JPWO2012117614A1 - 情報取得装置及びその情報取得装置を有する物体検出装置 - Google Patents
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Abstract
レーザ光の波長の変化により、回折光学素子によって生成されるレーザ光のドットパターンが変化する場合においても、検出対象物体までの距離を適正に検出し得る情報取得装置およびこれを搭載する物体検出装置を提供する。情報取得装置(1)は、基準テンプレートTPのセグメント領域S1が、実測時に、S1’の位置に変位すると、その変位量Diに応じて、基準テンプレートTPの最上段の探索ラインL1をL1’にオフセットさせる。同様に、探索ラインLa、LnをそれぞれLa’、Ln’にオフセットさせる。オフセットの量は、中心Oから上下に離れるに従って大きくなるように設定される。情報取得装置(1)は、変位量Diと、各探索ラインのオフセットパターンとを対応付けてオフセットテーブルOtを保持する。
Description
本発明は、目標領域に光を投射したときの反射光の状態に基づいて目標領域内の物体を検出する物体検出装置およびこれに用い好適な情報取得装置に関する。
従来、光を用いた物体検出装置が種々の分野で開発されている。いわゆる距離画像センサを用いた物体検出装置では、2次元平面上の平面的な画像のみならず、検出対象物体の奥行き方向の形状や動きを検出することができる。かかる物体検出装置では、レーザ光源やLED(Light Emitting Diode)から、予め決められた波長帯域の光が目標領域に投射され、その反射光がCMOSイメージセンサ等の受光素子により受光される。距離画像センサとして、種々のタイプのものが知られている。
所定のドットパターンを持つレーザ光を目標領域に照射するタイプの距離画像センサでは、目標領域から反射されたドットパターンをイメージセンサで受光し、イメージセンサ上におけるドットパターンの受光位置に基づいて、三角測量法を用いて、検出対象物体の各部までの距離が検出される(たとえば、非特許文献1)。
この方式では、たとえば、レーザ光の照射部から所定の距離の位置に反射平面が配置された状態で、ドットパターンを持つレーザ光が出射され、そのときにイメージセンサ上に照射されたレーザ光のドットパターンがテンプレートとして保持される。そして、実測時にイメージセンサ上に照射されたレーザ光のドットパターンとテンプレートに保持されたドットパターンとが照合され、テンプレート上のドットパターンのセグメント領域が実測時のドットパターン上のどの位置に移動したかが検出される。この移動量に基づいて、各セグメント領域に対応する目標領域の各部までの距離が算出される。
第19回日本ロボット学会学術講演会(2001年9月18−20日)予稿集、P1279−1280
上記物体検出装置では、ドットパターンのレーザ光を生成するために回折光学素子が用いられる。回折光学素子の光学的特性は、レーザ光の波長に依存する。他方、レーザ光の波長は、光源の温度変化等に応じて変化し易い。このため、温度変化等によってレーザ光の波長が変化すると、これに応じて、レーザ光のドットパターンが変化する。しかし、このようにドットパターンが変化すると、実測時のドットパターンとテンプレートに保持されたドットパターンとの照合が適正に行われなくなる。その結果、検出対象物体に対する距離の検出精度が低下する。
この場合、レーザ光の波長が変わらないよう、レーザ光源の温度を調整する構成が取られ得る。しかし、こうすると、温度調整用にペルチェ素子等が必要となり、コストの上昇を招く。
本発明は、かかる問題を解消するためになされたものであり、レーザ光の波長の変化により、回折光学素子によって生成されるレーザ光のドットパターンが変化する場合においても、検出対象物体までの距離を適正に検出し得る情報取得装置およびこれを搭載する物体検出装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、光を用いて目標領域の情報を取得する情報取得装置に関する。この態様に係る情報取得装置は、所定波長帯域の光を出射する光源と、前記光を所定のドットパターンにて前記目標領域に照射する回折光学素子と、前記目標領域から反射された反射光を受光して信号を出力する受光素子と、前記受光素子によって受光される前記光の基準パターンに複数のセグメント領域を設定した基準テンプレートを保持する記憶部と、前記受光素子によって受光された前記光の実測パターンから前記セグメント領域に対応する対応領域を探索し、探索した前記対応領域の位置に基づいて、前記目標領域に存在する物体の3次元情報を取得する情報取得部と、前記基準パターンの設定領域に対する前記実測パターンの受光領域の広がり具合の変化を検出する広がり検出部と、を備える。前記情報取得部は、前記光源と前記受光素子の並び方向に平行な探索ラインに沿って、前記実測パターンに対する前記対応領域の探索を実行し、前記広がり検出部によって検出される前記広がり具合の前記変化に応じて、前記各セグメント領域に対する前記探索ラインを、前記変化がないときの基準位置から、前記並び方向に垂直な方向に変位させる。
本発明の第2の態様は、物体検出装置に関する。この態様に係る物体検出装置は、上記第1の態様に係る情報取得装置を備える。
本発明によれば、レーザ光の波長の変化により、回折光学素子によって生成されるレーザ光のドットパターンが変化する場合においても、検出対象物体までの距離を適正に検出し得る情報取得装置およびこれを搭載する物体検出装置を提供することができる。
本発明の特徴は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。本実施の形態は、所定のドットパターンを持つレーザ光を目標領域に照射するタイプの情報取得装置に本発明を適用したものである。
まず、図1に本実施の形態に係る物体検出装置の概略構成を示す。図示の如く、物体検出装置は、情報取得装置1と、情報処理装置2とを備えている。テレビ3は、情報処理装置2からの信号によって制御される。
情報取得装置1は、目標領域全体に赤外光を投射し、その反射光をCMOSイメージセンサにて受光することにより、目標領域にある物体各部の距離(以下、「3次元距離情報」という)を取得する。取得された3次元距離情報は、ケーブル4を介して情報処理装置2に送られる。
情報処理装置2は、たとえば、テレビ制御用のコントローラやゲーム機、パーソナルコンピュータ等である。情報処理装置2は、情報取得装置1から受信した3次元距離情報に基づき、目標領域における物体を検出し、検出結果に基づきテレビ3を制御する。
