JPWO2013137058A1 - λ/4位相差フィルム及び有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置 - Google Patents

λ/4位相差フィルム及び有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、位相差発現性が高く、薄膜で逆波長分散特性を備え、厚さ方向の位相差を低減した広帯域のλ/4位相差フィルムと、それを具備した画像表示性能に優れた有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置を提供することである。本発明のλ/4位相差フィルムは、23℃、相対湿度55%の環境下測定した波長550nmにおける厚さ方向の位相差Rt(550)が150nm以下であり、面内位相差Roの波長分散特性が、条件1として0.72≰Ro(450)/Ro(550)≰0.96で、かつ0.83≰Ro(550)/Ro(650)≰0.98の範囲内であり、条件2として面内屈折率が1.000≰ny(280)/nx(280)≰3.500であり、かつ条件3として、1.05≰Δny(400)/Δnx(400)≰2.15であることを特徴とする。

Description

本発明は、λ/4位相差フィルムと、それを具備した有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置に関する。
近年、対向する電極間に発光層を設け、当該電極に電圧を印加して発光を生じる有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)が、平面型照明、光ファイバー用光源、液晶ディスプレイ用バックライト、液晶プロジェクタ用バックライト、ディスプレイ装置等の各種光源や、画像表示装置として盛んに研究、開発が進められている。有機EL素子は、特に、上記利用分野において、発光効率、低電圧駆動、軽量、低コストという点で優れた特性を発現するため、近年極めて注目を浴びている素子である。
有機EL素子は、電圧の印加により、陰極から電子を、陽極から正孔を注入し、両者が発光層で再結合することにより、発光層の発光特性に対応した可視光線の発光を生じさせるものである。
陽極には、透明導電性材料の中でも、最も電気伝導度が高く、比較的仕事関数が大きく、高い正孔注入効率が得られるという点から、酸化インジウムスズ(以降、ITOと略記する。)が、主に使用されている。
一方、陰極には、通常、金属電極が使用されるが、電子注入効率を考慮し、仕事関数の観点からは、主には、Mg、Mg/Ag、Mg/In、Al、Li/Al等の金属材料が使用される。
これらの金属材料は、光反射率が高く、電極(陰極)としての機能の他に、発光層で発光した光を反射し、出射光量(発光輝度)を高める機能も担っている。すなわち、陰極方向に発光した光は、陰極である金属材料表面で鏡面反射し、透明なITO電極(陽極)から出射光として取り出されることになる。
しかしながら、このような構造を有する有機EL素子では、陰極が光反射性の強い鏡面構造となっているため、発光していない状態では外光反射が著しく目立つことになる。
即ち、観察時の室内照明の映り込みなどが激しくなり、明所では黒色が表現できなくなり、また、ディスプレイ装置用の光源として使用するには、明室コントラストが極端に低いという問題点を有する。
これらの問題を改善するため、鏡面の外光反射防止に円偏光素子を使用する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載されている円偏光素子は、吸収型直線偏光板と、1/4位相差フィルムとを、それぞれの光軸が45度あるいは135度で交差するように積層して形成されている。
ここで、1/4位相差フィルムを、例えば、1枚の延伸フィルムで形成した場合、この延伸フィルムの屈折率が、波長毎に異なる波長分散に起因して、その位相差はある波長に対しては丁度1/4波長となり得るが、他の波長ではその位相差が1/4波長からずれるため、結果として1/4位相差フィルムとして機能しないことになる。
すなわち、例えば、550nmの緑色の光に対して1/4位相差フィルムとして機能する場合、それより波長の長い赤色の光や、波長の短い青色の光の反射を完全に防止することが困難になり、特に、青色の光についての位相差のずれが大きく、反射色が、青色味がかったものとなってしまうという問題がある。
可視光の全波長域に対して反射を防止するためには、全波長領域でλ/4の位相差値を有する逆波長分散性(長波長ほど位相差値が大きい)を備えていることが必要となる。
特許文献2には、斜めに延伸したセルロースアシレートフィルム上に垂直配向液晶層を設けた位相差フィルムとすることにより、幅広い波長範囲でλ/4位相差を有し、該位相差フィルムを設けた有機EL表示装置が、外光反射による色味変動が改善されることが開示されている。
しかしながら、特許文献2で開示されている方法では、位相差フィルムを作製した後、垂直配向液晶層を設けるため、工程が複雑であり、製造容易性の観点からは更なる改善が望まれていた。また、上記位相差フィルムを設けた有機EL表示装置は、画像に滲みが生じ、高精細な画像が得られないという問題を抱えている。この問題は、発光層から位相差フィルムに入った光が、位相差フィルムと隣接層との界面で反射され、更に位相差フィルム内で相分離した添加剤によっても乱反射され、画像の滲みが生じることが原因であると推定している。
特許文献3及び特許文献4には、特定の構造を有する化合物を含有することにより、全波長領域でλ/4の位相差値を有する逆波長分散性の単一層からなる位相差板が開示されている。しかしながら、これら開示されている方法では、実際の位相差発現性は低く、λ/4位相差を実現するためには層厚を厚くしなくてはならないため、経済性や画像表示装置の薄膜化の観点で問題を抱えており、更に、透過率の低下に伴い、光取出し効率が劣化するという問題点も有している。
特許文献5には、特定の化合物を含有することにより、更に位相差と逆波長分散特性が改良された位相差板が開示されているが、厚さ方向における位相差が高いため、斜めから見た位相差がλ/4より大きく外れ、視認性が劣化するという問題がある。大型画面が要求される昨今の画像表示装置においては、斜め視認性への要求も非常に高まっており、特許文献5に記載の方法だけでは不充分であり、早急な改良手段の開発が求められている。
特開平8−321381号公報 国際特許第2009/25170号 特開2008−6602号公報 特開2011−75924号公報 特開2010−254949号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、位相差発現性が高く、薄膜で優れた逆波長分散特性を備え、厚さ方向での位相差を低減した広帯域のλ/4位相差フィルムと、それを具備し、画像表示性能(正面及び斜めでの視認性)に優れた有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置を提供することである。
本発明者は、上記問題に鑑み鋭意検討を進めた結果、上記課題は、下記の手段により達成することができることを見出し、本発明に至った次第である。
1.23℃、相対湿度55%の環境下で測定した波長550nmにおける厚さ方向の位相差Rt(550)が150nm以下であり、23℃、相対湿度55%の環境下で測定した面内位相差Roの波長分散特性が下記条件1を満たし、かつ面内屈折率が下記条件2及び条件3を同時に満たすことを特徴とするλ/4位相差フィルム。
条件1
0.72≦Ro(450)/Ro(550)≦0.96
かつ
0.83≦Ro(550)/Ro(650)≦0.98
〔式中、Ro(450)は波長450nmにおける面内位相差であり、Ro(550)は波長550nmにおける面内位相差であり、Ro(650)は波長650nmにおける面内位相差である。〕
条件2
1.000≦n(280)/n(280)≦3.500
〔式中、n(280)は波長280nmにおける進相軸方向の屈折率であり、n(280)は波長280nmにおける遅相軸方向の屈折率を表す。〕
条件3
1.05≦Δn(400)/Δn(400)≦2.15
〔式中、Δn(400)は、波長400nm近傍における進相軸方向の屈折率の傾きであり、Δn(400)=(n(410)−n(400))で表される。n(410)は波長410nmにおける進相軸方向の屈折率であり、n(400)は波長400nmにおける進相軸方向の屈折率である。上記Δn(400)は、波長400nm近傍における遅相軸方向の屈折率傾きであり、Δn(400)=(n(410)−n(400))で表される。n(410)は波長410nmにおける遅相軸方向の屈折率であり、n(400)は波長400nmにおける遅相軸方向の屈折率である。〕
2.遅相軸方向に延伸し、進相軸方向に収縮する延伸収縮工程を経て作製され、該遅相軸方向の延伸倍率に対する該進相軸方向の収縮倍率の比率(収縮倍率/延伸倍率)が、0.05〜0.70の範囲内であることを特徴とする第1項に記載のλ/4位相差フィルム。
3.遅相軸方向が、搬送方向に対し30〜60°の角度範囲内で配向していることを特徴とする第1項又は第2項に記載のλ/4位相差フィルム。
4.膜厚が、30〜80μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルム。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルムを有する円偏光板と、有機エレクトロルミネッセンス素子とを具備し、画面サイズが20インチ以上であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置。
すなわち、本発明のλ/4位相差フィルムでは、紫外領域280nmにおける進相軸方向の屈折率n(280)を、遅相軸方向の屈折率n(280)と同等以上に設定することにより、可視光領域である400〜700nmの範囲における進相軸方向の屈折率nの順波長分散の傾きが急峻になり、本発明の目的効果を発現させる上で有効であることを見出したものである。
本発明者らは、前述の特許文献3及び4に記載の発明において、十分な位相差を発現することができない理由としては、位相差フィルムを構成している化合物の主鎖方向が、マトリックス樹脂の主鎖方向と一致していないことに起因していると推定した。
図1Aに示すように、フィルムを延伸すると、マトリックス樹脂(例えば、セルロースエステル樹脂等)の主鎖1はほぼ延伸方向2に配向するのに対し、添加剤として用いる側鎖5を有する低分子の化合物3は、主鎖4と側鎖5の平均方向6が延伸方向2に配向してしまう。その結果、化合物3を構成する主鎖4及び側鎖5と、マトリックス樹脂の主鎖1及び側鎖とで配向方向にずれが生じるため、十分な位相差効果が発現しない。また、特許文献5で開示されているような側鎖を持たない配向性の高い化合物を併用すると、厚さ方向の位相差Rtが高くなってしまうことになる。
本発明者らは、上記問題に対し鋭意検討を行った結果、図1Bに示すように、マトリックス樹脂の主鎖1からずれた化合物3の配向を、延伸工程で、延伸方向と垂直な方向(進相軸方向)に収縮7させる収縮処理を施すことにより、化合物3の主鎖の配向する方向を回転8させることにより、化合物3の主軸4の配向方向をマトリックス樹脂の主鎖1の配向方向に合わせることができる調整手段を見出したものである。
この調整方法の具体的な手段の一つとしては、延伸倍率と収縮倍率の比率が重要な要素であり、収縮倍率/延伸倍率=0.05〜0.70の範囲内とする方法が好ましい態様であるが、更に好ましくは収縮倍率/延伸倍率=0.10〜0.30の範囲内である。
従って、請求項2で規定する条件によって、図1Aで示すように、化合物3の主軸4をマトリックス樹脂の主鎖1に合わせることができると共に、化合物3の側鎖5もフィルムの進相軸方向に配向し、この化合物3の側鎖5に高屈折率分子を組み入れることにより、紫外線領域280nmにおける進相軸方向の屈折率ny280を高めることができ、その結果、可視光領域のny順波長分散の傾きを急峻にすることができる。
但し、特許文献5に記載されているような側鎖を持たない化合物を含有した状態でフィルムの収縮操作を行っても、上記効果は発現しない。これは、側鎖を持たない化合物の配向がマトリックス樹脂の主鎖とずれてしまうためであると推定される。
本発明のλ/4位相差フィルムでは、延伸及び収縮による化合物の配向をコントロールする際に、収縮させながらマトリックス樹脂を斜めに延伸させることにより、例えば、セルロースアセテート樹脂の遅相軸のコントロールも同時にできるため、本発明の効果を、より一層発現させることができる。
