JPWO2013161199A1 - 光学的センサとその製造方法、及びこれを用いた検出方法 - Google Patents

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Abstract

光学的センサは被検出物質と特異的に結合する複数の捕捉体と共に用いられ、試料中での被検出物質の有無を検出する。その光学的センサは、互いに対向する第1と第2の金属層を備える。第1の金属層には電磁波が供給されるように構成されている。第1と第2の金属層は金よりなる。第1と第2の金属層との間には試料で充填されるように構成された中空領域が設けられている。複数の捕捉体は第1の金属層の下方側と第2の金属層の上方側の少なくとも一方側に物理吸着されている。第1の金属層の厚さが5nm以上30nm以下である。この光学的センサは小型で簡易な構成を有する。

Description

本発明は、例えば、ウィルス等の検知に使用できる光学的干渉現象を利用した光学的センサに関する。
図10は、特許文献1に開示された従来の光学的センサ100の断面図である。光学的センサ100は、プリズム101と、プリズム101の下面に配置された金属層102と、金属層102の下面に配置された絶縁層103と、絶縁層103の下面に固定された捕捉体104と、を有する。捕捉体104は、例えば抗体からなる。
金属層102と絶縁層103との界面には、電子の疎密波である表面プラズモン波が存在している(図示しない)。光源105は、プリズム101上方に配置されている。P偏光された光は全反射条件で光源105からプリズム101へ入射される。このとき、エバネセント波が、金属層102と絶縁層103との表面に生じている。金属層102において全反射された光は、検波部106において受光される。その結果、光の強度が検出される。
ここで、エバネセント波と表面プラズモン波との波数が一致し、波数整合条件が満たされると、光源105から供給される光のエネルギーは、表面プラズモン波の励起に利用され、反射光の強度が減少する。波数整合条件は、光源105から供給される光の入射角に依存する。したがって、入射角を変化させて検波部106で反射光強度を検出すると、ある入射角において、反射光の強度が減少する。
反射光の強度が最小となる角度である共鳴角は、絶縁層103の誘電率に依存している。試料中の被検出物質であるアナライトと捕捉体104とが特異的に結合して生成された特異的結合物が、絶縁層103の下面に構成されると、絶縁層103の誘電率が変化し、これに応じて、共鳴角が変化する。したがって、共鳴角の変化をモニタリングすることにより、アナライトと捕捉体104との特異的結合反応の結合の強さや結合の速さなどを検知することが可能となる。
上記の光学的センサ100は、P偏光を供給できる光源105と金属層102の上面に配置されるプリズム101とを備えるので、サイズが大きく、複雑な構成になる。
特許文献2は小型で簡易構成な他の従来の光学的センサを記載している。
図11は、特許文献2に開示された従来の光学的センサ201の模式図である。光学的センサ201は、第1の金属層202と、第1の金属層の下面に対向する上面を有する第2の金属層203と、を備える。第1の金属層202の厚さは30nm〜45nmである。第2の金属層203の厚さは100nm以上である。第1の金属層202と第2の金属層203との間には、溶質208A、208B、208Cなどを含有する試料208で充填されるように構成された中空領域204が設けられる。第1の金属層202の下方側と、第2の金属層203の上方側の少なくとも一方側に、複数の捕捉体207が物理吸着される。
電磁波源の一種である光源209から第1の金属層202に供給される光は、第1の金属層202と中空領域204の第1界面202B、及び、第2の金属層203と中空領域204の第2界面203Aに光学的な共鳴を発生させることができる。試料208中に捕捉体207と特異的に結合するような被検出物質(アナライト)である溶質208Cが存在すれば、捕捉体207とアナライトとが特異的結合し、誘電率の変化を惹起する。その結果、光学的な共鳴の条件が変化することで、光源209から供給される光に対する共鳴吸収波長が変化する。その変化を色の変化として目視で検出する。
光学的センサ201はプリズムを必要としない。また、光源209から供給される光は、特定の偏光状態やコヒーレンスを持つ必要がない。その結果、小型で簡易な構成の光学的センサ201を実現出来る。
特開2005−181296公報 国際公開第2010/122776号
光学的センサは被検出物質と特異的に結合する複数の捕捉体と共に用いられ、試料中での被検出物質の有無を検出する。その光学的センサは、互いに対向する第1と第2の金属層を備える。第1の金属層には電磁波が供給されるように構成されている。第1と第2の金属層は金よりなる。第1と第2の金属層との間には試料で充填されるように構成された中空領域が設けられている。複数の捕捉体は第1の金属層の下方側と第2の金属層の上方側の少なくとも一方側に物理吸着されている。第1の金属層の厚さが5nm以上30nm以下である。
この光学的センサは小型で簡易な構成を有する。
