JPWO2013187194A1 - 骨疾患の治療に有効な医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、従来の骨疾患の治療とは異なるタイプの、骨疾患の治療に有用な医薬組成物を提供することにある。【解決手段】本発明は、骨疾患の治療に有用な組成物および当該組成物を用いた骨疾患の治療方法に関する。より具体的には、本発明は、骨疾患に罹患する患者を治療するための医薬組成物であって、下記ステップ、(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、および、(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、によって、得られうる医薬組成物に関する。
Description
本発明は、骨疾患の治療に有用な医薬組成物および当該医薬組成物を用いた骨疾患の治療方法に関する。
より具体的には、本発明は、一態様において、骨疾患に罹患する患者を治療するための医薬組成物であって、下記ステップ、
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、および、 (3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、
によって、得られうる(または、実際に得られた)医薬組成物に関する。
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、および、 (3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、
によって、得られうる(または、実際に得られた)医薬組成物に関する。
また、本発明は、一態様において、骨疾患に罹患する患者の治療方法であって、
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、および、
(4)治療上有効量の前記医薬組成物を当該患者に投与するステップ、
を含む治療方法に関する。
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、および、
(4)治療上有効量の前記医薬組成物を当該患者に投与するステップ、
を含む治療方法に関する。
骨粗鬆症とは、骨量または骨塩量の減少によって骨の微細構造が破綻し、骨強度が低下して骨折を起こしやすくなる疾患である。
日本における骨粗鬆症の患者は約1100万人と言われており、その8割は女性である。また、米国においては3000万人以上に症状が現れていると推定されている。さらに、骨粗鬆症は中年以降に多く見られる疾患であるため、近年の先進国等における高齢化に伴い、今後患者数が増加すると推測される。
骨粗鬆症の症状は、骨代謝における骨形成と骨吸収のバランスが崩れることにより引き起こされる骨の質の低下に起因するものと考えられている。特に閉経後、女性ホルモン分泌の低下に伴い、骨吸収に対する女性ホルモンの抑制効果が低下するため、骨粗鬆症が発症しやすい。
骨粗鬆症の治療には、ビスホスフォネート、エストロゲン、カルシトニンなどの骨吸収抑制剤、ビタミンK2などの骨形成促進剤、カルシウム剤などの骨代謝調節剤のような、骨代謝を改善するための薬剤が使用されている。
しかし、骨粗鬆症の症状は、これらの薬剤による現存する薬物療法によって、必ずしも、効果的に治療されているとはいえない。また、それらの薬剤には、人工的に合成された化学物質に起因する副作用を有する場合もある。
したがって、効果的な骨粗鬆症の治療について、未だ対処されていない医療ニーズがある。
また、骨粗鬆症に限らず、その他の骨疾患、例えば、骨形成不全症、くる病、骨異形成症、または、骨折についても、同様に、効果的な骨粗鬆症の治療について、未だ対処されていない医療ニーズがある。
本発明の課題は、従来の骨疾患の治療とは異なるタイプの、骨疾患の治療に有用な医薬組成物を提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明は以下の特徴を備える。
<<医薬組成物>>
本発明の医薬組成物は、一態様において、骨疾患に罹患する患者を治療するための医薬組成物であって、下記ステップ、
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、および、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、
によって、得られうる医薬組成物である。
本発明の医薬組成物は、一態様において、骨疾患に罹患する患者を治療するための医薬組成物であって、下記ステップ、
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、および、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、
によって、得られうる医薬組成物である。