請求項4に係る本発明のλ/4位相差フィルムでは、λ/4位相差フィルムの膜厚を上記で規定する範囲内に設定することにより、特に、有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置に具備した際、薄膜化によりカラー表示における表示性能をより高めることができる。
請求項5に係る有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置においては、本発明のλ/4位相差フィルムを有する円偏光板と、有機エレクトロルミネッセンス素子とを具備し、20インチ以上の画面サイズとすることにより、正面及び斜めでの視認性等の画像表示性能に優れた有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置を実現することができる。
本発明の上記手段により、位相差発現性が高く、薄膜で逆波長分散特性を備え、厚さ方向の位相差を低減した広帯域のλ/4位相差フィルムと、それを具備した画像表示性能(正面及び斜めでの視認性)に優れた有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置を提供することができる。
マトリックス樹脂と化合物との配向の状態の一例(比較例)を説明する概略図 マトリックス樹脂と化合物との配向を収縮手段により調整する本発明の方法の一例を説明する概略図 斜め延伸における収縮倍率を説明する模式図。 本発明のλ/4位相差フィルムの製造方法に適用可能な斜め延伸機のレールパターンの一例を示した概略図 本発明の実施形態に係る製造方法の一例で、長尺フィルム原反ロールから繰り出してから斜め延伸する例を示す概略図 本発明の実施形態に係る製造方法の一例で、長尺フィルム原反ロールから繰り出してから斜め延伸する他の例を示す概略図 本発明の実施形態に係る製造方法の一例で、長尺フィルム原反ロールから繰り出してから斜め延伸する他の例を示す概略図 本発明の実施形態に係る製造方法の一例で、長尺フィルム原反を巻き取らずに連続的に斜め延伸する例を示す概略図 本発明の実施形態に係る製造方法の一例で、長尺フィルム原反を巻き取らずに連続的に斜め延伸する他の例を示す概略図 本発明の有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置の構成の一例を示す概略断面図
本発明のλ/4位相差フィルムは、波長550nmにおける厚さ方向の位相差Rt(550)が150nm以下であり、面内位相差Roの波長分散特性が、条件1として0.72≦Ro(450)/Ro(550)≦0.96で、かつ0.83≦Ro(550)/Ro(650)≦0.98の範囲内であり、条件2として面内屈折率が1.000≦n(280)/n(280)≦3.500の範囲内であり、かつ条件3として、1.05≦Δn(400)/Δn(400)≦2.15の範囲内であることを特徴とすることにより、位相差発現性が高く、薄膜で逆波長分散特性を備え、厚さ方向の位相差を低減した広帯域のλ/4位相差フィルムを実現することができる。この特徴は、請求項1から請求項5までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
なお、上記Ro(450)は、波長450nmにおける面内位相差であり、Ro(550)は波長550nmにおける面内位相差であり、Ro(650)は波長650nmにおける面内位相差である。また、n(280)は波長280nmにおける進相軸方向の屈折率であり、n(280)は波長280nmにおける遅相軸方向の屈折率を表す。また、上記Δn(400)は、波長400nm近傍における進相軸方向の屈折率の傾きであり、Δn(400)=(n(410)−n(400))で表される。n(410)は波長410nmにおける進相軸方向の屈折率であり、n(400)は波長400nmにおける進相軸方向の屈折率である。上記Δn(400)は、波長400nm近傍における遅相軸方向の屈折率傾きであり、Δn(400)=(n(410)−n(400))で表される。n(410)は波長410nmにおける遅相軸方向の屈折率であり、n(400)は波長400nmにおける遅相軸方向の屈折率である。
本発明のλ/4位相差フィルムにおいて、上記条件1〜条件3で規定する範囲を実現する手段としては、特に制限はないが、後述する延伸条件(例えば、延伸温度(℃)、延伸倍率(%)、斜め延伸における屈曲角度(°)、収縮率(%)、収縮率/延伸倍率の比率等)、フィルム膜厚、あるいは一般式(A)で表される光学性能調整剤の種類や添加量を、適宜調整することにより、波長分散特性であるRo(450)/Ro(550)、Ro(550)/Ro(650)、紫外領域における面内屈折率比n(280)/n(280)及び逆波長分散性Δn(400)/Δn(400)の各特性値を所望の範囲に調整することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《λ/4位相差フィルム》
本発明のλ/4位相差フィルムとは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に、又は、円偏光を直線偏光に変換する機能を有するフィルムをいう。λ/4位相差フィルムは、所定の光の波長(通常、可視光領域)に対して、フィルム層の面内の位相差値Roが約1/4である。
本発明のλ/4位相差フィルムでは、波長550nmで測定したRo(550)が120〜180nmの範囲内であることが好ましく、120〜160nmの範囲内であることが更に好ましく、130〜150nmの範囲内であることが特に好ましい。
本発明のλ/4位相差フィルムは、可視光の波長の範囲においてほぼ完全な円偏光を得るため、可視光の波長の範囲において、おおむね波長の1/4の位相差を有する位相差板(フィルム)である広帯域λ/4位相差フィルムであることが好ましい。
本発明でいう「可視光の波長の範囲においておおむね1/4の位相差」とは、波長400から700nmの領域において、長波長ほど位相差値が大きい逆波長分散特性であることを意味する。
本発明のλ/4位相差フィルムにおいては、面内位相差値Roは下記式(i)で表され、波長550nmで測定した面内位相差値Ro(550)に対する波長450nmで測定したRo(450)の比(Ro(450)/Ro(550))が、0.72〜0.96の範囲内であることを特徴とするが、0.75〜0.92の範囲内であることが好ましく、0.78〜0.88の範囲内であることがより好ましい。
また、波長650nmで測定した面内位相差値Ro(650)に対する波長550nmで測定した面内リターデーション値Ro(550)の比(Ro(550)/Ro(650))は、0.83〜0.98の範囲内であることを特徴とするが、前記Ro(450)/Ro(550)とのバランスが大切であり、Ro(450)/Ro(550)が0.72〜0.96の範囲内にある場合には、Ro(550)/Ro(650)は0.87〜0.98の範囲内であることが好ましく、Ro(450)/Ro(550)が0.75〜0.92の範囲にある場合には、Ro(550)/Ro(650)は0.88〜0.96の範囲内であることが好ましく、Ro(450)/Ro(550)が0.78〜0.88の範囲である場合は、Ro(550)/Ro(650)は0.90〜0.94の範囲内であることがより好ましい。
式(i)
Ro=(n−n)×d
Rt=〔(n+n)/2−n〕×d
上記式(i)において、n、n及びnは、それぞれ23℃、55%RHの環境下で測定した、波長450nm、550nm、又は650nmにおける屈折率であり、nはフィルムの面内の最大の屈折率(遅相軸方向の屈折率)であり、nはフィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率であり、nはフィルム面内に垂直な厚さ方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。
面内位相差値Ro(550)を高める場合には、フィルム膜厚dを高めることが簡単な手段ではあるが、経済性、画像表示装置の厚さの増大、透過率低下による光取出し効率低下の観点から好ましくない。
本発明のλ/4位相差フィルムにおいては、フィルム膜厚dは、おおむね20〜100μmの範囲内であるが、30〜80μmの範囲内が好ましく、30〜65μmの範囲内であることが、本発明の効果をより発現できる観点から特に好ましい。
本発明において、位相差値は、Axometrcs社製のAxoscanを用いて、23℃、55%RHの環境下で、各波長での複屈折率測定により各面内位相差値Roを算出することができる。
λ/4位相差フィルムの遅相軸と、後述する偏光子の透過軸との角度が実質的に45°になるように積層することにより、円偏光板が得られる。
本発明でいう「実質的に45°」とは、40〜50°の範囲内であることを意味する。本発明のλ/4位相差フィルムの面内の遅相軸と、偏光子の透過軸との角度は、更には41〜49°の範囲内であることが好ましく、42〜48°の範囲内であることがより好ましく、43〜47°の範囲内であることが更に好ましく、44〜46°の範囲内であることが最も好ましい。
〔光学性能調整剤〕
本発明のλ/4位相差フィルムにおいて、本発明で規定する前記条件1〜3を達成する手段の一つとして、光学性能調整剤として、下記一般式(A)で表される化合物を用いることが好ましい。
下記一般式(A)で表される化合物を用いることにより、遅相軸方向の屈折率nxを高くすることができ、かつ紫外領域での進相軸方向屈折率nyを高めて、進相軸方向屈折率nyの順波長分散傾きを急峻にすることができる。
Figure 2013137058
上記一般式(A)において、L及びLは各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。R、R及びRは各々独立に置換基を表す。nは0から2までの整数を表す。Wa及びWbはそれぞれ水素原子又は置換基を表し、(I)Wa及びWbが互いに結合して環を形成してもよく、(II)Wa及びWbの少なくとも一つが環構造を有してもよく、又は(III)Wa及びWbの少なくとも一つがアルケニル基又はアルキニル基であってもよい。
上記一般式(A)において、L及びLは各々独立に単結合又は2価の連結基を表すが、L及びLとして、好ましくはO、COO、OCOである。
、R及びRは各々独立に置換基を表す。R、R及びRで表される置換基の具体例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基(例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N′−フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、スルホ基、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)が挙げられる。
及びRとしては、好ましくは、置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のシクロヘキサン環である。より好ましくは置換基を有するベンゼン環、置換基を有するシクロヘキサン環であり、さらに4位に置換基を有するベンゼン環が、λ/4位相差フィルムの遅相軸方向に一般式(A)の化合物の主鎖を配向させて、遅相軸方向屈折率nxを高めることができる観点で、特に好ましい。
として、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
Wa及びWbは各々独立に水素原子又は置換基を表し、Wa及びWbが互いに結合して環を形成しても、Wa及びWbの少なくとも1つが環構造を有しても、又はWa及びWbの少なくとも1つがアルケニル基又はアルキニル基であってもよい。
Wa及びWbで表される置換基の具体例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基(例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N′フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、スルホ基、アシル基(例えば、アセチル基ピバロイルベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)を挙げることができる。
上記の置換基は、更に上記の基で置換されていてもよい。
Wa及びWbが互いに結合して環を形成する場合、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2013137058
式中、R、R、Rはそれぞれ水素原子又は置換基を表し、置換基としては、上記R、R及びRで表される置換基の具体例と同様の基を挙げることができる。
また、Wa及びWbのいずれか一方が水素原子で、他方が置環基を有する場合、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2013137058
