JP2004536572A - 新規ベクター構築物 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2001年2月23日に出願された米国特許出願第60/270,885号の利益享受を主張するものであり、これを引用することにより本明細書の一部とする。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、組換えDNA技術および遺伝子発現の調節に関する。特に、遺伝子治療の分野における制御された遺伝子発現を提供するウイルスベクターに関する。
【0003】
発明の背景
原核生物および真核生物の細胞における遺伝子発現は、転写レベルおよび翻訳レベルが調節されている。転写が開始されるためには、RNA合成が酵素RNAポリメラーゼにより触媒される。転写は、RNAポリメラーゼが遺伝子の開始位置の特定の領域、すなわちプロモーターに結合した場合に、開始する。プロモーターは、通常、RNAへと転写される最初の塩基対、開始点の前に位置する。この点から、RNAポリメラーゼは鋳型に沿って移動し、それが終結配列(termination sequence)に到達するまで、RNAを合成する。この作用は、転写開始部位(開始点)からターミネーターにわたるDNA分子上の転写ユニットを規定する。
【0004】
該転写レベルでの遺伝子発現の調節は、様々なメカニズムで起こる。遺伝子発現は、プロモーターおよびエンハンサーのような特定の調節配列により制御され、それらに対して細胞性因子が結合し、その結果、隣接遺伝子の発現率が変化し得る。このような細胞性因子としては、例えば、いわゆる転写因子が挙げられ、これはRNAポリメラーゼによる遺伝子中の特定の結合配列の認識に必要とされるタンパク質である。
【0005】
組換えDNA技術の一定の適用は、遺伝子がそのプロモーターにより緊密に調節されること、すなわち、該遺伝子の転写レベルがプロモーターそれ自体以外のいかなるシス作用性エレメントにも依存しないこと、を必要とする。例えば、遺伝子治療の文脈において、治療目的で投与されたウイルスベクターの組織選択性は、したがって、そのプロモーターにより緊密に調節されるべき遺伝子の特異的調節に依存し得る。1つのこのような遺伝子治療のアプローチは癌を目的とし、そして、いわゆる「腫瘍細胞崩壊性アデノウイルスベクター」を利用する(例えば、US 5,998,205 (Hallenbeck et al.)を参照)。
【0006】
腫瘍細胞崩壊性アデノウイルスベクターは、腫瘍特異的でありかつ生物における標的細胞の感染後に複製能を有する、アデノウイルスベクターである。このアプローチにおいて、アデノウイルスベクターの複製に必須の遺伝子は、組織特異的プロモーターにより調節され、そしてその結果、該ベクターの複製の組織特異性を提供する。したがって、このアプローチにおいて、もし複製に必須の遺伝子が、もっぱら、腫瘍特異的であるプロモーターの制御下にあるならば、アデノウイルスベクターは特異的に複製され、腫瘍細胞を溶解し、そして組織特異性のないさらなる遺伝エレメント(genetic element)により誘導されることはない。
【0007】
本発明の目的の1つは、ウイルスベクター、例えばアデノウイルスベクターなどを提供することであり、それはウイルスベクター内で目的の遺伝子の特異的かつ緊密な調節を可能にする。腫瘍細胞崩壊性アデノウイルスベクターの文脈において、本発明のさらなる目的は、高度の組織特異性を有するベクターを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1:SV40初期ポリ(A)部位のための切断およびポリアデニル化プロセス。
【図2】図2:E1A転写制御領域。
【図3.1】図3:ウイルスDNAの左端および右端からのAr6pAE2fFの配列。DNA配列決定により確認されたAr6pAE2fFの領域。パネルA。最初の1802ヌクレオチド中の領域は、ITR(ヌクレオチド1〜103)、ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド116〜261)、ヒトE2F−1プロモーター(ヌクレオチド283〜555)、E1a遺伝子(ヌクレオチド574〜1647)およびE1b遺伝子の一部(ヌクレオチド1648〜1802)である。パネルB。最後の531ヌクレオチドにおける領域は、PacI制限部位(ヌクレオチド33967〜33974)(下線部)、パッケージング・シグナル(ヌクレオチド34020〜34217)およびITR(34310〜34412)である。
【図3.2】ウイルスDNAの左端および右端からのAr6pAE2fFの配列。
【図3.3】ウイルスDNAの左端および右端からのAr6pAE2fFの配列。
【図4】図4:ウイルスDNAの左端からのAr6Fの配列。Ar6Fの左端の最初の660ヌクレオチド。ITR(ヌクレオチド1〜103)、マルチクローニング部位(MCS)(ヌクレオチド104〜134)およびE1a遺伝子の一部(ヌクレオチド135〜660)を示す。
【図5】図5:ウイルスDNAの左端からのAr6pAFの配列。Ar6pAFの左端の最初の660ヌクレオチド。ITR(ヌクレオチド1〜103)、SV40初期ポリAシグナル(ヌクレオチド104〜134)およびE1a遺伝子の一部(ヌクレオチド298〜660)を示す。
【図6】図6:Ar6pAFおよびAr6pAE2fFベクターの概略図。バックボーン・アデノウイルス配列は、pAr6pAFおよびpAr6pAE2fF感染性プラスミド由来である。中間ベクター・バックボーン・アデノウイルス配列は、Addl327、E3欠失アデノウイルス・タイプ5由来であり、これにおいてパッケージング・シグナルは、右のITRの、直近の上流に位置する。E1aプロモーターにおいてはAr6pAFベクター・バックボーンを欠失し、そしてSV−40ポリ(A)シグナルは左のITRの後に挿入される。Ar6pAE2fFベクター・バックボーンには、SV−40ポリ(A)シグナル配列の後に、E2F−1プロモーター(bp−212〜+51)、4つのインタクトE2F、1つのNF−kBおよび4つのSp1コンセンサス配列のDNAセグメントを含む。
【図7】図7:ベクターAddl327、AvE1aPA09Ixi、Ar6F、Ar6pAF、Addl312の投与後の体重変化の比較。
【図8】図8:ベクターAdd1327、AvE1a09i、AvPAE1a09i、Ar6F、Ar6pAF、Addl312のバックボーン。
【0009】
発明の要約
本発明は、ウイルスベクター内に1もしくはそれ以上の遺伝子の改善された調節を示す新規ウイルスベクターを提供する。このようなベクターにおいて、転写はそのプロモーターにより緊密に調節され、そして例えばウイルスベクター構築物自体の中に位置するシス作用性エレメントのような干渉性遺伝エレメントから本質的に独立している。
【0010】
したがって、1つの観点において、本発明は、少なくとも1つの干渉性遺伝エレメントを有し、少なくとも1つの転写ユニットを含んでなる、ウイルスベクターであって、少なくとも1つの遮断配列(insulating sequence)が該転写ユニットの転写開始部位の5'側であって、かつ、該干渉性遺伝エレメントの3'側に位置するウイルスベクターを提供する。
【0011】
本発明の別の観点において、本発明のウイルスベクターを含むウイルスベクター粒子が提供される。
【0012】
本発明のさらなる観点において、本発明のウイルスベクター粒子でトランスフェクトされた真核生物細胞が提供される。
【0013】
本発明のさらに別の観点において、干渉性遺伝エレメントに起因するウイルスベクター内の転写ユニットの転写レベルを減少させる方法であって、適当な遮断配列を同定する工程、および該転写ユニットの転写開始部位の5'側に該遮断配列を該ウイルスベクターへと挿入する工程を含んでなる方法が提供される。