また、本発明の医薬組成物は、一態様において、骨疾患を治療するための医薬組成物であって、下記ステップ、
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、および、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、
によって、(実際に)得られた医薬組成物である。
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、および、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、
によって、(実際に)得られた医薬組成物である。
<<調製方法>>
本発明の調製方法は、一態様において、骨疾患に罹患する患者を治療するための医薬組成物の調製方法であって、
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、および、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、
を含む調製方法である。
本発明の調製方法は、一態様において、骨疾患に罹患する患者を治療するための医薬組成物の調製方法であって、
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、および、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、
を含む調製方法である。
<<治療方法>>
本発明の治療方法は、一態様において、骨疾患に罹患する患者の治療方法であって、
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、および、
(4)治療上有効量の前記医薬組成物を当該患者に投与するステップ、
を含む治療方法である。
本発明の治療方法は、一態様において、骨疾患に罹患する患者の治療方法であって、
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、および、
(4)治療上有効量の前記医薬組成物を当該患者に投与するステップ、
を含む治療方法である。
本発明における骨疾患は、骨に関連する疾患を広く意味する。例えば、本発明における骨疾患には、骨粗鬆症、骨形成不全症、くる病、骨異形成症、または、骨折が含まれる。
本発明における骨分化誘導条件は、骨分化誘導を起こさせると、当業者に一般に理解されているいかなる骨分化誘導条件であってもよい。例えば、アスコルビン酸、β−グリセロフォスフェイト、および、デキサメサゾンを使用する骨分化誘導条件がよく知られている。
本発明における「幹細胞を含む細胞」としては、患者由来のものであってもなくてもよい。
本発明における「幹細胞を含む細胞」が患者由来のものである場合には、例えば、患者の脂肪組織由来のものであってもよいが、これに限定されない。なお、患者の脂肪組織は、例えば、皮下脂肪、頬脂肪、内臓脂肪などから取得することができる。
本発明における「幹細胞を含む細胞」が患者由来のものである場合には、当該「幹細胞を含む細胞」を培養する培地は、当該患者から採取した血液の血清を含んでいてもよい。当該患者から採取した血液の血清を用いる利点としては、本発明の医薬組成物を当該患者に投与する場合の、感染の問題を著しく低減することができる。
本発明における「幹細胞を含む細胞」が患者由来のものでない場合には、例えば、患者以外の人体に由来するものであっても、人体以外の動物に由来するものであっても、樹立された細胞株に由来するものであってもよいが、これらに限定されない。
本発明における「幹細胞を含む細胞」における幹細胞としては、例えば、組織幹細胞またはiPS細胞を用いることができるが、これらに限定されない。ES細胞を用いることも、技術上は可能であるが、そのようなES細胞の利用が、好ましくない場合には、本発明における「幹細胞を含む細胞」から、ES細胞を除くこともできる。
本発明においては、骨分化誘導条件下において、「幹細胞を含む細胞」を培地中において、培養する。「幹細胞を含む細胞」を、骨分化誘導条件下において、培地中において、培養するとき、当該「幹細胞を含む細胞」は、培地中に、骨疾患の治療に有用な成分(生理活性物質など)を放出する。当該培地から、細胞を除去することにより、培養上清を取得することができる。当該培養上清には、骨疾患の治療に有用な成分が含まれる。本発明は、こうして得られた当該有用な成分を含む、骨疾患の治療に用いるための医薬組成物を提供する。
本発明における骨疾患は、骨に関連する疾患を広く意味する。例えば、本発明における骨疾患には、骨粗鬆症、骨形成不全症、くる病、骨異形成症、または、骨折が含まれる。
本発明における「幹細胞を含む細胞」としては、患者由来のものであってもなくてもよい。感染の問題の観点からは、本発明における「幹細胞を含む細胞」としては、患者由来のものを用いることは好ましいといえる。
