JPWO2013100084A1 - 電極用導電性ペースト、太陽電池および太陽電池の製造方法 - Google Patents

電極用導電性ペースト、太陽電池および太陽電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の一形態に係る電極用導電性ペーストは、銀を主成分とする導電成分と、下記元素Aが添加されているガラスフリットとを有する。ここで、元素Aは、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、銀および金から選択される1種以上である。また、本発明の一形態に係る太陽電池(10)は、半導体基板(1)と、該半導体基板の一主面(9a)上の第1領域に配置された反射防止膜(4)と、前記半導体基板の一主面(9a)上の前記第1領域とは異なる領域である第2領域に配置された、上記の電極用導電性ペーストを焼成してなる電極(5)とを備えている。

Description

本発明は、太陽電池などの電極の形成に用いられる電極用導電性ペースト、この電極用導電性ペーストを使用して基板上に電極を形成する工程を含む太陽電池、および太陽電池の製造方法に関する。
現在、使用されている太陽電池の多くは、結晶シリコン基板を用いた結晶シリコン系太陽電池である。結晶シリコン系の太陽電池の製造では、一導電型のシリコン基板の受光面側に逆導電型層と反射防止膜とを形成した後、反射防止膜上の少なくとも一部と、シリコン基板の非受光面側の略全面とに導電性ペーストを印刷して、これを焼成して受光面側の表面電極と非受光面側の裏面電極とを形成する方法が知られている。
例えばp型のシリコン基板を使用した太陽電池では、表面電極を形成するための電極用導電性ペーストには、銀を主成分とする導電性ペースト(以下、銀ペーストという)が用いられる。
表面電極の形成工程では、焼成過程において、導電性ペーストに添加されているガラスフリットの作用によって導電性ペーストの下にある反射防止膜を溶融し除去して、導電性ペースト中の金属成分とシリコン基板との間でオーミックコンタクトが可能となるファイヤースルーと呼ばれる現象が利用される。
太陽電池の表面は、表面電極が形成されていない第1領域と、表面電極が形成された第2領域とからなる。ここで、第2領域は、通常、表面電極によって遮光されるので、光吸収による電子正孔対の生成に寄与しない。このことは一般にシャドウロスと呼ばれる。このシャドウロスを低減するために、表面電極は細長い多数の集電電極(フィンガー電極)と、インナーリードを半田付けするための数本程度の出力取出電極(バスバー電極)とからなる。
表面電極に要求される特性は、主として電気的特性(コンタクト抵抗および配線抵抗が小さいなど)と、機械的特性(基板およびインナーリードとの接着強度が大きいなど)とである。太陽電池の電気出力は、短絡電流密度(Jsc)と開放電圧(Voc)と曲線因子(FF)との積で表されるが、コンタクト抵抗および配線抵抗はFFを決定づける主要因となりうる。
上記の諸特性が改善された電極を形成するために、種々の電極形成用の導電性ペーストが提案されている。例えば特開平11−213754号公報には、銀粉末、ガラス粉末、有機ビヒクルおよび有機溶媒等を成分とする導電性ペースト中に、塩化物、臭化物およびフッ化物が添加されたものが開示されている。また、例えば特表2011−519150号公報には、導電性粒子が銀粒子と、Pd、Ir、Pt、Ru、Ti、およびCoからなる群から選択される金属の粒子とが含まれる太陽電池のグリッド電極用導電性ペーストが開示されている。さらに、例えば特開2011−25035号公報には、銅酸化物を含むガラスフリットを有する太陽電池電極用銀ペーストが開示されている。
しかし、従来の銀ペーストを用いて形成した電極を備えた太陽電池では、電極のコンタクト抵抗などの電気的特性が不十分であり、電気的特性のさらなる向上が望まれている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、電極のコンタクト抵抗を低減することができて、太陽電池などの電気的特性の向上に有用な電極用導電性ペースト、この電極用導電性ペーストを使用して半導体基板上に電極を形成する工程を含む太陽電池、および太陽電池の製造方法を提供することを主たる目的とする。
本発明者らは、半導体基板の上に導電性ペーストを塗布し焼成して作製した電極の電気的特性について研究した結果、ガラス成分を含んだ電極においては、ガラス成分の導電性能がコンタクト抵抗および配線抵抗に少なからず影響を及ぼすことを知見して、本発明を見出すに至った。
本発明の一形態に係る電極用導電性ペーストは、銀を主成分とする導電成分と、下記元素Aが添加されているガラスフリットとを有する。ここで、元素Aは、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、銀および金から選択される1種以上である。
本発明の一形態に係る太陽電池は、半導体基板と、該半導体基板の一主面上の第1領域に配置された反射防止膜と、前記半導体基板の一主面上の前記第1領域とは異なる領域である第2領域に配置された上記の電極用導電性ペーストを焼成してなる電極とを備えている。
また、本発明の一形態に係る太陽電池の製造方法は、半導体基板と、該半導体基板の一主面上の第1領域に配置された反射防止膜と、前記半導体基板の一主面上の前記第1領域とは異なる領域である第2領域に配置された電極とを備えている太陽電池の製造方法であって、前記半導体基板の一主面上に前記反射防止膜を形成する第1工程と、上記電極用導電性ペーストを前記反射防止膜上に電極パターンで配置する第2工程と、前記電極用導電性ペーストを焼成して該電極用導電性ペーストの下に位置している前記反射防止膜を除去することによって、前記反射防止膜を前記半導体基板の前記第1領域に配置させるとともに、前記半導体基板の前記第2領域に前記電極用導電性ペーストを焼成してなる前記電極を形成する第3工程とを有する。
