JPWO2013080251A1 - 放射線検出器 - Google Patents

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Abstract

この発明の放射線検出器(FPD)によれば、絶縁補助板6はアクティブマトリックス基板1と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成され、アクティブマトリックス基板1と絶縁補助板6との間に各層(半導体層2,共通電極3,絶縁樹脂層5および絶縁合成樹脂カバー7)が挟み込まれるので、温度変化によるFPDの反り、これらの層の亀裂を防止することができる。また、絶縁合成樹脂カバー7は絶縁樹脂層5と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成されているので、温度変化による応力が発生しにくく、絶縁樹脂層5に内部応力が蓄積しにくい。絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを接合材8によって接合させれば、新たに設けた絶縁合成樹脂カバー7によってFPDの構造を実現することができる。その結果、環境が変わっても長寿命なFPDを実現することができる。

Description

この発明は、放射線の入射により電荷を生成して読み出すことにより放射線を検出する放射線検出器に係り、医療分野,工業分野,さらには、原子力分野などに用いられる放射線検出器に関する。
従来、この種の放射線(例えばX線)検出器には、放射線(例えばX線)の入射により光を一旦生成して、その光から電荷を生成することで、放射線から電荷に間接的に変換して放射線を検出する「間接変換型」の検出器と、放射線の入射により電荷を生成することで、放射線から電荷に直接的に変換して放射線を検出する「直接変換型」の検出器とがある。なお、放射線感応型の半導体が電荷を生成する。
直接変換型の放射線検出器は、図8に示すように、アクティブマトリックス基板51と、放射線の入射により電荷を生成する放射線感応型の半導体52と、バイアス電圧印加用の共通電極53とを備えている。アクティブマトリックス基板51は、放射線の入射面側に複数の収集電極(図示省略)を形成し、各収集電極で収集される電荷の蓄積・読み出し用電気回路(図示省略)を配設して構成されている。各収集電極については放射線検出有効エリアSA内で2次元状マトリックス配列で設定している。
このアクティブマトリックス基板51の収集電極の入射面側に半導体52を積層し、その半導体52の入射側に共通電極53を面状に形成して積層している。そして、共通電極53の入射面にバイアス電圧給電用のリード線54を接続している。
放射線検出器によって放射線を検出する際には、バイアス供給電源(図示省略)からバイアス電圧を、バイアス電圧給電用のリード線54を介してバイアス電圧印加用の共通電極53に印加する。バイアス電圧を印加した状態で、放射線の入射に伴って放射線感応型の半導体52で電荷を生成する。この生成された電荷を収集電極で一旦収集する。コンデンサやスイッチング素子および電気配線等からなる蓄積・読み出し用電気回路によって、収集された電荷を各収集電極毎の放射線検出信号として取り出す。
2次元状マトリックス配列の各収集電極は、放射線画像の各画素に対応する電極(画素電極)にそれぞれ対応している。放射線検出信号を取り出すことで、放射線検出有効エリアSAに投影される放射線の2次元強度分布に応じた放射線画像を作成することができる。
図8に示す放射線検出器では、特にアモルファスセレンのようなアモルファス(非晶質)半導体厚膜を放射線感応型の半導体層として用いる場合、アモルファス半導体は真空蒸着等の方法によって厚くて広い膜を容易に形成することができる。したがって、アモルファス半導体は、大面積厚膜が必要な2次元アレイ型放射線検出器を構成するのに適している。
しかし、図8に示す従来の放射線検出器の場合には、高電圧のバイアス電圧を印加して使用するので、沿面放電の問題が発生する。そこで、図9に示すように、沿面放電を抑えるために半導体52および共通電極53の露出面上の表面全体を、例えばシリコーン樹脂からなる高耐圧の絶縁樹脂層55で覆った構造が本発明者等から提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この構造では、温度変化により放射線検出器に反りが生じ、絶縁樹脂層55,半導体52,共通電極53に亀裂が入る。また、キャリア選択性の高抵抗薄膜からなる中間層が半導体52の入射面あるいは当該入射面とは逆側の面に形成されている場合には、当該中間層にも亀裂が入る。これらの層に亀裂が入ることにより、沿面放電耐圧が不十分となる。
そこで、反り対策のために、図10に示すように、例えばエポキシ樹脂などに代表される高耐圧の硬化性合成樹脂からなる絶縁樹脂層55の上側(入射側)に、アクティブマトリックス基板51と同程度の熱膨張係数を持つ絶縁補助板56で覆って、アクティブマトリックス基板51と絶縁補助板56とで絶縁樹脂層55を挟み込む構造が本発明者等から提案されている(例えば、特許文献2参照)。ただ、この構造の場合には、放射線検出有効エリアSAを含めて絶縁樹脂層55が厚く形成されているので、絶縁樹脂層55により放射線が減衰するという問題が生じる。
そこで、図11に示すように、放射線検出有効エリアSAでの絶縁樹脂層55の厚みが、放射線検出有効エリアSA外にある周辺領域での絶縁樹脂層55の厚みよりも薄く形成された構造も本発明者等から提案されている(例えば、特許文献3参照)。この構造の場合には、放射線検出有効エリアSAでは絶縁樹脂層55が薄く形成されているので、絶縁樹脂層55による放射線の減衰を極力抑えることができる。
特開2002−9268号公報 特開2002−311144号公報 特開2005−286183号公報
しかしながら、放射線検出器の製造場の温度環境は通常20℃〜25℃であるが、使用環境がこの温度範囲と同じであるとは限らないという問題点がある。ましてや、放置・運搬環境は、さらにかけ離れた温度になる可能性がある。製造時の温度と異なる温度環境に長時間晒されると、反り対策を講じた図10(特許文献2)や図11(特許文献3)を使用したときでも、各膜に亀裂やピンホール等の膜破壊が発生して検出器の性能が劣化していくことが近年判明した。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、環境が変わっても長寿命な放射線検出器を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
すなわち、放射線検出器を長時間使用していると欠損画素が増える傾向があることが判明した。ここで欠損画素とは、出力される放射線画像の通常の画素値と比べて極端に値が大きいあるいは小さい画素のことを示す。欠損画素が生じる原因としては、絶縁樹脂層内の内部応力が考えられる。図10(特許文献2)や図11(特許文献3)の放射線検出器を使用した場合に反りが発生しないことは認識されていたが、これらの放射線検出器を長時間使用した場合に絶縁樹脂層内に内部応力が蓄積することについては認識されていなかった。
近年、図10(特許文献2)や図11(特許文献3)の放射線検出器を長時間使用した場合に、反りが発生しない半面、絶縁樹脂層に内部応力が蓄積し、長時間かけて共通電極やキャリア選択性の中間層に応力腐食を発生させることがわかってきた。このように長時間使用することにより、弾性および熱膨張率が異なる絶縁補助板が絶縁樹脂層に直接的に徐々に応力をかけ続けたことが原因ではないかという知見を得た。この絶縁樹脂層内の内部応力の課題は、図11(特許文献3)のように中央領域である放射線検出有効エリアでの絶縁補助板を窪ませて絶縁樹脂層の厚みを薄くしても解消できないことがわかっている。
そこで、絶縁樹脂層内の内部応力を抑制するには、絶縁樹脂層と同程度の弾性および熱膨張率を有する部材を、絶縁樹脂層と絶縁補助板との間に介在させれば、内部応力を抑制する可能性があるという知見を得た。そして、絶縁樹脂層と同程度の弾性および熱膨張率を有する部材として絶縁樹脂カバーを採用すれば、絶縁樹脂カバーが応力を緩衝させ、内部応力を確実に抑制することができる筈という知見を得た。ただ、絶縁樹脂カバー自体は接合力がないので、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとを接合材によって接合させれば、新たに設けた絶縁樹脂カバーによって放射線検出器の構造を実現することができる筈という知見を得た。
