JPWO2014126189A1 - X線撮像装置及びx線撮像方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検者の顎部等の撮像対象の物質の種類を同定するためのCT再構成を精度良く且つ簡便に実行する。【解決手段】X線撮像装置は、X線管と光子計数型の検出器とを備える。検出器は、X線の光子に応じた電気パルスを出力する画素を2次元的に配置した画素群と、X線の光子数を画素毎に収集する計数回路とを備える。この計数回路では、X線光子それぞれのエネルギを弁別するためのエネルギ閾値がN個(N≧3)与えられる。これにより各画素から出力される電気パルスがN個のエネルギ閾値に対応した電気的な閾値により弁別される。このため、X線の光子数が「N−1」個のエネルギ帯域それぞれに応じて画素毎に収集される。CT撮影時には、「N−1」個のエネルギ領域のうち少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれにおいてX線の光子数に基づく投影データが収集される。この投影データに基づいてエネルギ帯域毎のCT画像が再構成される。

Description

本発明は、X線を対象の所望の撮像部位に照射し、その対象を透過してきた放射線を検出し、その検出データに基づいて撮像部位を構成する組織を同定するX線撮像装置に係り、特に、光子計数(フォトンカウンティング)型の検出器が検出した、X線の複数のエネルギ帯それぞれのX線の光子(フォトン)の数に応じたX線吸収データに基づいて撮像部位の組織同定、形状データなどのデータ収集、断層像の画像化などの機能を提供するX線撮像装置及びX線撮像方法に関する。
近年、X線やガンマ線などの放射線を用いて対象物の内部構造や機能を診断・撮影する装置における技術進歩は目覚しいものがある。この種の装置には放射線を検出する検出器が必須であり、この放射線検出器の性能向上も上述の技術進歩の一翼を担っている。とくに、検出信号をデジタル形式で出力する、いわゆるデジタル化を始め、画素の精細化及び検出面の大形化が進んでいる。
この放射線検出器の放射線検出法についても、従来からの積分法(積分モード)に加え、光子計数法(フォトンカウンティング法)と呼ばれる検出法も注目されている。この光子計数法は、従来では、核医学の分野におけるガンマ線検出器に採用されていたものである(例えば、特許文献1を参照)。一方、近年、画像のエンハンス能の向上、メタルアーチファクトの削減、ビームハードニングの影響を軽減などの効果を得るために、この光子計数法をX線検出器に適用する事例も報告されている。
この種の事例の1つとして特許文献2で提案されたものが知られている。つまり、「複数の画素のそれぞれに入射した放射線を光子と見做して当該粒子のエネルギに応じた電気信号を出力する光子計数型検出器を備え、この検出器が出力した各画素の信号に基づいて放射線のエネルギスペクトル上の複数のエネルギ領域に分類される当該放射線の光子数の計数値を演算し、この演算された画素毎の複数のエネルギ領域それぞれの計数値に当該エネルギ領域別に与えられた重み係数の重み付けを施し、この重み付けされた画素毎の複数のエネルギ領域それぞれの計数値を互いに加算し、この加算データを画素毎の放射線画像生成用データとして出力する放射線検出装置」である。
このように、光子計数型のX線検出器の場合、入射するX線光子のそれぞれが持つエネルギを弁別する閾値が1個以上(好適には複数個)、用意される。この閾値によりエネルギの範囲が規定されるので、各X線光子のエネルギがどのエネルギ範囲に属するかを判定することができる。この判定の結果、それぞれのエネルギ範囲に弁別されたX線光子数が計数される。この計数値の情報が画像の画素値として反映される。
一方、近年、X線装置を用いて測定対象に含まれる物質の種類を同定(又は識別、特定)しようとする試みもなされている。この同定の試みとして、上述のように、エネルギ帯に分けたエネルギ情報が出力できる光子計数型X線平面検出器を用いるものがある(例えば、論文に係る非特許文献1及び非特許文献2を参照)。具体的には、この光子計数型X線平面検出器をCTスキャナに搭載し、検出したエネルギ情報を用いて物質の同定(識別)を行うものである。この同定法の場合、研究レベルでは興味深い結果が出ている。しかし、本技術は研究レベルに留まり、性能面のバランスの悪さと生産性の点で実用化には至っていない。
また、CTスキャナを用いて物質同定を行う手法も知られている。この場合には、別々の管電圧を供給するX線管と、これらのX線管とそれぞれ対を成す2つの検出器とが搭載される。そこで、2つの検出器で検出されるX線エネルギの相違を利用して、物質の識別を行う。また、X線管と検出器の対は必ずしも複数である必要はなく、1対のX線管と検出器でもよい。この構成の場合、X線管に供給する管電圧を例えば2つの間で、収集のスピードよりも速いスピードで高速に切り換え、2つの管電圧の元で収集される2種類の画像を切り分けて取り出し、物質同定を行うこともできる。
このようなCTスキャナを用いた物質同定の背景には、CTスキャナがいわゆるCT値を求める装置であることがある。つまり、物質の種類が異なれば、CT値は異なり、また、同じ物質であっても、与えるX線エネルギ(管電圧)が異なれば、CT値が異なるので、この違いを利用して物質を特定しようというものである。
特開平11−109040 特開2006−101926
「Material separation in x-ray CT with energy resolved photon-counting detectors Xiaolan Wang et al. Med. Phys. 38(3), March 2011」 MicroCT with energy-resolved photon-counting detectors Xiaolan Wang et al. PHYSICS IN MEDICINE AND BIOLOGY 56 (2011)」
しかしながら、異なる2つの管電圧を印加する2つのX線管を搭載する手法の場合、既に製品化されているが、精度の高い物質同定には限界がある。そのために比較的識別の容易なCT値の差の大きな識別に応用されているのが現状で微妙な物質の差を同定するには精度が不十分である。その理由は、X線が連続スペクトラムであるため、2つのX線エネルギ帯にオ−バーラップが存在してエネルギ帯の情報が正しく取り出せない。このため同定精度の限界があるからである。
また、3つ以上の管電圧を切り替えようと思えば、2個以上の管球を追加して3個以上のX線管を使用するか、さらに高速に管電圧を切り替える必要がある。一方、SN比を保とうと思えば、X線量が増え、X線被曝の点で好ましくない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、被検者の顎部等の撮像対象を撮像する歯科用CTスキャナの機能を備えたX線撮像装置において、光子計数型の検出器により検出されたエネルギ領域毎の投影データを使って、撮像対象に存在する物質の種類を同定(又は識別、特定)するためのCT再構成処理を精度良く且つ簡便に実行できるX線撮像装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一つの側面に係るX線撮像装置は、白色X線を曝射するX線管と、入射するX線の光子に応じた電気パルスを出力する画素を2次元的に配置した画素群を有する検出回路と、前記X線の連続エネルギに対してエネルギ閾値をN個(N≧4)以上与え、且つ前記各画素から出力される前記電気パルスを前記N個のエネルギ閾値により弁別するとともに、前記X線の光子数を、前記N個のエネルギ閾値で分けられ且つ当該N個のエネルギ閾値の相互間に在る「N−1」個のエネルギ帯域のそれぞれに応じて画素毎に収集する収集手段と、を有する光子計数型の検出器と、前記X線管と前記検出器を互いに対向させるとともに、CT撮影時には当該X線管と当該検出器を撮像対象の周りに回転可能に支持する支持手段と、前記CT撮影時には前記X線管と前記検出器を前記撮像対象の周りに、指示されたスキャン法に基づいて回転させるスキャン手段と、前記「N−1」個のエネルギ帯域のうち少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれに対して、前記収集手段により収集された前記X線の光子数に基づく投影データにCT(computed tomography)用の再構成処理を施して当該少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれのCT画像を再構成する再構成手段と、を備えることを特徴とする。
また別の側面によれば、白色X線を曝射するX線管と、入射するX線の光子に応じた電気パルスを出力する画素を2次元的に配置した画素群を有する検出回路と、前記X線の光子数を画素毎に収集する収集手段と、を有する光子計数型の検出器と、前記X線管と前記検出器を互いに対向させるとともに、CT撮影時には当該X線管と当該検出器を撮像対象の周りに回転可能に支持する支持手段と、前記CT撮影時には前記X線管と前記検出器を前記撮像対象の周りに、指示されたスキャン法に基づいて回転させるスキャン手段と、を備えたX線撮像装置におけるX線撮像方法が提供される。このX線撮像方法では、前記収集手段に前記X線の連続エネルギに対してエネルギ閾値をN個(N≧3)以上与えた状態で前記CT撮像を行って、前記各画素から出力される前記電気パルスを前記収集手段により前記N個のエネルギ閾値で弁別させ、前記X線の光子数を、前記N個のエネルギ閾値で分けられ且つ当該N個のエネルギ閾値の相互間に在る「N−1」個のエネルギ帯域のそれぞれに応じて画素毎に収集し、前記「N−1」個のエネルギ帯域のうち少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれに対して、前記収集手段により収集された前記X線の光子数に基づく投影データにCT(computed tomography)用の再構成処理を施して当該少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれのCT画像を再構成する。