たとえば、情報処理装置2は、受信した3次元距離情報に基づき人を検出するとともに、3次元距離情報の変化から、その人の動きを検出する。たとえば、情報処理装置2がテレビ制御用のコントローラである場合、情報処理装置2には、受信した3次元距離情報からその人のジェスチャを検出するとともに、ジェスチャに応じてテレビ3に制御信号を出力するアプリケーションプログラムがインストールされている。この場合、ユーザは、テレビ3を見ながら所定のジェスチャをすることにより、チャンネル切り替えやボリュームのUp/Down等、所定の機能をテレビ3に実行させることができる。
また、たとえば、情報処理装置2がゲーム機である場合、情報処理装置2には、受信した3次元距離情報からその人の動きを検出するとともに、検出した動きに応じてテレビ画面上のキャラクタを動作させ、ゲームの対戦状況を変化させるアプリケーションプログラムがインストールされている。この場合、ユーザは、テレビ3を見ながら所定の動きをすることにより、自身がテレビ画面上のキャラクタとしてゲームの対戦を行う臨場感を味わうことができる。
図2は、情報取得装置1と情報処理装置2の構成を示す図である。
情報取得装置1は、光学系として、投射光学系11と受光光学系12とを備えている。投射光学系11と受光光学系12は、X軸方向に並ぶように、情報取得装置1に配置される。
投射光学系11は、レーザ光源111と、コリメータレンズ112と、アパーチャ113と、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)114、温度センサ115とを備えている。また、受光光学系12は、アパーチャ121と、撮像レンズ122と、フィルタ123と、CMOSイメージセンサ124とを備えている。この他、情報取得装置1は、回路部の構成として、CPU(Central Processing Unit)21と、レーザ駆動回路22と、撮像信号処理回路23と、入出力回路24と、メモリ25を備えている。
レーザ光源111は、波長830nm程度の狭波長帯域のレーザ光を出力する。コリメータレンズ112は、レーザ光源111から出射されたレーザ光を平行光に変換する。アパーチャ113は、レーザ光の光束断面を所定の形状に調整する。
DOE114は、入射面に回折パターンを有する。この回折パターンによる回折作用により、アパーチャ113からDOE114に入射したレーザ光は、ドットパターンのレーザ光に変換されて、目標領域に照射される。回折パターンは、たとえば、ステップ型の回折ホログラムが所定のパターンで形成された構造とされる。回折ホログラムは、コリメータレンズ112により平行光とされたレーザ光をドットパターンのレーザ光に変換するよう、パターンとピッチが調整されている。
DOE114は、コリメータレンズ112から入射されたレーザ光を、放射状に広がるドットパターンのレーザ光として、目標領域に照射する。DOE114は、一つの光学素子からなり、回折パターンを持つ面を一つだけ備える。
温度センサ115は、レーザ光源111の周囲の温度を検出する。
目標領域から反射されたレーザ光は、アパーチャ121を介して撮像レンズ122に入射する。アパーチャ121は、撮像レンズ122のFナンバーに合うように、外部からの光に絞りを掛ける。撮像レンズ122は、アパーチャ121を介して入射された光をCMOSイメージセンサ124上に集光する。
フィルタ123は、レーザ光源111の出射波長(830nm程度)を含む波長帯域の光を透過し、可視光の波長帯域をカットするバンドパスフィルタである。CMOSイメージセンサ124は、撮像レンズ122にて集光された光を受光して、画素毎に、受光光量に応じた信号(電荷)を撮像信号処理回路23に出力する。ここで、CMOSイメージセンサ124は、各画素における受光から高レスポンスでその画素の信号(電荷)を撮像信号処理回路23に出力できるよう、信号の出力速度が高速化されている。
CPU21は、メモリ25に格納された制御プログラムに従って各部を制御する。かかる制御プログラムによって、CPU21には、レーザ光源111を制御するためのレーザ制御部21aと、後述する更新部21bと、3次元距離情報を生成するための3次元距離演算部21cの機能が付与される。
レーザ駆動回路22は、CPU21からの制御信号に応じてレーザ光源111を駆動する。撮像信号処理回路23は、CMOSイメージセンサ124を制御して、CMOSイメージセンサ124で生成された各画素の信号(電荷)をライン毎に順次取り込む。そして、取り込んだ信号を順次CPU21に出力する。CPU21は、撮像信号処理回路23から供給される信号(撮像信号)をもとに、情報取得装置1から検出対象物の各部までの距離を、3次元距離演算部21cによる処理によって算出する。入出力回路24は、情報処理装置2とのデータ通信を制御する。
情報処理装置2は、CPU31と、入出力回路32と、メモリ33を備えている。なお、情報処理装置2には、同図に示す構成の他、テレビ3との通信を行うための構成や、CD−ROM等の外部メモリに格納された情報を読み取ってメモリ33にインストールするためのドライブ装置等が配されるが、便宜上、これら周辺回路の構成は図示省略されている。
CPU31は、メモリ33に格納された制御プログラム(アプリケーションプログラム)に従って各部を制御する。かかる制御プログラムによって、CPU31には、画像中の物体を検出するための物体検出部31aの機能が付与される。かかる制御プログラムは、たとえば、図示しないドライブ装置によってCD−ROMから読み取られ、メモリ33にインストールされる。
たとえば、制御プログラムがゲームプログラムである場合、物体検出部31aは、情報取得装置1から供給される3次元距離情報から画像中の人およびその動きを検出する。そして、検出された動きに応じてテレビ画面上のキャラクタを動作させるための処理が制御プログラムにより実行される。
また、制御プログラムがテレビ3の機能を制御するためのプログラムである場合、物体検出部31aは、情報取得装置1から供給される3次元距離情報から画像中の人およびその動き(ジェスチャ)を検出する。そして、検出された動き(ジェスチャ)に応じて、テレビ3の機能(チャンネル切り替えやボリューム調整、等)を制御するための処理が制御プログラムにより実行される。
入出力回路32は、情報取得装置1とのデータ通信を制御する。
図3(a)は、目標領域に対するレーザ光の照射状態を模式的に示す図、図3(b)は、CMOSイメージセンサ124におけるレーザ光の受光状態を模式的に示す図である。なお、同図(b)には、便宜上、目標領域に平坦な面(スクリーン)が存在するときの受光状態が示されている。
