JP5757294B2 - Esd保護装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、静電気放電(Electro−Static Discharge)に対する保護を図るためのESD保護装置に関し、より詳細には、絶縁性基板内において、第1及び第2の放電電極がギャップを隔てて対向されている構造を有するESD保護装置に関する。
従来、ESD(Electro−Static Discharge)すなわち静電気放電から電子機器を保護するために、様々なESD保護装置が提案されている。
例えば、下記の特許文献1には、絶縁性基板内に第1及び第2の放電電極を配置してなるESD保護デバイスが開示されている。特許文献1に記載のESD保護デバイスでは、絶縁性基板内に空洞が形成されている。この空洞に露出するようにかつ空洞内で先端同士が対向するように第1,第2の放電電極が形成されている。第1の放電電極は絶縁性基板の一方の端面に引き出されている。また、第2の放電電極が、絶縁性基板の他方の端面に引き出されている。絶縁性基板の一対の端面には、それぞれ外部電極が形成されている。
このESD保護デバイスでは、第1,第2の放電電極が対向している部分において第1,第2の放電電極にまたがるように第1,第2の放電電極の下面側に混合部が形成されている。混合部は、金属粒子とセラミック粒子とを含み、該金属粒子及びセラミック粒子が絶縁性基板内の絶縁体材料内に分散している。
特許文献1のESD保護デバイスでは、絶縁性基板を構成しているセラミックスと第1,第2の放電電極との焼成時の収縮挙動や収縮後の熱膨張率差を、混合部により緩和することができる。従って、放電開始電圧を高精度に設定することができるとされている。
WO2008/146514A1
特許文献1に記載のESD保護デバイスのように、ESD保護装置では、静電気が加わると、対向している第1,第2の放電電極間において放電が生じる。この放電が繰り返されると、第1,第2の放電電極の先端が剥離したり、溶解したりする。従って、第1,第2の放電電極間のギャップが大きくなっていく。その結果、放電保護特性が劣化するという問題がある。
本発明の目的は、放電を繰り返したとしても、放電保護特性の劣化が生じ難いESD保護装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明に係るESD保護装置は、空洞を有する絶縁性基板と、前記絶縁性基板の空洞内においてギャップを隔てて対向するように、前記絶縁性基板内に配置されている第1,第2の放電電極とを備える。本発明では、前記第1の放電電極の外周縁を、前記ギャップを隔てて前記第2の放電電極が囲むように前記第1,第2の放電電極が配置されている。また、本発明に係るESD保護装置は、前記第1の放電電極に接続されており、前記絶縁性基板の外表面に形成されている第1の外部電極と、前記第2の放電電極に接続されており、前記絶縁性基板の外表面に形成されている第2の外部電極とをさらに備える。
本発明に係るESD保護装置のある特定の局面によれば、前記第1の放電電極が複数設けられており、前記第2の放電電極が前記複数の第1の放電電極のそれぞれを囲むように配置されている。この場合には、ESD繰り返し耐性をより一層高めることができる。
本発明に係るESD保護装置の他の特定の局面では、前記第2の放電電極の前記第1の放電電極を囲んでいる電極縁部の一部に切欠が形成されている。この場合には、ESD繰り返し耐性をより一層高めることができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに別の特定の局面では、前記第1の放電電極の外周縁と、前記第2の放電電極との前記ギャップにおける対向距離が、前記第1の放電電極の外周縁の各位置において等しくされている。この場合には、上記ESD放電応答性をより一層高めることができ、かつESD繰り返し耐性をより一層高めることができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに他の特定の局面では、前記ギャップが閉じられた枠状の形状を有するように、前記第2の放電電極の電極縁部が、前記第1の放電電極の外周縁を囲むように配置されている。このように、上記ギャップが閉じられた凸状の形状を有していてもよい。また、本発明では、前記第1の放電電極の外周縁の一部を除いて前記第2の放電電極の電極縁部が前記第1の放電電極を囲むように第1,第2の放電電極が配置されていてもよい。この場合には、第2の放電電極の電極縁部が第1の放電電極の外周縁の一部において第1の放電電極の外周縁を囲んでいないため、第1,第2の放電電極の上下の絶縁性基板層の密着性を高めることができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに別の特定の局面では、前記第1の放電電極の平面形状が円形である。この場合には、上記ESD放電応答性をより一層高めることができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに他の特定の局面では、前記第1の放電電極が放電開始側電位に接続される。第1の放電電極が放電開始側電位に接続される場合、電子を受ける側となる第2の放電電極がはがれにくくなりESD繰り返し耐性を高めることができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに特定の局面では、前記第1の放電電極と、前記第2の放電電極とが対向している前記ギャップにおいて、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極とにまたがるように形成されており、金属粒子と半導体粒子とを含む放電補助部がさらに備えられている。この場合には、放電開始電圧を低めることができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに他の特定の局面では、前記空洞に臨むように設けられており、第1の放電電極と第2の放電電極とが対向している前記ギャップの少なくとも一部を囲むように設けられたシール層がさらに備えられている。シール層が設けられている場合には、空洞をより高精度に構成することができる。
