JPWO2014065252A1 - 電磁波シールドガスケットおよび電磁波シールド構造 - Google Patents
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Abstract
Description
電磁波シールド部材は、電子機器の小型化、薄型化に伴って薄型化され、その剛性も低くなる傾向にあるが、剛性が低い電磁波シールド部材は電磁波シールドガスケットの圧縮荷重が大きいと圧力を受けて変形するおそれがあるため、電磁波シールドガスケットは圧縮荷重が低いことが要求される。こうした電磁波シールドガスケットの一例として、全体が導電性ゴムで構成された電磁波シールドガスケットが特開平09−255837号公報(特許文献1)に記載されている。また、金属箔でスポンジを覆った電磁波シールドガスケットが特開平11−054980号公報(特許文献2)に記載されている。
また金属箔でスポンジを覆う構成の電磁波シールドガスケットは、圧縮荷重が低い一方で柔軟性を有するため、所望の大きさにカットする際に変形が起きやすい。そのためカットずれが生じ、所定の寸法公差内の製品が得られ難く、歩留まりが悪いという課題がある。
また、電子部品と、電磁波の漏出を防止する導体と、この導体に生じた隙間を埋める電磁波シールドガスケットとを備える電磁波シールド構造を提供することを目的とする。
前記導電部間の間隔Dが次の式1
0.25mm≦D≦λ×0.12 ・・・(式1)
(式1中、λは電磁波の波長)を満たすことを特徴とする電磁波シールドガスケットを提供する。
また、ゴム状弾性体でなる絶縁部と導電粒子でなる導電部から形成されるため、金型で成形することができ、また金型形状を精度良く再現した製品を得ることができる。よって金属箔でスポンジを覆う構成の電磁波シールドガスケットと比較すると、寸法精度に優れた電磁波シールドガスケットを得ることができる。
0.25mm≦D≦λ×0.12 ・・・(式1)
(式1中、λは電磁波の波長)を満たしている。
λは本発明により漏出を抑止すべき電磁波の波長とする。こうした式1を満たす間隔Dを設けて導電部を配置するため、導電粒子を含まない絶縁部や空間が存在していても電磁波の漏出を抑止することができる。したがって、圧縮荷重を高める導電部以外の圧縮荷重の低い絶縁部や空間を意図的に設けることで電磁波シールドガスケットに加わる圧縮荷重を下げることができる。さらに、導電部間を絶縁部で満たせば電磁波シールドガスケットで封止する導体間の気密性を高めることができ防水性の製品に利用できる。そうした一方で、導電部間に空間を設ければ電磁波シールドガスケットで封止する導体間の通気性を高めることができ蓄熱を防止することができる。
平板状のベース部位を有するため、突出部位の基端側もベース部位につながり電磁波シールドガスケットの一体性を確保することができる。また、そのベース部位の少なくとも一方の表面側にベース部位から突き出す複数の突出部位を有するため、突出部位どうしの間に空間を形成することができる。そして、この突出部位はベース部位と比較して水平断面積が小さく、圧力を受けることで変形しやすいため、圧縮荷重を小さくすることができる。また、突出部位は、電磁波シールドガスケットを設置する導体の隙間の凹凸に合わせた形状に変形することができ、種々の形状や種類の導体に対して適用することができる。
突出部位は、ベース部位から突出する導電部の部分とその外周面を覆う絶縁性の被覆部とからなるため、被覆部で導電部を保護し導電粒子の脱落を防ぐことができる。
即ち、電磁波シールド特性は導電部間の間隔Dの影響を強く受けるため、その水平断面形状の影響を受けにくい。これに対し、電磁波シールドガスケットに対する圧縮荷重は導電部の水平断面の断面積の影響を強く受けるため、その断面積が小さいほど電磁波シールドガスケットの圧縮荷重を低くすることができるのである。
なお、この導電部の高さは、実際に圧縮されて使用されるときの高さとすることができる。したがって、例えば20%圧縮されて使用される電磁波シールドガスケットは、無圧縮状態の高さが間隔Dよりも25%大きく成形されていても良い。
また本発明の電磁波シールドガスケットは寸法精度に優れ、歩留りの高い電磁波シールドガスケットである。
さらに、本発明の電磁波シールド構造は、導体間に生じた隙間を所定の電磁波シールドガスケットで埋めて、その隙間からの電磁波の進入、漏出を低減することができる。
第1実施形態に係る電磁波シールドガスケット11の断面図を図1で示す。また、図1では電磁波シールドガスケット11が導電接続する一対の導体としてパーソナルコンピュータの筐体12を例示する。
