(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図1乃至図11を参照して説明する。図1は、本実施形態の超音波処置装置1を示す図である。なお、本実施形態の超音波処置装置1は、超音波振動によって発生したキャビテーションにより、生体組織を選択的に破砕及び切除し、切除された生体組織を吸引する超音波吸引装置である。また、超音波処置装置1では、高周波電流を用いた処置も、行われる。したがって、超音波処置装置1は、超音波振動、高周波電流等のエネルギーを用いて、処置対象である生体組織の処置を行うエネルギー処置装置である。また、超音波処置装置1は、長手軸Cを有する。ここで、長手軸Cに平行な方向の一方(図1の矢印C1の方向)が先端方向であり、長手軸Cに平行な方向の他方(図1の矢印C2の方向)が基端方向である。そして、先端方向及び基端方向が、長手軸Cに平行な軸平行方向となる。
図1に示すように、超音波処置装置1は、振動子ユニット2と、超音波プローブ(プローブユニット)3と、シース(シースユニット)4と、保持ユニット5とを備える。 振動子ユニット2は、振動子ケース11を備える。振動子ケース11の基端には、ケーブル6の一端が接続されている。ケーブル6の他端は、電源ユニット7に接続されている。電源ユニット7は、超音波制御部8と、高周波制御部9と、を備える。電源ユニット7には、フットスイッチ等の入力ユニット10が接続されている。
図2は、振動子ユニット2の構成を示す図である。図2に示すように、振動子ケース11の内部には、ホーン部材12が設けられている。ホーン部材12は、振動子ケース11に取付けられている。ホーン部材12には、電流を超音波振動に変換する圧電素子15A〜15Cを備える超音波振動子13が、取付けられている。超音波振動子13には、電気信号線16A,16Bの一端が接続されている。電気信号線16A,16Bは、ケーブル6の内部を通って、他端が電源ユニット7の超音波制御部8に接続されている。超音波制御部8から電気信号線16A,16Bを介して超音波振動子13に電流を供給することにより、超音波振動子13で超音波振動が発生する。また、ホーン部材12には、電気信号線16A,16Bとは別の電気信号線17の一端が接続されている。電気信号線17は、ケーブル6の内部を通って、他端が電源ユニット7の高周波制御部9に接続されている。高周波制御部9から電気信号線17を介して、ホーン部材12に高周波電流が供給される。
ホーン部材12には、超音波振動の振幅を拡大する断面積変化部(ホーン部)18が設けられている。断面積変化部18は、超音波振動子13より先端方向側に位置している。 また、ホーン部材12には、長手軸Cを中心に空洞部21が形成されている。空洞部21は、ホーン部材12の基端から先端まで長手軸Cに沿って、延設されている。また、ホーン部材12の内周面の先端部には、雌ネジ部22が形成されている。
図3乃至図5は、超音波プローブ3の構成を示す図である。図3乃至図5に示すように、超音波プローブ3は、基端側プローブ部材23と、先端側プローブ部材25と、を備える。基端側プローブ部材23では、長手軸Cに沿って延設されるプローブ本体部27を備える。
プローブ本体部27の基端方向側には、基端側接続部28が連続している。基端側接続部28は円筒状に形成され、基端側接続部28の長手軸Cに垂直な断面形状は、長手軸Cを中心として点対称な形状となる。したがって、長手軸Cに垂直な断面において基端側接続部28の重心位置は、長手軸C上に位置している。また、基端側接続部28の外周部には、雄ネジ部29が形成されている。雄ネジ部29がホーン部材12の雌ネジ部22と螺合することにより、ホーン部材12の先端方向側に基端側プローブ部材23が接続される。ホーン部材12に基端側プローブ部材23が接続された状態では、基端側接続部28は、ホーン部材12の内部(空洞部21)に位置している。
図3乃至図5に示すように、プローブ本体部27には、溝規定部31によって溝状部32が長手軸Cに沿って規定されている。溝状部32は、プローブ本体部27の基端から先端まで延設されている。すなわち、長手軸Cに平行な方向である軸平行方向についてプローブ本体部27の全長に渡って、溝状部32が設けられている。溝状部32は、長手軸Cに垂直な第1の垂直方向(図5の矢印X1の方向)に向かって凹んでいる。そして、溝状部32は、第1の垂直方向とは反対方向である第2の垂直方向(図5の矢印X2の方向)に向かって開口している。
プローブ本体部27の先端方向側には、先端側接続部33が連続している。先端側接続部33は円筒状に形成され、先端側接続部33の長手軸Cに垂直な断面形状は、長手軸Cを中心として点対称な形状となる。したがって、長手軸Cに垂直な断面において先端側接続部33の重心位置は、長手軸C上に位置している。また、先端側接続部33の外周部には、雄ネジ部35が形成されている。
先端側プローブ部材25は円筒状に形成され、先端側プローブ部材25の長手軸Cに垂直な断面形状は、長手軸Cを中心として点対称な形状となる。先端側プローブ部材25の先端面36が、超音波プローブ3の先端となる。先端側プローブ部材25の内部には、長手軸Cに沿って空洞部37が延設されている。空洞部37は、先端側プローブ部材25の先端面36で、先端方向に向かって開口している。また、先端側プローブ部材25の基端部には、雌ネジ部38が設けられている。雌ネジ部38に先端側接続部33の雄ネジ部35が螺合することにより、基端側プローブ部材23の先端方向側に先端側プローブ部材25が接続される。基端側プローブ部材23に先端側プローブ部材25が接続された状態では、先端側接続部33は、先端側プローブ部材25の内部(空洞部37)に位置している。
ホーン部材12に基端側プローブ部材23が接続され、かつ、基端側プローブ部材23に先端側プローブ部材25が接続されることにより、ホーン部材12に超音波プローブ3が取付けられる。これにより、超音波振動子13で発生した超音波振動が、ホーン部材12、プローブ本体部27(基端側プローブ部材23)及び先端側プローブ部材25を介して、先端側プローブ部材25の先端面36まで伝達される。すなわち、超音波プローブ3では、基端方向から先端方向へ長手軸Cに沿って超音波振動が伝達される。なお、超音波振動は、伝達方向及び振動方向が長手軸Cに平行な縦振動である。
ホーン部材12に基端側プローブ部材23が接続され、かつ、基端側プローブ部材23に先端側プローブ部材25が接続された状態では、超音波振動の腹位置の1つである接続腹位置A1で、ホーン部材12の先端方向側にプローブ本体部27が連続している。また、ホーン部材12に基端側プローブ部材23が接続され、かつ、基端側プローブ部材23に先端側プローブ部材25が接続された状態では、接続腹位置A1より先端方向側の超音波振動の腹位置の1つである接続腹位置A5で、プローブ本体部27の先端方向側に先端側プローブ部材25が連続している。したがって、プローブ本体部27の基端は接続腹位置A1に位置し、プローブ本体部27の先端は接続腹位置A5に位置している。ここで、溝状部32は、軸平行方向についてプローブ本体部27の全長に渡って、延設されている。このため、接続腹位置A1と接続腹位置A5との間のプローブ本体部27では、長手軸Cに垂直な断面形状が、長手軸Cを中心として非点対称な形状となる。
ここで、接続腹位置A1では、超音波振動の伝達方向及び振動方向(長手軸C)に垂直な断面形状が変化する。すなわち、長手軸Cに垂直な断面形状が、長手軸Cを中心として点対称な形状から長手軸Cを中心として非点対称な形状へ、接続腹位置A1で変化する。同様に、接続腹位置A5では、超音波振動の伝達方向及び振動方向(長手軸C)に垂直な断面形状が変化する。すなわち、長手軸Cに垂直な断面形状が、長手軸Cを中心として非点対称な形状から長手軸Cを中心として点対称な形状へ、接続腹位置A5で変化する。
また、ホーン部材12に基端側プローブ部材23が接続され、かつ、基端側プローブ部材23に先端側プローブ部材25が接続された状態では、先端側プローブ部材25の先端面36(超音波プローブ3の先端)は、最も先端方向側の超音波振動の腹位置である最先端腹位置A6に位置している。
図1に示すように、保持ユニット5は、保持ケース41を備える。また、シース4には、超音波プローブ3が挿通されている。図6は、シース4及び超音波プローブ3の構成を示す図である。図6に示すように、超音波プローブ3の外周部(外表面)とシース4の内周部との間には、空洞部42が形成されている。空洞部42には、長手軸Cに沿って送液チューブ43が延設されている。保持ケース41の内部では、シース4の基端部に、中継部材45を介して、振動子ケース11の先端部が取付けられている。送液チューブ43は、シース4の基端部において、空洞部42からシース4の外部に延出されている。
そして、図1に示すように、送液チューブ43は、保持ユニット5の外部に延出され、送液ユニット47に接続されている。送液ユニット47は、入力ユニット10に接続されている。入力ユニット10での入力等によって送液ユニット47を駆動することにより、送液チューブ43の内部を生理食塩水等の液体が通過する。そして、シース4の先端と超音波プローブ3との間に位置する送液チューブ43の先端から、生体組織等への送液が行われる。先端面36の近傍に生理食塩水等の送液が行われる状態で先端側プローブ部材25の先端面36に超音波振動が伝達されることにより、キャビテーションを発生する。キャビテーションにより、肝細胞等の弾力性の低い生体組織が選択的に破砕及び乳化される。この際、血管等の弾力性の高い生体組織は、キャビテーションにより破砕されない。また、生体組織への送液により、出血箇所の確認、体腔内の洗浄等が行われる。
図3乃至図5に示すように、超音波プローブ3は、溝状部32の内部に長手軸Cに沿って延設されるチューブ部材51を備える。チューブ部材51の先端は、接着等により、先端側プローブ部材25の内周部に固定されている。チューブ部材51の内部は、先端側プローブ部材25の内部に設けられる空洞部37に連通している。また、チューブ部材51の基端は、接着等により、ホーン部材12の内周部に固定されている。チューブ部材51の内部は、ホーン部材12の内部に設けられる空洞部21に連通している。
図2に示すように、ホーン部材12には、吸引チューブ53の一端が接続されている。吸引チューブ53の内部は、空洞部21に連通している。図1に示すように、吸引チューブ53は、振動子ケース11の外部に延出され、他端が吸引ユニット55に接続されている。吸引ユニット55は、入力ユニット10に接続されている。キャビテーションにより切除された生体組織を吸引する際には、入力ユニット10での入力等により吸引ユニット55を駆動する。吸引ユニット55を駆動することにより、切除された生体組織が空洞部37に吸引される。そして、チューブ部材51の内部、空洞部21、吸引チューブ53の内部を順に通って、生体組織が吸引ユニット55まで吸引される。
図7は、プローブ本体部27の構成を示す図である。図7に示すように、プローブ本体部27は、1つ以上(本実施形態では4つ)の伝達ユニット61A〜61Dを備える。プローブ本体部27の基端が位置する接続腹位置A1とプローブ本体部27の先端が位置する接続腹位置A5との間には、超音波振動は3つの腹位置A2〜A4を有する。腹位置A3は腹位置A2より先端方向側に位置し、腹位置A4は腹位置A3より先端方向側に位置している。伝達ユニット61Aは接続腹位置A1から腹位置A2まで長手軸Cに沿って延設され、伝達ユニット61Bは腹位置A2から腹位置A3まで長手軸Cに沿って延設されている。また、伝達ユニット61Cは腹位置A3から腹位置A4まで長手軸Cに沿って延設され、伝達ユニット61Dは腹位置A4から接続腹位置A5まで長手軸Cに沿って延設されている。
したがって、腹位置A2では伝達ユニット61Aの先端と伝達ユニット61Bの基端との間が連続し、腹位置A3では伝達ユニット61Bの先端と伝達ユニット61Cの基端との間が連続している。そして、腹位置A4では、伝達ユニット61Cの先端と伝達ユニット61Dの基端との間が連続している。また、接続腹位置A1と腹位置A2との間に節位置N1が位置し、腹位置A2と腹位置A3との間に節位置N2が位置している。そして、腹位置A3と腹位置A4との間に節位置N3が位置し、腹位置A4と接続腹位置A5との間に節位置N4が位置している。
図8は、ある1つの伝達ユニット61Aの構成を示す図である。また、図9は図8のIX−IX線断面図であり、図10は図8のX−X線断面図である。なお、以下の説明では、伝達ユニット61Aのみについて説明するが、その他の伝達ユニット61B〜61Dについても、伝達ユニット61Aと同様である。
図8に示すように、伝達ユニット61Aは、プローブ本体部27の外周部(外表面)の一部となるユニット外表面62を備える。ユニット外表面62は、外部に対して露出する状態で、長手軸Cに沿って延設されている。前述のようにプローブ本体部27では、軸平行方向について全長に渡って溝状部32が形成されている。したがって、伝達ユニット61Aにおいても、軸平行方向について全長に渡って、溝状部32が溝規定部31によって規定されている。前述のように、溝状部32は、長手軸Cに垂直な断面において、第1の垂直方向(図9及び図10の矢印X1の方向)に向かって凹み、第2の垂直方向(図9及び図10の矢印X2の方向)に向かって外部に対して開口している。したがって、伝達ユニット61Aでは、ユニット外表面62から第1の垂直方向に向かって凹む溝状部32が形成されている。
