JPWO2015019979A1 - 統合失調症に関するバイオマーカー - Google Patents
統合失調症に関するバイオマーカー Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2015019979A1 JPWO2015019979A1 JP2015530867A JP2015530867A JPWO2015019979A1 JP WO2015019979 A1 JPWO2015019979 A1 JP WO2015019979A1 JP 2015530867 A JP2015530867 A JP 2015530867A JP 2015530867 A JP2015530867 A JP 2015530867A JP WO2015019979 A1 JPWO2015019979 A1 JP WO2015019979A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- schizophrenia
- protein
- isoform
- expression
- cognitive function
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- C07K14/435—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
- C07K14/705—Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/68—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
- G01N33/6893—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids related to diseases not provided for elsewhere
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2800/00—Detection or diagnosis of diseases
- G01N2800/30—Psychoses; Psychiatry
- G01N2800/302—Schizophrenia
Landscapes
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Immunology (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Urology & Nephrology (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Hematology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Toxicology (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Food Science & Technology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Pathology (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Zoology (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
本発明の課題は、統合失調症の病態と密接に関連するタンパク質を見いだし、当該タンパク質を統合失調症判定、亜型分類、重症度評価のためのマーカーとして提供することである。本発明によれば、フィブロシスチン−Lなどを含む本明細書に記載した19種のタンパク質から選択される1種以上のタンパク質からなる、統合失調症診断のためのバイオマーカーが提供される。
Description
本発明は、統合失調症診断のためのバイオマーカー、統合失調症又はその亜型の検査方法、統合失調症治療薬の予防又は治療効果を判定する方法、統合失調症診断用キット、及び統合失調症の治療又は予防薬のスクリーニング方法に関する。
統合失調症とは、幻覚や妄想等の症状が特徴的であり、主には10代後半から20代に発症し、慢性に進行する精神疾患である。陽性症状(幻覚や妄想、まとまりに欠ける会話や行動など)、陰性症状(感情の平板化、思考の貧困、意欲の低下など)及び認知障害(注意障害、作業記憶の低下、実行機能障害など)を主な症状とする。
ヒトが統合失調症に罹患しているか否かを判定する方法として問診を中心とした診断基準があり、代表的な診断基準としては、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類である「ICD−10」及び米国精神医学会の「DSM−IV」が挙げられる。しかし、これらの手法は評価者の豊富な知識、経験が必要なうえ、評価者により判定が異なる場合も少なくない。また、統合失調症は仮説的な症候群であり、様々な病態を含んでいる可能性がある。したがって、より簡便で客観的な判定方法が求められている。
統合失調症に罹患しているか否かを判定するためのマーカーを見いだすことを目的として、DNAチップ解析等の手段を用いて遺伝子レベルでの発現変動を解析する試みがなされてきた(特許文献1を参照)。しかし、遺伝子レベルで認められた変動と実際のタンパク質レベルでの変動に十分な相関が認められない例が多く、実用性のあるマーカーは見いだされていない。そのため、近年は血液や脳脊髄液中のタンパク質の量の変動を直接解析することにより統合失調症のマーカーを見いだす試みがなされているが、この手法でも十分な成果は得られていない(特許文献2及び3を参照)。
統合失調症治療薬としてドーパミン受容体やグルタミン酸受容体(NMDA受容体)をターゲットとした薬剤が利用されているが、十分な治療効果が得られているとは言えない。統合失調症の病態と密接に関係した上記ターゲットと異なるタンパク質を見いだし、当該タンパク質の機能を調節する新たな治療薬を見いだすことが求められている。
本発明の課題は、統合失調症の病態と密接に関連するタンパク質を見いだし、当該タンパク質を統合失調症判定、亜型分類、重症度評価のためのバイオマーカーとして提供することにある。さらに本発明の別の課題は、上記バイオマーカーを利用した、統合失調症又はその亜型の検査方法、統合失調症治療薬の予防又は治療効果を判定する方法、統合失調症診断用キット、及び統合失調症の治療又は予防薬のスクリーニング方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、プロテオーム解析の手法の1つであるcICAT法(Hansen, K.C. et al, Mol. Cell Proteomics, 2:299-314, 2003)によって、健常対照者(対照被験者)と統合失調症の患者の間で発現量が変動するタンパク質を見出し、本発明を完成するに至った。同位体標識法の一つであるcICAT法は、タンパク質中のシステインに特異的に反応する2種類の同位体標識試薬(同位体元素を用いて質量数のみが異なる軽鎖(L鎖)標識試薬と重鎖(H鎖)標識試薬からなる)を、比較するタンパク質にそれぞれ別々に標識させた後、トリプシン処理などにより得られたペプチドを質量分析計にて、軽鎖(L鎖)標識ペプチドと重鎖(H鎖)標識ペプチドの量比を測定し、タンパク質の発現差を定量的に調べる解析方法である。この方法を用いて、例えば、健常対照者(対照被験者)と統合失調症の患者の間でタンパク質の発現差解析を行うことにより、疾患関連タンパク質を特定することが可能であると考えられている。即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 下記(a)〜(s)から選択される1種以上のタンパク質からなる、統合失調症診断のためのバイオマーカー。
(a)フィブロシスチン−L
(b)コルジン;
(c)ニュートロフィル・ディフェンシン1;
(d)アミロイド前駆体様タンパク質2;
(e)ミエリン関連糖タンパク質;
(f)オリゴデンドロサイト-ミエリン糖タンパク質;
(g)ラトロフィリン-3;
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1;
(i)ニューロプラスチンアイソフォームb;
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームA;
(k)システインリッチEGF様ドメインタンパク質1アイソフォーム2;
(l)フィブリン-1アイソフォームC;
(m)メタロプロテアーゼ阻害物質1;
(n)リソスタチン-1-アルファ;
(o)受容体チロシンキナーゼUFO;
(p)カテプシンL1;
(q)ロイシン反復含有免疫グロブリンスーパーファミリー;
(r)プリオンタンパク質;
(s)コロニン-1A;
(a)フィブロシスチン−L
(b)コルジン;
(c)ニュートロフィル・ディフェンシン1;
(d)アミロイド前駆体様タンパク質2;
(e)ミエリン関連糖タンパク質;
(f)オリゴデンドロサイト-ミエリン糖タンパク質;
(g)ラトロフィリン-3;
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1;
(i)ニューロプラスチンアイソフォームb;
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームA;
(k)システインリッチEGF様ドメインタンパク質1アイソフォーム2;
(l)フィブリン-1アイソフォームC;
(m)メタロプロテアーゼ阻害物質1;
(n)リソスタチン-1-アルファ;
(o)受容体チロシンキナーゼUFO;
(p)カテプシンL1;
(q)ロイシン反復含有免疫グロブリンスーパーファミリー;
(r)プリオンタンパク質;
(s)コロニン-1A;
(2) 統合失調症に対するバイオマーカーとしての、下記(a)〜(s)から選択される1種以上のタンパク質の使用。
(a)フィブロシスチン−L
(b)コルジン;
(c)ニュートロフィル・ディフェンシン1;
(d)アミロイド前駆体様タンパク質2;
(e)ミエリン関連糖タンパク質;
(f)オリゴデンドロサイト-ミエリン糖タンパク質;
(g)ラトロフィリン-3;
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1;
(i)ニューロプラスチンアイソフォームb;
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームA;
(k)システインリッチEGF様ドメインタンパク質1アイソフォーム2;
(l)フィブリン-1アイソフォームC;
(m)メタロプロテアーゼ阻害物質1;
(n)リソスタチン-1-アルファ;
(o)受容体チロシンキナーゼUFO;
(p)カテプシンL1;
(q)ロイシン反復含有免疫グロブリンスーパーファミリー;
(r)プリオンタンパク質;
(s)コロニン-1A;
(a)フィブロシスチン−L
(b)コルジン;
(c)ニュートロフィル・ディフェンシン1;
(d)アミロイド前駆体様タンパク質2;
(e)ミエリン関連糖タンパク質;
(f)オリゴデンドロサイト-ミエリン糖タンパク質;
(g)ラトロフィリン-3;
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1;
(i)ニューロプラスチンアイソフォームb;
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームA;
(k)システインリッチEGF様ドメインタンパク質1アイソフォーム2;
(l)フィブリン-1アイソフォームC;
