JPWO2013099376A1 - 体外受精における成熟卵子マーカー及びその使用 - Google Patents
体外受精における成熟卵子マーカー及びその使用 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2013099376A1 JPWO2013099376A1 JP2013551503A JP2013551503A JPWO2013099376A1 JP WO2013099376 A1 JPWO2013099376 A1 JP WO2013099376A1 JP 2013551503 A JP2013551503 A JP 2013551503A JP 2013551503 A JP2013551503 A JP 2013551503A JP WO2013099376 A1 JPWO2013099376 A1 JP WO2013099376A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cnp
- follicular fluid
- egg
- concentration
- collected
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K16/00—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
- C07K16/18—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
- C07K16/26—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against hormones ; against hormone releasing or inhibiting factors
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/68—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
- G01N33/689—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids related to pregnancy or the gonads
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/74—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving hormones or other non-cytokine intercellular protein regulatory factors such as growth factors, including receptors to hormones and growth factors
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2333/00—Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
- G01N2333/435—Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
- G01N2333/575—Hormones
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2333/00—Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
- G01N2333/435—Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
- G01N2333/575—Hormones
- G01N2333/58—Atrial natriuretic factor complex; Atriopeptin; Atrial natriuretic peptide [ANP]; Brain natriuretic peptide [BNP, proBNP]; Cardionatrin; Cardiodilatin
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2800/00—Detection or diagnosis of diseases
- G01N2800/52—Predicting or monitoring the response to treatment, e.g. for selection of therapy based on assay results in personalised medicine; Prognosis
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2800/00—Detection or diagnosis of diseases
- G01N2800/56—Staging of a disease; Further complications associated with the disease
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Immunology (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Hematology (AREA)
- Urology & Nephrology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Endocrinology (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Pathology (AREA)
- Food Science & Technology (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Gynecology & Obstetrics (AREA)
- Pregnancy & Childbirth (AREA)
- Reproductive Health (AREA)
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
被験者から採取した卵子が、体外受精において当該卵子を使用した場合に妊娠成立に至るか否かを予測するための検査方法であって、採卵時に卵子と共に採取された卵胞液中のCNP濃度を測定することを特徴とする方法、並びに抗CNP抗体を含む、体外受精に適した卵子の検査用キット。