投射光学系11からは、ドットパターンを持ったレーザ光(以下、このパターンを持つレーザ光の全体を「DP光」という)が、目標領域に照射される。同図(a)には、DP光の光束領域が実線の枠によって示されている。DP光の光束中には、DOE114による回折作用によってレーザ光の強度が高められたドット領域(以下、単に「ドット」という)が、DOE114による回折作用によるドットパターンに従って点在している。
なお、図3(a)では、便宜上、DP光の光束が、マトリックス状に並ぶ複数のセグメント領域に区分されている。各セグメント領域には、ドットが固有のパターンで点在している。一つのセグメント領域におけるドットの点在パターンは、他の全てのセグメント領域におけるドットの点在パターンと相違する。これにより、各セグメント領域は、ドットの点在パターンをもって、他の全てのセグメント領域から区別可能となっている。
目標領域に平坦な面(スクリーン)が存在すると、これにより反射されたDP光の各セグメント領域は、同図(b)のように、CMOSイメージセンサ124上においてマトリックス状に分布する。たとえば、同図(a)に示す目標領域上におけるセグメント領域S0の光は、CMOSイメージセンサ124上では、同図(b)に示すセグメント領域Spに入射する。なお、図3(b)においても、DP光の光束領域が実線の枠によって示され、便宜上、DP光の光束が、マトリックス状に並ぶ複数のセグメント領域に区分されている。
上記3次元距離演算部21cでは、CMOSイメージセンサ124上における各セグメント領域の位置が検出され、検出された各セグメント領域の位置から、三角測量法に基づいて、検出対象物体の各セグメント領域に対応する位置までの距離が検出される。かかる検出手法の詳細は、たとえば、上記非特許文献1(第19回日本ロボット学会学術講演会(2001年9月18−20日)予稿集、P1279−1280)に示されている。
図4は、上記距離検出に用いられる基準テンプレートの生成方法を模式的に示す図である。
図4(a)に示すように、基準テンプレートの生成時には、投射光学系11から所定の距離Lsの位置に、Z軸方向に垂直な平坦な反射平面RSが配置される。この状態で、投射光学系11からDP光が所定時間Teだけ出射される。出射されたDP光は、反射平面RSによって反射され、受光光学系12のCMOSイメージセンサ124に入射する。これにより、CMOSイメージセンサ124から、画素毎の電気信号が出力される。出力された画素毎の電気信号の値(画素値)が、図2のメモリ25上に展開される。なお、以下では、便宜上、メモリ25に展開された画素値に代えて、CMOSイメージセンサ124上に照射されたDP光の照射状態をもとに説明を行う。
こうしてメモリ25上に展開された画素値に基づいて、図4(b)に示すように、CMOSイメージセンサ124上におけるDP光の照射領域を規定する基準パターン領域が設定される。さらに、この基準パターン領域が、縦横に区分されてセグメント領域が設定される。上記のように、各セグメント領域には、固有のパターンでドットが点在する。よって、セグメント領域の画素値のパターンは、セグメント領域毎に異なっている。なお、各セグメント領域は、他の全てのセグメント領域と同じサイズである。
基準テンプレートは、このようにCMOSイメージセンサ124上に設定された各セグメント領域に、そのセグメント領域に含まれる各画素の画素値を対応付けて構成される。
具体的には、基準テンプレートは、CMOSイメージセンサ124上における基準パターン領域の位置に関する情報と、基準パターン領域に含まれる全画素の画素値と、基準パターン領域をセグメント領域に分割するための情報を含んでいる。基準パターン領域に含まれる全画素の画素値は、基準パターン領域に含まれるDP光のドットパターンに相応するものになる。また、基準パターン領域に含まれる全画素の画素値のマッピング領域をセグメント領域に区分することで、各セグメント領域に含まれる画素の画素値が取得される。なお、基準テンプレートは、さらに、各セグメント領域に含まれる画素の画素値を、セグメント領域毎に保持していても良い。
こうして構成された基準テンプレートは、図2のメモリ25に、消去不可能な状態で保持される。メモリ25に保持された基準テンプレートは、投射光学系11から検出対象物体の各部までの距離を算出する際に参照される。
たとえば、図4(a)に示すように距離Lsよりも近い位置に物体がある場合、基準パターン上の所定のセグメント領域Snに対応するDP光(DPn)は、物体によって反射され、セグメント領域Snとは異なる領域Sn’に入射する。投射光学系11と受光光学系12はX軸方向に隣り合っているため、セグメント領域Snに対する領域Sn’の変位方向はX軸に平行となる。同図の場合、物体が距離Lsよりも近い位置にあるため、領域Sn’は、セグメント領域Snに対してX軸正方向に変位する。物体が距離Lsよりも遠い位置にあれば、領域Sn’は、セグメント領域Snに対してX軸負方向に変位する。
セグメント領域Snに対する領域Sn’の変位方向と変位量をもとに、投射光学系11からDP光(DPn)が照射された物体の部分までの距離Lrが、距離Lsを用いて、三角測量法に基づき算出される。同様にして、他のセグメント領域に対応する物体の部分について、投射光学系11からの距離が算出される。
かかる距離算出では、基準テンプレートのセグメント領域Snが、実測時においてどの位置に変位したかを検出する必要がある。この検出は、実測時にCMOSイメージセンサ124上に照射されたDP光のドットパターンと、セグメント領域Snに含まれるドットパターンとを照合することによって行われる。
図5は、かかる検出の手法を説明する図である。同図(a)は、CMOSイメージセンサ124上における基準テンプレートTP(基準パターン領域P0)の設定状態を示す図、同図(b)は、実測時におけるセグメント領域の探索方法を示す図、同図(c)は、実測されたDP光のドットパターンと、基準テンプレートTPのセグメント領域に含まれるドットパターンとの照合方法を示す図である。