伝達ユニット61Aは、長手軸Cに垂直な超音波プローブ3の断面積が変化する断面積変化部63を備える。本実施形態では、断面積変化部63は、段状に形成され、軸平行方向について超音波振動の節位置N1に位置している。すなわち、節位置N1は、長手軸Cに垂直な超音波プローブ3の断面積が変化する断面積変化節位置となる。また、伝達ユニット61Aは、接続腹位置(第1の腹位置)A1と断面積変化部63との間に長手軸Cに沿って延設される第1のユニット構成部65と、断面積変化部63と腹位置(第2の腹位置)A2との間に長手軸Cに沿って延設される第2のユニット構成部66と、を備える。すなわち、第1のユニット構成部65は接続腹位置(第1の腹位置)A1と節位置(断面積変化節位置)N1との間に延設され、第2のユニット構成部66は節位置(断面積変化節位置)N1と腹位置(第2の腹位置)A2との間に延設されている。したがって、図9は第1のユニット構成部65での長手軸Cに垂直な断面を示し、図10は第2のユニット構成部66での長手軸Cに垂直な断面を示している。
図9に示すように、第1のユニット構成部65は、長手軸Cに垂直な断面において、第1の断面積S1となる第1の断面形状を有する。また、図10に示すように、第2のユニット構成部66は、長手軸Cに垂直な断面において、第1の断面積S1より小さい第2の断面積S2となる第2の断面形状を有する。したがって、断面積変化部63では、長手軸Cに垂直な超音波プローブ3(プローブ本体部27)の断面積が減少する。超音波振動の腹位置以外に位置する節位置N1で長手軸Cに垂直な超音波プローブ3の断面積が減少するため、断面積変化部63では超音波振動の振幅が拡大される。節位置N2〜N4においても、節位置N1と同様にして、超音波振動の振幅が拡大される。これにより、振幅が拡大された超音波振動が、超音波プローブ3の先端面36に伝達される。
なお、伝達ユニット61Aと伝達ユニット61Bとの間が連続する腹位置A2では、伝達ユニット61Aの第2のユニット構成部66の先端方向側に伝達ユニット61Bの第1のユニット構成部65が連続している。すなわち、腹位置A2では、第2の断面積S2から第1の断面積S1に、長手軸Cに垂直な超音波プローブ3(プローブ本体部27)の断面積が増加する。ここで、腹位置A2を含む超音波振動の腹位置では、超音波振動による応力がゼロになるため、長手軸に垂直な断面積が変化した場合でも、超音波振動の振幅は変化しない。したがって、伝達ユニット61Aと伝達ユニット61Bとの間の腹位置A2では、超音波振動の振幅は変化しない。伝達ユニット61Bと伝達ユニット61Cとの間の腹位置A3、及び、伝達ユニット61Cと伝達ユニット61Dとの間の腹位置A4においても、腹位置A2と同様に、超音波振動の振幅は変化しない。
ここで、長手軸Cに垂直な断面において、長手軸Cに向かう方向を内周方向とし、長手軸Cから離れる方向を外周方向とする。そして、内周方向及び外周方向を径方向とする。図9に示すように、第1のユニット構成部65は、第1の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1だけ離れて位置する第1の円弧状面71を備える。第1の円弧状面71は、ユニット外表面62の一部であり、長手軸Cを中心として円弧状に延設されている。また、第1のユニット構成部65は、第1の断面形状において第1の円弧状面71と溝規定部31との間に連続する第1の面取り部72A,72Bを備える。第1の面取り部72A,72Bは、ユニット外表面62の一部である。第1の円弧状面71は、第1の面取り部72Aと第1の面取り部72Bとの間で長手軸回り方向に連続している。したがって、第1の断面形状では、長手軸Cより第1の垂直方向側において、第1の円弧状面71が、外表面(外周部)として連続している。
第1の断面形状では、第1の面取り部72A,72Bを設けることにより、第1の面取り部72A,72Bが設けられていない第1の仮想形状(図9の点線で示す形状)から、第1の減少面積S´1だけ長手軸Cに垂直な断面積が減少している。すなわち、第1の断面形状の第1の断面積S1は、第1の仮想形状の断面積から第1の減少面積S´1だけ減少した断面積である。ここで、第1の仮想形状では、第1の円弧状面71と溝規定部31との間が直接的に(第1の面取り部72A,72Bを間に中継することなく)連続している。
図10に示すように、第2のユニット構成部66は、第2の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1より小さい第2の径方向寸法R2だけ離れて位置する第2の円弧状面73を備える。第2の円弧状面73は、ユニット外表面62の一部であり、長手軸Cを中心として円弧状に延設されている。また、第2のユニット構成部66は、第2の断面形状において第2の円弧状面73と溝規定部31との間に連続する第2の面取り部75A,75Bを備える。第2の面取り部75A,75Bは、ユニット外表面62の一部である。第2の円弧状面73は、第2の面取り部75Aと第2の面取り部75Bとの間で長手軸回り方向に連続している。したがって、第2の断面形状では、長手軸Cより第1の垂直方向側において、第2の円弧状面73が、外表面(外周部)として連続している。
第2の断面形状では、第2の面取り部75A,75Bを設けることにより、第2の面取り部75A,75Bが設けられていない第2の仮想形状(図10の点線で示す形状)から、第2の減少面積S´2だけ長手軸Cに垂直な断面積が減少している。すなわち、第2の断面形状の第2の断面積S2は、第2の仮想形状の断面積から第2の減少面積S´2だけ減少した断面積である。ここで、第2の仮想形状では、第2の円弧状面73と溝規定部31との間が直接的に(第2の面取り部75A,75Bを間に中継することなく)連続している。
図9及び図10に示すように、溝規定部31は、長手軸Cに垂直な断面において略U字状に延設されている。すなわち、溝規定部31は、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向に平行に延設される溝側面77A,77B(第1の溝側面77A及び第2の溝側面77B)と、長手軸Cに垂直な断面において溝側面77Aと溝側面77Bとの間に連続する溝底面78と、を備える。溝底面78は、長手軸Cに垂直な断面において円弧状に形成されている。伝達ユニット61A(61B〜61D)では、長手軸Cに垂直な断面において長手軸Cを基準位置とする溝底面78の位置が、軸平行方向について全長に渡って一致している。このため、伝達ユニット61A(61B〜61D)では、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、軸平行方向について全長に渡って一致する。すなわち、第1のユニット構成部65の第1の断面形状と第2のユニット構成部66の第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が変化しない。
また、本実施形態では、軸平行方向について伝達ユニット61Aの全長に渡って、溝状部32の溝底端Ebが、長手軸Cより第1の垂直方向側に位置している。したがって、本実施形態では、軸平行方向について伝達ユニット61Aの全長に渡って、長手軸Cから所定の底端寸法d0だけ第1の垂直方向に離れて、溝状部32の溝底端Ebが位置している。
ここで、長手軸Cに垂直な断面において、第1の垂直方向及び第2の垂直方向に平行で、かつ、長手軸Cを通る基準軸Pを規定する。そして、長手軸Cに垂直で、かつ、基準軸P(第1の垂直方向及び第2の垂直方向)に垂直な方向を溝幅方向(図9及び図10の矢印Bの方向)とする。溝状部32の溝幅方向についての寸法が、溝幅寸法となる。本実施形態の伝達ユニット61A(61B〜61D)では、長手軸Cに垂直な断面において溝側面(第1の溝側面)77Aと溝側面(第2の溝側面)77Bとの間の溝幅寸法が、軸平行方向について全長に渡って一致している。すなわち、伝達ユニット61A(61B〜61D)では、軸平行方向について全長に渡って、溝幅方向について溝側面77Aと溝側面77Bとの間が、所定の溝幅寸法b0となる。したがって、第1のユニット構成部65の第1の断面形状と第2のユニット構成部66の第2の断面形状との間では、溝側面77Aと溝側面77Bとの間の溝幅寸法が変化しない。
ここで、第1の仮想形状は、半径が第1の径方向寸法R1と同一で、かつ、長手軸を中心として点対称な第1の柱状形状に、第1の断面形状と同一の所定の底端寸法d0及び所定の溝幅寸法b0を有する溝状部32が形成された形状である。そして、第1の仮想形状では、第1の円弧状面71と溝規定部31との間が直接的に連続している。また、第2の仮想形状は、半径が第2の径方向寸法R2と同一で、かつ、長手軸を中心として点対称な第2の柱状形状に、第2の断面形状と同一の所定の底端寸法d0及び所定の溝幅寸法b0を有する溝状部32が形成された形状である。そして、第2の仮想形状では、第2の円弧状面73と溝規定部31との間が直接的に連続している。ここで、第2の柱状形状は、第1の柱状形状を縮小した相似形状である。
第1の仮想形状と第2の仮想形状とを比較すると、長手軸Cと外表面(第1の円弧状面71及び第2の円弧状面73)との間の径方向寸法では、第2の仮想形状の第2の径方向寸法R2が第1の仮想形状の第1の径方向寸法R1より小さくなる。しかし、第1の仮想形状及び第2の仮想形状では、長手軸Cを基準位置とする溝状部32の溝底端Ebの位置、及び、溝側面77Aと溝側面77Bとの間の溝幅寸法が一致している。そして、第1の仮想形状では第1の面取り部72A,72Bが設けられず、第2の仮想形状では第2の面取り部75A,75Bが設けられていない。このため、第1の仮想形状の重心位置である第1の仮想重心位置G´1に比べ、第2の仮想形状の重心位置である第2の仮想重心位置G´2は、第1の垂直方向側に位置している。
これに対し、第1の断面形状では、第1の面取り部72A,72Bが設けられ、第1の円弧状面71と溝規定部31との間は、第1の面取り部72A,72Bを中継して(間接的に)、連続している。また、第2の断面形状では、第2の面取り部75A,75Bが設けられ、第2の円弧状面73と溝規定部31との間は、第2の面取り部75A,75Bを中継して(間接的に)、連続している。そして、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、第1の面取り部72A,72Bに対する第2の面取り部75A,75Bの形状が変化する。第2の面取り部75A,75Bは、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、第1の面取り部72A,72Bに対して形状が変化する。
本実施形態では、第1の面取り部72A,72Bは、第1の断面形状において円弧状に形成される第1の曲面部である。第1の断面形状では、第1の曲面部(72A,72B)の円弧中心O1a,O1bはユニット外表面62(第1の円弧状面71)より内周方向側に位置している。そして、第1の曲面部(72A,72B)は、第1の曲率半径r1を有する。また、第2の面取り部75A,75Bは、第2の断面形状において円弧状に形成される第2の曲面部である。第2の断面形状では、第2の曲面部(75A,75B)の円弧中心O2a,O2bはユニット外表面62(第2の円弧状面73)より内周方向側に位置している。そして、第2の曲面部(75A,75B)は、第1の曲率半径r1より小さい第2の曲率半径r2を有する。
ここで、第1の断面積S1に対する第1の減少面積S´1の比率を第1の面積比率とする。また、第2の断面積S2に対する第2の減少面積S´2の比率を第2の面積比率とする。本実施形態では、第1の面取り部72A,72Bの第1の曲率半径r1より第2の面取り部75A,75Bの第2の曲率半径r2が、小さくなる。このため、第1の面積比率に比べて、第2の面積比率が小さくなる。すなわち、長手軸Cより第2の垂直方向側の領域において、第1の仮想形状から第1の断面形状への形状変化により減少する面積比率(第1の面積比率)に比べ、第2の仮想形状から第2の断面形状への形状変化により減少する面積比率(第2の面積比率)は小さくなる。このため、第1の仮想形状の第1の仮想重心位置G´1より第2の仮想形状の第2の仮想重心位置G´2は第1の垂直方向側に位置するが、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが一致する。
前述のように、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、第1の面取り部72A,72Bに対する第2の面取り部75A,75Bの形状が変化する。すなわち、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、長手軸Cに垂直な断面でのユニット外表面62の形状が変化する。長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致するため、伝達ユニット61Aでは、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致する。
