JPWO2012036180A1 - キサントン誘導体およびその用途 - Google Patents

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Abstract

優れた抗癌作用および癌転移抑制作用を有する新規化合物を提供する。一般式(1):(式中、R1は炭素数8〜14の中鎖脂肪酸から水酸基を除いた残基を表す。)で示されるα−マンゴスチンジエステル、および該化合物を有効成分として含有する抗癌剤または癌転移抑制剤。

Description

本発明はキサントン誘導体およびその用途に関し、更に詳しくは優れた医薬作用を有するα−マンゴスチンC8-14中鎖脂肪酸ジエステルおよびその用途に関する。
マンゴスチン(mangosteen、学名:Garcinia mangostana L)は東南アジア原産のオトギリソウ科(Guttiferae)の常緑小高木である。その果実は世界三大果実の一つで、果実の女王と呼ばれており、東南アジアを代表する高級トロピカルフルーツである。果実の大きさは約5cm大の球形で、厚い果皮を持つ。果肉は白色でミカンの袋のように分かれており、これを食する。その果皮は黄色色素(キサントン類)を含み、古くから止血、鎮痛、防腐、消炎といった収斂剤として用いられてきており、民間伝承薬物として重要な天然資源である。
マンゴスチン果皮に含まれるキサントン誘導体の主成分はα−マンゴスチン(α−mangostin)およびγ−マンゴスチン(γ−mangostin)である。
Figure 2012036180
最近になって、α−およびγ−マンゴスチンは、抗菌作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用及び抗癌作用を有することが報告された。具体的には、抗MRSA(メシチリン耐性黄色ブドウ球菌)活性(非特許文献1)、ヒスタミンおよびセロトニン受容体阻害活性(非特許文献2)、抗酸化活性(非特許文献3)、抗アレルギー活性(非特許文献4)、癌細胞に対するアポトーシス誘導能(非特許文献5)、細胞周期停止(非特許文献6)といった様々な生理活性であり、マンゴスチンの有する多彩な効果がそれらによって説明される。また、α−マンゴスチン又はγ−マンゴスチンを投与されたマウスおよびヒトでNK活性が上昇することも確認されている(非特許文献7、8)。さらに、マンゴスチンの抽出物であるパナキサントン(α−マンゴスチン75〜85%およびγ−マンゴスチン5〜15%の混合物で、両者の含量総和が90%以上のもの)がマウス乳癌に対して抗腫瘍効果を有すること(非特許文献9)や、α−マンゴスチンを20mg/kgの用量で浸透圧ポンプを用いてマウス乳癌に対して投与すると、生存率の延長やリンパ節転移の抑制が観察されたこと(非特許文献10、11)が報告されている。
癌の終末像は転移による死である。乳癌においても死因のほとんどはリンパ節、肺などへの転移によるものであり、転移を抑制することは癌治療の最大の課題と言える。
一方、α−マンゴスチンの誘導体としては、例えば、α−マンゴスチントリアセテートが知られており、この化合物は皮膚の審美的外観を改善する作用や毛細血管拡張症に対する治療作用を有するとされている(特許文献1)。
特表2005−518399号公報
J Pharm Pharmacol 48: 861-865, 1996 Planta Med 62: 471-472, 1996 J Agric Food Chem 54: 2077-2082, 2006 Bioorg Med Chem 16: 4500-4508, 2008 J Nat Prod 66: 1124-1127, 2003 Bioorg Med Chem 13: 6064-6069, 2005 Int. J Mol Sci 9: 355-370 New Food Industry 54巻:19-29, 2009 Anticancer Res 29: 2485-2495, 2009 解剖学雑誌第115回総会・全国学術集会抄録号(2010年、3月) BMC MED 9: 69, 2011
α−マンゴスチンは前述のように抗癌作用や癌転移抑制作用を有しているが、その作用は必ずしも十分でない。本発明の目的は、より優れた抗癌作用や癌転移抑制作用を有するα−マンゴスチン誘導体を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、α−マンゴスチンのC8-14中鎖脂肪酸ジエステルがα−マンゴスチンに比べ顕著に優れた抗癌作用や癌転移抑制作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)一般式(1):
Figure 2012036180
(式中、R1は炭素数8〜14の中鎖脂肪酸から水酸基を除いた残基を表す。)
で示されるα−マンゴスチンジエステル、
(2)R1が炭素数8〜14の飽和中鎖脂肪酸から水酸基を除いた残基である前記1項記載のα−マンゴスチンジエステル、