本発明における「幹細胞を含む細胞」が患者由来のものである場合には、例えば、患者の脂肪組織由来のものであってもよいが、これに限定されない。なお、患者の脂肪組織は、例えば、皮下脂肪、頬脂肪、内臓脂肪などから採取することができる。このような脂肪組織を構成する細胞群(本明細書において、脂肪組織構成細胞群ともいう。)には、脂肪細胞以外にも、幹細胞、繊維芽細胞、血管を構成する内皮細胞などが含まれる。
患者からの組織の採取方法としては、例えば、切開切除法や吸引法が挙げられる。また、採取した組織は、酵素を用いることにより、ばらばらの個々の細胞に分離することができる。そのような酵素としては、すでに周知のものが多く知られている。そのような酵素の例としては、リパーゼ、トリプシン、コラゲナーゼ、ディスパーゼなどが知られている。これらの酵素は、適宜、1種の溶液としても、2種以上の混合溶液としても、用いることもできる。
本発明における「幹細胞を含む細胞」が患者由来のものである場合には、当該「幹細胞を含む細胞」を培養する培地は、当該患者から採取した血液の血清(本発明において、「自己血清」という。)を含んでいてもよい。当該患者から採取した血液の血清を用いる利点としては、本発明の医薬組成物を当該患者に投与する場合の、感染の問題を著しく低減することができる。
本発明における「幹細胞を含む細胞」が患者由来のものでない場合には、例えば、患者以外の人体に由来するものであっても、人体以外の動物に由来するものであっても、樹立された細胞株に由来するものであってもよいが、これらに限定されない。
本発明における「幹細胞を含む細胞」における幹細胞としては、例えば、組織幹細胞またはiPS細胞を用いることができるが、これらに限定されない。ES細胞を用いることも、技術上は可能であるが、そのようなES細胞の利用が、好ましくない場合には、本発明における「幹細胞を含む細胞」から、ES細胞を除くこともできる。
本発明における骨分化誘導条件は、骨分化誘導を起こさせると当業者に一般に理解されているいかなる骨分化誘導条件であってもよい。例えば、少なくとも、アスコルビン酸、β-グリセロフォスフェイト、および、デキサメサゾンを使用する骨分化誘導条件がよく知られている。また、これらの3種に加え、ビタミンD、BMP−2、BMP−4、および/または、FGF−2などを用いることも知られている。
より具体的には、これら所定の物質が加えられた培地の中で、幹細胞を含む細胞を培養させることができるが、これらに限定されない。
例えば、以下の終濃度において、これらの物質が加えられた培地を用いることができる。
(1)アスコルビン酸(100μM)、β−グリセロフォスフェイト(10mM)、デキサメサゾン(10nM)
(2)アスコルビン酸(50μM)、β−グリセロフォスフェイト(10mM)、デキサメサゾン(100nM)
(3)アスコルビン酸(200μM)、β−グリセロフォスフェイト(10mM)、デキサメサゾン(100nM)
(4)アスコルビン酸(200μM)、β−グリセロフォスフェイト(10mM)、デキサメサゾン(100nM)、ビタミンD(10nM)
例えば、以下の終濃度において、これらの物質が加えられた培地を用いることができる。
(1)アスコルビン酸(100μM)、β−グリセロフォスフェイト(10mM)、デキサメサゾン(10nM)
(2)アスコルビン酸(50μM)、β−グリセロフォスフェイト(10mM)、デキサメサゾン(100nM)
(3)アスコルビン酸(200μM)、β−グリセロフォスフェイト(10mM)、デキサメサゾン(100nM)
(4)アスコルビン酸(200μM)、β−グリセロフォスフェイト(10mM)、デキサメサゾン(100nM)、ビタミンD(10nM)
本発明において、「幹細胞を含む細胞」を培養するための培地(実施例では、培養液とも呼ばれる。)としては、それが適している限り、公知の培地を広く用いることもできる。例えば、α−MEM、Ham F10、Ham F12、RPMI1640、DMEM、DMEM/F12などが挙げられるが、これらに限定されない。
もっとも、本発明においては、上述のとおり、また、必要に応じて、当該培地には、骨分化誘導条件を満たす物質が含まれることになる。また、必要に応じて、当該培地には、「自己血清」が含まれてもよい。
「幹細胞を含む細胞」を、骨分化誘導条件下において、培地中において培養するとき、当該「幹細胞を含む細胞」は、培地中に、骨疾患の治療に有用な成分(生理活性物質など)を放出する。
当該培地から、細胞を除去することにより、培養上清を取得することができる。当該培養上清には、骨疾患の治療に有用な成分が含まれる。本発明は、こうして得られた当該有用な成分を含む、骨疾患の治療に用いるための医薬組成物を提供する。ここで、本発明の医薬組成物としては、当該培養上清をそのまま用いることもできるが、さらに、当該培養上清に基づき純化や精製などの所定の工程を経た上で用いることもできる。
本発明の医薬組成物の患者への投与の仕方に限定はない。例えば、当該有用な成分を含む溶液を生理食塩水やラクテックリンゲル液に希釈した上で、点滴により、患者に対して、静注投与することができる。また、そのような希釈をすることなく、患者に対して、投与することもできる。
