JPWO2015016393A1 - ヘキセノール配糖体化酵素の利用方法 - Google Patents

ヘキセノール配糖体化酵素の利用方法 Download PDF

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Abstract

本発明はヘキセノール配糖体化酵素を用いたヘキセノール配糖体の製造方法を提供することを目的とする。本発明は、ヘキセノール配糖体化酵素を用いたヘキセノール配糖体の製造方法を提供する。本発明は、ヘキセノール配糖体化酵素遺伝子を導入した形質転換体及び当該形質転換体の作製方法を提供する。

Description

本発明は、ヘキセノール配糖体の製造方法、ヘキセノール配糖体化酵素を高発現する形質転換体並びに前記方法により作製されたヘキセノールの配糖体及びその利用に関する。また、本発明は、ヘキセノール化合物を配糖体化する活性を有するタンパク質の発現が抑制された植物及びその利用に関する。
cis−3−ヘキセノールに代表されるみどりの香り(Green leaf volatile:GLV)とは炭素数6からなる植物性の香気成分の総称であり、植物が食害や機械傷を負ったときに発する香気である(非特許文献1)。みどりの香りは昆虫あるいはその幼虫に対して忌避や誘因活性を有しており、他感物質(アレロケミカル)としての生理的役割を担っていると考えられている(非特許文献2)。
みどりの香りは葉緑体においてリノレン酸から切り出される形で生成することが知られているが、一部はグルコシドやプリメベロシドなどの配糖体の形態で植物細胞内にプールされていることが報告されている(非特許文献3)。これらのプリメベロシドのような二糖配糖体はプリメベロシダーゼによって特異的に加水分解され、アグリコンであるみどりの香りが遊離してくる生成経路も知られている(非特許文献4)。しかしなからみどりの香りを配糖体化して植物細胞内に蓄積するための酵素や分子機構については不明である。
Matsui,K.(2006)Current Opinion in Plant Biology 9:274−280 Arimura,G.,et al(2009)Plant Cell Physiol.50:911−923 Wang,D.,et al(2000)J.Agric.Food Chem.48,5411−5418 Mizutani,M.et al(2002)Plant Physiol.130:2164−76
本発明者らは鋭意研究を遂行した結果、チャ、ホップ、ステビア、ブドウ、サツマイモ、シロイヌナズナ及びキンギョソウにおいてヘキセノールの配糖体化反応を触媒する酵素及び同酵素をコードする遺伝子配列を同定することに成功した。本発明は、上記知見に基づくものである。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
ヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質と、UDP−糖と、ヘキセノール分子とを反応させて前記ヘキセノール分子を配糖体化する工程を含む、ヘキセノール配糖体の製造方法。
[2]
前記タンパク質が(a)〜(c)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、前記[1]に記載の方法。
(a)配列番号2又は4のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号2又は4のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
(c)配列番号2又は4のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
[3]
前記タンパク質が(d)〜(f)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、前記[1]に記載の方法。
(d)配列番号6、8、10又は12のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(e)配列番号6、8、10又は12のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
(f)配列番号6、8、10又は12のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
[4]
前記タンパク質が(g)〜(i)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、前記[1]に記載の方法。
(g)配列番号14、16又は18のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(h)配列番号14、16又は18のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
(i)配列番号14、16又は18のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
[5]
前記タンパク質が(j)〜(l)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、前記[1]に記載の方法。
(j)配列番号20、22又は24のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(k)配列番号20、22又は24のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
(l)配列番号20、22又は24のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
[6]
前記タンパク質が(m)〜(o)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、前記[1]に記載の方法。
(m)配列番号26のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(n)配列番号26のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
(o)配列番号26のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
[7]
前記タンパク質が(p)〜(r)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、前記[1]に記載の方法。
(p)配列番号28又は30のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(q)配列番号28又は30のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
(r)配列番号28又は30のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
[8]
前記タンパク質が(s)〜(u)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、前記[1]に記載の方法。
(s)配列番号32のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(t)配列番号32のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
(u)配列番号32のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
[9]
前記UDP−糖が、UDP−ヘキソースである、前記[1]に記載の方法。
[10]
前記ヘキソースが、グルコース、マンノース及びガラクトースからなる群より選択されるものである、前記[9]に記載の方法。
[11]
前記タンパク質は、同タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を宿主細胞内で発現させることにより生成された組換えタンパク質である、前記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記宿主細胞が植物細胞である、前記[11]に記載の方法。
[13]
前記ヘキセノール分子を配糖体化する工程が、前記宿主細胞内で行われる、前記[11]又は[12]に記載の方法。
[14]
前記宿主細胞からヘキセノール配糖体を精製する工程をさらに含む、前記[13]に記載の方法。
[15]
ヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質及び溶媒を含む、ヘキセノール配糖体製造用の組成物。
[16]
前記タンパク質が(a)〜(c)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、前記[15]に記載の組成物。
(a)配列番号2又は4のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号2又は4のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
(c)配列番号2又は4のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
[17]
以下の(v)〜(x)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質。
(v)配列番号16又は18のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(w)配列番号16又は18のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
(x)配列番号16又は18のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
[18]
前記[17]に記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
本発明の方法又は組成物により、高効率にヘキセノール配糖体を製造することができる。
ネガティブコントロール(pET15b/BL21:図1A)、Cs_UGT_85Like_C1(図1B)及びCs_UGT_C30(図1C)のヘキセノール配糖体化活性(LC−MS解析結果)を示す図である。 Hl_UGT119(図2A)、Hl_UGT127(図2B)及びHl_UGT279(図2C)のヘキセノール配糖体化活性(LC−MS解析結果)を示す図である。 Hl_UGT251(図3A)、Ib_UGT42(図3B)及びAm_UGT207(図3C)のヘキセノール配糖体化活性(LC−MS解析結果)を示す図である。 Sr_UGT85C2(図4A)、Sr_UGT85A5(図4B)及びSr_UGT85C1(図5C)のヘキセノール配糖体化活性(LC−MS解析結果)を示す図である。 At_UGT85A1(図5A)、At_UGT85A3(図5B)及びスタンダード(標準品のcis−3−ヘキセニルグルコピラノシド:図5C)のヘキセノール配糖体化活性(LC−MS解析結果)を示す図である。 Vv_UGT020(図6A)、Vv_UGT734(図6B)及びVv_UGT744(図6C)のヘキセノール配糖体化活性(LC−MS解析結果)を示す図である。 CsUGTC30が担う酵素反応を示す図である(ゲラニオールにグルコースを一分子付加し、ゲラニルグルコシドを生成する)。 組換えCsUGTC30タンパク質による相対酵素活性を示す図である。ゲラニオールに対する活性を100%とした。 CsUGTC30の糖供与体の相対活性を示す図である。UDP−glucoseに対する活性を100%とした。 CsUGTC30遺伝子の器官別遺伝子発現解析の結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、2013年8月2日に出願された本願優先権主張の基礎となる日本国特許出願(特願2013−161579号)の明細書及び図面に記載の内容を包含する。