式中、Rii、Riiiは、それぞれ上記R、R及びRで表される置換基の具体例と同様の基を挙げることができる。
一般式(A)において、Wa及びWbが互いに結合して環を形成する場合、好ましくは、含窒素5員環又は含硫黄5員環であり、例えば、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2013137058
上記一般式(1)において、A及びAは各々独立に、O、S、NR(Rは水素原子又は置換基を表す。)又はCOを表す。Rで表される置換基の例は、上記Wa及びWbで表される置換基の具体例と同義である。Rとして、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基である。
上記一般式(1)において、Xは第3周期以降で第14〜16族の非金属原子、又は、第3周期以降で第14〜16族の非金属原子又は共役系を含む置換基であり、λ/4位相差フィルムの進相軸方向の屈折率nyの紫外領域における屈折率を高める上で好ましい。
Xとしては、O、S、NRc、C(Rd)Reが好ましい。ここでRc、Rd及びReは各々置換基を表し、例としては上記Wa及びWbで表される置換基の具体例と同様に基を挙げることができる。
、L、R、R、R、及びnは、それぞれ一般式(A)におけるL、L、R、R、R、及びnと同義である。
以下に、一般式(A)で表される化合物の具体例を示すが、本発明で用いることができる一般式(A)で表される化合物は、以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2013137058
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なお、一般式(A)で表される化合物の合成は、既知の合成方法を適用して行うことができる。具体的には、Journal of Chemical Crystallography(1997);27(9); 512−526)、特開2010−31223号公報、特開2008−107767号公報等に記載の方法を参照に合成することができる。
〔セルロースアシレート〕
本発明のλ/4位相差フィルムは、マトリックス樹脂として、熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、更には、主たる成分がセルロースアシレートであることが好ましい。本発明でいう「主たる成分」とは、λ/4位相差フィルムを構成する熱可塑性樹脂成分の70質量%以上がセルロースアシレートで構成されていることをいう。
本発明に係るセルロースアシレートにおいては、平均アシル基置換度が2.0〜3.0の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2.2〜2.8の範囲内であり、更に好ましくは2.4〜2.7の範囲内である。ここでいう平均アシル基置換度とは、セルロースを構成する各無水グルコースが有する3個のヒドロキシ基(水酸基)のうち、エステル化されているヒドロキシ基(水酸基)の数の平均値で示し、0〜3.0の範囲内の値をとる。
セルロースアシレートの平均アシル基置換度が低い場合には、面内位相差Ro発現性は高いが、Ro波長分散特性はフラットに近くなり、逆に平均アシル基置換度が高い場合には、Ro発現性は低下する一方で、波長分散特性はより逆分散となる。
本発明において、アシル基で置換されていない部分は、通常ヒドロキシ基(水酸基)として存在している。これらのセルロースアシレートは、公知の方法で合成することができる。
なお、アシル基の置換度は、ASTM−D817−96(セルロースアシレート等の試験方法)に規定されている方法に従って求めた値である。
本発明に係るセルロースアシレートの数平均分子量(Mn)は、30,000〜300,000の範囲内のものが、得られるλ/4位相差フィルムの機械的強度が強くなる観点から好ましい。更には、50,000〜200,000の範囲内のものが好ましく用いられる。
セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnの値は、1.4〜3.0の範囲内であることが好ましい。
セルロースアシレートの重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定して、求めることができる。
具体的な測定条件の一例を、以下に示す。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製のカラムを3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)でMwが1000000〜500の範囲にある13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
本発明のλ/4位相差フィルムには、セルロースアシレート以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
本発明でいう「熱可塑性樹脂」とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる特性を備えた樹脂のことをいう。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリルスチレン共重合体)、アクリル樹脂(PMMA)等を用いることができる。
また、強度や壊れにくさを特に要求される場合には、例えば、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)等を用いることができる。
さらに、高い熱変形温度と長期使用できる耐久性が要求される場合には、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等を用いることができる。
なお、本発明の用途に沿って、熱可塑性樹脂の種類や分子量を組み合わせて、2種以上用いることも可能である。
〔λ/4位相差フィルムのその他の添加剤〕
(有機溶媒)
セルロースアシレートを溶解してセルロースアシレート溶液、あるいはドープを調製するのに有用な有機溶媒としては、主に、塩素系有機溶媒と非塩素系有機溶媒が挙げられる。
塩素系有機溶媒としては、メチレンクロライド(塩化メチレン)を挙げることができる。しかしながら、昨今の環境問題の視点から、非塩素系有機溶媒の適用が盛んに検討されている。非塩素系有機溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができる。
これらの有機溶媒を、セルロースアシレートに対して使用する場合には、常温での溶解方法も使用可能であるが、高温溶解方法、冷却溶解方法、高圧溶解方法等の公知の溶解方法を用いることが、不溶解物を少なくすることができる観点で好ましい。セルロースアシレートに対しては、メチレンクロライドを用いることもできるが、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを用いることが好ましく、その中でも、特に酢酸メチルが好ましい。
本発明において、上記セルロースアシレートに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で多量に使用する有機溶媒を、主(有機)溶媒又は主たる(有機)溶媒という。
本発明のλ/4位相差フィルムの製膜に用いられるドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の範囲内で、炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらのアルコールは、ドープを金属支持体上に流延した後、有機溶媒の蒸発が開始され、アルコール成分の相対比率が高くなると、ドープ膜(ウェブ)がゲル化し、ウェブを丈夫にし、金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として作用させることができ、これらのアルコールの割合が低い時には、非塩素系有機溶媒のセルロースアシレートの溶解を促進する役割もある。
炭素原子数が1〜4の範囲内にあるアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等の観点から、エタノールを用いることが好ましい。これらのアルコール類は、単独ではセルロースアシレートに対して溶解性を有していないので、貧溶媒として分類される。
ドープ中のセルロースアシレートの濃度は15〜30質量%の範囲内であることが好ましく、ドープ粘度は100〜500Pa・sの範囲内に調整することが、優れたフィルム面品質を得ることができる観点から好ましい。
ドープ中に添加することのできる添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、劣化防止剤、剥離助剤、界面活性剤、染料、微粒子等が挙げられる。本発明において、微粒子以外の添加剤については、セルロースアシレート溶液の調製時に添加してもよいし、微粒子分散液の調製時に添加してもよい。画像表示装置に使用する偏光板には耐熱耐湿性を付与する可塑剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を添加することが好ましい。
(可塑剤)
本発明のλ/4位相差フィルムにおいては、可塑剤を含有することが好ましい。特に、本発明のλ/4位相差フィルムは、数平均分子量(Mn)が1000〜10000の範囲内にあるポリエステル系可塑剤を含有することが好ましい。
ポリエステル系可塑剤の具体的な構造については、特に制限はなく、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤を用いることができる。
ポリエステル系可塑剤としては、例えば、下記一般式(a)で表されるポリエステル系可塑剤が挙げられる。
一般式(a)
B−(G−A)−G−B
上記一般式(a)において、Bはベンゼンモノカルボン酸基又は脂肪族モノカルボン酸基を表し、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール基、炭素数6〜12のアリールグリコール基又は炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール基を表し、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸基を表し、nは1以上の整数を表す。
一般式(a)で表されるポリエステル系可塑剤は、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られるものである。
ポリエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリーブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等が挙げられ、これらはそれぞれが1種単独で、又は2種以上の混合物として使用されうる。
また、ポリエステル系可塑剤の脂肪族モノカルボン酸成分としては、例えば、炭素数3以下の脂肪族モノカルボン酸が好ましく、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸がより好ましく、酢酸が最も好ましい。重縮合エステルの両末端に使用するモノカルボン酸類の炭素数が3以下であると、化合物の加熱減量が大きくならず、面状故障が発生しない。
また、炭素数3以上8以下の環状脂肪族を有するモノカルボン酸が好ましく、炭素数6の環状脂肪族を有するモノカルボン酸がより好ましく、シクロヘキサンカルボン酸、4−メチル−シクロヘキサンカルボン酸が最も好ましい。重縮合エステルの両末端に使用するモノカルボン酸類の環状脂肪族の炭素数が3から8の範囲内であると、化合物の加熱減量が大きくならず、面状故障が発生しない点で好ましい。
ポリエステル系可塑剤の炭素数が2〜12のアルキレングリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等が挙げられ、これらはそれぞれが1種単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。中でも、特に、炭素数が2〜12のアルキレングリコールが、セルロースアシレートとの相溶性に優れている点で好ましく、より好ましくは炭素数が2〜6のアルキレングリコールであり、さらに好ましくは炭素数が2〜4のアルキレングリコールである。
また、ポリエステル系可塑剤の炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられ、これらはそれぞれ1種単独で、又は2種以上の混合物として使用されうる。
