JPWO2012144599A1 - ダイレクトエステル交換油脂の製造方法 - Google Patents

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    • C12P7/64Fats; Fatty oils; Ester-type waxes; Higher fatty acids, i.e. having at least seven carbon atoms in an unbroken chain bound to a carboxyl group; Oxidised oils or fats
    • C12P7/6436Fatty acid esters

Abstract

酵素触媒を原料の油脂中に分散させてダイレクトエステル交換反応を行った場合に、生成したダイレクトエステル交換油脂と酵素とを分離して、前記ダイレクトエステル交換油脂を効率よく得る方法に関する。具体的には、酵素触媒を用いるダイレクトエステル交換反応において、酵素触媒が、反応系中の原料油脂中で流動可能な状態で存在し、前記反応により生成される結晶を融解せずに、結晶と酵素触媒との比重差を利用して反応油脂中で酵素触媒を沈降させ、結晶と酵素触媒とを分離することを特徴とするダイレクトエステル交換油脂の製造方法を提供する。

Description

本発明は、ダイレクトエステル交換反応を用いる油脂の製造方法に関する。
ダイレクトエステル交換反応は油脂中のトリ飽和酸グリセライドなどの高融点成分を結晶として析出させながらエステル交換反応を行なう反応であり、油脂中のトリ飽和酸グリセライド(SSS)とトリ不飽和酸グリセライド(UUU)を増加させることで、特徴のある組成を持つ油脂を作製することができる。
前記ダイレクトエステル交換反応の方法は主に2つある。第1の方法は、非特許文献1に記載されるように、エステル交換反応機能を有する酵素触媒が固定化されたカラムと、結晶の発生および分離を行うタンクとを用いる方法であり、第2の方法は、特許文献1に記載されるように油脂中に触媒を分散させ、結晶を発生させながら反応を進行させる方法である。
前記第1の方法であるカラムとタンクとを用いた方法は、触媒が固定化されることでエステル交換反応機能を備えたカラムに原料である液状油脂を通過させ、発生した高融点成分をタンク内で結晶化させ、残った低融点成分である液状油脂を再び、カラムへ通過させる操作を繰り返すことでダイレクトエステル交換反応を連続的に進行させることができる。しかし、本発明者らが確認したところ、この方法ではタンク内で発生した結晶(SSS)と液状油脂を完全に分離することは困難であり、また、分離できなかった結晶を含んだ液状油脂を融解させ、カラムへ通過させた場合、ダイレクトエステル交換反応の反応効率が悪くなり、場合によってはダイレクトエステル交換反応が進行しなくなるという問題があった。
一方、前記第2の方法である、原料である液状油脂中に触媒を分散させ、結晶を発生させながらダイレクトエステル交換反応を進行させる方法では、結晶と液状油脂との中に触媒を分散させるため、結晶と液状油脂を分離する必要がなく、効率的にダイレクトエステル交換反応を進行させることができる。
前記ダイレクトエステル交換反応で使用できる触媒は、大きく分けて、ナトリウムメチラートなどの化学触媒と酵素触媒との2種類がある。前記化学触媒は低コスト且つ高活性であるため、広く利用されているが、ダイレクトエステル交換反応に化学触媒を用いるとジアルキルケトンなどの体に良くないとされる物質が発生してしまうため、得られる油脂を食用に用いる場合には特に問題である(特許文献2)。一方、ダイレクトエステル交換反応に酵素触媒を用いると化学触媒を用いた場合のようなジアルキルケトンなどの物質が発生しないため、酵素触媒の利用が広がっている。