本発明において「物質を同定(識別、特定)する」とは、投影データを再構成したCT画像から、被検者の顎部等の撮像対象に在る物質の種類を同定することを意味し、その対象となる物質の厚さ(相対的、絶対的な厚さ)を知ることも含まれる概念である。この物質の同定には、X線を粒子、すなわち光子として捉え、そのX線光子をそのエネルギ領域の毎に計数した計数値に基づくX線透過情報と、X線粒子が呈するビームハードニングと呼ばれる線質硬化の情報とを用いる。ビームハードニングとは、X線の高エネルギ成分の方がその低エネルギ成分の方より相対的に大きくなる現象で、一般に、線質が固くなるという表現を使う(線質硬化現象)。この線質硬化の現象は、通常、物質の厚さが大きいほど、また物質の密度が高いほど強く(大きく)なる。また物質によっては透過情報では差がないが、線質硬化現象では差がある場合も多くある。また逆に、線質硬化現象では差がないが、透過情報では差が出るケースもある。
好適には、前記再構成手段により再構成された前記少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれの前記画像の画素値に基づいて前記撮像対象を形成する物質の種類を同定する物質同定手段、を備える、ことである。
例えば、前記物質同定手段は、前記少なくとも2個のエネルギ帯域全ての前記画像の画素値の総和に基づく量であって参照物質に対する相対的な減衰を表す画素毎の相対減衰指数と、前記少なくとも2個のエネルギ帯域のうちの高い方のエネルギ帯域の前記画像の画素値と低い方のエネルギ帯域の前記画像の画素値との間の除算に基づく画素毎の線質変化指数とを含む2次元以上の次元を持つ散布図を作成する散布図作成手段を、備えることが望ましい。
また更に、前記N個のエネルギ閾値のうちの最も高い閾値は、前記X線光子のエネルギ値の所望上限値に設定されている、ことが望ましい。
本発明によれば、被検者の顎部等の撮像対象をCT撮影するときに、光子計数型の検出器を用いて、X線の光子数が「N−1」個(N≧3)のエネルギ帯域それぞれに応じて画素毎に計数される。この「N−1」個のエネルギ帯域のうち少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれに対して、計数されたX線の光子数に基づく投影データにCT(computed tomography)用の再構成処理が施される。これにより、当該少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれの画像が再構成される。このため、このエネルギ帯域に得られる、X線光子数を反映したCT画像データを、例えば、相対減衰指数と線質変化指数とを含む2次元以上の次元を持つ散布図の作成に使用可能になる。この散布図は撮像対象に含まれる各種物質に応じた散布特性を示すので、これを用いて物質の同定が可能になる。したがって、従来の様々な物質同定法に比べて、精度良く簡便に、撮像対象の物質の種類を同定(識別、判別)できる。
添付図面において、
図1は、一実施形態に係るCT撮像機能を備えたX線ハイブリッド機の斜視図、 図2は、上記X線ハイブリッド機のX線管及び検出器の配置構成を説明する図、 図3は、上記X線ハイブリッド機のX線管及び検出器の配置構成を、当該X線管及び検出器の回転可能な方向及びそれらの正対状態と共に説明する別の図、 図4は、検出器の構成の概略を説明する配置例の図、 図5は、検出器の電気的な構成を説明するブロック図、 図6は、光子計数型の検出器に与える、X線フォトンの入射に応答して検出される電気パルスと閾値との関係を説明するグラフ、 図7は、X線のフォトンの入射頻度(計数値)に対するエネルギスペクトラムと弁別回路による与えるエネルギ領域との関係例を説明するグラフ、 図8は、X線ハイブリッド機全体の電気的な構成の概略を示すブロック図、 図9は、実施形態で実行される物質同定の処理の流れを説明するフローチャート、 図10は、エネルギ領域とその領域毎の再構成処理との関係を説明する模式図、 図11は、実施形態で採用した散布図の次元を示すグラフ、 図12は、実施形態の物質同定の処理による作成された散布図の一例を模式的に示すグラフ、及び、 図13は、散布図上で顎部の物質の種類を同定した様子を模式的に示すグラフである。 図14は、2次元の散布図を用いて2つの物質を弁別するときの有利さを説明するグラフである。 図15は、2次元の散布図を用いて2つの物質を弁別するときの有利さを説明する別のグラフである。 図16は、検出器の変形例を示す回路図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1〜図13を参照して、本発明に係るX線CT装置の第1の実施形態を説明する。
このX線CT装置は、撮像対象としての被検者の顎部(歯列を含む)のパノラマ画像を撮像するX線パノラマ撮影機能も備えた歯科用のX線ハイブリッド機として構成されている。つまり、この1台の歯科用のX線ハイブリッド機は、1つのハードウェアを有しながら、オペレータがソフトウェアの種類を「パノラマ撮影」及び「CT撮影」の中から選択することで、その同じハードウェアを使って両撮像を選択的に実施することができるように構成されている。
「パノラマ撮像」を選択したときには、被検体の顎部の擬似的な3次元断面像(画像それ自体は2次元画像であるが、歯列などの撮影部位の形状に応じて3次元的に表示される断面像)を撮影できる。「CT撮像」を選択したときには、被検体の顎部のCT画像を得ることができる。両機能共に、被検体の顎部の周りを回るX線管及びX線検出器(以下、単に検出器と呼ぶ)を使用する。X線管から照射されたX線は顎部を透過して検出器で検出される。この検出器は、後述するように、X線(実際には、スリット(絞り))によりファン状又はコーン状に成形されたX線ビーム)を光子(粒子)の束であるとして捉えてその光子の数に応じた計数情報を得る光子計数(フォトンカウンティング)型の検出器である。このため、顎部を透過したX線透過データはその光子(フォトン)の数を反映している。なお、ファン状のX線ビームはパノラマ撮影時に、またコーン状のX線ビームはCT撮影時に使用される。
そこで、この歯科用のX線ハイブリッド機は、「パノラマ画像」を得る場合、顎部の所望の又は指定された断面の画像データをトモシンセシス法の下で生成するように動作するように構成されている。これにより、その断面のパノラマ画像のデータが作成される。このパノラマ撮影自体は公知であるので、本実施形態ではその説明を簡略化又は省略する。
なお、本実施形態に係るX線ハイブリッド機は歯科用の撮影装置として説明しているが、このX線ハイブリッド機の用途は、必ずしも歯科に限られない。その他の撮影用途として、乳房撮影、耳鼻咽喉撮影、手足の骨・関節部分など、様々な部位の撮影に適用できる。また、本人同定のための死体鑑定や、非破壊検査などの用途にも適用することができる。
図1に、本実施形態に係る歯科用のX線ハイブリッド機1の外観を示す。
この歯科用のX線ハイブリッド機1は、キャスター11を装着した台座12と、この台座12に搭載された昇降ユニット13及び電源ボックス14と、コンソール17を備える。昇降ユニット13は、その内部に昇降機構(図示せず)を備え、同ユニットの上側の昇降部を台座12(つまり床面)に対して電動で所定範囲の中で上下動可能に構成されている。この昇降ユニット13の上下動方向をZ軸とすると、図示のようなXYZ直交座標を想定できる。なお、電源ボックス14はシステムの各部に必要な電力を供給する。
また、この歯科用X線ハイブリッド機1は、昇降ユニット13の昇降部からX軸方向(つまり、横方向に伸びた2つのアーム15,16を備える。この2つのアーム15,16はY軸方向に沿って見た場合、共に、略L字状に形成され、それらアーム15,16夫々の一端部が互いに重なるように重合され、昇降部の側面に取り付けられている。昇降ユニット13の内部には、それら2つのアーム15,16を互いに独立して、すなわち互いに異なる速度で回転させることができる回転機構13Dが装備されている。上記2つのアーム15,16の夫々の先端部分には、X線管21及び検出器22がそれぞれ装備されている。X線管21のX線照射側の前面には、X線をファン状又はコーン状に成形するスリット(絞り)23が配設される。回転機構13Dとアーム15,16により、X線管21及び検出器22に対する,相互に独立して駆動可能に支持する支持手段が構成される。
X線管21は例えばタングステンを陽極材に用いた回転陽極型X線管として構成される。X線管21は点状のX線焦点(例えば径が0.1mm〜0.5mm)FPを有する。このX線管21は、後述する高電圧発生装置から供給される駆動電力に応答してパルスX線を曝射する。X線管21のX線焦点FPから曝射されたX線は、スリット23で絞られてファン状のX線ビームに成形される。このX線ビームは、その後、被検者Pの顎部JWを透過して減衰し、その減衰状態を反映した透過X線ビームが検出器22に入射する。
撮影時には、図2に示すように、X線管21と検出器22との間に画成される3次元の撮影空間ISの所定位置に被検者Pの顎部JWが位置決めされる。このため、X線管21と検出器22は顎部を挟んで互いに対向(正対)する。照射されたX線ビームは顎部JW(歯列など)を透過した後、検出器22により検出される。撮影時には回転機構13Dにより2つのアーム15,16が回転駆動されるので、回転中心Oを中心にX線管21と検出器22は顎部の周りを各々、所定の円形軌道に沿って回転し、その回転中に所定間隔でX線ビームの照射及び検出が実行される。