(3)R1が炭素数8〜14の不飽和中鎖脂肪酸から水酸基を除いた残基である前記1項記載のα−マンゴスチンジエステル、
(4)R1がオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸から選ばれる飽和中鎖脂肪酸から水酸基を除いた残基である前記1項記載のα−マンゴスチンジエステル、
(5)R1が10−ウンデセン酸から水酸基を除いた残基である請求項1記載のα−マンゴスチンジエステル、
(6)式(1−a)
Figure 2012036180
で示されるα−マンゴスチンドデカン酸ジエステル、
(7)前記1〜6項のいずれかのα−マンゴスチンジエステルを有効成分として含有する抗癌剤、および
(8)前記1〜6項のいずれかのα−マンゴスチンジエステルを有効成分として含有する癌転移抑制剤、
である。
本発明にかかるα−マンゴスチンジエステル(1)は、優れた抗癌作用や癌転移抑制作用を有することから、抗癌剤や癌転移抑制剤として有用である。
α−マンゴスチンドデカン酸ジエステル(=α−マンゴスチンラウリン酸ジエステル又はα−マンゴスチンジラウレート)配合飼料で処理したマウスの生存率を示す線図。 α−マンゴスチンドデカン酸ジエステル配合飼料で処理したマウスの体重の経時的変化(一匹あたり)を示す線図。 α−マンゴスチンドデカン酸ジエステル配合飼料で処理したマウスの腫瘍体積経時的変化(一匹あたり)を示す線図。 α−マンゴスチンドデカン酸ジエステル配合飼料で処理したマウスの6週間経過後の生体発光イメージングを示す写真。 α−マンゴスチンドデカン酸ジエステル配合飼料で処理したマウスにおけるリンパ節転移の数(a)および肺転移巣の数(b)(いずれも、一匹あたり)を示す棒グラフ。 α−マンゴスチンドデカン酸ジエステル配合飼料で処理したマウスにおける転移した臓器の総数(a)および一匹あたりの総数(b)を示す棒グラフ。 α−マンゴスチン配合飼料で処理したマウスの体重の経時的変化(一匹あたり)を示す線図。 α−マンゴスチン配合飼料で処理したマウスの腫瘍体積の経時的変化(一匹あたり)を示す線図。 α−マンゴスチン配合飼料で処理したマウスにおけるリンパ節転移の数(a)および肺転移巣の数(b)(いずれも、一匹あたり)を示す棒グラフ。
本発明の化合物は、一般式(1):
Figure 2012036180
(式中、R1は炭素数8〜14の中鎖脂肪酸から水酸基を除いた残基を表す。)
で示されるα−マンゴスチンジエステルである。
1は炭素数8〜14の中鎖脂肪酸から水酸基を除いた残基であるが、ここで「炭素数8〜14の中鎖脂肪酸」とは、オクタン酸(C8)(=カプリル酸)、ノナン酸(C9)(=ペラルゴン酸)、デカン酸(C10)(=カプリン酸)、ウンデカン酸(C11)、ドデカン酸(C12)(=ラウリン酸)、トリデカン酸(C13)、テトラデカン酸(C14)(=ミリスチン酸)などの炭素数8〜14の飽和中鎖脂肪酸、ならびに10−ウンデセン酸(C11)などの炭素数8〜14の不飽和中鎖脂肪酸を含む。これらのうち、炭素数8〜12の飽和または不飽和中鎖脂肪酸がより好ましく、とりわけ炭素数10〜12の飽和中鎖脂肪酸が好ましい。
本発明のα−マンゴスチンジエステル(1)において、かかる二つのエステル結合は、C8-14中鎖脂肪酸がキサントン骨格の3位及び6位の水酸基と結合して、形成されたものである。
本発明のα−マンゴスチンジエステル(1)の具体例としては、例えばα−マンゴスチンオクタン酸ジエステル(=α−マンゴスチンカプリル酸ジエステル)、α−マンゴスチンノナン酸ジエステル(=α−マンゴスチンペラルゴン酸ジエステル)、α−マンゴスチンデカン酸ジエステル(=α−マンゴスチンカプリン酸ジエステル)、α−マンゴスチンドデカン酸ジエステル(=α−マンゴスチンラウリン酸ジエステル)、α−マンゴスチンテトラデカン酸ジエステル(=α−マンゴスチンミリスチン酸ジエステル)、α−マンゴスチン10−ウンデセン酸ジエステルが挙げられる。これらのうちでは、α−マンゴスチンオクタン酸ジエステル、α−マンゴスチンデカン酸ジエステル、α−マンゴスチンドデカン酸ジエステルおよびα−マンゴスチン10−ウンデセン酸ジエステルが好ましく、とりわけα−マンゴスチンドデカン酸ジエステルが好ましい。ちなみにα−マンゴスチンドデカン酸ジエステルは、1,3,6−トリヒドロキシ−7−メトキシ−2,8−ジ(3−メチル−2−ブテニル)キサントン・3,6−O−ジドデカノエートの化学名でも表され、構造式で示せば、次の通りである。
Figure 2012036180
本発明のα−マンゴスチンジエステル(1)は、次式:
Figure 2012036180
で示されるα−マンゴスチンと、一般式(2):
Figure 2012036180
(ただし、R1は炭素数8〜14の中鎖脂肪酸から水酸基を除いた残基を表す。)
で示されるC8-14中鎖脂肪酸またはそのカルボキシル基における反応性誘導体とを、エステル化反応に付すことにより製造することができる。
