JPWO2015050191A1 - 二重鎖リボ核酸の精製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明者らは上記の知見に基づき更に研究を進め、本発明を完成するに至った。
[1]エンドトキシンを含む二重鎖リボ核酸(dsRNA)水溶液に界面活性剤を混合後、静置し、該混合液に疎水吸着樹脂または活性炭を接触させることにより、該エンドトキシンと該界面活性剤を除去することを含む、dsRNAの精製方法;
[2]界面活性剤が、非イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、又は陰イオン系界面活性剤である[1]に記載の精製方法;
[3]非イオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類の非イオン系界面活性剤である[2]に記載の精製方法;
[4]両性界面活性剤が、スルホベタイン類の両性界面活性剤である[2]に記載の精製方法;
[5]陰イオン系界面活性剤が、ステロイド類の陰イオン系界面活性剤である[2]に記載の精製方法;
[6]疎水吸着樹脂が、スチレン系疎水吸着樹脂、アクリル系疎水吸着樹脂、メタクリル系疎水吸着樹脂、及び界面活性剤除去用樹脂からなる群より選ばれる疎水吸着樹脂である、上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の精製方法;
を提供する。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、アルキルポリグルコシド類、脂肪酸ジエタノールアミド類、アルキルモノグリセリルエーテル類、脂肪酸ソルビタンエステル類を、好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類を、最も好ましくは、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルを挙げることができる。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミンオキシド類、アルキルカルボキシベタイン類、スルホベタイン類を、好ましくは、スルホベタイン類を、最も好ましくは、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナートを挙げることができる。
陰イオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、モノアルキルリン酸塩類、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩類、モノアルキル硫酸塩類、脂肪酸ナトリウム類、ステロイド類を、好ましくは、ステロイド類を、特に好ましくは、デオキシコール酸塩を、最も好ましくは、デオキシコール酸ナトリウムを挙げることができる。
前記のdsRNA水溶液と界面活性剤は混合後、静置される。静置する温度はdsRNAが安定である温度であれば良い。通常、常圧の状態で100℃より低い温度であり、好ましくは40℃以下、さらに好ましくは15℃以下である。静置する時間は1秒間〜10日間、好ましくは1分間〜1日間、さらに好ましくは10分間から5時間である。
また、界面活性剤除去用樹脂として販売されている、複数の疎水吸着樹脂及びシリカビーズが3次元にクロスリンクした混合樹脂も疎水吸着樹脂に含まれる。上記シリカビーズに3次元にクロスリンクされる疎水吸着樹脂は、界面活性剤及びエンドトキシンを選択的に吸着する性質を有するものであれば特に制限されないが、例えば、スチレン系疎水吸着樹脂、アクリル系疎水吸着樹脂、及び、メタクリル系疎水吸着樹脂が挙げられる。また、市販されている界面活性剤除去用樹脂も本発明に好ましく用いることができる。そのような界面活性剤除去用樹脂としては、CALBIOSORB(EMD millipore, USA)又はSDR HyperD(登録商標)(Pall Corp., USA)を、好ましくは、SDR HyperD(登録商標)を挙げることができる。
UF膜透析で狭雑塩を除去したポリイノシン酸ポリマーとポリシチジル酸ポリマーからなる平均鎖長 約320塩基対の二重鎖リボ核酸溶液dsRNA1-C(Abs 260nm の吸光度=200)0.5mlと0.02 mlのエーテル型非イオン界面活性剤ポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテル(和光純薬工業(株)製)と0.48 mlの超純水からなる混合液dsRNA1-Mを作製し、4℃で2時間静置した。Poly-PrepR Chromatography Columns(バイオ・ラッドラボラトリーズ(株)製)に1 ml の界面活性剤除去用樹脂SDR HyperDR(Pall corporation製)を詰めてレジンカラムを作製し、超純水を5 ml流して樹脂を平衡化した。レジンカラムに0.25 mlのdsRNA1-Mをアプライし、続けて超純水を滴下し、溶出液を0.25 mlずつサンプリングした。Abs 260nmの吸光強度の高い2画分を1つにまとめ、0.5 mlのdsRNA1-Pを得た。dsRNA1-PのAbs 260nmの吸光強度は36であった。