ポリエステル系可塑剤の炭素数が4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等が挙げられ、これらはそれぞれ1種単独で、又は2種以上の混合物として使用されうる。さらに、炭素数が6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
本発明のλ/4位相差フィルムに好ましく用いられるポリエステル系可塑剤は、その数平均分子量が200〜10000の範囲内であり、より好ましくは300〜3000の範囲内である。
ポリエステル系可塑剤の酸価としては、好ましくは0.5mgKOH/g以下であり、より好ましくは0.3mgKOH/g以下である。また、ポリエステル系可塑剤のヒドロキシ基価は、好ましくは25mgKOH/g以下であり、より好ましくは15mgKOH/g以下である。なお、酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
以上説明したポリエステル系可塑剤以外にも、従来公知の各種可塑剤を、本発明のλ/4位相差フィルムに適用してもよい。
このような従来公知の可塑剤としては、例えば、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等が挙げられる。
(糖エステル化合物)
本発明のλ/4位相差フィルムには、ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも1種を1〜12個の範囲内で有し、その構造のヒドロキシ基のすべて又は一部がエステル化された、セルロースエステルを除くエステル化合物を含むことが好ましい。本発明においては、この様な構造を有するセルロースエステルを除くエステル化合物を総称して、「糖エステル化合物」と称する。
糖エステル化合物の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
ピラノース構造又はフラノース構造を有する化合物(糖類)としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース、及びケストースが挙げられる。
このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物の中で、特に、ピラノース構造とフラノース構造の双方を有する化合物が好ましい。その例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、さらに好ましくは、スクロースである。
糖エステル化合物を調製する際に、上述したピラノース構造又はフラノース構造を有する化合物(糖)のヒドロキシ基のすべて又は一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が用いることができる。用いられるカルボン酸は1種単独でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられ、より具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸が挙げられるが、特に安息香酸が好ましい。
本発明のλ/4位相差フィルムにおいて、位相差値の変動を抑制して表示品位を安定化するという観点から、上述した糖エステル化合物は、λ/4位相差フィルム100質量%に対して、1〜30質量%の範囲内で含まれることが好ましく、5〜30質量%の範囲内で含まれることがより好ましい。この範囲内であれば、上記の優れた効果を呈するとともに、ブリードアウトなどもなく好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明のλ/4位相差フィルム、あるいは後述する円偏光板を構成する保護フィルムにおいては、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系又はサリチル酸フェニルエステル系のもの等が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。
なお、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐光性を改良することができる。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、更には2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
これらの紫外線吸収剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビンシリーズの紫外線吸収剤を好ましく使用できる。
(その他の添加剤)
更に、λ/4位相差フィルムには、成形加工時の熱分解性や熱着色性を改良するために各種の酸化防止剤を添加することもできる。また、帯電防止剤を加えて、λ/4位相差フィルムに帯電防止性能を与えることも可能である。
〈リン系難燃剤〉
本発明のλ/4位相差フィルムには、リン系難燃剤を配合した難燃アクリル系樹脂組成物を用いても良い。
本発明に適用可能なリン系難燃剤としては、赤リン、トリアリールリン酸エステル、ジアリールリン酸エステル、モノアリールリン酸エステル、アリールホスホン酸化合物、アリールホスフィンオキシド化合物、縮合アリールリン酸エステル、ハロゲン化アルキルリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合ホスホン酸エステル、含ハロゲン亜リン酸エステル等から選ばれる1種、あるいは2種以上の混合物を挙げることができる。
具体的な例としては、トリフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、フェニルホスホン酸、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。
〈マット剤〉
また、本発明のλ/4位相差フィルムには、取扱性を向上させる観点から、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などのマット剤を含有させることが好ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましく用いられる。
微粒子の一次平均粒子径としては、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmの範囲内であり、特に好ましくは、5〜12nmの範囲内である。
〔λ/4位相差フィルムの製膜方法〕
本発明のλ/4位相差フィルムは、公知の方法に従って製膜することができる。以下、代表的な溶液流延法及び溶融流延法について説明する。
(溶液流延法)
本発明のλ/4位相差フィルムは、溶液流延法によって製造することができる。溶液流延法では、熱可塑性樹脂であるセルロースアシレート及び添加剤等を、有機溶媒に加熱溶解させてドープを調製するドープ調製工程、調製したドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する流延工程、流延したドープをウェブとして乾燥する乾燥工程、金属支持体からウェブを剥離する剥離工程、剥離したウェブを延伸又は収縮する延伸工程、更に乾燥工程、仕上がったフィルムの巻取り工程等を経て製造される。
ドープ中のセルロースアシレートの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷は低減できて好ましいが、セルロースアシレートの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増大し、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%の範囲内が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%の範囲内である。流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト、又は鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mの範囲とすることが好ましい。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶媒が沸騰して発泡しない温度以下の範囲で適宜選択して設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、過度に高すぎるとウェブが発泡し、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度としては0〜100℃の範囲内で適宜決定され、5〜30℃の温度範囲が更に好ましい。又は、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は、特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方法が、熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は、溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
λ/4位相差フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%の範囲内で設定することが好ましく、更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%の範囲内であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%の範囲内である。
本発明でいう残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
式中、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱した後の質量である。
また、λ/4位相差フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1.0質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0〜0.01質量%の範囲である。
フィルム乾燥工程では、一般にローラー乾燥方式、例えば、上下に配置した多数のローラーにウェブを交互に通し乾燥させる方式や、テンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
〈延伸工程〉
本発明のλ/4位相差フィルムは、波長550nmで測定した面内方向の位相差Ro550が120〜180nmの範囲が好ましいが、該位相差はフィルム延伸によって付与することが出来る。以下、本発明のλ/4位相差フィルムを、セルロースアシレートフィルムという場合がある。
延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のローラーに周速差をつけ、その間でローラー周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれらの方法は、組み合わせて用いてもよい。すなわち、製膜方向に対して横方向に延伸しても、縦方向に延伸しても、両方向に延伸してもよく、さらに両方向に延伸する場合は同時延伸であっても、逐次延伸であってもよい。なお、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことができ、破断等の危険性が減少することができる観点から好ましい。
本発明のλ/4位相差フィルムにおいては、特に、遅相軸を発生させたい方向に延伸し、垂直方向(進相軸方向)には収縮させ、その延伸倍率に対する収縮率の比率をコントロールすることにより、前記図1Bで説明したように、本発明で好適に用いられる一般式(A)で表される化合物の主軸方向と、セルロースアシレートの主軸方向(延伸方向)とを一致させるように、一般式(A)で表される化合物の主軸の配向方向を制御することが好ましい方法である。
すなわち、遅相軸方向(幅手方向)への延伸倍率と、遅相軸方向とは垂直の方向(進相軸方向)への収縮倍率の比率としては、収縮倍率/延伸倍率=0.05〜0.70の範囲とすることが好ましい態様であるが、最も好ましいのは0.10〜0.30の範囲内であり、この範囲において、一般式(A)で表される化合物の主軸をマトリックス樹脂の主鎖に合わせることができると共に、一般式(A)で表される化合物の側鎖もフィルム進相軸方向に配向し、側鎖に高屈折率分子を含有させれば、紫外線領域280nmにおける進相軸方向の屈折率n(280)を高めることが可能となり、可視光領域のnの順波長分散の傾きを急峻にすることができる。