図1は本発明の実施の形態における光学的センサの断面図である。 図2Aは実施の形態における光学的センサに用いる捕捉体の配置を示した模式図である。 図2Bは実施の形態における捕捉体とアナライトの特異的結合を示す概念図である。 図3Aは実施の形態における光学的センサにおける捕捉体の凝集を示した模式図である。 図3Bは実施の形態における光学的センサにおける捕捉体の凝集を示した模式図である。 図4Aは実施の形態における光学的センサの模式図である。 図4Bは実施の形態における光学的センサの模式図である。 図5Aは比較例の光学的センサの反射スペクトルの変化を示す図である。 図5Bは実施の形態における光学的センサの反射スペクトルの変化を示す図である。 図6は実施の形態における光学的センサの反射スペクトルの屈折率による変化を示す図である。 図7は実施の形態における光学的センサの擬似ピーク状構造のピーク波長と屈折率との関係を示す図である。 図8は実施の形態における光学的センサの反射スペクトルの変化を示す図である。 図9は実施の形態における光学的センサの擬似ピーク状構造のピーク波長の中空領域の厚さとの関係を示す図である。 図10は従来の光学的センサの断面図である。 図11は他の従来の光学的センサの断面図である。
図1は本発明の実施の形態における光学的センサ1の模式断面図である。光学的センサ1は、金属層2(第1の金属層)と、金属層3(第2の金属層)と、中空領域4とを含む。金属層2は、上面2Aと、下面2Bとを有し、電磁波が供給されるように構成されている。金属層3は、上面3Aと、下面3Bとを有し、電磁波が供給されるように構成されている。金属層3の上面3Aは、金属層2の下面2Bに対向するよう設けられる。金属層2および金属層3は金で構成される。中空領域4は、金属層2、3の間に設けられる。中空領域4は溶質を含有する試料8で充填されるように構成されている。金属層2は5nm〜30nmの厚さを有する。このような構成としたことによって、金属層2に供給される光がP偏光されていない状態であっても、プリズムが金属層2の上面2Aに配置されていない状態であっても、中空領域4を挟んで金属層2と金属層3の間に光学的な共鳴を発生させることができる。その結果、小型で簡易な構成の光学的センサ1を実現することが出来る。
金属層2の厚さが5nm以上30nm以下である。その結果、光学的な共鳴を緩やかにすることができ、光学的な共鳴による吸収スペクトルを幅の広いものとできる。
金属層2と金属層3はそれぞれ金からなる。その結果、金の異常反射現象と光学的な共鳴による吸収スペクトルの足し合わせによって擬似ピーク状の反射スペクトルを得ることが可能となる。この擬似ピーク状の反射スペクトルは擬似単色の反射光色を呈するので、光学的な共鳴吸収波長の変化に対してより敏感に色変化を示す。その結果、光学的センサ1の感度が向上する。
保持部5が金属層2の上面2Aに固定されることにより、金属層2の形状をより確実に保持することができる。保持部5は入射電磁波111を金属層2へ効率良く供給させるために、入射電磁波111を減衰させにくい材質で形成される。
入射電磁波111は波長が概ね350nmから800nmの範囲の電磁波である可視光である。したがって、保持部5は可視光を効率的に透過させるガラスや透明プラスチック等の透明な材料で形成される。保持部5の厚さは機械強度的に許容できる範囲で、できるだけ薄い方が好ましい。
金属層3は概ね100nm以上の厚さを有する。金属層3の厚さが100nm未満の場合、金属層2を通過して中空領域4に供給された電磁波の一部が、金属層3を通過して中空領域4の外側へ漏れ出す場合がある。すなわち、本来干渉に寄与し検出に利用されるべき電磁波のエネルギーの一部が中空領域4の外へ漏れ出るので、光学的センサ1の感度が低くなる。
金属層3の下面3Bは保持部6の上面6Aに固定され、その形状を保持される。
金属層2と金属層3間の距離が一定に維持されるように、光学的センサ1は金属層2と金属層3とを保持する柱または壁等のスペーサを有していてもよい。この構造により、光学的センサ1は中空領域4をより確実に設けることができる。
中空領域4には複数の捕捉体7が配置されている。捕捉体7とは、特定の被検出物質(アナライト)と特異的結合をするものである。例えば、抗体、受容体タンパク、アプタマー、ポルフィリン、モレキュラーインプリンティング技術により生成された高分子などを指す。
複数の捕捉体7は、金属層2の下面2Bの下方側と金属層3の上面3Aの上方側の少なくとも一方側に物理吸着された構成としてもよい。また、複数の捕捉体7は、金属層2の下面2Bの下方側と金属層3の上面3Aの上方側の少なくとも一方側に配向されずに配置されてもよい。
図2Aは光学的センサ1に用いる複合体10の模式図であり、捕捉体7の配置を模式的に示す。図2Aに示すように、捕捉体7が粉体9の表面に化学吸着され複合体10を形成している。複合体10は、金属層2の下面2Bの下方側と、金属層3の上面3Aの上方側の少なくとも一方側に物理吸着し、配置される。複合体10は金属層2の表面または金属層3の表面に物理吸着されている。複合体10は、外部から試料8が注入されることにより、金属層2または金属層3の表面から容易に離脱し試料8中に再分散する。
試料8は、溶媒8Cと、溶媒8Cに分散するアナライト8Aと、溶媒8Cに分散する溶質8Bとを含有する。アナライト8Aは検出すべき被検出物質である。溶質8Bは、アナライト8Aと異なるタンパク質等の他の物質である。溶媒8Cの主成分は水である。
粉体9は例えば、直径100nmのポリスチレンラテックス樹脂からなる。捕捉体7の化学吸着の方法としては、例えばシランカップリング反応や自己組織化単分子膜を介して粉体9に捕捉体7を固定する方法がある。
図2Bは光学的センサ1での捕捉体7とアナライト8Aの特異的結合の概念図である。