例えば、特許文献1に記載されるように、酵素触媒を原料である液状油脂中に分散させて、結晶を発生させながらダイレクトエステル交換反応を行うと、反応油脂はダイレクトエステル交換反応中に発生する結晶と液状油脂と酵素触媒とが混在した状態になる。次に、前記反応終了後に、結晶と液状油脂と酵素触媒との混合状態から酵素触媒を分離しようとすると、結晶が固体であるため、酵素触媒のみを分離する事は困難である。前記特許文献1では、ろ過により酵素を除去したと記載されていたので本発明者らが実際に試みたところ、固体である結晶と酵素触媒をろ過で完全に分離する事は実質、不可能であり、得られる酵素触媒を殆ど含まないダイレクトエステル交換反応油脂の量はかなり少なくなる。
また、酵素触媒を分離するために結晶を融解すると、ランダムエステル交換反応が進行してしまうため、結晶を融解することはできない。
また、酵素触媒を結晶と共に濾別したとしても、結晶から酵素触媒を分離するには結晶を融解するしかなく、この場合も結晶の融解時に酵素触媒によって結晶が意図しないエステル交換が行われてしまうことが予想される。
このように、酵素触媒を油脂中に分散して、結晶を発生させながらダイレクトエステル交換反応を行う方法には、結晶の生成を図りながら、得られた結晶から酵素触媒を効率的に分離することが困難であるという大きな問題があった。
特開昭60−078586号公報 国際公開第2009/012982号
Enzyme and Microbial Technology 27(2000)302−311頁
本発明は、酵素触媒を原料の油脂中に分散させてダイレクトエステル交換反応を行った場合に、生成したダイレクトエステル交換油脂と酵素とを分離して、前記ダイレクトエステル交換油脂を効率よく得る方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、酵素触媒とダイレクトエステル交換反応で生じる固体脂の結晶との間に比重差があることに着目し、この比重差を利用して反応油脂中で酵素触媒を沈降させることで、酵素触媒と結晶とを分離することに初めて成功した。
本発明は、上記のような知見に基づき、完成されたものである。
即ち、本発明は、酵素触媒を用いるダイレクトエステル交換反応において、酵素触媒が、反応系中の原料油脂中で流動可能な状態で存在し、前記反応により生成される結晶を融解せずに、結晶と酵素触媒との比重差を利用して反応油脂中で酵素触媒を沈降させ、結晶と酵素触媒とを分離することを特徴とするダイレクトエステル交換油脂の製造方法に関する。
好ましい実施態様は、酵素触媒の沈降を、遠心分離で行う上記記載のダイレクトエステル交換油脂の製造方法に関する。
さらに、好ましい実施態様は、酵素触媒の比重が、結晶の比重の1.2倍以上である上記記載のダイレクトエステル交換油脂の製造方法に関する。
さらに、好ましい実施態様は、50μm以下の粒子径の酵素触媒量が、原料油脂100重量部に対して1重量部未満である上記記載のダイレクトエステル交換油脂の製造方法に関する。
さらに、好ましい実施態様は、酵素触媒を沈降させる前の反応油脂の粘度が500000cP以下である上記記載のダイレクトエステル交換油脂の製造方法に関する。
本発明に従えば、酵素触媒の含有量が顕著に低減されたダイレクトエステル交換油脂を効率よく得ることができる。
また、本発明では、前記ダイレクトエステル交換油脂と分離した酵素触媒を新たに原料油脂と混合することで、連続的な製造を行うことができる。
以下、本発明につき、更に詳細に説明する。
本発明のダイレクトエステル交換油脂の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう)は、酵素触媒を用いるダイレクトエステル交換反応において、酵素触媒が、反応系中の原料油脂中で流動可能な状態で存在し、前記反応により生成される結晶を融解せずに、結晶と酵素触媒との比重差を利用して反応油脂中で酵素触媒を沈降させ、結晶と酵素触媒とを分離することを特徴とする。
(原料油脂)
本発明で使用される原料油脂は、食用油脂であればよい。