かかる知見の下で、図12のような実験用の放射線検出器を用いて、図13の高温サーモ試験で確認してみた。図12(a)の平面図に示すように、全領域を、領域PCA,領域Ga,領域PCBおよび領域Gbに4分割する。図12(b)の断面図に示すように、領域PCAではポリカーボネート(PC: polycarbonate)からなる絶縁合成樹脂カバー57を、絶縁樹脂層55と(ガラスからなる)絶縁補助板56との間に介在させる。一方、図12(b)の断面図に示すように、領域Gaでは従来の構造と同様に絶縁樹脂層55の上側に絶縁補助板56で直接に覆う。同様に、領域PCBでは絶縁合成樹脂カバー57を、絶縁樹脂層55と絶縁補助板56との間に介在させ、領域Gbでは従来の構造と同様に絶縁樹脂層55の上側に絶縁補助板56で直接に覆う。なお、図12に示すように、絶縁補助板56と絶縁合成樹脂カバー57とを接合する接合材58として粘着テープを使用する。各領域PCA,Ga,PCBおよびGbでの画素は縦1400×横1400である。
図12に示す実験用の放射線検出器を用いて、温度35℃で共通電極に10kVの電圧を印加(通電)して欠損画素の発生を各領域で比較した高温サーモ試験は図13の通りである。図13に示すように、ポリカーボネート(PC)からなる絶縁合成樹脂カバーの有無で明瞭な違いが表れている。絶縁合成樹脂カバーがある領域PCA,PCBでは5000時間経過後も欠損画素数が10個以下であるのに対し、絶縁合成樹脂カバーがないガラスのみの領域Ga,Gbでは2000時間経過程度から欠損画素数が増え始め、4000時間後には領域Gaでは5000個を超過した。この様子は、5000時間経過後の欠損画像(図示省略)でも確認することができた。画像中の白点が欠損画素である。特に、領域Ga,Gbの端部(周辺領域)において欠損画素は集中して分布し、全体的にも欠損画素は分布して領域Ga,Gbでの画像は白っぽく見える。対して、領域PCA,PCBでの画像は全体的に黒っぽい。その結果、各領域PCA,Ga,PCBおよびGbでの境界が明瞭になった。このように、図13の結果によってこの発明の効果を確認することができた。
さらに、高温サーモ試験5800時間経過後の共通電極表面を、光学顕微鏡で拡大して観察すると、図14(a)に示すように領域PCAには異常が見られないが、領域Gaには、図14(b)に示すような多数のピンホールが観測された。このように、図14の結果からもこの発明の効果を確認することができた。なお、図14の大きな黒点はマトリックス基板上のコンタクトホールである。
このような知見に基づくこの発明は、次のような構成をとる。
すなわち、この発明に係る放射線検出器は、放射線の入射により電荷を生成して読み出すことにより放射線を検出する放射線検出器であって、(a)前記電荷を収集する複数の収集電極が2次元マトリックス状に配列され、前記収集電極の各々から前記電荷に基づく放射線検出信号を読み出すマトリックス基板と、(b)前記放射線の入射により前記電荷を生成する放射線感応型の半導体層と、(c)前記放射線感応型の半導体層にバイアス電圧を印加する共通電極と、(d)前記放射線感応型の半導体層および前記共通電極の露出面上の表面全体を覆う絶縁樹脂層と、(e)絶縁樹脂カバーと、(f)絶縁補助板とを備え、(a)マトリックス基板,(b)放射線感応型の半導体層,(c)共通電極,(d)絶縁樹脂層,(e)絶縁樹脂カバーおよび(f)絶縁補助板がこの順に積層されており、前記絶縁補助板は前記マトリックス基板と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成され、前記絶縁樹脂カバーは前記絶縁樹脂層と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成され、前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとは接合材によって接合されることを特徴とするものである。
この発明の放射線検出器によれば、絶縁樹脂カバーを備え、マトリックス基板,放射線感応型の半導体層,共通電極,絶縁樹脂層,絶縁樹脂カバーおよび絶縁補助板がこの順に積層されている。絶縁補助板はマトリックス基板と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成され、マトリックス基板と絶縁補助板との間にこれらの層(放射線感応型の半導体層,共通電極,絶縁樹脂層および絶縁樹脂カバー)が挟み込まれるので、温度変化による放射線検出器の反り、これらの層の亀裂を防止することができる。また、絶縁樹脂カバーは絶縁樹脂層と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成されているので、温度変化による応力が発生しにくく、絶縁樹脂層に内部応力が蓄積しにくい。絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとを接合材によって接合させれば、新たに設けた絶縁樹脂カバーによって放射線検出器の構造を実現することができる。その結果、環境が変わっても長寿命な放射線検出器を実現することができる。なお、本明細書中での「同程度」とは、弾性(後述する引張弾性率)および熱膨張率(後述する線膨張係数)における各々の数値の桁が変わらない程度を示し、数値の数倍もしくは数分の一までの範囲である。
上述したこの発明の放射線検出器において、放射線感応型の半導体層と共通電極との間にキャリア選択性の中間層を形成するとともに、放射線感応型の半導体層と収集電極との間にキャリア選択性の中間層を形成してもよいし、放射線感応型の半導体層と共通電極との間のみにキャリア選択性の中間層を形成してもよいし、放射線感応型の半導体層と収集電極との間のみにキャリア選択性の中間層を形成してもよい。放射線感応型の半導体層の入射面(共通電極側の面)あるいは当該入射面とは逆側の面(収集電極側の面)に中間層を形成することで、暗電流を低減させることができる。
上述したこれらの発明の放射線検出器の一例は、絶縁樹脂層はエポキシ樹脂であり、絶縁樹脂カバーの引張弾性率が1GPa以上から10GPa以下の範囲であり、線膨張係数が30×10−6/K以上から300×10−6/K以下の範囲であり、マトリックス基板はガラスであり、絶縁補助板の引張弾性率が50GPa以上であり、線膨張係数が0.1×10−6/K以上から10×10−6/K以下の範囲である。絶縁樹脂層としてエポキシ樹脂を採用することにより、引張弾性率が1GPa以上から10GPa以下の範囲であり、線膨張係数が30×10−6/K以上から300×10−6/K以下の範囲の絶縁樹脂カバーと、エポキシ樹脂からなる絶縁樹脂層とは、互いに同程度の弾性および熱膨張率を持つ。また、マトリックス基板としてガラスを採用することにより、引張弾性率が50GPa以上であり、線膨張係数が0.1×10−6/K以上から10×10−6/K以下の範囲の絶縁補助板と、ガラスからなるマトリックス基板とは、互いに同程度の弾性および熱膨張率を持つ。
上述したこれらの発明の放射線検出器において、絶縁樹脂カバーは高分子樹脂であるのが好ましい。高分子樹脂で絶縁樹脂カバーを簡易に形成することができる。特に、高分子樹脂として、ポリカーボネート(PC),ポリエチレンテレフタレート(PET: poly ethylene terephthalate),ポリプロピレン(PP: polypropylene)などが挙げられ、絶縁樹脂カバーは、ポリカーボネート,ポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレンのいずれかである。
また、上述したこれらの発明の放射線検出器において、絶縁補助板はガラスであるのが好ましい。上述したように、マトリックス基板としてガラスを採用した場合には、ガラスからなる絶縁補助板と、同じくガラスからなるマトリックス基板とは、互いに同程度の弾性および熱膨張率を持つ。
また、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとを接合する接合材は、シリコーン樹脂系の接着剤や粘着テープや合成ゴムなどが好ましく、これらを組み合わせてもよい。これらの材料は柔軟性の高い接合材であるので、温度変化による絶縁樹脂層の膨張収縮に許容性があり、絶縁樹脂層内の内部応力の発生をより一層抑制することができる。もちろん、接合材は、これらの柔軟性の高い接合材に限定されず、エポキシ樹脂系の接着剤などに代表される柔軟性の低い接合材であってもよい。
また、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとを接合する領域については特に限定されず、例えば放射線検出有効エリアを含んだ全面であってもよいが、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとは、周辺領域のみで接合されているのが好ましい。この場合には、中央領域である放射線検出有効エリアには接合材がないので、柔軟性の高い接合材の効果と同じく、温度変化による絶縁樹脂層の膨張収縮に許容性があり、絶縁樹脂層内の内部応力の発生をより一層抑制することができる。したがって、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとを柔軟性の低い接合材で周辺領域のみで接合することができる。もちろん、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとを柔軟性の高い接合材で周辺領域のみで接合してもよい。
