JPWO2012121071A1 - VA−RNAsが発現しないアデノウイルスベクター - Google Patents

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Abstract

本発明は、安全性が高く、かつ従来のAdベクターと同等以上の遺伝子導入効率を示すAdベクター、即ち遺伝子治療及び生命科学研究で効果的かつ安全に使用可能なAdベクターを提供する。さらには、当該Adベクターを増幅しうるAdベクター産生・増幅用細胞を提供する。Adベクターゲノムにおいて、VA-RNAs(VA-RNA I及び/又はVA-RNA II)が発現しないようにVA-RNAs遺伝子が改変されたAdベクターによる。また、Adベクター産生・増幅用細胞は、Adベクター増幅に使用するE1遺伝子産物を恒常的に発現している細胞においてAdゲノムのVA-RNAsを発現するよう遺伝子を導入した細胞による。

Description

本発明は、安全性の高い遺伝子治療用ベクター及び生命科学研究で効果的に使用可能なアデノウイルスベクターに関する。また、当該アデノウイルスベクターを産生及び/又は増幅しうるアデノウイルスベクター産生・増幅用細胞に関する。
本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願2011−048013号優先権を請求する。
近年、様々な疾患に対する遺伝子治療法の開発が試みられている。遺伝子治療法開発の鍵は、安全かつ効率良く治療遺伝子を目的の組織や細胞へと送達する技術開発であるが、克服すべき問題点も多く残されているのが現状である。
アデノウイルスベクター(以下、「Adベクター」という。)は、その優れた遺伝子導入特性から、遺伝子治療用ベクターとして各種疾患への適用が期待されている。Adベクターは既存の遺伝子治療用ベクターの中では最も遺伝子導入効率に優れ、感染域が広く広範な細胞種に遺伝子導入が可能であることから、全世界の遺伝子治療臨床研究の約25 %で使用されている。また、遺伝子の機能解析を目的とした基礎研究の分野でも広く用いられ、今や生命科学研究全般に必要不可欠な基盤技術となっている。しかしながら、1999年に米国ペンシルバニア大学でオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症の遺伝子治療臨床研究の経過中、一人の男性患者が大量のAdベクターの全身投与後に多臓器不全を呈し死亡するという事故が起こったことが報告されており、大量に投与されたAdベクターにより免疫反応の過剰な活性化が起こり、全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome: SIRC)が生じたことが原因と考えられている。
Adベクターを生体に投与した場合、(1)ベクター粒子構成タンパク質或いはベクターゲノムDNAにより惹起される自然免疫反応がベクター投与後数時間以内に、(2)ベクターにより導入された外来遺伝子産物及びウイルス由来タンパク質に対する獲得免疫反応が数日以内に誘導される。したがって、これらの免疫反応を回避できるAdベクターの開発が、安全性の高い遺伝子治療法を開発する上で急務とされている。
上記(1)自然免疫反応、(2)獲得免疫反応を回避するベクターとして、以下のような研究がなされている。
(1)自然免疫反応の回避を目的とするAdベクター開発:
Adベクターをマウスに全身投与した場合には、IL-6、IL-12、TNF、RANTES、MIP-2、IFN-α/β/γなどの各種炎症メディエーターが投与3時間以内に産生される。全身投与されたAdベクターの90 %以上は肝臓(実質細胞とクッパー細胞をはじめとする非実質細胞)に移行するが、多くの炎症性サイトカインは肝臓ではなく、主に脾臓で分泌される。したがって、脾臓への移行性を抑えたAdベクターは、炎症性サイトカインの産生が低い。例えば、ポリリジンでファイバーを修飾したAdベクターでは脾臓への移行性が減少する結果、血中へ分泌されるIL-6は約4分の1にまで減少する(非特許文献1:Koizumi et al., 2007)。また、CAR、インテグリン、ヘパラン硫酸との結合性を欠損させたトリプル改変Adベクターにおいては、IL-6はほとんど産生されない(非特許文献2:Koizumi et al., 2006)。興味深いことに、従来のAdベクターを投与した場合に生じるAST(aspartate aminotransferase)、ALT(alanine aminotransferase)などの肝障害マーカーの産生も、ポリリジン型ベクターやトリプルAd改変ベクターではほとんど起こらず安全性が高いことが報告されている(非特許文献1、非特許文献2)。
(2)獲得免疫反応の回避を目的とするAdベクター開発:
Adベクターを生体に投与すると、通常、数週間から数ヶ月間の一過性の遺伝子発現を示す。しかしながら、免疫不全マウスにおいては、数ヶ月から1年以上(場合によっては一生涯)にわたる長期間の遺伝子発現を示すことから、細胞性免疫を中心とする獲得免疫反応の働きにより遺伝子導入細胞が排除されることが、Adベクターの一過性の発現の原因と考えられている。従来のAdベクターは、ウイルスの増殖やウイルスタンパク質の産生に必須のE1遺伝子領域を除去することで、ウイルスタンパク質の産生が生じないように設計されているが、E1遺伝子非依存的に他のウイルスタンパク質の産生がわずかに起こり、これが獲得免疫系のターゲットとなり得る。また、ベクターにより導入された外来遺伝子産物の免疫学的特性も獲得免疫系の活性化に影響を与える。特に、E1遺伝子非依存的にウイルスタンパク質が産生される問題を克服する為に、ウイルスゲノムの複製開始起点とパッケージングに必要な領域以外の全てのウイルスゲノムを除去したgutted Adベクターが開発されており、本ベクターを用いた場合は、通常のマウスにおいても長期間の遺伝子発現が認められる(非特許文献3:Dudley et al., 2004; 非特許文献4:Palmer et al., 2003)。しかしながら、gutted Adベクターは大量生産が困難なことやベクター作製に必要なヘルパーウイルスが混入してしまうことが大きな問題であり、均一性を担保すべき医薬品開発において大きな障害となってしまう。その他、Adベクターを投与された個体では抗Ad抗体が産生されるため、2回目以降のベクター全身投与ではその効果が減弱してしまう。主要キャプシドタンパク質のヘキソンに対する抗体が主体であるため、ヘキソン改変ベクターや異なった血清型(サブグループBに属する11型や35型)に属するAdをベースにしたベクターが開発されている(非特許文献5:Roberts et al., 2006; 非特許文献6:Sakurai et al., 2003)。
