JPWO2013161103A1 - 酸化チタンの変色が抑制された組成物 - Google Patents

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Abstract

酸化チタン並びに結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有する、錠剤のコーティング層として100μm以下の厚みの皮膜を形成するためのコーティング用組成物を提供する。このコーティング用組成物は、錠剤のコーティングに含まれる酸化チタンの光による色調変化を抑制できる。

Description

本発明は、光による変色が抑制された酸化チタンを含有するコーティング用組成物、コーティング液、コーティング錠剤、及び酸化チタンの変色抑制剤に関する。
酸化チタン(TiO2)は、紫外線照射により酸素欠損が生じ、青紫色から青灰色を帯びることが知られている。この反応は可逆的であり、暗所に置くと色は元の白さに復元する。(非特許文献1)
従って、酸化チタンを化粧料など皮膚用の顔料として用いる場合に、酸化チタンの光に対する反応を減少させるため、組成物にベンゾトリアゾールシリコーンを導入する技術が開示されている(特許文献1)。
一方、錠剤という剤形は、医薬品や健康食品等の分野で汎用されている。錠剤は、素錠とコーティング錠とに大別される。コーティング錠は、内核錠(素錠など)の外側にコーティングを施したものである。コーティングは、臭いや味のマスキング、遮光、取扱い性の向上などの目的で用いられる一方で、錠剤の崩壊時間を遅らせる原因ともなりうる。
医薬品、健康食品等の分野で白色の顔料等として広く用いられている酸化チタンを、錠剤のコーティングの成分としても用いられた場合、コーティング層が光により変色すると、商品価値が低下して問題となる。
この課題に対して、リン酸塩で処理したコーティング用二酸化チタンが開示されている(特許文献2)。
特開平10−7526号公報 特開平11−222442号公報
酸化チタン 物性と応用技術 清野学著 p.94〜103
コーティング錠剤の外観性を向上させるために、コーティングに酸化チタンを含有させたところ、光により錠剤のコーティングの色調が変化した。このとき、酸化チタンとして、光による変色防止のためにリン酸塩処理された酸化チタンを用いていたが、コーティングの光による変色を防止できなかった。これは、コーティング錠剤製造の工程で、薄層コーティングとするために適した濃度で酸化チタンを水に分散し錠剤にスプレーコーティングするときに、酸化チタンのリン酸塩処理が外れた現象によると考えられた。コーティング層厚が薄い場合、外観性向上のために、コーティングに着色料を入れる必要性が高いが、酸化チタンを用いる場合には上記のような課題があることが分かった。
本発明は、酸化チタンの光による色調の変化を抑制する、酸化チタンを含有するコーティング用組成物を提供することを目的とする。
本発明は、100μm以下の厚みのコーティングに適した濃度のコーティング液を作成した場合でも酸化チタンの光による変色を抑制する、酸化チタンを含有するコーティング用組成物を提供することを目的とする。
本発明は、又、酸化チタンの光による色調の変化を抑制できるコーティング液、コーティング錠剤、並びにコーティング錠剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、又、酸化チタンの光による変色を抑制する方法及び酸化チタンの変色抑制剤を提供することを目的とする。
本発明は、酸化チタンを含有するコーティング用組成物に、結晶セルロース、クロスポビドン、アルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有させると、錠剤のコーティングに含まれる酸化チタンの光による色調変化を抑制できるとの知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は以下の第一〜第七の態様を提供する。
第一の態様(コーティング用組成物)
すなわち、本発明の第一の態様は、錠剤のコーティングの光による変色を効果的に抑制する、酸化チタンを含有する以下のコーティング用組成物である。
(1−1)酸化チタン並びに結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つの変色抑制剤を含有することを特徴とする、錠剤のコーティング用組成物。
(1−2)錠剤のコーティングとして、100μm以下の厚みの皮膜を形成するための(1−1)に記載のコーティング用組成物。
(1−3)前記組成物を基準として、酸化チタンを5〜50質量%含有する、(1−1)又は(1−2)に記載のコーティング用組成物。
(1−4)さらに糖類又は糖アルコールを含有する、(1−1)〜(1−3)のいずれかに記載のコーティング用組成物。
(1−5)酸化チタン100質量部に対して変色抑制剤50質量部以上含有する、(1−1)〜(1−4)のいずれかに記載のコーティング用組成物。
(1−6)速崩壊性錠剤のための組成物であり、好ましくは口腔内崩壊錠剤(素錠)のための組成物である、(1−1)〜(1−5)のいずれかに記載のコーティング用組成物。
(1−7)アラビアゴム末及びキサンタンガムを含有しない、(1−1)〜(1−6)のいずれかに記載のコーティング用組成物。
(1−8)ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースを含有しない、(1−1)〜(1−7)のいずれかに記載のコーティング用組成物。
(1−9)ショ糖を含有しない、(1−1)〜(1−8)のいずれかに記載のコーティング用組成物。
(1−10)さらに平均粒径が0.1〜50μm、好ましくは1〜20μm、より好ましくは5〜10μmの水不溶性無機塩類、ケイ酸化合物、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルを含有する、(1−1)〜(1−9)のいずれかに記載のコーティング用組成物。
(1−11)結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンの他に、酸化チタンの光による変色を抑制する効果をもつ物質を含有しない、(1−1)〜(1−10)のいずれかに記載のコーティング用組成物。
(1−12)糖類並びに該水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルの質量の和を25〜55質量%、酸化チタンを15〜40質量%、変色抑制剤を10〜50質量%含有する(1−1)〜(1−11)のいずれかに記載のコーティング用組成物。
第二の態様(コーティング液)
本発明の第二の態様は、コーティングの光による変色を効果的に抑制する、以下のコーティング液である。
(2−1)上記コーティング用組成物が水及び/又はアルコールに溶解・分散されていることを特徴とする、錠剤のコーティング皮膜を形成するためのコーティング液。
(2−2)水:アルコールが1:1〜20:1(容量比)の範囲にある上記(2−1)に記載のコーティング液。
(2−3)アルコールがメタノール及び/又はエタノールである上記(2−1)または(2−2)に記載のコーティング液。
(2−4)コーティング液中の本発明のコーティング組成物の固形分濃度が、1〜40質量%濃度である、(2−1)〜(2−3)に記載のコーティング液。
第三の態様(コーティング錠剤)
本発明の第三の態様は、コーティングの光による変色が効果的に抑制された、以下のコーティング錠剤である。
(3−1)酸化チタン並びに結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有する皮膜が、錠剤のコーティング層として形成されていることを特徴とするコーティング錠剤。
(3−2)酸化チタン並びに結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有する皮膜が、錠剤のコーティング層として、100μm以下の厚みで形成されていることを特徴とするコーティング錠剤。
(3−3)該皮膜が、アラビアゴム末及びキサンタンガムを含有しない、(3−1)又は(3−2)に記載のコーティング錠剤。
(3−4)該皮膜が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースを含有しない、(3−1)〜(3−3)に記載のコーティング錠剤。
(3−5)前記錠剤が、速崩壊性錠剤であり、好ましくは口腔内崩壊錠剤(素錠)である、(3−1)〜(3−4)のいずれかに記載のコーティング錠剤。
(3−6)該皮膜が、さらに糖類又は糖アルコールを含有する、(3−1)〜(3−5)のいずれかに記載のコーティング錠剤。
(3−7)該皮膜が、ショ糖を含有しない、(3−1)〜(3−6)のいずれかに記載のコーティング錠剤。
(3−8)該皮膜が、さらに平均粒径が0.1〜50μm、好ましくは1〜20μm、より好ましくは5〜10μmの水不溶性無機塩類、ケイ酸化合物、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルを含有する、(3−1)〜(3−7)のいずれかに記載のコーティング錠剤。
(3−9)該皮膜が、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンの他に、酸化チタンの光による変色を抑制する効果をもつ物質を含有しない、(3−1)〜(3−8)のいずれかに記載のコーティング錠剤。
(3−10)該皮膜中、酸化チタンを5〜50質量%含有する、(3−1)〜(3−9)のいずれかに記載のコーティング錠剤。
第四の態様(コーティング錠剤の製造方法)
本発明の第四の態様は、コーティングの光による変色が抑制される、以下のコーティング錠剤の製造方法である。
(4−1)本発明の第一の態様のコーティング用組成物を水及び/又はアルコールに溶解・分散したコーティング液を、錠剤の表面に施してコーティング層を形成することを特徴とする、コーティング錠剤の製造方法である。
(4−2)上記(2−1)〜(2−4)のいずれかに記載のコーティング液を、錠剤の表面に施してコーティング層を形成することを特徴とするコーティング錠剤の製造方法。
(4−3)コーティング層の厚みが100μm以下である、(4−1)又は(4−2)に記載のコーティング錠剤の製造方法。
第五の態様(酸化チタン含有組成物の光による変色を抑制する方法)
本発明の第五の態様は、コーティング用組成物、コーティング錠剤の光による変色を抑制する方法である。
(5−1)
酸化チタンを含有するコーティング用組成物に、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含有させることを特徴とする、酸化チタンを含有するコーティング用組成物の光による変色を抑制する方法。
(5−2)
本発明の第一の態様のコーティング用組成物を水及び/又はアルコールに溶解・分散したコーティング液を、錠剤の表面に施してコーティング層を形成することを特徴とする、コーティング皮膜に酸化チタンを含有するコーティング錠剤の光による変色を抑制する方法。