上記構成の電極用導電性ペースト、太陽電池および太陽電池の製造方法によれば、コンタクト抵抗、配線抵抗などの電気的特性の改善した太陽電池を提供できる。
図1は、本発明の一形態に係る太陽電池の一例を受光面側からみた平面模式図である。 図2は、本発明の一形態に係る太陽電池の一例を非受光面側からみた平面模式図である。 図3は、本発明の一形態に係る太陽電池の一例を模式的に示す図であり、図1におけるK−K線の一点鎖線で示した領域で切断した断面図である。 図4(a)〜(e)は、それぞれ本発明の一形態に係る太陽電池の製造方法の一例を模式的に示す太陽電池の断面図である。 図5は、本発明の一形態に係る太陽電池の一例を裏面側からみた平面模式図である。 図6は、本発明の一形態に係る太陽電池の一例を示す模式図であり、図5におけるL−L線の一点鎖線で示した領域で切断した断面図である。
以下に、本発明に係る電極用導電性ペースト(以下、導電性ペーストという)、この導電性ペーストを用いた太陽電池およびその製造方法の形態例について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面は模式的に示したものであるので、図面における各構成の寸法比および位置関係等は適宜変更しうる。
<導電性ペースト>
本実施形態で用いる導電性ペーストは、銀粉末、ガラスフリットおよび有機ビヒクル等を含んでいる。ここで、導電性ペーストは、銀を主成分とする導電成分と、下記元素Aが添加されているガラスフリットとを有する。元素Aとは、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、銀および金から選択される1種以上をいうものとする。なお、「主成分」とは導電成分を100質量部とした場合に50質量部以上をいうものとする。
また、元素Aは、下記金属A1および下記化合物A2の少なくとも一方の状態で添加されている。金属A1とは、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、銀および金から選択される1種以上をいうものとする。また、化合物A2とは、バナジウム化合物、ニオブ化合物、タンタル化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、ルテニウム化合物、ロジウム化合物、パラジウム化合物、レニウム化合物、オスミウム化合物、イリジウム化合物、白金化合物、硫化銀、フッ化銀、臭化銀、ヨウ化銀、硝酸銀、硫酸銀、酢酸銀および有機銀化合物から選択される1種以上をいうものとする。
特に、上記元素Aが、バナジウム、ニオブ、タンタル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金から選択される1種以上であると、導電性ペーストのファイヤースルー性が良好となるのでよく、さらに望ましくは上記元素Aとして、バナジウムおよびロジウムであるとすると特性および耐久性に優れた太陽電池素子とすることができるのでよい。
銀粉末は高純度の銀または銀を主成分とする合金を主成分とする。銀粉末の形状に特に制限はないが、球状またはフレーク状等の粉末を使用することができる。また、銀粉末の粒径は導電性ペーストの塗布(または、印刷)条件、および焼成条件によって適宜選択されるが、平均粒径0.1〜10μmの粉末が印刷性および焼成特性の観点から適している。
ガラスフリット中には、上述したように化合物が含まれてもよいが、この化合物は例えば、ハロゲン化物、酸化物、シアン化物、水酸化物、無機酸化物などの無機化合物、または、アルキル化合物もしくは有機酸化合物などの有機化合物である。
ガラスフリットの他の成分は特に制限は無いが、ガラス材料としてPbO−SiO系、SiO−Bi−PbO系、またはB−SiO−PbO系などの鉛系ガラスを用いることができるほか、B−SiO−Bi系、またはB−SiO−ZnO系などの非鉛系ガラスも用いることができる。なお、環境問題に対する意識の高まりから、最近では非鉛系ガラスの使用が増加しているので、非鉛系のガラス材料を用いるとよいが、発明者らが繰り返し行ったテストでは、SiOおよびPbOを含有するものが、触媒作用の効果が顕著に現れ、太陽電池の特性向上に有効であることがわかった。
さらに、本実施形態の電極用ペーストに含まれる銀粉末の含有質量部100に対して、ガラスフリットの含有質量部は1以上30以下、より好ましくは2以上13以下とする。ガラスフリットの含有質量部をこの数値範囲内にすることによって、形成された電極自体の抵抗を大きく上げることなく、シリコン基板と電極との接着強度およびコンタクト抵抗を良好にすることができる。
有機ビヒクルは、バインダーとして使用される樹脂成分を有機溶剤に溶解して得られる。有機バインダーとしては、例えばセルロース系樹脂、アクリル樹脂またはアルキッド樹脂等、有機溶剤としては、例えばターピネオールまたはブチルカルビトールアセテート等が使用される。
<太陽電池素子の基本構成>
太陽電池の一形態である太陽電池素子の基本構成について説明する。図1乃至3に示すように、太陽電池素子10は、半導体基板1と、半導体基板1の一主面上の第1領域に配置された反射防止膜である反射防止層4と、半導体基板1の一主面上の前記第1領域とは異なる領域である第2領域に配置された、上記の電極用導電性ペーストを焼成してなる電極とを備えている。この電極中には特にバナジウムおよびロジウムが含有されていると実施例にて説明するように、特性が良好で耐久性に優れた太陽電池素子とすることができるのでよい。
