JPWO2012172635A1 - 抗う蝕性組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

非水溶性グルカン形成抑制効果を有し、かつ低酸産生性であるサイクロデキストラン含有組成物を低コストで高効率に製造可能な製造方法を提供することを目的とする。当該製造方法は、サイクロデキストラン合成酵素をデキストラン含有培地に作用させてサイクロデキストラン含有溶液を得て、得られたサイクロデキストラン含有溶液を分子分画400〜800ダルトンのナノフィルトレーション膜(NF膜)処理する。

Description

本発明は、抗う蝕性組成物およびその製造方法並びに当該組成物を利用した抗う蝕性甘味料等に関し、更に詳細には、サイクロデキストランを含有し、優れた抗う蝕性を有する組成物を低コストで製造することが可能な製造方法に関する。
ストレプトコッカス・ミュータンスやストレプトコッカス・ソブリヌスなどのう蝕菌は、グルカン合成酵素の作用により、ショ糖或いはグルコースやフラクトース等の単糖類から非水溶性粘着性のグルカンを作る。この非水溶性グルカンが歯の表面に固着し、これにう蝕菌が付着増殖し歯垢(プラーク)を形成する。更にう蝕菌は乳酸を産生するため歯垢内のpHが酸性に傾き、歯の表面のエナメル質を脱灰し、虫歯が形成される。従って、有効にう蝕を防ぐためには、非水溶性グルカンの形成を抑制し、且つ酸の生成を抑制することが必要である。
う蝕を防ぐために様々な素材について研究がなされ、緑茶抽出物やウーロン茶抽出物、リンゴポリフェノール、ホップ苞ポリフェノールなどのポリフェノール類が抗う蝕性を示すことが報告されている(特許文献1〜4)。また、キシリトールなどの糖アルコール類も抗う蝕性を示すことが知られているが、近年、環状イソマルトオリゴ糖であるサイクロデキストラン(「CI」と略記することがある)が優れた抗う蝕性を有することが見出されている(特許文献5)。また、遺伝子組換え技術を用いて製造したサイクロデキストラン合成酵素をデキストランに作用させて合成する方法も報告されている(特許文献6〜7)。
このサイクロデキストランは、特定のバチルス属微生物によって産生されるが、その産生物には様々な分子量のサイクロデキストランの他、イソマルトオリゴ糖やフラクトースなどの単糖類が含まれる。従来の製造方法においては、サイクロデキストランをクロマト分離により分離精製していたが、設備費及びエネルギーコストが高く製造コストが非常に高くなってしまうという問題があった。一方、産生物をクロマト分離により分離処理せずに混合物のまま用いると、非水溶性グルカンの形成を抑制することができるものの、含有する単糖類により酸が産生されるため、十分な抗う蝕効果を有するとはいえなかった。また本出願人は既に単糖類を酵母によって除去する製造方法について報告しているが、この方法ではミネラル類や、蛋白質、有機酸等の除去ができず、別途これらを除去する工程が必要であり、また処理に長時間を要するという問題があった。
特開平01−9922号公報 特開平03−284625号公報 特開平07−285876号公報 特開平09−295944号公報 特許第340868号公報 特許第3429569号 特許第3487711号 国際公開2010/23742
したがって、非水溶性グルカン合成阻害効果を有し、かつ低酸産生性であるサイクロデキストラン含有糖組成物を低コストで短時間に製造可能な技術の開発が望まれていた。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、サイクロデキストランを含有する糖組成物を特定の分子画分のナノフィルター膜(NF膜)で処理することにより、非水溶性グルカン合成阻害効果を維持しながら、短時間で単糖類の含有量を低下させて酸産生性を著しく低下できるとともに、デキストランやイソマルトオリゴ糖、各種ミネラル成分等を除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、サイクロデキストラン合成酵素をデキストラン含有培地に作用させてサイクロデキストラン含有溶液を得て、得られたサイクロデキストラン含有溶液を分子分画400〜800ダルトンのナノフィルトレーション膜(NF膜)処理することを特徴とする抗う蝕性組成物の製造方法である。
また本発明は、サイクロデキストラン合成酵素をデキストラン含有培地に作用させてサイクロデキストラン含有溶液を得て、得られたサイクロデキストラン含有溶液を分子分画400〜800ダルトンのNF膜で処理することによって得られる抗う蝕性組成物である。
本発明の製造方法によれば、サイクロデキストランを含有する抗う蝕性組成物を低コストかつ短時間で製造することが可能である。また本発明の抗う蝕性組成物は、非水溶性グルカン合成阻害効果が高いとともに、酸産生性が低いため、優れた抗う蝕性を有するものである。
試験例1において、各被験物質のグルカン合成量を示した図である。 試験例2において、実施例1の抗う蝕性組成物の各濃度における各画分のWIG量を示した図である。 試験例3においてpHの変化を示す図である。 実施例2において、菌体量を示した図である。 実施例2において、非水溶性グルカン生成量を示した図である。 実施例2において、pHを示す図である。
本発明において用いられるサイクロデキストラン合成酵素は、デキストランを基質として環状のサイクロデキストランを合成する酵素であり、このサイクロデキストラン(CI)は、7〜33個のグルコースがα−1,6グルコシド結合で環状に連結した環状イソマルトオリゴ糖である(以下、結合するグルコース単位の数に応じて「CI−7」等と略記する場合がある)。