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、新規ウイルスベクター、特に、新規アデノウイルスベクターを提供する。このようなベクターは、ウイルスベクターの遮断配列の挿入、例えば、非特異的読み通し転写(transcriptional read-through)を遮蔽するための、転写ユニットの開始位置(転写開始部位)の上流の終結シグナル配列の挿入により、得られ得る。本発明のウイルスベクターは、遮断配列を含まないウイルスベクターと比較して、目的の遺伝子の「漏出性発現(leaky expression)」の量の減少を示す。
【0015】
一般に、タンパク質の発現には、mRNAへの遺伝子の転写、およびポリペプチドへのmRNAの翻訳が含まれる。使用される文脈に応じて、「発現」なる用語は、RNA、タンパク質またはその両方の生成を意味し得る。本発明は、主に、mRNAへの転写およびその調節方法に関する。
【0016】
漏出性発現は、遺伝子の直近の上流のプロモーターから独立した遺伝子発現である。遺伝子治療の文脈において、漏出性遺伝子発現は一定の治療アプローチの特異性を低下させ得る。例えば、異種性遺伝子の送達は、特定の細胞環境において該遺伝子を駆動する組織特異的プロモーターの活性化に依存し、その結果、組織特異的プロモーターを活性化する因子を産生しない組織においては該遺伝子が発現することを防止し得る。このようなアプローチは、もし異種性遺伝子の漏出性発現が起きる場合には、あまり特異的とはならないであろう。
【0017】
今回、本発明は、ウイルスベクターにおける干渉性遺伝エレメントの望まない調節上の影響から転写ユニットを遮蔽する方法を提供する。
【0018】
本発明の意味での転写ユニットは、1もしくはそれ以上の遺伝子を含み得る。RNAポリメラーゼが特定の領域、すなわち遺伝子の開始位置(開始点または転写開始部位)のプロモーターに結合すると、転写が始まる。開始点は、RNAへと転写される最初の塩基対である。この点から、RNAポリメラーゼは鋳型に沿って移動し、それが終結配列に到達するまで、RNAを合成する。この作用は、転写開始部位からターミネーターにわたる転写ユニットを規定する。一般に、転写物における最初のヌクレオチドは、転写ユニットの+1位と定義される。対応するDNA鎖上の、直近のこれに先行するヌクレオチドは、−1位と定義される。
【0019】
転写ユニットは、「調節エレメント」に「作動可能に連結」していてもよい。核酸配列は、それが別の核酸配列との機能的関係に置かれた場合、「作動可能に連結」している。例えば、調節エレメントは、もしそれが転写ユニットの転写に影響するのであれば、転写ユニットと作動可能に連結している。作動可能に連結したDNA配列は、典型的に、隣接している。しかしながら、プロモーターから数千塩基離れそしてイントロン配列の長さが変動し得る場合に、エンハンサーは、一般的に、機能するので、いくつかの核酸配列は作動可能に連結しているが隣接していないこともあり得る。本明細書において使用されるように、「調節エレメント」なる語は、核酸配列の転写のある面を制御する遺伝エレメントを意味する。調節エレメントの例は、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、終結シグナルなどである。
【0020】
1つの観点において、本発明は、少なくとも1つの干渉性遺伝エレメントを有し、かつ、少なくとも1つの転写ユニットを含んでなる、ウイルスベクターであって、少なくとも1つの遮断配列が該転写ユニットの転写開始部位の5'側であって、かつ、該干渉性遺伝エレメントの3'側に位置するウイルスベクターを提供する。
【0021】
本明細書において使用されるように、「ウイルスベクター」なる用語は、当分野において認められている意味にしたがって使用される。当該用語は、ウイルス起源の少なくとも1つのエレメントを含み、そしてウイルスベクター粒子へとパッケージングされ得る、核酸ベクター構築物を意味する。ウイルスベクター粒子は、インビトロまたはインビボのどちらかで、細胞内にDNAを運ぶ目的で利用され得る。後者の目的でよく使用されてきたウイルスベクター粒子としては、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス)、およびヘルペスウイルスに基づく粒子が挙げられる。
【0022】
「干渉性遺伝エレメント」なる用語は、広い意味で解釈されるべきである。干渉性遺伝エレメントは、転写ユニットとの関係で望ましくないエンハンサーまたはプロモーター活性を示し得る。特に、本発明の干渉性遺伝エレメントは、問題の遺伝子に直接隣接しそして目的の遺伝子の上流にあるプロモーターの活性に影響し得る。干渉性遺伝エレメントは、特に、干渉性プロモーターまたはエンハンサーであり得る。エンハンサーまたはプロモーター活性は、転写レベル、すなわち、問題の転写ユニットからの一次RNA転写産物の検出可能な量、を増加させる任意の活性として理解されるべきである。したがって、干渉性遺伝エレメントは、任意の下流の遺伝子の転写を測定することにより、例えばRT−PCRまたはノーザン検出システムにより、アッセイされ得る。
【0023】
干渉性遺伝エレメントは、ウイルスベクターにおいて保存されるべき重要な機能を有し得る。例えば、アデノウイルスベクター構築物の分野において、ITRはアデノウイルスDNA複製に極めて重要である。さらに、左のITRの下流の配列は、ウイルスゲノムの適切なパッケージングに必要である。したがって、ウイルスベクターを構築する場合に、転写ユニットとの関係でエンハンサーまたはプロモーター活性を示すすべての干渉性遺伝エレメントを同定および/または削除することは、必ずしも、可能ではない。
【0024】
「プロモーター」なる用語は、当分野において認められている意味にしたがって使用される。該用語は、通常、遺伝子のコード配列の上流のDNA領域を意味することが意図され、これはRNAポリメラーゼと結合し、そして該酵素を正しい転写開始部位(転写開始部位)に方向付ける。プロモーターは、転写の開始部位から直近の上流(5'側)に位置する。プロモーター配列は、転写の正確かつ効率的な開始に必要とされる。典型的なプロモーターとしては、TATAボックスと呼ばれるATが多い領域が挙げられ、これは典型的には転写開始部位から5'側に約30塩基対のところに位置する。
【0025】
「エンハンサー」なる用語は、当分野において認められている意味にしたがって使用される。該用語は、遺伝子から数千塩基までに位置する場合、遺伝子からの転写を増加させることができる真核生物および一定の真核生物ウイルスにおいて見出される配列を意味することが意図されている。これらの配列は、通常、目的の遺伝子の5'側(上流)に存在する場合に、エンハンサーとして作用する。しかしながら、いくつかのエンハンサーは、遺伝子の3'側(下流)に置かれた場合に、活性を有する。
【0026】
いくつかの場合においては、エンハンサーエレメントは、未知のプロモーターとともに遺伝子からの転写を活性化し得る。したがって、エンハンサーはプロモーター配列からの転写速度を増大させる。その増加は、主に、プロモーターを有する配列特異的転写因子と、哺乳動物細胞が組織特異的遺伝子発現を達成することを可能にするエンハンサー配列との間の相互作用によるものである。プロモーターと結合したこれらの転写タンパク質因子およびエンハンサーの存在は、RNAポリメラーゼを含む転写機構の他の構成成分が組織特異的選択性および正確性を有する転写を開始することを可能にする。
【0027】