本発明に係るESD保護装置のさらに別の特定の局面では、前記第1の放電電極と前記第1の外部電極とを電気的に接続している第1の接続電極と、前記第2の放電電極と前記第2の外部電極とを接続している第2の接続電極とを有し、前記第1の接続電極が、前記第1の放電電極の上面または下面に接続されたビアホール電極と、前記ビアホール電極と前記第1の外部電極とにと接続されている接続電極部とを有する。この場合には、ビアホール電極と接続電極部とを有する第1の接続電極により第2の放電電極に囲まれた第1の放電電極を確実に第1の外部電極に電気的に接続することができる。本発明に係るESD保護装置の製造方法は、上面に第1の放電電極と、第1の放電電極を囲むように設けられた第2の放電電極とを有する第1のセラミックグリーンシートを用意する工程と、前記第1,第2の放電電極が対向しているギャップを含むように空洞形成材を塗布する工程と、前記第1のセラミックグリーンシートの上面に少なくとも1枚の第2のセラミックグリーンシートを、下面に少なくとも1枚の第3のセラミックグリーンシートを積層し、積層体を得る工程と、前記積層体を焼成し、前記空洞形成材を消失させて、第1,第2の放電電極が対向している空洞を有する絶縁性基板を得る工程と、前記第1,第2の放電電極に電気的に接続されるように、前記積層体の外表面または前記絶縁性基板の外表面に第1,第2の外部電極を形成する工程とを備える。
本発明に係るESD保護装置の製造方法のある特定の局面では、前記第1,第2の放電電極が上面に設けられた第1のセラミックグリーンシートを用意するに際し、複数の前記第1の放電電極が前記第2の放電電極で囲まれているように配置されている第1のセラミックグリーンシートを用意する。
この場合には、第2の放電電極が複数の第1の放電電極のそれぞれを囲むように配置されている構造を有するESD保護装置を提供することができる。
本発明に係るESD保護装置によれば、第1の放電電極の外周縁を、ギャップを隔てて第2の放電電極が囲むように第1,第2の放電電極が形成されているため、第1の放電電極及び第2の放電電極のそれぞれにおいて、相手方の放電電極と対向している電極縁部の長さが充分に長くなる。従って、静電気が繰り返し加えられたとしても、ギャップにおける最小対向距離の拡大を抑制することができる。そのため、放電を繰り返したとしても、放電特性の劣化を抑制することができる。すなわち、ESD繰り返し耐性を効果的に高めることが可能となる。
本発明に係るESD保護装置の製造方法によれば、上記ESD繰り返し耐性に優れた本発明のESD保護装置を提供することが可能となる。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態のESD保護装置の平面断面図であり、図1(b)は、正面断面図である。 図2は、本発明の第1の実施形態のESD保護装置の製造方法を説明するための模式的分解斜視図である。 図3は、本発明の第2の実施形態のESD保護装置における第1,第2の放電電極の形状を示す模式的平面図である。 図4は、本発明の第3の実施形態のESD保護装置における第1,第2の放電電極の形状を示す模式的平面図である。 図5は、本発明の第4の実施形態のESD保護装置における第1,第2の放電電極の形状を示す模式的平面図である。 図6は、本発明の第5の実施形態のESD保護装置における第1,第2の放電電極の形状を示す模式的平面図である。 図7は、本発明の第6の実施形態のESD保護装置における第1,第2の放電電極の形状を示す模式的平面図である。 図8は、本発明の第7の実施形態のESD保護装置における第1,第2の放電電極の形状を示す模式的平面図である。 図9は、本発明の第8の実施形態のESD保護装置における第1,第2の放電電極の形状を示す模式的平面図である。 図10(a)及び図10(b)は、本発明の第9の実施形態に係るESD保護装置の平面断面図及び正面断面図であり、図10(c)は、その要部を示す部分切欠拡大正面断面図である。 図11は、本発明の第9の実施形態の変形例に係るESD保護装置の第1,第2の放電電極を説明するための模式的平面図である。 図12は、本発明の第10の実施形態に係るESD保護装置の第1,第2の放電電極を説明するための模式的平面図である。 図13は、本発明の第11の実施形態に係るESD保護装置の第1,第2の放電電極を説明するための模式的平面図である。 図14は、本発明の第12の実施形態に係るESD保護装置の第1,第2の放電電極を説明するための模式的平面図である。 図15は、本発明の第13の実施形態に係るESD保護装置の第1,第2の放電電極を説明するための模式的平面図である。 図16は、本発明の第14の実施形態に係るESD保護装置の第1,第2の放電電極を説明するための模式的平面図である。 図17は、本発明の第15の実施形態に係るESD保護装置の第1,第2の放電電極を説明するための模式的平面図である。 図18は、本発明の第16の実施形態に係るESD保護装置の第1,第2の放電電極を説明するための模式的平面図である。 図19(a)及び図19(b)は、第1の実施形態の変形例を説明するための第1,第2の放電電極の平面形状を示す平面図である。 図20は、比較のために用意した従来例のESD保護装置の平面断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係るESD保護装置の平面断面図及び正面断面図である。
ESD保護装置1は、絶縁性基板2を有する。絶縁性基板2は、本実施形態では、セラミック多層基板からなる。このセラミック多層基板を構成するセラミック材料については特に限定されるものではないが、本実施形態では、Ba、Al、Siを主成分として含む低温焼成セラミックス(LTCC)が用いられている。
本実施形態では、絶縁性基板2は、直方体状の形状を有する。絶縁性基板2は、上面2aと下面2bと一対の側面2c,2dと、第1の端面2eと、第1の端面2eとは反対側の第2の端面2fとを有する。
絶縁性基板2のある高さ位置の平面内に、第1,第2の放電電極3,4が形成されている。第1の放電電極3の平面形状は円形である。第2の放電電極4は、第1の放電電極3の外周縁を囲むように形成されている。第2の放電電極4の第1の放電電極3を囲んでいる電極縁部4aは、略円形であり、かつ第1の放電電極3の外周縁とギャップを隔てて対向されている。本実施形態では、上記ギャップは、図1(a)に示すように、円環状の形状を有している。