(m)メタロプロテアーゼ阻害物質1;
(n)リソスタチン-1-アルファ;
(o)受容体チロシンキナーゼUFO;
(p)カテプシンL1;
(q)ロイシン反復含有免疫グロブリンスーパーファミリー;
(r)プリオンタンパク質;
(s)コロニン-1A;
(3) 被験者由来の生体試料における、(1)に記載のバイオマーカーの量を測定することを含む、統合失調症又はその亜型の検査方法。
(4) 被験物質を投与された被験動物由来の生体試料における(1)に記載のバイオマーカーの量を測定することを含む、被験物質の統合失調症への予防又は治療効果を判定する方法。
(5) 生体試料が、血液又は脳脊髄液である、(3)又は(4)に記載の方法。
(4) 被験物質を投与された被験動物由来の生体試料における(1)に記載のバイオマーカーの量を測定することを含む、被験物質の統合失調症への予防又は治療効果を判定する方法。
(5) 生体試料が、血液又は脳脊髄液である、(3)又は(4)に記載の方法。
(6) (c)ニュートロフィル・ディフェンシン1 ;
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1;又は
(n)リソスタチン-1-アルファ;
の何れか1種以上のバイオマーカーの発現上昇、及び/または、
(a)フィブロシスチン−L;
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームA;
(k)システインリッチEGF様ドメインタンパク質1アイソフォーム2;
(p)カテプシンL1;
の何れか1種以上のバイオマーカーの発現低下、
が認められる場合に統合失調症であると判定する、(3)に記載の検査方法。
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1;又は
(n)リソスタチン-1-アルファ;
の何れか1種以上のバイオマーカーの発現上昇、及び/または、
(a)フィブロシスチン−L;
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームA;
(k)システインリッチEGF様ドメインタンパク質1アイソフォーム2;
(p)カテプシンL1;
の何れか1種以上のバイオマーカーの発現低下、
が認められる場合に統合失調症であると判定する、(3)に記載の検査方法。
(7)(a)フィブロシスチン−Lの発現が症例では認知機能が障害されていると判定し、
(b)コルジンの発現が高い症例では認知機能が障害されていると判定し、
(c)ニュートロフィル・ディフェンシン1の発現量により統合失調症の亜型を分類し、
(d)アミロイド前駆体様タンパク質2の発現量により統合失調症の亜型を分類し、
(e)ミエリン関連糖タンパク質の発現が高い症例では認知機能が障害されていると判定し、
(f)オリゴデンドロサイト-ミエリン糖タンパク質の発現が低い症例では、PANSS陽性症状が強いと判定し、
(g)ラトロフィリン-3を抗精神病薬投与量を反映するマーカーとして使用し、
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1の発現量により統合失調症の亜型を分類し、
(i)ニューロプラスチンアイソフォームbの発現が多い症例では、PANSS陰性症状が強いと判定し、
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームAの発現が高い症例では、認知機能が障害されていると判定し、
(l)フィブリン-1アイソフォームCの発現が高い症例では、認知機能が障害されていると判定し、
(m)メタロプロテアーゼ阻害物質1発現が高い症例では認知機能が障害されていると判定し、
(o)受容体チロシンキナーゼUFOの発現が高い症例では、認知機能が障害されていると判定し、
(q)ロイシン反復含有免疫グロブリンスーパーファミリーの発現量が高い症例では、認知機能が障害されていると判定し、
(r)プリオンタンパク質の発現が高い症例では認知機能が障害されていると判定し、
(s)コロニン-1Aの発現が低い症例で、認知機能が障害されていると判定することの何れかい1以上を含む、(3)から(6)の何れかに記載の方法。
(b)コルジンの発現が高い症例では認知機能が障害されていると判定し、
(c)ニュートロフィル・ディフェンシン1の発現量により統合失調症の亜型を分類し、
(d)アミロイド前駆体様タンパク質2の発現量により統合失調症の亜型を分類し、
(e)ミエリン関連糖タンパク質の発現が高い症例では認知機能が障害されていると判定し、
(f)オリゴデンドロサイト-ミエリン糖タンパク質の発現が低い症例では、PANSS陽性症状が強いと判定し、
(g)ラトロフィリン-3を抗精神病薬投与量を反映するマーカーとして使用し、
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1の発現量により統合失調症の亜型を分類し、
(i)ニューロプラスチンアイソフォームbの発現が多い症例では、PANSS陰性症状が強いと判定し、
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームAの発現が高い症例では、認知機能が障害されていると判定し、
(l)フィブリン-1アイソフォームCの発現が高い症例では、認知機能が障害されていると判定し、
(m)メタロプロテアーゼ阻害物質1発現が高い症例では認知機能が障害されていると判定し、
(o)受容体チロシンキナーゼUFOの発現が高い症例では、認知機能が障害されていると判定し、
(q)ロイシン反復含有免疫グロブリンスーパーファミリーの発現量が高い症例では、認知機能が障害されていると判定し、
(r)プリオンタンパク質の発現が高い症例では認知機能が障害されていると判定し、
(s)コロニン-1Aの発現が低い症例で、認知機能が障害されていると判定することの何れかい1以上を含む、(3)から(6)の何れかに記載の方法。
(8) (1)に記載のバイオマーカーを測定するための試薬を含む、統合失調症診断用キット。
(9) (1)に記載のバイオマーカーを測定するための試薬が、(1)に記載のバイオマーカーに対する抗体である、(8)に記載の統合失調症診断用キット。
(10) (1)に記載のバイオマーカー又はそれをコードする遺伝子の機能を調節する化合物を探索する工程を含む、統合失調症の治療又は予防薬のスクリーニング方法。
(9) (1)に記載のバイオマーカーを測定するための試薬が、(1)に記載のバイオマーカーに対する抗体である、(8)に記載の統合失調症診断用キット。
(10) (1)に記載のバイオマーカー又はそれをコードする遺伝子の機能を調節する化合物を探索する工程を含む、統合失調症の治療又は予防薬のスクリーニング方法。
本発明によれば、被験者由来の生体試料中のタンパク質(a)〜(s)から選択される少なくとも1つのバイオマーカーの量を計測することにより、対照被験者の生体試料中と比較し増加又は減少する場合に当該被験者は統合失調症又はその亜型に罹患していると診断することができる。さらに、本発明のバイオマーカーは、薬剤効果判定においても有用性が高い。また、本発明によりタンパク質(a)〜(s)のいずれかのタンパク質の機能を調節する化合物を見いだすためのスクリーニング方法の実施が可能となり、当該スクリーニングにより得られた化合物は、新規な統合失調症の予防又は治療薬として利用することができる。
本発明の実施の形態について以下に説明する。
<バイオマーカー>
本発明は、以下の(a)〜(s)から選択されるタンパク質からなる、統合失調症診断・亜型分類・評価のためのバイオマーカーが提供される。
(a)フィブロシスチン−L(Fibrocystin-L)(PKHD1L1;配列番号1);
(b)コルジン(Chordin)(CHRD;配列番号2);
(c)ニュートロフィル・ディフェンシン1(Neutrophil defensin 1)(HNP 1;配列番号3);
(d)アミロイド前駆体様タンパク質2(Amyloid β precursor like protein 2)(APLP2;配列番号4);
(e)ミエリン関連糖タンパク質(Myelin associated glycoprotein)(MAG;配列番号5);
(f)オリゴデンドロサイト-ミエリン糖タンパク質(Oligodendrocyte-myelin glycoprotein)(OMGP;配列番号6);
(g)ラトロフィリン-3(Latrophilin-3) (LPNH3;配列番号7);
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1(Prolow-density lipoprotein receptor-related protein 1) (LRP-1;配列番号8);
(i)ニューロプラスチンアイソフォームb(Neuroplastin isoform b) (NPTN;配列番号9);
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームA(Cartilage acidic protein 1 isoform A)(CRTAC1;配列番号10);
(k)システインリッチEGF様ドメインタンパク質1アイソフォーム2(Cysteine-rich with EGF-like domain protein 1 isoform 2)(CRELD1;配列番号11);
(l)フィブリン-1アイソフォームC(Fibulin-1 isoform C)(FBLN1;配列番号12);
(m)メタロプロテアーゼ阻害物質1(Metalloproteinase inhibitor 1) (TIMP1;配列番号13);
(n)リソスタチン-1-アルファ(Lithostathine-1-alpha)(REG-1-alpha;配列番号14);
(o)受容体チロシンキナーゼUFO(Tyrosine-protein kinase receptor UFO isoform 1)(AXL;配列番号15);
(p)カテプシンL1(Cathepsin L1) (CTSL1;配列番号16);
(q)ロイシン反復含有免疫グロブリンスーパーファミリー(Immunoglobulin superfamily containing leucine-rich repeat protein) (ISLR;配列番号17);
(r)プリオンタンパク質(Major prion protein) (PrP;配列番号18);
(s)コロニン-1A (Coronin-1A)(COLO1A;配列番号19);
<バイオマーカー>
本発明は、以下の(a)〜(s)から選択されるタンパク質からなる、統合失調症診断・亜型分類・評価のためのバイオマーカーが提供される。
(a)フィブロシスチン−L(Fibrocystin-L)(PKHD1L1;配列番号1);
(b)コルジン(Chordin)(CHRD;配列番号2);
(c)ニュートロフィル・ディフェンシン1(Neutrophil defensin 1)(HNP 1;配列番号3);
(d)アミロイド前駆体様タンパク質2(Amyloid β precursor like protein 2)(APLP2;配列番号4);
(e)ミエリン関連糖タンパク質(Myelin associated glycoprotein)(MAG;配列番号5);
(f)オリゴデンドロサイト-ミエリン糖タンパク質(Oligodendrocyte-myelin glycoprotein)(OMGP;配列番号6);
(g)ラトロフィリン-3(Latrophilin-3) (LPNH3;配列番号7);
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1(Prolow-density lipoprotein receptor-related protein 1) (LRP-1;配列番号8);