本発明に係る延伸工程においては、全延伸工程の30〜70%の範囲内で延伸した後に、収縮を開始する方法が好ましい。
延伸工程としては、通常、幅手方向(TD方向)に延伸し、搬送方向(MD方向)に収縮する場合が多いが、収縮させる際、斜め方向に搬送させると主鎖方向を合せ易くなるため、位相差発現効果はさらに大きい。収縮率は搬送させる角度によって決まる。
図2は、斜め延伸における収縮倍率を説明する模式図である。
図2において、セルロースアシレートフィルムFを斜め延伸12する際に、搬送方向である長軸Mが、斜め屈曲することでMに収縮する。このとき、収縮率(%)は、
収縮率(%)=(M−M)/M×100
で表される。
屈曲角度をθとすると、
=M×sin(π−θ)
となり、よって、
収縮率(%)=(1−sin(π−θ))×100
で表される。
図2において、11は延伸方向(TD方向)であり、13は搬送方向(MD方向)であり、14は遅相軸である。
一般式(A)で表される化合物等の配向をコントロール方法としては、λ/4位相差フィルムの遅相軸が搬送方向に対して30〜60°の範囲内であることが好ましく、その際の収縮率としては、10〜50%の範囲内であることが好ましい。
円偏光板の生産性を考慮すると、本発明のλ/4位相差フィルムは、搬送方向に対する配向角が45°±2°であることが、偏光フィルムとのロールツーロールでの貼合が可能となり最も好ましい。
(斜め延伸テンターによる延伸)
次いで、45°の方向に延伸する斜め延伸方法について、更に説明する。
本発明のλ/4位相差フィルムの製造方法において、延伸にするセルロースアシレートフィルムに斜め方向の配向を付与する方法として、斜め延伸テンターを用いることが好ましい。
本発明に適用可能な斜め延伸テンターとしては、レールパターンを多様に変化させることにより、フィルムの配向角を自在に設定でき、さらに、フィルムの配向軸をフィルム幅方向に渡って左右均等に高精度に配向させることができ、かつ、高精度でフィルム厚さやリターデーションを制御できるフィルム延伸装置であることが好ましい。
図3は、本発明のλ/4位相差フィルムの製造に適用可能な斜め延伸機のレールパターンの一例を示した概略図である。なお、ここで示す図は一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
一般的に、斜め延伸装置においては、長尺のフィルム原反の繰り出し方向D1は、延伸後の延伸フィルムの巻取り方向D2と異なっており、繰り出し角度θiを成している。
繰り出し角度θiは0°を超え90°未満の範囲で、所望の角度に任意に設定することができる。
長尺のフィルム原反は、斜め延伸機入口(図中Aの位置)において、その両端を左右の把持具(テンター)によって把持され、把持具の走行に伴い走行される。左右の把持具は、斜め延伸機入口(図中Aの位置)で、フィルムの進行方向(繰り出し方向D1)に対して略垂直な方向に相対している左右の把持具Ci及びCoは、左右非対称なレールRi及びRo上を走行し、延伸終了時の位置(図中Bの位置)で、テンターで把持したフィルムを解放する。
このとき、斜め延伸機入口(図中Aの位置)で相対していた左右の把持具は、左右非対称なレールRi及びRo上を走行するにつれて、Ri側を走行する把持具Ciは、Ro側を走行する把持具Coに対して進行する位置関係となる。
すなわち、斜め延伸機入口(フィルムの把持具による把持開始位置)Aで、フィルムの繰り出し方向D1に対して略垂直な方向に相対していた把持具Ci及びCoが、フィルムの延伸終了時の位置Bにある状態で、該把持具Ci及びCoを結んだ直線がフィルムの巻取り方向D2に対して略垂直な方向に対して角度θLだけ傾斜している。
以上の方法に従って、フィルム原反は、θLの方向に斜め延伸される。ここで略垂直とは、90±1°の範囲内にあることを示す。
更に詳しく説明すると、本発明のλ/4位相差フィルムを製造する方法においては、上記説明した斜め延伸が可能なテンターを用いて、斜め延伸を行うことが好ましい。
このテンターは、フィルム原反を延伸可能な任意の温度に加熱し、斜め延伸する装置である。このテンターは、加熱ゾーンと、フィルムを搬送するための把持具が走行する左右で一対のレールと、該レール上を走行する多数の把持具とを備えている。テンターの入口部に順次供給されるフィルムの両端を、把持具で把持し、加熱ゾーン内にフィルムを導き、テンターの出口部で把持具からフィルムを開放する。把持具から開放されたフィルムは巻芯に巻き取られる。一対のレールは、それぞれ無端状の連続軌道を有し、テンターの出口部でフィルムの把持を開放した把持具は、外側を走行して順次入口部に戻されるようになっている。
なお、テンターのレールパターンは左右で非対称な形状となっており、製造すべき長尺延伸フィルムに与える配向角θ、延伸倍率等に応じて、そのレールパターンは手動又は自動で調整できるようになっている。本発明のλ/4位相差フィルムに係る製造方法で用いられる斜め延伸機では、各レール部及びレール連結部の位置を自由に設定し、レールパターンを任意に変更できることが好ましい。なお、図3中で示す「○」部は、連結部の一例である。
本発明の実施形態において、テンターの把持具は、前後の把持具と一定間隔を保ちながら、一定速度で走行するようになっている。
把持具の走行速度は適宜選択できるが、通常、1〜100m/分の範囲内である。左右一対の把持具の走行速度の差は、通常は走行速度の1%以下であり、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。これは、延伸工程の出口でフィルムの左右で搬送速度差があると、延伸工程の出口でシワや寄りが発生するため、左右の把持具の速度差は、実質的に同速度であることが求められる。一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モーターの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明の実施形態で述べる速度差には該当しない。
本発明の実施形態に係る製造方法で用いられる斜め延伸機において、特にフィルムの搬送が斜めになる箇所において、把持具の軌跡を規制するレールには、しばしば大きい屈曲率が求められる。急激な屈曲による把持具同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では把持具の軌跡が曲線を描くようにすることが望ましい。
本発明の実施形態において、長尺フィルム原反は斜め延伸機入口(図中Aの位置)において、その両端を左右の把持具によって順次把持されて、把持具の走行に伴い搬送される。斜め延伸機の入口(図中Aの位置)で、フィルム進行方向D1に対して略垂直な方向に相対している左右の把持具は、左右非対称なレール上を走行し、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱固定ゾーンを有する加熱ゾーンを通過する。
予熱ゾーンとは、加熱ゾーン入口部において、両端を把持した把持具の間隔が一定の間隔を保ったまま走行する区間をさす。
延伸ゾーンとは、両端を把持した把持具の間隔が開きだし、所定の間隔になるまでの区間をさす。
このとき、上述のような斜め延伸が行われるが、必要に応じて斜め延伸前後において縦方向あるいは横方向に延伸してもよい。
斜め延伸の場合、屈曲時に、遅相軸とは垂直の方向であるMD方向(進相軸方向)への収縮を伴う。
本発明のλ/4位相差フィルムにおいて、延伸処理に続いて、収縮処理を施すことにより、マトリックス樹脂であるセルロースアシレートの主鎖からずれた光学調整剤(例えば、前記一般式(A)で表される化合物。)の配向を、延伸方向と垂直な方向(進相軸方向)に収縮させることにより、光学調整剤の配向状態を回転させ、光学調整剤化合物の主軸をマトリックス樹脂であるセルロースアシレートの主鎖に合わせる。その結果、紫外線領域280nmにおける進相軸方向の屈折率ny280を高めることが可能となり、可視光領域のny順波長分散の傾きを急峻にすることができる。
熱固定ゾーンとは、延伸ゾーンより後の把持具の間隔が再び一定となる期間において、両端の把持具が互いに平行を保ったまま走行する区間をさす。
熱固定ゾーンを通過した後に、ゾーン内の温度がフィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg℃以下に設定される区間(冷却ゾーン)を通過してもよい。
このとき、冷却によるフィルムの縮みを考慮して、予め対向する把持具間隔を狭めるようなレールパターンとしてもよい。
各ゾーンの温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgに対し、予熱ゾーンの温度はTg〜Tg+30℃の範囲内で、延伸ゾーンの温度はTg〜Tg+30℃の範囲内で、冷却ゾーンの温度はTg−30〜Tg℃の範囲内で設定することが好ましい。
なお、幅方向の厚さムラの制御のため、延伸ゾーンにおいて幅方向に温度差を付けてもよい。延伸ゾーンにおいて幅方向に温度差をつけるには、温風を恒温室内に送り込むノズルの開度を幅方向で差を付けるように調整する方法や、ヒーターを幅方向に並べて加熱制御するなどの公知の手法を用いることができる。予熱ゾーン、延伸ゾーン、収縮ゾーン及び冷却ゾーンの長さは適宜選択でき、延伸ゾーンの長さに対して、予熱ゾーンの長さが通常100〜150%の範囲内であり、固定ゾーンの長さは通常50〜100%の範囲内で設定される。
延伸工程における延伸倍率R(W/W0)は、好ましくは1.3〜3.0の範囲内であり、より好ましくは1.5〜2.8の範囲内である。延伸倍率がこの範囲内にあると、幅方向における厚さムラが小さくなるので好ましい。斜め延伸テンターの延伸ゾーンにおいて、幅方向で延伸温度に差を付けると、幅方向厚さムラをさらに良好なレベルにすることが可能になる。なお、W0は延伸前のフィルムの幅、Wは延伸後のフィルムの幅を表す。
本発明に適用可能な斜め延伸方法としては、上記図3に示した方法のほかに、図4A〜図4C、図5A及び図5Bに示す延伸方法を挙げることができる。
図4A〜図4Cは、本発明の実施形態に係る製造方法の一例(長尺フィルム原反ロールから繰り出してから斜め延伸する例)を示す概略図であり、一旦ロール状に巻き取られた長尺フィルム原反を繰り出して斜め延伸するパターンを示すものである。
図5A及び図5Bは、本発明の実施形態に係る製造方法の一例(長尺フィルム原反を巻き取らずに連続的に斜め延伸する例)を示す概略図であり、長尺フィルム原反を巻き取ることなく連続的に斜め延伸工程を行うパターンを示すものである。
各図中、フィルム繰り出し装置16、搬送方向変更装置17、巻き取り装置18、製膜装置19を各々示す。
フィルム繰り出し装置16は、斜め延伸テンター入口に対して所定の角度で前記フィルムを送り出せるように、スライド及び旋回可能となっているか、フィルム繰り出し装置16は、スライド可能となっており、搬送方向変更装置17により斜め延伸テンター入口に前記フィルムを送り出せるようになっていることが好ましい。前記フィルム繰り出し装置16、及び搬送方向変更装置17をこのような構成とすることにより、より製造装置全体の幅を狭くすることが可能となるほか、フィルムの送り出し位置及び角度を細かく制御することが可能となり、膜厚及び光学特性値のバラツキが小さい長尺延伸フィルムを得ることが可能となる。また、前記フィルム繰り出し装置16及び搬送方向変更装置17を移動可能とすることにより、前記左右のクリップのフィルムへの噛込み不良を有効に防止することができる。
巻き取り装置18は、斜め延伸テンター出口に対して所定角度でフィルムを引き取れるように形成することにより、フィルムの引き取り位置及び角度を細かく制御することが可能となり、膜厚及び光学特性値のバラツキが小さい長尺延伸フィルムを得ることが可能となる。そのため、フィルムのシワの発生を有効に防止することができるとともに、フィルムの巻き取り性が向上するため、フィルムを長尺ロールとして巻き取ることが可能となる。本実施形態において、延伸後のフィルムの引取り張力T(N/m)は、100N/m<T<300N/m、好ましくは150N/m<T<250N/mの範囲内で調整することが好ましい。
(溶融製膜法)
本発明のλ/4位相差フィルムは、溶融製膜法により製膜しても良い。溶融製膜法は、樹脂及び可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を呈する温度まで加熱溶融し、その後、流動性の熱可塑性樹脂を含む溶融物を流延してフィルム成形する方法である。