YZ面に対向するX軸方向に沿ってみた場合、X線管21及び検出器22は、予めシステム側で定めた回転中心Oを中心とする円形の軌道Tx,Tdに沿ってそれぞれ回転駆動される。この回転中心Oから円形軌道Tx,Tdまでの半径Dx、DdはX線被ばく、検出精度、装置の小形化、患者との機械的な干渉などを考慮して、互いに異なった値に設定されている(図2参照)。本実施形態では、Dx≠Ddであって、特にDx>Ddに設定されている。回転中心Oから検出器22までの距離(半径Dd)の方が、回転中心OからX線管21までのそれ(半径Dx)よりも小さい理由は、検出器22の位置を極力、顎部JWに接近させ、X線の入射強度の減弱を少なくするためである。回転中心OからX線管21までの距離(半径Dx)は、規格で定められたX線管・皮膚間距離を確保できる値に設定されている。
このため、X線管21及び検出器22を常に互いに対向(正対)させ、且つ、顎部JW(歯列)に対する予め定めた複数の所望のX線パスに沿ったX線の照射及び検出を実行させるため、X線管21及び検出器22は互いに異なる角速度で独立して駆動される。
なお、上述した「互いに対向」とは、図3に示すように、X軸方向に沿って見た場合、X線管21の点状のX線焦点FPから照射されてスリット23によりコーン状に成形されたX線ビームの照射範囲と、検出器22のX線検出面22A(後述する)とが一致している状態を言う。特に、そのX線ビームが、そのX線検出面の幅方向における、あるモジュールBm(後述する)の中心位置Cに90°で交差する軸Tを含む状態を「正対している状態」と呼ぶ(図3参照)。
このため、上述した「常に互いに対向(又は正対)」を実現するため、前記アーム15,16のうち、X線管21、検出器22を内蔵している対向アーム部分15A,16Aは、軸AXs、AXdを中心にそれぞれ独立して回動(自転)可能になっている(図1〜図3参照)。そのためのモータ等の回転駆動機構15B,16Bがアーム15,16にそれぞれ装備されている。この回転駆動機構15B,16Bの駆動制御は後述するコンソール17のコントローラにより実行される。
なお、本実施形態では、Y軸方向において交差位置Cと軸AXdの位置を一致させている。また、図3に示す円軌道Tx,Tdを辿るのは、それぞれ、YZ面で見たときの前述した軸AXs、AXdの位置である。
検出器22は、図4に示すように、X線撮像素子を2次元に配列した複数の検出モジュールB1〜Bmのアレイ(センサ回路)を有する。複数の検出モジュールB1〜Bmは互いに独立したブロックとして作成され、それらを基板(図示せず)上に所定形状(例えば矩形状)に実装して検出器22の全体が作成される。
なお、複数の検出モジュールB1〜Bmは、個々のモジュールの間は一定の隙間を設けつつ、縦(X軸)及び横(Y軸)の2次元に複数個(縦方向に15個、横方向に8個、更に上下端それぞれ5を配置)ずつ並べるとともに、個々のモジュールをスキャン方向Oに対して角度θだけ斜めに傾けて配置している。この角度θは例えば約14°に設定される。この複数の検出モジュールB1〜Bmが作る縦横の長さの比が小さい矩形状(CT撮影の場合)又は縦横の長さの比が大きい、つまり、細長い長方形状(パノラマ撮影の場合)の表面がX線検出面22Aを成している。検出モジュールB1〜Bmを斜めに配置しているため、X線検出面22Aは複数のモジュールB1〜Bmの個々の検出面の内側を辿る(内接する)ように形成されている。
この斜め配置の検出モジュールを有する検出器22の構造及びその検出信号のサブピクセル法による処理は、例えばWO2012/086648A1公報により知られている。
なお、図4における左側一列に並んだ縦列配置の複数のモジュールはパノラマ撮像用のモジュールとして機能する。このパノラマ撮影用の開口面積は符号22Bで示す。また、この左側一列のうちの上下端の2個のモジュールを除く全部のモジュールと残りのモジュールとで作る2次元配列のモジュール群がCT撮像用のモジュールとして機能する。このCT撮影用の開口面積を符号22Aで示す。このパノラマ撮像用か、CT撮像用かのモジュール群の選択は、スリット23の開口面積の制御によりなされる。図4における参照符号AXdは、検出器22自身を自転(回転)させるときの中心軸である。
個々の検出モジュールB1(〜Bm)はX線を直接、電気パルス信号に変換する半導体材料で作成される。このため、検出器22は、半導体による直接変換方式の光子計数型X線検出器である。
この検出器22は、上述したように、複数の検出モジュールB1〜Bmのアレイとして形成される。各検出モジュールBmは、周知のように、X線を検出する検出回路Cp(図5参照)と、その検出回路Cpと一体に積層されたデータ計数回路51(図5参照)を備える。検出回路Cpは、検出モジュール毎に、X線を直接、電気信号に変換する半導体層と、この両面にそれぞれ積層させた荷電電極及び集電電極とを備える(図示せず)。荷電電極にX線を入射させる。荷電電極は共通の1枚の電極であり、荷電電極との間にバイアスの高電圧が印加される。半導体層及び集電電極は碁盤目状に分割され、この分割により、相互に一定の距離を置いて2次元アレイ状に配置される複数の小領域が形成される。これにより、荷電電極上に2次元状に配列された複数の、半導体セルC(図4,5参照)及び集電電極の積層体が形成される。この複数の積層体が、2次元の碁盤目状に配列された複数の画素Sを構成する。
この結果、複数の検出モジュールB1〜Bmの全体によって(ただしCT撮影時の開口面積22Aによる:図4参照)、検出器22に必要な所定領域を占める複数の画素S(n=1〜N)が形成される。この複数の画素Sが画素群Cpを構成する(図5参照)。
各画素Sのサイズは、例えば200μm×200μmであり、この画素サイズは、入射するX線を多数の光子の集まりとして検出可能な値に設定されている。各画素Sは、X線の各光子の入射に反応し、各光子が持つエネルギに応じた振幅の電気パルスを出力する。つまり、各画素Sは、その画素に入射するX線を直接、電気信号に変換することができる。
このため、検出器22は、入射するコーンビーム状のX線を成す光子を、検出器22の検出面を構成する画素S毎に計数して、その計数した値を反映させた電気量のデータを例えば75fpsの高いフレームレートで出力する。このデータはフレームデータとも呼ばれる。
半導体層、すなわち半導体セルCの半導体材料としては、テルル化カドミウム半導体(CdTe半導体)、カドミュームジンクテルライド半導体(CdZnTe半導体(CZT半導体))、シリコン半導体(Si半導体)、臭化タリューム(T1Br)、ヨウ化水銀などが用いられる。なお、この半導体セルの代わりに、柱状に細分化し、光学的に各柱が遮光された構造を持つシンチレータ素材と、微細なアバランシェフォトダイオードの組合せで構成した光電変換器を組み合わせたセルで構成してもよい。
このため、半導体セルCにX線が入射すると、セル内部に電荷(電子、正孔)が発生して、その電荷量に応じたパルス電流が流れる。このパルス電流は集電電極により検出される。この結果、電荷量はX線の光子のエネルギ値により変わる。このため、検出器22は、その画素S毎に光子のエネルギ値に応じた電気パルス信号を出力する。
この検出器22は更に、半導体セルCのそれぞれ、すなわち、複数の画素Sそれぞれの出力側にデータ計数回路51(n=1〜N)を備える。ここで、画素Sのそれぞれ、すなわち半導体セルCのそれぞれから各データ計数回路51(〜51)に至る経路を、必要に応じて、収集チャンネルCN(n=1〜N)と呼ぶ(図5参照)。
なお、この半導体セルCの群の構造は、特開2000−69369号公報、特開2004−325183号公報、特開2006−101926号公報によっても知られている。
ところで、前述した各画素Sのサイズ(200μm×200μm)は、X線を光子(粒子)として検出することが可能な十分小さい値になっている。本実施形態において、X線をその粒子として検出可能なサイズとは、「放射線(例えばX線)粒子が同一位置又はその近傍に複数個連続して入射したときの各入射に応答した電気パルス間の重畳現象(パイルアップとも呼ばれる)の発生を実質的に無視可能な又はその量が予測可能なサイズ」であると定義される。
しかしながら、このような画素サイズを以ってしても、重畳現象の発生を全て回避できる訳でない。2つ或いはそれ以上の電気パルスが共に同一画素において観測される場合でも、時間的に互いに分離していれば、重畳現象が起きない。これに対し、2つ或いはそれ以上の電気パルスが共に同一画素において時間的に分離し難い場合、重畳現象が起きて、2つの電気パルスが重なって波高値が高くなった1つの電気パルスとして観測される。
この重畳現象が発生すると、X線粒子の「入射数対実際の計数値」の特性にX線粒子の数え落とし(パイルアップカウントロスとも呼ばれる)が発生する。このため、X線検出器22に形成する画素Sのサイズは、この数え落としが発生しない又は実質的に発生しないとみなせる大きさに、又は、数え落し量が推定できる程度に設定されている。
続いて、図5を用いて、検出器22に電気的に繋がる回路を説明する。複数のデータ計数回路51(n=1〜N)のそれぞれは、各半導体セルCから出力されたアナログ量の電気信号を受けるチャージアンプ52を有し、このチャージアンプ52の後段に、波形整形回路53、多段の比較器54(ここではi=1〜4)、エネルギ領域振分け回路55、多段のカウンタ56(ここではi=1〜4)、多段のD/A変換器57(ここではi=1〜4)、ラッチ回路58、及びシリアル変換器59を備える。
各チャージアンプ52は、各半導体セルSの各集電電極に接続され、X線粒子の入射に応答して集電される電荷をチャージアップして電気量のパルス信号として出力する。このチャージアンプ52の出力端は、ゲイン及びオフセットが調整可能な波形整形回路53に接続されており、検知したパルス信号の波形を、予め調整されているゲイン及びオフセットで処理して波形整形する。この波形整形回路53のゲイン及びオフセットは、半導体セルCから成る画素S毎の電荷チャージ特性に対する不均一性と各回路特性のバラツキを考慮して、キャリブレーションされる。これにより、不均一性を排除した波形整形信号の出力とそれに対する相対的な閾値の設定精度とを上げることができる。この結果、各画素Sに対応した、即ち、各収集チャンネルCNの波形整形回路53から出力された波形整形済みのパルス信号は実質的に入射するX線粒子のエネルギ値を反映した特性を有する。したがって、収集チャンネルCN間のばらつきは大幅に改善される。
