JPWO2013111755A1 - 向上した環境ストレスに対する耐性を示す植物体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 植物体の生育の遅れや矮化を誘発することなく、当該植物体に対して環境ストレスに対する耐性を付与すること。【解決手段】 本発明は、シロイナズナのNF−YC10がDREB2Aと相互作用することを初めて明らかにする。また、本発明は、シロイナズナNF−YC10遺伝子で宿主植物を形質転換すると、当該形質転換体の環境ストレスに対する耐性が向上することを初めて明らかにする。【選択図】 なし

Description

本発明は、植物体の環境ストレス耐性に関わる遺伝子及び当該遺伝子を利用した組換技術の応用に関する。特に、植物体に高温ストレス耐性を付与する遺伝子の利用に関する。
近年の急激な人口増加に伴い食料の需要は増大しており、現在、世界中で10億人以上の人々が飢餓に直面しているという統計もある。つまり、世界の耕作地や食料供給量の増加率は、食糧需要量の増加率を補いきれていない。また、気候変動や、エネルギー資源としての作物の需要量の増大など、安定した食糧作物の生産及び供給に対する様々な問題も存在している。
上記のような複雑な問題の解決策として、環境ストレス耐性能を向上させた植物の作出が考えられる。すなわち、環境ストレスは、植物の生育に大きな影響を与える最も重要な因子の一つであり、作物生産においてもその収量を大きく変化させる要因となるから、作物に環境ストレス耐性を付与することで、現在利用できていないような地域を耕作地として利用することや、或いは作物の生育期間中の高温、干ばつ、冠水、低温といった環境ストレスによる収穫量の低下を抑制できる可能性がある。
<DREB(DRE binding protein)>
植物は、環境ストレス条件下での致死的な傷害を避けるために、様々な環境ストレス耐性遺伝子を発現し、身を守ることが知られている。DRE(dehydration responsive element)は、水ストレス誘導性遺伝子の一つであるRD29Aのプロモーター解析により存在が確認された配列である。DREのコア配列はA/GCCGACの6塩基からなるとされる(非特許文献1)。また、酵母のワン・ハイブリッド・スクリーニングにより、この配列に結合する蛋白質として、転写活性因子であるDREB(DRE binding protein)が単離された(非特許文献2)。更に、非特許文献2において単離された遺伝子はDREB1A及びDREB2Aの2つであったが、その後、シロイナズナのゲノム中で6種類のDREB1タイプ遺伝子と8種類のDREB2タイプ遺伝子が確認されている(非特許文献3)。これらの蛋白質はいずれも高度に保存されたDNA結合ドメイン(AP2/ERFドメイン)を有しているが、DREB1タイプ遺伝子のうち、DREB1ADREB1BDREB1Cは主に低温ストレス時に誘導され、他方、DREB2Aタイプ遺伝子のうち、DREB2ADREB2Bは主に乾燥と塩ストレス時に誘導されることが報告されている(非特許文献2及び非特許文献4)。
<DREB2A>
DREB2Aは、DREに対する結合能を有し、また乾燥・塩ストレス時に誘導されることから、植物の水ストレス耐性を向上させる機能を担う可能性が推測されたが、DREB2A遺伝子を植物体内で過剰発現させても、DREB2A蛋白質の推定された標的遺伝子であるRD29AのmRNA量の増加は確認されず、更に乾燥ストレスへの耐性も向上しなかった(非特許文献2)。しかし、そのときでもDREB2A遺伝子のmRNAへの転写は確認されていたことから、DREB2A蛋白質が翻訳後調節を受ける可能性が示唆された。そして、その後、DREB2A蛋白質の136〜165位アミノ酸に相当するNRD(negative regulatory domain)領域を欠損させると、当該NRD領域欠損蛋白質(DREB2A CA:DREB2A constitutively active form、と呼称される。)が標的遺伝子RD29Aの転写を恒常的に活性化することが明らかになり、更にDREB2A CAを過剰発現させた植物体では乾燥及び塩ストレスに対する耐性が向上した。加えて、DREB2A CAにより示される高転写活性化能力は、DREB2AからNRD領域を欠損させたことによりDREB2A CA蛋白質が安定化することによることが示唆された(非特許文献5)。
DREB2A CA蛋白質を過剰発現させた植物体のマイクロアレイ解析は、様々な乾燥及び塩ストレス誘導性遺伝子の発現のみならず、高温ストレス誘導性遺伝子の発現に関しても、当該植物体において上昇することを明らかにした(非特許文献5及び非特許文献6)。更に、DREB2A CA蛋白質を過剰発現させたシロイナズナは、乾燥・塩ストレスだけでなく高温ストレスに対しても向上した耐性を示すことが明らかにされた(非特許文献6)。なお、近年、シロイナズナDREB2Aのイネ及びダイズでの相同蛋白質としてOsDREB2B2及びGmDREB2A;2も同定された(非特許文献7及び非特許文献8)。
しかしながら、残念なことに、DREB2A CAを過剰発現させると、植物の生育は遅れ、矮化する(非特許文献6)。
<NF-Y>
NF-Yは、現在までに、全ての真核生物が保有していることが知られている転写調節因子である。また、NF-Yは、NF-YA、NF−YB及びNF−YCがヘテロメリックな三量体を形成して転写を調節することが知られている(非特許文献9及び非特許文献10)。シロイナズナ等の植物においては、まだ多くの研究はなされていないが、特定の転写因子に対して三量体が機能して、対応する転写因子の活性を正に調節しているとの報告もある(非特許文献11、非特許文献12及び非特許文献13)。
しかしながら、これまでに、シロイナズナのNF-YC蛋白質の一種であるNF−YC10の機能に関する決定的な報告はない。
Yamaguchi−Shinozaki and Shinozaki,Plant Cell,Vol.6,pp.251−264(1994) Liu et al.,Plant Cell,Vol.10,pp.1391−1406(1998) Sakuma et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,Vol.290,pp.998−1009(2002) Yamaguchi−Shinozaki and Shinozaki,Annu.Rev.Plant Biol.,Vol.57,pp.781−803(2006) Sakuma et al.,Plant Cell,Vol.18,pp.1292-1309(2006) Sakuma et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,Vol.103,pp.18822-18827(2006) Matsukura et al.,Mol Genet Genomics,2010,"Comprehensive analysis of rice DREB2−type genes that encode transcription factors involved in the expression of abiotic stress−responsive genes." Mizoi et al.,Plant Physiol,2013,"GmDREB2A;2, a Canonical DEHYDRATION−RESPONSIVE ELEMENT−BINDING PROTEIN2−Type Transcription Factor in Soybean, Is Posttranslationally Regulated and Mediates Dehydration−Responsive Element−Dependent Gene Expression." Edwards et al.,Plant Physiol.,Vol.117,pp.1015−1022(1998) Mantovani,Gene,Vol.239,pp.15−27(1999) Yamamoto et al.,Plant J.,Vol.58,pp.843−856(2009) Liu et al.,Plant Cell,Vol.22,pp.782−796(2010) Liu et al.,Plant J.,Vol.67,pp.763−773(2011)
本発明は、植物体に対して環境ストレスに対する耐性を付与することを課題とする。特に、植物体に対して高温ストレスに対する耐性を付与することを課題とする。当該ストレスに対する耐性を付与された植物体は、生育の遅れや矮化を示すべきではない。
本発明は、シロイナズナのNF−YC10がDREB2Aと相互作用することを初めて明らかにする。また、本発明は、シロイナズナNF−YC10遺伝子で宿主植物を形質転換すると、当該形質転換体の環境ストレスに対する耐性が向上することを初めて明らかにする。驚くべきことに、当該形質転換植物は、生育の遅れや矮化を示すことがなく、向上した環境ストレスに対する耐性を有することを除いて、元の宿主植物と同等の生育を示した。
従って、本発明の第1の局面は:
<1> 環境ストレスに対する向上した耐性を示し、下記の:
(1)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするヌクレオチド配列;