dsRNA1-Cのエンドトキシン濃度を市販のエンドトキシン定量分析キットToxin SensorTM Endotoxin Detection System (GenScript USA Inc. 製) を使用して分析した。取扱説明書に従い測定したところ、dsRNA1-Cのエンドトキシン濃度は3.0 EU/mlであり、Abs260nmの吸光強度あたりのエンドトキシン量に換算すると0.030 EU/Abs(260nm)であった。同様にdsRNA1-Pのエンドトキシン濃度を測定したところ、エンドトキシンを検出できなかった。この測定方法による検出限界は0.005 EU/mlであるため、Abs 260nmの吸光強度あたりのエンドトキシン量に換算すると0.0000139 EU/Abs(260nm)未満であった。
ポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテルの定量分析は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で行った。サンプルは30 % メタノールで希釈してHPLC分析に供した。分析条件は以下のとおりである。
・溶離液A:超純水
・溶離液B:100 % メタノール
・グラジエント:60 - 80 % メタノールのグラジエント溶出
・ポンプ流速:0.5 ml/min
・カラム:Inertsil ODS-3、 カラム長 150mm × 3.0mm、粒子径3μm (ジーエルサイエンス(株))
・カラム温度:50℃
・検出器: Abs 223nm
ポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテルを使用して検量線を作成したところ、検出限界は0.5 v/v ppmであった。この方法でdsRNA1-Pに含まれるポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテルを測定したところ、検出限界以下であった。
UF膜透析で狭雑塩を除去したポリイノシン酸ポリマーとポリシチジル酸ポリマーからなる平均鎖長 約280塩基対の二重鎖リボ核酸溶液dsRNA2-C(Abs 260nm の吸光度=200)1 mlと0.04 mlの99 % のポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテル(和光純薬工業(株)製)と0.96 mlの超純水からなる混合液dsRNA2-Mを作製し、4℃で2時間静置した。
2.0 mlプラスチック製サンプリングチューブに0.5 mlのSDR HyperDRを詰めた。次に超純水1mlを加えて8000×g、15秒間遠心分離して上清を取り除く洗浄操作を行った。この洗浄操作を合計5回行い、SDR HyperDRを平衡化した。0.5 mlのdsRNA2-Mを加え、室温で1時間往復振盪した。振盪後、静置して生じた上清dsRNA2-P-SDを採取した。
2.0 mlプラスチック製サンプリングチューブに0.5 mlの疎水吸着樹脂セパビーズ(登録商標)SP207(三菱化学(株)製)を詰め、次に超純水1mlを加えて8000×g、15秒間遠心分離して上清を取り除く洗浄操作を合計5回行い、SP207を平衡化した。これに、実施例4で作製した0.5 mlのdsRNA2-Mを加え、室温で1時間往復振盪した。振盪後、静置して生じた上清dsRNA2-P-SPを採取した。
2.0 mlプラスチック製サンプリングチューブに0.5 mlの粒状活性炭の白鷺(登録商標)LH2Cを(日本エンバイロケミカルズ(株)製)を詰め、次に超純水1mlを加えて8000×g、15秒間遠心分離して上清を取り除く洗浄操作を合計5回行い、白鷺(登録商標)LH2Cを平衡化した。これに、実施例4で作製した0.5 mlのdsRNA2-Mを加え、室温で1時間往復振盪した。振盪後、静置して生じた上清dsRNA2-P-LHを採取した。
dsRNA2-P-SDおよびdsRNA2-P-SPおよびdsRNA2-P-LHに含まれるポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテルの濃度を実施例3の方法で測定したところ、いずれも検出限界以下であった。
dsRNA2-CおよびdsRNA2-P-SD、dsRNA2-P-SP、dsRNA2-P-LHの吸光強度とエンドトキシン濃度を実施例3の方法で測定した結果を表1にまとめた。
セパビーズ(登録商標)SP207、または粒状活性炭白鷺(登録商標)LH2C で処理してもSDR HyperDRと同等以下にエンドトキシンが低減され、dsRNAの高収率もほぼ同等であった。
ポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテルの曇点は、塩を含まない場合25℃である。この曇点と実施例1および実施例4で示したエンドトキシン除去作用との関係を調べるために、ポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテルよりも曇点の低いポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを用いた試験を行った。