捕捉体7はアナライト8Aに対してのみ特異的に結合する。従って、試料8中のアナライト8Aとは結合するが、他の溶質8Bとは結合しない。この効果を用いることで、ウィルス抗原や疾病マーカータンパク質などの所望の被検出物質であるアナライト8Aを選択的にトラップできる。
粉体9に捕捉体7が固定して保持されて、多数の捕捉体7が粉体9に固定されているので、複合体10が試料8中に再分散された際に、捕捉体7が容易にアナライト8Aに接触する。その結果、捕捉体7とアナライト8Aとの特異的結合がより効率的に得られる。
図3A、図3Bは、実施の形態における光学的センサ1における、捕捉体7の凝集を示した模式図である。
通常アナライト8Aは捕捉体7と特異結合するための複数の結合サイトを有する。従って、ある粉体9上の捕捉体7はアナライト8Aを介して別の粉体9上の捕捉体7と結合することが可能である。すなわち、アナライト8Aを介して複合体10が相互に結合し、複合体10の集合体である凝集体10Aを形成することができる。
粉体9の材料であるポリスチレンラテックスの屈折率は1.59である。試料8の溶媒8Cが水の場合、その屈折率は1.3334である。
試料8の中にアナライト8Aが含まれていた場合は、複合体10の凝集体10Aが形成される。凝集体10Aが中空領域4の少なくとも一部を満たすことによって中空領域4の屈折率が高くなる。その結果、中空領域4における光学的な共鳴の条件が変化する。
試料8にアナライト8Aが含まれない場合には、複合体10の凝集は起こらずに凝集体10Aは形成されず、中空領域4の屈折率は溶媒8Cすなわち水と等しい。厳密には分散状態の複合体10が存在するため、中空領域4の屈折率は、水のみの場合の屈折率とは若干異なる。しかし、複合体10の濃度がエマルジョン状態に近い高濃度でなければ実質的には分散状態の複合体10の屈折率への影響は無視できる。その結果、中空領域4における光学的な共鳴の条件が変化しない。これにより、光学的な共鳴条件の変化を検出出来れば、試料8中のアナライト8Aの有無を検出することができる。
実施の形態における光学的センサ1では、中空領域4内に浮遊している物質の誘電率の変化を検知することが出来る。そのため、例えば自己組織化膜(SAM)を介して金属層2または金属層3に捕捉体7を化学吸着させる必要がないため、光学的センサ1は簡易な工程で実現可能である。
なお粉体9の材料は、一般的なポリスチレンラテックス樹脂の他、水との屈折率の差の大きい粉体材料であれば使用することが可能である。例えば、粉体9は、無機物である金属酸化物、金属、磁性体材料や誘電体材料で構成されていてもよいし、有機物であるデンドリマなどで構成されてもよい。
粉体9に金属酸化物である酸化チタンの微粉体を用いれば、酸化チタンの屈折率が2.5以上と大きいので、共鳴波長のシフト量が大きくなり、より感度の向上が期待できる。
また、粉体9を磁性材料にて構成した場合には、中空領域4に試料8を注入後、光学的センサ1の外部から磁界をかける事により捕捉体7を攪拌することが可能となる。結果として、捕捉体7とアナライト8Aとの特異的結合を効率的に行う事が可能となる。
デンドリマはその形状を均一化できる。粉体9をデンドリマにより実現した場合、各粉体9の形状のバラツキを低減できる。結果として、光学的センサ1の性能バラツキを低減できる。
なお、実施の形態において粉体9は球形状のビーズを使用しているが、粉体9の形状は、これ以外の立体形状を有したものを用いてもよい。例えば粉体9が立方体状の場合、球形状に比べて凝集による中空領域4を粉体9(複合体10)が占める際の充填率が高くなる。計算上、捕捉体7やアナライト8Aの大きさを無視すれば充填率は100%を実現可能である。それに対して、球形の場合は最密充填で74%である。
また、粉体9のサイズは、実施の形態では直径100nmとしたが、これに制限されるものではない。一般には中空領域4の厚さの半分程度より小さければ中空領域4に挿入可能である。また粉体9の直径が50nm程度よりも小さくなれば、Mie散乱の効果が低減されるため可視光に対してほぼ透明とみなせるようになる。したがって、粉体9が元来不透明な材料で形成されていても、中空領域4内での可視光の伝播を妨げないようになるため望ましい。
実施の形態にかかる光学的センサ1は、金属層2と金属層3の間の中空領域4の屈折率の変化により、光学的な共鳴波長が変化する。ここで屈折率nは誘電率εに対してn=ε1/2の関係にあるため、屈折率の変化は、誘電率の変化と等価である。したがって、捕捉体7を化学吸着等により金属層2、金属層3に強固に固定する必要はない。
一方、図10に示す従来の光学的センサ100は、感度を確保する為に、絶縁層103の下面に捕捉体104を化学吸着等により固定する必要がある。故に、実施の形態における光学的センサ1は、捕捉体7の配置プロセス例えばSAM膜形成プロセスが簡便化でき、製造効率を向上することができる。
以下、光学的センサ1の動作について説明する。実施の形態においては、電磁波源11は光源であり、入射電磁波111は可視光である。
電磁波源11は、例えば太陽光、ハロゲンランプ、各種放電ランプであり、出来るだけ広い範囲の波長成分を含む白色光を発生することが望ましい。電磁波源11には偏光板等の光の偏波を揃える装置を備えていない。図10に示す従来の光学的センサ100と異なり、実施の形態の光学的センサ1は、P偏光された光だけでなくS偏光された光でも、あるいは無偏光であっても光学的な共鳴を生起させることが可能となる。