Description
本発明は、体外受精に適した胚の選択のための成熟卵子マーカー、並びに該マーカーを指標とした成熟卵子の選別方法及びそのためのキット等に関する。
体外受精は、卵管に問題がある人を対象とする不妊治療として始まり、その後広く応用されてきた。現在では、日本国内における体外受精での出生児が21万人を超え、2008年では出生児の約50人に1人が体外受精により生まれた子供であると学会報告されている。女性の晩婚化に伴い、今後その割合は更に増えていくと考えられる。現在行なわれている方法では、受精後、細胞分裂がある程度進むまで(8細胞期頃まで)培養し、受精卵を子宮に戻して着床させる。採卵時には多数の卵子を採取できることもあるが、日本産科婦人科学会の会告では、多胎を防ぐ意味で子宮に戻す受精卵の数を原則1個に制限している。
体外受精を成功させるための1つの鍵は、どれだけ質の良い成熟卵子が得られるかということである。予め質の良い成熟卵子を判別して受精させたのち子宮に戻すことができれば、体外受精の成功率が高くなり、患者の負担を軽減できる。しかしながら現状では、子宮に移植する胚は、その形状等の外観から医師の経験に基づき選択されており、妊娠成立に至る可能性の高い胚を予め明確に判別する指標は存在しない。
ナトリウム利尿ペプチドは、降圧利尿作用を持つ天然生理活性ペプチドとして発見された一群のペプチドホルモンである。現在までに、ANP、BNP及びCNPと呼ばれる互いに相同性を持つ3種類のペプチドが存在することが知られている。ANP及びBNPはすでに、それぞれ急性心不全治療薬及び心不全診断薬として広く臨床応用されている。
CNPに関しては、ヒト、ブタ、ラットなどにおいて脳で発現していることが報告され、主に中枢神経系で機能すると考えられていた(非特許文献1及び2)。最近では、CNPは中枢神経系内、生殖器官内、骨内及び血管内皮内で発現していることが明らかとなっている(非特許文献3)。しかし、その生理機能については不明な点が多く、医療への応用は進んでいない。
最近、マウス卵胞において、CNP遺伝子が顆粒膜細胞で、その受容体遺伝子が卵丘細胞でそれぞれ発現しており、CNPはin vitroで濃度依存的に卵丘細胞に囲まれた卵母細胞の成熟を阻害し、一方、CNPもしくはその受容体の変異マウスのグラーフ卵胞では、早期に減数分裂が再開することが報告され、顆粒膜細胞により産生されたCNPが卵子成熟の調節に関わっていることが示唆されている(非特許文献4)。
しかしながら、卵胞液中にCNPペプチドが検出可能なレベルで存在するか否かについての報告はなく、ましてや卵胞液中のCNP濃度と妊娠成立の可能性との関係については全く知られていなかった。
しかしながら、卵胞液中にCNPペプチドが検出可能なレベルで存在するか否かについての報告はなく、ましてや卵胞液中のCNP濃度と妊娠成立の可能性との関係については全く知られていなかった。
Biochem. Biophys. Res. Commun., 179(1): 535-542 (1991)
Biochem. Biophys. Res. Commun., 175(3): 759-767 (1991)
Hypertension, 49: 419-426 (2007)
Science, 330: 366-369 (2010)
本発明の目的は、被験者から採取された卵子について、体外受精に使用した場合に妊娠成立に至る可能性が高い成熟卵子であるか否かを判定する手段を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、CNPに着目して解析を行なった。CNPはペプチドホルモンであり、ごく微量で作用すると考えられたため、卵胞液中のCNPを検出するために、極めて高感度のラジオイムノアッセイ(RIA)系を構築し、これを用いて、ヒト卵胞液中の極めて微量のCNPの検出及びその濃度の測定に初めて成功した。その結果、意外にも、1回の採卵の際に得られた各卵胞液中のCNP濃度にはばらつきがあり、卵子を採取できなかった(卵子が未成熟であったことを意味する)卵胞液中のCNP濃度と比較して、卵子を採取できた(卵子が成熟していたことを意味する)卵胞液中のCNP濃度は有意に低値を示した。更に、卵胞液中のCNP濃度が低い卵胞から採取した卵子ほど、体外受精後の胚を子宮に移植したときに妊娠成立に至る可能性が高いことを見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づいて更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明者らは、これらの知見に基づいて更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]被験者から採取した卵子が、体外受精において当該卵子を使用した場合に妊娠成立に至るか否かを予測するための検査方法であって、採卵時に卵子と共に採取された卵胞液中のCNP濃度を測定することを特徴とする方法。
[2]CNP濃度が免疫学的アッセイによって測定される、[1]に記載の方法。
[3]免疫学的アッセイがRIAである、[2]に記載の方法。
[4]被験者がヒトである、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]抗CNP抗体を含む、体外受精に適した卵子の検査用キット。
[6]被験者がヒトである、[5]に記載のキット。
[1]被験者から採取した卵子が、体外受精において当該卵子を使用した場合に妊娠成立に至るか否かを予測するための検査方法であって、採卵時に卵子と共に採取された卵胞液中のCNP濃度を測定することを特徴とする方法。
[2]CNP濃度が免疫学的アッセイによって測定される、[1]に記載の方法。
[3]免疫学的アッセイがRIAである、[2]に記載の方法。
[4]被験者がヒトである、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]抗CNP抗体を含む、体外受精に適した卵子の検査用キット。
[6]被験者がヒトである、[5]に記載のキット。
本発明によれば、卵胞液中のCNP濃度を測定することにより、体外受精において使用した場合に妊娠成立に至る可能性が高い優良な成熟卵子を客観的に判別することができる。
本発明は、体外受精に適した卵子を選別するための検査方法を提供する。当該方法は、採卵時に卵子と共に採取された被験者由来の卵胞液中のCNP濃度を測定することを特徴とする。後述の実施例において示すように、卵胞液中のCNP濃度が低い方が卵胞中での卵子の成熟が進んでおり、しかも、卵胞液中のCNP濃度が低い卵胞から採取した卵子を体外受精に使用した場合に、妊娠が成立しやすい傾向がみられた。従って、本発明はまた、(1)採卵時に卵子と共に採取された被験者由来の卵胞液中のCNP濃度を測定する工程、及び(2)当該CNP濃度に基づき、体外受精において当該卵子を使用した場合に妊娠成立に至るか否かを予測する工程、を含む、体外受精に適した卵子の選別方法を提供する。