原料油脂は、例えば、パーム系油脂が挙げられる。前記パーム系油脂としては、パーム由来であれば特に限定はなく、パーム精製油、未精製のクルード油、一回以上の分別によって得られたパームオレイン、パーム核油などの分画油、さらにはこれらの硬化油、エステル交換油などが例示される。また、前記パーム系油脂以外の原料油脂としては、大豆油、ナタネ油、ひまわり油、オリーブ油、ごま油、キャノーラ油、綿実油、こめ油、サフラワー油、やし油、シア油、サル脂、イリッぺ脂、カカオ脂、牛脂、豚脂、乳脂、これらの油脂の分別脂、硬化油、エステル交換油などが挙げられる。
前記原料油脂の構成脂肪酸全体中の飽和脂肪酸含量は70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3〜70重量%、更に好ましくは3〜52重量%である。飽和脂肪酸含量が70重量%より多いと、ダイレクトエステル交換反応で得られる反応油脂中に固体脂が多くなり過ぎ、粘度が高くなるため、酵素触媒と油脂の分離が困難な場合がある。
(酵素触媒)
本発明で用いる酵素触媒は、前記原料油脂に対してエステル交換能を有するリパーゼであれば特に限定されず、位置特異性が全くないランダムエステル交換酵素でも、1,3位特異性を有するエステル交換酵素でも良い。但し、所望の2位のパルミチン酸量によっては、ランダムエステル交換反応を行うか、位置特異的エステル交換反応を行うかは、使い分けたほうが好ましい。
前記酵素触媒としては、酵素を所望の担体に固定させた粉末状のものも使用することができる。前記担体としては、前記原料油脂中で溶解せず、粉末状で存在できるものであればよく、シクロデキストリン、珪藻土、アルミナ、セライト、セルロースおよびその他のセルロース誘導体、多孔性ガラス、ガラス繊維、ケイ酸ゲル、フロリジル、イオン交換樹脂、二酸化チタン、カオリナイト、パーライト、シリカなどが挙げられるがリパーゼ分子を捉えておく機能があれば、その成分は特には限定はない。
前記酵素触媒は粉末状であればよいが、その粒子径としては、100〜2000μmの範囲であれば、取り扱い性がよく、また、目的のダイレクトエステル交換反応も効率よく行うことができる。なお、前記粒子径としては、後述の実施例に記載のようにメジアン径を測定すればよい。
前記酵素触媒としては、ダイレクトエステル交換反応により得られる結晶の比重よりも大きなものを使用することで、結晶などを含むダイレクトエステル交換油脂との分離を行うことができる。
具体的には、前記酵素触媒の比重は、前記酵素触媒を沈降させて分離を速やかに行うことができる観点から、前記結晶の比重の1.2倍以上であることが好ましく、1.3倍以上がより好ましく、1.5倍以上がさらに好ましく、2倍以上が特に好ましい。
なお、本発明において、酵素触媒および結晶の比重は、電子比重計(アルファーミラージュ(株)製)を用いて測定する。
前記酵素触媒の使用量はダイレクトエステル交換反応が進行する量であれば良く特に限定されないが、反応効率と経済性から原料油脂100重量部に対して0.5重量部〜20重量部が好ましい。
中でも、本発明の製造方法では、50μm以下の粒子径の酵素触媒量が、原料油脂100重量部に対して1重量部未満であることで、結晶を融解しても、残存した酵素をろ過などで20分以内に分離すれば、ランダムエステル交換反応させずに、目的の組成の油脂を得ることができる。
本発明の製造方法では、前記酵素触媒は、反応系中の原料油脂中で流動可能な状態で存在する。また、前記酵素触媒は、ダイレクトエステル交換反応を行っている油脂中、さらには終了して得られる反応油脂中でも流動可能な状態で存在する。具体的には、液状の原料油脂中に酵素触媒を添加したり、または固体状の原料油脂を加温して融解したものに酵素触媒を添加した後で、攪拌混合や反応管などにポンプなどにより外圧をかけて油脂を通したり、高所から自然落下させる方法などで流動させることができる。また、撹拌に関しては攪拌翼を有しているタンクやピンマシンなどの装置を用いて反応させる油脂を流動させ、反応管などにポンプなどにより外圧をかけて油脂を通すにはスタティックミキサーなどの手段で、原料油脂中に酵素触媒を分散させた状態とすればよい。