光学的な共鳴を発生させる入射電磁波111の波長は、金属層2と金属層3の間の距離と、中空領域4の実効的な屈折率とのうち少なくともひとつを調整することにより制御可能である。
粉体9の表面の捕捉体7の屈折率は、実質的には複合体10の屈折率に寄与しないと考えられる。従って、実効的な屈折率は、中空領域4に注入された試料8の屈折率と複合体10の粉体9の屈折率の分布によって決まる。すなわち、実効的な屈折率は、中空領域4における入射電磁波111および反射電磁波112の伝播経路上の、入射電磁波111および反射電磁波112の波長と同等以上の空間スケールにおける平均的な屈折率である。
検知部12は、金属層2の上面2Aの上方に配置され、可視光である反射電磁波112を検知する。検知部12は、光源11から与えられた入射電磁波111を光学的センサ1が受けた時に光学的センサ1から反射された反射電磁波112を受信する。検知部12は実施の形態では肉眼による目視であるが、分光機能をもった光検出器でもよい。
このような構造により、電磁波源11から供給される光である入射電磁波111は中空領域4において光学的な共鳴(干渉)を起こす。その共鳴波長は中空領域4の厚さおよび中空領域4の実効的な屈折率によって決定される。
保持部6の厚さは、保持部5の厚さよりも大きいことが好ましい。これにより、光学的センサ1自体の機械的強度を向上させることができる。その結果、光学的センサ1の使用時に形状変形等が生じ、センシング特性が変化してしまうことを防止できる。
光学的センサ1の中空領域4が図1の状態から図3Bに示した状態、すなわち中空領域4に試料8が充填され、複合体10が試料8中に再分散され、かつアナライト8Aを介して凝集体10Aを形成した場合、光学的センサ1の光学的な共鳴の共鳴波長は変化する。具体的には、凝集体10Aを形成することで複合体10(実質的には、粉体9)の屈折率の分布が変化することによって金属層2と金属層3の間(つまり中空領域4)の実効的な屈折率が変化し、その結果、光学的センサ1の光学的な共鳴の共鳴波長が変化する。
実施の形態の光学的センサ1で光学的な共鳴が生じる過程を詳細に説明する。金属層2は入射電磁波111を透過させるため、概ね30nm以下の厚さを有する。金属層2の上面2Aは保持部5の下面5Bに固定され、その形状を保持する。同様に金属層3は保持部6の上面6Aに固定されてその形状を保持する。
可視光領域の波長を持つ入射電磁波111が金属層2の上面2Aから入射する。金属層2は十分に薄いため、入射電磁波111は金属層2を透過して中空領域4のなかを伝播し、金属層3に達する。
金属層3は、100nm以上の膜厚を有することが望ましい。100nm未満の膜厚では入射された電磁波111は金属層3を透過し、光学的センサ1の感度が劣化する可能性がある。
図4Aと図4Bは光学的センサ1の模式図である。金属層3で反射された入射電磁波111は、金属層2を透過してくる後続の入射電磁波111と干渉を起こす。反射電磁波112は、以下の反射電磁波112a、112bを含む。反射電磁波112aは、図4Aに示すように、金属層3の上面3Aで反射されて金属層2を透過して観察点まで到達する。反射電磁波112bは、図4Bに示すように、金属層3の上面3Aで反射された後、再度金属層2の下面2Bで反射され、さらに金属層3の上面3Aで再度反射され、その後、金属層2を透過して検知部12に到達する。反射電磁波112aと反射電磁波112bとが入射電磁波111と干渉する。入射電磁波111と反射電磁波112との間の光路差δは、中空領域4の厚さdと、中空領域4の実効的な屈折率nと、金属層2の上面に垂直な法線方向に対する入射電磁波111の角度である入射角θとにより、式1で表される。
δ=2×n×d×cosθ ・・・ (式1)
0以上の整数mについて、光路差δが電磁波111の半波長の(m+1/2)倍であれば、反射電磁波112a、112bが打ち消しあい、共鳴吸収として観察される。すなわち、以下の式2を満たす波長λにおいて、検知部12では反射電磁波112が観察されない。これは本質的にはファブリーペロー干渉現象と同一の多重反射干渉である。
2×n×d×cosθ=(m+1/2)×λ ・・・(式2)
なお上記説明では光学的センサ1へ入射後、金属層3の上面3Aで一回反射されて検知部12まで達する反射電磁波112aと、金属層2と金属層3での2回の反射を経て検知部12まで達する反射電磁波112bとの干渉を例に挙げたが、一般に異なった任意の奇数回の反射を経て観察点に達する反射電磁波112aと反射電磁波112bの組み合わせでも、同様の議論がなりたつ。
式2から明らかなように、中空領域4において干渉を生じる入射電磁波111の波長は中空領域4の屈折率に依存する。従って干渉条件、すなわち検知部12において反射光が観察されなくなる波長の条件は中空領域4の実効的な屈折率が変化することによって変化する。
なお、以下の議論においては簡単のためと、実際に光学的センサ1を使用する際のもっとも誤差の少ない使用形態とに鑑みて、入射電磁波111は光学的センサ1の金属層2の上面に対して垂直上方から入射するものとする。すなわち式1および式2の角度θが0°である。0以外の角度θで入射電磁波111を入射させたり、また異なった角度で検知部12を配置したりする場合には、式2にしたがって角度θを用いた計算を行う。