サイクロデキストラン合成酵素は、サイクロデキストランの産生能を有するバチルス属微生物から得ることが出来る。このようなバチルス属微生物としては、例えば、第3075873号特許公報記載のバチルス・エスピーT−3040株(FERM BP−4132)や特開2004−16624号公報に記載のバチルス・エスピー330K株(FERM P−19080)、350K(FERM P−19081)、360K株(FERM P−19082)、860K株(FERM P−19083)などが例示できる。また、上記菌株を公知の変異方法(例えば、川端ら、「食品・臨床栄養」、43−48、VOL.1 2006)によって、サイクロデキストラン合成酵素の産生能を増強させた変異株を使用することも出来る。
上記バチルス属微生物は、デキストラン又はデンプンを含有する培地で培養される。デキストランを用いる場合の培地中のデキストラン濃度は通常0.1〜5w/v%程度である。一方、デンプンを用いる場合、デンプンはどのような由来のもであってもよく、公知方法によりα化して用いる。培地中のデンプンの濃度は、通常0.5〜8w/v%程度である。この培地には、デキストラン又はデンプンの他に炭素源、窒素源、無機塩類等を添加することができる。炭素源としては、該微生物が資化し得るものであればよく、炭水化物(グルコース、マンノース、グリセロール、マンニトール等の糖類等)、有機酸(酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸等)、アルコール類(エタノール、プロパノール等)が用いられる。窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、燐酸アンモニュウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩、又はペプトン、ポリペプトン、トリプトン、酵母エキス、麦芽エキス、肉エキス、コーンスチープリカー等の含窒素化合物が用いられる。無機類としては、リン酸第一カリウム、燐酸第二カリウム、燐酸マグネシュウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が用いられる。デンプン以外の上記培地成分の使用量は微生物の培養に用いられる一般的な培地の例に従い適宜設定できる。このような培地において、通常20〜40℃、16〜144時間、pH6〜8程度の培養条件で培養すればよい。
得られた培養物中に通常サイクロデキストラン合成酵素は菌体外酵素として存在しているため、膜濃縮等の公知手段によって菌体を除去し、濃縮することによってサイクロデキストラン合成酵素を分離取得することが出来る。膜濃縮は、例えば孔径0.1〜0.45μm程度の精密ろ過(MF)膜処理により菌体を除去し、次いで分子分画5,000〜10,000程度の限外ろ過(UF)膜ろ過を行なうことによってサイクロデキストラン合成酵素を分離することが出来る。なお、公知の製造方法(特許第3117328号公報)によって得られるサイクロデキストラン合成酵素を使用することも可能であるが、公知の遺伝子組換え技術を用いてサイクロデキストラン合成酵素遺伝子を組み込んだ大腸菌等により発現させたものを用いてもよい。
かくして得られたサイクロデキストラン合成酵素をデキストラン含有培地に作用させる。培地中のデキストラン濃度は通常0.1〜5w/v%程度であり、デキストランの他に炭素源、窒素源、無機塩類等を添加することができる。炭素源としては、該微生物が資化し得るものであればよく、炭水化物(グルコース、マンノース、グリセロール、マンニトール等の糖類等)、有機酸(酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸等)、アルコール類(エタノール、プロパノール等)が用いられる。窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、燐酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩、又はペプトン、ポリペプトン、トリプトン、酵母エキス、麦芽エキス、肉エキス、コーンスチープリカー等の含窒素化合物が用いられる。無機塩類としては、燐酸第一カリウム、燐酸第二カリュム、燐酸マグネシユム、硫酸マグネシュム、塩化ナトリュム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシュウム、塩化マンガン等が用いられる。デキストラン以外の上記培地成分の使用量は微生物の培養に用いられる一般的な培地の例に従い適宜設定することができる。デキストランは精製されたものを添加してもよいが、蔗糖を含有する培地にデキストラン産生菌を培養したものをデキストラン含有培地として用いることができる。