本発明者らは、特定のタンパク質がヘキセノールを配糖体化する活性を有することを初めて解明した。
本発明者らが特定したタンパク質のアミノ酸配列及び同タンパク質をコードする遺伝子のCDS配列は、以下の表1に示すとおりである。
これらのポリヌクレオチド及び酵素は、後述の実施例に記載した手法、公知の遺伝子工学的手法、または、公知の合成手法等によって取得することが可能である。
1.ヘキセノール配糖体の製造方法
本発明は、ヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質(以下、「本発明のタンパク質」という)と、UDP糖と、ヘキセノール分子とを反応させて前記ヘキセノール分子を配糖体化する工程を含む、ヘキセノール配糖体の製造方法を提供する。
また、本発明は、ヘキセノール配糖体の製造における本発明のタンパク質の使用を提供する。
さらに、本発明は、ヘキセノール配糖体の製造に使用するための本発明のタンパク質を提供する。
ここで、本発明のタンパク質とは、具体的には、以下の(a)〜(c)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である。
(a)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
上記(a)〜(c)に記載のタンパク質において、「配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列」は、ある実施形態では「配列番号2又は4のアミノ酸配列」、「配列番号6、8、10又は12のアミノ酸配列」、「配列番号14、16又は18のアミノ酸配列」、「配列番号20、22又は24のアミノ酸配列」、「配列番号26のアミノ酸配列」、「配列番号28又は30のアミノ酸配列」あるいは「配列番号32のアミノ酸配列」である。
上記(b)又は(c)に記載のタンパク質は、代表的には、天然に存在する配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のポリペプチドの変異体であるが、例えば、″Sambrook & Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Vol.3,Cold Spring Harbor Laboratory Press 2001″、″Ausubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons 1987−1997″、″Nuc.Acids.Res.,10,6487(1982)″、″Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,6409(1982)″、″Gene,34,315(1985)″、″Nuc.Acids.Res.,13,4431(1985)″、″Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,488(1985)″等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、人為的に取得することができるものも含まれる。
本明細書中、「配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質」としては、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列において、例えば、1〜40個、1〜39個、1〜38個、1〜37個、1〜36個、1〜35個、1〜34個、1〜33個、1〜32個、1〜31個、1〜30個、1〜29個、1〜28個、1〜27個、1〜26個、1〜25個、1〜24個、1〜23個、1〜22個、1〜21個、1〜20個、1〜19個、1〜18個、1〜17個、1〜16個、1〜15個、1〜14個、1〜13個、1〜12個、1〜11個、1〜10個、1〜9個(1〜数個)、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、又は1個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質が挙げられる。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/又は付加の数は、一般的には小さい程好ましい。
また、このようなタンパク質としては、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列と90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、又は99.9%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質が挙げられる。上記配列同一性の数値は一般的に大きい程好ましい。
ここで、「ヘキセノールを配糖体化する活性」とは、アグリコンであるヘキセノールのヒドロキシ基(−OH基)に、UDP糖に含まれる糖を付加する(配糖体化する)活性を意味する。糖が付加されるヒドロキシ基は特に限定されない。
ヘキセノールを配糖体化する活性は、本発明のタンパク質と、UDP−糖と、ヘキセノール分子とを反応させて、ヘキセノール配糖体を検出することにより確認することができる。
ここで、本発明のタンパク質と、UDP−糖と、ヘキセノール分子との反応は、本発明のタンパク質1〜500ng(好ましくは、50〜200ng、最も好ましくは100ng)、UDP−糖(例えば、UDP−グルコース)1〜1000μM(好ましくは、100〜700μM、最も好ましくは500μM)、及びヘキセノール(例えば、cis−3−ヘキセノール)1〜500μM(好ましくは、100〜500μM、最も好ましくは250μM)を含む系(好ましくは、この系はpH6.0〜8.0の中性領域の緩衝液(例えば、リン酸ナトリウムバッファー又はリン酸カリウムバッファーなど)において、20〜40℃の温度でインキュベートすることで行うことができる。配糖体化反応は、一般に、1分〜12時間程度で終了する。
また、ヘキセノール配糖体は、前記ヘキセノールを精製し、精製したヘキセノールをLC‐MS分析(Liquid Chromatography−Mass Spectrometry)等の公知の手法により分析することで検出することができる。すなわち、精製したヘキセノールが配糖体のピークを示せば、ヘキセノールは本発明のタンパク質の活性によって配糖体化されたということができる。
加えて、本発明のタンパク質、特に、以下のタンパク質は、ヘキセノール以外にもゲラニオール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノールおよびリナロールを配糖体化する活性を有する(図7)。
(v)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(w)配列番号2のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノール、ゲラニオール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノールおよびリナロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上の基質を配糖体化する活性を有するタンパク質;
(x)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノール、ゲラニオール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノールおよびリナロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上の基質を配糖体化する活性を有するタンパク質
上記(w)及び(x)のタンパク質は、それぞれ以下の(b’)及び(c’)のタンパク質と等価である。
(b’)配列番号2のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
(c’)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
従って、本発明は、ヘキセノール、ゲラニオール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノールおよびリナロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上の基質を配糖体化する方法も提供する。
ここで、「ヘキセノール、ゲラニオール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノールおよびリナロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上の基質を配糖体化する活性」とは、アグリコン状態にあるゲラニオール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノールおよびリナロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上の基質(以下、「本発明の基質」という)のヒドロキシ基(−OH基)に、UDP糖に含まれる糖を付加する(配糖体化する)活性を意味する。糖が付加されるヒドロキシ基は特に限定されない。
本発明の基質を配糖体化する活性は、本発明のタンパク質と、UDP−糖と、本発明の基質分子とを反応させて、ヘキセノール配糖体を検出することにより確認することができる。
ここで、本発明のタンパク質と、UDP−糖と、本発明の基質分子との反応は、本発明のタンパク質1〜500ng(好ましくは、50〜200ng、最も好ましくは100ng)、UDP−糖(例えば、UDP−グルコース)1〜1000μM(好ましくは、100〜700μM、最も好ましくは500μM)、及び本発明の基質1〜500μM(好ましくは、100〜500μM、最も好ましくは250μM)を含む系(好ましくは、この系はpH6.0〜8.0の中性領域の緩衝液(例えば、リン酸ナトリウムバッファー又はリン酸カリウムバッファーなど)において、20〜40℃の温度でインキュベートすることで行うことができる。配糖体化反応は、一般に、1分〜12時間程度で終了する。
また、本発明の基質の配糖体は、前記基質を精製し、精製した前記基質をLC‐MS分析(Liquid Chromatography−Mass Spectrometry)等の公知の手法により分析することで検出することができる。すなわち、精製した本発明の基質が配糖体のピークを示せば、本発明の基質は本発明のタンパク質の活性によって配糖体化されたということができる。
本発明のタンパク質のアミノ酸配列において1若しくは複数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入及び/又は付加されたとは、同一配列中の任意かつ1若しくは複数のアミノ酸配列中の位置において、1若しくは複数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/又は付加があることを意味し、欠失、置換、挿入及び付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸残基の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸残基は相互に置換可能である。A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2−アミノブタン酸、メチオニン、o−メチルセリン、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン;B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2−アミノアジピン酸、2−アミノスベリン酸;C群:アスパラギン、グルタミン;D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4−ジアミノブタン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸;E群:プロリン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン;F群:セリン、スレオニン、ホモセリン;G群:フェニルアラニン、チロシン。
