JPWO2013035696A1 - 基板搬送装置及び基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

基板搬送装置は、所定周期の繰返しパターン部を含む回路用パターンが形成された帯状の基板を搬送する搬送部と、搬送部によって基板を搬送する間、基板の搬送方向と交差する方向における少なくとも2箇所において、回路パターン内の繰返しパターン部に対応する検出信号を出力する位置検出器と、位置検出器の検出結果に基づいて、基板の変形又は位置ずれの少なくとも一方に関する情報を算出する算出装置と、算出装置で算出された結果に基づいて、基板の変形又は位置ずれの少なくとも一方を補正する補正用制御系とを備える。

Description

本発明は、基板搬送装置及び基板処理装置に関する。
本願は、2011年9月5日に出願された特願2011−193244号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ディスプレイ装置などの表示装置を構成する表示素子として、例えば液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子、電子ペーパに用いられる電気泳動素子などが知られている。これらの素子を作製する手法の1つとして、例えばロール・トゥ・ロール方式(以下、単に「ロール方式」と表記する)と呼ばれる手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ロール方式は、基板供給側のローラーに巻かれた1枚のシート状の基板を送り出すと共に送り出された基板を基板回収側のローラーで巻き取りながら基板を搬送し、基板が送り出されてから巻き取られるまでの間に、表示回路やドライバ回路などのパターンを基板上に順次形成する手法である。近年では、高精度のパターンを形成する処理装置が提案されている。
国際公開2008/129819号
ところで、上記のようなロール方式においては、帯状の基板に表示素子を高精度に製造可能とする技術が要望されており、例えば帯状の基板を高精度に搬送する技術が求められている。
そこで、本発明の態様は、帯状の基板を高精度に搬送することができる基板搬送装置及び基板処理装置を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様に従えば、所定周期の繰返しパターン部を含む回路用パターンが形成された帯状の基板を搬送する搬送部と、搬送部によって基板を搬送する間、基板の搬送方向と交差する方向における少なくとも2箇所において、回路パターン内の繰返しパターン部に対応する検出信号を出力する位置検出器と、位置検出器の検出結果に基づいて、基板の変形又は位置ずれの少なくとも一方に関する情報を算出する算出装置と、算出装置で算出された結果に基づいて、基板の変形又は位置ずれの少なくとも一方を補正する補正用制御系とを備える基板搬送装置が提供される。
本発明の第二の態様に従えば、本発明の第一の態様に従う基板搬送装置と、基板搬送装置によって搬送される基板のうち、回路用パターンが形成された被処理面に対して処理を行う処理部とを備え、基板搬送装置が備える補正用制御系は、処理部による処理領域において、被処理面の変形又は位置ずれの少なくとも一方を補正する基板処理装置が提供される。
本発明の態様によれば、帯状の基板を高精度に搬送することができる。
本発明の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。 本実施形態に係る搬送装置及び露光装置の構成を示す図である。 本実施形態に係る搬送装置及び露光装置の一部の構成を示す図である。 本実施形態に係る基板の被処理面の構成を示す図である。 本発明の別の実施の形態に係る搬送装置及び露光装置の一部の構成を示す図である。 本実施形態に係る搬送装置及び露光装置の一部の詳細な構成を示す図である。 本実施形態に係る搬送装置及び露光装置の一部の詳細な構成を示す図である。 本実施形態に係る計測装置の構成を示す図である。 本実施形態に係る計測装置の構成を示す図である。 本実施形態に係る計測装置の構成を示す図である。 本実施形態に係る計測装置の他の構成を示す図である。 本実施形態に係る計測装置の他の構成を示す図である。
以下、図面を参照して、本実施の形態を説明する。
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る基板処理装置100の構成を示す模式図である。
図1に示すように、基板処理装置100は、帯状の基板(例えば、帯状のフィルム部材)Sを供給する基板供給部2と、基板Sの表面(被処理面)Saに対して処理を行う基板処理部3と、基板Sを回収する基板回収部4と、これらの各部を制御する制御部CONTと、を有している。
基板処理部3は、基板供給部2から基板Sが送り出されてから、基板回収部4によって基板Sが回収されるまでの間に、基板Sの表面に各種処理を実行するための基板処理装置100を備える。この基板処理装置100は、基板S上に例えば有機EL素子、液晶表示素子等の表示素子(電子デバイス)を形成する場合に用いることができる。
なお、本実施形態では、図1に示すようにXYZ座標系を設定し、以下では適宜このXYZ座標系を用いて説明を行う。XYZ座標系は、例えば、水平面に沿ってX軸及びY軸が設定され、鉛直方向に沿って上向きにZ軸が設定される。また、基板処理装置100は、全体としてX軸に沿って、そのマイナス側(−側)からプラス側(+側)へ基板Sを搬送する。その際、帯状の基板Sの幅方向(短尺方向)は、Y軸方向に設定される。
基板処理装置100において処理対象となる基板Sとしては、例えば樹脂フィルムやステンレス鋼などの箔(フォイル)を用いることができる。例えば、樹脂フィルムは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、などの材料を用いることができる。