金属層3は厚さが100nm以上である。金属層3の上面3Aに入射した入射電磁波111は、金の異常反射とよばれる現象により、特に550nm前後より長い波長の電磁波を強く反射する。一方、金属層2の厚さt2はある程度入射電磁波111を透過させる必要があるので薄い。金属層2は、金属層3に比べて反射率が低い。
例えば反射回数がk回の反射電磁波112aと反射回数が(k+2)回の反射電磁波112bの干渉において、金属層2の下面2Bでの反射の回数が多いk+2回反射の電磁波はk回反射の電磁波に比べて強度が低下する。その結果、反射電磁波112a、112bが干渉の式2の条件を満たす場合にも十分にお互いを打ち消すことができず、干渉による波長選択性が低下して共鳴吸収ピークは広く、浅くなる。
特許文献2に開示された従来の光学的センサ201は、中空領域204の屈折率変化に伴う共鳴吸収波長の変化を検出することで、捕捉体207とアナライト208Cとの特異結合の有無をセンシングする。したがって、光学的センサ201の感度を高めるためには、微小な共鳴吸収波長の変化を見分ける必要がある。そのため、共鳴吸収ピークは鋭い必要があり、金属層202の厚さは、電磁波209Aの透過性を維持しうる範囲で最大限厚くする必要がある。
これに対し実施の形態における光学的センサ1においては、以下の理由で金属層2の厚さt2を5nmから30nmと極端に薄く設定する。
金属層2の最適の厚さを探すために、金属層2の厚さt2を変えた多数のサンプルを試作して反射スペクトルの変化を測定した。金属層2および金属層3はともに金の蒸着膜である。金属層3の厚さは100nmである。また、式1と式2での金属層2の下面2Bと金属層3の上面3Aの間隔である中空領域4の厚さdは840nmとした。
図5Aは、金属層2の厚さt2を45nmとした比較例の光学的センサの反射スペクトルの変化を示す。図5Bは、実施の形態における光学的センサ1の金属層2の反射スペクトルの変化を示す。図5Aに示すように、比較例の光学的センサでは金の異常反射に起因して500nm付近より長い波長の部分U100で反射率が上昇する。そして、590nm付近の波長で光学的な共鳴(ファブリーペロー干渉現象)による共鳴吸収の鋭いピークP100が現れている。このときの反射光の色は、金の反射色とほぼ同一の金色である。
金属層2の厚さt2が薄くなるにつれて、反射光の色が目視でも明らかに金色から異なり、鮮明な緑色を呈しはじめる。図5Bに示すように、金属層2の厚さt2が薄くなるにつれて、光(電磁波)の波長が500nm付近より短波長側では反射光(反射電磁波112)の色にそれほどの変化はないが、590nm付近の共鳴吸収ピークP100より長波長側の形状が大きく異なる。
590nm付近の共鳴吸収ピークP100は前述の予想のように波長選択性の低下によって単純に広がるのではなく、特に590nmから長波長側で反射率が大きく低下し、非対称に広がっている。これによって橙〜赤の領域の反射が減少するとともに、金の異常反射による550nm付近の反射率の増大の領域と共鳴吸収による590nm付近の吸収ピークP100に挟まれた領域で550nm付近をピークとする擬似ピーク状構造として表れる。擬似ピーク状構造により反射光(反射電磁波112)が鮮明な緑色を呈している。
実施の形態の光学的センサ1では、この擬似ピーク状の構造による発色の変化が中空領域4における実効的な屈折率の変化を検出する指標として使用する。
図6は、光学的センサ1の中空領域4に既知の屈折率を有する標準溶液を挿入して得られた擬似ピーク状構造のピークの波長と中空領域4の屈折率の関係を示す。標準溶液として、屈折率が1.33の純水と、屈折率が1.39のイソオクタンと、屈折率が1.426のシクロヘキサンと、屈折率が1.497のトルエンを用いた。図6は、標準溶液が純水である場合の反射率R1と、標準溶液がイソオクタンである場合の反射率R2と、標準溶液がシクロヘキサンである場合の反射率R3と、標準溶液がトルエンである場合の反射率R4とを示す。
図6に示すように、反射率R1〜R4のそれぞれは主に3つの擬似ピーク状構造P1、P2、P3を有する。擬似ピーク状構造P1〜P3の中心波長は屈折率が大きくなるにつれてそれぞれ長波長側にシフトする。
図7は光学的センサ1での擬似ピーク状構造P2の中心波長と中空領域4の屈折率との関係を示す。図7に示すように、屈折率に対する中心波長の変化はほぼ直線で近似することができる。このように、共鳴吸収ピークだけではなく、吸収にはさまれて形成される擬似ピーク状構造の中心波長も同様に、中空領域4の屈折率にしたがって変化する。
従来の光学的センサ201では金の反射光のスペクトル中から狭い共鳴吸収ピークの波長帯が欠損することによる色味の変化を読み取る、すなわち金の反射色である金色での例えば赤みがかった金色から緑がかった金色への変化という色の微妙な変化を読み取ることになり、屈折率の変化を容易には判別できない。実施の形態における光学的センサ1では擬似ピーク状構造を検出標準として使用し、それぞれの屈折率における反射色が単色に近く、屈折率の変化を容易に判別できる。
このように、実施の形態における光学的センサ1では、金属層2を薄くしたことと金属層2、3に金を使用したことにより、干渉による共鳴吸収の波長選択性が弱まり、その結果、従来の光学的センサ201ではみられなかった擬似ピーク状構造P1〜P3が得られる。擬似ピーク状構造P1〜P3により光学的センサ1は従来の光学的センサ201より中空領域4での屈折率の変化を容易に判別できる。
実施の形態における光学的センサ1の製造方法について以下説明する。光学的センサ1の製造方法は、少なくとも以下の3つのステップを含む。