第六の態様(酸化チタンの光による変色を抑制する方法)
本発明の第六の態様は、酸化チタンの光による変色を抑制する方法である。
(6−1)酸化チタンに対して、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを共存させる工程を含む、酸化チタンの光による変色を抑制する方法。
第七の態様(変色抑制剤)
(7−1)結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする、酸化チタンを含有するコーティング用組成物の変色抑制剤。
(7−2)前記酸化チタンを含有するコーティング用組成物が、錠剤のコーティング層として100μm以下の厚みの皮膜を形成するための組成物である、(7−1)に記載の変色抑制剤。
(7−3)前記酸化チタンを含有するコーティング用組成物が、コーティング用組成物を基準として、酸化チタンを5〜50質量%含有する組成物である、(7−1)又は(7−2)に記載の変色抑制剤。
(7−4)前記酸化チタンを含有するコーティング用組成物が、さらに、糖類又は糖アルコールを含有する組成物である、(7−1)〜(7−3)のいずれかに記載の変色抑制剤。
(7−5)前記酸化チタンを含有するコーティング用組成物が、さらに、さらに平均粒径が0.1〜50μm、好ましくは1〜20μm、より好ましくは5〜10μmの水不溶性無機塩類、ケイ酸化合物、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルを含有する組成物である、(7−1)〜(7−4)のいずれかに記載の変色抑制剤。
(7−6)前記酸化チタンを含有するコーティング用組成物が、速崩壊性錠剤のための組成物であり、好ましくは口腔内崩壊錠剤(素錠)のための組成物である、(7−1)〜(7−5)のいずれかに記載の変色抑制剤。
(7−7)前記酸化チタンを含有するコーティング用組成物が、アラビアゴム末及びキサンタンガムを含有しない組成物である、(7−1)〜(7−6)のいずれかに記載の変色抑制剤。
(7−8)前記酸化チタンを含有するコーティング用組成物が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースを含有しない組成物である、(7−1)〜(7−7)のいずれかに記載の変色抑制剤。
(7−9)前記酸化チタンを含有するコーティング用組成物が、ショ糖を含有しない組成物である、(7−1)〜(7−8)のいずれかに記載の変色抑制剤。
(7−10)前記酸化チタンを含有するコーティング用組成物が、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンの他に、酸化チタンの光による変色を抑制する効果をもつ物質を含有しない組成物である、(7−1)〜(7−9)のいずれかに記載の変色抑制剤。
(7−11)変色抑制剤の有効成分として、結晶セルロース、クロスポビドン及び/又はアルブミンの合計量を、酸化チタン100質量部に対して50質量部以上となるように含有させる、(7−1)〜(7−10)のいずれかに記載の変色抑制剤。
(7−12)変色抑制剤の有効成分として、結晶セルロース、クロスポビドン及び/又はアルブミンの合計量を、酸化チタン100質量部に対して60〜600質量部となるように含有させる、(7−1)〜(7−11)のいずれかに記載の変色抑制剤。
(7−12)変色抑制剤も含めた組成物全体に対して、変色抑制剤の有効成分として結晶セルロース、クロスポビドン及び/又はアルブミンの合計量を、2.5〜75質量%含有させる、(7−1)〜(7−12)のいずれかに記載の変色抑制剤。
(7−21)結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする、錠剤のコーティング用の酸化チタンの変色抑制剤。
(7−22)錠剤のコーティング層として100μm以下の厚みの皮膜を形成するための、(7−21)に記載の変色抑制剤。
(7−23)速崩壊性錠剤のコーティング用、好ましくは口腔内崩壊錠剤(素錠)のコーティング用の(7−21)又は(7−22)に記載の変色抑制剤。
(7−31)結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする、コーティング皮膜に酸化チタンを含有するコーティング錠剤の変色抑制剤。
(7−32)前記コーティング皮膜の厚みが100μmであるコーティング錠剤のための(7−31)に記載の変色抑制剤。
(7−33)前記コーティング錠剤が速崩壊性錠剤、好ましくは口腔内崩壊錠剤(素錠)である、(7−32)又は(7−33)に記載の変色抑制剤。
(7−41)酸化チタンを含有するコーティング用組成物の変色抑制剤の製造における結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つの使用。
(7−42)錠剤のコーティング用の、酸化チタンの変色抑制剤の製造における結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つの使用。
(7−43)コーティング皮膜に酸化チタンを含有するコーティング錠剤の変色抑制剤の製造における結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つの使用。
本発明によれば、錠剤のコーティングの光による色調の変化を抑制する、酸化チタンを含有するコーティング用組成物、コーティング液、コーティング錠剤、コーティング錠剤の製造方法、酸化チタンの光による変色を抑制する方法、及び酸化チタンの変色抑制剤を提供することが可能となる。
本発明によれば、変色抑制のために表面処理した酸化チタンが効果不十分な場合、特に、酸化チタンが水及び/又はアルコールに分散して用いられるような場合においても、簡易に効果を発揮するという利点がある。
本発明のコーティング用組成物は、速崩壊性が求められる錠剤にも適用可能である。
本発明の第一の態様は、酸化チタン並びに結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを必須成分として含有することを特徴とする、錠剤のコーティング用組成物である。
上記コーティング用組成物は、酸化チタンの光による変色が抑制される効果を有する。また、上記コーティング用組成物を用いてコーティング錠剤を製造すると、コーティングの光による変色が抑制される効果を有する。
本発明においてコーティングとは、錠剤(素錠など)の表面に皮膜を施すこと、あるいは、その施された皮膜(コーティング層、コーティング皮膜ともいう)のことをいう。本発明では、コーティングを施した錠剤をコーティング錠剤という。
本発明において、光による変色とは、被験物に対してD65ランプ(照度5000Lux)で光安定性試験を行ったときの色調の変化をいう。
本発明において、光による変色を抑制するとは、被験物に対してD65ランプ(照度5000Lux)で光安定性試験を行ったときの色調の変化を、光照射直後に観察し、光照射後の被験物の色調が、光照射前と比較して変化していないことをいう。もしくは、光照射後の被験物の色調が、光照射していない対照と比較して違いがないことをいう。
酸化チタンの光による変色は、暗所に置くと元の色に戻ることが知られているため、色調の変化の観察は光照射直後に行う。
本発明において、光とは、紫外線を含むことが好ましい。
本発明におけるコーティング用組成物は、酸化チタンを必須成分として含有する。酸化チタンとは、酸化チタン(IV)、化学式はTiO2、チタンの酸化物であり、無機化合物である。二酸化チタン、チタニアともいわれる。
酸化チタンの結晶型には、アナターゼ(Anatase)、ルチル(Rutile)、ブルカイト(Brookite)の3種類がある。このうち、一般によく利用されているのは、アナターゼ型とルチル型である。本発明では、酸化チタンはアナターゼ型又はルチル型が望ましい。
酸化チタンは白色の着色剤である。酸化チタンを含有するコーティングを錠剤に施すことにより、コーティング錠剤の外観を向上させたり、遮光による主薬の保存安定性を向上させることができる。
本発明におけるコーティング用組成物は、酸化チタンを、コーティング用組成物を基準として5質量%以上含有するのが好ましく、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは5〜45質量%、さらに好ましくは10〜45質量%、とりわけ好ましくは15〜40質量%である。
酸化チタンは市場から容易に入手することができる。例えば、KA-10(チタン工業)、酸化チタン(東邦チタニウム)等が挙げられる。
本発明で用いられる酸化チタンは、シリカもしくはアルミナ、あるいはリン酸塩などで表面処理した酸化チタンであってもよい。例えば、KR-380(チタン工業株式会社)、NA65(東邦チタニウム株式会社)等が挙げられる。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物は、酸化チタンの光による変色を抑制する効果を有する物質として、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンの少なくとも1つを必須成分として含有する。
結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンは、本発明の実施例において、酸化チタンの光による変色抑制効果が確認された。
本発明の一つの態様は、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンの少なくとも1つを有効成分とする、酸化チタンを含有するコーティング用組成物の変色抑制剤である(これらの物質を本明細書において変色抑制剤ということがある)。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物は、複数の変色抑制剤を組み合わせて含有する態様も好ましい。好ましい変色抑制剤の組合せは、結晶セルロース及びクロスポビドンである。
本発明において、結晶セルロースとは、α−セルロースを鉱酸で部分的に解重合し精製したものをいう。本発明において、結晶セルロースの粒子径は特に制限されず、微粒子の結晶セルロース(微結晶セルロース)も含む。
結晶セルロースは市場から容易に入手することができる。例えば、セオラスKG-802、セオラスPH-101(旭化成ケミカルズ株式会社)等が挙げられる。
クロスポビドンは、1−ビニル−2−ピロリドンの架橋重合物である。水にほとんど溶けない。医薬品の添加物として崩壊剤として用いられる。
クロスポビドンは市場から容易に入手することができる。例えば、コリドンCL(BASFジャパン)、ポリプラスドンXL(アイエスピー・ジャパン)等が挙げられる。
アルブミンとは、動・植物の細胞、体液中に含まれる、一群の可溶性タンパク質の総称である。代表的なものは、卵白に含まれるオボアルブミン、乳中のラクトアルブミンなどがある。医薬品の添加物としては、ニワトリの卵白を脱糖処理して噴霧乾燥したアルブミンが利用可能である。
アルブミンは市場から容易に入手することができる。例えば、アルブミン(和光純薬)等が挙げられる。