(i)ニューロプラスチンアイソフォームb(Neuroplastin isoform b) (NPTN;配列番号9);
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームA(Cartilage acidic protein 1 isoform A)(CRTAC1;配列番号10);
(k)システインリッチEGF様ドメインタンパク質1アイソフォーム2(Cysteine-rich with EGF-like domain protein 1 isoform 2)(CRELD1;配列番号11);
(l)フィブリン-1アイソフォームC(Fibulin-1 isoform C)(FBLN1;配列番号12);
(m)メタロプロテアーゼ阻害物質1(Metalloproteinase inhibitor 1) (TIMP1;配列番号13);
(n)リソスタチン-1-アルファ(Lithostathine-1-alpha)(REG-1-alpha;配列番号14);
(o)受容体チロシンキナーゼUFO(Tyrosine-protein kinase receptor UFO isoform 1)(AXL;配列番号15);
(p)カテプシンL1(Cathepsin L1) (CTSL1;配列番号16);
(q)ロイシン反復含有免疫グロブリンスーパーファミリー(Immunoglobulin superfamily containing leucine-rich repeat protein) (ISLR;配列番号17);
(r)プリオンタンパク質(Major prion protein) (PrP;配列番号18);
(s)コロニン-1A (Coronin-1A)(COLO1A;配列番号19);
本発明においてバイオマーカーとして使用するタンパク質は、好ましくは、Fibrocystin-L、Myelin-associated glycoprotein、Latrophilin-3、Prolow-density lipoprotein receptor-related protein 1 、Cartilage acidic protein 1 isoform A、Cysteine-rich with EGF-like domain protein 1 isoform 2 、Metalloproteinase inhibitor 1、Tyrosine-protein kinase receptor UFO isoform 1である。
本発明においては、上記のインタクトなタンパク質をマーカーとして用いるが、配列番号1〜19で表されるアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、付加したアミノ酸配列からなるタンパク質も本発明の方法においてバイオマーカーとして用いることができる。さらに、上記タンパク質のペプチド断片であっても、特異的抗体によって認識できるものであればマーカーとして使用可能である。
本発明のバイオマーカーとして使用するタンパク質は、上記で列挙したタンパク質のうち1種類のみでも使用可能であるが、複数のタンパク質を組み合わせて使用すればさらに正確な診断または発症予測が可能となる。好ましくは2種類以上、さらに好ましくは5種類以上のタンパク質を組み合わせることが可能である。
<統合失調症>
統合失調症とは、幻覚や妄想等の症状が特徴的であり、主には10代後半から20代に発症し、慢性に進行する精神疾患である。陽性症状(幻覚や妄想、まとまりに欠ける会話や行動など)、陰性症状(感情の平板化、思考の貧困、意欲の低下など)及び認知障害(注意障害、作業記憶の低下、実行機能障害など)を主な症状とする。本発明において対象となる統合失調症には上記で代表される症状を呈するあらゆる患者が含まれる。
統合失調症とは、幻覚や妄想等の症状が特徴的であり、主には10代後半から20代に発症し、慢性に進行する精神疾患である。陽性症状(幻覚や妄想、まとまりに欠ける会話や行動など)、陰性症状(感情の平板化、思考の貧困、意欲の低下など)及び認知障害(注意障害、作業記憶の低下、実行機能障害など)を主な症状とする。本発明において対象となる統合失調症には上記で代表される症状を呈するあらゆる患者が含まれる。
本発明の1つの態様は、被験者由来の生体試料における、上述のバイオマーカーの量を測定することを含む、当該被験者が統合失調症又はその亜型に罹患しているか否かを判定する方法である。「統合失調症の亜型に罹患しているか否かを判定する」とは、髄液中の特定の分子が統合失調症群の一部で異常値を示していれば、統合失調症の中の未知の亜型として分離判定できることを意味する。このように亜型を分離できれば、当該亜型に対する治療薬の開発が可能になるかもしれない。
本発明のバイオマーカーはin vitroにおいて被験者由来の生体試料における当該タンパク質の量を測定し、当該測定結果に基づき統合失調症の診断又は将来の発症可能性を評価する上で有用な指標である。「診断」は、検査時において統合失調症を発症しているか否かを表すことになる。通常、統合失調症の診断は、医師の問診等を基にした症候学によって行われているが、本発明の方法を使用することにより、より簡便で客観的な診断が可能となる。他方、「将来の発症の可能性」は統合失調症を将来発症する可能性(リスク)を表す。さらに症状の程度を客観的に評価し、重症度の指標や治療効果の判定に用いることができる。
本発明のバイオマーカーを使用することにより上述のように簡便で客観的な統合失調症の診断又は発症予測が可能になれば、当該疾患の早期発見や早期治療に役立つ。
<統合失調症又はその亜型の検査方法>
本発明によれば、被験者由来の生体試料における、上記した本発明のバイオマーカーの量を測定することを含む、統合失調症又はその亜型の検査方法が提供される。なお、本発明の検査方法は、その判定基準から明らかな通り、医師や検査技師など専門知識を有する者の判断によらずに自動的/機械的に行うことができる。
本発明によれば、被験者由来の生体試料における、上記した本発明のバイオマーカーの量を測定することを含む、統合失調症又はその亜型の検査方法が提供される。なお、本発明の検査方法は、その判定基準から明らかな通り、医師や検査技師など専門知識を有する者の判断によらずに自動的/機械的に行うことができる。
本発明における「被験者由来の生体試料」とは、被験者より採取することが可能である血液、脳脊髄液、唾液、精液などの体液又は各種器官から採取した組織等が挙げられるが、特に限定されない。これらの試料は、倫理的な問題が生じないように採血又はバイオプシーなどにより、被験者から分離されることが望ましい。好ましくは、生体試料は、血液又は脳脊髄液であり、さらに好ましくは脳脊髄液である。脳脊髄液を用いた解析では、数多くの神経特異的タンパク質の同定が可能であり、中枢神経の状態を直接的に反映していると考えられる。
被験者由来の生体試料における、バイオマーカーの量を測定するとは、被験者由来の生体試料における、(a)〜(s)から選択されるタンパク質の量を定性的又は定量的に測定することを意味する。
タンパク質の定量方法は特に限定されないが、好ましくは免疫学的手法を利用することができる。免疫学的手法による測定では、採用するバイオマーカーに特異的に結合する物質を使用する。バイオマーカーに特異的に結合する物質としては、好ましくは抗体が用いられるが、これに限定されず、バイオマーカーに特異的に結合し、その結合量を測定可能な物質であれば他の物質を使用することができる。タンパク質に対する抗体は、公知の方法に従って、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体として作製することができる。また、市販の抗体を利用することも可能である。
測定法として、蛍光免疫測定法(FIA法)、酵素免疫測定法(EIA法)、放射免疫測定法(RIA法)、ウエスタンブロット法などが利用可能である。好ましい測定法としては、FIA法及びEIA法(ELISA法を含む)を挙げることができる。特に好ましい測定法としては、検出感度が高いことや特異性が高いこと、定量性に優れること、操作が簡便であることなどの点から、ELISA法が挙げられる。
ELISA法を利用する場合の具体的な操作の一例を以下に示す。まず、バイオマーカーに対する抗体を不溶性支持体(例えば、マイクロプレート)の表面に固定化する。このように固相化した抗体に対して、被験者由来の生体試料を接触させる。これにより、固相化した抗バイオマーカー抗体に対する抗原(当該バイオマーカー)が生体試料中に存在していれば免疫複合体が形成される。洗浄によって非特異的に結合した抗原を除去した後、酵素標識した第二の抗体を添加することで免疫複合体を標識する。その後、酵素の基質を反応させて発色させ、発色量を指標として免疫複合体を定量することができる。なお、上記したような非競合的なサンドイッチ法に限らず、競合法(生体試料とともに抗原を添加して競合させる方法)を用いることもできる。
また、測定方法としては、プロテインアレイやプロテインチップ等、多数の検体を同時に検出可能な手段を用いることもできる。プローブには例えば標的のバイオマーカー特異的な抗体が用いられる。
また、タンパク質の解析に同位体標識法を用いることも可能である。同位体標識法の例としてはcICAT法やiTRAQ法が挙げられる。
本発明でバイオマーカーとして選択された19分子のタンパク質はcICAT法による網羅的解析により見いだされたが、実際に医療現場でバイオマーカーとしてこれらのタンパク質を検出するにあたっては、より簡便な検出方法である免疫学的手法を用いることが好ましい。
本発明でバイオマーカーとして選択された19分子のタンパク質はcICAT法による網羅的解析により見いだされたが、実際に医療現場でバイオマーカーとしてこれらのタンパク質を検出するにあたっては、より簡便な検出方法である免疫学的手法を用いることが好ましい。
被験者が統合失調症又はその亜型に罹患しているか否か、又はその発症可能性が高いか否かを判定する方法としては、例えば、対照被験者の生体試料中のタンパク質の量(即ち、基準値)と比較し増加又は減少する場合に当該被験者は統合失調症に罹患している、又は統合失調症の発症可能性が高いと判定する方法が挙げられる。ここで、対照被験者とは、何ら病気に罹患していない健常なヒトのみに限定されるものではなく、統合失調症に罹患していないことが明らかなヒトであれば該当することができる
<統合失調症治療薬の予防又は治療効果を判定する方法>
本発明によれば、被験物質を投与された被験動物由来の生体試料における、上記した本発明のバイオマーカーの量を測定することを含む、被験物質の統合失調症への予防又は治療効果を判定する方法が提供される。なお、本発明の判定方法は、その判定基準から明らかな通り、医師や検査技師など専門知識を有する者の判断によらずに自動的/機械的に行うことができる。
本発明によれば、被験物質を投与された被験動物由来の生体試料における、上記した本発明のバイオマーカーの量を測定することを含む、被験物質の統合失調症への予防又は治療効果を判定する方法が提供される。なお、本発明の判定方法は、その判定基準から明らかな通り、医師や検査技師など専門知識を有する者の判断によらずに自動的/機械的に行うことができる。
本発明における被験物質とは、本発明の方法を用いて統合失調症の予防又は治療効果を評価できるものであればよく、被検動物に投与可能な物質であれば特に限定されない。微生物、動物、植物などの天然成分、有機化合物、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類、脂質類、糖質類、タンパク質類、核酸類などを挙げることができる。