一般式(2)で示される化合物のカルボキシル基における反応性誘導体としては、常法に従って得られる、例えば酸ハロゲン化物、酸無水物、活性化アミド、活性化エステルなどが挙げられる。そのような反応性誘導体の好適な例としては、酸塩化物;酸アジ化物;例えばジアルキルリン酸、フェニルリン酸、ジフェニルリン酸、ジベンジルリン酸、ハロゲン化リン酸などの置換されたリン酸、ジアルキル亜リン酸、亜硫酸、チオ硫酸、硫酸、例えばメタンスルホン酸などのスルホン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、トリクロロ酢酸などの脂肪族カルボン酸、または例えば安息香酸などの芳香族カルボン酸のような酸との混合酸無水物;対称酸無水物;イミダゾール、4−置換イミダゾール、ジメチルピラゾール、トリアゾールまたはテトラゾールとの活性アミド、または例えばシアノメチルエステル、メトキシメチルエステル、ジメチルイミノメチルエステル、ビニルエステル、プロパルギルエステル、p-ニトロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、メシルフェニルエステル、フェニルアゾフェニルエステル、フェニルチオエステル、p-ニトロフェニルエステル、p-クレジルチオエステル、カルボキシメチルチオエステル、ピラニルエステル、ピリジルエステル、ピペリジルエステル、8-キノリルチオエステル等などの活性化エステル、または例えばN,N−ジメチルヒドロキシアミン、N−ヒドロキシ−2−(1H)−ピリドン、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドなどのN−ヒドロキシ化合物のエステルなどが挙げられる。これら反応性誘導体は、使用する一般式(2)の化合物の種類によって任意に選択することができる。
エステル化反応は、通常、水、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、ジオキサン、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジンのような常用の溶媒中で行われるが、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であればその他のいかなる有機溶媒中でも反応を行うことができる。これら常用の溶媒は水との混合物として使用してもよい。
一般式(2)の化合物を遊離酸の形またはその塩の形で使用する場合には、例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド;N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルカルボジイミド;N−シクロヘキシル−N’−(4−ジエチルアミノシクロヘキシル)カルボジイミド;N,N’−ジエチルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;N,N’−カルボニルビス(2−メチルイミダゾ−ル);ペンタメチレンケテン−N−シクロヘキシルイミン;ジフェニルケテン−N−シクロヘキシルイミン;エトキシアセチレン;1−アルコキシ−1−クロロエチレン;亜リン酸トリアルキル;ポリリン酸エチル;ポリリン酸イソプロピル;オキシ塩化リン;ジフェニルホスホリルアジド;塩化チオニル;塩化オキサリル;例えばクロロギ酸エチル、クロロギ酸イソプロピル等のハロギ酸低級アルキル;トリフェニルホスフィン;2−エチル−7−ヒドロキシベンズイソオキサゾリウム塩、2−エチル−5−(m−スルホフェニル)イソオキサゾリウムヒドロキシド分子内塩;N−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル;1−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシ)−6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾ−ル;N,N’−ジメチルホルムアミドと塩化チオニル、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチルまたはオキシ塩化リン等との反応によって調製したいわゆるビルスマイヤ−試薬等のような常用の縮合剤の存在下に反応を行うのが望ましい。また、N−ヒドロシキベンゾトリアゾールまたはN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボキシイミドの存在下、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を用いる方法も望ましい。