上述したこれらの発明の放射線検出器と図11(特許文献3)とを組み合わせた構造であってもよい。
すなわち、上述したこれらの発明の放射線検出器において、放射線検出有効エリアでの絶縁樹脂層の厚みが、放射線検出有効エリア外にある周辺領域での絶縁樹脂層の厚みよりも薄く形成されていてもよい。この構造の場合には、長寿命な放射線検出器を実現する効果に加えて、絶縁樹脂層による放射線の減衰を極力抑えることができる。
この構造の場合において、絶縁樹脂カバーを放射線検出有効エリアにて窪ませて一体形成し、絶縁樹脂カバーが窪んだ窪み部分に絶縁補助板を載せて接合する。絶縁樹脂カバーが窪んだ分だけ、放射線検出有効エリアでの絶縁樹脂層の厚みを、周辺領域での絶縁樹脂層の厚みよりも薄く形成することができる。
この他にも、放射線検出有効エリアが開口した固定枠を備え、固定枠の開口部分に、絶縁補助板および絶縁樹脂カバーを互いに接合したものを内側から固定することで、絶縁樹脂カバー,絶縁補助板および固定枠の順に積層する。絶縁補助板および絶縁樹脂カバーが固定枠よりも内側に窪んだ分だけ、放射線検出有効エリアでの絶縁樹脂層の厚みを、周辺領域での絶縁樹脂層の厚みよりも薄く形成することができる。
また、上述したこれらの発明の放射線検出器において、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとの間に弾性材料からなる緩衝材を介在させるのが好ましい。絶縁樹脂層内の内部応力を緩衝材によって均一に分散させることができる。
緩衝材を介在させた場合において、緩衝材の両面に接合材を設けて、絶縁補助板と緩衝材とを当該接合材によって接合するとともに、絶縁樹脂カバーと緩衝材とを当該接合材によって接合することにより、絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとを接合する(前者の構造)。この他にも、放射線検出有効エリアでは、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとの間に緩衝材を介在させて、放射線検出有効エリア外にある周辺領域では、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとを接合材によって直接的に接合する(後者の構造)。もちろん、前者の構造と後者の構造とを両方組み合わせてもよい。
緩衝材は導電性であってもよい。緩衝材が導電性である場合には、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとの間に溜まる静電気を放電することができ、静電ノイズ防止効果が得られる。もちろん、緩衝材は導電性である必要はない。
この発明に係る放射線検出器によれば、絶縁補助板はマトリックス基板と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成され、マトリックス基板と絶縁補助板との間に各層(放射線感応型の半導体層,共通電極,絶縁樹脂層および絶縁樹脂カバー)が挟み込まれるので、温度変化による放射線検出器の反り、これらの層の亀裂を防止することができる。また、絶縁樹脂カバーは絶縁樹脂層と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成されているので、温度変化による応力が発生しにくく、絶縁樹脂層に内部応力が蓄積しにくい。絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとを接合材によって接合させれば、新たに設けた絶縁樹脂カバーによって放射線検出器の構造を実現することができる。その結果、環境が変わっても長寿命な放射線検出器を実現することができる。
実施例1に係るフラットパネル型X線検出器(FPD)の概略断面図である。 フラットパネル型X線検出器(FPD)のアクティブマトリックス基板の等価回路を示すブロック図である。 フラットパネル型X線検出器(FPD)のアクティブマトリックス基板の概略断面図である。 (a)〜(c)は、キャリア選択性の高抵抗半導体層である中間層の組み合わせをそれぞれ示した概略断面図である。 実施例2に係るフラットパネル型X線検出器(FPD)の概略断面図である。 (a),(b)は、実施例3に係るフラットパネル型X線検出器(FPD)の概略断面図である。 (a)〜(c)は、実施例4に係るフラットパネル型X線検出器(FPD)の概略断面図である。 従来の放射線検出器の概略断面図である。 図8とは別の従来の放射線検出器の概略断面図である。 図8、図9とは別の従来の放射線検出器の概略断面図である。 図8〜図10とは別の従来の放射線検出器の概略断面図である。 (a)は、実験用の放射線検出器の概略平面図、(b)は、実験用の放射線検出器の概略断面図である。 実験用の放射線検出器を用いて得られた高温サーモ試験のグラフである。 実験用の放射線検出器の高温サーモ試験5800時間経過後表面の光学顕微鏡拡大写真である。
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係る直接変換型のフラットパネル型X線検出器(以下、適宜「FPD」と略記する)の概略断面図であり、図2は、フラットパネル型X線検出器(FPD)のアクティブマトリックス基板の等価回路を示すブロック図であり、図3は、フラットパネル型X線検出器(FPD)のアクティブマトリックス基板の概略断面図である。後述する実施例2〜4も含めて、本実施例1では、放射線検出器としてフラットパネル型X線検出器(FPD)を例に採って説明する。
本実施例1に係るFPDは、図1に示すように、アクティブマトリックス基板1と、放射線(実施例1〜4ではX線)の入射により電荷を生成する放射線感応型の半導体2と、バイアス電圧印加用の共通電極3とを備えている。アクティブマトリックス基板1は、図2、図3に示すように、放射線の入射面側に複数の収集電極11を形成し、各収集電極11で収集される電荷の蓄積・読み出し用電気回路12を配設して構成されている。各収集電極11については放射線検出有効エリアSA内で2次元状マトリックス配列で設定している。アクティブマトリックス基板1は、この発明におけるマトリックス基板に相当し、放射線感応型の半導体2は、この発明における放射線感応型の半導体層に相当し、バイアス電圧印加用の共通電極3は、この発明における共通電極に相当し、収集電極11は、この発明における収集電極に相当し、放射線検出有効エリアSAは、この発明における放射線検出有効エリアに相当する。
図1に示すように、このアクティブマトリックス基板1の収集電極の入射面側に半導体2を積層し、その半導体2の入射側に共通電極3を面状に形成して積層している。そして、共通電極3の入射面にバイアス電圧給電用のリード線4を接続している。銅線等のリード線4を導電ペースト(例えば銀ペースト)を介して共通電極3に接続する。
図2、図3に示すようにアクティブマトリクス基板1は、上述したように収集電極11を形成し、蓄積・読み出し用電気回路12を配設している。蓄積・読み出し用電気回路12は、コンデンサ12Aやスイッチング素子としてのTFT(薄膜電界効果トランジスタ)12Bおよびゲート線12a,データ線12bなどからなり、各収集電極11毎に1個のコンデンサ12Aおよび1個のTFT12Bが対応付けて接続されている。
また、アクティブマトリックス基板1の蓄積・読み出し用電気回路12の周囲にはゲートドライバ13と電荷電圧変換型増幅器14とマルチプレクサ15とA/D変換器16とを配設して接続している。これらのゲートドライバ13、電荷電圧変換型増幅器14、マルチプレクサ15、A/D変換器16は、アクティブマトリックス基板1とは別基板で接続されている。なお、ゲートドライバ13、電荷電圧変換型増幅器14、マルチプレクサ15、A/D変換器16の一部または全部を、アクティブマトリックス基板1に内蔵してもよい。
FPDによってX線を検出する際には、バイアス供給電源(図示省略)からバイアス電圧を、バイアス電圧給電用のリード線4を介してバイアス電圧印加用の共通電極3に印加する。バイアス電圧を印加した状態で、放射線(実施例1〜4ではX線)の入射に伴って放射線感応型の半導体2で電荷を生成する。この生成された電荷を収集電極11で一旦収集する。蓄積・読み出し用電気回路12によって、収集された電荷を各収集電極11毎の放射線検出信号(実施例1〜4ではX線検出信号)として取り出す。