第1ステップで、金属層2と、金属層3と、中空領域4と、を有する光学的センサを準備する。金属層2は、上面2Aと、下面2Bとを有し、入射電磁波111が供給されるように構成する。金属層2は厚さが5nm以上30nm以下である金よりなる。金属層3は、金属層2の下面2Bに対向する上面3Aを有する金よりなる。柱や壁等のスペーサを介して金属層2と金属層3とを組み合わせれば、より効率的に中空領域4を確保し維持することができる。
次に、第2ステップで、複合体10を含む溶質を毛細管現象により中空領域4に挿入する。
次に、第3ステップで、中空領域4に挿入された溶質を真空凍結乾燥等の方法によって乾燥させる。その後、金属層2の下方と金属層3の上方のうちの少なくとも一方の領域に複合体10を分散させて配置する。
実施の形態における光学的センサ1は、中空領域4内に捕捉体7を化学吸着により固定する必要がない。従って上記のような簡単な方法により捕捉体7を中空領域4内に配置できる。これにより、光学的センサ1の製造効率を向上できる。
中空領域4は、金属層2と金属層3の間の概ねすべての領域に設けられてもよい。この領域は、捕捉体7が設けられていない領域も含む。
また、中空領域4は、金属層2と金属層3の間で金属層2と金属層3を支える柱や壁以外の領域に設けられていてもよい。この領域は、捕捉体7が設けられていない領域を含む。
金属層2の下面2Bと金属層3の上面3Aには、腐食防止用コーティング層が塗布されていてもよい。その場合には、金属層2と金属層3の間の腐食防止用コーティング層以外の領域に中空領域4を設けてもよい。この領域は、腐食防止用コーティング剤の金属層2または金属層3と接していない表面に配置された捕捉体7の領域は含まない。
中空領域4は、試料8を挿入可能な領域であり、金属層2と金属層3の間の一部領域に確保されている。
なお、金属層2と金属層3の間の距離を400nm〜1600nmの範囲とすることが望ましい。このような範囲とすることで、捕捉体7にアナライト8Aが特異的に吸着し、中空領域4の屈折率が変化する前後の擬似ピーク状構造P2が570nm〜590nmの黄色の波長帯BYをまたいで変化する。こうすることで反射色が緑から黄または橙へと、異なったカテゴリカルカラーに変化するため、屈折率の変化を目視により容易に判別できる。金属層2と金属層3の間の距離は、400nm〜1000nmの範囲とするとより好ましい。
実施の形態における光学的センサ1においては、擬似ピーク状構造P2の中心波長が、複合体10による凝集体10Aの形成による中空領域4の屈折率の変化が生じる前後で黄色の波長帯BYを実質的にまたぐように変化するように設定する。
アナライト8Aが試料8中に存在すると、中空領域4において、アナライト8Aと捕捉体7とが集合体を形成する。あるいは、複合体10や集合体が固まり凝集して凝集体10Aを形成する。その結果、中空領域4の屈折率の変化が生じる。屈折率の変化の前後で擬似ピーク状構造P2の中心波長が570nmから590nmの帯域(黄色の波長帯BY)を実質的にまたぐように変化する。具体的には、変化前のピーク波長が570nmより短波長側すなわち緑のカテゴリカルカラーに属する領域にあり、変化後のピーク波長が570nmより長波長側すなわち黄色ないし橙のカテゴリカルカラーに属する領域にあるようにシフトするように変化する。
変化後のピークの波長は、580nm(黄色の波長帯BYの中央)よりも長波長側の領域であることがより好ましい。
図8は実施の形態における光学的センサ1の反射光のスペクトルの変化を示す。捕捉体7とアナライト8Aとが結合しない状態すなわち屈折率の変化前におけるピーク状のスペクトル構造は、金属層2と金属層3を構成する金によって反射される光のスペクトルの反射率上昇部と、金属層2と金属層3のそれぞれで反射した光の、中空領域4の屈折率が低い条件での干渉によって吸収されるスペクトルに重畳された共鳴吸収ピークP100とに挟まれた構造となる。このスペクトル構造の擬似ピーク状構造P2の中心波長が、第1の中心波長PL101である。
同様に、捕捉体7とアナライト8Aとが結合し複合体10を形成した状態(変化後)におけるピーク状のスペクトル構造は、金属層2と金属層3を構成する金によって反射される光のスペクトルの反射率上昇部と、金属層2と金属層3のそれぞれで反射した光の、中空領域4の屈折率が高い条件での干渉によって吸収されるスペクトルに重畳された共鳴吸収ピークP100とに挟まれた構造となる。このスペクトル構造の擬似ピーク状構造P2の中心波長が、第2の中心波長PL102である。
このように、金属層2、3により反射された光のスペクトルは、光の波長が増加するにつれて金属層2、3を構成する金による反射により極大値まで上昇する部分U100と、金属層2、3のそれぞれで反射した光の干渉による吸収によりその極大値から減少する部分F100とで形成される擬似ピーク状構造P2を有する。
第1の中心波長PL101は570nmより短くかつ第2の中心波長PL102は570nmより長い。
より好ましくは、第1の中心波長PL101は580nmより短くかつ第2の中心波長PL102は580nmより長い。さらに、第1の中心波長PL101が570nmより短いことと第2の中心波長PL102が590nmより長いこととのうちの少なくとも一方が満たされる。
人間の眼には、可視光の色は短波長端の紫から青、緑、黄色、赤と波長が長くなるにつれて連続的に変化して知覚される。実施の形態の光学的センサ1のように、反射光のスペクトルによって定義される色の変化によってアナライト8Aの有無をセンシングする場合、同じ波長の変化量に対してどれだけ色の変化知覚量を大きくできるかが重要となる。