また、太陽電池素子10は、光が入射する表面(受光面、図3における上面)である第1面9aと、その反対面である裏面(非受光面、図3における下面)である第2面9bとを有する。さらに、太陽電池素子10は、半導体基板1の第1面9aに設けられた反射防止層4および表面電極である第1電極5と、半導体基板1の第2面9b上に設けられた裏面電極である第2電極6を備えている。なお、半導体基板1は一導電型層である第1半導体部2と、その第1面9a側に設けられた逆導電型層の第2半導体部3とを有する。
<太陽電池素子の具体例>
次に、太陽電池素子のより具体的な例について説明する。半導体基板1としては、所定のドーパント元素を有して一導電型(例えばp型)を呈する、単結晶シリコン基板または多結晶シリコン基板を用いることができる。半導体基板1の比抵抗は0.2〜2.0Ω・cm程度である。また、半導体基板1の厚みは、例えば、250μm以下であるのが好ましく、180μm以下とするのがさらに好ましい。また、半導体基板1の形状は、特に限定されるものではないが、平面視して四角形状であれば、製法上および多数の太陽電池素子を配列して太陽電池モジュールを構成する際等の観点から好適である。
半導体基板1として、p型シリコン基板を用いる例を説明する。半導体基板1がp型を呈するようにする場合、ドーパント元素としては、例えばボロンまたはガリウムを添加するのが好適である。
第1半導体部2とpn接合を形成する第2半導体部3は、第1半導体部2と逆の導電型を呈する層であり、半導体基板1の第1面9a側に設けられている。第1半導体部2がp型の導電型を呈する場合であれば、第2半導体部3はn型の導電型を呈するように形成される。半導体基板1がp型の導電型を呈する場合には、第2半導体部3は半導体基板1における第1面9a側にリン等のドーパント元素を拡散させることによって形成できる。
反射防止層4は、第1面9aにおける光の反射率を低減させて、半導体基板1に吸収される光の量を増大させる。そして、光吸収によって生成する電子正孔対を増大させる役割を果たすことで太陽電池の変換効率の向上に寄与する。反射防止層4は、例えば、窒化シリコン膜、酸化チタン膜、酸化シリコン膜、もしくは酸化アルミニウム膜、またはそれらの積層膜とすることができる。反射防止層4の厚みは、構成する材料によって適宜選択されて、適当な入射光に対して無反射条件を実現できるように設定される。半導体基板1上に形成する反射防止層4の屈折率は1.8〜2.3程度、厚み500〜1200Å程度が好ましい。また、反射防止層4は半導体基板1の界面および粒界での少数キャリアの再結合による変換効率の低下を低減するパッシベーション膜としての機能も有しうる。
BSF(Back-Surface-Field)領域7は、半導体基板1の第2面9b側に内部電界を形成し、第2面9bの近傍での少数キャリアの再結合による変換効率の低下を低減させる役割を有している。BSF領域7は半導体基板1の第1半導体部2と同一の導電型を呈しているが、第1半導体部2が含有する多数キャリアの濃度よりも高い多数キャリア濃度を有している。これは、BSF領域7には、第1半導体部2にドープされているドーパント元素の濃度よりも高い濃度でドーパント元素が存在することを意味する。BSF領域7は、半導体基板1がp型を呈するのであれば、第2面9b側に例えばボロンまたはアルミニウムなどのドーパント元素を拡散させることによって、これらドーパント元素の濃度が1×1018〜5×1021atoms/cm程度となるように形成されるのが好適である。
図1に示すように、第1電極5は、表面出力取出電極(フィンガー電極)5aと、表面集電電極(バスバー電極)5bとを有する。表面出力取出電極5aの少なくとも一部は、表面集電電極5bと交差している。この表面出力取出電極5aは、例えば1.3〜2.5mm程度の幅を有している。
一方、表面集電電極5bは、その線幅が50〜200μm程度であり、表面出力取出電極5aよりも細い。また、表面集電電極5bは、互いに1.5〜3mm程度の間隔を空けて複数設けられている。
第1電極5の厚みは、10〜40μm程度である。第1電極5は、例えば銀粉末、ガラスフリット、有機ビヒクル等からなる電極形成用ペーストをスクリーン印刷等によって所望の形状に塗布した後、焼成することによって形成することができる。第1電極5の形成においては、焼成中に溶融したガラスフリットが反射防止層4を溶融・除去されて、さらに半導体基板1の最表面と反応した後に固着して、半導体基板1との電気的コンタクトを形成するとともに、機械的な接着強度を保持しているが、ガラスフリット中のガラス成分の多くは半導体基板1との界面に存在しやすく、これがコンタクト抵抗増加の原因となる。
本実施形態においては、ガラスフリットには、上述したように、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、銀および金から選択される1種以上が含まれている。これらの元素はガラスフリット中に分散して存在している。この場合、ガラスフリット中に金属単体で存在する場合または化合物として存在する場合がある。
このように、ガラスフリット中には上記元素が添加されているので、焼成して得られた電極の抵抗率が低下するのでコンタクト抵抗を低減させることができて、太陽電池特性である特にFFを改善することができる。また、ガラスフリット中に上記元素が含まれることでガラス軟化点が低下して第1電極5の接着強度が高められる。さらに、ガラスフリット中に添加されている金属および化合物は、銀ペーストを焼成する際にファイヤースルーを促進させる触媒作用として機能するので好適である。
また、バナジウムまたはその化合物を添加することによって、形成された電極において、ガラスフリットと銀との間にバナジウムが介在する結合構造となる。このように、従来のガラスフリットと銀とが直接結合する構造に対し、安定で強固な構造となるので、太陽電池の長期的な信頼性を向上させることができる。