ウイルスベクターの好適な実施態様において、遮断配列は、干渉性遺伝エレメントから遮蔽された調節エレメントの直近の上流に位置する。調節エレメントのサイズに依存して、好ましくは、遮断配列は、転写ユニットの転写開始部位の3000ヌクレオチド、さらに好ましくは500、300または200ヌクレオチド以内の上流(5'側)に位置する。しかしながら、最小のプロモーターが使用される場合、遮断配列は、転写ユニットの転写開始部位の17ヌクレオチド以内の5'側に位置する。好ましくは、遮断配列はウイルスベクターの5'末端から最初の転写ユニットの上流に位置する。特に、遮断配列は、好ましくは、個々のベクターにおいて複製に必須の遺伝子をコードする最初の転写ユニット(ウイルスベクターの5'末端から見られる)の上流に位置し得る。例えば、もしウイルスベクターがアデノウイルスベクターであるならば、遮断配列は、好ましくは、E1a転写ユニットの上流に位置する。アデノウイルスベクターの文脈において、「5'」および「上流」なる用語は、アデノウイルスベクターの左のITRに対応することを意味すると理解されるべきである。
【0028】
遮断配列は、例えば、隣接する遺伝子のプロモーターからの一方の遮断配列上のエンハンサー間の相互作用をブロックすることにより遺伝子を分離する役割を有するDNAのセグメントである。本発明の目的のために、該用語は広い機能的意味で理解されるべきである。本発明の意味の範囲内の遮断配列の定義的特徴は、干渉性遺伝エレメントと遮断された転写ユニットの調節配列との間に位置する場合に、上流の干渉性遺伝エレメントの影響から、調節エレメントと作動可能に連結した所定の転写ユニットを遮断または保護する能力である。好ましくは、本発明の遮断配列は、それらの遺伝子源から分離されたDNAのセグメントである。次いで、遮断配列は、本明細書においてさらに記載されているように、適当な位置でウイルスベクター中に挿入され得る。
【0029】
本発明の好ましい実施態様において、遮断配列は、終結シグナル配列であり;特に好ましくは、ポリアデニル化シグナル配列である。任意のポリアデニル化シグナル配列が、本発明の目的のために有用であり得る。しかしながら、本発明の好ましい実施態様において、終結シグナル配列は、SV40後期ポリアデニル化シグナル配列またはSV40初期ポリアデニル化シグナル配列のどちらかである。好ましくは、終結シグナル配列は、その遺伝子源から単離され、そして本明細書においてさらに記載されているように、適当な位置でウイルスベクター中に挿入される。
【0030】
本発明の意味の範囲内の終結シグナル配列は、RNAポリメラーゼに転写を終結させる任意の遺伝エレメントであり得る。ポリアデニル化シグナル配列は、RNA転写物のエンドヌクレアーゼ切断に必要な認識領域(recognition region)であり、その後に、ポリアデニル化コンセンサス配列AATAAAが続く。ポリアデニル化シグナル配列は、「ポリA部位」、すなわち、アデニン残基が転写後のポリアデニル化により加えられるRNA転写物上の部位、を提供する。ポリアデニル化シグナル配列は、真核生物および真核生物ウイルス内の転写ユニットに有用な遮断配列である。
【0031】
一般に、ポリアデニル化シグナル配列には、切断−ポリアデニル化部位に隣接する2つの認識エレメントからなるコアポリ(A)シグナルが含まれる(図1)。典型的に、ほぼ不変のAAUAAAヘキサマーが、UまたはGU残基に富むより可変性のエレメントの20〜50ヌクレオチド上流に存在する。これら2つのエレメントの間の切断は、通常、3'側のA残基上であり、そしてインビトロで、大きな、多成分タンパク質複合体により仲介される。該複合体は、切断およびポリアデニル化特異的因子(CPSF)(これはAAUAAAモチーフに結合する。);切断刺激因子(CstF)(これは下流のUに富むエレメントに結合する。);およびあまりよく特徴付けられていない2つのさらなる切断因子(CF IおよびCF II)、を含む。
【0032】
また、ポリ(A)ポリメラーゼは、切断の工程のほとんどの場合にも、存在しなければならない。適当なポリアデニル化シグナル配列の選択には、ポリアデニル化プロセスの終了がポリ(A)部位の強度に相関するので、ポリアデニル化シグナル配列の強度を考慮する(Chao et al., Molecular and Cellular Biology, Aug. 1999, pp5588-5600)。例えば、強いSV40後期ポリ(A)部位は、より弱いSV40初期ポリ(A)部位よりも速く切断される。非特異的転写のさらに実質的な減少が特定のベクター構築物において要求される場合、当業者はより強いポリアデニル化シグナル配列を選択することを想到するであろう。
【0033】
本発明は、また、遮断配列としてのサイレンサー(silencer)の使用も包含する。「サイレンサー」は、エンハンサー活性で干渉することにより転写の開始を阻害するDNA領域である。遮断配列は、また、リプレッサータンパク質の結合部位でもあり得る。
【0034】
本発明の別の好適な実施態様において、ベクター構築物は、アデノウイルスベクターである。アデノウイルスベクターにおいて、ベクター構築物は、アデノウイルス由来の遺伝エレメントを含んでなる。好適な実施態様において、それはアデノウイルス5'ITR、アデノウイルス3'ITRおよびアデノウイルス・パッケージング・シグナルを含む。E3領域は、欠失していてもいなくてもよい。したがって、1つの実施態様において、アデノウイルスベクターは、さらに、E3領域における欠失を含む。
【0035】
アデノウイルス(Ad5)E1a領域の周りのヌクレオチドエレメントの特徴の解析により、エンハンサーのような特性を有するエレメントが、+1位のE1aキャップ部位に対して−141〜−305位の間に存在することが示される(図2)。このエンハンサーエレメントは、ウイルスDNAのパッケージングのための、シスの必要とされる配列に非常に近接して位置する。エンハンサーエレメントの欠失は、ウイルスに感染した細胞において、E1a mRNAの転写速度および定常状態のレベルの両方を低減させる。E1aエンハンサーは、11bpの反復エレメント(repeat element)を含み、これは調整配列の極めて重要な構成成分である(5'−AGGAAGTGACA−3)。
【0036】
反復配列の1つのコピーを取り除いた場合、E1aの発現は2〜3倍減少するが、両方のコピーを取り除いた場合には発現は15〜20倍減少する(Hearing and Shenk, Cell vol. 33, pp.695-303, July 1983)。しかしながら、エンハンサーおよびプロモーターエレメントを含むE1aキャップ部位に対して−393〜+10位のすべての領域を欠いているにもかかわらず、欠失変異体はそれでもE1a特異的mRNAの合成を指示することが見出された。どの配列がこの転写に関与しているかは明らかではない。したがって、アデノウイルスベクターの文脈において、干渉性遺伝エレメントは、5'ITR内に位置し得、これはアデノウイルスの複製に必要な領域である。
【0037】
1つの特定の実施態様において、本発明は、E1aプロモーターの上流からの読み通し転写をブロックすることによりアデノウイルスベクターのE1a遺伝子の非特異的活性化を減少させるストラテジーを記載する。E1aエンハンサーエレメント(+1位のE1aキャップ部位に対して−141〜−305位)の除去および左端のITRの下流のポリ(A)シグナル配列の挿入は、効率的な転写の終結に充分であることが見出される。104〜551位のヌクレオチドが欠失したアデノウイルスバックボーン(Ar6F)、および別のアデノウイルスバックボーンAr6pAF(これは、E1aの欠失、およびSV40初期ポリ(A)シグナルの、E1a遺伝子上流への挿入を組み合せたものである。)を作製する(実施例1参照)。
【0038】
両方のベクターにおいて、パッケージング配列は、右のITRの上流に移動している。E1a遺伝子の上流での読み通しを測定するために、E1タンパク質のレベルを定量するE1a FACSアッセイを使用する(実施例2参照)。作製した2つのアデノウイルス・バックボーンのうち、Ar6pAFは約96%のE1a発現の減少を示す。これらの結果により、もし遮断配列がプロモーターの直近の上流に置かれるならば、組織特異的プロモーターの制御下に遺伝子を置くことにより、E1a遺伝子活性を選択的に制御することが可能であることが示される。