人間は色を知覚する際、単純に赤、緑、青の三色に対応した三種類の錐体視細胞の出力の比率に応じて認識するのではなく、同じ系統の色のグループとして知覚していることが知られている。例えば黒に近い赤から橙色に近い赤までさまざまな赤をまとめて「赤」という色カテゴリー(カテゴリカルカラー)として認識している。これをカテゴリカル色知覚と言う。したがって、連続した色スペクトル上でも、異なるカテゴリーに属する色は互いに区別がつきやすい。
カテゴリカル色知覚において区別される色カテゴリーは言語文化的側面から研究されている。これは、言葉として表現できない色はカテゴリカルカラーとはならないからである。さまざまな言語に共通する色名として赤、黄、緑、青、茶、桃色、橙、白、灰、黒が基本カテゴリカル色名として定義されている。
例えば、非常に線幅の細い単色光源を考えた場合、波長が短波長側から長波長側へとシフトするにつれて、カテゴリカルカラーとしては青、緑、黄色、橙、赤と変化している。しかしそれぞれの色カテゴリーに相当する範囲の波長幅は必ずしも一様ではない。青から緑へはほぼ400nmから570nm付近までの範囲で徐々に変化する。しかし、緑、黄色、橙の三つの色カテゴリーは、実に570nmから590nmのわずか幅20nmのバンドをまたぐだけで変化して知覚される。なお、この570nmから590nmのわずか幅20nmの波長帯の光は黄色として認識される。
すなわち、上述の構成においてはじめて実現された擬似ピーク状構造Bの中心波長が、この黄色の波長帯BYをまたいで変化した場合、わずか20nmの変化でもカテゴリカルカラーが変化する。すなわち、カテゴリカルカラーが緑から橙へと変化する。その結果、他の波長帯に比べて目視で極めて容易に変化を検知できる。
このような擬似ピーク状構造P1の極大値での波長は、金属層2の下面2Bと金属層3の上面3Aとの間隔すなわち中空領域の厚さdを適切に設定することで設定できる。
図9は、金属層2と金属層3の間の中空領域4の厚さdの変化に対する、擬似ピーク状構造P2の中心波長(極大値での波長)の変化を示す。ここで、中空領域4の屈折率は純水の値である。図9に示すように、擬似ピーク状構造P2の中心波長(極大値での波長)は中空領域4の厚さdに対して直線的に変化する。
実施の形態における光学的センサ1では、金属層2と金属層3との間の間隔すなわち中空領域の厚さdを図9の結果に従って820nmとすることで、中空領域4に純水(屈折率1.334)を満たした場合の擬似ピーク状構造P2の中心波長が560nmとなるように設定する。この構造において、中空領域4の屈折率が純水の屈折率からイソオクタンの屈折率(屈折率1.39)に変化した場合に、擬似ピーク状構造P2の中心波長が560nmから590nmにシフトする。この結果、反射光の色は緑から橙へと異なるカテゴリカルカラーに変化する。粉体9にポリスチレンラテックスビーズを使用した場合、上記の波長の変化は、中空領域4に対する体積凝集率40%程度の凝集が起これば実現可能な実効的な屈折率の変化により起こる。
但し、金属層2と金属層3の間隔すなわち中空領域4の厚さdによる擬似ピーク状構造P1の中心波長に関して、中空領域4における、複合体10の凝集による屈折率の変化量および屈折率の絶対値によって厚さdの最適値が変化する。
黄色波長帯BYの幅が20nmであるので、擬似ピーク状構造P2の中心波長が反応前後によって黄色波長帯BYを実質的にまたぐためには、中心波長の変化量、すなわち、第1の中心波長PL101と第2の中心波長PL102との差は最低10nm以上あることが望ましい。
中心波長の変化量が小さい場合には、捕捉体7とアナライト8Aとの反応前の第1の中心波長PL101が緑のカテゴリカルカラーに属し、かつできるだけ長波長でなければならない。従って金属層2と金属層3の間隔すなわち中空領域4の厚さdをより厳密に制御する必要が生じる。
カテゴリカルカラーの観点からは、緑から黄色の変化の方が、黄色から橙への変化よりも検知しやすい。
従って、擬似ピーク状構造P2の中心波長の変化量が十分に大きくない場合には、反応前の第1の中心波長PL101が緑の最長波長端付近の560nm以下となるように設定され、反応後の第2の中心波長PL102が560nmよりも長くなるように設定されることが望ましい。この場合には、反応前後の擬似ピーク状構造P2の中心波長は黄色波長帯BYを実質的にまたいではいないが、緑から黄色へとカテゴリカルカラーが変化することで、高感度で色の変化を検出できる。
実施の形態においては中空領域4の屈折率を決定する粉体9の屈折率は溶媒8Cの屈折率よりも大きく、その結果、複合体10の凝集が起こった場合には中空領域4の屈折率が上昇する。
しかし粉体9の屈折率が溶媒8Cの屈折率より小さくてもよい。その場合には反応前の擬似ピーク状構造の中心波長は黄色または橙のカテゴリカルカラーに属し、反応後には緑のカテゴリカルカラーに変化するように金属層2と金属層3の間隔である中空領域4の厚さdを設定することで、変化を容易に検知できる。
なお、実施の形態において、「上面」「下面」「上方」「下方」等の方向を示す用語は金属層2、3等の光学的センサ1の構成部品の相対的な位置関係にのみ依存する相対的な方向を示し、鉛直方向等の絶対的な方向を示すものではない。