基板Sは、比較的高温(例えば200℃程度)の熱を受けても寸法が実質的に変わらない(熱変形が小さい)ように熱膨張係数を小さくすることができる。例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合して熱膨張係数を小さくすることができる。無機フィラーの例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素などが挙げられる。
基板Sの幅方向(短尺方向)の寸法は例えば1m〜2m程度に形成されており、長さ方向(長尺方向)の寸法は例えば10m以上に形成されている。勿論、この寸法は一例に過ぎず、これに限られることは無い。例えば基板SのY方向の寸法が1m以下、又は50cm以下であっても構わないし、2m以上であっても構わない。また、基板SのX方向の寸法が10m以下であっても構わない。
基板Sは、可撓性を有するように形成されている。ここで可撓性とは、基板に自重程度の力を加えても線断したり破断したりすることはなく、その基板を撓めることが可能な性質をいう。また、自重程度の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。また、上記可撓性は、その基板の材質、大きさ、厚さ、又は温度などの環境、等に応じて変わる。なお、基板Sとしては、1枚の帯状の基板を用いても構わないが、複数の単位基板を接続して帯状に形成される構成としても構わない。
基板供給部2は、例えばロール状に巻かれた基板Sを基板処理部3へ送り出して供給する。この場合、基板供給部2には、基板Sを巻きつける軸部やその軸部を回転させる回転駆動装置などが設けられる。この他、例えばロール状に巻かれた状態の基板Sを覆うカバー部などが設けられた構成であっても構わない。なお、基板供給部2は、ロール状に巻かれた基板Sを送り出す機構に限定されず、帯状の基板Sをその長さ方向に順次送り出す機構を含むものであればよい。
基板回収部4は、基板処理部3が備える基板処理装置100を通過した基板Sを例えばロール状に巻きとって回収する。基板回収部4には、基板供給部2と同様に、基板Sを巻きつけるための軸部やその軸部を回転させる回転駆動源、回収した基板Sを覆うカバー部などが設けられている。代替的及び/又は追加的に、基板処理部3において基板Sがパネル状に切断される場合などには例えば基板Sを重ねた状態に回収するなど、基板回収部4は、ロール状に巻いた状態とは異なる状態で基板Sを回収する構成であっても構わない。
基板処理部3は、基板供給部2から供給される基板Sを基板回収部4へ搬送すると共に、搬送の過程で基板Sの被処理面Saに対して処理を行う。基板処理部3は、処理装置10及び搬送装置20を有している。
図2は、処理装置10及び搬送装置20の構成を示す図である。
図2に示すように、処理装置10は、露光装置EXを有している。
なお、処理装置10としては、露光装置EXの他に、基板Sの被処理面Saに対して例えば有機EL素子を形成するための各種装置が設けられた構成であっても構わない。
このような装置としては、例えば被処理面Sa上に隔壁を形成するための隔壁形成装置、電極を形成するための電極形成装置、発光層を形成するための発光層形成装置などが挙げられる。より具体的には、液滴塗布装置(例えばインクジェット型塗布装置など)、成膜装置(例えば鍍金装置、蒸着装置、スパッタリング装置)、現像装置、表面改質装置、洗浄装置、パターン修正装置などが挙げられる。これらの各装置は、基板Sの搬送経路に沿って適宜設けられる。
露光装置EXは、照明装置IL、マスクステージMST、投影光学系PL及び基板ステージSSTを有している。照明装置ILは、マスクステージMSTに保持されたマスクMに対して露光光ELIを照明する。マスクステージMSTは、不図示のパターンが形成されたマスクMを保持して移動可能に設けられている。
投影光学系PLは、マスクMに形成されるパターンを介した露光光ELIの像を投影領域PAに投影する。基板ステージSSTは、基板Sが投影領域PAを通過するように、この基板Sを案内する。基板ステージSSTは、基板Sのうち被処理面Saの反対側の裏面Sbを支持する支持面15を有している。支持面15は、XY平面に平行となるように平坦に形成されている。
露光装置EXは、投影領域PAに投影される像の形状やX方向及びY方向の位置を調整する補正機構50を有している。補正機構50は、投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち一部の光学素子、例えば、屈折素子(レンズ、平行平板等)や反射素子を移動(微動)させる駆動装置50aを備える。
例えば、駆動装置50aは、制御部CONTの制御によって、屈折素子又は反射素子を移動又は傾斜させることによって、投影領域PAに投影される像の形状や位置を調整することができる。
また、投影光学系PLが反射素子を備える場合、駆動装置50aは、投影領域PAに投影される像の形状を調整するために、反射素子の反射面を変形させてもよい。
さらに、露光装置EXには、基板Sの幅方向(Y方向)の両側に形成されたアライメントマーク等を検出する為のアライメントセンサー(顕微鏡対物レンズ、撮像素子等を含む)29が設けられている。
図3は、基板Sの被処理面Saを見たときの構成を示す図である。
図3に示すように、露光装置EXは、Y方向に4つの投影光学系PLを有しており、投影領域PAはY方向に4つ形成される。上記の補正機構50は、各投影光学系PLについて設けられている。したがって、各投影領域PAにおいて投影される像のX方向及びY方向の位置や形状が、これらの投影領域PAごとに独立して調整可能である。
図2に戻って、搬送装置20は、搬送部21、位置検出部22、算出部23及び補正機構60を有している。
搬送部21は、基板Sが基板ステージSST上を移動するように基板Sを搬送する。搬送部21は、上流側ローラー24、下流側ローラー25、上流側エアパッド26及び下流側エアパッド27を有している。
搬送部21は、上流側ローラー24及び下流側ローラー25を用いて基板Sにテンションを加えつつ、この基板Sを搬送する。制御部CONTは、上流側ローラー24及び下流側ローラー25による基板Sの搬送速度を調整可能である。