反応はまたアルカリ金属炭酸水素塩トリ(低級)アルキルアミン、ピリジン、N−(低級)−アルキルモルホリン、N,N−ジ(低級)アルキルベンジルアミン等のような無機塩基または有機塩基の存在下に行ってもよい。原料であるα−マンゴスチンと一般式(2)の化合物またはそのカルボキシル基における反応性誘導体との使用割合は、前者1モルに対し、通常後者2モル以上であり、好ましくは5〜50モルである。反応温度は特に限定されないが、通常は冷却下ないし加温下(−10〜120℃)に反応が行われる。反応時間は通常約0.5時間〜約10時間、好ましくは約1時間〜約5時間である。
このようにして得られるα−マンゴスチンジエステル(1)は、公知の分離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒留出、晶出、転溶、クロマトグラフィーなどにより単離精製することができる。
原料化合物(2)は、例えばPhytochemistry 1995, 39, 943-944に記載されている方法により製造することができる。
かくして得られたα−マンゴスチンジエステル(1)(以下、適宜、化合物(1)と称する。)は、優れた抗癌作用や癌転移抑制作用を有することから、抗癌剤または癌転移抑制剤として使用することができる。対象となる癌は特に制限されず、種々の癌(例えば、乳癌、前立腺癌、膵癌、胃癌、肺癌、結腸癌、直腸癌、食道癌、十二指腸癌、舌癌、咽頭癌、脳腫瘍、神経鞘腫、非小細胞肺癌、肺小細胞癌、肝臓癌、腎臓癌、胆管癌、子宮体癌、子宮頚癌、卵巣癌、膀胱癌、皮膚癌、血管系腫瘍、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、甲状腺癌、骨腫瘍、副腎腫瘍、網膜腫瘍)に適用できる。
本発明の化合物(1)を抗癌剤または癌転移抑制剤として使用する場合、ヒトのみならず、ヒト以外の哺乳動物(例えば、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、ブタ、サルなど)に対しても使用することができる。
本発明の化合物(1)を抗癌剤または癌転移抑制剤として使用する場合には、それ自体あるいは適宜の薬理学的に許容される、賦形剤、希釈剤などと混合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤などに製剤化して経口的に投与するか、又は静脈内注射剤、筋肉内注射剤などに製剤化して非経口的に投与することができる。
これらの製剤は、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビットのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプンのようなデンプン誘導体;結晶セルロ−ス、低置換度ヒドロキシプロピルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−スカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロ−スナトリウムのようなセルロ−ル誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;リン酸カルシウムのようなリン酸塩誘導体;炭酸カルシウムのような炭酸塩誘導体;硫酸カルシウムのような硫酸塩誘導体等)、結合剤(例えば、前記の賦形剤;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マグロゴ−ル等)、崩壊剤(例えば、前記の賦形剤;クロスカルメロ−スナトリウム、カルボキシメチルスタ−チナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾された、デンプン、セルロ−ス誘導体等)、滑沢剤(例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ビ−ガム,ゲイロウのようなラックス類;硼酸;グリコ−ル;フマル酸、アジピン酸のようなカルボン酸類;安息香酸ナトリウムのようなカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウムのような硫酸類塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;前記の賦形剤におけるデンプン誘導体等)、安定剤(例えば、メチルパラベン、プロピルバラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノ−ル、ベンジルアルコ−ル、フェニルエチルアルコ−ルのようなアルコ−ル類;塩化ベンザルコニウム;フェノ−ル、クレゾ−ルのようなフェノ−ル類;チメロサ−ル;無水酢酸;ソルビン酸等)、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等)、懸濁化剤(例えば、ポリソルベ−ト80、カルボキシメチルセルロ−スナトリウム等)、希釈剤、製剤用溶剤(例えば、水、エタノ−ル、グリセリン等)等の添加物を用いて周知の方法で製造される。