本発明における光学的センサは小型で簡易な構造を有するので、小型で低コストのバイオセンサ、または化学センサに利用する事ができる。
1 光学的センサ
2 金属層(第1の金属層)
3 金属層(第2の金属層)
4 中空領域
5 保持部
6 保持部
7 捕捉体
8 試料
8A アナライト(被検出物質)
8B 他の溶質
8C 溶媒
9 粉体
10 複合体
11 電磁波源(光源)
12 検知部
111 入射電磁波
112 反射電磁波
すなわち、上述の構成においてはじめて実現された擬似ピーク状構造P2の中心波長が、この黄色の波長帯BYをまたいで変化した場合、わずか20nmの変化でもカテゴリカルカラーが変化する。すなわち、カテゴリカルカラーが緑から橙へと変化する。その結果、他の波長帯に比べて目視で極めて容易に変化を検知できる。
このような擬似ピーク状構造P2の極大値での波長は、金属層2の下面2Bと金属層3の上面3Aとの間隔すなわち中空領域の厚さdを適切に設定することで設定できる。
但し、金属層2と金属層3の間隔すなわち中空領域4の厚さdによる擬似ピーク状構造P2の中心波長に関して、中空領域4における、複合体10の凝集による屈折率の変化量および屈折率の絶対値によって厚さdの最適値が変化する。

Claims (11)

  1. 被検出物質と特異的に結合する複数の捕捉体と共に用いられて、試料中での前記被検出物質の有無を検出する光学的センサであって、
    電磁波が供給されるように構成された上面と、下面とを有し、金よりなる第1の金属層と、
    前記第1の金属層の前記下面に対向する上面を有する、金よりなる第2の金属層と、
    を備え、
    前記第1の金属層と前記第2の金属層との間には前記試料で充填されるように構成された中空領域が設けられ、
    前記複数の捕捉体は前記第1の金属層の下方側と前記第2の金属層の上方側の少なくとも一方側に物理吸着され、
    前記第1の金属層の厚さは5nm以上30nm以下である、光学的センサ。
  2. 前記第1の金属層と前記第2の金属層との間隔は400nm以上1600nm以下である、請求項1に記載の光学的センサ。
  3. 前記第1の金属層と前記第2の金属層との前記間隔が400nm以上1000nm以下である、請求項2に記載の光学的センサ。
  4. 前記第1の金属層と前記第2の金属層とにより反射された光のスペクトルは、前記光の波長が増加するにつれて前記第1の金属層と前記第2の金属層を構成する金による反射により極大値まで上昇する部分と、第1の金属層と前記第2の金属層のそれぞれで反射した光の干渉による吸収により前記極大値から減少する部分とで形成される擬似ピーク状構造を有し、
    前記捕捉体と前記被検出物質が結合しない状態における前記擬似ピーク状構造の前記極大値での第1の波長と、前記捕捉体と前記被検出物質が結合した状態における前記擬似ピーク状構造の前記極大値での第2の波長とによって、前記試料中に前記被検出物質があるか否かを判別する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学的センサ。
  5. 前記第1の波長は580mmより短くかつ前記第2の波長は580nmより長く、
    前記第1の波長が570nmより短いことと前記第2の波長が590nmより長いこととの少なくとも一方が満たされる、請求項4に記載の光学的センサ。
  6. 前記第1の波長は570nmより短くかつ前記第2の波長は570nmより長い、請求項4に記載の光学的センサ。
  7. 前記複数の捕捉体は粉体に固定されている、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学的センサ。
  8. 試料中の被検出物質の検出方法であって、
    電磁波が供給されるように構成された上面と、下面とを有し、厚さが5nm以上30nm以下である金よりなる第1の金属層と、
    前記第1の金属層の前記下面に対向する上面を有する、金よりなる第2の金属層と、
    を備え、前記第1金属層と前記第2金属層との間に中空領域が設けられ、前記被検出物質と特異的に結合する複数の捕捉体が前記第1の金属層の下方側と前記第2の金属層の上方側の少なくとも一方側に物理吸着された光学的センサを準備するステップと、
    毛細管現象を利用して前記試料を前記中空領域に挿入するステップと、
    を含む、被検出物質の検出方法。
  9. 前記複数の捕捉体は粉体に固定されている、請求項8に記載の被検出物質の検出方法。
  10. 電磁波が供給されるように構成された上面と、下面とを有し、厚さが5nm以上30nm以下である金よりなる第1の金属層と、
    前記第1の金属層の前記下面に対向する上面を有する、金よりなる第2の金属層と、
    を備え、前記第1金属層と前記第2金属層との間に中空領域が設けられている、光学的センサを準備するステップと、
    毛細管現象を利用して、被検出物質と特異的に結合する捕捉体を含む複数の溶質を前記中空領域に挿入するステップと、
    前記捕捉体を前記中空領域に挿入するステップの後で、前記複数の溶質を乾燥させることで前記第1の金属層の下方と、前記第2の金属層の上方のうちの少なくとも一方の領域に前記捕捉体を配置するステップと、
    を含む、光学的センサの製造方法。
  11. 前記複数の捕捉体は粉体に固定されている、請求項10に記載の光学的センサの製造方法。
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