卵胞は、卵子とそれを取り囲む卵丘細胞、卵胞壁に沿って重層している顆粒膜細胞、及び顆粒膜細胞から分泌される物質によって満たされている卵胞液から構成されている。CNPは顆粒膜細胞から卵胞液中に分泌され、卵丘細胞上で発現しているCNP受容体と結合することにより、卵丘細胞におけるcGMP産生を促進し、産生されたcGMPはタイトジャンクションを介して卵母細胞(卵子)に移行し、卵子の減数分裂再開を抑制するとの説が提唱されていた(図1、上記非特許文献4参照)。しかしながら、当該文献には、顆粒膜細胞におけるCNP mRNAの発現及び卵丘細胞におけるCNP受容体mRNAの発現と、CNP添加及びCNP欠損が卵子の成熟に及ぼす効果は示されているものの、卵胞液、特にヒト卵胞液中にCNPが実際に(即ち、検出可能なレベルで)存在することは確認されていなかった。CNPはペプチドホルモンの1つであり、生体内で極めて微量で生理活性を発揮すると考えられるため、従来のイムノアッセイ系により卵胞液中のCNPを検出し得るか否か、検出できたとして定量性があるか否かは全く不明であった。さらに、採卵時には複数の卵胞から卵胞液(卵子)を採取するが、仮に卵胞液中のCNPを検出できたとしても、同一個体において、一回の採卵で得られる各卵胞液中のCNP濃度にどれほどのばらつきがあるのかについても全く予測不能であった。
本発明は、例えばPACAPなどの定量に用いられるような、極めて高感度(50%阻害用量(ID50)で数10fmol/ml程度(ヒト卵胞液では1 fmol/mg protein程度)、検出限界で数fmol/ml程度(ヒト卵胞液では0.1 fmol/mg protein程度))のラジオイムノアッセイ(RIA)系を用いることで、卵胞液中の極めて微量のCNPを定量的に測定し得ることを初めて見出し、そして、1回の採卵で得られる各卵胞液中のCNP濃度には、意外にもかなりのばらつきがあり、CNP濃度がより低い方が、採卵が可能な(即ち、卵子の成熟が進んでいる)場合が多く、しかも、採取され、体外受精により受精が成立し、移植可能な段階まで正常に分裂した胚においても、採卵時の卵胞液中のCNP濃度が低いほど、妊娠成立の可能性が高いことを、初めて見出したことに基づくものである。
本発明は、例えばPACAPなどの定量に用いられるような、極めて高感度(50%阻害用量(ID50)で数10fmol/ml程度(ヒト卵胞液では1 fmol/mg protein程度)、検出限界で数fmol/ml程度(ヒト卵胞液では0.1 fmol/mg protein程度))のラジオイムノアッセイ(RIA)系を用いることで、卵胞液中の極めて微量のCNPを定量的に測定し得ることを初めて見出し、そして、1回の採卵で得られる各卵胞液中のCNP濃度には、意外にもかなりのばらつきがあり、CNP濃度がより低い方が、採卵が可能な(即ち、卵子の成熟が進んでいる)場合が多く、しかも、採取され、体外受精により受精が成立し、移植可能な段階まで正常に分裂した胚においても、採卵時の卵胞液中のCNP濃度が低いほど、妊娠成立の可能性が高いことを、初めて見出したことに基づくものである。
本発明において、CNP(C型ナトリウム利尿ペプチド)は、22アミノ酸残基からなる降圧利尿作用を持つ公知の生体内生理活性ペプチド(CNP-22)、及びその前駆体を意味する。NPPC(ナトリウム利尿ペプチド前駆体C)と呼ばれるCNP前駆体は、生体内ではまず126アミノ酸残基からなるプレプロポリペプチドとして産生され、シグナルペプチドの除去によりプロCNPとなり、さらにエンドプロテアーゼであるフューリンによる切断により、活性な53アミノ酸残基からなるペプチド(CNP-53)が生成する。CNP-53が分泌され、更に未知の酵素による切断を受けて、22アミノ酸残基からなる成熟ペプチド(CNP-22)が生成する。
従って、工程(1)におけるCNP濃度とは、生理活性(受容体と相互作用し得る活性)を有し、かつ卵胞液中に存在し得る成熟ペプチド(CNP-22)及びその前駆体全体の濃度として定義される。
従って、工程(1)におけるCNP濃度とは、生理活性(受容体と相互作用し得る活性)を有し、かつ卵胞液中に存在し得る成熟ペプチド(CNP-22)及びその前駆体全体の濃度として定義される。
CNPのアミノ酸配列は、数種の動物において公表されている。例えば、ヒトにおいては、CNPのプレプロポリペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列(GenBank Accession No.NP_077720.1)と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドである。配列番号2に示されるアミノ酸配列において、プロCNPは、アミノ酸番号24〜126であり、CNP-53は、アミノ酸番号74〜126である。CNP-22は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と同一又は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドであり、6位のCysと22位のCysとの間のジスルフィド結合により環状ドメインを形成している。
配列番号1または2に示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とは、ヒト以外の哺乳動物における成熟CNPまたはそのプレプロポリペプチドのオルソログの各アミノ酸配列や、ヒトまたは他の哺乳動物において見出されるそれらの天然のアレル変異体(多型)の各アミノ酸配列を意味する。ヒト以外の哺乳動物のCNPオルソログや、天然に見出されている変異体については、当該技術分野で周知の公共のデータベース(例えば、HomoloGene (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/HomoloGene/) やUniProtKB/Swiss-Protデータベース等)からその配列情報を取得することができる。
本発明における被験者は、妊娠可能な哺乳動物であれば特に限定されない。哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなどのげっ歯類及びウサギなどの実験動物、イヌ及びネコなどのペット、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマ及びヒツジなどの家畜、サル、オランウータン及びチンパンジーなどの霊長類並びにヒトなどが挙げられ、特にヒトが好ましい。