【0039】
したがって、好ましい実施態様において、アデノウイルスベクターは、終結シグナル配列の5'側の欠失を含む。終結シグナル配列の5'側のパッケージング・シグナルにおける欠失は、パッケージング・シグナルが機能を果たさないようなものであり得る。1つの特異的な実施態様において、欠失には、欠失が少なくともヌクレオチド189〜551にわたる、終結シグナル配列の5'側の欠失が含まれる。別の好ましい実施態様において、欠失には、欠失が少なくともヌクレオチド103〜551にわたる、終結シグナル配列の5'側の欠失が含まれる。これらの場合において、パッケージング・シグナルが、終結シグナル配列の3'側の位置に位置する(すなわち再挿入される)ことが好ましい。
【0040】
本発明のウイルスベクターは、「複製条件付きベクター(replication-conditional vector)」であり得る。複製条件付きベクターは、組織内に導入されたときに、そのベクター内の転写調節配列がその組織内で活性化または抑制されない限り、複製しないかまたは最低限の量でのみ複製するベクターである。例えば、複製に必須の遺伝子は、遺伝子の転写が通常依存している転写調節配列を異種性の転写調節配列と置き換えることにより改変され得る。この転写調節配列は、転写調節因子の存在または転写調節阻害剤の非存在に依存する。所定の組織におけるこれらの因子の存在または所定の組織におけるこのような阻害剤の非存在は、条件付きの複製を提供する。代わりに、天然の転写調節配列は、部分的除去または他の変異(1またはそれ以上の塩基の変更、挿入、逆位など)により無力化されるかまたは機能不全にされ得る。複製条件付きベクターおよびこのようなウイルスベクターを得る方法は、さらに、米国特許5,998,205号(Hallenbeck et al)に記載されており、これを引用することにより、その全体を本明細書の一部とする。
【0041】
「複製」なる語は、当分野において認められている意味にしたがって使用される。その本質的特徴は、オリジナルのウイルスベクターの核酸コピーを合成することである。DNAウイルスの場合において、核酸レベルでの複製は、DNA複製である。RNAウイルスの場合において、核酸複製は、プラス鎖もしくはマイナス鎖(またはその両方)への複製である。レトロウイルスの場合において、核酸レベルでの複製は、cDNAの産生ならびにRNAウイルスゲノムのさらなる産生を含む。複製は、また、感染性DNAまたはRNAウイルス粒子の形成も含む。このような粒子は、所定の標的組織中の細胞に感染し、かくして、標的組織のすべてのまたはかなりの部分を通じてベクターを分配し得る。
【0042】
本発明の好ましい実施態様において、干渉性遺伝エレメントから遮蔽されるべき転写ユニットは複製に必須の遺伝子を含む。例えば、もし本発明のベクター構築物がアデノウイルスベクターであるならば、複製に必須の遺伝子は、E1a、E1b、E2およびE4コード配列からなる群から選択され得、そして最も好ましくは、複製に必須の遺伝子は、E1aコード配列およびE1bコード配列からなる群から選択される。複製に必須の遺伝子としては、アデノウイルスE1a遺伝子が特に好ましい。「複製に必須の遺伝子」なる用語は、標的細胞においてベクターが複製されるのにその転写が必要とされる、遺伝子配列を意味する。
【0043】
本発明のさらなる実施態様において、組織特異的転写調節配列は、複製に必須の遺伝子に作動可能に連結されている。
【0044】
「組織特異的」なる用語は、複製に必須の遺伝子が作動可能に連結した転写調節配列が、複製が組織内で進行するように、組織において特異的に機能することを意味することを意図する。これは、転写調節配列を活性化する転写因子の、組織における存在、および非標的組織における非存在、により起こり得る。それは、また、非標的組織において通常起こりそして転写調節配列の結果として転写を妨げる転写阻害因子の非存在によっても起こり得る。組織特異性は、特に、正常組織の異常な対応物の処置において関連する。このような対応物には、肝組織と肝癌、肺組織と肺癌、乳腺組織と乳癌、結腸組織と結腸癌、前立腺組織と前立腺癌、およびメラノーマと正常皮膚組織が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
組織特異性は、また、例えば肝臓のような組織内への結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌などの転移の場合のように、異なるタイプの組織の正常組織が分散した異常なタイプの組織の存在を含む。この場合において、標的組織は異常組織であり、そして組織特異性は、正常組織に分散した異常組織に対するベクター複製の制限を反映する。処置の文脈において、組織特異性は特にインビボに関連する。しかしながら、エキスビボ(ex vivo)処置および組織置換は、また、本発明にしがう組織特異性の概念の範囲内である。
【0046】
「転写調節配列」なる用語は、結合遺伝子が、特定の細胞においてアップレギュレートまたはダウンレギュレートされることを引き起こし得る任意のDNA配列、例えばプロモーターおよびエンハンサーなどを意味することを意図されている。転写調節配列の様々な組合せを、ベクター内に含み得る。1つまたはそれ以上が異種性であり得る。さらに、1またはそれ以上が組織特異性を有し得る。例えば、単一の転写調節配列は、複製に必須の1以上の遺伝子による複製を駆動するために使用され得る。これは、例えば、遺伝子のうちの1つの遺伝子産物がさらなる遺伝子(複数を含む)の転写を駆動する場合が当てはまる。アデノウイルスベクターの場合の例は、E1aコード配列(E1aプロモーターが欠失している)およびE1b遺伝子全体を含むカセットに連結した異種性プロモーターである。このようなカスケードにおいて、1のみの異種性転写調節配列が必要であり得る。しかしながら、遺伝子が個別的に(分離して)制御される場合、もし1以上のそのような遺伝子が複製を制御することが望まれるならば、1以上の転写調節配列が使用され得る。
【0047】
好ましい実施態様において、組織特異的転写調節配列はプロモーターまたはエンハンサーである。好ましくは、プロモーターは、E2F−応答性プロモーター、好ましくはE2F−1、CEA、MUC1/DF3、α−フェトタンパク質、erb−B2、界面活性剤、チロシナーゼ、PSA、TK、p21、hTERT、hKLK2、プロバシン(probasin)およびサイクリン遺伝子由来プロモーターからなる群から選択される。エンハンサーは、好ましくは、DF3、乳癌−特異的エンハンサー、PSA、ウイルスエンハンサー、およびステロイド受容体エンハンサーからなる群から選択される。
【0048】
本発明のアデノウイルスベクターは、特に、腫瘍細胞崩壊性アデノウイルスベクターであり得る。腫瘍細胞崩壊性アデノウイルスベクターは、腫瘍細胞中で選択的に複製し、そしてそれらが複製している細胞を破壊するが、非腫瘍細胞中では有意な程度には複製しないアデノウイルスベクターである。例えば、腫瘍細胞崩壊性アデノウイルスベクターは、上記の複製に必須の遺伝子に作動可能に連結した組織特異的転写調節配列を有し得る。代わりに、腫瘍細胞崩壊性アデノウイルス粒子は、アデノウイルスの複製に必須の遺伝子、例えばE1aまたはE1b遺伝子における変異を含み得る。このような変異は、例えば、もし組織の細胞がp53またはRb経路において欠陥を有するならば、アデノウイルスの複製を、腫瘍組織特異的にし得る。腫瘍細胞崩壊性アデノウイルスベクターは、複製に必須のアデノウイルスエレメントに加えて、異種性の遺伝子を含んでも含まなくてもよい。
【0049】
