JP2014161590A - 歯科用x線撮像装置及び歯科用x線撮像における画像補正方法 - Google Patents

歯科用x線撮像装置及び歯科用x線撮像における画像補正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被検体を挟んで配置したX線管及び検出器を被検体の周りに回転可能な撮像系において、目的物のパノラマ画像に写り込む障害陰影を補正処理により確実に除去又は軽減させる。
【解決手段】X線撮像装置はX線管と検出器とを備える。X線管及び検出器の間に被検体の顎部を位置させた状態でX線管及び検出器を回転させてX線スキャンを行う(ステップS1,S2)。2つの構造物のうちの一方の構造物、例えば歯列に焦点を当てた第1のパノラマ画像を取得する(ステップS3)。残りの一方の構造物、例えば頸椎、に焦点を当てた第2のパノラマ画像を取得する(ステップS3)。一方の構造物を撮像目的物とし、残りの一方の構造物の、目的物のパノラマ画像への映り込み(障害陰影)を、第1及び第2のパノラマ画像に基づいて除去又は軽減し、目的物のパノラマ画像を生成する(ステップS4〜S7)。
【選択図】図9

Description

本発明は、被検体の顎部をX線ビームでスキャンして透過X線を検出し、その検出したX線データをトモシンセシス(tomosynthesis)法で処理することによりパノラマ像を再構成する歯科用X線撮像装置及び歯科用X線撮像における画像補正方法に関する。
近年、トモシンセシス法に依る被検体の断層撮影法が盛んに行われるようになっている。このトモシンセシス法の原理はかなり古くから知られているが(例えば特許文献1を参照)、近年では、そのトモシンセシス法に依る画像再構成の簡便さを享受しようとする断層撮影法も提案されている(例えば特許文献2及び特許文献3を参照)。また、歯科用でその例が多数見られるようになっている(例えば特許文献4、特許文献5を参照)。
トモシンセシス法の歯科への応用の一つとして、通常、湾曲した歯列を2次元平面状に展開したパノラマ画像を得るパノラマ撮像装置が実用化されている。このパノラマ撮像装置は、通常、被検体の口腔部の周囲にX線管と縦長の幅にわたって画素を有する検出器との対を、その回転中心が想定された歯列に沿った一定軌道を画くように、その回転中心を複雑に移動させながら回転させる機構を備える。X線管と検出器との間は一定値に保持される。上述の一定軌道は、標準の形状及びサイズと見做される歯列に沿って予め設定した基準断層面(3次元的に存在する断層面)に焦点を当てるための軌道である。この回転中に、一定間隔で、X線管から照射されたX線が被検体を透過して検出器によりデジタル量のフレームデータとして検出される。このため、基準断層面に焦点を絞ったフレームデータが一定間隔毎に収集される。このフレームデータをトモシンセシス法で再構成して、基準断層面のパノラマ画像を得る。
また、特許文献6には、X線管と検出器が同一中心点の周りに共に円軌道を描くように且つ互いに独立して回転可能な撮像系を持つパノラマ撮像装置の一例が開示されている。顎部はその円軌道の中に位置付けられる。X線管から照射されたX線は常に検出器の検出面に向くように制御される。
特開昭57−203430 特開平6−88790 特開平10−295680 米国特許公開US2006/0203959 A1 特開2007−136163 国際公開WO2012/008492
上述した特許文献6に記載のパノラマ撮像装置の場合、X線管と検出器の間の距離が固定ではなく、スキャンにより照射されるX線のパス毎にその距離が変わる。このため、障害陰影となる頸椎や左右の上顎を極力回避した所望のX線パスを比較的容易に設定できる一方で、X線管及び検出器を回転させる円軌道上の角速度の制御が複雑になる。
反面、歯列の撮像に対して障害陰影になる頸椎などの構造物をなるべく回避するX線パスを実現する角速度を容易に設計できるが、所望の断層面をトモシンセシス法による再構成の処理、特に、シフト・アンド・アッドの処理が複雑になる。しかも、この再構成の処理をより正確に行おうとすると、断層方向の距離とシフフト・アンド・アッドの量の関係、すなわち撮像空間の構造を把握するためにファントムを用いて種々のキャリブレーションを行う必要がある。つまり、キャリブレーションの工程が複雑で時間が掛かる。加えて、このキャリブレーションの数に応じた収集場面にしか対応が出来ず、X線管と検出器が互いに独立して自在に回転可能である、つまり、X線管・検出器間の距離が可変である撮像系が持つ折角の利点を有効に活用するには煩雑と言える。
そのような不便さを敢えて我慢するとしても、X線ビームが障害陰影になる頸椎を完全に通らないように軌道設計することはできない。また、頸椎を通る断面のパノラマ画像を観察したいとすると、逆に歯列が障害陰影として頸椎のパノラマ画像に写り込む。さらに、障害陰影となる部位は、歯列や頸椎に限られず、左右の顎骨であることもある。
このような状況から目的部位のパノラマ画像にどうしても写り込んでしまう障害陰影を除去又は軽減する手法が望まれていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、X線管と検出器を被検体の周りに回転させて撮像をするときに、目的物のパノラマ画像に写り込む障害陰影を補正処理により確実に除去又は軽減させて、目的物の描出能を一層高めることができる歯科用X線撮像装置及び歯科用X線撮像における画像補正方法提供することを、その目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るX線撮像装置は、X線を照射するX線管と、前記X線を検出するX線検出器とを備えた撮像系を、当該X線管及び当該検出器の間に被検体の顎部を位置させた状態で回転させるようにした歯科用X線撮像装置である。この装置は、前記顎部に存在する2つの構造物のうちの一方の構造物に焦点を当てた第1のパノラマ画像を取得する第1の画像取得手段と、前記2つの構造物のうちの残りの一方の構造物に焦点を当てた第2のパノラマ画像を取得する第2の画像取得手段と、前記一方の構造物を撮像の目的物とし、前記残りの一方の構造物の、前記目的物のパノラマ画像への映り込みを障害陰影としたときに、前記第1及び第2のパノラマ画像に基づいて前記障害陰影の映り込みを除去又は軽減した前記目的物のパノラマ画像を生成する目的物画像生成手段と、を備えたことを特徴とする。
好適な一例として、前記目的物画像生成手段は、
前記頸椎のパノラマ画像(第2のパノラマ画像)のサイズを前記歯列のパノラマ画像(第1のパノラマ画像)のサイズに合わせるスケーリング手段と、このスケーリング手段によりサイズ調整された前記頸椎のパノラマ画像の各画素に当該焦点面で定義されるぼけ関数を重畳積分して、当該頸椎のボケ画像を生成するボケ画像生成手段と、前記第1の画像取得手段により取得された前記歯列のパノラマ画像と前記ボケ画像生成手段により生成された前記頸椎のパノラマ画像のボケ画像との間で画素毎にその画素値の引算(自然対数をとった画素値の場合)又は割算(自然対数をとっていない画素値の場合)を行い、その差画像を、前記障害陰影が除去又は軽減した後の前記目的物のパノラマ画像として提供する差画像演算手段と、を備える。