もっとも、本実施形態では、円形の電極縁部4aにおいて、周方向において均一に4個の複数の切欠4bが形成されている。
本実施形態では、電極縁部4aは円形であり、その中心が、円形の第1の放電電極3の中心と一致されている。従って、切欠4bが設けられている部分以外において、電極縁部4aは、第1の放電電極3の外周縁と等しい大きさのギャップを隔てて配置されている。言い換えれば、切欠4bが設けられている部分を除いては、第1,第2の放電電極3,4の対向距離は等しくされている。
上記第1,第2の放電電極3,4は、Cu、Al、Agなどの適宜の金属もしくは合金からなる。
上記絶縁性基板2内においては、第1,第2の放電電極3,4が対向している上記ギャップは、絶縁性基板2内に設けられたリング状の空隙A内に位置している。すなわち、空隙A内において、第1の放電電極3と第2の放電電極4とが上記ギャップを隔てて対向している。
絶縁性基板2の第1の端面2eを覆うように、第1の外部電極5が形成されている。第2の端面2fを覆うように、第2の外部電極6が形成されている。
第1の放電電極3は、第1の接続電極7により、第1の外部電極5に電気的に接続されている。第1の接続電極7は、第1の放電電極3の下面に上端が接合されているビアホール電極7aと接続電極部7bとを有する。ビアホール電極7aの下端が、接続電極部7bに接続されている。接続電極部7bは、第1の端面2eに引き出されており、第1の外部電極5に電気的に接続されている。
第2の放電電極4は、第2の放電電極4に連ねられた第2の接続電極8により、第2の外部電極6に電気的に接続されている。
上記第1,第2の外部電極5,6及び第1,第2の接続電極7,8は、Cu、Ag、Niなどの適宜の金属もしくは合金により形成することができる。
第1,第2の放電電極3,4にまたがるように、放電補助部8Aが設けられている。放電補助部8Aは、導電性を有しない無機材料により表面がコーティングされた金属粒子8aと、半導体セラミック粒子8bとが分散されている、粒子分散体からなる。より具体的には、導電性を有しない無機材料により表面がコーティングされた金属粒子と、半導体セラミック粒子とを含む厚膜ペーストを焼成することにより、形成されている。
上記金属粒子8aを構成する金属としては、特に限定されないが、CuやNiなどの適宜の金属もしくは合金が用いられる。金属粒子の直径は、特に限定されないが、2〜3μm程度である。上記金属粒子8aの表面をコーティングしている無機材料としては、特に限定されず、Alなどを挙げることができる。このような無機材料は、上記金属粒子表面に付着されて、金属粒子8aの表面が無機材料によりコーティングされている。このような無機材料粉末としては、直径1μm以下のAl粒子などを用いることができる。
上記半導体セラミック粒子8bは、本実施形態では、炭化ケイ素からなる。半導体セラミック粒子8bが分散されていることにより、ESD応答性を高めることができる。このような半導体セラミック粒子を得るための半導体セラミックスとしては、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデンもしくは炭化タングステン等の炭化物、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化クロム、窒化バナジウムもしくは窒化タンタル等の窒化物、ケイ化チタン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化タングステン、ケイ化モリブデンもしくはケイ化クロム等のケイ化物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化クロム、ホウ化ランタン、ホウ化モリブデンもしくはホウ化タングステンなどのホウ化物または酸化亜鉛もしくはチタン酸ストロンチウム等の酸化物などを挙げることができる。特に、比較的安価でありかつ様々な粒径の粒子が市販されているため、炭化ケイ素が特に好ましい。
また、上記半導体セラミックスは、1種のみが用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。さらに、上記半導体セラミックからなるセラミック粒子を、適宜、アルミナなどの絶縁性セラミック材料と混合して用いてもよい。
上記金属粒子8a及び半導体セラミック粒子8bが分散されている放電補助部8Aが形成されているため、第1の放電電極3の外周縁と第2の放電電極4の電極縁部4aとの間における沿面放電を利用した放電に際しての放電開始電圧を低めることができる。従って、静電気からの保護をより効果的に図ることができる。
なお、図1(b)では、放電補助部8Aの金属粒子8a及び半導体セラミック粒子8bが、第1,第2の放電電極3,4内にも入り込むように図示されている。これは、後述する製造方法から明らかなように、上記金属粒子8a及び半導体セラミック粒子8bを含む厚膜ペーストを印刷し、さらに第1,第2の放電電極3,4を形成するための導電ペーストを印刷し、セラミックス一体焼成技術により、複数枚のセラミックグリーンシートとともに積層した場合、金属粒子8a及び半導体セラミック粒子8bが第1,第2の放電電極3,4内に一部入り込むためである。そのため、放電補助部8Aは、第1,第2の放電電極3,4にまたがるように形成されている。なお、放電補助部8Aは第1,2の放電電極3,4内に入り込まず、第1、2の放電電極3,4の先端間のギャップ部分にのみ設けられてもよいし、また、放電補助部8Aは設けられなくてもよい。
また、本実施形態では、上記放電補助部8Aの下面に下部シール層9が形成されている。同様に、空洞Aの上方には上部シール層10が形成されている。
下部シール層9及び上部シール層10は、絶縁性基板2を構成しているセラミックスよりも焼結温度が高いセラミックスからなる。本実施形態では、下部シール層9及び上部シール層10は、Alからなる。シール層構成セラミック材料は、絶縁性基板2を構成しているセラミック材料よりも焼結温度が高い限り、特に限定されるものではない。
本実施形態では、上記ギャップがリング状であるため、上記放電補助部8A及び下部シール層9及び上部シール層10もまたリング状の平面形状を有する。
すなわち、上記放電補助部8Aの上面が空洞Aに臨んでおり、空洞Aの上面は上部シール層10により覆われている。
なお、本発明においては、上記下部シール層9及び上部シール層10並びに放電補助部8Aは必ずしも設けられずともよい。