(2)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列に対して60%以上の配列相同性を有し、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列;及び
(3)配列番号1、3、5、7、14、15、16又は17に示すヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列、から成る群から選択されるヌクレオチド配列を含む遺伝子を過剰発現する、形質転換植物体である。
より特定的な態様に言及すれば、前記(1)のヌクレオチド配列としては、シロイナズナNF−YC10遺伝子(配列番号1)、イネNF-YC16遺伝子(配列番号3)、ダイズNF−YC22(配列番号5)又はダイズNF−YC23(配列番号7)のコード化領域の配列を利用することができる。従って、本発明の好適な態様は:
<2> 前記(1)のヌクレオチド配列が、配列番号1、3、5又は7に示すヌクレオチド配列のコード化領域のヌクレオチド配列である、上記<1>に記載の形質転換植物体である。
また、前記(2)の“60%以上の配列相同性”に関して、本発明のアミノ酸配列の相同性は、プログラムのデフォルトパラメータ(マトリクス=Blosum62;ギャップ存在コスト=11、ギャップ拡張コスト=1)を用いた検索で、インターネットサイトhttp://www.ncbi.n/m.nih.gov/egi−gin/BLASTで実装可能なBLASTPアルゴリズムによって示される陽性のパーセンテージとして定義される。しかるに、それらの好適な例としては、当該配列相同性が80%以上、90%以上、95%以上のものも例示できる。或いは、更に、当該アルゴリズムによる配列の同一性パーセンテージが60%、70%、80%、90%又は95%以上のものも本発明の相同蛋白質として例示できる。つまり、それらの相同蛋白質は、シロイナズナNF-YC10、イネNF-YC16、ダイズNF−YC22又はダイズNY−YC23の相同遺伝子産物や公知の遺伝子組換技術に基づいた改変体を包含し得、そして当該相同遺伝子産物及び改変体が、DREB2A蛋白質と実質的に結合して相互作用する能力を保持している限り本発明に利用できる事は、本発明の開示により当業者にとって明らかであろう。従って、本発明の好適な態様は、
<3> 前記(2)における配列相同性が80%以上である、上記<1>に記載の形質転換植物体、を含む。
本発明による形質転換植物体は特に高温ストレスに対して向上した耐性を示し得ることが実証された。従って、本発明の特に好適な態様は、
<4> 環境ストレスが高温ストレスである、上記<1>乃至<3>のいずれかに記載の形質転換植物体、である。
本発明の形質転換体を利用する際に、その用途に応じた形態をとることが好ましいことは容易に理解できるであろう。つまり、作物の場合、当該植物体の種苗形態は、当該種苗として保存や流通される際に高温ストレスに曝されたとしても該ストレスに対して抵抗性を示すという利点があるし、勿論、それらの種苗は、成熟植物体が利用されるまでの全期間に渉って、環境ストレスに対する耐性を示す植物体を与えることができる。また、植物バイオ分野の研究目的の場合などでは、本発明の形質転換体のカルスも有利に利用できよう。従って、本発明の更なる態様は:
<5> 前記形質転換植物体が種子の形態である、上記<1>乃至<4>のいずれかに記載の形質転換植物体;
<6> 前記形質転換植物体が苗の形態である、上記<1>乃至<4>のいずれかに記載の形質転換植物体;及び
<7> 前記形質転換植物体がカルスの形態である、上記<1>乃至<4>のいずれかに記載の形質転換植物体、を含む。
食糧作物や園芸作物としての双子葉植物及び単子葉植物の重要性は言うまでもない。従って、本発明の更なる好適な態様は:
<8> 前記形質転換植物体が双子葉植物である、上記<1>乃至<7>のいずれかに記載の形質転換植物体;及び
<9> 前記形質転換植物体が単子葉植物である、上記<1>乃至<7>のいずれかに記載の形質転換植物体、である。
また、本発明は、前記形質転換植物体の作製方法も意図する。当該形質転換植物体は、宿主植物に外来性の遺伝子を導入すること、或いは内因性遺伝子の転写を制御する内因性プロモーターを置換又は変異させることにより、前記の遺伝子を植物細胞内で過剰発現させることで作製できることを当業者は理解するであろう。従って、本発明の第2の局面は:
<10> 環境ストレスに対する向上した耐性を示す形質転換植物体の製造方法であって、以下の、
i)植物細胞を形質転換する工程であって、
a)植物細胞を下記の群から選択されるヌクレオチド配列を含む発現ベクターでトランスフェクトして、該細胞に当該ヌクレオチド配列を含む遺伝子を過剰発現させる:
(1)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするヌクレオチド配列;
(2)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列に対して60%以上の配列相同性を有し、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列;及び
(3)配列番号1、3、5、7、14、15、16又は17に示すヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列;又は
b)植物細胞内の上記a)の(1)〜(3)の群から選択されるヌクレオチド配列を含む内因性遺伝子の調節領域を外来調節エレメントで置換して、該細胞に当該遺伝子を過剰発現させる工程;及び
ii)上記i)の工程で得られた形質転換植物細胞を、該細胞から植物体を再生させるのに適した条件下で生育させて、形質転換植物体を得る工程
を含む、前記形質転換植物体の製造方法、である。
また、本発明の第1の局面について記載した態様は、本発明の第2の局面についても当てはまる。それらの態様は:
<11> 前記(1)のヌクレオチド配列が、配列番号1、3、5又は7に示すヌクレオチド配列のコード化領域のヌクレオチド配列である、上記<10>に記載の形質転換植物体の製造方法;
<12> 前記(2)における配列相同性が80%以上である、上記<10>に記載の形質転換植物体の製造方法;
<13> 環境ストレスが高温ストレスである、上記<10>乃至<12>のいずれかに記載の形質転換植物体の製造方法;
<14> 前記形質転換植物体が種子の形態である、上記<10>乃至<13>のいずれかに記載の形質転換植物体の製造方法;
<15> 前記形質転換植物体が苗の形態である、上記<10>乃至<13>のいずれかに記載の形質転換植物体の製造方法;
<16> 前記形質転換植物体がカルスの形態である、上記<10>乃至<13>のいずれかに記載の形質転換植物体の製造方法;
<17> 前記形質転換植物体が双子葉植物である、上記<10>乃至<16>のいずれかに記載の形質転換植物体の製造方法;及び
<18> 前記形質転換植物体が単子葉植物である、上記<10>乃至<16>のいずれかに記載の形質転換植物体の製造方法;
を含む。
また、本発明は、前記した本発明の利点により、植物体の環境ストレスに対する耐性を向上させる方法も意図する。従って、本発明の第3の局面及び関連する態様は:
<19> 植物体の環境ストレスに対する耐性を向上させる方法であって、
a)植物体の細胞を下記の群から選択されるヌクレオチド配列を含む発現ベクターでトランスフェクトして、該細胞に当該ヌクレオチド配列を含む遺伝子を過剰発現させる:
(1)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするヌクレオチド配列;
(2)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列に対して60%以上の配列相同性を有し、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列;及び
(3)配列番号1、3、5、7、14、15、16又は17に示すヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列;又は
b)植物体の細胞内の上記a)の(1)〜(3)の群から選択されるヌクレオチド配列を含む内因性遺伝子の調節領域を外来調節エレメントで置換して、該細胞に当該遺伝子を過剰発現させる、
ことを含む、前記方法;
<20> 前記(1)のヌクレオチド配列が、配列番号1、3、5又は7に示すヌクレオチド配列のコード化領域のヌクレオチド配列である、上記<19>に記載の方法;
<21> 前記(2)における配列相同性が80%以上である、上記<19>に記載の方法;
<22> 環境ストレスが高温ストレスである、上記<19>乃至<21>のいずれかに記載の方法;
<23> 前記植物体が種子の形態である、上記<19>乃至<22>のいずれかに記載の方法;
<24> 前記植物体が苗の形態である、上記<19>乃至<22>のいずれかに記載の方法;
<25> 前記植物体がカルスの形態である、上記<19>乃至<22>のいずれかに記載の方法;
<26> 前記植物体が双子葉植物である、上記<19>乃至<25>のいずれかに記載の方法;及び
<27> 前記植物体が単子葉植物である、上記<19>乃至<25>のいずれかに記載の方法;