また、本発明の別の態様に係る歯科用X線撮像における画像補正方法は、X線を照射するX線管と、前記X線を検出するX線検出器とを備えた撮像系を、当該X線管及び当該検出器の間に被検体の顎部を位置させた状態で回転させるようにした歯科用X線撮像において実行される。前記顎部に存在する2つの構造物のうちの一方の構造物に焦点を当てた第1のパノラマ画像を取得し、前記2つの構造物のうちの残りの一方の構造物に焦点を当てた第2のパノラマ画像を取得し、前記一方の構造物を撮像の目的物とし、前記残りの一方の構造物の前記目的物のパノラマ画像への映り込みを障害陰影としたときに、前記第1及び第2のパノラマ画像に基づいて前記障害陰影の映り込みを除去又は軽減した前記目的物のパノラマ画像を生成する、ことを特徴とする。
本発明によれば、X線管と検出器を被検体の周りに回転させて撮像をするときに、目的物のパノラマ画像に写り込む障害陰影を補正処理により確実に除去又は軽減させる。これにより、目的物の描出能を一層高めることができる。
添付図面において、
図1は、一実施形態に係るX線撮像装置としてのパノラマ撮像装置の概要を示す斜視図、 図2は、上記パノラマ撮像装置のX線管及び検出器の配置構成を説明する図、 図3は、上記パノラマ撮像装置のX線管及び検出器の配置構成を、当該X線管及び検出器の回転可能な方向及びそれらの正対状態と共に説明する別の図、 図4は、検出器の構成の概略を説明する配置例の図、 図5は、検出器の電気的な構成を説明するブロック図、 図6は、光子計数型の検出器に与える、X線フォトンの入射に応答して検出される電気パルスと閾値との関係を説明するグラフ、 図7は、X線のフォトンの入射頻度(計数値)に対するエネルギスペクトラムと弁別回路による与えるエネルギ領域との関係例を説明するグラフ、 図8は、上記パノラマ撮像装置全体の電気的な構成の概略を示すブロック図、 図9は、実施形態で実行されるスキャン及び障害陰影除去の流れを概略的に示すフローチャート、 図10は、障害陰影除去の一部の工程を示す図、 歯列のパノラマ画像を再構成するためのゲインカーブの一例を示すグラフ、 頸椎のパノラマ画像を再構成するためのゲインカーブの一例を示すグラフ、 歯列のパノラマ画像(障害陰影除去前)の一例を示す画像、 頸椎のパノラマ画像の一例を示す画像、 歯列のパノラマ画像の障害陰影除去前の一例を示す画像(図13の患者とは別の患者の画像)、及び、 図15と比較すべき、歯列のパノラマ画像の障害陰影除去(軽減)後の一例を示す画像、である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1〜図16を参照して、本発明に係るX線撮像装置としてのパノラマ撮像装置の1つの実施形態を説明する。
このパノラマ撮像装置1は、被験者の顎部(歯列を含む)のパノラマ画像を撮像する歯科用の装置として構成されている。この装置によれば、後述する構成及び機能によって、被検体の顎部の擬似的な3次元断面像(画像それ自体は2次元画像であるが、歯列などの撮影部位の形状に応じて3次元的に表示される断面像)を撮影できる。なお、本実施形態に係るパノラマ撮像装置として構成されているが、必ずしも歯科の分野に限られず、乳房撮影、耳鼻咽喉撮影、手足の骨・関節部分など、様々な部位に適用できる。また、本人同定のための死体鑑定、在宅検査、非破壊検査などの用途にも適用することができる。
図1に、本実施形態に係る歯科用のパノラマ撮像装置1の外観を示す。
このパノラマ撮像装置1は、キャスター11を装着した台座12と、この台座12に搭載された昇降ユニット13及び電源ボックス14と、コンソール17を備える。昇降ユニット13は、その内部に昇降機構(図示せず)を備え、同ユニットの上側の昇降部を台座12(つまり床面)に対して電動で所定範囲の中で上下動可能に構成されている。この昇降ユニット13の上下動方向をZ軸とすると、図示のようなXYZ直交座標を想定できる。なお、電源部14はシステムの各部に必要な電力を供給する。
また、このパノラマ撮像装置1は、昇降ユニット13の昇降部からX軸方向(つまり、横方向に伸びた2つのアーム15,16を備える。この2つのアーム15,16はY軸方向に沿って見た場合、共に、略L字状に形成され、それらアーム15,16夫々の一端部が互いに重なるように重合され、昇降部の側面に取り付けられている。昇降ユニット13の内部には、それら2つのアーム15,16を互いに独立して、すなわち互いに異なる速度で回転させることができる回転機構13Dが装備されている。上記2つのアーム15,16の夫々の先端部分には、X線管21及び検出器22がそれぞれ装備されている。X線管21のX線照射側の前面には、X線をファン状に成形するスリット(絞り)23が配設される。このスリット23の開口の面積は可変になっており、この開口面積の大きさが後述するモータなどの開口駆動部23D(図8参照)によって制御される。回転機構13Dとアーム15,16により、X線管21及び検出器22に対する,相互に独立して駆動可能に支持する支持手段が構成される。
X線管21はタングステン等の適宜な陽極材に用いた回転陽極型X線管として構成される。X線管21は点状のX線焦点(例えば径が0.1mm〜0.5mm)FPを有する。このX線管21は、後述する高電圧発生装置から供給される駆動電力に応答してX線を曝射する。X線管21のX線焦点FPから曝射されたX線は、スリット23で絞られてファン状のX線ビームに成形される。このX線ビームは、その後、被験者Pの顎部JWを透過して減衰し、その減衰状態を反映した透過X線ビームが検出器22に入射する。
撮影時には、図2に示すように、X線管21と検出器22との間に画成される3次元の撮影空間ISの所定位置に被験者Pの顎部JWが位置決めされる。このため、X線管21と検出器22は顎部を挟んで互いに対向(正対)する。照射されたX線ビームはスリット23を通った後、顎部JW(歯列など)を透過し、検出器22により検出される。撮影時には回転機構13Dにより2つのアーム15,16が回転駆動されるので、1つの回転中心Oを中心にX線管21と検出器22は顎部の周りを各々、所定の円形軌道に沿って回転する。その回転中に所定間隔でX線ビームの照射及び検出が実行される。
YZ面に対向するX軸方向に沿ってみた場合、X線管21及び検出器22は、予めシステム側で定めた回転中心Oを中心とする円形の軌道Tx,Tdに沿ってそれぞれ回転駆動される。この回転中心Oから円形軌道Tx,Tdまでの半径Dx、DdはX線被ばく、検出精度、装置の小形化、患者との機械的な干渉などを考慮して、互いに異なった値に設定されている(図2参照)。本実施形態では、Dx≠Ddであって、特にDx>Ddに設定されている。回転中心Oから検出器22までの距離(半径Dd)の方が、回転中心OからX線管21までのそれ(半径Dx)よりも小さい理由は、検出器22の位置を極力、顎部JWに接近させ、X線の入射強度の減弱を少なくするためである。回転中心OからX線管21までの距離(半径Dx)は、規格で定められたX線管・皮膚間距離を確保できる値に設定されている。
このため、X線管21及び検出器22を常に互いに対向(正対)させ、且つ、顎部JW(歯列)に対する予め定めた複数の所望のX線パスに沿ったX線の照射及び検出を実行させるため、X線管21及び検出器22は互いに異なる角速度で独立して駆動される。