上流側ローラー24は、処理装置10に対して基板Sの搬送方向の上流側に配置されている。上流側ローラー24は、基板SをZ方向に挟むニップローラー24A及び24Bを有している。下流側ローラー25は、処理装置10に対して基板Sの搬送方向の下流側に配置されている。下流側ローラー25は、基板SをZ方向に挟むニップローラー25A及び25Bを有している。
上流側エアパッド26は、処理装置10に対して基板Sの搬送方向の上流側に配置されている。上流側エアパッド26は、基板ステージSSTの−X側端部に配置されている。
上流側エアパッド26は、第一パッド26A及び第二パッド26Bを有している。第一パッド26Aは、基板Sの+Z側に配置されており、基板Sの被処理面Saとの間に気体層を形成する。第二パッド26Bは、基板Sの−Z側に配置されており、基板Sの裏面Sbとの間に気体層を形成する。
下流側エアパッド27は、処理装置10に対して基板Sの搬送方向の下流側に配置されている。下流側エアパッド27は、基板ステージSSTの+X側端部に配置されている。
下流側エアパッド27は、第一パッド27A及び第二パッド27Bを有している。第一パッド27Aは、基板Sの+Z側に配置されており、基板Sの被処理面Saとの間に気体層を形成する。第二パッド27Bは、基板Sの−Z側に配置されており、基板Sの裏面Sbとの間に気体層を形成する。
このように、搬送部21は、上流側ローラー24及び下流側ローラー25によって基板Sにテンションを加えつつ、上流側エアパッド26と下流側エアパッド27とで、基板Sの被処理面Sa及び裏面Sbを非接触状態で支持する。このため、基板Sは、基板ステージSSTの支持面15において、非接触状態で、この支持面15に支持されるようになっている。
位置検出部22は、基板Sの変形量や位置ずれ量を含む位置情報を検出する。位置検出部22は、光源を備えた照明系31、光透過反射部材32、光反射部材33、プリズム34、プリズム35、導光部材36、光検出部37を有している。
レーザ等の可干渉性のビームを放射する光源とビーム整形光学素子等を含む照明系31からの光は、Y方向に伸びたスリット状の光(スリット光L)に成形されて、+X方向に射出される。光透過反射部材32は、照明系31から射出されたスリット光Lのうち一部(第一スリット光L1)を基板Sに向けて(−Z方向)に反射すると共に、一部(第二スリット光L2)を透過する。光反射部材33は、光透過反射部材32を透過した第二スリット光L2を基板Sに向けて(−Z方向)に反射する。
プリズム34は、光透過反射部材32で反射された第一スリット光L1の進行方向を+X側に傾ける。プリズム35は、光反射部材33で反射された第二スリット光L2の進行方向を−X側に傾ける。プリズム34及びプリズム35により、第一スリット光L1及び第二スリット光L2は、同一の照射領域LA(Y方向にスリット状に伸びた領域)に照射される。この照射領域LAにおいては、互いに光路長の異なる第一スリット光L1及び第二スリット光L2がX方向に関して所定角度で交差しているため、X方向にピッチを持つ1次元の干渉縞(以下、干渉光とする)L3が形成される。
なお、このように、二光束干渉方式で被照射面に干渉縞を形成して位置計測する装置は、例えば、米国特許第4710026号に開示されている。
導光部材36は、照射領域LAにおいて形成された干渉光L3のうち+Z方向に反射した光成分L4をそのまま+Z方向へ導光する。光検出部37は、導光部材36によって導光された光成分L4を検出する。算出部23は、光検出部37における検出結果に基づいて、基板Sの位置情報を算出する。算出部23における算出結果は、制御部CONTへ送信されるようになっている。
なお、図3に示すように、位置検出部22は、基板Sの搬送方向(X方向)に交差する方向(Y方向)の2箇所に設けられている。したがって、照射領域LAは、基板SのうちY方向の2箇所に形成されるようになっており、これらの2箇所の照射領域LAにおいて基板Sの位置情報を検出可能になっている。なお、照射領域LAは、一例として、基板Sのうち配線等の回路用パターンが形成されるパターン形成領域PTの+Y側端部及び−Y側端部に1箇所ずつ設定されている。
補正用制御系60は、位置検出部22の検出結果に基づいて推定される基板Sの変形や位置ずれのうち少なくとも一方を、制御部CONTを介して補正する。補正用制御系60は、上流側ローラー24や下流側ローラー25などの位置や姿勢、搬送速度などを個別に調整することで、基板S上のパターン形成領域の2次元的な歪みを補正する。
上記のように構成された基板処理装置100は、制御部CONTの制御により、ロール方式によって有機EL素子、液晶表示素子などの表示素子(電子デバイス)を製造する。
以下、上記構成の基板処理装置100を用いて表示素子を製造する工程を説明する(図1参照)。
まず、不図示のローラーに巻き付けられた帯状の基板Sを基板供給部2に取り付ける。
制御部CONTは、基板供給部2からこの基板Sが送り出されるように、不図示のローラーを回転させる。そして、基板処理部3を通過したこの基板Sを基板回収部4に設けられた不図示のローラーで巻き取らせる。この基板供給部2及び基板回収部4を制御することによって、基板Sの被処理面Saを基板処理部3に対して連続的に搬送することができる。
制御部CONTは、基板Sが基板供給部2から送り出されてから基板回収部4で巻き取られるまでの間に、基板処理部3の搬送装置20によって基板Sをこの基板処理部3内で適宜搬送させつつ、処理装置10によって表示素子の回路用パターンを含む構成要素を基板S上に順次形成させる。この工程の中で、露光装置EXによって処理を行う際、基板S上に形成される回路用パターンに露光パターンを重ね合わせて形成する場合がある。
本実施形態によれば、露光処理に先立ち、既に基板Sに形成された回路用パターンの状態に基づいて基板Sの変形量や位置ずれ量などの位置情報を算出し、この算出結果に応じて基板Sの変形及び位置ずれや露光光ELIの投影領域PAの形状や位置などを調整することにより、露光処理の精度(重ね合わせ精度等)を向上させることができる。