を包含する。
言うなれば、本発明の更なる局面は、
<28> 植物体の環境ストレスに対する耐性を向上させるために使用する、下記の:
(1)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするヌクレオチド配列;
(2)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列に対して60%以上の配列相同性を有し、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列;及び
(3)配列番号1、3、5、7、14、15、16又は17に示すヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列、から成る群から選択されるヌクレオチド配列を含む遺伝子、である。
本発明によれば、植物の環境ストレスに対する耐性を向上させることができる。特に、植物の高温ストレスに対する耐性を向上させることができる。
図1は、シロイナズナNF−YC10遺伝子のDNA配列を示す(配列番号1)。18−638位の塩基がコード化領域である。 図2は、イネNF−YC16遺伝子のDNA配列を示す(配列番号3)。111−1022位の塩基がコード化領域である。 図3は、ダイズNF−YC22遺伝子のDNA配列を示す(配列番号5)。98-658位の塩基がコード化領域である。 図4は、ダイズNF−YC23遺伝子のDNA配列を示す(配列番号7)。93−650の塩基がコード化領域である。 図5は、酵母のツーハイブリッドシステムによる、DREB2A蛋白質とシロイナズナNF−YC10蛋白質との相互作用解析の結果を示す。“NF−YC10 Full”及び“DREB2A(1−205)+BD”の双方を導入した酵母は、SD/−Leu/−Trp/−His/−Ade/3−AT(QDO)寒天培地上でも生育可能であることが示されている。 図6は、シロイヌナズナのプロトプラストを用いた一過的発現による、DREB2A蛋白質とシロイナズナNF−YC10蛋白質との相互作用解析(BiFC実験)の結果を示す。“NF−YC10 Full+DREB2A Full”を導入したプロトプラストのみがYFPの蛍光シグナルを発生している。“bZIP63+bZIP63”は相互作用が既に確認されている陽性対照である。CFPは遺伝子導入が適切に行われていることを確認するために、同時に導入している。 図7は、シロイナズナNF−YC10遺伝子を導入しシロイナズナでの当該遺伝子の過剰発現を示す。35S:NF-YC10-a、35S:NF-YC10-b及び35S:NF-YC10-cは、導入したシロイナズナNF−YC10の発現レベルが高い、独立した3ラインである。VCは、空のベクターのみで形質転換したコントロールである。上段はNF−YC10のプローブDNAによるノーザン解析結果であり、下段はエチヂウムブロミドで染色したコントロールである。 図8Aは、非ストレス条件下、1%スクロース含有GMK培地上で播種から16日間生育させた後の、本発明の3ラインの形質転換植物(35S:NF-YC10-a、35S:NF-YC10-b及び35S:NF-YC10-c)のロゼッタ葉の生育状態を示している。図8Bは、非ストレス条件下、当該3ラインの形質転換植物を1%スクロース含有GMK培地上で播種から2週間生育させた後に、鉢に移植して更に2週間生育させた状態を示している。Vector controlは空のベクターにより形質転換した植物体である。 図9Aは、図8Aの結果をロゼッタ葉の最大半径として計測した結果を示すグラフである。図9Bは、図8Bの結果を花序の長さとして計測した結果を示すグラフである。 図10は、NF−YC10過剰発現シロイヌナズナにおけるDREB2Aの標的遺伝子の発現解析結果を示す。図中、本発明のシロイナズナNF−YC10を高いレベルで発現する3ラインの形質転換植物(35S:NF-YC10-a、35S:NF-YC10-b及び35S:NF-YC10-c)と空のベクターにより形質転換したVector control(陰性対照)が比較されている。 図11は、NF−YC10過剰発現シロイヌナズナの内で、DREB2Aの下流遺伝子であるHsfA3At1g75860の発現量の変化が顕著であった独立した2ラインの形質転換体を用いて、高温ストレス後のマイクロアレイ解析を行った結果を示す。Vector control植物よりも発現量が2倍以上高く誘導されていた遺伝子が15個見出された。 図12は、本発明のNF−YC10過剰発現シロイヌナズナ(35S:NF−YC10−a、35S:NF−YC10−b及び35S:NF−YC10−c)の高温ストレス耐性試験結果を示す。空のベクターにより形質転換したVector control(陰性対照)が比較されている。図中の括弧内の数字は試験に用いた植物体数(分母)と生存していた植物個体数(分子)を表し、図には生存率(%)も示されている。 図13は、双子葉植物のシロイヌナズナNF−YC10に対応する、ダイズ並びに単子葉植物のイネ及びコケ植物のヒメツリガネゴケ、並びに緑藻類のクラミドモナス、ボルボックスにおける相同遺伝子と本発明者が割り当てた呼称を示す。 図14は、シロイヌナズナNF−YC10相同遺伝子及び、ヒト、マウス、酵母のNF−YCファミリー遺伝子の類縁関係を系統樹により示す。図中の黒点は、ブートストラップ値が50以上であることを示している。 図15は、シロイヌナズナ(NF−YC10:配列番号24)とイネ(OsNF−YC16:配列番号25)、ダイズ(GmNF−YC22:配列番号26及びGmNF−YC23:配列番号27)、ヒメツリガネゴケ(PpNF−YC11:配列番号28)におけるシロイヌナズナNF−YC10と最近縁の相同遺伝子の保存領域のアミノ酸配列比較を示している。全ての配列において類似性の高いアミノ酸残基は白抜きで表している。3つ以上の配列で類似性の高いアミノ酸残基は太字で表している。 図16は、酵母のツーハイブリッドシステムによる、(ダイズ)GmDREB2A;2蛋白質及び(イネ)OsDREB2B2蛋白質とシロイナズナNF−YC10蛋白質との相互作用解析の結果を示す。“NF−YC10 full+AD”と“GmDREB2A;2(1-137 a.a)+BD”の双方を導入した酵母、及び“NF−YC10 full+AD”と“OsDREB2B2(1-146 a.a)+BD”の双方を導入した酵母は、SD/−Leu/−Trp/−His/−Ade/3−AT(QDO)寒天培地上でも生育可能であることが示されている。 図17は、シロイヌナズナのプロトプラストを用いた一過的発現による、(ダイズ)GmDREB2A;2蛋白質及び(イネ)OsDREB2B2蛋白質蛋白質とシロイナズナNF−YC10蛋白質との相互作用解析(BiFC実験)の結果を示す。“NF−YC10 full+GmDREB2A;2 full”及び“NF−YC10 full+OsDREB2B2 full”を導入したプロトプラストのみがYFPの蛍光シグナルを発生している。“bZIP63+bZIP63”は相互作用が既に確認されている陽性対照である。CFPは遺伝子導入が適切に行われていることを確認するために、同時に導入している。
遺伝子
本発明の課題は、環境ストレスに対する耐性を向上させるべき植物の細胞内で、シロイナズナNF−YC10遺伝子、或いはその相同遺伝子を機能的に過剰発現させることにより解決される。より特定的に言うと、機能的に発現されたシロイナズナNF−YC10遺伝子或いはその相同遺伝子の産物は、DREB2A蛋白質に対する結合能を示し、そしてそのような機能的発現の結果として形質転換植物体に環境ストレスに対する向上した耐性が付与されるのである。
シロイナズナNF−YC10遺伝子(配列番号1)は、以下のアミノ酸配列からなるシロイナズナNF−YC10蛋白質をコードする。
Figure 2013111755
後記実施例のとおり、シロイナズナNF−YC10蛋白質は、DREB2A蛋白質と実質的に結合して相互作用する能力を有し、それによりDREB2Aの下流遺伝子、殊に高温誘導性を持つ遺伝子の発現を上昇させることが明らかとなった。
また、イネNF−YC16遺伝子(配列番号3)は、後述の系統樹解析の結果からもシロイナズナNF−YC10の相同遺伝子であることが示される。従って、植物体細胞内でイネNF−YC16遺伝子を過剰発現させることで、当該植物に対して向上した環境ストレス耐性を付与し得る。イネNF−YC16遺伝子は、以下のアミノ酸配列からなるイネNF−YC16蛋白質をコードする。
Figure 2013111755
また、ダイズNF−YC22遺伝子(配列番号5)及びダイズNF−YC23遺伝子(配列番号7)は、後述の系統樹解析の結果からもシロイナズナNF−YC10の相同遺伝子であることが示される。従って、植物体細胞内でダイズNF−YC22遺伝子又はダイズNF−YC23遺伝子を過剰発現させることで、当該植物に対して向上した環境ストレス耐性を付与し得る。なお、ゲノム配列の解析から、ダイズ染色体は四倍体を起源とするする二倍体と考えられており、多くの遺伝子が重複して存在している。ダイズNF−YC22蛋白質及びダイズNF−YC23蛋白質は、相同性の高さから、倍数性により重複して存在する蛋白質であることが推測されるので、共にシロイナズナNF−YC10蛋白質と同様の生理活性を示すことが合理的に理解できる。ダイズNF−YC22遺伝子及びダイズNF−YC23遺伝子は、それぞれ、以下のアミノ酸配列からなるダイズNF−YC22蛋白質及びダイズNF−YC23蛋白質をコードする。