Adベクターを用いることによる免疫反応を伴う副作用として、特にAdベクター投与直後に生じるインターフェロン産生等の自然免疫応答が問題となっている。Adベクターにコードされるvirus associated RNAs(VA-RNAs; VA-RNA I及び/又はVA-RNA II)が細胞質内で自然免疫受容体に認識され、その後インターフェロンの産生を誘導すること、細胞内シグナル分子として、ミトコンドリア外膜上の膜タンパク質の1種であるIPS-1(interferon-beta promoter stimulator 1)が、自然免疫応答などの過程に重要な役割を果たしていることを明らかにし、VA-RNAsがAdベクターにより生じる免疫反応において重要な役割を果たしていることが報告されている(非特許文献7:Yamaguchi et al., 2010)。
ヒトAdは51種類の血清型に分けられ、一般に用いられているAdベクターは5型Adを基盤としているが、全ての血清型のAdは、VA-RNAsを産生することが知られている。VA-RNAsは、約160塩基長の非翻訳RNAポリメラーゼIII転写産物であり、特に転写量が多いVA-RNA Iは、Ad複製時には細胞あたり〜108分子にも達する。VA-RNA IはAd複製時に、宿主細胞の抗ウイルス反応としてのプロテインキナーゼR(protein kinase R:PKR)の活性化を阻害する中心的な働きをしており、VA-RNA I非存在下ではPKRが活性化し、翻訳開始因子のeIF-2αのリン酸化が誘導され、結果としてウイルスmRNAの翻訳が阻害されることが知られている。
制限増殖型Adを利用したウイルス療法において、VA-RNAs遺伝子が変異したAdについて開示がある(特許文献1、2)。ここでは、殺細胞効果を発揮させるためのAdの使用に関し、腫瘍細胞における選択的な複製を達成するためのウイルスが示されている。当該ウイルスは、VA-RNAs遺伝子を欠失しているほか、E1a群、E1b群及びE4群の1つ以上の遺伝子が腫瘍細胞において選択的に発現するような遺伝的変異を与えており、具体的にはE1a群、E1b群及びE4群の1つ以上の遺伝子を調節するプロモーターに変異を有することが開示されている。しかしながら、VA-RNAs及びE1遺伝子領域を除去したAdは開示されていない。また、Adベクターの副作用を回避することを目的として、AdベクターのVA-RNAsを改変させたという報告はない。
遺伝子治療や遺伝子導入による実験系は、目的(治療用)遺伝子の発現や、二本鎖RNA(small interfering RNA:siRNA)によって配列特異的に標的遺伝子の発現を抑制するRNA干渉(RNA interferance:RNAi)が注目されており、目的遺伝子の発現を抑制することによって、治療や遺伝子の機能解析を行う研究が盛んに行われている。RNAiを誘導する目的で使用するshRNA(short hairpin RNA)発現Adベクターの場合、Adベクターによる高い遺伝子発現効率を考慮に入れると、そのshRNA発現Adベクターにより誘導されるRNAi効果は予想されたほど高くないことが認められる。VA-RNAsがshRNAによるRNAi効果を顕著に抑制することや、VA-RNA Iはpre-miRNAやshRNA前駆体の核外輸送をexportin5と競合することでRNAi効果を阻害することや、Dicerに結合することでその機能を阻害し、結果として、siRNAや成熟miRNAの生成を阻害することが報告されている(非特許文献8:Andersson, M.G. et al., 2005、非特許文献9:Lu, S. et al., 2004)。RNAiによる標的遺伝子の特異的な発現抑制は、siRNAを発現するベクターをいかに目的の細胞に導入するかというデリバリーの問題が、RNAiを利用した研究を行う上で大きな課題のひとつとなっている。また、マイクロRNA(miRNA)は、遺伝子発現の制御において重要な役割を担っている。miRNAは、核内ではPri-miRNAとしてDNAから転写され、ヘアピン二本鎖RNA(dsRNA)前駆体となる。dsRNAは細胞質内に移行し、Dicerの作用により成熟したmiRNAが生成される。生成したmiRNAはRISC(RNA-induced silencing complex)複合体に取込まれ、遺伝子機能制御に関与する。miRNAを発現するベクターをいかに目的の細胞に導入するかという問題についても大きな課題のひとつとなっている。
Koizumi, N. et al., J Immunol 178, 1767-1773 (2007) Koizumi, N. et al., Hum Gene Ther 17, 264-279 (2006) Dudley, R.W. et al., Hum Gene Ther 15, 145-156 (2004) Palmer, D. et al., Mol Ther 8, 846-852 (2003) Roberts, D.M. et al., Nature 441, 239-243 (2006) Sakurai, F. et al., Gene Ther 10, 1041-1048 (2003) Yamaguchi, T. et al., Proc Natl Acad Sci USA 107, 17286-17291 (2010) Andersson, M.G. et al., J Virol, 79(15), 9556-65 (2005) Lu, S. et al., J Virol, 78(23), 12868-76 (2004)
特表2005-526099号公報 特開2010-184940号公報
本発明は、安全性が高く、かつ従来のAdベクターと同等以上の遺伝子導入効率を示すAdベクター、即ち遺伝子治療及び生命科学研究で効果的に使用可能なAdベクターを提供することを課題とする。さらには、当該Adベクターを産生及び/又は増幅しうるAdベクター産生・増幅用細胞を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、Adベクターゲノムにおいて、VA-RNAsが発現しないようにVA-RNAs遺伝子が改変されたAdベクターを用いることによって、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。さらには、Adベクターの産生及び/又は増幅に使用するE1遺伝子産物を恒常的に発現している細胞に、AdゲノムのVA-RNAsを恒常的に発現するよう遺伝子を導入した細胞により、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.Adゲノムのうち、E1遺伝子領域を欠損し、さらにVA-RNAsが発現しないようにVA-RNAs遺伝子が改変されていることを特徴とするAdベクター。