図4を参照して、基板Sの位置情報の検出について説明する。
図4に示すように、基板Sのうち被処理面Saには、例えば上記の処理による前工程で、例えばAMOLEDディスプレーの表示部の回路用パターン30が形成されている。回路用パターン30は、例えば配線部30aと共にTFT用の微細構造パターン部30bを有している。配線部30aは、基板Sの搬送方向(X方向)に交差する方向(Y方向)に沿って一列に複数形成されている。また、この配線部30aの列は、基板Sの搬送方向(X方向)に等間隔に複数形成されている。
また、TFT用の微細構造パターン部30bは、ディスプレーの各画素毎に数個のTFT用パターンが密集した部分であり、通常はXY方向に数μm〜数十μm程度の線幅のパターンが複数並んでいる。
このように、ディスプレーの表示部における画素はX方向、Y方向に一定のピッチで配列されるため、配線部30aや微細構造パターン部30bもX,Y方向に一定ピッチで形成されている。
図2、図3にて説明したように、照射領域LAには干渉光(干渉縞)L3が照射されているが、その干渉縞のX方向のピッチは、一例として、微細構造パターン部30bの線幅やパターンピッチに対応して決められる。
即ち、図4中の被処理面Sa上のX方向において、微細構造パターン部30bが形成された領域PT1と、それ以外の疎なパターン構成となる配線部30aが形成された領域PT2とに分けてみると、干渉光(干渉縞)L3が領域PT1に照射されている間は光検出部37に向けて比較的強い散乱光或いは回折光が発生し、領域PT2に照射されている間は相対的に弱い散乱、回折光のみが発生するようにすることができる。
各画素を構成する回路パターン30の構成(XY面内の形状やZ方向の凹凸構造)は基本的にどこでも同一であるが、回路パターン30内でみると、それらのXY面内での形状の微細度や凹凸構造の微細度には特定の分布がある。そこで、被処理面Sa上にマトリックス状に形成される複数の画素構成パターン(回路パターン30)のうち、適当な間隔で位置する少なくとも2ヶ所の検出ポイントで、回路パターン30内での微細度の分布(密集度)を検出すれば、被処理面SaのX方向(又はY方向)の位置ずれ、XY面内での傾き、X方向の伸縮等が計測できる。さらに、検出ポイントを3つ以上にすることにより、被処理面Saの検出ポイントで囲まれた領域におけるXY面内での2次元的な歪み(画素配列の歪み)も計測可能となる。
2箇所の照射領域LAに照射された干渉光L3は、基板Sの画素内の回路用パターン30の形状(段差構造やパターン材料の屈折率差等)に応じて透過したり、回折したり、散乱若しくは反射したりする。このうち、+Z側に散乱若しくは反射した光成分L4は、導光部材36によって光検出部37へと導光される。光検出部37は、光成分L4の強度を検出する。
光検出部37における検出結果は、例えば図4に示す2つのグラフのようになる。これらの2つのグラフは、各照射領域LAにおける検出結果を示すグラフである。グラフの縦軸は光成分L4の光強度を示しており、グラフの横軸は干渉光L3と基板Sの相対的なX方向位置を示している。2つのグラフに示すように、例えばパターンが比較的密に形成された領域PT1においては、光成分L4の光強度が大きくなる。また、パターンが比較的疎に形成された領域PT2においては、光成分L4の光強度が小さくなる。
基板Sには画素の回路用パターン30が搬送方向(X方向)に繰り返して形成されていると共に、Y方向に一列に並んで形成されている。このため、基板Sに変形や位置ずれ(XY面内での傾き等)が生じていない場合には、2つの位置検出部22における検出結果としては、同一の波形の繰り返しが同位相で検出されることになる。
これに対して、例えば基板Sに変形や位置ずれが生じている場合、その基板Sの変形や位置ずれに応じて画素の回路用パターン30の配列や位置にも変化(歪み)が生じる。例えば、基板Sに非等方的な伸縮が生じている場合、X方向の位置が一致している2つの照射領域LAに対して、画素の回路用パターン30の位置が異なり、2つの位置検出部22の間で検出される波形のピーク位置等に位相差が生じることになる。また、極端な場合、基板Sの一部に発生した局所的なシワにより、その領域に含まれる画素の回路用パターン30が微少に変形したりする場合もある。そのような場合も、2つの位置検出部22の各々で検出される波形の違いや周期性の相違(乱れ等)を計測することで、そのような状況を推定することも可能である。
算出部23では、2つの位置検出部22における検出結果に基づいて、基板Sの変形量及び位置ずれ量が算出される。算出部23での算出結果は、制御部CONTに送信される。制御部CONTは、算出部23の算出結果に基づき、補正用制御系60を用いて基板Sの変形及び位置ずれを調整させる。また、制御部CONTは、算出部23の算出結果に基づき、補正機構50の姿勢や、X方向及びY方向の位置を変化させ、投影領域PAに投影される像の形状、X方向及びY方向の位置を調整する。
制御部CONTは、このような位置情報の検出を基板Sの搬送方向(X方向)について等間隔おきに複数回行わせる。制御部CONTは、この複数回の検出において基板Sの変形や位置ずれが検出された場合には、補正用制御系60や露光装置EX内の補正機構50を用いて基板Sの形状及び位置や、投影領域PAに投影される像の形状及び位置を補正させる。
以上のように、本実施形態に係る搬送装置20は、回路用パターン30が形成された帯状の基板Sを搬送する搬送装置20と、回路用パターン30のうち、基板Sの搬送方向(X方向)と交差する方向(Y方向)における少なくとも2箇所の照射領域LAを、搬送方向に関して複数回検出する位置検出部22と、前記位置検出部22の検出結果に基づいて、搬送方向における基板Sの変形又は位置ずれに関する情報を算出する算出部23と、算出部23で算出された結果に基づいて、基板Sの変形又は位置ずれを補正する補正用制御系60とを備えるので、基板Sに変形や位置ずれが生じる場合であっても、帯状の基板Sを高精度に搬送することができる。