図2、図3(a)で示すように、電磁波シールドガスケット11は、平板状のベース部位13と、そのベース部位13の一方の表面側にベース部位13から突き出す複数の突出部位14とを有し、突出部位14がベース部位13の長手方向に沿って1列に配列した形状をしている。電磁波シールドガスケット11の構成をその材質から見ると、ゴム状弾性体でなる絶縁部15と、この絶縁部15を導電粒子が厚み方向に貫通する複数の導電部16とから形成されており、導電部16もまたベース部位13の長手方向に沿って1列に配列している。
この電磁波シールドガスケット11の形状、構成をさらに詳しく説明する。
絶縁部15は、複数の導電部16の間を仕切り、電磁波シールドガスケット11の外観形状を象どる部分であって、パーソナルコンピュータの筐体12に挟んだときに圧縮荷重が小さくなるように柔らかいゴム状弾性体から形成される。具体的には、JIS K6253に規定されたA硬度(タイプAデュロメータ硬さ)が50以下の材質を用いることが好ましく、35以下であることがより好ましい。硬さの下限については特に限定するものではないが、確実な導通接続をするために、ある程度の反発弾性を有することが好ましく、E硬度で5以上のものが好適である。
このような液状ゴムの材質には、シリコーンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。
導電部16は、導電粒子が連なり絶縁部15を厚み方向に貫通する部位であり、1列に沿って複数個(図1では20個)が配列されている。導電部16の端面は電磁波シールドガスケット11の表裏両面に露出しており、その露出した部分が上下の筐体12,12にそれぞれ接触し、その上下の筐体12,12を導通する。
電磁波シールドガスケット11では、図2、図3(a)、図4(a)で示すように、導電部16の水平断面形状を円形としている。即ち、導電部16の配列方向(電磁波シールドガスケット11の長手方向)の長さ(直径)である図2で示す導電部16の幅Wと、導電部16の配列方向に対する直交方向の長さ(直径)である図4(a)で示す導電部16の奥行きTと、はそれぞれ同じ長さに形成されている。
0.25mm≦D≦λ×0.12 ・・・(式1)
(式1中、λは電磁波の波長)を満たしている。
間隔Dを0.25mm未満とすると導電部16が密になりすぎ、電磁波シールドガスケット11全体における導電部16が占める体積が大きくなってしまう。この場合、電磁波シールドガスケット11の柔軟性は低下し、圧縮荷重が大きくなるおそれがある。その一方で、間隔Dが波長λ×0.12の長さを超えると導電部16,16間の隙間が大きくなりすぎてしまい、この隙間から電磁波が漏出し、十分な遮蔽効果が得られなくなる。
なおここで、導電部16,16間の間隔Dは、一方の導電部16の端から隣接する他方の導電部16の端までの間隔(図2で示す間隔D)をいい、導電部16,16の幅W方向の太さは含めないものとしている。
全体が導電性ゴムで構成される従来の電磁波シールドガスケットでは、全方位に導電粒子が接合するように配合されるため、ゴム状弾性体中の導電粒子の配合量を高める必要がある。しかし電磁波シールドガスケット11では導電部16に導電粒子が集中し、また一方向に導電粒子が接合しているため少量の導電粒子を用いて所定の導電性を得ることができる。
そして、個々の導電部16の抵抗値は100mΩ以下とすることが好ましい。100mΩを超えると導電性が悪くなり、電磁波シールド効果が低下するおそれがある。
ベース部位13は、電磁波シールドガスケット11をその形状で区分したときに平板状に形成される部位である。ベース部位13は電磁波シールドガスケット11全体の一体性を保持する部位である。ベース部位13は上述の絶縁部15の一部と導電部16の一部とを含んでいる。
突出部位14は、電磁波シールドガスケット11をその形状で区分したときにベース部位13の少なくとも一方の表面側にベース部位13から突き出して設けられる部位である。
この突出部位14は、ベース部位13から突出する導電部16の部分とその導電部16の外周面を覆う絶縁部15からなる被覆部17とで形成されている。そのため、突出部位14はベース部位13と比較して水平断面積が小さく変形しやすい。
突出部位14を有することで電磁波シールドガスケット11の圧縮荷重を小さくすることができ、剛性の低い筐体12,12やその他の電磁波シールド部材であってもその破損を防止することができる。
そして、突出部位14は筐体12の隙間の凹凸に合わせた形状に形成することが可能であるため、導電部16と筐体12との接合を確実にし、それらの間に空間ができて電流が流れないなどといった不都合を回避することができ、電磁波シールド特性の低下を防止することができる。