工程(1)においてCNP濃度測定に供される卵胞液は、定法により、採卵時に卵子と共に被験者から採取することができる。例えば、ヒトにおいては以下の手順で卵胞液を採取することができる。まず被験者に性腺刺激ホルモンhMGを注射することにより、卵胞を発育させる。超音波モニターなどにより卵巣の発育状態を観察し、卵胞の直径が17mm以上まで発育した段階で、hMG注射からhCG排卵刺激剤の注射に切り替え、その36時間後に採卵する。採卵は、開腹によるもの、腹腔鏡を用いるもの、超音波採卵などのいずれであってもよいが、通常侵襲性の少ない超音波採卵が行なわれる。超音波採卵は、針の挿入方法の違いにより、腹壁プローブを用いた経膀胱的採卵法、腹壁プローブ又は経膣プローブを用いた経膣採卵法、腹壁プローブを用いた経尿道採卵法に分類され、そのいずれを用いてもよい。
採取された卵胞液は、卵子を分取した後、そのままCNP濃度測定に供することができる。また遠心分離(例えば、3,500 rpm、30分間)により血球細胞等を除去した後の上清液を使用してもよい。
卵胞液中のCNP濃度の測定は、卵胞液中に存在し得るCNPの濃度を定量的に測定し得る検出感度を有する測定系であれば、いかなる方法であってもよい。卵胞液中には、通常100 fmol/mlのオーダーでCNPが含まれているので、少なくとも検出限界が100 fmol/ml以下の測定系であることが好ましく、望ましくは検出限界で数10(10-50)fmol/ml以下、50%阻害用量(ID50)で数100(100-500)fmol/ml以下の測定系が挙げられる。或いは、卵胞液中には、通常1 fmol/mg proteinのオーダーでCNPが含まれているので、少なくとも検出限界が1 fmol/mg protein以下の測定系であることが好ましく、望ましくは検出限界で0.2 fmol/mg protein以下、50%阻害用量(ID50)で2 fmol/mg protein以下の測定系が挙げられる。例えば、CNPを認識する抗体(抗CNP抗体)を使用する各種免疫学的アッセイにより行なうことができる。測定法としては、卵胞液中のCNPの量に対応した抗体又は抗体−抗原複合体の量を化学的又は物理的手段により検出し、その結果から、既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線を用いてCNP濃度を算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。免疫学的アッセイとしては、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫測定法(EIA法)、蛍光免疫測定法(FIA)、イムノクロマトグラフィー法、ウェスタンブロット法等が挙げられ、これらの分析方法は当業者に周知である。これらの中でも、卵胞液中のCNP濃度は極めて低いことから、検出感度が極めて高い測定系であるRIAを用いることが好ましい。
抗CNP抗体は、自体公知の方法により調製することができる。例えば、CNPを発現する試料(例えば、細胞、組織等)から単離・精製した後、CNP又はその部分ペプチドを抗原として動物を免疫することにより調製することができる。抗原として使用されるCNP又はその部分ペプチドは、化学的に、又は無細胞蛋白質合成系を用いて生化学的に合成してもよいし、CNP又はその部分ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸が導入された形質転換細胞から産生させてもよい。
抗CNP抗体は、被験者由来の卵胞中のCNPを特異的に認識し得る限り、いかなる生物種由来のCNPに対する抗体であってもよいが、特異性の観点から被験者と同じ生物種由来のCNPに対する抗体(例えば、被験者がヒトである場合には、抗ヒトCNP抗体)であることが好ましい。
抗CNP抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれであってもよく、周知の免疫学的手法により作製することができる。また、該抗体は完全抗体分子だけでなくそのフラグメントをも包含し、例えば、Fab、F(ab')2、ScFv、ミニボディ等が挙げられる。
ポリクローナル抗体は、例えば、CNP又はその部分ペプチド(必要に応じて、ウシ血清アルブミン、KLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)等のキャリアータンパク質に架橋した複合体とすることもできる)を抗原として、市販のアジュバントとともに、動物の皮下又は腹腔内に2〜3週間おきに2〜4回程度投与し(部分採血した血清の抗体価を公知の抗原抗体反応により測定し、その上昇を確認しておく)、最終免疫から約3〜約10日後に全血を採取して抗血清を精製することにより取得できる。抗原を投与する動物としては、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ハムスターなどの哺乳動物が挙げられる。
また、モノクローナル抗体は、細胞融合法(例えば、渡邊武、細胞融合法の原理とモノクローナル抗体の作成、谷内昭、高橋利忠編、「モノクローナル抗体とがん−基礎と臨床−」、第2-14頁、サイエンスフォーラム出版、1985年)により作成することができる。例えば、CNP又はその部分ペプチドを市販のアジュバントと共にマウスに2〜4回皮下又は腹腔内に投与し、最終投与の約3日後に脾臓又はリンパ節を採取し、リンパ球を採取する。このリンパ球と骨髄腫細胞(例えば、NS-1, P3X63Ag8など)を細胞融合してCNPに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得る。細胞融合はPEG法[J. Immunol. Methods, 81(2): 223-228 (1985)]でも電圧パルス法[Hybridoma, 7(6): 627-633 (1988)]であってもよい。所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、周知のEIA又はRIA法等を用いて抗原と特異的に結合する抗体を、培養上清中から検出することにより選択できる。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養は、インビトロ、又はマウス若しくはラット、好ましくはマウス腹水中等のインビボで行うことができ、抗体はそれぞれハイブリドーマの培養上清及び動物の腹水から取得することができる。