なお、上述した「互いに対向」とは、図3に示すように、X軸方向に沿って見た場合、X線管21の点状のX線焦点FPから照射されてスリット23によりコーン状に成形されたX線ビームの照射範囲と、検出器22のX線検出面22A(後述する)とが一致している状態を言う。特に、そのX線ビームのYZ面に沿った方向の中心線が、そのX線検出面の幅方向(YZ面に沿った方向の幅)の中心位置Cに90°で交差する軸Tを含む状態を「正対している状態」と呼ぶ(図3参照)。なお、図3において、機械的な回転中心OからZ軸方向に伸びる直線位置を回転角θ=0とし、この回転位置から時計方向及び反時計方向に±の回転方向が設定されている。
このため、上述した「常に互いに対向(又は正対)」を実現するため、前記アーム15,16のうち、X線管21、検出器22を内蔵している対向アーム部分15A,16Aは、軸AXs、AXdを中心にそれぞれ独立して回動(自転、すなわち姿勢)可能になっている(図1〜図3参照)。そのためのモータ等の回転駆動機構15B,16Bがアーム15,16にそれぞれ装備されている。この回転駆動機構15B,16Bの駆動制御は後述するコンソール17のコントローラにより実行される。
なお、本実施形態では、Y軸方向において交差位置Cと軸AXdの位置を一致させている。また、図3に示す円軌道Tx,Tdを辿るのは、それぞれ、YZ面で見たときの前述した軸AXs、AXdの位置である。
検出器22は、図4に示すように、それぞれX線撮像素子を2次元に配列した、複数の検出モジュールB1〜Bmのアレイ(センサ回路)を有する。複数の検出モジュールB1〜Bmは互いに独立したブロックとして作成され、それらを基板(図示せず)上に所定の矩形状に実装して検出器22の全体が作成される。
なお、複数の検出モジュールB1〜Bmは、個々のモジュールの間は一定の隙間を設けつつ、縦(X軸)方向に複数個(縦方向に17個並べるとともに、個々のモジュールをスキャン方向Oに対して角度θだけ斜めに傾けて配置している。この角度θは例えば約14°に設定される。この複数の検出モジュールB1〜Bmが作る、縦横の長さの比が大きい、つまり、細長い矩形状の表面がX線検出面22Aを成している。検出モジュールB1〜Bmを斜めに配置しているため、X線検出面22Aは複数のモジュールB1〜Bmの個々の検出面の内側を辿る(内接する)ように形成されている。勿論、角度θ=0°に設定してもよい。
この斜め配置の検出モジュールを有する検出器22の構造及びその検出信号のサブピクセル法による処理は、例えば国際特許公報WO 2012/086648A1により知られている。
なお、図4における参照符号AXdは、検出器22自身を自転(回転)させるときの中心軸である。
個々の検出モジュールB1(〜Bm)はX線を直接、電気パルス信号に変換する半導体材料で作成される。このため、検出器22は、半導体による直接変換方式の光子計数型X線検出器である。
この検出器22は、上述したように、複数の検出モジュールB1〜Bmのアレイとして形成される。各検出モジュールBmは、周知のように、X線を検出する検出回路Cp(図5参照)と、その検出回路Cpと一体に積層されたデータ計数回路51(図5参照)を備える。検出回路Cpは、検出モジュール毎に、X線を直接、電気信号に変換する半導体層と、この両面にそれぞれ積層させた荷電電極及び集電電極とを備える(図示せず)。荷電電極にX線を入射させる。荷電電極は共通の1枚の電極であり、荷電電極との間にバイアスの高電圧が印加される。半導体層及び集電電極は碁盤目状に分割され、この分割により、相互に一定の距離を置いて2次元アレイ状に配置される複数の小領域が形成される。これにより、荷電電極上に2次元状に配列された複数の、半導体セルC(図4,5参照)及び集電電極の積層体が形成される。この複数の積層体が、2次元の碁盤目状に配列された複数の画素Sを構成する。
この結果、複数の検出モジュールB1〜Bmの全体によって、検出器22に必要な所定領域を占める複数の画素S(n=1〜N)が形成される。この複数の画素Sが画素群Cpを構成する(図5参照)。
検出モジュールB1〜Bmそれぞれの画素数は40×40画素であり、各画素Sのサイズは例えば200μm×200μmである。この画素サイズは、入射するX線を多数の光子の集まりとして検出可能な値に設定されている。各画素Sは、X線の各光子の入射に反応し、各光子が持つエネルギに応じた振幅の電気パルスを出力する。つまり、各画素Sは、その画素に入射するX線を直接、電気信号に変換することができる。
このため、検出器22は、入射するコーンビーム状のX線を成す光子を、検出器22の検出面を構成する画素S毎に計数して、その計数した値を反映させた電気量のデータを例えば300fpsの高いフレームレートで出力する。このデータはフレームデータとも呼ばれる。
半導体層、すなわち半導体セルCの半導体材料としては、テルル化カドミウム半導体(CdTe半導体)、カドミュームジンクテルライド半導体(CdZnTe半導体(CZT半導体))、シリコン半導体(Si半導体)、臭化タリューム(T1Br)、ヨウ化水銀(HgI)などが用いられる。なお、この半導体セルの代わりに、柱状に細分化し、光学的に各柱が遮光された構造を持つシンチレータ素材と、微細なアバランシェフォトダイオードの組合せで構成した光電変換器を組み合わせたセルで構成してもよい。
このため、半導体セルCにX線が入射すると、セル内部に電荷(電子、正孔)が発生して、その電荷量に応じたパルス電流が流れる。このパルス電流は集電電極により検出される。この結果、電荷量はX線の光子のエネルギ値により変わる。このため、検出器22は、その画素S毎に光子のエネルギ値に応じた電気パルス信号を出力する。
この検出器22は更に、半導体セルCのそれぞれ、すなわち、複数の画素Sそれぞれの出力側にデータ計数回路51(n=1〜N)を備える。ここで、画素Sのそれぞれ、すなわち半導体セルCのそれぞれから各データ計数回路51(〜51)に至る経路を、必要に応じて、収集チャンネルCN(n=1〜N)と呼ぶ(図5参照)。
なお、この半導体セルCの群の構造は、特開2000−69369号公報、特開2004−325183号公報、特開2006−101926号公報によっても知られている。
ところで、前述した各画素Sのサイズ(200μm×200μm)は、X線を光子(粒子)として検出することが可能な十分小さい値になっている。本実施形態において、X線をその粒子として検出可能なサイズとは、「放射線(例えばX線)粒子が同一位置又はその近傍に複数個連続して入射したときの各入射に応答した電気パルス間の重畳現象(パイルアップとも呼ばれる)の発生を実質的に無視可能な又はその量が予測可能なサイズ」であると定義される。
しかしながら、このような画素サイズを以ってしても、重畳現象の発生を全て回避できる訳でない。2つ或いはそれ以上の電気パルスが共に同一画素において観測される場合でも、時間的に互いに分離していれば、重畳現象が起きない。これに対し、2つ或いはそれ以上の電気パルスが共に同一画素において時間的に分離し難い場合、重畳現象が起きて、2つの電気パルスが重なって波高値が高くなった1つの電気パルスとして観測される。
この重畳現象が発生すると、X線粒子の「入射数対実際の計数値」の特性にX線粒子の数え落とし(パイルアップカウントロスとも呼ばれる)が発生する。このため、X線検出器12に形成する画素Sのサイズは、この数え落としが発生しない又は実質的に発生しないとみなせる大きさに、又は、数え落し量が推定できる程度に設定されている。