電磁波シールドガスケット11の製造方法について説明する。
先ず、成形用の金型を準備する。この金型は非磁性体で形成されており、導電部16を形成するための強磁性体でなる配向ピンが埋め込んである。この配向ピンの一端は導電部16を形成する位置のキャビティー面に露出している。この金型内に磁性を有する導電粒子(磁性導電粒子)を配合した液状ゴムを注入し、磁場を印加する。この際、配向ピンに挟まれた部分に磁性導電粒子が引寄せられ、配向ピンの間に磁性導電粒子が数珠繋ぎに配向する。そして、液状ゴムを硬化して絶縁部15中に導電部16を備えた電磁波シールドガスケット11を得る。
即ち、電磁波が通る隙間を電磁波シールドガスケット11で埋めることで、電磁波の通過を抑止することができる。
第2実施形態に係る電磁波シールドガスケット21の平面図を図3(b)で、断面図を図4(b)で示す。先の実施形態で示した電磁波シールドガスケット11では、導電部16の水平断面が円形であったのに対し、本実施形態における電磁波シールドガスケット21では、導電部26の水平断面がベース部位13の長手方向に沿って扁平した扁平形状となっている。即ち、導電部26の配列方向(電磁波シールドガスケット21の長手方向)の長さである図2で示す導電部26の幅Wは、導電部26の配列方向に対する直交方向の長さである図4(b)で示す導電部26の奥行きTよりも長く形成されている。
但し、導電部26を被覆する被覆部17は電磁波シールドガスケット11と同様にその水平断面形状が円形に形成されている。
扁平形状の導電部26は、金型に取り込む配向ピンの断面形状を扁平形状とすることで形成することができる。
本発明の各実施形態では電磁波シールドガスケット11,21を一本の帯状に形成しているが、筐体12,12間の隙間の形状に対応した任意の形状とすることができ、例えば枠状とすることもできる。これにより、筐体12の間の形状に合わせてより高い電磁波シールド特性を有する電磁波シールドガスケット11,21を形成することができる。
またベース部位13の一方の表面側にのみ突出する突出部位14を設けているが、突出部位14はベース部位13の両面に設けることもできる。これにより筐体12,12の間の形状に応じて電磁波を漏れなく遮断可能な電磁波シールドガスケット11,21を形成することができる。
各突出部位14の高さは筐体12の形状に応じて変更することができる。即ち、一つの電磁波シールドガスケット11,21に備えられた複数の突出部位14の高さは同一とせず、設置位置に応じて変更することもできる。
また、断面が扁平な導電部26に対してその外周に沿った形状に被覆部17を形成することで、アスペクト比が1ではない形状とすることも可能である。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
各試料を平坦な銅箔エポキシ基板に挟み、その高さ方向(図1の上下方向)に40%圧縮した際の圧縮荷重を、荷重測定器を用いて測定した。試料1〜試料10についての結果を表1に示す。また、試料11〜試料14についての結果を表2に示す。
各試料の電磁波の遮蔽効果は、図11で示す導波管タイプの遮蔽効果測定システムを用いて評価した。より具体的には、まず始めに図11で示すように一対のステンレス製の遮蔽板41の間に、ステンレス製のスペーサー42と試験片(各試料)43とを挟み込む。このときスペーサー42の高さは0.6mmとすることで、高さが1mmの試料43は40%圧縮された状態で固定される。そしてスペーサー42で挟んだ試料43を、一対の同軸導波管変換器44(Penn Engineering Components社製、WR187(CPRF))のフランジ間に固定し、同軸ケーブル45により接続したベクトルネットワークアナライザー46(アンリツ株式会社製、MS2026A)を用いて、電磁波の減衰値を評価した。今回の実験では無線LANの周波数帯である2.4GHz帯及び5GHz帯の電磁波を対象として測定を行った。
表1および表2には、5.0GHzの電磁波を対象とした測定結果を示す。なお、2.4GHzでの測定結果は示していないが、全ての試料において5.0GHzの電磁波の遮蔽効果を上回る遮蔽効果を示した。このことは、対象とする電磁波の周波数が低くなると波長が長くなるため、間隔Dの隙間を透過し難くなるためであると考えられる。
本実施例では、無線LANの周波数帯域である2.4GHzと5.0GHzを対象に評価したが、本発明の電磁波シールドガスケットは、コンピュータの動作周波数である100MHz程度から10GHz程度までの周波数の電磁波に対する遮蔽に効果的である。