上記デキストラン産生菌としては、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)NRRL B−512F株(ATCC 1830a)やM898株(FERM BP−4904)など公知の菌株を使用することが出来る。また、製糖工場での最初の工程であるサトウキビ搾汁液からスクリーニングしてデキストラン産生能が確認された菌株を用いることもできる。サイクロデキストラン合成酵素は、α―1,6−デキストランから或いはバチルス・エスピーT−3040株(FERM BP−4132)と598K株の両株を組合わせてデンプンに作用させることによってもサイクロデキストランを合成することができる。なお、分岐が存在すると反応が停止すると考えられることから、デキストラン産生菌はデキストラン産生量が多いと共にα―1,6結合の多いデキストランを産生するものであることが好ましく、このような菌株をスクリーニングして使用することが有利である。
デキストラン産生菌を培養する培地中のショ糖の濃度は通常1〜20w/v%程度であり、ショ糖の他に炭素源、窒素源、無機塩類等を添加することができる。炭素源としては、該微生物が資化し得るものであればよく、炭水化物(グルコース、マンノース、グリセロール、マンニトール等の糖類等)、有機酸(酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸等)、アルコール類(エタノール、プロパノール等)が用いられる。窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、燐酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩、又はペプトン、ポリペプトン、トリプトン、酵母エキス、麦芽エキス、コーンスチープリカー等の含窒素化合物が用いられる。無機塩類としては、燐酸第一カリウム、燐酸第二カリウム、燐酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム塩化マンガン等が用いられる。ショ糖以外の上記培地成分の使用量は微生物の培養に用いられる一般的な培地の例に従い適宜設定することができる。ショ糖は精製糖を用いてもよいが、甘蔗汁や廃糖蜜などのショ糖を含む安価な原料を用いることもできる。このような培地に於いて、通常20〜40℃、10〜30時間程度の培養条件で培養すればよい。
上記デキストラン培地にサイクロデキストラン合成酵素を添加・作用させてサイクロデキストランを含有する溶液を得る。反応条件としては、通常温度20〜60℃、1〜6時間、pH4〜8程度であればよい。また、反応後の液は、分子分画2,000〜10,000程度のUFろ過膜処理を行うことによってサイクロデキストラン合成酵素を分離回収し、更に分子量400〜800ダルトン、好ましくは500〜700ダルトンのナノフィルトレーション(NF)膜を用いて分離濃縮処理を行なう。NF膜処理の条件は、圧力0.1〜4.9MPa、好ましくは0.1〜1MPa程度、温度5〜60℃、好ましくは7〜40℃程度で行えば良い。またこのNF膜処理は1回でもよいが、2回以上行うことが好ましく、例えば2〜10回行うことが好適である。具体的には、例えば1回目のNF膜処理において、処理前の原液に対して5〜6倍まで濃縮し、2回目はこの濃縮液に例えば処理前の液量に対し10〜40質量%の水を加水し、再度NF膜処理を行い同程度まで濃縮すればよい。3回目以降の処理も2回目と同じようにして行うことができる。このようにしてNF膜処理を繰り返し、例えば濃縮液の濃度がブリックス(Bx)10〜15程度になるまで行う。かかる処理によって、CIの漏失を極力防止しつつ、単糖類やミネラル類、アミノ酸等を水と共に除去することが可能となり、高い分離効率が得られる。また、酵母で糖類を除去する方式に比べて、処理時間が約1/3以下と大幅に短縮でき、また酵母では除去出来ないミネラル類やデキストラン、蛋白類等も効率よく除去し、コストを低減することができるとともに、CIの含有量を約2倍に高めることが可能である。なお、UFろ過膜処理によって回収したサイクロデキストラン合成酵素は、通常反応1回当り10〜15%程度のロスはあるが、繰り返し上記の反応に使用することができる。
かくして得られた本発明の抗う蝕性組成物は、7個〜12個のグルコースが重合した低分子サイクロデキストランが高含量で含まれ、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上含まれる。一方、酸産生性を示す単糖類は除去され、その含有量は好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下となる。このように単糖類の含有量を少なくすることが出来るため、酸醗酵性試験においてpHを好ましくは5.7以上にすることが可能となる。本明細書において、酸醗酵性試験とは後述する試験例2に記載の試験を意味する。
本発明の抗う蝕性組成物は、抗う蝕性の甘味料として利用したり、通常の飲食品素材を用いて抗う蝕性飲食品の形態とすることができ、具体的には、ガム、キャンデイ、タブレット等の口腔滞留時間の比較的長い食品類とすることが好ましい。
また、本発明の抗う蝕性組成物は、歯磨剤、うがい用剤、口中スプレー剤、洗口剤等の口腔用剤とすることもできる。
さらに、本発明の抗う蝕性組成物をホップ抽出物と併用することにより、相乗的な抗う蝕性効果を得ることができる。ホップ抽出物としては、超臨界炭酸ガス抽出法により抽出されβ酸を含有するものが好適に用いられる。β酸としては、例えば下記一般式(1)で表される化合物が例示できる。ホップ抽出物中のβ酸の含有量は、5〜20質量%が好ましく、8〜15質量%がより好ましい。このホップ抽出物の市販品としてBetastab10A(Betatec社製:β酸約10%含有)等が挙げられる。このような本発明の抗う蝕性組成物とホップ抽出物を併用して抗う蝕効果の高い甘味料、飲食品、口腔用剤等とすることができ、これらの組成中に、本発明の抗う蝕性組成物を3〜10質量%、ホップ抽出物を0.01〜0.05質量%程度配合すればよい。