たとえば、同図(a)のセグメント領域S1の実測時における変位位置を探索する場合、同図(b)に示すように、セグメント領域S1が、CMOSイメージセンサ124上の範囲R1〜R2において、X軸方向に1画素ずつ送られ、各送り位置において、セグメント領域S1のドットパターンと、実測されたDP光のドットパターンのマッチング度合いが求められる。この場合、セグメント領域S1は、基準テンプレート(基準パターン領域P0)の最上段のセグメント領域群を通るラインL1上のみをX軸方向に送られる。これは、上記のように、通常、各セグメント領域は、実測時において、基準パターン領域P0上の位置からX軸方向にのみ変位するためである。すなわち、セグメント領域S1は、最上段のラインL1上にあると考えられるためである。このように、X軸方向にのみ探索を行うことで、探索のための処理負担が軽減される。
なお、実測時には、検出対象物体の位置によっては、セグメント領域が基準テンプレートTPの基準パターン領域P0の範囲からX軸方向にはみ出すことが起こり得る。このため、範囲R1〜R2は、基準パターン領域P0のX軸方向の幅よりも広く設定される。
上記マッチング度合いの検出時には、ラインL1上に、セグメント領域S1と同じサイズの領域(比較領域)が設定され、この比較領域とセグメント領域S1との間の類似度が求められる。すなわち、セグメント領域S1の各画素の画素値と、比較領域の対応する画素の画素値との差分が求められる。そして、求めた差分を比較領域の全ての画素について加算した値Rsadが、類似度を示す値として取得される。
たとえば、図5(c)のように、一つのセグメント領域中に、m列×n行の画素が含まれている場合、セグメント領域のi列、j行の画素の画素値T(i,j)と、比較領域のi列、j行の画素の画素値I(i,j)との差分が求められる。そして、セグメント領域の全ての画素について差分が求められ、その差分の総和により、値Rsadが求められる。すなわち、値Rsadは、次式により算出される。
値Rsadが小さい程、セグメント領域と比較領域との間の類似度が高い。
探索時には、比較領域が、ラインL1上を1画素ずつずらされつつ順次設定される。そして、ラインL1上の全ての比較領域について、値Rsadが求められる。求めた値Rsadの中から、閾値より小さいものが抽出される。閾値より小さい値Rsadが無ければ、セグメント領域S1の探索はエラーとされる。そして、抽出されたRsadの中で最も値が小さいものに対応する比較領域が、セグメント領域S1の移動領域であると判定される。ラインL1上のセグメント領域S1以外のセグメント領域も、上記と同様の探索が行われる。また、他のライン上のセグメント領域も、上記と同様、そのライン上に比較領域が設定されて、探索が行われる。
こうして、実測時に取得されたDP光のドットパターンから、各セグメント領域の変位位置が探索されると、上記のように、その変位位置に基づいて、三角測量法により、各セグメント領域に対応する検出対象物体の部位までの距離が求められる。
ところで、DP光のドットパターンは、DOE114の形状や位置、および、レーザ光源111から出射されるレーザ光の波長に依存して変わり得る。しかしながら、これらの要素は、温度によって変化し易く、また、時間の経過によっても変化し得る。特に、DOE114が樹脂材料により形成された場合には、温度によってDOE114の特性が変わり易い。このようにDOE114の特性が変化し、あるいは、レーザ光の波長が変化すると、これに伴い、ドットパターンが変化する。このようにドットパターンが変化すると、実測時のドットパターンと基準テンプレートに保持されたドットパターンとの照合が適正に行われなくなる。その結果、検出対象物体に対する距離の検出精度が低下する惧れがある。
一般に、回折パターンの回折角θは、以下の式によって求まる。
θ=arcsin(λ/p) …(1)
ここで、λはレーザ光の波長、pは回折パターンのピッチである。この式から、回折角θは、レーザ光の波長λが大きくなるほど大きくなり、回折パターンのピッチpが大きくなるほど小さくなる。
本実施の形態で用いるDOE114は、上記のように、一つの光学素子からなり、回折パターンを持つ面を一つだけ備える。本願の発明者は、このようにDOE114が構成される場合、レーザ光の波長の変化に応じてドットパターンがどのように変化するかを測定した。
図6(a)、(b)は、それぞれ、レーザ光の波長が基準波長から2nmおよび4nm増加したときの測定結果を示す図である。これらの測定では、基準テンプレートとして保持されたドットパターンを平坦な反射平面に照射した。そして、このときにCMOSイメージセンサ124上に照射されたドットパターンと、基準ドットパターンとのマッチングを測定した。マッチングは、図5(b)を参照して説明したように、比較領域を1画素ずつ右方向に移動させながら、セグメント領域と比較領域について上記数1の値Rsadを求め、求めた値Rsadから閾値より小さいものが抽出されたかによって行った。そして、この抽出が行えなかったときに、そのセグメント領域をエラーとした。
なお、比較領域の移動範囲は、対応するセグメント領域のドットが反射平面により反射されたときにCMOSイメージセンサ124に照射されると想定される位置を中心として、左右方向に60画素の範囲とした。
また、図5(a)では、隣り合うセグメント領域が互いに重なることなく区分されたが、この測定では、たとえば、図5(a)のセグメント領域S1の右側の次のセグメント領域は、セグメント領域S1を右に1画素だけずらした領域であり、セグメント領域S1と次のセグメント領域は、互いに重なる領域を持っている。他のセグメント領域も、左右方向の隣のセグメント領域と重なる領域を持っている。同様に、上下に隣り合うセグメント領域も、互いに重なる領域を持っている。
図6(a)の7つの画面は、それぞれ、上記測定によるマッチング結果を示している。基準テンプレートの基準パターン領域のうち、マッチングが取れなかったセグメント領域は白い点で示されている。
図6(a)の中央の画面は、マッチング判定の対象とされるCMOSイメージセンサ124上の領域(以下、「判定対象領域」という)を、通常の領域としたときの測定結果である。中央の画面の左右の画面は、それぞれ、判定対象領域を通常の領域から左方向と右方向に1画素ずつずらしたときの測定結果である。中央の画面の上側の2つの画面は、それぞれ、判定対象領域を通常の領域から上方向に1画素および2画素ずらしたときの測定結果である。中央の画面の下側の2つの画面は、それぞれ、判定対象領域を通常の領域から下方向に1画素および2画素ずらしたときの測定結果である。
図6(a)の中央の画面を参照すると、基準パターン領域の全ての領域について、略マッチングが取れていることが分かる。このことから、レーザ光源111の波長が基準波長から2nm程度変化しても、CMOSイメージセンサ124に照射されるドットパターンは大きく変化しないことが分かる。具体的には、基準パターン領域の全領域において、波長変動による上下方向のドットパターンのズレ量は、マッチングが取られ得る範囲に収まっていると言える。なお、通常、ドットパターンの上下方向のズレ量が1画素未満であれば、マッチングが取られ得る。