続いて、図5を用いて、検出器22に電気的に繋がる回路を説明する。複数のデータ計数回路51(n=1〜N)のそれぞれは、各半導体セルCから出力されたアナログ量の電気信号を受けるチャージアンプ52を有し、このチャージアンプ52の後段に、波形整形回路53、多段の比較器54(ここではi=1〜4)、多段のカウンタ56(ここではi=1〜4)、多段のD/A変換器57(ここではi=1〜4)、ラッチ回路58、及びシリアル変換器59を備える。
各チャージアンプ52は、各半導体セルSの各集電電極に接続され、X線粒子の入射に応答して集電される電荷をチャージアップして電気量のパルス信号として出力する。このチャージアンプ52の出力端は、ゲイン及びオフセットが調整可能な波形整形回路53に接続されており、検知したパルス信号の波形を、予め調整されているゲイン及びオフセットで処理して波形整形する。この波形整形回路53のゲイン及びオフセットは、半導体セルCから成る画素S毎の電荷チャージ特性に対する不均一性と各回路特性のバラツキを考慮して、キャリブレーションされる。これにより、不均一性を排除した波形整形信号の出力とそれに対する相対的な閾値の設定精度とを上げることができる。この結果、各画素Sに対応した、即ち、各収集チャンネルCNの波形整形回路53から出力された波形整形済みのパルス信号は実質的に入射するX線粒子のエネルギ値を反映した特性を有する。したがって、収集チャンネルCN間のばらつきは大幅に改善される。
この波形整形回路53の出力端は、複数の比較器54〜54の比較入力端にそれぞれ接続されている。この複数の比較器54〜54それぞれの基準入力端には、図5に示す如くそれぞれ値が異なるアナログ量の閾値(電圧値)th(ここではi=1〜4)が印加されている。これにより、1つのパルス信号と異なるアナログ量閾値th〜thのそれぞれとを比較することができる。図6に、1つのX線光子の入力に応じて生起されるパルス電圧の波高値(エネルギを表す)とそれらの閾値th〜thとの大小関係(th<th<th<th)模式的に示す。
この比較の理由は、入射したX線粒子のエネルギ値が、事前に複数に分けて設定したエネルギ領域のうちのどの領域に入るのか(弁別)について調べるためである。パルス信号の波高値(つまり、入射するX線光子のエネルギ値を表す)がアナログ量閾値th〜thのどの値を超えているかについて判断される。これにより、弁別されるエネルギ領域が異なる。なお、最も低いアナログ量閾値thは、通常、外乱や、半導体セルS、チャージアンプ42などの回路に起因するノイズ、或いは、画像化に必要のない低エネルギの放射線を検出しないようにするための閾値として設定される。また、閾値の数、すなわち比較器の数は、必ずしも4個に限定されず、上記アナログ量閾値thの分を含めて3個、又は、5個以上であってもよい。
上述したアナログ量閾値th〜thは、具体的には、コンソール17のキャリブレーション演算器38からインターフェース32を介してデジタル値で画素S毎、即ち収集チャンネル毎に与えられる。このため、比較器54〜54それぞれの基準入力端は4つのD/A変換器57〜57の出力端にそれぞれ接続されている。このD/A変換器57〜57はラッチ回路58を介して閾値受信端T(〜T)に接続され、この閾値受信端T(〜T)がコンソール17のインターフェース32に接続されている。
ラッチ回路58は、撮像時に、閾値付与器40からインターフェース31及び閾値受信端T(〜T)を介して与えられたデジタル量の閾値th´〜th´をラッチし、対応するD/A変換器57〜57にそれぞれ出力される。このため、D/A変換器57〜57は指令されたアナログ量の閾値th〜thを電圧量として比較器54〜54それぞれに与えることができる。各収集チャンネルCNは、D/A変換器57(i=1〜4)から比較器54(i=1〜4)を介してカウンタ56(i=1〜4)に至る1つ又は複数の回路系につながっている。この回路系を「弁別回路」DS(i=1〜4)と呼ぶ。
図7に、このアナログ量閾値th(i=1〜4)に相当するエネルギ閾値TH(i=1〜4)の設定例を示す。このエネルギ閾値TH(i=1〜4)は勿論、離散的に設定されるとともに、ユーザが任意の値に設定可能な弁別値である。なお、図7は、X線管21の陽極材に適宜な材料を用いたときのX線スペクトルを模式的に示す。横軸はX線管21の管電圧に依存するX線エネルギを示すと共に、縦軸はX線光子の入射頻度を示す。この入射頻度はX線光子の計数値(カウント)又は強度を代表するファクタである。
アナログ量閾値thは、各弁別回路DSにおいて比較器54iに与えるアナログ電圧であり、エネルギ閾値THはエネルギスペクトラムのX線エネルギ(keV)を弁別するアナログ値である。図7に示す連続スペクトルに対して、第1のアナログ量閾値thを、X線光子数を計数不要領域(計数に意味のあるX線情報がなく、かつ回路ノイズが混在する領域)と低目の第1のエネルギ領域ERとを弁別可能なエネルギ閾値THに対応して設定する。また、第2及び第3のアナログ量閾値th、thを、第1のエネルギ閾値THより高い、第2、第3のエネルギ閾値TH,THを順に供するように設定している。さらに、第4のエネルギ閾値THはエネルギスペクトラムにおける、重畳現象が無ければX光子の計数値=0となる、X線管への印加電圧に等しいエネルギ値に設定されている。ここで、第4のエネルギ閾値THを、画素S毎に、計数値=0となるエネルギ値に合わせていることは重要な特徴の一つである。
これにより、エネルギスペクトラムの特性や設計値に基づいた適宜な弁別点が規定され、エネルギ領域ER〜ERが設定される。
また、これらのエネルギ閾値THは、基準となる一つ以上の被写体を想定し、エネルギ領域毎の所定時間の計数値が概略一定になるように決定される。
このため、比較器54〜54の出力端は、図5に示すように、複数のカウンタ56〜56の入力端にそれぞれ接続されている。
カウンタ56〜56のそれぞれは、比較器54〜54の出力(パルス)がオンなる度にカウントアップを行う。これにより、各カウンタ56(〜56)が担当するエネルギ領域ER(〜ER)に弁別されるエネルギ値以上のエネルギを持つX線光子数を一定時間毎の累積値W´(〜W´)として画素S毎に計数することができる。
具体的には、この計数動作は、4つの比較器54〜54に入力する検出電圧Vdec(光子の検出エネルギ値)と閾値th〜thとの関係により決まる。つまり、検出電圧Vdec<th〜thのときには、全ての比較器54〜54の出力=オフとなる。すなわち、その画素Sの出力=0となる。これにより、入力エネルギの計数限界として定めたエネルギ閾値THよりも小さいノイズ成分は計数されない。このノイズ成分は、図7の計数不能領域ERxに属するエネルギ値の信号に相当する。
しかしながら、検出電圧Vdecが最小の閾値thを超える場合(Vdec≧th)、光子数は計数される。それらの関係がVdec≧thあれば、全ての比較器54〜54の出力がオンとなる。つまり、全てのカウンタ56〜56の計数値W´〜W´がカウントアップされる。
dec≧thの関係になれば、2段目以降の3つの比較器54〜54の出力がオンとなる。これにより、3つのカウンタ56〜56の計数値W´〜W´がカウントアップされる。Vdec≧thの関係になれば、3段目及び4段目の比較器54、54の出力がオンとなる。これにより、2つのカウンタ56、56の計数値W´、W´がカウントアップされる。