この波形整形回路53の出力端は、複数の比較器54〜54の比較入力端にそれぞれ接続されている。この複数の比較器54〜54それぞれの基準入力端には、図5に示す如くそれぞれ値が異なるアナログ量の閾値(電圧値)th(ここではi=1〜4)が印加されている。これにより、1つのパルス信号と異なるアナログ量閾値th〜th のそれぞれとを比較することができる。図6に、1つのX線光子の入力に応じて生起されるパルス電圧の波高値(エネルギを表す)とそれらの閾値th〜thとの大小関係(th<th<th<th)模式的に示す。
この比較の理由は、入射したX線粒子のエネルギ値が、事前に複数に分けて設定したエネルギ領域のうちのどの領域に入るのか(弁別)について調べるためである。パルス信号の波高値(つまり、入射するX線光子のエネルギ値を表す)がアナログ量閾値th〜thのどの値を超えているかについて判断される。これにより、弁別されるエネルギ領域が異なる。なお、最も低いアナログ量閾値thは、通常、外乱や、半導体セルS、チャージアンプ52などの回路に起因するノイズ、或いは、画像化に必要のない低エネルギの放射線を検出しないようにするための閾値として設定される。また、閾値の数、すなわち比較器の数は、必ずしも4個に限定されず、上記アナログ量閾値thの分を含めて3個、又は、5個以上であってもよい。
上述したアナログ量閾値th〜thは、具体的には、コンソール17のキャリブレーション演算器38からインターフェース31を介してデジタル値で画素S毎、即ち収集チャンネル毎に与えられる。このため、比較器54〜54それぞれの基準入力端は4つのD/A変換器57〜57の出力端にそれぞれ接続されている。このD/A変換器57〜57はラッチ回路58を介して閾値受信端T(〜T)に接続され、この閾値受信端T(〜T)がコンソール17のインターフェース31に接続されている。
ラッチ回路58は、撮像時に、閾値付与器41からインターフェース31及び閾値受信端T(〜T)を介して与えられたデジタル量の閾値th´〜th´をラッチし、対応するD/A変換器57〜57にそれぞれ出力される。このため、D/A変換器57〜57は指令されたアナログ量の閾値th〜thを電圧量として比較器54〜54それぞれに与えることができる。各収集チャンネルCNは、D/A変換器57 (i=1〜4)から比較器54(i=1〜4)を介してカウンタ56(i=1〜4)に至る1つ又は複数の回路系につながっている。この回路系を「弁別回路」DS(i=1〜4)と呼ぶ。
図7に、このアナログ量閾値th(i=1〜4)に相当するエネルギ閾値TH(i=1〜4)の設定例を示す。このエネルギ閾値TH(i=1〜4)は勿論、離散的に設定されるとともに、ユーザが任意の値に設定可能な弁別値である。なお、図7は、X線管21の陽極材に適度な材料を用いたときのX線スペクトルを模式的に示す。横軸はX線エネルギを示すと共に、縦軸はX線光子の入射頻度を示す。この入射頻度はX線光子の計数値(カウント)又は強度を代表するファクタである。
アナログ量閾値thは、各弁別回路DSにおいて比較器54iに与えるアナログ電圧であり、エネルギ閾値THはエネルギスペクトラムのX線エネルギ(keV)を弁別するアナログ値である。図7に示す波形は、通常に使用されている、例えば陽極材としてタングステンを用いたX線管球から曝射されるX線のエネルギの連続スペクトルを示す。なお、縦軸の計数値(カウント)は横軸のエネルギ値に相当するフォトンの発生頻度に比例する量であり、横軸のエネルギ値はX線管21の管電圧に依存する量である。このスペクトルに対して、第1のアナログ量閾値thを、X線光子数を計数不要領域(計数に意味のあるX線情報がなく、かつ回路ノイズが混在する領域)と低目の第1のエネルギ領域ERとを弁別可能なエネルギ閾値THに対応して設定する。また、第2及び第3のアナログ量閾値th、thを、第1のエネルギ閾値THより高い、第2、第3のエネルギ閾値TH,THを順に供するように設定している。さらに、第4のエネルギ閾値THはエネルギスペクトラムにおける、重畳現象が無ければX光子の計数値=0となる、X線管への印加電圧に等しいエネルギ値に設定されている。ここで、第4のエネルギ閾値THを、画素S毎に、計数値=0となるエネルギ値に合わせていることは本願の重要な特徴の一つである。
これにより、エネルギスペクトラムの特性や設計値に基づいた適宜な弁別点が規定され、エネルギ領域ER〜ERが設定される。
また、これらのエネルギ閾値THは、基準となる一つ以上の被写体を想定し、エネルギ領域毎の所定時間の計数値が概略一定になるように決定される。
このため、比較器54〜54の出力端は、図5に示すように、複数のカウンタ56 〜56の入力端にそれぞれ接続されている。
カウンタ56〜56のそれぞれは、比較器54〜54の出力(パルス)がオンなる度にカウントアップを行う。これにより、各カウンタ56(〜56)が担当するエネルギ領域ER(〜ER)に弁別されるエネルギ値以上のエネルギを持つX線光子数を一定時間毎の累積値W´(〜W´)として画素S毎に計数することができる。
具体的には、この計数動作は、4つの比較器54〜54に入力する検出電圧Vde (光子の検出エネルギ値)と閾値th〜thとの関係により決まる。つまり、検出電圧Vdec<th〜thのときには、全ての比較器54〜54の出力=オフとなる。すなわち、その画素Sの出力=0となる。これにより、入力エネルギの計数限界として定めたエネルギ閾値THよりも小さいノイズ成分は計数されない。このノイズ成分は、図7の計数不能領域ERxに属するエネルギ値の信号に相当する。
しかしながら、検出電圧Vdecが最小の閾値thを超える場合(Vdec≧th)、光子数は計数される。それらの関係がVdec≧thあれば、全ての比較器54〜54の出力がオンとなる。つまり、全てのカウンタ56〜56の計数値W´〜W´がカウントアップされる。
dec≧thの関係になれば、2段目以降の3つの比較器54〜54の出力がオンとなる。これにより、3つのカウンタ56〜56の計数値W´〜W´がカウントアップされる。Vdec≧thの関係になれば、3段目及び4段目の比較器54、54の出力がオンとなる。これにより、2つのカウンタ56、56の計数値W´、W´がカウントアップされる。
さらに、Vdec≧thの関係になれば、4段目の比較器54のみの出力がオンになって、4段目のカウンタ56の計数値W´のみがカウントアップされる。この場合、その入力に関わる光子のエネルギ値はイメージングや計数には適さない、第3の高いエネルギ領域ERを超える領域ERに属するノイズ成分、外乱などである。その一方で、この計数値W´は重畳現象を起こした光子や同時に入射した光子を推定したり除外したりするための情報として使用することができる。
このように本実施形態では、カウンタ56〜56は、それぞれ、自己が計数担当するべきエネルギ領域ER(〜ER)及びそれを超えるエネルギを持つ光子数をカウントする。このため、第1〜第4のエネルギ領域ER〜ERそれぞれに属するエネルギを持つX線光子数、つまり、エネルギ領域毎の求めたいX線光子数をW、W、W,Wとすると、カウンタ56〜56の計数値W´、W´、W´、W´との関係は、
=W´−W´
=W´−W´
=W´−W´
となる。なお、W=W´は重畳現象に因る、意味の無い(つまり、X線光子が持つエネルギ領域を特定できない)情報であるので演算されない。
そこで、真に求めたい計数値W〜Wは、後述するデータプロセッサで上式に基づく減算処理に求める。なお、理想的には、W=W´=0である。
このように、本実施形態にあっては、第1〜第4のエネルギ領域ER〜ERそれぞれに属するX線光子数W〜Wは、実際の計数値W´〜W´から演算(減算)によって求める。このため、比較器54〜54の出力のオン、オフの組合せから、今の事象、すなわちX線光子の入射がどのエネルギ領域ER1〜ER4に属するかを解読する回路が不要になる。これにより、検出器22のデータ計数回路51に実装する回路構成が簡単化される。
なお、本願に係るX線光子数のエネルギ領域毎の「収集」の意味には、上述のように実際の計数値から「演算によって求める」という意味と、後述する変形例のようにエネルギ領域毎のX線光子数を直接的に「計数する」という両方の意味が含まれる。
上述したカウンタ56〜56にはコンソール17の後述するコントローラからスタート・ストップ端子T2を介して起動及び停止の信号が与えられる。一定時間の計数は、カウンタ自身が有するリセット回路を使って外部から管理される。
このようにして、リセットされるまでの一定時間の間に、複数のカウンタ56〜56 により、検出器22に入射したX線の光子数が、画素S毎に計数される。このX線の光子数の計数値W´(k=1〜4)は、カウンタ56〜56のそれぞれからデジタル量の計数値として並列に出力された後、シリアル変換器59によりシリアルフォーマットに変換される。このシリアル変換器59は残り全ての収集チャンネルのシリアル変換器59〜59とシリアルに接続されている。このため、全てのデジタル量の計数値は、最後のチャンネルのシリアル変換器59からシリアルに出力され、送信端T3を介してコンソール17に送られる。
コンソール17では、インターフェース31がそれらの計数値を受信して後述する記憶部に格納する。
なお、本実施形態では、上述したN個の画素Sに対応した半導体セルC及びデータ計数回路51はASIC(Application Specific Integrated Circuit)によりCMOSで一体に構成されている。勿論、このデータ計数回路51は、半導体セルCの群とは互いに別体の回路又はデバイスとして構成してもよい。
またなお、上記実施形態において、複数の検出モジュールB1〜Bmは、柱状に加工された複数のシンチレータを束ねたシンチレーターアレイと、前記シンチレーターアレイと光学的に接続され、当該シンチレータから入射する光を受ける受光面に複数のアバランシェフォトダイオードを実装し、かつ当該受光面の前記セルに相当する所定サイズの矩形領域毎に当該領域に属する当該アバランシェフォトダイオードをクエンチング要素で電気的に接続した構成を有するシリコンフォトマルティプライヤーと、を備えていてもよい。