本実施形態のESD保護装置1の特徴は、上記第1の放電電極3の外周縁を囲むように第2の放電電極4が設けられていることにある。例えば、第1の外部電極5を放電開始側の電位に接続される電極として用いた場合、静電気が加わると、第1の放電電極3から第2の放電電極4に向かって放電が生じる。放電が繰り返されると、放電を受ける側の第2の放電電極4の電極縁部4aにおいて電極剥離や電極の一部の溶解等の現象が生じるおそれがある。しかしながら、本実施形態では、電極縁部4aの一部において、電極剥がれや電極材料の溶解が生じたとしても、ギャップがリング状の形状を有している。従って、上記電極剥離や電極材料の溶解が生じた部分以外では、ギャップにおける第1,第2の放電電極3,4の対向距離は当初のまま維持される。すなわち、最小対向距離が維持され、放電開始電圧の上昇が生じ難い。
特に、第1の放電電極3の外周縁の全長に渡り上記ギャップが形成されているため、矩形の放電電極同士が先端で対向している従来のESD保護装置に比べて、ESD繰り返し耐性を効果的に高めることができる。
また、本実施形態では、第1の放電電極3が円形の平面形状を有する。従って、電界集中が生じ難いので、第1の放電電極3の外周縁のいずれの部分においても放電が生じやすい。よって、放電開始電圧を低めることができる。すなわち、ESD放電応答性を高めることもできる。
加えて、本実施形態では、上記複数の切欠4bが電極縁部4aに形成されている。そのため、後述する実験例から明らかなように、上記放電応答性及びESD繰り返し耐性をより一層高めることができる。これは、複数の切欠4bが設けられているため、隣り合う切欠4b間で囲まれた1つの電極縁部で生じた電極剥離が、隣り合う切欠4b間に囲まれた隣接する電極縁部に伝搬し難いためと考えられる。
さらに、本実施形態では、複数の切欠4bが電極縁部4aの周方向において均一に分散形成されている。従って、上記ESD繰り返し耐性をより一層高めることができる。もっとも、複数の切欠は、電極縁部4aの周方向において、均一に設けられていてもよい。なお、図1(a)においては、切欠4bは略矩形に形成されているが、電極縁部4aを部分的に切り欠くものであればどのような形状であってもよい。
図1(a)では、第1の放電電極3を取り囲むように第2の放電電極4が形成されていた。この場合、第1の放電電極3の外周縁の周方向全長において、第2の放電電極4の電極縁部4aが第1の放電電極3を囲んでいた。そのため、第1,第2の放電電極3,4が開口しているギャップは閉じられた円環状すなわち枠状の形状とされている。
もっとも、本発明では、図19(a)に示すように、第2の放電電極4の電極縁部4aに欠落部4cが設けられていてもよい。欠落部4cでは、第2の放電電極4が存在しない。従って、第1の放電電極3の外周縁の周方向において、上記欠落部4cが設けられている部分では、第1の放電電極3の外周縁と、第2の放電電極4とは対向していない。
上記のように、略リング状のギャップは、必ずしも枠状の形状とされる必要はない。この場合、欠落部4cでは、第2の放電電極4が存在しない。従って、欠落部4cから外側に至るように、第2の放電電極4が存在しない部分を設けた場合、第2の放電電極4の上下のセラミック層の密着強度を高めることができる。
なお、図19(b)に示すように、第1の放電電極3と、外部電極5とを接続するために、第1の接続電極7Aを、欠落部4cを通るように設けてもよい。その場合には、第1の接続電極を第1,2の放電電極3,4と同一平面上に形成することができる。図1(b)では、ビアホール電極7aと他の層に形成される接続電極部7bを設けていた。これに対して、第1の接続電極7Aが第1,第2の放電電極3,4と同一平面上に形成されている場合には、ビアホール電極7aや接続電極部7bを設ける必要がない。よって、第1,2の放電電極3,4を形成する際に同時に第1の接続電極7Aを形成することができる。
また、スクリーン印刷により、第1,第2の放電電極3,4を形成する場合、第1,第2の放電電極3,4をより高精度に形成することができる。これは、放電電極形成に際し予め電極が形成されない領域にペーストを塗布した後、電極用導電ペーストをスクリーン印刷する。従って、レジスト欠落部が設けられることになるため、導電ペーストの印刷に際し、レジストの位置ずれが生じ難い。よって、第1,第2の放電電極をより高精度に形成することができる。
もっとも、欠落部4cが設けられていない場合には、ギャップが第1の放電電極3の外周縁の全長に渡り設けられていることになるため、前述したESD繰り返し耐性をより一層高めることができる。従って、ESDに対する保護を改善するには、図19に示した変形例よりも第1の実施形態の方が優れている。
次に、ESD保護装置1の製造方法を図2を参照して説明する。ESD保護装置1の製造に際しては、先ず、絶縁性セラミックスを用いて、第1のセラミックグリーンシート11を用意する。第1のセラミックグリーンシート11上に上部シール層10を形成するためのセラミックペースト10Aを塗布する。
次に、リング状となるように、空洞形成材12Aを塗布する。上記空洞形成材12Aとしては、後述するセラミックスの焼成に際し消失する適宜の材料を用いることができる。本実施形態では、空洞形成材として樹脂ペーストを用いる。樹脂ペーストの付与は、スクリーン印刷等の適宜の方法により行い得る。
次に、導電ペーストをスクリーン印刷することにより、第1,第2の放電電極3,4を形成する。なお、第2の放電電極4に連ねられるように、第2の接続電極8も同じ工程で形成する。
さらに、放電補助部8Aを形成するための複合ペーストをリング状に印刷し、乾燥させる。次に、下部シール層9を形成するためのセラミックペースト9Aを塗布し、乾燥させる。
次に、上記第1のセラミックグリーンシート11を上下逆転させた後、上方から、少なくとも1枚の第2のセラミックグリーンシート12を積層する。また、第1のセラミックグリーンシート11の下面側に、少なくとも1枚の第3のセラミックグリーンシート14〜16を積層する。本実施形態では、第1のセラミックグリーンシート11の直下に積層される第3のセラミックグリーンシート14に、貫通孔を設け、該貫通孔内に導電ペーストを充填することにより、ビアホール電極7aを形成する。また、第3のセラミックグリーンシート14の下面に積層される第3のセラミックグリーンシート15の上面に、導電ペーストをスクリーン印刷することにより接続電極部7bを形成する。