加熱溶融する成形法としては、更に詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの成形法の中では、機械的強度及び表面精度などの点から、溶融押出し法が好ましい。溶融押出し法に用いる複数の原材料は、通常、予め混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法を適用することができ、例えば、乾燥セルロースアシレートや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出し機に供給し、一軸や二軸の押出し機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷又は空冷し、カッティングすることでペレットを得ることができる。
添加剤は、押出し機に供給する前に混合しておいてもよく、あるいはそれぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。なお、微粒子や酸化防止剤等の少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
ペレット化に用いる押出し機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(例えば、分子量低下、着色、ゲル生成等。)しないように、ペレット化が可能で、なるべく低温で加工する方式が好ましい。例えば、二軸押出し機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーに投入して押出し機に供給し、加熱溶融した後、そのままフィルム製膜することも可能である。
上記ペレットを一軸や二軸タイプの押出し機を用いて、押出す際の溶融温度としては200〜300℃の範囲内とし、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過して異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ローラーと弾性タッチローラーでフィルムをニップし、冷却ローラー上で固化させる。
供給ホッパーから押出し機へ導入する際は、真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下で行って、酸化による分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し、接触箇所を焼結して一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。
可塑剤や微粒子などの各添加剤は、予め樹脂と混合しておいてもよいし、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
冷却ローラーと弾性タッチローラーでフィルムをニップする際の弾性タッチローラー側のフィルム温度は、フィルムのTg〜Tg+110℃の範囲内とすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体を表面に有する弾性タッチローラーとしては、公知の弾性タッチローラーを使用することができる。弾性タッチローラーは、挟圧回転体ともいい、市販されているものを用いることもできる。
冷却ローラーからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
また、上記のようにして得られたフィルムは、冷却ローラーに接する工程を通過した後、前記溶液流延法で説明したのと同様の延伸方法により延伸及び収縮処理を施す。
延伸及び収縮する方法は、前述のような公知のローラー延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。延伸温度は、通常フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+60℃の温度範囲で行われることが好ましい。
巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、切除した廃材は再利用される。
〔λ/4位相差フィルムの特性〕
(フィルム仕様)
本発明のλ/4位相差フィルムの膜厚は、特に限定はされないが、10〜250μmの範囲内で用いることができるが、好ましくは20〜100μmの範囲内であり、より好ましくは30〜80μmの範囲内であり、特に好ましくは30〜65μmの範囲内である。
本発明のλ/4位相差フィルムは、幅として1〜4mの範囲内のものを用いることができる。更には、幅1.4〜4mのものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.6〜3mである。幅として4m以下であれば、搬送安定性を確保することができる。
(表面粗さ)
本発明のλ/4位相差フィルムの表面における算術平均粗さRaとしては、概ね2.0〜4.0nmの範囲内であり、好ましくは2.5〜3.5nmの範囲内である。
(寸法変化率)
本発明のλ/4位相差フィルムを、本発明の有機EL画像表示装置に具備した場合、使用する環境雰囲気、例えば、高湿環境下での吸湿での寸法変化により、ムラや位相差値の変化、あるいはコントラストの低下や色むらといった問題を発生させない為、本発明のλ/4位相差フィルムの寸法変化率(%)としては、0.5%未満であることが好ましく、更に、0.3%未満であることが好ましい。
(故障耐性)
本発明のλ/4位相差フィルムでは、フィルム中の故障(以下、欠点ともいう)が少ないことが好ましく、ここでいう欠点とは、溶液流延法により製膜において、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発に起因して発生するフィルム中の空洞(発泡欠点)や、製膜原液中の異物や製膜中に混入する異物に起因するフィルム中の異物故障(異物欠点)をいう。
具体的にはフィルム面内に、直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましい。更に好ましくは0.5個/10cm四方以下であり、特に好ましくは0.1個/10cm四方以下である。
上記欠点の直径とは、欠点が円形の場合はその直径を示し、円形でない場合は欠点の範囲を下記方法により顕微鏡で観察して決定し、その最大径(外接円の直径)とする。
欠点の範囲は、欠点が気泡や異物の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の透過光で観察したときの影の大きさで測定する。また、欠点が、ローラー傷の転写や擦り傷など、表面形状の変化を伴う場合には、欠点を微分干渉顕微鏡の反射光で観察して大きさを確認する。
なお、反射光で観察する場合に、欠点の大きさが不明瞭であれば、表面にアルミや白金を蒸着して観察する。かかる欠点頻度にて表される品位に優れたフィルムを生産性よく得るには、ポリマー溶液を流延直前に高精度濾過することや、流延機周辺のクリーン度を高くすること、また、流延後の乾燥条件を段階的に設定し、効率よくかつ発泡を抑えて乾燥させることが有効である。
欠点の個数が1個/10cm四方より多いと、例えば、後工程での加工時などでフィルムに張力がかかると、欠点を起点としてフィルムが破断して生産性が低下する場合がある。また、欠点の直径が5μm以上になると、偏光板観察などにより目視で確認でき、光学部材として用いたとき輝点が生じる場合がある。
(破断伸度)
また、本発明のλ/4位相差フィルムは、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向(TD方向又はMD方向)の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。
破断伸度の上限は、特に限定されるものではないが、現実的には250%程度である。破断伸度を大きくするには、異物や発泡に起因するフィルム中の欠点の発生を、上記方法により抑制することが有効である。
(全光線透過率)
本発明のλ/4位相差フィルムは、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率で表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効な手段である。また、製膜時のフィルム接触部(冷却ローラー、カレンダーローラー、ドラム、ベルト、溶液流延法による製膜工程における塗布基材、搬送ローラーなど)の表面粗さを小さくして、フィルム表面の表面粗さを小さくすることによりフィルム表面の光の拡散や反射を低減させる方法が有効である。
《円偏光板》
本発明に係る円偏光板は、長尺状の保護フィルム、長尺状の偏光子及び長尺状の本発明のλ/4位相差フィルムをこの順に有する長尺ロールを断裁して作製され、該長尺状のλ/4位相差フィルムが、請求項1で規定する条件を満たすことを特徴とするものであり、本発明に係る円偏光板を有機EL画像表示装置に適用することにより、有機EL発光体の金属電極における鏡面反射を遮蔽する効果を発現する。
また、本発明のλ/4位相差フィルムを斜め延伸することによって、遅相軸の角度(即ち配向角θ)を長手方向に対して「実質的に45°」となるようにすると、面内の最大弾性率となる方向も長手方向に対して「実質的に45°」となり、このような場合には、円偏光板が斜め方向の反りを生じやすくなる。
上記課題に対し、本発明に係る円偏光板では、偏光子が本発明のλ/4位相差フィルムと保護フィルムによって挟持されている構成が好ましく、該保護フィルムの視認側に硬化層を積層することにより、円偏光板の反りを防止する効果を発現することができる観点から好ましい。
また、本発明の有機EL画像表示装置は、紫外線による劣化を防止するため、本発明に係る円偏光板が紫外線吸収機能を備えていることが好ましい。視認側の保護フィルムが紫外線吸収機能を備えていると、偏光子と有機EL素子の両方を紫外線に対する保護効果を発現できる観点から好ましいが、さらに発光体側のλ/4位相差フィルムも紫外線吸収機能を備えていると、より有機EL素子の劣化を抑制できて好ましい。
《有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置は、本発明のλ/4位相差フィルムを有する円偏光板と、有機エレクトロルミネッセンス素子とを具備し、画面サイズが20インチ以上であることを特徴とする。
図6に、本発明の有機EL画像表示装置の構成の一例を示すが、これに限定されるものではない。
ガラスやポリイミド等を用いた基板101上に順に金属電極102、TFT103、有機機能層ユニット104、透明電極(ITO等)105、絶縁層106、封止層107、フィルム108(省略可)を有する有機EL素子B上に、偏光子110を本発明のλ/4位相差フィルム109と保護フィルム111によって挟持した本発明に係る円偏光板Cを設けて、有機EL画像表示装置Aを構成する。該保護フィルム111上には硬化層112が積層されていることが好ましい。硬化層112は、有機EL画像表示装置Aの表面のキズを防止するだけではなく、円偏光板による反りを防止する効果を有する。更に、硬化層上には、反射防止層113を有していてもよい。上記有機EL素子B自体の厚さは1μm程度である。
一般に、有機EL画像表示装置Aは、透明な基板101上に金属電極102と有機機能層ユニット104と透明電極105とを順に積層した発光体である素子(有機EL素子)を形成している。ここで、有機機能層ユニット104は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる有機発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、有機発光層、及び電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL画像表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子が注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資あるいはリン光発光性物質を励起し、励起された蛍光物質あるいはリン光発光性物質が基底状態に戻るときに、有機発光層内部あるいは有機発光層の界面で、蛍光あるいはリン光を放射して発光する。途中における正孔と電子との再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL画像表示装置において、有機発光層での発光を取り出すには、少なくとも一方の電極が透明であることが必要な要件であり、通常、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いていることが好ましい。一方、電子注入を容易にして発光効率を高めるためには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要であり、通常、Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