図6(a)の中央の画面の直上の画面を参照すると、判定対象領域を1画素上にずらした場合には、基準パターン領域の上下方向の中央の領域と、その下の領域では、マッチングが取れないことが分かる。これは、判定対象領域を中央の画面のときの状態から1画素上にずらしたことにより、これらの領域において、ドットパターンのズレ量が1画素以上になった為であると言える。これに対し、基準パターン領域の上下方向の中央の領域の上の領域では、上側に行くほどマッチングが取れていることが分かる。このことから、この領域では、同図中央の画面の状態においてドットパターンが1画素までの範囲で上にずれていたため、その状態から判定対象領域を上方向に1画素ずらしても、ドットパターンのズレ量が1画素までの範囲に収まっているものと考えられる。この検討から、レーザ光源111の波長が基準波長から2nm長くなると、CMOSイメージセンサ124に照射されるドットパターンは、中央から上に向かう程、上方向にシフトすることが分かる。
図6(a)の最も上側の画面を参照すると、判定対象領域を2画素上にずらした場合には、基準パターン領域の全ての領域において、マッチングが取れないことが分かる。このことから、基準パターン領域の上端部の領域においても、波長変動によるドットパターンのシフト量は、1画素の範囲であることが分かる。
図6(a)の中央の画面の直下の画面を参照すると、判定対象領域を1画素下にずらした場合には、基準パターン領域の上下方向の中央の領域と、その上の領域では、マッチングが取れないことが分かる。これは、判定対象領域を中央の画面のときの状態から1画素下にずらしたことにより、これらの領域において、ドットパターンのズレ量が1画素を超えることになった為であると言える。これに対し、基準パターン領域の上下方向の中央の領域の下の領域では、下側に行くほどマッチングが取れていることが分かる。このことから、この領域では、同図中央の画面の状態においてドットパターンが1画素までの範囲で下にずれていたため、その状態から判定対象領域を下方向に1画素ずらしても、ドットパターンのズレ量が1画素までの範囲に収まっているものと考えられる。この検討から、レーザ光源111の波長が基準波長から2nm長くなると、CMOSイメージセンサ124に照射されるドットパターンは、中央から下に向かう程、下方向にシフトすることが分かる。
図6(a)の最も下側の画面を参照すると、判定対象領域を2画素下にずらした場合には、基準パターン領域の全ての領域において、マッチングが取れないことが分かる。このことから、基準パターン領域の下端部の領域においても、波長変動によるドットパターンのシフト量は、1画素の範囲であることが分かる。
図6(a)の中央の画面の左右の画面を参照すると、判定対象領域を1画素左右にずらしても、基準パターン領域の全ての領域において、マッチングが取れていることが分かる。これは、比較領域を左右方向にずらしながらセグメント領域と比較領域とのマッチング判定が行われるため、波長変動によってドットパターンが左右方向にずれても、また、判定対象領域を左右方向に1画素程度ずらしても、マッチングが取られるためであると考えられる。よって、中央の画面の左右の画面からは、レーザ光源111の波長が基準波長から2nm長くなったことによって、CMOSイメージセンサ124に照射されるドットパターンが左右方向にシフトするか否かは分からない。
次に、図6(b)の中央の画面を参照すると、基準パターン領域の上下方向の中央の領域では、略マッチングが取れており、中央の領域から上下に向かう程、マッチングが取られなくなることが分かる。このことから、レーザ光源111の波長が基準波長から4nm程度変化すると、上下に向かう程、CMOSイメージセンサ124上のドットパターンが上下方向にシフトすることが分かる。また、この画面と、図6(a)の中央の画面とを比較すると、波長変動が大きくなる程、CMOSイメージセンサ124上におけるドットパターンの上下方向のシフト量が大きくなることが分かる。
図6(b)の中央の画面の直上の画面を参照すると、判定対象領域を1画素上にずらした場合には、基準パターン領域の上下方向の中央の領域と、その下の領域では、マッチングが取れないことが分かる。これは、判定対象領域を中央の画面のときの状態から1画素上にずらしたことにより、これらの領域において、ドットパターンのズレ量が1画素を超えることになった為であると言える。これに対し、基準パターン領域の上側の領域では、同図中央の画面ではエラーとなっていたセグメント領域についてマッチングが取れていることが分かる。このことから、この領域では、ドットパターンのずれが、判定対象領域を上方向に1画素ずらすことにより、1画素以上のズレから1画素までのズレに収まったことが分かる。
図6(b)の最も上側の画面を参照すると、最上端の領域では、判定対象領域を2画素上にずらしても、未だマッチングが取れている。この画面と、その直下の画面とを比較すると、上側に向かう程、CMOSイメージセンサ124上におけるドットパターンの上方向のズレ量が大きいことが分かる。
図6(b)の中央の画面の直下の画面を参照すると、判定対象領域を1画素下にずらした場合には、基準パターン領域の上下方向の中央の領域と、その上の領域では、マッチングが取れないことが分かる。これは、判定対象領域を中央の画面のときの状態から1画素下にずらしたことにより、これらの領域において、ドットパターンのズレ量が1画素を超えることになった為であると言える。これに対し、基準パターン領域の上側の領域では、同図中央の画面ではエラーとなっていたセグメント領域についてマッチングが取れていることが分かる。このことから、この領域では、ドットパターンのずれが、判定対象領域を上方向に1画素ずらすことにより、1画素以上のズレから半画素までのズレに収まったことが分かる。
図6(b)の最も下側の画面を参照すると、最下端の領域では、判定対象領域を2画素下にずらしても、未だマッチングが取れている。この画面と、その直上の画面とを比較すると、下側に向かう程、CMOSイメージセンサ124上におけるドットパターンの下方向のズレ量が大きいことが分かる。
以上の測定結果から、次のことが分かる。
(1)波長が大きくなると、CMOSイメージセンサ124上のドットパターンが上下方向にシフトする。
(2)波長変動によるドットパターンのズレ量は、上下に向かう程大きくなる。