本発明の医薬組成物の驚くべき顕著な効果は、「幹細胞を含む細胞」が骨分化誘導条件下において、培地中において培養されるときに、当該「幹細胞を含む細胞」が、培地中に放出する成分(生理活性物質など)が、骨疾患の治療に有用に働く結果であると推察される。
そのような成分は、幹細胞によって生成され、培地中に放出されたものであると考えることが推察されるが、同時に、幹細胞以外の細胞によって生成され、培地中に放出されたものである可能性もあろう。
なお、本明細書において用いられる用語は、特定の実施態様を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
第一の、第二のなどの用語が種々の要素を表現するために用いられる場合があるが、これらの要素はそれらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は一つの要素を他の要素と区別するためのみに用いられているのであり、例えば、第一の要素を第二の要素と記し、同様に、第二の要素は第一の要素と記すことは、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
第一の、第二のなどの用語が種々の要素を表現するために用いられる場合があるが、これらの要素はそれらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は一つの要素を他の要素と区別するためのみに用いられているのであり、例えば、第一の要素を第二の要素と記し、同様に、第二の要素は第一の要素と記すことは、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、しかしながら、本発明はいろいろな態様により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
<実施例>
(1)脂肪組織採取と試料調製
ある患者(80歳・女性・骨粗鬆症の病歴あり)の大腿骨頚部の骨折についての手術の際に、大腿後部の手術創縁から約1gの脂肪塊を採取した。
採取した脂肪塊をシャーレに移し、細切した。
細切した脂肪塊を酵素の溶液(終濃度で0.8unit/mlコラゲナーゼ(SIGMA−ALDRICH社製 C2674)と、終濃度で0.1unit/mlディスパーゼ(Invitrogen社製 17105−041)との混合溶液)20mLに入れ、37℃で30分間、酵素によって処理した。その結果、脂肪塊は脂肪組織構成細胞群へと分離した。なお、このような脂肪組織構成細胞群に、通常、幹細胞が含まれることは、周知の手法(例えば、免疫不全動物に移植してテラトーマを作る方法やPCRで幹細胞に発現する特異的な遺伝子を解析する方法、など)によって確認することができる。 このように酵素によって処理をすることによって得た脂肪組織構成細胞群を含む溶液を遠心管に入れ、遠心分離し(1500rpm、10分間)、上層に浮遊した脂肪組織構成細胞群、脂肪分、および、上清を除去することにより、沈殿した脂肪組織構成細胞の沈殿を得た(なお、本実施例においては、上層に浮遊した脂肪組織構成細胞群を除去しているが、かかる上層に浮遊した脂肪組織構成細胞群からも、「幹細胞を含む細胞」を取得することもでき、これも、また、本発明の範囲内である。)。
ある患者(80歳・女性・骨粗鬆症の病歴あり)の大腿骨頚部の骨折についての手術の際に、大腿後部の手術創縁から約1gの脂肪塊を採取した。
採取した脂肪塊をシャーレに移し、細切した。
細切した脂肪塊を酵素の溶液(終濃度で0.8unit/mlコラゲナーゼ(SIGMA−ALDRICH社製 C2674)と、終濃度で0.1unit/mlディスパーゼ(Invitrogen社製 17105−041)との混合溶液)20mLに入れ、37℃で30分間、酵素によって処理した。その結果、脂肪塊は脂肪組織構成細胞群へと分離した。なお、このような脂肪組織構成細胞群に、通常、幹細胞が含まれることは、周知の手法(例えば、免疫不全動物に移植してテラトーマを作る方法やPCRで幹細胞に発現する特異的な遺伝子を解析する方法、など)によって確認することができる。 このように酵素によって処理をすることによって得た脂肪組織構成細胞群を含む溶液を遠心管に入れ、遠心分離し(1500rpm、10分間)、上層に浮遊した脂肪組織構成細胞群、脂肪分、および、上清を除去することにより、沈殿した脂肪組織構成細胞の沈殿を得た(なお、本実施例においては、上層に浮遊した脂肪組織構成細胞群を除去しているが、かかる上層に浮遊した脂肪組織構成細胞群からも、「幹細胞を含む細胞」を取得することもでき、これも、また、本発明の範囲内である。)。
その沈殿した脂肪組織構成細胞群を、以下で説明される「通常培養液」30mLに再浮遊させ、懸濁液とした。