その他の伝達ユニット61B〜61Dのそれぞれについても、伝達ユニット61Aと同様に、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致する。そして、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gは、伝達ユニット61Aと伝達ユニット61Bとの間で変化しない。伝達ユニット61Bと伝達ユニット61Cとの間、及び、伝達ユニット61Cと伝達ユニット61Dとの間においても、伝達ユニット61Aと伝達ユニット61Bとの間と同様に、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gは変化しない。したがって、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向についてプローブ本体部27の全長に渡って一致する。
また、プローブ本体部27(伝達ユニット61A〜61D)では、長手軸Cに垂直な断面において基準軸P上に、重心位置Gが位置している。すなわち、プローブ本体部27では、重心位置Gが長手軸Cに対して溝幅方向にずれていない。また、プローブ本体部27では、重心位置Gは、長手軸Cから第1の垂直方向側にずれている。
図11は、図6の11−11線断面図である。図6及び図11に示すように、超音波プローブ3のプローブ本体部27とシース4との間の空洞部42には、筒状のシール部材81が設けられている。シール部材81は、超音波振動の節位置N1〜N4のいずれか1つに位置し、本実施形態では節位置N2に位置している。また、節位置N2には、ゴム等の弾性部材82が設けられている。弾性部材82は、プローブ本体部27の溝状部32と係合可能である。プローブ本体部27の溝状部32に弾性部材82が係合することにより、長手軸Cに垂直な断面において、プローブ本体部27及び弾性部材82によって円筒形状が形成される。これにより、筒状のシール部材81の内周部が、プローブ本体部27の外周部(外表面)及び弾性部材82の外周部に密着する。また、シール部材81の外周部は、シース4の内周部に密着している。したがって、節位置N2では、プローブ本体部27とシース4との間が、気密及び液密に保たれる。前述のように、弾性部材82を設けることにより、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称なプローブ本体部27に位置する節位置(N1〜N4)においても、プローブ本体部27とシース4との間が気密及び液密に保たれる。
次に、本実施形態の超音波処置装置1の作用及び効果について説明する。超音波処置装置1を用いて生体組織の超音波吸引を行う際には、超音波制御部8から電気信号線16A,16Bを介して超音波振動子13に電流を供給することにより、超音波振動子13で超音波振動が発生する。発生した超音波振動は、ホーン部材12を介して超音波プローブ3に伝達される。そして、超音波プローブ3において、基端方向から先端方向へ超音波振動が伝達される。
ここで、プローブ本体部27の基端(ホーン部材12の先端)に位置する接続腹位置A1では、長手軸Cに垂直な断面形状が、長手軸Cを中心として点対称な形状から長手軸Cを中心として非点対称な形状へ、変化する。超音波振動の伝達方向及び振動方向に垂直な断面形状が大きく変化する位置では、超音波振動が長手軸Cに垂直な方向への応力の影響を受け易い。そこで、本実施形態では、接続腹位置A1で超音波振動の伝達方向及び振動方向に垂直な断面形状が大きく変化する。接続腹位置A1を含む超音波振動の腹位置では、超音波振動の応力はゼロとなる。したがって、超音波振動の伝達方向及び振動方向に垂直な断面形状が大きく変化する接続腹位置A1で、超音波振動に応力が作用しない。したがって、振動モードが変化しない。
同様に、超音波プローブ3では、プローブ本体部27の先端(先端側プローブ部材25の基端)に位置する接続腹位置A5で、超音波振動の伝達方向及び振動方向に垂直な断面形状が大きく変化する。前述のように、接続腹位置A5をでは、超音波振動による応力はゼロとなる。したがって、超音波振動の伝達方向及び振動方向に垂直な断面形状が大きく変化する接続腹位置A5で、超音波振動に応力が作用しない。したがって、振動モードが変化しない。
前述のように、長手軸Cに垂直な断面形状が、長手軸Cを中心として点対称な形状から長手軸Cを中心として非点対称な形状へ変化す位置を超音波プローブ3及びホーン部材12設けた場合でも、超音波振動は応力の影響を受けない。
また、プローブ本体部27のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dには、断面積変化部63が設けられている。断面積変化部63は超音波振動の腹位置に位置する節位置(N1〜N4)に設けられ、断面積変化部63では、長手軸Cに垂直な断面積が減少する。このため、断面積変化部63では、超音波振動の振幅が拡大される。長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称なプローブ本体部27においても超音波振動の振幅が拡大されることにより、超音波プローブ3の先端面36で振幅が拡大された超音波振動を用いて処置が行われる。
また、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dの断面積変化部63では、第1のユニット構成部65の第1の断面形状と第2のユニット構成部66の第2の断面形状との間で、長手軸Cを基準位置とする重心位置Gが変化しない。すなわち、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致している。
超音波振動による応力がゼロとなる腹位置以外の位置で長手軸Cに垂直な断面での重心位置Gが変化する場合、超音波振動が応力の影響を受け易くなる。これにより、超音波振動の伝達性が低下し、超音波プローブの強度が低下してしまう。そこで、本実施形態では、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称な断面形状のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dに断面積変化部63を設けた場合でも、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが断面積変化部63で変化しない。すなわち、プローブ本体部27では、超音波振動の腹位置以外の位置で、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが変化しない。したがって、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称な断面形状のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dに断面積変化部63を設けた場合でも、超音波振動は応力の影響を受けない。
前述のように、本実施形態の超音波プローブ3では、超音波振動が応力の影響を受けない。したがって、超音波振動の伝達性が確保され、超音波プローブ3(先端側プローブ部材25)の先端面36に適切に超音波振動が伝達される。また、超音波振動が応力の影響を受け難いため、超音波プローブ3の強度が確保される。
先端側プローブ部材25(超音波プローブ3)の先端面36に超音波振動が伝達されることにより、キャビテーションを発生する。キャビテーションにより、肝細胞等の弾力性の低い生体組織が選択的に破砕され、切除される。超音波プローブ3の先端面36に超音波振動が適切に伝達されることにより、キャビテーションがより効率的に発生し、キャビテーションを用いて超音波吸引等の処置が適切に行われる。
また、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、軸平行方向について全長に渡って一致する。このため、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dにおいて、フライス加工によって容易に溝状部32が形成される。また、第1の面取り部72A,72B及び第2の面取り部75A,75Bの形成も、短時間かつ低コストで行われる。このため、効率よく、低コストでそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dが形成される。したがって、プローブ本体部27及び超音波プローブ3を、効率よく、低コストで製造することができる。
また、プローブ本体部27をホーン部材12に接続する基端側接続部28、及び、プローブ本体部27を先端側プローブ部材25に接続する先端側接続部33は、円筒状に形成されている。すなわち、基端側接続部28及び先端側接続部33では、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として点対称となる。このため、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称なプローブ本体部27を設けた場合でも、基端側接続部及び先端側接続部33の強度は確保される。したがって、プローブ本体部27のホーン部材12への接続、及び、プローブ本体部27の先端側プローブ部材25への接続において、基端側接続部28及び先端側接続部33の破損が有効に防止される。
また、本実施形態では、弾性部材82によって、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称なプローブ本体部27に位置する節位置(N2)において、プローブ本体部27とシース4との間を気密及び液密が保たれる。このため、腹腔(abdominal cavity)での処置において、腹腔内の圧力が保たれる。また、腹腔での処置において、腹腔から基端方向への体液等の液体の流出が有効に防止される。
(第1の実施形態の変形例)
なお、第1の面取り部72A,72B及び第2の面取り部75A,75Bの形状は、第1の実施形態の形状に限るものではない。例えば、第1の変形例として図12に示すように、第2のユニット構成部66の第2の断面形状において、第2の面取り部75A,75Bが傾斜平面状に形成されてもよい。本変形例では、第2の面取り部75A,75Bが、第1の垂直方向(図12の矢印X1の方向)及び第2の垂直方向(図12の矢印X2の方向)に対して傾斜する状態で延設されている。
また、例えば、第2の変形例として図13に示すように、第2のユニット構成部66の第2の断面形状において、第2の面取り部75A,75Bが凹状の曲面に形成されてもよい。本変形例では、第2の面取り部75A,75Bは、ユニット外表面62(第2の円弧状面73)より外周方向側に円弧中心O3a,O3bが位置する円弧状に形成されている。第2の面取り部75Aの円弧中心O3aと第2の面取り部75Bの円弧中心O3bとでは、位置が異なる。
また、例えば、第3の変形例として図14に示すように、第2のユニット構成部66の第2の断面形状において、第2の面取り部75A,75Bが、同一の円弧中心O4を有してもよい。本変形例でも、第2の変形例と同様に、ユニット外表面62(第2の円弧状面73)より外周方向側に円弧中心O4が位置している。
また、例えば、第4の変形例として図15に示すように、第2のユニット構成部66の第2の断面形状において、第2の面取り部75A,75Bが第1の垂直方向及び第2の垂直方向に垂直な平面状に形成されてもよい。本変形例では、第2の面取り部75A,75Bは、溝幅方向に平行に延設されている。
なお、第1の面取り部72A,72Bについても、第2の面取り部75A,75Bと同様に、第1のユニット構成部65の第1の断面形状において、傾斜平面状、凹状の曲面等の形状に形成されてもよい。
第1の変形例乃至第4の変形例のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、第1の実施形態と同様に、第1のユニット構成部65の第1の断面形状の第1の断面積S1より、第2のユニット構成部66の第2の断面形状の第2の断面積S2は、小さい。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、第1の断面形状での長手軸Cから第1の円弧状面71までの第1の径方向寸法R1より、第2の断面形状での長手軸Cから第2の円弧状面73までの第2の径方向寸法R2が小さい。また、第1の実施形態と同様に、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、軸平行方向について全長に渡って一致する。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面において溝側面77Aと溝側面77Bとの間の溝幅寸法が、軸平行方向について全長に渡って一致している。
このため、第1の変形例乃至第4の変形例では、第1の仮想形状(図9の点線で示す形状)の第1の仮想重心位置G´1に比べ、第2の仮想形状(図12乃至図15の点線で示す形状)の第2の仮想重心位置G´2は、第1の垂直方向側に位置している。そこで、第1の変形例乃至第4の変形例では、第1の実施形態と同様に、第1の断面積S1に対する第1の減少面積S´1の第1の面積比率に比べて、第2の断面積S2に対する第2の減少面積S´2の第2の面積比率を小さくする。これにより、第1の仮想形状の第1の仮想重心位置G´1より第2の仮想形状の第2の仮想重心位置G´2は第1の垂直方向側に位置するが、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが一致する。すなわち、第1の実施形態と同様に、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、第1の面取り部72A,72Bに対する第2の面取り部75A,75Bの形状が変化する。