被験動物は、ヒトでも非ヒト動物(好ましくは非ヒト哺乳動物)でもよい。非ヒト動物としては、例えば、非ヒト霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、魚類、げっ歯類(例えば、テンジクネズミ、ラット、マウス);昆虫(例えば、Drosophila)、両生類(例えば、Xenopus)などである。
被験物質の統合失調症に対する治療効果を判定する方法としては、統合失調症と診断された被験者において、被験物質の投与前と投与後における生体試料中の特定のタンパク質の量を比較し、被験物質を投与した前後のタンパク質の量の変動が生じている場合に、被験物質は統合失調症に対して治療効果があると判定することができる。上記のタンパク量変動に関して、統合失調症患者の生体試料において量が増加しているタンパク質については、被験物質投与によりタンパク質の量が低下することが好ましく、統合失調症患者の生体試料において量が低下しているタンパク質については、被験物質投与によりタンパク質の量が増加することが好ましい。
また、上述のバイオマーカーが統合失調症の発症前から変動していることがわかっている場合、被験物質の投与前と投与後における生体試料中の特定のタンパク質の量を比較し、被験物質を投与した前後のタンパク質の量の変動が生じている場合に、被験物質は統合失調症に対して予防効果があると判定することができる。
<統合失調症診断用キット>
本発明の統合失調症診断用キットは、例えば上述のようなFIA法、EIA法又はRIA法等によりバイオマーカーとして選ばれたタンパク質を定量することを目的としたキットである。本発明の統合失調症診断用キットは、本発明のバイオマーカーを測定するための試薬を含む。バイオマーカーを測定するための試薬は、好ましくは本発明のバイオマーカーに対する抗体である。本発明の統合失調症診断用キットにはさらに、本発明のバイオマーカーと、上記抗体との結合を検出するための試薬(例えば、標識した二次抗体など)を含めることができる。
本発明の統合失調症診断用キットは、例えば上述のようなFIA法、EIA法又はRIA法等によりバイオマーカーとして選ばれたタンパク質を定量することを目的としたキットである。本発明の統合失調症診断用キットは、本発明のバイオマーカーを測定するための試薬を含む。バイオマーカーを測定するための試薬は、好ましくは本発明のバイオマーカーに対する抗体である。本発明の統合失調症診断用キットにはさらに、本発明のバイオマーカーと、上記抗体との結合を検出するための試薬(例えば、標識した二次抗体など)を含めることができる。
本発明のバイオマーカーに対する抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれでもよい。ポリクローナル抗体としては、抗原で免疫して動物から得た抗血清由来のIgG画分のほか、抗原によるアフィニティー精製抗体でもよい。また、本発明で用いる抗体は、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv抗体などの抗体断片でもよい。
本発明で用いる抗体は、免疫学的手法、又はファージディスプレイ法などを利用して調製することができる。免疫学的手法でポリクローナル抗体を調製する場合は次の手順で行うことができる。天然由来の抗原又は組み換え抗原をウサギ等の動物に免疫する。その際、免疫惹起作用を増強するために、KLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)、BSA(Bovine Serum Albumin)、OVA(Ovalbumin)などのキャリアタンパク質を結合させた抗原を用いてもよい。必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で採血し、遠心処理などによって血清を得る。得られた抗血清をアフィニティー精製し、ポリクローナル抗体を得ることができる。また、モノクローナル抗体については次の手順で調製することができる。まず、上記と同様に免疫感作を行う。必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で免疫動物から抗体産生細胞を取得する。得られた抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合してハイブリドーマを得て、このハイブリドーマをモノクローナル化した後、目的タンパク質に対して高い特異性を有する抗体を産生するクローンを選択する。選択されたクローンの培養液を精製することによって目的の抗体が得られる。また、ハイブリドーマを所望数以上に増殖させた後、これを動物(例えばマウス)の腹腔内に移植し、腹水内で増殖させて腹水を精製することにより目的の抗体を取得することもできる。培養液の精製又は腹水の精製には、プロテインG、プロテインA等を用いたアフィニティークロマトグラフィーを使用することができる。
抗体として標識抗体を使用することもできる。標識抗体を使用すれば、結合抗体量を直接検出することができるので簡便な検査法となるが、検出感度が低くなるという問題もある。そこで、標識物質を結合させた二次抗体を利用する方法を採用することもできる。二次抗体とは、一次抗体に特異的結合性を有する抗体であって例えばウサギ抗体として一次抗体を調製した場合には抗ウサギIgG抗体を使用できる。ウサギやヤギ、マウスなど様々な種の抗体に対して使用可能な標識二次抗体が市販されており、本発明の試薬に応じて適切なものを適宜選択して使用することができる。
標識物質としては、ペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びグルコース−6−リン酸脱水素酵素などの酵素、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)及びユーロピウムなどの蛍光物質、ルミノール、イソルミノール及びアクリジニウム誘導体などの化学発光物質、NADなどの補酵素、ビオチン、並びに131I及び125Iなどの放射性物質などが挙げられる。
本発明の一例においては、本発明で用いる抗体は固相化されていてもよい。固相化に用いる不溶性支持体は特に限定されず、例えばポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、ナイロン樹脂等の樹脂や、ガラス等の水に不溶性の物質からなる不溶性支持体を用いることができる。不溶性支持体への抗体の担持は物理吸着又は化学吸着によって行うことができる。
本発明の統合失調症診断用キットには、本発明のバイオマーカーに対する抗体以外の試薬(緩衝液、ブロッキング用試薬、酵素の基質、発色試薬など)を含めることができ、さらに反応容器などを含めることもできる。
<統合失調症の治療又は予防薬のスクリーニング方法>
本発明によれば、上記した本発明のバイオマーカー又はそれをコードする遺伝子の機能を調節する化合物を探索する工程を含む、統合失調症の治療又は予防薬のスクリーニング方法が提供される。
本発明によれば、上記した本発明のバイオマーカー又はそれをコードする遺伝子の機能を調節する化合物を探索する工程を含む、統合失調症の治療又は予防薬のスクリーニング方法が提供される。
本発明のバイオマーカー又はそれをコードする遺伝子の機能を調節する化合物を探索する工程としては、たとえば下記(I)〜(III)を含む工程が挙げられる。
(I)被験物質と、(a)〜(s)から選択されるいずれかのタンパク質の発現レベルを測定可能な細胞とを接触させること;
(II)被験物質を接触させた細胞における上記(I)で選択されたタンパク質の発現レベルを測定し、該発現レベルを被検物質を接触させない対照細胞における該タンパク質の発現レベルと比較すること;並びに
(III)上記(II)の比較結果に基づき、該タンパク質の発現レベルの変動を引き起こした被験物質を、統合失調症の治療又は予防薬として選択すること。
(I)被験物質と、(a)〜(s)から選択されるいずれかのタンパク質の発現レベルを測定可能な細胞とを接触させること;
(II)被験物質を接触させた細胞における上記(I)で選択されたタンパク質の発現レベルを測定し、該発現レベルを被検物質を接触させない対照細胞における該タンパク質の発現レベルと比較すること;並びに
(III)上記(II)の比較結果に基づき、該タンパク質の発現レベルの変動を引き起こした被験物質を、統合失調症の治療又は予防薬として選択すること。
本発明のスクリーニング方法に供される被験物質の種類は、特に限定されない。微生物、動物、植物などの天然成分、有機化合物、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類、脂質類、糖質類、タンパク質類、核酸類などを挙げることができる。
ここで、被検物質と細胞との接触は、in vitroで行ってもよいし、非ヒト動物(好ましくは非ヒト哺乳動物)の生体内で行ってもよい。非ヒト動物としては、例えば、非ヒト霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、魚類、げっ歯類(例えば、テンジクネズミ、ラット、マウス);昆虫(例えば、Drosophila)、両生類(例えば、Xenopus)などである。上記したスクリーニングにより見いだされた化合物は、統合失調症の予防又は治療薬として提供することができる。
以下の実施例により本発明さらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
試験例1:統合失調症患者の脳脊髄液を用いたプロテオーム解析
(1)試験方法
本研究は、国立精神・神経医療センターの倫理委員会において承認を得たうえで実施した。脳脊髄液は、院内ポスター等で募集した83例(延べ159検体)の統合失調症患者及びホームページ等で募集した82例(延べ92検体)の健常対照者より書面で同意を得たのち、腰椎穿刺にて脳脊髄液を採取した。それらより年齢・性をマッチさせたコホートを2組作成しプロテオーム解析を行った。第一コホートは統合失調症・健常対照、各10例(すべて男性、年齢43.0±12.2対41.4±13.3)、第二コホートは統合失調症9例(男5、女4、年齢40.8±10.6)、健常対照10例(男6、女4、年齢39.7±12.2)であった。
(1)試験方法
本研究は、国立精神・神経医療センターの倫理委員会において承認を得たうえで実施した。脳脊髄液は、院内ポスター等で募集した83例(延べ159検体)の統合失調症患者及びホームページ等で募集した82例(延べ92検体)の健常対照者より書面で同意を得たのち、腰椎穿刺にて脳脊髄液を採取した。それらより年齢・性をマッチさせたコホートを2組作成しプロテオーム解析を行った。第一コホートは統合失調症・健常対照、各10例(すべて男性、年齢43.0±12.2対41.4±13.3)、第二コホートは統合失調症9例(男5、女4、年齢40.8±10.6)、健常対照10例(男6、女4、年齢39.7±12.2)であった。
統合失調症患者の脳脊髄液と健常対照者の脳脊髄液中のタンパク質を、cICAT法により比較定量解析を行った。すなわち、常法により(Mol. Cell Proteomics, 2:299-314, 2003)、ミリポア製分子量カラム(5kD)で脳脊髄液中タンパク質を濃縮し、シグマ社製抗体カラム(Seppro IgY14 LC2 Column)により、アルブミン、IgG、フィブリノーゲン, トランスフェリン, IgA, IgM, ハプトグロビン, α2-マクログロブリン, α1-酸性糖タンパク, α1-アンチトリプシン, HDL (アポA-I,アポA-II), アポB, および補体C3を除去したタンパク質サンプル(100μg)を、cICAT−H鎖試薬で標識し、比較用の標準脳脊髄液(プール脳脊髄液)をcICAT−L鎖試薬で標識した。標識した各タンパク質サンプルを混合後、トリプシン処理で得られたペプチド断片をアビジンカラムで精製し、さらにTFA処理でビオチン部分切断することにより、cICAT標識ペプチド(H鎖、L鎖)を得た。本標識ペプチドをSCXカラム(4.6x100mm)で25分画し、各画分のcICATペプチドをC18カラムで回収後、nano-LC(LC-Packings)/QSTAR XL(AB、ESI-Q/TOF)質量分析装置で解析を行い、統合データベースシステム(HiSpec、日立製作所)を用いて、脳脊髄液中の各タンパク質の比較定量比(H/L)を計算した。得られた数値を検体ごと、タンパク質ごとに並べた一覧を作成し、第一コホートの健常対照例の平均スコア(HiSpecで算出される値で、データの信頼度を反映している)の大きい順に並べ替えた。上位656分子(抗体カラムの除去分子は除いた)について、数値が算出されていないものについては、可能な限り、ペプチドのピークを探し出して手動で測定を行った。