すなわち、本実施例において、「通常培養液」とは、「自己血清」(本実施例では、当該患者から採血した血液を、遠心分離(3000rpm、10分間)することによって得た血液の上清をいう。)を10%添加した培養液(DMEM/F12)をいう。
すなわち、本実施例において、「通常培養液」とは、「自己血清」(本実施例では、当該患者から採血した血液を、遠心分離(3000rpm、10分間)することによって得た血液の上清をいう。)を10%添加した培養液(DMEM/F12)をいう。
前記懸濁液を、2個の細胞培養用75cm2フラスコ(コーニング社製430641)に移し、培養装置内で培養した(37℃、5%炭酸ガス、100%湿度)。
<<骨分化誘導を伴う細胞培養>>
一方のフラスコについては、フラスコ内の細胞を「通常培養液」を用いて、4日間培養した。続いて、以下で説明される「誘導培養液」を用いて、3週間培養した(この間、「誘導培養液」は、4日間毎に、交換された。)。
すなわち、本実施例においては、「誘導培養液」とは、「通常培養液」に骨分化誘導試薬(アスコルビン酸(100μM)、β−グリセロフォスフェイト(10mM)、デキサメサゾン(10nM)、ここで各濃度は、培養液中の終濃度を意味する。)を添加して得られる培養液をいう。
前記3週間培養の後、培養した細胞をHanks液(Hanks’ solution)で洗浄しつつ、「誘導培養液」を除去した(なお、この洗浄するためには、Hanks液に限らず、それが適している限り、どのような溶液を用いてもよく、例えば、グルコースを含む塩類緩衝溶液が好適であり得る。)。
さらに、細胞を、「通常培養液」で4日間培養した。続いて、当該培養液から細胞を除去し、当該培養液の上清(培養上清)を得た。当該培養液からの細胞の除去は、具体的には、(1)当該培養液から、なるべく細胞(培養液の下方に存在する)が含まれないように、上方の培養液を取得し、(2)このようにして得た上方の培養液を遠心し(3000rpm、10分間)、(3)遠心後の上清を、さらに、0.45μmのフィルターを用いて濾過することによって行った。このようにして得た培養上清のことを、本実施例において、「分化誘導を伴う(with)細胞培養上清」という。
一方のフラスコについては、フラスコ内の細胞を「通常培養液」を用いて、4日間培養した。続いて、以下で説明される「誘導培養液」を用いて、3週間培養した(この間、「誘導培養液」は、4日間毎に、交換された。)。
すなわち、本実施例においては、「誘導培養液」とは、「通常培養液」に骨分化誘導試薬(アスコルビン酸(100μM)、β−グリセロフォスフェイト(10mM)、デキサメサゾン(10nM)、ここで各濃度は、培養液中の終濃度を意味する。)を添加して得られる培養液をいう。
前記3週間培養の後、培養した細胞をHanks液(Hanks’ solution)で洗浄しつつ、「誘導培養液」を除去した(なお、この洗浄するためには、Hanks液に限らず、それが適している限り、どのような溶液を用いてもよく、例えば、グルコースを含む塩類緩衝溶液が好適であり得る。)。
さらに、細胞を、「通常培養液」で4日間培養した。続いて、当該培養液から細胞を除去し、当該培養液の上清(培養上清)を得た。当該培養液からの細胞の除去は、具体的には、(1)当該培養液から、なるべく細胞(培養液の下方に存在する)が含まれないように、上方の培養液を取得し、(2)このようにして得た上方の培養液を遠心し(3000rpm、10分間)、(3)遠心後の上清を、さらに、0.45μmのフィルターを用いて濾過することによって行った。このようにして得た培養上清のことを、本実施例において、「分化誘導を伴う(with)細胞培養上清」という。
<<骨分化誘導を伴わない細胞培養>>
他方のフラスコについては、フラスコ内の細胞を「通常培養液」を用いて、4日間培養した。続いて、「通常培養液」を用いて、3週間培養した(この間、「通常培養液」は、4日間毎に、交換された。)。
前記3週間培養の後、培養した細胞をHanks液(Hanks’ solution)で洗浄しつつ、「通常培養液」を除去した(なお、この洗浄するためには、Hanks液に限らず、それが適している限り、どのような溶液を用いてもよく、例えば、グルコースを含む塩類緩衝溶液が好適であり得る。)。
さらに、細胞を、「通常培養液」で4日間培養した。続いて、当該培養液から細胞を除去し、当該培養液の上清(培養上清)を得た。当該培養液からの細胞の除去は、具体的には、(1)当該培養液から、なるべく細胞(培養液の下方に存在する)が含まれないように、上方の培養液を取得し、(2)このようにして得た上方の培養液を遠心し(3000rpm、10分間)、(3)遠心後の上清を、さらに、0.45μmのフィルターを用いて濾過することによって行った。このようにして得た培養上清のことを、本実施例において、「分化誘導を伴わない(without)細胞培養上清」という。
他方のフラスコについては、フラスコ内の細胞を「通常培養液」を用いて、4日間培養した。続いて、「通常培養液」を用いて、3週間培養した(この間、「通常培養液」は、4日間毎に、交換された。)。