Figure 2012172635
(式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を意味する)
また、甘味料や飲食品とする場合、風味の調整のためにショ糖などを配合する必要が生じる場合があるが、従来の抗う蝕性成分では、ショ糖などう蝕性の高い糖質を配合すると酸産生性が高くなり、抗う蝕性を維持することが困難であった。しかし、本発明の抗う蝕性組成物をホップ抽出物と併用することにより、ショ糖などを、例えば1〜75質量%と多量に配合しても抗う蝕性を維持することが可能であり、風味に優れた抗う蝕性の甘味料や飲食品とすることができる。本発明の抗う蝕性組成物及びこれとホップ抽出物を組み合わせた組成物は、ヒトだけでなく、犬などの動物に対しても適用できる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
参考例1
デキストラン産生菌のスクリーニングおよび培養:
沖縄県内の製糖工場の工程中からサトウキビの搾汁液(混合中)を採取し、ショ糖2%、ポリペプトン2.5%、酵母エキス5%、燐酸水素ニカリウム1.5%、食塩0.01%塩化カルシュウム0.05%、硫酸マグネシュウム0.01%、塩化マンガン0.01%の組成の寒天培地に塗布し、24時間30℃で培養する。形成したコロニーから1白金耳をとり、寒天を除いた同様の液体培地で、18時間30℃で静置培養する。文献(K.Funane,T.Matuo,H.Ono、T.Ishii,S.Gibu,T.Tokashiki and M.Kobayashi:Characterization of Glukans and Glucansucrases from Novel Leuconoctoc strains (Inclucing sp. S−51).J.A.Glycosi.、50,379−382(2003.)に記載の方法にしたがって、培養液のグルカンスクラーセ活性を測定し、活性の高い菌株をスクリーニングし、デキストラン生産するロイコノストック属微生物を得た。
参考例2
高サイクロデキストラン産生能バチルス属微生物の取得:
バチルス・エスピーT−3040株(FERM BP−4132)について、公知文献(川端ら、「ニトロソグアニジン変異及びストレプトマイシン耐性変異による環状イソマルトオリゴ糖合成酵素(CITase)生産菌Bachillus circulansの育種」、食品・臨床栄養、1、43−48,2006)に記載の方法に従って変異処理を行い、T−3040株の110倍のサイクロデキストラン合成酵素(CITase)生産量を有するバチルス属微生物を得た。
参考例3
NF膜処理の検討:
精製糖7kgをポリペプトン0.2%、酵母エキス0.2%、燐酸水素ニカリウム1.5%、食塩0.01%、塩化カルシウム0.05%、硫酸マグネシウム0.01%、塩化マンガン0.01%を含有する培地に添加し濃度14%となるように調整した。この培地に参考例1で得たロイコノストック属微生物培養液を4.5ml添加し、約18時間静置培養しデキストラン含有培地を得た。
一方、α化したデンプン2%、ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.1%、食塩0.5%を含有する培地40mlをpH8.0に調整し、これに参考例2で得られたバチルス属微生物を植菌し、振とう培養機を用い125rpm、30分、30℃で均一混合した。次いで得られた混合液10mlを140mlづつ同様に調整した培地に植菌し、振とう培養機を用い、125rpm,30℃で30時間培養した。得られた培養液560mlを、90Lの培養装置を用い60Lの、同様に調整した培地に植菌し、110rpm、30℃で72時間培養した。得られた培養液を0.2μmのMFろ過膜処理して菌体を除去し、次いで分子分画5000のUFろ過膜処理を行なってサイクロデキストラン合成酵素を含有する濃縮液を得た。
この濃縮液を終濃度0.05unitの力価になるようにデキストラン含有培地に添加し、40℃で2時間反応させた。尚、サイクロデキストラン合成酵素1unitは、前記文献(川端ら、「ニトロソグアニジン変異及びストレプトマイシン耐性変異による環状イソマルトオリゴ糖合成酵素(CITase)生産菌Bachillus circulansの育種」、食品・臨床栄養、1、43−48、2006)において規定される酵素量を意味する。
反応後の培地を分子分画5000のUFろ過膜で処理してサイクロデキストラン合成酵素を分離回収し、透過液を分子分画600ダルトンのナノフィルトレーション(NF)膜(アルファ・ラバル社製NF膜 NTR−7450HG、スパイラル膜、膜材質:ポリアミド薄膜複合)を用いて下記条件によりろ過を行なった。まず、原液(透過液)を濃縮し、7.5時間後に透過液500mlを得た(6倍濃縮;シングル分離処理)。次に加圧を止め、濃縮液に純水100mlを加え、再度濃縮し、11時間後に透過液140mlを得た(水追加式ダブル分離処理)。シングル処理、ダブル処理によるそれぞれの濃縮液と処理前の原液について、特開2008−167744号公報記載の方法に従ってサイクロデキストラン(CI−7〜12)の含有量を測定した。また、イソマルトオリゴ糖(IG)をHPLCにより求めた。一方、単糖類(フルクトース等)の含有量は、Somogy.Nelson法により還元糖を求め、その値よりイソマルトオリゴ糖を差引いて求めた。リン酸イオン、灰分の含有量は、硫酸灰分法及びバナドモリブデン酸アンモニウム法により測定した。pHの測定は、試験管に微小電極を挿入し、後述する試験例3と同様にして培養を行いながらpHを継続的に測定した。測定に使用する微小電極にはTOA DKK TYPE GS−5015Cを、記録にはTOA DKKインテリジェントコーダーユリウスIHR−9061を使用した。16時間後のpHが5.7以上を「抗う蝕性」、5.7より低いと「う蝕性」と評価した。その結果を表1に示す。