本件についてはプール脳脊髄液を標準脳脊髄液として、健常日本人又と統合失調症患者の脳脊髄液を比較検討し、比較定量比を算出した。即ち、標準脳脊髄液をL鎖試薬で、健常日本人又は統合失調症患者脳脊髄液をH鎖試薬で標識し、各々同定タンパク質と比較定量値(H/L)を測定した。
(2)試験結果
得られた各コホートの一覧について、まず、検体ごとに656分子の測定値の中央値で、各測定値を補正し、次に対数変換(log2)を行った。得られた一覧を基に、統計的解析を行った。
得られた各コホートの一覧について、まず、検体ごとに656分子の測定値の中央値で、各測定値を補正し、次に対数変換(log2)を行った。得られた一覧を基に、統計的解析を行った。
統計的解析の結果に基づき、以下の(i)〜(iii)のいずれかの基準を用いて統合失調症のマーカーとして有望なタンパク質を選定した。
(i)統合失調症群及び健常対照群の発現量に差があること(T検定においてp<0.1)。
(ii)統合失調症群で発現量の変動が大きくなること(F検定においてp<0.1)、かつ統合失調症群における分散が健常対照群の分散の2倍より大きい(F値が2より大きい)。
(iii)PANSS(統合失調症、陽性・陰性症状評価尺度)の陽性尺度、陰性尺度、総合精神病理尺度の各合計値とのピアソンの積率相関係数を算出し、発現量との間に相関が認められるもの。
(i)統合失調症群及び健常対照群の発現量に差があること(T検定においてp<0.1)。
(ii)統合失調症群で発現量の変動が大きくなること(F検定においてp<0.1)、かつ統合失調症群における分散が健常対照群の分散の2倍より大きい(F値が2より大きい)。
(iii)PANSS(統合失調症、陽性・陰性症状評価尺度)の陽性尺度、陰性尺度、総合精神病理尺度の各合計値とのピアソンの積率相関係数を算出し、発現量との間に相関が認められるもの。
以上について、グラフで目視したうえ、原則的には第一コホートと第二コホートで、一致したものを候補とした。第一コホートで統計的に有意で、かつ、分子病態との関与が強く疑われるものは、一致を確認する前に候補とした。656分子の中から上記選定基準により19分子のタンパク質が統合失調症のマーカーとして選択された。19個の各分子について、選択の根拠となった主な解析結果を図1〜図19に示した。
試験例2:19分子の発現量変動のELISAを用いた再現性確認(多検体解析)
(1)試験方法
選ばれた19分子の健常対照者と統合失調症患者の発現量変動の再現性を確認するため、脳脊髄液中のタンパク量をELISAにより測定した。ELISAは各分子測定用の市販キットを用いて実施した。測定は、事前に、健常対照者と統合失調症患者のプール脳脊髄液を用いて、脳髄液中各タンパク質がキットの検量線内に収まる希釈倍率を確定した後に、確定した希釈倍率における40例の患者群と40例の健常対照者脳脊髄液を用いて患者ごとに行った。
(1)試験方法
選ばれた19分子の健常対照者と統合失調症患者の発現量変動の再現性を確認するため、脳脊髄液中のタンパク量をELISAにより測定した。ELISAは各分子測定用の市販キットを用いて実施した。測定は、事前に、健常対照者と統合失調症患者のプール脳脊髄液を用いて、脳髄液中各タンパク質がキットの検量線内に収まる希釈倍率を確定した後に、確定した希釈倍率における40例の患者群と40例の健常対照者脳脊髄液を用いて患者ごとに行った。
各19分子のELISAキットは下記のものを使用した。
Fibrocystin-L(Cusabio Biotech社、カタログ番号 ; CSB-EL018067HU)
Chordin(R&D社、カタログ番号 ; DY758)
Neutrophil defensin 1(Hycult biotec社、カタログ番号 ; HK317-02)
Amyloid β precursor like protein 2(Uscn Life Science社、カタログ番号 ; SE96122HU)
Myelin associated glycoprotein(Uscn Life Science社、カタログ番号 ; SE90422HU)
Oligodendrocyte-myelin glycoprotein(Novatein Biosciences社、カタログ番号 ; NB-E20045)
Latrophilin-3(Uscn Life Science社、カタログ番号 ; SE90340HU)
Prolow-density lipoprotein receptor-related protein 1(Uscn Life Science社、カタログ番号 ; SE91010Hu)
Neuroplastin isoform b(Cusabio Biotech社、カタログ番号 ; CSB-EL016028HU)
Cartilage acidic protein 1 isoform A(Cusabio Biotech社、カタログ番号 ; CSB-EL005997HU)
Cysteine-rich with EGF-like domain protein 1 isoform 2(Cusabio Biotech社、カタログ番号 ; CSB-EL005959HU)
Fibulin-1 isoform C(Uscn Life Science社、カタログ番号; SE92472HU)
Metalloproteinase inhibitor 1(Abnova Corporation社、カタログ番号 ; OK-0163)
Lithostathine-1-alpha(Uscn Life Science社、カタログ番号; SE91760HU)
Tyrosine-protein kinase receptor UFO isoform 1(Abnova Corporation社、カタログ番号; KA1696)
Cathepsin L1(Cusabio Biotech社、カタログ番号 ; CSB-E17971H)
Immunoglobulin superfamily containing leucine-rich repeat protein(Cusabio Biotech社、カタログ番号 ; CSB-EL011848HU)
Major prion protein(Bertin Pharma社、カタログ番号 ; A05201)
Coronin-1A(Uscn Life Science社、カタログ番号 ; SE98355HU)
Fibrocystin-L(Cusabio Biotech社、カタログ番号 ; CSB-EL018067HU)
Chordin(R&D社、カタログ番号 ; DY758)
Neutrophil defensin 1(Hycult biotec社、カタログ番号 ; HK317-02)
Amyloid β precursor like protein 2(Uscn Life Science社、カタログ番号 ; SE96122HU)
Myelin associated glycoprotein(Uscn Life Science社、カタログ番号 ; SE90422HU)
Oligodendrocyte-myelin glycoprotein(Novatein Biosciences社、カタログ番号 ; NB-E20045)
Latrophilin-3(Uscn Life Science社、カタログ番号 ; SE90340HU)
Prolow-density lipoprotein receptor-related protein 1(Uscn Life Science社、カタログ番号 ; SE91010Hu)
Neuroplastin isoform b(Cusabio Biotech社、カタログ番号 ; CSB-EL016028HU)
Cartilage acidic protein 1 isoform A(Cusabio Biotech社、カタログ番号 ; CSB-EL005997HU)
Cysteine-rich with EGF-like domain protein 1 isoform 2(Cusabio Biotech社、カタログ番号 ; CSB-EL005959HU)
Fibulin-1 isoform C(Uscn Life Science社、カタログ番号; SE92472HU)
Metalloproteinase inhibitor 1(Abnova Corporation社、カタログ番号 ; OK-0163)
Lithostathine-1-alpha(Uscn Life Science社、カタログ番号; SE91760HU)
Tyrosine-protein kinase receptor UFO isoform 1(Abnova Corporation社、カタログ番号; KA1696)
Cathepsin L1(Cusabio Biotech社、カタログ番号 ; CSB-E17971H)
Immunoglobulin superfamily containing leucine-rich repeat protein(Cusabio Biotech社、カタログ番号 ; CSB-EL011848HU)
Major prion protein(Bertin Pharma社、カタログ番号 ; A05201)
Coronin-1A(Uscn Life Science社、カタログ番号 ; SE98355HU)
なお、感度に問題があったChordin、Myelin associated glycoprotein、Latrophilin-3、Neuroplastin isoform b、Cysteine-rich with EGF-like domain protein 1 isoform 2、Cathepsin L1、 Immunoglobulin superfamily containing leucine-rich repeat protein、Coronin-1Aの8キットに関しては、Can get signal Immunoreaction Enhance Solution (東洋紡社、カタログ番号 ; NKB-101)もしくは、SuperSignal ELISA Femto Maximum Sensitivity Substrate (Thermo scientific社、カタログ番号 ; 37074)にて感度を増強し、検体測定を実施した。
各群のタンパク量の比較は、試験例1と同様にT検定やF検定等の統計データにより行った。 また、統合失調症の症状との相関を解析するため、PANSS(統合失調症、陽性・陰性症状評価尺度)の合計点、および陽性尺度、陰性尺度、総合精神病理尺度の各小計値、抗精神病薬のクロルプロマジン等価換算値、統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS)とのピアソンの積率相関係数を算出した。ピアソンの積率相関係数は、基本的に絶対値0.4以上を相関ありと判定したが、最終的には外れ値の有無を考慮した上で判断した。