Figure 2013111755
更に、シロイナズナNF−YC10の相同遺伝子には、例えばヒメツリガネゴケNF−YC11遺伝子も挙げられる(後述の系統樹解析を参照。)。前記のBLASTPアルゴリズムに基づくアミノ配列相同性として、イネNF−YC16蛋白質及びヒメツリガネゴケNF−YC11蛋白質はシロイナズナNF−YC10蛋白質に対して、それぞれ、約81%以上と約68%以上の陽性パーセンテージを示す。更に、ダイズNF−YC22蛋白質及びダイズNF−YC23蛋白質はシロイナズナNF−YC10蛋白質に対して、それぞれ、約63%以上と約74%以上の陽性パーセンテージを示す。従って、当業者は、例えば上記配列番号2、配列番号4、配列番号6又は配列番号8のアミノ酸配列に対して60%、70%、80%、90%又は95%以上の陽性のパーセンテージを示す相同蛋白質をコードする遺伝子が本発明に利用できることを理解するであろう。更にまた、シロイナズナNF−YC10、イネNF−YC16、ダイズNF-YC22、ダイズNF−YC23の修飾蛋白質は、それらが野生型の蛋白質と実質的に類似の活性を有するならば、当該修飾蛋白質分子の一方の構造が野生型蛋白質分子に無くとも、又は2つのアミノ酸配列が完全に同一でなくとも、本発明の相同蛋白質と考えられる。例えば、ロイシンをバリンに、リシンをアルギニンに、グルタミンをアスパラギンに置換してもポリペプチドの機能を変化させないこともあり得る。従って、本発明において、例えば配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列に対して数個程度のアミノ酸の欠失、挿入、付加及び/又は置換を含むアミノ酸配列を有する蛋白質は、DREB2A蛋白質と実質的に結合して相互作用する能力を保持している限り本発明に利用でき、そしてそのような蛋白質をコードするヌクレオチド配列も本発明に利用し得る事を当業者は理解する筈である。
なお、DREB2AとNF−YC10相同蛋白質との相互作用性は、酵母のツーハイブリッドシステム又はシロイヌナズナのプロトプラストの系を用いたBiFC(Bimolecular fluorescence complementation)実験のいずれか又は双方により確認できる。すなわち、当該ツーハイブリッドシステムの典型的な例においては、DREB2AのC末端側の転写活性化ドメインを除く領域をコードするcDNA(1番目から615番目の塩基)をpGBKT7プラスミド(Clontech社製)に連結し、NF−YC10相同蛋白質の全長cDNAをpGADT7プラスミド(Clontech社製)に連結する。これらのプラスミドをAH109株の酵母に形質転換し、選択培地において酵母の生育が見られれば、DREB2AとNF−YC10相同蛋白質が相互作用することが判る。その際に、酵母へのプラスミドDNAの導入は、Itoらの方法[Ito et al.,J.Bacteriol.,Vol.153,pp.163−168(1983)]により行うことができるし、その他の実験条件についても、Clontech社製のMATCHMAKER Systemに従えばよい。更に、BiFC実験の典型例では、例えばDREB2Aの全長cDNAを、CaMV35SプロモーターとYFPのC末端側をコードするcDNA(466番目から717番目の塩基)を含むpBI221プラスミド(Clontech社製)に連結し、同様にNF−YC10相同蛋白質の全長cDNAを、CaMV35SプロモーターとYFPのN末端側をコードするcDNA(1番目から465番目の塩基)を含むpBI221プラスミドに連結する。次いで、この2種のプラスミドをシロイヌナズナのプロトプラストに導入した後、DREB2Aの安定を向上するためにプロテオソーム阻害剤であるMG132を添加する。その後、YFP蛍光を観察することができれば、プロトプラスト内で、DREB2AとNF−YC10相同蛋白質が相互作用していることが判る。その際に、プロトプラストの調製及び該プロトプラストへのプラスミドDNAの導入は、Yooらの方法[Yoo et al.,Nat.Protoc.,Vol.2,pp.1565−1572(2004)]によって行うことができる。
更に、本発明に利用できる遺伝子の別の説明として、シロイナズナNF−YC10蛋白質、イネNF−YC16蛋白質、ダイズNF-YC22及びNF-YC23蛋白質、並びにヒメツリガネゴケNF−YC11蛋白質のアミノ酸配列のアラインメントにより同定された保存領域が図15に示されている。そして、当該保存領域中で以下の比較的長い共通アミノ酸配列が見出された。
Figure 2013111755
従ってまた、本発明のために過剰発現される遺伝子は、上記共通アミノ酸配列をコードするヌクレオチドと相補的なヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸として同定され得、且つその発現産物がDREB2A蛋白質に結合することを確認することで容易に入手し得るのを当業者は理解するであろう。例えば、シロイナズナNF−YC10蛋白質及びイネNF−YC16蛋白質中の上記共通アミノ酸配列をコードする部分配列は、それぞれ、下記の配列番号14及び配列番号15のヌクレオチド配列から成り、よって、それらのヌクレオチド配列に相補的な配列から成る核酸のいずれか又は双方にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸は本発明において利用可能である。或いは、ダイズNF−YC22蛋白質及びダイズNF−YC23中の上記保存領域のアミノ酸配列をコードする部分配列は、それぞれ、下記の配列番号16及び配列番号17のヌクレオチド配列から成り、よって、それらのヌクレオチド配列に相補的な配列から成る核酸のいずれか又は双方にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸は本発明において利用可能である。なお、本明細書でのストリンジェントな条件は、サケ変性精子DNA、6xSSC液と5xDenhart液を含む溶液中で42℃でハイブリダイゼーション、及び0.1%SDSと1xSSCを含む水溶液中で68℃での洗浄条件として記載される。
Figure 2013111755
更にまた、本発明の目的に利用できるシロイナズナNF−YC10の相同遺伝子は、その発現産物がDREB2A蛋白質と実質的に結合して相互作用できるものであれば、自然界で発生し得るすべての変異や、人工的に導入された変異及び修飾を有していてもよい。例えば、特定のアミノ酸をコードする種々のコドンには余分のコドン(redundancy)が存在することが知られている。そのため本発明においても同一のアミノ酸に最終的に翻訳されることになる代替コドンを利用してよい。つまり、遺伝子コードは縮重しているので、ある特定のアミノ酸をコードするのに複数のコドンを使用でき、そのためアミノ酸配列は任意の1セットの類似のDNAオリゴヌクレオチドでコードされ得る。そのセットの唯一のメンバーだけが天然型遺伝子配列(例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号5又は配列番号7)に同一であるが、ミスマッチのあるDNAオリゴヌクレオチドでさえストリンジェントな条件下で天然型配列にハイブリダイズでき、天然型配列をコードするDNAを同定、単離でき、更にそのような遺伝子も本発明において利用できる。特に、ほとんどの生物は特定のコドン(最適コドン)のサブセットを優先的に用いることが知られているので(Gene、Vol.105、pp.61−72、1991等)、宿主に応じて「コドン最適化」を行うことは本発明においても有用であり得る。
発現ベクター
本発明では、前記した遺伝子が形質転換植物体内で過剰発現させられる。そのような形質転換は、典型的には、外来性の上記遺伝子を含む発現ベクターで植物細胞をトランスフェクトすることにより達成される。なお、本明細書において、「外来性」ないし「外来」という用語は、形質転換前の宿主植物が、本発明により導入されるべき遺伝子を有していない場合、その遺伝子によりコードされる蛋白質を実質的に発現しない場合、及び異なる遺伝子により当該蛋白質のアミノ酸配列をコードしているが、形質転換後に匹敵する内因性蛋白質活性を発現しない場合において、本発明に基づく遺伝子ないしヌクレオチド配列を宿主に導入することを意味するために用いられる。また、本明細書において、「発現ベクター」とは、発現対象の核酸または発現対象の遺伝子に機能的に結合された転写及び翻訳をレギュレートするヌクレオチド配列を含むヌクレオチドを意味する。典型的に、本発明の発現ベクターは、コード配列から5’上流にプロモーター配列、3’下流にターミネーター配列、場合により更なる通常の調節エレメントを機能的に結合された状態で含み、そのような場合に、発現対象の核酸または発現対象の遺伝子が宿主植物細胞に発現可能に導入される。