前記抗体は、直接的又は間接的に標識物質により標識されていてもよい。標識物質としては、蛍光物質(例、FITC、ローダミン)、放射性物質(例、125I、131I、3H)、酵素(例、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ)、着色粒子(例、金属コロイド粒子、着色ラテックス)、ビオチンなどが挙げられる。
前記抗体は、他に何も結合していない可溶性の状態で用いることも可能であるが、固相に結合していてもよい。「固相」としては、プレート(例、マイクロウェルプレート)、チューブ、ビーズ(例、プラスチックビーズ、磁気ビーズ)、クロマトグラフィー用担体(例、ニトロセルロースメンブレンなどの吸水性基材、Sepharose)、メンブレン(例、ニトロセルロースメンブレン、PVDF膜)、ゲル(例、ポリアクリルアミドゲル)、金属膜(例、金膜)などが挙げられる。上記結合としては、共有結合、イオン結合、物理的吸着などが挙げられ、特に限定されないが、共有結合及び/又は物理的吸着が十分な結合強度を得られるため好ましい。また固相への結合は、固相に直接結合してもよいし、自体公知の物質を利用して間接的に固相に結合していてもよい。
上記免疫学的アッセイを本発明に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えてCNP濃度測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。
例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70 (Immunochemical Techniques (Part A))、同書 Vol. 73 (Immunochemical Techniques (Part B))、同書 Vol. 74 (Immunochemical Techniques (Part C))、同書 Vol. 84 (Immunochemical Techniques (Part D: Selected Immunoassays))、同書 Vol. 92 (Immunochemical Techniques (Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、同書 Vol. 121 (Immunochemical Techniques (Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies)) (以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70 (Immunochemical Techniques (Part A))、同書 Vol. 73 (Immunochemical Techniques (Part B))、同書 Vol. 74 (Immunochemical Techniques (Part C))、同書 Vol. 84 (Immunochemical Techniques (Part D: Selected Immunoassays))、同書 Vol. 92 (Immunochemical Techniques (Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、同書 Vol. 121 (Immunochemical Techniques (Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies)) (以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
或いは、卵胞液中のCNP濃度の測定は、卵胞液を各種の分子量測定法、例えば、ゲル電気泳動(例、SDS−PAGEなど)、各種の分離精製法(例、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなど)、及び質量分析計(例、二重収束質量分析計、四重極型分析計、飛行時間型質量分析計(TOF MS)、フーリエ変換質量分析計、イオンサイクロトロン質量分析計など)による測定、並びにそれらを組み合わせる方法などに供し、CNPの分子量と一致するバンド、スポット、又はピークを検出及び定量することにより行うこともできるが、これらに限定されない。
工程(2)において、工程(1)で測定された卵胞液中のCNP濃度に基づき、当該卵胞液と共に採取された卵子を体外受精において使用した場合に妊娠成立に至るか否かを予測する。当該判定は、CNP濃度と妊娠成立に至る可能性との間の負の相関に基づき行われる。
例えば、同一の被験者から複数の卵胞液試料を採取し、それらのCNP濃度を測定し、より低い値を示した卵胞液と共に採取された卵子を、妊娠成立に至る可能性が高いと判定することができる。
或いは、あらかじめCNP濃度の基準値を設定しておき、測定されたCNP濃度とこの基準値とを比較することによって、判定を行なうこともできる。測定されたCNP濃度が基準値以下である場合には、妊娠成立に至る可能性が高いと判定することができる。例えば、CNP濃度と妊娠成立に至ったか否かの関係を調べ、その濃度以下であれば妊娠成立の可能性が統計学上有意に高くなる濃度を基準値として設定することができ、例えば、0.5 fmol/mg protein以下を基準値として設定することができる。尚、卵丘細胞表面のCNP濃度環境を表現するという意味では単位容積あたりのモル数で表現することが好ましいともいえるが、卵胞液採取の際の操作の制約上、卵胞液が希釈されるおそれがあり、測定値がばらつき、サンプルによっては卵胞液中のCNP濃度を正確に評価していない危険性が生じるため、単位タンパク質あたりのモル数で表現することで、採卵操作による誤差が測定結果に反映されるのを防ぐことができる。
本発明の選別方法は、質の良い成熟卵子を判別するための他の基準による方法と併用してもよい。他の基準としては、従来用いられてきた基準、例えば、卵子の外観(例、形状、大きさなど)などが挙げられる。通常、顕微鏡下で観察した場合に、より真球形に近い卵子が体外受精に適しており、そのような卵子と共に採取された複数の卵胞液について、本発明の選別方法を適用して更に選抜を行なうこともできる。
上記のようにして選別された卵子は、採卵後、卵胞液から分離して直ちに37℃のインキュベータ中で培養した後、別途調製された精子との体外受精に供される。体外受精の方法は、従来使用されているいかなる方法によっても行うことができる。運動精子数が少ないなど精子側に問題がある場合は、顕微注入により受精させることが好ましい。実体顕微鏡または倒立位相差顕微鏡下で前核形成を観察して受精を判定する。受精後3−5日間培養し、8細胞期胚から拡張胞胚にまで発生を進め、顕微鏡観察により良好な形態を示す胚を選別して、常法により子宮に移植する。卵胞液中のCNP濃度が低く、上記選別方法により選別された卵子から複数の良好な胚が得られた場合は、他の判定基準から最も好ましいと判断される胚を移植し、余剰胚は凍結保存しておくことが望ましい。
