JPWO2012090731A1 - Esd保護装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

静電気が繰り返し加わった場合においても、放電開始電圧の上昇を抑制することができ、かつ放電開始電圧のばらつきが小さいESD保護装置を提供する。絶縁性基板2内に第1,第2の放電電極4,5が空洞3内において、先端4a,5a同士が対向するように配置されており、第1,第2の放電電極4,5の内少なくとも一方が複数設けられており、絶縁性基板2の外表面に、第1の放電電極4に接続される第1の外部電極12及び第2の放電電極5に電気的に接続されている第2の外部電極13が形成されている、ESD保護装置1。

Description

本発明は、静電気放電(Electro−Static Discharge)に対する保護を図るためのESD保護装置に関し、より詳細には、絶縁性基板内において、第1及び第2の放電電極がギャップを隔てて対向されている構造を有するESD保護装置に関する。
従来、ESD(Electro−Static Discharge)すなわち静電気放電から電子機器を保護するために、様々なESD保護装置が提案されている。
例えば、下記の特許文献1には、絶縁性基板内に第1及び第2の放電電極を配置してなるESD保護デバイスが開示されている。特許文献1に記載のESD保護デバイスでは、絶縁性基板内に空洞が形成されている。この空洞に露出するようにかつ空洞内で先端同士が対向するように第1,第2の放電電極が形成されている。第1の放電電極は絶縁性基板の一方の端面に引き出されている。絶縁性基板の一対の端面には、それぞれ外部電極が形成されている。このESD保護デバイスでは、第1,第2の放電電極が対向している部分において第1,第2の放電電極にまたがるように第1,第2の放電電極の下面側に混合部が形成されている。放電補助部は、金属粒子とセラミック粒子とを含み、該金属粒子及びセラミック粒子が絶縁性基板内の絶縁体材料内に分散している。
特許文献1のESD保護デバイスでは、絶縁性基板を構成しているセラミックスと第1,第2の放電電極との焼成時の収縮挙動や収縮後の熱膨張率差を、混合部により緩和することができる。従って、放電開始電圧を高精度に設定することができるとされている。
WO2008/146514A1
特許文献1に記載のESD保護デバイスのように、ESD保護装置では、静電気が加わると、対向している第1,第2の放電電極間において放電が生じる。この放電が繰り返されると、第1,第2の放電電極の先端が溶解する。従って、第1,第2の放電電極間のギャップが大きくなっていく。その結果、放電保護特性が劣化するという問題がある。
本発明の目的は、放電を繰り返したとしても、放電保護特性の劣化が生じ難いESD保護装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明に係るESD保護装置は、空洞を有する絶縁性基板と、前記絶縁性基板の前記空洞内において先端同士が対向するように前記絶縁性基板内に配置されている第1,第2の放電電極とを備える。また、第1,第2の放電電極の内の少なくとも一方が複数設けられている。本発明では、前記第1の放電電極に接続されており、前記絶縁性基板の外表面に形成された第1の外部電極と、前記第2の放電電極に電気的に接続されており、前記絶縁性基板の外表面に形成された第2の外部電極とをさらに備える。
本発明に係るESD保護装置のある特定の局面では、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極とからなる放電電極対が複数設けられている。その場合には、複数の放電電極対の内、最もギャップが狭い放電電極の対において放電電極の溶解が生じ、ギャップが大きくなったとしても、大きくなったギャップよりも小さいギャップを有する他の放電電極対により放電開始電圧の上昇を抑制することができる。
本発明に係るESD保護装置の他の特定の局面では、前記第1の放電電極及び前記第2の放電電極の内、少なくとも1つの放電電極が、少なくとも2つの放電電極と先端同士が対向されている共通電極である。共通電極では、ギャップに臨む先端の幅方向寸法が長い。そのため、例えば印刷法により形成する際、先端の直線性を高めることができ、放電開始電圧の精度を高めることができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに他の特定の曲面では、共通電極が放電開始側電位に接続される。放電を繰り返した場合に、電子が衝突される側の放電電極が共通電極であると、共通電極の一部はがれが生じると共通電極全体が剥れやすくなるが、電子が衝突される側の放電電極が独立して複数形成されていると、そのうちの一つの放電電極にはがれが生じても、他の放電電極は独立して形成されているためはがれが生じない。したがってESD保護装置の耐久性を高めることができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに他の特定の局面では、先端同士が空洞部において対向している第1,第2の放電電極からなる放電電極対毎に前記空同部が設けられている。この場合には、空洞部を小さくすることができるため、各放電電極対において、気中放電を効果的に利用して静電気からの保護をより確実に行うことができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに他の特定の局面では、先端同士が対向している第1及び第2の放電電極からなる複数の放電電極対の放電電極先端同士が対向している部分が1つの空洞内に位置している。この場合には、1つの空洞を形成すればよいため、製造工程の簡略化を図ることができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに別の特定の局面では、前記絶縁性基板が、上面と下面とを有し、前記第1,第2の放電電極が前記第1及び第2の主面に平行な絶縁性基板層内の高さ位置の平面内に形成されている。この場合には、第1,第2の放電電極が形成されたセラミックグリーンシートと無地のセラミックグリーンシートを積層してなる周知のセラミック積層一体焼成技術を用いて、容易にESD保護装置を形成することができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに他の特定の局面では、前記絶縁性基板が、上面及び下面を有し、前記第1及び第2の放電電極が、前記上面と下面とを結ぶ方向に延びるように前記絶縁性基板内に設けられているビアホール電極により形成されている。