また、第1の実施形態では、溝規定部31は、長手軸Cに垂直な断面において略U字状に延設されているが、これに限るものではない。例えば、第5の変形例として図16及び図17に示すように、長手軸Cに垂直な断面において溝規定部31が略V字状に延設されてもよい。本変形例では、溝底面78は設けられず、溝側面77A,77Bが設けられている。溝側面77A,77Bは、第1の垂直方向(図16及び図17の矢印X1の方向)及び第2の垂直方向(図16及び図17の矢印X2の方向)に対して傾斜する状態で、延設されている。
本変形例のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dでも、第1の実施形態と同様に、第1のユニット構成部65の第1の断面形状の第1の断面積S1より、第2のユニット構成部66の第2の断面形状の第2の断面積S2は、小さい。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、第1の断面形状での長手軸Cから第1の円弧状面71までの第1の径方向寸法R1より、第2の断面形状での長手軸Cから第2の円弧状面73までの第2の径方向寸法R2が小さい。また、第1の実施形態と同様に、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、軸平行方向について全長に渡って一致する。
このため、本変形例では、第1の仮想形状(図16の点線で示す形状)の第1の仮想重心位置G´1に比べ、第2の仮想形状(図17の点線で示す形状)の第2の仮想重心位置G´2は、第1の垂直方向側に位置している。そこで、本変形例では、第1の実施形態と同様に、第1の断面積S1に対する第1の減少面積S´1の第1の面積比率に比べて、第2の断面積S2に対する第2の減少面積S´2の第2の面積比率を小さくする。これにより、第1の仮想形状の第1の仮想重心位置G´1より第2の仮想形状の第2の仮想重心位置G´2は第1の垂直方向側に位置するが、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが一致する。すなわち、第1の実施形態と同様に、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、第1の面取り部72A,72Bに対する第2の面取り部75A,75Bの形状が変化する。
前述の第1の実施形態、及び、第1の変形例乃至第5の変形例より、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dのユニット外表面62は、第1の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1だけ離れて位置する第1の円弧状面71と、第2の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1より小さい第2の径方向寸法R2だけ離れて位置する第2の円弧状面73と、を備えればよい。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、軸平行方向について全長に渡って一致する状態に、溝状部32が規定されていればよい。そして、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置が第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、第1の面取り部72A,72Bに対する第2の面取り部75A,75Bの形状が変化すればよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図18乃至図20を参照して説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態の構成を次の通り変形したものである。なお、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図18は、ある1つの伝達ユニット61Aの構成を示す図である。また、図19は図18の19−19線断面図であり、図20は図18の20−20線断面図である。なお、以下の説明では、伝達ユニット61Aのみについて説明するが、その他の伝達ユニット61B〜61Dについても、伝達ユニット61Aと同様である。また、図19は第1のユニット構成部65での長手軸Cに垂直な断面を示し、図20は第2のユニット構成部66での長手軸Cに垂直な断面を示している。
図18乃至図20に示すように、本実施形態でも第1のユニット構成部65の第1の断面形状の第1の断面積S1より、第2のユニット構成部66の第2の断面形状の第2の断面積S2は、小さくなる。したがって、断面積変化部63では、長手軸Cに垂直な超音波プローブ3(プローブ本体部27)の断面積が減少する。超音波振動の腹位置以外に位置する節位置N1で長手軸Cに垂直な超音波プローブ3の断面積が減少するため、断面積変化部63では超音波振動の振幅が拡大される。これにより、本実施形態でも、振幅が拡大された超音波振動が、超音波プローブ3の先端面36に伝達される。
図19に示すように、第1のユニット構成部65は、第1の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1だけ離れて位置する第1の円弧状面71を備える。また、第1のユニット構成部65は、第1の断面形状において第1の円弧状面71と溝規定部31との間に連続する第1の面取り部72A,72Bを備える。第1の円弧状面71は、第1の面取り部72Aと第1の面取り部72Bとの間で長手軸回り方向に連続している。したがって、第1の断面形状では、長手軸Cより第1の垂直方向側において、第1の円弧状面71が、外表面(外周部)として連続している。
図20に示すように、第2のユニット構成部66は、第2の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1より小さい第2の径方向寸法R2だけ離れて位置する第2の円弧状面73を備える。そして、第2のユニット構成部66は、第2の断面形状において第2の円弧状面73と溝規定部31との間に連続する第2の面取り部75A,75Bを備える。また、本実施形態では第1の実施形態とは異なり、第2のユニット構成部66は、長手軸Cからの径方向寸法が第2の径方向寸法R2より小さい寸法減少面85を備える。寸法減少面85は、ユニット外表面62の一部であり、第2の断面形状において重心位置Gより第1の垂直方向側に設けられている。本実施形態では、寸法減少面85は、第2の断面形状において平面状に形成されている。寸法減少面85が設けられることにより、本実施形態では、第2の面取り部75Aと第2の面取り部75Bとの間で長手軸回り方向に第2の円弧状面73が連続していない。すなわち、第2の断面形状では、長手軸Cより第1の垂直方向側において、第2の円弧状面73が、外表面(外周部)として連続していない。
第2の断面形状では、寸法減少面85を設けることにより、寸法減少面85が設けられていない仮想形状(図20の点線で示す形状)から、減少面積S´3だけ長手軸Cに垂直な断面積が減少している。すなわち、第2の断面形状の第2の断面積S2は、仮想形状の断面積から減少面積S´3だけ減少した断面積である。ここで、仮想形状では、第2の面取り部75Aと第2の面取り部75Bとの間で長手軸回り方向に第2の円弧状面73が連続している。
溝規定部31は、長手軸Cに垂直な断面において略U字状に延設されている。そして、伝達ユニット61A(61B〜61D)では、第1の実施形態と同様に、長手軸Cに垂直な断面において長手軸Cを基準位置とする溝底面78の位置が、軸平行方向について全長に渡って一致している。このため、伝達ユニット61A(61B〜61D)では、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、軸平行方向について全長に渡って一致する。すなわち、第1のユニット構成部65の第1の断面形状と第2のユニット構成部66の第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が変化しない。
また、本実施形態の伝達ユニット61A(61B〜61D)では、長手軸Cに垂直な断面において溝側面(第1の溝側面)77Aと溝側面(第2の溝側面)77Bとの間の溝幅寸法が、軸平行方向について全長に渡って一致している。すなわち、伝達ユニット61A(61B〜61D)では、軸平行方向について全長に渡って、溝幅方向について溝側面77Aと溝側面77Bとの間が、所定の溝幅寸法b0となる。したがって、第1のユニット構成部65の第1の断面形状と第2のユニット構成部66の第2の断面形状との間では、溝側面77Aと溝側面77Bとの間の溝幅寸法が変化しない。
また、本実施形態の第1の面取り部72A,72Bは、第1の断面形状において円弧状に形成される第1の曲面部であり、第1の断面形状では、第1の曲面部(72A,72B)の円弧中心O1a,O1bはユニット外表面62(第1の円弧状面71)より内周方向側に位置している。そして、第2の面取り部75A,75Bは、第2の断面形状において円弧状に形成される第2の曲面部であり、第2の断面形状では、第2の曲面部(75A,75B)の円弧中心O2a,O2bはユニット外表面62(第2の円弧状面73)より内周方向側に位置している。第1の曲面部(72A,72B)及び第2の曲面部(75A,75B)は、同一の曲率半径r0を有する。したがって、本実施形態では第1の実施形態とは異なり、第1の断面形状と第2の断面形状との間で、第1の面取り部72A,72Bに対して第2の面取り部75A,75Bの形状が変化しない。
ここで、第1の断面形状は、半径が第1の径方向寸法R1と同一で、かつ、長手軸を中心として点対称な第1の柱状形状に、所定の底端寸法d0及び所定の溝幅寸法b0を有する溝状部32が形成された形状である。そして、第1の断面形状では、第1の面取り部72A,72Bが形成されている。また、仮想形状及び第2の断面形状は、半径が第2の径方向寸法R2と同一で、かつ、長手軸を中心として点対称な第2の柱状形状に、所定の底端寸法d0及び所定の溝幅寸法b0を有する溝状部32が形成された形状である。そして、仮想形状及び第2の断面形状では、第1の面取り部72A,72Bと同一の曲率半径r0を有する第2の面取り部75A,75Bが形成されている。ここで、第2の柱状形状は、第1の柱状形状を縮小した相似形状である。
第1の断面形状と仮想形状とを比較すると、長手軸Cと外表面(第1の円弧状面71及び第2の円弧状面73)との間の径方向寸法では、仮想形状の第2の径方向寸法R2が第1の断面形状の第1の径方向寸法R1より小さくなる。しかし、第1の断面形状及び仮想形状では、長手軸Cを基準位置とする溝状部32の溝底端Ebの位置、及び、溝側面77Aと溝側面77Bとの間の溝幅寸法が一致している。そして、第1の断面形状の第1の面取り部72A,72B及び仮想形状の第2の面取り部75A,75Bは、長手軸に垂直な断面での形状が略一致している。そして、第1の断面形状では第1の面取り部72Aと第1の面取り部72Bとの間で第1の円弧状面71が連続し、仮想形状では第2の面取り部75Aと第2の面取り部75Bとの間で第2の円弧状面73が連続している。このため、第1の断面形状の重心位置Gに比べ、仮想形状の重心位置である仮想重心位置G´3は、第1の垂直方向側に位置している。
これに対し、第2の断面形状では、重心位置Gより第1の垂直方向側に寸法減少面85が設けられている。このため、第2の断面形状では、第2の断面形状では第2の面取り部75Aと第2の面取り部75Bとの間で第2の円弧状面73が連続していない。そして、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、重心位置Gより第1の垂直方向側で第1の円弧状面71に対する寸法減少面85の形状が変化する。寸法減少面85は、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、第1の円弧状面71に対して形状が変化する。
また、第2の断面形状では、寸法減少面85を設けることにより、仮想形状の断面積から減少面積S´3だけ減少した第2の断面積S2となる。すなわち、重心位置Gより第1の垂直方向側の領域において、仮想形状から第2の断面形状への形状変化により、断面積が減少する。このため、第1の断面形状の重心位置Gより仮想形状の仮想重心位置G´3は第1の垂直方向側に位置するが、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが一致する。
前述のように、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、第1の円弧状面71に対する寸法減少面85の形状が変化する。すなわち、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、長手軸Cに垂直な断面でのユニット外表面62の形状が変化する。長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致するため、伝達ユニット61Aでは、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致する。