また、シンチレータの材料はLFS(ケイ酸ルテチウム)、GAGG:Ce(ガドリニウムアルミニウムガリウムガーネット)、LuAG:Pr(プラセオジム添加ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)、あるいは当該LuAG:Prに同等の減衰時間、発光量、比重を有する材料であってもよい。
コンソール17は、図8に示すように、信号の入出力を担うインターフェース(I/F)31を備え、このインターフェース31にバス32を介して通信可能に接続されたコントローラ33、第1の記憶部34、データプロセッサ35、表示器36、入力器37、キャリブレーション演算器38、第2の記憶部39、ROM40A〜40D、及び閾値付与器41を備えている。
コントローラ33は、ROM40Aに予め与えられたプログラムに沿ってX線ハイブリッド機1の駆動を制御する。この制御には、X線管21に高電圧を供給する高電圧発生装置42への指令値の送出、及び、キャリブレーション演算器38への駆動指令も含まれる。第1の記憶部34は、検出器22からインターフェース31を介して送られてきた計数値であるフレームデータ、及び、画像データを保管する。
データプロセッサ35は、コントローラ33の管理の下に、ROM40Bに予め与えられたプログラムに基づいて動作する。CT撮影のときには、データプロセッサ35は、その動作により、第1の記憶部34に保管されたフレームデータを所望のCT再構成法で処理してCT画像の再構成処理を行う。一方、パノラマ撮影のときには、データプロセッサ35は、その動作により、第1の記憶部34に保管されたフレームデータに、公知のシフト・アンド・アッド(shift and add)と呼ばれる演算法に基づくトモシンセシス法を実施する。これにより、被検者Pの口腔部のCT画像又はパノラマ画像が得られる。表示器36は、作成される画像の表示や、装置の動作状況を示す情報及び入力器37を介して与えられるオペレータの操作情報の表示を担う。入力器37は、オペレータが撮像に必要な情報を装置に与えるために使用される。
また、キャリブレーション演算器38は、コントローラ33の管理の下に、ROM40Cに予め内蔵されているプログラムの下で動作し、データ計数回路における画素S毎のエネルギ弁別回路毎に与える、X線エネルギ弁別のためのデジタル量の閾値をキャリブレーションする。
閾値付与器41は、コントローラ33の制御の下で、撮像時に第2の記憶部39に格納されているデジタル量の閾値を画素毎に且つ弁別回路毎に呼び出して、その閾値を指令値としてインターフェース31を介して検出器22に送信する。この処理を実行するため、閾値付与器41はROM40Dに予め格納されたプログラムを実行する。
コントローラ33、データプロセッサ35、キャリブレーション演算器38、閾値付与器41は共に、与えられたプログラムで稼動するCPU(中央処理装置)を備えている。それらのプログラムは、ROM40A〜40Dのそれぞれに事前に格納されている。
本実施形態では、データプロセッサ35は、入力器37からの操作者の指令に応じて、第1の記憶部34に格納されている計数値を読み出し、この計数値を用いて画像処理、物質同定の処理、計測処理など、指令された処理を実行する。画像処理には、例えば、「パノラマ撮影」のときのトモシンセシス法に基づく歯列の断面のパノラマ画像の生成、及び、「CT撮影」のときの所望の再構成法に基づく断層像の生成がある。
また、物質同定には、ビームハードニング情報を用いた顎部を構成する複数の物質の種類や状態の同定(特定)などがある。このCT画像の再構成や物質同定の処理は本願の特徴の一つである。この特徴を表す処理は後述するが、特筆すべきは、複数の第1〜第3のエネルギ領域ER〜ERそれぞれに弁別された、各画素SからのX線フォトンの計数値W(〜W)(収集データでもある)のセットが得られていることである。このため、従来のように、データプロセッサ35は、それらの計数値W〜Wのセットに適度な高い重み付けを施し、これを相互に加算したデータをトモシンセシス法に掛けたり、CT再構成法に掛けたりすることができる。勿論、重み付けをせずに処理することもできる。その一方で、第1〜第3のエネルギ領域ER〜ERそれぞれに弁別された、各画素Sの計数値W(〜W)のセットを領域毎にCT再構成し、この結果得られる再構成データから散布図を生成し、その散布図から物質同定を行うこともできる。
次に、本実施形態において、コントローラ33とデータプロセッサ35が協働して実行される物質の同定から3次元レンダリングまでの一連の処理を図9に基づいて説明する。
このX線ハイブリッド機1の駆動状態において、コントローラ33はオペレータの指示に応答して図9の処理を開始する。まず、同図、ステップS1にて、コントローラ33は、オペレータとの間でインターラクティブにCT撮影を実行するのかパノラマ撮影を実行するのか判断する。このステップにおいて「パノラマ撮影を実行する」と判断されるときには、ステップS2に移行して、公知の方法で被検者Pの顎部のパノラマ撮影を行って、例えば歯列のパノラマ画像を得る。
一方、ステップS1の判断が「CT撮影の実行」になるときには、コントローラ33はデータプロセッサ35と協働してステップS3以降のステップを順次実行する。
まず、コントローラ33はスキャン方式をオペレータとの間でインターラクティブに又はデフォルト設定に応じて決める(ステップS3)。このスキャン方式としてはフルスキャンとハーフスキャンとが用意されている。フルスキャンは、X線管21及び検出器22の対が顎部の周りを一周(360度)しながらデータを収集する方式である。これに対し、ハーフスキャンは、X線管21及び検出器22の対が顎部の周りを半周(180度)回転しながらデータを収集する方式である。
次に、コントローラ33は、撮像空間において位置決めされている被検者Pの顎部に対してX線スキャンを指令する(ステップS4)。この指令に応答して、X線管21及び検出器22の対が顎部の周りを回転開始するとともに、指令されたスキャン方式に基づくデータ収集が開始される(ステップS5)。この回転中に、X線管21からコーンビーム状のX線が連続的に又はパルス状に曝射され、そのX線が顎部を透過する。透過したX線は検出器22により検出される。このとき、透過X線の検出器22に対する投影面の大きさは、その検出面22Aのサイズ及び形状に一致するようにスリット23の開口が制御されている。
この結果、前述したように、顎部における減衰の度合を反映したX線の光子の計数値が画素S毎且つ弁別回路毎に一定周期(例えば75fps)で収集される。このため、例えば360°のフルスキャンの場合であれば、例えば360°を720ステップに分割したX線フォトンの計数値から成る投影データが収集される。この投影データは、コンソール17の第1の記憶部34に順次格納される。このデータ収集が終わると、コントローラ33はスキャン、すなわちX線照射を終了させ、且つ、線管21及び検出器22のそれぞれを所定のホームポジションに戻す(ステップS6)。この結果、例えば「720ステップ×3エネルギ領域」分の投影データが収集される。
データプロセッサ35は、画素S毎に前記減算を行って第1〜第3のエネルギ領域ER〜ERのそれぞれに属するエネルギ値を持つX線光子数を求める(ステップS7)。
次いで、コントローラ33はオペレータとの間でインターラクティブに、上記の如く収集したデータを用いてCT画像を再構成するか否かを判断する(ステップS8)。CT画像を再構成すると判断された場合(ステップS8,YES)、その再構成の処理をデータプロセッサ35に指令する。
次いで、データプロセッサ35は、第1〜第3のエネルギ領域ER〜ERのそれぞれに弁別された、各画素Sの計数値W(〜W)からなる投影データに適宜な重み付けをし(ステップS9)、重み付けされた投影データを画素S毎に相互に加算して1セットの計数値から成る投影データを形成し、その投影データを所定の再構成法(例えばFBP法)で再構成する(ステップS10)。例えば、第1のエネルギ領域ERに弁別された各画素Sの計数値Wから成る投影データにより高い(又は低い)重み付けをし、第3のエネルギ領域ERに弁別された各画素Sの計数値Wから成る投影データにより低い(又は高い)重み付けをする。これにより、より低いエネルギの透過X線又はより高いエネルギの透過X線が強調されたCT画像が生成される。この重み付けは各種の態様で実施できるし、重み付けをしないで再構成してもよい。生成されたCT画像は表示器36で表示される(ステップS11)。
一方、コントローラ33は、ステップS8でNOと判断された場合、さらにオペレータとの間でインターラクティブに、上記の如く収集したデータを用いて、顎部を構成する複数種の物質の同定を行うか否かを判断する(ステップS12)。ここでは、物質同定とは各物質の種類を特定する処理である。ステップS12でNOと判断されるときには、物質同定を行わずに一連の処理を終える。
これに対し、コントローラ33が物質同定を行うと判断した場合(ステップS12,YES)、その後の再構成処理をデータプロセッサ35に指令する。これに応答し、データプロセッサ35は、第1〜第3のエネルギ領域ER〜ERそれぞれに弁別された、各画素Sの計数値Wから成る投影データを使って領域毎にCT再構成する(ステップS13:図10参照)。これにより、第1〜第3までの3つのエネルギ領域ER〜ERに対する、顎部を含む3D(ボリューム)空間の3組のCT画像IM〜IMがそれぞれ再構成される。このCT画像IM〜IMのデータは第1の記憶部34に読出し可能に保存される。
コントローラ33はオペレータからの指令に基づいて、それら3組のCT画像IM〜IMをそのまま表示するかどうかを判断する(ステップS14)。この表示が望まれている場合(ステップS14、YES)、そのCT画像IM〜IMの1組又は2組以上の画像を適宜な態様で表示器36に表示させる(ステップS15)。