上記測定からは、波長変動によるドットパターンの左右方向のずれは直接評価できなかった。しかし、回折パターンの特性上、左右方向にも、上下方向と同様の傾向があるものと考えられる。したがって、次のことも予測できる。
(3)波長が大きくなると、CMOSイメージセンサ124上のドットパターンが左右方向にシフトする。
(4)波長変動によるドットパターンのズレ量は、左右に向かう程大きくなる。
本願の発明者は、さらに、レーザ光源111の波長を変化させながら、CMOSイメージセンサ124上に照射されるドットパターンの挙動を撮影した。この撮影により、CMOSイメージセンサ124上に照射されるドットパターンは、レーザ光源111の波長変動により、ドットパターン領域の中心から放射上にシフトすることが確認された。
図7は、以上の測定結果に基づき、波長によって、基準パターン領域内の各セグメント領域がどのように変位するかを模式的に示す図である。なお、同図(a)〜(d)には、便宜上、一部のセグメント領域のみが示されている。
同図(a)には、波長λ1(基準波長)の場合のセグメント領域S1〜S8が示されている。
同図(b)には、温度の上昇等により、レーザ光の波長が長波長側にシフトし、波長λ2(λ1<λ2)になった場合のセグメント領域S1〜S8が示されている。この場合、図6を参照して説明したように、セグメント領域S1〜S8は、同図(a)の場合に比べ、基準パターン領域の中心から外側に放射状にシフトする。また、基準パターン領域の外周部に近いセグメント領域S1〜S4の変位量ΔDs1〜Ds4は、基準パターン領域の中心部に近いセグメント領域S5〜S8の変位量ΔDs5〜ΔDs8よりも大きくなる。
同図(c)には、さらなる温度の上昇等により、レーザ光の波長がさらに長波長側にシフトし、波長λ3(λ1<λ2<λ3)となった場合のセグメント領域S1〜S8が示されている。この場合、セグメント領域S1〜S8は、同図(b)の場合に比べ、さらに基準パターン領域の外側にシフトする。よって、セグメント領域S1〜S8の変位量ΔDs’1〜ΔDs’8は、同図(b)の場合よりも大きくなる。
このように、DOE114を用いた場合、レーザ光の波長が長波長側にシフトするにしたがって、セグメント領域は、外側にシフトする。さらに、基準パターン領域の外側に近いほどセグメント領域の変位量は大きくなる。また、各セグメント領域は、基準パターン領域の中央を中心として、略対称(放射状)に変位する。
各セグメント領域の変位量は、レーザ光の波長変動に応じたものである。よって、各セグメントのY軸方向の位置は、レーザ光の波長をもとに算出可能である。なお、この特性は、回折パターンが形成された層が単層の1枚のDOEであれば同様に現れ、DOE114の回折パターンによっては異ならない。
本実施の形態では、上記の特性を利用し、実測時に、セグメント領域のY軸方向の変位量を検出し、検出した変位量に応じて、セグメント領域を探索する際の走査ラインをY軸方向にオフセットさせる。具体的には、基準テンプレートTPの所定のセグメント領域(参照セグメント領域)がY軸方向にどの程度変位したかを検出し、この検出結果に応じて、オフセットの方向と量が設定される。
図8は、オフセットの設定方法を示す図である。
たとえば、同図(a)に示すセグメント領域S1を参照セグメント領域とする。この場合、同図(b)のように、実測時に、セグメント領域S1がS1’の位置に変位したとすると、基準テンプレートTPの最上段のセグメント領域の探索ラインL1が上方向にオフセットされ、L1’が探索ラインとされる。また、中心ラインOから1段上のセグメント領域の探索ラインLaが上方向にオフセットされ、La’が探索ラインとされる。同様に、中心ラインOから1段下のセグメント領域の探索ラインLbが下方向にオフセットされてLb’が探索ラインとされ、最上段のセグメント領域の探索ラインLnが下方向にオフセットされてLn’が探索ラインとされる。
各段の探索ラインのオフセット量は、中心ラインから離れた段ほど大きくなる。各段の探索ラインのオフセット量は、セグメント領域S1の変位量から、各段のセグメント領域のY軸方向の変位量を算定し、算定した変位量に合うように設定される。中心ラインから上下に同じ距離だけ離れた段の探索ラインのオフセット量は、互いに等しい。なお、上下に隣り合う複数の段に対して、同じシフト量が設定されても良い。ただし、この場合も、オフセット量は、中心ラインから離れた段ほど大きく設定される。
このように基準テンプレートの各段の探索ラインをシフトさせることにより、実測時にレーザ光に波長変動が生じ、CMOSイメージセンサ124におけるドットパターンの照射領域が変化しても、各セグメント領域に対するマッチングがエラーとなり難くなる。よって、物体検出が円滑に行われるようになる。
図8(c)は、探索ラインのオフセットを設定するために用いられるオフセットテーブルOtを示す図である。かかるオフセットテーブルOtは、予め、メモリ25に格納されている。
オフセットテーブルOtには、参照セグメント領域のY軸方向の変位量(ΔDi)に対応付けて、オフセットパターンが保持される。変位量ΔDiは、参照セグメント領域が、基準テンプレートにて規定された位置(基準位置)からY軸正方向(拡張方向)とY軸負方向(縮小方向)の何れに変位したかを示すために、正負の符号を持っている。この符号が正の場合、参照セグメント領域が基準位置からY軸正方向(拡張方向)に変位し、この符号が負の場合、参照セグメント領域が基準位置からY軸負方向(縮小方向)に変位することが示される。変位量ΔD−1からΔD−nは負の符号を持ち、変位量ΔD1からΔDnは正の符号を持つ。オフセットパターンPiには、対応する変位量ΔDiのときに基準テンプレートTPの各段のセグメント領域に適用される探索ラインのオフセット(オフセットの量と方向)が保持される。
図9は、テンプレート更新時の処理を示す図である。図9の処理は、図2の更新部21bによって行われる。更新部21bは、実測時において、所定の時間間隔で、図9の処理を行う。
図9(a)を参照して、更新部21bは、前回の更新時に温度センサ115から取得した温度(前回温度)と現在温度センサ115により検出された温度(現在温度)との差分が閾値Tsを超えるかを判定する(S101)。なお、情報取得装置1の起動時には、基準テンプレートTPを構成したときの基準温度と現在温度との差分が閾値Tsを超えるかが判定される。
S101の判定がYESであれば、テンプレートの更新が行われる(S103)。S101の判定がNOであれば、直近の実測時におけるセグメント領域の探索において、探索がエラーとなったセグメント領域の全セグメント領域に対する割合が閾値Esを超えるかが判定される。S102の判定がYESであれば、テンプレートの更新が行われ(S103)、NOであれば、テンプレートの更新が終了する。