本発明の化合物(1)の投与量は、年齢、体重、症状等、並びに、投与形態、および、投与回数によって異なるが、通常、成人(体重50kg)に対して、1日1〜2000mg、特に10〜500mg程度を1回、または、数回に分けて投与するのが好ましい。
本発明の化合物(1)は、他の抗癌剤または癌転移抑制剤と併用することができる。該併用剤としては、例えば、アドリアマイシン、マイトマイシン、5−フルオロウラシル、イリノテカン、タキソールなどが挙げられる。併用の場合において、それぞれの薬剤の投与時期は限定されず、同時にあるいは時間差をおいて投与してもよい。本発明の化合物(1)と併用される薬剤との配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組合せ等に応じて適宜選択することができる。
以下に、試験例、比較例、実施例を示して、本発明をさらに詳しく説明するが、これらは、単なる例であって本発明を何ら制限するものではない。
[試験例1]
(被験物質および飼料調製)
所定量のα−マンゴスチンドデカン酸ジエステル(=α−マンゴスチンラウリン酸ジエステル)を秤量し、コーンオイル(ナカライテスク株式会社)とともに50℃で加温・溶解し、粉末飼料CE−2(日本クレア株式会社)に混合した。
(乳癌細胞株)
本実験で用いた乳癌細胞株BJMC3879Luc2は、BALB/c系マウスにMMTV(マウス乳癌ウィルス)を接種することにより誘発された乳癌より樹立されたBJMC3879細胞株にルシフェラーゼ遺伝子を安定的に組み込んだものである(Anticancer Res 29:4389-4396, 2009参照)。BJMC3879細胞株を同系マウスに移植するとリンパ節や肺に高率に転移を起こす(Cancer Gene Ther 9: 16-27, 2002; Carcinogenesis 25:1887-1898, 2004; Cancer Gene ther 14: 268-278, 2007参照)。
(インビボ乳癌モデル実験)
6週齡のBALB/c系雌マウス(日本SLC)の鼠径部皮下にBJMC3879Luc2細胞(2.5×106個/0.3ml)を移植し、腫瘍径が0.3〜0.4cmになった時点で、α−マンゴスチンドデカン酸ジエステル含有飼料(0ppm[対照群]、2000ppmおよび4000ppm)を各群10匹(合計30匹)のマウスに6週間自由摂取させた。各群10匹のマウスは、5匹ずつに分けて二つのケージに収容した。毎週、摂餌量をケージ毎に測定し、また体重と乳腺腫瘍のサイズを個体別に測定した。乳腺腫瘍はデジタル式キャリパスで短径と長径を計測し、その体積を長径×(短径)2×0.4の算出式で求めた(EMBO J. 18: 2692-2701, 1999参照)。実験開始の7週時には、全生存動物を屠殺剖検し、乳腺腫瘍を摘出し、10%緩衝ホルマリン溶液にて固定した。肺およびリンパ節(腋窩部、鼡径部)を採取し、更に肉眼的異常が観察されたリンパ節や諸臓器・組織についても採取し、病理組織学的に検索した。
(癌転移の生体イメージング)
実験開始から6週間経過後、各群より無作為に1ケージを選び、そこに収容されている5匹のマウスについて、1匹当たり3mgのルシフェリンカリウム塩を腹腔内に投与し、イソフルレン吸入麻酔下にて、光子撮像装置(Photon Imager)(Biospace社)を用いて、生体発光イメージングを行い、転移の拡がりを群間で比較した。但し、対照群では、死亡例や瀕死例が観察されたため、これらに代えて残りのケージよりマウスを補充して、測定を行った。
(統計学的解析)
対照群と投与群との間の生存率の統計解析にはホルム−シダック(Holm-Sidak)法による検定を、定量的データではスチューデントのt検定を行った。発生頻度の解析にはフィシャーの正確確率検定を用いた。
(結果)
1.生存率
生存率は図1の通りである。この図から明らかなように、対照群では6週時及び7週時に合わせて5例の死亡例(5/10)を観察したのに対し、検体2000ppm含有飼料投与群で7週時に1例の死亡例(1/10)を観察したのみであり、4000ppm含有飼料投与群では死亡例を全く認めなかった(0/10)。すなわち、実験終了時の生存率は対照群で50%、2000ppm含有飼料投与群で90%、4000ppm含有飼料投与群で100%であり、対照群と4000ppm含有飼料投与群の間に統計学的な差が観察された。
2.一般症状、被験物質摂取量および体重
各群とも一般状態は極めて良好であり、投与に起因すると考えられる症状の発現は見られなかった。また体重1kg当たりの1日のα−マンゴスチンドデカン酸ジエステルの摂取量は2000ppm含有飼料投与群では359mg、4000ppm含有飼料投与群では735mgであった。体重の経時的な変化は図2の通りであり、対照群と投与群との間に差は認められなかった。
3.腫瘍体積
