JPWO2012161117A1 - サイトメガロウイルスゲノム識別用プライマーセット - Google Patents

サイトメガロウイルスゲノム識別用プライマーセット Download PDF

Info

Publication number
JPWO2012161117A1
JPWO2012161117A1 JP2013516343A JP2013516343A JPWO2012161117A1 JP WO2012161117 A1 JPWO2012161117 A1 JP WO2012161117A1 JP 2013516343 A JP2013516343 A JP 2013516343A JP 2013516343 A JP2013516343 A JP 2013516343A JP WO2012161117 A1 JPWO2012161117 A1 JP WO2012161117A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
primer
genotype
oligonucleotide
gene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013516343A
Other languages
English (en)
Inventor
和将 藤田
和将 藤田
希代子 後藤
希代子 後藤
智規 上野
智規 上野
佐々木 純
純 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippi Inc
Original Assignee
Nippi Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippi Inc filed Critical Nippi Inc
Publication of JPWO2012161117A1 publication Critical patent/JPWO2012161117A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/70Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving virus or bacteriophage
    • C12Q1/701Specific hybridization probes
    • C12Q1/705Specific hybridization probes for herpetoviridae, e.g. herpes simplex, varicella zoster
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/112Disease subtyping, staging or classification

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)の膜糖タンパク質であるUL144遺伝子の遺伝子多型に基づくA、B、およびCの3種類の主要な遺伝子型サブグループを、迅速に識別することを課題とする。本発明は、上記の課題を解決するため、UL144遺伝子の遺伝子多型に基づくA、B、およびCの3種類の主要な遺伝子型サブグループを識別して増幅することができる、プライマーペアを含むプライマーセットを提供することができる。本発明はまた、この様なプライマーペアを含むプライマーセットを利用することにより、UL144遺伝子の3種類の主要な遺伝子型サブグループを識別する方法もまた、提供する。

Description

本発明は、サイトメガロウイルスの遺伝子型を識別するためのプライマーセットに関する。
サイトメガロウイルスは、ヘルペスウイルスに属するウイルスである。ヘルペスウイルスは、α、βおよびγヘルペスウイルスの3つの亜科からなるDNAウイルスである。αヘルペスウイルスとしては、単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、並びに帯状疱疹ウイルス(VZV)が、βヘルペスウイルスとしては、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、並びにヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)およびヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)が、γヘルペスウイルスとしては、EBウイルス(EBV)およびヒトヘルペスウイルス8(HHV-8)が知られている。現在までにこれら8種のウイルスがヒトに感染するヒトヘルペスウイルスとして報告されている。
HCMVは、ヘルペスウイルス科ベータヘルペスウイルス亜科に属すウイルスの一種である。このウイルスは、約230 kbpの線状2本鎖DNAをゲノムとしてもち、200個以上のオープンリーディングフレーム(ORF)をもつことが知られている。
サイトメガロウイルスを含め、ヒトヘルペスウイルスは様々な病態の原因ウイルスであるが、その多くは日和見感染症である。多くのヒトヘルペスウイルスでは、初感染時の不顕性感染を経て、一生涯体内に滞まる潜伏感染状態へ移行する。その後、様々な刺激によって再活性化された際、免疫能が低下している場合に重篤な日和見感染症を引き起こす。例えばHCMVの場合、成人になるまでに80〜90%の人が感染するが、初感染時は通常不顕性に経過し、疾患には至らない。しかし、免疫の未熟な胎児や、免疫の低下したエイズ患者、臓器移植患者、および癌患者などの易感染性者では、肺炎、網膜炎、胃腸炎、肝炎、CMV脳症など重篤な病態を引き起こし、多臓器不全となる場合もある。ヘルペスウイルスの治療薬(抗ヘルペスウイルス剤)としては、ウイルス遺伝子複製過程の選択的な阻害作用を利用する核酸系抗ウイルス剤(例えば、ガンシクロビル、アシクロビル)が用いられている。
臓器移植患者やエイズ患者のように免疫不全の状態にある患者では、HCMVに起因するHCMV感染症がしばしば重篤、致死的となり、最も警戒すべき感染症の一つである。これらの患者群においてはウイルスの再活性化が起こりやすい状態となっており、早期発見の為には血液等を試料とした感染モニタリングが非常に重要である。特に、臓器移植、骨髄移植の術後段階では、HCMV感染症は一度発症すると予後不良であり、移植自体を左右する場合も多くあるため、その発症予防、管理は最重要課題の一つである。即ち、これらの移植患者群において、HCMV感染の管理のための継続的ウイルスモニタリングが必須となっている。
移植後の検査により、HCMVの感染、再活性化が認められた状態がHCMV感染、再活性化したウイルスにより何らかの臓器症状を呈した状態がHCMV感染症として定義され、両者は明確に区別される必要がある。HCMVの感染及び感染症を未然に防止する目的で、抗ウイルス剤を全患者に画一的に投与する事は理論的には可能であるが、実際には副作用等を初めとして様々な問題が生じる。これらの問題を回避する目的で、HCMVを定期的にモニターし、HCMVの感染、再活性化が認められた患者のみに抗ウイルス剤を投与してHCMV感染症の発症を防止する発症前治療(pre-emptive therapy)が広く採用されている。あるいはハイリスク患者群における予防的投与により、移植後早期における重篤なHCMV感染症の発生を有意に低下させる事が可能となっている。これらは近年飛躍的に向上した優れたHCMVの検査法に依存した治療法であり、様々な背景を持つ異なった患者群において発症前治療、あるいは予防的治療の有効性が示されている。特に発症前治療の有効性は、確実なモニタリングによるHCMV感染の早い段階での検出の可否に大きく依存し、これはモニタリングの時期と頻度によって大きく影響される。
その一方で、移植後早期に抗ウイルス剤治療を行うことにより早期の致死的あるいは重症化した感染症は防げても、移植後100日以降に発症する晩期HCMV感染症の発症の危険が高くなるという新たな問題が起こっている。この原因としては移植後早期に抗ウイルス剤治療を行った結果、HCMVに対する免疫構築が遅延したためと予想されている。
HCMV感染のモニタリングに必要な条件としては、定量性、感度、迅速性、病態との相関性などがあげられる。これらの特徴を備えたHCMV感染の血液を試料とした検査法として、ウイルス抗原を検出するためのアンチゲネミア(antigenemia)法と、ゲノムDNAの定量によるウイルス血症の検出に基づくPCR法が、現在広く使用されている。
アンチゲネミア法に基づくモニタリングは、末梢血多形核白血球細胞中のウイルス抗原陽性細胞数が分かるため定量的結果が得られる。アンチゲネミア検査値は病態とよく相関し、発症前治療の投薬開始の判定に広く用いられているものの、抗原陽性細胞の判定が検査担当者に委ねられ施設間での検査値の統一化が難しい等の問題点がある。そのため、いつ治療を開始すべきかという目安としての統一的な指針値(閾値)は決定されていない。さらに、網膜炎、胃腸炎などの場合には感度が十分でない場合が多い事も知られ、その原因も不明である。
ゲノムDNA量の定量に基づくモニタリングは、感度が高く迅速に結果が得られ、近年普及したリアルタイムPCR法により自動化定量が可能となっている。しかし、モニタリングの結果が病態と連動しない場合がある事が知られている。これは定量されたゲノムDNA量には、ウイルスの複製能を保ったウイルス粒子以外に感染細胞の残渣由来、又は複製能を持たない不完全なウイルス粒子中の不完全なゲノムDNAも合わせた定量値が含まれている事が一因と考えられる。
HCMVゲノムDNA量の定量に利用されているウイルス遺伝子としては、前初期遺伝子の他にも各種の遺伝子(UL83、UL54等)が報告されているが、それらは基本的に等価であり、どの遺伝子を対象としても得られる情報の基本的な質には違いがないものと予想されている。これは、ヒトの体内で増殖するHCMV複製能は基本的には同質であり、個人間の病気の起こり易さや反応性の違いは主に宿主側の免疫機能の違いに依存していると考えられてきた事による。そのため、発症の引き金となる因子の同定は複雑で困難であると予想される。
以上の様な移植医療の背景において、HCMV感染症の発症の割合を高める危険因子を未然に検出可能であれば、発症前治療あるいは予防的治療が非常に効果的になると期待でき、HCMV感染症の発症防止に大きく貢献できる。例えば、アンチゲネミア検査値あるいはゲノムDNAの定量によるウイルス血症のレベルが高いとHCMV感染症の発症率が有意に増加する事が判明している。具体的には、アンチゲネミア検査値あるいは血液中ウイルスゲノムのコピー数の最大ピーク値が高い事がHCMV感染症の発症の危険因子のひとつとして報告されてきているが(非特許文献1、および2)、最大ピーク値は後方視的にしか判定できない為、臨床的には、より早い時期に判定できる方法が望まれていた。これを解決する方法として、アンチゲネミア検査値の初期の増加割合の程度が高い場合に治療を開始して、HCMV感染症の発症の危険を抑える治療方法も広く行われている(非特許文献3)。しかし、そのような患者群においても感染症発症の機構は不明であって個々の患者において発症するかどうかを予測する事は難しいのが現状である。また、晩期のHCMV感染症の発症に関わる危険因子として慢性移植片対宿主病(GVHD)およびその治療、HLA不適合移植、抗-胸腺細胞グロブリン投与等が報告されているが(非特許文献4)、感染症発症の詳細な機構は不明で、移植後晩期のHCMV感染症の発症を抑えるための有効な手立ては十分ではない。
HCMV感染症の発症に関わるウイルスに起因する因子の候補として、HCMVのUL144遺伝子型の違いによる病態または予後の差異が、先天性HCMV感染症において、報告されている。HCMVの膜糖タンパク質であるUL144タンパク質は、そのヌクレオチド配列の相同性から、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)ファミリーに分類されている(特許文献1)。この遺伝子は、遺伝子多型を有しており、A、B、C、AB、およびACの5種類の遺伝子型サブグループに分類されることが示されている(非特許文献5)。これまでのところ、先天性HCMV 感染症において、このUL144遺伝子の遺伝子型が、HCMVの病原性に影響を与え、病態に関連性があるとする文献(非特許文献6、および7)と関連性がないとする文献(非特許文献8)とが存在し、UL144遺伝子の遺伝子型と先天性HCMV 感染症の予後との関連性は明確になっていない。これらの報告では、UL144遺伝子の遺伝子型の解析は、UL144遺伝子を遺伝子型によらず使用することができる汎用のフォワードプライマー(ユニバーサルフォワードプライマー)とリバースプライマー(ユニバーサルリバースプライマー)とを使用してPCRにより増幅し、得られたPCR増幅生成物をゲル電気泳動により分離し、そして抽出して、DNAシークエンシングにより配列を解析することにより行っていた。HCMV感染症が問題となる臓器移植または血液幹細胞移植患者やエイズ患者においては成人、小児を問わずこのような検討は全くなされていない。
US2009/0311280
Boeckh M, et al., Blood, 1992, 80(5), 1358-1364 Cope AV, et al., J. Infect. Dis., 1997, 176, 1484-1490 Nichols WG, et al., Blood, 2001, 97, 867-874 Boeckh M, et al., Blood, 2003, 10, 407-414 Lurain N. S., et al., J. Virol., 1999, 73, 10040-10050 Arav-Boger R, et al., J. Infect. Dis., 2002, 186, 1057-1064 Arav-Boger R, et al., J. Infect. Dis., 2006, 194, 464-473 Picone O, et al., J. Clin. Microbiol., 2005, 43, 25-29
ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)の膜糖タンパク質であるUL144遺伝子の遺伝子多型に基づくA、B、およびCの3種類の主要な遺伝子型サブグループを、迅速に識別することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するため、UL144遺伝子の遺伝子多型に基づくA、B、およびCの3種類の主要な遺伝子型サブグループを識別して増幅することができる、プライマーペアを含むプライマーセット、およびそのプライマーセットを用いたHCMVの識別方法を提供することができる。本発明はまた、この様なプライマーペアを含むプライマーセットを利用することにより、UL144遺伝子の3種類の主要な遺伝子型サブグループを識別する方法もまた、提供する。本発明は、これらのHCMVの遺伝子型を識別する際に利用するための、UL144遺伝子のA、B、およびCの3種類の主要な遺伝子型サブグループすべてを増幅することができるプライマーペアを含むプライマーセットもまた、提供することができる。