本発明のタンパク質は、これをコードするポリヌクレオチド(後述する「本発明のポリヌクレオチド」を参照)を適切な宿主細胞内で発現させることにより得ることができるが、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法によっても製造することができる。また、Advanced Automation Peptide Protein Technologies社製、Perkin Elmer社製、Protein Technologies社製、PerSeptive社製、Applied Biosystems社製、SHIMADZU社製等のペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。
本発明において、「ヘキセノール」は1以上の−OH基で置換されたヘキセン(分子式:C12O)を意味する。ここで、ヘキセン骨格は、直鎖、分枝、環状のいずれの形態にあってもよいが、好ましくは直鎖状である。また、ヘキセノールにおいて炭素間二重結合の位置は特に限定されないが、好ましくは3位炭素−4位炭素間である。ヘキセン骨格はcis型又はtrans型のいずれであってもよい。ヘキセノールにおいて、−OH基の数は好ましくは1つである。また、−OH基は、好ましくは直鎖又は分枝ヘキセン骨格の末端炭素原子に結合しており、より好ましくは直鎖ヘキセン骨格の末端炭素原子に結合している。ヘキセノールの具体例としては、cis−3−ヘキセノール(cis−3−hexen−1−ol)及びtrans−2−ヘキセノール(trans−2−hexen−1−ol)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において、用語「ヘキセノール」は「青葉アルコール(leaf alcohol)」と等価で用いられる場合もある。青葉アルコールの具体例としてはcis−3−ヘキセノール及びtrans−2−ヘキセノール(trans−2−hexen−1−ol)が挙げられる。
本発明において、「ベンジルアルコール」とはフェニルメタノール(phenylmethanol)とも呼ばれる。
本発明において、「2−フェニルエタノール」とはフェネチルアルコール、ベンジルカルビノール、β−ヒドロキシエチルベンゼン、β−フェニルエチルアルコール、フェネタノール、フェニルエチルアルコール、β−フェネチルアルコール、β−フェニルエタノール、β−フェネタノール、フェニルエタノール、2−フェネタノール、α−フェネチロール、とも呼ばれる化合物をいう。
本発明において、「UDP−糖」とは、ウリジン二リン酸(Uridine DiPhosphate:UDP)結合型の糖であり、好ましくはUDP結合型のヘキソース(UDP−ヘキソース)である。例としては、UDP−グルコース、UDP−マンノース及びUDP−ガラクトースが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、UDP−糖は、UDP−グルコースである。
ヘキセノール配糖体とは、少なくとも1つ以上の−OH基に糖(UDP−糖に由来する)が付加されたヘキセノールを意味する。
例えば、本発明のタンパク質の存在下でcis−3−ヘキセノールをUDP−グルコースと反応させると、ヘキセノール配糖体としてcis−3−ヘキセニルモノグリコシドが生成される(下記反応式参照)。
本発明に係るヘキセノール配糖体の製造方法は、本発明のタンパク質と、UDP糖と、ヘキセノールとを反応させて前記ヘキセノールを配糖体化する工程を含む。本発明の方法は、さらに、前記工程で生成したヘキセノール配糖体を精製する工程を含んでいてもよい。
ヘキセノール配糖体は、適切な溶媒(水等の水性溶媒又はアルコール、エーテル及びアセトン等の有機溶媒)による抽出、酢酸エチルその他の有機溶媒:水の勾配、高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography:HPLC)、ガスクロマトグラフィー、飛行時間型質量分析(Time−of−Flight mass spectrometry:TOF−MS)、超高性能液体クロマトグラフィー(Ultra (High)Performance Liquid chromatography:UPLC)等の公知の方法によって精製することができる。
同様に本発明の基質の配糖体は、とは、少なくとも1つ以上の−OH基に糖(UDP−糖に由来する)が付加された本発明の基質を意味する。
本発明の基質の配糖体の製造方法は、本発明のタンパク質と、UDP糖と、本発明の基質とを反応させて前記ヘキセノールを配糖体化する工程を含む。本発明の方法は、さらに、前記工程で生成した本発明の基質の配糖体を精製する工程を含んでいてもよい。
本発明の基質の配糖体は、適切な溶媒(水等の水性溶媒又はアルコール、エーテル及びアセトン等の有機溶媒)による抽出、酢酸エチルその他の有機溶媒:水の勾配、高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography:HPLC)、ガスクロマトグラフィー、飛行時間型質量分析(Time−of−Flight mass spectrometry:TOF−MS)、超高性能液体クロマトグラフィー(Ultra (High)Performance Liquid chromatography:UPLC)等の公知の方法によって精製することができる。
2.ヘキセノール配糖体高含有非ヒト形質転換体
ヘキセノール配糖体は、本発明のタンパク質を用いて細菌(大腸菌又は酵母など)、植物、昆虫、ヒトを除く哺乳動物などの細胞内で生成することもできる。この場合、本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチド(後述する「本発明のポリヌクレオチド」を参照)を、細菌、植物、昆虫、ヒトを除く哺乳動物などに由来する宿主細胞に導入して本発明のタンパク質を発現させ、本発明のタンパク質と、前記細胞内に存在するUDP−糖及びヘキセノールとを反応させることによりヘキセノール配糖体を生成することができる。つまり、この実施態様において、本発明のタンパク質は、同タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を宿主細胞内で発現させることにより生成された組換えタンパク質である。
本発明のタンパク質をコードする遺伝子を導入して得られる非ヒト形質転換体は、その野生型と比べてヘキセノール配糖体の含有量が高いことが期待される。
そこで、本発明は、以下の(a)〜(e)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のポリヌクレオチド(以下、「本発明のポリヌクレオチド」という)が導入された非ヒト形質転換体(以下、「本発明の形質転換体」という)を提供する。
(a)配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29又は31の塩基配列を含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号2、4又は6のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29又は31の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
上記(a)及び(e)のポリヌクレオチドにおいて、「配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29又は31の塩基配列」は、ある実施形態では「配列番号1又は3の塩基配列」、「配列番号5、7、9又は11の塩基配列」、「配列番号13、15又は17の塩基配列」、「配列番号19、21又は23の塩基配列」、「配列番号25の塩基配列」、「配列番号27又は29の塩基配列」あるいは「配列番号31の塩基配列」である。
上記(b)〜(d)のポリヌクレオチドにおいて、「配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列」は、ある実施形態では「配列番号2又は4のアミノ酸配列」、「配列番号6、8、10又は12のアミノ酸配列」、「配列番号14、16又は18のアミノ酸配列」、「配列番号20、22又は24のアミノ酸配列」、「配列番号26のアミノ酸配列」、「配列番号28又は30のアミノ酸配列」あるいは「配列番号32のアミノ酸配列」である。
また、本発明のポリヌクレオチドには以下のポリヌクレオチドも含まれる。
(f)1の塩基配列を含有するポリヌクレオチド
(g)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号2のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつかつヘキセノール、ゲラニオール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノールおよびリナロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上の基質を配糖体化する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつかつヘキセノール、ゲラニオール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノールおよびリナロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上の基質を配糖体化する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;及び
(j)配列番号1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、かつかつヘキセノール、ゲラニオール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノールおよびリナロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上の基質を配糖体化する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
本明細書中、「ポリヌクレオチド」とは、DNA又はRNAを意味する。
本明細書中、「高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29又は31の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドの全部又は一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法又はサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるポリヌクレオチドをいう。ハイブリダイゼーションの方法としては、例えば、″Sambrook & Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Vol.3,Cold Spring Harbor,Laboratory Press 2001″及び″Ausubel,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons 1987−1997″などに記載されている方法を利用することができる。