さらに、Vdec≧thの関係になれば、4段目の比較器54のみの出力がオンになって、4段目のカウンタ56の計数値W´のみがカウントアップされる。この場合、その入力に関わる光子のエネルギ値はイメージングや計数には適さない、第3の高いエネルギ領域ERを超える領域ERに属するノイズ成分、外乱などである。その一方で、この計数値W´は重畳現象を起こした光子や同時に入射した光子を推定したり除外したりするための情報として使用することができる。
このように本実施形態では、カウンタ56〜56は、それぞれ、自己が計数担当するべきエネルギ領域ER(〜ER)及びそれを超えるエネルギを持つ光子数をカウントする。このため、第1〜第4のエネルギ領域ER〜ERそれぞれに属するエネルギを持つX線光子数、つまり、エネルギ領域毎の求めたいX線光子数をW、W、W,Wとすると、カウンタ56〜56の計数値W´、W´、W´、W´との関係は、
=W´−W´
=W´−W´
=W´−W´
となる。なお、W=W´は重畳現象に因る、意味の無い(つまり、X線光子が持つエネルギ領域を特定できない)情報であるので演算されない。
そこで、真に求めたい計数値W〜Wは、後述するデータプロセッサで上式に基づく減算処理に求める。なお、理想的には、W=W´=0である。
このように、本実施形態にあっては、第1〜第4のエネルギ領域ER〜ERそれぞれに属するX線光子数W〜Wは、実際の計数値W´〜W´から演算(減算)によって求める。このため、比較器54〜54の出力のオン、オフの組合せから、今の事象、すなわちX線光子の入射がどのエネルギ領域ER1〜ER4に属するかを解読する回路が不要になる。これにより、検出器22のデータ計数回路51に実装する回路構成が簡単化される。
なお、本願に係るX線光子数のエネルギ領域毎の「収集」の意味には、上述のように実際の計数値から「演算によって求める」という意味と、後述する変形例のようにエネルギ領域毎のX線光子数を直接的に「計数する」という両方の意味が含まれる。
上述したカウンタ56〜56にはコンソール17の後述するコントローラからスタート・ストップ端子T2を介して起動及び停止の信号が与えられる。一定時間の計数は、カウンタ自身が有するリセット回路を使って外部から管理される。
このようにして、リセットされるまでの一定時間の間に、複数のカウンタ56〜56により、検出器22に入射したX線の光子数が、画素S毎に計数される。このX線の光子数の計数値W´(k=1〜4)は、カウンタ56〜56のそれぞれからデジタル量の計数値として並列に出力された後、シリアル変換器59によりシリアルフォーマットに変換される。このシリアル変換器59は残り全ての収集チャンネルのシリアル変換器59〜59とシリアルに接続されている。このため、全てのデジタル量の計数値は、最後のチャンネルのシリアル変換器59からシリアルに出力され、送信端T3を介してコンソール17に送られる。
コンソール17では、インターフェース31がそれらの計数値を受信して後述する記憶部に格納する。
なお、本実施形態では、上述したN個の画素Sに対応した半導体セルC及びデータ計数回路51はASIC(Application Specific Integrated Circuit)によりCMOSで一体に構成されている。勿論、このデータ計数回路51は、半導体セルCの群とは互いに別体の回路又はデバイスとして構成してもよい。
またなお、上記実施形態において、複数の検出モジュールB1〜Bmは、柱状に加工された複数のシンチレータを束ねたシンチレーターアレイと、前記シンチレーターアレイと光学的に接続され、当該シンチレータから入射する光を受ける受光面に複数のアバランシェフォトダイオードを実装し、かつ当該受光面の前記セルに相当する所定サイズの矩形領域毎に当該領域に属する当該アバランシェフォトダイオードをクエンチング要素で電気的に接続した構成を有するシリコンフォトマルティプライヤーと、を備えていてもよい。
また、シンチレータの材料はLFS(ケイ酸ルテチウム)、GAGG:Ce(ガドリニウムアルミニウムガリウムガーネット)、Pr:LuAG(プラセオジム添加ルテチウム・アルミニウム・ガーネット)、あるいは当該Pr:LuAGに同等の減衰時間、発光量、比重を有する材料であってもよい。
コンソール17は、図8に示すように、信号の入出力を担うインターフェース(I/F)31を備え、このインターフェース31にバス32を介して通信可能に接続されたコントローラ33、第1の記憶部34、データプロセッサ35、表示器36、入力器37、キャリブレーション演算器38、第2の記憶部39、第1〜第4のROM40A〜40D、及び閾値付与器41を備えている。
コントローラ33は、第1のROM40Aに予め与えられたプログラムに沿ってパノラマ撮像装置1の駆動を制御する。この制御には、X線管21に高電圧を供給する高電圧発生装置42への指令値の送出、スリット23の開口面積を変更するために開口駆動部23Dへの指令値の送出、キャリブレーション演算器38への駆動指令、及び後述する障害陰影除去の関わる制御も含まれる。第1の記憶部34は、検出器22からインターフェース31を介して送られてきた計数値であるフレームデータ、及び、画像データを保管する。
データプロセッサ35は、コントローラ33の管理の下に、第2のROM40Bに予め与えられたプログラムに基づいて動作する。この動作には、後述する障害陰影の除去処理も含まれる。また、パノラマ撮影のときに、データプロセッサ35は、その動作により、第1の記憶部34に保管されたフレームデータに、公知のシフト・アンド・アッド(shift and add)と呼ばれる演算法に基づくトモシンセシス法を実施する。これにより、被験者Pの口腔部のある断層面のパノラマ画像が得られる。表示器36は、作成される画像の表示や、装置の動作状況を示す情報及び入力器37を介して与えられるオペレータの操作情報の表示を担う。入力器37は、オペレータが撮像に必要な情報を装置に与えるために使用される。
また、キャリブレーション演算器38は、コントローラ33の管理の下に、第3のROM40Cに予め内蔵されているプログラムの下で動作し、データ計数回路における画素S毎のエネルギ弁別回路毎に与える、X線エネルギ弁別のためのデジタル量の閾値をキャリブレーションする。
閾値付与器41は、コントローラ33の制御の下で、撮像時に第2の記憶部39に格納されているデジタル量の閾値を画素毎に且つ弁別回路毎に呼び出して、その閾値を指令値としてインターフェース31を介して検出器22に送信する。この処理を実行するため、閾値付与器41は第4のROM40Dに予め格納されたプログラムを実行する。
コントローラ33、データプロセッサ35、キャリブレーション演算器38、閾値付与器41は共に、与えられたプログラムで稼動するCPU(中央処理装置)を備えている。それらのプログラムは、第1〜第4のROM40A〜40Dのそれぞれに事前に格納されている。
また、本実施形態では、国際公開公報WO2011/142343(国際出願番号PCT/JP2011/060731)により知られるように、ファントムを使って撮像空間ISの構造が解析され、検出器22の収集チャンネルCNがキャリブレートされる。このキャリブレーションは撮像前、保守点検時などの適宜なタイミングで実行される。