本発明のプライマーペアを含むプライマーセットを使用することにより、HCMVの病原性と関連があることが示唆されているUL144遺伝子の遺伝子多型に基づく3種類の主要な遺伝子型サブグループを、短時間で正確に識別して増幅することができる。本発明のプライマーペアを使用することにより、サンプル中に非常にわずかなコピー数しか存在しないUL144遺伝子のそれぞれの遺伝子型配列を、特異的に増幅することができる。また、ホルマリン固定した組織切片から抽出したゲノムDNAを鋳型として使用する場合には、PCR反応が生じにくい場合があるが、本発明のプライマーペアを使用することにより、例えば、血液や組織、感染細胞を含むどのような試料から抽出したゲノムDNAを用いる場合でも、UL144遺伝子のそれぞれの遺伝子型配列を、特異的に増幅することができる。
本発明においてはまた、UL144遺伝子の遺伝子多型に基づく3種類の主要な遺伝子型サブグループすべてを増幅することができるプライマーペアを使用して、HCMVの有無自体を調べることにより、HCMVのUL144遺伝子の遺伝子型の識別の作業効率の上昇に寄与することができる。
図1は、UL144遺伝子の配列解析の結果得られた、3種類の遺伝子型(すなわち、遺伝子型A、遺伝子型B、および遺伝子型C)の塩基配列のアラインメントを示す。 図2は、本明細書の実施例1で行ったプライマーセット#0-A1(SEQ ID NO: 3と5)、#0-B(SEQ ID NO: 6と7)、#0-C(SEQ ID NO: 8と5)、#0-U(SEQ ID NO: 9と10)を用いてのPCR産物のアガロースゲル電気泳動像である。 図3は、本明細書の実施例2(2-2)で行ったプライマーセット#0-A1、#0-B、#0-C、#0-Uを用いてのPCR産物のアガロースゲル電気泳動像である。 図4は、本明細書の実施例2(2-4)で行ったプライマーセット#0-A1、#0-B、#0-C、#0-Uを用いてのPCR産物のアガロースゲル電気泳動像である。 図5は、本明細書の実施例3(3-2)で行ったプライマーセット#0-A1、#0-B、#0-C、#0-Uを用いてのPCR産物のアガロースゲル電気泳動像である。 図6は、本明細書の実施例4で行ったリアルタイムPCRの増幅曲線を示した図である。 図7は、本明細書の実施例4で行ったリアルタイムPCRの結果から求めた標準曲線を示した図である。 図8は、本明細書の実施例4で行ったリアルタイムPCRの融解曲線を示した図である。 図9は、本明細書の実施例4で行ったリアルタイムPCR後のPCR産物をアガロースゲル電気泳動した像である。 図10は、本明細書の実施例5で行ったリアルタイムPCRの結果から求めた各遺伝子型の実測値と理論値をブロットした図である。 図11は、本明細書の実施例6で行ったリアルタイムPCRの結果から求めた標準曲線を示した図である。 図12は、本明細書の実施例7で行ったリアルタイムPCRの結果から求めた各遺伝子型の実測値と理論値をブロットした図である。 図13は、本明細書の実施例8で行ったリアルタイムPCRの増幅曲線を示した図である。 図14は、本明細書の実施例8で行ったリアルタイムPCRの結果から求めた各遺伝子型の実測値と理論値をブロットした図である。 図15は、本明細書の実施例9で行ったリアルタイムPCRの結果から求めたHCMV感染患者の血液に含まれる各遺伝子型のコピー数を示した図である。 図16は、本明細書の実施例10(10-3)で行ったPCRの結果として得られたPCR産物のアガロースゲル電気泳動像である。
HCMVの感染患者のウイルス系統を解析する方法として、これまでは、HCMVの感染患者から得られた血液を線維芽細胞に対して培養液中で感染させ、線維芽細胞中で増殖したHCMVを採取し、その後ウイルスから得られたDNAのヌクレオチド配列を解析する方法が用いられていた。
従来のUL144遺伝子の遺伝子型の解析は、UL144遺伝子を遺伝子型によらず使用することができる汎用のフォワードプライマー(ユニバーサルフォワードプライマー)とリバースプライマー(ユニバーサルリバースプライマー)とを使用してPCRにより増幅し、得られたPCR増幅生成物をゲル電気泳動により分離し、そして抽出して、DNAシークエンシングにより配列を解析することにより行っていた。しかしながら、この方法では、UL144遺伝子の遺伝子型の迅速な判定を行うことができなかった。
また、UL144遺伝子の遺伝子型の中で、遺伝子型ABまたは遺伝子型ACは非常にわずかな割合でしか存在しておらず、従って遺伝子型ABまたは遺伝子型ACを有するUL144遺伝子を有するHCMVは、非常にわずかにしか存在しない。そして、UL144遺伝子の遺伝子型ABまたは遺伝子型ACは、領域ごとによって遺伝子型Aまたは遺伝子型Cのいずれかの遺伝子型とのあいだで相同性が高いことから、遺伝子型ABまたは遺伝子型ACは、遺伝子型Aまたは遺伝子型Cのいずれかに含めることとした。
これらから、本発明は、一態様において、(a)UL144遺伝子の遺伝子型Aのヌクレオチド配列、遺伝子型Bのヌクレオチド配列、そして遺伝子型Cのヌクレオチド配列のあいだで相違するDNA領域のそれぞれのヌクレオチド配列に結合するフォワードプライマー(5'末端側プライマー)と、(b)UL144遺伝子の遺伝子型Bのヌクレオチド配列、そして非遺伝子型Bのヌクレオチド配列(すなわち遺伝子型Aのヌクレオチド配列または遺伝子型Cのヌクレオチド配列)のあいだで相違するDNA領域のそれぞれのヌクレオチド配列に結合するリバースプライマー(3'末端側プライマー)と、を含む、1または複数のプライマーペアを含むプライマーセットを提供する。ここで提供されるプライマーペアは、UL144遺伝子の3種類の主要な遺伝子型(すなわち、遺伝子型A、遺伝子型B、遺伝子型C)を識別して増幅することができる。
具体的には、(a)フォワードプライマーは、(a1)A型フォワードプライマー、(a2)B型フォワードプライマー、(a3)C型フォワードプライマー、またはこれらの組合せから選択することができる。ここで、(a1)A型フォワードプライマーは、遺伝子型Aのヌクレオチド配列を鋳型とするPCRのポリメラーゼ増幅反応を開始させることができるが、遺伝子型Bまたは遺伝子型Cのヌクレオチド配列を鋳型とするPCRのポリメラーゼ増幅反応を開始させることができない。(a2)B型フォワードプライマーは、遺伝子型Bのヌクレオチド配列を鋳型とするPCRのポリメラーゼ増幅反応を開始させることができるが、遺伝子型Aまたは遺伝子型Cのヌクレオチド配列を鋳型とするPCRのポリメラーゼ増幅反応を開始させることができない。(a3)C型フォワードプライマーは、遺伝子型Cのヌクレオチド配列を鋳型とするPCRのポリメラーゼ増幅反応を開始させることができるが、遺伝子型Aまたは遺伝子型Bのヌクレオチド配列を鋳型とするPCRのポリメラーゼ増幅反応を開始させることができない。
一方、(b)リバースプライマーは、(b1)非B型リバースプライマー、(b2)B型リバースプライマー、またはこれらの組合せから選択することができる。(b1)非B型リバースプライマーは、遺伝子型Aまたは遺伝子型Cのヌクレオチド配列を鋳型とするPCRのポリメラーゼ増幅反応を開始させることができるが、遺伝子型Bのヌクレオチド配列を鋳型とするPCRのポリメラーゼ増幅反応を開始させることができない。一方、(b2)B型リバースプライマーは、遺伝子型Bのヌクレオチド配列を鋳型とするPCRのポリメラーゼ増幅反応を開始させることができるが、遺伝子型Aまたは遺伝子型Cのヌクレオチド配列を鋳型とするPCRのポリメラーゼ増幅反応を開始させることができない。
(a1)A型フォワードプライマーと(b1)非B型リバースプライマーの組合せであるプライマーペアを選択する場合、遺伝子型Aを、増幅しそして検出することができる。(a2)B型フォワードプライマーと(b2)B型リバースプライマーとの組合せであるプライマーペアを選択する場合、遺伝子型Bを、増幅しそして検出することができる。また、(a3)C型フォワードプライマーと(b1)非B型リバースプライマーの組合せであるプライマーペアを選択する場合、遺伝子型Cを、増幅しそして検出することができる。
本発明において(a1)A型フォワードプライマーとして使用することができるオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO: 3のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 4のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 13のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 19のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 24のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 30のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 32のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 33のオリゴヌクレオチドなどを使用することができる。
本発明において(a2)B型フォワードプライマーとして使用することができるオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO: 6のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 15のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 21のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 23のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 26のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 35のオリゴヌクレオチドなどを使用することができる。
本発明において(a3)C型フォワードプライマーとして使用することができるオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO: 8のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 17のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 21のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 23のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 28のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 33のオリゴヌクレオチドなどを使用することができる。
本発明において(b1)非B型リバースプライマーとして使用することができるオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO: 5のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 14のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 18のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 20のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 25のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 29のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 31のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 34のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 37のオリゴヌクレオチドなどを使用することができる。
本発明において(b2)B型リバースプライマーとして使用することができるオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO: 7のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 16のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 22のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 27のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 36のオリゴヌクレオチドなどを使用することができる。
本発明においてはまた、別の一態様において、(a)UL144遺伝子の遺伝子型A、B、そしてCのヌクレオチド配列に共通するDNA領域のヌクレオチド配列に結合するフォワードプライマー(5'末端側プライマー)と、(b)UL144遺伝子の遺伝子型A、B、そしてCのヌクレオチド配列に共通するDNA領域のヌクレオチド配列に結合するリバースプライマー(3'末端側プライマー)と、を含む、1または複数のプライマーペアを含むプライマーセットを提供する。ここで提供されるプライマーペアは、UL144遺伝子の3種類の主要な遺伝子型(すなわち、遺伝子型A、遺伝子型B、遺伝子型C)をいずれも増幅することができる。
具体的には、(a)フォワードプライマーとしては、(a4)ABC型フォワードプライマーを、そして(b)リバースプライマーとしては(b3)ABC型リバースプライマーを、それぞれ使用することができる。
(a4)ABC型フォワードプライマーと(b3)ABC型リバースプライマーとの組合せからなるプライマーペアを選択する場合、遺伝子型A、遺伝子型B、および遺伝子型Cを、いずれも増幅しそして検出することができる。