コントローラ33が上記表示をしないと判断した場合(ステップS14、NO),さらにインターラクティブに物質同定の処理を実行するか否かを判断する(ステップS16)。この判断がなされると、散布図作成の処理はデータプロセッサ35に任される。データプロセッサ35は、3つのCT画像IM〜IMのデータを第1の記憶部34から読み出し、図11に示す2次元の散布図を作成する(ステップS17)。この2次元散布図は、その一次元を成す縦軸に示す相対減衰指数RAI(Relative Attenuation Index)と、もう一次元を成す横軸に示す線質変化指数SDI(Spectrum Deformation Index)とからなる。勿論、この散布図はそれら相対減衰指数RAI及び線質変化指数SDIを含んでいればよく、他の指数を合わせた3次元又は4次元以上の散布図であってもよい。
このうち、相対減衰指数RAIは、3次元ボリューム空間を成す各画素S(前記検出器の画素Sとは区別する)CT値に相当する指数であって、本実施形態では、画素S毎の相対減衰指数RAI=W1+W2+W3と定義される。これに対し、線質変化指数SDIは、物質固有の線吸収係数を示す指数であって、本実施形態では、画素S毎の線質変化指数SDI=W/Wと定義される。より具体的には、相対減衰指数RAIは、少なくとも2個のエネルギ帯域全ての画素値の総和に基づく量であって参照物質に対する相対的な減衰を画素S毎に表す。また、線質変化指数は、少なくとも2個のエネルギ帯域のうちの高い方のエネルギ帯域の画素値と低い方のエネルギ帯域の同一画素の画素値との間の除算に基づく画素S毎の線質の変化を示す。なお、線質変化指数SDIは、W/WやW/Wとして定義してもよい。
このように画素S毎に演算される相対減衰指数RAI及び線質変化指数SDIのデータは第1の記憶部34に保管される。
次いで、データプロセッサ35は、第1の記憶部34から相対減衰指数RAI及び線質変化指数SDIのデータを読み出し、これらのデータから2次元散布図を作成し、その散布図を表示器36に表示する(ステップS18)。この表示例を図12に示す。この2次元散布図上に、画素S毎の、相対減衰指数RAI及び線質変化指数SDIの対応点がドットで表示される。
次いで、データプロセッサ35は、その散布図上に示されたドットの散布状況を解析して、顎部を形成している各種の物質(軟組織、歯肉、歯槽骨、皮質骨、歯牙、金属など)の種類を同定する(ステップS19)。具体的には、その散布図上のドット点の散布状況を、予め(つまり、装置毎又は装置とは無関係にシステム毎に)物質毎に、以前にCT撮影されて求められていた散布図の分布領域を示す分散テーブルからノイズを加味した分散位置を解析し、その散布特性に応じたグルーピングを行う。さらに、そのグループ化したドットの群の位置を、第1の記憶部34に予め参照データと比較し、どのグループのドット群がどの物質に対応するか否かを判定する。
さらに、その判定した物質毎に例えば異なるカラーで色付けしたり、文字によるアノテーションANを付けたり、物質毎のグループ化したドット群の領域をROIで示したりするなど、ユーザへの表示データを生成する(ステップS20)。勿論、この同定結果にはノイズなどの揺らぎ成分が含まれるので、スムージングなどのノイズ軽減処理を施すことが望ましい。
この後、データプロセッサ35は、その準備した表示データを表示器36に表示する(ステップS21)。この表示例を図13に示す。この例では、各物質が異なる記号、不定形のROI、及び物質名を示すアノテーションで示されている。
なお、この表示データは、同定された物質の種類毎に、互いに異なる表示態様で生成・表示することが好ましい。一般化して表現するならば、互いに異なる、色相、彩度、明度、及びパターンのうちの1つ又は複数の要素を組み合わせを以って生成・表示することが好ましい。このうち、異なるパターンで表示するとは、例えば、特定の物質同定した2次元領域を斜線で表示したり、境界面のみ色を付け、中を黒ドットで表示したりする、ことである。
このように、散布図を作成することによって、顎部を含む撮像対象となった3次元空間を構成する各画素Sがどの物質で構成されているかが同定されている。
そこで、データプロセッサ35は、その同定情報を用いて実際の顎部を表す3次元形状データを作成し(ステップS22)、その作成した3次元形状データを表示器36に表示する(ステップS23)。この3次元形状データも、上述と同様に、色相、彩度、明度、及びパターンのうちの1つ又は複数の要素を組み合わせを以って生成・表示することが好ましい。この3次元形状データは、指定された物質だけの物理的な形状を示すデータであってもよい。この3次元形状データは第1の記憶部34に保存される。
また、この3次元形状データは、オペレータの指示に応答したコントローラ33の制御の下、印象のために外部の歯科用CAD/CAMシステムに送信される(ステップS24)。
上述した実施形態において、コントローラ33によって実行される図9のステップS1〜S6の処理がスキャン手段を構成し、データプロセッサ35によって実行される図9のステップS12,S13の処理が再構成手段を構成している。また、図9のステップS16〜S19の処理が物質同定手段に相当し、このうち、ステップS17の処理が散布図作成手段に相当する。図9のステップS20〜S23の処理が画像生成手段に相当し、このうちのステップS22の処理が3次元形状データ作成手段を成し、ステップS23の処理が3次元形状表示手段を成す。さらに、ステップS24は送信手段に相当する。さらに、データ計数回路51nとデータプロセッサ35によって実行される図9のステップS7とによって収集手段が形成される。
以上のように、本実施形態によれば、X線フォトンに与えた3つのエネルギ領域ER〜ERの夫々に対して、再構成したCT画像から散布図を作成し、この散布図に基づいて顎部を形成する物質の種類を同定できる。この同定結果を元に、顎部の各物質の3次元形状データを作成できる。
顎部には、X線吸収特性の異なる軟組織から硬組織まで各種の物質がある。しかしながら、3つのエネルギ領域ER1〜ER3毎に再構成した3つのCT画像データ、すなわち低エネルギ領域、中エネルギ領域、及び高エネルギ領域に弁別して各別に得たX線吸収情報に基づく相対減衰指数RAI(Relative Attenuation Index)と線質変化指数SDI(Spectrum Deformation Index)とを対比することにより、顎部に在る物質をより精度高く弁別・同定することができる。
この点を詳述すると、画素単位に、各エネルギ領域の計数値(低い方のエネルギ領域から順にW1,W2,W3とする)を求め、縦軸にW1+W2+W3の総和(この総和をRAI相対減衰指数:Relative Attenuation Indexと呼ぶ。この指数は、パノラマ画像ではタフボーンで正規化した例もあるが、CT画像の場合は水を基準とすることで、所謂、CT値の定義と同じになる。)、横軸にW3/W1(SDI線質変化指数:
Spectrum Deformation Indexと呼ぶ)にして、散布図を描くと、各物質に応じて固有の場所に物質毎に、ある打点範囲に集まる。これをクラス化し、そのクラスの中で濃度値を定義したり、カラーを割り当てすることで、物質の性質に応じて、濃度分けあるいはカラー分けされた画像を生成したりすることができる。
このような方法で物質をクラス分けする手法は、単にRAIのみから判断するよりも、SDIの要素が一次元加わるために、本来物質に応じてRAIが異なることを鑑みると、物質の識別の精度は向上する。もちろん、RAIはW3/W1のみならずW3/W2あるいはW2/W1であっても良い。
このように得た非常にダイナミックレンジの広い情報から、軟組織から硬組織まで同時に最適に表示することができる。それぞれの物質に応じて独立表示したり、カラー表示を変えて、フュージョン表示したりすることも可能である。また、物質の種類が精度良く同定できることから、安定して軟組織や硬組織の3次元形状データをより精度良く得ることできる。
この3次元形状データは、歯科用のCAD/CAMシステムにとって極めて有効なスキャンデータとなる。CAD/CAMシステムは、CAD(Computer-Aided(Assisted)Design)システムとCAM(Computer-Aided(Assisted)Manufacturing)とを統合したシステムである。つまり、コンピュータグラフィックス技術を用いて歯科用の人工物を設計及び製造するシステムである。歯科用のCAD/CAMシステムの場合、歯列模型や患者の歯の計測が必要であり、この計測結果から歯列模型や患者の歯の計測3次元モデル(3次元形状データ)が構築される。
しかし、歯科補綴では口腔内の支台歯や顎提に適合させることが必須であるため、CADの前提として対象の生体情報の形態情報だけでなく、生体の硬軟の定量情報も計測する必要がある。従来のX線CTを用いる場合、検出器のダイナミックレンジが狭く、硬組織と軟組織を同時に撮影することが難しかった。近年、口腔内を光学的にスキャンして印象する、いわゆる光学印象が多用されている。光学印象は、術者の手振れの影響を受け易く、計測対象の複雑な中空形態、歯列同士の重なった形状などの計測には、光の性質上の限界があった。また歯冠の作成では歯冠の高さを決定するには、硬組織と軟組織の奥行のある境界情報の入手が必要であるが、これも光の性質上の限界があった。
これに対して、本実施形態によれば、光子計数型検出器22によって収集された投影データに基づいて再構成された3次元ボリュームデータから直接、顎部を構成する物質の種類が同定され、その同定結果に基づいて顎部の構造を示す3次元形状データが作成される。再構成された3次元ボリュームデータは、上述したように、軟組織から硬組織まで広いダイナミックレンジを有する画素データに基づいて作成されている。このため、口腔部の軟組織及び硬組織を示す3次元形状データの描出能も高い。つまり、精度のよい印象を行うことができる。
このように、歯型などを作成する印象に必要な顎部のデータを、CT撮影した3次元データから直接得ることができ、従来の光学印象に対応して、「CT印象」に必要なデータを便利に提供できる。