また、本実施形態に係る基板処理部3は、上記の搬送装置20と、前記搬送装置20によって搬送される基板Sのうち、回路用パターン30が形成された被処理面Saに対して処理を行う処理装置10とを備え、搬送装置20が備える補正用制御系60は、処理装置10に対して、被処理面Saの変形又は位置ずれの少なくとも一方を補正することとしたので、基板Sに形成される回路用パターン30の重ね合わせの精度を高めることができる。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、位置検出部22の照明系31から射出されたスリット光Lを2つに分けて干渉させ干渉光(干渉縞)L3を照射領域LAに照射することで回路用パターン30を検出する構成としたので、画素のような繰り返しパターン構造であれば、被処理面Sa上のどの部分であっても、位置検出部22からの干渉光L3を照射して同様の計測が可能である。したがって、Y方向の3ヶ所以上に位置検出部22(照射領域LA)を並べてもよい。或いは、基板Sの送り方向であるX方向の複数位置に位置検出部22(照射領域LA)を並べてもよい。
位置検出部22(照射領域LA)をXY方向の各々に複数個配置すれば、被処理面Saの変形状態が、基板SをX方向に送りつつリアルタイムに逐次計測可能である。
また、上記実施形態における干渉光L3の照射領域LAのX方向の幅(干渉縞が形成される幅)は、被処理面Sa上に形成される画素のX方向のピッチ程度(例えば300μm前後)に設定され、干渉縞のピッチは数μm程度に設定されるが、これに限られることなく、X方向の幅が数μmでY方向の長さが数mm程度の単一のスリット光を被処理面Saに照射する方式、或いはそのようなスリット光を画素ピッチの間隔でX方向に複数本並べて照射し、各スリット光の照射により回路用パターン30から発生する散乱光や回折光を共に光電検出する方式、でも良い。
また、上記実施形態では、位置検出部22が照射領域LAに照射された干渉光L3のうち+Z方向に進行した散乱光の光成分L4を検出する構成としたが、これに限られることは無く、例えば照射領域LAにおいて回折されて、+Z方向以外の方向に進む回折光(又は散乱光)を検出する構成としても構わない。
また、図2では、基板ステージSSTの支持面15を平面としたが、露光装置EXの形態によっては、基板ステージSSTを回転ドラムで構成し、その回転ドラムに基板Sを巻き付けて搬送しつつ、回転ドラムに巻き付いた状態で基板Sa(デバイス形成領域)の変形を計測して露光する形態においても、同様に第一の実施形態を適用することが可能である。
また、上記実施形態において、露光装置として投影光学系PLを用いた露光装置EXを例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、例えば、プロキシミティ方式の露光装置や、コンタクト方式の露光装置であっても良い。
また、上記実施形態において、露光装置のマスクとして、平板型のマスクMを用いた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、円筒状に形成されたドラムマスクを用いても良い。
〔第二実施形態〕
次に、図5〜図7Bを参照して、第2の実施形態の構成と動作を説明する。第2の実施形態では、図5(a)に示すように、基板S上にY方向(基板の幅方向)に所定間隔をあけて投射される複数の干渉縞(縞のピッチ方向がX方向)LA1,LA2,LA3の各々の相対位置関係を、予め精密に把握する為の較正機構を設ける。
図5(a)はXY面内で見た装置構成で、図5(b)はXZ面内で見た装置構成である。本実施例では、基板S上に有機ELディスプレーの表示パネル用のパターン領域PTが、基板Sの搬送方向(X方向)に、一定の余白領域TAを挟んで複数形成されている。また、本実施例では、基板Sの母材を透過性の樹脂フィルム、極薄ガラスシート等とし、余白領域TAには遮光性のパターンが形成されていないものとする。
図5(a)において、先の図2と同様、基板Sはニップローラ24a,24bの組とニップローラ25a,25bの組とによって、X方向に所定のテンションで水平に搬送される。基板S上に設定される露光領域Exa内には、マルチレンズ方式の投影光学系PLによる台形状の投影領域PAの複数が千鳥配置される。基板Sの露光領域Exaの下側には、基板Sを平坦に支持する平面ステージSSTが配置される。図5では、4個の投影光学系PLをY方向に並べたマルチレンズ方式が示されている。
各投影光学系PL内には、投影領域PA内に投影されるマスクのパターン像の位置を、XY方向に±数μm程度の範囲で微動させる光学素子G2(以下、像シフターG2とする)と、投影領域PA内に投影されるマスクのパターン像の投影倍率を±数十ppm程度の範囲で調整する光学素子G1(以下、倍率補正器G1とする)とが設けられている。
露光領域の手前には、Y方向に離間した3ヶ所に、干渉縞LA1、LA2、LA3を投射する3つの計測装置FD1〜FD3が設けられ、基板S上の計測装置FD1〜FD3による計測領域の下側には、図5(b)に示すように、Y方向に細長い平坦なトッププレートTP、それを支える台座ST1、ST2、Y方向に延びたガイド付リニアモータ台座ST3、そのリニアモータ台座ST3の上でY方向に直線移動する計測ステージMH、とが設けられている。
計測ステージMHは、通常は、Y方向の最も端の位置に退避しているが、較正動作(キャリブレーション)時には、基板Sの余白領域TAを透過してくる干渉縞LA1、LA2、LA3の各々をセンサー部で受光するように、基板Sの下側の空間をリニアモータによりY方向に移動する。
図6A、6Bは、ガイド付リニアモータ台座ST3と計測ステージMHの詳細な構成を示している。台座ST3には、Y方向に直線的に延びた横ガイド面(YZ面と平行)を備えたリニアモータLMGが設けられている。計測ステージMHは、台座ST3の上面と横ガイド面に沿ってコロベアリングやエアベアリングで支持されて、リニアモータLMGの推力によりY方向に移動する。