具体的に、本発明で好適に利用できる植物導入用(組換)発現ベクターは、本発明の遺伝子を含むDNAを適当な制限酵素で切断後、必要に応じて適切なリンカーを連結し、植物細胞用のクローニングベクターに挿入することにより得ることができる。クローニング用ベクターとしては、pBE2113Not、pBI2113Not、pBI2113、pBI101、pBI121、pGA482、pGAH、pBIG、pGreen等のバイナリーベクター系のプラスミドやpLGV23Neo、pNCAT、pMON200等の中間ベクター系のプラスミドを用いることができる。バイナリーベクター系プラスミドを用いる場合、上記のバイナリーベクターの境界配列(LB、RB)間に、目的遺伝子を挿入し、この組換えベクターを大腸菌中で増幅する。次いで、増幅した組換えベクターをアグロバクテリウム・チュメファシエンスC58、LBA4404、EHA101、C58C1RifR、EHA105等に、凍結融解法、エレクトロポレーション法等により導入し、該アグロバクテリウムを植物の形質導入用に用いる。
前述のとおり、植物体内で外来遺伝子などを発現させるためには、構造遺伝子の前後に、それぞれ植物用のプロモーターやターミネーターなどを配置させる必要がある。本発明において利用可能なプロモーターとしては、例えばカリフラワーモザイクウィルス(CaMV)由来の35S転写物[Jefferson et al.,The EMBO J.,Vol.6,pp.3901−3907(1987)]、トウモロコシのユビキチン[Christensen et al,Plant Mol.,Vol.18,pp.675−689(1992)]、ノパリン合成酵素(NOS)遺伝子、オクトピン(OCT)合成遺伝子のプロモーターなどが挙げられ、ターミネーター配列としては、例えば、カリフラワーモザイクウィルス由来のノパリン合成酵素遺伝子由来のターミネーターなどが挙げられる。但し、植物内で機能することが知られているプロモーターやターミネーターであれば、これらのものに限定されるものではない。
また、必要に応じて、プロモーター配列と本発明の遺伝子の間に、遺伝子の発現を増強させる機能を持つイントロン配列、例えばトウモロコシのアルコールデヒドロゲナーゼ(Adh1)のイントロン[Genes & Development,Vol.1,pp.1183−1200(1987)]を導入することができる。さらに、効率的に目的の形質転換細胞を選択するために、有効な選択マーカー遺伝子を本発明の遺伝子と併用することが好ましい。その際に使用する選択マーカーとしては、カナマイシン耐性遺伝子(NPTII)、抗生物質ハイグロマイシンに対する抵抗性を植物に付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(htp)遺伝子、及びビアラホス(bialaphos)に対する抵抗性を付与するホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ(bar)遺伝子等から選ばれる1つ以上の遺伝子を使用することができる。本発明の遺伝子及び選択マーカー遺伝子は、単一のベクターに共に組み込んでも良いし、それぞれ別個のベクターに組み込んだ2種類の組換えDNAを用いても良い。
形質転換
本発明の形質転換体の宿主は、植物培養細胞、カルス、栽培植物の植物体全体、植物器官(例えば、葉、花弁、茎、根、根茎、種子等)、或いは植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)のいずれであってもよい。植物種は限定されず、ダイズ等の双子葉植物、イネ、トウモロコシ、コムギ等の単子葉植物を用いることもできる。形質転換する植物が双子葉植物の場合は、シロイヌナズナ等の双子葉植物由来の本発明遺伝子を導入することが好ましく、形質転換する植物が単子葉植物の場合はイネ等の単子葉植物由来の本発明遺伝子を導入することが好ましい。植物培養細胞、植物体、植物器官又は植物組織を宿主とする場合、本発明の蛋白質をコードするDNAを含むベクターを、採取した植物切片に、アグロバクテリウム感染法、パーティクルガン法、又はポリエチレングリコール法などで導入して、植物宿主を形質転換することができる。或いは、プロトプラストにエレクトロポレーション法で導入して、形質転換植物を作製することもできる。
例えば、アグロバクテリウム感染法によりシロイヌナズナに遺伝子を導入する場合、目的の遺伝子を含むプラスミドを保有するアグロバクテリウムを植物にトランスフェクトさせる工程が必須であるが、これはCloughらの花序浸し法[Clough et al.,Plant J.,Vol.16,pp.735−743(1998)]を改変した方法により行うことができる。詳細に言うと、本発明の遺伝子を含むプラスミドを有するアグロバクテリウムをInfiltration medium(0.5xMS salt、5%(w/v) Sucrose、10μg/L Benzyladenine、0.05%(v/v) Silwet L−77)に懸濁した菌液に、バーミキュライト、パーライトなどを含む土で生育させたシロイヌナズナの蕾を直接浸し、鉢をラップで覆い湿度を保つ。翌日ラップを取り、植物をそのまま生育させて、種子を収穫する。次いで、種子から目的の遺伝子を有する個体を選択するために、適切な抗生物質を加えたGM寒天培地に播種する。この培地で生育したシロイヌナズナを鉢に移し、生育させることにより、本発明の遺伝子が導入された形質転換植物の種子を得ることができる。つまり、当該条件下で生育させることにより、本発明の遺伝子でトランスフェクトした細胞等から本発明の植物体を好適に再生させることができる。
本発明の遺伝子を導入した形質転換植物及びその次世代に目的の遺伝子が組み込まれていることを確認するには、これらの細胞或いは組織から常法に従ってDNAを抽出し、公知のPCR法又はサザン法を用いて導入した遺伝子を検出すればよい。なお、一般に、導入遺伝子は、宿主植物のゲノム中に導入されるが、その導入場所が異なることにより導入遺伝子の発現が異なるポジションエフェクトと呼ばれる現象が知られている。従って、プローブとして導入遺伝子のDNA断片を用いたノーザン法で検定することによって、導入遺伝子がより強く発現している形質転換体を選抜することができる。
また、本発明の別の方法としては、上記した宿主植物の内因性遺伝子の発現を有意に活性化する方法も挙げられる。具体的には、当該内因性遺伝子の調節領域、例えばプロモーターを、前記したカリフラワーモザイクウィルス(CaMV)由来の35S転写物、トウモロコシのユビキチン、ノパリン合成酵素(NOS)遺伝子、オクトピン(OCT)合成遺伝子のプロモーターなどの外来性の調節エレメントで置換すればよい。そして、そのような方法により内因性遺伝子の発現が有意に活性化している形質転換植物は、プローブとして当該内因性遺伝子のDNA断片を用いたノーザン法で検定することにより該遺伝子がより強く発現している個体を選抜することで入手できる。つまり、本発明の遺伝子を導入した形質転換植物における該遺伝子の発現レベル及び発現部位の分析は、これらの細胞或いは組織から常法に従ってRNAを抽出し、公知のRT−PCR法又はノーザン法を用いて導入した遺伝子のmRNAを検出することにより行うことができるのである。或いは、別の方法として、本発明の遺伝子産物を、該遺伝子産物に体する抗体を用いたウェスタン分析等により、直接分析することも可能である。
形質転換植物体の特性化
上記のとおり、本発明の遺伝子は転写調節因子として作用する。本発明の遺伝子が導入された形質転換植物体内において転写レベルが変化したと考えられる遺伝子群はノーザン法によって同定することができる。例えば、GM寒天培地等で生育させた植物に、一定時間(例えば30分〜24時間)の環境ストレスを与える。環境ストレスとしては、DREB2Aが関与する乾燥、高温ストレス等が挙げられる。例えば、乾燥ストレスの付加は、GM寒天培地から植物体を抜き取り、濾紙上で30分から24時間静置することによって与えることができる。また、高温ストレスの付加は、GM寒天培地上に生育した植物体を、例えば37℃に30分から24時間静置することにより与えることができる。ストレスを与えないコントロール植物と環境ストレスを与えた植物から全RNAを調製して、電気泳動を行い、発現を確認した遺伝子のDNA断片をプローブとして用いて、ノーザン法を行うことにより、発現パターンの変化を解析することができる。
形成転換植物の環境ストレスに対する耐性の評価
本発明の遺伝子を導入した形質転換植物の環境ストレスに対する耐性は、例えばGM寒天培地上で一定期間(例えば2〜3週間)生育した後、バーミキュライト、パーライトなどを含む土を入れた鉢に移植した植物体、或いはGM液体培地に浸した濾紙上で生育した植物体に各種環境ストレスを付加し、その後の生存を調べることによって評価することができる。環境ストレスとしては、DREB2Aの関与する乾燥、高温ストレス等が挙げられる。例えば、乾燥ストレスに対する耐性は、植物をGM寒天培地上で一定期間(例えば2〜3週間)生育させた後、バーミキュライト、パーライトなどを含む土に移植してから一定期間(例えば2日〜1週間)生育させた後、2〜4週間水を与えずにおき、次いで1〜2週間、通常条件で生育させ、その生存を調べることによって評価することができる。また、高温ストレスに対する耐性は、GM液体培地を浸した濾紙上で一定期間(例えば6日〜8日)生育した植物体を、例えば42℃に1時間静置させた後に、4日〜2週間、通常条件で生育させ、その生存率を調べることにより評価することができる。