その他の伝達ユニット61B〜61Dのそれぞれについても、伝達ユニット61Aと同様に、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致する。そして、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gは、伝達ユニット61Aと伝達ユニット61Bとの間で変化しない。伝達ユニット61Bと伝達ユニット61Cとの間、及び、伝達ユニット61Cと伝達ユニット61Dとの間においても、伝達ユニット61Aと伝達ユニット61Bとの間と同様に、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gは変化しない。したがって、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向についてプローブ本体部27の全長に渡って一致する。
本実施形態の超音波プローブ3のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dの断面積変化部63では、第1の実施形態と同様に、第1のユニット構成部65の第1の断面形状と第2のユニット構成部66の第2の断面形状との間で、長手軸Cを基準位置とする重心位置Gが変化しない。すなわち、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致している。これにより、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称な断面形状のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dに断面積変化部63を設けた場合でも、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが断面積変化部63で変化しない。すなわち、プローブ本体部27では、超音波振動の腹位置以外の位置で、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが変化しない。したがって、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称な断面形状のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dに断面積変化部63を設けた場合でも、超音波振動は応力の影響を受けない。
本実施形態の超音波プローブ3では、第1の実施形態と同様に、超音波振動が応力の影響を受けないため、超音波振動の伝達性が確保され、超音波プローブ3(先端側プローブ部材25)の先端面36に適切に超音波振動が伝達される。また、第1の実施形態と同様に、超音波振動が応力の影響を受け難いため、超音波プローブ3の強度が確保される。
また、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、軸平行方向について全長に渡って一致する。このため、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dにおいて、フライス加工によって容易に溝状部32が形成される。また、寸法減少面85の形成も、短時間かつ低コストで行われる。このため、効率よく、低コストでそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dが形成される。したがって、第1の実施形態と同様に、プローブ本体部27及び超音波プローブ3を、効率よく、低コストで製造することができる。
(第2の実施形態の変形例)
なお、第2の実施形態では、第2の断面形状において寸法減少面85が平面状に形成されているが、これに限るものではない。例えば、第6の変形例として図21に示すように、第2の断面形状において寸法減少面85が曲面状に形成されてもよい。ただし、本変形例でも第2の実施形態と同様に、第2のユニット構成部66の寸法減少面85は、第2の断面形状において重心位置Gより第1の垂直方向側に設けられる。そして、寸法減少面85では、長手軸Cからの径方向寸法が第2の径方向寸法R2より小さくなる。
本変形例のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、第2の実施形態と同様に、第1のユニット構成部65の第1の断面形状の第1の断面積S1より、第2のユニット構成部66の第2の断面形状の第2の断面積S2は、小さい。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、第1の断面形状での長手軸Cから第1の円弧状面71までの第1の径方向寸法R1より、第2の断面形状での長手軸Cから第2の円弧状面73までの第2の径方向寸法R2が小さい。また、第2の実施形態と同様に、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、軸平行方向について全長に渡って一致する。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面において溝側面77Aと溝側面77Bとの間の溝幅寸法が、軸平行方向について全長に渡って一致している。そして、第1の断面形状と第2の断面形状との間で、第1の面取り部72A,72Bに対して第2の面取り部75A,75Bの形状が変化しない。
このため、本変形例では、第1の断面形状の重心位置Gに比べ、仮想形状(図21の点線で示す形状)の仮想重心位置G´3は、第1の垂直方向側に位置している。そこで、本変形例の第2の断面形状では、第2の実施形態と同様に、寸法減少面85を設けることにより、仮想形状から、減少面積S´3だけ長手軸Cに垂直な断面積が減少している。これにより、第1の断面形状の重心位置Gより仮想形状の仮想重心位置G´3は第1の垂直方向側に位置するが、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが一致する。すなわち、第2の実施形態と同様に、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、第1の円弧状面71に対する寸法減少面85の形状が変化する。
また、第2の実施形態では、溝規定部31は、長手軸Cに垂直な断面において略U字状に延設されているが、これに限るものではない。例えば、第7の変形例として図22及び図23に示すように、長手軸Cに垂直な断面において溝規定部31が略V字状に延設されてもよい。本変形例では、溝底面78は設けられず、溝側面77A,77Bが設けられている。溝側面77A,77Bは、第1の垂直方向(図22及び図23の矢印X1の方向)及び第2の垂直方向(図22及び図23の矢印X2の方向)に対して傾斜する状態で、延設されている。
本変形例のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dでも、第2の実施形態と同様に、第1のユニット構成部65の第1の断面形状の第1の断面積S1より、第2のユニット構成部66の第2の断面形状の第2の断面積S2は、小さい。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、第1の断面形状での長手軸Cから第1の円弧状面71までの第1の径方向寸法R1より、第2の断面形状での長手軸Cから第2の円弧状面73までの第2の径方向寸法R2が小さい。また、第2の実施形態と同様に、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、軸平行方向について全長に渡って一致する。
このため、本変形例では、第1の断面形状の重心位置Gに比べ、仮想形状(図23の点線で示す形状)の仮想重心位置G´3は、第1の垂直方向側に位置している。そこで、本変形例の第2の断面形状では、第2の実施形態と同様に、寸法減少面85を設けることにより、仮想形状から、減少面積S´3だけ長手軸Cに垂直な断面積が減少している。これにより、第1の断面形状の重心位置Gより仮想形状の仮想重心位置G´3は第1の垂直方向側に位置するが、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが一致する。すなわち、第2の実施形態と同様に、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、第1の円弧状面71に対する寸法減少面85の形状が変化する。
前述の第2の実施形態、及び、第6の変形例及び第7の変形例より、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dのユニット外表面62は、第1の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1だけ離れて位置する第1の円弧状面71と、第2の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1より小さい第2の径方向寸法R2だけ離れて位置する第2の円弧状面73と、を備えればよい。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、軸平行方向について全長に渡って一致する状態に、溝状部32が規定されていればよい。そして、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置が第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、第1の円弧状面71に対する寸法減少面85の形状が変化すればよい。
(第1の実施形態及び第2の実施形態に関連する構成)
第1の実施形態では、第1の断面形状と第2の断面形状との間で第1の面取り部72A,72Bに対する第2の面取り部75A,75Bの形状が変化する。また、第2の実施形態では、第1の断面形状と第2の断面形状との間で、第1の円弧状面71に対する寸法減少面85の形状が変化する。第1の実施形態において、第1の面取り部72A,72B及び第2の面取り部75A,75Bは、ユニット外表面62の一部である。また、第2の実施形態において、第1の円弧状面71及び寸法減少面85は、ユニット外表面62の一部である。
したがって、第1の実施形態及び第2の実施形態に関連する構成の超音波プローブ3(第1の変形例乃至第7の変形例は含まれる。)では、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dのユニット外表面62は、第1の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1だけ離れて位置する第1の円弧状面71と、第2の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1より小さい第2の径方向寸法R2だけ離れて位置する第2の円弧状面73と、を備える。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、軸平行方向について全長に渡って一致する状態に、溝状部32が規定されている。そして、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、長手軸Cに垂直な断面でのユニット外表面62の形状が変化する。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図24乃至図26を参照して説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態の構成を次の通り変形したものである。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図24は、ある1つの伝達ユニット61Aの構成を示す図である。また、図25は第1のユニット構成部65での長手軸Cに垂直な断面図であり、図26は第2のユニット構成部66での長手軸Cに垂直な断面図である。なお、以下の説明では、伝達ユニット61Aのみについて説明するが、その他の伝達ユニット61B〜61Dについても、伝達ユニット61Aと同様である。
図24乃至図26に示すように、本実施形態でも第1のユニット構成部65の第1の断面形状の第1の断面積S1より、第2のユニット構成部66の第2の断面形状の第2の断面積S2は、小さくなる。したがって、断面積変化部63では、長手軸Cに垂直な超音波プローブ3(プローブ本体部27)の断面積が減少する。超音波振動の腹位置以外に位置する節位置N1で長手軸Cに垂直な超音波プローブ3の断面積が減少するため、断面積変化部63では超音波振動の振幅が拡大される。これにより、本実施形態でも、振幅が拡大された超音波振動が、超音波プローブ3の先端面36に伝達される。
図25に示すように、第1のユニット構成部65は、第1の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1だけ離れて位置する第1の円弧状面71を備える。また、第1のユニット構成部65は、第1の断面形状において第1の円弧状面71と溝規定部31との間に連続する第1の面取り部72A,72Bを備える。第1の円弧状面71は、第1の面取り部72Aと第1の面取り部72Bとの間で長手軸回り方向に連続している。したがって、第1の断面形状では、長手軸Cより第1の垂直方向側において、第1の円弧状面71が、外表面として連続している。