腫瘍体積の経時的な変化は図3の通りである。この図からわかるように、4000ppm含有飼料投与群では実験開始の1週より6週まで、対照群と比較して、腫瘍体積は有意な低値を示した。2000ppm含有飼料投与群では実験開始の5週時を除き2週より6週まで、腫瘍体積は有意な低値を示した。実験終了時では、対照群と比較して、2000ppm含有飼料投与群では26%、4000ppm含有飼料投与群では38%、腫瘍体積は小さかった。
4.癌転移の生体イメージング
癌転移の生体イメージングの結果は図4の通りである。各図において、マウスの体内に島状に出現している腫瘍領域が、中心に寄る程強まる体内発光の強度に応じて、段階的に色分け表示されている。これらの図から分かるように、いずれの群においても、腋窩リンパ節や鼡径リンパ節への転移が観察されたが、その拡がりの程度は2000および4000ppm含有飼料投与群ともに対照群に対して明らかに軽度であった。
5.リンパ節転移および肺転移
マウス1匹当たりのリンパ節転移の数(転移したリンパ節の数)は、2000ppm含有飼料投与群および4000ppm含有飼料投与群でともに対照群に対して顕著な低下が示され、低下は統計学的にも有意であった(図5a)。肺転移では、転移巣が1mm以上のものについて、マウス1匹当たりの数を算出すると、2000ppm含有飼料投与群および4000ppm含有飼料投与群でともに対照群に対して極めて顕著な低下が示され、低下は統計学的にも有意であった(図5b)。なお、図5a及び図5bにおいて、数値は、各群における平均値を表し、エラーバーは標準偏差を表す(以下、同種の図において同じ)。
6.転移した臓器の総数
リンパ節や肺以外にも卵巣、副腎、腎臓、肝臓、骨への転移が病理組織学的に観察された。転移した臓器の総数は、対照群で125個であったのに対し、2000ppm含有飼料投与群で48個、4000ppm含有飼料投与群で37個であり、著しく抑制されていた(図6a)。マウス1匹当たりの転移臓器数を算出すると、2000ppm含有飼料投与群および4000ppm含有飼料投与群でともに対照群に対して有意な低下が示された(図6b)。なお、転移した臓器の総数は、リンパ節及び肺については上記のとおりカウントし、その他の臓器については、左右ある卵巣、副腎、腎臓は片側のみの転移であれば「1」と、両側とも転移していれば「2」と、肝臓及び骨は転移があれば「1」と、それぞれカウントした。
[比較例1]
ルシフェラーゼを組み込んでいないBJMC細胞を移植したマウス乳癌モデルを用いて、α−マンゴスチンの乳癌実験を(実験期間は8週間)を行った。0ppm(対照群)、250ppmおよび2500ppmの濃度で、試験例1と同様に、各群10匹(合計30匹)のマウスに混餌投与を行った。
その結果、対照群および250ppm含有飼料投与群で各1例の腫瘍による死亡例を観察した。なお、2500ppm含有飼料投与群では実験開始の3週目にケージのフタに挟まれて1例の死亡を観察し、この動物については解析から除外した。体重変化では各群間に差はなく(図7)、腫瘍体積では2500ppm含有飼料投与群で4週より実験終了の8週まで有意な抑制が観察された(図8)。マウス1匹当たりのリンパ節転移の個数を見ると(図9a)、2500ppm含有飼料投与群で抑制傾向は認められるものの統計学的な有意差は示されなかった。また、肺転移巣が1mm以上のものについて、マウス1匹当たりの転移巣の個数を解析すると、逆に2500ppm含有飼料投与群で増加傾向が示された(図9b)。
[考察]
試験例1と比較例1との結果から、α−マンゴスチンドデカン酸ジエステルを含む本発明の化合物(1)はα−マンゴスチンに比べて、顕著に優れた癌転移抑制作用を有していることが分かる。
[実施例1]
(α−マンゴスチンドデカン酸ジエステルの合成)
Figure 2012036180
ドデカン酸(C12)(5g、0.25mol、和光純薬工業社)を塩化チオニル(7ml、和光純薬工業社)と共に水浴上で2時間還流し、その後、過剰な塩化チオニルは減圧下に留去しドデカン酸クロリドを調製した。α−マンゴスチン(4.1g、0.01mol)をピリジン(3ml)およびテトロヒドロフラン(30ml)に溶かし、この溶液をドデカン酸クロリドの中に滴下した。反応液を水浴上で加温(3時間)し、冷後1N塩酸(50ml)に加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(流出液:クロロホルム)に付して、精製し、α−マンゴスチンドデカン酸ジエステル(=α−マンゴスチンラウリル酸ジエステル)(6.5g)を淡黄色油状物として得た。
(本品の物理恒数)
融点:39−40℃(室温で淡黄色アモルファスとして固化)
分子式:C48708
分子量:774
EIMS m/z (%): 774 (M+, 100), 718 (6), 592 (70), 536 (28), 409 (34), 367 (36), 354 (64), 339 (99), 323 (24), 311 (20), 183 (19), 71 (26), 57 (60).