具体的には、収集電極11で収集された電荷がコンデンサ12Aに一旦蓄積される。そして、ゲートドライバ13からゲート線12aを介して読み出し信号を各TFT12Bのゲートに順に与える。読み出し信号を与えることで、読み出し信号が与えられたTFT12BがOFFからONに移行する。その移行したTFT12Bのソースに接続されたデータ線12bがマルチプレクサ15によって順に切り換え接続されるのにしたがって、コンデンサ12Aに蓄積された電荷を、TFT12Bからデータ線12bを介して読み出す。読み出された電荷を電荷電圧変換型増幅器14で増幅して、マルチプレクサ15によって各収集電極11毎の放射線検出信号(実施例1〜4ではX線検出信号)としてA/D変換器16に送り出してアナログ値からディジタル値に変換する。
例えば、FPDをX線透視撮影装置に備えた場合には、X線検出信号を後段の画像処理回路に送り込んで、画像処理を行って2次元X線透視画像等を出力する。2次元状マトリックス配列の各収集電極11は、放射線画像(ここでは2次元X線透視画像)の各画素に対応する電極(画素電極)にそれぞれ対応している。放射線検出信号(実施例1〜4ではX線検出信号)を取り出すことで、放射線検出有効エリアSAに投影される放射線の2次元強度分布に応じた放射線画像(ここでは2次元X線透視画像)を作成することができる。つまり、後述する実施例2〜4も含めて、本実施例1に係るFPDは、放射線検出有効エリアSAに投影される放射線(実施例1〜4ではX線)の2次元強度分布を検出することができる2次元アレイタイプの放射線検出器である。
次に、FPDの各部構成についてより具体的に説明する。図1に示すように、半導体2および共通電極3の露出面上の表面全体を覆う絶縁樹脂層5をFPDは備えている。絶縁樹脂層5の上側(入射側)に、アクティブマトリックス基板1と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成された絶縁補助板6をFPDは備えている。その他に、この発明の特徴部分の構造として、絶縁樹脂層5と絶縁補助板6との間に絶縁合成樹脂カバー7を介在させる。絶縁合成樹脂カバー7は絶縁樹脂層5と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成されている。さらに、図1に示すように、放射線検出有効エリアSAを含んだ全面で、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを接合材8によって接合する。絶縁樹脂層5は、この発明における絶縁樹脂層に相当し、絶縁補助板6は、この発明における絶縁補助板に相当し、絶縁合成樹脂カバー7は、この発明における絶縁樹脂カバーに相当し、接合材8は、この発明における接合材に相当する。
端部(周辺領域)において、マトリックス基板1にスペーサ9を立設して、このスペーサ9に絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを支持する。このスペーサ9によってマトリックス基板1と絶縁補助板6・絶縁合成樹脂カバー7との間に所定の隙間を保ちながら、低粘度の常温硬化型エポキシ樹脂剤を注入して常温にて硬化することにより常温硬化型エポキシ樹脂剤からなる絶縁樹脂層5を当該隙間に形成する。このようにして、アクティブマトリックス基板1,(放射線感応型の)半導体2,(バイアス電圧印加用の)共通電極3,絶縁樹脂層5,絶縁合成樹脂カバー7および絶縁補助板6がこの順に積層される。
アクティブマトリックス基板1には、例えばガラス基板が用いられる。アクティブマトリックス基板1のガラス基板は、例えば0.5mm〜1.5mm程度である。半導体2の厚さは、通常、0.5mm〜1.5mm前後の厚膜であり、面積は、例えば縦20cm〜50cm×横20cm〜50cm程度のものである。絶縁補助板6には、例えばホウケイ酸ガラス基板や石英ガラス基板などに代表されるガラス基板が用いられる。絶縁補助板6のガラス基板も、アクティブマトリックス基板1と同様に、例えば0.5mm〜1.5mm程度である。
放射線感応型の半導体2は、高純度アモルファスセレン(a−Se),Na等のアルカリ金属やCl等のハロゲンもしくはAsやTeをドープしたセレンおよびセレン化合物のアモルファス半導体,CdTe,CdZnTe,PbI2 ,HgI2 ,TlBr等の非セレン系多結晶半導体のうちのいずれかであるのが好ましい。アモルファスセレン,アルカリ金属やハロゲンもしくはAsやTeをドープしたセレンおよびセレン化合物のアモルファス半導体,非セレン系多結晶半導体は、大面積化適性および厚膜化適性に優れる。特に、10Ω以上、好ましくは1011Ω以上の比抵抗を有するa−Seを半導体2に用いると大面積化適性および厚膜化適性が顕著に優れている。
また、半導体2としては、上述した感応型の半導体2の他に、その入射面(図1では上面)または入射側と逆側の面(図1では下面)もしくは両面に形成されたキャリア選択性の高抵抗半導体層である中間層との組み合わせも含む。図4(a)に示すように、半導体2と共通電極3との間に中間層2aを形成するとともに、半導体2と収集電極11(図3を参照)との間に中間層2bを形成してもよいし、図4(b)に示すように、半導体2と共通電極3との間のみに中間層2aを形成してもよいし、図4(c)に示すように、半導体2と収集電極11(図3を参照)との間のみに中間層2bを形成してもよい。中間層2a,2bは、この発明におけるキャリア選択性の中間層に相当する。
このように、キャリア選択性の中間層2a,2bを設けることにより暗電流を低減させることができる。ここで言うキャリア選択性とは半導体中の電荷移動媒体(キャリア)である電子と正孔とで、電荷移動作用への寄与率が著しく異なる性質を指す。
半導体2とキャリア選択性の中間層2a,2bとの組み合わせ方としては、次のような態様が挙げられる。共通電極3に正のバイアス電圧を印加する場合には、中間層2aに電子の寄与率が大きい材料を使用する。これにより共通電極3からの正孔の注入が阻止され、暗電流を低減させることができる。中間層2bには正孔の寄与率が大きい材料を使用する。これにより収集電極11からの電子の注入が阻止され、暗電流を低減させることができる。
逆に、共通電極3に負のバイアス電圧を印加する場合には、中間層2aに正孔の寄与率が大きい材料を使用する。これにより共通電極3からの電子の注入が阻止され、暗電流を低減させることができる。中間層2bには電子の寄与率が大きい材料を使用する。これにより収集電極11からの正孔の注入が阻止され、暗電流を低減させることができる。
キャリア選択性の中間層2a,2bの厚さは、通常、0.1μm〜10μmの範囲が好ましい。中間層2a,2bの厚さが0.1μm未満では暗電流を十分に抑制できない傾向が現れ、逆に、厚さが10μmを越えると放射線検出の妨げとなる傾向(例えば感度が低下する傾向)が現れる。
また、キャリア選択性の中間層2a,2bに用いられる半導体としては、Sb23 ,ZnTe,CeO2 ,CdS,ZnSe,ZnS等の多結晶半導体、Na等のアルカリ金属やCl等のハロゲンもしくはAsやTeをドープしたセレンおよびセレン化合物のアモルファス半導体が大面積化適性に優れるものとして挙げられる。
中間層2a,2bに用いられる半導体のうち、電子の寄与が大きいものとして、n型半導体であるCeO2 ,CdS,CdSe,ZnSe,ZnSのような多結晶半導体や、アルカリ金属やAsやTeをドープして正孔の寄与率を低下させたアモルファスSe等のアモルファス体が挙げられる。
また、正孔の寄与が大きいものとして、p型半導体であるZnTeのような多結晶半導体や、ハロゲンをドープして電子の寄与率を低下させたアモルファスSe等のアモルファス体が挙げられる。
さらに、Sb2 3 ,CdTe,CdZnTe,PbI2 ,HgI2 ,TlBrや、ノンドープのアモルファスSeまたはSe化合物の場合、電子の寄与が大きいものと正孔の寄与が大きいもとの両方がある。これらの場合、製膜条件の調節で電子の寄与が大きいものでも、正孔の寄与が大きいものでも、選択形成することができる。
また、半導体2と中間層2aとの間に正孔移動剤あるいは電子移動剤を混入させたポリカーボネート等の有機膜層を形成してもよい。同様に、半導体2と中間層2bとの間に正孔移動剤あるいは電子移動剤を混入させたポリカーボネート等の有機膜層を形成してもよい。
共通電極3については、例えば金(Au)やアルミニウム(Al)などで形成するのが好ましい。後述する実施例2〜4も含めて、本実施例1では、共通電極3を金で形成するために、金で蒸着を行う。
絶縁樹脂層5は、上述したように常温硬化型エポキシ樹脂剤からなり、エポキシ樹脂が用いられる。なお、エポキシ樹脂以外の樹脂(例えばシリコーン樹脂)で絶縁樹脂層5を形成してもよい。絶縁樹脂層5のエポキシ樹脂は、共通電極3と絶縁合成樹脂カバー7との間の隙間が、例えば1mm〜2mm程度である。