本発明は、E1a遺伝子の発現を駆動するためのE2F−1プロモーターを利用する腫瘍細胞崩壊性アデノウイルスベクター、Ar6pAE2fFを提供する。E2F−1プロモーターは、Rb経路欠損腫瘍細胞において選択的に活性化される。Ar6pAE2fFを用いるA549細胞の形質導入は、E1aの発現をもたらし、この発現はE2F−1プロモーターの活性に依存していることが示される。この結果は、A549細胞がRb経路のメンバーであるp16が欠けている事実と矛盾しない。Ar6pAE2fFにおけるE2F−1プロモーターの活性は、また、いくつかの腫瘍細胞株においても確認されている。
【0050】
腫瘍細胞崩壊性アデノウイルスベクターを用いる癌治療の分野において、遮断配列の使用が非標的細胞における腫瘍細胞崩壊性アデノウイルスベクターの複製および毒性を減少させるので、治療効果を増大させ得る。E1aコード領域の上流に挿入されたポリアデニル化シグナルを有する本発明の腫瘍細胞崩壊性ベクターは、それらが最低レベルのE1a発現を示すので、それらの非修飾対応物より優れている(実施例2参照)。したがって、左のITRからの非特異的転写を停止させるポリアデニル化シグナル配列の挿入は、それぞれのプロモーターからのE1a発現の特異性を改善するだろう。ポリアデニル化シグナル配列の挿入は、非標的細胞中の腫瘍細胞崩壊性アデノウイルスベクターの複製を、およびそれゆえ毒性を、減少させるであろう。
【0051】
1つの観点において、本発明は、また、転写ユニットとの関係でエンハンサーまたはプロモーター活性を示す干渉性遺伝エレメントに起因するベクター構築物における転写ユニットの転写レベルを低減させる方法であって、適当な遮断配列を同定する工程、および該転写ユニットの5'側の該ベクター構築物中に遮断配列を挿入する工程を含んでなる方法を提供する。好ましい実施態様において、転写レベルは、遮断配列を含まないウイルスベクターの対応する導入量と比較して、少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約20、50、または200倍減少している。
【0052】
さらなる実施態様において、本発明は、治療遺伝子を含むベクター構築物を提供する。治療遺伝子は、RNAまたはタンパク質のレベルでその効果を発揮するものであり得る。例えば、治療遺伝子によりコードされたタンパク質は、遺伝病の処置において使用され得、例えば嚢胞性繊維症の処置において嚢胞性繊維症の経膜的伝導性レギュレーターをコードするcDNAが使用され得る。さらに、治療遺伝子によりコードされたタンパク質は、細胞死を引き起こすことによりその治療効果を発揮することができる。
【0053】
例えば、タンパク質の発現それ自体が、ジフテリア毒素Aの発現のように、細胞死をもたらすことができるか、あるいはタンパク質の発現が細胞を一定の薬物に選択感受性にし得る、例えば単純ヘルペス(HSV)チミジンキナーゼ遺伝子は、細胞を抗ウイルス化合物、例えばアシクロビル、ガンシクロビルおよびFIAU(1−(2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)−5−ヨードウラシル)に感受性にする。代わりに、治療遺伝子は、RNAレベルで、例えば、アンチセンスメッセージもしくはリボザイム、スプライシングもしくは3'プロセシング(例えば、ポリアデニル化)に影響するタンパク質、または細胞内の別の遺伝子の発現レベルに影響するタンパク質をコードすることにより、例えば、改変された速度のmRNA蓄積、mRNA輸送の改変、および/または転写後調節の変更を媒介することにより、その効果を発揮する。
【0054】
ベクター構築物中に入れられ得る治療遺伝子をコードするDNA配列は、腫瘍壊死因子(TNF)遺伝子、例えばTNF−αをコードしているDNA配列;インターフェロン−α、インターフェロン−β、およびインターフェロン−γのようなインターフェロンをコードする遺伝子;IL−1、IL−1β、およびインターロイキン2〜14のようなインターロイキンをコードする遺伝子;GM−CSFをコードする遺伝子;アデノシンデアミナーゼ(ADA)をコードする遺伝子;細胞増殖因子、例えばリンフォカイン(これはリンパ球の増殖因子である。)をコードする遺伝子;可溶性CD4をコードする遺伝子;第VIII因子;第IX因子;T細胞受容体;LDL受容体、ApoE、ApoC、ApoAI、ならびにコレステロール輸送および代謝に関与する他の遺伝子;アルファ−1 アンチトリプシン遺伝子、オルニチン トランスカルバミラーゼ遺伝子、CFTR遺伝子、インスリン遺伝子、ネガティブ選択マーカーまたは「自殺(suicide)」遺伝子、例えばウイルスチミジンキナーゼ遺伝子、例えば単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子、サイトメガロウイルスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子、および水痘帯状疱疹ウイルスチミジンキナーゼ遺伝子;抗体の抗原結合ドメインのFc受容体、およびウイルス複製を阻害するアンチセンス配列を含むが、これらに限定されない。治療遺伝子をコードするDNA配列は、好ましくは、GM−CSF、チミジンキナーゼ、Nos、FasL、またはsFasR(可溶性Fas受容体)のいずれかから選択され得る。
【0055】
治療剤をコードしているDNA配列は、また、アデノウイルスゲノムの一部、例えば、アデノウイルスE1a遺伝子である配列であり得る。1つには、E1aはアデノウイルス複製サイクルを駆動し、これが細胞溶解をもたらす。したがって、E1aは、例えば腫瘍組織に投与された場合には、本発明の意味での治療剤をコードするDNA配列とみなし得る。さらに、このような遺伝子は、例えば、感染した細胞を一定の薬剤および/または照射に対して敏感にすることにより、さらなる治療上の利点を提供し得る。
【0056】
ヒト患者に関して、治療遺伝子は一般的にヒト由来であるが、もし遺伝子がレシピエントにおいて有害な免疫反応を生じないならば、ヒトにおいて高い相同性ならびに生物学的に同一または等価な機能を示す密接に関連した種の遺伝子が使用され得る。核酸配列または治療遺伝子の治療上有効量は、所望の結果を達成するために必要な投与量および時間において、有効な量である。この量は、対象の性別、年齢、体重などを含む(しかし、これらに限定されない)さまざまな因子にしたがって変動し得る。
【0057】
少なくとも1つの治療遺伝子をコードしているDNA配列は、適当なプロモーターの制御下にある。使用され得る適当なプロモーターには、アデノウイルスプロモーター、例えばアデノウイルス主要後期プロモーター;または異種性プロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター;ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター;誘導可能なプロモーター、例えばMMTプロモーター、メタロチオネインプロモーター;熱ショックプロモーター;アルブミンプロモーター;およびApoAIプロモーターを含むが、これらに限定されない。好ましい実施態様において、本発明のプロモーターはE2F−応答性プロモーター、特にE2F−1プロモーターである。本発明の1つの実施態様において、E2FプロモーターはE1a遺伝子に作動可能に連結している。
【0058】
E2Fプロモーターに加えて、下記の腫瘍選択的プロモーターが、好ましくは、本発明に含まれる:オステオカルシン、L−プラスチン、CEA、AVP、c−myc、テロメラーゼ、skp−2、psma、サイクリンA、およびcdc25プロモーター。しかしながら、本発明の範囲は、特異的な外来遺伝子またはプロモーターに限定されないことが理解されるべきである。特定のプロモーターおよびエンハンサーの選択は、どのタイプの細胞を使用して目的のタンパク質を発現させるかに依存する。いくつかの真核細胞プロモーターおよびエンハンサーは、広い宿主範囲を有する。一方、他のものは、限定されたサブセットの細胞タイプにおいて機能的である。