本発明の選別方法によれば、体外受精において使用した場合に妊娠成立に至る可能性の高い成熟卵子を予め客観的に判別することができるため、体外受精の成功率の向上及び患者負担の軽減につながる点で有用である。
本発明はまた、抗CNP抗体を含む、体外受精に適した卵子の検査用キットを提供する。抗CNP抗体は、被験者由来の卵胞液中のCNP濃度を測定するための抗体であり、上記本発明の検査方法に関して記載した抗体である。被験者は、妊娠可能な哺乳動物であれば特に限定されず、上記本発明の検査方法に関して記載した生物種が挙げられるが、好ましくはヒトである。
該キットは、上記本発明の検査方法を実施するのに好ましい他の構成要素、例えば、反応用緩衝液、洗浄液、固相担体、標識剤、CNP標品などを更に含んでいてもよい。CNP濃度の測定にRIAを用いる場合、放射性同位元素(例えば放射性ヨウ素)で標識したCNPを含んでいてもよい。
本発明の検査用キットは、体外受精において使用した場合に妊娠成立に至る可能性の高い成熟卵子の客観的な判別を簡便に行なう手段の提供を可能にするため有用である。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
材料及び方法
採卵
インフォームドコンセントが得られた5名の不妊患者(33〜40歳)を被験者とした。被験者にhMG(HMGフジセイヤク、富士製薬、150〜300単位、7〜10日間)を注射して、卵胞を人工的に発育させ、超音波モニターで卵巣の発育状態を観察した。首席卵胞径が17mm以上になるまで発育させた後、hCG排卵刺激剤(ゴナトロピン、あすか製薬、5000〜10000単位)に切り替えた。切り替えから36時間後に定法により採卵を行なった。
体外受精及び胚移植
採卵した卵子を試験管内で受精させた。採取した卵胞液より卵子を回収し、培養ディッシュ内の培養液(Complete HTF、Irvine Scientific、0.5mL)へ移した。3〜4時間の前培養のあと、卵子に向けて運動精子を媒精し、受精させた。
受精卵を2〜3日間シャーレで培養した(37.0℃、O2 5%, CO2 5%)。受精した優良な卵子は3日間の培養で細胞分裂を重ねて8細胞にまで分裂する。この段階の細胞を母体の子宮に戻した。
ラジオイムノアッセイ(RIA)
合成CNP-22を標準品として、RIAバッファー(後述)により希釈して、希釈系列を作製して用いた。抗体は、BSA-conjugated CNP-22を家兎に免疫して作製したものを、希釈して用いた。検体および標準品をそれぞれRIAバッファー(50mMリン酸緩衝液pH7.4、0.25% BSA、0.1% Triton X-100、80mM NaCl、25mM EDTA、2% Dextran T-40)100μlに溶解し、希釈した抗体溶液100μl、ヨウ素125標識CNP 100μl(17,000cpm)を加えて24時間インキュベートしたのちB/F分離した。結合した放射性ヨウ素をガンマーカウンターにより計測し、RIA測定用ソフトウェア(アロカRIA Pro ver3)により検体中のCNP濃度を求めた。
採卵
インフォームドコンセントが得られた5名の不妊患者(33〜40歳)を被験者とした。被験者にhMG(HMGフジセイヤク、富士製薬、150〜300単位、7〜10日間)を注射して、卵胞を人工的に発育させ、超音波モニターで卵巣の発育状態を観察した。首席卵胞径が17mm以上になるまで発育させた後、hCG排卵刺激剤(ゴナトロピン、あすか製薬、5000〜10000単位)に切り替えた。切り替えから36時間後に定法により採卵を行なった。
体外受精及び胚移植
採卵した卵子を試験管内で受精させた。採取した卵胞液より卵子を回収し、培養ディッシュ内の培養液(Complete HTF、Irvine Scientific、0.5mL)へ移した。3〜4時間の前培養のあと、卵子に向けて運動精子を媒精し、受精させた。
受精卵を2〜3日間シャーレで培養した(37.0℃、O2 5%, CO2 5%)。受精した優良な卵子は3日間の培養で細胞分裂を重ねて8細胞にまで分裂する。この段階の細胞を母体の子宮に戻した。
ラジオイムノアッセイ(RIA)
合成CNP-22を標準品として、RIAバッファー(後述)により希釈して、希釈系列を作製して用いた。抗体は、BSA-conjugated CNP-22を家兎に免疫して作製したものを、希釈して用いた。検体および標準品をそれぞれRIAバッファー(50mMリン酸緩衝液pH7.4、0.25% BSA、0.1% Triton X-100、80mM NaCl、25mM EDTA、2% Dextran T-40)100μlに溶解し、希釈した抗体溶液100μl、ヨウ素125標識CNP 100μl(17,000cpm)を加えて24時間インキュベートしたのちB/F分離した。結合した放射性ヨウ素をガンマーカウンターにより計測し、RIA測定用ソフトウェア(アロカRIA Pro ver3)により検体中のCNP濃度を求めた。
実施例1
RIAによるヒト卵胞液中のCNP濃度の定量
従来、CNPは卵巣顆粒膜細胞で産生され、卵胞液中に分泌されると考えられていたが(図1)、実際に卵胞液中にCNPが存在するか否かは不明であった。そこで、採卵時に採取したヒト卵胞液について、高感度のRIAによりCNPの検出及びその濃度の測定を行なった。結果を図2に示す。このRIA系は、ID50=2 fmol/mg proteinと極めて高感度の測定系である。各卵胞から得られた3検体の卵胞液の2倍希釈液、4倍希釈液、及び8倍希釈液を用いて測定すると、それぞれ標準曲線と並行した希釈曲線が得られた。この結果から、これらのヒト卵胞液中のCNP濃度は、0.5 fmol/mg protein〜4 fmol/mg protein程度と計算された。これは、ヒト卵胞液中にCNPが存在することを示した初めての結果である。このように、ヒト卵胞液中には極めて微量ではあるが、CNPが分泌されていることが明らかとなった。
RIAによるヒト卵胞液中のCNP濃度の定量