(膜処理条件)
圧力 1.0MPa
液温 40℃
原液量 600ml
原液濃縮倍率 10倍
最終濃縮液量 約60ml
最終透過液量 約640ml

Figure 2012172635
600ダルトンNF膜による1回の膜処理では、単糖類の残量多く、醗産生性も高かったが、2回の処理により単糖類の含有量が低下し、酸産生性も低下した。
実施例1
抗う蝕性組成物の製造(1):
精製糖7kgをポリペプトン0.2%、酵母エキス0.2%、燐酸水素ニカリウム1.5%、食塩0.01%、塩化カルシウム0.05%、硫酸マグネシウム0.01%、塩化マンガン0.01%を含有する培地に添加し濃度14%となるように調整した。この培地に参考例1で得たロイコノストック属微生物培養液を4.5ml添加し、約18時間静置培養しデキストラン含有培地を得た。
一方、α化したデンプン2%、ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.1%、食塩0.5%を含有する培地40mlをPH8.0に調整し、これに参考例2で得られたバチルス属微生物を植菌し、振とう培養機を用い125rpm、30分、30℃で均一混合した。次いで得られた混合液10mlを140mlづつ同様に調整した培地に植菌し、振とう培養機を用い、125rpm,30℃で30時間培養した。得られた培養液560mlを、90Lの培養装置を用い60Lの、同様に調整した培地に植菌し、110rpm、30℃で72時間培養した。得られた培養液を0.2μmのMFろ過膜処理して菌体を除去し、次いで分子分画5000のUFろ過膜処理を行なってサイクロデキストラン合成酵素を含有する濃縮液を得た。
この濃縮液を終濃度0.05unitの力価になるようにデキストラン含有培地に添加し、40℃で2時間反応させた。尚、サイクロデキストラン合成酵素1unitは、前記文献(川端ら、「ニトロソグアニジン変異及びストレプトマイシン耐性変異による環状イソマルトオリゴ糖合成酵素(CITase)生産菌Bachillus circulansの育種」、食品・臨床栄養、1、43−48、2006)において規定される酵素量を意味する。反応後の培地を分子分画5000のUFろ過膜で処理してサイクロデキストラン合成酵素を分離回収し、透過液を分子分画600ダルトンのナノフィルトレーション(NF)膜(アルファ・ラバル社製NF膜 NTR−7450HG、スパイラル膜、膜材質:ポリアミド薄膜複合)を用いてろ過を行なった。
NF膜による処理においては、まずUFろ過膜処理して得られた透過液を圧力1MPa、温度40℃で約6倍の濃縮倍率となるまで濃縮し1回目の処理を行った。次にこの濃縮液に原液(透過液)の液量の16.7質量%の水を加水し、再度同条件でろ過し約8倍の濃縮倍率となるまで濃縮して2回目の処理を行った。この処理を3回繰り返して、処理前の透過液を30倍に濃縮した濃縮液を得た。この濃縮液をスプレードライして粉末の組成物997.5g(水分4.39%)を得た。この時の精製糖(7kg)からの抗う蝕性組成物の収率は14.25%であった。得られた抗う蝕性組成物について、特開2008−167744号公報記載の方法に従ってサイクロデキストラン(CI−7〜12)の含有量を測定した。また、イソマルトオリゴ糖(IG)をHPLCにより求めた。一方、単糖類(フルクトース等)の含有量は、Somogy.Nelson法により還元糖を求め、その値よりイソマルトオリゴ糖を差引いて求めた。その結果を表3に示す。またその他の項目の分析値を下記表2に示す。NF膜処理に要した時間は、酵母による処理時間48〜60時間に対し4〜8時間程度であった。
Figure 2012172635
比較例1
HPLCによる分離:
精製糖2.1kgをポリペプトン0.2%、酵母エキス0.2%、燐酸水素ニカリウム1.5%、食塩0.05%、塩化カルシウム0.05%、硫酸マグネシウム0.01%、塩化マンガン0.01%を含有する培地に添加して濃度14%となるように調整した(全量15L)。この培地に参考例1のロイコノストック属微生物培養液を1.5ml添加し、約18時間静置培養した。同様の操作を2回繰返してデキストラン含有培地を得た。一方、1.4kgの精製糖を溶解させたポリペプトン0.5%、酵母エキス0.1%、食塩0.5%を含有する60Lの培地に参考例2で得たバチルス属微生物を1,440ml添加して、容量90Lの培養装置にて30℃で約72時間培養した。この培養液を、0.2μmのMFろ過処理で菌体を除去し、分子分画5,000のUFろ過処理によりサイクロデキストラン合成酵素を含有する濃縮液を得た。