本発明において(a4)ABC型フォワードプライマーとして、SEQ ID NO: 38のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 40のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 42のオリゴヌクレオチドなどを使用することができる。
本発明において(b3)ABC型リバースプライマーとして、SEQ ID NO: 39のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 41のオリゴヌクレオチドなどを使用することができる。
本発明においては、(a1)のプライマーと(b1)のプライマーの組合せであるプライマーペア、(a2)のプライマーと(b2)のプライマーの組合せであるプライマーペア、(a3)のプライマーと(b1)のプライマーの組合せであるプライマーペア、そして(a4)のプライマーと(b3)のプライマーの組合せであるプライマーペアは候補プライマーのどの様な組合せであってもよい。
UL144遺伝子の遺伝子型は、これらのプライマーペアのいずれかまたはこれらのいずれかの組合せを含むプライマーセットを用いて、PCRにより増幅することにより、特定することができる。例えば、(a1)のフォワードプライマーと(b1)のリバースプライマーのプライマーペアを用いたPCRにより増幅生成物が得られる場合に、遺伝子型Aと特定することができる。(a2)のフォワードプライマーと(b2)のリバースプライマーのプライマーペアを用いたPCRにより増幅生成物が得られる場合に、遺伝子型Bと特定することができる。(a3)のフォワードプライマーと(b1)のリバースプライマーのプライマーペアを用いたPCRにより増幅生成物が得られる場合に、遺伝子型Cと特定することができる。(a4)のフォワードプライマーと(b3)のリバースプライマーのプライマーペアを用いたPCRにより増幅生成物が得られる場合に、遺伝子型A、遺伝子型B、または遺伝子型Cのいずれかが存在すること、すなわち、サンプル中にHCMVのゲノムDNAが存在することを特定することができる。
本発明において、遺伝子型A、遺伝子型B、遺伝子型Cを検出するために使用することができるプライマーペアの例としては、以下のものが含まれる(しかし、これらには限定されない):
(i) 遺伝子型A
・プライマーペア#0-A1
フォワードプライマーA-F0_1:5'-TAAAGTATGCACGGATTATACC-3'(SEQ ID NO: 3)
リバースプライマーA, C-R0:5'-CATGTGCGGTATGATTTTGCT-3'(SEQ ID NO: 5)
・プライマーペア#0-A2
フォワードプライマーA-F0_2:5'-CATAATGAAGTGCAACTGGGC-3'(SEQ ID NO: 4)
リバースプライマーA, C-R0:5'-CATGTGCGGTATGATTTTGCT-3'(SEQ ID NO: 5)
・プライマーペア#2-A
フォワードプライマーA-F2:5'-ATGAAGTGCAACTGGGC-3'(SEQ ID NO: 13)
リバースプライマーA-R2:5'-GGGTACACGTTACACTGGT-3'(SEQ ID NO: 14)
・プライマーペア#1-A
フォワードプライマーA-F1:5'-CGTATGCGCACCTAAGAAC-3'(SEQ ID NO: 19)
リバースプライマーA, C-R1:5'-ATGTGCGGTATGATTTTGCT-3'(SEQ ID NO: 20)
・プライマーペア#3-A
フォワードプライマーA-F3:5'-GAGTGACTAAAGTGTGTCAGCA-3'(SEQ ID NO: 24)
リバースプライマーA-R3:5'-CTGGTATAATCCGTGCATACT-3'(SEQ ID NO: 25)
・プライマーペア#4-A
フォワードプライマーA-F4:5'-ACTGGGCAATGAGTGCTG-3'(SEQ ID NO: 33)
リバースプライマーA-R4:5'-AAGGGGTACACGTTACACTGG-3'(SEQ ID NO: 34)
・プライマーペア#0-AB
フォワードプライマーAB-F0:5'-ACTAAAGTATGCACGGAGCG-3'(SEQ ID NO: 32)
リバースプライマーA, C-R0:5'-CATGTGCGGTATGATTTTGCT-3'(SEQ ID NO: 5)
・プライマーペア#3-AB
フォワードプライマーAB-F3:5'-GGGTGACTAAAGTGTGTCAGCA-3'(SEQ ID NO: 30)
リバースプライマーAB-R3:5'-ACGTTACGCTGGTACGC-3'(SEQ ID NO: 31)
(ii) 遺伝子型B
・プライマーペア#0-B
フォワードプライマーB-F0:5'-AGGATATCGTGTTACAGGACA-3'(SEQ ID NO: 6)
リバースプライマーB-R0:5'-CATGTGCGGTATGATTTTGTC-3'(SEQ ID NO: 7)
・プライマーペア#2-B
フォワードプライマーB-F2:5'-TATTGGCATGCATAGGGA-3'(SEQ ID NO: 15)
リバースプライマーB-R2:5'-CGTACATTGTCCTGTAACACG-3'(SEQ ID NO: 16)
・プライマーペア#1-B1
フォワードプライマーB-F1:5'-CCGTATGCGCATCTAAGAAT-3'(SEQ ID NO: 21)
リバースプライマーB-R1:5'-ATGTGCGGTATGATTTTGTC-3'(SEQ ID NO: 22)
・プライマーペア#1-B2
フォワードプライマーC-F1:5'-CCATATGCGCATCTAAGAAT-3'(SEQ ID NO: 23)
リバースプライマーB-R1:5'-ATGTGCGGTATGATTTTGTC-3'(SEQ ID NO: 22)
・プライマーペア#3-B
フォワードプライマーB-F3:5'-CTGGTGATGCTTATTTTGC-3'(SEQ ID NO: 26)
リバースプライマーB-R3:5'-TAATTGCACTTCTTCGGGT-3'(SEQ ID NO: 27)
・プライマーペア#4-B
フォワードプライマーB-F4:5'-GGGAAAACTGAAATATGCAAA-3'(SEQ ID NO: 35)
リバースプライマーB-R4:5'-CATGTTGTACTCGTATATTGCG-3'(SEQ ID NO: 36)
(iii) 遺伝子型C
・プライマーペア#0-C
フォワードプライマーC-F0:5'-AAGTGTGTACAGAGAATAGTG-3'(SEQ ID NO: 8)
リバースプライマーA, C-R0:5'-CATGTGCGGTATGATTTTGCT-3'(SEQ ID NO: 5)
・プライマーペア#2-C
フォワードプライマーC-F2:5'-AGCCCGATGAGGTGAAG-3'(SEQ ID NO: 17)
リバースプライマーC-R2:5'-CAATGTACACGTTATGCCAC-3'(SEQ ID NO: 18)
・プライマーペア#1-C2
フォワードプライマーB-F1:5'-CCGTATGCGCATCTAAGAAT-3'(SEQ ID NO: 21)
リバースプライマーA, C-R1:5'-ATGTGCGGTATGATTTTGCT-3'(SEQ ID NO: 20)
・プライマーペア#1-C1
フォワードプライマーC-F1:5'-CCATATGCGCATCTAAGAAT-3'(SEQ ID NO: 23)
リバースプライマーA, C-R1:5'-ATGTGCGGTATGATTTTGCT-3'(SEQ ID NO: 20)
・プライマーペア#3-C
フォワードプライマーC-F3:5'-AGTGTGTACAGAGAATAGTGG-3'(SEQ ID NO: 28)
リバースプライマーC-R3:5'-GCAGTTACGAACCGTGAT-3'(SEQ ID NO: 29)
・プライマーペア#4-C
フォワードプライマーC-F2:5'-AGCCCGATGAGGTGAAG-3'(SEQ ID NO: 17)
リバースプライマーC-R4:5'-GTTGTAAAGCCCTGTGAGAT-3'(SEQ ID NO: 37)
・プライマーペア#4-C2
フォワードプライマーA-F4:5'-ACTGGGCAATGAGTGCTG-3'(SEQ ID NO: 33)
リバースプライマーC-R2:5'-CAATGTACACGTTATGCCAC-3'(SEQ ID NO: 18)
(iv) 遺伝子型ABC
・プライマーペア#0-ABC
フォワードプライマーABC-F0:5'-ATTCTCTATCTTATAGCCGCCTA-3'(SEQ ID NO: 38)
リバースプライマーABC-R0:5'-TTACAGGGTGCGGTAGAA-3'(SEQ ID NO: 39)
・プライマーペア#2-ABC
フォワードプライマーABC-F2:5'-CGCACATGTAACCGTCAA-3'(SEQ ID NO: 40)
リバースプライマーABC-R2:5'-GAGCAACACTGTTGGCAT-3'(SEQ ID NO: 41)
・プライマーペア#3-ABC
フォワードプライマーABC-F2-2:5'-TCATACTCTAGCCTGGTTGTC-3'(SEQ ID NO: 42)
リバースプライマーABC-R2:5'-GAGCAACACTGTTGGCAT-3'(SEQ ID NO: 41)。
これらのプライマーを用いて行うPCRでは、HCMVのゲノムDNAを鋳型として使用して、PCRの汎用的な温度および時間の条件およびPCRの汎用的な試薬を使用して、増幅反応を行うことができる。これらの実験手順は、当業者には極めて一般的なものであり、鋳型のヌクレオチド配列やプライマーのヌクレオチド配列に応じて、当業者は温度および時間の条件を適宜変更することができる。
典型的なPCR反応には、標的DNA配列を選択的に増幅する複数のサイクルが含まれる。典型的なPCR反応には、3つの工程:すなわち、標的核酸を変性する変性工程;1組のPCRプライマー(フォワードプライマーおよびリバースプライマー)を相補的DNA鎖にアニーリングさせるアニーリング工程;および熱安定性DNAポリメラーゼがプライマーを伸長する伸長工程;が含まれる。この工程を複数回繰り返すことにより、DNAフラグメントが増幅されて、標的DNA配列に対応する増幅生成物を生成する。典型的なPCR反応には、30またはそれ以上のサイクル数の変性、アニーリングおよび伸長が含まれる。多くの事例において、アニーリング工程および伸長工程を、同一温度にて同時に行うことができ、その場合、サイクル条件は2工程だけを含む。変性、アニーリングおよび伸長段階の長さは、どのような有効な時間の長さであってもよい。
限定することを意図しないが、例えば温度および時間の条件としては:
・94℃・2分間プレヒーティングした後、94℃・30秒、57℃・30秒、68℃・20秒の温度サイクルを40サイクル行う条件;
・95℃・10分間プレヒーティングした後、95℃・15秒、60℃・1分の温度サイクルを40サイクル行う条件;
・94℃・2分間プレヒーティングした後、94℃・30秒、55℃・30秒、68℃・1分の温度サイクルを35サイクル行う条件;
・94℃・2分間プレヒーティングした後、94℃・30秒、68℃・1分30秒の温度サイクルを35サイクル行う条件;
・96℃・2分間プレヒーティングした後、96℃・5秒、50℃・10秒、60℃・4分の温度サイクルを25サイクル行う条件;
・94℃・2分間プレヒーティングした後、94℃・30秒、55℃・30秒、68℃・1分の温度サイクルを20サイクル;
等の条件を使用することができる。
同様に限定することを意図しないが、PCRにおいて使用する反応混合物中に含まれるその他の試薬としては、ポリメラーゼ、dNTPなどが含まれる。ポリメラーゼとしては、Taq DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼなどの耐熱性のポリメラーゼを使用することができる。dNTPは、4種類のデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)を混合したものの総称であり、例えばタカラバイオ株式会社、インビトロジェン株式会社、ロシュアプライ サイエンス社などの供給メーカーから入手することができる。
この様に、本発明はまた、別の一態様において、上述したプライマーペアのいずれかまたはいずれかの組合せを含むプライマーセットを用いて、HCMVのDNAを鋳型としてPCRを行うことにより、HCMVの遺伝子型を決定する方法を提供することもできる。具体的には、HCMVのゲノムDNAを鋳型として、
(a)UL144遺伝子の遺伝子型Aのヌクレオチド配列、遺伝子型Bのヌクレオチド配列、そして遺伝子型Cのヌクレオチド配列のあいだで相違するDNA領域のそれぞれのヌクレオチド配列に結合するフォワードプライマー(5'末端側プライマー)と、
(b)UL144遺伝子の遺伝子型Bのヌクレオチド配列、そして非遺伝子型Bのヌクレオチド配列(すなわち遺伝子型Aのヌクレオチド配列または遺伝子型Cのヌクレオチド配列)のあいだで相違するDNA領域のそれぞれのヌクレオチド配列に結合するリバースプライマー(3'末端側プライマー)と、
を含む、1または複数のプライマーペアを含むプライマーセットを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、増幅されたヌクレオチド配列を特定して遺伝子型を決定する、HCMVの遺伝子型決定方法を提供することができる。
(a)のフォワードプライマーおよび(b)のリバースプライマーは、それぞれ(a1)〜(a3)のフォワードプライマーおよび(b1)または(b2)のリバースプライマーを使用することができ、これらの具体的な例は、それぞれ上述したとおりである。
また、それぞれのプライマーペアを使用してPCRを行った場合に得られる増幅生成物の種類と、HCMVの3種類の主要な遺伝子型との関係についても、上述したとおりである。
本発明のさらに別の態様において、UL144遺伝子の遺伝子型Aまたは遺伝子型Cを増幅することができるが、遺伝子型Bは増幅できないプライマーペアを使用して、遺伝子型A、遺伝子型Cまたは遺伝子型AおよびCのヌクレオチド配列を増幅して特定する、HCMVが持つUL144遺伝子の遺伝子型特定方法もまた、提供することができる。具体的には、HCMVのゲノムDNAを鋳型として、
(a)UL144遺伝子の遺伝子型Aのヌクレオチド配列、または遺伝子型Cのヌクレオチド配列には結合するが、遺伝子型Bのヌクレオチド配列には結合しないフォワードプライマー(5’末端側プライマー)と、