図26に示すように、第2のユニット構成部66は、第2の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1より小さい第2の径方向寸法R2だけ離れて位置する第2の円弧状面73を備える。そして、第2のユニット構成部66は、第2の断面形状において第2の円弧状面73と溝規定部31との間に連続する第2の面取り部75A,75Bを備える。第2の円弧状面73は、第2の面取り部75Aと第2の面取り部75Bとの間で長手軸回り方向に連続している。したがって、第2の断面形状では、長手軸Cより第1の垂直方向側において、第2の円弧状面73が、外表面として連続している。なお、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、第1の断面形状と第2の断面形状との間で、第1の面取り部72A,72Bに対して第2の面取り部75A,75Bの形状が変化しない。
溝規定部31は、長手軸Cに垂直な断面において略U字状に延設されている。そして、伝達ユニット61A(61B〜61D)では、長手軸Cに垂直な断面において溝側面(第1の溝側面)77Aと溝側面(第2の溝側面)77Bとの間の溝幅寸法が、軸平行方向について全長に渡って一致している。すなわち、伝達ユニット61A(61B〜61D)では、軸平行方向について全長に渡って、溝幅方向について溝側面77Aと溝側面77Bとの間が、所定の溝幅寸法b0となる。したがって、第1のユニット構成部65の第1の断面形状と第2のユニット構成部66の第2の断面形状との間では、溝側面77Aと溝側面77Bとの間の溝幅寸法が変化しない。
ただし、本実施形態の伝達ユニット61A(61B〜61D)では、第1の実施形態及び第2の実施形態とは異なり、長手軸Cに垂直な断面において長手軸Cを基準位置とする溝底面78の位置が、第1の断面形状と第2の断面形状との間で異なる。このため、伝達ユニット61A(61B〜61D)では、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、第1の断面形状と第2の断面形状との間で変化する。第1の断面形状では、溝底端Ebは第1の底端位置e1に位置している。第2の断面形状では、溝底端Ebは第1の底端位置e1より第1の垂直方向側の第2の底端位置e2に位置している。第1の底端位置e1及び第2の底端位置e2は、長手軸Cより第1の垂直方向側に位置している。
第2の断面形状では、溝底端Ebが第2の底端位置 e2に位置することにより、長手軸Cを基準とした場合の溝底端Ebの位置が第1の断面形状と一致する仮想形状(図26の点線で示す形状)から、減少面積S´4だけ長手軸Cに垂直な断面積が減少している。すなわち、第2の断面形状の第2の断面積S2は、仮想形状の断面積から減少面積S´4だけ減少した断面積である。第1の断面形状では、溝底端Eb(第1の底端位置e1)は、長手軸Cから第1の底端寸法d1だけ第1の垂直方向に離れて、位置している。そして、第2の断面形状では、溝底端Eb(第2の底端位置e2)は、長手軸Cから第1の底端寸法d1より大きい第2の底端寸法d2だけ第1の垂直方向に離れて、位置している。また、仮想形状では、溝底端Ebは、長手軸Cから第1の底端寸法d1だけ第1の垂直方向に離れて、位置している。
第1の断面形状は、半径が第1の径方向寸法R1と同一で、かつ、長手軸を中心として点対称な第1の柱状形状に、第1の底端寸法d1及び所定の溝幅寸法b0を有する溝状部32が形成された形状である。そして、第1の断面形状では、第1の面取り部72A,72Bが形成されている。また、仮想形状及び第2の断面形状は、半径が第2の径方向寸法R2と同一で、かつ、長手軸を中心として点対称な第2の柱状形状に、溝状部32が形成された形状である。仮想形状では、溝状部32は、第1の底端寸法d1及び所定の溝幅寸法b0を有する。また、第2の断面形状では、溝状部32は、第1の底端寸法d1より大きい第2の底端寸法d2及び所定の溝幅寸法b0を有する。仮想形状及び第2の断面形状では、第1の面取り部72A,72Bと同一の形状の第2の面取り部75A,75Bが形成されている。ここで、第2の柱状形状は、第1の柱状形状を縮小した相似形状である。
第1の断面形状と仮想形状とを比較すると、長手軸Cと外表面(第1の円弧状面71及び第2の円弧状面73)との間の径方向寸法では、仮想形状の第2の径方向寸法R2が第1の断面形状の第1の径方向寸法R1より小さくなる。しかし、第1の断面形状及び仮想形状では、長手軸Cを基準位置とする溝状部32の溝底端Ebの位置、及び、溝側面77Aと溝側面77Bとの間の溝幅寸法が一致している。そして、第1の断面形状の第1の面取り部72A,72B及び仮想形状の第2の面取り部75A,75Bは、長手軸に垂直な断面での形状が略一致している。そして、第1の断面形状では第1の面取り部72Aと第1の面取り部72Bとの間で第1の円弧状面71が連続し、仮想形状では第2の面取り部75Aと第2の面取り部75Bとの間で第2の円弧状面73が連続している。このため、第1の断面形状の重心位置Gに比べ、仮想形状の重心位置である仮想重心位置G´4は、第1の垂直方向側に位置している。
これに対し、第2の断面形状では、第1の断面形状及び仮想形状に比べ、溝底端Ebが第1の垂直方向側に位置している。このため、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が変化する。溝底端Ebの位置は、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、変化する。
また、第2の断面形状では、溝底端Ebが第1の底端位置e1より第1の垂直方向側の第2の底端位置e2に位置することにより、仮想形状の断面積から減少面積S´4だけ減少した第2の断面積S2となる。すなわち、長手軸Cより第1の垂直方向側の領域において、仮想形状から第2の断面形状への形状変化により、断面積が減少する。このため、第1の断面形状の重心位置Gより仮想形状の仮想重心位置G´4は第1の垂直方向側に位置するが、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが一致する。
前述のように、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が変化する。すなわち、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、長手軸Cに垂直な断面での溝状部32の形状が変化する。長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致するため、伝達ユニット61Aでは、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致する。
その他の伝達ユニット61B〜61Dのそれぞれについても、伝達ユニット61Aと同様に、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致する。そして、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gは、伝達ユニット61Aと伝達ユニット61Bとの間で変化しない。伝達ユニット61Bと伝達ユニット61Cとの間、及び、伝達ユニット61Cと伝達ユニット61Dとの間においても、伝達ユニット61Aと伝達ユニット61Bとの間と同様に、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gは変化しない。したがって、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向についてプローブ本体部27の全長に渡って一致する。
本実施形態の超音波プローブ3のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dの断面積変化部63では、第1の実施形態と同様に、第1のユニット構成部65の第1の断面形状と第2のユニット構成部66の第2の断面形状との間で、長手軸Cを基準位置とする重心位置Gが変化しない。すなわち、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致している。これにより、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称な断面形状のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dに断面積変化部63を設けた場合でも、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが断面積変化部63で変化しない。すなわち、プローブ本体部27では、超音波振動の腹位置以外の位置で、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが変化しない。したがって、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称な断面形状のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dに断面積変化部63を設けた場合でも、超音波振動は応力の影響を受けない。
本実施形態の超音波プローブ3では、第1の実施形態と同様に、超音波振動が応力の影響を受けないため、超音波振動の伝達性が確保され、超音波プローブ3(先端側プローブ部材25)の先端面36に適切に超音波振動が伝達される。また、第1の実施形態と同様に、超音波振動が応力の影響を受け難いため、超音波プローブ3の強度が確保される。
また、本実施形態では、第1のユニット構成部65と第2のユニット構成部66の間で溝状部32の溝底端Ebの位置が異なる。しかし、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dの形成においては、まずフライス加工によって、軸平行方向について全長に渡って溝底端Ebが第1の底端位置e1に位置する状態に、溝状部32を形成する。そして、第2のユニット構成部66でのみ、溝底端Ebが第2の底端位置e2に位置する状態に、溝状部32を形成する。これらの加工は、短時間かつ低コストで行われる。このため、効率よく、低コストでそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dが形成される。したがって、第1の実施形態と同様に、プローブ本体部27及び超音波プローブ3を、効率よく、低コストで製造することができる。
(第3の実施形態の変形例)
また、第3の実施形態では、溝規定部31は、長手軸Cに垂直な断面において略U字状に延設されているが、これに限るものではない。例えば、第8の変形例として図27及び図28に示すように、長手軸Cに垂直な断面において溝規定部31が略V字状に延設されてもよい。本変形例では、溝底面78は設けられず、溝側面77A,77Bが設けられている。溝側面77A,77Bは、第1の垂直方向(図27及び図28の矢印X1の方向)及び第2の垂直方向(図27及び図28の矢印X2の方向)に対して傾斜する状態で、延設されている。
本変形例のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dでも、第3の実施形態と同様に、第1のユニット構成部65の第1の断面形状の第1の断面積S1より、第2のユニット構成部66の第2の断面形状の第2の断面積S2は、小さい。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、第1の断面形状での長手軸Cから第1の円弧状面71までの第1の径方向寸法R1より、第2の断面形状での長手軸Cから第2の円弧状面73までの第2の径方向寸法R2が小さい。
このため、本変形例では、第1の断面形状の重心位置Gに比べ、仮想形状(図28の点線で示す形状)の仮想重心位置G´4は、第1の垂直方向側に位置している。そこで、本変形例の第2の断面形状では、第3の実施形態と同様に、溝底端Ebを、第1の断面形状(仮想形状)の第1の底端位置e1より第1の垂直方向側の第2の底端位置e2に、位置させている。このため、仮想形状から、減少面積S´4だけ長手軸Cに垂直な断面積が減少している。これにより、第1の断面形状の重心位置Gより仮想形状の仮想重心位置G´4は第1の垂直方向側に位置するが、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが一致する。すなわち、第3の実施形態と同様に、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、長手軸Cを基準とする溝底端Ebの位置が変化する。
前述の第3の実施形態及び第8の変形例より、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dのユニット外表面62は、第1の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1だけ離れて位置する第1の円弧状面71と、第2の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1より小さい第2の径方向寸法R2だけ離れて位置する第2の円弧状面73と、を備えればよい。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dの第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置が第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、長手軸Cを基準とする溝底端Ebの位置が変化すればよい。そして、第1の断面形状での溝底端Ebの第1の底端位置e1より、第2の断面形状での溝底端Ebの第2の底端位置e2が、第1の垂直方向側に位置すればよい。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について、図29及び図30を参照して説明する。第4の実施形態は、第1の実施形態乃至第3の実施形態の構成を次の通り変形したものである。なお、第1の実施形態乃至第3の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。また、以下の説明では、伝達ユニット61Aのみについて説明するが、その他の伝達ユニット61B〜61Dについても、伝達ユニット61Aと同様である。図29は、ある1つの伝達ユニット61Aの第1のユニット構成部65での長手軸Cに垂直な断面を示し、図30は、ある1つの伝達ユニット61Aの第2のユニット構成部66での長手軸Cに垂直な断面を示している。