dsRNA2-C水溶液(Abs 260nm の吸光度=200) 0.5 mlと0.02 mlのポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(和光純薬工業(株)製)と0.48 mlの超純水からなる混合液を作製し、4℃で2時間静置した。0.5 mlを実施例4と同様な手順で平衡化した0.5 mlのSDR HyperDR を詰めた2.0 mlプラスチック製サンプリングチューブに添加し、室温で1時間往復振盪後、静置して生じた上清dsRNA2-P-SD-10を採取した。dsRNA2-P-SD-10のエンドトキシン濃度を実施例2に示した手順で分析した。結果を実施例4で示したdsRNA2-C およびdsRNA2-P-SDの値と共に表2にまとめた。
また、dsRNA2-C水溶液(Abs 260nm の吸光度=200) 0.5 mlを超純水0.5 mlで2倍に希釈した液を作製し、0.5 mlを実施例4と同様な手順で平衡化した0.5 mlの SDR HyperDR を詰めた2.0 mlプラスチック製サンプリングチューブに添加し、室温で1時間往復振盪後、静置して生じた上清dsRNA2-P-SD-Nを採取し、対照例として用いた。dsRNA2-P-SD-Nのエンドトキシン濃度を実施例2に示した手順で分析した。
0.5 ml のdsRNA2-C水溶液(Abs 260nm の吸光度=200)と0.02 mlの3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホナート((株)同人化学研究所製)と0.48 mlの超純水からなる混合液を作製し、4℃で2時間静置した。0.5 mlを実施例4と同様な手順で平衡化した0.5 mlの SDR HyperDR を詰めた2.0 mlプラスチック製サンプリングチューブに添加し、室温で1時間往復振盪後、静置して生じた上清dsRNA2-SD-CHを採取した。実施例2と同様にdsRNA2-SD-CHのエンドトキシン濃度と吸光強度を測定したところ、吸光強度74、エンドトキシン濃度 0.18 EU/mlで、吸光強度当たりのエンドトキシン濃度は、0.0025 EU/Abs(260nm)で、優れたエンドトキシン除去性が認められた。
0.5 ml のdsRNA2-C水溶液(Abs 260nm の吸光度=200)と0.5 mlの4%(w/v)デオキシコール酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)からなる混合液を作製し、4℃で2時間静置した。0.5 mlを実施例4と同様な手順で平衡化した0.5 mlの SDR HyperDR を詰めた2.0 mlプラスチック製サンプリングチューブに添加し、室温で1時間往復振盪後、静置して生じた上清dsRNA2-SD-DEを採取した。
実施例2と同様にdsRNA2-SD-DEのエンドトキシン濃度と吸光強度を測定したところ、吸光強度74、エンドトキシン濃度 0.18 EU/mlで、吸光強度当たりのエンドトキシン濃度は、0.0025 EU/Abs(260nm)で、優れたエンドトキシン除去性が認められた。
0.5 mlのdsRNA2-C水溶液(Abs 260nm の吸光度=200)と0.25 mlの0.6M NaCl溶液と0.23 mlの超純水と0.02 mlのポリオキシエチレン(8)オクチルフェニルエーテルからなる混合液を作製し、4℃で2時間静置した。実施例4と同様な手順で平衡化した0.5 mlの SDR HyperDR を詰めた2.0 mlプラスチック製サンプリングチューブに添加し、室温で1時間往復振盪後、静置して生じた上清(dsRNA2-P-SD-NA)を採取した。dsRNA2-P-SD-NAのエンドトキシン濃度を定量分析し、実施例4のdsRNA2-P-SDと比較した。結果をまとめたものが表3である。表3から明らかなように、サンプルのNaCl濃度に依存せず、エンドトキシンを除去することが示された。
本出願は、日本で出願された特願2013−208548(出願日:平成25年10月3日)を基礎としており、その内容はすべて本明細書に包含されるものとする。
Claims (6)
- エンドトキシンを含む二重鎖リボ核酸(dsRNA)水溶液に界面活性剤を混合後、静置し、該混合液に疎水吸着樹脂または活性炭を接触させることにより、該エンドトキシンと該界面活性剤を除去することを含む、dsRNAの精製方法。
- 界面活性剤が、非イオン系界面活性剤、両性界面活性剤、又は陰イオン系界面活性剤である請求項1に記載の精製方法。
- 非イオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類の非イオン系界面活性剤である請求項2に記載の精製方法。
- 両性界面活性剤が、スルホベタイン類の両性界面活性剤である請求項2に記載の精製方法。
- 陰イオン系界面活性剤が、ステロイド類の陰イオン系界面活性剤である請求項2に記載の精製方法。
- 疎水吸着樹脂が、スチレン系疎水吸着樹脂、アクリル系疎水吸着樹脂、メタクリル系疎水吸着樹脂、及び界面活性剤除去用樹脂からなる群より選ばれる疎水吸着樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の精製方法。
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