(2)試験結果
各タンパク質のマーカーとしての有用性を示す主要なデータを図20〜図38に示した。
各タンパク質のマーカーとしての有用性を示す主要なデータを図20〜図38に示した。
Fibrocystin-L (PKHD1L1)
多検体解析では、健常群と比べ統合失調症群でFibrocystin-L発現が低下していた。統合失調症群内でFibrocystin-Lの発現はBACSの「作動記憶」との負の相関があり、Fibrocystin-L発現が高い症例では認知機能が障害されていることが判明した(図20)。したがって、本分子は統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
多検体解析では、健常群と比べ統合失調症群でFibrocystin-L発現が低下していた。統合失調症群内でFibrocystin-Lの発現はBACSの「作動記憶」との負の相関があり、Fibrocystin-L発現が高い症例では認知機能が障害されていることが判明した(図20)。したがって、本分子は統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
Chordin(CHRD)
多検体解析では健常群との明らかな差は認められなかった。統合失調症群内でChordin発現量はBACSの「注意・情報」と負の相関があり、Chordin発現が高い症例では認知機能が障害されていることが判明した(図21)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
多検体解析では健常群との明らかな差は認められなかった。統合失調症群内でChordin発現量はBACSの「注意・情報」と負の相関があり、Chordin発現が高い症例では認知機能が障害されていることが判明した(図21)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
Neutrophil defensin 1(HNP1)
多検体解析では、統合失調症群では分散が大きく、著明に発現が上昇している症例があった。健常対照群の平均値+2×標準偏差より大きい値を示す例は健常対照群でなかったが、統合失調症群では5例存在した(図22)。このように統合失調症では、Neutrophil defensin 1が異常値を示す症例があり、症候群である統合失調症の亜型を分類するマーカー、あるいは、そのような亜型の治療標的として利用できる可能性がある。
多検体解析では、統合失調症群では分散が大きく、著明に発現が上昇している症例があった。健常対照群の平均値+2×標準偏差より大きい値を示す例は健常対照群でなかったが、統合失調症群では5例存在した(図22)。このように統合失調症では、Neutrophil defensin 1が異常値を示す症例があり、症候群である統合失調症の亜型を分類するマーカー、あるいは、そのような亜型の治療標的として利用できる可能性がある。
Amyloid β precursor like protein 2 (APLP2)
多検体解析では健常群との明らかな差は認められなかった。一方、統合失調症群で著明にAmyloid-like protein 2 isoform 1発現が上昇している症例があった(図23)。健常対照群の平均値+標準偏差より大きい値を示す例は健常群ではなかったが、統合失調症群では2例存在した。このように、本分子も統合失調症の亜型を分類するマーカー、あるいは、そのような亜型の治療標的として利用できる可能性がある。
多検体解析では健常群との明らかな差は認められなかった。一方、統合失調症群で著明にAmyloid-like protein 2 isoform 1発現が上昇している症例があった(図23)。健常対照群の平均値+標準偏差より大きい値を示す例は健常群ではなかったが、統合失調症群では2例存在した。このように、本分子も統合失調症の亜型を分類するマーカー、あるいは、そのような亜型の治療標的として利用できる可能性がある。
Myelin Associated Glycoprotein(MAG)
多検体解析では健常群との明らかな差は認められなかった。統合失調症候群でMyelin Associated Glycoprotein発現量とBACSの「注意・情報処理」との間に負の相関があり、発現量が高い症例では認知機能が障害されていることが判明した(図24)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカー、ないし認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
多検体解析では健常群との明らかな差は認められなかった。統合失調症候群でMyelin Associated Glycoprotein発現量とBACSの「注意・情報処理」との間に負の相関があり、発現量が高い症例では認知機能が障害されていることが判明した(図24)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカー、ないし認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
Oligodendrocyte-myerin glycoprotein(OMPG)
多検体解析では統合失調症候群でOligodendrocyte-myerin glycoprotein発現量とPANSS陽性症状との間に負の相関があり、発現量が低い程、陽性症状が強かった(図25)。したがって症状評価マーカーや陽性症状の治療標的として利用できる可能性がある。
多検体解析では統合失調症候群でOligodendrocyte-myerin glycoprotein発現量とPANSS陽性症状との間に負の相関があり、発現量が低い程、陽性症状が強かった(図25)。したがって症状評価マーカーや陽性症状の治療標的として利用できる可能性がある。
Latrophin-3 (LPNH3)
多検体解析では健常群との明らかな差は認められなかった。統合失調症候群で抗精神病薬投与量(クロルプロマジン等価換算値)とLatrophin-3発現量との間に正の相関があり、抗精神病薬投与量を反映するマーカーとして利用できる可能性がある(図26)。
多検体解析では健常群との明らかな差は認められなかった。統合失調症候群で抗精神病薬投与量(クロルプロマジン等価換算値)とLatrophin-3発現量との間に正の相関があり、抗精神病薬投与量を反映するマーカーとして利用できる可能性がある(図26)。
Prolow-density Lipoprotein receptor-related protein1 (LRP-1)
プロテオーム解析では、統合失調症群で分散が大きく、顕著に発現量が高いあるいは低い検体が含まれていた。多検体解析でも、統合失調症群で分散が大きく、著明に発現が増加している症例があった。健常対照群の平均値+2×標準偏差(健常対照群の)より大きい値を示す例は健常対照群にはなかったが、統合失調症群では3例存在した(図27)。このように本分子も統合失調症の亜型を分類するマーカーとして、あるいは、そのような亜型の治療標的として利用できる可能性がある。
プロテオーム解析では、統合失調症群で分散が大きく、顕著に発現量が高いあるいは低い検体が含まれていた。多検体解析でも、統合失調症群で分散が大きく、著明に発現が増加している症例があった。健常対照群の平均値+2×標準偏差(健常対照群の)より大きい値を示す例は健常対照群にはなかったが、統合失調症群では3例存在した(図27)。このように本分子も統合失調症の亜型を分類するマーカーとして、あるいは、そのような亜型の治療標的として利用できる可能性がある。
Neuroplastin isoform b (NPTN)
多検体解析では健常対照群との間に明らかな差は認められなかった。統合失調症群内でNeuroplastin isoform b発現量とPANSS陰性症状との間に正の相関がみられ、発現量が多い程、陰性症状が強かった(図28)。したがって症状評価マーカーや陰性症状の治療標的として利用できる可能性がある。
多検体解析では健常対照群との間に明らかな差は認められなかった。統合失調症群内でNeuroplastin isoform b発現量とPANSS陰性症状との間に正の相関がみられ、発現量が多い程、陰性症状が強かった(図28)。したがって症状評価マーカーや陰性症状の治療標的として利用できる可能性がある。
Cartilage acid protein 1 isoform A (CRTAC1)
多検体解析では、統合失調症群でCartilage acid protein 1 isoform A発現量が低下する傾向があった。統合失調症群では発現量とBACSの「遂行機能」との間に負の相関があり、発現量が高い症例では、認知機能が障害されていることが判明した(図29)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能の治療標的として利用できる可能性がある。
多検体解析では、統合失調症群でCartilage acid protein 1 isoform A発現量が低下する傾向があった。統合失調症群では発現量とBACSの「遂行機能」との間に負の相関があり、発現量が高い症例では、認知機能が障害されていることが判明した(図29)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能の治療標的として利用できる可能性がある。
Cysteine-rich with EGF-like domain protein 1 isoform 2 (CRELD1)
多検体解析では、統合失調症群でCysteine-rich with EGF-like domain protein 1 isoform 2発現量は有意に低下していた(図30)。したがって本分子は診断・リスク評価マーカーとして利用できる可能性がある。
多検体解析では、統合失調症群でCysteine-rich with EGF-like domain protein 1 isoform 2発現量は有意に低下していた(図30)。したがって本分子は診断・リスク評価マーカーとして利用できる可能性がある。
Fiblin-1 isoform C (FBLN1)
統合失調症群ではFiblin-1 isoform Cの発現量がBACSの「注意・情報処理」と負の相関があり、発現量が高い症例では、認知機能が障害されていることが判明した(図31)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
統合失調症群ではFiblin-1 isoform Cの発現量がBACSの「注意・情報処理」と負の相関があり、発現量が高い症例では、認知機能が障害されていることが判明した(図31)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
Metalloproteinase inhitor 1 (TIMP1)
統合失調症群ではMetalloproteinase inhitor 1の発現量とBACSの「注意・情報処理」との間に負の相関があり、発現量が高い症例では認知機能が障害されていた(図32)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
統合失調症群ではMetalloproteinase inhitor 1の発現量とBACSの「注意・情報処理」との間に負の相関があり、発現量が高い症例では認知機能が障害されていた(図32)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
Lithostathine-1-α (REG-1-alpha)