このように、本発明においては、ビアホール電極により、第1,第2の放電電極を形成してもよい。それによって、ESD保護装置の絶縁性基板の面方向の寸法を小さくすることができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに別の特定の局面では、前記第1の放電電極の先端と前記第2の放電電極の先端とが対向している部分において、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極とにまたがるように形成されており、金属粒子と半導体粒子とを含む放電補助部がさらに備えられている。この放電補助部は、金属粒子と半導体粒子とを含む。放電補助部を設けることにより、放電開始電圧を低めることができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに別の特定の局面では、前記空洞に臨むように設けられており、かつ前記第1の放電電極と前記第2の放電電極の先端同士が対向している部分を囲むように設けられたシール層をさらに備えられる。シール層が設けられている場合には、上記の空洞をより高精度に形成することができる。
本発明に係るESD保護装置の製造方法は、複数枚のセラミックグリーンシートが積層されてなる積層体中に、第1の放電電極と第2の放電電極とが先端同士が対向するように配置されており、第1及び第2の放電電極の内の少なくとも一方が複数設けられている積層体を用意する工程と、前記積層体を焼成し、前記第1及び第2の放電電極が内部に形成されており、絶縁性セラミック焼結体からなる絶縁性基板を形成する工程と、前記第1及び第2の放電電極に電気的に接続されるように第1及び第2の外部電極を形成する工程とを備える。
本発明に係るESD保護装置の製造方法のある特定の局面では、前記積層体を得る工程が、第1〜第3のセラミックグリーンシートを用意する工程と、前記第1のセラミックグリーンシートに、第1の放電電極を形成するための第1の貫通孔を形成する工程と、前記第2のセラミックグリーンシートに、前記第2の放電電極を形成するための第2の貫通孔を形成する工程と、前記第1及び第2のセラミックグリーンシートの第1及び第2の貫通孔にそれぞれ導電ペーストを充填する工程と、前記第3のセラミックグリーンシートに、前記空洞部を形成するための第3の貫通孔を形成する工程と、前記第1〜第3のセラミックグリーンシートを、導電ペーストが充填された第1及び第2の貫通孔と前記第3の貫通孔とが重なり合うように、第3のセラミックグリーンシートの一方側に第1のセラミックグリーンシートを、他方側に第2のセラミックグリーンシートを積層して積層体を得る工程とを備える。この場合には、上記第1〜第3のセラミックグリーンシートを積層するだけで、上記積層体を容易にかつ高精度に得ることができる。
本発明に係るESD保護装置の製造方法のさらに別の特定の局面では、前記第1の放電電極の先端と、前記第2の放電電極の先端とが対向し合う部分のそれぞれに前記空洞部が形成されるように、前記第3の貫通孔が、導電ペーストが充填された第1の貫通孔と、導電ペーストが充填された第2の貫通孔とが対向している部分のそれぞれに重なり合うように設けられている。この場合には、第1,第2の放電電極からなる各放電電極対毎に上記第3の貫通孔により空洞を形成することができる。
本発明に係るESD保護装置によれば、第1,第2の放電電極の内少なくとも一方が複数設けられているため、第1の放電電極と第2の放電電極とが対向している部分が複数存在する。静電気が加わると、第1,第2の放電電極の先端間のギャップが最も狭い部分において放電が生じる。放電が繰り返し行われ、該ギャップの大きさが大きくなったとしても、大きくなったギャップよりも小さい第1,第2の放電電極間のギャップにおいて放電が生じる。従って、放電開始電圧の上昇を抑制することができる。従って、静電気が繰り返し印加される用途に用いた場合においても、確実に静電気からの保護を図ることができ、すなわち繰り返し耐性を高めることが可能となる。
また、少なくとも2箇所以上の放電開始部分が存在するので、各部分における放電開始電圧がばらついたとしても、ESD保護装置単位では平均化される。そこで放電開始電圧のばらつきの小さいESD保護装置を量産することができる。
図1(a)及び図1(b)は、本発明の第1の実施形態に係るESD保護装置の模式的平面断面図及び図1(a)中のB−B線に沿う断面図である。 図2は、第1の実施形態の変形例に係る放電保護装置の模式的平面断面図である。 図3は、第1の実施形態の他の変形例に係る放電保護装置の模式的平面断面図である。 図4は、第1の実施形態のさらに他の変形例に係る放電保護装置の模式的平面断面図である。 図5(a)及び図5(b)は、本発明の第2の実施形態に係る放電保護装置の正面断面図及びその要部を示す部分拡大正面断面図である。 図6は、第2の実施形態の変形例に係る放電保護装置の模式的正面断面図である。 図7は、第2の実施形態の他の変形例に係る放電保護装置の模式的正面断面図である。 図8は、第2の実施形態のさらに他の変形例に係る放電保護装置の模式的正面断面図である。 図9は、本発明の第2の実施形態のESD保護装置の製造方法を説明するための部分切欠正面断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係るESD保護装置の平面断面図及び正面断面図である。
ESD保護装置1は、絶縁性基板2を有する。絶縁性基板2は、本実施形態では、セラミック多層基板からなる。このセラミック多層基板を構成するセラミック材料については特に限定されるものではないが、本実施形態では、Ba、Al、Siを主成分として含む低温焼成セラミックス(LTCC)が用いられている。
絶縁性基板2は、第1の基板層2aと、第2の基板層2bとを有する。第1,第2の基板層2a,2bは、同じセラミック材料により形成されている。従って、同一組成のセラミックグリーンシートを複数枚積層し、焼成することにより、絶縁性基板2の基板層2a,2bを形成することができる。
本実施形態では、第1,第2の基板層2a,2bの組成が同一であるため、焼成に際しての収縮挙動は等しい。もっとも、第1の基板層2aと、第2の基板層2bとは異なるセラミック材料により形成されてもよい。