本明細書中、「高ストリンジェントな条件」とは、例えば、(1)5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃、(2)0.2xSSC、0.1%SDS、60℃、(3)0.2xSSC、0.1%SDS、62℃、(4)0.2xSSC、0.1%SDS、65℃、又は(5)0.1xSSC、0.1%SDS、65℃などの条件であるが、これに限定されるものではない。これらの条件において、温度を上げるほど高い配列同一性を有するDNAが効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度等の複数の要素が考えられ、当業者であればこれらの要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labeling and Detection System(GE Healthcare)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコルにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55〜60℃の条件下で0.1%(w/v)SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたDNAを検出することができる。あるいは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29又は31の塩基配列と相補的な塩基配列、又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列をコードする塩基配列の全部又は一部に基づいてプローブを作製する際に、市販の試薬(例えば、PCRラベリングミックス(ロシュ・ダイアグノスティクス社)等)を用いて該プローブをジゴキシゲニン(DIG)ラベルした場合には、DIG核酸検出キット(ロシュ・ダイアグノスティクス社)を用いてハイブリダイゼーションを検出することができる。
上記以外にハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとしては、FASTA、BLAST等の相同性検索ソフトウェアにより、デフォルトのパラメーターを用いて計算したときに、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29又は31の塩基配列からなるDNA、又は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列をコードするDNAと80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、又は99.9%以上の配列同一性を有するDNAをあげることができる。
なお、アミノ酸配列や塩基配列の配列同一性は、FASTA(Science 227(4693):1435−1441,(1985))や、カーリン及びアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 872264−2268,1990;Proc Natl Acad Sci USA 90:5873,1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたblastn、blastx、blastp、tblastnやtblastxと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul SF,et al:J Mol Biol 215:403,1990)。blastnを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100、wordlength=12とする。また、blastpを用いてアミノ酸配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
上記した本発明のポリヌクレオチドは、公知の遺伝子工学的手法又は公知の合成手法によって取得することが可能である。
本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは、適切な発現ベクターに挿入された状態で宿主に導入される。
適切な発現ベクターは、通常、
(i)宿主細胞内で転写可能なプロモーター;
(ii)該プロモーターに結合した、本発明のポリヌクレオチド;及び
(iii)RNA分子の転写終結及びポリアデニル化に関し、宿主細胞内で機能するシグナルを構成要素として含む発現カセット
を含むように構成される。
発現ベクターの作製方法としては、プラスミド、ファージ又はコスミドなどを用いる方法が挙げられるが特に限定されない。
ベクターの具体的な種類は特に限定されず、宿主細胞中で発現可能なベクターが適宜選択され得る。すなわち、宿主細胞の種類に応じて、確実に本発明のポリヌクレオチドを発現させるために適宜プロモーター配列を選択し、これと本発明のポリヌクレオチドを各種プラスミド等に組み込んだベクターを発現ベクターとして用いればよい。
本発明の発現ベクターは、導入されるべき宿主の種類に依存して、発現制御領域(例えば、プロモーター、ターミネーター及び/又は複製起点等)を含有する。細菌用発現ベクターのプロモーターとしては、慣用的なプロモーター(例えば、trcプロモーター、tacプロモーター、lacプロモーター等)が使用され、酵母用プロモーターとしては、例えば、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター、PH05プロモーター等が挙げられ、糸状菌用プロモーターとしては、例えば、アミラーゼ、trpC等が挙げられる。また、植物細胞内で目的遺伝子を発現させるためのプロモーターの例としては、カリフラワーモザイクウィルスの35S RNAプロモーター、rd29A遺伝子プロモーター、rbcSプロモーター、前記カリフラワーモザイクウィルスの35S RNAプロモーターのエンハンサー配列をアグロバクテリウム由来のマンノピン合成酵素プロモーター配列の5’側に付加したmac−1プロモーター等が挙げられる。
発現ベクターは、少なくとも1つの選択マーカーを含むことが好ましい。このようなマーカーとしては、薬剤耐性マーカー(ハイグロマイシン、ゼオシン、カナマイシン)、ジェネチシン耐性遺伝子(G418r)、除草剤抵抗性遺伝子(SurB),銅耐性遺伝子(CUP1)(Marin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,vol.81,p.337,1984)、セルレニン耐性遺伝子(fas2m,PDR4)(それぞれ、猪腰淳嗣ら,生化学,vol.64,p.660,1992;Hussain et al.,Gene,vol.101,p.149,1991)などが利用可能である。
本発明の形質転換体の作製方法(生産方法)は特に限定されないが、例えば、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを宿主に導入して形質転換する方法が挙げられる。ここで用いられる宿主細胞は、特に限定されるものではなく、従来公知の各種細胞を好適に用いることができる。具体的には、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等の細菌、酵母(出芽酵母Saccharomyces cerevisiae、分裂酵母Schizosaccharomyces pombe)及び植物細胞等が挙げられる。
上記の宿主細胞のための適切な培養培地及び条件は当分野で周知である。また、形質転換の対象となる生物も特に限定されるものではなく、上記宿主細胞で例示した各種微生物又は植物が挙げられる。
宿主細胞の形質転換方法としては一般に用いられる公知の方法が利用できる。例えば、エレクトロポレーション法(Mackenxie,D.A.et al.,Appl.Environ.Microbiol.,vol.66,p.4655−4661,2000)、パーティクルデリバリー法(特開2005−287403「脂質生産菌の育種方法」に記載の方法)、スフェロプラスト法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,vol.75,p.1929,1978)、酢酸リチウム法(J.Bacteriology,vol.153,p.163,1983)、Methods in yeast genetics,2000 Edition:A Cold Spring Harbor Laboratory Course Manualなどに記載の方法)で実施可能であるが、これらに限定されない。
その他、一般的な分子生物学的な手法に関しては、″Sambrook & Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Vol.3,Cold Spring Harbor Laboratory Press 2001″、″Methods in Yeast Genetics、A laboratory manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,NY)″等を参照することができる。
本発明の1つの態様において、形質転換体は、植物形質転換体であり得る。本実施形態に係る植物形質転換体は、本発明に係るポリヌクレオチドを含む組換えベクターを、当該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドが発現され得るように植物中に導入することによって取得される。
組換え発現ベクターを用いる場合、植物体の形質転換に用いられる組換え発現ベクターは、当該植物内で本発明に係るポリヌクレオチドを発現させることが可能なベクターであれば特に限定されない。このようなベクターとしては、例えば、植物細胞内でポリヌクレオチドを構成的に発現させるプロモーターを有するベクター又は外的な刺激によって誘導的に活性化されるプロモーターを有するベクターが挙げられる。
植物細胞内でポリヌクレオチドを構成的に発現させるプロモーターの例としては、カリフラワーモザイクウィルスの35S RNAプロモーター、rd29A遺伝子プロモーター、rbcSプロモーター、mac−1プロモーター等が挙げられる。
外的な刺激によって誘導性に活性化されるプロモーターの例としては、mousemammary tumor virus(MMTV)プロモーター、テトラサイクリン応答性プロモーター、メタロチオネインプロモーター及びヒートショックプロテインプロモーター等が挙げられる。特に外的な刺激によって植物細胞内でポリヌクレオチドを誘導的に発現させるためには、ストレス誘導性プロモーター、高温や低温誘導性プロモーターなどを用いることができる。また植物体のある器官で特異的にポリヌクレオチドを発現させるためには、その器官で特異的に発現している遺伝子のプロモーターを用いることができる。
本発明において形質転換の対象となる植物は、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子など)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束、柵状組織、海綿状組織など)又は植物培養細胞、あるいは種々の形態の植物細胞(例えば、懸濁培養細胞)、プロトプラスト、葉の切片、カルスなどのいずれをも意味する。形質転換に用いられる植物としては、特に限定されず、単子葉植物綱又は双子葉植物綱に属する植物のいずれでもよい。
植物への遺伝子の導入には、当業者に公知の形質転換方法(例えば、アグロバクテリウム法、遺伝子銃法、PEG法、エレクトロポレーション法など)が用いられる。例えば、アグロバクテリウムを介する方法と直接植物細胞に導入する方法が周知である。アグロバクテリウム法を用いる場合は、構築した植物用発現ベクターを適当なアグロバクテリウム(例えば、アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens))に導入し、この株をリーフディスク法(内宮博文著、植物遺伝子操作マニュアル(1990)27〜31頁、講談社サイエンティフィック、東京)などに従って無菌培養葉片に感染させ、形質転換植物を得ることができる。また、Nagel et alの方法(Micribiol.Lett.,67:325(1990))が用いられ得る。この方法は、まず、例えば発現ベクターをアグロバクテリウムに導入し、次いで、形質転換されたアグロバクテリウムをPlant Molecular Biology Manual(Gelvin,S.B.et al.,Academic Press Publishers)に記載の方法で植物細胞又は植物組織に導入する方法である。ここで、「植物組織」とは、植物細胞の培養によって得られるカルスを含む。アグロバクテリウム法を用いて形質転換を行う場合には、バイナリーベクター(pBI121又はpPZP202など)を使用することができる。