(b)UL144遺伝子の非遺伝子型Bのヌクレオチド配列(すなわち遺伝子型Aのヌクレオチド配列または遺伝子型Cのヌクレオチド配列)には結合するが、遺伝子型Bのヌクレオチド配列には結合しないリバースプライマー(3'末端側プライマー)と、
を含む1または複数のプライマーペアを含むプライマーセットを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、遺伝子型A、遺伝子型Cまたは遺伝子型AおよびCのヌクレオチド配列を増幅して特定する、HCMVが持つUL144遺伝子の遺伝子型特定方法もまた、提供することができる。この態様は、遺伝子型Aまたは遺伝子型Cについて非常に微量の鋳型しか存在しない場合であっても、本発明のプライマーペアを使用することにより、遺伝子型Aまたは遺伝子型Cを選択的に増幅することができることを見出したことに基づくものである(実施例2を参照)。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。また、以下の実施例で用いるすべてのオリゴヌクレオチドは、SIGMA-ALDRICH社に合成委託し、調製した。
実施例1:HCMV感染細胞から抽出したゲノムDNAを用いたUL144遺伝子の遺伝子型識別
本発明のプライマーセットを用いたPCR増幅で、あらかじめ塩基配列の解析で遺伝子型を明らかにした試料の遺伝子型を正確に分類できるか否かを確認した。
(1-1)試料の調製
HCMV感染細胞からQIAamp DNAミニキット(QIAGEN社)を用いて、ゲノムDNAを抽出した。これらのゲノムは、後述するPCRにおける鋳型として使用した。
(1-2)シークエンス反応のためのプライマーの調製
Ogawaら(2007)の論文(Ogawa H, et al.,(2007), J. Infect. Dis., 195, 782-788)に従い、UL144遺伝子をPCR増幅し、かつ、その増幅産物の塩基配列を解析するために用いるオリゴヌクレオチドプライマーを、以下のSEQ ID NO: 1とSEQ ID NO: 2:
SEQ ID NO: 1:5'-TCTCGTATTACAAACCGCGGAGAGGATG-3'
SEQ ID NO: 2:5'-ACTCAGACACGGTTCCGTAAAGTGCTTC-3'
として設計した。
(1-3)UL144遺伝子のPCR増幅と塩基配列の解析
(1-1)で抽出したゲノムDNAを鋳型として、以下の方法でUL144遺伝子を増幅し、その増幅産物の塩基配列を解析した。Platinum Taq DNA Polymerase High Fidelity(Invitrogen社)を用いて、PCRを行った。プライマーとして、SEQ ID NO: 1とSEQ ID NO: 2のオリゴヌクレオチドを用いた。TaKaRa PCR Thermal Cycler MP(TaKaRa社)を用い、94℃・2分間プレヒーティングした後、94℃・30秒、55℃・30秒、68℃・1分の温度サイクルを35サイクル繰り返した。増幅産物は、アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイド染色を行った後、約0.75 kbpの断片を分離し、断片を回収した。
次に、回収したDNA断片の塩基配列を解析するために、BigDye(登録商標)Terminators v1.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社)を用いて、シークエンス反応を行った。プライマーとして、SEQ ID NO: 1とSEQ ID NO: 2のオリゴヌクレオチドを用いた。TaKaRa PCR Thermal Cycler MP(TaKaRa社)を用い、96℃・2分間プレヒーティングした後、96℃・5秒、50℃・10秒、60℃・4分の温度サイクルを25サイクル繰り返した。反応液をエタノール沈殿した後、Hi-Di(Applied Biosystems社)に溶解して、ABI PRISM(登録商標)310 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社)でUL144遺伝子の塩基配列の解析を行った。得られた塩基配列のアラインメントを、図1に示す。この結果、遺伝子型AのサンプルをNo. 0001、遺伝子型BのサンプルをNo. 0002、遺伝子型CのサンプルをNo. 0003と、それぞれ割り当てた。
(1-4)遺伝子型識別のためのプライマーの調製
各遺伝子型(遺伝子型A、遺伝子型B、遺伝子型C)を特異的に増幅するために用いるプライマーセットは、目的以外の遺伝子型を増幅させないために、遺伝子型間で大きく異なる領域で設計した。UL144遺伝子の遺伝子型Aを検出するオリゴヌクレオチドとして、A-F0_1プライマー(SEQ ID NO: 3)とA, C-R0プライマー(SEQ ID NO: 5)および、A-F0_2プライマー(SEQ ID NO: 4)とA, C-R0プライマー(SEQ ID NO: 5)のプライマーのセット(それぞれのプライマーセットを#0-A1、#0-A2と命名)を、UL144遺伝子の遺伝子型Bを検出するオリゴヌクレオチドとして、B-F0プライマー(SEQ ID NO: 6)とB-R0プライマー(SEQ ID NO: 7)のプライマーのセット(このプライマーセットを#0-Bと命名)を、UL144遺伝子の遺伝子型Cを検出するオリゴヌクレオチドとして、C-F0プライマー(SEQ ID NO: 8)とA, C-R0プライマー(SEQ ID NO: 5)のプライマーのセット(このプライマーセットを#0-Cと命名)を、そして、UL144遺伝子のすべての遺伝子型を検出するオリゴヌクレオチドとして、U-F0プライマー(SEQ ID NO: 9)とU-R0プライマー(SEQ ID NO: 10)のプライマーのセット(このプライマーセットを#0-Uと命名)を、それぞれ設計した。
それぞれのプライマーのヌクレオチド配列は、
A-F0_1プライマー:5'-TAAAGTATGCACGGATTATACC-3'(SEQ ID NO: 3)
A-F0_2プライマー:5'-CATAATGAAGTGCAACTGGGC-3'(SEQ ID NO: 4)
A, C-R0プライマー:5'-CATGTGCGGTATGATTTTGCT-3'(SEQ ID NO: 5)
B-F0プライマー:5'-AGGATATCGTGTTACAGGACA-3'(SEQ ID NO: 6)
B-R0プライマー:5'-CATGTGCGGTATGATTTTGTC-3'(SEQ ID NO: 7)
C-F0プライマー:5'-AAGTGTGTACAGAGAATAGTG-3'(SEQ ID NO: 8)
U-F0プライマー:5'-CCGGTAGGAGGCATGAAG-3'(SEQ ID NO: 9)
U-R0プライマー:5'-GTGGAAGTGCAGTTACGAA-3'(SEQ ID NO: 10)
である。
(1-5)PCR法によるUL144遺伝子の各遺伝子型の増幅
(1-3)でUL144遺伝子の遺伝子型を分類した遺伝子型A、遺伝子型B、遺伝子型CのそれぞれゲノムDNAを鋳型として、以下の方法でUL144遺伝子の各遺伝子型を増幅した。DNAポリメラーゼには、Platinum Taq DNA Polymerase High Fidelity(Invitrogen社)を、プライマーには、(1-4)で設計したプライマーセット#0-A1(SEQ ID NO: 3と5)、#0-B(SEQ ID NO: 6と7)、#0-C(SEQ ID NO: 8と5)、#0-U(SEQ ID NO: 9と10)を用いて、PCRを行った。Applied Biosystems Veriti(登録商標)96-Wellサーマルサイクラー(Applied Biosystems社)を用い、94℃・2分間プレヒーティングした後、94℃・30秒、57℃・30秒、68℃・20秒の温度サイクルを40サイクル繰り返した。
(1-6)PCR増幅した産物のアガロースゲル電気泳動
得られた増幅産物をアガロースゲルで電気泳動した後、エチジウムブロマイドで染色した。染色したゲルは、RAS-3000(Fujifilm社)で撮影した。
(1-7)結果
各プライマーセット#0-A1、#0-B、#0-C、#0-Uを用いてのPCR産物をアガロースゲル電気泳動した結果を図2に示す。図2において、プライマーセット#0-A1、#0-B、#0-C、#0-Uを用いて得られる結果を、それぞれ「A」、「B」、「C」、「U」と表示する。No.0001〜No.0003はHCMV感染細胞由来のゲノムDNA、No.0004はHCMV非感染細胞由来のゲノムDNAを、それぞれ鋳型とした。また、塩基配列の解析結果から各サンプルに含まれるUL144遺伝子の遺伝子型は、No.0001は遺伝子型A、No.0002は遺伝子型B、No.0003は遺伝子型Cであった。#0-Uのプライマーセットで増幅される特異的なバンド、および各遺伝子型に特異的なバンドには、その右側に矢頭を付して示した。
非感染細胞由来のゲノムDNAを用いた場合(No.0004)には、いずれのレーンでも特異的なバンドは観察されなかったのに対し、感染細胞由来のゲノムDNAを用いた場合のNo.0001〜No.0003ではそれぞれのUのレーンで特異的なバンドが示され、さらに各サンプルNo.の後の括弧内に示すように各遺伝子型に特異的なバンドを観察できた。このNo.0001〜No.0003で識別できた各遺伝子型は、あらかじめ塩基配列で遺伝子型を分類した結果とすべて一致した。
また、遺伝子型AをPCR増幅する際、プライマーセット#0-A1以外にも#0-A2を用いることでも特異的なバンドを確認することができた(データは示さず)。
これらの結果から明らかなように、塩基配列の解析を行なわなくとも、本発明のプライマーセットを用いたPCR増幅で、HCMVのUL144遺伝子の遺伝子型を分類できることが確認された。
実施例2:HCMV感染患者の血液を用いたUL144遺伝子の遺伝子型識別
HCMV感染患者からの血液には、微量しかHCMVのゲノムDNAが含まれないことがある。これまでにもnested PCR法を行なわなければ、塩基配列の決定による遺伝子型の分類ができない場合が多く、かつ、分類できるまでに多くの時間が必要であることが問題であった。そこで、実施例1と同様の方法、または一度UL144遺伝子の全長を含む配列をPCR増幅した後に実施例1と同様の方法で検出できるか否かを確認した。
(2-1)試料の調製
HCMV感染患者の血液からQIAamp DNA blood mini kit(QIAGEN社)を用いて、ゲノムDNAを抽出した。ここで得られたサンプルを、No. 0008〜No. 0015と割り当てた。
(2-2)実施例1と同様の方法による、血液由来のゲノムDNAを用いた各遺伝子型の分類
プライマーセットには#0-A1、#0-B、#0-C、#0-Uを、鋳型にはHCMV感染患者の血液から抽出したゲノムDNAを用いて、実施例1(1-5)および(1-6)と同様の方法でPCR増幅し、アガロースゲル電気泳動することで、各遺伝子型を分類した。
(2-3)UL144遺伝子の全長を含む配列のPCR増幅
(2-2)で遺伝子型を分類できなかったサンプルに関して、以下の方法でUL144遺伝子の全長を含む配列を増幅した。DNAポリメラーゼには、Platinum Taq DNA Polymerase High Fidelity(Invitrogen社)を、プライマーには、SEQ ID NO: 1とSEQ ID NO: 2を用いて、PCR増幅を行った。Applied Biosystems Veriti(登録商標)96-Well サーマルサイクラー(Applied Biosystems社)を用い、94℃・2分間プレヒーティングした後、94℃・30秒、55℃・30秒、68℃・1分の温度サイクルを35サイクル繰り返した。
(2-4)PCR法による各遺伝子型の増幅と、アガロースゲル電気泳動
実施例1(1-5)と同様の方法で、(2-3)でPCR増幅した産物を鋳型として用いて、UL144遺伝子の各遺伝子型を増幅した。ただし、温度サイクルは40サイクルのところ、35サイクルとした。得られた増幅産物を実施例1(1-6)と同様の方法で、アガロースゲル電気泳動を行ない、泳動パターンを撮影した。
(2-5)結果
(2-2)と(2-4)でPCR増幅した産物をアガロースゲル電気泳動した結果をそれぞれ図3と図4に示した。図3および図4において、プライマーセット#0-A1、#0-B、#0-C、#0-Uを用いて得られる結果を、それぞれ「A」、「B」、「C」、「U」と表示する。#0-Uのプライマーセットで増幅される特異的なバンドおよび、各遺伝子型に特異的なバンドには、その右側に矢頭を付して示し、サンプルNo.の後の括弧内に、PCR反応の結果明らかになった各遺伝子型を示した。ただし、遺伝子型特有のバンドが検出されない場合には、n.d.と示した。また、図3と図4で、Mと書かれているレーンには、分子量マーカーを泳動した。
図3のNo.0008〜No.0011やNo.0014のように、実施例1の方法を用いることで、HCMV感染患者の血液から抽出した微量のゲノムDNAでも、遺伝子型を分類することができた。
また、実施例1の方法では、サンプルに含まれるゲノムDNAが少ないために遺伝子型を分類できなかったNo.0012やNo.0013、およびNo.0015に関しても、本実施例のように、あらかじめUL144遺伝子の全長を増幅することで、図4のように各遺伝子型を分類できることがわかった。
以上の結果から、本発明のプライマーセットを用いたPCRによって、感染細胞だけでなく、血液から抽出したゲノムDNAでも遺伝子型を容易に識別できることが確認された。
実施例3:生検パラフィン標本を用いたUL144遺伝子の遺伝子型識別
HCMV感染症を発症した患者のホルマリン固定した病理切片から抽出したゲノムDNAを用いて、UL144遺伝子の遺伝子型を識別できるか否かを調べた。
(3-1)生検パラフィン標本からのゲノムDNAの抽出
HCMV感染症を発症した患者のホルマリン固定した生検パラフィン標本からQIAamp DNA FFPE Tissue Kit (QIAGEN社)を用いて、ゲノムDNAを抽出した。ここで得られたサンプルを、No.0016と割り当てた。
(3-2)実施例1と同様の方法による、UL144遺伝子の各遺伝子型の識別
プライマーセットには#0-A1、#0-B、#0-C、#0-Uを、鋳型にはNo.0016のゲノムDNAを用いて、実施例1(1-5)および(1-6)と同様の方法でPCR増幅し、アガロースゲル電気泳動することで、各遺伝子型を分類した。温度条件は、Applied Biosystems Veriti(登録商標)96-Wellサーマルサイクラー(Applied Biosystems社)を用い、94℃・2分間プレヒーティングした後、94℃・30秒、57℃・30秒、68℃・20秒の温度サイクルを40サイクル繰り返した。