絶縁性基板2内には、空洞3が形成されている。空洞3は、絶縁性基板2を焼成により得るに際し、空洞3が位置している部分に設けられている樹脂を加熱により消失させること、並びにセラミックグリーンシート中のバインダー樹脂の気化などにより形成される。
第1の基板層2a上には、第1の放電電極4と第2の放電電極5とからなる放電電極対が複数対形成されている。本実施形態では、第1及び第2の放電電極4,5はCuにより形成されている。もっとも、第1,第2の放電電極4,5は他の金属もしくは合金により形成することができる。
図1(b)に示すように、一対の放電電極対が構成されている部分において、第1の放電電極4は、絶縁性基板2の第1の端面2cから空洞3に向かって延ばされている。また、第2の放電電極5は、第1の端面2cとは反対側の第2の端面2dから空洞3側に向かって延ばされている。本実施形態では、空洞3は、複数対の放電電極指対の各対毎に形成されている。また、空洞3は、図1(a)に空洞の位置を一点鎖線で示すように、端面2cと、端面2dとを結ぶ方向の中央に形成されている。
第1の放電電極4の先端4aと、第2の放電電極5の先端5aとが、ギャップGを介して対向されている。すなわち放電電極4の先端4aと、放電電極5の先端5aとの間の寸法をギャップGの寸法aとする。
ESD保護装置1では、第1,第2の放電電極4,5の先端4a,5a間において静電気が加わった際に放電する。この放電は、沿面放電と気中放電と補助電極内放電とを利用している。
本実施形態では、図1(a)に示すように、第1の放電電極4と第2の放電電極5とからなる放電電極対が側面2eから反対側の側面2fに向かって複数配置されている。本実施形態の特徴は、このように複数の放電電極対が設けられていることにあり、それによって、後述する作用効果を奏する。
第1,第2の放電電極4,5にまたがるように、放電補助部6が設けられている。放電補助部6は、導電性を有しない無機材料により表面がコーティングされた金属粒子6aと、半導体セラミック粒子6bとが分散されている、粒子分散体からなる。より具体的には、導電性を有しない無機材料により表面がコーティングされた金属粒子と、半導体セラミック粒子とを含む厚膜ペーストを焼成することにより、形成されている。
上記金属粒子6aを構成する金属としては、特に限定されないが、CuやNiなどの適宜の金属もしくは合金が用いられる。金属粒子の直径は、特に限定されないが、2〜3μm程度である。上記金属粒子6aの表面をコーティングしている無機材料としては、特に限定されず、Alなどを挙げることができる。このような無機材料は、上記金属粒子表面に付着されて、金属粒子6aの表面が無機材料によりコーティングされている。このような無機材料粉末としては、直径1μm以下のAl粒子などを用いることができる。
上記半導体セラミック粒子6bは、本実施形態では、炭化ケイ素からなる。半導体セラミック粒子6bが分散されていることにより、ESD応答性を高めることができる。このような半導体セラミック粒子を得るための半導体セラミックスとしては、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデンもしくは炭化タングステン等の炭化物、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化クロム、窒化バナジウムもしくは窒化タンタル等の窒化物、ケイ化チタン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化タングステン、ケイ化モリブデンもしくはケイ化クロム等のケイ化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化クロム、ホウ化ランタン、ホウ化モリブデンもしくはホウ化タングステンなどのホウ化物または酸化亜鉛もしくはチタン酸ストロンチウム等の酸化物などを挙げることができる。特に、比較的安価でありかつ様々な粒径の粒子が市販されているため、炭化ケイ素が特に好ましい。
また、上記半導体セラミックスは、1種のみが用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。さらに、上記半導体セラミックからなるセラミック粒子を、適宜、アルミナなどの絶縁性セラミック材料と混合して用いてもよい。
上記金属粒子6a及び半導体セラミック粒子6bが分散されている放電補助部6が形成されているため、第1の放電電極4の先端4aと第2の放電電極5の先端5aとの間における沿面放電を利用した放電に際しての放電開始電圧を低めることができる。従って、静電気からの保護をより効果的に図ることができる。
なお、図1(b)では、放電補助部6の金属粒子6a及び半導体セラミック粒子6bが、第1,第2の放電電極4,5内にも入り込むように図示されている。これは、後述する製造方法から明らかなように、上記金属粒子6a及び半導体セラミック粒子6bを含む厚膜ペーストを印刷し、さらに第1,第2の放電電極4,5を形成するための導電ペーストを印刷し、セラミックス一体焼成技術により、複数枚のセラミックグリーンシートとともに積層した場合、金属粒子6a及び半導体セラミック粒子6bが第1,第2の放電電極4,5内に一部入り込むためである。そのため、放電補助部6は、第1,第2の放電電極4,5にまたがるように形成されている。なお、放電補助部6は第1,2の放電電極4,5内に入り込まず、第1、2の放電電極4,5の先端間のギャップ部分にのみ設けられてもよいし、また、放電補助部6は設けられなくてもよい。
また、本実施形態では、上記放電補助部6の下面に下部シール層10が形成されている。同様に、空洞3の上方には上部シール層11が形成されている。
下部シール層10及び上部シール層11は、絶縁性基板2を構成しているセラミックスよりも焼結温度が高いセラミックスからなる。本実施形態では、下部シール層10及び上部シール層11は、Alからなる。シール層構成セラミック材料は、絶縁性基板2を構成しているセラミック材料よりも焼結温度が高い限り、特に限定されるものではない。
本実施形態では、第1の基板層2aの上面に下部シール層10が形成されており、下部シール層10上に前述した放電補助部6が積層されている。そして、放電補助部6の上面が空洞3に臨んでいる。すなわち、空洞3の下面は放電補助部6の上面となっている。他方、空洞3の上面は、上部シール層11で覆われている。なお、下部シール層10及び上部シール層11は、必ずとも設けられずともよい。