また、遺伝子を直接植物細胞又は植物組織に導入する方法としては、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法が知られている。パーティクルガンを用いる場合は、植物体、植物器官、植物組織自体をそのまま使用してもよく、切片を調製した後に使用してもよく、プロトプラストを調製して使用してもよい。このように調製した試料を遺伝子導入装置(例えばPDS−1000(BIO−RAD社)など)を用いて処理することができる。処理条件は植物又は試料によって異なるが、通常は450〜2000psi程度の圧力、4〜12cm程度の距離で行う。
遺伝子が導入された細胞又は植物組織は、まずハイグロマイシン耐性などの薬剤耐性で選択され、次いで定法によって植物体に再生される。形質転換細胞から植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である。
植物培養細胞を宿主として用いる場合は、形質転換は、組換えベクターを遺伝子銃、エレクトロポレーション法などで培養細胞に導入する。形質転換の結果得られるカルスやシュート、毛状根などは、そのまま細胞培養、組織培養又は器官培養に用いることが可能であり、また従来知られている植物組織培養法を用い、適当な濃度の植物ホルモン(オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノライドなど)の投与などによって植物体に再生させることができる。
本発明のポリヌクレオチドが植物に導入されたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法などによって行うことができる。例えば、形質転換植物からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。PCRは、前記プラスミドを調製するために使用した条件と同様の条件で行うことができる。その後は、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動などを行い、臭化エチジウム、SYBR Green液などによって染色し、そして増幅産物を1本のバンドとして検出することによって、形質転換されたことを確認することができる。また、予め蛍光色素などによって標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレートなどの固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応などによって増幅産物を確認する方法も採用することができる。
本発明のポリヌクレオチドがゲノム内に組み込まれた形質転換植物体が一旦取得されれば、当該植物体の有性生殖又は無性生殖によって子孫を得ることができる。また、当該植物体又はその子孫、あるいはこれらのクローンから、例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラストなどを得て、それらを基に当該植物体を量産することができる。従って、本発明には、本発明に係るポリヌクレオチドが発現可能に導入された植物体、若しくは当該植物体と同一の性質を有する当該植物体の子孫、又はこれら由来の組織も含まれる。
また、種々の植物に対する形質転換方法が既に報告されている。本発明に係る形質転換体植物としては、ナス科植物(例えば、ナス、トマト、トウガラシ、ジャガイモ、タバコ、チョウセンアサガオ、ホオズキ、ペチュニア、カリブラコア、ニーレンベルギア等)、マメ科植物(例えば、ダイズ、アズキ、ラッカセイ、インゲンマメ、ソラマメ、ミヤコグサ等)、バラ科植物(例えば、イチゴ、ウメ、サクラ、バラ、ブルーベリー、ブラックベリー、ビルベリー、カシス、ラズベリー等)、ナデシコ科植物(カーネーション、カスミソウ等)、キク科植物(キク、ステビア、ガーベラ、ヒマワリ、デイジー等)、ラン科植物(ラン等)、サクラソウ科植物(シクラメン等)、リンドウ科植物(トルコギキョウ、リンドウ等)、アヤメ科植物(フリージア、アヤメ、グラジオラス等)、ゴマノハグサ科植物(キンギョソウ、トレニア等)ベンケイソウ(カランコエ)、ユリ科植物(ユリ、チューリップ等)、ヒルガオ科植物(アサガオ、モミジヒルガオ、ヨルガオ、サツマイモ、ルコウソウ、エボルブルス等)、アジサイ科植物(アジサイ、ウツギ等)、ウリ科植物(ユウガオ等)、フロウソウ科植物(ペラルゴニウム、ゼラニウム等)、モクセイ科植物(レンギョウ等)、ブドウ科植物(例えば、ブドウ等)、ツバキ科植物(チャ、ツバキ、チャノキ等)、イネ科植物(例えば、イネ、オオムギ、コムギ、エンバク、ライムギ、トウモロコシ、アワ、ヒエ、コウリャン、サトウキビ、タケ、カラスムギ、シコクビエ、モロコシ、マコモ、ハトムギ、牧草等)、クワ科植物(クワ、ホップ、コウゾ、ゴムノキ、アサ等)、アカネ科植物(コーヒーノキ、クチナシ等)、ブナ科植物(ナラ、ブナ、カシワ等)、ゴマ科植物(ゴマ等)、ミカン科植物(例えば、ダイダイ、ユズ、ウンシュウミカン、サンショウ)及びアブラナ科植物(赤キャベツ、ハボタン、ダイコン、シロイヌナズナ、アブラナ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー等)、シソ科(サルビア、シソ、ラベンダー、タツナミソウ等)が挙げられる。
植物の好ましい例としては、チャ、ホップ、サツマイモ、キンギョソウ、ステビア、シロイヌナズナ、ブドウなどが挙げられる。
本発明のポリヌクレオチドで形質転換された植物体(以下、「本発明の植物」又は「本発明の植物体」)は、その野生型と比べてヘキセノール配糖体を多く含む。
また、本発明の植物又は本発明の植物体は、その野生型と比べて本発明の基質の配糖体を多く含む。
本発明の植物は、本発明の植物の種子、挿し木、球根等を育成することにより、容易に完全な植物体を得ることができる。
よって、本発明の植物には、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子、球根等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束、柵状組織、海綿状組織等)又は植物培養細胞、あるいは種々の形態の植物細胞(例えば、懸濁培養細胞)、プロトプラスト、葉の切片、カルス等が含まれる。
3.形質転換体の抽出物及びその利用
本発明はまた、別の実施形態において、上記の形質転換体の抽出物を提供する。本発明の形質転換体は、その野生型と比べてヘキセノール配糖体の含有量が高いので、その抽出物には、ヘキセノール配糖体が高濃度で含まれると考えられる。
また、本発明の形質転換体は、その野生型と比べて本発明の基質の配糖体の含有量が高いので、その抽出物には、本発明の基質の配糖体が高濃度で含まれると考えられる。
本発明の形質転換体の抽出物は、形質転換体をガラスビーズ、ホモジェナイザー又はソニケーター等を用いて破砕し、当該破砕物を遠心処理し、その上清を回収することにより、得ることができる。さらに、上記で述べたヘキセノール配糖体の抽出方法により、さらなる抽出工程を施してもよい。
本発明の形質転換体の抽出物は、常法に従って、例えば、香料、工業原料の製造等の用途に使用することができる。
本発明はまた、別の実施形態において、本発明の方法で製造されたヘキセノール配糖体を食品、飲料、香料、医薬、工業原料、香粧料を提供する。本発明の形質転換体の抽出物を含む食品、香料、医薬、工業原料の調製は、常法による。このように、本発明の形質転換体の抽出物を含む食品、香料、医薬、工業原料等は、本発明の方法を用いて製造されたヘキセノール配糖体を含有する。
4.ヘキセノール配糖体化酵素の発現が抑制された植物
配糖体化されて植物細胞に蓄積しているみどりの香りについては、植物中に内在的に存在するヘキセノールを配糖化する活性を有するタンパク質の発現を抑制することにより、配糖体化が阻害される。その結果、当該植物は、配糖体化されない揮発性のヘキセノールを多く含み、より強いみどりの香りを発すると考えられる。
そこで、本発明は、ヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質の発現が抑制された植物を提供する。
ヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質(以下、「ヘキセノール配糖体化酵素」という)とは、具体的には、以下の(a)〜(e)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のポリヌクレオチドにコードされる。
(a)配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29又は31の塩基配列を含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(d)配列番号2、4又は6のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;及び
(e)配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29又は31の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(a)〜(e)のポリヌクレオチドの定義等については、「2.ヘキセノール配糖体高含有非ヒト形質転換体」で述べたとおりである。
上記(a)及び(e)のポリヌクレオチドにおいて、「配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29又は31の塩基配列」は、ある実施形態では「配列番号1又は3の塩基配列」、「配列番号5、7、9又は11の塩基配列」、「配列番号13、15又は17の塩基配列」、「配列番号19、21又は23の塩基配列」、「配列番号25の塩基配列」、「配列番号27又は29の塩基配列」あるいは「配列番号31の塩基配列」である。
上記(b)〜(d)のポリヌクレオチドにおいて、「配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30又は32のアミノ酸配列」は、ある実施形態では「配列番号2又は4のアミノ酸配列」、「配列番号6、8、10又は12のアミノ酸配列」、「配列番号14、16又は18のアミノ酸配列」、「配列番号20、22又は24のアミノ酸配列」、「配列番号26のアミノ酸配列」、「配列番号28又は30のアミノ酸配列」あるいは「配列番号32のアミノ酸配列」である。
ヘキセノール配糖体化酵素の発現を抑制する方法の具体例としては、当該酵素のメッセンジャーRNA(mRNA)の発現量を低下させる物質、例えば、低分子化合物、ホルモン、タンパク質及び核酸等が挙げられ、1つの実施態様では、前記酵素をコードする遺伝子の機能又は発現を抑制する核酸である。このような核酸の例としては、RNA干渉(RNAi)用のsiRNA(small interfering RNAを生じさせる、ヘアピン状のshRNA(Short Hairpin RNA)、二本鎖RNA(Double Stranded RNA:dsRNA)、アンチセンス核酸、デコイ核酸、又はアプタマーなどが挙げられる。これらの阻害性核酸により、上記遺伝子の発現を抑制することが可能である。阻害の対象となるヘキセノール配糖体化酵素遺伝子は上記(a)〜(e)のポリヌクレオチドからなり、それぞれ配列情報を入手することができる。本発明において、ヘキセノール配糖体化酵素遺伝子のコード領域のみならず、非コード領域を阻害対象領域として使用することも可能である。