絶縁合成樹脂カバー7は、例えばポリカーボネート(PC),ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン(PP)などの高分子樹脂が用いられる。絶縁合成樹脂カバー7の高分子樹脂は、例えば0.5mm〜1.5mm程度である。絶縁合成樹脂カバー7に限定されず、例えば天然樹脂などのように絶縁樹脂カバーでさえあれば、特に限定されない。
接合材8は、例えばシリコーン樹脂系の接着剤や粘着テープや合成ゴム(いわゆるゴム糊)などの柔軟性の高い接合材が用いられる。本実施例1では、上述したように、図1に示すように、放射線検出有効エリアSAを含んだ全面で、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを接合材8によって接合している。スペーサ9は、例えばPC樹脂やABS樹脂等が用いられる。
以上に述べた構成を有する本実施例1のフラットパネル型X線検出器(FPD)によれば、絶縁樹脂カバー(各実施例では絶縁合成樹脂カバー7)を備え、マトリックス基板(各実施例ではアクティブマトリックス基板1),(放射線感応型の)半導体2,(バイアス電圧印加用の)共通電極3,絶縁樹脂層5,絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)および絶縁補助板6がこの順に積層されている。絶縁補助板6はマトリックス基板(アクティブマトリックス基板1)と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成され、マトリックス基板(アクティブマトリックス基板1)と絶縁補助板6との間にこれらの層(半導体層2,共通電極3,絶縁樹脂層5および絶縁合成樹脂カバー7)が挟み込まれるので、温度変化によるFPDの反り、これらの層の亀裂を防止することができる。
また、絶縁樹脂カバー(各実施例では絶縁合成樹脂カバー7)は絶縁樹脂層5と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成されているので、温度変化による応力が発生しにくく、絶縁樹脂層5に内部応力が蓄積しにくい。絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)とを接合材8によって接合させれば、新たに設けた絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)によってFPDの構造を実現することができる。その結果、環境が変わっても長寿命なフラットパネル型X線検出器(FPD)を実現することができる。なお、「課題を解決するための手段」の段落でも述べたように、本明細書中での「同程度」とは、弾性(後述する引張弾性率)および熱膨張率(後述する線膨張係数)における各々の数値の桁が変わらない程度を示し、数値の数倍もしくは数分の一までの範囲である。
図4でも述べたように、(放射線感応型の)半導体2と共通電極3との間に(キャリア選択性の)中間層2aを形成するとともに、半導体2と収集電極11(図3を参照)との間に中間層2bを形成してもよいし(図4(a)を参照)、半導体2と共通電極3との間のみに中間層2aを形成してもよいし(図4(b)を参照)、半導体2と収集電極11(図3を参照)との間のみに中間層2bを形成してもよい(図4(c)を参照)。半導体2の入射面(共通電極3側の面)あるいは当該入射面とは逆側の面(収集電極11側の面)に中間層2a,2bを形成することで、暗電流を低減させることができる。
後述する実施例2〜4も含めて、本実施例1では、絶縁樹脂層5はエポキシ樹脂であり、絶縁樹脂カバー(各実施例では絶縁合成樹脂カバー7)の引張弾性率(Tensile Modulus)が1GPa以上から10GPa以下の範囲であり、線膨張係数が30×10−6/K以上から300×10−6/K以下の範囲である。また、マトリックス基板(各実施例ではアクティブマトリックス基板1)はガラスであり、絶縁補助板6の引張弾性率が50GPa以上であり、線膨張係数が0.1×10−6/K以上から10×10−6/K以下の範囲である。絶縁樹脂層5としてエポキシ樹脂を採用することにより、引張弾性率が1GPa以上から10GPa以下の範囲であり、線膨張係数が30×10−6/K以上から300×10−6/K以下の範囲の絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)と、エポキシ樹脂からなる絶縁樹脂層5とは、互いに同程度の弾性および熱膨張率を持つ。また、マトリックス基板(アクティブマトリックス基板1)としてガラスを採用することにより、引張弾性率が50GPa以上であり、線膨張係数が0.1×10−6/K以上から10×10−6/K以下の範囲の絶縁補助板6と、ガラスからなるマトリックス基板(アクティブマトリックス基板1)とは、互いに同程度の弾性および熱膨張率を持つ。
後述する実施例2〜4も含めて、本実施例1では、絶縁樹脂カバー(各実施例では絶縁合成樹脂カバー7)は高分子樹脂であるのが好ましい。高分子樹脂で絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)を簡易に形成することができる。特に、高分子樹脂として、ポリカーボネート(PC),ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン(PP)などが挙げられ、絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)は、ポリカーボネート,ポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレンのいずれかである。
絶縁補助板6はガラスであるのが好ましい。上述したように、マトリックス基板(各実施例ではアクティブマトリックス基板1)としてガラスを採用した場合には、ガラスからなる絶縁補助板6と、同じくガラスからなるマトリックス基板(アクティブマトリックス基板1)とは、互いに同程度の弾性および熱膨張率を持つ。
また、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(各実施例では絶縁合成樹脂カバー7)とを接合する接合材8は、シリコーン樹脂系の接着剤や粘着テープや合成ゴムなどが好ましく、これらを組み合わせてもよい。これらの材料は柔軟性の高い接合材であるので、温度変化による絶縁樹脂層5の膨張収縮に許容性があり、絶縁樹脂層5内の内部応力の発生をより一層抑制することができる。もちろん、接合材8は、これらの柔軟性の高い接合材に限定されず、エポキシ樹脂系の接着剤などに代表される柔軟性の低い接合材であってもよい。
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。図5は、実施例2に係るフラットパネル型X線検出器(FPD)の概略断面図である。上述した実施例1と共通する箇所については、同じ符号を付してその説明を省略するとともに図示を省略する。
上述した実施例1に係るFPDでは、図1に示すように、放射線検出有効エリアSAを含んだ全面で、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを接合材8によって接合したが、本実施例2に係るFPDは、図5に示すように、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とは、放射線検出有効エリアSAを除く周辺領域のみで接合されている。
このように、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(各実施例では絶縁合成樹脂カバー7)とを接合する領域については特に限定されず、実施例1のように放射線検出有効エリアSAを含んだ全面であってもよいが、本実施例2のように絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)とは、周辺領域のみで接合されているのが好ましい。この場合には、中央領域である放射線検出有効エリアSAには接合材がないので、柔軟性の高い接合材の効果と同じく、温度変化による絶縁樹脂層5の膨張収縮に許容性があり、絶縁樹脂層5内の内部応力の発生をより一層抑制することができる。したがって、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)とを柔軟性の低い接合材で周辺領域のみで接合することができる。もちろん、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)とを柔軟性の高い接合材で周辺領域のみで接合してもよい。また、実施例1でも述べたように、絶縁合成樹脂カバー7に限定されず、例えば天然樹脂などのように絶縁樹脂カバーでさえあれば、特に限定されない。