(3-3)結果
(3-2)でPCR増幅した産物をアガロースゲル電気泳動した結果を図5に示す。図5において、プライマーセット#0-A1、#0-B、#0-C、#0-Uを用いて得られる結果を、それぞれ「A」、「B」、「C」、「U」と表示する。#0-Uのプライマーセットで増幅される特異的なバンドおよび、各遺伝子型に特異的なバンドには、その右側に矢頭を付して示し、サンプルNo.の後の括弧内に、PCR反応の結果明らかになった各遺伝子型を示した。その結果、HCMV感染症を発症した患者のホルマリン固定した病理切片から抽出したゲノムDNAには、遺伝子型Aが検出された。
この結果から、本発明の方法を用いることにより、血液サンプルのみならず、ホルマリン固定サンプルでも、UL144遺伝子の遺伝子型を識別できることが示唆された。
実施例4:SYBR Green法によるリアルタイムPCRの検討(i)
各遺伝子型を増幅するプライマーセットを用いた遺伝子型の分類は、実施例1や2のようにアガロースゲル電気泳動での確認だけでなく、定量的な結果を得られるリアルタイムPCRでも可能か否かを調べた。
(4-1)陽性コントロール作製のためのプライマー調製
UL144遺伝子の全長を含む配列をPCR増幅するオリゴヌクレオチドを、以下のSEQ ID NO: 11とSEQ ID NO: 12:
SEQ ID NO: 11:5'-TGGATCCGGTAGGAGGCATGAAGC-3'
SEQ ID NO: 12:5'-ACAGAATTCTTACAGGGTGCGGTAGA-3'
として設計した。また、PCR増幅後、プラスミドpcDNA4HisMax(Invitrogen社)に挿入するために、SEQ ID NO: 11には制限酵素BamHI、SEQ ID NO: 12には制限酵素EcoRIの認識配列を付した。
(4-2)PCR法によるUL144遺伝子の各遺伝子型の増幅
実施例1と同様の方法で遺伝子型を決定したHCMV感染細胞から抽出したゲノムDNAを鋳型として、以下の方法でUL144遺伝子をPCR増幅した。DNAポリメラーゼにはPlatinum Taq DNA Polymerase High Fidelity(Invitrogen社)を、プライマーにはSEQ ID NO: 11とSEQ ID NO: 12を用いて、PCRを行った。Applied Biosystems Veriti(登録商標)96-Wellサーマルサイクラー(Applied Biosystems社)を用い、94℃・2分間プレヒーティングした後、94℃・30秒、68℃・1分30秒の温度サイクルを35サイクル繰り返した。ただし、遺伝子型Aの増幅に限り、35サイクルのところを25サイクルに設定し、鋳型には、事前にApplied Biosystems Veriti(登録商標)96-Wellサーマルサイクラー(Applied Biosystems社)で、94℃・2分間プレヒーティングした後、94℃・30秒、55℃・30秒、68℃・1分の温度サイクルを20サイクル繰り返した増幅産物を用いた。
(4-3)プラスミドpcDNA4HisMaxへのUL144遺伝子の遺伝子型Aまたは遺伝子型Bの挿入
(4-2)でPCR増幅したUL144遺伝子の遺伝子型Aと遺伝子型Bの産物をそれぞれアガロースゲル電気泳動により、約0.5 kbpの断片を分離し、DNAを回収した。回収したDNA断片を、T-Vector pMD20(TaKaRa Bio社)に挿入連結した。このプラスミドを、大腸菌XL1-blue株に導入して形質転換し、マーカー遺伝子Amprを利用して、アンピシリン耐性を示す形質転換株を選別した。得られた複数個の単一コロニーをLB液体培地中で振とう培養後、菌体からプラスミドを溶出した。溶出したプラスミド約500 ngを制限酵素EcoRI(TaKaRa Bio社)およびBamHI(TaKaRa Bio社)で消化し、アガロースゲル電気泳動にかけ、約0.5 kbpの断片が生じたクローンを目的の断片が挿入されているプラスミドとして選択した。
さらに、得られたプラスミドpMD20-UL144遺伝子型AおよびpMD20-UL144遺伝子型Bは、それぞれ制限酵素EcoRI(TaKaRa Bio社)とBamHI(TaKaRa Bio社)で消化後、アガロースゲル電気泳動により、約0.5 kbpの断片を分離し、DNAを回収した。回収したDNA断片を、あらかじめ制限酵素EcoRI(TaKaRa Bio社)とBamHI(TaKaRa Bio社)で消化したpcDNA4HisMax(Invitrogen社)に挿入連結した。このプラスミドを、大腸菌XL1-blue株に導入して形質転換し、得られた複数個の単一コロニーから目的のプラスミドが導入されたものを選別した後、LB液体培地で大量培養した。この組換え大腸菌を集菌後、アルカリSDS法によりプラスミドを溶出し、Qiagen tip(QIAGEN社)を用いて、pcDNA4HisMax-UL144遺伝子型AおよびpcDNA4HisMax-UL144遺伝子型Bを単離および分取した。今回用いた遺伝子型Aの配列はアクセッション番号AF447390、遺伝子型Bはアクセッション番号GU365833と同一の配列である。
(4-4)プラスミドpcDNA4HisMaxへのUL144遺伝子の遺伝子型Cの挿入
(4-2)でPCR増幅したUL144遺伝子の遺伝子型Cの産物を制限酵素EcoRI(TaKaRa Bio社)とBamHI(TaKaRa Bio社)で消化後、アガロースゲル電気泳動により約0.5 kbpの断片を分離し、DNAを回収した。(4-3)と同様の方法で、回収したDNAをpcDNA4HisMax(Invitrogen社)に挿入連結し、pcDNA4HisMax-UL144遺伝子型Cを単離および分取した。今回用いた遺伝子型Cの配列はアクセッション番号EF635849と同一の配列である。
(4-5)遺伝子型識別のためのプライマーの調製
各遺伝子型を増幅するために用いるプライマーセットは、目的以外の遺伝子型を増幅させないために、遺伝子型間で大きく異なる領域で設計した。UL144遺伝子の遺伝子型Aを検出するオリゴヌクレオチドとして、A-F2プライマー(SEQ ID NO: 13)とA-R2プライマー(SEQ ID NO: 14)のプライマーのセット(#2-Aと命名)を、UL144遺伝子の遺伝子型Bを検出するオリゴヌクレオチドとして、B-F2プライマー(SEQ ID NO: 15)とB-R2プライマー(SEQ ID NO: 16)のプライマーのセット(#2-Bと命名)を、そしてUL144遺伝子の遺伝子型Cを検出するオリゴヌクレオチドとして、C-F2プライマー(SEQ ID NO: 17)とC-R2プライマー(SEQ ID NO: 18)のプライマーのセット(#2-Cと命名)を、それぞれ設計した。
それぞれのプライマーのヌクレオチド配列は、
A-F2プライマー:5'-ATGAAGTGCAACTGGGC-3'(SEQ ID NO: 13)
A-R2プライマー:5'-GGGTACACGTTACACTGGT-3'(SEQ ID NO: 14)
B-F2プライマー:5'-TATTGGCATGCATAGGGA-3'(SEQ ID NO: 15)
B-R2プライマー:5'-CGTACATTGTCCTGTAACACG-3'(SEQ ID NO: 16)
C-F2プライマー:5'-AGCCCGATGAGGTGAAG-3'(SEQ ID NO: 17)
C-R2プライマー:5'-CAATGTACACGTTATGCCAC-3'(SEQ ID NO: 18)
である。
(4-6)陽性コントロールを用いたSYBR Green法によるリアルタイムPCR
(4-3)と(4-4)で作製した陽性コントロールのプラスミドを段階希釈した溶液を用いて、以下の方法で各遺伝子型の標準曲線を作成した。リアルタイムPCRの反応試薬にはPower SYBR(登録商標)Green PCR Master Mix(Applied Biosystems社)を、プライマーセットには(4-5)で設計したプライマーセット#2-A(SEQ ID NO: 13と14)、#2-B(SEQ ID NO: 15と16)、#2-C(SEQ ID NO: 17と18)を用いた。各遺伝子型の陽性コントロールは、101、102、103、104、105、106コピー/チューブの初期量となるように段階希釈した。Applied Biosystems 7300リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社)を用い、95℃・10分間プレヒーティングした後、95℃・15秒、60℃・1分の温度サイクルを40サイクル繰り返し、SYBR Greenの蛍光を測定した。その後、融解曲線を描くために、95℃・15秒、60℃・30秒、95℃・15秒の温度サイクルを1サイクル行なった。
(4-7)アガロースゲル電気泳動
実施例1(1-6)と同様の方法で、リアルタイムPCR後の増幅産物をアガロースゲル電気泳動し、泳動パターンを観察した。
(4-8)結果
段階希釈した陽性コントロールを用いたリアルタイムPCRの結果、図6の増幅曲線が得られた。図6では、PCRのサイクル数(横軸)と増幅されたPCR産物に相当する蛍光シグナル(ΔRn)(縦軸)との関係を、図6(A)では遺伝子型Aについて、図6(B)では遺伝子型Bについて、そして図6(C)では遺伝子型Cについて、それぞれ示す。
これらの図6(A)〜(C)において、Applied Biosystems 7300 リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社)に添付されていた7300 System SDS Softwareを用いて自動的に解析・取得された閾値(図6A〜図6C中に実線として記載)と交差するサイクル数と各ウェルのコピー数を図7のようにブロットした。図7では、各鋳型の陽性コントロールの初期コピー数(横軸)とPCRのサイクル数(縦軸)との関係を示す。いずれの遺伝子型でも101〜106コピー/チューブで良好な直線性が得られることがわかった。
これらのPCR反応のそれぞれについて、反応生成物の融解曲線を調べ、結果を図8(A)〜(C)に温度(横軸)と蛍光強度(縦軸)との関係として示す。図8(A)は遺伝子型Aを鋳型とし、図8(B)は遺伝子型Bを鋳型とし、図8(C)は遺伝子型Cを鋳型として行った結果である。図8の融解曲線において、鋳型を加えない場合(NTC)にはピークが観察されないのに対し、各陽性コントロールを加えた場合には、それぞれの濃度および遺伝子型で単一のピークが観察されたことから、プライマーダイマーなどの非特異的な増幅がなかったことがわかった。
さらに、リアルタイムPCR後の増幅産物をアガロースゲル電気泳動した結果を図9に示した。図9において、それぞれの鋳型の陽性テンプレート(図9中、遺伝子型Aについて「A」、遺伝子型Bについて「B」、そして遺伝子型Cについて「C」と、それぞれ示す)に対して、それぞれのプライマーペアを使用した場合の結果を示す。分子量マーカーを泳動したレーンの上部にはMと書き、各遺伝子型に特異的なバンドには、矢頭を付して示した。図9からも明らかなように、各遺伝子型のみを増幅するプライマーセットと陽性コントロールを加えた場合にのみ特異的なバンドが検出されることがわかった。
実施例5:SYBR Green法によるリアルタイムPCRの検討(ii)
実施例2のように血液由来のゲノムDNAには、複数の遺伝子型が含まれることがある。そこで、実施例4と同様の方法を用いて、複数の遺伝子型の陽性コントロールを含む条件で各遺伝子型を正確に検出できるか否かを調べた。
(5-1)陽性コントロールを混合した溶液の調製
これまでに扱ってきた血液には、多くの場合、103〜105コピー/ml程度のUL144遺伝子が含まれることがあった。そこで、これらの濃度を踏まえて、遺伝子型を2種類含む場合、3種類含む場合について、検証することにした。
まず初めに、2種類含む場合には、遺伝子型Bを1×105コピー/ml(4×102コピー/チューブ)に対して、遺伝子型AまたはCを1×105コピー/ml(4×102コピー/チューブ)または、2.5×104コピー/ml(1×102コピー/チューブ)、5×103コピー/ml(2×101コピー/チューブ)となるように調製した(鋳型の比率は、A:BまたはC:B=1:1、1:4または1:20)。
次に、3種類含む場合には、遺伝子型Bを1×105コピー/ml(4×102コピー/チューブ)に対して、遺伝子型AとCをそれぞれ1×105コピー/ml(4×102コピー/チューブ)または、2.5×104コピー/ml(1×102コピー/チューブ)、5×103コピー/ml(2×101コピー/チューブ)となるように調製した(鋳型の比率は、A:B:C=1:1:1、1:4:1または1:20:1)。
(5-2)SYBR Green法によるリアルタイムPCR
実施例4と同様の方法で、標準曲線を書くために段階希釈した陽性コントロールと共に、(5-1)で調製したサンプルをSYBR Green法によるリアルタイムPCRにかけた。プライマーペアとして、#2-A、#2-B、#2-Cを使用した。PCRの温度条件は、Applied Biosystems 7300リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社)を用い、95℃・10分間プレヒーティングした後、95℃・15秒、60℃・1分の温度サイクルを40サイクル繰り返し、SYBR Greenの蛍光を測定した。その後、融解曲線を描くために、95℃・15秒、60℃・30秒、95℃・15秒の温度サイクルを1サイクル行なった。
リアルタイムPCR後、標準曲線を作成し、遺伝子型を2種類含む場合または3種類含む場合での本来測定され得るコピー数と検出された各遺伝子型のコピー数をグラフにまとめた。
(5-3)結果
複数の遺伝子型を含む条件で、本来測定され得るコピー数(理論値)と検出された各遺伝子型のコピー数(実測値)を求めて、図10にまとめた。遺伝子型Bと同時に遺伝子型AまたはCの2種類含む場合に、プライマーペア#2-Aを使用して遺伝子型Aを検出した結果は図10(a)に、そしてプライマーペア#2-Cを使用して遺伝子型Cを検出した結果は図10(b)に示した。さらに、遺伝子型Bに遺伝子型AとCの3種類含む場合に、プライマーペア#2-Aを使用して遺伝子型Aを検出した結果は図10(c)に、そしてプライマーペア#2-Cを使用して遺伝子型Cを検出した結果は図10(d)に、それぞれ示した。
その結果、いずれの条件でも遺伝子型AおよびCの実測値を用いた検量線は、理論値の検量線とほぼ同様に良好な直線性を示すことがわかった。また、同時に遺伝子型Bを検出した際でも、理論値との誤差は最大でも19.91%であった。このことから、本発明のプライマーセットを用いることで、複数の遺伝子型が含まれる場合でも各遺伝子型のコピー数をほぼ正確に測定できることが明らかとなった。