2.VA-RNAs遺伝子が、VA-RNA I遺伝子及び/又はVA-RNA II遺伝子である前項1に記載のAdベクター。
3.VA-RNAs遺伝子の改変が、以下の1)〜4)より選択される少なくとも一つの改変であることを特徴とする前項1又は2に記載のAdベクター:
1)VA-RNA I遺伝子の内部プロモーター領域の一部若しくは全部の欠損;
2)VA-RNA IをコードするDNA配列の一部若しくは全部の欠損;
3)VA-RNA II遺伝子の内部プロモーター領域の一部若しくは全部の欠損;
4)VA-RNA IIをコードするDNA配列の一部若しくは全部の欠損。
4.VA-RNAs遺伝子の改変が、以下の1)〜2)より選択される少なくとも一つの改変であることを特徴とする前項3に記載のAdベクター:
1)VA-RNA I遺伝子の内部プロモーター領域のコンセンサス配列の一部若しくは全部の欠損;
2)VA-RNA II遺伝子の内部プロモーター領域のコンセンサス配列の一部若しくは全部の欠損。
5.Adがヒト5型Adであり、当該ヒト5型Adゲノムの10667〜10703領域及び/又は10925〜10944領域を欠損していることを特徴とする、前項1〜4のいずれか1に記載のAdベクター。
6.さらに、E3遺伝子領域を欠損していることを特徴とする、前項1〜5のいずれか1に記載のAdベクター。
7.AdベクターがshRNA発現用又はmiRNA発現用ベクターである、前項1〜6のいずれか1に記載のAdベクター。
8.shRNA発現用又はmiRNA発現用ベクターが、所望のsiRNA又は成熟miRNAを生成しうる配列を含む、前項7に記載のAdベクター。
9.AdゲノムのVA-RNAs遺伝子を構成する塩基配列のうち、一部若しくは全体が導入されていることを特徴とする、前項1〜8のいずれか1に記載のAdベクターが増幅しうるAdベクター産生・増幅用細胞。
10.VA-RNAs遺伝子が、VA-RNA I遺伝子及び/又はVA-RNA II遺伝子である、前項9に記載のAdベクター産生・増幅用細胞。
11.前項9又は10に記載の細胞に、前項1〜8のいずれか1に記載のAdベクターを作製するためのAdベクターゲノムDNA配列を導入することを特徴とするAdベクターの作製方法。
12.前項7又は8に記載のAdベクターを用いることを特徴とする、RNAi誘導方法。
13.前項1〜8のいずれか1に記載のAdベクターを作製するためのAdベクタープラスミドと、前項9又は10に記載のAdベクター産生・増幅用細胞を含むキット。
14.前項1〜8のいずれか1に記載のAdベクターと、前項9又は10に記載のAdベクター産生・増幅用細胞を含むキット。
本発明のVA-RNAs遺伝子が改変されたAdベクターは、特殊な細胞を除いて細胞内でのAdベクターゲノムDNA増幅が抑制され、かつ効果的に所望の遺伝子を細胞内に導入することができる。従来のAdベクターはE1遺伝子領域を欠失しているため、理論的にはE1遺伝子産物を発現する特殊な細胞でのみ産生及び/又は増幅する。しかしながら、ある種の細胞中ではE1遺伝子非依存的にベクターゲノムDNAが増幅することが知られている。また、E1遺伝子非依存的にベクターゲノムに残存するウイルスタンパクコード遺伝子の転写が起こることが知られている。E1遺伝子非依存的にAdベクターゲノムが増幅することで細胞に悪影響を及ぼすウイルスタンパクの発現量も増えてしまう。その結果、CPE(cytopathic effect) や免疫系へのウイルス抗原提示が起こってしまう細胞もあるため、それらが炎症や免疫反応の引き金となってしまう。しかしながら、本発明のVA-RNAs遺伝子が改変したAdベクターはAdベクターゲノムの複製が著しく抑制されているため、結果としてCPEの発生やウイルス抗原の提示が抑制され、炎症や不要な免疫反応が抑制される。したがって、本発明のVA-RNAs遺伝子が改変されたAdベクターは、遺伝子導入効率の良いAdベクターの特性を保持したまま、安全性を飛躍的に上昇させたベクターということができる。また、免疫応答の減弱により、遺伝子導入細胞が排除される可能性が低くなることから、遺伝子発現期間の延長も期待することができる。
RNAiを誘導する目的で使用するshRNA発現Adベクターは、Adベクターによる高い遺伝子発現効率を考慮に入れると、従来ではshRNA発現Adベクターにより誘導されるRNAi効果は予想されたほど高くなかったが、本発明のVA-RNAs遺伝子が改変されたAdベクターによれば、成熟miRNAやsiRNAの生成が抑制されることなく、効果的にRNAiが誘導される。上記により、本発明のVA-RNAs遺伝子が改変されたAdベクターは遺伝子治療の安全性向上や生命科学研究における遺伝子導入ツールとして有用であり、目的遺伝子のノックダウン効果が高いshRNA発現Adベクターを開発することができる。
さらに、本発明のAdベクター産生・増幅用細胞によれば、VA-RNAs遺伝子が改変したAdベクターゲノムDNA配列から本発明のVA-RNAs遺伝子が改変したAdベクターを作製することができ、さらに当該Adベクターを増幅することができる。
Adベクター作製用プラスミドの構造を模式的に示す図である。(A)は従来型(FG: first generation)のAdベクタープラスミド(FG-Adベクタープラスミド)を示し、(B)は、本発明のVA-RNAsコード領域を欠損させたAdベクタープラスミド(Ad△VRベクタープラスミド)を示す。 Ad△VRについて、ヒト5型Adゲノムのうち特にVA-RNAコード領域における欠損部位を具体的に示す図である。(実施例1) HEK293細胞での従来型FG-Adベクター及び本発明のAd△VRベクターの産生・増幅を示す写真図である。FG-Adベクターの増幅は認められるが、Ad△VRベクターの増幅は認められない。(実施例1) VR293細胞におけるVA-RNA Iの発現誘導を確認した図である。(実施例2) VR293細胞でのAd△VRベクターの産生・増幅を示す写真図である。(実施例2) Ad△VRベクターの増幅をPCR法により確認した写真図である。