図29及び図30に示すように、本実施形態でも第1のユニット構成部65の第1の断面形状の第1の断面積S1より、第2のユニット構成部66の第2の断面形状の第2の断面積S2は、小さくなる。したがって、断面積変化部63では、長手軸Cに垂直な超音波プローブ3(プローブ本体部27)の断面積が減少する。超音波振動の腹位置以外に位置する節位置N1で長手軸Cに垂直な超音波プローブ3の断面積が減少するため、断面積変化部63では超音波振動の振幅が拡大される。これにより、本実施形態でも、振幅が拡大された超音波振動が、超音波プローブ3の先端面36に伝達される。
図29に示すように、第1のユニット構成部65は、第1の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1だけ離れて位置する第1の円弧状面71を備える。また、第1のユニット構成部65は、第1の断面形状において第1の円弧状面71と溝規定部31との間に連続する第1の面取り部72A,72Bを備える。第1の円弧状面71は、第1の面取り部72Aと第1の面取り部72Bとの間で長手軸回り方向に連続している。したがって、第1の断面形状では、長手軸Cより第1の垂直方向側において、第1の円弧状面71が、外表面として連続している。
図30に示すように、第2のユニット構成部66は、第2の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1より小さい第2の径方向寸法R2だけ離れて位置する第2の円弧状面73を備える。そして、第2のユニット構成部66は、第2の断面形状において第2の円弧状面73と溝規定部31との間に連続する第2の面取り部75A,75Bを備える。第2の円弧状面73は、第2の面取り部75Aと第2の面取り部75Bとの間で長手軸回り方向に連続している。したがって、第2の断面形状では、長手軸Cより第1の垂直方向側において、第2の円弧状面73が、外表面として連続している。なお、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、第1の断面形状と第2の断面形状との間で、第1の面取り部72A,72Bに対して第2の面取り部75A,75Bの形状が変化しない。
伝達ユニット61A(61B〜61D)では、第1の実施形態と同様に、長手軸Cに垂直な断面において長手軸Cを基準位置とする溝底面78の位置が、軸平行方向について全長に渡って一致している。このため、伝達ユニット61A(61B〜61D)では、長手軸Cに垂直な断面において第1の垂直方向及び第2の垂直方向についての長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が、軸平行方向について全長に渡って一致する。すなわち、第1のユニット構成部65の第1の断面形状と第2のユニット構成部66の第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とする溝底端Ebの位置が変化しない。
ただし、本実施形態の伝達ユニット61A(61B〜61D)では、第1の実施形態及び第2の実施形態とは異なり、長手軸を基準とする溝側面77A,77Bの位置が、第1の断面形状と第2の断面形状との間で異なる。このため、伝達ユニット61A(61B〜61D)では、溝側面77Aと溝側面77Bとの間の溝幅方向についての溝幅寸法が、第1の断面形状と第2の断面形状との間で異なる。第1の断面形状では、溝状部32は、長手軸Cより第2の垂直方向側において、第1の溝幅寸法b1を有する。第2の断面形状では、溝状部32は、長手軸Cより第2の垂直方向側において、第1の溝幅寸法b1より小さい第2の溝幅寸法b2を有する。すなわち、溝規定部31は、第1の断面形状の長手軸Cより第2の垂直側の領域において溝状部32の溝幅寸法を拡大する溝幅拡大面87A,87Bを備える。
第1の断面形状では、長手軸Cより第2の垂直側の領域において溝状部32の溝幅寸法が拡大することにより、長手軸Cより第2の垂直側の領域での溝状部32の溝幅寸法が第2の断面形状(第2の溝幅寸法b2)と一致する仮想形状(図29の点線で示す形状)から、減少面積S´5だけ長手軸Cに垂直な断面積が減少している。すなわち、第1の断面形状の第1の断面積S1は、仮想形状の断面積から減少面積S´5だけ減少した断面積である。
第1の断面形状及び仮想形状は、半径が第1の径方向寸法R1と同一で、かつ、長手軸を中心として点対称な第1の柱状形状に、溝状部32が形成された形状である。第1の断面形状では、溝状部32は、所定の底端寸法d0及び第1の溝幅寸法b1を有する。また、仮想形状では、溝状部32は、所定の底端寸法d0及び第1の溝幅寸法b1より小さい第2の溝幅寸法b2を有する。そして、第1の断面形状及び仮想形状では、第1の面取り部72A,72Bが形成されている。第2の断面形状では、半径が第2の径方向寸法R2と同一で、かつ、長手軸を中心として点対称な第2の柱状形状に、所定の底端寸法d0及び第2の溝幅寸法b2を有する溝状部32が形成されている。第2の断面形状では、第1の面取り部72A,72Bと同一の形状の第2の面取り部75A,75Bが形成されている。ここで、第2の柱状形状は、第1の柱状形状を縮小した相似形状である。
仮想形状と第2の断面形状とを比較すると、長手軸Cと外表面(第1の円弧状面71及び第2の円弧状面73)との間の径方向寸法では、第2の断面形状の第2の径方向寸法R2が仮想断面形状の第1の径方向寸法R1より小さくなる。しかし、仮想形状及び第2の断面形状では、長手軸Cを基準位置とする溝状部32の溝底端Ebの位置、及び、溝側面77Aと溝側面77Bとの間の溝幅寸法(第2の溝幅寸法b2)が一致している。そして、仮想形状の第1の面取り部72A,72B及び第2の断面形状の第2の面取り部75A,75Bは、長手軸に垂直な断面での形状が略一致している。そして、仮想形状では第1の面取り部72Aと第1の面取り部72Bとの間で第1の円弧状面71が連続し、第2の断面形状では第2の面取り部75Aと第2の面取り部75Bとの間で第2の円弧状面73が連続している。このため、第2の断面形状の重心位置Gに比べ、仮想形状の重心位置である仮想重心位置G´5は、第2の垂直方向側に位置している。
これに対し、第1の断面形状では、第2の断面形状及び仮想形状に比べ、長手軸Cより第2の垂直方向側の領域において、溝幅寸法が大きくなる。このため、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、溝幅方向についての溝状部32の溝幅寸法が変化する。溝幅寸法は、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、変化する。
また、第1の断面形状では、長手軸Cより第2の垂直方向側の領域において溝幅寸法が第2の溝幅寸法b2より大きい第1の溝幅寸法b1となることにより、仮想形状の断面積から減少面積S´5だけ減少した第1の断面積S1となる。すなわち、長手軸Cより第2の垂直方向側の領域において、仮想形状から第1の断面形状への形状変化により、断面積が減少する。このため、第2の断面形状の重心位置Gより仮想形状の仮想重心位置G´5は第2の垂直方向側に位置するが、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが一致する。
前述のように、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、溝幅方向についての溝状部32の溝幅寸法が変化する。すなわち、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、長手軸Cに垂直な断面での溝状部32の形状が変化する。長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致するため、伝達ユニット61Aでは、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致する。
その他の伝達ユニット61B〜61Dのそれぞれについても、伝達ユニット61Aと同様に、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致する。そして、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gは、伝達ユニット61Aと伝達ユニット61Bとの間で変化しない。伝達ユニット61Bと伝達ユニット61Cとの間、及び、伝達ユニット61Cと伝達ユニット61Dとの間においても、伝達ユニット61Aと伝達ユニット61Bとの間と同様に、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gは変化しない。したがって、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向についてプローブ本体部27の全長に渡って一致する。
本実施形態の超音波プローブ3のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dの断面積変化部63では、第1の実施形態と同様に、第1のユニット構成部65の第1の断面形状と第2のユニット構成部66の第2の断面形状との間で、長手軸Cを基準位置とする重心位置Gが変化しない。すなわち、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致している。これにより、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称な断面形状のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dに断面積変化部63を設けた場合でも、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが断面積変化部63で変化しない。すなわち、プローブ本体部27では、超音波振動の腹位置以外の位置で、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが変化しない。したがって、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称な断面形状のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dに断面積変化部63を設けた場合でも、超音波振動は応力の影響を受けない。
本実施形態の超音波プローブ3では、第1の実施形態と同様に、超音波振動が応力の影響を受けないため、超音波振動の伝達性が確保され、超音波プローブ3(先端側プローブ部材25)の先端面36に適切に超音波振動が伝達される。また、第1の実施形態と同様に、超音波振動が応力の影響を受け難いため、超音波プローブ3の強度が確保される。
また、本実施形態では、第1のユニット構成部65と第2のユニット構成部66の間で溝状部32の溝幅寸法が異なる。しかし、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dの形成においては、まずフライス加工によって、軸平行方向について全長に渡って溝幅寸法が第2の溝幅寸法b2になる状態に、溝状部32を形成する。そして、第1のユニット構成部65でのみ、溝幅寸法が第1の溝幅寸法b1となる状態に、溝状部32を形成する。これらの加工は、短時間かつ低コストで行われる。このため、効率よく、低コストでそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dが形成される。したがって、第1の実施形態と同様に、プローブ本体部27及び超音波プローブ3を、効率よく、低コストで製造することができる。
(第4の実施形態の変形例)
また、第4の実施形態では、溝規定部31は、溝底面78を備えるが、これに限るものではない。例えば、第9の変形例として図31及び図32に示すように、溝底面78が設けられず、溝側面77A及び溝側面77Bによって形成される頂点位置が溝底端Ebとなってもよい。溝側面77A,77Bは、第1の垂直方向(図31及び図32の矢印X1の方向)及び第2の垂直方向(図31及び図32の矢印X2の方向)に対して傾斜する状態で、延設されている。