本発明の変色抑制剤は、効果を発現させるため、酸化チタン100質量部に対して、50質量部以上用いることが好ましい。好ましくは50〜800質量部、より好ましくは60〜600質量部、さらに好ましくは60〜400質量部で用いられることが好ましい。
また、本発明の変色抑制剤は、コーティングの厚みを薄くするという観点からは、酸化チタン100質量部に対して、200質量部以下で用いる態様も好ましく、より好ましくは150質量部以下である。一層好ましくは60〜200質量部、さらに一層好ましくは70〜150質量部である。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物は、本発明の変色抑制剤をコーティング用組成物を基準として2.5〜75質量%含有することが好ましく、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%、とりわけ好ましくは15〜45質量%である。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物は、錠剤のコーティングとして、100μm以下の厚みの皮膜を形成するためのコーティング用組成物である態様も好ましい。錠剤のコーティング皮膜を薄くすることは、参考例4−1〜4−3に示すとおり、同じ組成のコーティング用組成物でコーティングした場合、コーティングの層厚を薄くするに従い、コーティング錠剤の崩壊時間が短くなるというメリットがある。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物を用いて、錠剤のコーティングとして、100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、とりわけ好ましくは20μm以下の厚みの被覆を形成することができる。
特に、好ましくは、1〜100μm、より好ましくは、1〜50μm、さらに好ましくは1〜30μm、とりわけ好ましくは2〜20μmである。
また、好ましくは厚みが5μm以上であり、好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜50μm、とりわけ好ましくは10〜30μmである。
本発明のコーティング用組成物を用いて形成される錠剤のコーティング(皮膜)は、最外層であるのが好ましい。
ここで、コーティングの層厚は、科学・工業分野において通常使用される方法および機器を使用して測定することができる。以下の方法が例示されるが、これらの方法に限定されるものではない。
コーティング錠剤をカッターで切断した断面をデジタルマイクロスコープや走査型電子顕微鏡で観察してコーティング層の厚みを複数箇所で測定し、それらの測定値の平均値を層厚とする。測定箇所は任意の2ヶ所以上が好ましく、任意の3ヶ所以上がさらに好ましく、通常は任意の3ヶ所の測定値の平均値で十分である。
また、例えば、コーティング錠剤を近赤外/中赤外/遠赤外イメージングシステムやテラヘルツイメージングシステムを用い、各システムの測定方法に準じて非侵襲的に層厚分布を測定し、それらの測定値の平均値を層厚とする。例えば、近赤外イメージングシステムとしてMatrixNIRTMシステム(スペクトラルディメンションズ社(Spectraldimentions))、Spotlight 400N(パーキンエルマー社(PerkinElmer))、近赤外/中赤外/遠赤外イメージングシステムとしてFrontier FT IR/NIR/MIR/FIRシステム(パーキンエルマー社)等が、テラヘルツイメージングシステムとしてTAS7500テラヘルツイメージングシステム(株式会社アドバンテスト)、TPI Image 2000(テラビュー社(TeraView))等が挙げられる。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物は、さらに糖類または糖アルコールを含有する態様も望ましい。(本発明において、糖類または糖アルコールをまとめて「糖類」ということがある)。このとき、錠剤のコーティングとして薄くてなめらかな皮膜を形成するために、本発明の第一の態様のコーティング用組成物は、さらに平均粒径が0.1〜50μm、好ましくは1〜20μm、より好ましくは5〜10μmの水不溶性無機塩類、ケイ酸化合物、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルを含有する態様も望ましい。糖類が該水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルを良好に取り込み、薄くてなめらかな皮膜を形成することができる。
すなわち、本発明の第一の態様のコーティング用組成物が、糖類並びに該水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルを含有する態様は、錠剤のコーティングとして、100μm以下の厚みのなめらかな皮膜を形成するためのコーティング用組成物として好ましい。
好ましい糖類としては、マンニトール、トレハロース、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ソルビトールなどが挙げられる。これらの糖類を用いることにより、錠剤の取扱い性がよい。
さらに好ましい糖類は、トレハロース、エリスリトール及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも1つである。とりわけ好ましくは、トレハロース及び/又はエリスリトールである。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物は、複数の種類の糖類が用いられてもよい。
トレハロースは、グルコースが1,1-グリコシド結合してできた二糖の一種であり、常温常圧で白色の粉末状の結晶である。トレハロースとしては、α、α-トレハロース、α、β-トレハロース及びβ、β-トレハロースのいずれを用いてもよいが、天然に存在するα、α-トレハロースを用いるのが好ましい。また、含水結晶化物をもちいてもよい。
一方、ショ糖(スクロース)は、う蝕(むし歯)の問題があり、カロリーが高く、また変色の可能性もあるため、本発明の組成物は、ショ糖を含有しないことが望ましい。これらの糖類または糖アルコールは市場から容易に入手することができる。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物が糖類または糖アルコールを含有するとき、糖類または糖アルコールがコーティング用組成物全体の10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上である。また、好ましくは、10〜70質量%、より好ましくは、10〜60質量%、さらに好ましくは15〜50質量%、とりわけ好ましくは15〜40質量%である。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物で用いる水不溶性無機化合物としては、ケイ酸化合物が好ましい。ケイ酸化合物としては、例えば、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、カオリン、ケイ酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸などが挙げられ、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムがとりわけ望ましい。
ケイ酸化合物以外の無機化合物としては、例えば、乾燥水酸化アルミニウムゲル、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛が挙げられる。また、水不溶性無機塩類としては、例えば、第三リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物で用いる水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルとしては、例えば、ステアリン酸またはその塩、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。上記の水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルは市場から容易に入手することができる。例えば、タルクとしては、ハイフィラー#7(松村産業株式会社、レーザー回折法による平均粒径5μm)、ハイフィラー#12(松村産業株式会社、レーザー回折法による平均粒径3μm)、ハイフィラー#17(松村産業株式会社、レーザー回折法による平均粒径7.4μm)、UMタルク(Luzenac Pharma、レーザー回折法による平均粒径3.6μm)、Mタルク(Luzenac Pharma、レーザー回折法による平均粒径4.7μm)等が挙げられる。メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとしては、ノイシリンタイプFH1(富士化学工業株式会社、レーザー回折法による平均粒径10.7μm)、ノイシリンタイプFL1(富士化学工業株式会社、レーザー回折法による平均粒径5.4μm)、ノイシリンタイプUFL2(富士化学工業株式会社、レーザー回折法による平均粒径4.3μm)等が挙げられる。フマル酸ステアリルナトリウムとしては、プルーブ(JRS Pharma、レーザー回折法による平均粒径22μm)、プルーブCG(JRS Pharma、レーザー回折法による平均粒径35μm)等が挙げられる。
ここで水不溶性とは、日本薬局方における定義で、100号(150μm)ふるいを通過する細末とした後、溶媒中に入れ、20±5℃で、5分ごとに強く 30秒間振り混ぜるとき、30分以内に溶ける度合いであり、極めて溶けにくい(溶質1gを溶解するのに必要な溶媒量が1000ml以上かつ10000ml未満)及び殆ど溶けない(10000ml以上)を意味する。
本発明で用いる水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルの平均粒径は0.1〜50μmであり、好ましくは1〜20μm、より好ましくは5〜10μmである。また、平均粒径はコーティング皮膜の厚さの80%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは20%以下であることが望ましい。平均粒径は、例えば、レーザー回折・散乱式 粒子径・粒度分布測定装置(例えば、マイクロトラックMT3100 II(日機装株式会社))を用いたレーザー回折の方法により容易に測定することができる。
本発明の第一の態様のコーティング組成物は、一つの態様として、該水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルを、本発明のコーティング組成物を基準として、5〜60質量%含有させるのが好ましく、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%、とりわけ好ましくは15〜35質量%含有させるのも好ましい。