上記第2のセラミックグリーンシート12、第1のセラミックグリーンシート11及び第3のセラミックグリーンシート14〜16を積層した後、厚み方向に加圧することにより、積層体を得る。この積層体の両端面に外部電極形成用導電ペーストを塗布する。次に、積層体を焼成し、それによって、ESD保護装置1を得ることができる。
上記製造方法では、絶縁性基板2を得るための焼成に際し、上記樹脂ペーストが分解し、ガス化する。このガスと、第1,第2の放電電極3,4や、セラミックグリーンシート11,12,14〜16、下部シール層9及び上部シール層10を形成するための各ペースト中に含まれているバインダー樹脂の気化によるガスとにより、リング状の空洞Aが形成されることとなる。
上記第1の実施形態では、第1の放電電極3が円形の形状を有し、第2の放電電極4の電極縁部4aが略円形の形状とされていたが、本発明のESD保護装置1では、第1,第2の放電電極3,4の形状は種々変形することができる。
図3〜図9は、第2〜第8の実施形態における第1,第2の放電電極の平面形状を説明するための模式的平面図である。なお、第2〜第8の実施形態は、第1,第2の放電電極の平面形状を除いては、第1の実施形態と同様である。
図3に示すように、第2の実施形態では、平面形状が円形の第1の放電電極3に対し、電極縁部21aが楕円形である第2の放電電極21が配置されている。すなわち、楕円形の電極縁部21aが円形の放電電極3の外周縁を囲むように設けられている。なお、本実施形態においても、電極縁部21aにおいて、周方向において均一に複数の切欠21bが形成されている。第2の実施形態では、楕円形の電極縁部21aを用いているため、第1の放電電極3の外周縁と電極縁部21aとの間のギャップの対向距離は、第1の放電電極3の外周縁の位置によって異なっている。
他方、図4に示す第3の実施形態では、円形の第1の放電電極3を囲むように、電極縁部22aが円形である第2の放電電極22が配置されている。第3の実施形態は、第1の実施形態における複数の切欠4bが設けられていないことを除いては、第1の実施形態と同様とされている。
図5に示す第4の実施形態では、第1の放電電極3は、平面形状が円形であり、第2の放電電極23が、楕円形の電極縁部23aを有する。第4の実施形態は、図3に示した切欠21bが設けられていないことを除いては、第2の実施形態と同様である。
図6に示すように、第5の実施形態では、正方形の第1の放電電極24を囲むように、第2の放電電極25が配置されている。このように、本発明においては、第1の放電電極の平面形状は円形に限らず、正方形などの矩形であってもよい。もっとも、中心に対しての対称性に優れている正方形の第1の放電電極24が長方形の第1の放電電極よりも好ましい。
第1の放電電極24の外周縁は、正方形の形状を有する。第2の放電電極25の電極縁部25aは、上記第1の放電電極24の外周縁を構成している4辺と等しいギャップを隔てて配置されている。本実施形態においても、電極縁部25aの一部に複数の切欠25bが設けられている。
図7に示す第6の実施形態では正方形の第1の放電電極24に対し、電極縁部26aを有する第2の放電電極26が配置されている。電極縁部26aは、第1の放電電極24の外周縁を取り囲むように設けられているが、本実施形態では、ギャップの対向距離が、第1の放電電極24の辺によって異なっている。すなわち、電極縁部26aは略長方形の形状を有し、向かい合う一対の辺26a1,26a2における第1の放電電極24との対向距離に比べ、他の向かい合う一対の辺26a3,26a4と第1の放電電極24との対向距離よりも短くされている。
本実施形態のように、第1の放電電極24の外周縁と、電極縁部26aとの対向距離が部分的に異なるように第2の放電電極26を形成してもよい。
また、図8に示す第7の実施形態では、正方形の第1の放電電極24に対し、同じく正方形の電極縁部27aを有する第2の放電電極27が配置されている。第7の実施形態は、複数の切欠25bが設けられていないことを除いては、第5の実施形態と同様である。
図9に示すように、第8の実施形態に係るESD保護装置では、正方形の第1の放電電極24に対し、長方形の電極縁部28aを有する第2の放電電極28が組み合わされている。ここでは、複数の切欠26bが設けられていないことを除いては、第6の実施形態と同様とされている。
上記第2〜第8の実施形態においても、第1の放電電極を取り囲むように第2の放電電極が配置されているため、第1の実施形態と同様にESD繰り返し耐性を高めることができる。
次に、第1の実施形態〜第8の実施形態についての具体的な実験例につき説明する。
(実施例1)
実施例1として、第1の実施形態に係るESD保護装置を得た。
Ba、Al及びSiを主体とするBAS材を所定の組成となるように混合し、800℃〜1000℃の温度で仮焼した。得られた仮焼粉末をジルコニウボールミルで12時間粉砕し、セラミック粉末を得た。このセラミック粉末に、トルエン及びエキネンからなる有機溶媒を加え混合した。さらに、バインダー及び可塑剤を加えスラリーを得た。このようにして得られたスラリーをドクターブレード法により成形し、厚さ30μmのセラミックグリーンシートを得た。
第1,第2の放電電極3,4を構成するための電極ペーストを以下のようにして用意した。平均粒径2μmのCu粒子80重量%と、エチルセルロースからなるバインダー樹脂とに溶剤を添加し、三本ロールで攪拌し、混合し、電極ペーストを得た。
放電補助部8A形成用ペーストの調製:平均粒径2μmのCu粒子の表面に平均粒径数nm〜数十nmのAl粉末を付着させてなる、導電性を有さない無機材料により表面がコーティングされた金属粒子を用意した。この導電性粒子に平均粒径1μmの炭化ケイ素粉末を所定の割合で配合した。この配合物に、バインダー樹脂及び溶剤を、バインダー樹脂及び溶剤の合計の割合が全体の20重量%となるように添加し、混合し、混合ペーストを得た。
空洞Aを形成する樹脂ペーストとして、エチルセルロースに対し溶剤として有機溶剤を適宜の割合で含む樹脂ペーストを用意した。
下部シール層9及び上部シール層10を形成するためのセラミックペーストとして、アルミナ粉末と、溶剤としての有機溶剤が全体の15重量%となるように混合してなるシール層形成用セラミックペーストを用意した。