(実験例1) FG-Adベクター及び本発明のAd△VRベクターについて、VA-RNA I及びVA-RNA IIの発現を確認した写真図である。Ad△VRベクターでは、VA-RNA I及びVA-RNA IIの発現は認められなかった。(実験例2) Ad△VRベクターについて、A549細胞及びSK HEP-1細胞における遺伝子導入効率を確認した図である。E1遺伝子非特異的なAdベクターゲノムの増幅が起こりにくいことが報告されているSK HEP-1細胞において、FG-Adベクターと同程度の発現効率を認め、従来型と遜色のない発現効率が確認された。(実験例3) 各種細胞でのFG-Adベクター及び本発明のAd△VRベクターのゲノム増幅を示す図である。E1遺伝子非依存的増幅を確認した図である。(実験例4) A549細胞でのFG-Adベクター及び本発明のAd△VRベクターによるAd由来mRNAの発現を確認した図である。図中、単にAdと示しているのは、FG-Adを意味する。(実験例4) HUVEC細胞でのFG-Adベクター及び本発明のAd△VRベクターによるAd由来mRNAの発現を確認した図である。図中、単にAdと示しているのは、FG-Adを意味する。(実験例4) shRNA及びVA-RNAsの遺伝子発現抑制に及ぼす過程を示す図である。(実施例3) shRNA発現Adベクターを構築するためのプラスミドを示す図である。(A)はVA-RNAsを含むpAdHM4-U6-shLuc-CG(FG-Ad-shLuc)であり、(B)は、VA-RNAsの発現が抑制されたpAdΔVR-U6-shLuc-CG(Ad△VR-shLuc)の構造を示す図である。(実施例3) FG-Ad-shLuc又はAd△VR-shLucをSK HEP1-Luc細胞にトランスフェクションしたときの、相対的ルシフェラーゼ活性を確認した図である。(実施例3)
本明細書において、「Ad」とはアデノウイルスを意味し、「Adベクター」とは、Adの特徴的な遺伝子情報を含むベクターを意味する。また、「Adベクタープラスミド」とは、Adベクターゲノムをコードしたプラスミドをいう。「Adゲノム」は、Adが有する遺伝情報の全体、即ちAdに含まれるDNA配列のすべてをいい、「Adベクターゲノム」は、Adベクターが有する遺伝情報の全体、即ちAdベクターに含まれるDNA配列のすべてをいう。
本発明のAdベクターは、Adゲノムのうち、E1遺伝子領域を欠損し、さらにVA-RNAsが発現しないようにVA-RNAs遺伝子が改変されていることを特徴とする。
本発明のAdベクターに使用可能なAdは、in vivo又はin vitroで目的のDNA配列を種々のタイプの細胞へ挿入するビークルとしての機能を達成しうるAdであれば良く、特に限定されない。代表的には、ヒトを宿主とする2型、5型、11型、35型の各Ad、ヒト以外を宿主とするサルAd、マウスAd、イヌAd、ヒツジAd及びトリAdなどが挙げられる。
本発明において、E1遺伝子領域を欠損しているとは、AdゲノムのうちE1遺伝子をコードするDNA配列を完全に欠損していることを意味する。E1遺伝子領域とは、例えばヒト5型Adゲノム(GenBank Accession番号:M73260, M29978)において、具体的には342〜3523番目に相当する。
本発明のAdベクターは、E1遺伝子領域の欠損の他、さらにVA-RNAsが発現しないようにVA-RNAs遺伝子が改変されていることを要する。VA-RNAs遺伝子の改変とは、VA-RNAsが発現しないのであれば、どのような改変であってもよく、特に限定されない。VA-RNAsが発現しないのであれば、例えば、VA-RNAsをコードするDNA配列の一部若しくは全部が欠損していてもよいし、VA-RNAsをコードするDNA配列の何れかが置換していてもよいし、若しくは付加していてもよい。ここにおいてVA-RNAs遺伝子は、VA-RNA I遺伝子及び/又はVA-RNA II遺伝子を意味する。VA-RNAsが発現しないとは、VA-RNA I及びVA-RNA IIのうち、いずれか一方のみが発現しないものであってもよい。
VA-RNAs遺伝子の改変として、例えば以下の1)〜4)より選択される少なくとも一つの改変であってもよい。
1)VA-RNA I遺伝子の内部プロモーター領域の一部若しくは全部の欠損。
2)VA-RNA IをコードするDNA配列の一部若しくは全部の欠損。
3)VA-RNA II遺伝子の内部プロモーター領域の一部若しくは全部の欠損。
4)VA-RNA IIをコードするDNA配列の一部若しくは全部の欠損。
具体的には、VA-RNA I遺伝子の内部プロモーター領域のコンセンサス配列の一部若しくは全部の欠損、VA-RNA II遺伝子の内部プロモーター領域のコンセンサス配列の一部若しくは全部の欠損等であってもよい。
例えば、Adがヒト5型Adの場合は、VA-RNAsをコードするDNA配列の領域は、ヒト5型Adゲノム(GenBank Accession番号:M73260, M29978)において10620〜11038(配列番号1)であり、VA-RNA IをコードするDNA配列の領域は、同様に10620〜10779(配列番号2)であり、VA-RNA IIをコードするDNA配列の領域は、当該ヒト5型Adゲノムの10876〜11038(配列番号3)である。本発明のAdベクターにおいて、欠損していてもよい領域は、例えば以下の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)の他、(b)と(c)、(b)と(e)、(c)と(d)、(d)と(e)の組み合わせが挙げられる。遺伝子が欠損していてもよい領域は、上記の組み合わせに限定されるものではなく、VA-RNAsの内部プロモーターを含む配列を欠損することで、VA-RNAsがRNAポリメラーゼIIIに転写されないように変異を加えたものであってもよい。
(a)10620〜11038を欠損:VA-RNA IとIIの両方を含む全遺伝子を欠損。
(b)10620〜10779を欠損:VA-RNA Iの全遺伝子を欠損。
(c)10876〜11038を欠損:VA-RNA IIの全遺伝子を欠損。
(d)10667〜10703を欠損:VA-RNA Iの内部プロモーター領域の一部若しくは全部を欠損=VA-RNA Iが発現しない。
(e)10925〜10944を欠損:VA-RNA IIの内部プロモーター領域の一部若しくは全部を欠損=VA-RNA IIが発現しない。