本変形例のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dでも、第4の実施形態と同様に、第1のユニット構成部65の第1の断面形状の第1の断面積S1より、第2のユニット構成部66の第2の断面形状の第2の断面積S2は、小さい。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、第1の断面形状での長手軸Cから第1の円弧状面71までの第1の径方向寸法R1より、第2の断面形状での長手軸Cから第2の円弧状面73までの第2の径方向寸法R2が小さい。
このため、本変形例では、第2の断面形状の重心位置Gに比べ、仮想形状(図31の点線で示す形状)の仮想重心位置G´5は、第2の垂直方向側に位置している。そこで、本変形例の第1の断面形状では、第4の実施形態と同様に、長手軸Cより第2の垂直方向側の領域において溝幅寸法を、仮想形状の溝幅寸法より、大きくしている。このため、仮想形状から、減少面積S´5だけ長手軸Cに垂直な断面積が減少している。これにより、第2の断面形状の重心位置Gより仮想形状の仮想重心位置G´5は第2の垂直方向側に位置するが、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが一致する。すなわち、第4の実施形態と同様に、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、長手軸Cより第2の垂直方向側において、溝状部32の溝幅寸法が変化する。
前述の第4の実施形態及び第9の変形例より、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dのユニット外表面62は、第1の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1だけ離れて位置する第1の円弧状面71と、第2の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1より小さい第2の径方向寸法R2だけ離れて位置する第2の円弧状面73と、を備えればよい。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dの第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、溝幅方向についての溝状部32の溝幅寸法が変化すればよい。そして、長手軸Cより第2の垂直方向側において、第1の断面形状での第1の溝幅寸法(b1)より、第2の断面形状での第2の溝幅寸法(b2)が、小さくなればよい。
(第3の実施形態及び第4の実施形態に関連する構成)
第3の実施形態では、第1の断面形状と第2の断面形状との間で、長手軸Cを基準とする溝底端Ebの位置が変化する。また、第4の実施形態では、第1の断面形状と第2の断面形状との間で、溝状部32の溝幅寸法が変化する。第3の実施形態において、溝底端Ebの位置が変化することにより、長手軸Cに垂直な断面での溝状部32の形状が変化する。また、第4の実施形態において、溝幅寸法が変化することにより、長手軸Cに垂直な断面での溝状部32の形状が変化する。
したがって、第3の実施形態及び第4の実施形態に関連する構成の超音波プローブ3(第8の変形例及び第9の変形例は含まれる。)では、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dのユニット外表面62は、第1の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1だけ離れて位置する第1の円弧状面71と、第2の断面形状において長手軸Cから第1の径方向寸法R1より小さい第2の径方向寸法R2だけ離れて位置する第2の円弧状面73と、を備える。そして、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、長手軸Cに垂直な断面での溝状部32の形状が変化する。
(その他の変形例)
なお、前述の実施形態及び変形例では、第1の断面形状が第1の円弧状面71を有し、第2の断面形状が第2の円弧状面73を有するが、これに限るものではない。例えば、第10の変形例として図33乃至図35に示すように、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dのユニット外表面62に、長手軸Cを中心とする円弧状の面が設けられなくてもよい。本変形例では、第1の断面形状は、長手軸Cを中心として点対称な正方形状の第1の柱状形状に、溝状部32が形成された形状である。そして、第2の断面形状は、長手軸Cを中心として点対称な正方形状で、かつ、第1の柱状形状を縮小した相似形状である第2の柱状形状に、溝状部32が形成された形状である。本変形例でも前述の実施形態と同様に、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、軸平行方向について全長に渡って溝状部32が形成されている。そして、溝状部32は、長手軸Cに垂直な第1の垂直方向(図34及び図35の矢印X1の方向)に向かってユニット外表面62から凹み、第1の垂直方向とは反対方向である第2の垂直方向(図34及び図35の矢印X2の方向)に向かって開口している。
本変形例でも、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、基端及び先端が超音波振動の腹位置となる。例えば、伝達ユニット61Aでは、基端が腹位置(第1の腹位置)A1となり、先端が腹位置(第2の腹位置)A2となる。そして、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dには、長手軸Cに垂直な断面積が変化する断面積変化部63が設けられている。断面積変化部63が設けられることにより、第1のユニット構成部65の第1の断面形状の第1の断面積S1より、第2のユニット構成部66の第2の断面形状の第2の断面積S2が、小さくなる。それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、断面積変化部63は超音波振動の腹位置以外の位置である節位置に位置するため、超音波振動の振幅が拡大される。例えば、伝達ユニット61Aでは、腹位置A1と腹位置A2との間の節位置N1に断面積変化部63が位置している。
また、本変形例でも前述の実施形態と同様に、第1の断面形状と第2の断面形状との間では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが第1のユニット構成部65及び第2のユニット構成部66で一致する状態に、形状が変化する。すなわち、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dでは、軸平行方向について全長に渡って、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが一致している。したがって、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称な断面形状のそれぞれの伝達ユニット61A〜61Dに断面積変化部63を設けた場合でも、超音波振動は応力の影響を受けない。
また、前述の実施形態及び変形例では、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dにおいて断面積変化部63が超音波振動の節位置に位置しているが、これに限るものではない。例えば、第11の変形例として図36に示すように、ある1つの伝達ユニット61Aにおいて、超音波振動の節位置(N1)とは異なる位置に断面積変化部63が位置してもよい。ただし、本変形例においても前述の実施形態と同様に、断面積変化部63は超音波振動の腹位置(例えばA1,A2)以外の位置に位置している。断面積変化部63が超音波振動の腹位置以外の位置に位置することにより、断面積変化部63で超音波振動の振幅が拡大される。ここで、断面積変化部63の位置が節位置に近くなるほど、超音波振動の振幅の拡大比率は大きくなる。そして、断面積変化部63が節位置に位置する場合に、超音波振動の振幅の拡大比率が最大となる。
また、前述の実施形態及び変形例では、それぞれの伝達ユニット61A〜61Dにおいて断面積変化部63が段状に形成されているが、これに限るものではない。例えば第12の変形例として図37に示すように、ある1つの伝達ユニット61Aにおいて、断面積変化部63がテーパ状に形成されてもよい。本変形例の断面積変化部では、基端方向から先端方向に向かうにつれて、長手軸Cに垂直な断面積が小さくなる。本変形例においても前述の実施形態と同様に、断面積変化部63は超音波振動の腹位置(例えばA1,A2)以外の位置に位置している。断面積変化部63が超音波振動の腹位置以外の位置に位置することにより、断面積変化部63で超音波振動の振幅が拡大される。
また、前述の実施形態及び変形例では、超音波プローブ3では、筒状の先端側プローブ部材25の先端が超音波プローブ3の先端となるが、これに限るものではない。例えば、第13の変形例として図38に示すように、プローブ本体部27の先端が、超音波プローブ3の先端となってもよい。本変形例では、プローブ本体部27は、プローブ部材89に設けられている。プローブ部材89では、筒状の接続部91がプローブ本体部27の基端方向側に連続している。接続部91により、ホーン部材12の先端方向側にプローブ部材89が接続される。
また、前述の実施形態及び変形例では、4つの伝達ユニット61A〜61Dがプローブ本体部27に設けられているが、これに限るものではない。プローブ本体部27には、少なくとも1つの伝達ユニット(61A〜61D)が設けられていればよい。
また、シース4の先端部に、超音波プローブ3の先端部に対して開閉可能なジョー(図示しない)を設けてもよい。ジョーを設けることにより、超音波プローブ3の先端部とジョーとの間で生体組織を把持した状態での処置が、可能となる。例えば、超音波プローブ3の先端部とジョーとの間で生体組織を把持した状態で、超音波振動による超音波凝固切開が行われる。また、超音波プローブ3の先端部及びジョーを電極とした高周波電流によるバイポーラ処置が行われる。
前述の実施形態及び変形例から、超音波プローブ3は、長手軸Cに垂直な断面形状が長手軸Cを中心として非点対称な伝達ユニット(61A〜61D)を備えればよい。そして、伝達ユニット(61A〜61D)の長手軸Cに垂直な断面では、長手軸に垂直な第1の垂直方向に向かってユニット外表面62から凹み、第1の垂直方向とは反対方向である第2の垂直方向に向かって外部に対して開口する溝状部32が、規定されていればよい。また、溝状部32は、長手軸Cに平行な軸平行方向について伝達ユニット(61A〜61D)の全長に渡って規定されていればよい。そして、溝状部32が設けられる伝達ユニット(61A〜61D)に、長手軸Cに垂直な断面積が変化する断面積変化部63が、設けられていればよい。そして、伝達ユニット(61A〜61D)では、長手軸Cに垂直な断面での長手軸Cを基準位置とした場合の重心位置Gが、軸平行方向について全長に渡って一致すればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形ができることは勿論である。
前記目的を達成するため、本発明のある態様は、長手軸を有し、基端方向から先端方向へ超音波振動を伝達可能な超音波プローブであって、外部に対して露出するユニット外表面と、前記長手軸に垂直な互いに対して反対の2方向を第1の垂直方向及び第2の垂直方向とした場合に、前記第2の垂直方向に向かって開口する状態で前記ユニット外表面から前記第1の垂直方向へ向かって凹む溝状部と、を備え、全長に渡って前記長手軸に平行な軸平行方向に前記溝状部が延設され、前記長手軸を中心として非点対称な伝達ユニットと、前記伝達ユニットに設けられ、前記長手軸に垂直な断面形状が第1の断面形状となり、前記第1の断面形状において前記長手軸から第1の径方向寸法だけ離れて位置する第1の円弧状面が前記ユニット外表面に形成される第1のユニット構成部と、前記伝達ユニットにおいて前記第1のユニット構成部より先端方向側に設けられ、前記長手軸に垂直な断面形状が前記第1の断面形状より断面積が小さい第2の断面形状となり、前記第2の断面形状において前記長手軸から前記第1の径方向寸法より小さい第2の径方向寸法だけ離れて位置する第2の円弧状面が前記ユニット外表面に形成される第2のユニット構成部と、前記第1のユニット構成部と前記第2のユニット構成部との間に連続し、前記軸平行方向について前記超音波振動の腹位置の1つである第1の腹位置と前記第1の腹位置より前記先端方向側の前記超音波振動の前記腹位置の1つである第2の腹位置との間に位置し、前記長手軸に垂直な断面形状を前記第1の断面形状から前記第2の断面形状に変化させることにより、前記長手軸を基準位置とした場合の重心位置を前記軸平行方向について前記伝達ユニットの全長に渡って一致させるとともに、前記第1のユニット構成部と前記第2のユニット構成部との間で前記伝達ユニットの前記長手軸に垂直な断面積を変化させる断面積変化部と、を備え、前記溝状部では、前記第1の垂直方向及び前記第2の垂直方向についての前記長手軸を基準位置とする前記溝状部の溝底端の位置が、前記軸平行方向について前記伝達ユニットの前記全長に渡って一致し、前記断面積変化部では、前記長手軸を基準位置とした場合の前記重心位置が前記第1のユニット構成部及び前記第2のユニット構成部で一致する状態に、前記長手軸に垂直な断面での前記ユニット外表面の形状が、前記第1のユニット構成部の前記第1の断面形状と前記第2のユニット構成部の前記第2の断面形状との間で変化する。