計測ステージMHの上面には、3つのセンサー部SU1、SU2、SU3が設けられている。センサー部SU1、SU2は同じ構成のもので、1ヶ所の干渉縞LA1(又はLA2、LA3)の照射領域内に、センサー部SU1、SU2が共に入るようなY方向間隔で配置される。センサー部SU1、SU2は、一例として、投射される干渉縞LA1(又はLA2、LA3)のピッチ方向に対応した透過型格子が形成されたガラス板と、その下に埋設された光電素子とで構成される。その他、センサー部SU1、SU2としては、単に干渉縞LA1(又はLA2、LA3)の一部を撮像するCCD素子であっても良い。
3つ目のセンサー部SU3は、基板S上のパターン領域PTのY方向の外側等に、X方向に一定の間隔で形成されるアライメントマーク、或いはX方向に細線状に連続的に形成されたラインパターン等を光電検出するものである。アライメントマークやラインパターンは、製造プロセスの初期段階で、基板Sの上面(被加工面)或いは下面に形成される。
センサー部SU1、SU2の各受光面は、Y方向に離れているが、1ヶ所の干渉縞LA1(又はLA2、LA3)の照射領域内には位置するので、センサー部SU1、SU2の各信号を解析することで、1ヶ所の干渉縞LA1(又はLA2、LA3)のXY面内での残留回転誤差成分がわかる。すなわち、干渉縞LA1(又はLA2、LA3)のピッチ方向がX方向からどの程度傾いているかが判る。
干渉縞LA1(又はLA2、LA3)のXY面内での残留回転誤差は、計測装置FD1(又はFD2、FD3)全体を、XY面内で微小回転させて修正しても良いし、計測装置FD1(又はFD2、FD3)内部の特定の光学素子を微小回転させて修正しても良い。
計測ステージMHのX方向の側部には、各センサー部SU1、SU2、SU3への給電、検出信号の取出し等の為の電線、或いはエアベアリングの為のエア供給用のチューブ等を、リボン状に束ねたケーブル束WHが設けられる。
計測ステージMHのY方向移動の直線性は、リニアモータLMGの横ガイド面(YZ面と平行)の機械加工精度に依存するが、ヨーイング等の発生を考慮して、計測ステージMHのY方向位置を、2つのレーザ測長干渉計RV1、RV2で計測する。そのため、計測ステージMHのY方向の端部には、レーザ測長干渉計からのビームを受けるコーナーキューブCB1、CB2が固設される。レーザ測長干渉計RV1、RV2は、Y方向だけしか計測しない場合があるので、2つのコーナーキューブCB1、CB2は、単なる平面鏡であっても良い。
2つのレーザ測長干渉計RV1、RV2は、いずれも、計測ステージMHのY方向の位置を計測するが、コーナーキューブCB1、CB2がX方向にΔXcbだけ離れていることから、その計測位置(測長量)に差分ΔLyが生じれば、それがヨーイング成分(計測ステージMHのXY面内での回転誤差)Δθzとして計測される。即ち、sin(Δθz)=ΔLy/ΔXcbの関係から、ヨーイング誤差が演算できる。
また、2つのレーザ測長干渉計RV1、RV2の計測位置の平均値を計測ステージMHの現在位置として、リニアモータLMGの推力をフィードバック制御することにより、計測ステージMHをY方向に精密に移動させたり、目標位置に位置決めしたりすることができる。
尚、図6Bに示すように、各センサー部SU1、SU2、SU3の受光面のZ方向の高さ位置Fpは、図5(b)に示したトッププレートTPの上面と同一に設定され、トッププレートTPには、センサー部SU1、SU2、SU3の移動軌跡に対応したスロット状の開口が形成されている。また、トッププレートTPの上面には、微細な気体噴出孔と吸引孔が無数に形成され、その上の基板Sを流体ベアリングで支持する構成を備えている。
図6A、6Bに示すような計測ステージMH(センサー部SU1〜SU3)のY方向の移動軌跡内に、基板Sの余白領域TAが位置した状態のとき、即ち、余白領域TAが3ヶ所の干渉縞LA1〜LA3の投射位置にもたらされたとき、計測ステージMH(センサー部SU1〜SU3)は、3ヶ所の干渉縞LA1〜LA3の各投射位置の下に順次移動して、各干渉縞LA1〜LA3の残留回転誤差を計測すると共に、3ヶ所の干渉縞LA1〜LA3のX方向(ピッチ方向)の相対位置誤差を計測する。
干渉縞の相対位置誤差の計測の際、計測ステージMHは、一時的に各干渉縞LA1〜LA3の投射位置で静止するが、その静止位置で生じる計測ステージMHのヨーイング成分Δθzに起因した誤差が、レーザ測長干渉計RV1、RV2の計測結果に基づいて補正される。
3ヶ所の干渉縞LA1〜LA3の投射位置に計測ステージMHを位置決めして、各干渉縞の位置を計測する時間は、極めて短時間に行なわれる。一例として、1ヶ所の干渉縞LAの計測時間が0.5秒、計測ステージMHが隣りの干渉縞まで移動する時間が0.8秒だとすると、トータルの計測時間は、0.5秒×3+0.8秒×2=3.1秒となる。従って、基板Sの搬送速度を5cm/秒とすると、余白領域TAのY方向の幅は、余裕を持たせて16cmあれば良いことになる。
このような干渉縞の相対位置誤差の計測によるキャリブレーション動作は、基板S上の全ての余白領域TAで行なう必要はなく、例えば、5個又は10個のパターン領域TPが通過する毎に1回行なうようにしても良い。従って、キャリブレーション動作を行なうべき余白領域TPでは、一例としてその幅を16cm以上にし、その他の余白領域TPの幅は、例えば5cm程度にしても良い。
以上のようにして、3ヶ所の干渉縞LA1〜LA3の相対位置関係の誤差を求めるキャリブレーションが行なわれた計測装置FD1〜FD3を使って、先の図2〜図4の説明と同様に、パターン領域TP内に形成された周期的な微細パターン構造のXY面内での歪み(変形)が求められる。
基板S上のパターン領域TPに、投影光学系PLを介して重ね合せすべきパターン像を投影して走査露光する際は、計測装置FD1〜FD3で計測されたパターン領域TP内の局所的な歪みに応じて、投影光学系PL内の倍率補正器G1や像シフターG2を基板SのY方向への移動に同期させて駆動することで、重ね合せ精度を大きく向上させることが可能となる。
図7A、7B、図8は、図5に示した計測装置FD1〜FD3の構造を示したもので、ここでは代表して、計測装置FD1の構成を示す。