次に、図面を参照してこの発明の実施例3を説明する。図6は、実施例3に係るフラットパネル型X線検出器(FPD)の概略断面図である。上述した実施例1、2と共通する箇所については、同じ符号を付してその説明を省略するとともに図示を省略する。
上述した実施例1、2に係るFPDでは、図1、図5に示すように、絶縁樹脂層5の厚みが、共通電極3が形成された箇所では均一であったが、本実施例3に係るFPDは、図6に示すように、実施例1、2に係るFPDと図11(特許文献3)とを組み合わせた構造である。
すなわち、実施例1、2に係るFPDにおいて、本実施例3では、放射線検出有効エリアSAでの絶縁樹脂層5の厚みが、放射線検出有効エリアSA外にある周辺領域での絶縁樹脂層5の厚みよりも薄く形成されている。図6に示すように、放射線検出有効エリアSAでの絶縁樹脂層5の厚みを薄膜TAとし、周辺領域での絶縁樹脂層5の厚みを厚膜taとする。この構造の場合には、長寿命なフラットパネル型X線検出器(FPD)を実現する効果に加えて、絶縁樹脂層5による放射線(実施例1〜4ではX線)の減衰を極力抑えることができる。
具体的には、0.5ta≧TA≧0.1taの関係を満たすのが好ましい。放射線検出有効エリアSAでの絶縁樹脂層5の厚み(薄膜)TAは、通常、0.1mm〜1.0mmの範囲にあり、周辺領域での絶縁樹脂層5の厚み(厚膜)taは、通常、1mm〜2mmの範囲にある。
この構造の場合において、図6(a)に示すように、絶縁合成樹脂カバー7を放射線検出有効エリアSAにて窪ませて一体形成し、絶縁合成樹脂カバー7が窪んだ窪み部分7Aに絶縁補助板6を載せて接合する。絶縁合成樹脂カバー7が窪んだ分だけ、放射線検出有効エリアSAでの絶縁樹脂層5の厚み(薄膜)TAを、周辺領域での絶縁樹脂層5の厚み(厚膜)taよりも薄く形成することができる。
この他にも、図6(b)に示すように、放射線検出有効エリアSAが開口した固定枠21の開口部分21Aに、絶縁補助板6および絶縁合成樹脂カバー7を互いに接合したものを内側から固定することで、絶縁合成樹脂カバー7,絶縁補助板6および固定枠21の順に積層する。絶縁補助板6および絶縁合成樹脂カバー7が固定枠21よりも内側に窪んだ分だけ、放射線検出有効エリアSAでの絶縁樹脂層5の厚み(薄膜)TAを、周辺領域での絶縁樹脂層5の厚み(厚膜)taよりも薄く形成することができる。固定枠21は、この発明における固定枠に相当する。
固定枠21については、絶縁合成樹脂カバー7と同じ高分子樹脂であってもよいし、スペーサ9と同じPC樹脂やABS樹脂であってもよいし、絶縁合成樹脂カバー7やスペーサ9とは別の部材であってもよい。また、スペーサ9と固定枠21とを一体形成してもよい。
また、図6では、上述した実施例2と同様に、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを、周辺領域のみで接合したものを組み合わせたが、上述した実施例1と同様に、放射線検出有効エリアSAを含んだ全面で、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを接合材8によって接合したものを組み合わせてもよい。また、実施例1でも述べたように、絶縁合成樹脂カバー7に限定されず、例えば天然樹脂などのように絶縁樹脂カバーでさえあれば、特に限定されない。
次に、図面を参照してこの発明の実施例4を説明する。図7は、実施例4に係るフラットパネル型X線検出器(FPD)の概略断面図である。上述した実施例1〜3と共通する箇所については、同じ符号を付してその説明を省略するとともに図示を省略する。
本実施例4に係るFPDは、図7に示すように、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7との間に弾性材料からなる緩衝材22を介在させるのが好ましい。緩衝材22には、例えばゴムやスポンジが用いられる。絶縁樹脂層5内の内部応力を緩衝材22によって均一に分散させることができる。緩衝材22は、この発明における緩衝材に相当する。
緩衝材22を介在させた場合において、図7(a)に示すように、緩衝材22の両面に接合材8a,8bを設けて、絶縁補助板6と緩衝材22とを当該接合材8aによって接合するとともに、絶縁合成樹脂カバー7と緩衝材22とを当該接合材8bによって接合することにより、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを接合する。この他にも、図7(b)に示すように、放射線検出有効エリアSAでは、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7との間に緩衝材22を介在させて、放射線検出有効エリアSA外にある周辺領域では、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを接合材8cによって直接的に接合する。
もちろん、図7(a)の構造と図7(b)の構造とを両方組み合わせてもよい。具体的には、図7(c)に示すように、放射線検出有効エリアSAでは、緩衝材22の両面に接合材8a,8bを設けて、絶縁補助板6と緩衝材22とを当該接合材8aによって接合するとともに、絶縁合成樹脂カバー7と緩衝材22とを当該接合材8bによって接合することにより、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを接合する。さらに、周辺領域では、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを接合材8cによって直接的に接合する。
図7(a)〜図7(c)の緩衝材22は導電性であってもよい。上述したゴムやスポンジに導電性フィラーを混入することにより導電性の緩衝材22を形成してもよいし、カーボンなどの導電材料が弾性を有するように加工することにより導電性の緩衝材22を形成してもよい。緩衝材22が導電性である場合には、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7との間に溜まる静電気を放電することができ、静電ノイズ防止効果が得られる。もちろん、緩衝材22は導電性である必要はない。
また、図7(a)、図7(c)では、上述した実施例1と同様に、放射線検出有効エリアSAを含んだ全面で、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを接合材8(8a,8b)によって接合したものを組み合わせたが、上述した実施例2と同様に、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを、周辺領域のみで接合したものを組み合わせてもよい。また、実施例3の構造を組み合わせてもよい。また、実施例1でも述べたように、絶縁合成樹脂カバー7に限定されず、例えば天然樹脂などのように絶縁樹脂カバーでさえあれば、特に限定されない。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した各実施例では、放射線検出器としてX線検出器を例に採って説明したが、X線以外の放射線(例えばガンマ線)を検出する放射線検出器(例えばガンマ線検出器)にも適用できる。
(2)上述した各実施例では、少なくとも周辺領域には、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(各実施例では絶縁合成樹脂カバー7)とが接合材8により接合されていたが、放射線検出有効エリアSAのみに、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)とを接合材8により接合してもよい。実施例1のように放射線検出有効エリアSAを含んだ全面で、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)とを接合材8により接合する場合も含め、少なくとも検出有効エリアSAに、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)とを接合材8により接合するときには以下の作用・効果を奏する。すなわち、絶縁樹脂層5が硬化や重みにより凹んで、それに伴って検出有効エリアSAでの絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)も凹む可能性があるので、少なくとも検出有効エリアSAに、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)とを接合材8により接合することにより、絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)の凹みを防止することができる。