さらに、ロジウムまたはその化合物を添加することによって、シリコン基板とのオーミックコンタクト性を向上させることができて、太陽電池の初期のFF値を向上させることが可能となる。
また、バナジウムまたはその化合物の添加と合わせて、ロジウムまたはその化合物を添加することによって形成された電極とシリコン基板とのオーミックコンタクト性の低下を抑制することができて、初期の光電変換効率の低下を抑えることが可能となり、光電変換効率が高く、長期的な信頼性も向上した太陽電池を提供することが可能となる。
ガラスフリット中へのロジウムおよびバナジウムの添加量は、ロジウムはガラスフリット中に0.001〜0.05質量%程度が好適であり、バナジウムはガラスフリット中に0.9〜9質量%程度が好適である。なぜなら、ロジウムのガラスフリット中への添加量が上記範囲内であれば、特に太陽電池の初期のFF値等の電気的特性の向上および電極と半導体基板との接着強度の向上に効果があり、さらに太陽電池の長期的な信頼性が向上するからである。また、バナジウムのガラスフリット中への添加量が上記範囲内であれば、特に太陽電池の長期的な信頼性の向上および太陽電池の初期のFF値が維持される。
第1電極5は上述のように形成した下地電極層と、その上にめっき法によって形成した導電層であるめっき電極層とから構成されていてもよい。
第2電極6は、図2に示すように、裏面出力取出電極6aと裏面集電電極6bとを有する。本実施形態の裏面出力取出電極6aの厚みは10〜30μm程度、幅は1.3〜7mm程度である。裏面出力取出電極6aは、例えば銀ペーストを所望の形状に塗布した後、焼成することによって形成できる。また、裏面集電電極6bは、厚みが15〜50μm程度であり、半導体基板1の第2面9bの裏面出力取出電極6aの一部を除いた略全面に形成される。この裏面集電電極6bは、例えばアルミニウムペーストを所望の形状に塗布した後、焼成することによって形成することができる。
本実施形態の導電性ペーストは裏面出力取出電極6aの形成にも適している。裏面出力取出電極6aに求められる主な特性は、半導体基板1との接着強度の大きさ、裏面集電電極6bとの良好な電気的コンタクト、および、電極そのものの抵抗値である。本実施形態の導電性ペーストを使用することによって、これらの特性の改善した裏面出力取出電極6aを形成することができる。
<太陽電池素子の製造方法>
次に、太陽電池素子10の製造方法について説明する。上述したように、太陽電池素子10は半導体基板1と、この半導体基板1の一主面上の第1領域に配置された反射防止層4と、半導体基板1の一主面上の第2領域に配置された、上記の導電性ペーストを焼成してなる電極とを備えている。このように構成された太陽電池素子10の製造は、半導体基板1の一主面上に反射防止層4を形成する第1工程と、上述した導電性ペーストを反射防止層4上に配置する第2工程と、上述した導電性ペーストを焼成してこの導電性ペーストの下に位置している反射防止層4を除去することによって、反射防止層4を半導体基板1の第1領域に配置させるとともに半導体基板1の第2領域に電極を形成する第3工程とを含む。
次に、より具体的な製造方法について説明する。まず、図4(a)に示すように、第1半導体部2で構成された半導体基板1を準備する。この半導体基板1が単結晶シリコン基板の場合は、例えばFZ(フローティングゾーン)法またはCZ(チョクラルスキー)法などによって形成される。半導体基板1が多結晶シリコン基板の場合は、例えば鋳造法などによって形成される。なお、以下では、p型の多結晶シリコンを用いた例によって説明する。
最初に、例えば鋳造法によって多結晶シリコンのインゴットを作製する。次いで、そのインゴットを例えば250μm以下の厚みにスライスして半導体基板1を作製する。その後、半導体基板1の切断面の機械的ダメージ層および汚染層を除去するために、表面をNaOH、KOHまたはフッ硝酸などの溶液でごく微量エッチングするのが望ましい。なお、このエッチング工程後に、ウエットエッチング法またはドライエッチング法を用いて、半導体基板1の表面に微小な凹凸構造(テクスチャ)を形成するのが望ましい。テクスチャの形成によって、第1面9aにおける光の反射率が低減することで、太陽電池の変換効率が向上する。また、テクスチャの形成方法および形成条件によっては、前述のダメージ層除去工程を省略することも可能である。
次に、図4(b)に示すように、半導体基板1における主に第1面9a側の表層内にn型の第2半導体部3を形成する。このような第2半導体部3は、ペースト状態にしたPを半導体基板1の表面に塗布して熱拡散させる塗布熱拡散法、ガス状態にしたオキシ塩化リン(POCl)を拡散源とした気相熱拡散法、または、リンイオンを直接拡散させるイオン打ち込み法などによって形成される。この第2半導体部3は0.1〜1μm程度の厚み、および40〜150Ω/□程度のシート抵抗に形成される。なお、第2半導体部3の形成方法は、上記方法に限定されるものではなく、例えば薄膜技術を用いて、水素化アモルファスシリコン膜または微結晶シリコン膜を含む結晶質シリコン膜などを形成してもよい。さらに、半導体基板1と第2半導体部3との間にi型シリコン領域を形成してもよい。
第2半導体部3形成時に、第2面9b側にも逆導電型層が形成された場合には、第2面9b側のみをエッチングして除去して、p型の導電型領域を露出させる。例えば、フッ硝酸溶液に半導体基板1における第2面9b側のみを浸して第2半導体部3を除去する。その後、第2半導体部3を形成する際に、半導体基板1の表面に付着した燐ガラスをエッチングして除去する。また、予め第2面9b側に拡散マスクを形成しておき、気相熱拡散法等によって第2半導体部3を形成して、続いて拡散マスクを除去するプロセスによっても、同様の構造を形成することが可能である。