第一の態様のコーティング用組成物が、糖類並びに該水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルを含有するとき、糖類並びに該水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルの質量の和が、本発明のコーティング用組成物全体の20〜60質量%であることが好ましく、さらに好ましくは25〜55質量%である。
この態様において、本発明のコーティング用組成物中、糖類:水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルを1:4〜4:1(質量比)の範囲で用いるのが好ましく、1:3〜3:1(質量比)の範囲で用いるのがより好ましく、さらに好ましくは、1:2〜2:1(質量比)の範囲である。
このとき本発明の第一の態様のコーティング用組成物において、本発明のコーティング組成物全体に対する各成分の好ましい割合は、糖類並びに該水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルの質量の和が20〜60質量%、酸化チタンが5〜50質量%、変色抑制剤が2.5〜75質量%である。
より好ましくは、糖類並びに該水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルの質量の和が25〜55質量%、酸化チタンが15〜40質量%、変色抑制剤が10〜50質量%である。
上記成分に加えて、本発明の第一の態様のコーティング用組成物には、本発明の効果に影響を与えない限り、製剤学的に許容しうる種々の添加剤を含有させることができる。このような成分としては、例えば、糖類、糖アルコール、有機結合剤及び/又は水溶性高分子、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、甘味剤、矯味剤、着香剤・香料、流動化剤、pH調整剤、着色剤、安定化剤、光安定化剤、防湿剤、吸着剤等が挙げられる。
有機結合剤及び/又は水溶性高分子としては、例えば、例えば、アラビアゴム末、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(HPMC2208)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906(HPMC2906)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(HPMC2910)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、トウモロコシデンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、ゼラチン、キサンタンガム、トラガント、トラガント末、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000、ポリオキシエチレン[105]ポリオキシプロピレン[5]グリコールなどが挙げられる。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物が、アラビアゴム末及びキサンタンガムを含有しない態様も望ましい。これらの物質は水分で粘性を示す性質があり、コーティング皮膜にこれらの物質を含有するコーティング錠はぬめり感や崩壊遅延を生じやすい。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(HPMC2208)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906(HPMC2906)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(HPMC2910)、ヒドロキシエチルセルロースを含有しない態様も好ましい。コーティング皮膜にこれらの物質を含有するコーティング錠は、湿度が高い場合に錠剤と錠剤が接着することがある。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物が、特に、速崩壊性が求められる錠剤のコーティングとして用いられるとき、崩壊遅延の原因となりうる物質を含有させる場合には、錠剤の速崩壊性に影響を与えない含量を用いることが好ましい。
錠剤の速崩壊性に影響を与えない含量とは、コーティング用組成物全体の、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、とりわけ好ましくは5%質量以下である。
賦形剤としては、例えば、沈降炭酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロサイト、乾燥水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシスターチナトリウムなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、カルナウバロウ、L−ロイシン、マクロゴールなどが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、硬化油、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(PEP101)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。
甘味剤としては、例えばアスパルテーム、アマチャ、果糖、キシリトール、グリチルリチン酸またはその塩、サッカリン、スクラロース、ステビアエキス、白糖、D-ソルビトール、ブドウ糖、マルチトール、D-マンニトールなどが挙げられる。
嬌味剤としては、例えばアスコルビン酸またはその塩、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、クエン酸またはその塩、グリシン、グルコノ-δ-ラクトン、L-グルタミン酸またはその塩、コハク酸またはその塩、β-シクロデキストリン、酒石酸またはその塩、脱脂粉乳、炭酸水素ナトリウム、乳酸またはその塩、フマル酸またはその塩、メントール、DL-リンゴ酸またはその塩などが挙げられる。
流動化剤としては、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、セッコウ、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム、トウモロコシデンプン、リン酸水素カルシウム造粒物、およびグリセリルモノステアレート等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、トコフェロール、シクロデキストリン等が挙げられる。
光安定化剤としては、例えば、水溶性食用タール色素(食用黄色5号、食用青色2号等)、水不溶性レーキ色素(水溶性タール色素の塩類)、リボフラビン、クロロフィル、タルク、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどが挙げられる。本発明のコーティング用組成物は、光安定化剤を含有する態様も好ましい。
防湿剤としては、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、精製セラック、セラフェート、白色セラックなどが挙げられる。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物は、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンの他に、酸化チタンの光による変色を抑制する効果を持つ物質を含有しない態様も望ましい。
すなわち、本発明のコーティング用組成物中、酸化チタンの光による変色を抑制する効果をもつ物質は、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる1以上のみとする態様である。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物は、上記成分を水及び/又はアルコールに溶解・分散してなる、錠剤のコーティングを形成するためのコーティング液として用いるのが好ましい。
この際、本発明の一つの態様では、本発明のコーティング液中、本発明の第一の態様のコーティング用組成物の固形分濃度として、1〜60質量%濃度、好ましくは1〜40質量%濃度、より好ましくは2〜30質量%、とりわけ好ましくは、2〜20質量%濃度で含有するように調製することも好ましい態様である。
変色抑制のために表面処理した酸化チタンは、上記のように比較的固形分濃度が低いコーティング液に含有させると、表面処理が外れて変色抑制の効果が得られない可能性がある。しかし、本発明の第一の態様のコーティング用組成物は、比較的固形分濃度の低いコーティング液とした場合でも酸化チタンの変色を抑制する効果を発揮する利点がある。
本発明のコーティング液に用いるアルコールとしては低級アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールなどを使用することができ、エタノール、特に無水エタノールが好ましい。ここでエタノールとは、エタノール95容量%以上を含有するもの、無水エタノールとはエタノール99.5容量%以上を含有するものを意味する。水:アルコールは1:1〜20:1、好ましくは2:1〜10:1、より好ましくは3:1〜5:1の範囲である。さらにコーティング液の界面張力を低下させる界面張力調製剤、例えば非イオン性界面活性剤を添加することもできる。アルコール溶液を使用した場合は、コーティング後の乾燥が短時間で行うことができ、製造上有利である。
本発明のコーティング液は、本発明の第一の態様のコーティング用組成物の成分を、水に溶解・分散する態様も望ましい。
本発明のコーティング錠剤の製造方法を説明する。
本発明のコーティング錠剤の製造方法は、酸化チタン並びに結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを必須成分として含有するコーティング用組成物を水及び/又はアルコールに溶解・分散したコーティング液を、錠剤の表面に施してコーティング層を形成することを特徴とする、コーティング錠剤の製造方法である。
すなわち、本発明では、本発明のコーティング液を、常法、例えばスプレーコーティング法により、錠剤に、一定の厚みとなるように施してコーティング皮膜を形成することによりコーティング錠剤を製造するのが好ましい。
本発明の一つの態様では、コーティングの厚みは、100μm以下の厚み、好ましくは2〜50μm、より好ましくは5〜20μmの厚みとなるように形成することも好ましい。
市販のパンコーティング装置、流動層コーティング装置、通期式回転ドラムコーティング装置等を使用することができ、特に通期式回転ドラムコーティング装置が適している。
本発明では、本発明のコーティング液を、錠剤の表面に単一層のコーティング層として付与するのが好ましい。