具体的には、パノラマ撮像装置1の撮像空間ISに、予め定めた標準断層面に位置付けられ且つ既知の位置情報をX線で画像化可能なマーカを有するファントム(図示せず)が配置される。X線官21からのX線の透過データが検出器22で収集され、パノラマ画像が作成される。マーカの既知の位置情報とパノラマ画像上のマーカ位置情報から、X線管21と検出器22の間の距離情報及び検出器に対するX線管の高さ情報が演算される。この演算結果と収集データから、X線管及び検出器を結ぶラインの位置変化量を加味した、X線管、検出器、及び断層面の位置関係を規定する各種のパラメータが演算される。これにより3D画像再構成に必要なパラメータがキャリブレーションされる。このため、撮像空間ISの構造を3次元的に把握することで、投影方向が3次元的に表現できる。従って、パノラマ画像の焦点が合っている限りは、3次元表現された画像に歪が生じず又は歪が少なく、正確なパノラマ撮影画像を構築することができる。
[障害陰影の除去法について]
次に、本実施形態で実行されるパノラマ画像の障害陰影の除去法の原理について説明する。
トモシンセシス画像g(i)(iはX線ビームに垂直な位置を表すものとする)は、X線ビーム方向のn層に分割した物体fi(i)(j=1,2…,n)と、その位置での重ね合わせ操作によって発生する劣化関数hi(i)(j=1,2…,n)の和の形で表現される。
ここですべての関数は対数をとった後のものと考える。すなわち、トモシンセシス画像g(i)は下記のように表現される。*はコンボリューションを示す記号である。
g(i)=f1(i)*h1(i)+f2(i)*h2(i)+…+fj(i)*hj(i)+…+fn(i)*hn(i)
トモシンセシス法のプロセスでは、特定の層のhj(i)をデルタ関数にして、それ以外をなるべく一様の関数とすることで、特定の層gj(i)が映像化される。
いま、モデルを簡単化して、特定の2つの層f1(i), f2(i)とそれ以外fr(i)で構成される3層のモデルを以下のように考える。
g(i)=f1(i)*h1(i)+f2(i)*h2(i)+fr(i)*hr(i)
ここで、第2層にフォーカスすると、下記式が成立する。
h2(i)=δ(i)
g2(i)=f1(i)*h1(i)+f2(i)*δ(i)+fr(i)*hr(i)
=f1(i)*h1(i)+f2(i)+fr(i)*hr(i)
… (1)
また、第1層にフォーカスすると、下記式が成立する。
h1(i)=δ(i)
g1(i)=f1(i)*δ(i)+f2(i)*h2(i)+fr(i)*hr(i)
=f1(i)+f2(i)*h2(i)+fr(i)*hr(i)
… (2)
いま、fr(i)*hr(i)の成分が非常に小さいとすると、(1),(2)式から下記式が導出される。
g2(i)=f1(i)*h1(i)+f2(i) (3)
g1(i)=f1(i)+f2(i)*h2(i) (4)
ここでg1(i)は歯列にフォーカスさせた画像、g2(i)を頸椎にフォーカスさせた画像とすると、障害陰影除去後の真の歯列画像f1(i)は
f1(i)=(g1(i)-g2(i)*h2(i))/(1-h1(i)*h2(i)) (5)
として与えられる。
(5)式の意味するところは、
(歯列にフォーカスした画像)−
(頸椎にフォーカスした画像*歯列位置でのぼけ関数)
をその位置に応じたぼけ関数同士の重畳積分で除することで歯列のみの画像が得られることを意味している。
fr(i)*hr(i)の成分が少なく無い場合でも、ある一定のパラメータ値としてg1(i)、g2(i)よりバイアス成分として差し引けば、上記の演算が成立するので障害陰影の除去又軽減が可能となる。
[障害陰影の除去の具体的な流れ]
次いで、このパノラマ撮像装置1において上述した原理に従って実行される障害陰影の除去を具体的に説明する。ここで、障害陰影は、被検体の歯列のパノラマ画像に写り込む頸椎の陰影であるとする。
まず、被検体Pの頭部、即ちその顎部JWを図2、3に示すように両アーム15,16の間の撮像空間ISの初期位置に位置付ける。この後、コントローラ33によりスキャンが指令され、X線管21及び検出器22を顎部JWの周りに回転させて、検出器22が所定周期で出力するフレームデータを収集する(図9、ステップS1)。このフレームデータは第1の記憶部34に一時保管される。このデータ収集は、従来知られている手法によって実行される。例えば、このデータ収集は、図10に示すように、歯列TRに予め設定した基準断層面(断面)に焦点が合うようにX線管21及び検出器22を顎部JWの周りに回転させて実行される。図10に示す符号CSは頸椎を示す。
次いで、データプロセッサ35は、第1の記憶部34に一時保存されているフレームデータを用いて歯列TRの基準断層面(図11(A)参照)に焦点を合わせたパノラマ画像を再構成して表示する(ステップS2)。このパノラマ画像の一例を図11(B)に示す。この再構成されたパノラマ画像のデータは第1の記憶部34に保存される。
この基準断層面は、例えば米国公開公報US2006/0203959A1や特開2007−136163により知られている、統計的に標準とされるサイズ及び形状のほぼ中心を通るように設定された馬蹄形の断層面(断面)である。ただし、この障害陰影除去法を適用可能なパノラマ画像は必ずしも厳密にその基準断層面に沿ったパノラマ画像に限定されない。例えば米国公開公報US2012/0230467A1により知られているように、特開2007−136163公報に記載のパノラマ画像再構成法を更に改善したものであってもよい。つまり、通常、各被検体の歯列や歯の大きさ及びサイズには個人差があり、歯列や歯の形状や位置が基準断層面からずれていることが殆どである。そのような歯列や歯であっても、米国公開公報US2012/0230467A1に記載のパノラマ画像の再構成法によれば、その実在位置をより正確に最焦点化して描出し且つ歯間の拡大率の差を補正又は軽減したパノラマ画像を提供することができる。このように、基準断層面から全体的に或いは局所的にずれている断面のパノラマ画像も本願の障害陰影除去法の対象となり得る。つまり、この除去法の対象になるパノラマ画像は、被検体の歯列に沿った断層面であり、その断層面に凹凸があってもよい、ということである。
なお、基準断層面SSは、被検者が大人や子供など顎部のサイズに差があることを考慮し、相似な馬蹄形であるがサイズの異なる複数種のものが用意され、この中から適宜なサイズの断層面が選択されることが望ましい。
ステップS2において、具体的には、その基準断層面の最適焦点の画像はトモシンセシス法、すなわちシフト・アンド・アッド処理で再構成される。第2のROMに、予め定めた歯列TRの基準断層面を最適焦点化するためのゲインカーブの情報が格納されている。このゲインカーブの一例を図12に示す。ゲインカーブは、シフト・アンド・アッド処理において1枚1枚の短冊状のフレームデータ(フレーム画像)を互いにシフト(ずらす)させる量(カーブの微分値)を角度毎に示すカーブである。
このゲインカーブにおけるシフト量が歯列位置でのぼけ関数を作成する際のぼけ量に相当する。そこで、データプロセッサ35は、ぼけの形をガウス関数として、その標準偏差をこのシフト量に一致させ、角度の位置毎に変化する、すなわちシフトバリアントなぼけ関数としてフレームデータにコンボリューションする。その後で、データプロセッサ35は、各位置においてフレームデータを相互に加算(画素値の相互加算)して列TRに沿った基準断層面のパノラマ画像を作成する。