本発明のAdベクターは、上述のE1領域遺伝子の他に、例えばE3遺伝子領域を欠損していてもよい。E3遺伝子領域とは、ヒト5型Adゲノム(GenBank Accession番号:M73260, M29978)において、具体的には28133〜30808又は27865〜30995に相当する部位をいう。本発明において、E3遺伝子領域の欠損は、E3遺伝子をコードするDNA配列の一部若しくは全部の欠損であってもよい。本発明のAdベクターにおいて、E1遺伝子を欠損した領域やE3遺伝子を欠損した領域には、外来遺伝子発現カセットを挿入することができる。外来遺伝子として、発現させたい遺伝子であればどのような遺伝子であっても、挿入することができる。
本発明のVA-RNAs遺伝子が改変されているAdベクターは、例えば、遺伝子治療用ベクターや生命科学研究における遺伝子導入ツールとしてのベクターとして使用することができる。本発明は、遺伝子治療用ベクターや遺伝子導入ツール用のベクターにも及ぶ。遺伝子治療用ベクターや遺伝子導入ツール用のベクターとして、例えばshRNA又はmiRNAの発現用ベクターとして使用することができる。
RNA干渉を誘導する目的で使用するshRNA発現Adベクターの場合、Adベクターによる高い遺伝子発現効率を考慮に入れると、そのshRNA発現Adベクターにより誘導されるRNAi効果は予想されたほど高くないことが認められる。近年、VA-RNAsがshRNAによるRNAi効果を顕著に抑制することが報告された(非特許文献8、9)。また、VA-RNA Iはpre-miRNAやshRNA前駆体の核外輸送をexportin5と競合することで阻害することや、Dicerに結合することでその機能を阻害し、結果として成熟miRNAやsiRNAの生成を阻害することが報告された。しかしながら、本発明のVA-RNAs遺伝子が改変されているAdベクターは、shRNA前駆体やpre-miRNAの核外輸送をexportin5と競合することも、Dicerに競合して結合することもないので、siRNAや成熟miRNAの機能を阻害することなく、shRNA又はmiRNAの発現用ベクターということができる(図12参照)。
本発明において、Adゲノムのキャプシドタンパク質とは、ウイルスゲノムの表面タンパク質をいい、具体的にはファイバー(Fiber)、ヘキソン(Hexon)、ペントンベース、pIX(プロテインIX)などが挙げられる。ファイバータンパク質は、ノブ、シャフト、テールより構成され、ファイバーノブ、ファイバーシャフト、ファイバーテールともいう。
本発明のAdベクタープラスミドは、Adベクターゲノムをコードしたプラスミドをいい、上記の構成からなるAdベクターのゲノムをコードしたプラスミドであって、Adベクタープラスミドとしての機能を発揮しうるものであればよい。そのような機能を発揮しうるのであれば、Adゲノムのうち、例えばファイバー、ヘキソン、ペントンベース、pIXなどをコードするDNA配列の一部を欠損していても良い。具体的には、ファイバータンパク質のうち、ノブ、シャフト、テールなどをコードするDNA配列の一部が欠損するものであってもよい。
Adベクターは、AdベクターゲノムDNA配列を特定の細胞に導入し、Adベクター粒子を形成させることにより、作製することができる。本発明は、本発明のAdベクターの作製方法にも及ぶ。従来のAdベクターは、AdのE1遺伝子産物を恒常的に発現している細胞、例えばHEK293細胞を用いて作製することができる。HEK293細胞は、ヒト胎児腎細胞をヒト5型AdのE1遺伝子によりトランスフォーメーションして樹立された細胞株であり、E1遺伝子産物を恒常的に発現している。しかしながら、本発明のAdベクター、即ち本発明のAdベクター粒子は、従来用いられてきたHEK293細胞に本発明のAdベクタープラスミドをトランスフェクションしても得ることができない。
本発明のAdベクターを作製するための細胞、即ちAdベクター産生・増幅用細胞は、AdのE1遺伝子産物を恒常的に発現している細胞に、さらにAdのVA-RNAsを発現誘導可能な細胞であることが必要である。ここでVA-RNAsとは、VA-RNA I及び/又はVA-RNA IIである。そのような細胞として、AdのE1遺伝子産物を恒常的に発現している細胞に対して、さらにAdのVA-RNA I及び/又はVA-RNA IIを恒常的に発現しうるようVA-RNA I遺伝子及び/又はVA-RNA II遺伝子の一部又は全部を形質転換させて樹立された細胞株が用いられる。AdのE1遺伝子産物を恒常的に発現している細胞として、例えばHEK293細胞が挙げられる。本発明は、本発明のAdベクターを作製するためのAdベクター産生・増幅用細胞にも及ぶ。
例えば、Adがヒト5型Adの場合は、VA-RNA IをコードするDNA配列の領域から選択されるいずれか、例えばヒト5型AdにおけるVA-RNA IをコードするDNA配列のうち、当該ヒト5型Adゲノムの10620〜10779(配列番号2)を導入していてもよい。及び/又は、VA-RNA IIをコードするDNA配列の領域から選択されるいずれか、例えばヒト5型AdにおけるVA-RNA IIをコードするDNA配列のうち、当該ヒト5型Adゲノムの10876〜11038(配列番号3)を導入していてもよい。上記配列の導入により、形質転換された細胞を本発明のAdベクター産生・増幅用細胞とすることができる。本発明のAdベクター産生・増幅用細胞を作製するための各配列の導入方法は、自体公知の方法によることができる。所望のウイルスベクターゲノム、例えばレンチウイルベクタースゲノムに、必要な配列を組み込んだものをベクターとし、AdのE1遺伝子産物を恒常的に発現している細胞に組み込むことにより、作製することができる。
本発明は、上述のAdベクターを用いることを特徴とする、RNAi誘導方法にも及ぶ。本発明のAdベクターにshRNA又はmiRNAを挿入することで、siRNAや成熟miRNAの機能を発揮させることができる。本明細書では、RNAi(RNA干渉)を誘導することの意味を広義に解釈し、siRNAや成熟miRNAの機能を発揮させるよう誘導させることを含む。すなわち、RNAiとはsiRNAや成熟miRNAにより、遺伝子の発現抑制させることをいう。
本発明は、本発明のAdベクターを作製するためのAdベクタープラスミドと上述のAdベクター産生・増幅用細胞を含むキットにも及ぶ。当該キットを用いることによって、本発明のAdベクターを容易に作製することができ、さらには本発明のAdベクターを容易に増幅することができ、本発明のAdベクターを有効に利用することができる。
さらに本発明は、本発明のAdベクターと、上述のAdベクター産生・増幅用細胞を含むキットであってもよい。当該キットを用いることによって、本発明のAdベクターを容易に増幅させることができ、本発明のAdベクターを有効に利用することができる。