従来、CNPは卵巣顆粒膜細胞で産生され、卵胞液中に分泌されると考えられていたが(図1)、実際に卵胞液中にCNPが存在するか否かは不明であった。そこで、採卵時に採取したヒト卵胞液について、高感度のRIAによりCNPの検出及びその濃度の測定を行なった。結果を図2に示す。このRIA系は、ID50=2 fmol/mg proteinと極めて高感度の測定系である。各卵胞から得られた3検体の卵胞液の2倍希釈液、4倍希釈液、及び8倍希釈液を用いて測定すると、それぞれ標準曲線と並行した希釈曲線が得られた。この結果から、これらのヒト卵胞液中のCNP濃度は、0.5 fmol/mg protein〜4 fmol/mg protein程度と計算された。これは、ヒト卵胞液中にCNPが存在することを示した初めての結果である。このように、ヒト卵胞液中には極めて微量ではあるが、CNPが分泌されていることが明らかとなった。
実施例2
ヒト卵胞液中のCNP濃度による成熟卵子の判別
ヒト卵胞液中のCNP濃度の測定が可能となったことから、ヒト卵胞液中のCNP濃度と卵子の成熟度との関連を調べた。採卵の際に、成熟した卵子は採卵できるが、未成熟な卵子は卵胞壁に強く接着しているために採卵できない。従って、卵子を採取できた卵胞液は成熟した卵子に関連しており、卵子を採取できなかった卵胞液は未成熟な卵子に関連している。
1人の被験者から1回の体外受精治療の際に採取した4〜22検体の卵胞液中のCNP濃度を高感度RIAにより測定した結果を図3に示す。尚、採卵操作の際に卵胞液が希釈されるおそれがあるため、CNP濃度はタンパク質量(mg)あたりのモル数として表した。卵子を採取できなかった卵胞液中のCNP濃度と比較して、卵子を採取できた卵胞液中のCNP濃度の方が有意に低い値を示した。この結果は、卵胞液中のCNP濃度を測定することで、卵子の成熟度を判別できることを示している。
ヒト卵胞液中のCNP濃度による成熟卵子の判別
ヒト卵胞液中のCNP濃度の測定が可能となったことから、ヒト卵胞液中のCNP濃度と卵子の成熟度との関連を調べた。採卵の際に、成熟した卵子は採卵できるが、未成熟な卵子は卵胞壁に強く接着しているために採卵できない。従って、卵子を採取できた卵胞液は成熟した卵子に関連しており、卵子を採取できなかった卵胞液は未成熟な卵子に関連している。
1人の被験者から1回の体外受精治療の際に採取した4〜22検体の卵胞液中のCNP濃度を高感度RIAにより測定した結果を図3に示す。尚、採卵操作の際に卵胞液が希釈されるおそれがあるため、CNP濃度はタンパク質量(mg)あたりのモル数として表した。卵子を採取できなかった卵胞液中のCNP濃度と比較して、卵子を採取できた卵胞液中のCNP濃度の方が有意に低い値を示した。この結果は、卵胞液中のCNP濃度を測定することで、卵子の成熟度を判別できることを示している。
実施例3
ヒト卵胞液中のCNP濃度と妊娠成立との相関
本実施例では、ヒト卵胞液中のCNP濃度と妊娠成立との相関について検討した。採取した卵子を試験管内で受精させた後、受精卵を3日間培養し、8細胞にまで分裂させた。この段階の細胞を母体の子宮に戻し、妊娠が成立するか否かを観察した(図4上パネル)。
図4下パネルには、受精卵調製に使用した卵子と共に採取した卵胞液(7検体)中のCNP濃度を示す。妊娠が成立したケースの卵子と共に採取した卵胞液中のCNP濃度を黒(妊娠例)で示す。この卵胞液中のCNP濃度は0.5 fmol/mg proteinであり、他の6検体の値よりも低い値を示した。このことは、妊娠成立に至るか否かの判定に、卵胞液中のCNP濃度の測定が有用であることを示唆している。
現在、日本産婦人科学会では、母体子宮に戻す受精卵の数を1つだけとすることを強く推奨している。これは、数多くの受精卵を同時に子宮に戻すと多胎妊娠を招きやすく、母体へのリスクが高くなると考えられるためである。このような背景から、8細胞期の受精卵を子宮に戻す際に、どの受精卵を戻したら良い結果が得られるかの判断基準が求められている。本実施例は、卵胞液中のCNP濃度の高低がその基準となり得ることを示している。
ヒト卵胞液中のCNP濃度と妊娠成立との相関
本実施例では、ヒト卵胞液中のCNP濃度と妊娠成立との相関について検討した。採取した卵子を試験管内で受精させた後、受精卵を3日間培養し、8細胞にまで分裂させた。この段階の細胞を母体の子宮に戻し、妊娠が成立するか否かを観察した(図4上パネル)。
図4下パネルには、受精卵調製に使用した卵子と共に採取した卵胞液(7検体)中のCNP濃度を示す。妊娠が成立したケースの卵子と共に採取した卵胞液中のCNP濃度を黒(妊娠例)で示す。この卵胞液中のCNP濃度は0.5 fmol/mg proteinであり、他の6検体の値よりも低い値を示した。このことは、妊娠成立に至るか否かの判定に、卵胞液中のCNP濃度の測定が有用であることを示唆している。
現在、日本産婦人科学会では、母体子宮に戻す受精卵の数を1つだけとすることを強く推奨している。これは、数多くの受精卵を同時に子宮に戻すと多胎妊娠を招きやすく、母体へのリスクが高くなると考えられるためである。このような背景から、8細胞期の受精卵を子宮に戻す際に、どの受精卵を戻したら良い結果が得られるかの判断基準が求められている。本実施例は、卵胞液中のCNP濃度の高低がその基準となり得ることを示している。
本発明により、体外受精において使用した場合に妊娠成立に至る可能性が高い優良な成熟卵子の判別が可能となり、不妊治療の成功率を格段に高めることができる。そのため母体への負担が軽減されると共に、医療経済上の効率を高めることができる。
本出願は、日本で出願された特願2011-284430(出願日:2011年12月26日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。
Claims (6)
- 被験者から採取した卵子が、体外受精において当該卵子を使用した場合に妊娠成立に至るか否かを予測するための検査方法であって、採卵時に卵子と共に採取された卵胞液中のCNP濃度を測定することを特徴とする方法。
- CNP濃度が免疫学的アッセイによって測定される、請求項1に記載の方法。
- 免疫学的アッセイがRIAである、請求項2に記載の方法。
- 被験者がヒトである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 抗CNP抗体を含む、体外受精に適した卵子の検査用キット。
- 被験者がヒトである、請求項5に記載のキット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013551503A JPWO2013099376A1 (ja) | 2011-12-26 | 2012-09-25 | 体外受精における成熟卵子マーカー及びその使用 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011284430 | 2011-12-26 | ||
JP2011284430 | 2011-12-26 | ||