以上により、第1半導体部2と第2半導体部3とを備えた半導体基板1を準備することができる。
次に、図4(c)に示すように、反射防止膜である反射防止層4を形成する。反射防止層4は、窒化シリコン、酸化チタン、酸化シリコンまたは酸化アルミニウムなどからなる膜を、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法、熱CVD法、蒸着法またはスパッタリング法などを用いて形成される。例えば、窒化シリコン膜からなる反射防止層4をPECVD法で形成する場合であれば、反応室内を500℃程度としてシラン(SiH)とアンモニア(NH)との混合ガスを窒素(N)で希釈し、グロー放電分解でプラズマ化させて堆積させることで反射防止層4が形成される。
次に、図4(d)に示すように、半導体基板1の第2面9b側に、BSF領域7を形成する。製法としては、例えば、三臭化ボロン(BBr)を拡散源とした熱拡散法を用いて温度800〜1100℃程度で形成する方法、アルミニウムペーストを印刷法で塗布した後、温度600〜850℃程度で焼成してアルミニウムを半導体基板1に拡散する方法を用いることができる。アルミニウムペーストを印刷して焼成する方法を用いれば、印刷面だけに所望の拡散領域を形成することができるうえに、第2半導体部3の形成時に第2面9b側にも形成されているn型の逆導電型層を除去する必要がなく、第2面9b側の周辺部のみにレーザー等を用いてpn分離(pn接合部の連続領域を分離すること)を行なえばよい。なお、BSF領域7の形成方法は上記方法に限定されるものではなく、例えば薄膜技術を用いて、水素化アモルファスシリコン膜、または微結晶シリコン膜を含む結晶質シリコン膜などを形成してもよい。さらに、第1半導体部2と第3半導体層4との間にi型シリコン領域を形成してもよい。
次に、図4(e)に示すように、第1電極5と第2電極6とを形成する。第1電極5は、銀を主成分とする導電成分と、上述したように、バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、銀および金から選択される1種以上が、上述した好適な添加量にて添加されているガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有する導電性ペーストを用いて作製される。この導電性ペーストを、半導体基板1の第1面9aに塗布する。その後、最高温度600〜850℃で数十秒〜数十分程度焼成することによって、半導体基板1上に第1電極5が形成される。塗布法としては、スクリーン印刷法などを用いることができる。そして塗布後、好ましくは所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させる。焼成過程ではファイヤースルーによって、高温下においてガラスフリットと反射防止層4が反応することで第1電極5が半導体基板1と電気的、機械的コンタクトを形成する。第1電極5は上述のように形成した下地電極層と、その上にめっき法によって形成しためっき電極層から構成されていてもよい。
裏面集電電極6bは、例えばアルミニウムを主成分とする金属粉末と、ガラスフリットと有機ビヒクルとを含有するアルミニウムペーストを用いて作製される。このペーストを、裏面出力取出電極6aを形成する部位の一部を除いて、第2面9bのほぼ全面に塗布する。塗布法としては、スクリーン印刷法などを用いることができる。このようにペーストを塗布した後、所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させる方が作業時にペーストがその他の部分に付着しにくいという観点から好ましい。
裏面出力取出電極6aは、銀を主成分とする金属粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有する銀ペーストを用いて作製される。この銀ペーストを予め決められた形状に塗布する。なお、銀ペーストは、アルミニウムペーストの一部と接する位置に塗布されることで、裏面出力取出電極6aと裏面集電電極6bとの一部が重なって電気的コンタクトを形成する。塗布法としては、スクリーン印刷法などを用いることができる。この塗布後、好ましくは所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させる。
そして、半導体基板1を焼成炉内にて最高温度が600〜850℃で数十秒〜数十分程度焼成することによって、第2電極6が半導体基板1の第2面9b側に形成される。裏面出力取出電極6aと裏面集電電極6bはどちらを先に塗布してもよく、また、同時に焼成してもよいし、どちらかを先に塗布・焼成してから、もう一方を塗布・焼成してもよい。
なお、第2電極6は蒸着もしくはスパッタリング等の薄膜形成法、またはめっき法を用いて形成することも可能である。
以上のようにして、本実施形態の導電性ペースト、および太陽電池素子の製造方法によれば、コンタクト抵抗、配線抵抗などの電気的特性の改善した太陽電池素子10を作製できる。
<変形例>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように、本発明の範囲内で多くの修正および変更を加えることができる。