図7Aは、XZ面内で見た配置、図7BはYZ面内で見た配置であり、図8はレーザ光源100から2光束ビームに分割するまでの系をXY面内で見た配置である。
図8のレーザ光源100は、例えば、可干渉性の高い波長633nmのHe−Neレーザ源、ビームエクスパンダー光学系、ビーム断面形状の成形光学系等で構成され、断面を長方形にされたレーザビームはビームスプリッタ102で分割され、その一方の透過光は、直角プリズムミラー104の頂角に入射する。
直角プリズムミラー104の頂角で2つに分割されたビームの一方は、ビームL1としてミラー103aで反射されて、中央に開口部106aが形成されたミラー106の反射面でZ軸方向に反射される。直角プリズムミラー104の頂角で分割されたビームの他方は、ビームL2としてミラー103bで反射されて、ミラー106の反射面でZ軸方向に反射される。
図7A、7Bに示すように、ミラー106で反射されたビームL1、L2は、各々、YZ面内で負のパワーを持ち、XZ面内では平行平板であるシリンドリカルレンズ108a、108bに入射し、ここで、YZ面内でのみビームL1、L2の幅が発散して広げられる。ビームL1、L2は、YZ面内で正のパワーを持ち、XZ面内では平行平板であるシリンドリカルレンズ110a、110bを通って、YZ面内では一定幅の平行光となる。その後、ビームL1、L2は、XZ面内で負のパワーを持ち、YZ面内では平行平板であるシリンドリカルレンズ112a、112bによってXZ面内でビーム幅を拡散され、XZ面内で正のパワーを持ち、YZ面内では平行平板であるシリンドリカルレンズ114に入射する。
シリンドリカルレンズ114から基板Sに向けて射出されるビームL1、L2は、基板Sの表面の法線に対して対称的な角度に傾いた平行光束となって基板S上に斜めに投射される。これによって、基板S上には、X方向に周期的な干渉縞LA1(ピッチPf)が生成される。干渉縞LA1の基板S上の照射領域は、一例として、Y方向に20mm、X方向に150μm程度に設定されるが、X方向の幅はこれより小さくても良く、Y方向の長さはそれよりも長くても良い。
干渉縞LA1のX方向の幅は、先の図4に示したような基板S上のパターン構造(画素ピッチ等)に応じて決められるが、検出される光電信号のレベルが所定の強弱を伴って変化する波形となるように設定される。一般に、大画面のディスプレー(50インチクラス)では、1画素は300〜450μm角となり、RGBの色毎のサブピクセルは、短辺100〜150μm、長辺300〜450μmといった寸法となる。
図4に示した基板S上の画素領域では、Y方向にRGBのサブピクセル(30a、PT2)が並ぶようにしたので、各サブピクセル毎のTFT部分(30b、PT1)は、X方向に300〜450μmのピッチで配列することになる。ディスプレーの構造によっても異なるが、TFT部分(30b、PT1)が占める領域は1画素分の領域に比べて小さく、例えば、図4の場合のように、X方向では1/3以下となる。従って、例えば、線幅10μm以下の微細構造が密集したTFT部分(30b、PT1)はX方向に100μm程度の幅で、200〜350μmのサブピクセル部(30a、PT2)を挟んで、X方向に繰り返し分布することになる。
このようなディスプレー構造の場合、干渉縞LA(LA1〜LA3)の照射領域のX方向の寸法は、50〜150μm程度とすることができ、干渉縞LA(LA1〜LA3)のピッチPfは、数μm以下とすることができる。干渉縞LA(LA1〜LA3)のピッチPfは、基板S上で交差するビームL1、L2の交差角と波長によって一義的に決まる。
基板Sの表面と垂直な法線に対するビームL1、L2の傾き角(入射角)を±θfとすると、干渉縞LA(LA1〜LA3)のピッチPfは、ビームL1、L2の波長をλとして、以下の式(1)で表される。
Pf=λ/2sin(θf) ・・・ (1)
一例として、波長λが633nmの場合、干渉縞Pfのピッチを3μmにするには、sin(θf)≒0.106とすれば良く、入射角θfは約6度となる。
干渉縞LA(LA1〜LA3)は、本実施形態では、X方向の幅が1〜数μmで、Y方向の長さが数十mmのスリット光を、X方向にピッチPfで複数本並べたものと同様に機能する。即ち、X方向の幅が極めて狭いスリット光であれば、微細構造が密集したTFT部分(30b、PT1)から、回折・散乱光が多く発生し得るが、1本のスリット光よりも複数本のスリット光を並べることで、より多くの回折・散乱光を発生させることができ、信号検出時のS/Nを向上させることができる。勿論、原理的には1本のスリット光であっても良い。
干渉縞LA(LA1〜LA3)の照射によって基板Sから発生する回折・散乱光のうち、法線方向(Z方向)に発生する回折・散乱光L3は、シリンドリカルレンズ114、シリンドリカルレンズ112c、シリンドリカルレンズ110c、シリンドリカルレンズ108cを通り、ミラー106の開口部106aを透過して光電センサー120に達する。シリンドリカルレンズ112c、110c、108cは、ビームL1(L2)の送光用のシリンドリカルレンズ112a(112b)、110a(110b)、108a(108b)と実質的に同じものである。
光電センサー120は、干渉縞LA(LA1〜LA3)の照射領域内からZ方向に発生する回折・散乱光L3の全体を集光し、その総光量に対応したレベルの信号を出力する。
基板Sが干渉縞LA(LA1〜LA3)の照射領域に対して、一定の速度でX方向に移動することにより、光電センサー120からは、図4に示したのと同様に、その相対位置の変化に応じて強度変化する信号が得られる。
また、図7A、7Bのように、基板Sに下で干渉縞LA(LA1〜LA3)の照射領域内にセンサー部SU1、SU2が位置している状態では、センサー部SU1、SU2内の各光電センサーが干渉縞LA(LA1〜LA3)内のY方向に離れた2ヶ所で干渉縞のピッチ方向(X方向)のずれを計測できるので、干渉縞LA(LA1〜LA3)のXY面内での残留回転誤差(微小な傾き)を知ることができる。
〔第三実施形態〕