【0059】
本発明のウイルスベクターは、例えば、送達された遺伝子を発現しそしてそれらの個々の機能を研究するために、真核生物の細胞に遺伝子を送達するのに有用である。好ましくは、細胞は哺乳動物細胞である。さらに好ましくは、哺乳動物細胞は、霊長類の細胞である。最も好ましくは、霊長類の細胞はヒト細胞である。ウイルスベクターは、また、動物モデルにおける細胞形質導入および遺伝子発現の研究において有用である。
【0060】
ウイルスベクターは、また、遺伝子治療に有用である。特に、本発明のウイルスベクターにより送達された遺伝子の発現は、疾患の予防または治療のために、あらかじめ決められた方法でトランスフェクトされた細胞の性質を改変するのに有用である。
【0061】
したがって、さらなる観点において、本発明は、また、本発明のベクター構築物でトランスフェクトされた真核生物細胞を提供する。好ましくは、細胞は哺乳動物細胞である。さらに好ましくは、哺乳動物細胞は、霊長類の細胞である。さらに好ましくは、霊長類の細胞はヒト細胞である。
【0062】
本明細書において使用される「トランスフェクション」なる用語は、真核生物の細胞への外来DNAの導入を意味する。トランスフェクションは、リン酸カルシウム−DNA共沈澱法、DEAE−デキストラン−介在性トランスフェクション、ポリブレン−介在性トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポソーム融合法、リポフェクション、プロトプラスト融合法、遺伝子銃、およびウイルス感染法を含む当分野で既知のさまざまな方法により達成され得る。
【0063】
本発明のベクター構築物によりトランスフェクト/感染され得る細胞には、初代培養細胞(primary cell)、例えば初代有核血液細胞、例えば白血球、顆粒球、単球、マクロファージ、リンパ球(T−リンパ球およびB−リンパ球を含む)、全能性幹細胞、および腫瘍湿潤リンパ球(TIL細胞);骨髄細胞;活性化された内皮細胞を含む内皮細胞;上皮細胞;ケラチノサイト;幹細胞;肝細胞前駆細胞を含む肝細胞;繊維芽細胞;間葉細胞;中皮細胞;実質細胞;血管平滑筋細胞;脳細胞および他の神経細胞;腸細胞(gut enterocyte);腸幹細胞;筋芽細胞を含むが、これらに限定されない。さらに感染し得る細胞には、前立腺癌、乳癌、膵臓癌、肺癌(小細胞性肺癌および非小細胞性肺癌の両方を含む)、結腸癌、および肝臓癌を含む(しかし、これらに限定されない)初代および転移性癌細胞が含まれ得る。
【0064】
細胞は、単一の実在物(single entity)として存在するか、または、細胞のより大きなコレクションの一部であり得る。このような「細胞のより大きなコレクション」は、例えば、細胞培養物(混合物または純品のいずれか)、組織、例えば新生物(良性または悪性)組織のような上皮または他の組織、器官(例えば、心臓、肺、肝臓および他の器官)、器官系(例えば、循環器系、呼吸器系、胃腸系、または他の器官系)、または生物(例えば、鳥、哺乳動物、など)を含み得る。1つの実施態様において、標的にされる細胞は、循環器系(例えば、心臓、血管および血液を含むが、これらに限定されない。)、呼吸器系(例えば、鼻、咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支、肺、など)、または胃腸系(例えば、口、咽頭、食道、胃、腸、唾液腺、膵臓、肝臓、胆嚢、およびその他のものを含む。)のものである。好適な実施態様において、新生物組織(すなわち、「腫瘍組織」)の細胞は、本発明の標的分子/アデノウイルス粒子複合体で標的化される。
【0065】
実施例
ここで、下記の実施例に関して本発明を記載する;しかしながら、本発明の範囲を、それによって限定することを意図するものではないことを理解すべきである。
【0066】
実施例1:複製選択的アデノウイルスAr6F、Ar6pAFおよびAr6pAE2fFの構築および分子的特徴化
E1a遺伝子の非特異的活性化を最小化すると期待される2つのアデノウイルス・バックボーンを開発した。Ar6Fアデノウイルスベクターは、干渉性ヌクレオチドを欠失し(Ad5配列中のヌクレオチド104〜551、GenBank受入番号M73260)そしてマルチクローニング部位で置換された、E1aコード領域に直接結合した左側ITRを含む(図4)。Ar6pAFアデノウイルスベクターは、左ITRとE1aコード領域との間に挿入された145ヌクレオチドのSV−40初期ポリ(A)シグナルを含むもの以外のAr6Fと同一である(図5)。これらのベクターの両方において、左ITRの近くに通常存在するパッケージング・シグナルは右ITRへと移動する(図3、パネルB)。これは、右ITRを、左ITRおよびパッケージング・シグナルを含むAd5の最初の392bpの逆相補的配列で置換することにより行われた。最後に、アデノウイルスベクターAr6pAE2fFを作製するために、腫瘍選択的プロモーターE2F−1を、SV−40初期ポリ(A)シグナルとAr6pAFに存在するE1aコード領域との間に挿入した(図3、パネルA)。
【0067】
ITR、ポリ(A)、E2F−1プロモーターおよびE1a遺伝子を含むAr6pAE2fFアデノウイルスベクターの最初の1802ヌクレオチドを、DNA配列決定により確認した。さらに、パッケージング・シグナルおよび右ITRを含むベクターの右端の最後の531ヌクレオチドを、シーケンシングにより確認した(図3)。
【0068】
これらの修飾を含むアデノウイルスゲノムを、細菌性プラスミドにおける常法によりクローン化した。E.coliにおける相同組換えを、完全長感染性ウイルスゲノムを含むプラスミドを作製するためにAdゲノムのフラグメントを含むこれらの細菌性シャトルプラスミドの間で行った(He et al., 1998. A simplified system for generating recombinant adenoviruses. PNAS 95, 2509-2514)。完全長アデノウイルスゲノムを含むこれらのプラスミドを、細菌性プラスミド配列からアデノウイルスゲノムDNAを遊離させるための制限酵素を用いて線状化した。次いで、アデノウイルスDNAを、LipofectaAMINE−PLUS試薬システム(Life Technologies, Rockville, MD)を用いて、補足的細胞株(complimenting cell line)AE1−2a(Gorziglia et al., 1996. Elimination of both E1 and E2a from adenovirus vectors further improves prospects for in vivo human gene therapy. J. Virol 6, 4173-4178)へとトランスフェクトした。細胞を、37℃で約5〜7日間インキュベートした。アデノウイルスを、記載の通りCsClグラジエントにより増幅および精製した(Jakubczak et al., 2001 Adenovirus type 5 viral particles pseudotyped with mutagenized fiber proteins show diminished infectivity of coxsackie B-Adenovirus receptor-bearing cells. J. Virol. 75: 2972-2981)。ウイルス粒子の濃度を、分光光度的分析により測定した(Mittereder et al., 1996. Evaluation of the concentration and bioacitivity of adenovirus vectors for gene therapy. J Virol 70, 7498-7509)。
【0069】