例えば、半導体基板1の第2面9b側にパッシベーション膜を設けてもよい。このパッシベーション膜は、半導体基板1の裏面である第2面9bにおいて、少数キャリアの再結合を低減する役割を有するものである。パッシベーション膜としては、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化チタンまたは酸化アルミニウムなどが使用できる。パッシベーション膜の厚みは、100〜2000Å程度に、PECVD法、熱CVD法、蒸着法またはスパッタリング法などを用いて形成すればよい。そのため、半導体基板1の第2面9b側の構造はPERC(Passivated Emitter and Rear Cell)構造またはPERL(Passivated Emitter Rear Locally-diffused)構造に用いられる第2面9b側の構造を用いることができる。本発明の導電性ペーストは、このような裏面パッシベーション膜上に導電性ペーストを塗布・焼成して電極を形成する工程にも好適に使用できる。
また、表面集電電極5bの長手方向に対して交差する両端部に表面集電電極5bと交差する線状の補助電極5cを形成してもよく、これにより、表面集電電極5bの一部で線切れが生じても、抵抗の上昇を低減し、他の表面集電電極5bを通して表面出力取出電極5aに電流を流すことができるので好適である。
また、第2電極6においても第1電極5と同様に、裏面出力取出電極6aと、裏面出力取出電極6aに対して交差する複数の線状の裏面集電電極6bとを有する形状であってもよく、下地電極層とめっき電極層よって形成されてもよい。
半導体基板1の第1電極5形成位置において、第2半導体部3と同じ導電型であり、第2半導体部3よりも高濃度にドーピングされた領域(選択エミッタ領域)を形成してもよい。この時、選択エミッタ領域は第2半導体部3よりもシート抵抗が低く形成される。選択エミッタ領域のシート抵抗を低く形成することによって、電極とのコンタクト抵抗を低減することができる。選択エミッタ領域の形成方法の例としては、塗布熱拡散法または気相熱拡散法によって第2半導体部3を形成した後、リンガラスが残存する状態で第1電極5の電極形状に合わせて半導体基板1にレーザーを照射することによって、リンガラスから第2半導体部3へリンが再拡散することによって形成することができる。
また、半導体基板としてシリコン基板を用いた例について説明したが、これに限定されずシリコンと化学的性質等が類似する基板を用いることができる。
図5は、さらに他の太陽電池素子10の一例を第2面9b側からみた平面模式図であり、図6は図5のL−L線の一点鎖線で示した領域における構造を模式的に示す断面図である。なお、図6においては簡単のため断面を示すハッチングを省略している。図5および図6に示すように、太陽電池素子10は、半導体基板1の第1面9a側および第2面9b側の両面側略全面に、パッシベーション層が形成されていることを特徴とする。すなわち、n型半導体領域3の上に第1パッシベーション層11とp型半導体領域2上に第2パッシベーション層12が形成されている。第1パッシベーション層11および第2パッシベーション層12は、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition:原子層蒸着)法を用いることによって、半導体基板1の全周囲に同時に形成することができる。つまり、半導体基板1の側面9cにも、上記の酸化アルミニウムなどから成るパッシベーション層が形成される。さらに第1パッシベーション層11の上に反射防止層4が形成される。
ALD法によって、例えば酸化アルミニウムから成るパッシベーション層を形成するには、次の方法による。
まず、成膜室内に上述のシリコン多結晶などから成る半導体基板1を載置して、基板温度を100〜300℃に加熱する。次に、トリメチルアルミニウム等のアルミ原料を、アルゴンガス、窒素ガス等のキャリアガスとともに0.5秒間、半導体基板1上に供給して、半導体基板1の全周囲にアルミ原料を吸着させる(工程1)。
次に、窒素ガスによって成膜室内を1.0秒間パージすることによって、空間中のアルミ原料を除去するとともに、半導体基板1に吸着したアルミ原料のうち、原子層レベルで吸着した成分以外を除去する(工程2)。
次に、水またはオゾンガス等の酸化剤を、成膜室内に4.0秒間供給して、アルミ原料であるトリメチルアルミニウムのアルキル基であるCHを除去するとともに、アルミニウムの未結合手を酸化させ、半導体基板1に酸化アルミニウムの原子層を形成する(工程3)。
次に、窒素ガスによって成膜室内を1.5秒間パージすることによって、空間中の酸化剤を除去するとともに、原子層レベルの酸化アルミニウム以外、例えば、反応に寄与しなかった酸化剤等を除去する(工程4)。
そして、上記成膜工程1から工程4までの工程を複数回繰り返すことによって、所定厚みを有する酸化アルミニウム層を形成することができる。また、工程3で用いる酸化剤に水素を含有させることによって、酸化アルミニウム層に水素が含有されやすくなり、水素パッシベーション効果を増大させることもできる。
このように、第1パッシベーション層11および第2パッシベーション層12の形成において、ALD法を使用することによって、半導体基板1表面の微小な凹凸に応じて酸化アルミニウム層が形成されることから、表面パッシベーション効果を高めることができる。また、反射防止層4をALD法以外のPECVD法またはスパッタリング法を用いることによって、必要とする膜厚を速く形成することができ、生産性を向上させることができる。
次に、表面電極5(第1出力取出電極5a、第1集電電極5b)と裏面電極6(第2出力取出電極6a、第2集電電極6b)とを以下のようにして形成する。
最初に、表面電極5について説明する。表面電極5は、例えば上述のように、銀を主成分として、金属元素Aおよび金属元素Bが添加されている導電成分と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有する導電性ペーストを用いて作製される。この導電性ペーストを、スクリーン印刷法などを用いて半導体基板1の第1面9aの反射防止層4上に塗布し、その後、ピーク温度600〜800℃で数十秒〜数十分程度焼成することによって表面電極5を形成する。