本発明のλ/4位相差フィルムを有する円偏光板は、画面サイズが20インチ以上、即ち対角線距離が50.8cm以上の大型画面からなる機EL画像表示装置に適用することを特徴とする。
このような構成の有機EL画像表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL画像表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機機能層ユニットの表面側に透明電極を備えるとともに、有機機能層ユニットの裏面側に金属電極を備えてなる有機EL素子を含む有機EL画像表示装置において、透明電極の表面側(視認側)に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板及び偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。本発明の有機EL画像表示装置においては、位相差板を、本発明のλ/4位相差フィルムで構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL画像表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過し、この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、本発明においては、位相差板が本発明のλ/4位相差フィルムであり、しかも偏光板と位相差板であるλ/4位相差フィルムとの偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
本発明に係る円偏光においては、透明基板、透明電極、有機機能層を透過し、金属電極で反射して、再び有機機能層、透明電極、透明基板を透過して、λ/4位相差フィルムにおいて再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、本発明に係る円偏光においては、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《λ/4位相差フィルムの作製》
〔λ/4位相差フィルム101の作製:比較例〕
窒素雰囲気下で、脱水したシクロヘキサンの500部に、1−ヘキセンを1.2部、ジブチルエーテルを0.15部、トリイソブチルアルミニウムを0.30部、それぞれ室温で反応器に入れて混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、DCPと略記。)の20部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記。)の140部、及び8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン(以下、MTDと略記。)の40部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)の40部とを、2時間かけて連続的に添加して重合した。この重合溶液に、ブチルグリシジルエーテルを1.06部とイソプロピルアルコールを0.52部加えて重合触媒を不活性化し、重合反応を停止させた。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液の100部に対して、シクロヘキサンを270部加え、更に、水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)を5部加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら、温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/MTD開環重合体水素化ポリマーを20質量%含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去した後、軟質重合体(クラレ社製;セプトン2002)、及び酸化防止剤(BASFジャパン社製;イルガノックス1010)を、得られた溶液にそれぞれ軟質重合体100部あたり0.1部添加して溶解させた。
次いで、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて除去し、水素化ポリマーを溶融状態で押出機からストランド状に押出、冷却して後ペレット化して回収した。重合体中の各ノルボルネン系モノマーの共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、DCP/MTF/MTD=10/70/20で、ほぼ添加上条件の組成に等しかった。この開環重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は31,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、水素添加率は99.9%、Tgは134℃であった。
上記調製した開環重合体水素添加物のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて、70℃で2時間乾燥して水分を除去した。次いで、上記ペレットを、コートハンガータイプのTダイを有する短軸押出機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン、溶融樹脂との剥離強度44N)を用いて溶融押出成形して、厚さ100μmのシクロオレフィンポリマーフィルムを製造した。押出成形は、クラス10,000以下のクリーンルーム内で、溶融樹脂温度240℃、Tダイ温度240℃の成形条件にて幅1400mm長尺の未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムはロールに巻き取った。
上記にて得られたノルボルネン系樹脂の未延伸フィルムを、図3に示す斜め延伸装置のレールパターンを用い、以下に示す条件に従って延伸して、延伸フィルムであるλ/4位相差フィルム101を得た。
なお、図3に示す延伸装置において、フィルムの繰り出し方向と巻取り方向とがなす角度θiは、49度とした。
はじめに、加熱ゾーンの手前付近にて、フィルム繰り出し装置から送られてくる未延伸フィルムの両端を、第1クリップCi(レールIN側)及び第2クリップCo(レールOUT側)で把持した。なお、未延伸フィルムを把持する際には、第1クリップ及び第2クリップのクリップレバーを、クリップクローザーにより動かすことにより、未延伸フィルムを把持した。またクリップ把持時の際は、フィルムの両端を第1クリップCi及び第2クリップCoで同時に把持し、かつフィルムの横方向に平行な軸に対して、両端の把持位置を結ぶ線が平行となる様に把持した。
次いで、把持した未延伸のフィルムを、上記第1クリップ及び第2クリップにより、加熱ゾーン内の予熱ゾーン、延伸ゾーン及び熱固定ゾーンを通過させることにより加熱し、幅方向に延伸して、延伸フィルムを得た。
なお、加熱及び延伸する際におけるフィルムの移動速度は、20m/分とした。また、予熱ゾーンの温度を160℃、延伸ゾーンの温度を140℃、熱固定ゾーンの温度を120℃とした。また、延伸前後におけるフィルムの延伸率(テンター入口部Aで把持したクリップ両端の間隔Woがテンター出口部Bにおいて間隔Wとなったときの倍率W/Woの比で定義される値)は120%(1.2倍)とし、延伸後のフィルムの厚さが60μm、幅が3080mmとなるようにした。作製した位相差フィルムは、長手方向に25%収縮していた。
最後に、得られた延伸フィルムの両端にトリミング処理を施し、最終的なフィルム幅を2160mmとして、λ/4位相差フィルム101を得た。
〔λ/4位相差フィルム102の作製〕
(微粒子分散液1の調製)
微粒子(アエロジル R812、一次粒径:約7nm 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリン分散機を用いて分散を行い、微粒子分散液1を調製した。
(微粒子添加液1の調製)
溶解タンクにメチレンクロライドを50質量部入れ、メチレンクロライドを十分に攪拌しながら上記調製した微粒子分散液1の50質量部をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が、所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過して、微粒子添加液1を調製した。
(ドープの調製)
はじめに、加圧溶解タンクに、有機溶媒として下記に示すメチレンクロライドとエタノールを添加した。有機溶媒の入った加圧溶解タンクに、アセチル基置換度が1.90の下記セルロースアセテートを攪拌しながら投入した。これを加熱及び攪拌しながら、完全に溶解した後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。
次いで、上記調製した主ドープの入っている主溶解釜に、一般式(A)で表される化合物として例示化合物(221)、糖エステル化合物(平均置換度7.3のベンジルサッカロース)及び上記調製した微粒子添加液1を下記の比率で、投入し、密閉した後、攪拌しながら溶解してドープを調製した。
〈ドープの組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアセテート(アセチル基置換度2.85、重量平均分子量約18万) 100質量部
一般式(A)で表される化合物:例示化合物(221) 4質量部
糖エステル化合物(平均置換度7.3のベンジルサッカロース)5質量部
微粒子添加液1 2質量部
(製膜)
上記調製したドープを、ステンレスベルト支持体上に流延(キャスト)し、フィルム中の残留溶媒量が75質量%になるまで溶媒を蒸発させた後、剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上からフィルムを剥離した。
〈延伸工程〉
剥離した原反フィルム102を、180℃で加熱しながらテンターを用いて、幅手方向(TD方向)にのみ、120%の延伸倍率で一軸延伸し、次いで、搬送方向(MD方向)に6%収縮させた。延伸開始時の残留溶媒は、15質量%であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のローラーを介して搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。
以上のようにして、乾燥膜厚が60μmのロール状のλ/4位相差フィルム102を得た。なお、λ/4位相差フィルム102の配向角は、0°であった。
〔λ/4位相差フィルム103の作製〕
上記λ/4位相差フィルム102で作製した原反フィルムにおいて、幅方向の延伸倍率を1.0%とし、搬送方向には収縮しないように搬送張力を調整した以外は同様にして、乾燥膜厚が125μmのロール状の原反フィルム103を作製した。
〈延伸工程〉
この原反フィルム103を、図3に記載の構成からなる斜め延伸装置を用いて、延伸温度=180℃、延伸倍率=120%、屈曲角度θi=70°、収縮率(MD方向)=6%、配向角:60°の条件で延伸し、膜厚が60μmのロール状のλ/4位相差フィルム103を得た。
〔λ/4位相差フィルム104、105、111及び112の作製〕
上記λ/4位相差フィルム102の作製において、屈曲角度が0°の条件で、膜厚(μm)、延伸温度(℃)、延伸倍率(%)、収縮率(%)、収縮倍率/延伸倍率比を表1に記載の条件に変更した以外は同様にして、λ/4位相差フィルム102の作製で用いたのと同様の延伸工程に従って、λ/4位相差フィルム104、105、111及び112を作製した。
〔λ/4位相差フィルム106〜110の作製〕
上記λ/4位相差フィルム103の作製において、屈曲角度θi(°)、配向角(°)、膜厚(μm)、延伸温度(℃)、延伸倍率(%)、収縮率(%)、収縮倍率/延伸倍率比を表1に記載の条件に変更した以外は同様にして、λ/4位相差フィルム103の作製の延伸工程(図3に記載の斜め延伸装置)を用いて、λ/4位相差フィルム106〜110を作製した。
〔λ/4位相差フィルム113の作製〕
特開2010−254949号公報の実施例2に記載のフィルム121(表2に記載の構成を参照)の作製において、Ro(550)が140nmとなるように、膜厚を52μmから67μmに変更した以外は同様にして、λ/4位相差フィルム113を作製した。
〔λ/4位相差フィルム114の作製〕
特開2010−254949号公報の実施例2に記載のフィルム124(表2に記載の構成を参照)の作製において、Ro(550)が140nmとなるように、膜厚を52μmから67μmに変更した以外は同様にして、λ/4位相差フィルム114を作製した。
〔フィルムの各特性値の測定〕