1.2 ウイルスDNA分離およびサザン分析
DNAを、記載の通り、CsCl−精製ウイルス製造から単離した(Puregene Kit, Gentra)。ウイルスDNAを、示した制限酵素で消化し、そしてエチジウムブロマイドを含む1%アガロース/TAEゲルで解析した。1μgの各DNAサンプルの総計を、ClaI、XbaI、HpaI、SalIおよびBamHIで消化し、そして標準的手順にしたがってサザン解析に付した。プローブは、ランダムオリゴヌクレオチドプライミングにより作製され、そしてE2F−1を含む。
【0070】
図6は、Ar6pAFおよびAr6pAE2fFベクターのクローニングおよび構造を要約したものである。Ar6pAE2fFベクターの研究用ロットのDNA構造は、サザン解析により確認された。予想される左DNA領域フラグメントは、5つの独立した制限エンドヌクレアーゼを用いて得られた。E2FプロモーターDNAプローブを用いるサザンブロット解析により、すべての制限エンドヌクレアーゼの予想されるハイブリダイゼーションパターンが例証された。したがって、これらの結果により、正しい位置においてE2F−1プロモーターの存在が確認され、ウイルスDNAの完全性が立証された。
【0071】
1.3 PER.C6細胞中のAr6pAE2fFベクターの限界希釈クローニング(Limiting Dilution Cloning)
Ar6pAE2fFベクターのシード用ロットを、さらなる評価のために作製した。ウイルスの純粋なシード用ロットを得るために、単一のウイルス粒子由来のクローンを単離することが必要である。Ar6pAE2fFウイルスのクローニングは、下記のウイルス限界希釈を通して達成された。
【0072】
PER.C6細胞の10の96ウェルプレート(Fallaux et al., 1998. New helper cells and matched early region 1-deleted adenovirus vectors prevent generation of replication-competent adenoviruses. Human. Gene Ther 9, 1909-1917)を、0.04ml容積/ウェル中に5×103細胞/ウェルで培養した。PER.C6細胞を、10%FBSおよび10mM MgCl2を添加したDMEM中で成長させた。1×10−2粒子/μlを含む10μlのAr6pAE2fFを各ウェルに加え、0.1粒子/ウェルの最終感染を得た。感染した細胞を37℃および5%CO2にて4時間インキュベートし、その後、150μlの培地を加えた。ウイルス感染細胞を、37℃および5%CO2にて12日間インキュベートし、続いて、CPEに関して点数を記録した。PER.C6細胞からの0.1粒子/細胞クローン7〜9を、13日目(day 13)に回収した。3つのクローン7〜9はCPEを示し、そして5回冷凍解凍し、6ウェル皿中で培養されたPER.C6細胞上で増殖させた。3日目に、CVLをクローン7〜9から調製し、、そしてクローン7を、さらに、PER.C6細胞のT150中で増殖させた。Ar6pAE2fFクローン7T150を、感染後2日に回収した。この日に、細胞は完全CPEに達していた。CVLを5回冷凍解凍し、そして細胞細片を遠心分離で除いた。PER.C6細胞のT75フラスコを培養し、そして0.5mlの上記のCVLで感染させた。
【0073】
0.1粒子/細胞で感染させた960ウェルのうち、3つのウェルがCPEを示した。これら3つのクローンは、予想されたクローンの理論的数値の範囲内である。統計学的には、10のプレートのうち4つのウエルのみがCPEを示すはずである。これは、粒子:pfu比を25と仮定した場合、1より多い感染性粒子/ウェルが存在する1:2500の確率を与える。これら3つのクローンをPER.C6細胞中で増幅し、そしてクローン7のゲノムは、HpaI、XhoIおよびXbaI制限エンドヌクレアーゼを用いて解析した場合、予想されたサイズのDNAフラグメントを示した。
【0074】
1.4 配列解析
5'末端の最初の1802ヌクレオチドならびにプラスミドpDL6pAE2fおよびAr6pAE2fFクローン7の33881〜34412塩基対からの最後の3'末端のヌクレオチドを、直接的に配列決定した。
【0075】
DNA配列決定により確認された追加的シードロット中の領域。
【表1.1】 【表1.2】 【表1.3】 【0076】
DNA配列決定により確認されたシードロット#TCA254からのAr6pAE2fFの領域。最初の1802ヌクレオチド中の領域は、示した通り、ITR(ヌクレオチド1〜103)、ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド116〜261)、ヒトE2F−1プロモーター(ヌクレオチド283〜555)、E1a遺伝子(ヌクレオチド574〜1647)およびE1b遺伝子の一部(ヌクレオチド1648〜1802)である。最後の531ヌクレオチド中の領域は、PacI制限部位(ヌクレオチド33967〜33974)(下線部)、パッケージング・シグナル(ヌクレオチド34020〜34217)およびITR(34310〜34412)である。
【0077】
実施例2:FACSによるE1a発現の特徴化
エンハンサーエレメントの欠失およびポリAシグナルの挿入が効率的な転写終結に充分であり得るかどうかを調べるために、定量的E1a FACSアッセイを使用して、非相補的A549細胞バックグラウンド(p16−p53+Rb+)におけるE1a発現を評価した。
【0078】
我々は、細胞あたり10、50、250および1250ウイルス粒子(VPC)の投与量で、Addl327、Addl312、Ar6F、Ar6pAFまたはAr6pAE2fFを感染させた細胞からのE1aの発現を比較した(表1)。E1a発現の最高のレベルは、すべての投与量の範囲で、Addl327で観察された。対照的に、予想されたとおり、E1a欠失変異体Addl312は、E1a発現を示さなかった。本実験において使用された条件下(10〜1250VPC)で、Ar6Fを形質導入した細胞中で検出されるE1aは、Addl327を形質導入したものよりも、約80%〜22%少ない。Ar6pAFを形質導入した細胞におけるE1a発現は、Addl327を感染させた細胞からの発現と比較して、すべての投与量で、約100%〜96%有意に減少した。Ar6pAE2fF腫瘍細胞崩壊性ベクターを感染させた細胞からのE1aの発現は、50VPCの投与量でのAddl327ウイルスと比較して、50%減少した。
【0079】
結論として、Ar6pAFベクターにおけるポリ(A)シグナルの挿入は、A549細胞におけるE1aの発現を減少させた。対照的に、E2F−1プロモーターの挿入はE1aの発現を再確立し、したがって、E1aの発現は、もっぱら、挿入されたプロモーターによるものであることが示される。
【表2】 表1. A549非相補細胞におけるE1aの発現
非相補A549細胞を、10、50、250および1250VPCで、いずれかのベクターに感染させた。E1aの発現を、感染の24時間後にFACSにより測定した。
【0080】
E1a FACSアッセイのためのプロトコール
細胞を、感染の前日に12ウェルプレート中で培養した。翌日に、培地を細胞から吸引し、細胞あたりの粒子数に基づくウイルス投与製剤を該ウェルに加え、そしてプレートを37℃で4時間揺り動かした。ウイルス/培地を吸引し、1回洗浄し、次いで、完全成長培地で置換し、そして37℃で20時間インキュベートした。細胞をトリプシン−EDTA消化液で回収し、そして70%エタノール中で室温にて20分間固定した。次いで、細胞を1回洗浄し、そしてFACS緩衝液(PBS、3%FBS、0.1%NaN3)中で再懸濁した。まだ結合していない抗−E1a抗体(Calbiochem, Anti-Adenovirus 2E1A, Human (Ab-1))またはマウスIgG2aイソタイプ対照(Sigma M-5409)の1:10希釈液の10μlを加え、室温で30分間インキュベートした。細胞を、FACS緩衝液で1回洗浄した。次いで、GAM PE(Sigma P-9670)の1:40希釈液の50μlを加え、そして室温で30分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、200μlのFACS緩衝液中に再懸濁し、そしてFACSCANで20,000事象が得られた。