プロテオーム解析と同様、多検体解析でもLithostatine-1-α発現量が統合失調症群で増加していた(図33)。したがって本分子は診断・リスク評価マーカーとして利用できる可能性がある。
プロテオーム解析と同様、多検体解析でもLithostatine-1-α発現量が統合失調症群で増加していた(図33)。したがって本分子は診断・リスク評価マーカーとして利用できる可能性がある。
Tyrosin-protein kinase receptor UFO isoform 1 (AXL)
多検体解析で統合失調症群ではTyrosin-protein kinase receptor UFO isoform 1発現量はBACSの「注意・情報処理」と負の相関があり、発現量が高い症例ほど、認知機能が障害されていた(図34)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
多検体解析で統合失調症群ではTyrosin-protein kinase receptor UFO isoform 1発現量はBACSの「注意・情報処理」と負の相関があり、発現量が高い症例ほど、認知機能が障害されていた(図34)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
Cathepsin L1 (CTSL1)
プロテオーム解析と同様、多検体解析でも統合失調症群でCathhepsin L1発現量が低下する傾向が認められた(図35)。したがって本分子は診断・リスク評価マーカーとして利用できる可能性がある。
プロテオーム解析と同様、多検体解析でも統合失調症群でCathhepsin L1発現量が低下する傾向が認められた(図35)。したがって本分子は診断・リスク評価マーカーとして利用できる可能性がある。
Immnoglobulin superfamily containing leucine-rich repeat protein (ISLR)
統合失調症群ではImmnoglobulin superfamily containing leucine-rich repeat protein発現量とBACSの「意味流暢性」との間に負の相関があり、発現量が高い症例ほど、認知機能が障害されていた(図36)。したがって認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
統合失調症群ではImmnoglobulin superfamily containing leucine-rich repeat protein発現量とBACSの「意味流暢性」との間に負の相関があり、発現量が高い症例ほど、認知機能が障害されていた(図36)。したがって認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
Major prion protein (PrP)
多検体解析では、健常対照群と統合失調症群の間に明らかな差はみられなかった。統合失調症群ではMajor prion protein発現量とBACSの「作動記憶」との間に負の相関があり、発現量が高い症例ほど、認知機能が障害されていることが判明した(図37)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
多検体解析では、健常対照群と統合失調症群の間に明らかな差はみられなかった。統合失調症群ではMajor prion protein発現量とBACSの「作動記憶」との間に負の相関があり、発現量が高い症例ほど、認知機能が障害されていることが判明した(図37)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
Coronin-1A (COLO1A)
多検体解析では健常対照群との間に明らかな差は認められなかった。統合失調症群ではCoronin-1A発現量とBACSの「作動記憶」との間に正の相関があり、発現量が低い症例で、認知機能が障害されていることが判明した(図38)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
多検体解析では健常対照群との間に明らかな差は認められなかった。統合失調症群ではCoronin-1A発現量とBACSの「作動記憶」との間に正の相関があり、発現量が低い症例で、認知機能が障害されていることが判明した(図38)。したがって、本分子も統合失調症の認知機能評価マーカーないし、認知機能治療標的として利用できる可能性がある。
試験例3:他の疾患との特異性
上記の多検体解析を行った分子のうち、統合失調症群と健常対照群とで発現量に差のあった分子を中心に、疾患特異性の解析を行った。具体的にはFibrocystin-L、Myelin-associated glycoprotein、Latrophilin-3、Prolow-density lipoprotein receptor-related protein1 、Cartilage acidic protein 1 isoform A、Cysteine-rich with EGF-like domain protein 1 isoform 2 、Metalloproteinase inhibitor 1、Tyrosine-protein kinase receptor UFO isoform 1 について、統合失調症(年齢44.1±9.6)、大うつ病(44.5±11.0)、双極性障害(43.5±11.9)、健常対照(43.3±12.6)、いずれも各20例(男10、女10)の脳脊髄液を用い、ELISA解析を行った。統計的解析は、各分子の定量値だけでなく、各検体の総タンパク質濃度で補正した値についても行った。
上記の多検体解析を行った分子のうち、統合失調症群と健常対照群とで発現量に差のあった分子を中心に、疾患特異性の解析を行った。具体的にはFibrocystin-L、Myelin-associated glycoprotein、Latrophilin-3、Prolow-density lipoprotein receptor-related protein1 、Cartilage acidic protein 1 isoform A、Cysteine-rich with EGF-like domain protein 1 isoform 2 、Metalloproteinase inhibitor 1、Tyrosine-protein kinase receptor UFO isoform 1 について、統合失調症(年齢44.1±9.6)、大うつ病(44.5±11.0)、双極性障害(43.5±11.9)、健常対照(43.3±12.6)、いずれも各20例(男10、女10)の脳脊髄液を用い、ELISA解析を行った。統計的解析は、各分子の定量値だけでなく、各検体の総タンパク質濃度で補正した値についても行った。
Fibrocystin-L
疾患特異性解析においては、統合失調症群で平均値は低く(健常対照の86%)、大うつ病群でも平均値は低かった(同87%)。双極性障害群では明らかな変化はみられなかった。
疾患特異性解析においては、統合失調症群で平均値は低く(健常対照の86%)、大うつ病群でも平均値は低かった(同87%)。双極性障害群では明らかな変化はみられなかった。
Prolow-density lipoprotein receptor-related protein1
多検体解析において、統合失調症群で顕著に発現量が高い症例がみられていた。疾患特異性解析では、大うつ病群にも、顕著に発現が高い症例がみられ、平均値も上昇する傾向(健常対照群の162%, p=0.088)がみられた。双極性障害群では、そのような変化はみられなかった。
多検体解析において、統合失調症群で顕著に発現量が高い症例がみられていた。疾患特異性解析では、大うつ病群にも、顕著に発現が高い症例がみられ、平均値も上昇する傾向(健常対照群の162%, p=0.088)がみられた。双極性障害群では、そのような変化はみられなかった。
Cartilage acidic protein 1 isoform A
多検体解析では、統合失調症群で発現量が低下する傾向があった。疾患特異性解析においては、統合失調症群だけではなく(健常対照の84%)、大うつ病群でも平均値が低下していた(同85%)。双極性障害群では明らかな変化はみられなかった。
多検体解析では、統合失調症群で発現量が低下する傾向があった。疾患特異性解析においては、統合失調症群だけではなく(健常対照の84%)、大うつ病群でも平均値が低下していた(同85%)。双極性障害群では明らかな変化はみられなかった。
Cysteine-rich with EGF-like domain protein 1 isoform 2
多検体解析では、統合失調症群で発現量が低下していた。疾患特異性解析では、統合失調症群だけでなく(健常対照群の82%、p=0.069)大うつ病群(同84%、p=0.096)でも低下傾向があった。双極性障害群では明らかな変化はみられなかった。
多検体解析では、統合失調症群で発現量が低下していた。疾患特異性解析では、統合失調症群だけでなく(健常対照群の82%、p=0.069)大うつ病群(同84%、p=0.096)でも低下傾向があった。双極性障害群では明らかな変化はみられなかった。
本願発明で見いだされた統合失調症の病態と密接に関連するタンパク質は、統合失調症の病態判定のためのマーカーとして利用することが可能である。また、統合失調症治療薬の効果を判定するためのマーカーとしても利用可能である。本発明は、また精度および特異性の両方が極めて高い診断システムを提供する。本発明によって血液又は脳脊髄液のような生体試料について特定の検査方法がなかった統合失調症に対して精度の高い診断がはじめて可能になる。更には、当該タンパク質の機能を調節する化合物を探索するためのスクリーニング方法を提供し、当該スクリーニングにより見いだされた化合物を、統合失調症の予防又は治療薬として提供することが可能である。
Claims (10)
- 下記(a)〜(s)から選択される1種以上のタンパク質からなる、統合失調症診断のためのバイオマーカー。
(a)フィブロシスチン−L
(b)コルジン;
(c)ニュートロフィル・ディフェンシン1;
(d)アミロイド前駆体様タンパク質2;
(e)ミエリン関連糖タンパク質;
(f)オリゴデンドロサイト-ミエリン糖タンパク質;
(g)ラトロフィリン-3;
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1;
(i)ニューロプラスチンアイソフォームb;
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームA;
(k)システインリッチEGF様ドメインタンパク質1アイソフォーム2;
(l)フィブリン-1アイソフォームC;
(m)メタロプロテアーゼ阻害物質1;
(n)リソスタチン-1-アルファ;
(o)受容体チロシンキナーゼUFO;
(p)カテプシンL1;
(q)ロイシン反復含有免疫グロブリンスーパーファミリー;
(r)プリオンタンパク質;
(s)コロニン-1A; - 統合失調症に対するバイオマーカーとしての、下記(a)〜(s)から選択される1種以上のタンパク質の使用。
(a)フィブロシスチン−L
(b)コルジン;
(c)ニュートロフィル・ディフェンシン1;
(d)アミロイド前駆体様タンパク質2;
(e)ミエリン関連糖タンパク質;
(f)オリゴデンドロサイト-ミエリン糖タンパク質;
(g)ラトロフィリン-3;
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1;
(i)ニューロプラスチンアイソフォームb;
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームA;
(k)システインリッチEGF様ドメインタンパク質1アイソフォーム2;