図1(a)に示すように、絶縁性基板2の端面2cを覆うように、第1の外部電極12が形成されている。他方、第1の放電電極4は、端面2cに引き出されている。従って、複数の第1の放電電極4が、第1の外部電極12により電気的に接続されている。同様に、端面2dに引き出されている複数の第2の放電電極5が、端面2dを覆うように設けられた第2の外部電極13に電気的に接続されている。
第1,第2の外部電極12,13は、Cu、Al、Agなどの適宜の金属もしくは合金からなる。
本実施形態のESD保護装置1の特徴は、上記のように、複数の放電電極対が絶縁性基板2内に設けられていることにある。それによって、静電気が繰り返し加わった際の静電気からの保護特性の低下を確実に抑制することができる。また、放電開始電圧のばらつきを小さくすることができる。
これをより具体的に説明する。
ESD保護装置1を、使用している内に、静電気が繰り返し加わることになる。この場合、放電は、複数の放電電極対の内、ギャップGの寸法aが最も小さい放電電極対において放電が生じる。繰り返し静電気が加わり、放電が生じると、第1の放電電極4の先端4a、第2の放電電極5の先端5aにおいて、放電電極材料の溶解が生じる。従って、繰り返し静電気が加わると、最もギャップの小さい放電電極対においてギャップが大きくなっていく。
しかしながら、本実施形態では、複数の放電電極対が設けられているので、最もギャップの小さいギャップの放電電極対におけるギャップの寸法が大きくなり、残りの放電電極対の内、最もギャップの寸法が小さい放電電極対のギャップよりも大きくなる。その場合には、ギャップが大きくなった放電電極対ではなく、他の放電電極対の内、最もギャップGの寸法aが小さい放電電極対において放電が生じる。従って、繰り返し静電気が加わって静電気からの保護を行ったとしても、放電開始電圧の上昇を確実に抑制することができる。従って、繰り返し耐性、すなわち繰り返し静電気が加わった際のESD保護装置の保護特性を高めることができる。
なお、必ずしも限定されるわけではないが、第1,第2の放電電極4,5間のギャップGの寸法が複数の放電電極対で等しくなるように、ESD保護装置1を製造する。その場合であっても、実際には、第1,第2の放電電極4,5を形成する際の導電ペーストの印刷精度や、様々な製造工程における条件のばらつきにより、放電電極対間において、ギャップGの寸法がばらつくおそれがある。
しかしながら、例えば、複数の放電電極対において、放電開始電圧がばらついたとしても、量産された個々のESD保護装置1単位では、放電開始電圧は平均化される。従って、本実施形態のESD保護装置1を量産した場合、放電開始電圧のばらつきを小さくすることができる。
本実施形態においては、空洞3は、第1,2の放電電極4,5が対向する部分に設けられている。1対の第1,2の放電電極4,5毎に空洞3が設けられることにより、気中放電を効果的に利用して静電気からの保護をより確実に行うことができる。
次に、ESD保護装置1の製造方法の一例を説明する。
本実施形態のESD保護装置1の製造に際しては、第1,第2の基板層2a,2bを形成するための複数枚のセラミックグリーンシートを用意する。この複数枚のセラミックグリーンシートの内、基板層2bの最下部に位置されるセラミックグリーンシート上に、上記上部シール層11を構成するセラミックペーストを印刷し、乾燥する。次に、空洞3を形成するための樹脂ペーストを付与する。そして、樹脂ペースト乾燥後に、第1,第2の放電電極4,5を形成するための導電ペーストを塗布し、印刷して乾燥する。次に、該セラミックペースト上に放電補助部6を形成する複合ペーストを印刷し、乾燥させる。次に、下部シール層10を形成するためのセラミックペーストを塗布する。
しかる後、基板層2aを形成するために、複数枚のセラミックグリーンシートを積層し、最上部に上記放電電極4,5や放電補助部6等を形成するための材料が印刷されたセラミックグリーンシートを、上記下部シール層10が基板層2a側に位置するように積層し、さらにその上部に基板層2bを形成するための無地の複数枚のセラミックグリーンシートを積層する。このようにして、絶縁性基板2を得るための積層体を得る。積層体を得た後、面端面に、外部電極形成用導電ペーストを塗布する。この積層体を厚み方向に圧着した後焼成する。このようにして、ESD保護装置1を得ることができる。
上記製造方法では、絶縁性基板2を得るための焼成に際し、セラミックスの焼成温度では、上記樹脂ペーストが分解し、ガス化する。このガスと、第1,第2の放電電極4,5や、第1,第2の基板層2a,2bや、下部シール層10及び上部シール層11等を形成するための各ペースト中に含まれるバインダー樹脂の気化によるガスとにより空洞3が形成されることになる。
図2は、第1の実施形態のESD保護装置1の変形例に係るESD保護装置を示す模式的平面断面図である。本変形例のESD保護装置21では、第1の実施形態における複数の放電電極5に代えて、複数の共通電極22が第2の放電電極として形成されている。共通電極22は、複数の第1の放電電極4とギャップを介して対向するように形成されている。具体的には、本変形例では、第1の実施形態の2個の第2の放電電極5,5が1枚の電極膜により一体に形成されて、共通電極22とされている。従って、共通電極22は、2個の第1の放電電極4,4とギャップを介して対向されている。
そして、空洞3Aは、1つの共通電極22が複数の第1の放電電極4,4と対向する部分に設けられている。本変形例では、複数の共通電極22が設けられており、複数の共通電極22の各共通電極22毎に、上記空洞3Aが形成されている。
本変形例のESD保護装置21のように、2以上、すなわち複数の第2の放電電極を一体化し、共通電極としてもよい。なお、本変形例では、第2の放電電極は全て共通電極22により構成されていたが、第2の放電電極において、共通電極と、共通電極ではない第2の放電電極5とを併用してもよい。すなわち、複数の第2の放電電極5の内、少なくとも1つを共通電極22とし、残りを共通電極22ではない第1の実施形態において示した第2の放電電極5としてもよい。
さらに、3以上の第2の放電電極5を一体化し、共通電極としてもよい。
また、本変形例では、複数の第2の放電電極5を一体化し、共通電極22としているが、複数の第1の放電電極4を一体化し、共通電極としてもよい。