なお、本発明において流動可能な状態とは、従来法の一つである固定化された状態とは異なることをいい、反応系中の原料油脂中で酵素触媒が分散しており、原料油脂を攪拌した場合に酵素触媒も攪拌され、原料油脂を静置すると酵素触媒が沈降するような状態であればよい。
(ダイレクトエステル交換反応)
本発明の製造方法におけるダイレクトエステル交換反応の方法はバッチ式、連続式を問わない。
また、前記酵素触媒を使用する場合のダイレクトエステル交換反応温度は、高融点グリセライドが結晶化する温度であれば特に限定されないが、反応開始時は効率良く反応を行なうために触媒活性が最も高くなる温度が好ましい。具体的には、50℃〜70℃が好ましい。また、効率良く反応を行う観点から、反応開始から3〜18時間後に、ダイレクトエステル交換反応温度を0℃〜40℃にすることが好ましく、更には10℃〜40℃にすることがより好ましい。なお、本発明では、最終的な反応温度をダイレクトエステル交換反応温度とする。例えば、2段階の温度に調整して反応させた場合には、2段階目の温度を反応温度とする。
また、前記ダイレクトエステル交換反応の前に、脱水処理を行って、原料油脂と酵素触媒との混合物(実質的には原料油脂)中の水分含有量を低減させることで、反応を効率よく行うことができる。
前記原料油脂中の水分含有量としては、0.1重量%以下であることが好ましい。
本発明の製造方法におけるダイレクトエステル交換反応において、攪拌する場合は、原料油脂に流動性を与え、また分離性の良い結晶を生成させる観点から、1000rpm(r/min)以下の速度で攪拌を行うことが好ましく、より好ましくは600rpm(r/min)以下、更に好ましくは300〜1rpm(r/min)である。
結晶と酵素触媒とを分離する直前の結晶量は、反応温度および反応時間でコントロールすればよく、例えば、0〜40℃、好ましくは10℃〜40℃でのダイレクトエステル交換反応を、3〜120時間行うことが好ましい。前記結晶量は、反応油脂全体中3〜60重量%が好ましく、より好ましくは5〜40重量%である。
この結晶量については、結晶と酵素触媒とを分離する直前の反応油脂のSFC(固体脂含量)を測定することで確認することができる。
なお、本発明において、反応油脂とは、ダイレクトエステル交換反応して得られる油脂をいい、固体脂、液状油脂、原料油脂などが混合されたものをいう。
また、本発明の製造方法では、酵素触媒を沈降させる前の反応油脂の粘度が500000cP(mPa・s)以下であることで、生成された結晶や液体油脂の含有量が多く、しかも後述の酵素触媒の沈殿を操作性よく行えるように調節できる。前記粘度は、15000cP(mPa・s)以下が好ましく、10000cP(mPa・s)以下がより好ましく、8000cP(mPa・s)以下がさらに好ましく、5000cP(mPa・s)以下が特に好ましく、4000cP(mPa・s)以下が極めて好ましく、3000cP(mPa・s)以下が最も好ましい。
前記反応油脂の粘度は、後述の実施例に記載のように測定することができる。
なお、ダイレクトエステル交換反応を続けるほど未反応の原料油脂が低減して、反応油脂中の結晶(SSS)含量が増えてゆくため、反応系中に固体脂が増えすぎて粘度が高くなり、酵素触媒との分別がしにくくなる。従って、分別効率の観点からは、反応油脂中のSSS含量が50重量%を越えることなく反応を停止することが好ましく、SSS含量が31重量%を越えることなく反応を停止することがより好ましく、SSS含量が1〜31重量%の間で反応を停止することが更に好ましく、1〜25重量%がより好ましく、1〜20重量%が特に好ましく、1〜15重量%が最も好ましい。
前記ダイレクトエステル交換反応は、前記条件で反応を行って、結晶量を確認後、所望の結晶量になっていたら、酵素触媒の分離をすることで停止される。
(酵素触媒の沈降)