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.87, 0.89 (3H each, d, J= 6.9 Hz, dodecanoate-H-12’and H-12”), 1.26 (36H, m, dodecanoate-H-3’-H-11’and H-3”-H-11”), 1.43 (6H, s, H-14, H-15), 1.77, 1.83 (3H each, s, H-19 and H-20), 2.59, 2.63 (2H each, t, J= 7.5 Hz, dodecanoate-H-2’and H-2”), 3.30 (2H, s, J= 5.5 Hz, H-11), 3.76 (3H, s, OMe-C-7), 4.13 (2H, d, J= 5.0 Hz, H-16), 5.14, 5.19 (1H each, m, H-12 and H-17), 6.62 (1H, s, H-4), 7.11 (1H, s, H-5).
[実施例2]
(α−マンゴスチンデカン酸ジエステルの合成)
Figure 2012036180
ドデカン酸の代わりにデカン酸(C10)を用いる以外は、実施例1と同様に処理して、α−マンゴスチンデカン酸ジエステル(=α−マンゴスチンカプリン酸ジエステル)を褐色油状物として得た。
(本品の物理恒数)
分子式:C44628
分子量:718
EIMS m/z (%): 718 (M+, 100), 662 (7), 564 (16), 508 (22), 409 (12), 355 (18), 339 (29), 325 (8).
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.88, 0.89 (3H each, d, J= 6.9 Hz, decanoate-H-10’and H-10”), 1.29-1.31 (28H, m, decanoate-H-3’-H-9’and H-3”-H-9”), 1.68 (6H, s, H-14, H-15), 1.77, 1.83 (3H each, s, H-19 and H-20), 2.59, 2.63 (2H each, t, J= 7.5 Hz, decanoate-H-2’and H-2”), 3.30 (2H, d, J= 6.9 Hz, H-11), 3.75 (3H, s, OMe-C-7), 4.13 (2H, d, J= 6.3 Hz, H-16), 5.14, 5.20 (1H each, m, H-12 and H-17), 6.62 (1H, s, H-4), 7.11 (1H, s, H-5).
[実施例3]
(α−マンゴスチン10−ウンデセン酸ジエステルの合成)
Figure 2012036180
ドデカン酸の代わりに10−ウンデセン酸(C11)を用いる以外は、実施例1と同様に処理して、α−マンゴスチン10−ウンデセン酸ジエステルを淡黄色褐油状物として得た。
(本品の物理恒数)
分子式:C46628
分子量:742
EIMS m/z (%): 742 (M+, 100), 730 (18), 576 (56), 533 (12), 520 (35), 409 (23), 355 (55), 339 (72), 325 (15).
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.32-1.40 (24H, m, undecenoate-H-3’-H-8’and H-3”-H-8”), 1.67 (6H, s, H-14, H-15), 1.77, 1.83 (3H each, s, H-19 and H-20), 2.04, 2.06 (2H each, m, undecenoate-H-9’and H-9”), 2.60, 2.64 (2H each, t, J= 7.5 Hz, undecenoate-H-2’and H-2”), 3.30 (1H, d, J= 6.8 Hz, H-11), 3.75 (3H, s, OMe-C-7), 4.13 (1H, d, J= 6.3 Hz, H-16), 4.93 (2H, d, J= 10.3 Hz, undecenoate-H-11’a and H-11”a), 5.00 (2H, d, J= 17.2 Hz, undecenoate-H-11’b and H-11”b), 5.14, 5.19 (1H each, m, H-12 and H-17), 5.82 (2H, m, undecenoate-H-10’and H-10”), 6.62 (1H, s, H-4), 7.11 (1H, s, H-5).