本発明の一つの態様では、素錠と上記コーティング液で形成された層との間に、及び/又は、コーティング液で形成された層の外側に、1層又は複数の追加のコーティング層(以下、「追加のコーティング層」という)を設けることもできる。
このように、錠剤のコーティングが、本発明のコーティング液で形成された層を含む複数の層で形成される場合、本発明の一つの態様として、速崩壊性の錠剤をコーティングする場合には、コーティング層の合計の厚みが100μm以下、さらには50μm以下であるのが好ましい。
本発明において設けることができる追加のコーティング層としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、追加のコーティング層が酸化チタンを含有する場合には、本発明の変色抑制剤を含有させることが好ましい。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物を適用する錠剤は、コーティングの必要のある錠剤であれば特に限定されない。
本発明の一つの態様としては、本発明のコーティング用組成物は、速崩壊性が求められる錠剤に適用されることも好ましい。
速崩壊性が求められる錠剤としては、例えば、口腔内崩壊錠剤(素錠)、発泡錠、溶解錠、その他崩壊時間の短い錠剤が挙げられる。
本発明において、錠剤の崩壊時間が短いとは、第十六第十六改正日本薬局方製剤試験法6.09の崩壊試験法で崩壊試験を行ったとき、錠剤が完全に溶解するまでの時間が3分以下であり、好ましくは2分以下、より好ましくは60秒以下、さらに好ましくは40秒以下、とりわけ好ましくは20秒以下である。
本発明のコーティング用組成物を口腔内崩壊錠剤(素錠)に適用する場合、口腔内崩壊錠剤(素錠)としては、通常、当業界で口腔内崩壊錠剤(素錠)として使用されている範囲内のものであれば特に限定されないが、好ましくは、第十六改正日本薬局方製剤総則記載1.1.1に定義される口腔内崩壊錠であり、口腔内の唾液又は少量の水により速やかに口腔内で溶解または崩壊させて服用できる口腔内崩壊錠剤を用いることができる。また、後述の試験例3の口腔内崩壊錠試験器を用いる方法で測定した崩壊時間が60秒以下、好ましくは40秒以下、より好ましくは20秒以下のものがあげられる。
口腔内崩壊錠剤(素錠)としては、例えば、特開平5−271054号公報に記載の薬効成分と糖類と前記糖類の粒子表面が湿る程度の水分とを含む混合物を打錠して製造される口腔内溶解型錠剤、WO95/20380号公報に記載の成形性の低い糖類及び成形性の高い糖類を含有してなり、口腔内において速やかな崩壊性と溶解性を有する口腔内溶解型圧縮成型物、WO99/47124号公報に記載の薬物、糖類(A)および非晶質になりうる糖類を医薬的に許容される溶媒に溶解し、該溶解液から溶媒を除去し乾燥して得られる非晶質の糖類(B)からなる混合物を、成形後加湿乾燥して製造される口腔内速崩壊錠、WO2002/092057号公報に記載の薬物、稀釈剤、および前記薬物と前記稀釈剤より相対的に融点の低い糖類を含有してなり、該融点の低い糖類が錠剤中に均一に配合され、前記薬物および/または前記稀釈剤粒子を、該融点の低い糖類の溶融固化物により架橋を形成して製造される口腔内速崩壊性錠剤、特開2001−328948号公報に記載のゆるめ嵩密度が0.40g/ml以上で、かつ固め嵩密度が0.60g/ml以上である低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及び糖・糖アルコールを含有する固形製剤を用いることができ、これらの口腔内崩壊錠剤(素錠)は、上記特許文献に記載の方法により容易に製造することができる。また、特表平5−500956号公報に記載の発泡性崩壊剤を含有させることもできる。
これらのうち、口腔内崩壊錠剤(素錠)としては、活性成分である薬剤に加えて、マンニトール、キシリトール、結晶セルロース、クロスポビドンおよびメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等からなる群から1種類以上を含有するものが好ましい。
本発明の第一の態様のコーティング用組成物を施してなるコーティング錠剤の形および大きさは特に限定されないが、服用し易さの観点から直径5〜15mm程度、厚さ2〜5mm程度の円形錠、楕円形錠、花形錠等であるのが好ましい。また、必要に応じて錠剤を2ないし4分割できるような1ないし2本の割線を設けることもできる。
本発明のコーティング錠剤に含有される有効成分は特に限定されないが、口腔内崩壊錠として市販されている有効成分(ドロキシドパ、シロスタゾール、セレギリン塩酸塩、アカルボース、ボグリボース、グリメピリド、ピオグリダゾン、アムロジピン、ミドドリン塩酸塩、エバスチン、オロパタジン塩酸塩、セチリジン塩酸塩、フェキソフェナジン塩酸塩、ベポタスチンベシル酸塩、イミダフェナシン、コハク酸ソリフェナシン、タムスロシン塩酸塩、ナフトピジル、ファモチジン、ランソプラゾール、イルソグラジンマレイン酸塩、沈降炭酸カルシウム、ポラプレジンク、レバミピド、タルチレリン水和物、ラモセトロン塩酸塩、リスペリドン、ブロチゾラム、ガランタミン臭化水素酸塩、ガランタミン臭化水素酸塩、等)、薬理活性が高く、医療従事者や介護者等の患者以外が直接手を触れてさらされることが好ましくない有効成分(ノルエチステロン、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル、メチルテストステロン、ジドロゲステロン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル、プレグナンジオール、唾液腺ホルモン、ジエナゲスト、等のホルモン様物質、ベタメタゾン、プレドニゾロン等のコルチコイド、プロスタノイド類、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、等)あるいは光り安定性が低く遮光が必要な有効成分(ニフェジピン、ベニジピン、シルニジピン等のジヒドロピリジン降圧薬、ノルフロキサシン、オフロキサシン、等のニューキノロン系抗菌薬、カルマバゼピン、ビタミン類、等)があげられる。
さらに、これらの有効成分に限定されるものではなく、漢方薬、OTC薬、特定保健用食品あるいは健康食品にも本発明の第一の態様のコーティング組成物を適用することができる。
本発明の第五の態様は、酸化チタンを含有するコーティング用組成物に、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含有させる、酸化チタンを含有するコーティング用組成物の光による変色を抑制する方法である。
本発明の第五の態様における酸化チタンを含有するコーティング用組成物は、酸化チタンを必須成分として含有する組成物であり、水及び/又はアルコールに溶解・分散して、医薬品、医薬部外品、健康食品などのコーティングに用いられる。
本発明の酸化チタンを含有するコーティング用組成物は、好ましくは、錠剤のコーティングに用いられる、錠剤のコーティング用組成物である。
酸化チタンを含有するコーティング用組成物については、第七の態様においてさらに詳しく述べる。
本発明の方法に用いられる酸化チタン、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンの説明は、本発明の第一の態様の発明に記載したとおりである。
本発明の方法に用いられる酸化チタン及び本発明の変色抑制剤の含有量は、本発明の第一の態様のコーティング用組成物の記載に準ずる。
すなわち、本発明の効果を得ようとする組成物全体に対して、酸化チタンを5〜50質量%含有させるのが好ましく、より好ましくは5〜45質量%、さらに好ましくは10〜45質量%、とりわけ好ましくは15〜40質量%含有させるのが好ましい。
本発明の効果を得ようとする組成物全体に対して、本発明の変色抑制剤を2.5〜75質量%含有させるのが好ましく、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%、とりわけ好ましくは15〜45質量%含有させるのが好ましい。ここで、複数の変色抑制剤が用いられる場合には、ここでいう変色抑制剤の質量とは、各物質の質量の和である。
本発明の方法に用いられる酸化チタンと本発明の変色抑制剤の含有量の好ましい割合は、本発明の第一の態様のコーティング用組成物の各成分の割合に準ずる。
本発明の方法においては、組成物中に酸化チタンと本発明の変色抑制剤とを含有させるタイミングは特に限定されず、酸化チタンを含有させるタイミングは、変色抑制剤を含有させるタイミングの前であっても後であってもよい。
本発明の方法においては、変色を抑制する効果を高めるため、組成物中、酸化チタンと変色抑制剤とは混合されることが望ましい。
本発明の方法において、本発明の酸化チタンを含有する組成物には、酸化チタン、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンの他、本発明の効果に影響を与えない限り、製剤学的に許容しうる種々の添加剤を含有させることができる。このような成分としては、例えば、糖類、糖アルコール、有機結合剤及び/又は水溶性高分子、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、甘味剤、矯味剤、着香剤・香料、流動化剤、pH調整剤、着色剤、安定化剤、光安定化剤、防湿剤、吸着剤等が挙げられる。
本発明の酸化チタンを含有するコーティング用組成物は、好ましくは、本発明の第一の態様に記載の構成を有する錠剤のコーティング用組成物である。
本発明の一つの態様は、本発明の第一の態様のコーティング用組成物を水及び/又はアルコールに溶解・分散したコーティング液を、錠剤の表面に施してコーティング層を形成することを特徴とする、コーティング皮膜に酸化チタンを含有するコーティング錠剤の光による変色を抑制する方法である。
この方法は、本発明の第一の態様のコーティング用組成物、コーティング液、コーティング錠剤についての前述の説明に準じて実施することができる。
本発明の第六の態様は、酸化チタンと、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを共存させる工程を含む、酸化チタンの光による変色を抑制させる方法である。
この方法についても、本発明の第一の態様のコーティング用組成物、コーティング液、コーティング錠剤についての前述の説明に準じて実施することができる。効果を得るのに必要な、酸化チタン、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンの好ましい量は、前述の説明に準ずる。
本発明の第七の態様は、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする、酸化チタンを含有するコーティング用組成物の変色抑制剤である。
また、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする、錠剤のコーティング用の、酸化チタンの変色抑制剤である。
本発明の第七の態様の変色抑制剤は、有効成分として、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有する。