この濃縮液60Lとデキストラン含有培地15Lとを混合して40℃、2時間酵素反応を行い、反応後の液を0.2μmのMFろ過膜処理で菌体を除去し、分子分画5,000のUFろ過膜処理して酵素を分離回収した。透過液をアルファ・ラバル製セントリサーム濃縮機でBrix20まで濃縮し、オルガノ製CR1310合成樹脂のクロマト分離装置にアプライし、イオン交換水で溶出して、サイクロデキストランピークのフラクション40〜62Lの部分の22Lを凍結乾燥して、450.1gの粉末の組成物を得た(水分5.0%)。
この時の精製糖(3.5kg)からの組成物の収率は12.86%であった。得られた組成物について、実施例1と同様にして、サイクロデキストラン、イソマルトオリゴ糖、単糖類の含有量を分析した。その結果を表3に示す。
比較例2
酵母による処理:
精製糖7kgをポリペプトン0.2%、酵母エキス0.2%、燐酸水素ニカリウム1.5%、食塩0.01%、塩化カルシウム0.05%、硫酸マグネシウム0.01%、塩化マンガン0.01%を含有する培地に添加し濃度14%となるように調整した。この培地に参考例1で得たロイコノストック属微生物培養液を4.5ml添加し、約18時間静置培養しデキストラン含有培地を得た。
一方、α化したデンプン2%、ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.1%、食塩0.5%を含有する培地40mlをpH8.0に調整し、これに参考例2で得られたバチルス属微生物を植菌し、振とう培養機を用い125rpm、30分、30℃で均一混合した。次いで得られた混合液10mlを140mlづつ同様に調整した培地に植菌し、振とう培養機を用い、125rpm、30℃で30時間培養した。得られた培養液560mlを、90Lの培養装置を用い60Lの、同様に調整した培地に植菌し、110rpm、30℃で72時間培養した。得られた培養液に0.01%のα−アミラーゼ及び0.01%の酵母を加えて一晩反応させ0.2μmのMFろ過膜処理して菌体を除去し、次いで分子分画5000のUFろ過膜処理を行なってサイクロデキストラン合成酵素を含有する濃縮液を得た。
この濃縮液を終濃度0.05unitの力価になるようにデキストラン含有培地に添加し、40℃で2時間反応させた。尚、サイクロデキストラン合成酵素1unitは、前記文献(川端ら、「ニトロソグアニジン変異及びストレプトマイシン耐性変異による環状イソマルトオリゴ糖合成酵素(CITase)生産菌Bachillus circulansの育種」、食品・臨床栄養、1、43−48、2006)において規定される酵素量を意味する。反応後の培地を分子分画量5000のUFろ過膜で処理してサイクロデキストラン合成酵素を分離回収し、透過液を分子量300ダルトンのNF膜でろ過を行なって水及びミネラル類を除去した。次いで、NFろ過膜による濃縮液に、パン用酵母(日仏商事株式会社製)を0.012%添加して30℃で48時間微好気性条件下で反応させた。その後0.2μmのMFろ過膜により酵母菌体を除去してから、WA−30(三菱化学社製)のイオン交換樹脂により酸を除去し、更に分子量300ダルトンのNFろ過膜により、水等を除去濃縮してからスプレードライして粉末の組成物2934g(水分5.1%)を得た。この時の精製糖(7Kg)からの抗う蝕性組成物の収率は、41.91%であった。得られた抗う蝕性組成物について、実施例1と同様にして、サイクロデキストラン、イソマルトオリゴ糖、単糖類の含有量を分析した。その結果を表3に示す。
Figure 2012172635
試験例1
非水溶性グルカン合成阻害試験:
下記方法により実施例1で得られた組成物(CImix)の非水溶性グルカン合成阻止活性を調べた。なお、糖アルコール類(キシリトール、マルチトール、エリスリトール、パラチノース)及びサイクロデキストラン精製品(サイクロイソマルトヘプタオース(CI−7)、サイクロイソマルトオクタオース(CI−8)、サイクロイソマルトノナオース(CI−9)についても同様に試験を行った。
(試験方法)
S.sobrinus6715株(ATCC33478)を4mlのBHI(Bacto Heart Infusion)液体培地で37℃で16時間静置培養した培養菌液を前培養液とした。スクロースを1%含むHI(Bacto Heart Infusion Broth)液体培地4mlに1%(40μL)の前培養液を植菌し、各濃度の被験物質を添加して45°の傾斜をつけた試験管内で37℃で16時間静置培養した。CImixの各濃度におけるWIG量は、S.sobrinus6715株(ATCC33478)を2LのBHI(Bacto Heart Infusion)液体培地で37℃で16時間静置培養した培養菌液を遠心分離し、その上澄み液に390g/Lの硫酸アンモニウムを加えてできた沈殿をpH6.0 p−buffer 20mlに溶解する液を粗酵素液とした。スクロースを1%含むHI(Bacto Heart Infusion Broth)液体培地2mlに50μLの粗酵素液を加え、各濃度のCImixを添加して45°の傾斜をつけた試験管内で37℃で6時間静置培養した。培養後、培養液を試験管壁への付着力の強さによりnon−adherent画分、loose−adherent画分、firm−adherent画分に下記方法で分画し、それぞれの菌体量とWIG(非水溶性グルカン)量、およびWSG(水溶性グルカン)量を定量した。菌体量は540nmにおける吸光度を測定し、またWGS量、WIG量はフェノール硫酸法により測定した。
(分画方法)