前記3週間培養の後、培養した細胞をHanks液(Hanks’ solution)で洗浄しつつ、「通常培養液」を除去した(なお、この洗浄するためには、Hanks液に限らず、それが適している限り、どのような溶液を用いてもよく、例えば、グルコースを含む塩類緩衝溶液が好適であり得る。)。
さらに、細胞を、「通常培養液」で4日間培養した。続いて、当該培養液から細胞を除去し、当該培養液の上清(培養上清)を得た。当該培養液からの細胞の除去は、具体的には、(1)当該培養液から、なるべく細胞(培養液の下方に存在する)が含まれないように、上方の培養液を取得し、(2)このようにして得た上方の培養液を遠心し(3000rpm、10分間)、(3)遠心後の上清を、さらに、0.45μmのフィルターを用いて濾過することによって行った。このようにして得た培養上清のことを、本実施例において、「分化誘導を伴わない(without)細胞培養上清」という。
(2)骨粗鬆症モデルラットの作成
9週齢の雌ラットの両側卵巣を摘出することにより、骨粗鬆症モデルラットを作成した。
当該骨粗鬆症モデルラットは、卵巣摘出によりエストロゲンが欠乏し、骨代謝回転が亢進することによって、長管骨の骨端部や椎体の海綿骨が顕著に減少していることを特徴とする疾患モデルラットである。
9週齢の雌ラットの両側卵巣を摘出することにより、骨粗鬆症モデルラットを作成した。
当該骨粗鬆症モデルラットは、卵巣摘出によりエストロゲンが欠乏し、骨代謝回転が亢進することによって、長管骨の骨端部や椎体の海綿骨が顕著に減少していることを特徴とする疾患モデルラットである。
(3)投与
卵巣を摘出して40日経過後の骨粗鬆症モデルラットを用いて実験を行った。
当該ラットに対して、「分化誘導を伴う細胞培養上清」を、2日毎に1ml/ラットで腹腔内投与した。また、比較例として、当該ラットに対して、「分化誘導を伴わない細胞培養上清」を、2日毎に1ml/ラットで腹腔内投与した。
卵巣を摘出して40日経過後の骨粗鬆症モデルラットを用いて実験を行った。
当該ラットに対して、「分化誘導を伴う細胞培養上清」を、2日毎に1ml/ラットで腹腔内投与した。また、比較例として、当該ラットに対して、「分化誘導を伴わない細胞培養上清」を、2日毎に1ml/ラットで腹腔内投与した。
(4)解析
投与開始から30日後、実験に用いたラットを屠殺し、解析を行った。
各ラットの大腿骨の断面図は、X線CT装置ELE−SCAN((株)日鉄エレックス)を用いて解析した。
また、各ラットの大腿骨の骨密度等の数値は、実験動物用X線CT装置Latheta LCT−200(日立アロカメディカル(株))を用いて解析した。
投与開始から30日後、実験に用いたラットを屠殺し、解析を行った。
各ラットの大腿骨の断面図は、X線CT装置ELE−SCAN((株)日鉄エレックス)を用いて解析した。
また、各ラットの大腿骨の骨密度等の数値は、実験動物用X線CT装置Latheta LCT−200(日立アロカメディカル(株))を用いて解析した。
(5)結果
<<大腿骨の断面図の画像>>
各ラットの大腿骨の縦断面および横断面を、ELE−SCANを用いて解析し、その結果を図1に示す。図1中、上方にあるのが、縦断面図であり、下方にあるのが、横断面図である。
図1中、横断面図A、B、Cは、縦断面中の各点線A、B、Cで示した部位における大腿骨の断面図を示す。
図1中、「Con.」は、卵巣を摘出しておらず、いずれの培養上清(「分化誘導を伴う細胞培養上清」および「分化誘導を伴わない細胞培養上清」)の投与も行っていない正常のラットについての縦断面図および横断面図を示す。
図1中、「OVX」は、いずれの培養上清の投与も行っていない骨粗鬆症モデルラット(上述のとおり、卵巣が摘出されている。)についての縦断面図および横断面図を示す。
図1中、「CM(SC)」は、「分化誘導を伴わない細胞培養上清」を投与した骨粗鬆症モデルラットについての縦断面図および横断面図を示す。
図1中、「CM(OS)」は、「分化誘導を伴う細胞培養上清」を投与した骨粗鬆症モデルラットについての縦断面図および横断面図を示す。
<<大腿骨の断面図の画像>>
各ラットの大腿骨の縦断面および横断面を、ELE−SCANを用いて解析し、その結果を図1に示す。図1中、上方にあるのが、縦断面図であり、下方にあるのが、横断面図である。
図1中、横断面図A、B、Cは、縦断面中の各点線A、B、Cで示した部位における大腿骨の断面図を示す。
図1中、「Con.」は、卵巣を摘出しておらず、いずれの培養上清(「分化誘導を伴う細胞培養上清」および「分化誘導を伴わない細胞培養上清」)の投与も行っていない正常のラットについての縦断面図および横断面図を示す。
図1中、「OVX」は、いずれの培養上清の投与も行っていない骨粗鬆症モデルラット(上述のとおり、卵巣が摘出されている。)についての縦断面図および横断面図を示す。
図1中、「CM(SC)」は、「分化誘導を伴わない細胞培養上清」を投与した骨粗鬆症モデルラットについての縦断面図および横断面図を示す。