(l)フィブリン-1アイソフォームC;
(m)メタロプロテアーゼ阻害物質1;
(n)リソスタチン-1-アルファ;
(o)受容体チロシンキナーゼUFO;
(p)カテプシンL1;
(q)ロイシン反復含有免疫グロブリンスーパーファミリー;
(r)プリオンタンパク質;
(s)コロニン-1A; - 被験者由来の生体試料における、請求項1に記載のバイオマーカーの量を測定することを含む、統合失調症又はその亜型の検査方法。
- 被験物質を投与された被験動物由来の生体試料における請求項1に記載のバイオマーカーの量を測定することを含む、被験物質の統合失調症への予防又は治療効果を判定する方法。
- 生体試料が、血液又は脳脊髄液である、請求項3又は4に記載の方法。
- (c)ニュートロフィル・ディフェンシン1;
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1;又は
(n)リソスタチン-1-アルファ;
の何れか1種以上のバイオマーカーの発現上昇、及び/または、
(a)フィブロシスチン−L;
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームA;
(k)システインリッチEGF様ドメインタンパク質1アイソフォーム2;
(p)カテプシンL1;
の何れか1種以上のバイオマーカーの発現低下、
が認められる場合に統合失調症であると判定する、請求項3に記載の検査方法。 - (a)フィブロシスチン−Lの発現が症例では認知機能が障害されていると判定し、
(b)コルジンの発現が高い症例では認知機能が障害されていると判定し、
(c)ニュートロフィル・ディフェンシン1の発現量により統合失調症の亜型を分類し、
(d)アミロイド前駆体様タンパク質2の発現量により統合失調症の亜型を分類し、
(e)ミエリン関連糖タンパク質の発現が高い症例では認知機能が障害されていると判定し、
(f)オリゴデンドロサイト-ミエリン糖タンパク質の発現が低い症例では、PANSS陽性症状が強いと判定し、
(g)ラトロフィリン-3を抗精神病薬投与量を反映するマーカーとして使用し、
(h)プロLDL受容体関連タンパク質1の発現量により統合失調症の亜型を分類し、
(i)ニューロプラスチンアイソフォームbの発現が多い症例では、PANSS陰性症状が強いと判定し、
(j)軟骨酸性タンパク質1アイソフォームAの発現が高い症例では、認知機能が障害されていると判定し、
(l)フィブリン-1アイソフォームCの発現が高い症例では、認知機能が障害されていると判定し、
(m)メタロプロテアーゼ阻害物質1発現が高い症例では認知機能が障害されていると判定し、
(o)受容体チロシンキナーゼUFOの発現が高い症例では、認知機能が障害されていると判定し、
(q)ロイシン反復含有免疫グロブリンスーパーファミリーの発現量が高い症例では、認知機能が障害されていると判定し、
(r)プリオンタンパク質の発現が高い症例では認知機能が障害されていると判定し、
(s)コロニン-1Aの発現が低い症例で、認知機能が障害されていると判定することの何れかい1以上を含む、請求項3から6の何れか1項に記載の方法。 - 請求項1に記載のバイオマーカーを測定するための試薬を含む、統合失調症診断用キット。
- 請求項1に記載のバイオマーカーを測定するための試薬が、請求項1に記載のバイオマーカーに対する抗体である、請求項8に記載の統合失調症診断用キット。
- 請求項1に記載のバイオマーカー又はそれをコードする遺伝子の機能を調節する化合物を探索する工程を含む、統合失調症の治療又は予防薬のスクリーニング方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013162136 | 2013-08-05 | ||
JP2013162136 | 2013-08-05 | ||
PCT/JP2014/070433 WO2015019979A1 (ja) | 2013-08-05 | 2014-08-04 | 統合失調症に関するバイオマーカー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2015019979A1 true JPWO2015019979A1 (ja) | 2017-03-02 |
Family
ID=52461312
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015530867A Pending JPWO2015019979A1 (ja) | 2013-08-05 | 2014-08-04 | 統合失調症に関するバイオマーカー |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPWO2015019979A1 (ja) |
WO (1) | WO2015019979A1 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017009846A1 (en) * | 2015-07-14 | 2017-01-19 | Yeda Research And Development Co. Ltd. | Peptide combinations for use in the diagnosis of schizophrenia |
JP2018028538A (ja) * | 2016-08-12 | 2018-02-22 | 公立大学法人名古屋市立大学 | 統合失調症とその関連疾患の診断用マーカー及びその使用 |
US20210002714A1 (en) * | 2018-02-14 | 2021-01-07 | National University Corporation Tokai National Higher Education And Research System | Biomarker for predicting effects of anti-pd-1 antibody/anti-pd-l1 antibody therapy |
CN111020020A (zh) * | 2019-07-05 | 2020-04-17 | 深圳华大生命科学研究院 | 一种精神分裂症的生物标志物组合、其应用及metaphlan2筛选方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20080176240A1 (en) * | 2007-01-19 | 2008-07-24 | Smithkline Beecham Corporation | Genes associated with schizophrenia identified using a whole genome scan |
JP5641471B2 (ja) * | 2010-06-29 | 2014-12-17 | 国立大学法人名古屋大学 | 統合失調症マーカー及びその利用 |
JP2015034695A (ja) * | 2011-11-29 | 2015-02-19 | 国立大学法人 東京大学 | 統合失調症の客観的評価法 |
-
2014
- 2014-08-04 JP JP2015530867A patent/JPWO2015019979A1/ja active Pending
- 2014-08-04 WO PCT/JP2014/070433 patent/WO2015019979A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2015019979A1 (ja) | 2015-02-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2018221212A1 (ja) | アルツハイマー病バイオマーカー | |
US20190178897A1 (en) | Histones and/or proadm as markers indicating organ dysfunction | |
US20130178385A1 (en) | Biomarkers | |
WO2015019979A1 (ja) | 統合失調症に関するバイオマーカー | |
JP2010286279A (ja) | 自己免疫疾患検査用バイオマーカー及び検査方法 | |
JP2024019509A (ja) | アルツハイマー病又は発症前アルツハイマー病の診断用マーカー及び診断用キット、脳内へのアミロイドβタンパク質の蓄積量の評価方法、並びに被験者におけるアルツハイマー病又は発症前アルツハイマー病の検出を補助するためのインビトロの方法 | |
US20120040852A1 (en) | Biomarkers | |
US20180059107A1 (en) | Method of detecting or diagnosing sjogren's syndrome based on the presence of auto-antibody against aquaporin 5 | |
EA034364B1 (ru) | Иммуноанализ для обнаружения хромогранина а | |
US20130023428A1 (en) | Biomarkers for neurological conditions | |
US20150005192A1 (en) | Biomarkers | |
KR102254053B1 (ko) | 인지기능 정상군 또는 경도 인지장애에서 아밀로이드 베타의 뇌 침착 검출용 혈액 바이오 마커 | |
KR20140023260A (ko) | Cartilage Acidic Protein 1 단백질에 의한 뇌경색의 검사 방법 | |
KR102018209B1 (ko) | 위암 진단용 조성물 및 상기 조성물을 이용한 위암 진단 방법 | |
US20150111777A1 (en) | Biomarker for early neurodegeneration detection | |
WO2012137502A1 (ja) | アルカデインペプチド切断物による認知症又はアルツハイマー病の診断方法又は予後予測方法 | |
KR101893244B1 (ko) | 당뇨병에 대한 신규 바이오마커 및 그의 용도 | |
KR101363576B1 (ko) | 알츠하이머 질환에 대한 신규 바이오마커 및 그의 용도 | |
US20140274975A1 (en) | Method of determining prior history of ischemic stroke for current risk evaluation and therapy guidance | |
US9784739B2 (en) | Regulatory brain specific cytoplasmic RNAS (BC RNAs) and methods of use thereof in diagnosis and treatment of neuropsychiatric lupus | |
JP2021181890A (ja) | 成人スチル病(asd)を判定するためのバイオマーカー | |
JP6023496B2 (ja) | 炎症性動脈瘤の診断方法 | |
KR20200077779A (ko) | 퇴행성 뇌질환 발병 위험성 예측용 조성물 및 이를 이용한 퇴행성 뇌질환의 발병 위험성 예측 방법 | |
KR20220125640A (ko) | 알츠하이머병의 진단을 위한 트로포마이오신 알파-4 사슬 및 혈소판 당단백질 Ib 베타 사슬의 용도 | |
KR20140018691A (ko) | 시누클레인병증의 진단 방법 및 이를 위한 진단 키트 |