培養後、試験管をゆっくり3回転した後、非付着物を培養液と共に別の試験管に移した。これをnon−adherent画分とした。残った試験管にPBSを4ml加え、ゆっくり3回転し洗浄した。このときの洗浄液もnon−adherent画分に加えた。残った試験管にPBSを4ml加え、10秒間ミキサーで攪拌した。このとき剥離したものをPBSとともに別の試験管に移した。これをloose−adherent画分とし、試験管に強く付着した画分をfirm−adherent画分とした。non−adherent画分を遠心し、上清と沈殿物に分けた。このときの上清よりWSGを調整し、沈殿物より菌体とWIGを調整した。non−adherent画分の遠心上清に同量のエタノールを加え2時間から1晩4℃で処理した後遠心し、沈殿物をWSGとした。WSGは50%エタノールで2回洗浄した。WSGに0.5N NaOH 1mlを加えて溶解し、溶液をWSGとした。non−adherent画分の沈殿物をPBS 4mlで洗ったあとに遠心し、沈殿物に0.5N NaOH 1mlを加え攪拌後、遠心し、上清と沈殿物に分けた。このときの上清をnon−adherent WIGとし、沈殿物にPBS 1mlを加え攪拌したものをnon−adherent菌体混濁液とした。loose−adherent画分は遠心後、沈殿物に0.5N NaOH 1mlを加え攪拌、遠心し、上清と沈殿物に分けた。このときの上清をloose−adherent WIGとし、沈殿物にPBS 1mlを加え攪拌したものをloose−adherent菌体混濁液とした。firm−adherent画分には、0.5N NaOH 1mlを加え攪拌、遠心し、上清と沈殿物に分けた。このときの上清をfirm−adherent WIGとし、沈殿物にPBS 1mlを加え攪拌したものをfirm−adherent菌体混濁液とした。
各被験物質のそれぞれの濃度におけるloose−adherent画分およびfirm−adherent画分のWIG量を合計したグルカン合成量を図1に示す。また、CImixの各濃度における各画分のWIG量を図2に示す。
図1から明らかなように、糖アルコールと比較して、サイクロデキストランの非水溶性グルカン合成阻害効果は格段に高いことが示された。
試験例2
酸発酵性試験(1):
S.sobrinus6715株(ATCC33478)を4mlのBHI液体培地で37℃で16時間静置培養した培養菌液を前培養液とした。
スクロース1%を含むHI液体培地4mlに1%(40μL)の前培養液を植菌し、実施例1、比較例1〜2の組成物を1%添加して、試験管内で37℃で16時間静置培養し、その時のpHの変化を1時間毎に測定した。pHの測定は、試験管に微小電極を挿入し、培養を行いながらpHを継続的に測定した。測定に使用する微小電極にはTOA DKK TYPE GS−5015Cを、記録にはTOA DKKインテリジェントコーダーユリウス IHR−9061を使用した。16時間後のpHが5.7以上を「抗う蝕性」、5.7より低いと「う蝕性」と評価した。結果を表4に示す。
Figure 2012172635
試験例3
酸発酵性試験(2):
S.sobrinus(S.s)6715株(ATCC33478)またはS.mutans(S.m)MT8148株を4mlのBHI液体培地で37℃で16時間静置培養した培養菌液を前培養液とした。
スクロース1%を含むHI液体培地4mlに1%(40μL)の前培養液を植菌し、実施例1で得られた組成物を1%添加して、試験管内で37℃で16時間静置培養し、その時のpHの変化を1時間毎に測定した(1%混合)。pHの測定は、試験管に微小電極を挿入し、培養を行いながらpHを継続的に測定した。測定に使用する微小電極にはTOA DKK TYPE GS−5015Cを、記録にはTOA DKKインテリジェントコーダーユリウスIHR−9061を使用した。
同様にして、スクロース1%のみ(1%Suc.)、実施例1の組成物1%のみ(1%CImix)添加した場合のpHの変化を測定した。結果を図3に示す。
実施例2
抗う蝕性液状甘味料の調製および抗う蝕性判定試験:
(1)抗う蝕性液状甘味料の調製
実施例1で得られた抗う蝕性組成物(CI類純度28.6%、IG類1.20%、単糖類1.80%)1.5gを、スクロース21gを水9gに溶解した砂糖シロップ(70Bx)30mlに加え、さらにホップ抽出物Betastab10A(Betatec社製:β−Acids(9〜11%)、α−Acids (<3%)、Waxes(<2%)、Water(81〜91%))30μmlを加えて、抗う蝕性液状甘味料を調製した。
(2)非水溶性グルカン合成阻害試験(人工バイオフィルム形成阻害活性測定):
(1)により得られた抗う蝕性液状甘味料について、S.mutans JCM 5705株を用いた以外は試験例1と同じ試験方法により、菌体量と非水溶性グルカン量を測定し、非水溶性グルカン合成阻害活性を評価した。また上記砂糖シロップのみ、砂糖シロップに実施例1の抗う蝕性液状甘味料を添加したものまたは砂糖シロップにホップ抽出物を添加したものについても同様にして試験した(表5)。結果を表6(菌体量)、7(非水溶性グルカン量)および図4(菌体量)、図5(非水溶性グルカン量)に示す。
Figure 2012172635
Figure 2012172635
Figure 2012172635
(3)酸発酵試験