RNA干渉(RNAi)は、複数の段階を経て行われるマルチステッププロセスである。最初に、RNAi発現ベクターから発現したdsRNA又はshRNAがDicerによって認識され、21〜23ヌクレオチドのsiRNAsに分解される。次に、siRNAsはRNA誘導型サイレンシング複合体(RNA−Induced Silencing Complex:RISC)と呼ばれるRNAi標的複合体に組み込まれ、RISCとsiRNAsとの複合体がsiRNAの配列と相補的な配列を含む標的mRNAに結合し、mRNAを分解する。標的mRNAは、siRNAに相補的な領域の中央で切断され、最終的に標的mRNAが速やかに分解されてタンパク発現量が低下する。最も効力の高いsiRNA二重鎖は、19bpの二重鎖の各3’末端にウリジン残基2個の突出部分を持つ21ヌクレオチド長の配列であることが知られている(Elbashir S.M.et al.,Genes and Dev,15,188−200(2001))。
一般に、mRNA上の標的配列は、mRNA配列に対応するcDNA配列から選択することができる。但し、本発明においてはこの領域に限定されるものではない。
siRNA分子は、当分野において周知の基準に基づいて設計できる。例えば、標的mRNAの標的セグメントは、好ましくはAA、TA、GA又はCAで始まる連続する15〜30塩基、好ましくは19〜25塩基のセグメントを選択することができる。siRNA分子のGC比は、30〜70%、好ましくは35〜55%である。あるいは、RNAiの標的配列は、Ui−Tei K.et al.((2004)Nucleic Acids Res.32,936−948)の記載に沿って適宜選択することができる。
siRNAを細胞に導入するには、合成したsiRNAをプラスミドDNAに連結してこれを細胞に導入する方法、2本鎖RNAをアニールする方法などを採用することができる。
また、本発明は、RNAi効果をもたらすためにshRNAを使用することもできる。shRNAとは、ショートヘアピンRNAと呼ばれ、一本鎖の一部の領域が他の領域と相補鎖を形成するためにステムループ構造を有するRNA分子である。
shRNAは、その一部がステムループ構造を形成するように設計することができる。例えば、ある領域の配列を配列Aとし、配列Aに対する相補鎖を配列Bとすると、配列A、スペーサー、配列Bの順でこれらの配列が一本のRNA鎖に存在するように連結し、全体で45〜60塩基の長さとなるように設計する。スペーサーの長さも特に限定されるものではない。
配列Aは、標的となるヘキセノール配糖体化酵素遺伝子の一部の領域の配列であり、標的領域は特に限定されるものではなく、任意の領域を候補にすることが可能である。そして配列Aの長さは19〜25塩基、好ましくは19〜21塩基である。
さらに、本発明は、マイクロRNAを用いてヘキセノール配糖体化酵素の発現を阻害することができる。マイクロRNA(miRNA)とは、細胞内に存在する長さ20〜25塩基ほどの1本鎖RNAであり、他の遺伝子の発現を調節する機能を有すると考えられているncRNA(non coding RNA)の一種である。miRNAは、RNAに転写された際にプロセシングを受けて生じ、標的配列の発現を抑制するヘアピン構造を形成する核酸として存在する。
miRNAも、RNAiに基づく阻害性核酸であるため、shRNA又はsiRNAに準じて設計し合成することができる。
RNAi用の発現ベクターは、pMuniH1プラスミド、pSINsiベクター(タカラバイオ)、pSIF1−H1(システムバイオサイエンス社)等をベースに、市販のDNA/RNAシンセサイザー(例えば、Applied Biosystems394型)を用いて容易に作製することができる。RNAi用の発現ベクターの例としては、例えば、pSPB1876(国際公開公報WO2004/071467)が挙げられるが、これに限定されるものではない。RNAi用の発現ベクターは、コスモ・バイオ株式会社、タカラ・バイオ株式会社、Invitrogen社、Promega社等の第三者機関に作製を委託することもできる。
ヘキセノール配糖体化酵素の発現が抑制された植物の製造方法は、以下の工程を含んでいてもよい。
(1)宿主植物又はその一部にヘキセノール配糖体化酵素に対するRNAi用の発現ベクター(例えば、siRNA発現ベクター又はmiRNA発現ベクターを導入する工程
宿主植物へRNAi用の発現ベクターを導入する方法は、項目「2.ヘキセノール配糖体高含有非ヒト形質転換体」に述べた方法と同様である。宿主植物は、植物体全体、又はその一部である植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子など)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束、柵状組織、海綿状組織など)又は植物培養細胞、あるいは種々の形態の植物細胞(例えば、懸濁培養細胞)、プロトプラスト、葉の切片、カルスなどのいずれであってもよい。植物の種類についても、項目「2.ヘキセノール配糖体高含有非ヒト形質転換体」に述べたものと同様である。
(2)前記工程(1)により得られた形質転換植物を育成する工程
前記工程(1)で用いた宿主植物が、植物器官、植物組織、植物細胞、プロトプラスト、葉の切片又はカルスといった植物体の一部であった場合には、完全な植物体を形成するまで形質転換体を適切な環境で育成してもよい。植物体の一部から完全な植物体を育成する方法については、以下の文献の記載を参照できる:生物化学実験法41 植物細胞工学入門 学会出版センター ISBN 4−7622−1899−5。
このようにして得られたヘキセノール配糖体化酵素遺伝子の発現が抑制された植物を栽培することにより、効率的にヘキセノール・アグリコンを製造することができる。
同様の方法により、以下の(f)〜(j)のポリヌクレオチドに対してRNA干渉を行うことにより、配糖化されていない本発明の基質を高含量で含む植物体を作製することができる。
(f)配列番号1の塩基配列を含有するポリヌクレオチド
(g)配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(h)配列番号2のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつかつヘキセノール、ゲラニオール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノールおよびリナロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上の基質を配糖体化する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(i)配列番号2のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつかつヘキセノール、ゲラニオール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノールおよびリナロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上の基質を配糖体化する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;及び
(j)配列番号1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドであって、かつかつヘキセノール、ゲラニオール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノールおよびリナロールからなる群より選択されるいずれか一つ以上の基質を配糖体化する活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
このようにして得られた本発明の基質の配糖体化酵素遺伝子の発現が抑制された植物を栽培することにより、効率的に本発明の基質のアグリコンを製造することができる。
5.ヘキセノール配糖体化酵素遺伝子の発現が抑制された植物の加工製品
現代では、生花(例えば、土壌育成植物、鉢植植物、切り花等)のみではなく、生花の加工製品も植物観賞用の製品として販売されている。ヘキセノール配糖体化酵素遺伝子又は本発明の基質の配糖体化酵素遺伝子の発現が抑制された植物は、みどりの香りが強いため、このような生花の加工製品の材料としても非常に有用である。従って、本発明の別の実施形態として、ヘキセノール配糖体化酵素遺伝子の発現が抑制された植物(例えば、生花、切り花)又はその一部(例えば、葉、花弁、茎、根、種子、球根等)の加工製品が挙げられる。前記加工製品の例としては、押し花、ドライフラワー、プリザーブドフラワー、マテリアルフラワー、樹脂密封品等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
6.ヘキセノール配糖体化酵素の発現が抑制された植物の抽出物及びその利用
本発明はまた、別の実施形態において、上記のヘキセノール配糖体化酵素又は本発明の基質の配糖体化酵素遺伝子の発現が抑制された植物の抽出物を提供する。ヘキセノール配糖体化酵素又は本発明の基質の配糖体化酵素遺伝子の発現が抑制された植物は、その野生型と比べてヘキセノール・アグリコン又は本発明の基質のアグリコンの含有量が高いので、その抽出物には、ヘキセノール・アグリコン又は本発明の基質のアグリコンが高濃度で含まれると考えられる。
上記抽出物の抽出方法は、上記で述べた本発明の形質転換体の抽出物の抽出方法と同様である。
このようにして得られた抽出物は、常法に従って、例えば、香料、工業原料の製造等の用途に使用することができる。
本発明はまた、別の実施形態において、前記抽出物を含む香料、工業原料を提供する。前記抽出物を含む香料、工業原料の調製は、常法による。このように、ヘキセノール配糖体化酵素又は本発明の基質の配糖体化酵素遺伝子の発現が抑制された植物の抽出物を含む香料、工業原料等は、ヘキセノール配糖体化酵素又は本発明の基質の配糖体化酵素の発現が抑制された植物を用いて生成されたヘキセノール・アグリコン又は本発明の基質のアグリコンを含有する。
本発明の香料、工業原料等の種類及び組成などは、先の項目「3. 形質転換体の抽出物及びその利用」で述べたものと同様である。→項目3.の詳細なき際を削除したので、ここも削除すべきと思います。
7.ヘキセノール配糖体含有量の高い植物又はヘキセノール・アグリコン含有量の高い植物をスクリーニングする方法
本発明は、ヘキセノール・アグリコン含有量の高い植物をスクリーニングする方法を提供する。具体的には、前記方法は、以下の(1)〜(3)の工程を含む。
(1)被検植物からmRNAを抽出する工程
(2)前記mRNA又は前記mRNAから調製したcDNAと、本発明のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程
(3)前記ハイブリダイゼーションを検出する工程
上記工程(1)は、被検植物から、mRNAを抽出することにより行うことができる。mRNAを抽出する被検植物の部位は、特に限定されないが、好ましくは、花弁である。mRNAを抽出した場合には、逆転写することにより、mRNAからcDNAを調製してもよい。
工程(2)は、上記で抽出したmRNAに対し、本発明のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドをプローブ又はプライマーとして、高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせることにより行うことができる。高ストリンジェントな条件は、既に述べたとおりである。ポリヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドは、好ましくは、5〜500bp、より好ましくは、10〜200bp、さらに好ましくは、10〜100bpの長さである。ポリヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドは、各種自動合成装置(例えば、AKTAoligopilot plus 10/100(GE Healthcare))を用いて容易に合成することが可能であり、あるいは、第三者機関(例えば、Promega社又はTakara社)等に委託することもできる。