以下に実施例及び実験例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
(実施例1)Ad△VRベクタープラスミド(pAdHM4△VR-CMV GFP)の構築
本実施例では、VA-RNAsが発現しないAdベクター(Ad△VRベクター)の作製について説明する。本実施例における「VA-RNAs」は、「VA-RNA I及びVA-RNA II」の意味で用いられる。本実施例において、本発明のベクターを「Ad△VRベクター」、従来型のAdベクターを「FG-Adベクター」という。以下についても同様である。作製した各ベクターは、蛍光タンパク質であるGFPの遺伝子等を含む構造であり、各ベクターの構造を各々図1に示す。
本実施例では、ヒト5型Adゲノム(GenBank Accession番号:M73260, M29978)において、当該ゲノムのうちE1領域(342〜3523)並びに10667〜10703領域と10925〜10944領域を欠損したAd△VRベクタープラスミド(pAdHM△VR)を作製した(図2)。具体的には、E1欠損領域に外来遺伝子を挿入できるベクタープラスミドpAdHM4を元に、VA-RNA I及びVA-RNA IIの内部プロモーター領域の一部分を欠損させたVA-RNAsコード配列を含むDNA配列及びVA-RNAsコード配列の近傍で線状化したpAdHM4をエレクトロポレーションによって大腸菌BJ5183株(Qbiogene社)に共導入し、相同組換えを生じさせることでpAdHM4△VRを得た。
サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを含み、外来遺伝子としてGFP遺伝子を含むシャトルプラスミド、即ちpHMCMV-GFPを常法に従い構築した。各遺伝子発現用シャトルプラスミドを各々I-CeuI/PI-SceIで切断し、I-CeuI/PI-SceIで切断したpAdHM4△VRとライゲーションし、ベクタープラスミド、即ちpAdHM4△VR-CMV GFPを構築した。以下、本実施例で作製したベクタープラスミドを、「Ad△VRベクタープラスミド」という。同様に、FG-Adベクター作製用プラスミドを、「FG-Adベクタープラスミド」という。
2)Adベクターの作製
上記1)で構築したAd△VRベクタープラスミドをウイルスゲノム末端に存在する制限酵素PacIで切断して線状化し、トランスフェクション試薬SuperFectTM(Qiagen社)を用いてHEK293細胞へトランスフェクションした。対照として、FG-Adベクタープラスミドを同手法によりトランスフェクションした。約10日間培養後、Adベクターの増幅を確認したが、HEK293細胞では、Ad△VRベクターが増幅しないことが確認された(図3)。
(実施例2)Ad△VRベクター産生・増幅用細胞(VR293細胞)の構築
実施例1で構築したAd△VRベクタープラスミドの場合は、従来のFG-Adベクターを増幅しうるHEK293細胞ではほとんど増幅しないことが確認されたため、Ad△VRベクターを構築しうる細胞の作製を試みた。テトラサイクリン依存性H1プロモーターの制御下でVA-RNA Iを発現するカセットを含むVA-RNA I発現制御用レンチウイルスベクター(LV-H1tetO-VRI-ERP)を作製し、HEK293細胞に導入し、ドキシサイクリン(doxycycline, DOX)にて発現誘導可能なVR293細胞を作製した。
VR293細胞でのVA-RNA Iの発現は、ノーザンブロット法により確認した(図4)。上記実施例1で構築したAd△VRベクタープラスミドを、実施例1と同手法によりVR293細胞にトランスフェクションした後にドキシサイクリンを添加することでVA-RNA Iの発現を誘導したところ、細胞内でAd△VRベクターが増幅することが確認された(図5)。
(実験例1)Ad△VRベクター増幅の確認
実施例2によりVR293細胞にて増幅したAd△VRベクターとHEK293細胞にて増幅したFG-Adベクターについて、VA-RNAsをコードするDNA配列の近傍をPCRの手法により増幅した。PCRによる増幅産物について、制限酵素RsrIIにより処理を行い、Ad△VRベクターとFG-Adベクターを確認した。実施例1で作製したAd△VRベクターは、図2に示すように、VA-RNA II遺伝子内の、制限酵素RsrIIの認識部位の一部を欠損しているため、理論上、制限酵素RsrIIでは消化されない。増幅された各ベクターについて、2%アガロースゲルにより電気泳動を行った結果を図6に示した。Ad△VRベクターは、制限酵素RsrII処理後も分子量の大きさが変わらず、VR293細胞内でAd△VRベクターが増幅することが確認された。
(実験例2)形質導入後のVA-RNAs(VA-RNA I及びVA-RNA II)の発現確認
Ad△VRベクター又はFG-AdベクターをHEK293細胞に0.1 MOI形質導入し、24時間培養したときの、VA-RNA I及びVA-RNA IIの発現を確認した。VA-RNA I及びVA-RNA IIの発現は、ノーザンブロット法により確認した。その結果、Ad△VRベクターにて形質導入した細胞ではVA-RNA I及びVA-RNA IIの発現は認められなかった(図7)。
(実験例3)形質導入効率の確認
Ad△VRベクター又はFG-Adベクターを、ヒト肺癌由来A549細胞及び肝癌由来SK HEP-1細胞に5 MOI形質導入し、24時間培養した。その結果を図8に示した。ここで、A549細胞内では、FG-Adベクターのほうが一見高い導入効果を示しているように見える。しかしながら、A549細胞では、E1遺伝子非依存的にAdベクターゲノムの増幅が認められ、その効率も高いことが既知である。その結果、A549細胞ではFG-Adベクターゲノムが効率良く増幅する一方でAd△VRベクターゲノムの増幅は起こらず、その結果形質導入もFG-Adベクターで多く認められたものと考えられる。一方、SK HEP-1細胞では、E1遺伝子非依存的にAdベクターゲノムの増幅が生じにくいことが既知である。このように、E1遺伝子非依存的なAdベクターゲノムの増幅が生じにくい細胞ではFG-AdベクターとAd△VRベクターでは同程度の遺伝子導入が認められる。本発明のAd△VRベクターによれば、E1遺伝子非依存的なAdベクターゲノムの増幅が認められる細胞内においても不要なAdベクターゲノムの増幅は抑制され、さらに従来のFG-Adベクターによる形質導入と同程度の形質導入効率が得られることが確認された。
