10c,40,40a 駆動機構
100 膝(被検体)
w 水(液体)

Claims (8)

  1. 被検体の検査対象となる被検知部に向かって照射される超音波信号のエコー信号に基づいて、前記被検知部の状態を診断する超音波診断装置であって、
    内部に液体が収容される容器本体と、
    超音波透過性を有し、前記容器本体に形成された開口部を覆うとともに前記被検体と密着可能な超音波透過部と、
    超音波信号を照射する超音波照射部を有し、該超音波照射部が前記超音波透過部と離間した状態で前記容器本体の液体内に浸漬され、前記超音波照射部が前記液体及び前記超音波透過部を介して前記被検体に向かって超音波信号を照射するプローブと、
    前記容器本体の液体内に浸漬された前記プローブを移動させて、前記超音波照射部を前記被検知部の表面形状に沿う方向に変位させる駆動機構と、
    を備えていることを特徴とする、超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記容器本体は、前記被検体が収容された状態で該被検体が前記超音波透過部に密着可能な凹状に形成された被検体収容部を有していることを特徴とする、超音波診断装置。
  3. 請求項2に記載の超音波診断装置において、
    前記駆動機構は、
    回転自在な出力軸を有し、該出力軸が、前記被検体収容部に収容された前記被検体としての膝の左右方向に沿って延びる電動モータと、
    前記出力軸が延びる方向に沿って延びて前記プローブが固定される揺動軸部、及び該揺動軸部を前記出力軸に連結する連結部、を有し、前記容器本体に設けられ、前記揺動軸部に固定された前記プローブが前記被検体収容部に収容された前記被検知部としての膝軟骨の表面形状に沿う方向に揺動する回転シャフトと、
    を有していることを特徴とする、超音波診断装置。
  4. 請求項3に記載の超音波診断装置において、
    前記回転シャフトには、前記プローブに接続されるケーブルを前記容器本体の外側へ案内するための連通孔が形成されていることを特徴とする、超音波診断装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の超音波診断装置において、
    前記駆動機構は、前記電動モータを、前記被検体収容部に収容された膝の左右方向に沿って移動させるスライド機構、を更に備えていることを特徴とする、超音波診断装置。
  6. 請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記被検体収容部には、右膝が前記被検体収容部に収容された状態で該右膝の膝蓋骨が収容される右膝蓋骨収容部、及び、左膝が前記被検体収容部に収容された状態で該左膝の膝蓋骨が収容される左膝蓋骨収容部、が形成されていることを特徴とする、超音波診断装置。
  7. 請求項2に記載の超音波診断装置において、
    前記駆動機構は、
    前記被検体収容部に収容された前記被検知部としての膝軟骨の表面形状に沿う方向に延びるレール状又は溝状に形成された案内部と、
    前記案内部に係合するとともに該案内部に沿って変位可能な被案内部を有し、前記プローブを保持するプローブ保持部と、
    前記プローブ保持部を前記案内部に沿って変位させるための駆動部と、
    を有していることを特徴とする、超音波診断装置。
  8. 請求項7に記載の超音波診断装置において、
    前記駆動機構は、一端側に前記プローブ保持部が回転自在に保持される一方他端側が前記駆動部に連結されることにより、前記プローブ保持部と前記駆動部とを連結する連結部を更に有していることを特徴とする、超音波診断装置。
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