【0081】
実施例3:アデノウイルスベクターの毒性
Balb/c SCID雄性マウスにおける急性肝毒性を使用して、異なるレベルのE1a活性を有するアデノウイルスベクターを区別する。血清肝酵素の上昇における充分な相違が、野生型E1a発現を有するベクターと最小限またはE1aを発現しないものとの間で観察される。
【0082】
各群あたり10の動物での研究が計画された。対照群は、HBSSビヒクル単独、陰性対照E1a欠失Addl312およびE1a含有陽性対照Addl327であった。ウイルスを、10ml/kgの容量で、6.25×1011粒子/kgの投与量で尾静脈中に静脈注射した;等価の投与量のHBSS(10mL/kg)をビヒクル対照群に注射した。動物に、実験1日目に注射し、実験4日目に各群の半分を中間屠殺し、そして実験15日目に残りの動物を最終屠殺した。実験4および15日目に、すべてのマウスから血清を回収し、そして屠殺群の動物(5/群)から肝臓を除去した。さらに、実験−3、1、3、4、8および15日目に、生存しているすべてのマウスの体重を測定した。
【0083】
バックボーンAr6F、Ar6PAF中のE1a含有アデノウイルスベクターの急性毒性はを比較した。ウイルスは、実施例1において記載したように製造される。体重変化(図7、構築物のマップ、図8参照)および血清ALTおよびASTレベル(表2)に基づいて、Ar6Fの肝毒性はAr6pAFよりも高かった。
表2
【表3】 *Ar6Fに対する有意差(p<0.05)
【0084】
本明細書において引用されたすべての特許、刊行物(公開特許公報を含む)およびデータベースのアクセス番号は、これらのそれぞれの特許、刊行物およびデータベース番号が具体的かつ個別的に引用によりその全体が本明細書に取り込まれていると記載されているのと同様に、引用によりその全体を本明細書の一部とする。
Claims (40)
- 少なくとも1つの干渉性遺伝エレメントを有し、かつ、少なくとも1つの転写ユニットを含んでなるウイルスベクターであって、少なくとも1つの遮断配列が該転写ユニットの転写開始部位の5'側であって、かつ、該干渉性遺伝エレメントの3'側に位置する、ウイルスベクター。
- 遮断配列が該転写ユニットの転写開始部位の5'側の3000ヌクレオチド以下に存在する、請求項1に記載のウイルスベクター。
- 転写ユニットがウイルスベクターの5'末端からの最初の転写ユニットである、請求項1に記載のウイルスベクター。
- 遮断配列が終結シグナル配列である、請求項1に記載のウイルスベクター。
- 終結シグナルがポリアデニル化シグナル配列である、請求項4に記載のウイルスベクター。
- ポリアデニル化シグナル配列がSV40後期ポリアデニル化シグナル配列である、請求項5に記載のウイルスベクター。
- ポリアデニル化シグナル配列がSV40初期ポリアデニル化シグナル配列である、請求項5に記載のウイルスベクター。
- 治療遺伝子をさらに含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
- 請求項1に記載のウイルスベクターを含む、ウイルスベクター粒子。
- 請求項9に記載のウイルスベクター粒子で感染させた真核生物細胞。
- アデノウイルスベクターである、請求項1に記載のベクター。
- ベクター構築物がアデノウイルス5'ITR、アデノウイルス3'ITRおよびアデノウイルス・パッケージング・シグナルを含む、請求項11に記載のアデノウイルスベクター。
- 干渉性遺伝エレメントが5'ITR内に位置する、請求項11に記載のアデノウイルスベクター。
- 干渉性遺伝エレメントが、+1のE1a転写開始部位に対して、−141〜−305の間に位置する、請求項11に記載のアデノウイルスベクター。
- 終結シグナル配列の5'側の欠失をさらに含む、請求項11に記載のアデノウイルスベクター。
- パッケージング・シグナルが非機能的になるように、終結シグナル配列の5'側のパッケージング・シグナルにおいて欠失を含む、請求項15に記載のアデノウイルスベクター。
- 欠失が少なくともヌクレオチド189〜551にわたる、終結シグナル配列の5'側の欠失を含む、請求項15に記載のアデノウイルスベクター。
- 欠失が少なくともヌクレオチド103〜551にわたる、終結シグナル配列の5'側の欠失を含む、請求項17に記載のアデノウイルスベクター。
- パッケージング・シグナルが終結シグナル配列の3'側に位置する、請求項11に記載のアデノウイルスベクター。
- 転写ユニットが複製に必須の遺伝子を含む、請求項11に記載のアデノウイルスベクター。
- 複製に必須の遺伝子が、E1a、E1b、E2およびE4コード配列からなる群から選択される、請求項20に記載のアデノウイルスベクター。
- 複製に必須の遺伝子が、E1aおよびE1bコード配列からなる群から選択される、請求項21に記載のアデノウイルスベクター。
- 組織特異的転写調節配列が、複製に必須の遺伝子に作動可能に結合している、請求項20に記載のアデノウイルスベクター。
- 組織特異的転写調節配列がプロモーターまたはエンハンサーである、請求項23に記載のアデノウイルスベクター。
- プロモーターが、E2F、CEA、MUC1/DF3、α−フェトタンパク質、erb−B2、界面活性剤、チロシナーゼ、PSA、TK、p21、hTERT、hKLK2、プロバシンおよびサイクリン遺伝子由来プロモーターからなる群から選択される、請求項24に記載のアデノウイルスベクター。
- エンハンサーがDF3、乳癌特異的エンハンサー、ウイルスエンハンサー、およびステロイド受容体エンハンサーからなる群から選択される、請求項24に記載のアデノウイルスベクター。
- E3領域においてさらに欠失を含む、請求項11に記載のアデノウイルスベクター。
- 治療遺伝子をさらに含む、請求項11に記載のアデノウイルスベクター。
- 請求項11に記載のアデノウイルスベクターを含むアデノウイルスベクター粒子。
- 請求項29に記載のアデノウイルスベクター粒子で感染させた真核生物細胞。
- 転写ユニットとの関係で、エンハンサーまたはプロモーター活性を示す干渉性遺伝エレメントに起因するウイルスベクター内の転写ユニットの転写レベルを減少させる方法であって、適当な遮断配列を同定する工程、および該転写ユニットの転写開始部位の5'側に該遮断配列を該ウイルスベクターへと挿入する工程を含んでなる方法。
- 遮断配列が該転写ユニットの転写開始部位の5'側の3000ヌクレオチド以下に存在する、請求項31に記載の方法。
- 遮断配列が終結シグナル配列である、請求項31に記載の方法。
- 終結シグナル配列がポリアデニル化シグナル配列である、請求項33に記載の方法。
- ポリアデニル化シグナル配列がSV40後期ポリアデニル化シグナル配列である、請求項34に記載の方法。
- ポリアデニル化シグナル配列がSV40初期ポリアデニル化シグナル配列である、請求項34に記載の方法。
- ベクター構築物がさらに治療遺伝子を含む、請求項31に記載の方法。
- 治療遺伝子をさらに含む、請求項20、21または22のいずれかに記載のアデノウイルスベクター。
- 治療遺伝子がサイトカインである、請求項38に記載のアデノウイルスベクター。
- サイトカインがGM−CSFである、請求項39に記載のアデノウイルスベクター。
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