[実施例4]
(α−マンゴスチンオクタン酸ジエステルの合成)
Figure 2012036180
ドデカン酸の代わりにオクタン酸(C8)を用いる以外は、実施例1と同様に処理して、α−マンゴスチンオクタン酸ジエステル(=α−マンゴスチンカプリル酸ジエステル)を褐色油状物として得た。
(本品の物理恒数)
分子式:C40548
分子量:662
negative HR ESI-TOFMS m/z : 661.3726 [M-H]-, calcd. 661.3746.
negative ESI-TOFMS m/z (%): 661 (21), 535 (100), 395 (10), 281 (49), 265 (82), 255 (37), 182 (25).
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.90 (6H each, d, J= 7.1 Hz, octanoate-H-8’and H-8”), 1.27-1.45 (16H, m, octanoate-H-4’-H-7’and H-4”-H-7”), 1.43, 1.69, 1.77, 1.89 (3H each s, CH3-C-14,15,19,20) , 1.78, 1.80 (2H each, m, octanoate-H-3’and H-3”), 2.59, 2.64 (2H each, t, J= 7.5 Hz, octanoate-H-2’and H-2”), 3.30 (2H, d, J= 6.9 Hz, H-11), 3.75 (3H, s, OMe-C-7), 4.13 (2H, d, J= 6.5 Hz, H-16), 5.15, 5.20 (1H each, m, H-12 and H-17), 6.62 (1H, s, H-4), 7.11 (1H, s, H-5).
13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ: 12.6 (C-8’, C-8”), 16.4, 16.7 (C-15, C-19), 20.8 (C-11), 21.1 (C-5’, C-5”), 23.31, 23.34 (C-3’, C-3”), 24.4, 24.3 (C-6’, C-6”), 25.0 (C-16), 27.42, 27.44, 27.5, 27.6 (C-4’, C-5’, C-4”, C-5”), 30.1 (C-6’, C-6”), 32.7, 32.8 (C-2’, C-2”), 60.2 (OMe -C-7), 98.8 (C-4), 105.5 (C-9a), 109.1 (C-5), 114.7, 115.2 (C-2, C-8a), 119.9, 121.2 (C12, C-17), 130.7 (C-8, C-13), 137.5 (C-18), 145.3 (C-7), 148.0 (C-6), 152.2, 152.6, 153.5 (C-1, C-3, C-4a), 159.5 (C-10a), 169.4, 169.8 (C-1’, C-1”), 181.6 (C-9).
[実施例5]
(α−マンゴスチンテトラデカン酸ジエステルの合成)
ドデカン酸の代わりにテトラデカン酸(C14)を用いる以外は、実施例1と同様に処理して、α−マンゴスチンテトラデカン酸ジエステル(=α−マンゴスチンミリスチン酸ジエステル)を得る。
本発明の化合物(1)は、優れた抗癌作用および癌転移抑制作用を有するので、医薬および癌治療分野で利用できる。

Claims (8)

  1. 一般式(1):
    Figure 2012036180
    (式中、R1は炭素数8〜14の中鎖脂肪酸から水酸基を除いた残基を表す。)
    で示されるα−マンゴスチンジエステル。
  2. 1が炭素数8〜14の飽和中鎖脂肪酸から水酸基を除いた残基である請求項1記載のα−マンゴスチンジエステル。
  3. 1が炭素数8〜14の不飽和中鎖脂肪酸から水酸基を除いた残基である請求項1記載のα−マンゴスチンジエステル。
  4. 1がオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸から選ばれる飽和中鎖脂肪酸から水酸基を除いた残基である請求項1記載のα−マンゴスチンジエステル。
  5. 1が10−ウンデセン酸から水酸基を除いた残基である請求項1記載のα−マンゴスチンジエステル。
  6. 式(1−a)
    Figure 2012036180
    で示されるα−マンゴスチンジエステル。
  7. 請求項1〜6のいずれかのα−マンゴスチンジエステルを有効成分として含有する抗癌剤。
  8. 請求項1〜6のいずれかのα−マンゴスチンジエステルを有効成分として含有する癌転移抑制剤。
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