次いで、データプロセッサ35は、上述と同様に、第1の記憶部34に一時保存されているフレームデータを用いて頸椎CSを通る断層面(図11(A)参照)に焦点を合わせたパノラマ画像を再構成して表示する(ステップS3)。このパノラマ画像の一例を図11(C)に示す。この再構成されたパノラマ画像のデータも第1の記憶部34に保存される。
この頸椎CSに焦点を合わせる画像は、歯列面に焦点を合わせる軌道TTRを折り返した軌道TCSを仮定してゲインカーブを作成する。この際、キャリブレーションファントムのワイア(鉛ファントム)の位置を頼りにゲインカーブを作成する。この場合、前述のゲインカーブをちょうど上下反転する形でゲインカーブが作成される(図11(A)参照)。このゲインカーブが示すずれの量(つまりカーブの微分値)に基づいてシフト・アンド・アッドの演算を行う。この場合、一般に、歯列TRの再構成では前歯付近でのシフト量は小さいが、頸椎CSの再構成では収集したフレームデータを大きく動かして加算演算をすることになる。
上記ステップS2,S3におけるパノラマ画像の再構成に使用するフレームデータは、全てのエネルギ領域ER〜ERに属するエネルギを有するフレームデータであってもよいし、また、その一部のエネルギ領域に属するエネルギのフレームデータであってもよい。全てのエネルギ領域に跨るエネルギのフレームデータを用いる場合でも、単純平均のほかに、領域毎に重み付けをして加算することもできる。
検出器22が光子計数型であるから、画素毎にエネルギを弁別した状態でフレームデータを検出できる。これにより、X線光子が顎部の物質を透過するときの線質変化などのパラメータを敏感に反映した透過データ(フレームデータ)を使うことができる。このため、顎部の特定の物質を強調したパノラマ画像を取得でき、それに基づいて障害陰影除去法を実施できる。
次いで、データプロセッサ35はスケーリングの処理を行う(ステップS4)。図13に、歯列TRの基準断層面に沿った最適焦点画像ITRを縦線と共に示す。この縦線はキャリブレーションファントムで測定した特定角度の位置を示す。また、図14に、頸椎CSの断層面に沿った最適焦点画像ICSを縦線と共に示す。この縦線もキャリブレーションファントムで測定した特定角度の位置を示す。
頸椎のような障害陰影を除去するためには図13,14をスケーリングして等しい画像サイズにしなければならない。図13の縦線の間隔と図2の縦線の間隔はそれぞれの位置毎に異なっており、1つの縮小率を用いて図14の大きさを図13の大きさに合わせることはできない。そこで、この縦線で画成されたフレームを頼りに2枚の画像の縮尺をあわせる。簡単に合わせるには、2つの縦線で囲まれた領域毎に同一のサイズになるように合わせればよい。さらに精度をあげて一致させるには短冊状のフレームデータ毎に該当する位置を合わせるのが望ましい。
ここでは、歯列TRの最適焦点画像ITRの15本の縦線で画成された複数の矩形状の領域に、頸椎CSの最適焦点画像ICSの15本の縦線によるそれらの領域が一致するように、画像ICSの各領域を縮小させる。これにより、両画像ITR及びICSの大きさは同じになる。
次いで、データプロセッサ35は頸椎CSの最適焦点画像ICSのぼかし処理を実行する(ステップS5)。この操作におけるぼけ関数を決めるためには、ゲインカーブを用いる。より具体的には、ゲインカーブのそれぞれの角度位置におけるゲイン値を半値全幅(FWHM: full width at half maximum)としたガウス関数を作り、これを頸椎CSの最適焦点画像ICSに重畳積分する。
このようにしてできた頸椎のぼけ画像ICS´(図示せず)では、歯列部は大きくぼけており、これに対して頸椎部は、歯列面に焦点を合わせた画像における頸椎部と同程度のぼけとなっている。
なお、このぼかし処理、つまりステップS5の処理は状況によっては省略してもよい。
このぼかし処理の後、データプロセッサ35は、歯列TRの最適焦点画像ITRと前述のように縮小され且つぼかされた頸椎CSの最適焦点画像ICS´との間で、画素毎にそれらの画素値の引算又は割算を行って画像の差を採る処理を行う(ステップS6)。画素値を自然対数で表しているときには引算となり、画素値間で「ITR−ICS´」を行う。一方、画素値の自然対数をとっていない場合、画素値間で「ITR/ICS´」の割算を行う。さらに、この画素値にはぼけ関数に依存した濃度むらが発生することになるので、頸椎焦点面におけるぼけ関数と歯列面におけるぼけ関数を重畳積分し、これを1より減算した値を用い、角度位置ごとに除算することで、頸椎の影響を極力低減した、かつ歯列面に焦点の合った画像を得ることができる。この処理をステップS6に付加することが望ましい。
この差分又は割算による差画像が頸椎に因る障害陰影を除去(又は軽減)した後の歯列TRの最適焦点画像ITR_REVとなるので、これが表示器36に表示されると共に、例えば第1の記憶部34に保存される(ステップS7)。
図15に、頸椎除去前の歯列TRの最適焦点画像ITRの別の一例を示す。この画像ITRには、その中央部分に頸椎CSの白い影(障害陰影)が写り込んでおり、前歯付近がぼけており、描出能が低い。これに対し、図16に示すように、頸椎除去後の歯列TRの最適焦点画像ITR_REVの場合、かかる頸椎像が殆ど除去されており、その分、前歯がより明瞭に描出されている。
以上のように、本実施形態によれば、データ収集後の比較的簡単な補正処理により、障害陰影となる頸椎CSの陰影が歯列TRのパノラマ画像ITRから確実に除去又は軽減される。このため、歯列TRの描出能が上がり、診断への寄与も大となる。
しかも、本実施形態に係るパノラマ撮像装置1は、X線管21と検出器22が同一中心点Oの周りに共に円軌道を描くように且つ互いに独立して回転可能な撮像系を採用している。このため、障害陰影となる頸椎CSをなるべく避けた、X線管21及び検出器22の回転軌道を設計できるという利点をそのまま享受できる。この軌道設計の有利さも障害陰影の軽減効果を倍加させる。
[その他の実施形態]
上述した実施形態は、歯列TRを撮像目的の構造物とし、歯列TRのパノラマ画像における頸椎CSの写り込みを障害陰影としてその除去処理を行ったが、この関係は反対であってもよい。つまり、頸椎CSを撮像目的の構造物とし、頸椎CSのパノラマ画像における歯列TRの写り込みを障害陰影としてその除去処理を行うようにしてもよい。この場合には、頸椎CSの断層面のパノラマ画像のサイズを縮小して歯列TRの断層面のパノラマ画像のサイズに合わせる点は同じであるが、ぼかし処理は歯列断層面のパノラマ画像に施す点が相違する。これ以外の処理手順は前述したものと同一又は同等である。
また、障害陰影となるのは必ずしも頸椎や歯列とは限らず、例えば顎骨の場合もある。例えば、歯列TRを撮像目的の構造物とし、歯列TRの断層面のパノラマ画像における左右又は一方の顎骨の写り込みを障害陰影としてその除去処理を前述と同様に実施してもよい。
さらに、一方の構造物の断層面として、顎部の上顎洞、頚動脈または下顎のオトガイ孔下の皮質骨歯列を通る断層面を指定し、他方の構造物の断層面として、顎部の頸椎または舌骨を通る断層面をしてもよい。この場合も、何れか一方の構造物の他方の構造物のパノラマ画像への写り込みを障害陰影として捉え、前述したと同様の除去法を実施できる。