図9(b)は、図9(a)のS103における更新処理を示すフローチャートである。図9(b)の処理は、メモリ25に予め保持された上記基準テンプレートTPと、実測時に取得されメモリ25に展開されたドットパターンの情報とを参照して行われる。基準テンプレートTPは、上記のように、基準パターン領域P0の位置に関する情報と、基準パターン領域P0に含まれる全画素の画素値と、基準パターン領域P0をセグメント領域に分割するための情報を含んでいる。以下では、説明の便宜上、ドットパターンをベースに、説明行う。
図9(b)を参照して、更新部21bは、まず、実測時のDP光のCMOSイメージセンサ124上のドットパターンから、予め設定された参照セグメント領域の変位位置を探索する(S201)。
本実施の形態では、図10(a)に示す如く、基準テンプレートTPの基準パターン領域P0の最上段のセグメント領域が、参照セグメント領域Sr1〜Srnとして設定されている。これら参照セグメント領域Sr1〜Srnが、図10(b)に示す探索領域MA内のどの位置にあるかが探索される。探索領域MAは、CMOSイメージセンサ124の受光領域のうち、最上段のみを大きく囲う領域をカバーする。また、探索は、参照セグメント領域Sr1〜Srnのそれぞれについて、探索領域MAの全てを照合することにより行われる。すなわち、探索領域MAの最上段に対して探索が行われた後、最上段よりも1画素だけ下にある次の段について探索が行われ、以下同様に、下の段へと探索が行われる。探索は、図5(c)を参照して説明したと同様の方法で行われる。これにより、図10(c)または図10(d)に示すように、最上段の参照セグメント領域Sr1〜SrnのY軸方向の変位量Δd1〜Δdnが取得される。
図9(b)に戻り、S201において、参照セグメント領域Sr1〜SrnのY軸方向の変位量Δd1〜Δdnが取得されると、更新部21bは、取得されたY軸方向の変位量Δd1〜Δdnに基づいて、平均Y軸変位量Δdを算出する(S202)。
なお、図7に示したように、セグメント領域の変位量は、基準パターン領域P0の外側に近いほど、大きくなるため、本実施の形態のように最上段に参照セグメント領域Sr1〜Srnが設定されるか、もしくは、最下段に参照セグメント領域Sr1〜Srnが設定されるのが望ましい。また、参照セグメント領域Sr1〜Srnの変位量は、図10(c)、(d)に示すように、外乱成分等により、誤差を含む可能性があるため、S201、S202にように、所定数の参照セグメント領域のY軸変位量を取得し、これらを平均した値をY軸方向の変位量とするのが望ましい。
次に、更新部21bは、取得した平均Y軸変位量Δdに最も近い変位量ΔDiを、図8(c)に示すオフセットテーブルOtから抽出する(S203)。そして、更新部21bは、抽出した変位量ΔDiに対応するオフセットパターンPiを、実測時に用いるオフセットパターンとして設定する(S204)。
図11は、オフセット処理の例を示す図である。
図11(a)は、図10(b)のS201にて探索された参照セグメント領域Sr1〜Srnの位置が、基準位置からY軸正方向に平均変位量Δdだけ変位した場合を示している。この場合、図10(b)のS204によって、平均変位量Δdに対応するオフセットパターンに応じて、基準パターン領域P0の各段の探索ラインがオフセットされる。
たとえば、図11(b)のように、最上段のセグメント領域は、最上段の位置からオフセット量ΔLO1だけY軸正方向にオフセットされた探索ラインL1’に沿って探索される。また、上からj番目の段のセグメント領域Spjを探索する際には、j番目の段の位置からオフセット量ΔLOjだけY軸正方向にオフセットされた探索ラインLj’に沿って探索される。このオフセット量ΔLOjは、オフセット量ΔLO1よりも、小さい。また、最下段のセグメント領域Spnを探索する際には、最下段の位置からオフセット量ΔLOnだけY軸正方向にオフセットされた探索ラインLn’に沿って探索される。このオフセット量ΔLOnは、オフセット量ΔLO1と同程度の値である。
このように、全ての段の探索ラインがオフセットされ、オフセット後の探索ラインL’1〜L’nに従って、各段の探索が行われる。これにより、波長が変化し、セグメント領域がY軸方向に変位した場合においても、ドットパターンを基準パターン領域P0の各セグメント領域と円滑に照合することができる。
以上、本実施の形態によれば、参照セグメント領域の実測時におけるY軸方向の変位量に基づいて、各セグメント領域の探索ラインがオフセットされるため、レーザ光のドットパターンが、レーザ光の波長変動によって変化しても、適正に、セグメント領域の探索が行われ得る。よって、検出対象物体までの距離を適正に検出することができる。
また、本実施の形態では、参照セグメント領域Sr1〜SrnのY軸方向の変位量に応じて、オフセットパターンを抽出して設定するだけで良いため、レーザ光の波長変動に対応するための処理量を削減することができる。
さらに、本実施の形態では、ベルチェ素子等の温度制御素子により、波長を一定に制御せずとも、適宜、波長変動に応じてオフセットパターンを更新することにより、検出物体までの距離を精度よく測定することができる。よって、物体検出装置のコストダウンと小型化を図ることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、他に種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施の形態では、波長変動が生じた場合に、基準テンプレートTPは変更せずに、基準テンプレートの各段のセグメント領域の探索ラインをオフセットさせるようにしたが、基準テンプレートTPを波長の変化に応じて変化させるようにしても良い。
たとえば、図12(a)のように、参照セグメント領域の変位量ΔDiと更新テンプレートTP’iとを対応付けた更新テーブルTrをメモリ25に保持し、この更新テーブルTrを用いて、実動作時に用いるテンプレートを基準テンプレートTPから更新テンプレートTP’iに切り替えても良い。この場合、更新テンプレートTP’は、基準テンプレートTPの各段のセグメント領域が、変位量ΔDiに応じて上または下(Y軸正負の方向)にシフトするように構成されている。
図12(b)は、本変更例におけるテンプレートの更新処理を示すフローチャートである。この処理は、図9(a)のS103において行われる。