上記のようにした各材料を用い、前述した製造方法に従って、ただし、第1,第2の放電電極3,4の形成に際しては、第1の放電電極3の直径を150μmとなるように導電ペーストをスクリーン印刷した。また、第1,第2の放電電極3,4間のギャップの寸法すなわち対向距離は30μmとなるように第1,第2の放電電極3,4を印刷した。なお、切欠4bの幅及び奥行きは、それぞれ、25μm及び25μmの寸法とした。
上記のようにして、長さ1.0mm×幅0.5mm×厚み0.3mmのESD保護装置を得た。
(実施例2〜実施例8)
実施例2〜8として、それぞれ、図3〜図9に示した第1,第2の放電電極を有するESD保護装置を実施例1と同様にして作製した。実施例2〜8における第1の放電電極及び第2の放電電極の形状及び寸法は以下の通りとした。
実施例2:第1の放電電極3は、直径150μmの円形。第2の放電電極の電極縁部は、長軸250μm 短軸210μmの寸法の楕円形とした。切欠の幅及び奥行きはそれぞれ、25μm及び25μmとした。
実施例3:切欠を設けないことを除いては、実施例1と同様とした。
実施例4:切欠を設けないことを除いては、実施例2と同様とした。
実施例5:第1の放電電極24は、1辺が150μmの正方形とした。第2の放電電極25の電極縁部25aは、1辺が150μmの正方形とした。従って、ギャップの対向距離は30μmである。また、切欠25bの幅及び奥行きは、25μm及び25μmとした。
実施例6:一対の辺26a3,26a4と第1の放電電極24とのギャップ対向距離を40μmと変更したことを除いては、実施例5と同様とした。
実施例7:切欠26bを設けなかったことを除いては、実施例5と同様とした。
実施例8:切欠26bを設けなかったことを除いては、実施例6と同様とした。
また、比較のために、図20に示した従来のESD保護装置101を用意した。なお、従来のESD保護装置においても、絶縁性基板102の寸法は実施例1と同様とした。また、ギャップにおける対向距離は30μmとした。さらに、第1,第2の放電電極103,104の先端の幅はそれぞれ150μmとした。従って、30μmの対向距離を隔てて、150μmの幅の先端部分同士が対向していることになる。
上記実施例1〜8及び従来例のESD保護装置について、(1)ESD放電応答性、及び(2)ESD繰り返し耐性を以下の要領で評価した。
(1)ESDに対する放電応答性
ESDに対する放電応答性は、IECの規格、IEC61000−4−2に定められている、静電気放電イミュニティ試験によって行った。接触放電にて8kV印加して試料の放電電極間で放電が生じるか否かを調べた。保護回路側で検出されたピーク電圧が700Vを超えるものを放電応答性が不良(×印)、ピーク電圧が600〜700Vのものを(△印)、ピーク電圧が450〜600Vのものを放電応答性が良好(○印)、ピーク電圧が450V未満のものを放電応答性が特に良好(◎印)と判定した。
(2)ESD繰り返し耐性
接触放電にて2kV印加を30回、4kV印加を30回、6kV印加を20回、8kV印加を20回行い、続いて、前記のESDに対する放電応答性を評価した。保護回路側で検出されたピーク電圧が700Vを超えるものをESD繰り返し耐性が不良(×印)、ピーク電圧が600〜700Vのものを(△印)、ピーク電圧が450〜600VのものをESD繰り返し耐性が良好(○印)、ピーク電圧が450V未満のものをESD繰り返し耐性が特に良好(◎印)と判定した。
結果を下記の表1に示す。
Figure 0005757294
表1から明らかなように、従来例のESD保護装置では、静電気が繰り返し印加された場合、放電開始電圧が著しく上昇した。
これに対して、実施例1〜8では、ESD繰り返し耐性を大幅に高め得ることがわかる。
また、実施例1〜4と実施例5〜8との対比により、第1の放電電極を正方形より円形とすることにより、初期の放電開始電圧を低めることができ、すなわちESD放電応答性を高め、さらにESD繰り返し耐性も高め得ることがわかる。
さらに、実施例1と実施例2との対比、実施例3と実施例4との対比、実施例5と実施例6との対比、実施例7と実施例8との対比から明らかなように、第2の放電電極の電極縁部に切欠を設けることにより、放電開始電圧を低め、ESD放電応答性を高め、さらにESD繰り返し耐性をも高め得ることがわかる。
図10(a)及び(b)は、本発明の第9の実施形態に係るESD保護装置の平面断面図及び正面断面図である。
ESD保護装置31では、絶縁性基板2内に、複数の第1の放電電極3が同じ高さの平面位置において設けられている。そして、複数の第1の放電電極3を取り囲むように、第2の放電電極4が形成されている。すなわち、本実施形態のESD保護装置31のように、図1に示した第1の放電電極3を複数設けてもよい。
なお、本実施形態では、第2の放電電極4に設けられた複数の切欠4bは、第1の放電電極3同士が隣り合う側には設けられてない。例えば、図10(a)において、端面2f側に位置している第1の放電電極3を取り囲む第2の放電電極4の電極縁部4aでは、複数の切欠4bは、中央に位置している第1の放電電極3側には設けられていない。また、中央に位置している第1の放電電極3では、第2の放電電極4の電極縁部4aに設けられている複数の切欠4bは、側面2c側と、側面2dにのみ設けられている。このように、隣り合う第1の放電電極3,3間に切欠4bを設けないのは、スペースを低減するためである。もっとも、図11に示す変形例のように、各第1の放電電極3を取り囲んでいる第2の放電電極4の各電極縁部4aにおいて周方向に均一に複数の切欠4bを設けてもよい。
図10(b)に示すように、複数の第1の放電電極3を第1の外部電極5に電気的に接続するために、各第1の放電電極3の下面にビアホール電極7aが接続されている。そして、複数のビアホール電極7aの下端が、接続電極部7bに電気的に接続されている。その他の構造については、第9の実施形態のESD保護装置31は、第1の実施形態のESD保護装置1と同様である。従って、同一部分については、同一の参照番号を附することによりその説明を省略する。
本実施形態においても、第1の放電電極3の外周縁が、第2の放電電極4の電極縁部4aにより囲まれているため、第1の実施形態と同様に、ESD繰り返し耐性を高めることができる。また、本実施形態においても、ギャップが第1の放電電極3の外周縁の周方向において、ギャップの対向距離が等しくされている。従って、第1の実施形態と同様に、ESD繰り返し耐性をより一層高めることができる。