本発明の製造方法では、前記のダイレクトエステル交換反応後、生成される結晶を融解せずに、反応油脂中で酵素触媒を沈降させる。具体的には、前記反応油脂と酵素触媒との攪拌を止めて、結晶が融解しない温度条件下で静置し、結晶と酵素触媒との比重差を利用して、反応油脂中で酵素触媒を沈降させる。前記温度条件としては、目的の結晶の融点により一概に限定できないが、10〜40℃のように逆エステル交換反応が起こらない、即ち生成した結晶が融解しない温度範囲であればよい。この静置法では、沈降作業の省力化を図ることができるが、酵素触媒の沈降には3〜24時間程度が必要となる。なお、酵素触媒を沈降させる前の反応油脂の粘度が4000cP以下であると、生産性を考慮しても好適に沈降できる。
そこで、別の方法として、遠心分離を行うことにより、速やかに酵素触媒の沈降を行うことができる。遠心分離時の温度は、10〜40℃のように逆エステル交換反応が起こらない、即ち生成した結晶が融解しない温度範囲に調整しておけばよい。また、遠心力は、1G以上であればよく、遠心力が高すぎると結晶まで沈殿してしまい、結晶の収率が悪くなるため、1〜10000Gが好ましい。
本発明では、上記のようにして酵素触媒を沈降させた後、上澄みであるダイレクトエステル交換油脂を回収することで、結晶と酵素触媒を分離でき、酵素触媒を含有せず、しかも酵素触媒のランダムエステル交換反応も生じないかほとんど防ぐことができる。
また、前記ダイレクトエステル交換油脂から分離された酵素触媒は、そのまま次のダイレクトエステル交換反応に利用することで、連続的な製造を行うことができる。
(後処理)
本発明の製造方法で得られるダイレクトエステル交換油脂には、トリ飽和酸グリセライド(SSS)のような固体脂と、トリ不飽和酸グリセライド(UUU)のような液状油脂とが含有されているため、これらの油脂を分別することが好ましい。
前記分別方法としては、溶剤分別、乾式分別を問わないが、溶剤分別は溶剤の使用により設備費やランニングコストがかかるため、溶剤を使用しない乾式分別が好ましい。
溶剤を使用する場合は、ヘキサン、アセトンなどを用いることができる。乾式分別の分別温度は、液状油脂を十分な液状性で得るためには0℃〜30℃が好ましく、20℃以下がより好ましく、収率の観点も含めると0℃〜10℃が更に好ましい。
また、固体脂中における、2位にパルミチン酸を有するグリセライドの含有量を高めるためには、一旦前記乾式分別を行った後、分別温度を上昇させて、40℃〜60℃で再度分別することが好ましく、2位にパルミチン酸を有するグリセライドの含有量と収率を考慮すると45℃〜55℃で再度分別することがより好ましい。
本発明で得られる固体脂は、クリーム、マーガリン、ショートニング、チョコレートなどの加工油脂製品の原料に利用したり、そのままマイクロカプセルの基材などに利用したりすることができる。また、本発明の固体脂は、OPO(2−パルミトイル−1,3−ジオレイルトリグリセライド)構造油脂の原料や、PPO(1,2−ジパルミトイル−3−ジオレイルトリグリセライド)構造油脂の原料などに利用することもできる。
また、本発明で得られる液状油脂は、大豆油やナタネ油の様に一般的な液状油脂で利用されている方法で利用することができ、主にドレッシング、マヨネーズ、クリーム、マーガリン、ショートニングなどの加工油脂製品の原料として、或いはそのまま、サラダ油、フライ油などとして利用することができる。
本発明で得られる固体脂と液状油脂の混合物は、クリーム、マーガリン、ショートニング、チョコレートなどの加工油脂製品の原料として利用することができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<分離した反応油脂中の酵素触媒含量の測定>
遠心分離した反応油脂の重量を測定し、80℃に加熱して前記油脂を完全に融解した。前記油脂に対して2倍量のヘキサンを加え、混合後、ブフナーロートによりろ過した。ろ別した酵素触媒をヘキサンにより数回洗浄を行い、40℃で乾燥させた後、酵素触媒の重量を測定した。
<酵素触媒のメジアン径>
レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置「LA-920 HORIBA」を用いて酵素触媒のメジアン径を測定した。