(1)により得られた抗う蝕性液状甘味料にBetastab1000ppmを加えスクロース、CI、Betastabの合計量30gが2%になるように水で希釈した後、10,000rpm、15min、4℃で遠心し、上清をNo.5Cのろ紙でろ過してフィルターで滅菌してサンプルを調製した。S.sobrinus(S.s)6715株(ATCC33478)またはS.mutans(S.m)JCM 5705株を4mlのBHI液体培地で37℃で16時間静置培養した培養菌液を前培養液とした。
下記表8のように調製した培地4mlに40μLの前培養液を植菌し、調製したサンプルを1%添加して、試験管内で37℃で16時間静置培養し、その時のpHの変化を1時間毎に測定した。pHの測定は、試験管に微小電極を挿入し、培養を行いながらpHを継続的に測定した。測定に使用する微小電極にはTOA DKK TYPE GS−5015Cを、記録にはTOA DKKインテリジェントコーダーユリウスIHR−9061を使用し、16時間後のpHを測定した。コントロールとして砂糖シロップを用いた。またS.mutans JCM 5705株については、さらに砂糖シロップに実施例1の抗う蝕性液状甘味料を添加したもの、または砂糖シロップにホップ抽出物を添加したものについても同様にして試験した。S.mutans JCM 5705株の結果を表9、図6に示す。S.sobrinusの結果を表10に示す。
Figure 2012172635
Figure 2012172635
Figure 2012172635
Betastabを1000ppm添加すると、抗う蝕性の判定基準であるpH5.7よりも高くすることができるが、このような濃度では苦味や着色性が問題となる場合がある。これに対し、CIとBetastabを併用することにより、pHをより高くすることができるため、Betastabの添加量を抑制しつつ抗う蝕性の基準をクリアし得る。
本発明によれば、低コストでサイクロデキストランを含有する抗う蝕性組成物を製造することができ、このものは、非水溶性グルカン合成阻害活性が高く、かつ酸産生性が低いため、抗う蝕性の甘味料として有利に利用できるものである。

Claims (19)

  1. サイクロデキストラン合成酵素をデキストラン含有培地に作用させてサイクロデキストラン含有溶液を得て、得られたサイクロデキストラン含有溶液を分子分画400〜800ダルトンのナノフィルトレーション膜(NF膜)処理することを特徴とする抗う蝕性組成物の製造方法。
  2. 分子分画400〜800ダルトンのNF膜処理を2回以上繰り返して行うものである請求項1記載の抗う蝕性組成物の製造方法。
  3. NF膜処理を繰り返すにあたって、NF膜処理で得られた濃縮液を加水した後、次のNF膜処理を行うものである請求項2記載の抗う蝕性組成物の製造方法。
  4. サイクロデキストラン合成酵素が、サイクロデキストラン生産能を有するバチルス属微生物をデキストラン又はデンプン含有培地で培養した培養物から分離取得したものである請求項1ないし3のいずれかの項記載の抗う蝕性組成物の製造方法。
  5. 培養物からのサイクロデキストラン合成酵素の分離取得を、限外ろ過膜処理により行うものである請求項4記載の抗う蝕性組成物の製造方法。
  6. 抗う蝕性組成物中の単糖類の含有量が3質量%以下である請求項1ないし5のいずれかの項記載の抗う蝕性組成物の製造方法。
  7. 抗う蝕性組成物の酸発酵性試験によるpHが5.7以上である請求項1ないし6のいずれかの項記載の抗う蝕性組成物の製造方法。
  8. サイクロデキストラン合成酵素をデキストラン含有培地に作用させた後、限外ろ過膜処理によりサイクロデキストラン合成酵素を分離回収するものである請求項1ないし7のいずれかの項記載の抗う蝕性組成物の製造方法。
  9. サイクロデキストラン合成酵素をデキストラン含有培地に作用させてサイクロデキストラン含有溶液を得て、得られたサイクロデキストラン含有溶液を分子分画400〜800ダルトンのナノフィルトレーション膜(NF膜)で処理することによって得られる抗う蝕性組成物。
  10. 分子分画400〜800ダルトンのNF膜処理を2回以上繰り返して行うものである請求項9記載の抗う蝕性組成物。
  11. NF膜処理を繰り返すにあたって、NF膜処理で得られた濃縮液を加水した後、次のNF膜処理を行うものである請求項10記載の抗う蝕性組成物。
  12. 抗う蝕性組成物中の単糖類の含有量が3質量%以下である請求項9ないし11のいずれかの項記載の抗う蝕性組成物。
  13. 発酵性試験によるpHが5.7以上である請求項9ないし12のいずれかの項記載の抗う蝕性組成物。
  14. 請求項9ないし13のいずれかの項記載の抗う蝕性組成物を含有することを特徴とする抗う蝕性甘味料。
  15. 請求項9ないし13のいずれかの項記載の抗う蝕性組成物を含有することを特徴とする口腔用組成物。
  16. 請求項9ないし13のいずれかの項記載の抗う蝕性組成物を含有することを特徴とする抗う蝕性飲食品。
  17. 請求項9ないし13のいずれかの項記載の抗う蝕性組成物および超臨界炭酸ガス抽出法により抽出したβ酸含有ホップ抽出物を含有する口腔用組成物。
  18. 請求項9ないし13のいずれかの項記載の抗う蝕性組成物、超臨界炭酸ガス抽出法により抽出したβ酸含有ホップ抽出物およびショ糖を含有する抗う蝕性甘味料。
  19. 請求項9ないし13のいずれかの項記載の抗う蝕性組成物、超臨界炭酸ガス抽出法により抽出したβ酸含有ホップ抽出物およびショ糖を含有する抗う蝕性飲食物。
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