(実験例4)E1遺伝子非依存的なAdベクターゲノムの増幅の確認
A549細胞(ヒトII型肺胞上皮由来)、HeLa細胞(ヒト子宮頸癌由来)、SK HEP-1細胞(ヒト肝癌由来)及びHUVEC(正常ヒト臍帯静脈内皮細胞)について、Ad△VRベクター又はFG-Adベクターを0.1 MOI形質導入したときの経時的なAdベクターゲノムの増幅を図9に示した。
また、A549細胞及びHUVEC細胞に、Ad△VRベクター又はFG-Adベクターを0.5又は5 MOI形質導入し、24時間培養したときの、Ad由来のタンパク(E4, E2a, Hexon, plX, fiber)発現を各mRNAにより確認した。内部標準として、GAPDHについても測定した。その結果、各細胞にAd△VRベクターを形質導入した場合の各タンパクの発現は、FG-Adベクターを導入した場合に比べて明らかに低かった(図10、11)。
E1遺伝子非依存的にAdベクターゲノムが増幅することで、治療用遺伝子の発現量も増加する可能性があるが、細胞に悪影響を及ぼすウイルスタンパクの発現量も増えてしまう。その結果、CPEが起こってしまう細胞もあり、それらが炎症や免疫反応の引き金となってしまうため、多くの場合、E1遺伝子非依存的なAdベクターゲノムの増幅は望まれない。しかしながら、本発明のAd△VRベクターはE1遺伝子非依存的なゲノム増幅が起こらず、Adベクターゲノムが複製しないため、結果としてCPEの発生やウイルス抗原の提示が抑制され、炎症や不要な免疫反応が抑制される。なお、治療用遺伝子の発現量は、外来遺伝子発現カセットに搭載する外来遺伝子発現制御のためのプロモーターの選択により、自由に制御することが可能である。
(実施例3)shRNA発現AdΔVRベクターについて
VA-RNAsの新たな特徴として、VA-RNAsがshRNAによるRNAi誘導を阻害している可能性が報告されている。shRNAによる標的遺伝子の抑制において、まず、転写されたshRNAはExportin5によって細胞質に輸送され、DicerによりsiRNAへと切断される。その後、RISCにとりこまれ標的遺伝子を抑制する。一方、VA-RNAsも転写後、その一部がshRNAと同様にExportin5によって細胞質に輸送され、Dicerによる切断の後、RISCにとりこまれる(図12参照)。これらの過程において、VA-RNAsが競合的にshRNAによるノックダウンを阻害しているのではないかと報告されている。
しかしながら、shRNA発現Adベクターにおいて実際に上述のような現象が起こっているかは明らかとされていない。そこで、本実施例ではルシフェラーゼ(Luc)に対するshRNA(shLuc)発現AdΔVRベクター(AdΔVR-shLuc)を作製し、VA-RNAs発現がルシフェラーゼに対するRNAi効果に及ぼす影響を確認した。ルシフェラーゼに対するRNAi効果は、ルシフェラーゼ発現細胞によるルシフェラーゼ発現抑制を確認することで評価した。
Adベクタープラスミド及びAdベクターの作製は以下のように行った。即ち、shLuc発現プラスミドpHM5-U6-shLuc(Mizuguchi, et al. Hum Gene Ther., 2007, 18(1), p.740-80)をSmaI処理し、XbaIリンカーとライゲーションした。これをXbaI/SphI処理して得られたDNA断片と、GFP発現プラスミドpHM18-CG(非特許文献7)をXbaI/SphIで処理したDNA断片をライゲーションすることによりプラスミドpHM18-U6-shLuc-CGを得た。
その後、得られたプラスミドpHM18-U6-shLuc-CGをSphI/KpnI処理したDNA断片と、pHM5 (Mizuguchi, et al. Hum Gene Ther., 1999, 10(12), p.2013-7)を同酵素で処理したDNA断片をライゲーションすることによりプラスミドpHM5-U6-shLuc-CGを得た。
その後、得られたプラスミドpHM5-U6-shLuc-CGをI-CeuI/PI-SceI処理したDNA断片と、pAdHM4及びpAdΔVRをI-CeuI/PI-SceI処理したDNA断片をライゲーションすることによりプラスミド「pAdHM4-U6-shLuc-CG」及び「pAdΔVR-U6-shLuc-CG」を得た(図13参照)。
具体的には、AdΔVRベクタープラスミドpAdΔVR-shLuc-CGを、Adゲノムの両末端に認識部位が存在する制限酵素PacIで切断することにより線状にし、LipofectamineTM2000 (Invitrogen) を用いてVR293細胞にトランスフェクションし、作製した。VR293細胞は、実施例2に記載の方法で作製した。トランスフェクション後、4日間通常の培地で培養し、その後形質導入試薬であるDox (50ng/ml) を含む培地でさらに9日間培養した。その後、細胞を回収し、凍結融解で細胞を破壊した。その後、遠心分離し、得られた上清を二次感染(2nd infection)として、新たなVR293細胞に作用させた。AdΔVRベクターを作用させるVR293細胞数を3倍に増加させ、この操作を数回繰り返すことによりAdΔVRベクターを大量に調製した。精製は、塩化セシウムの密度勾配遠心法によって行った。
Luc発現細胞は以下のように作製した。即ち、SK HEP-1細胞を12穴プレートに1×105cells/wellで播種し、翌日、ルシフェラーゼ発現レンチウイルスベクター(LV-EVLuP;蛍光タンパク質をコードするVenus遺伝子も搭載)含有培養上清1 mlを作用させた。2日間培養後、ウイルス感染効率をフローサイトメトリー(FACS)で確認した。培養を続けスケールアップ後、Venus陽性細胞をFACSAriaTM(ベクトン・ディッキンソン株式会社)にてソーティングによってルシフェラーゼ発現SK HEP-1細胞(SK HEP-1-Luc細胞)を得た。
AdΔVRベクターによるルシフェラーゼ発現抑制効果は以下の方法により評価した。即ち、SK HEP-1-Luc細胞を96穴ブラックプレートに1×104cells/welで播種し、翌日に各Adベクターを1、3、10 MOIで37℃、90分間作用させた。36時間培養後、Pica Gene LT 2.0 (東洋インキ) を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。