以上の説明を与えられた当業者は、本発明を十分に実施できる。以下、更なる説明の目的として実施例を与え、従って、本発明は当該実施例に限定されるものではない。なお、本明細書において得に断りのない限りヌクレオチド配列は5’から3’方向に向けて記載される。
実施例1:酵母のツーハイブリッドシステムによる相互作用解析
酵母のツーハイブリッドシステムによるDREB2AとNF−YC10の相互作用解析は、Clontech社のMATCHMAKER Systemのプロトコル(http://www.clontech.com/JP/Products/Protein_Interactions_and_Profiling/Yeast_Two−Hybrid/Matchmaker_Gold_Yeast_Two−Hybrid_System?sitex=10025:22372:US)に従った。
具体的には、DREB2A cDNAにおいて、C末端側の転写活性化ドメインを除く領域(1-205 a.a.)をコードする1〜615番目の塩基配列を連結したpGBKT7プラスミド(Feng Qin博士、独立行政法人 国際農林水産研究センター(日本)から譲渡頂いた。)をベイト遺伝子のベクターとして用いた。また、プレイ遺伝子のベクターは、シロイナズナNF−YC10の全長cDNAを下記のプライマー対でPCR増幅し、得られた増幅配列をpGADT7のClaI/XhoIサイトに導入することにより作製した。
Figure 2013111755
上記のベイトベクター及びプレイベクターを酵母AH109株に導入した。DREB2AとシロイナズナNF−YC10の相互作用の存在は、双方のベクターを導入した酵母が、SD/−Leu/−Trp/−His/−Ade/3−AT(QDO)寒天培地上で生育することにより確認された(図5を参照)。また、当該結果が擬陽性でなかったことは、同じ培地上で、DREB2A遺伝子(コード化配列の1〜615番目の塩基)を挿入していないpGBKT7プラスミドを前記のプレイベクターと共に導入した菌株が生育しなかったことにより確かめられた。
実施例2:シロイヌナズナのプロトプラストを用いた一過的発現による相互作用解析
シロイヌナズナの葉肉細胞由来のプロトプラストを用いた一過的発現解析は、Yooらの方法[Yoo et al.,Nat.Protoc.,Vol.2,pp.1565−1572(2004)]に従って行った。簡単に説明すると、プロトプラストへ遺伝子導入して14時間静置した後に、植物体内でDREB2Aを安定化する目的でプロテオソーム阻害剤であるMG132を終濃度50μMとなるように添加し、さらに4時間静置した後に、YFP蛍光の観察を行った。
具体的には、DREB2Aの全長cDNA及びシロイナズナNF−YC10の全長cDNAをPCRで増幅して、その各々を、YFPのN末端側か、或いはC末端側をコードするcDNAを含んだ発現ベクターであるpBI221[Qin et al.,Plant Cell,Vol.20,pp.1693−1707(2008)]のいずれかに連結することにより、DREB2AとシロイナズナNF−YC10を含む2種類のプラスミドを作製し、その双方のプラスミドの一過的発現解析実験を行った。なお、DREB2Aの全長cDNAを連結したpBI221プラスミドは、Feng Qin博士(独立行政法人 国際農林水産研究センター、日本)から譲渡されたものを用いた。また、シロイナズナNF−YC10の全長cDNAは下記のプライマー対を用いてPCRにより増幅し、上記発現ベクターのXbaI/ClaIサイトに導入することにより作製した。
Figure 2013111755
DREB2AとシロイナズナNF−YC10の相互作用の存在は、双方のプラスミドを導入したシロイヌナズナの葉肉細胞由来のプロトプラストのみが、シグナルを発生することにより確認された(図6を参照)。なお、当該図中で、bZIP63はホモダイマーを形成することが知られている陽性対照である。CFPは遺伝子導入が適切に行われていることを確認するために、同時に導入している。
実施例3:NF−YC10過剰発現シロイヌナズナの表現型解析
シロイナズナNF−YC10とDREB2Aとの相互作用性が上記の実験によって確認された。従って、シロイナズナNF−YC10の過剰発現により形質転換植物の生育速度や矮化等の表現型が変化する可能性を検証した。
その目的のために、シロイナズナNF−YC10のcDNAをカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターの制御下で発現する形質転換植物が作製された。具体的には、下記のプライマー対を用いて、PCRによりシロイナズナNF−YC10の全長cDNAを増幅し、pGKXベクターのXbaI/XhoIサイトに導入した。pGKXベクターは、pGreen0029に、エンハンサーE12、CaMV35Sプロモーター、Ω配列、マルチクローニングサイト及びNos-T配列を挿入したもので、Yoshidaら[Yoshida et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,Vol.368,pp.515−521(2008)]の論文中に記載されている。得られた形質転換ベクターを、pGreen−NF−YC10と命名した。
Figure 2013111755
CaMV35Sプロモーターの制御下でシロイナズナNF−YC10を過剰発現する形質転換植物は、前記形質転換ベクターpGreen−NF−YC10をアグロバクテリウム・チュメファシエンスのC58系統を用いた花序浸し法[Clough et al.,Plant J.,Vol.16,pp.735−743(1998)]によってシロイヌナズナ(Columbia)に導入することで作製した。そして、この形質転換植物の独立した20ラインにおいて、ストレス処理をしない状態で導入遺伝子のNF−YC10について発現を解析した。更に、表現型の解析をするために、導入したシロイナズナNF−YC10の発現レベルが高い、独立した3ラインを選択した。図7に、その3ライン(35S:NF-YC10-a、35S:NF-YC10-b及び35S:NF-YC10-c)と空のベクターのみで形質転換したコントロール(VC;ベクターコントロール)のノーザン解析の結果を示す。各レーンは10μgのトータルRNAを泳動した結果であり、下段はエチヂウムブロミドで染色したコントロールである。
上記で選択された3ラインの形質転換植物の表現型は、明期16時間/暗期8時間の照光条件下(40±10μmol photons/m/s)、22℃±1℃で、Osakabeらの方法[Osakabe et al.,Plant Cell,Vol.17,pp.1105−1119(2005)]に従って2〜3週間GMK寒天培地上で植物を育成させることで解析した。なお、GMK寒天培地には1%のスクロースを添加した。更に、必要に応じて鉢に植物体を移植して、バーミキュライト、パーライトなどの土壌により、同様の条件下で形質転換植物を生育させた。図8Aの写真は、1%スクロース含有GMK培地上で播種から16日間生育させた後の、上記で選択された3ラインの形質転換植物の生育状態を示している。また図8Bには、当該3ラインの形質転換植物を1%スクロース含有GMK培地上で播種から2週間生育させた後に、鉢に移植して更に2週間生育させた時点での写真を示した。更に、各植物のロゼッタ葉の最大半径及び花序の長さを計測した結果も図9A及び図9Bに示した。これらの実験において、本発明のシロイナズナNF−YC10を過剰発現した植物体とベクターコントロールの植物の間で生育に有為な差は見られなかったことから、本発明の遺伝子の過剰発現は植物の生育に実質的な影響を与えないことが確認された。
実施例4:NF−YC10過剰発現シロイヌナズナにおけるDREB2A遺伝子の下流遺伝子の発現解析
シロイナズナNF−YC10とDREB2Aとの相互作用性によって、RD29AHsfA3のようなDREB2Aの下流遺伝子の転写が変化することを調べた。特に、それらの下流遺伝子の転写を、DREB2Aが機能すると考えられている乾燥ストレスや高温ストレス条件下において調べた。下流遺伝子としては、乾燥誘導性のみを持つRD29ARD29B、そして高温誘導性を持つHsfA3At1g75860の発現を解析した。
具体的に、実施例3で選択された3ラインの形質転換植物と空のベクターで形質転換したベクターコントロール植物について実験した。乾燥ストレスは、GM寒天培地上で一定期間(2〜3週間)生育させた植物体を抜き取り、濾紙上で1〜24時間静置することによって与えた。また、高温ストレスは、GM寒天培地で一定期間(2〜3週間)生育した植物体を、GM寒天培地上で37℃に1〜24時間静置することによって与えた。生物学的反復のために、RNA抽出では8個体をまとめて一つのサンプルとした。植物から全RNAを調製して、電気泳動を行い、発現を確認したい遺伝子のDNA断片をプローブとして用いてノーザン法を行うことにより、発現パターンの変化を解析した。植物体からの全RNAの抽出及びRNAゲルブロット解析は、Satohらの方法[Satoh et al.,Plant Cell Physiol.,Vol.45,pp.309−317(2004)]に従い、Sakemaster破砕機(Bio Medical Science, Tokyo,Japan)を用いて行った。また、RNAゲルブロット解析のプローブは、Maruyamaらの方法[Maruyama et al.,Plant J.,Vol.38,pp.982−993(2004)]に従って調製した。