上記作製した各λ/4位相差フィルムについて、23℃、55%RH環境下で、Axometrcs社製のAxoscanを用いて、450nm、550nm、650nmの波長での面内方向のリターデーションRo(450)、Ro(550)、Ro(650)と、550nmの波長でのRt(550)を測定し、Ro(450)/Ro(550)、Ro(550)/Ro(650)を算出した。
また、屈折率n(280)、n(280)、Δn(400)、Δn(400)は、アッベ屈折率計(1T)と分光光源を用いて、23℃、55%RH環境下で、波長280nm、400nm、410nmにおけるフィルム試料の平均屈折率を測定した。
また、配向角も、同じくAxometrcs社製のAxoscanを用いて測定した。
また、フィルム膜厚は、市販のマイクロメーターを用いて測定した。
以上により得られた各フィルム特性値を、表1に示す。
Figure 2013137058
《円偏光板101〜114の作製》
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムに、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)処理を施した。
これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いで、ヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。次いで、これを水洗及び乾燥して偏光子を得た。
上記作製したλ/4位相差フィルム101〜114を、完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として、上記偏光子の片面に貼合した。その際、偏光子の透過軸とλ/4位相差フィルムの遅相軸が45度となるよう貼合した。偏光子のもう一方の面に、下記保護フィルム1を、同様にアルカリケン化処理して貼り合わせて、円偏光板101〜114を作製した。
〔保護フィルム1の作製〕
(エステル化合物1の調製)
1,2−プロピレングリコールを251g、無水フタル酸を278g、アジピン酸を91g、安息香酸を610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネートを0.191g、温度計、撹拌器及び緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中で230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温した。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、エステル化合物1を得た。得られたエステル化合物1の酸価は0.10mgKOH/g、数平均分子量は450であった。
(ドープの調製)
セルロースアセテート(アセチル基置換度2.88、重量平均分子量約18万) 90質量部
エステル化合物1 10質量部
チヌビン928(*1) 2.5質量部
微粒子添加液1(前出) 4質量部
メチレンクロライド 432質量部
エタノール 38質量部
*1)チヌビン928:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASFジャパン(株)製)
以上を密閉容器に投入し、加熱及び撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液を調製した。
(製膜)
次に、ベルト流延装置を用い、ステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶媒量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。セルロースエステルフィルムのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.65m幅にスリットし、160℃の熱をかけながらテンターでTD方向(フィルムの幅手方向)に30%、MD方向の延伸倍率は1%延伸した。延伸を始めたときの残留溶媒量は20%であった。その後、120℃の乾燥装置内を多数のローラーで搬送させながら15分間乾燥させた後、1.49m幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、高さ10μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、保護フィルム1を得た。保護フィルム1の残留溶媒量は0.2%であり、膜厚は40μm、巻数は3900mであった。
保護フィルム1の配向角θは、王子計測器社製の自動複屈折計KOBRA−21ADHを用いて測定した結果、フィルム長手方向に対して90°±1°の範囲にあった。
《有機ELセルの作製》
3mm厚の50インチ(127cm)用無アルカリガラスを用いて、特開2010−20925号公報の実施例に記載されている方法に従って、同公報の図8に記載されている構成からなる有機ELセルを作製した。
《有機EL画像表示装置の作製》
上記作製した各円偏光板のλ/4位相差フィルムの表面に接着剤を塗工した後、有機ELセルの視認側に貼合することで有機EL画像表示装置101〜114を作製した。
《有機EL画像表示装置の評価》
上記作製した各有機EL画像表示装置について、下記評価を行った。
〔表示性能の評価〕
(視認性の評価1:黒表示)
23℃、55%RHの環境で、有機EL画像表示装置の最表面から5cm高い位置での照度が1000Lxとなる条件下で、有機EL画像表示装置に黒画像を表示した。
次いで、表示した黒画像について、有機EL画像表示装置の正面位置(面法線に対し0°)と、面法線に対し40°の斜め角度からの視認性を一般モニター10人で行い、下記の基準に従って、黒画像の視認性を評価した。本発明では、△以上であれば実用上可と判断した。
◎:9人以上のモニターが、表示された画像が黒であると判定した
○:7〜8人のモニターが、表示された画像が黒であると判定した
△:5〜6人のモニターが、表示された画像が黒であると判定した
×:表示された画像が黒であると判定したモニターが、4人以下である
(視認性の評価2:BGRカラー画像)
23℃、55%RHの環境で、有機EL画像表示装置の最表面から5cm高い位置での照度が1000Lxとなる条件下で、有機EL画像表示装置にBGRカラーチャート画像を表示した。
次いで、表示したBGRカラー画像について、有機EL画像表示装置の正面位置(面法線に対し0°)と、面法線に対し40°の斜め角度からの視認性を一般モニター10人で行い、下記の基準に従って、BGRカラー画像の視認性を評価した。本発明では、△以上であれば実用上可と判断した。
◎:9人以上のモニターが良好なBGRカラー画像であると判定した
○:7〜8人のモニターが良好なBGRカラー画像であると判定した
△:5〜6人のモニターが良好なBGRカラー画像であると判定した
×:良好なBGRカラー画像であると判定したモニターが、4人以下である
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 2013137058
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する各特性値を備えた本発明のλ/4位相差フィルムを有する円偏光板を具備した本発明の有機EL画像表示装置は、比較例に対し、表示した黒画像及びBGRカラー画像の画像表示性能(視認性)に優れていることが分かる。
実施例2
《λ/4位相差フィルムの作製》
〔λ/4位相差フィルム201〜207の作製〕
実施例1に記載のλ/4位相差フィルム106の作製において、一般式(A)で表される化合物の種類及び膜厚を、表3に記載の構成に変更した以外は同様にして、λ/4位相差フィルム201〜207の作製を作製した。
Figure 2013137058
《円偏光板、有機ELセル及び有機EL画像表示装置の作製》
実施例1に記載の方法と同様にして、上記作製したλ/4位相差フィルム201〜207を用いて、円偏光板201〜207、有機ELセル201〜207及び有機EL画像表示装置201〜207を作製した。
《有機EL画像表示装置の評価》
上記作製した有機EL画像表示装置201〜207及び実施例1で作製した有機EL画像表示装置106について、実施例1に記載したのと同様の方法で、黒表示及びBGRカラー画像の画像表示性能(視認性)の評価を行い、得られた結果を表4に示す。
Figure 2013137058
表4に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する各特性値を備えた本発明のλ/4位相差フィルムを有す円偏光板を具備した本発明の有機EL画像表示装置は、比較例に対し、黒表示及びBGRカラー画像の画像表示性能(視認性)に優れていることが分かる。
本発明のλ/4位相差フィルムは、位相差発現性が高く、薄膜で逆波長分散特性を備え、厚さ方向の位相差を低減した広帯域のλ/4位相差フィルムであり、有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置に好適に利用できる。
1 マトリックス樹脂の主鎖
2 延伸方向
4 化合物の主鎖
5 化合物の側鎖
11 延伸法王
13 搬送方向
14 遅相軸
D1 繰り出し方向
D2 巻取り方向
F セルロースアシレートフィルム
θi 屈曲角度(繰り出し角度)
Ci、Co 把持具
Ri、Ro レール
Wo 延伸前のフィルムの幅
W 延伸後のフィルムの幅
16 フィルム繰り出し装置
17 搬送方向変更装置
18 巻き取り装置
19 製膜装置
A 有機エレクトロルミネセンス画像表示装置
B 有機エレクトロルミネセンス素子
C 円偏光板
101 透明基板
102 金属電極
103 TFT
104 有機機能層ユニット
105 透明電極
106 絶縁層
107 封止層
108 フィルム
109 λ/4位相差フィルム
110 偏光子
111 保護フィルム
112 硬化層
113 反射防止層

Claims (5)

  1. 23℃、相対湿度55%の環境下で測定した波長550nmにおける厚さ方向の位相差Rt(550)が150nm以下であり、23℃、相対湿度55%の環境下で測定した面内位相差Roの波長分散特性が下記条件1を満たし、かつ面内屈折率が下記条件2及び条件3を同時に満たすことを特徴とするλ/4位相差フィルム。
    条件1
    0.72≦Ro(450)/Ro(550)≦0.96
    かつ
    0.83≦Ro(550)/Ro(650)≦0.98
    〔式中、Ro(450)は波長450nmにおける面内位相差であり、Ro(550)は波長550nmにおける面内位相差であり、Ro(650)は波長650nmにおける面内位相差である。〕
    条件2
    1.000≦n(280)/n(280)≦3.500
    〔式中、n(280)は、波長280nmにおける進相軸方向の屈折率であり、n(280)は波長280nmにおける遅相軸方向の屈折率を表す。〕
    条件3
    1.05≦Δn(400)/Δn(400)≦2.15
    〔上記Δn(400)は、波長400nm近傍における進相軸方向の屈折率の傾きであり、Δn(400)=(n(410)−n(400))で表される。n(410)は波長410nmにおける進相軸方向の屈折率であり、n(400)は波長400nmにおける進相軸方向の屈折率である。上記Δn(400)は、波長400nm近傍における遅相軸方向の屈折率傾きであり、Δn(400)=(n(410)−n(400))で表される。n(410)は波長410nmにおける遅相軸方向の屈折率であり、n(400)は波長400nmにおける遅相軸方向の屈折率である。〕
  2. 遅相軸方向に延伸し、進相軸方向に収縮する延伸収縮工程を経て作製され、該遅相軸方向の延伸倍率に対する該進相軸方向の収縮倍率の比率(収縮倍率/延伸倍率)が、0.05〜0.70の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のλ/4位相差フィルム。
  3. 遅相軸方向が、搬送方向に対し30〜60°の角度範囲内で配向していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のλ/4位相差フィルム。
  4. 膜厚が、30〜80μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルム。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルムを有する円偏光板と、有機エレクトロルミネッセンス素子とを具備し、画面サイズが20インチ以上であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス画像表示装置。
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