S201〜S203は、図9のS201〜S203と同じである。S210では、S203にて抽出された変位量ΔDiに対応する更新テンプレートTP’iが、実測時に用いるテンプレートとして設定される。
本変更例では、図12(b)のS210にて更新テンプレートTP’iが実測時に用いるテンプレートとして設定されると、更新テンプレートTP’iの各段に対応するラインを探索ラインとして、各段のセグメント領域の探索が行われる。これにより、各段の探索ラインが、基準テンプレートTPを用いる場合の位置(基準位置)から変位される。
本変更例によっても、上記実施の形態と同様、レーザ光のドットパターンが、レーザ光の波長変動によって変化しても、適正に、セグメント領域の探索が行われ得る。よって、検出対象物体までの距離を適正に検出することができる。
また、上記実施の形態では、あらかじめオフセットパターンを変位量ΔDiに対応付けて記憶するようにしたが、参照セグメント領域の変位量から、基準テンプレートの各段のセグメント領域のオフセット量を演算により求めるようにしても良い。
また、上記実施の形態では、基準パターン領域P0からのY軸変位量の測定は、最上ラインのセグメント領域のみについて実施したが、最下ラインや中央のラインについても、あわせてY軸変位量を測定してもよい。これにより、Y軸変位量の検出精度を向上させることができる。なお、Y軸変位量の測定は、1つ以上のセグメント領域であればいくつでもよく、たとえば、左上と右上のセグメント領域のみからY軸変位量を測定してもよい。
また、上記実施の形態では、基準テンプレートTPが一つだけ用意されたが、異なる波長に適するように基準テンプレートTPを複数用意するようにしても良い。この場合、所定の基準テンプレートTPについて、範囲MA(図10(b)参照)における参照セグメント領域Sr1〜Srnの探索を行った結果、参照セグメント領域Sr1〜Srnの探索エラーが閾値を超えて発生したような場合に、他の基準テンプレートTPを用いて参照セグメント領域Sr1〜Srnの探索を行い、探索エラーが閾値以下となった基準テンプレートTPを実測時に用いるようにしても良い。
また、上記実施の形態では、隣り合うセグメント領域が互いに重なることなく区分されたが、所定のセグメント領域と、当該セグメント領域に対し上下左右に隣り合うセグメント領域が、互いに重なる領域を持っていても良い。
また、基準パターン領域の形状は、上記実施の形態のように長方形である他、正方形等、他の形状であっても良い。また、更新パターン領域の形状も適宜変更可能である。
さらに、上記実施の形態では、受光素子として、CMOSイメージセンサ124を用いたが、これに替えて、CCDイメージセンサを用いることもできる。
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
1 情報取得装置
111 レーザ光源(光源)
114 DOE(回折光学素子)
124 CMOSイメージセンサ(受光素子)
21 CPU
21b 更新部(広がり検出部、情報取得部)
21c 3次元距離演算部(情報取得部)
25 メモリ(記憶部)
111 レーザ光源(光源)
114 DOE(回折光学素子)
124 CMOSイメージセンサ(受光素子)
21 CPU
21b 更新部(広がり検出部、情報取得部)
21c 3次元距離演算部(情報取得部)
25 メモリ(記憶部)
Claims (6)
- 光を用いて目標領域の情報を取得する情報取得装置において、
所定波長帯域の光を出射する光源と、
前記光を所定のドットパターンにて前記目標領域に照射する回折光学素子と、
前記目標領域から反射された反射光を受光して信号を出力する受光素子と、
前記受光素子によって受光される前記光の基準パターンに複数のセグメント領域を設定した基準テンプレートを保持する記憶部と、
前記受光素子によって受光された前記光の実測パターンから前記セグメント領域に対応する対応領域を探索し、探索した前記対応領域の位置に基づいて、前記目標領域に存在する物体の3次元情報を取得する情報取得部と、
前記基準パターンの設定領域に対する前記実測パターンの受光領域の広がり具合の変化を検出する広がり検出部と、を備え、
前記情報取得部は、前記光源と前記受光素子の並び方向に平行な探索ラインに沿って、前記実測パターンに対する前記対応領域の探索を実行し、前記広がり検出部によって検出される前記広がり具合の前記変化に応じて、前記各セグメント領域に対する前記探索ラインを、前記変化がないときの基準位置から、前記並び方向に垂直な方向に変位させる、
ことを特徴とする情報取得装置。 - 請求項1に記載の情報取得装置において、
前記情報取得部は、
前記基準パターンの受光領域よりも前記実測パターンの受光領域が広がった場合には、前記各セグメント領域を探索するための前記探索ラインを、前記並び方向に垂直な方向に前記設定領域の中心から離れるように、前記各セグメント領域に対する前記基準位置から変位させ、
前記基準パターンの受光領域よりも前記実測パターンの受光領域が狭くなった場合には、前記各セグメント領域を探索するための前記探索ラインを、前記並び方向に垂直な方向に前記設定領域の中心に近づくように、前記各セグメント領域に対する前記基準位置から変位させる、
ことを特徴とする情報取得装置。 - 請求項2に記載の情報取得装置において、
前記情報取得部は、前記設定領域の中心に近い前記セグメント領域よりも前記設定領域の中心から遠い前記セグメント領域の方が前記基準位置に対する前記探索ラインの変位量を大きく設定する、
ことを特徴とする情報取得装置。 - 請求項1ないし3の何れか一項に記載の情報取得装置において、
前記広がり検出部は、前記設定領域の中心から前記並び方向に垂直な方向に最も離れた前記セグメント領域が前記実測パターンにおいてどの位置にあるかを探索し、当該探索の結果に基づいて、前記基準パターンの前記設定領域に対する前記実測パターンの前記受光領域の前記広がり具合の変化を検出する、
ことを特徴とする情報取得装置。 - 請求項1ないし4の何れか一項に記載の情報取得装置において、
前記情報取得部は、前記各探索ラインのオフセットパターンを前記広がり具合の前記変化の大きさに対応づけたテーブルを保持し、実測時に、前記広がり検出部により検出された前記変化の大きさに対応する前記オフセットパターンに基づいて、前記各探索ラインを対応する前記基準位置からオフセットさせる、
ことを特徴とする情報取得装置。 - 請求項1ないし5の何れか一項に記載の情報取得装置を有する物体検出装置。
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