実施例6:TaqManプローブ法によるリアルタイムPCRの検討(i)
SYBR Green法と比べて、特異的なシグナルが得られやすいTaqManプローブ法によってUL144遺伝子の遺伝子型を識別できるか否かを調べた。
(6-1)プローブの調製
プライマーセット#0-A1、#0-B、#0-Cで増幅される産物中で、共通の配列部分にプローブを設計し、Applied Biosystems社に合成委託し、調製した。
(6-2)陽性コントロールを用いたTaqManプローブ法によるリアルタイムPCR
各遺伝子型の陽性コントロールを5、101、102、103、104、105、106コピー/チューブとなるように段階希釈した溶液を用いて、以下の方法で各遺伝子型の標準曲線を作成した。リアルタイムPCRの反応試薬には、TaqMan(登録商標)Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems社)または、TaqMan(登録商標)Gene Expression Master Mix(Applied Biosystems社)を、プライマーセットには#0-A1、#0-B、#0-Cを用いた。Applied Biosystems 7300リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社)を用い、50℃・2分、95℃・10分のプレヒーティングした後、95℃・15秒、60℃・1分の温度サイクルを40サイクル繰り返し、サイクルごとにFAMの蛍光を測定した。
(6-3)結果
段階希釈した陽性コントロールを用いたリアルタイムPCRの結果、Applied Biosystems 7300 リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社)に添付されていた7300 System SDS Softwareを用いて自動的に解析・取得された閾値と交差するサイクル数と各ウェルのコピー数をブロットし、標準曲線を図12に示した。図12では、各鋳型の陽性コントロールの初期コピー数(横軸)とPCRのサイクル数(縦軸)との関係を示す。いずれの遺伝子型でも、5〜106コピー/チューブの鋳型の初期量で良好な直線性が得られることがわかった。これらの結果から、本発明のプライマーセットを用いたリアルタイムPCRは、実施例4のSYBR Green法だけでなく、TaqManプローブ法でも良好な直線性を示す標準曲線が得られることが明らかになった。
実施例7:TaqManプローブ法によるリアルタイムPCRの検討(ii)
TaqManプローブ法を用いたリアルタイムPCRでも、実施例5のように複数の遺伝子型が含まれる条件で、各遺伝子型のコピー数を正確に測定できるか否かを調べた。
(7-1)陽性コントロールを混合した溶液の調製
実施例5(5-1)と同様な方法で、陽性コントロールを混合した溶液を調製した。まず初めに、2種類含む場合には、遺伝子型Bを1×105コピー/ml(4×102コピー/チューブ)に対して、遺伝子型AまたはCを1×105コピー/ml(4×102コピー/チューブ)または、2.5×104コピー/ml(1×102コピー/チューブ)、5×103コピー/ml(2×101コピー/チューブ)、2.5×103コピー/ml(1×101コピー/チューブ)、1.25×103コピー/ml(5コピー/チューブ)となるように調製した(鋳型の比率は、A:BまたはC:B=1:1、1:4、1:20、1:40または1:80)。
次に、3種類含む場合には、遺伝子型Bを1×105コピー/ml(4×102コピー/チューブ)に対して、遺伝子型AとCをそれぞれ1×105コピー/ml(4×102コピー/チューブ)または、2.5×104コピー/ml(1×102コピー/チューブ)、5×103コピー/ml(2×101コピー/チューブ)、2.5×103コピー/ml(1×101コピー/チューブ)、1.25×103コピー/ml(5コピー/チューブ)となるように調製した(鋳型の比率は、A:B:C=1:1:1、1:4:1、1:20:1、1:40:1または1:80:1)。
(7-2)TaqManプローブ法によるリアルタイムPCR
実施例6と同様の方法で、標準曲線を書くために段階希釈した陽性コントロールと共に、(7-1)で調製したサンプルをTaqManプローブ法によるリアルタイムPCRにかけた。使用したプライマーペアは、#0-A1、#0-B、#0-Cであり、温度条件は、実施例6と同様、すなわち、Applied Biosystems 7300リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社)を用い、50℃・2分、95℃・10分のプレヒーティングした後、95℃・15秒、60℃・1分の温度サイクルを40サイクル繰り返し、サイクルごとにFAMの蛍光を測定した。リアルタイムPCR後、標準曲線を作成し、遺伝子型を2種類または、3種類含む場合での本来測定され得るコピー数と検出された各遺伝子型のコピー数をグラフにまとめた。
(7-3)結果
実施例5と同様に、複数の遺伝子型を含む条件で、本来測定され得るコピー数(理論値)と検出された各遺伝子型のコピー数(実測値)を求めて、図12にまとめた。遺伝子型Bに遺伝子型AまたはCの2種類含む場合に、プライマーペア#0-A1を使用して遺伝子型Aを検出した結果は図12(a)に、そしてプライマーペア#0-Cを使用して遺伝子型Cを検出した結果は図12(b)に示した。さらに、遺伝子型Bに遺伝子型AとCの3種類含む場合に、プライマーペア#0-A1を使用して遺伝子型Aを検出した結果は図12(c)に、そしてをプライマーペア#0-Cを使用して遺伝子型Cを検出した結果は図12(d)に、それぞれ示した。
その結果、いずれの条件でも遺伝子型AおよびCの実測値を用いた検量線は、理論値の検量線に近い直線性を示すことがわかった。また、同時に遺伝子型Bを検出した際でも、理論値との誤差は最大でも33.58%であった。このことから、本発明のプライマーセットを用いることで、複数の遺伝子型が含まれる場合でも各遺伝子型のコピー数をほぼ正確に測定できることが明らかとなった。
実施例8:HCMV(-)血液を含んだ条件での各遺伝子型の識別
実施例7までは、各遺伝子型の陽性コントロールを用いた検証であったが、実際の血液由来のゲノムDNAには、PCR反応の阻害や非特異的な増幅の原因となるものが含まれていることがある。そこで、あらかじめIE1遺伝子のリアルタイムPCR解析により、HCMVの感染がないものと判断した血液からゲノムDNAを抽出し、各遺伝子型の陽性コントロールを加えることで、正確にコピー数を反映することができるか否かを確かめた。
(8-1)HCMV感染ネガティブの血液からのゲノムDNA抽出
実施例2の(2-1)と同様の方法で、健常人から採血した血液を用いて、ゲノムDNAを抽出した。
(8-2)リアルタイムPCRに用いる鋳型の調製
(8-1)で調製した血液由来ゲノムDNAに対して、各遺伝子型の陽性コントロールを以下のように混合した。遺伝子型Aと遺伝子型Cの鋳型の初期量はそれぞれ2.5×103コピー/ml(1×101コピー/チューブ)、遺伝子型Bの鋳型の初期量は1×105コピー/ml(4×102コピー/チューブ)となるように調製した。
(8-3)TaqManプローブ法によるリアルタイムPCR
実施例6と同様の方法で、標準曲線を書くための段階希釈した陽性コントロールと共に、(8-1)と(8-2)で調製したサンプルをTaqManプローブ法によるリアルタイムPCRにかけた。使用したプライマーペアは、#0-A1、#0-B、#0-Cであり、温度条件は、実施例6と同様、すなわち、Applied Biosystems 7300リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社)を用い、50℃・2分、95℃・10分のプレヒーティングした後、95℃・15秒、60℃・1分の温度サイクルを40サイクル繰り返し、サイクルごとにFAMの蛍光を測定した。リアルタイムPCR後、標準曲線を作成し、本来測定され得る各遺伝子型のコピー数と実際に検出されたコピー数をグラフにまとめた。
(8-4)結果
HCMV(-)の血液由来サンプルのみ、または、陽性コントロールを追加したサンプルを鋳型としてリアルタイムPCRを行った結果、増幅曲線を図13に示した。HCMV(-)の血液由来サンプルのみの場合では、それぞれの遺伝子型について、Applied Biosystems 7300 リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社)に添付されていた7300 System SDS Softwareを用い、自動的に解析・取得された閾値を越えることはなかった。一方で、陽性コントロールを追加したサンプルの場合では、すべて閾値を越えることがわかった。このことから、血液中にHCMV由来のゲノムDNAが含まれない場合には、非特異的なシグナルが検出されないことがわかった。
さらに、実施例5と同様に、本来測定され得るコピー数(理論値)と検出された各遺伝子型のコピー数(実測値)を求めて、図14にまとめた。その結果、各遺伝子型共に、標準曲線から大きく外れないことから、HCMV(-)の血液由来のゲノムDNAが含まれていても、陽性コントロールのコピー数を測定できることが明らかとなった。
実施例9:HCMV感染患者の血液を用いたUL144遺伝子の各遺伝子型の識別およびそれらの各コピー数の測定
実施例2では、HCMV感染患者の血液に含まれる各遺伝子型のUL144遺伝子の有無を調べることができたが、定量的な結果ではなかった。そこで、これまで実施例6から8で検証したTaqManプローブ法によるリアルタイムPCRを行なうことで、HCMV感染患者の血液に含まれるUL144遺伝子の遺伝子型を識別すると共に、それらの遺伝子型のコピー数を求めることができるか否かを確かめた。
(9-1)HCMV感染患者の血液からのゲノムDNA抽出
実施例2の(2-1)と同様の方法で、HCMV感染患者の血液からゲノムDNAを抽出した。ここで得られたサンプルを、No. 0017およびNo. 0018と割り当てた。
(9-2)TaqManプローブ法によるリアルタイムPCR
実施例6と同様の方法で、標準曲線を書くための段階希釈した陽性コントロールと共に、(9-1)で調製したサンプルをTaqManプローブ法によるリアルタイムPCRにかけた。使用したプライマーペアは、#0-A1、#0-B、#0-Cであり、温度・時間のサイクル条件は、実施例6と同様、すなわち、Applied Biosystems 7300リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社)を用い、50℃・2分、95℃・10分のプレヒーティングした後、95℃・15秒、60℃・1分の温度サイクルを40サイクル繰り返し、サイクルごとにFAMの蛍光を測定した。リアルタイムPCR後、標準曲線を作成し、HCMV感染患者の血液に含まれるUL144遺伝子の各遺伝子型のコピー数を求めた。
(9-3)結果
HCMV感染患者の血液から抽出したゲノムDNAを鋳型としてリアルタイムPCRを行い、それらの血液に含まれるUL144遺伝子の各遺伝子型のコピー数を求めた結果を図15に示した。PCRと示したレーンには、実施例2と同様の方法で遺伝子型を識別した結果を、リアルタイムPCRと示したレーンには、TaqManプローブ法を用いたリアルタイムPCRによって求めた各遺伝子型のコピー数を示した。実施例2と同様の方法で遺伝子型を識別したところ、No.0017とNo.0018共に遺伝子型AとBを検出することができた。一方、リアルタイムPCRによって各遺伝子型のコピー数を求めたところ、No.0017では血液1mlあたり遺伝子型Aを44148コピー、遺伝子型Bを7413コピー、No.0018では遺伝子型Aを15100コピー、遺伝子型Bを30145コピー、それぞれ検出することができ、実施例2の遺伝子型の識別結果と一致することがわかった。さらに、各サンプルにおけるUL144遺伝子のコピー数は、あらかじめ測定した血液中のIE1遺伝子のコピー数とほぼ同程度であることもわかった。これらの結果から、本発明のプライマーセットを用いたリアルタイムPCRを行うことで、HCMV感染患者の血液に含まれるUL144遺伝子の遺伝子型を識別できるだけでなく、各遺伝子型のUL144遺伝子のコピー数を求めることができることがわかった。
実施例10:各遺伝子型の陽性コントロールを用いたUL144遺伝子のPCR増幅
以下のSEQ ID NO: 38、SEQ ID NO: 39、SEQ ID NO: 40、SEQ ID NO: 41のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、UL144遺伝子の遺伝子型A〜Cのいずれの遺伝子型が、PCR増幅可能か否かを確認した。PCR増幅の鋳型には、実施例4から9で使用したUL144遺伝子の各遺伝子型の陽性コントロールを用いた。
(10-1)陽性コントロールの調製
実施例4から9で使用したUL144遺伝子の各遺伝子型の陽性コントロールをそれぞれ1×106コピー/チューブとなるように調製した。
(10-2)PCR増幅のためのプライマーの調製
いずれの遺伝子型でも増幅可能なオリゴヌクレオチドとして、ABC-F0(SEQ ID NO: 38)とABC-R0(SEQ ID NO: 39)のプライマーのセット(プライマーペア#0-ABCと命名)と、ABC-F2(SEQ ID NO: 40)とABC-R2(SEQ ID NO: 41)のプライマーのセット(プライマーペア#2-ABCと命名)をそれぞれ設計した。
それぞれのプライマーのヌクレオチド配列は、
ABC-F0プライマー:5'-ATTCTCTATCTTATAGCCGCCTA-3'(SEQ ID NO: 38)
ABC-R0プライマー:5'-TTACAGGGTGCGGTAGAA-3'(SEQ ID NO: 39)
ABC-F2プライマー:5'-CGCACATGTAACCGTCAA-3'(SEQ ID NO: 40)
ABC-R2プライマー:5'-GAGCAACACTGTTGGCAT-3'(SEQ ID NO: 41)
である。
(10-3)PCR法によるUL144遺伝子の増幅
(10-1)で調製したUL144遺伝子の各遺伝子型の陽性コントロールを鋳型として、以下の方法でUL144遺伝子を増幅した。DNAポリメラーゼには、Platinum Taq DNA Polymerase High Fidelity(Invitrogen社)を、プライマーには、(10-2)で設計したプライマーペア#0-ABC(SEQ ID NO: 38と39)、およびプライマーペア#2-ABC(SEQ ID NO: 40と41)をそれぞれ用いて、PCR増幅した。Applied Biosystems Veriti(登録商標)96-Wellサーマルサイクラー(Applied Biosystems社)を用い、94℃・2分間プレヒーティングした後、94℃・30秒、57℃・30秒、68℃・20秒の温度サイクルを25サイクル繰り返した。