工程(2)において本発明のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドをプローブとして用いた場合には、工程(3)は、通常のサザンブロッティング、ノーザンブロッティング(Sambrook,Fritsch and Maniatis,”Molecular Cloning:A Laboratory Manual” 2nd Edition(1989),Cold Spring Harbor Laboratory Press)、マイクロアレイ(Affymetrix社;米国特許第6,045,996号、同第5,925,525号、及び同第5,858,659号参照)、TaqMan PCR(Sambrook,Fritsch and Maniatis,”Molecular Cloning:A Laboratory Manual” 2nd Edition(1989),Cold Spring Harbor Laboratory Press)、又はFluorescent In Situ Hybridization(FISH)(Sieben V.J.et al.,(2007−06).IET Nanobiotechnology 1(3):27−35)等のハイブリダイゼーション検出方法により行うことができる。一方、工程(2)において本発明のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドをプライマーとして用いた場合には、工程(3)は、PCR増幅反応を行い、得られた増幅産物を電気泳動又はシークエンシング(Sambrook,Fritsch and Maniatis,”Molecular Cloning:A Laboratory Manual” 2nd Edition(1989),Cold Spring Harbor Laboratory Press)等によって解析することにより、ハイブリダイゼーションを検出することができる。
ハイブリダイゼーションがより多く検出された植物体は、他の植物体と比べてヘキセノール化合物を配糖体化する活性を有するタンパク質をより多く発現しているといえるので、ヘキセノール配糖体含有量が高いことが予測される。
一方、ハイブリダイゼーションがより少なく検出された植物体は、他の植物体と比べてヘキセノール化合物を配糖体化する活性を有するタンパク質の発現が低いため、ヘキセノール・アグリコン含有量が高く、強いみどりの香りを放つことが予測される。
8.ヘキセノール配糖体製造用組成物
本発明は、本発明のタンパク質と溶媒とを含む、ヘキセノール配糖体製造用の組成物(以下、「本発明の組成物」という)を提供する。
本発明の組成物は、さらにUDP−糖を含んでいてもよい。
本発明のタンパク質、ヘキセノール配糖体及びUDP−糖については、上で述べたとおりである
溶媒は、特に限定されないが、好ましくは、pH6.0〜8.0の中性領域の緩衝液(例えば、リン酸ナトリウムバッファー又はリン酸カリウムバッファー)である。
本発明の組成物を、ヘキセノール(及びUDP−糖)と混合し、反応させることにより、容易にヘキセノール配糖体を製造することができる。
本発明のタンパク質と、UDP−糖と、ヘキセノール分子との反応については上で述べたとおりである。
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例によって限定されない。
[実施例1] 茶由来候補遺伝子の探索
本実施例において用いる分子生物学的手法は、他で詳述しない限り、Molecular Cloning(Sambrookra,Cold Spring Harbour Laboratory Press,2001)に記載の方法に従った。
お茶にはみどりの香り配糖体が存在することが知られているため、チャ(ヤブキタ品種)のcDNAライブラリー(非参考文献4)のファージ約30万pfuを用いて、シロイヌナズナの配糖体化酵素を使って配糖体化酵素遺伝子を網羅的にスクリーニングした。シロイヌナズナUGT85A3遺伝子特異的プライマーセット(配列番号33及び34)及びUGT85A1遺伝子特異的プライマーセット(配列番号35及び36)で増幅される断片をスクリーニングプローブとして、プラークハイブリダイゼーションによるスクリーニングを行った。
CACC−NdeI−UGT85A3−Fw(下線はNdeI認識部位を示す):
XhoI−stop−UGT85A3−Rv(下線はXhoI認識部位を示す):
NdeI−AtUGT85A1−Fw(下線はNdeI認識部位を示す):
BamHI−AtUGT85A1−Rv(下線はBamHI認識部位を示す):
プローブはノンラジオアイソトープDIG−核酸検出システム(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を用いて、製造者が推奨する条件に従いPCRによりラベルした。この際、鋳型DNAを1μl(シロイヌナズナ全草cDNA)、1x Taq buffer(TakaRa Bio)、0.2mM dNTPs、プライマー各0.2pmol/μl、rTaq polymerase 1.25 Uを含むPCR反応液を使用した。このPCR反応液を、94℃で5分反応させた後、94℃1分、52℃1分、72℃2分の反応を30サイクル行い、最後に72℃で5分間処理した。このPCR産物からMini Quick Spinカラム(Roche)でプライマーおよび未反応のdNTPを除去し、これをスクリーニングプローブとして用いた。
ライブラリーのスクリーニングならびに陽性クローンの検出はノンラジオアイソトープDIG−核酸検出システム(ロシュ・ダイアグノスティックス)を用い、製造者の推奨する方法に従った。ハイブリダイゼーション反応は、30%ホルムアミドを含む5xSSC中、37℃で一晩行い、メンブレンの洗浄を5xSSC、1%SDSを用いて55℃で20分間行った。約50万プラークをスクリーニングした。二次スクリーニング後、得られたた陽性クローンから、DNA Sequencer model 3100(Applied Biosystems)を用いて合成オリゴヌクレオチドプライマーによるプライマーウォーキング法によってcDNA配列を得た。得られたcDNA配列をBlastxプログラム(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)によってホモロジー解析することでCs_UGT_C30及びCs_UGT85like_C1を含むチャUGT遺伝子(Cs_UGT)を得た。
[実施例2] 大腸菌における茶由来候補遺伝子の発現
これらのUGTに特異的なプライマーを設計し、お茶cDNAを鋳型にPCRによって遺伝子増幅した。増幅産物はpENTR−TOPO Directionalベクター(Invitrogen)に製造業者が推奨する方法でサブクローニングした。DNA Sequencer model 3100(Applied Biosystems)を用い、合成オリゴヌクレオチドプライマーによるプライマーウォーキング法によって挿入断片内にPCRによる変異が無いことを確認した。
プライマーに付加したNdeIおよびXhoIあるいはSalIあるいはBamHIの制限酵素部位を利用して約1.4kbの各Cs_UGT断片を切り出し、大腸菌発現ベクターであるpET15b(Novagen社)のNdeIおよびXhoIあるいはBamHIサイトへ連結し、本酵素遺伝子の大腸菌発現ベクターを得た。本ベクターNdeIサイト上流にあるHisタグとCs_UGT遺伝子のオープンリーディングフレームが合っており、Cs_UGTのN末端側にHisタグの融合したキメラタンパク質が発現するよう設計した。
[実施例3] 酵素発現および精製
本酵素の生化学的な機能を明らかにするために、本酵素を大腸菌において発現させた。上記で得られたCs_UGT大腸菌発現用プラスミドを用い定法に従って大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。得られた形質転換体を、50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地(10g/l typtone pepton,5g/l yeast extract,1g/l NaCl)4mlにて、37℃で一晩振盪培養した。静止期に達した培養液4mlを同組成の培地80mlに接種し、37℃で振盪培養した。菌体濁度(OD600)がおよそ0.5に達した時点で終濃度0.5mMのIPTGを添加し、18℃で20hr振盪培養した。
以下のすべての操作は4℃で行った。培養した形質転換体を遠心分離(5,000×g,10min)にて集菌し、Buffer S[20mM HEPESバッファー(pH7.5),20mM imidazol,14mM β−メルカプトエタノール]1ml/g cellを添加して、懸濁した。続いて、超音波破砕(15sec×8回)を行い,遠心分離(15,000×g,15min)を行った。得られた上清を粗酵素液として回収した。粗酵素液をBuffer Sにて平衡化したHisSpinTrap(GE Healthcare)に負荷し、遠心(70×g,30sec)した。Bufferで洗浄後、100mMおよび500mMのimidazoleを含むBuffer S各5mlにて、カラムに結合したタンパク質を段階的に溶出した。各溶出画分をMicrocon YM−30(Amicon)を用いて20mM HEPESバッファー(pH7.5)、14mM β−メルカプトエタノールにバッファー置換した(透析倍率1000倍)。
200mM imidazole溶出画分においてSDS−PAGE分離後のCBB染色あるいは抗HisTag−抗体を用いたWestern blotting解析により、HisTag融合Cs_UGTキメラタンパク質の推定分子量約56.7kDa付近にタンパク質を確認したので、この画分を酵素反応に用いた。
[実施例4] 酵素反応および反応物分析
標準的な酵素反応条件は以下の通りである。反応液(2mM UDP−グルコース,1.5mM糖受容体基質,100mMリン酸カリウムバッファー(pH7.5),精製Cs_UGT酵素溶液25μl)を蒸留水で50μlに調製し、30℃、1時間反応させた。
酵素反応液5μlを下記の条件でLC−MS分析を行った。
LC condition
カラム:CAPCELL PAK C18−UG120(2.0mmI.D.×150mm)
移動相:A:MilliQ水(+0.05%蟻酸含有),B:アセトニトリル
グラジエント:15分間のB濃度15%から90%への直線濃度勾配
流速:毎分0.2ml
カラムオーブン:40℃
注入量:5μl
MS condition
ESI(negative mode)
SIM mode:(m/z 261,297,307)
分析の結果、Cs_UGT85like_C1及びCs_UGT_C30との反応において保持時間6分付近に生成物が認められた。標準品のモノグルコシル化された配糖体が検出された(図1B及び1C:サンプル2及び3)。標準品のcis−3−ヘキセニルモノグルコシド(m/z261はcis−3−ヘキセニルモノグルコシド(分子量:261),m/z307はcis−3−ヘキセニルモノグルコシドのギ酸付加体(分子量:307)(図5C:サンプル15)の比較から、Cs_UGT85like_C1及びCs_UGT_C30による生成物は、いずれもcis−3−ヘキセニルモノグルコシドであることが分かった。また空ベクター由来のサンプルとcis−3−ヘキセノールとの反応では新たな生成物が認められなかった(図1A:サンプル1)。以上の結果からCs_UGT85like_C1及びCs_UGT_C30はcis−3−ヘキセノールを配糖体化する活性を有している糖転移酵素であることが示された。
[実施例5] チャ以外の植物系統におけるホモログ酵素の解析
みどりの香りは陸上植物において広く見つかるため、チャのCs_UGT_C30の配列との相同性を手がかりに、他の植物系統由来のみどりの香りを配糖体化するUGTの探索を行った。上記の実施例と同様の方法で活性をスクリーンングしたところ、下記に示すUGTにおいて同様のcis−3−ヘキセニルモノグルコシドの生成活性が認められた(図2A−C:サンプル4〜6、図3A−C:サンプル7〜9、図4A−C:サンプル10〜12、図5A−C:サンプル13〜14、図6A−C:サンプル16〜18)。
以上の結果から、みどりの香りの配糖体化酵素は配列と機能の間に一定の相関があり、陸上植物において幅広く存在していることを明らかにした。
[実施例6] 糖受容体の特異性の解析