当該ストレスを1〜10時間まで付加した場合の結果を図10に示した。RD29ARD29Bについては乾燥、高温ストレス時における発現の変化が確認できなかった。しかし、HsfA3At1g75860に関しては、高温ストレス処理5時間で、ベクターコントロールと比較した場合に本発明の形質転換体の2ラインで発現が有意に上昇していた。
実施例5:NF−YC10過剰発現シロイヌナズナのマイクロアレイ解析
上記のNF−YC10過剰発現シロイヌナズナの内で、DREB2Aの下流遺伝子であるHsfA3At1g75860の発現量の変化が顕著であった独立した2ラインの形質転換体を用いて、高温ストレス後のマイクロアレイ解析を行った。マイクロアレイは、シロイヌナズナの全遺伝子の発現プロファイルを調べることができるCustom Gene Expression Microarray,4x44K,version 3(Agilent Technologies,Palo Alto,CA,USA)を用いた。
具体的には、GM寒天培地で2週間生育させた前記の独立した2ラインの形質転換体とベクターコントロールの植物を37℃で5時間処理した後に回収した。生物学的反復のために、RNA抽出は8個体をまとめて一つのサンプルとした。全RNAをRNAiso(Takara社)で抽出し、Cy5及びCy3でラベルしたcDNAプローブの調製に使用した。マイクロアレイ実験はデータ解析も含めて、全て製品に添付されたプロトコル(http://www.genomics.agilent.com/GenericA.aspx?pagetype=Custom &subpagetype=Custom&pageid=2018)に従って行った。マイクロアレイ解析の再現性を評価するために色素(Cy5とCy3)を交換しても同じ結果が出ることを確認する実験を行った。Feature extraction and image analysis software(version A.6.1.1;Agilent Technologies)を用いて、アレイ上の各スポットを特定して定量し、Lowess法による標準化を行った。
上記マイクロアレイ解析により、37℃、5時間処理時に、シグナル値が2000以上、FDR(false discovery rate)が0.01以下で、ベクターコントロール植物よりも発現量が2倍以上高く誘導されていた遺伝子が15個見出された(図11)。その15個の遺伝子の内の5個がHSPheat shock protein)であり、3個はHSFheat shock factor)であった。更に、5個のHSPの内で、3個はDREB2A CA過剰発現体のマイクロアレイ解析[Sakuma et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,Vol.103,pp.18822-18827(2006)]でも発現が上昇する遺伝子であった。
実施例6:NF−YC10過剰発現シロイヌナズナの高温ストレス及び乾燥ストレス耐性試験
ストレス応答遺伝子の中で、HSPHSFは高温ストレス耐性に関係していると考えられている[Montero−Barrientos et al.,J. Plant Physiol.,Vol.167,pp.659−665(2010)、Yoshida et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,Vol.368,pp.515−521(2008)]。上記実施例5のとおり、高温ストレス条件下において発現が上昇した15個の遺伝子のうち、8個がHSP或いはHSFであった。このため、シロイナズナNF−YC10過剰発現植物は高温ストレス耐性が向上していることが予想された。このことを確認するために、上記実施例3で選択した、独立した3ラインの高温ストレスへの耐性を試験した。また、DREB2Aの関与が推定されている乾燥ストレスに対する耐性についても試験した。
具体的に、乾燥ストレスについては、GM寒天培地上で明期16時間/暗期8時間の照光条件(50±10μmol photons/m/s)、22℃±1℃で、播種後2週間育成させた植物を、パーライト、バーミキュライト等の土を入れた鉢に移植して1週間生育させた。次いで、この植物への給水を3週間停止することで乾燥ストレスを付加した。当該ストレス付加後に再給水を行いつつ2週間生育させ、植物の色で生存あるいは枯死を判断した。なお、植物体の大きさによる影響を最小限にとどめるために、同程度の大きさの植物を実験に使用した。
また、高温ストレスについては、GM液体培地を浸した濾紙上で播種後1週間生育した植物を、Sakumaらの方法[Sakuma et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,Vol.103,pp.18822-18827(2006)]に従い、45℃、50分処理した。その後、10日間通常条件で生育させた後の状態を観察した。より詳細には、プラスチックシャーレ(90φx20mm)内に、84mm径の濾紙(ADVANTEC製)を2枚敷き、4mlの液体GM培地で浸し、その上に滅菌した上記3ラインの本発明の形質転換体の種子を播種した。また、比較対照の植物体も同じシャーレ内に播種した。シャーレの周囲をサージカルテープ(3M Health Care製)でシールし、当該シャーレを、播種から7日後に45℃に設定したハイブリダイゼーションインキュベーター(機種名HB−80:タイテック製)内に設置した130mm x 130mm x 50mmのフリーズボックス(アシスト社製)の上に置いた。当該フリーズボックス上で50分間静置した後、シャーレを22℃のインキュベーターに戻して、10日間生育させた。全ての実験は少なくとも3回以上繰り返し、各実験で少なくとも3ライン、40植物体以上を用いた。
上記の高温ストレス耐性試験結果を図12に示す。図中の括弧内の数字は試験に用いた植物体数(分母)と生存していた植物個体数(分子)を表し、図には生存率(%)も示されている。この高温ストレス実験において、ベクターコントロール植物の半数以上が枯死したのに対し、本発明のシロイナズナNF−YC10過剰発現植物、特にライン35S:NF−YC10−b及び35S:NF−YC10−cでは、ほとんどの植物が健全な状態を保っていた。従って、シロイナズナNF−YC10を発現することにより、植物の高温ストレス耐性が改善されることが示された。一方、本実施例の乾燥ストレス耐性試験では殆どの植物体が枯死し、ベクターコントロールとNF−YC10過剰発現植物の間に有意な生存率の差は見られなかった。
実施例7:シロイヌナズナ及び他の動植物におけるNF−YC10相同遺伝子の系統樹解析
NF−YCファミリー遺伝子の保存領域であるH2Aドメインの配列から、ClustalWプログラムによってアラインメントを作製した。但し、変数は:gap open penalty=10.00,gap extension penalty=0.1、のように設定した。なお、最終的には手作業でアラインメントを微調整した。系統樹は、Fujitaらの方法[Fujita et al.,Plant J.,Vol.39,pp.863−876(2004)]に従って、MEGA software(version 4.1)を用いて、近隣結合法により作製した。単系統群の信頼度は、ブーツストラッップ解析(1000回反復)により計算した。図13において、双子葉植物のシロイヌナズナNF−YC10に対応するダイズ、単子葉植物のイネ及びコケ植物のヒメツリガネゴケにおける相同遺伝子と本発明者が割り当てた呼称を示す。また、図14には、それらの遺伝子及び、ヒト、マウス、酵母のNF−YCファミリー遺伝子の類縁関係を系統樹により示した。図中の黒点は、ブートストラップ値が50以上であることを示している。この系統樹により、シロイヌナズナNF−YC10は、他の類縁遺伝子と比較しても系統的に離れた遺伝子であること、またダイズ、イネ、ヒメツリガネゴケにおけるシロイナズナNF−YC10相同遺伝子も、同様に他の類縁遺伝子と系統的に離れた遺伝子であることが明らかとなった。図15は、シロイヌナズナとイネ、、ダイズ、ヒメツリガネゴケにおけるシロイヌナズナNF−YC10相同遺伝子の保存領域のアミノ酸配列比較を示している。
実施例8:他の植物遺伝子での酵母ツーハイブリッドシステムによる相互作用解析
イネのOsDREB2B2遺伝子は、シロイナズナのDREB2Aの相同遺伝子であることが知られている(非特許文献7)。また、ダイズのGmDREB2A;2遺伝子は、シロイナズナのDREB2Aの相同遺伝子であることが知られている(非特許文献8)。本実施例は、シロイヌナズナNF−YC10蛋白質が、他の植物のDREB2A相同蛋白質とも相互作用し得ることを示す。つまり、シロイヌナズナNF−YC10相同蛋白質群にける保存領域が、NF−YC10相同蛋白質とDREB2A相同蛋白質の相互作用において決定的な役割を担っていることを示す。