<粒子径50μm以下の酵素触媒量>
酵素触媒100gに対して400メッシュ(メッシュ径:50μm)の篩にかけ、パスした酵素触媒の重量を測定し、粒子径50μm以下の酵素触媒量とした。
<粘度>
反応油脂の粘度は、社団法人日本油化学協会編「基準油脂分析法」(発行年:1996年)の2.2.10.5−1996粘度(ブルックフィールド法)に記載された方法により、測定を行った。
(実施例1)静置法
パームオレイン(ヨウ素価:64、比重0.91、以下の実施例も同じ)5000gをセパラブルフラスコ(四口、容量5L、以下の実施例も同じ)に入れ、100rpmで攪拌しながら90℃で真空脱水を行なった後、50℃に降温してリパーゼ(酵素触媒、ノボザイムズ社製「Lipozyme TL IM」:比重 2.1、以下の実施例も同じ)を500g加え、前記リパーゼがパームオレイン中で流動可能な状態で50℃で4時間保持した後降温し、攪拌をして前記リパーゼの流動性を保持させつつ36℃でダイレクトエステル交換反応を38時間行なった後、撹拌を停止し、3時間静置して、反応油脂中でリパーゼを沈降させた。その後、上澄みの反応油脂を回収し、酵素触媒量を測定した。
(実施例2)遠心分離法(89G)
パームオレイン5000gをセパラブルフラスコに入れ、100rpmで攪拌しながら90℃で真空脱水を行なった後、50℃に降温してリパーゼを500g加え、前記リパーゼがパームオレイン中で流動可能な状態で50℃で4時間保持した後降温し、攪拌をして前記リパーゼの流動性を保持させつつ36℃でダイレクトエステル交換反応を38時間行なった後、得られた反応油脂100gを36℃に温調した遠心機(KUBOTA 5922、ローターST−410M、以下の実施例も同じ)で10分間、89Gで遠心分離を行って、リパーゼを沈降させた。その後、上澄みの反応油脂を回収し、酵素触媒量を測定した。
(実施例3)
ダイレクトエステル交換反応を36℃で15時間、32℃で20時間行い、遠心機を32℃に温調した以外は、実施例2と同様にして上澄みの反応油脂を回収し、酵素触媒量を測定した。
(実施例4)遠心分離法(800G)
パームオレイン5000gをセパラブルフラスコに入れ、100rpmで攪拌しながら90℃で真空脱水を行なった後、50℃に降温してリパーゼを500g加え、前記リパーゼがパームオレイン中で流動可能な状態で50℃で4時間保持した後降温し、攪拌をして前記リパーゼの流動性を保持させつつ32℃でダイレクトエステル交換反応を29時間行なった後、得られた反応油脂100gを32℃に温調した遠心機で10分間、800Gで遠心分離を行ってリパーゼを沈降させた。その後、上澄みの反応油脂を回収し、酵素触媒量を測定した。
(実施例5)遠心分離法(2000G)
パームオレイン5000gをセパラブルフラスコに入れ、100rpmで攪拌しながら90℃で真空脱水を行なった後、50℃に降温してリパーゼを500g加え、前記リパーゼがパームオレイン中で流動可能な状態で50℃で4時間保持した後降温し、攪拌をして前記リパーゼの流動性を保持させつつ32℃でダイレクトエステル交換反応を29時間行なった後、得られた反応油脂100gを32℃に温調した遠心機で10分間、2000Gで遠心分離を行ってリパーゼを沈降させた。その後、上澄みの反応油脂を回収し、酵素触媒量を測定した。
(実施例6)
ダイレクトエステル交換反応を30℃で24時間行い、遠心機を30℃に温調した以外は、実施例4と同様にして上澄みの反応油脂を回収し、酵素触媒量を測定した。
(実施例7)
ダイレクトエステル交換反応を29℃で24時間行い、遠心機を29℃に温調した以外は、実施例4と同様にして上澄みの反応油脂を回収し、酵素触媒量を測定した。
実施例1〜7で得られた反応油脂の酵素触媒量の測定結果を表1にまとめる。表1の結果から、実施例1〜7で得られた反応油脂中の酵素触媒量は1%未満と顕著に低減されていることがわかる。
また、得られた反応油脂の収率((回収した上澄みの反応油脂量/反応油脂全体量)×100)を算出したところ、78%以上となっており、原料油脂からの高収率で目的の油脂が得られていることがわかる。