(10-4)PCR増幅した産物のアガロースゲル電気泳動
得られた増幅産物をアガロースゲルで電気泳動した後、エチジウムブロマイドで染色した。染色したゲルは、RAS-3000(Fujifilm社)で撮影した。
(10-5)結果
プライマーペア#0-ABCまたはプライマーペア#2-ABCを用いてPCR増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動した結果を図16に示す。図16において、陽性コントロールの遺伝子型A、遺伝子型B、遺伝子型Cを用いて得られる結果を、それぞれ「A」、「B」、「C」と表示する。プライマーペア#0-ABCまたはプライマーペア#2-ABCで増幅される特異的なバンドには、その右側に矢頭を付して示した。
図16のすべてのレーンで特異的なバンドが検出されたように、プライマーペア#0-ABCやプライマーペア#2-ABCを用いることで、UL144遺伝子のいずれの遺伝子型も増幅できることが確認された。
本発明のPCRプライマーセットを使用することにより、HCMVの病原性と関連があることが示唆されているUL144遺伝子の遺伝子多型に基づく3種類の主要な遺伝子型サブグループを、短時間で正確に識別して増幅することができる。本発明のプライマーペアを使用することにより、サンプル中に非常にわずかなコピー数しか存在しないUL144遺伝子のそれぞれの遺伝子型配列を、特異的に増幅することができる。また、ホルマリン固定した組織切片から抽出したゲノムDNAを鋳型として使用する場合には、PCR反応が生じにくい場合があるが、本発明のプライマーペアを使用することにより、例えば、血液や組織、感染細胞を含むどのような試料から抽出したゲノムDNAを用いる場合でも、UL144遺伝子のそれぞれの遺伝子型配列を、特異的に増幅することができる。
SEQ ID NO: 1:UL144遺伝子を増幅するための、フォワードプライマー;
SEQ ID NO: 2:UL144遺伝子を増幅するための、リバースプライマー;
SEQ ID NO: 3:UL144遺伝子の遺伝子型Aを増幅するための、A-F0_1プライマー;
SEQ ID NO: 4:UL144遺伝子の遺伝子型Aを増幅するための、A-F0_2プライマー;
SEQ ID NO: 5:UL144遺伝子の遺伝子型Aおよび遺伝子型Cを増幅するための、A, C-R0プライマー;
SEQ ID NO: 6:UL144遺伝子の遺伝子型Bを増幅するための、B-F0プライマー;
SEQ ID NO: 7:UL144遺伝子の遺伝子型Bを増幅するための、B-R0プライマー;
SEQ ID NO: 8:UL144遺伝子の遺伝子型Cを増幅するための、C-F0プライマー;
SEQ ID NO: 9:UL144遺伝子の遺伝子型A〜Cを増幅するための、U-F0プライマー;
SEQ ID NO: 10:UL144遺伝子の遺伝子型A〜Cを増幅するための、U-R0プライマー;
SEQ ID NO: 11:UL144遺伝子の全長を含む配列をPCR増幅するための、フォワードプライマー;
SEQ ID NO: 12:UL144遺伝子の全長を含む配列をPCR増幅するための、リバースプライマー;
SEQ ID NO: 13:UL144遺伝子の遺伝子型Aを増幅するための、A-F2プライマー;
SEQ ID NO: 14:UL144遺伝子の遺伝子型Aを増幅するための、A-R2プライマー;
SEQ ID NO: 15:UL144遺伝子の遺伝子型Bを増幅するための、B-F2プライマー;
SEQ ID NO: 16:UL144遺伝子の遺伝子型Bを増幅するための、B-R2プライマー;
SEQ ID NO: 17:UL144遺伝子の遺伝子型Cを増幅するための、C-F2プライマー;
SEQ ID NO: 18:UL144遺伝子の遺伝子型Cを増幅するための、C-R2プライマー。
SEQ ID NO: 19:UL144遺伝子の遺伝子型Aを増幅するための、A-F1プライマー。
SEQ ID NO: 20:UL144遺伝子の遺伝子型AおよびCを増幅するための、A, C-R1プライマー。
SEQ ID NO: 21:UL144遺伝子の遺伝子型BおよびCを増幅するための、B-F1プライマー。
SEQ ID NO: 22:UL144遺伝子の遺伝子型Bを増幅するための、B-R1プライマー。
SEQ ID NO: 23:UL144遺伝子の遺伝子型BおよびCを増幅するための、C-F1プライマー。
SEQ ID NO: 24:UL144遺伝子の遺伝子型Aを増幅するための、A-F3プライマー。
SEQ ID NO: 25:UL144遺伝子の遺伝子型Aを増幅するための、A-R3プライマー。
SEQ ID NO: 26:UL144遺伝子の遺伝子型Bを増幅するための、B-F3プライマー。
SEQ ID NO: 27:UL144遺伝子の遺伝子型Bを増幅するための、B-R3プライマー。
SEQ ID NO: 28:UL144遺伝子の遺伝子型Cを増幅するための、C-F3プライマー。
SEQ ID NO: 29:UL144遺伝子の遺伝子型Cを増幅するための、C-R3プライマー。
SEQ ID NO: 30:UL144遺伝子の遺伝子型Aを増幅するための、AB-F3プライマー。
SEQ ID NO: 31:UL144遺伝子の遺伝子型Aを増幅するための、AB-R3プライマー。
SEQ ID NO: 32:UL144遺伝子の遺伝子型Aを増幅するための、AB-F0プライマー。
SEQ ID NO: 33:UL144遺伝子の遺伝子型AおよびCを増幅するための、A-F4プライマー。
SEQ ID NO: 34:UL144遺伝子の遺伝子型Aを増幅するための、A-R4プライマー。
SEQ ID NO: 35:UL144遺伝子の遺伝子型Bを増幅するための、B-F4プライマー。
SEQ ID NO: 36:UL144遺伝子の遺伝子型Bを増幅するための、B-R4プライマー。
SEQ ID NO: 37:UL144遺伝子の遺伝子型Cを増幅するための、C-R4プライマー。
SEQ ID NO: 38:UL144遺伝子の遺伝子型A〜Cを増幅するための、ABC-F0プライマー。
SEQ ID NO: 39:UL144遺伝子の遺伝子型A〜Cを増幅するための、ABC-R0プライマー。
SEQ ID NO: 40:UL144遺伝子の遺伝子型A〜Cを増幅するための、ABC-F2プライマー。
SEQ ID NO: 41:UL144遺伝子の遺伝子型A〜Cを増幅するための、ABC-R2プライマー。
SEQ ID NO: 42:UL144遺伝子の遺伝子型A〜Cを増幅するための、ABC-F2-2プライマー。

Claims (17)

  1. ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)のゲノムDNAを鋳型として、
    (a)UL144遺伝子の遺伝子型Aのヌクレオチド配列、遺伝子型Bのヌクレオチド配列、そして遺伝子型Cのヌクレオチド配列のあいだで相違するDNA領域のそれぞれのヌクレオチド配列に結合するフォワードプライマー(5'末端側プライマー)と、
    (b)UL144遺伝子の遺伝子型Bのヌクレオチド配列、そして非遺伝子型Bのヌクレオチド配列(すなわち遺伝子型Aのヌクレオチド配列または遺伝子型Cのヌクレオチド配列)のあいだで相違するDNA領域のそれぞれのヌクレオチド配列に結合するリバースプライマー(3'末端側プライマー)と、
    を含む、1または複数のプライマーペアを含むプライマーセットを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、増幅されたヌクレオチド配列を特定して遺伝子型を決定する、HCMVが持つUL144遺伝子の遺伝子型決定方法。
  2. (a1)A型フォワードプライマー、(a2)B型フォワードプライマー、(a3)C型フォワードプライマー、またはこれらの組合せから選択される(a)のフォワードプライマー、および
    (b1)非B型リバースプライマー、(b2)B型リバースプライマー、またはこれらの組合せから選択される(b)のリバースプライマー、
    から構成される1または複数のプライマーペアを含むプライマーセットを使用する、請求項1に記載のHCMVが持つUL144遺伝子の遺伝子型決定方法。
  3. (a1)A型フォワードプライマーが、SEQ ID NO: 3のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 4のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 13のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 19のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 24のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 30のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 32のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 33のオリゴヌクレオチドからなる群から選択され、
    (a2)B型フォワードプライマーが、SEQ ID NO: 6のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 15のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 21のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 23のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 26のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 35のオリゴヌクレオチドからなる群から選択され、
    (a3)C型フォワードプライマーが、SEQ ID NO: 8のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 17のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 21のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 23のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 28のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 33のオリゴヌクレオチドからなる群から選択され、
    (b1)非B型リバースプライマーが、SEQ ID NO: 5のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 14のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 18のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 20のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 25のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 29のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 31のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 34のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 37のオリゴヌクレオチドからなる群から選択され、そして
    (b2)B型リバースプライマーが、SEQ ID NO: 7のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 16のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 22のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 27のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 36のオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、
    請求項1または2に記載のHCMVが持つUL144遺伝子の遺伝子型決定方法。
  4. (a1)のフォワードプライマーと(b1)のリバースプライマーのプライマーペアを用いたPCRにより増幅生成物が得られる場合に、遺伝子型Aと特定し、
    (a2)のフォワードプライマーと(b2)のリバースプライマーのプライマーペアを用いたPCRにより増幅生成物が得られる場合に、遺伝子型Bと特定し、
    (a3)のフォワードプライマーと(b1)のリバースプライマーのプライマーペアを用いたPCRにより増幅生成物が得られる場合に、遺伝子型C特定する、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のHCMVが持つUL144遺伝子の遺伝子型決定方法。
  5. HCMVのゲノムDNAを鋳型として、
    (a)UL144遺伝子の遺伝子型Aのヌクレオチド配列、または遺伝子型Cのヌクレオチド配列には結合するが、遺伝子型Bのヌクレオチド配列には結合しないフォワードプライマー(5'末端側プライマー)と、
    (b)UL144遺伝子の非遺伝子型Bのヌクレオチド配列(すなわち遺伝子型Aのヌクレオチド配列または遺伝子型Cのヌクレオチド配列)には結合するが、遺伝子型Bのヌクレオチド配列には結合しないリバースプライマー(3'末端側プライマー)と、
    を含む1または複数のプライマーペアを含むプライマーセットを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、遺伝子型A、遺伝子型Cまたは遺伝子型AおよびCのヌクレオチド配列を増幅して特定する、HCMVが持つUL144遺伝子の遺伝子型特定方法。