これらの物質の詳細は、本発明の第一の態様に記載したとおりである。
本発明の第七の態様における酸化チタンを含有するコーティング用組成物は、酸化チタンを必須成分として含有する組成物であり、第一の態様に記載のコーティング用組成物の特徴が準用される。
本発明の酸化チタンを含有するコーティング用組成物は、好ましくは、錠剤のコーティングに用いられる錠剤のコーティング用組成物である。さらに好ましくは、錠剤のコーティング層として100μm以下の厚みの皮膜を形成するためのコーティング用組成物である。
酸化チタンの含有量は、本発明の第一の態様に記載のコーティング用組成物の酸化チタンの含有量に準じ、酸化チタンを含有するコーティング用組成物全体に対して、酸化チタンを5〜50質量%含有させるのが好ましく、より好ましくは5〜45質量%、さらに好ましくは10〜45質量%、とりわけ好ましくは15〜40質量%である。
酸化チタンを含有するコーティング用組成物は、さらに糖類又は糖アルコールを含有する組成物であることが好ましい。このとき、錠剤のコーティングとして薄くてなめらかな皮膜を形成するために、さらに平均粒径が0.1〜50μm、好ましくは1〜20μm、より好ましくは5〜10μmの水不溶性無機塩類、ケイ酸化合物、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルを含有する態様も望ましい。すなわち、好ましくは、酸化チタンを含有するコーティング用組成物が、糖類並びに該水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルを含有する態様であり、錠剤のコーティングとして、100μm以下の厚みの皮膜を形成するためのコーティング用組成物としても好ましい。
糖類並びに該水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルについては、本発明の第一の態様の説明のとおりであり、組成物中の好ましい含有量や含有比率も本発明の第一の態様の説明に準じる。
酸化チタンを含有するコーティング用組成物は、好ましくは、速崩壊性錠剤に用いられるための組成物であり、より好ましくは口腔内崩壊錠剤(素錠)に用いられるための組成物である。速崩壊性の錠剤や口腔内崩壊錠剤は前述のとおりである。
酸化チタンを含有するコーティング用組成物は、ぬめりや崩壊遅延を避けるため、アラビアゴム末及びキサンタンガムを含有しない組成物であることも好ましい。
湿度が高い場合にコーティング錠剤の間の接着を避けるため、酸化チタンを含有するコーティング用組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースを含有しない組成物であることも好ましい。
ショ糖(スクロース)は、う蝕(むし歯)の問題があり、カロリーが高く、また変色の可能性もあるため、酸化チタンを含有するコーティング用組成物は、ショ糖を含有しないことが望ましい。
酸化チタンを含有するコーティング用組成物は、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンの他に、酸化チタンの光による変色を抑制する効果をもつ物質を含有しない組成物である態様も好ましい。
酸化チタンを含有するコーティング用組成物には、本発明の効果に影響を与えない限り、製剤学的に許容しうる種々の添加剤を含有させることができる。
結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする変色抑制剤は、有効成分の必要な量を、酸化チタンを含有するコーティング用組成物に含有させることにより、酸化チタンを含有するコーティング用組成物の光による変色を抑制する効果を発揮する。
本発明の変色抑制剤が効果を発揮するのに必要な量は、本発明の第一の態様の記載における、コーティング用組成物中の変色抑制剤の含有率、あるいは、酸化チタンと変色抑制剤の含有される割合に準ずる。すなわち、本発明の変色抑制剤の有効成分として、結晶セルロース、クロスポビドン及び/又はアルブミンの合計量を酸化チタン100質量部に対して50質量部以上、好ましくは50〜800質量部、より好ましくは60〜600質量部、さらに好ましくは60〜400質量部となるように含有させることが好ましい。また、酸化チタン100質量部に対して、200質量部以下で含有させる態様も好ましく、より好ましくは150質量部以下である。一層好ましくは60〜200質量部、さらに一層好ましくは70〜150質量部である。
酸化チタンを含有するコーティング用組成物に本発明の変色抑制剤を含有させた組成物全体に対して、本発明の変色抑制剤の有効成分として結晶セルロース、クロスポビドン及び/又はアルブミンの合計量を2.5〜75質量%含有させることが好ましく、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%、とりわけ好ましくは15〜45質量%である。
本発明の変色抑制剤は、酸化チタンを含有するコーティング用組成物に含有させた後、上記成分を水及び/又はアルコールに溶解・分散したコーティング液を、錠剤の表面に施してコーティング層を形成させる。本発明の変色抑制剤は、錠剤のコーティングとして100μm以下の厚みの皮膜を形成するようにコーティングすることが好ましい。
コーティング液中、変色抑制剤も含めたコーティング用組成物の固形分濃度として、1〜60質量%濃度、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは2〜30質量%、とりわけ好ましくは2〜20質量%濃度で含有するように調製することも好ましい。コーティング液は、例えば、スプレーコーティング法などにより、錠剤に一定の厚みとなるように施してコーティング皮膜を形成することによりコーティング錠剤を製造する。
錠剤のコーティングとして100μm以下、より好ましくは50μm以下の厚みの被覆を形成することができる。特に、好ましくは5〜100μm、より好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜50μm、とりわけ好ましくは10〜30μmである。これらは第一の態様のコーティング用組成物の使用方法に準ずる。
本発明の一つの態様は、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有させることを特徴とする、コーティング皮膜に酸化チタンを含有するコーティング錠剤の変色抑制剤である。
また、コーティング皮膜の厚みが100μmであるコーティング錠剤のための変色抑制剤である態様も好ましい。
また、コーティング皮膜に酸化チタンを含有する速崩壊性錠剤、好ましくは口腔内崩壊錠剤(素錠)のための変色抑制剤である態様も好ましい。
本発明の変色抑制剤は、錠剤のコーティング皮膜に含有させることにより、酸化チタンを含有するコーティングの変色を抑制することができる。
本発明の変色抑制剤は、必要な量を、酸化チタンを含有するコーティング用組成物に含有させて、これを水及び/又はアルコールに溶解・分散したコーティング液を、錠剤のコーティング層として形成することにより、本発明の変色抑制剤を錠剤のコーティング皮膜に含有させることができ、酸化チタンを含有するコーティングの変色を抑制することができる。
酸化チタンを含有するコーティング用組成物、この組成物中の酸化チタンの含有量、変色抑制剤が効果を発揮するのに必要な量は、前述のとおりである。
またコーティング用組成物からのコーティング液の製造、コーティング錠剤の製造も前述の説明に準ずる。
次に、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<素錠の製造>
(1)素錠A
以下の成分を秤量し、混合後打錠して直径6.5mm、厚さ3.2mmの素錠A約100mg/錠を約9kg(約9万錠)得た。
D―マンニトール、キシリトール、結晶セルロース、クロスポビドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム混合物(製品名エフメルトタイプM:富士化学工業) 7.200kg
結晶セルロース(セオラスPH―101:旭化成ケミカルズ) 2.100kg
クロスポビドン(製品名Kollidon CL−F:BASF) 0.500kg
タルク(製品名ハイフィラー#17 松村産業) 0.200kg
ステアリン酸マグネシウム(製品名ステアリン酸マグネシウム植物性:大平化学産業) 0.025kg
(2)素錠B
以下の成分を秤量し、混合後打錠して直径6.5mm、厚さ3.2mmの素錠B約100mg/錠を約9kg(約9万錠)得た。
D―マンニトール、キシリトール、結晶セルロース、クロスポビドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム混合物(エフメルトタイプM:富士化学工業) 7.200kg
結晶セルロース(セオラスPH―101:旭化成ケミカルズ) 2.100kg
クロスポビドン(Kollidon CL−F:BASF) 0.500kg
タルク(ハイフィラー#17 松村産業) 0.200kg
フマル酸ステアリルナトリウム(PRUV:木村産業) 0.100kg
(3)素錠C
以下の成分を秤量し、混合後打錠して直径6.5mm、厚さ3.2mmの素錠C約100mg/錠を約90kg(約90万錠)得た。
ジエノゲスト0.900kg、D―マンニトール(パーテックM100:メルク) 64.980kg、結晶セルロース(セオラスPH―101:旭化成ケミカルズ) 18.000kg、クロスポビドン(Kollidon CL−F:BASF) 4.500kg、タルク(ハイフィラー#17 松村産業) 1.800kg、ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム植物性:大平化学産業) 0.720kg
参考例1及び実施例1
<コーティング>
いずれも100μm以下の厚みのコーティングを施した。
参考例1−1
トレハロース(製品名トレハロースG:林原生物化学研究所)4.2gを評量し、精製水191.6gにプロペラ攪拌機にて攪拌しながら加え、溶解した。次にタルク(ハイフィラー#17、平均粒径7.4μm:松村産業)4.2gを秤量し、上記トレハロース溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[トレハロース2.1質量%、タルク2.1質量%]。このコーティング液を上記素錠Bにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いて以下の条件で規定量をスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。1回のコーティングで200gの素錠B(約2000錠)をコーティングした。
給気温度:65℃
風量:40m3
スプレー速度:2.95mL/min
ドラム回転数:10rpm
参考例1−2