(3)柔軟性の高い接合材と柔軟性の低い接合材とを両方組み合わせてもよい。例えば、周辺領域では柔軟性の低い接合材で接合し、放射線検出有効エリアSAでは柔軟性の高い接合材で接合する。
(4)上述した各実施例では、マトリックス基板や絶縁補助板はガラスであったが、プラスチックフィルムなどに例示されるように絶縁性の基材となり得るものであれば、特に限定されない。
(5)上述した各実施例では、リード線4はスペーサ9を貫通して側面から取り出しているが、他の部分(例えば絶縁合成樹脂カバー7と絶縁補助板6)を貫通して上面から取り出してもよい。
1 … アクティブマトリックス基板
2 … (放射線感応型の)半導体
2a、2b … 中間層
3 … (バイアス電圧印加用の)共通電極
5 … 絶縁樹脂層
6 … 絶縁補助板
7 … 絶縁合成樹脂カバー
8 … 接合材
11 … 収集電極
21 … 固定枠
22 … 緩衝材
SA … 放射線検出有効エリア
このような知見に基づくこの発明は、次のような構成をとる。
すなわち、この発明に係る放射線検出器は、放射線の入射により電荷を生成して読み出すことにより放射線を検出する放射線検出器であって、(a)前記電荷を収集する複数の収集電極が2次元マトリックス状に配列され、前記収集電極の各々から前記電荷に基づく放射線検出信号を読み出すマトリックス基板と、(b)前記放射線の入射により前記電荷を生成する放射線感応型の半導体層と、(c)前記放射線感応型の半導体層にバイアス電圧を印加する共通電極と、(d)前記放射線感応型の半導体層および前記共通電極の露出面上の表面全体を覆う絶縁樹脂層と、(e)絶縁樹脂カバーと、(f)絶縁補助板とを備え、(a)マトリックス基板,(b)放射線感応型の半導体層,(c)共通電極,(d)絶縁樹脂層,(e)絶縁樹脂カバーおよび(f)絶縁補助板がこの順に積層されており、前記絶縁補助板は前記マトリックス基板と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成され、前記絶縁樹脂カバーは前記絶縁樹脂層と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成され、前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとは接合材によって接合されることを特徴とするものである。
また、この発明に係る放射線検出器とは別の放射線検出器は、放射線の入射により電荷を生成して読み出すことにより放射線を検出する放射線検出器であって、(a)前記電荷を収集する複数の収集電極が2次元マトリックス状に配列され、前記収集電極の各々から前記電荷に基づく放射線検出信号を読み出すマトリックス基板と、(b)前記放射線の入射により前記電荷を生成する放射線感応型の半導体層と、(c)前記放射線感応型の半導体層にバイアス電圧を印加する共通電極と、(d)前記放射線感応型の半導体層および前記共通電極の露出面上の表面全体を覆う絶縁樹脂層と、(e)絶縁樹脂カバーと、(f)絶縁補助板とを備え、(a)マトリックス基板,(b)放射線感応型の半導体層,(c)共通電極,(d)絶縁樹脂層,(e)絶縁樹脂カバーおよび(f)絶縁補助板がこの順に積層されており、前記絶縁補助板は、前記マトリックス基板の弾性率と桁数が変わらない弾性率を持ち、かつ前記マトリックス基板の熱膨張率と桁数が変わらない熱膨張率を持つ材料で形成され、前記絶縁樹脂カバーは、前記絶縁樹脂層の弾性率と桁数が変わらない弾性率を持ち、かつ前記絶縁樹脂層の熱膨張率と桁数が変わらない熱膨張率を持つ材料で形成され、前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとは接合材によって接合されることを特徴とするものである。
上述したこれらの発明の放射線検出器とは別の放射線検出器は、放射線の入射により電荷を生成して読み出すことにより放射線を検出する放射線検出器であって、(a)前記電荷を収集する複数の収集電極が2次元マトリックス状に配列され、前記収集電極の各々から前記電荷に基づく放射線検出信号を読み出すマトリックス基板と、(b)前記放射線の入射により前記電荷を生成する放射線感応型の半導体層と、(c)前記放射線感応型の半導体層にバイアス電圧を印加する共通電極と、(d)前記放射線感応型の半導体層および前記共通電極の露出面上の表面全体を覆う絶縁樹脂層と、(e)絶縁樹脂カバーと、(f)絶縁補助板とを備え、(a)マトリックス基板,(b)放射線感応型の半導体層,(c)共通電極,(d)絶縁樹脂層,(e)絶縁樹脂カバーおよび(f)絶縁補助板がこの順に積層されており、前記絶縁樹脂層はエポキシ樹脂であり、前記絶縁樹脂カバーの引張弾性率が1GPa以上から10GPa以下の範囲であり、線膨張係数が30×10−6/K以上から300×10−6/K以下の範囲であり、前記マトリックス基板はガラスであり、前記絶縁補助板の引張弾性率が50GPa以上であり、線膨張係数が0.1×10−6/K以上から10×10−6/K以下の範囲であり、前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとは接合材によって接合されることを特徴とするである。絶縁樹脂層としてエポキシ樹脂を採用することにより、引張弾性率が1GPa以上から10GPa以下の範囲であり、線膨張係数が30×10−6/K以上から300×10−6/K以下の範囲の絶縁樹脂カバーと、エポキシ樹脂からなる絶縁樹脂層とは、互いに同程度の弾性および熱膨張率を持つ。また、マトリックス基板としてガラスを採用することにより、引張弾性率が50GPa以上であり、線膨張係数が0.1×10−6/K以上から10×10−6/K以下の範囲の絶縁補助板と、ガラスからなるマトリックス基板とは、互いに同程度の弾性および熱膨張率を持つ。
また、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとを接合する領域については特に限定されず、例えば放射線検出有効エリアを含んだ全面であってもよいが、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとは、放射線検出有効エリアを除く周辺領域のみで接合されているのが好ましい。この場合には、中央領域である放射線検出有効エリアには接合材がないので、柔軟性の高い接合材の効果と同じく、温度変化による絶縁樹脂層の膨張収縮に許容性があり、絶縁樹脂層内の内部応力の発生をより一層抑制することができる。したがって、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとを柔軟性の低い接合材で周辺領域のみで接合することができる。もちろん、絶縁補助板と絶縁樹脂カバーとを柔軟性の高い接合材で周辺領域のみで接合してもよい。
後述する実施例2〜4も含めて、本実施例1では、絶縁樹脂層5はエポキシ樹脂であり、絶縁樹脂カバー(各実施例では絶縁合成樹脂カバー7)の引張弾性率(Tensile Modulus)が1GPa以上から10GPa以下の範囲であり、線膨張係数が30×10−6/K以上から300×10−6/K以下の範囲である。また、マトリックス基板(各実施例ではアクティブマトリックス基板1)はガラスであり、絶縁補助板6の引張弾性率が50GPa以上であり、線膨張係数が0.1×10−6/K以上から10×10−6/K以下の範囲であり、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)とは接合材8によって接合される。絶縁樹脂層5としてエポキシ樹脂を採用することにより、引張弾性率が1GPa以上から10GPa以下の範囲であり、線膨張係数が30×10−6/K以上から300×10−6/K以下の範囲の絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)と、エポキシ樹脂からなる絶縁樹脂層5とは、互いに同程度の弾性および熱膨張率を持つ。また、マトリックス基板(アクティブマトリックス基板1)としてガラスを採用することにより、引張弾性率が50GPa以上であり、線膨張係数が0.1×10−6/K以上から10×10−6/K以下の範囲の絶縁補助板6と、ガラスからなるマトリックス基板(アクティブマトリックス基板1)とは、互いに同程度の弾性および熱膨張率を持つ。