本変形例では、好ましくは、第2の共通電極22が放電開始側電位に接続される放電電極である。静電気が加わって放電が開始した場合、放電により、電極先端に電子が衝突すると、先端において焦げやはがれが生じるおそれがある。このような現象は、電子が衝突される側の放電電極の先端において生じる。放電を繰り返した場合に、電子が衝突される側の放電電極が共通電極であると、共通電極の一部はがれが生じると共通電極全体が剥れやすくなる。しかしながら、電子が衝突される側の放電電極が独立して複数形成されていると、そのうちの一つの放電電極にはがれが生じても、他の放電電極は独立して形成されているためはがれが生じない。従って、前述した繰り返し耐性を高めることができる。
図3は、第1の実施形態のESD保護装置1の他の変形例を示す正面断面図である。本変形例のESD保護装置31は、空洞3Bが複数の放電電極対において共通化されていることを除いては、第1の実施形態のESD保護装置1と同様である。従って、同一部分については、同一の参照番号を付することにより、第1の実施形態において行った説明を援用する。
ESD保護装置31では、空洞3Bが絶縁性基板2内に設けられている。図3では、空洞3Bが形成される位置のみを一点鎖線で示している。この空洞3Bは、個々の放電電極対ではなく、全ての放電電極対において共通化されている。従って、絶縁性基板2を形成するにあたり、製造工程の簡略化を図ることができる。すなわち、複数の放電電極対にまたがるように樹脂ペーストを塗布しておくことにより、空洞3Bを容易に形成することができる。
図4は、第1の実施形態のESD保護装置1のさらに他の変形例を示す模式的平面断面図である。
本実施形態のESD保護装置41では、図2に示したESD保護装置21と同様に第2の放電電極側が共通電極22により構成されている。図2に示した変形例と異なるところは、全ての放電電極対において、空洞が共通化されていることにある。すなわち、1個の空洞3Bが絶縁性基板2内に形成されている。従って、ESD保護装置41は、第1の実施形態のESD保護装置1に対し、図2に示したESD保護装置21の電極構造と、図3に示したESD保護装置31の空洞3Bを適用した構造に相当する。このように、共通電極22を用いたESD保護装置41においても、絶縁性基板2内に、1つの空洞3Bを形成した構造を採用してもよい。
図5(a)は、本発明の第2の実施形態に係るESD保護装置51の模式的正面断面図であり、(b)は、その要部を拡大して示す部分切欠正面断面図である。
第2の実施形態のESD保護装置51は、絶縁性基板52を有する。絶縁性基板52は、第1の実施形態の絶縁性基板2と同様の材料で形成されている。本実施形態では、絶縁性基板52の上面52aと、下面52bとを結ぶ方向において、それぞれがビアホール電極からなる第1,第2の放電電極54,55が形成されている。第1の放電電極54と、第2の放電電極55とは、絶縁性基板52内に設けられた空洞53を介して対向している。すなわち、第1の放電電極54の先端54aと、第2の放電電極55の先端55aとが空洞53内に位置しているギャップを介して対向されている。また、第2の実施形態においても、第1の放電電極54、第2の放電電極55とからなる放電電極対が複数形成されている。より具体的には、側面間において、複数の放電電極対が分散配置されている。第1,第2の放電電極54,55は第1の実施形態における第1,第2の放電電極4,5と同様の材料で形成されている。
なお、図5(a)では、各放電電極対を図示するために、1つの放電電極対における要部は簡略化して図示していることを指摘しておく。後述する図6〜図8についても同様である。
図5(b)に、1つの放電電極対を代表してその要部の詳細を説明する。
図5(b)に示すように、第1の放電電極54と、第2の放電電極55とにまたがるように、本実施形態においても、シール層57と放電補助部56が形成されている。シール層57は絶縁性基板52を貫く貫通孔の内周面に形成されている。より具体的には該貫通孔の内周面に沿うように形成されている。なお、シール層57は、必ずとも設けられずともよい。放電補助部56は、絶縁性基板52を貫く貫通孔の内周面に沿うように形成されている。本実施形態においては、シール層57が形成されているため、シール層57の内周面に沿うように形成される。この放電補助部56を構成する材料は、第1の実施形態の放電補助部6と同様である。従って、放電補助部56は、無機材料で表面がコーティングされている金属粒子6aと半導体セラミック粒子6bとを有する。なお、放電補助部56は必ずとも設けられずともよい。
本実施形態のESD保護装置51においても、第1,第2の放電電極54,55からなる複数の放電電極対が絶縁性基板52内に形成されている。従って、ESD保護装置1と同様に、繰り返し静電気が加わった際の放電開始電圧の上昇を抑制することができる。また、ESD保護装置51を量産した場合の複数のESD保護装置51間における放電開始電圧のばらつきも小さくすることができる。
本実施形態のESD保護装置51は、上記のように、絶縁性基板52を貫く貫通孔内に上記各放電電極対が形成されている。このような製造方法は、周知のビアホール電極形成方法を利用して得ることができる。
すなわち、第1,第2の放電電極54,55は、貫通孔内に導電ペーストを充填してなるビアホール電極により形成することができる。
上記ESD保護装置51の製造方法の一例を説明する。
ESD保護装置51の製造に際しては、絶縁性基板52を形成するための第1〜第3のセラミックグリーンシートを用意する。第1のセラミックグリーンシートは、第1の放電電極54を形成するためのセラミックグリーンシートである。この第1のセラミックグリーンシートに第1の放電電極4を形成するための第1の貫通孔を形成する。このような第1の貫通孔が形成された複数枚の第1のセラミックグリーンシートを用意する。貫通孔の形成は機械加工やレーザによる孔開け等の適宜の方法により行い得る。
同様にして、第2のセラミックグリーンシートに、第2の放電電極を形成するための第2の貫通孔を形成する。このようにして、第2の貫通孔が形成され、複数枚の第2のセラミックグリーンシートを用意する。上記第1,第2のセラミックグリーンシートの枚数については、第1,第2の放電電極の高さ方向寸法に応じて選択すればよい。