図1中、「CM(OS)」は、「分化誘導を伴う細胞培養上清」を投与した骨粗鬆症モデルラットについての縦断面図および横断面図を示す。
図1に示されるように、卵巣を摘出していない正常ラット(Con.)の大腿骨に比べて、いずれの培養上清の投与も行っていない骨粗鬆症モデルラット(OVX)の大腿骨は、海綿骨の骨稜が顕著に減少し、骨粗鬆症を発症していることがわかった。
また、「分化誘導を伴わない細胞培養上清」を投与した骨粗鬆症モデルラット(CM(SC))の大腿骨では、いずれの培養上清の投与も行っていない骨粗鬆症モデルラット(OVX)の大腿骨と同程度に骨稜が減少し、骨粗鬆症を発症していることがわかった。
ところが、「分化誘導を伴う細胞培養上清」を投与した骨粗鬆症モデルラット(CM(OS))の大腿骨では、「分化誘導を伴う細胞培養上清」を投与していない骨粗鬆症モデルラット(CM(SC))の大腿骨に比べて、骨稜が顕著に増加し、卵巣を摘出していない正常ラット(Con.)の大腿骨と同程度の状態にまで海綿骨の骨稜が回復していることがわかった。
また、「分化誘導を伴わない細胞培養上清」を投与した骨粗鬆症モデルラット(CM(SC))の大腿骨では、いずれの培養上清の投与も行っていない骨粗鬆症モデルラット(OVX)の大腿骨と同程度に骨稜が減少し、骨粗鬆症を発症していることがわかった。
ところが、「分化誘導を伴う細胞培養上清」を投与した骨粗鬆症モデルラット(CM(OS))の大腿骨では、「分化誘導を伴う細胞培養上清」を投与していない骨粗鬆症モデルラット(CM(SC))の大腿骨に比べて、骨稜が顕著に増加し、卵巣を摘出していない正常ラット(Con.)の大腿骨と同程度の状態にまで海綿骨の骨稜が回復していることがわかった。
<<骨密度等>>
また、上記の各ラットの大腿骨の骨密度等をLatheta LCT−200を用いて解析した。
皮質骨および海綿骨における骨密度および体積の数値と、これらの数値から算出した骨塩量の数値を、以下の表1に示した。なお、表1において、「骨塩量=骨密度×骨体積」である。
また、上記の各ラットの大腿骨の骨密度等をLatheta LCT−200を用いて解析した。
皮質骨および海綿骨における骨密度および体積の数値と、これらの数値から算出した骨塩量の数値を、以下の表1に示した。なお、表1において、「骨塩量=骨密度×骨体積」である。
表1から、「分化誘導を伴う細胞培養上清」を投与した骨粗鬆症モデルラット(CM(OS))においては、いずれの培養上清の投与も行っていない骨粗鬆症モデルラット(OVX)と比較して、骨密度等の各数値が回復していることがわかる。そして、その回復の程度は、卵巣を摘出していない正常ラット(Con.)の骨密度等の各数値とほぼ同等の程度までの回復であることがわかった。
一方、「分化誘導を伴わない細胞培養上清」を投与した骨粗鬆症モデルラット(CM(SC))においては、いずれの培養上清の投与も行っていない骨粗鬆症モデルラット(OVX)と比較して、ほとんど骨密度等の各数値が回復していないことがわかった。
一方、「分化誘導を伴わない細胞培養上清」を投与した骨粗鬆症モデルラット(CM(SC))においては、いずれの培養上清の投与も行っていない骨粗鬆症モデルラット(OVX)と比較して、ほとんど骨密度等の各数値が回復していないことがわかった。
かかる結果から、驚くべきことに、「分化誘導を伴う細胞培養上清」の投与は、骨粗鬆症の治療に極めて有効な手段であることがわかった。すなわち、培養の過程において、分化誘導を起こさせえる条件を与えた場合には、驚くべきことに、「幹細胞を含む細胞」において、骨粗鬆症の治療に極めて有用な成分が生成され、培地に放出されていることがわかった。
なお、表1から、皮質骨密度に関しては、卵巣を摘出していない正常ラット(Con.)と比較して、いずれの培養上清の投与も行っていない骨粗鬆症モデルラット(OVX)では、わずかしか数値が低下していないことがわかる。
一方、海綿骨密度に関しては、卵巣を摘出していない正常ラット(Con.)と比較して、いずれの培養上清の投与も行っていない骨粗鬆症モデルラット(OVX)では、顕著に数値が低下していることがわかる。
この結果から、骨粗鬆症モデルラット(OVX)においては、皮質骨と比べて、海綿骨の密度の低下が著しいということがわかる。この現象は、ヒトの骨粗鬆症において見られる症状と同様である。
一方、海綿骨密度に関しては、卵巣を摘出していない正常ラット(Con.)と比較して、いずれの培養上清の投与も行っていない骨粗鬆症モデルラット(OVX)では、顕著に数値が低下していることがわかる。
この結果から、骨粗鬆症モデルラット(OVX)においては、皮質骨と比べて、海綿骨の密度の低下が著しいということがわかる。この現象は、ヒトの骨粗鬆症において見られる症状と同様である。
本発明の医薬組成物は、既に述べたとおり、骨疾患の治療に有利に利用することができる。
Claims (14)
- 骨疾患に罹患する患者を治療するための医薬組成物であって、
下記ステップ