また、従来、光学印象により代表されるCAD/CAMにより設計していたインプラント手術用のサージカルガイドをCT画像から作成でき、かつ硬組織のCT画像から、サージカルガイドとのフュージョンも高精度に簡単にCTスキャナのみで可能となる。このことは光学印象用の高価な光学機器の購入が不要で、CTスキャナの購入のみで、安価で短時間にサージカルガイドの提供が歯科診療所内で出来る。また、このように軟組織が安定して見える画像が得られると、従来のX線診療では得られなかった、軟組織の病変や、軟組織と硬組織の位置関係が重要視される診断にも用いることができる。さらに、支台歯形成の自動化も可能になる。
また、本実施形態では、例えば4つのエネルギ閾値の最もエネルギの高い閾値は、X線管電圧に設定し、他の3つの閾値は画像化に寄与するエネルギ情報の範囲を3等分するように設置し、最も上のエネルギ帯の情報(この情報は、エネルギ帯域がX線管電圧に相当する値以上の帯域なので、重畳現象に因る光子数の情報であり、画像化に値しない情報である)のみを使わずに3つのエネルギ帯域に分けて再構成して、軟組織や硬組織に最適化した精度の高い再構成画像を得ることもできる。
さらに、本実施形態では、顎部に存在する物質の種類を同定する上で、2次元の「相対減衰指数RAI−線質変化指数SDI」から成る散布図を用いている。この散布図を用いた方が相対減衰指数RAIだけを用いた場合に比べて、物質同定の耐ノイズ性が上がり、同定精度が向上する。
この理由を、図14,15を用いて説明する。両図において、いま2つの物質A及び物質Bの座標がA(SDIA,RAIA),B(SDIB,RAIB)で表されたとする。つまり、物質Aの相対減衰指数RAI=RAIA、線質変化指数SDI=SDIAであり、物質Bの相対減衰指数RAI=RAIB、線質変化指数SDI=SDIBである。ただし、この座標A,Bは物質A,Bそれぞれの散布領域を代表する代表値の位置であり、この代表値は例えば最頻値の位置、中央値の位置、算術平均値の位置、又は重心位置であるとする。
図14に示す例では、座標A(SDIA,RAIA),B(SDIB,RAIB)は、線質変化指数SDIについては比較的離れており(距離LSDI)、区別がつきやすいが、相対減衰指数RAIについてはかなり接近している(距離LRAI)。この場合、
距離LRAI=RAIA − RAIB
であるが、距離LRAIと距離LSDIとで作る対辺の距離、すなわち散布図上での座標A,B間の距離LABは、
距離LAB={(RAIA − RAIB)+ (SDIA − SDIB)}1/2
であり、常に距離LAB>距離LRAIである。
物質A,Bの散布特性は、理論的には、散布図上でそれぞれ1点で表される。しかし、実際の計測系ではフォトンノイズ、検出器の感度ムラ、機構動作精度の程度、再構成エラーなどの要因が合算したノイズの影響がある。このため、物質A,Bの各散布特性は実際には点にならずに、ある範囲(領域)に分散する。このため、物質A,Bの種類を同定する場合、相対減衰指数RAI、すなわちCT値のみを用いて同定するよりも、線質変化指数SDIも加味した散布図上で弁別する方が座標A,B間の距離LABがより大きくなるため、耐ノイズ性が向上し、したがって、同定(弁別)精度は格段に向上する。
さらに、図15の示す例では、相対減衰指数RAIについてほぼ等しく、RAIA≒RAIBであり、相対減衰指数RAIの軸上では殆ど区別がつかない。相対減衰指数RAIのみを用いて両物質A,Bを弁別しようとしても、ノイズに埋もれて困難である。しかし、本実施形態のように、線質変化指数SDIの軸を追加することで、距離LSDIの情報を参酌して両物質A,Bを弁別できる。つまり、物質A,BのX線吸収係数が酷似していても、互いに識別できることになり、同定精度が向上する。
(変形例)
図16を参照して、X線を検出する検出器の変形例を説明する。この変形例に係る検出器122は画素S(n=1〜N)毎、すなわち収集チャンネルCN毎にデータ計数回路151を備える。このデータ計数回路151は、単独で収集手段を構成する。
このデータ計数回路151は、図16に示すように、4段の比較器51〜51と4段のカウンタ56〜56との間にエネルギ領域振分け回路55が配置されている。つまり、前述した実施形態のように、比較器51〜51の出力がそのままカウンタ56〜56にそれぞれ入力する構成とは違って、エネルギ領域振分け回路55が比較器51〜51の出力のオン・オフの組合せに基づいて、各X線光子の入射に伴うエネルギがどのエネルギ領域ER〜ERに属するのかを解読し、そのエネルギ値が属するエネルギ領域ER(〜ER)の計数を担当しているカウンタ56(〜56)にパルス信号を送る。これにより、そのパルス信号を受けたカウンタ56(〜56)のみがカウントアップすることで、エネルギ領域ER(〜ER)に属するエネルギ値を持つX線光子を計数する。前述した実施形態のデータ計数回路51は最終的なX線光子のエネルギ領域毎の計数値を演算により求めた(収集した)が、この変形例に係るデータ計数回路151はそれを直接、計数することができる。
具体的な構成を説明する。図16に示すように、比較器54〜54の出力端は、エネルギ領域振分け回路55に接続されている。このエネルギ領域振分け回路55は、複数の比較器54〜54の出力、すなわち、検出したX線粒子のエネルギ値に相当するパルス電圧とアナログ量閾値th(〜th)との比較結果を解読し、そのエネルギ値がどのエネルギ領域ER〜ERに分類されるかという振分けを行う。
具体的には、この振分けは、4つの比較器54〜54に入力する検出電圧Vdec(光子の検出エネルギ値)と閾値th〜thとの関係により決まる。つまり、検出電圧Vdec<th〜thのときには、全ての比較器54〜54の出力=オフとなる。すなわち、その画素Sの出力=0となる。これにより、入力エネルギの計数限界として定めたエネルギ閾値THよりも小さいノイズ成分は計数されない。このノイズ成分は、図7の計数不能領域ERxに属するエネルギ値の信号に相当する。
しかしながら、検出電圧Vdecが最小の閾値thを超える場合(Vdec≧th)、光子数は計数される。それらの関係がth<Vdec≦th(〜th)であれば、1段目の比較器54のみの出力がオンとなり、その入力に関わる光子のエネルギ値は低い方のエネルギ領域ERに弁別されるものと解読される。th<Vdec≦th (〜th)の関係になれば、1段目及び2段目の比較器54、54のみの出力がオンとなり、その入力に関わる光子のエネルギ値は中程度の第2のエネルギ領域ERに弁別されるもの解読される。th<Vdec≦thの関係になれば、1段目、2段目及び3段目の比較器54、54、54のみの出力がオンとなり、その入力に関わる光子のエネルギ値は高い第3のエネルギ領域ERに弁別されると解読される。さらに、th<Vdecの関係になれば、全ての比較器54〜54の出力がオンになり、その入力に関わる光子のエネルギ値はイメージングや計数には適さない、第3の高いエネルギ領域ERを超える領域ERに属するノイズ成分、外乱などであると解読される。
エネルギ領域振分け回路55は、上述した比較器54〜54による弁別結果に応じてカウンタ56〜56の何れかに弁別結果を示すパルス信号を送る。例えば、エネルギ領域ERに弁別される事象があれば、1段目のカウンタ56にパルス信号を送る。エネルギ領域ERに弁別される事象があれば、2段目のカウンタ56にパルス信号を送る。エネルギ領域ERに弁別される事象であれば、3段目のカウンタ56にパルス信号を送る。エネルギ領域ERに弁別される事象であれば、4段目のカウンタ56にパルス信号を送る。
なお、このノイズに相当するエネルギ領域ERに弁別されるフォトンの計数値が、後述する画像処理、物質同定の処理、各種計測処理などに不要な情報であるときには、その値は無視すればよい。これを考慮して4段目のカウンタ56を設けないようにしてもよい。
この検出器122において、上述したエネルギ領域振分け回路55を除く、他の構成は前述した図5の構成と同一である。
このように、この検出器122によれば、エネルギ領域振分け回路55を設けたことによりエネルギ領域ER〜ERに該当するイベント(X線光子の入射)を直接に計数することができる。このため、前述した減算処理を不要にできる。つまり、前述した実施形態で説明した、データプロセッサ35によって実行される図9のステップS7は不要になる。
さらに、本発明に係るX線CT装置の撮像対象に関する変形例を提供できる。前述した実施形態及びその変形例においては、X線CT装置の撮像対象は生体、すなわち被検体(患者の顎部)であった。つまり、撮像空間に患者の頭部を位置付けて、その顎部をCTスキャンするものであった。これに対し、この変形例では、口腔内で型を取った印象(材料)、或いは印象に石膏等の模型材料を流し込んで作った歯型模型を、撮像空間の所定位置に位置付け、その印象や歯型模型をCTスキャンするようにする。これにより、生体のCT印象と同じように歯又は歯列の3次元データを得ることができる。この場合に、型取り剤(印象材)、或いは歯型模型を作成する石膏等の材料にX線造影剤が添加される。このX線造影剤はX線に対して前述したRAI(相対減衰指数)及びSDI(線質変化指数)の少なくとも一方に関して空気との間のコントラスト差を増強する成分である。このようなX線造影剤の成分として、粉末状のヨード、バリウム、ストロンチウム、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの成分のうち、1種類又は複数種類のものが上記印象や歯型模型を作る材料に事前に添加されている。なお、CTスキャンのスライス幅はなるべく薄い値に設定される。この結果、X線造影剤によるコントラスト増強及び薄いスキャンによる分解能向上によって、歯型の内面形状や歯型の外面の輪郭形状のエッジが精度良く検出でき、より高精度な歯型用の3次元データを提供できる。
なお、本発明は上述した実施形態及び変形例で示した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の主旨を逸脱しない限り、更に様々に変形して実施可能なものである。
1 X線ハイブリッド機(歯科用CT撮像及び歯科用パノラマ撮像を行うX線撮像装置)13D 回転機構(支持手段)