次に、第3のセラミックグリーンシートに、空洞部を形成するための第3の貫通孔を形成する。そして、第3のセラミックグリーンシートの第3の貫通孔と、第1,第2のセラミックグリーンシートの第1及び第2の貫通孔が重なり合うように、第3のセラミックグリーンシートの一方側に第1のセラミックグリーンシートを、他方側に第2のセラミックグリーンシートを積層する。このようにして、積層体を得る。このようにして得られた積層体を焼成することにより、第3の貫通孔に由来する空洞を介して第1,第2の放電電極54,55が対向している、複数の放電電極対を絶縁性基板52内に形成することができる。
なお、本実施形態では、前述したように、シール層57及び放電補助部56が形成されている。上記シール層57及び放電補助部56を形成するには、図9に示す構造を採用すればよい。
図9に示すように、第3のセラミックグリーンシート64においては、第3の貫通孔64aの内周面にシール層57を形成し、次に、シール層57の表面に放電補助部56を形成する。
シール層の形成は、第3の貫通孔64aの内周面にシール層57を構成材料を塗布すればよい。具体的には、シール層57を構成するセラミックペーストを、第3の貫通孔64aに充填する。乾燥後、再度第3の貫通孔64aの内周面にシール層57を構成するためのセラミックペースト層が残存するように、貫通孔を形成する。次に、第3の貫通孔64aの内周面に形成されたシール層57の内周面に放電補助部56を構成するための複合ペーストを塗布すればよい。具体的には複合ペーストを第3の貫通孔64a内に充填した後、再度貫通孔を形成し、複合ペースト層を内周面に残存させる。
上記第1〜3のセラミックグリーンシートを積層して得られた積層体を焼成することにより、図5に示した絶縁性基板52を得ることができる。すなわち、第2の実施形態のESD保護装置51では、上記のように、貫通孔内に導電ペーストを付与し、焼成することにより、ビアホール電極により第1,第2の放電電極54,55を形成することができる。第1,第2の外部電極58,59の形成は、上記積層体を得た後に、導電ペーストを両端面に塗布し、積層体の焼成に際し、焼き付けることにより行い得る。あるいは、絶縁性基板52の上面52a及び下面52bに導電ペーストを塗布し、焼き付けることにより外部電極58,59を形成してもよい。あるいは、蒸着、メッキまたはスパッタリングなどの他の方法を用いてもよい。
図6は、第2の実施形態のESD保護装置51の変形例に係るESD保護装置71を示す正面断面図である。
ESD保護装置71では、第2の放電電極が、共通電極72からなる。共通電極72は、第2の実施形態の2個の第2の放電電極55,55を一体化したものである。すなわち、本変形例のESD保護装置71は、第1の実施形態のESD保護装置1について示した図2の変形例に係るESD保護装置21に相当する。
ESD保護装置71のように、ビアホール電極を用いて第1,第2の放電電極を形成した構造においても、複数の第2の放電電極を一体化し、共通電極としてもよい。この場合、共通電極72は、第1の放電電極54と同様に、ビアホール電極からなる。すなわち、貫通孔内に導電ペーストを充填し、焼き付けることにより形成されている。もっとも、共通電極72は、複数の第1の放電電極54,54とギャップを介して対向している。従って、共通電極72は、複数の第1の放電電極54,54と重なる大きな径の貫通孔に導電ペーストを充填することにより、形成される。
本変形例のESD保護装置71では、ギャップGを形成するための空洞53は、個々の第1の放電電極54毎に形成されている。
ESD保護装置71においても、ESD保護装置21と同様に、第2の放電電極が共通電極72とされているため、放電開始電圧の高精度化を図ることができる。すなわち、小さな径の放電電極の先端に比べ、共通電極72の先端72aは大きな面積を有する。従って、先端が平坦性に優れているため、ギャップGの寸法を高精度に制御することができ、放電開始電圧を高精度化することができる。
また、本変形例においても、共通電極72を放電開始側電位に接続される電極として用いることが望ましい。電子が衝突される側の放電電極が独立して複数形成されることにより、繰り返し静電気が加わった場合に、一つの放電電極の先端においての焦げ等が生じても、他の放電電極はその影響を受けない。したがって、放電開始電圧の上昇を抑制することができる。
図7は、第2の実施形態のESD保護装置の他の変形例に係るESD保護装置81を示す模式的正面断面図である。本変形例のESD保護装置81では、複数対の放電電極対に共通の空洞53Aが形成されている。その他の点については、第2の実施形態のESD保護装置51と同様である。ビアホール電極を用いた第2の実施形態のESD保護装置51においても、各放電電極対毎に空洞を設ける必要は必ずしもなく、本変形例のように、複数の放電電極対に共通の空洞53Aを形成してもよい。この場合には、前述した第3のセラミックグリーンシートに形成される貫通孔を大きくすればよい。
図8は、ESD保護装置51のさらに他の変形例に係るESD保護装置91の模式的正面断面図である。本変形例のESD保護装置91では、ESD保護装置71と同様に、第2の放電電極が共通電極72とされており、かつESD保護装置81と同様に、複数の放電電極対共通の1個の空洞53Aが形成されている。その他の点については、ESD保護装置51と同様である。このように共通電極72を用いたESD保護装置においても、複数の放電電極対に共通の空洞53Aを設けてもよい。
次に、具体的な実験例につき説明する。
(実施例1)
実施例1として、第1の実施形態に係るESD保護装置1を得た。
Ba、Al及びSiを主体とするBAS材を所定の組成となるように混合し、700〜900℃の温度で仮焼した。得られた仮焼粉末を粉砕し、セラミック粉末を得た。このセラミック粉末に、トルエン及びエキネンからなる有機溶媒を加え混合した。さらに、バインダー及び可塑剤を加えスラリーを得た。このようにして得られたスラリーをドクターブレード法により成形し、厚さ30μmのセラミックグリーンシートを得た。
第1,第2の放電電極4,5を構成するための電極ペーストを以下のようにして用意した。平均粒径2μmのCu粒子80重量%と、エチルセルロースからなるバインダー樹脂とに溶剤を添加し、三本ロールで攪拌し、混合し、電極ペーストを得た。
放電補助部6形成用ペーストの調製:平均粒径2μmのCu粒子の表面に平均粒径数nm〜数十nmのAl粉末を付着させてなる、導電性を有さない無機材料により表面がコーティングされた金属粒子を用意した。この導電性粒子に平均粒径1μmの炭化ケイ素粉末を所定の割合で配合した。この配合物に、バインダー樹脂及び溶剤を、バインダー樹脂及び溶剤の合計の割合が全体の20重量%となるように添加し、混合し、混合ペーストを得た。