間隔Dを7mmとした試料1では、−31.0dBという、電磁波による各種機器の誤作動を予防するために十分な電磁波の遮蔽効果が得られた。
間隔Dが4.3mmの試料2では−35.7dBという試料1よりも優れた電磁波遮蔽効果があった。
間隔Dが1.8mmの試料3では−47.9dBというさらに優れた電磁波遮蔽効果があった。
しかし、間隔Dを30mmとした試料7では−10.2dBしか得られず、電磁波による各種機器の誤作動を予防するためには不十分であった。
これに対し40%圧縮荷重については、試料1〜3及び7のいずれも、筐体の隙間に電磁波シールドガスケットをセットした際に筐体を破損しない程度に低く、さらに間隔Dが大きいほど圧縮荷重が小さいことが分かった。
また、スポンジガスケットを使用した試料9では、圧縮荷重が低く優れた電磁波遮蔽効果を示すが、寸法精度が悪かった。
導電部どうしの間隔Dを0.25mmと狭くし、導電部を2列設けた試料10では−55.5dBという、試料1〜試料6のいずれより優れた電磁波遮蔽効果を示した。これは導電部どうしの間隔Dを狭くし、2列設けたことで電磁波遮蔽効果を高めることができたためと考えられる。しかし圧縮荷重は41.3Nと大きな値であった。
試料11については、電子顕微鏡を用いて700倍に拡大して観察を行った。その電子顕微鏡写真を図9に示す。拡大観察の結果、試料11には小粒径粒子がほとんど存在していないことが確認された。また圧縮荷重は10.6Nと低い一方で、−52.2dBという電磁波による各種機器の誤作動を予防するために十分な電磁波の遮蔽効果が得られた。
試料12は、圧縮荷重は試料11より低かったが、電磁波遮蔽効果もまた低かった。
試料13についても、電子顕微鏡を用いて700倍に拡大して観察を行った。その電子顕微鏡写真を図10に示す。拡大観察の結果、試料13には小粒径粒子が多数存在していることが確認された。また、圧縮荷重は試料12よりもさらに低かったが、電磁波遮蔽効果もまた試料12よりさらに低かった。
試料14については、圧縮荷重は試料13よりさらに低かったが、電磁波遮蔽効果もまた試料13よりもさらに低かった。
12 筐体
13 ベース部位
14 突出部位
15 絶縁部
16 導電部
17 被覆部
21 第2実施形態の電磁波シールドガスケット
26 導電部
36a 導電部
36b 導電部
41 遮蔽板
42 スペーサー
43 試料
44 同軸導波管変換器
45 同軸ケーブル
46 ベクトルネットワークアナライザー
D 導電部どうしの間隔
W 導電部の幅
T 導電部の奥行き
Claims (8)
- ゴム状弾性体でなる絶縁部と、導電粒子が連なり前記絶縁部を厚み方向に貫通する複数の導電部とを備え、導電部の両端を導体に導電接続することでこの導体の隙間から電磁波が漏出することを抑止する電磁波シールドガスケットであって、
前記導電部間の間隔Dが次の式1
0.25mm≦D≦λ×0.12 ・・・(式1)
(式1中、λは電磁波の波長)を満たすことを特徴とする電磁波シールドガスケット。 - 複数の導電部が1列に並列して設けられる請求項1記載の電磁波シールドガスケット。
- 導電粒子は、平均粒径が10〜100μmであり、粒径が1μm以下の粒子の含有量が10%以下である請求項1または請求項2記載の電磁波シールドガスケット。
- 平板状のベース部位と、そのベース部位の少なくとも一方の表面側にベース部位から突き出す複数の突出部位とを有する形状に成形され、突出部位はベース部位から突出する導電部の部分とその外周面を覆う絶縁性の被覆部とからなる請求項1〜請求項3何れか1項記載の電磁波シールドガスケット。
- 突出部位の水平断面形状が円形である請求項1〜請求項4何れか1項記載の電磁波シールドガスケット。
- 突出部位における導電部の水平断面形状がベース部位の長手方向に幅広となる扁平形状である請求項1〜請求項5何れか1項記載の電磁波シールドガスケット。
- 導電部が導体に接触する一方の端面から他方の端面までの長さで規定される導電部の高さが導電部間の間隔D以下である請求項1〜請求項6何れか1項記載の電磁波シールドガスケット。
- 電子部品と、この電子部品に対向して配置されるとともにこの電子部品に対向する面に隙間を有する導体と、この隙間を埋めるように設けられる電磁波シールドガスケットとを備える電磁波シールド構造において、
電磁波シールドガスケットが請求項1〜請求項7何れか1項記載の電磁波シールドガスケットであり、前記電子部品が発生する電磁波の筐体外部への漏出を抑止し、筐体外部からの電磁波の前記電子部品への進入を抑止することを特徴とする電磁波シールド構造。
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