トレハロース(製品名トレハロースG:林原生物化学研究所)4.2gを秤量し、精製水187.4gにプロペラ攪拌機にて攪拌しながら加え、溶解した。次にタルク(ハイフィラー#17、平均粒径7.4μm:松村産業)4.2g、酸化チタン(平均粒径0.6μm、製品名NA65:東邦チタニウム)4.2gをそれぞれ秤量し、上記トレハロース溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[トレハロース2.1質量%、タルク2.1質量%及び酸化チタン2.1質量%]。このコーティング液を上記素錠Bにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いて参考例1−1と同じ条件で規定量をスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。1回のコーティングで200gの素錠B(約2000錠)をコーティングした。
参考例1−3
参考例1−2のトレハロースを、エリスリトール(製品名:エリスリトール微粉:三菱フードケミカル)4.2gに置き換えて、同様に、素錠Bをコーティングした。
実施例1−4
トレハロース(製品名トレハロースG:林原生物化学研究所)81gを秤量し、精製水5922gにプロペラ攪拌機にて攪拌しながら加え、溶解した。次に結晶セルロース(セオラスPH―F20JP:旭化成ケミカルズ)81g、タルク(ハイフィラー#17、平均粒径7.4μm:松村産業)90g、酸化チタン(平均粒径0.6μm、製品名NA65:東邦チタニウム)90g及びクロスポビドン(KollidonCL−M、平均粒径5.4μm:BASF)36gをそれぞれ秤量し、上記水溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[トレハロース1.3質量%、結晶セルロース1.3% タルク1.4質量%、酸化チタン1.4質量%及びクロスポビドン0.6質量%]。このコーティング液を上記素錠Aにコーティング装置(パウレックコーターPRC−7:パウレック)を用いて下記条件で規定量をスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。1回のコーティングで3kgの素錠A(約3万錠)をコーティングした。
給気温度:65℃
風量:3.5m3/min
スプレー速度:20mL/min
ドラム回転数:12rpm
実施例1−5
実施例1−4に準じて、表1に記載した組成を有するコーティング錠剤を製造した。
試験例1<光安定性試験>
参考例1−1〜1−3及び実施例1−4〜1−5で得られたコーティング錠剤について、環境試験器No.20 (光安定性試験装置:LT-120D3CJ:株式会社ナガノ科学機械製作所)を用いて、下記条件で測定を行った。コーティング錠剤は、ガラスシャーレ内で重ならないように並べ、環境試験器に保管した。
<照射条件>
使用ランプ:D65ランプ(照度5000Lux)
設置領域:中央
温度:成り行き
保存期間:最長10日間(120万Lux・h)
実施例1−1〜1−5で得られたコーティング錠剤の光安定性試験の結果を表1に示す。
表1
Figure 2013161103
表中、「噴霧液量」とは、コーティング装置で噴霧に使用したコーティング液の実液量である。
「コーティング率(%)」とは、噴霧液量中の固形成分の質量に対する、コーティングにより増加した固形成分の質量の比率である。
すなわち、コーティング率(%)=(コーティングにより増加した固形成分の質量)/(噴霧液量中の固形成分の質量)×100(%)
トレハロースとタルクを含有するコーティングを施した錠剤(参考例1−1)は、試験開始時には白色であり、120万Lux・hの光照射によっても、錠剤の色は、試験開始時の白色のまま変化なかった。トレハロース、タルク、酸化チタンを含有するコーティングを施した錠剤(参考例1−2)は、光照射により、錠剤の色が、開始時の白色から微青白色に変色した。トレハロースをエリスリトールに置き換えた錠剤(参考例1−3)でも、実施例1−2と同様の変色がみられた。
ところが、トレハロース、タルク、酸化チタン、結晶セルロース、及び、クロスポビドンを含有するコーティングを施した錠剤(実施例1−4及び1−5)では、120万Lux・hの光照射によっても、錠剤の色は、試験開始時の白色のまま変化なかった。
なお、変色したのはコーティング層のみで、素錠部は変色しなかった。
今回、結晶セルロース及び/又はクロスポビドンは、光により酸化チタンが微青白色に変色するのを抑制する効果があることがわかった。
実施例1−5では、コーティング組成物中、酸化チタン100質量部に対して、結晶セルロースとクロスポビドンとを合わせて70質量部含有させることにより、光による酸化チタンの変色抑制効果が得られた。
実施例1−4、1−5のコーティング液は、組成物の固形分濃度が、それぞれ6%、9%と低濃度であったが、コーティング錠剤の光による変色が抑制された。
比較例2及び実施例2
<コーティング>
コーティングの厚さの平均が100μm以下となるようにコーティングを施した。
比較例2−1
トレハロース(製品名トレハロースG:林原生物化学研究所)5.0gを秤量し、精製水190.0gにプロペラ攪拌機にて攪拌しながら加え、溶解した。次に酸化チタン(平均粒径0.6μm、製品名NA65:東邦チタニウム)5.0gを秤量し、上記トレハロース溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[トレハロース2.5質量%、酸化チタン2.5質量%]。このコーティング液を上記素錠Aにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いて下記の同じ条件で規定量をスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。1回のコーティングで200gの素錠A(約2000錠)をコーティングした。
給気温度:56℃
風量:40m3/min
スプレー速度:1.96mL/min
噴霧圧:0.12MPa
ドラム回転数:10rpm
比較例2−2
トレハロース(製品名トレハロースG:林原生物化学研究所)5.0gを秤量し、精製水185.0gにプロペラ攪拌機にて攪拌しながら加え、溶解した。次に酸化チタン(平均粒径0.6μm、製品名NA65:東邦チタニウム)5.0g及びタルク(製品名ハイフィラー#17 松村産業)5.0gを秤量し、上記トレハロース溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[トレハロース2.5質量%、酸化チタン2.5質量%、タルク2.5質量%]。このコーティング液を上記素錠Aにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いて比較例2−1と同じ条件で規定量をスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。1回のコーティングで200gの素錠A(約2000錠)をコーティングした。
実施例2−3
トレハロース(製品名トレハロースG:林原生物化学研究所)4.0gを秤量し、精製水176.0gにプロペラ攪拌機にて攪拌しながら加え、溶解した。次に結晶セルロース(製品名セオラスPH―F20JP:旭化成ケミカルズ)15.0及び酸化チタン(平均粒径0.6μm、製品名NA65:東邦チタニウム)5.0gを秤量し、上記トレハロース溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[トレハロース2.0質量%、結晶セルロース7.5質量%、酸化チタン2.5質量%]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いて比較例2−1と同じ条件で規定量をスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。1回のコーティングで200gの素錠C(約2000錠)をコーティングした。
実施例2−4
トレハロース(製品名トレハロースG:林原生物化学研究所)4.0gを秤量し、精製水181.0gにプロペラ攪拌機にて攪拌しながら加え、溶解した。次に結晶セルロース(製品名セオラスPH―F20JP:旭化成ケミカルズ)10.0及び酸化チタン(平均粒径0.6μm、製品名NA65:東邦チタニウム)5.0gを秤量し、上記トレハロース溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[トレハロース2.0質量%、結晶セルロース5.0質量%、酸化チタン2.5質量%]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いて比較例2−1と同じ条件で規定量をスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。1回のコーティングで200gの素錠C(約2000錠)をコーティングした。
実施例2−5
トレハロース(製品名トレハロースG:林原生物化学研究所)4.0gを秤量し、精製水176.0gにプロペラ攪拌機にて攪拌しながら加え、溶解した。次にクロスポビドン(製品名Kollidon CL−M:BASF)15.0及び酸化チタン(平均粒径0.6μm、製品名NA65:東邦チタニウム)5.0gを秤量し、上記トレハロース溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[トレハロース2.0質量%、クロスポビドン7.5質量%、酸化チタン2.5質量%]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いて比較例2−1と同じ条件で規定量をスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。1回のコーティングで200gの素錠C(約2000錠)をコーティングした。
実施例2−6
トレハロース(製品名トレハロースG:林原生物化学研究所)4.0gを秤量し、精製水181.0gにプロペラ攪拌機にて攪拌しながら加え、溶解した。次にクロスポビドン(製品名Kollidon CL−M:BASF)10.0及び酸化チタン(平均粒径0.6μm、製品名NA65:東邦チタニウム)5.0gを秤量し、上記トレハロース溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[トレハロース2.0質量%、クロスポビドン5.0質量%、酸化チタン2.5質量%]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いて比較例2−1と同じ条件で規定量をスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。1回のコーティングで200gの素錠C(約2000錠)をコーティングした。
実施例2−7