このように、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(各実施例では絶縁合成樹脂カバー7)とを接合する領域については特に限定されず、実施例1のように放射線検出有効エリアSAを含んだ全面であってもよいが、本実施例2のように絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)とは、放射線検出有効エリアSAを除く周辺領域のみで接合されているのが好ましい。この場合には、中央領域である放射線検出有効エリアSAには接合材がないので、柔軟性の高い接合材の効果と同じく、温度変化による絶縁樹脂層5の膨張収縮に許容性があり、絶縁樹脂層5内の内部応力の発生をより一層抑制することができる。したがって、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)とを柔軟性の低い接合材で周辺領域のみで接合することができる。もちろん、絶縁補助板6と絶縁樹脂カバー(絶縁合成樹脂カバー7)とを柔軟性の高い接合材で周辺領域のみで接合してもよい。また、実施例1でも述べたように、絶縁合成樹脂カバー7に限定されず、例えば天然樹脂などのように絶縁樹脂カバーでさえあれば、特に限定されない。
また、図6では、上述した実施例2と同様に、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを、放射線検出有効エリアSAを除く周辺領域のみで接合したものを組み合わせたが、上述した実施例1と同様に、放射線検出有効エリアSAを含んだ全面で、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを接合材8によって接合したものを組み合わせてもよい。また、実施例1でも述べたように、絶縁合成樹脂カバー7に限定されず、例えば天然樹脂などのように絶縁樹脂カバーでさえあれば、特に限定されない。
また、図7(a)、図7(c)では、上述した実施例1と同様に、放射線検出有効エリアSAを含んだ全面で、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを接合材8(8a,8b)によって接合したものを組み合わせたが、上述した実施例2と同様に、絶縁補助板6と絶縁合成樹脂カバー7とを、放射線検出有効エリアSAを除く周辺領域のみで接合したものを組み合わせてもよい。また、実施例3の構造を組み合わせてもよい。また、実施例1でも述べたように、絶縁合成樹脂カバー7に限定されず、例えば天然樹脂などのように絶縁樹脂カバーでさえあれば、特に限定されない。

Claims (19)

  1. 放射線の入射により電荷を生成して読み出すことにより放射線を検出する放射線検出器であって、
    (a)前記電荷を収集する複数の収集電極が2次元マトリックス状に配列され、前記収集電極の各々から前記電荷に基づく放射線検出信号を読み出すマトリックス基板と、
    (b)前記放射線の入射により前記電荷を生成する放射線感応型の半導体層と、
    (c)前記放射線感応型の半導体層にバイアス電圧を印加する共通電極と、
    (d)前記放射線感応型の半導体層および前記共通電極の露出面上の表面全体を覆う絶縁樹脂層と、
    (e)絶縁樹脂カバーと、
    (f)絶縁補助板と
    を備え、
    (a)マトリックス基板,(b)放射線感応型の半導体層,(c)共通電極,(d)絶縁樹脂層,(e)絶縁樹脂カバーおよび(f)絶縁補助板がこの順に積層されており、
    前記絶縁補助板は前記マトリックス基板と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成され、
    前記絶縁樹脂カバーは前記絶縁樹脂層と同程度の弾性および熱膨張率を持つ材料で形成され、
    前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとは接合材によって接合されることを特徴とする放射線検出器。
  2. 請求項1に記載の放射線検出器において、
    前記放射線感応型の半導体層と前記共通電極との間にキャリア選択性の中間層を形成するとともに、
    前記放射線感応型の半導体層と前記収集電極との間にキャリア選択性の中間層を形成することを特徴とする放射線検出器。
  3. 請求項1に記載の放射線検出器において、
    前記放射線感応型の半導体層と前記共通電極との間のみにキャリア選択性の中間層を形成することを特徴とする放射線検出器。
  4. 請求項1に記載の放射線検出器において、
    前記放射線感応型の半導体層と前記収集電極との間のみにキャリア選択性の中間層を形成することを特徴とする放射線検出器。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記絶縁樹脂層はエポキシ樹脂であり、
    前記絶縁樹脂カバーの引張弾性率が1GPa以上から10GPa以下の範囲であり、線膨張係数が30×10−6/K以上から300×10−6/K以下の範囲であり、
    前記マトリックス基板はガラスであり、
    前記絶縁補助板の引張弾性率が50GPa以上であり、線膨張係数が0.1×10−6/K以上から10×10−6/K以下の範囲であることを特徴とする放射線検出器。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記絶縁樹脂カバーは高分子樹脂であることを特徴とする放射線検出器。
  7. 請求項6に記載の放射線検出器において、
    前記絶縁樹脂カバーは、ポリカーボネート,ポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレンのいずれかであることを特徴とする放射線検出器。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記絶縁補助板はガラスであることを特徴とする放射線検出器。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとを接合する前記接合材は、シリコーン樹脂系の接着剤であることを特徴とする放射線検出器。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとを接合する前記接合材は、粘着テープであることを特徴とする放射線検出器。
  11. 請求項1から請求項10のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとを接合する前記接合材は、合成ゴムであることを特徴とする放射線検出器。
  12. 請求項1から請求項11のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとは、周辺領域のみで接合されることを特徴とする放射線検出器。
  13. 請求項1から請求項12のいずれかに記載の放射線検出器において、
    放射線検出有効エリアでの前記絶縁樹脂層の厚みが、放射線検出有効エリア外にある周辺領域での前記絶縁樹脂層の厚みよりも薄く形成されていることを特徴とする放射線検出器。
  14. 請求項13に記載の放射線検出器において、
    前記絶縁樹脂カバーを前記放射線検出有効エリアにて窪ませて一体形成し、
    前記絶縁樹脂カバーが窪んだ窪み部分に前記絶縁補助板を載せて接合することを特徴とする放射線検出器。
  15. 請求項13に記載の放射線検出器において、
    前記放射線検出有効エリアが開口した固定枠を備え、
    前記固定枠の開口部分に、前記絶縁補助板および前記絶縁樹脂カバーを互いに接合したものを内側から固定することで、前記絶縁樹脂カバー,前記絶縁補助板および前記固定枠の順に積層することを特徴とする放射線検出器。
  16. 請求項1から請求項15のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとの間に弾性材料からなる緩衝材を介在させることを特徴とする放射線検出器。
  17. 請求項16に記載の放射線検出器において、
    前記緩衝材の両面に前記接合材を設けて、
    前記絶縁補助板と前記緩衝材とを当該接合材によって接合するとともに、前記絶縁樹脂カバーと前記緩衝材とを当該接合材によって接合することにより、前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとを接合することを特徴とする放射線検出器。
  18. 請求項16または請求項17に記載の放射線検出器において、
    放射線検出有効エリアでは、前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとの間に前記緩衝材を介在させて、
    放射線検出有効エリア外にある周辺領域では、前記絶縁補助板と前記絶縁樹脂カバーとを前記接合材によって直接的に接合することを特徴とする放射線検出器。
  19. 請求項16から請求項18のいずれかに記載の放射線検出器において、
    前記緩衝材は導電性であることを特徴とする放射線検出器。
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