17 コンソール
15,16 アーム(支持手段)
21 X線管
22,122 検出器
23 スリット
33 コントローラ(各種のデータ処理及び制御に係る手段を機能的に実現する要素の一つ)
34 第1の記憶部
35 データプロセッサ(各種のデータ処理に係る手段を機能的に実現する要素の一つ)36 表示器
37 入力器
40A〜40D ROM
51、151 データ計数回路
54 比較器
55 エネルギ領域振分回路
56 カウンタ
57 D/A変換器
58 ラッチ回路
59 シリアル変換器
C 半導体セル
Cp 検出回路
画素
DS 弁別回路
CN データ収集チャンネル

Claims (18)

  1. 白色X線を曝射するX線管と、
    入射するX線の光子に応じた電気パルスを出力する画素を2次元的に配置した画素群を有する検出回路と、前記X線の連続エネルギに対してエネルギ閾値をN個(N≧3)以上与え、且つ前記各画素から出力される前記電気パルスを前記N個のエネルギ閾値により弁別するとともに、前記X線の光子数を、前記N個のエネルギ閾値で分けられ且つ当該N個のエネルギ閾値の相互間に在る「N−1」個のエネルギ帯域のそれぞれに応じて画素毎に収集する収集手段と、を有する光子計数型の検出器と、
    前記X線管と前記検出器を互いに対向させるとともに、当該X線管と当該検出器を撮像対象の周りに回転可能に支持する支持手段と、
    前記CT撮影時には前記X線管と前記検出器を前記撮像対象の周りに、指示されたスキャン法に基づいて回転させるスキャン手段と、
    前記「N−1」個のエネルギ帯域のうち少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれに対して、前記収集手段により収集された前記X線の光子数に基づく投影データにCT(computed tomography)用の再構成処理を施して当該少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれのCT画像を再構成する再構成手段と、
    を備えることを特徴とするX線撮像装置。
  2. 前記再構成手段により再構成された前記少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれの前記画像の画素値に基づいて前記撮像対象を形成する物質の種類を同定する物質同定手段、を備えることを特徴とする請求項1に記載のX線撮像装置。
  3. 前記再構成手段により再構成された前記少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれの前記画像の画素値に基づいて前記撮像対象の構造を示す画像を生成する画像生成手段、を備えることを特徴とする請求項2に記載のX線撮像装置。
  4. 前記物質同定手段は、
    前記少なくとも2個のエネルギ帯域全ての前記画像の画素値の総和に基づく量であって参照物質に対する相対的な減衰を表す画素毎の相対減衰指数と、前記少なくとも2個のエネルギ帯域のうちの高い方のエネルギ帯域の前記画像の画素値と低い方のエネルギ帯域の前記画像の画素値との間の除算に基づく画素毎の線質変化指数とを含む2次元以上の次元を持つ散布図を作成する散布図作成手段を、備えることを特徴とする請求項2に記載のX線撮像装置。
  5. 前記物質同定手段は、前記散布図から前記物質の種類名を判定するように構成されたことを特徴とする請求項4に記載のX線撮像装置。
  6. 前記画像生成手段は、
    前記散布図作成手段により作成された前記2次元散布図のデータから前記撮像対象に在って互いに質的に類似する又は同質の物質に分類した3次元形状データを作成する3次元形状データ作成手段を備えることを特徴とする請求項4に記載のX線撮像装置。
  7. 前記撮像対象は、生体である被検者の顎部であり、
    前記画像生成手段は、
    前記3次元形状データ作成手段により作成された前記3次元形状データを前記物質の種類毎に互いに異なる、色相、彩度、明度、及びパターンのうちの1つ又は複数の組合せで表示する3次元形状表示手段を備え、
    前記物質の種類には、前記顎部の歯肉部、筋肉、舌、上顎洞内の膿を含む軟組織、歯、歯槽骨、皮質骨、並びに、金属及び/又は補綴物である硬組織の少なくとも1つが含まれる、ことを特徴とする請求項6に記載のX線撮像装置。
  8. 前記3次元形状データ作成手段により作成された前記3次元形状データを外部のシステムに送信する送信手段を備えることを特徴とする請求項6に記載のX線撮像装置。
  9. 前記検出回路は、前記X線を前記電気パルスに直接変換する半導体材料で形成され且つ前記画素毎に分割された半導体層と、この半導体層の一方の面に積層された荷電電極と、前記半導体層の他方の面に積層され且つ前記画素毎に分割された集電電極とを有し、
    前記収集手段は前記検出回路と一体の層としてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)層として作り込まれており、
    前記半導体材料はCdTe、CZT、又はTlBrである、
    ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のX線撮像装置。
  10. 前記検出回路は、
    柱状に加工された複数のシンチレータを束ねたシンチレーターアレイと、
    前記シンチレーターアレイと光学的に接続され、当該シンチレータから入射する光を受ける受光面に複数のアバランシェフォトダイオードを実装し、かつ当該受光面のセルに相当する所定サイズの矩形領域毎に当該領域に属する当該アバランシェフォトダイオードをクエンチング要素で電気的に接続した構成を有するシリコンフォトマルティプライヤーと、を備え、
    前記収集手段は前記検出回路と一体の層としてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)層として作り込まれており、
    前記シンチレータの材料はLFS(ケイ酸ルテチウム)、LuAG:Pr(プラセオジム添加ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)、あるいは当該LuAG:Pr相当の減衰時間、発光量、比重を有する材料である、
    ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のX線撮像装置。
  11. 前記N個のエネルギ閾値のうちの最も高い閾値は、前記X線光子のエネルギ値の所望上限値に設定されている、ことを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載のX線撮像装置。
  12. 前記所望上限値は、前記X線管の管電圧に相当する値を中心とする所望のエネルギ範囲に属する値に設定されていることを特徴とする請求項11に記載のX線撮像装置。
  13. 前記所望上限値に対する所望エネルギ範囲は、前記N個のエネルギ閾値のうちの最も低い閾値をTHとしたとき、−TH/2<所望上限値<+TH/2あることを特徴とする請求項12に記載のX線撮像装置。
  14. 前記検出回路及び前記収集手段は、前記画素を2次元に配置した所定サイズのモジュールを複数個、相互に隙間を空けて2次元状に配置したモジュールアレイとして形成されたことを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載のX線撮像装置。
  15. 前記支持手段は、前記X線撮像装置とは別体である歯科用チェアに座った又は横たわった被検者の顎部が前記X線管及び前記検出器の間の撮像空間に位置可能なように当該X線管及び当該検出器を支持可能になっていることを特徴とする請求項6の何れか一項に記載のX線撮像装置。
  16. 前記検出器の前記複数のモジュールのうちの一部は、前記CT撮影に加えて、被検者の顎部のパノラマ画像に使用可能に構成されていることを特徴とする請求項14に記載のX線撮像装置。
  17. 前記撮像対象は、生体である被検者の口腔内で型を取った印象、又は当該印象から作られた歯型模型であって、当該印象又は当該歯型模型を形成する材料に事前にX線造影剤が添加されており、
    前記X線造影剤は、少なくともヨード、バリウム、ストロンチウム、酸化チタン、又は酸化亜鉛の成分を含むことを特徴とする請求項1に記載のX線撮像装置。
  18. 白色X線を曝射するX線管と、
    入射するX線の光子に応じた電気パルスを出力する画素を2次元的に配置した画素群を有する検出回路と、前記X線の光子数を画素毎に収集する収集手段と、を有する光子計数型の検出器と、
    前記X線管と前記検出器を互いに対向させるとともに、CT撮影時には当該X線管と当該検出器を撮像対象の周りに回転可能に支持する支持手段と、
    前記CT撮影時には前記X線管と前記検出器を前記撮像対象の周りに、指示されたスキャン法に基づいて回転させるスキャン手段と、
    を備えたX線撮像装置におけるX線撮像方法において、
    前記収集手段に前記X線の連続エネルギに対してエネルギ閾値をN個(N≧3)以上与えた状態で前記CT撮像を行って、前記各画素から出力される前記電気パルスを前記収集手段により前記N個のエネルギ閾値で弁別させ、前記X線の光子数を、前記N個のエネルギ閾値で分けられ且つ当該N個のエネルギ閾値の相互間に在る「N−1」個のエネルギ帯域のそれぞれに応じて画素毎に収集し、
    前記「N−1」個のエネルギ帯域のうち少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれに対して、前記収集手段により収集された前記X線の光子数に基づく投影データにCT(computed tomography)用の再構成処理を施して当該少なくとも2個のエネルギ帯域それぞれのCT画像を再構成することを特徴とするX線撮像方法。
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