トレハロース(製品名トレハロースG:林原生物化学研究所)4.0gを秤量し、精製水186.0gにプロペラ攪拌機にて攪拌しながら加え、溶解した。次にクロスポビドン(製品名Kollidon CL−M:BASF)5.0及び酸化チタン(平均粒径0.6μm、製品名NA65:東邦チタニウム)5.0gを秤量し、上記トレハロース溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[トレハロース2.0質量%、クロスポビドン2.5質量%、酸化チタン2.5質量%]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いて比較例2−1と同じ条件で規定量をスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。1回のコーティングで200gの素錠C(約200錠)をコーティングした。
実施例2−8
実施例2−3の結晶セルロースを、アルブミン(鶏卵由来:和光純薬工業)15.0gに置き換えて、同様に、素錠Cをコーティングした。
比較例2−9
実施例2−3の結晶セルロースを、クロスカルメロースナトリウム(製品名Ac−Di−Sol:大日本住友製薬)15.0gに置き換えて、同様に、素錠Cをコーティングした。
比較例2−10
実施例2−3の結晶セルロースを、βシクロデキストリン(和光純薬工業)15.0gに置き換えて、同様に、素錠Cをコーティングした。
比較例2−11
実施例2−3の結晶セルロースを、DL-アラニン(製品名DL−アラニン:)15.0gに置き換えて、同様に、素錠Cをコーティングした。
試験例2<光安定性試験>
上記2−1〜2−11で得られたコーティング錠剤について、光安定性試験装置(LT-120D3CJ:株式会社ナガノ科学機械製作所)を用いて、下記条件にて光照射を行い、外観変化の有無を観察した。
<照射条件>
使用ランプ:D65ランプ(照度5000Lux)
温度:成り行き
保存期間:最長10日間(120万Lux・h)
表2、3、4に評価の結果を示した。
表2
Figure 2013161103
表3
Figure 2013161103
表4
Figure 2013161103
上記の表に示されるように、結晶セルロース、クロスポビドン、アルブミンをそれぞれ含有するコーティングを施した錠剤(実施例2−3〜2−8)では、120万Lux・hrの光照射によっても、錠剤の色は、試験開始時の白色のまま変化なかった。
今回、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンは、それぞれが、光により酸化チタンが微青白色に変色するのを抑制する効果があることが分かった。
クロスポビドンは、コーティング中、酸化チタン100質量部に対して、クロスポビドン100質量部含有する場合でも、効果が確認された(実施例2−7)。
一方、クロスカルメロースナトリウム、βシクロデキストリン、DL−アラニンは、光による酸化チタンの変色を抑制しなかった。
クロスポビドンとクロスカルメロースナトリウムは、ともに架橋重合物であり、ある程度類似の構造をもつと考えられるが、今回の試験によりクロスポビドンは効果を有し、クロスカルメロースナトリウムは効果がなかったことは、予想外の結果であった。酸化チタンの変色を抑制するという効果は、化合物の構造からは予測がつきにくい効果であると考えられた。
実施例3
<コーティング錠剤の特性評価試験>
実施例1−4、1−5で得られた錠剤の特性を以下の方法で評価した。表5に評価の結果を示す。
試験例3<崩壊時間>
素錠あるいはコーティング錠剤につき口腔内崩壊錠試験器(ODT−101:富山産業)を用いて下記条件で測定を行った。3錠の測定値の平均値を崩壊時間とした。
試験液:水37℃
錘:φ20mm 10g 45rpm
試験例4<硬度>
素錠あるいはコーティング錠剤につき、錠剤硬度計(8M:Dr.Schleuniger Pharmatron AG)を用いて常法にて測定を行った。10錠の測定値の平均値を硬度(ニュートン:N)とした。
試験例5<滑り角度>
17cm×28.5cmである長方形のステンレス製板の短辺を水平な机の上につけ、向かい合う短辺をジャッキで持ち上げ、傾斜をつけた。ステンレス板上の最も高い所に素錠あるいはコーティング錠剤3錠をのせ、3錠全てが滑りきったときのステンレス板と机面の角度を算出し、これを滑り角度とした。
試験例6<落下試験>
素錠あるいはコーティング錠剤10錠につき、高さ1mからステンレス板の上に落下させ、割れ欠けの有無について目視およびデジタルマイクロスコープ(VHX−600:キーエンス)を用いて確認した。変化の程度を以下の記号で示す。
◎:変化なし、○:目視では確認できない水準のごく微小のつぶれ、△:目視で確認できるつぶれ、欠けあり、×:割れあり
試験例7<外観性>
目視および指先での触診を用いて外観性を確認した。外観性の程度を以下の記号で示す。
◎:光沢感があり非常に滑らか、○:滑らか、△:多少ざらつく、または多少の凹凸がある、×:ざらつく、または凹凸が多い
試験例8<層厚>
カッターで切断したコーティング錠剤の断面を電子顕微鏡(S−3400N)で観察して、コーティング層の厚みを測定した。3か所の測定値の平均値を層厚とした。
参考例3−1
参考例1−1で得たものとほぼ同等のコーティング錠剤を、以下のとおり作成した。
トレハロース(製品名トレハロースG:林原生物化学研究所)4.5gを秤量し、精製水191.0gにプロペラ攪拌機にて攪拌しながら加え、溶解した。次にタルク(ハイフィラー#17、平均粒径7.4μm:松村産業)4.5gを秤量し、上記トレハロース溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[トレハロース2.3質量%、タルク2.3質量%]。このコーティング液を上記素錠Aにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いて以下の条件で規定量をスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。1回のコーティングで200gの素錠A(約2000錠)をコーティングした。
給気温度:56℃
風量:40m3/min
スプレー速度:4.91mL/min
噴霧圧:0.12MPa
ドラム回転数:10rpm
参考例3−1で得られた錠剤の特性を上記と同様に評価した。実施例1−4及び1−5のコーティング錠剤の特性と共に、評価を表5に示す。
表5
Figure 2013161103
コーティング層の厚みはいずれも100μm以下であり、表5に示されるように、コーティング錠剤の崩壊時間もいずれも30秒以下であった。糖類のトレハロースと水不溶性無機化合物及び/又は水不溶性脂肪酸、その塩またはそのエステルの一つであるタルクを含有するコーティング用組成物で製造したコーティング錠剤は、コーティング皮膜が薄く、速崩壊性および硬度という相反する性質を両立させ、外観性に優れ、表面がなめらかであった。
参考例4−1
トレハロース(製品名トレハロースG:林原生物化学研究所)40.0gを秤量し、精製水97.5g及び99.5%エタノール(試薬特級:和光純薬工業)32.5gを混合した液にプロペラ攪拌機にて攪拌しながら加え、溶解した。次にタルク(ハイフィラー#17、平均粒径7.4μm:松村産業)20.0g、酸化チタン(平均粒径0.6μm、製品名NA65:東邦チタニウム)10.0gをそれぞれ秤量し、上記トレハロース溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[トレハロース20.0質量%、タルク10.0質量%及び酸化チタン5.0質量%]。このコーティング液を上記素錠Bにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いて実施例1と同じ条件で規定量をスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。1回のコーティングで200gの素錠B(約2000錠)をコーティングした。
参考例4−2
参考例4−1の噴霧液量を約2.4倍とした他は、参考例4−1の方法に従いコーティングを行った。
参考例4−3
参考例4−1の噴霧液量を約3.8倍とした他は、参考例4−1の方法に従いコーティングを行った。
上記参考例4−1〜4−3のコーティング錠剤の特性評価結果をまとめて表6に示す。
表6
Figure 2013161103
参考例4−1は崩壊時間、硬度、滑り角度、落下試験、外観性のいずれも優れた結果となった。一方、実施例4−1よりもコーティング層が厚い参考例4−2及び4−3は、層厚が厚くなるに従い崩壊時間が遅延し、外観性においても表面の凹凸が目立つ傾向にあった。

Claims (13)

  1. 酸化チタン並びに結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする、錠剤のコーティング層として100μm以下の厚みの皮膜を形成するためのコーティング用組成物。
  2. 前記組成物を基準として、酸化チタンを5〜50質量%含有する、請求項1に記載のコーティング用組成物。
  3. さらに、糖類又は糖アルコールを含有する、請求項1又は2に記載のコーティング用組成物。
  4. 速崩壊性錠剤のための組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
  5. アラビアゴム末及びキサンタンガムを含有しない、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング用組成物が水及び/又はアルコールに溶解・分散されていることを特徴とする、錠剤のコーティング皮膜を形成するためのコーティング液。
  7. 酸化チタン並びに結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有する皮膜が、錠剤のコーティング層として100μm以下の厚みで形成されていることを特徴とするコーティング錠剤。
  8. 請求項6に記載のコーティング液を、錠剤の表面に、100μm以下の厚みのコーティング層として形成することを特徴とする、コーティング錠剤の製造方法。
  9. 請求項6に記載の前記コーティング液を、錠剤の表面に施してコーティング層を形成することを特徴とする、コーティング皮膜に酸化チタンを含有するコーティング錠剤の光による変色を抑制する方法。
  10. 酸化チタンに対して、結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを共存させる工程を含む、酸化チタンの光による変色を抑制する方法。
  11. 結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする、酸化チタンを含有するコーティング用組成物の変色抑制剤。
  12. 結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする、錠剤のコーティング用の酸化チタンの変色抑制剤。
  13. 結晶セルロース、クロスポビドン及びアルブミンから選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする、コーティング皮膜に酸化チタンを含有するコーティング錠剤の変色抑制剤。
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