図9A、図9Bは、計測装置FD1の他の構成例を示すもので、基板S上に干渉縞LA(LA1〜LA3)を形成する代わりに、Y方向に細長く延びた1本のスリット光SBを形成し、そのスリット光SBの照射により基板S(又はセンサー部SU1、SU2上の格子)から発生する散乱光を、照射領域の直近に配置された光電センサー121、122によって光電検出する構成を示す。
ここでは、レーザ光源からのビームL0が、複数のシリンドリカルレンズ108d、110d、112d、114を介して、断面寸法を一次元にエキスパンドされ、短手方向(Y方向)に集光されたスリット光SBとなって、基板S上に投射される。スリット光SBのY方向の幅Sfは、数μm以下とすることができる。
光電センサー121、122は、シリンドリカルレンズ114の下側でX方向の両側に配置され、基板S上のスリット光SBの照射領域から発生する散乱光や回折光を受光する。光電センサー121、122の受光面は、スリット光SBの長手方向の寸法に合わせて、Y方向に細長くても良い。また、光電センサー122は、図9Bに示すように、Y方向に分離させて、3個の光電センサー122a、122b、122cにしても良い。
[その他の変形例]
図6A、6Bに示した計測ステージMH上には、計測装置FD1〜FD3から投射される干渉縞LA1、LA2、LA3の各々を受光するセンサー部SU1、SU2を設けて、光電検出するものとしたが、センサー部SU1、SU2の上面(受光面)の位置に反射型の回折格子(位相格子)のみを配置し、この反射型回折格子に干渉縞LA1、LA2、LA3が投射されたときに発生する回折・散乱光L3を、計測装置FD1〜FD3内の光電センサー120(図7A、7B、図8)で検出するようにしても良い。
そのような反射型回折格子の格子周期方向は干渉縞LA1、LA2、LA3の周期方向と一致するように配置され、干渉縞のピッチPfと、その反射型回折格子の格子ピッチの関係は、1:1或いは2:1等に設定される。
このように、2光束干渉による干渉縞を反射型回折格子に照射して、位置計測を行なう例は、例えば、特許第2691298号公報に開示されている。
また、反射型回折格子を設ける場合、その格子が形成されている平板部材を、ピエゾアクチュエータ等で、格子周期方向にピッチの1/2程度の振幅で微小振動(周波数fd)させ、周波数fdの変調を受けた光電センサー120(120A〜120C)からの出力信号を同期検波回路等によって検波することにより、平板部材(反射型回折格子)のピッチ方向の振動中心を基準とした各干渉縞LA1、LA2、LA3のピッチ方向の位置を精密に求めることができる。
S…基板 CONT…制御部 Sa…被処理面 EX…露光装置 L…スリット光 LA…照射領域 L1…第一スリット光 L2…第二スリット光 L3…干渉光 L4…光成分 2…基板供給部 3…基板処理部 4…基板回収部 10…処理装置 20…搬送装置 21…搬送部 22…位置検出部 23…算出部 30…回路用パターン 30a…配線部 50、60…補正用制御系 100…基板処理装置。

Claims (10)

  1. 所定周期の繰返しパターン部を含む回路用パターンが形成された帯状の基板を搬送する搬送部と、
    前記搬送部によって前記基板を搬送する間、前記基板の搬送方向と交差する方向における少なくとも2箇所の位置において、前記回路用パターン内の前記繰返しパターン部に対応する検出信号を出力する位置検出器と、
    前記位置検出器の検出結果に基づいて、前記基板の変形又は位置ずれの少なくとも一方に関する情報を算出する算出装置と、
    前記算出装置で算出された結果に基づいて、前記基板の変形又は前記位置ずれの少なくとも一方を補正する補正用制御系と
    を備える基板搬送装置。
  2. 前記位置検出器は、
    前記回路用パターンのうち、前記少なくとも2箇所の位置に対して検出光を照射する光照射部と、
    前記検出光の照射により、前記少なくとも2箇所の位置で発生する散乱光及び回折光のうち少なくとも一方を検出する光検出部とを有し、
    前記算出装置は、前記光検出部の検出結果に基づいて前記情報を算出する
    請求項1に記載の基板搬送装置。
  3. 前記検出光は、前記搬送方向と交差する方向に延び、かつ前記回路用パターンのうち前記少なくとも2箇所の位置を含む一以上のスリット光を含む
    請求項2に記載の基板搬送装置。
  4. 前記光照射部は、前記搬送方向に所定ピッチで生成される干渉縞を前記検出光として投射する可干渉性の光源を含む
    請求項2又は請求項3に記載の基板搬送装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の基板搬送装置と、
    前記基板搬送装置によって搬送される前記基板のうち、前記回路用パターンが形成された被処理面に対して処理を行う処理部とを備え、
    前記基板搬送装置が備える前記補正用制御系は、前記処理部による処理領域において、前記被処理面の変形又は位置ずれの少なくとも一方を補正する
    基板処理装置。
  6. 前記位置検出器は、前記基板の搬送方向に関して前記処理部よりも上流側で、かつ前記回路用パターンのうち前記少なくとも2箇所の位置を検出する
    請求項5に記載の基板処理装置。
  7. 前記処理部は、前記被処理面に対して露光処理を行う
    請求項5又は請求項6に記載の基板処理装置。
  8. 前記処理部は、前記基板の被処理面の局所領域にパターン化された複数の位置に露光光を照射する光学系を有すると共に、前記算出装置で算出された結果に基づいて、前記パターン化された露光光の照射状態を補正する補正機構を備える
    請求項7に記載の基板処理装置。
  9. 前記処理部は、前記基板の被処理面の裏面を支持する基板支持部を更に備える
    請求項5から請求項8のうちいずれか一項に記載の基板処理装置。
  10. 前記基板支持部は、平坦に形成された支持面を有する
    請求項9に記載の基板処理装置。
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