AdΔVR-shLuc-CGによるルシフェラーゼ発現抑制効率をSK HEP-1-Luc細胞を用いて検討したところ、FG-Ad-shLuc-CG(通常のE1欠損Adベクターにルシフェラーゼ遺伝子に対するshRNAカセットを搭載したベクター)作用群と比較して、AdΔVR-shLuc-CG作用群において有意に高いノックダウン効率を示した(図14)。本結果から、VA-RNAsはshRNA発現AdベクターにおけるRNAi効果を阻害していることが示され、AdΔVAベクターはshRNA発現による標的遺伝子ノックダウンに向けた基盤ベクターとして有用であることが示された。
以上詳述したように、本発明のVA-RNAs遺伝子が改変したAdベクターは、特殊な細胞を除いて細胞内でのAdベクターゲノム増幅が抑制され、かつ効果的に所望の遺伝子を細胞内に導入することができる。従来のAdベクターはE1領域を欠失しているため、理論的にはE1遺伝子産物を発現する特殊な細胞でのみ増幅する。しかしながら、ある種の細胞中ではE1遺伝子非依存的にベクターゲノムが増幅することが知られている。また、E1遺伝子非依存的にベクターゲノムに残存するウイルスタンパク質コード遺伝子の転写が起こることが知られている。E1遺伝子非依存的にAdベクターゲノムが増幅することで細胞に悪影響を及ぼすウイルスタンパクの発現量も増えてしまう。その結果、CPEが起こってしまう細胞もあり、それらが炎症や免疫反応の引き金となってしまう。しかしながら、本発明のVA-RNAs遺伝子が改変したAdベクターはAdベクターゲノムが複製しないため、結果としてCPEの発生やウイルス抗原の提示が抑制され、炎症や不要な免疫反応が抑制される。したがって、本発明のVA-RNAs遺伝子が改変したAdベクターはE1遺伝子非依存的なゲノム増幅が起こらず、遺伝子導入効率の良いAdベクターの特性を保持したまま、安全性を飛躍的に上昇させたベクターということができる(図9〜11参照)。また、免疫応答の減弱により、遺伝子導入細胞が排除される可能性が低くなることから、遺伝子発現期間の延長も期待することができる。
RNAiを誘導する目的で使用するshRNA発現Adベクターは、Adベクターによる高い遺伝子発現効率を考慮に入れると、従来ではshRNA発現Adベクターにより誘導されるRNAi効果は予想されたほど高くなかったが、本発明のVA-RNAsを欠損させたAdベクターによれば、成熟miRNAやsiRNAの生成が抑制されることなく、効果的にRNAiが誘導される。上記により、本発明のVA-RNAsを欠損させたAdベクターは遺伝子治療の安全性向上や生命科学研究における遺伝子導入ツールとして有用であり、目的遺伝子のノックダウン効果が高いshRNA発現Adベクターを開発することができる。
さらに、本発明のAdベクター産生・増幅用細胞によれば、VA-RNAs遺伝子が改変したAdベクターゲノムDNA配列から本発明のVA-RNAs遺伝子が改変したAdベクターを作製することができ、さらに当該Adベクターを増幅することができる。

Claims (14)

  1. アデノウイルスゲノムのうち、E1遺伝子領域を欠損し、さらにVA-RNAsが発現しないようにVA-RNAs遺伝子が改変されていることを特徴とするアデノウイルスベクター。
  2. VA-RNAs遺伝子が、VA-RNA I遺伝子及び/又はVA-RNA II遺伝子である請求項1に記載のアデノウイルスベクター。
  3. VA-RNAs遺伝子の改変が、以下の1)〜4)より選択される少なくとも一つの改変であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアデノウイルスベクター:
    1)VA-RNA I遺伝子の内部プロモーター領域の一部若しくは全部の欠損;
    2)VA-RNA IをコードするDNA配列の一部若しくは全部の欠損;
    3)VA-RNA II遺伝子の内部プロモーター領域の一部若しくは全部の欠損;
    4)VA-RNA IIをコードするDNA配列の一部若しくは全部の欠損。
  4. VA-RNAs遺伝子の改変が、以下の1)〜2)より選択される少なくとも一つの改変であることを特徴とする請求項3に記載のアデノウイルスベクター:
    1)VA-RNA I遺伝子の内部プロモーター領域のコンセンサス配列の一部若しくは全部の欠損;
    2)VA-RNA II遺伝子の内部プロモーター領域のコンセンサス配列の一部若しくは全部の欠損。
  5. アデノウイルスがヒト5型アデノウイルスであり、当該ヒト5型アデノウイルスゲノムの10667〜10703領域及び/又は10925〜10944領域を欠損していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1に記載のアデノウイルスベクター。
  6. さらに、E3遺伝子領域を欠損していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1に記載のアデノウイルスベクター。
  7. アデノウイルスベクターがshRNA発現用又はmiRNA発現用ベクターである、請求項1〜6のいずれか1に記載のアデノウイルスベクター。
  8. shRNA発現用又はmiRNA発現用ベクターが、所望のsiRNA又は成熟miRNAを生成しうる配列を含む、請求項7に記載のアデノウイルスベクター。
  9. アデノウイルスゲノムのVA-RNAs遺伝子を構成する塩基配列のうち、一部若しくは全体が導入されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1に記載のアデノウイルスベクターが増幅しうるアデノウイルスベクター産生・増幅用細胞。
  10. VA-RNAs遺伝子が、VA-RNA I遺伝子及び/又はVA-RNA II遺伝子である、請求項9に記載のアデノウイルスベクター産生・増幅用細胞。
  11. 請求項9又は10に記載の細胞に、請求項1〜8のいずれか1に記載のアデノウイルスベクターを作製するためのアデノウイルスベクターゲノムDNA配列を導入することを特徴とするアデノウイルスベクターの作製方法。
  12. 請求項7又は8に記載のアデノウイルスベクターを用いることを特徴とする、RNAi誘導方法。
  13. 請求項1〜8のいずれか1に記載のアデノウイルスベクターを作製するためのアデノウイルスベクタープラスミドと、請求項9又は10に記載のアデノウイルスベクター産生・増幅用細胞を含むキット。
  14. 請求項1〜8のいずれか1に記載のアデノウイルスベクターと、請求項9又は10に記載のアデノウイルスベクター産生・増幅用細胞を含むキット。
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