上記のとおり、お茶から単離したCsUGTC30はcis−3−hexen−1−ol(ヘキセノール)に代表されるみどりの香り(Green leaf volatile:GLV)をグルコシル化できることが分かった。
お茶の葉には緑の香りの配糖体以外にもゲラニオールやリナロールなどのモノテルペン系の香気成分や芳香属系の香気分が配糖体として存在していることが知られている(非特許文献:Wang etal J.Agric.Food Chem.2000,48,5411−5418)。
次にCsUGTC30の基質特異性を明らかにするため為に、ゲラニオール、リナロール、オイゲノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノール、ケルセチン、シアニジンを基質とし、前述の酵素および酵素反応条件でグルコール転移相対活性を求めた。反応時間は30℃で30分とした。
その結果、CsUGTC30はゲラニオールに対して最も活性が高く、次いで、オイゲノール、ベンジルアルコールに対してヘキセノールと同等の活性を示した。
2−フェニルエタノールおよびリナロールに対しても糖転移活性が認められた。一方、非香気成分であるフラボノイドであるケルセチン(フラボノール)およびシアニジン(アントシアニジン)に対しては糖転移活性を示さなかった(図8:ゲラニオールに対する活性を100%とする)。
以上の結果から、CsUGTC30はみどりの香りのみならず、モノテルペンアルコール系や芳香属系の香気成分を配糖体化できることが示された。
[実施例7] 糖受容体の特異性の解析
次にCsUGTC30の糖供与体の特異性について検討した。方法については既報の方法を参考に実施した(非特許文献2:Noguchi et al(2009)Plant Cell,21:1556−1572)。糖受容体をゲラニオールとし、UDP−グルコール、UDP−キシロース、UDP−ガラクトース、UDP−グルクロン酸の4種のUDP−糖を用いて酵素反応を実施した。反応時間は30℃で30分とした。その結果、UDP−グルコースに高い特異性を示し、UDP−ガラクトースについてはUDP−グルコースの15%であった(図9:UDP−glucoseに対する活性を100%とする)。したがって、CsUGTC30はUDP−グルコースを主たる糖供与体とすることが分かった。
[実施例8] 糖受容体の特異性の解析
香気成分をグルコシル化するCsUGTC30の発現領域を明らかにするため、器官別の定量的RT−PCR解析を行った。上記の方法でチャ(ヤブキタ品種)の過成熟葉、成熟用、若い葉、若い葉(暗黒処理)、茎、根、花からそれぞれトータルRNAを抽出し、既報の方法を同様の方法で実施した(非特許文献3:Ono et al(2010)Plant Cell,22:2856−2871)。暗黒処理は24時間アルミニウムで遮光した。CsUGTC30の特異的プライマー(配列番号37及び38)、ならびに内部標準の18S rRNA特異的プライマー(配列番号39及び40)は下記を用いた。
CsUGTC30の特異的プライマー(forward):qRT−Cs−30−FW2
CsUGTC30の特異的プライマー(Reverse):qRT−Cs−30−RV2
18S rRNAの特異的プライマー(forward):Cs 18srRNA−FW
18S rRNAの特異的プライマー(Reverse):Cs 18srRNA−RV
その結果、CsUGTC30は若い葉で最も高く発現することが確認された(図10)。本結果はチャの香気成分配糖体が葉で蓄積すること一致する。以上の結果から、CsUGTC30は若い葉で発現し、多様な香気をグルコシル化することで水溶性の香気前駆体を葉で生成させる重要な酵素であることが分かった。
緑茶、烏龍茶、紅茶などの原料であるお茶(Camellia sinensis)をはじめ、種々の植物抽出液を含む食品においてはみどりの香りは品質を決める重要な成分であるため、その制御技術が求められる。このたび複数の植物系統からみどりの香りを配糖体化する活性を有する糖転移酵素を複数種類見いだした。本酵素を利用又は制御することでみどりの香りを増強、あるいは低下させることができる。本発明は香気を改変した食品、あるいは香料開発するための重要なツールを与える。
配列番号33〜40:合成DNA
[配列表]

Claims (18)

  1. ヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質と、UDP−糖と、ヘキセノール分子とを反応させて前記ヘキセノール分子を配糖体化する工程を含む、ヘキセノール配糖体の製造方法。
  2. 前記タンパク質が(a)〜(c)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、請求項1に記載の方法。
    (a)配列番号2又は4のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号2又は4のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
    (c)配列番号2又は4のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
  3. 前記タンパク質が(d)〜(f)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、請求項1に記載の方法。
    (d)配列番号6、8、10又は12のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (e)配列番号6、8、10又は12のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
    (f)配列番号6、8、10又は12のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
  4. 前記タンパク質が(g)〜(i)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、請求項1に記載の方法。
    (g)配列番号14、16又は18のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (h)配列番号14、16又は18のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
    (i)配列番号14、16又は18のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
  5. 前記タンパク質が(j)〜(l)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、請求項1に記載の方法。
    (j)配列番号20、22又は24のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (k)配列番号20、22又は24のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
    (l)配列番号20、22又は24のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
  6. 前記タンパク質が(m)〜(o)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、請求項1に記載の方法。
    (m)配列番号26のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (n)配列番号26のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
    (o)配列番号26のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
  7. 前記タンパク質が(p)〜(r)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、請求項1に記載の方法。
    (p)配列番号28又は30のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (q)配列番号28又は30のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
    (r)配列番号28又は30のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
  8. 前記タンパク質が(s)〜(u)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、請求項1に記載の方法。
    (s)配列番号32のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (t)配列番号32のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
    (u)配列番号32のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
  9. 前記UDP−糖が、UDP−ヘキソースである、請求項1に記載の方法。
  10. 前記ヘキソースが、グルコース、マンノース及びガラクトースからなる群より選択されるものである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記タンパク質は、同タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を宿主細胞内で発現させることにより生成された組換えタンパク質である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記宿主細胞が植物細胞である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記ヘキセノール分子を配糖体化する工程が、前記宿主細胞内で行われる、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記宿主細胞からヘキセノール配糖体を精製する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
  15. ヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質及び溶媒を含む、ヘキセノール配糖体製造用の組成物。
  16. 前記タンパク質が(a)〜(c)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質である、請求項15に記載の組成物。
    (a)配列番号2又は4のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (b)配列番号2又は4のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
    (c)配列番号2又は4のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
  17. 以下の(v)〜(x)よりなる群より選ばれるいずれかに記載のタンパク質。
    (v)配列番号16又は18のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (w)配列番号16又は18のアミノ酸配列において、1〜40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質;
    (x)配列番号16又は18のアミノ酸配列に対して、90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつヘキセノールを配糖体化する活性を有するタンパク質
  18. 請求項17に記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
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