空洞3を形成する樹脂ペーストとして、エチルセルロースに対し溶剤として有機溶剤を適宜の割合で含む樹脂ペーストを用意した。
下部シール層10及び上部シール層11を形成するためのセラミックペーストとして、アルミナ粉末と、溶剤としての有機溶剤が全体の15重量%となるように混合してなるシール層形成用セラミックペーストを用意した。
上記のようにして用意したセラミック多層基板用のセラミックグリーンシートを複数枚積層した。得られた積層体上に、上記シール層形成用セラミックペーストを下部シール層10を構成する部分にスクリーン印刷により塗布した。次に、補助電極形成用ペーストを上記シール層形成用ペースト上に塗布した。しかるのち、上記電極ペーストを、第1,第2の放電電極間のギャップGの寸法aが30μmとなるように印刷した。さらに、上記空洞形成用樹脂ペーストを塗布した。次に、上記樹脂ペーストが付与されている部分を覆うように、上部シール層を形成するためのシール層形成用ペーストを塗布した。
さらに、上面にセラミック多層基板形成用セラミックグリーンシートを複数枚積層し、全体を厚み方向に圧着した。
しかるのち、上記積層体を厚み方向に切断し、個々のESD保護デバイス単位の積層体チップを得た後、この積層体チップの第1,第2の端面に電極ペーストを塗布し、外部電極を形成した。外部電極形成用電極ペーストとしては、Cuを用いた。
次に、窒素雰囲気中で、上記積層体チップを焼成し、長さ1.0mm×幅0.5mm×厚み0.3mmのESD保護デバイスを得た。
なお、第1,第2の放電電極4,5からなる放電電極対の対数は6対とした。また、第1,第2の放電電極4,5の幅方向寸法は50μmとした。
(実施例2)
実施例2として図2に示したESD保護装置21を作製した。実施例1と異なるところは、共通電極22を、幅が150μmとなるように電極ペーストを塗布したこと、空洞3Aを形成するように空洞形成用樹脂ペーストを塗布したことにあり、その他の点は実施例1と同様とした。
(実施例3)
図3に示したESD保護装置31を作製し、実施例3とした。実施例1と同様にして行い、但し空洞形成用樹脂ペーストを、全ての放電電極対において共通化するように塗布した。その他の点については、実施例1と同様にした。
(実施例4)
図4に示したESD保護装置41を実施例4として作製した。実施例1と異なるところは、実施例2と同様に、共通電極22を形成し、実施例3と同様に空洞3Aを形成したことにある。その他の点の点は、実施例1と同様とした。
(実施例5)
実施例1と同様の材料を用いた。但し、第1,第2のセラミックグリーンシートとして、第1,第2の貫通孔をレーザによりφ50μmの径となるように形成した。また、空洞53Aを形成するための第3のセラミックグリーンシートにおいては、第3の貫通孔として、φ75μmの径の貫通孔を形成した。形成された貫通孔にシール層形成用セラミックペーストを充填し、その後φ60μmの径の貫通孔を形成して内周面にシール層を形成する。次に、混合ペーストを貫通孔に充填し、その後φ50μmの径の貫通孔を形成してシール層の内側に補助電極部を形成する。
上記のようにして形成した1枚の第3のセラミックグリーンシートの上方に第1の放電電極用導電ペーストが充填された第1のセラミックグリーンシート6枚を積層し、下方に第2の放電電極用導電ペーストが充填されている第2のセラミックグリーンシートを6枚積層した。このようにして得られた積層体を厚み方向に圧着した。しかる後、上記積層体を厚み方向に切断し、個々のESD保護デバイス単位の積層体チップを得た。この積層体チップの上面及び下面に電極ペーストを塗布し、外部電極を形成した。外部電極形成用電極ペーストとしては、Cuを用いた。次に、窒素雰囲気中で上記積層体チップを焼成し、長さ1.0mm×幅0.5mm×厚み0.3mmのESD保護デバイスを得た。
(実施例6)
図6に示したESD保護装置71を実施例6として用意した。実施例5と異なるところは、第2のセラミックグリーンシートに形成する第2の貫通孔の内径を150μmとし、共通電極72を形成したことにある。その他の点は実施例5と同様とした。
(実施例7)
図7に示したESD保護装置81を実施例7として用意した。第3のセラミックグリーンシートの貫通孔をφ550μmとし、全ての放電電極対に共通の空洞53Aを形成したことを除いては、実施例5と同様とした。
(実施例8)
図8に示したESD保護装置91を実施例8として用意した。共通電極72を形成するように、第2のセラミックグリーンシートの貫通孔の径をφ150μmとし、空洞53Aを形成するために第3のセラミックグリーンシートに設ける貫通孔を550μmの寸法としたことを除いては、実施例5と同様とした。
(比較例)
実施例1における1つの放電電極対のみを有するようにして、ESD保護装置を作製した。その他の点については、実施例1と同様とした。
上記実施例1〜8及び比較例のESD保護装置について、(1)ESD放電応答性及び(2)ESD繰り返し耐性を以下の要領で評価した。
(1)ESDに対する放電応答性
ESDに対する放電応答性は、IECの規格、IEC61000−4−2に定められている、静電気放電イミュニティ試験によって行った。接触放電にて8kV印加して試料の放電電極間で放電が生じるか否かを調べた。保護回路側で検出されたピーク電圧が700Vを超えるものを放電応答性が不良(×印)、ピーク電圧が600〜700Vのものを(△印)、ピーク電圧が450〜600Vのものを放電応答性が良好(○印)、ピーク電圧が450V未満のものを放電応答性が特に良好(◎印)と判定した。
(2)ESD繰り返し耐性
接触放電にて2kV印加を20回、3kV印加を20回、4kV印加を20回、6kV印加を20回、8kV印加を20回行い、続いて、前記のESDに対する放電応答性を評価した。保護回路側で検出されたピーク電圧が700Vを超えるものをESD繰り返し耐性が不良(×印)、ピーク電圧が600〜700Vのものを(△印)、ピーク電圧が450〜600VのものをESD繰り返し耐性が良好(○印)、ピーク電圧が450V未満のものをESD繰り返し耐性が特に良好(◎印)と判定した。
結果を下記の表1に示す。
Figure 2012090731