JP2013551503A JPWO2013099376A1 (ja) | 2011-12-26 | 2012-09-25 | 体外受精における成熟卵子マーカー及びその使用 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2013099376A1 true JPWO2013099376A1 (ja) | 2015-04-30 |
Family
ID=48696882
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013551503A Pending JPWO2013099376A1 (ja) | 2011-12-26 | 2012-09-25 | 体外受精における成熟卵子マーカー及びその使用 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPWO2013099376A1 (ja) |
WO (1) | WO2013099376A1 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015016036A1 (ja) * | 2013-07-29 | 2015-02-05 | 国立大学法人福井大学 | 卵子の受精可能性の検査のためのバイオマーカーおよびそれを用いた判定 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DK0703454T3 (da) * | 1994-09-23 | 2002-04-02 | Unilever Nv | Fremgangsmåder til overvågning og indretninger til anvendelse derved |
CN101809029B (zh) * | 2008-05-23 | 2016-06-15 | 第一三共株式会社 | 具有延长目标肽的血浆半衰期作用的肽 |
JP5308452B2 (ja) * | 2008-11-28 | 2013-10-09 | 株式会社日立製作所 | 妊娠支援方法、システム及びキット |
-
2012
- 2012-09-25 WO PCT/JP2012/074486 patent/WO2013099376A1/ja active Application Filing
- 2012-09-25 JP JP2013551503A patent/JPWO2013099376A1/ja active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2013099376A1 (ja) | 2013-07-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN104374919B (zh) | 糖蛋白的测定方法、试剂及糖链标记物 | |
JP5679818B2 (ja) | 早期妊娠診断のための組成物および方法 | |
CN102203609B (zh) | 用于输血相关急性肺损伤(trali)的筛选方法 | |
EP2754672B1 (en) | Antibody capable of binding to specific region of periostin, and method of measuring periostin using the same | |
EA016348B1 (ru) | Способ определения способности к имплантации эмбрионов и способ искусственного оплодотворения | |
US7256001B2 (en) | Reagent for determining laminin 5 antigen in biological sample and assay method | |
CA2563656C (en) | Enriched pag-55 fraction and methods for early detection of pregnancy in ungulate animals | |
CA2259302A1 (en) | Nephropathy-related immunoglobulin g and immune complexes thereof | |
WO2013099376A1 (ja) | 体外受精における成熟卵子マーカー及びその使用 | |
RU2210074C2 (ru) | Иммунологический анализ человеческого медуллазина и диагностика рассеянного склероза с его помощью | |
JP6751104B2 (ja) | 哺乳動物における着床用の体外受精胚を選択するためのバイオマーカーとしての可溶性cd146の使用 | |
US20190369095A1 (en) | Novel antibody for determination of adamts-13 activity | |
WO2022149410A1 (ja) | 妊孕性を判定するためのバイオマーカー及びそれを用いた判定方法 | |
JP2023138363A (ja) | 妊孕性を判定するためのバイオマーカー及びそれを用いた判定方法 | |
TWI702400B (zh) | 偵側卵巢癌之方法、監控卵巢癌病患之卵巢癌發展之方法及可辨識切割型c3多胜肽之試劑的用途 | |
RU2604192C1 (ru) | Штамм гибридных культивируемых клеток животных mus musculus l. en-4e4 - продуцент моноклональных антител против эндоглина (cd105) человека | |
RU2607029C1 (ru) | ШТАММ ГИБРИДНЫХ КУЛЬТИВИРУЕМЫХ КЛЕТОК ЖИВОТНЫХ Mus musculus L. - EN-4C9 - ПРОДУЦЕНТ МОНОКЛОНАЛЬНЫХ АНТИТЕЛ ПРОТИВ ЭНДОГЛИНА (CD105) ЧЕЛОВЕКА | |
CN116745623A (zh) | 用于判定妊孕性的生物标记物及使用其的判定方法 | |
KR101429225B1 (ko) | 한우의 수정적기 측정용 조성물, 키트 및 이를 이용한 한우 수정적기의 측정방법 | |
US20040260070A1 (en) | Method and apparatus for detecting conception in animals | |
JP2008503718A (ja) | 良性前立腺過形成のマーカーとしてのjm−27 |