なお、上述したパノラマ撮像装置1は、患者が歯科用チェアに仰向けの寝た状態(臥位)で撮影する装置であった。しかしながら、本発明に係るX線撮像装置は必ずしもそのような姿勢での撮影に拘らず、X線管及び検出器の間に被検体の顎部を位置させた状態で回転させる撮像系を有していればよく、例えばそのような撮像系がチェアの背面又は支柱に固定設置され、患者が座位又は立位で撮影を受ける装置構成であってもよい。また、そのような撮像系が家屋や車両の壁や天井などの固定構造に取り付けられていてもよい。さらに、そのような撮像系が可搬式のユニットとして構成され、患者の肩に載せたり、一般の椅子の背後に設置したりして撮影を行う構成であってもよい。
また、前述したパノラマ撮像装置1ではX線管21及び検出器22が同一回転中心の周りに、それらの間の距離を可変にしながら且つ互いに独立して回転駆動できる撮像系を備えていたが、撮像系は必ずしもそのような構成に限定されない。従来からよく知られているように例えば特開2007−136163で開示された撮像系であっても、本願の障害陰影除去法を適用できる。つまり、X線管及び検出器が被検体を挟んで対向した状態で、X線管及び検出器の間の距離を常に一定に保ちながら被検体の周りを回転する撮像系であってもよい。
さらに、本願の実施形態であっては、検出器22を光子計数型の検出器を用いたが、シンチレータと光電素子を組み合わせて一定時間の間、電気信号を蓄積してフレームデータを出力する、所謂、積分型の検出器であってもよい。
さらに、本願の障害陰影除去法は、トモシンセシス法を適用できない、シンチレータとCCD(電荷結合素子)を用いた検出器を用いたX線撮像装置にも適用できる。その場合には、歯列を通る断面に焦点を当てたX線管及び検出器の回転軌道の下で撮影した画像と、頸椎を通る断面に焦点を当てたX線管及び検出器の回転軌道の下で撮影した画像とを別々に用意し、それらの画像間で前述した障害陰影除去法を実施すればよい。
なお、本発明は上述した実施形態及び変形例で示した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の主旨を逸脱しない限り、更に様々に変形して実施可能なものである。
1 歯科用パノラマ撮像装置
13D 回転機構(支持手段)
17 コンソール
15,16 アーム(支持手段)
21 X線管
22 検出器
23 スリット
33 コントローラ(各種手段を機能的に実現する要素の一つ)
34 第1の記憶部
35 データプロセッサ(各種手段を機能的に実現する要素の一つ)
36 表示器
37 入力器
40A〜40D ROM
51、151 データ計数回路
54 比較器
55 エネルギ領域振分回路
56 カウンタ
57 D/A変換器
58 ラッチ回路
59 シリアル変換器
C 半導体セル
Cp 検出回路
画素
DS 弁別回路
CN データ収集チャンネル

Claims (8)

  1. X線を照射するX線管と、前記X線を検出するX線検出器とを備えた撮像系を、当該X線管及び当該検出器の間に被検体の顎部を位置させた状態で回転させるようにした歯科用X線撮像装置において、
    前記顎部に存在する2つの構造物のうちの一方の構造物に焦点を当てた第1のパノラマ画像を取得する第1の画像取得手段と、
    前記2つの構造物のうちの残りの一方の構造物に焦点を当てた第2のパノラマ画像を取得する第2の画像取得手段と、
    前記一方の構造物を撮像の目的物とし、前記残りの一方の構造物の、前記目的物のパノラマ画像への映り込みを障害陰影としたときに、前記第1及び第2のパノラマ画像に基づいて前記障害陰影の映り込みを除去又は軽減した前記目的物のパノラマ画像を生成する目的物画像生成手段と、
    を備えたことを特徴とする歯科用X線撮像装置。
  2. 前記第1の画像取得手段は、前記第1のパノラマ画像として前記顎部の歯列に焦点を当てた歯列のパノラマ画像を取得するように構成され、
    前記第2の画像取得手段は、前記第2のパノラマ画像として前記顎部の頸椎を通る断層面に焦点を当てた顎部のパノラマ画像を取得するように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の歯科用X線撮像装置。
  3. 前記第1の画像取得手段は、前記歯列のパノラマ画像として、前記歯列を通る予め定めた基準断層面又は当該歯列の実在位置の当該基準断層面からのずれに基づく断層面のパノラマ画像を取得するように構成されている請求項2に記載の歯科用X線撮像装置。
  4. 前記目的物画像生成手段は、
    前記頸椎のパノラマ画像のサイズを前記歯列のパノラマ画像のサイズに合わせるスケーリング手段と、
    このスケーリング手段によりサイズ調整された前記頸椎のパノラマ画像の各画素に当該焦点面で定義されるぼけ関数を重畳積分して、当該頸椎のボケ画像を生成するボケ画像生成手段と、
    前記第1の画像取得手段により取得された前記歯列のパノラマ画像と前記ボケ画像生成手段により生成された前記頸椎のパノラマ画像のボケ画像との間で画素毎にその画素値の引き算又は割算を行い、その差画像を、前記障害陰影が除去又は軽減した後の前記目的物のパノラマ画像として提供する差画像演算手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の歯科用X線撮像装置。
  5. 前記ぼけ関数は、前記頸椎のパノラマ画像上で当該頸椎が描出されている部分はその他の部分よりも小さい値に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の歯科用X線撮像装置。
  6. 前記第1の画像取得手段は、前記第1のパノラマ画像として前記顎部の頸椎を通る断層面に焦点を当てた歯列のパノラマ画像を取得するように構成され、
    前記第2の画像取得手段は、前記第2のパノラマ画像として前記顎部の歯列に焦点を当てた顎部のパノラマ画像を取得するように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の歯科用X線撮像装置。
  7. 前記検出器は、前記X線の各光子の入射毎にその光子の持つエネルギに応じた電気パルスを当該エネルギの領域毎に弁別して収集する複数の画素と、その複数の画素を平面状に配列した検出面を備えた光子計数型の検出器であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の歯科用X線撮像装置。
  8. X線を照射するX線管と、前記X線を検出するX線検出器とを備えた撮像系を、当該X線管及び当該検出器の間に被検体の顎部を位置させた状態で回転させるようにした歯科用X線撮像における画像補正方法において、
    前記顎部に存在する2つの構造物のうちの一方の構造物に焦点を当てた第1のパノラマ画像を取得し、
    前記2つの構造物のうちの残りの一方の構造物に焦点を当てた第2のパノラマ画像を取得し、
    前記一方の構造物を撮像の目的物とし、前記残りの一方の構造物の前記目的物のパノラマ画像への映り込みを障害陰影としたときに、前記第1及び第2のパノラマ画像に基づいて前記障害陰影の映り込みを除去又は軽減した前記目的物のパノラマ画像を生成する、
    ことを特徴とする歯科用X線撮像における画像補正方法。
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