また、実施例1では、酵素触媒を沈降させる前の反応油脂の粘度が2000cPと低かったことから、静置するだけで、時間はかかるものの分離後の油脂に対する酵素触媒量を低減できることがわかる。一方、実施例6、7のように高粘度の反応油脂でも、遠心分離を用いることで、酵素触媒を効率よく分離できることがわかる。
Figure 2012144599
(実施例8)
実施例1でのダイレクトエステル反応後に反応油脂から分離した酵素触媒を、新たに用意した原料油脂中に混合して実施例1と同じ条件でダイレクトエステル反応を行ったところ、実施例1とほぼ同じ組成の反応油脂が得られた。したがって、酵素触媒を連続的な製造に使用できることが確認された。
(比較例1)
パームオレイン(ヨウ素価:64、比重0.91)5000gをセパラブルフラスコ(四口、容量5L、以下の比較例も同じ)に入れ、100rpmで攪拌しながら90℃で真空脱水を行った後、50℃に降温してリパーゼ(酵素触媒、ノボザイムズ社製「Lipozyme TL IM」、比重:2.1)を500g加え、前記リパーゼがパームオレイン中で流動可能な状態で50℃で4時間保持した後降温し、攪拌をして前記リパーゼの流動性を保持させつつ36℃でダイレクトエステル交換反応を38時間行った後、100gを36℃に温調した吸引ろ過機(Millipore社製:90mmディスクフィルター)に860μm径のメッシュをセットし、60分間、吸引ろ過を行い、酵素触媒を分離した。その後、ろ液の反応油脂を回収し、分離後の油脂に対する酵素触媒量を測定した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、比較例1では、実施例1の結果と比べると、分離後の油脂に対する酵素触媒量は約5.5倍と多く、一方、反応油脂の収率は約0.47倍と少ないことから、比較例1の方法は、実施例1の方法に比べて酵素触媒の反応効率は有意に悪く、特に酵素触媒の分離性が悪いことから、副生成物が生じる可能性も高く、ロスの大きな方法であるといえる。
(比較例2)
吸引ろ過機のフィルターのメッシュサイズを250μmにした以外は、比較例1と同様にして反応油脂を回収し、分離後の油脂に対する酵素触媒量を測定した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、比較例2では、実施例1の結果と比べると、分離後の油脂に対する酵素触媒量は約1.7倍程度であったが、反応油脂の収率は約0.24倍と少ないことから、比較例1の方法は、実施例1の方法に比べて反応効率は有意に悪いといえる。
(比較例3)
吸引ろ過機のフィルターのメッシュサイズを45μmにした以外は、比較例1と同様にして反応油脂を回収しようとしたが、目詰まりしてしまい、酵素触媒を除去した反応油脂を回収することができなかった。

Claims (5)

  1. 酵素触媒を用いるダイレクトエステル交換反応において、酵素触媒が、反応系中の原料油脂中で流動可能な状態で存在し、前記反応により生成される結晶を融解せずに、結晶と酵素触媒との比重差を利用して反応油脂中で酵素触媒を沈降させ、結晶と酵素触媒とを分離することを特徴とするダイレクトエステル交換油脂の製造方法。
  2. 酵素触媒の沈降を、遠心分離で行う請求項1に記載のダイレクトエステル交換油脂の製造方法。
  3. 酵素触媒の比重が、結晶の比重の1.2倍以上である請求項1または2に記載のダイレクトエステル交換油脂の製造方法。
  4. 50μm以下の粒子径の酵素触媒量が、原料油脂100重量部に対して1重量部未満である請求項1〜3のいずれかに記載のダイレクトエステル交換油脂の製造方法。
  5. 酵素触媒を沈降させる前の反応油脂の粘度が500000cP以下である請求項1〜4のいずれかに記載のダイレクトエステル交換油脂の製造方法。
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