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、および、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、
によって、得られうる医薬組成物。 - 請求項1に記載の医薬組成物であって、
前記骨疾患が、骨粗鬆症、骨形成不全症、くる病、骨異形成症、または、骨折である
ことを特徴とする、
医薬組成物。 - 請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、
前記ステップ(1)の前記幹細胞が、組織幹細胞またはiPS細胞である
ことを特徴とする、
医薬組成物。 - 請求項1に記載の医薬組成物であって、
前記ステップ(1)の前記「幹細胞を含む細胞」が、当該患者由来である
ことを特徴とする、
医薬組成物。 - 請求項4に記載の医薬組成物であって、
前記ステップ(1)の前記「幹細胞を含む細胞」が、当該患者の脂肪組織由来である
ことを特徴とする、
医薬組成物。 - 請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、
前記ステップ(1)の前記培地が当該患者から採取した血液の血清を含む
ことを特徴とする、
医薬組成物。 - 請求項1に記載の医薬組成物であって、
前記ステップ(1)の前記骨分化誘導条件が、少なくとも、アスコルビン酸、β-グリセロフォスフェイト、および、デキサメサゾンを使用する骨分化誘導条件である
ことを特徴とする、
医薬組成物。 - 骨疾患に罹患する患者を治療するための医薬組成物であって、
下記ステップ
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、および、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、
によって、得られた医薬組成物。 - 骨疾患に罹患する患者を治療するための医薬組成物の調製方法であって、
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、および、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、
を含む調製方法。 - 請求項9に記載の調製方法であって、
前記ステップ(1)の前記「幹細胞を含む細胞」が、当該患者由来である
ことを特徴とする、
調製方法。 - 請求項10に記載の調製方法であって、
前記ステップ(1)の前記「幹細胞を含む細胞」が、当該患者の脂肪組織由来である
ことを特徴とする、
調製方法。 - 請求項10または請求項11のいずれか1項に記載の調製方法であって、
前記ステップ(1)の前記培地が当該患者から採取した血液の血清を含む
ことを特徴とする、
調製方法。 - 骨疾患に罹患する患者の治療方法であって、
(1)骨分化誘導条件下で、幹細胞を含む細胞を培地中において培養するステップ、
(2)前記培地から前記細胞を除去することにより、培養上清を取得するステップ、
(3)前記培養上清に含まれる成分を含む医薬組成物を調製するステップ、および、
(4)治療上有効量の前記医薬組成物を当該患者に投与するステップ、
を含む治療方法。 - 請求項13に記載の治療方法であって、
前記ステップ(1)の前記「幹細胞を含む細胞」が、当該患者由来である
ことを特徴とする、
治療方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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---|---|
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WO2019022451A2 (ko) * | 2017-07-24 | 2019-01-31 | 한양대학교 에리카산학협력단 | 줄기세포로부터 추출된 엑소좀을 유효성분으로 포함하는 골다공증 예방 또는 치료용 조성물 |
KR20190011213A (ko) * | 2017-07-24 | 2019-02-01 | 한양대학교 에리카산학협력단 | 줄기세포로부터 추출된 엑소좀을 유효성분으로 포함하는 골다공증 예방 또는 치료용 조성물 |
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WO2003008592A1 (fr) * | 2001-07-19 | 2003-01-30 | Yasuhiko Tabata | Cellules embryonnaires polyfonctionnelles provenant de tissus adipeux |
JP2007191467A (ja) * | 2005-12-20 | 2007-08-02 | Pentax Corp | 肥大化能を有する軟骨細胞の産生する新しい細胞機能調節因子 |
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