次に、BSF領域14および裏面電極6について説明する。ガラスフリットを含有したアルミニウムペーストを第2パッシベーション層12の上に直接、所定領域に塗布し、最高温度が600〜800℃の高温の熱処理を行なうファイヤースルー法によって、塗布されたペースト成分が第2パッシベーション層12を突き破り、半導体基板1の第2面9b側にBSF領域14が形成され、その上にアルミニウム層が形成される。なお、このアルミニウム層は裏面集電電極6bとして使用することができる。また、形成領域としては、例えば、第2面9bのうち図5に示すような形状に、裏面出力取出電極6aの一部が形成される領域内において形成すればよい。そして、裏面出力取出電極6aの形成においても、上述の銀を主成分として、金属元素Aおよび金属元素Bが添加されている導電成分と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有する導電性ペーストを用いて作製されることが望ましい。
この導電性ペーストを、図5に示すように、3本の直線状に、その一部が裏面集電電極6bと接するように、第2パッシベーション層12上に塗布する。その後、最高温度600〜800℃で数十秒〜数十分程度焼成することによって、裏面出力取出電極6aを形成する。塗布法としては、スクリーン印刷法などを用いることができて、塗布後、所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥してもよい。裏面出力取出電極6aはアルミニウム層と接触することによって、裏面集電電極6bと接続される。
なお、先に銀からなる裏出力取出電極6aを形成して、その後、アルミニウムからなる裏面集電電極6bを形成してもよい。また、裏面出力取出電極6aは半導体基板1と直接接触する必要はなく、第2出力取出電極7aと半導体基板1との間に第2パッシベーション層12が存在しても構わない。
このように半導体基板1の略全面に第1パッシベーション層11および第2パッシベーション層12を形成した場合においても、上述のように、800℃以下での焼成が可能となり、パッシベーション層の効果を低下させることなく、焼成が可能となる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等差し支えない。例えば、上述のバナジウム、ニオブ、タンタル、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウムなどの金属および化合物の少なくとも一方をガラスフリットに含有させた上に、さらに金属および化合物の少なくとも一方をペースト中にも直接添加しても良く、このようにすることによっても、上述した効果を期待することができる。
以下に、実施例について説明する。なお、参照図面は図1乃至5とする。まず、半導体基板1として、平面視して正方形の1辺が約156mm、厚さが約200μmの多結晶シリコン基板を複数枚用意した。これらの多結晶シリコン基板はボロンをドープすることによって、比抵抗1.5Ω・cm程度のp型の導電型を呈するようにした。そして、半導体基板1の表面のダメージ層をNaOH水溶液でエッチング除去して、その後、洗浄を行なった。
このようにして用意した各半導体基板1の第1面9a側に、RIE(Reactive Ion Etching)法を用いてテクスチャ(凹凸)構造を形成した。
次に、POClを拡散源とした気相熱拡散法によって、半導体基板1の側面および第2面9bにリンを拡散させて、シート抵抗が90Ω/□程度となるn型の逆導電型層3を形成した。なお、半導体基板1の側面および第2面9b側に形成された逆導電型層3はフッ硝酸溶液で除去して、その後、第2半導体層3上に残ったリンガラスをフッ酸溶液で除去した。
次に、半導体基板1の全面にはALD法によって酸化アルミニウム層からなる第1パッシベーション層11および第2パッシベーション層12を形成して、第1パッシベーション層11の上に、プラズマCVD法によって窒化シリコン層からなる反射防止層4を形成した。第1パッシベーション層11および第2パッシベーション層12の平均厚みは35nm、反射防止層4の平均厚みは45nmであった。
表面電極5は次のようにして形成した。まず、表1に示した8種類の組成のガラスフリットを準備した。次にこれらのガラスフリットを用いて、銀粉末、ガラスフリットおよび有機ビヒクルを質量比で85:5:10の比率で混合し、8種類の銀ペーストを作製した。その後各々の銀ペーストを、図1に示すような線状パターンにスクリーン印刷法で塗布し、乾燥した。
そして、第2面9b側には、アルミニウムペーストを図5に示すような裏面集電電極6bのパターンで塗布、乾燥した。その後、上述の表面電極5と同様の銀ペーストを、図5に示すような第2出力取出電極7aのパターンに塗布して、乾燥した。その後、半導体基板1の全体をピーク温度が750℃の条件で加熱して、上記乾燥させたペーストを3分間焼成して電極を形成した。
表1において、実施例1ではPbO−SiO系ガラス中に、ガラスフリットの全体質量を100質量%としたときに、ロジウムを0.04質量%、バナジウムを4.7質量%添加したガラスフリットを用いた。
また、実施例2ではPbO−SiO系ガラス中に同様にしてロジウムを0.05質量%添加したガラスフリットを用いた。
また、実施例3ではPbO−SiO系ガラス中に同様にして酸化ロジウムを0.18質量%添加したガラスフリットを用いた。
また、実施例4では、PbO−SiO系ガラス中に同様にして硝酸銀を0.18質量%添加したガラスフリットを用いた。
また、実施例5では、PbO−SiO系ガラス中に同様にしてルテニウムを0.05質量%添加したガラスフリットを用いた。
また、実施例6では、PbO−SiO系ガラス中に同様にして酸化バナジウムを2.4質量%添加したガラスフリットを用いた。