さらに、本実施形態においても、第1の放電電極3の平面形状が円形であるため、ESD放電応答性をも高めることができる。
加えて、複数の切欠4bが形成されていることによって、ESD繰り返し耐性及びESD放電応答性をより一層高めることができる。
また、本実施形態においても、図10(c)に示すように、各第1の放電電極3と、第2の放電電極4とにまたがるように放電補助部8Aが形成されており、かつ下部シール層9及び上部シール層10が設けられている。従って、放電補助部8Aの形成により、放電開始電圧を低めることができ、ESD放電応答性を高めることができる。また、下部シール層9及び上部シール層10が設けられているため、空洞Aを高精度に形成することができる。
第1の放電電極3が複数形成されている第9の実施形態のESD保護装置31についても、第1の放電電極3及び第2の放電電極4の形状は、種々変形することができる。図12〜図18は、第9の実施形態の変形例としての第10の実施形態〜第16の実施形態における第1,第2の放電電極の平面形状を説明するための模式的平面図である。
図12に示す第10の実施形態では、複数の第1の放電電極3が、第2の放電電極4の電極縁部4a1〜4a3によりそれぞれ囲まれている。第9の実施形態と異なるところは、電極縁部4a1,4a2,4a3の平面形状は円形であるものの、電極縁部4a1,4a2,4a3の径が異なることにある。すなわち、電極縁部4a3の径が最も大きく、電極縁部4a2の直径が次に大きく、電極縁部4a1の直径が最も小さい。従って、第1の放電電極3と第2の放電電極4との間のギャップが、電極縁部4a3において最も大きく、電極縁部4a2において次に大きく、電極縁部4a1において最も小さくされている。このように、複数の第1の放電電極を設ける際に、第1の放電電極と第2の放電電極との間のギャップの対向距離を、第1の放電電極毎に異ならせてもよく、また、少なくとも1つの第1の放電電極におけるギャップの対向距離を残りの第1の放電電極におけるギャップの対向距離と異ならせてもよい。
図13は、第11の実施形態に係るESD保護装置の第1,第2の放電電極を示す模式的平面図である。ここでは、複数の第1の放電電極3に対し、楕円形の電極縁部32aを有する第2の放電電極32が組み合わされている。すなわち、複数の第1の放電電極3に対し、楕円形の電極縁部32aを有する第2の放電電極32を組み合わせてもよい。
図14に示す第12の実施形態では、第1の放電電極3に対し、円形の電極縁部4aを有する第2の放電電極4が用いられている。すなわち、切欠4bを有しないことを除いて、第12の実施形態は、第9の実施形態と同様とされている。
図15に示す第13の実施形態は、切欠4bを有しないことを除いて、図12に示した第10の実施形態と同様である。
図16に示す第14の実施形態は、切欠4bを有しないことを除いては、図13に示した第11の実施形態と同様である。
図17に示すように、第15の実施形態では、第11の実施形態と同様に、第2の放電電極33が、楕円形の電極縁部33a1〜33a3を有する。もっとも、複数の電極縁部33a1〜33a3の大きさが異なっている。従って、第1の放電電極3と、第2の放電電極4とのギャップが、電極縁部33a1,33a2,33a3で異なっている。その他の点については、図13に示した第11の実施形態と同様である。
図18に示す第16の実施形態では、複数の切欠が設けられていないことを除いては、図17に示す第15の実施形態と同様とされている。
上記図12〜図18から明らかなように、複数の第1の放電電極を形成したESD保護装置においても、複数の第1の放電電極の平面形状及び第2の放電電極の平面形状は適宜変形することができる。従って、図6〜図9に示したように、正方形や矩形の第1,第2の放電電極及び正方形や矩形の平面形状を有する電極縁部を有する第2の放電電極を用いてもよい。
なお、複数の第1の放電電極を形成した構造において、少なくとも1つの放電電極における第2の放電電極との間のギャップの対向距離を、残りの第1の放電電極におけるギャップ対向距離と異ならせた場合には、ESD繰り返し耐性を向上させることができる。
次に、第9〜第16の実施形態の実験例につき説明する。
(実施例9)
第9の実施形態のESD保護装置を実施例9として作製した。第1の実施形態についての実施例1と、複数の第1の放電電極3を設けたことを除いては同様とした。
(実施例10〜実施例16)
実施例10〜実施例16として、第10〜第16の実施形態のESD保護装置を作製した。実施例9と異なるところは、第2の放電電極の電極縁部の形状にある。すなわち、第2の放電電極の形状及び寸法は以下の通りとした。
実施例10:直径が210、220及び230μmの3種類の円形の電極縁部を形成した。
実施例11:第2の放電電極の電極縁部は、長軸=250μm及び短軸=210μmの楕円形とした。
実施例12:第2の放電電極は、切欠を有しない直径210μmの円形とした。
実施例13:切欠を有しないことを除いては、実施例10と同様にして第2の放電電極を形成した。
実施例14:切欠を有しないことを除いては、実施例11と同様にして第2の放電電極の電極縁部を形成した。
実施例15:3個の第2の放電電極の電極縁部を、長軸=250及び短軸=210、長軸=260及び短軸=220、並びに長軸=270及び短軸=230の各楕円形の形状とした。複数の切欠の幅及び奥行きは第9の実施形態と同様とした。
実施例16:複数の切欠を設けなかったことを除いては、実施例15と同様とした。
上記実施例10〜実施例16で得たESD保護装置と、図20に示した従来のESD保護装置について、前述した実施例1と同様に、ESD放電応答性及びESD繰り返し耐性を評価した。結果を下記の表2に示す。
Figure 0005757294
表2から明らかなように、従来例に比べ実施例9〜16のいずれにおいても、ESD繰り返し耐性を大幅に改善することができる。加えて、ESD放電応答性についても、改善することが可能となる。
さらに、実施例9〜11と実施例12〜14との対比及び実施例15と実施例16との対比から明らかなように、複数の切欠が形成されている場合には、ESD繰り返し耐性を効果的に高めることができる。これは、複数の切欠の形成により、切欠に挟まれた電極縁部において、電極剥がれが生じたとしても、他の電極縁部への電極剥がれの伝搬が生じ難いためと考えられる。