実施例1で用いた酵母ツーハイブリッドシステム・プロトコルにおいて、シロイナズナDREB2AのC末端側転写活性化ドメインを除く領域をコードする塩基配列を連結することに代えて、イネのOsDREB2B2の当該領域(1-146 a.a.)をコードする塩基配列、又はダイズのGmDREB2A;2の当該領域(1-137 a.a.)をコードする塩基配列を連結し、ベイト遺伝子のベクターとして用いた。具体的に、OsDREB2B2(1-146 a.a.)をコードする塩基配列は、OsDREB2B2の全長cDNA含有ヌクレオチド(配列番号29)から下記のプライマー(配列番号30及び31)によりPCR増幅した。また、GmDREB2A;2(1-137 a.a.)をコードする塩基配列は、GmDREB2A;2の全長cDNA含有ヌクレオチド(配列番号32)から下記のプライマー(配列番号33及び34)によりPCR増幅した。それらの配列で、実施例1のpGBKT7プラスミドのEcoRI/BamHIサイト中のシロイナズナDREB2A配列を置き換え、ベイト遺伝子のベクターとした。それ以外は、実施例1と同様にして、シロイナズナNF−YC10全長cDNAを連結したプレイベクターを、前記のベイトベクターと共に酵母AH109株に導入し、培養した。
Figure 2013111755
Figure 2013111755
Figure 2013111755
Figure 2013111755

Figure 2013111755
Figure 2013111755
Figure 2013111755
イネのOsDREB2B2及びダイズのGmDREB2A;2とシロイナズナNF−YC10の相互作用の存在が、双方のベクターを導入した酵母のSD/−Leu/−Trp/−His/−Ade/3−AT(QDO)寒天培地上での生育により確認された(図16を参照)。
実施例9:他の植物遺伝子でのシロイヌナズナ・プロトプラストを用いた一過的発現による相互作用解析
上記の実施例8に加えて、実施例2の実験を、イネのOsDREB2B2遺伝子及びダイズのGmDREB2A;2遺伝子を用いて繰り返すことで、前記の相互作用の存在を確認した。すなわち、実施例2でのシロイナズナDREB2A全長cDNAに代えて、OsDREB2B2全長cDNA及びGmDREB2A;2全長cDNAをpBI221に連結した。なお、OsDREB2B2全長cDNAは下記のプライマー(配列番号35及び36)によりPCR増幅した。また、GmDREB2A;2全長cDNAは下記のプライマー(配列番号37及び38)によりPCR増幅した。それらのcDNAにより、実施例2のpBI221プラスミドのClaI/XhoIサイト中のシロイナズナDREB2AcDNAを置き換えた。それ以外は、実施例2と同様の実験を繰り返した。
Figure 2013111755
イネのOsDREB2B2及びダイズのGmDREB2A;2とシロイナズナNF−YC10の相互作用の存在が、双方のプラスミドを導入したシロイヌナズナの葉肉細胞由来のプロトプラストのみが、シグナルを発生することにより確認された(図17を参照)。
本発明は、食用、飼料、園芸作物などの農業生産に利用できる。また、それらの作物生産のための種苗産業において利用され得る。更に、本発明の形質転換植物体は、植物バイオテクノロジー分野の研究及び開発に利用できる。

Claims (27)

  1. 環境ストレスに対する向上した耐性を示し、下記の群から選択されるヌクレオチド配列を含む遺伝子を過剰発現する形質転換植物体:
    (1)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするヌクレオチド配列;
    (2)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列に対して60%以上の配列相同性を有し、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列;及び
    (3)配列番号1、3、5、7、14、15、16又は17に示すヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列。
  2. 前記(1)のヌクレオチド配列が、配列番号1、3、5又は7に示すヌクレオチド配列のコード化領域のヌクレオチド配列である、請求項1に記載の形質転換植物体。
  3. 前記(2)における配列相同性が80%以上である、請求項1に記載の形質転換植物体。
  4. 環境ストレスが高温ストレスである、請求項1に記載の形質転換植物体。
  5. 前記形質転換植物体が種子の形態である、請求項1に記載の形質転換植物体。
  6. 前記形質転換植物体が苗の形態である、請求項1に記載の形質転換植物体。
  7. 前記形質転換植物体がカルスの形態である、請求項1に記載の形質転換植物体。
  8. 前記形質転換植物体が双子葉植物である、請求項1に記載の形質転換植物体。
  9. 前記形質転換植物体が単子葉植物である、請求項1に記載の形質転換植物体。
  10. 環境ストレスに対する向上した耐性を示す形質転換植物体の製造方法であって、以下の、
    i)植物細胞を形質転換する工程であって、
    a)植物細胞を下記の群から選択されるヌクレオチド配列を含む発現ベクターでトランスフェクトして、該細胞に当該ヌクレオチド配列を含む遺伝子を過剰発現させる:
    (1)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするヌクレオチド配列;
    (2)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列に対して60%以上の配列相同性を有し、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列;及び
    (3)配列番号1、3、5、7、14、15、16又は17に示すヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列;又は
    b)植物細胞内の上記a)の(1)〜(3)の群から選択されるヌクレオチド配列を含む内因性遺伝子の調節領域を外来調節エレメントで置換して、該細胞に当該遺伝子を過剰発現させる工程;及び
    ii)上記i)の工程で得られた形質転換植物細胞を、該細胞から植物体を再生させるのに適した条件下で生育させて、形質転換植物体を得る工程
    を含む、前記形質転換植物体の製造方法。
  11. 前記(1)のヌクレオチド配列が、配列番号1、3、5又は7に示すヌクレオチド配列のコード化領域のヌクレオチド配列である、請求項10に記載の形質転換植物体の製造方法。
  12. 前記(2)における配列相同性が80%以上である、請求項10に記載の形質転換植物体の製造方法。
  13. 環境ストレスが高温ストレスである、請求項10に記載の形質転換植物体の製造方法。
  14. 前記形質転換植物体が種子の形態である、請求項10に記載の形質転換植物体の製造方法。
  15. 前記形質転換植物体が苗の形態である、請求項10に記載の形質転換植物体の製造方法。
  16. 前記形質転換植物体がカルスの形態である、請求項10に記載の形質転換植物体の製造方法。
  17. 前記形質転換植物体が双子葉植物である、請求項10に記載の形質転換植物体の製造方法。
  18. 前記形質転換植物体が単子葉植物である、請求項10に記載の形質転換植物体の製造方法。
  19. 植物体の環境ストレスに対する耐性を向上させる方法であって、
    a)植物体の細胞を下記の群から選択されるヌクレオチド配列を含む発現ベクターでトランスフェクトして、該細胞に当該ヌクレオチド配列を含む遺伝子を過剰発現させる:
    (1)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするヌクレオチド配列;
    (2)配列番号2、4、6又は8に示すアミノ酸配列に対して60%以上の配列相同性を有し、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列;及び
    (3)配列番号1、3、5、7、14、15、16又は17に示すヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つDREB2A蛋白質に対する結合能を有する蛋白質をコードするヌクレオチド配列;又は
    b)植物体の細胞内の上記a)の(1)〜(3)の群から選択されるヌクレオチド配列を含む内因性遺伝子の調節領域を外来調節エレメントで置換して、該細胞に当該遺伝子を過剰発現させる、
    ことを含む、前記方法。
  20. 前記(1)のヌクレオチド配列が、配列番号1、3、5又は7に示すヌクレオチド配列のコード化領域のヌクレオチド配列である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記(2)における配列相同性が80%以上である、請求項19に記載の方法。
  22. 環境ストレスが高温ストレスである、請求項19に記載の方法。
  23. 前記植物体が種子の形態である、請求項19に記載の方法。
  24. 前記植物体が苗の形態である、請求項19に記載の方法。
  25. 前記植物体がカルスの形態である、請求項19に記載の方法。
  26. 前記植物体が双子葉植物である、請求項19に記載の方法。
  27. 前記植物体が単子葉植物である、請求項19に記載の方法。
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