また、実施例7では、PbO−SiO系ガラス中に同様にして酸化バナジウムを4.8質量%添加したガラスフリットを用いた。
さらに、比較例では添加物を添加せずにPbO−SiO系ガラスのみでガラスフリットを構成した。
なお、表1において、ガラスフリットの組成は合計で100質量%ではないが、残部はその他のガラス成分である。
以上のようにして、実施例1〜7および比較例のそれぞれについて太陽電池素子10を20個ずつ作製して、太陽電池素子の電気的特性であるFF値を測定して平均を求めた。これらの結果を表1に示す。なお、表1における初期FF値は、比較例の初期FF値を100として規格化した結果である。また、FF値の測定は、JIS C 8913に基づいて、AM(Air Mass)1.5および100mW/cmの照射の条件下にて測定した。
Figure 2013100084
さらに、実施例1〜7および比較例について、20個ずつ作製した太陽電池素子10を温度125℃、湿度95%の恒温恒湿試験機に投入して、200時間後および350時間後におけるFF値の維持率を測定して平均を求めた。
表1に示すように、実施例2〜5のガラスフリット中にロジウム、酸化ロジウム、硝酸銀、ルテニウムを添加したものは、これらを添加しなかった比較例に比べて大幅にFF値が向上したことを確認した。
また、実施例1、実施例6および実施例7に示すように、ガラスフリット中にバナジウムや酸化バナジウムを添加したものは、これらを添加しなかった比較例に比べて、恒温恒湿試験後のFF値の維持率が大きく向上しており、長期信頼性の向上にバナジウムの添加が有効であることを確認した。特に、実施例1のガラスフリット中にロジウムおよびバナジウムを添加したものは、初期のFF値が向上して、恒温恒湿試験後のFF値の維持率が大きく向上していることを確認した。このように、ロジウムおよびバナジウムの双方をガラスフリット中に添加することがより好適であることを確認した。
これらの結果は、ロジウム,酸化ロジウム,バナジウム,硝酸銀、ルテニウムを添加したことによって、電極のコンタクト抵抗が低減したためと、銀ペーストを焼成する際にファイヤースルーを促進させる触媒作用があったためと考えられる。
なお、上述の実施例はごく一例を示したものであるが、バナジウム以外の第5族元素であるニオブおよびタンタルについても、バナジウムと化学的性質等が類似しており、ロジウム以外の白金族元素についてもロジウムと同様な化学的性質等が類似しているので、本実施例とほぼ同様な結果が得られることが予想される。
1 :半導体基板
2 :第1半導体部
3 :第2半導体部
4 :反射防止層(反射防止膜)
5 :第1電極
5a :表面出力取出電極
5b :表面集電電極
5c :補助電極
6 :第2電極
6a :裏面出力取出電極
6b :裏面集電電極
7 :BSF領域
9a :第1面
9b :第2面
10 :太陽電池素子(太陽電池)

Claims (7)

  1. 銀を主成分とする導電成分と、
    下記元素Aが添加されているガラスフリットとを有する電極用導電性ペースト。
    元素A:バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、銀および金から選択される1種以上。
  2. 前記元素Aは、下記金属A1および下記化合物A2の少なくとも一方の状態で添加されている請求項1に記載の電極用導電性ペースト。
    金属A1:バナジウム、ニオブ、タンタル、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、銀および金から選択される1種以上。
    化合物A2:バナジウム化合物、ニオブ化合物、タンタル化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、ルテニウム化合物、ロジウム化合物、パラジウム化合物、レニウム化合物、オスミウム化合物、イリジウム化合物、白金化合物、硫化銀、フッ化銀、臭化銀、ヨウ化銀、硝酸銀、硫酸銀、酢酸銀および有機銀化合物から選択される1種以上。
  3. 前記元素Aが、バナジウム、ニオブ、タンタル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金から選択される1種以上である請求項1に記載の電極用導電性ペースト。
  4. 前記元素Aが、バナジウムおよびロジウムである請求項1に記載の電極用導電性ペースト。
  5. 半導体基板と、
    該半導体基板の一主面上の第1領域に配置された反射防止膜と、
    前記半導体基板の一主面上の前記第1領域とは異なる領域である第2領域に配置された、請求項1乃至4のいずれかに記載の電極用導電性ペーストを焼成してなる電極とを備えている太陽電池。
  6. 前記電極中にバナジウムおよびロジウムが含有されている請求項5に記載の太陽電池。
  7. 半導体基板と、該半導体基板の一主面上の第1領域に配置された反射防止膜と、前記半導体基板の一主面上の前記第1領域とは異なる領域である第2領域に配置された電極とを備えている太陽電池の製造方法であって、
    前記半導体基板の一主面上に前記反射防止膜を形成する第1工程と、
    請求項1乃至4のいずれかに記載の電極用導電性ペーストを前記反射防止膜上に電極パターンで配置する第2工程と、
    前記電極用導電性ペーストを焼成して該電極用導電性ペーストの下に位置している前記反射防止膜を除去することによって、前記反射防止膜を前記半導体基板の前記第1領域に配置させるとともに、前記半導体基板の前記第2領域に前記電極用導電性ペーストを焼成してなる前記電極を形成する第3工程とを有する太陽電池の製造方法。
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