また、実施例9によれば、実施例10及び11よりも、ESD繰り返し耐性を高めることができる。これは、第1の放電電極及び第2の放電電極の縁部の双方が円形であり、ギャップの対向距離が第1の放電電極の外周縁の周方向においてほぼ等しいため放電開始電圧の上昇が生じ難いためと考えられる。従って、ギャップの対向距離は第1の放電電極の周方向において等しいことが望ましい。
1…ESD保護装置
2…絶縁性基板
2a…上面
2b…下面
2c,2d…側面
2e…第1の端面
2f…第2の端面
3…第1の放電電極
4…第2の放電電極
4a…電極縁部
4b…切欠
4c…欠落部
5…第1の外部電極
6…第2の外部電極
7…第1の接続電極
7a…ビアホール電極
7b…接続電極部
8…第2の接続電極
8A…放電補助部
8a…金属粒子
8b…半導体セラミック粒子
9…下部シール層
9A…セラミックペースト
10…上部シール層
11…第1のセラミックグリーンシート
12…第2のセラミックグリーンシート
12A…空洞形成材
14〜16…第3のセラミックグリーンシート
21…第2の放電電極
21a…電極縁部
21b…切欠
22…第2の放電電極
22a…電極縁部
23…第2の放電電極
23a…電極縁部
24…第1の放電電極
25…第2の放電電極
25a…電極縁部
25b…切欠
26…第2の放電電極
26a…電極縁部
26b…切欠
27…第2の放電電極
27a…電極縁部
28…第2の放電電極
28a…電極縁部
31…ESD保護装置
32…第2の放電電極
32a…電極縁部
33…第2の放電電極
33a…電極縁部

Claims (12)

  1. 空洞を有する絶縁性基板と、
    前記絶縁性基板の空洞内においてギャップを隔てて対向するように、前記絶縁性基板内に配置されている第1,第2の放電電極とを備え、
    前記第1の放電電極の外周縁を、前記ギャップを隔てて前記第2の放電電極が囲むように前記第1,第2の放電電極が配置されており、
    前記第1の放電電極が矩形の平面形状を有し、前記第2の放電電極の縁部が略長方形の形状を有し、
    前記第1の放電電極に接続されており、前記絶縁性基板の外表面に形成されている第1の外部電極と、
    前記第2の放電電極に接続されており、前記絶縁性基板の外表面に形成されている第2の外部電極とをさらに備える、ESD保護装置。
  2. 前記第1の放電電極が複数設けられており、前記第2の放電電極が前記複数の第1の放電電極のそれぞれを囲むように配置されている、請求項1に記載のESD保護装置。
  3. 前記第2の放電電極の前記第1の放電電極を囲んでいる電極縁部の一部に切欠が形成されている、請求項1または2に記載のESD保護装置。
  4. 前記第1の放電電極の外周縁と、前記第2の放電電極との前記ギャップにおける対向距離が、前記第1の放電電極の外周縁の各位置において等しくされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のESD保護装置。
  5. 前記ギャップが閉じられた枠状の形状を有するように、前記第2の放電電極の電極縁部が、前記第1の放電電極の外周縁を囲むように配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のESD保護装置。
  6. 前記第1の放電電極の外周縁の一部を除いて前記第2の放電電極の電極縁部が前記第1の放電電極を囲むように第1,第2の放電電極が配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のESD保護装置。
  7. 前記第1の放電電極が放電開始側電位に接続される、請求項1〜のいずれか1項に記載のESD保護装置。
  8. 前記第1の放電電極と、前記第2の放電電極とが対向している前記ギャップにおいて、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極とにまたがるように形成されており、金属粒子と半導体粒子とを含む放電補助部をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載のESD保護装置。
  9. 前記空洞に臨むように設けられており、第1の放電電極と第2の放電電極とが対向している前記ギャップの少なくとも一部を囲むように設けられたシール層をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載のESD保護装置。
  10. 前記第1の放電電極と前記第1の外部電極とを電気的に接続している第1の接続電極と、前記第2の放電電極と前記第2の外部電極とを接続している第2の接続電極とを有し、前記第1の接続電極が、前記第1の放電電極の上面または下面に接続されたビアホール電極と、前記ビアホール電極と前記第1の外部電極とにと接続されている接続電極部とを有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のESD保護装置。
  11. 上面に矩形の平面形状を有する第1の放電電極と、縁部が略長方形状であり、第1の放電電極を囲むように設けられた第2の放電電極とを有する第1のセラミックグリーンシートを用意する工程と、
    前記第1,第2の放電電極が対向しているギャップを含むように空洞形成材を塗布する工程と、
    前記第1のセラミックグリーンシートの上面に少なくとも1枚の第2のセラミックグリーンシートを、下面に少なくとも1枚の第3のセラミックグリーンシートを積層し、積層体を得る工程と、
    前記積層体を焼成し、前記空洞形成材を消失させて、第1,第2の放電電極が対向している空洞を有する絶縁性基板を得る工程と、
    前記第1,第2の放電電極に電気的に接続されるように、前記積層体の外表面または前記絶縁性基板の外表面に第1,第2の外部電極を形成する工程とを備える、ESD保護装置の製造方法。
  12. 前記第1,第2の放電電極が上面に設けられた第1のセラミックグリーンシートを用意するに際し、複数の前記第1の放電電極が前記第2の放電電極で囲まれているように配置されている第1のセラミックグリーンシートを用意する、請求項11に記載のESD保護装置の製造方法。
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