表1から明らかなように、比較例のESD保護装置では、静電気が繰り返し印加された場合、放電保護電圧、すなわち放電開始電圧が著しく上昇するのに対し、実施例1〜8では、比較例に比べ、繰り返し耐性を大幅に高め得ることがわかる。特に、ビアホール電極を用いた実施例5〜8では、実施例1〜4に比べ、さらに繰り返し耐性を高め得ることがわかる。
また、ESD放電応答性についても、実施例1〜8によれば、比較例に比べ、優れていることがわかる。
1…ESD保護装置
2…絶縁性基板
2a…第1の基板層
2b…第2の基板層
2c…第1の端面
2d…第2の端面
2e…側面
2f…側面
3…空洞
3A…空洞
3B…空洞
4…第1の放電電極
4a…先端
5…第2の放電電極
5a…先端
6…放電補助部
6a…金属粒子
6b…半導体セラミック粒子
10…下部シール層
11…上部シール層
12…第1の外部電極
13…第2の外部電極
21…ESD保護装置
22…共通電極
31…ESD保護装置
41…ESD保護装置
51…ESD保護装置
52…絶縁性基板
52a…上面
52b…下面
53…空洞
53A…空洞
54…第1の放電電極
54a…先端
55…第2の放電電極
55a…先端
56…放電補助部
57…シール層
58…第1の外部電極
59…第2の外部電極
64…第3のセラミックグリーンシート
64a…第3の貫通孔
71…ESD保護装置
72…共通電極
72a…先端
81…ESD保護装置
91…ESD保護装置

Claims (13)

  1. 空洞を有する絶縁性基板と、
    前記絶縁性基板の前記空洞内において先端同士が対向するように前記絶縁性基板内に配置されている第1,第2の放電電極とを備え、
    前記第1,第2の放電電極の内の少なくとも一方が複数設けられており、
    前記第1の放電電極に接続されており、前記絶縁性基板の外表面に形成された第1の外部電極と、
    前記第2の放電電極に電気的に接続されており、前記絶縁性基板の外表面に形成された第2の外部電極とをさらに備える、ESD保護装置。
  2. 前記第1の放電電極と前記第2の放電電極とからなる放電電極対が複数設けられている、請求項1に記載のESD保護装置。
  3. 前記第1の放電電極及び前記第2の放電電極の内、少なくとも1つの放電電極が、少なくとも2つの放電電極と先端同士が対向されている共通電極である、請求項1または2に記載のESD保護装置。
  4. 前記共通電極が放電開始側電位に接続される、請求項3に記載のESD保護装置。
  5. 先端同士が空洞部において対向している第1,第2の放電電極からなる放電電極対毎に前記空同部が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のESD保護装置。
  6. 先端同士が対向している第1及び第2の放電電極からなる複数の放電電極対の放電電極先端同士が対向している部分が1つの空洞内に位置している、請求項1〜4に記載のESD保護装置。
  7. 前記絶縁性基板が、上面と下面とを有し、前記第1,第2の放電電極が前記第1及び第2の主面に平行な絶縁性基板層内の高さ位置の平面内に形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のESD保護装置。
  8. 前記絶縁性基板が、上面及び下面を有し、前記第1及び第2の放電電極が、前記上面と下面とを結ぶ方向に延びるように前記絶縁性基板内に設けられているビアホール電極により形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のESD保護装置。
  9. 前記第1の放電電極の先端と前記第2の放電電極の先端とが対向している部分において、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極とにまたがるように形成されており、金属粒子と半導体粒子とを含む放電補助部をさらに備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載のESD保護装置。
  10. 前記空洞に臨むように設けられており、かつ前記第1の放電電極と前記第2の放電電極の先端同士が対向している部分を囲むように設けられたシール層をさらに備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載のESD保護装置。
  11. 複数枚のセラミックグリーンシートが積層されてなる積層体中に、第1の放電電極と第2の放電電極とが先端同士が対向するように配置されており、第1及び第2の放電電極の内の少なくとも一方が複数設けられている積層体を用意する工程と、
    前記積層体を焼成し、前記第1及び第2の放電電極が内部に形成されており、絶縁性セラミック焼結体からなる絶縁性基板を形成する工程と、
    前記第1及び第2の放電電極に電気的に接続されるように第1及び第2の外部電極を形成する工程とを備える、ESD保護装置の製造方法。
  12. 前記積層体を得る工程が、
    第1〜第3のセラミックグリーンシートを用意する工程と、
    前記第1のセラミックグリーンシートに、第1の放電電極を形成するための第1の貫通孔を形成する工程と、
    前記第2のセラミックグリーンシートに、前記第2の放電電極を形成するための第2の貫通孔を形成する工程と、
    前記第1及び第2のセラミックグリーンシートの第1及び第2の貫通孔にそれぞれ導電ペーストを充填する工程と、
    前記第3のセラミックグリーンシートに、前記空洞部を形成するための第3の貫通孔を形成する工程と、
    前記第1〜第3のセラミックグリーンシートを、導電ペーストが充填された第1及び第2の貫通孔と前記第3の貫通孔とが重なり合うように、第3のセラミックグリーンシートの一方側に第1のセラミックグリーンシートを、他方側に第2のセラミックグリーンシートを積層して積層体を得る工程とを備える、請求項11に記載のESD保護装置の製造方法。
  13. 前記第1の放電電極の先端と、前記第2の放電電極の先端とが対向し合う部分のそれぞれに前記空洞部が形成されるように、前記第3の貫通孔が、導電ペーストが充填された第1の貫通孔と、導電ペーストが充填された第2の貫通孔とが対向している部分のそれぞれに重なり合うように設けられている、請求項12に記載のESD保護装置の製造方法。
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