  6. (a)UL144遺伝子の遺伝子型Aのヌクレオチド配列、遺伝子型Bのヌクレオチド配列、そして遺伝子型Cのヌクレオチド配列のあいだで相違するDNA領域のそれぞれのヌクレオチド配列に結合するフォワードプライマー(5'末端側プライマー)と、
    (b)UL144遺伝子の遺伝子型Bのヌクレオチド配列、そして非遺伝子型Bのヌクレオチド配列(すなわち遺伝子型Aのヌクレオチド配列または遺伝子型Cのヌクレオチド配列)のあいだで相違するDNA領域のそれぞれのヌクレオチド配列に結合するリバースプライマー(3'末端側プライマー)と、
    を含む、1または複数のプライマーペアを含むプライマーセット。
  7. (a)のフォワードプライマーが、(a1)A型フォワードプライマー、(a2)B型フォワードプライマー、(a3)C型フォワードプライマー、またはこれらの組合せから選択される、請求項6に記載のプライマーセット。
  8. (b)のリバースプライマーが、(b1)非B型リバースプライマー、(b2)B型リバースプライマー、またはこれらの組合せから選択される、請求項6または7に記載のプライマーセット。
  9. (a1)A型フォワードプライマーが、SEQ ID NO: 3のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 4のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 13のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 19のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 24のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 30のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 32のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 33のオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、請求項6〜8のいずれかのプライマーセット。
  10. (a2)B型フォワードプライマーが、SEQ ID NO: 6のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 15のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 21のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 23のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 26のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 35のオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、請求項6〜9のいずれかのプライマーセット。
  11. (a3)C型フォワードプライマーが、SEQ ID NO: 8のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 17のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 21のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 23のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 28のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 33のオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、請求項6〜10のいずれかのプライマーセット。
  12. (b1)非B型リバースプライマーが、SEQ ID NO: 5のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 14のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 18のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 20のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 25のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 29のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 31のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 34のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 37のオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、請求項6〜11のいずれかのプライマーセット。
  13. (b2)B型リバースプライマーが、SEQ ID NO: 7のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 16のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 22のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 27のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 36のオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、請求項6〜12のいずれかのプライマーセット。
  14. (a)UL144遺伝子の遺伝子型A、B、そしてCのヌクレオチド配列に共通するDNA領域のヌクレオチド配列に結合するフォワードプライマー(5'末端側プライマー)と、
    (b)UL144遺伝子の遺伝子型A、B、そしてCのヌクレオチド配列に共通するDNA領域のヌクレオチド配列に結合するリバースプライマー(3'末端側プライマー)と、
    を含む、1または複数のプライマーペアを含むプライマーセット。
  15. (a)のフォワードプライマーが(a4)ABC型フォワードプライマーであり、(b)のリバースプライマーが(b3)ABC型リバースプライマーである、請求項14に記載のプライマーセット。
  16. (a4)ABC型フォワードプライマーが、SEQ ID NO: 38のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 40のオリゴヌクレオチド、SEQ ID NO: 42のオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、請求項14または15のいずれかのプライマーセット。
  17. (b3)ABC型リバースプライマーが、SEQ ID NO: 39のオリゴヌクレオチド、またはSEQ ID NO: 41のオリゴヌクレオチドである、請求項14〜16のいずれかのプライマーセット。
JP2013516343A 2011-05-20 2012-05-18 サイトメガロウイルスゲノム識別用プライマーセット Pending JPWO2012161117A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011113528 2011-05-20
JP2011113528 2011-05-20
PCT/JP2012/062780 WO2012161117A1 (ja) 2011-05-20 2012-05-18 サイトメガロウイルスゲノム識別用プライマーセット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2012161117A1 true JPWO2012161117A1 (ja) 2014-07-31

Family

ID=47217194

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013516343A Pending JPWO2012161117A1 (ja) 2011-05-20 2012-05-18 サイトメガロウイルスゲノム識別用プライマーセット

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2012161117A1 (ja)
WO (1) WO2012161117A1 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2348042A1 (en) * 2001-06-04 2002-12-04 Ann Huletsky Sequences for detection and identification of methicillin-resistant staphylococcus aureus
JP4633523B2 (ja) * 2005-04-05 2011-02-16 株式会社ビー・エム・エル Hbvの遺伝子型分類のためのプローブセット、分類方法及びキット

Also Published As

Publication number Publication date
WO2012161117A1 (ja) 2012-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US12077829B2 (en) Anellovirus genome quantification as a biomarker of immune suppression
Nagel et al. Varicella-zoster virus transcriptome in latently infected human ganglia
JP6025562B2 (ja) Mdv−1に関するアッセイ法
Lee Testing for SARS-CoV-2 in cellular components by routine nested RT-PCR followed by DNA sequencing
Reddy et al. Quantitative detection and differentiation of human herpesvirus 6 subtypes in bone marrow transplant patients by using a single real-time polymerase chain reaction assay
JP2014501535A (ja) 高リスクヒトパピローマウイルスのジェノタイピング及び定量化のための材料及び方法
CN103667514A (zh) 一种人白介素28b基因多态性荧光pcr检测试剂盒
Leal Jr et al. Current and emerging molecular tests for human papillomavirus–related neoplasia in the genomic era
Keyvani et al. Assessment of the human cytomegalovirus UL97 gene for identification of resistance to ganciclovir in iranian immunosuppressed patients
Obara et al. Distribution of herpes simplex virus types 1 and 2 genomes in human spinal ganglia studied by PCR and in situ hybridization
Staheli et al. Complete unique genome sequence, expression profile, and salivary gland tissue tropism of the herpesvirus 7 homolog in pigtailed macaques
CN103540676B (zh) 一种检测线粒体基因1555位a-g与1494位c-t突变的试剂盒
Jeong et al. Multiplex PCR for the diagnosis of red sea bream iridoviruses isolated in Korea
KR20110123604A (ko) 표적 유전자의 다양한 변이가 존재하는 유전자 영역을 증폭하기 위한 프라이머 조성물, 이를 이용한 표적 유전자 증폭 방법 및 이를 포함하는 pcr 증폭 키트 그리고 이를 이용한 표적 유전자의 유전자형 분석방법
JP2006223180A (ja) マルチプレックスpcrを用いたヘルペスウイルス遺伝子検出法
US20240191313A1 (en) CDI Rapid Test For COVID-19 Variants of Concern
Jallul et al. Variant-specific RT-qPCR for rapid screening of B. 1.617 mutations in SARS-CoV-2
WO2012161117A1 (ja) サイトメガロウイルスゲノム識別用プライマーセット
CN106119424B (zh) 同步检测人类疱疹病毒6、7、8型的引物、探针及试剂盒
Li et al. Rapid and sensitive identification of glycoprotein H genotypes in clinical human cytomegalovirus samples
KR101744181B1 (ko) 실시간 중합효소 연쇄반응을 통한 바이러스성 출혈성 패혈증 바이러스의 정량 검출방법
KR101598296B1 (ko) Dna 복제수 변이를 이용한 강직성 척추염 발병 고위험도 예측용 조성물 및 이를 이용한 예측 방법
KR101567765B1 (ko) 실시간 중합효소 연쇄반응을 통한 소파보바이러스의 정량 검출방법
CN114921588B (zh) 适于ont测序平台的用于感样本中鼻病毒检测的靶向区段和引物组及其应用
JP2017195908A (ja) Hcv阻害剤に耐性の部分集団を表現型によって検出するための方法